JP2014092437A - 複合材料の分析方法 - Google Patents

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Keiji Sumiya
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Abstract

【課題】複数の成分を含む複合材料における成分分布の分析方法であり、適用可能な成分の範囲が広く、微小な複合材料における成分分布を分析可能な複合材料の分析方法を提供する。
【解決手段】全体のラマンスペクトルを得た場合に、信号強度比が0.001以上1000以下となる第一のピーク及び第二のピークが観測され、前記第一のピークが帰属される第一の成分及び前記第二のピークが帰属される第二の成分を含む複合材料について、顕微ラマン分光法でラマンスペクトルを得る工程と、前記顕微ラマン分光法で得られたラマンスペクトルにおける前記第一のピークのラマンシフトに対応するピークの信号強度に対する前記第二のピークのラマンシフトに対応するピークの信号強度の比に基づいて、第二の成分の分布情報を2次元画像として構成する工程と、を有する複合材料の分析方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合材料の分析方法に関する。
従来、複合材料に含まれる複数の成分の成分分布を分析する方法として、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、波長分散型X線分光法(WDS)等が知られており、一般的に用いられている。しかし、EDX又はWDSを用いた分析方法は、元素分布の検出方法であるため、化学構造が異なるが元素組成が類似する複数の成分を分離して分析することは困難である(例えば、非特許文献1参照)。そこで有機化合物の各種スペクトルを利用したイメージング方法が開発されている。例として、赤外線吸収(IR)スペクトルを利用したイメージング方法(例えば、非特許文献2参照)、及び蛍光発光を利用したイメージング方法(例えば、特許文献1参照)が知られている。しかしながら、特にリチウムイオン電池等の電極に含まれる数μm程度の負極材粒子、バインダ等の分布を分析することは困難とされている(例えば、非特許文献3参照)。
特開2005−207825号公報
上田陽、「機器分析 第3改稿版」、廣川書店、p160〜233 古川行夫他、「赤外・ラマン分光法」、日本分光学会(2010)、p1〜118 金村聖志他、「リチウムイオン電池の部材開発と用途別応用」、シーエムシー出版、p72〜76
従来の複合材料の成分分布の分析方法において、IRスペクトルを利用する方法は、無機材料のスペクトルは検出が困難である場合が多く、無機材料と有機材料とを含む複合材料の分析には不向きと考えられている。またIRスペクトルでは分解能が10μm程度であるため、数μm程度の材料の分布を分析することは困難である。
また蛍光発光を利用したイメージング方法では、蛍光発光する無機材料としては、希土類金属、ウラニル塩等のみであるため、その他の材料に適用することは困難であった。
したがって本発明は、複数の成分を含む複合材料における成分分布の分析方法であり、適用可能な成分の範囲が広く、複合材料における成分分布を分析可能な複合材料の分析方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 全体のラマンスペクトルを得た場合に、信号強度比が0.001以上1000以下となる第一のピーク及び第二のピークが存在し、前記第一のピークが帰属される第一の成分及び前記第二のピークが帰属される第二の成分を含む複合材料について、顕微ラマン分光法でラマンスペクトルを得る工程と、前記顕微ラマン分光法で得られたラマンスペクトルにおける前記第一のピークのラマンシフトに対応するピークの信号強度に対する前記第二のピークのラマンシフトに対応するピークの信号強度の比に基づいて、第二の成分の分布情報を2次元画像として構成する工程と、を有する複合材料の分析方法である。
<2> 前記第一の成分及び第二の成分の一方が無機材料であり、他方が有機材料である前記<1>に記載の分析方法である。
<3> 前記無機材料は炭素材料である前記<2>に記載の分析方法である。
<4> 前記複合材料は電極材料である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の分析方法である。
本発明によれば、複数の成分を含む複合材料における成分分布の分析方法であり、適用可能な成分の範囲が広く、複合材料における成分分布を分析可能な複合材料の分析方法を提供することができる。
