JP2018006174A - 扁平絶縁電線及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟で、コイルの巻き線性に優れ、占積率を高め、コイルを小型化することのできる扁平絶縁電線及びその製造方法を提供にする。【解決手段】扁平絶縁電線10は、扁平又は略扁平の断面形状に保持された撚線1と、その撚線1を覆って前記撚線1の断面形状を保持する2つ以上の絶縁テープ2とを有している。2つ以上の絶縁テープ2のうち少なくとも1つの絶縁テープに接着層6が設けられており、絶縁テープ同士が接着層6で接着されている扁平絶縁電線10は、撚線1と少なくとも1つの絶縁テープに接着材料6’が設けられている2つ以上の絶縁テープ2とを準備する工程と、その撚線1を2つ以上の絶縁テープ2で覆う工程と、2つ以上の絶縁テープ2で覆った後の撚線1を加工して扁平又は略扁平の断面形状にする工程と、その断面形状を維持している状態で接着材料6’を固化して前記の断面形状を保持する工程とを有する方法で製造する。【選択図】図1

Description

本発明は、電源トランス等の電子部品に用いられる扁平絶縁電線及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、柔軟で、コイルの巻き線性に優れ、占積率を高め、コイルを小型化することのできる扁平絶縁電線及びその製造方法に関する。
チョークコイル、トランス、インダクタンス等の電子部品では、占積率を高めるため、特許文献1,2等に示すように、円形断面の丸線を複数束ねた後に各丸線を矩形断面に加工した平角電線を用いることがある。
特許文献1では、電気機器コイルを巻線するときにはコイル巻線性が良好で、コイル巻線後にはコイル占積率が大きく、且つ小型化、高性能化、省エネルギー化を計ることができる平角リッツ線が提案されている。この平角リッツ線は、複数本のエナメル線素線を撚合わせて成る断面が円形状の丸リッツ線を、断面が平角形状となるように成形し、外周には粘着性材料若しくは熱可塑性材料を塗布して成る接着性テープが縦沿えされて成るようにして製造されるというものである。
また、特許文献2では、使い勝手が良好であり、高周波特性を向上させ、製造時間の短縮化及び製造コストの低減を図ることができる平角電線が提案されている。この平角電線は、断面丸形状の導体の外周に酸化皮膜を形成する工程と、複数の前記導体を撚り合わせながら整列させる工程と、前記整列された導体を平角状に伸線加工(圧縮)して、平角撚り導体部を形成する工程と、前記平角撚り導体部の周囲に絶縁層を押出被覆形成する工程とにより製造されるというものである。
特開2000−090747号公報 特開2009−245658号公報
上記した従来の平角電線は、断面が丸形状の素線(エナメル線素線や酸化皮膜を形成した導体素線)を撚り合わせて断面が丸形状の撚線とし、その撚線を断面が平角形状になるように成形加工(圧延加工や伸線加工)し、その後、その外周に接着性テープの縦添えや、押出被覆による絶縁層などを形成して、断面を平角形状としたものである。このように、導体素線を撚り合わせた撚線の断面を平角形状に成形加工した場合、各導体素線の断面も平角形状になっているとともに、各導体素線同士が接着していないので、各導体素線がばらけ易く、その後に絶縁被覆を施す工程で、撚線全体の断面形状(平角形状)が崩れ易くなる。
特に特許文献1において、平角リッツ線の外周に接着性テープを縦添えする場合、テープ巻き時のテープ張力によって平角形状が崩れ易くなる。また、平角リッツ線の長手方向に沿って接着剤含浸接着部と非接着剤含浸接着部とが交互に繰り返すように設たり、複数の自己融着性エナメル線の長手方向に沿って熱融着部と非熱融着部とが交互に繰り返すように設ける場合、導体素線同士が接着又は融着して動かないので、得られた平角リッツ線は柔軟性に乏しく、特に小径コイルを製造する場合の巻線性が低下する。
また、特許文献2において、複数の導体素線を撚り合わせながら整列させた後に伸線加工して平角形状にする場合、導体素線が圧縮されて変形するため、加工硬化によって導体素線の柔軟性が低下し、特に小径コイルを製造する場合の巻線性が低下する。また、平角撚線の外周に押出被覆で絶縁層を設けて平角電線を製造しているが、線径等の仕様変更がある度に専用サイズのダイスを変更しなければならず、製造工程が複雑になってしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、電源トランス等の電子部品に用いられ、柔軟で、コイルの巻き線性に優れ、占積率を高め、コイルを小型化することのできる扁平絶縁電線及びその製造方法を提供することにある。
