JP4465031B1 - 表面実装型インダクタ連続体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性、保形性、取扱性が良く、インダクタンス変動の少ない小径の表面実装型インダクタ連続体を提供する。
【解決手段】合成繊維糸又は合成繊維糸が複数集束され若しくは撚り加工された合成繊維糸束が巻芯2として用いられる当該巻芯2の周囲に線径10μm乃至100μmの導体巻線3が連続して巻き付けられ、巻線端子部となる疎に巻かれた疎巻部3bとそれより多い所定巻数だけ密に巻かれた密巻部3aが交互に連続して形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】合成繊維糸又は合成繊維糸が複数集束され若しくは撚り加工された合成繊維糸束が巻芯2として用いられる当該巻芯2の周囲に線径10μm乃至100μmの導体巻線3が連続して巻き付けられ、巻線端子部となる疎に巻かれた疎巻部3bとそれより多い所定巻数だけ密に巻かれた密巻部3aが交互に連続して形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、表面実装型インダクタ連続体及びその製造方法に関する。
コイル,コンデンサなどのリアクタンス素子のうち、インダクタンスLを決定するインダクタは、携帯電話、ポケットアラーム等の小型電子機器の高周波同調回路などに用いられている。インダクタは、実装基板である回路基板の小型化・高密度高集積化にともなって、線径が細く巻径も小型化している。一般にインダクタンスLは、巻線コイルの巻数の二乗やコイル断面積に比例し、コイルの長さに反比例する。これらの各数値を調整することで所望のインダクタンスを有するインダクタが形成される。
インダクタの製法について説明すると、例えば、熱可塑性材料からなるコア材を押出し加工によりサイジングされ、機械加工によりノッチが形成される。このノッチには、錫−銅合金などのU形ワイヤーを曲げて巻線ステープルターミナルが取り付けられる。次いで、コア材に対して極細ワイヤーがセグメントに巻き付けられ、加熱加圧、はんだ付け、溶接などによって巻線ステープルターミナルと接合される。そして、巻線の外周側が被覆材料(例えば紫外線硬化樹脂)に被覆され、隣接する巻線ステープルターミナル間のコア材を切断することで個々のインダクタに分離される。分離されたインダクタはテープに貼り付けられたままリールに巻き取られて包装される(特許文献1参照)。
また、芯線に導線を連続して巻回して密に巻かれた主巻回部と疎に巻かれた疎巻き部が一定間隔で形成されたコイル素材を剥離可能な平面プレートに接着する。そしてコイル素材より芯材を抜いてから、金型に平面プレートごと搬入してエポキシ樹脂,ポリイミド樹脂,シリコン樹脂等により一体成形する。成形品を平面プレートから外して切断用のプレートに移し替えて、成形品の疎巻き部や巻線非巻回し部で個片(チップ)に切断する。最後に切断された各チップの両端に端子電極を形成してチップインダクタが製造される(特許文献2参照)。
上述したインダクタの製造には、芯材として比較的硬質な樹脂材を用いたり(特許文献1)、芯材を用いて巻線を巻きつけたものをプレートに接着してから芯材を抜いたりする必要があり(特許文献2)、いずれも製造工程に工数と時間がかかる。
特に10μm〜100μm程度の導体素線を用いて小径のインダクタ(例えばφ0.1mm〜φ1mmのマイクロインダクタ)を製造する場合には、巻芯がないとインダクタの形状保持(保形)が困難であり、インダクタコイルの巻き数やインダクタコイルの長さがばらつき易く、結果としてインダクタンスも変動し、インダクタの特性がばらつくおそれがある。また、インダクタを基板実装する場合には、巻芯は必ずしも必要ではないので、これを取り除くことが煩わしい。