複合材料の各成分と複合材料全体のラマンスペクトルの一例を示す図である。 (A)は作製例1の負極のCCD像であり、(B)は本実施形態にかかる分析方法で有機バインダの分布を分析したイメージング像を負極のCCD像に重ね合わせた画像である。 (A)は作製例2の負極のCCD像であり、(B)は本実施形態にかかる分析方法で有機バインダの分布を分析したイメージング像を負極のCCD像に重ね合わせた画像である。 (A)は作製例3の負極のCCD像であり、(B)は本実施形態にかかる分析方法で有機バインダの分布を分析したイメージング像を負極のCCD像に重ね合わせた画像である。
<複合材料の分析方法>
本発明の複合材料の分析方法は、全体のラマンスペクトルを得た場合に、信号強度比が0.001以上1000以下となる第一のピーク及び第二のピークが存在し、前記第一のピークが帰属される第一の成分及び前記第二のピークが帰属される第二の成分を含む複合材料について、顕微ラマン分光法でラマンスペクトルを得る工程と、前記顕微ラマン分光法で得られたラマンスペクトルにおける前記第一のピークのラマンシフトに対応するピークの信号強度に対する前記第二のピークのラマンシフトに対応するピークの信号強度の比に基づいて、第二の成分の分布情報を2次元画像として構成する工程と、を有する。前記分析方法は必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
複合材料全体のラマンスペクトルにおいて、それぞれ異なる成分に由来し、信号強度比が所定の範囲となる2つのピークが存在する複合材料について、顕微ラマン分光法を用いて微小領域における前記2つのピークのラマンシフトにそれぞれ対応するピークの信号強度比に基づいて一方の成分の分布量を評価し、これを2次元画像として構成することで、複合材料における成分分布を広い範囲の成分について優れた精度で分析することができる。以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本発明の複合材料の分析方法においては、顕微ラマン分光法を用いて複合材料を構成する成分の成分分布の分析を行う。顕微ラマン分光法は、化学結合における振動に伴い分極率が変化する官能基を検出する方法である。この方法では、特定のエネルギーを有するレーザ光が試料によって散乱される際に、化学結合における振動に伴う分極率の変化で僅かに波長が変化した光(ラマン散乱光)と通常の散乱光との光のエネルギー差を利用する。従って有機材料のみならず、無機材料に対しても適用が可能である。また赤外線よりも波長の短いレーザ光を用いることで、顕微ラマン分光法における空間分解能は1μm程度にまで小さくすることができる。
従って例えば、複合材料を構成する複数の成分について、分析対象の成分に由来するピークを予め同定しておき、その信号強度に基づいて、その成分の分布量を2次元画像化することで、各成分の分布を分析することが一般的には可能である。しかしながら、このような分析対象の成分に由来する信号強度自体を用いる直接的な分析方法では、測定対象の表面に凹凸がある場合、各成分の含有量が大きく異なる場合等の分析対象の成分に由来するピークの信号強度が適切に得られ難い場合において、各成分の分布を満足のいく精度で分析することは困難であった。特にラマンスペクトルにおける信号強度は分光装置のピントのずれにも依存することから、表面に凹凸がある測定対象においては充分な分析精度が得られない場合がある。一方、本発明においては、第二の成分に由来するピークの信号強度の第一の成分に由来するピークの信号強度に対する比に基づいて、第二の成分の分布量を相対的に評価して2次元画像化するため、複合材料の表面に凹凸がある場合でも優れた精度で第二の成分の分布を分析することができる。さらに複合材料における第二の成分と第一の成分の含有量が大きく異なる場合であっても優れた精度で一方の成分の分布を分析することができる。