<1>上記課題を解決するための本発明に係る扁平絶縁電線は、扁平又は略扁平の断面形状に保持された撚線と、前記撚線を覆って前記撚線の断面形状を保持する2つ以上の絶縁テープとを有し、前記2つ以上の絶縁テープのうち少なくとも1つの絶縁テープに接着層が設けられており、前記絶縁テープ同士が前記接着層で接着されていることを特徴とする。
この発明によれば、断面形状が扁平又は略扁平の撚線を有する扁平な絶縁電線であるので、占積率の高いコイル用絶縁電線として好ましい。また、絶縁テープ同士を接着層で接着した2つ以上の絶縁テープが撚線の断面形状を保持しているので、撚線と絶縁テープとが接着していない。その結果、この扁平絶縁電線は柔軟であり、コイル巻き線性に優れたものとなる。なお、撚線の断面は扁平又略扁平の断面であるが、その撚線を構成する導体素線は丸形状又は略丸形状の断面である
本発明に係る扁平絶縁電線において、前記接着は、前記2つ以上の絶縁テープうち少なくとも該絶縁テープの重なり部分でなされている。
本発明に係る扁平絶縁電線において、接着している前記2つの絶縁テープは、それぞれ逆向きに巻かれている、又は、それぞれ同じ向きであるが巻きピッチが異なるように巻かれている。
本発明に係る扁平絶縁電線において、(1)接着している前記2つの絶縁テープが前記撚線を直に覆っている、又は、(2)前記絶縁テープのうち前記接着層で接着されていない非接着絶縁テープが前記撚線を直に覆っており、接着している前記2つの絶縁テープが前記非接着絶縁テープを覆っている。
<2>本発明に係る扁平絶縁電線の製造方法は、撚線と、少なくとも1つの絶縁テープに接着材料が設けられている2つ以上の絶縁テープとを準備する工程と、前記撚線を前記2つ以上の絶縁テープで覆う工程と、前記2つ以上の絶縁テープで覆った後の前記撚線を加工して扁平又略扁平の断面形状にする工程と、前記断面形状を維持している状態で前記接着材料を固化して前記断面形状を保持する工程と、を有することを特徴とする。
この発明によれば、柔軟でコイル巻き線性に優れた占積率の高いコイル用絶縁電線を製造することができる。
本発明に係る扁平絶縁電線の製造方法は、前記絶縁テープで覆う工程において、2つ以上の前記絶縁テープを用い、該2つ以上の絶縁テープうち少なくとも該絶縁テープの重なり部分に前記接着材料が配置されるように覆う。
この場合において、前記2つの絶縁テープをそれぞれ逆向きに巻く、又は、それぞれ同じ向きであるが巻きピッチが異なるように巻く。そのように巻いた場合において、(1)前記2つの絶縁テープを前記撚線上に直に設けてもよいし、(2)前記絶縁テープのうち前記接着材料を有さない絶縁テープを前記撚線上に直に設け、該絶縁テープを介して前記接着材料を有する絶縁テープを設けてもよい。
本発明に係る扁平絶縁電線の製造方法は、前記断面形状に加工する工程において、前記加工を、ロール圧延加工又はダイ加工で行う。
本発明に係る扁平絶縁電線の製造方法は、前記断面形状を保持する工程において、前記接着材料の固化を、前記加工中又は加工直後に行う。
本発明によれば、電源トランス等の電子部品に用いられ、柔軟で、コイルの巻き線性に優れ、占積率を高め、コイルを小型化することのできる扁平絶縁電線及びその製造方法を提供することができる。
本発明に係る扁平絶縁電線の一例を示す模式的な説明図であり、(A)は断面図であり、(B)は斜視図である。 扁平絶縁電線の製造方法の各工程の説明図である。 2つの絶縁テープで巻いてなる扁平絶縁電線の一例を示す模式的な説明図であり、(A)は1つ目の絶縁テープに接着層が設けられた例であり、(B)は2つ目の絶縁テープに接着層が設けられた例である。 2つの絶縁テープで巻いた例であり、(A)はそれぞれ逆向きに巻かれている例であり、(B)はそれぞれ同じ向きであるが巻きピッチが異なるように巻かれている例である。 絶縁テープのうち接着層で接着されていない非接着絶縁テープが撚線を直に覆っており、接着している2つの絶縁テープが非接着絶縁テープを覆っている例である。 2つ以上の絶縁テープの外周にさらに絶縁層(樹脂塗工層又は押出樹脂層)が設けられている例である。