特に10μm〜100μm程度の導体素線を用いて小径のインダクタ(例えばφ0.1mm〜φ1mmのマイクロインダクタ)を製造する場合には、巻芯がないとインダクタの形状保持(保形)が困難であり、インダクタコイルの巻き数やインダクタコイルの長さがばらつき易く、結果としてインダクタンスも変動し、インダクタの特性がばらつくおそれがある。また、インダクタを基板実装する場合には、巻芯は必ずしも必要ではないので、これを取り除くことが煩わしい。
また、導体素線の外周に絶縁層と当該絶縁層より融点が低い融着層がこの順に積層されたマグネットワイヤ(自己融着線)を用いて加熱処理若しくは溶剤塗布或いはこれらの併用により融着層を加熱溶融させて導体巻線どうしを融着させる場合にはインダクタの巻芯は不要になる。しかしながら、導体巻線どうしを密着させて巻かないと、インダクタ外周に溶剤を塗布或いはインダクタ外周を加熱或いはこれらを併用することにより融着層を融着させる際に、導体巻線どうしが融着せずインダクタ形状を保持することができなる。
さらには、直径φ0.1mm〜φ1mm程度の小径のマイクロインダクタでは、インダクタを個片に切断後に導体巻線どうしの絡まりが発生し易く、製造管理、特に保管や運搬するときの包装資材等に専用の資材が必要になる。また、素線径が細く(φ0.010mm〜φ0.030mm)リード線部分の確認がし難いため、基板実装する際に顕微鏡やピンセットなど取り扱い設備や工具が必要となるため、工数も増える。
本発明は、上記課題を解決し、生産性、保形性、取扱性が良く、インダクタンス変動の少ない小径の表面実装型インダクタ連続体を提供し、該表面実装型インダクタ連続体を効率よく生産し、インダクタを基板実装する際の作業性を向上させた表面実装型インダクタ連続体の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成し以下に述べる実施形態に適用される手段は以下の通りである。
合成繊維糸又は合成繊維糸が複数集束され若しくは撚り加工された加熱溶融可能な合成繊維糸束が巻芯として用いられる当該巻芯の周囲に巻線外周にポリウレタン系若しくはポリエステル系を含む電気的接続性を阻害しない透明樹脂材が絶縁層としてコーティングされた線径10μm乃至100μmのマグネットワイヤが連続して巻き付けられ、前記マグネットワイヤには巻線端子部となる疎に巻かれた疎巻部とそれより多い所定巻数だけ密に巻かれた密巻部が交互に連続して形成され、当該密巻部の両側に連続する疎巻部を基板端子部と接合することで切断され基板実装可能なインダクタ端子として形成されていることを特徴とする。
合成繊維糸又は合成繊維糸が複数集束され若しくは撚り加工された加熱溶融可能な合成繊維糸束が巻芯として用いられる当該巻芯の周囲に巻線外周にポリウレタン系若しくはポリエステル系を含む電気的接続性を阻害しない透明樹脂材が絶縁層としてコーティングされた線径10μm乃至100μmのマグネットワイヤが連続して巻き付けられ、前記マグネットワイヤには巻線端子部となる疎に巻かれた疎巻部とそれより多い所定巻数だけ密に巻かれた密巻部が交互に連続して形成され、当該密巻部の両側に連続する疎巻部を基板端子部と接合することで切断され基板実装可能なインダクタ端子として形成されていることを特徴とする。
また、前記密巻部の両側に形成された前記疎巻部をインダクタ両端子として当該密巻部をインダクタとして基板実装する際に、前記巻芯が溶融して前記密巻部の線間に滲み出て接着層を形成することを特徴とする。
また、前記マグネットワイヤは、前記絶縁層の外周に融着層を有する自己融着線であることを特徴とする。