本発明の分析方法の一実施形態は、例えば以下のような工程を有する分析方法である。まず複合材料を構成する複数の成分から分析対象となる第二の成分と分析基準となる第一の成分の2つの成分を選択する。次いで選択された各成分のラマンスペクトルをそれぞれ得て、各成分に由来するピークに対応するラマンシフトをそれぞれ同定する。次いで複合材料全体のラマンスペクトルを測定し、2つのピークの信号強度比が0.001以上1000以下となる第一の成分に由来する第一のピーク及び第二の成分に由来する第二のピークを選択して、それぞれのピークに対応するラマンシフトを同定する。次いで顕微ラマン分光法によって、分析対象である複合材料の微小領域におけるラマンスペクトルを測定し、分析基準となる第一の成分に対応するラマンシフトを有するピークの信号強度に対する分析対象となる第二の成分に対応するラマンシフトを有するピークの信号強度の比を算出する。次いでラマンスペクトルを測定する微小領域の位置を、複合材料の分析対象となる全領域を網羅するように移動させつつ、各微小領域でラマンスペクトルをそれぞれ測定する。次いで各微小領域において算出された2つのピークの信号強度比に基づいて、分析対象となる第二の成分の分布情報を2次元画像として構成する。このようにして得られた2次元画像を評価することで、複合材料における成分分布を優れた精度で分析することができる。本発明においては、複合材料全体のラマンスペクトルにおいて信号強度比が所定の範囲である2つのピークを選択し、顕微ラマン分光法において選択された2つのピークのラマンシフトに対応するピークの信号強度比を2次元画像化に用いることを特徴としている。
複合材料を構成する各成分のラマンスペクトルは、通常用いられるラマン分光装置を用いて、通常の測定条件で測定することができる。具体的にはラマン分光装置として、レーザーラマンイメージング装置(例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック製 DXR)等を用いて、波長532nmのレーザ光を用いて測定することができる。なお、対象ピークが低波数領域(例えば、1000cm−1以下)に集中的に出現するような場合は、波長780nmのレーザ光を用いてもよい。また複合材料を構成する各成分のラマンスペクトルが既に存在する場合には、それに基づいて各成分に帰属されるラマンシフトを同定してもよい。このように各成分に帰属されるラマンシフトを予め同定しておくことで、複合材料全体のラマンスペクトルにおける各ピークを各成分に帰属することができる。
複合材料全体のラマンスペクトルは、通常用いられるラマン分光装置を用いて、通常の測定条件で測定することができる。具体的にはラマン分光装置として、レーザーラマンイメージング装置(例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック製 DXR)等を用いて、波長532nmのレーザ光を用いて測定することができる。なお、複合材料全体のラマンスペクトルが既に存在し、第一の成分に対応するラマンシフトと第二の成分に対応するラマンシフトが既に同定されている場合には、複合材料全体のラマンスペクトルを改めて測定する必要はない。
複合材料全体のラマンスペクトルにおける第一のピーク及び第二のピークの信号強度比は、0.001以上1000以下である。信号強度比が0.001未満又は1000を超えると充分な精度で成分分布を分析することが困難になる。前記信号強度は、分析精度の観点から、0.01以上100以下であることが好ましく、0.1以上10以下であることがより好ましい。なお、それぞれのピークの信号強度は、ピーク面積から算出してもよく、またピーク高さから算出してもよい。分析精度の観点から、ピーク高さから算出されることが好ましい。
また選択される第一のピークのラマンシフト及び第二のピークのラマンシフトは、それぞれのピークの信号強度が測定可能であれば特に制限されない。例えば分析精度の観点から、2つのピークのラマンシフトの波数の差の絶対値が、10cm−1以上であることが好ましく、100cm−1以上であることがより好ましい。
複合材料の顕微ラマン分光法による分析は、通常用いられる顕微ラマン分光装置を用いて、通常の測定条件でラマンスペクトルを測定し、得られたラマンスペクトルから上記信号強度比に基づいて、分析対象の成分分布を2次元画像化することで分析することができる。具体的には顕微ラマン分光装置として、レーザーラマンイメージング装置(例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック製 DXR)等を用いて、波長532nmのレーザ光を用いて測定することができる。なお、2次元画像化(イメージング)はレーザーラマンイメージング装置に付属のソフトウェアを用いて行うことができる。
顕微ラマン分光法で測定する微小領域の大きさは特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。また微小領域の形状は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。例えば、矩形、円形等のいずれであってもよい。