以下、本発明に係るヒータ線及び座席用ヒータについて図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は図示の実施形態に限定されるものではない。
[扁平絶縁電線]
本発明に係る扁平絶縁電線10は、図1に示すように、扁平又は略扁平の断面形状に保持された撚線1と、その撚線1を覆って前記撚線の断面形状を保持する2つ以上の絶縁テープ2とを有している。そして、2つ以上の絶縁テープ2のうち少なくとも1つの絶縁テープに接着層6が設けられており、絶縁テープ同士が接着層6で接着されている。
この扁平絶縁電線10は、断面形状が扁平又は略扁平の撚線1を有する扁平な絶縁電線であるので、占積率の高いコイル用絶縁電線として好ましい。また、絶縁テープ同士を接着層6で接着した2つ以上の絶縁テープ2が撚線1の断面形状を保持しているので、撚線1と絶縁テープ2とが接着していない。その結果、この扁平絶縁電線10は柔軟でありコイル巻き線性に優れているという点で有利である。なお、各図において、接着材料6’と接着層6とを併せて記載しているものがあるが、接着材料6’は固化前のものであり、接着層6は固化後のものであり、本発明を説明する際に適宜使い分けている。
以下、扁平絶縁電線に構成要素を詳しく説明する。
(撚線)
撚線1は、複数本の導体素線1aが撚り合わされている集合線材であり、全体の断面として扁平又略扁平に保持されている。扁平又は略扁平の程度は、断面形状の長径と短径との比で約1.5:1の程度であり、例えば扁平率[(最大径−最小径)/最大径]としては33%以上の扁平度合いを好ましい程度ということができる。この程度の扁平度合いであることにより、占積率の高いコイル巻線を可能とした扁平絶縁電線10とすることができるので好ましい。一方、扁平率が小さくなるほどコイルの占積率が小さくなり、例えば15%未満になると、占積率の高いコイル巻線を可能とした絶縁電線ということはできない。
撚線1は全体として扁平又略扁平に保持されているだけであるので、各導体素線1aそのものは変形しておらず、丸形状の断面のままになっているか、わずかに変形したとしてもごく僅かであり、略丸形状の断面ということができる。このように、撚線1を構成する導体素線1aは矩形形状(平角形状)に変形していないので、矩形の導体素線1a同士が密着した状態になって柔軟性が低下したり、コイル巻き性が低下したりしてしまうことがない。
導体素線1aの本数は特に限定されず、要求される製品仕様やコイル仕様に応じて任意に設定されている。通常、8本〜300本程度である。導体素線1aの撚り形態は、集合撚りや同心撚り等を挙げることができ、撚りピッチについては任意に設定され、特に限定されないが、通常、5mm〜100mmの範囲であることが好ましい。導体素線1aの直径は特に限定されないが、例えば、0.03mm以上、0.5mm以下の程度とすることができる。
導体素線1aとしては、導電材料であればよいが、はんだ付け可能な導電性の導体であることが好ましい。例えば、銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅クラッドアルミニウム等の複合材料、又は、それらにはんだ付け性の良い他の金属がめっきされたものであってもよい。導体自体がはんだ付けできない場合には、はんだ付け性の良い金属をめっき等によって設けることが好ましい。はんだ付け性の良い金属としては、錫、はんだ、ニッケル、金、銀、銅、パラジウム、又はそれらの1種若しくは2種以上の合金を挙げることができる。
導体素線1aには、滑剤や酸化防止剤が塗布されていてもよい。滑剤は、導体素線1aの滑り性をよくするので、撚線1を一層容易にするとともに、最終的に得られた扁平絶縁電線でコイル巻線する際に個々の導体素線1aの滑りがよくなって巻線性をより容易にすることができる。酸化防止剤は、導体素線1aの酸化を防止する作用を有し、撚線時やテープ巻時の起こりうる酸化を防ぐことができる。
導体素線1aには、必要に応じて絶縁皮膜が設けられていてもよい。絶縁皮膜としては、各種のエナメル皮膜を挙げることができるが、はんだ付けに支障がないウレタン系やポリエステル系等のエナメル皮膜を好ましく挙げることができる。特に表皮効果による高周波損失を低減したい場合は、絶縁皮膜が設けられた導体素線1aを用いることが好ましい。