表面実装型インダクタ連続体の製造方法においては、合成繊維糸又は合成繊維糸が複数集束され若しくは撚り加工された加熱溶融可能な合成繊維糸束を巻芯として所定のテンションを付与したまま一定の速度で送り出す巻芯送り出し工程と、前記巻芯を一定速度で送りながら、当該巻芯の周囲に線径10μm乃至100μmの導体巻線を巻き速度を変えながら連続して巻き付け、巻線端子部となる疎に巻かれた疎巻部とそれより多い所定巻数だけ密に巻かれた密巻部を交互に形成し当該密巻部の両側に連続する疎巻部を基板端子部と接合することで切断され基板実装可能なインダクタ端子として形成する巻線巻き付け工程と、前記疎巻部と密巻部が交互に形成された巻き付けられた表面実装型インダクタ連続体を巻芯ごと巻取りリールに巻き取る工程と、含むことを特徴とする。
導体素線を用いた巻線巻き付け工程後に、当該巻線外周にポリウレタン系若しくはポリエステル系を含む電気的接続性を阻害しない透明樹脂材を絶縁層としてコーティングする外装工程を含むことを特徴とする。
自己融着線を用いた巻線巻き付け工程後に、当該巻線外周に溶剤を塗布するか若しくは加熱溶融させるかこれらを併用して密巻部を融着させる巻線融着工程を含むことを特徴とする。
上述した表面実装型インダクタ連続体を用いれば、例えば直径φ0.3mm以下の合成繊維糸又は合成繊維糸が複数集束され若しくは撚り加工された合成繊維糸束を巻芯としてその周囲に線径10μm乃至100μmの導体巻線が疎巻部とそれより多い所定巻数だけ密に巻かれた密巻部が交互に連続して形成されるため、直径φ0.1mm〜φ1mm程度の小径のマイクロインダクタを効率よく量産することができる。
また、巻線端子部となる疎に巻かれた疎巻部とそれより多い所定巻数だけ密に巻かれた密巻部が交互に連続して形成されているので、表面実装型インダクタ連続体をそのまま基板上に繰り出して密巻部の両側に設けられた疎巻部を基板端子に加熱加圧して接合することにより、表面実装型インダクタ連続体からインダクタを個片化して基板実装でき、作業性や取扱性を向上することができる。
密巻部の両側に形成された疎巻部をコイル端子として当該密巻部をインダクタとして基板実装する際に、巻芯に用いられる合成繊維糸若しくは合成繊維糸束が溶融して密巻部の線間に滲み出て接着層を形成するので、硬質な巻芯がなくても或いは導体巻線どうしを密着させて巻かなくても基板実装されたインダクタの形状が安定するので、インダクタンスのばらつきも少なくすることができる。また、巻芯は基板実装前の表面実装型インダクタ連続体を保形するのみならず、基板実装後は接着層として溶けるので、巻芯を除去する作業を省くこともできる。
巻線外周にポリウレタン系若しくはポリエステル系を含むはんだぬれ性のよい透明樹脂材が絶縁層としてコーティングされているマグネットワイヤが用いられるので、導体素線の絶縁性を確保すると共に素線径が微細(例えば20μm程度)なインダクタ両端子(疎巻部)の基板実装する際の視認性を確保することができる。
また、インダクタ端子部となる疎巻部にポリウレタン系若しくはポリエステル系を含む電気的接続性を阻害しない透明樹脂材がコーティングされているので、基板実装も良好に行える。
また、インダクタ端子部となる疎巻部にポリウレタン系若しくはポリエステル系を含む電気的接続性を阻害しない透明樹脂材がコーティングされているので、基板実装も良好に行える。
また、マグネットワイヤは、絶縁層の外周に融着層を有する自己融着線であっても、基板実装前は巻芯により支持され、基板実装後は巻芯である合成繊維糸又は合成繊維糸束が溶融して密巻部の線間に滲み出て接着層を形成するので、密巻部の導体巻線どうしを密着させて巻かなくても、インダクタの保形性を確保できる。