2つのピークの信号強度比に基づいて、分析対象となる成分の分布情報を2次元画像として構成する方法は特に制限されず、通常用いられる方法から適宜選択することができる。例えば、各微小領域における前記信号強度比を所定の評価基準に基づいてそれぞれランク付けし、得られたランクに対応するように各微小領域を着色することで、分析対象となる成分の分布情報を2次元画像として構成することができる。
前記分析方法において、前記第二の成分の分布情報を2次元画像として構成する工程は、2次元画像化された第二の成分の分布情報と、対応する複合材料の顕微鏡画像とを重ね合わせる工程を更に有していてもよい。これにより対応する顕微鏡画像における前記第二の成分の分布を分析することができる。
本発明の分析方法は、2つの成分からなる複合材料に限定されるわけではない。3種以上の成分を含む複合材料について分析する場合、3種以上の成分から分析対象となる成分及びそれとは異なる基準となる成分の2つの成分を選択して、上記のようにして分析対象となる成分の分布情報を2次元画像化して分析すればよい。基準となる成分の選択は上記と同様に、複合材料全体としてのラマンスペクトルから、分析対象の成分に由来するピークの信号強度との信号強度比が所定の範囲となるピークに帰属される成分を選択すればよい。
測定対象である複合材料は、ラマンスペクトルが測定可能な2以上の成分を含む材料であれば特に制限されない。分析対象となる2つの成分は共に有機材料であってもよく、共に無機材料であってもよく、また有機材料と無機材料の組み合わせであってもよい。
前記有機材料としては、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。具体的に有機材料としては、低分子化合物又は高分子化合物である界面活性剤、高分子化合物であるバインダ、低分子化合物又は高分子化合物である増粘剤等を挙げることができる。また無機材料としては、黒鉛、低結晶性炭素、金属、金属酸化物等を挙げることができる。
分析対象成分が無機材料と有機材料の組み合わせとなる複合材料の具体例としては、黒鉛又は低結晶性炭素と有機バインダとを含む電極材料、リチウム含有金属酸化物と有機バインダとを含む電極材料等を挙げることができる。また分析対象成分が共に無機材料となる複合材料の具体例としては、黒鉛と低結晶性炭素とを含む電極材料等を挙げることができる。また分析対象成分が共に有機材料となる複合材料の具体例としては、アクリル樹脂/エポキシ樹脂混合系接着フィルム等を挙げることができる。
分析対象となる複合材料は、その表面に凹凸があってもよい。凹凸の程度は分析精度等に応じて適宜選択される。例えば、JIS B 0601(1994)で規定される算術平均粗さ(Ra)として100μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。前記分析方法は、分析対象となる複合材料の表面に凹凸がある場合でも、分析対象の成分分布を精度良く分析することができる。
また分析対象となる複合材料における第一の成分の含有量の第二の成分の含有量に対する質量比は特に制限されない。例えば第二の成分の含有量を100質量%とした場合に、0.1%以上であることが好ましく、1%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。前記分析方法は第一の成分の含有量と第二の成分の含有量が大きく異なる場合であっても、分析対象の成分分布を精度良く分析することができる。
以下に複合粒子の分析方法における、複合材料と選択される2つピークのラマンシフトの組み合わせの具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記分析方法において、前記複合材料として黒鉛と有機バインダを含む電極材料を用いて、有機バインダの分布を分析する場合、以下のラマンシフトと同定されるピークの組み合わせを選択することができる。
(1)有機バインダに帰属されるラマンシフトとして2927cm−1付近のCH対称伸縮振動と、黒鉛に帰属されるラマンシフトとして2714cm−1付近のG’バンドとを選択する。
(2)有機バインダに帰属されるラマンシフトとして2927cm−1付近のCH対称伸縮振動と、ピークと、黒鉛に帰属されるラマンシフトとして1580cm−1付近のGバンドに由来するピークとを選択する。
(3)有機バインダに帰属されるラマンシフトとして2236cm−1付近のCN伸縮振動に由来するピークと、黒鉛に帰属されるラマンシフトとして1580cm−1付近のGバンドに由来するピークとを選択する。
(4)有機バインダに帰属されるラマンシフトとして1000cm−1付近の1置換ベンゼン骨格振動に由来するピークと、黒鉛に帰属されるラマンシフトとして2714cm−1付近のG’バンドに由来するピークとを選択する。