(絶縁テープ)
絶縁テープ2は、撚線1を覆って、扁平又略扁平の断面形状を保持している。絶縁テープ2としては、2つ以上の絶縁テープ(2a,2b,2c,…)が用いられる。そして、2つ以上の絶縁テープ2のうち、少なくとも1つの絶縁テープに接着層6が設けられており、絶縁テープ同士は、その接着層6で接着されている。
撚線1の扁平又略扁平の断面形状は、接着層6で接着された絶縁テープ2によって保持されている。絶縁テープ2による形状の保持は、固化した接着層6の剛性と、その接着層6で接着した絶縁テープ2の剛性とで実現されている。そうした形状の保持は、図2及び後述する製造方法の説明欄で説明するように、接着層6が固化されていない状態で撚線1の断面形状を扁平又略扁平に変形させ、変形と同時又は変形直後であって扁平又略扁平を維持した状態で接着材料6’を固化させる。こうした方法により、撚線1の扁平又略扁平の断面形状を保持することができる。なお、断面形状は、好ましくは圧延加工やダイ加工等で変形させるが、その圧延加工やダイ加工での変形時の断面形状と同じ形状に変形しているか、同じでなくても少しだけ戻る程度に変形されている。
用いる絶縁テープ2は、2つ以上である。2つ以上の絶縁テープうち少なくともそれら絶縁テープの重なり部分が接着層6で接着している。図3は、2つの絶縁テープ2a,2bで巻いてなる扁平絶縁電線10の一例を示す模式的な説明図である。図3(A)は1つ目の絶縁テープ2aに接着層6が設けられた例であり、図3(B)は2つ目の絶縁テープ2bに接着層6が設けられた例である。接着後においては、いずれの絶縁テープに接着層6が設けられていたかはわからなくなることもあるが、製造工程では、図3(B)に示すようになる。
図3(A)の例では、先ず、接着材料6’が設けられた1つ目の絶縁テープ2aと、接着材料6’が設けられていない2つ目の絶縁テープ2bとを準備する。次に、撚線1上に、接着材料6’が設けられた面を撚線1側とは反対側に向けた状態で1つ目の絶縁テープ2aを巻き付ける。このときの巻き付け形態(巻きピッチ等。以下同じ。)は特に限定されないが、例えば、絶縁テープ2aの一部を重ね合わせて螺旋状に巻き付けることが好ましい。次に、その上に、接着材料6’が設けられていない2つ目の絶縁テープ2bを巻き付ける。このときの巻き付け形態も特に限定されないが、例えば、絶縁テープ2bの一部を重ね合わせて前記絶縁テープ2aとは逆向きに螺旋状に巻き付けることが好ましい。
一方、図3(B)の例では、先ず、接着材料6’が設けられていない1つ目の絶縁テープ2aと、接着材料6’が設けられた2つ目の絶縁テープ2bとを準備する。次に、撚線1上に、接着材料6’が設けられていない1つ目の絶縁テープ2aを巻き付ける。このときの巻き付け形態は特に限定されないが、例えば、絶縁テープ2aの一部を重ね合わせて螺旋状に巻き付けることが好ましい。次に、その上に、接着材料6’が設けられてる面を1つ目の絶縁テープ2a側に向けた状態で2つ目の絶縁テープ2bを巻き付ける。このときの巻き付け形態も特に限定されないが、例えば、絶縁テープ2bの一部を重ね合わせて前記絶縁テープ2aとは逆向きに螺旋状に巻き付けることが好ましい。
なお、図3(A)(B)に示す巻き形態において、1つ目の絶縁テープ2aと2つ目の絶縁テープ2bの両方が接着材料6’を有するものを用いてもよい。その場合には、それぞれの絶縁テープ2a,2bは、対向する絶縁テープの側に接着材料6’が向くようにして各絶縁テープ2a,2bを巻き付けることになる。
こうした形態で巻き付けることにより、接着材料6’が最表面に露出しないので外周がベタつくことがない。その結果、圧延ロールやダイでの変形加工時に、圧延ロールやダイに接着材料6’が付着することがなく、安定して変形加工することができる。また、撚線1に接着層6が接着していないので、撚線1の自由度が確保されて柔軟性があり、コイル巻き線性に優れている。
図4は、2つの絶縁テープ2a,2bで巻く場合に、それぞれ逆向きに巻かれている例(A)と、それぞれ同じ向きであるが巻きピッチが異なるように巻かれている例(B)を示している。いずれの場合も、撚線1を扁平又略扁平に変形させた直後又は同時であって扁平又略扁平を維持した状態で接着材料6’を固化させれば、撚線1の扁平又略扁平の断面形状を保持することができる。なお、同じ向きで巻く場合は、図4(B)のようにピッチが異なるように巻くことがより好ましいが、同じピッチで巻いたものであってもよい。