表面実装型インダクタ連続体の製造方法を用いれば、合成繊維糸又は当該合成繊維糸が複数集束され若しくは撚り加工された合成繊維糸束を巻芯として所定のテンションを付与したまま一定の速度で送り出し、この巻芯の周囲に線径10μm乃至100μmの導体巻線を巻き速度を変えながら連続して巻き付けることにより、直径φ0.1mm〜φ1mm程度の小径のマイクロインダクタ(インダクタンス5〜200nH/mm程度)の連続体を効率よく生産することができる。
また、巻芯の周囲に巻線端子部となる疎に巻かれた疎巻部とそれより多い所定巻数だけ密に巻かれた密巻部が交互に巻ピッチを変えて形成された表面実装型インダクタ連続体を巻芯ごと巻取りリールに巻き取るので生産性が良く、巻取りリールに巻き取られた表面実装型インダクタ連続体の保管や運搬が容易であり取扱性が向上する。
また、巻取りリールに巻き取られた表面実装型インダクタ連続体を巻芯ごと基板上に繰り出して、基板端子部と疎巻部を位置合わせして接合することにより、個々のインダクタに切断すると同時に基板実装することが可能となり、作業性が向上しインダクタの基板実装工程を自動化することも可能である。また、巻芯はインダクタの基板実装後は接着層として溶けるので、巻芯を除去する作業を省くこともできる。
導体素線を用いた巻線巻き付け後に、当該巻線外周にポリウレタン系若しくはポリエステル系を含む電気的接続性を阻害しない(金属線の場合;はんだぬれ性のよい、非金属線の場合;圧着性のよい)透明樹脂材を絶縁層としてコーティングするので、素線径が微細(例えば20μm程度)なインダクタ両端子(疎巻部)の基板実装時の視認性や絶縁性を確保したまま表面実装型インダクタ連続体を製造することができる。
また、自己融着線を用いた巻線巻き付け後に、当該巻線外周に溶剤を塗布するか若しくは加熱溶融させるかこれらを併用して密巻部を融着させると、密巻部に巻かれた巻線どうしが密着して巻かれていなくても、合成繊維若しくは合成繊維糸束を巻芯としてインダクタコイルの保形性を維持することができる。
以下、本発明に係る表面実装型インダクタ連続体及びその製造方法の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1乃至図3を参照して、表面実装型インダクタ連続体の構成をその製造方法とともに説明する。
図1において、表面実装型インダクタ連続体1は、合成繊維糸(例えばポリエステル糸、ナイロン糸等)又は合成繊維糸が複数集束され若しくは撚り加工された合成繊維糸束が巻芯2として用いられている。例えば巻芯2としては直径がφ0.3mm以下の合成繊維糸又は合成繊維糸束が用いられる。この巻芯2の周囲に線径10μm乃至100μmの導体巻線3(例えばマグネットワイヤ)が連続して巻き付けられている。
これにより、直径φ0.1mm〜φ1mm程度の小径インダクタコイル(マイクロインダクタ)を形成することができる。実験では導体巻線3として線径20μm〜25μmの銅素線を用い、直径φ0.2mmのポリエステル糸束に巻き付けてコイル外径φ0.4mm程度のインダクタコイルの試作が行なえることを確認した。
図1において、表面実装型インダクタ連続体1は、合成繊維糸(例えばポリエステル糸、ナイロン糸等)又は合成繊維糸が複数集束され若しくは撚り加工された合成繊維糸束が巻芯2として用いられている。例えば巻芯2としては直径がφ0.3mm以下の合成繊維糸又は合成繊維糸束が用いられる。この巻芯2の周囲に線径10μm乃至100μmの導体巻線3(例えばマグネットワイヤ)が連続して巻き付けられている。
これにより、直径φ0.1mm〜φ1mm程度の小径インダクタコイル(マイクロインダクタ)を形成することができる。実験では導体巻線3として線径20μm〜25μmの銅素線を用い、直径φ0.2mmのポリエステル糸束に巻き付けてコイル外径φ0.4mm程度のインダクタコイルの試作が行なえることを確認した。