前記分析方法において、前記複合材料として黒鉛と低結晶性炭素を含む電極材料を用いて、黒鉛の分布を分析する場合、以下のラマンシフトと同定されるピークの組み合わせを選択することができる。
(1)黒鉛に帰属されるラマンシフトとして1580cm−1付近のGバンドに由来すると、低結晶性炭素に帰属されるラマンシフトとして1360cm−1付近のDバンドに由来するピークとを選択する。
(2)黒鉛に帰属されるラマンシフトとして2714cm−1付近のG’バンドに由来するピークと、低結晶性炭素に帰属されるラマンシフトとして1360cm−1付近のDバンドに由来するピークとを選択する。
前記分析方法において、前記複合材料としてアクリル樹脂とエポキシ樹脂を含む複合材料を用いて、両樹脂の分布を分析する場合、以下のラマンシフトと同定されるピークの組み合わせを選択することができる。
(1)アクリル樹脂に帰属されるラマンシフトとして1729cm−1付近のCO伸縮振動に由来するピークと、エポキシ樹脂に帰属されるラマンシフトとして1100cm−1付近のベンゼンp置換骨格振動に由来するピークとを選択する。
(2)アクリル樹脂に帰属されるラマンシフトとして1729cm−1付近のCO伸縮振動に由来するピークと、エポキシ樹脂に帰属されるラマンシフトとして1600cm−1付近のベンゼンCC振動収縮に由来するピークとを選択する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(作製例1)
負極活物質として、体積平均粒径20μmの天然黒鉛粉末を用いた。天然黒鉛粉末と、有機バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(株式会社クレハ製)を、質量比95:5で混合し、有機溶剤として1−メチル−2−ピロリドンを添加して、十分に混練して負極材スラリーを調製した。得られた負極材スラリーを、ドクターブレード法によって、乾燥後の塗布量が10mg/cmとなるように厚さ10μmの銅箔からなる負極集電体の表面に塗布し、100℃で2時間乾燥して、作製例1の負極を作製した。
(作製例2)
負極活物質として、体積平均粒径20μmの天然黒鉛粉末を用いた。天然黒鉛粉末と、有機バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(株式会社クレハ製)を、質量比90:10で混合し、有機溶剤として1−メチル−2−ピロリドンを添加して、十分に混練して負極材スラリーを調製した。得られた負極材スラリーを、ドクターブレード法によって、乾燥後の塗布量が10mg/cmとなるように厚さ10μmの銅箔からなる負極集電体の表面に塗布し、100℃で2時間乾燥して、作製例2の負極を作製した。
(作製例3)
負極活物質として、体積平均粒径20μmの天然黒鉛粉末を用いた。天然黒鉛粉末と、有機バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)(株式会社クレハ製)を、質量比80:20で混合し、有機溶剤として1−メチル−2−ピロリドンを添加して、十分に混練して負極材スラリーを調製した。得られた負極材スラリーを、ドクターブレード法によって、乾燥後の塗布量が10mg/cmとなるように厚さ10μmの銅箔からなる負極集電体の表面に塗布し、100℃で2時間乾燥して、作製例3の負極を作製した。
図1に作製例3で得られた負極全体のラマンスペクトルを示す。図1に示されるラマンスペクトルから、第一のピークとして黒鉛に帰属されるラマンシフト2714cm−1のカーボンG’バンドのピークを選択した。また第二のピークとして有機バインダに帰属されるラマンシフト2927cm−1のCH対称伸縮振動のピークを選択した。第二のピークの信号強度の第一のピークの信号強度に対する比は0.42であった。なお、各ピークの信号強度として各ピークのベースラインからのピーク高さを用いた。
<実施例1>
作製例1で得られた負極について、第一のピークとして黒鉛に帰属されるラマンシフト2714cm−1のカーボンG’バンドのピークを選択し、第二のピークとして有機バインダに帰属されるラマンシフト2927cm−1のCH対称伸縮振動のピークを選択した。第二のピークの信号強度の第一のピークの信号強度に対する比は0.07であった。
作製例1で得られた負極を粘着テープでガラス板に貼り付け、レーザーラマンイメージング装置(サーモフィッシャーサイエンティフック製:DXR)を用いて測定を行った。測定は波長:532nm、アパーチャ:25μmΦ、露光時間/回数:2秒/2回、対物レンズ:50倍の条件で行った。