具体的には、導体巻線3には、巻線端子部となる疎に巻かれた疎巻部3bとそれより多い所定巻数だけ密に巻かれた密巻部3aが交互に連続して形成されている。また、導体巻線3として用いるマグネットワイヤは、導体素線(金属線;銅線(軟銅線ACW,硬銅線HCW)、銅合金線、銀線、銀合金線、アルミ線、アルミ合金線等)の外周にはポリウレタン系若しくはポリエチレン系の樹脂材を含むはんだぬれ性のよい透明樹脂材4が絶縁層としてコーティングされている(図3参照)。尚、導体素線として非金属線(例えば有機線(カーボンファイバー)、無機線(セラミックス)、導電性プラスチック等)の場合には、圧着等による電気的接続性を阻害しない透明樹脂材4が絶縁層としてコーティングされている。
また、後述するようにインダクタとして個別に基板実装する際に、密巻部3aの両側に形成された疎巻部3bを巻線端子として接合する。このとき、巻芯2に用いた合成繊維糸若しくは合成繊維束が溶融して密巻部3aの線間に滲み出て接着層を形成する。これにより、硬質な巻芯がなくても或いは巻線どうしを密着させて巻かなくても、基板実装されたインダクタの形状が安定するので、インダクタンスのばらつきも少なくすることができる。また、巻芯2は基板実装前の表面実装型インダクタ連続体1を保形するのみならず、基板実装後は接着層として溶けるので、巻芯2を除去する作業を省くこともできる。よって、導体巻線3として用いられるマグネットワイヤは、透明樹脂材4の外周に融着層を有する自己融着線であってもよい。
次に、上述した表面実装型インダクタ連続体1の製造方法の一例について説明する。
図2(a)において、巻芯2としては、直径φ0.3mm以下の合成繊維糸(例えばポリエステル糸,ナイロン系等)、或いは当該合成繊維糸を複数本集束し若しくは撚り加工を施した合成繊維糸束が用いられる。合成繊維糸又は合成繊維糸束を用いた連続する巻芯2は、予め図示しない芯材に巻き取られているのが好ましい。そして、芯材に巻き取られた巻芯2は例えば搬送リール間で所定のテンションを付与したまま一定の速度で送り出される(巻芯送り出し工程)。
図2(a)において、巻芯2としては、直径φ0.3mm以下の合成繊維糸(例えばポリエステル糸,ナイロン系等)、或いは当該合成繊維糸を複数本集束し若しくは撚り加工を施した合成繊維糸束が用いられる。合成繊維糸又は合成繊維糸束を用いた連続する巻芯2は、予め図示しない芯材に巻き取られているのが好ましい。そして、芯材に巻き取られた巻芯2は例えば搬送リール間で所定のテンションを付与したまま一定の速度で送り出される(巻芯送り出し工程)。
図2(b)において、所定のテンションを加えられながら送り出される巻芯2の周囲に線径10μm乃至100μmの導体素線(例えば銅素線)を用いた導体巻線3(マグネットワイヤ)を連続して巻き付ける(巻線巻き付け工程)。導体巻線3は巻線端子部となる疎に巻き回された疎巻部3bとそれより多い所定巻数だけ密に巻き回された密巻部3aが交互に巻ピッチを変えて巻き付けられる。具体的には、導体巻線3は、例えば、巻芯2と同心状に設けられた巻付けガイドを通過させ、当該巻付けガイドが回転する速度を変えることで、疎巻部3bと密巻部3aが交互に形成される。一例として、疎巻部3bと密巻部3aとの巻数比は1対20程度とすることにより一般的な交差±5%以内を維持することができる。
図2(c)において、導体巻線3の巻線巻き付け工程後に、巻線外周にポリウレタン系若しくはポリエチレン系の樹脂材を含むはんだぬれ性のよい透明樹脂材4を絶縁層としてコーティングする(外装工程)。絶縁層が形成された状態の断面図を図3に示す。これにより、素線径が微細(例えば20μm程度)なインダクタ両端子(疎巻部3b)の基板実装時の視認性や絶縁性を確保したまま表面実装型インダクタ連続体1を製造することができる。また、インダクタ両端子となる疎巻部3bにコーティングされた透明樹脂材4ははんだぬれ性がよいので、はんだ接合により基板実装も良好に行える。
また、マグネットワイヤが自己融着線である場合には、導体巻線3の巻線巻き付け工程後に、巻線外周に溶剤を塗布するか若しくは加熱溶融させるかこれらを併用して密巻部3aを融着させる(巻線融着工程)。加熱溶融する場合には、通電加熱、熱風加熱、オーブンなどによる加熱が行なわれる。このとき密巻部3aに巻かれた導体巻線どうしが密着して巻かれていなくても、合成繊維若しくは合成繊維糸束を巻芯2としてインダクタコイルの保形性を維持することができる。
図2(d)において、巻芯2の周囲に密巻部3aと疎巻部3bが交互に形成された表面実装型インダクタ連続体1を巻芯2ごと巻取りリール5に巻き取る(巻取り工程)。表面実装型インダクタ連続体1は導体巻線3の線径が微小であるうえに、巻芯2に用いた合成繊維糸束は可撓性を有ししかも十分な引っ張り強度(100gf /mm2〜1000gf/mm2)を有するため、リール状に巻き付けてもインダクタコイル形状を維持することができる。また、表面実装型インダクタ連続体1は巻芯2とともに巻取りリール5に巻き取られるので生産性が良く、巻取りリール5に巻き取られた表面実装型インダクタ連続体1の保管や運搬が容易であり取扱性が向上する。
次に、上述のように形成された表面実装型インダクタ連続体1を基板実装する工程の一例について、図4を参照して説明する。
図4(a)において、予め巻取りリール5に巻き取られた表面実装型インダクタ連続体1を基板6上に搬送する。具体的には、巻取りリール5(図2(d)参照)から、巻芯2を引き出して表面実装型インダクタ連続体1を基板6に搬送する。そして、図4(b)において、疎巻部3bを基板端子部6aと位置合わせをした後、接合冶具7にて疎巻部3bを加熱加圧しながら基板端子部6aとはんだ若しくははんだ合金を供給して接合する。このとき、基板端子部6aには予めはんだ若しくははんだ合金が塗布されていてもよい。尚、リール5から繰り出される表面実装型インダクタ連続体1の導体巻線3のうち疎巻部3bと密巻部3aとはセンサにより識別することが可能であり、表面実装型インダクタ連続体1を基板6上に連続送りすることが可能である。
図4(a)において、予め巻取りリール5に巻き取られた表面実装型インダクタ連続体1を基板6上に搬送する。具体的には、巻取りリール5(図2(d)参照)から、巻芯2を引き出して表面実装型インダクタ連続体1を基板6に搬送する。そして、図4(b)において、疎巻部3bを基板端子部6aと位置合わせをした後、接合冶具7にて疎巻部3bを加熱加圧しながら基板端子部6aとはんだ若しくははんだ合金を供給して接合する。このとき、基板端子部6aには予めはんだ若しくははんだ合金が塗布されていてもよい。尚、リール5から繰り出される表面実装型インダクタ連続体1の導体巻線3のうち疎巻部3bと密巻部3aとはセンサにより識別することが可能であり、表面実装型インダクタ連続体1を基板6上に連続送りすることが可能である。
これにより、図4(c)に示すように、表面実装型インダクタ連続体1から個片化された外径がφ0.1mm〜φ1mm程度、重量が10mgから100mg程度のマイクロインダクタ1aが基板実装される。このとき、巻芯2に用いた合成繊維糸束が溶融して密巻部3aの線間に滲み出て接着層を形成するため、マイクロインダクタ1aの保形性が高く、巻芯2に対する巻ピッチも必ずしも密着巻にしなくてもマイクロインダクタとしての保形性を維持することができる。また、巻芯2に用いた合成繊維糸がポリエステル糸若しくはナイロン糸の場合には、はんだ濡れ性がよく、疎巻部3bの接合に影響しない。図4(d)は、マイクロインダクタ1aが基板実装された状態の模式断面図である。