有機バインダの分布情報のイメージング(2次元画像化)は、黒鉛に由来するピークの信号強度に対する有機バインダに由来するピークの信号強度の比を、16段階にランク付けし、信号強度比が小さい順から無色〜青色〜黄色〜赤色が対応するようにして行った。図2(A)には負極表面の観察画像を示す(CCD像)。また、得られたイメージング像に、負極表面の観察画像を重ね合わせた画像を図2(B)に示す。有機バインダの分布情報のイメージングを行った部分は、図2(A)の中央付近の100μm×100μmの囲み線に囲まれた領域である。
<実施例2>
実施例1において、作製例2で得られた負極を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機バインダの分布情報のイメージングを行った。作製例2で得られた負極において、第二のピークの信号強度の第一のピークの信号強度に対する比は0.16であった。負極表面の観察画像(CCD像)及びイメージングの結果を図3(A)及び図3(B)に示す。
<実施例3>
実施例1において、作製例3で得られた負極を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機バインダの分布情報のイメージングを行った。作製例3で得られた負極において、第二のピークの信号強度の第一のピークの信号強度に対する比は0.42であった。負極表面の観察画像(CCD像)及びイメージングの結果を図4(A)及び図4(B)に示す。
図2(A)及び(B)から、分布情報のイメージングを行った囲み線に囲まれた領域においては、黒鉛粒子上に点在する有機バインダに対応する着色領域が観察されることが分かる。また、図2(B)に示す着色領域の画像濃度から有機バインダの存在量にバラツキがあることが分かる。図2(B)では、第二のピークの信号強度の第一のピークの信号強度に対する比が0.00〜0.16の範囲で2次元画像化されて観察された。一方、図2(A)に示すCCD像では、黒鉛粒子上の有機バインダの存在は確認できないことが分かる。
図3(A)及び(B)から、分布情報のイメージングを行った囲み線に囲まれた領域においては、黒鉛粒子上に点在する有機バインダに対応する着色領域が観察されることが分かる。また、図3(B)に示す着色領域の画像濃度から有機バインダの存在量にバラツキがあることが分かる。更に作製例1の負極に比べて観察される有機バインダの分布量が多いことが分かる。図3(B)では、第二のピークの信号強度の第一のピークの信号強度に対する比が0.00〜0.28の範囲で2次元画像化されて観察された。一方、図3(A)に示すCCD像では、黒鉛粒子上の有機バインダの存在は確認できないことが分かる。
図4(A)及び(B)から、分布情報のイメージングを行った囲み線に囲まれた領域においては、黒鉛粒子上に点在する有機バインダに対応する着色領域が観察されることが分かる。また、図4(B)に示す着色領域の画像濃度から有機バインダの存在量にバラツキがあることが分かる。更に、作製例1、2の負極に比べて観察される有機バインダの分布量が多いことが分かる。図4(B)では、第二のピークの信号強度の第一のピークの信号強度に対する比が0.00〜0.30の範囲で2次元画像化されて観察された。一方、図4(A)に示すCCD像では、黒鉛粒子上の有機バインダの存在は確認できないことが分かる。
以上から、本発明の複合材料の分析方法により、複合材料における成分分布を分析可能であることが分かる。

Claims (4)

  1. 全体のラマンスペクトルを得た場合に、信号強度比が0.001以上1000以下となる第一のピーク及び第二のピークが存在し、前記第一のピークが帰属される第一の成分及び前記第二のピークが帰属される第二の成分を含む複合材料について、顕微ラマン分光法でラマンスペクトルを得る工程と、
    前記顕微ラマン分光法で得られたラマンスペクトルにおける前記第一のピークのラマンシフトに対応するピークの信号強度に対する前記第二のピークのラマンシフトに対応するピークの信号強度の比に基づいて、第二の成分の分布情報を2次元画像に構成する工程と、
    を有する複合材料の分析方法。
  2. 前記第一の成分及び第二の成分の一方が無機材料であり、他方が有機材料である請求項1に記載の分析方法。
  3. 前記無機材料は炭素材料である請求項2記載の分析方法。
  4. 前記複合材料は電極材料である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の分析方法。
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