このように、表面実装型インダクタ連続体1を基板6上に繰り出して、基板端子部6aと疎巻部3bを位置合わせして接合することにより、個片化されたマイクロインダクタ1aに切断すると同時に基板実装することが可能となり、マイクロインダクタの基板実装工程を自動化することも可能である。これにより、インダクタンスLが5〜200nH/mm程度の極小な特性を有するマイクロインダクタ1aを生産し基板実装までを自動化して実現することができる。また、巻芯2は基板実装前の表面実装型インダクタ連続体1を保形するのみならず、基板実装後は接着層として溶けるので、巻芯2を除去する作業を省くこともできる。
上述したマイクロインダクタ1aの用途としては、例えば携帯電話、ポケットアラーム、ペーシング機器等の小型電子機器のMHz,GHz帯の高周波同調回路などの表面実装用に好適に用いられる。
1 表面実装型インダクタ連続体
1a マイクロインダクタ
2 巻芯
3 巻線
3a 密巻部
3b 疎巻部
4 透明樹脂材
5 巻取りリール
6 基板
6a 基板端子部
7 接合冶具
1a マイクロインダクタ
2 巻芯
3 巻線
3a 密巻部
3b 疎巻部
4 透明樹脂材
5 巻取りリール
6 基板
6a 基板端子部
7 接合冶具
Claims (6)
- 合成繊維糸又は合成繊維糸が複数集束され若しくは撚り加工された加熱溶融可能な合成繊維糸束が巻芯として用いられる当該巻芯の周囲に巻線外周にポリウレタン系若しくはポリエステル系を含む電気的接続性を阻害しない透明樹脂材が絶縁層としてコーティングされた線径10μm乃至100μmのマグネットワイヤが連続して巻き付けられ、前記マグネットワイヤには巻線端子部となる疎に巻かれた疎巻部とそれより多い所定巻数だけ密に巻かれた密巻部が交互に連続して形成され、当該密巻部の両側に連続する疎巻部を基板端子部と接合することで切断され基板実装可能なインダクタ端子として形成されていることを特徴とする表面実装型インダクタ連続体。
- 前記密巻部の両側に形成された前記疎巻部をインダクタ両端子として当該密巻部をインダクタとして基板実装する際に、前記巻芯が溶融して前記密巻部の線間に滲み出て接着層を形成する請求項1記載の表面実装型インダクタ連続体。
- 前記マグネットワイヤは、前記絶縁層の外周に融着層を有する自己融着線である請求項1又は2記載の表面実装型インダクタ連続体。
- 合成繊維糸又は合成繊維糸が複数集束され若しくは撚り加工された合成繊維糸束を巻芯として所定のテンションを付与したまま一定の速度で送り出す巻芯送り出し工程と、
前記巻芯を一定速度で送りながら、当該巻芯の周囲に線径10μm乃至100μmの導体巻線を巻き速度を変えながら連続して巻き付け、巻線端子部となる疎に巻かれた疎巻部とそれより多い所定巻数だけ密に巻かれた密巻部を交互に形成し当該密巻部の両側に連続する疎巻部を基板端子部と接合することで切断され基板実装可能なインダクタ端子として形成する巻線巻き付け工程と、
前記疎巻部と密巻部が交互に形成された巻き付けられた表面実装型インダクタ連続体を巻芯ごと巻取りリールに巻き取る工程と、含むことを特徴とする表面実装型インダクタ連続体の製造方法。 - 導体素線を用いた巻線巻き付け工程後に、当該巻線外周にポリウレタン系若しくはポリエステル系を含むはんだぬれ性のよい透明樹脂材を絶縁層としてコーティングする外装工程を含む請求項4記載の表面実装型インダクタ連続体の製造方法。
- 自己融着線を用いた巻線巻き付け工程後に、当該巻線外周に溶剤を塗布するか若しくは加熱溶融させるかこれらを併用して密巻部を融着させる巻線融着工程を含む請求項4記載の表面実装型インダクタ連続体の製造方法。
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