図5は、絶縁テープのうち接着層で接着されていない非接着絶縁テープ2dが撚線1を直に覆っており、接着している2つの絶縁テープ2b,2cが非接着絶縁テープ2dを覆っている例である。この場合においても、絶縁テープ2b,2cが撚線1を覆って扁平又略扁平の断面形状を保持している。また、撚線1に接着層が接着していないので、撚線1の自由度が確保されて柔軟性があり、コイル巻き線性に優れている。また、接着材料6’が最表面に露出しないので外周がベタつくことがなく、圧延ロールやダイでの変形加工時に、圧延ロールやダイに接着材料6’が付着してブロッキング等が起こることがない。
絶縁テープ2について、その材質は特に限定されないが、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、フッ素化樹脂共重合体(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂:PFA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)等を挙げることができる。
絶縁テープ2の厚さは特に限定されないが、通常、4μm以上、25μm以下の範囲であることが好ましい。また、絶縁テープ2の幅も特に限定されないが、通常、2mm以上、20mm以下の範囲であることが好ましい。なお、2つ以上の絶縁テープにおける各絶縁テープの厚さと幅は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
特に3つ以上の絶縁テープで絶縁された扁平絶縁電線10は、高い絶縁性を実現し、例えばIEC60950等の安全規格を満たす絶縁電線として認証されており、絶縁トランスやIHヒータ等のコイル用線材として用いることができる。この扁平絶縁電線10をトランス用のコイルに用いた場合には、一次側と二次側を確実に絶縁することができる。
(接着層)
接着層6は、2つ以上の絶縁テープ2のうち少なくとも1つの絶縁テープに設けられている。上記のように、接着層6は、絶縁テープ同士を接着している。接着層6の構成材料としては、熱又は電離放射線等で固化する接着材料を挙げることができる。熱で接着固化する接着材料は、熱融着性材料であり、例えば、ポリエステル系、アクリル系、エポキシ系等の熱融着接着材料を挙げることができる。電離放射線(例えば紫外線)で接着固化する接着材料としては、アクリル系、エポキシ系等の電離放射線接着材料を挙げることができる。
接着層6を構成する接着材料6’は、固化させるまでは比較的柔軟であり、撚線1の外周に前記絶縁テープ2が巻かれて圧延ロールやダイによる変形加工時には変形を阻害することがないものであることが望ましい。一方、接着材料6’を熱又は電離放射線等で固化させた後の接着層6は、絶縁テープを固めて絶縁テープの柔軟性を抑制し、撚線1の変形を抑えることができることが好ましい。接着材料6’は、こうした性質を有するものであることが好ましく、特に圧延ロールやダイ等で変形させた直後に瞬時に固化するものであることが好ましい。そうした接着材料6’としては、特に、熱で固化するポリエステル系、アクリル系、エポキシ系、オレフィン系、ポリウレタン系等の接着材料であることが好ましい。
接着層6は、構成する接着材料6’の種類により、所定の厚さで絶縁テープの片面に設けられて絶縁テープ同士を接着固化している。その厚さは2つの絶縁テープを接着固化するに足りるだけの厚さが最低限形成されていればよく、特に限定されないが、例えば、1μm以上、10μm以下の範囲で設けられている。
接着層6は、通常、形成するべき絶縁テープの全面に設けられている。なお、コスト面を考慮しなければ、絶縁テープの一部に設けることも可能である。
(その他)
絶縁層7は、必須の構成ではないが、図6に示すように、絶縁テープ2の外周に任意に設けられる。絶縁層7としては、塗工手段で設けた絶縁層や押出手段で設けた絶縁層を挙げることができる。絶縁層7の構成材料としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂を挙げることができる。また、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、フッ素化樹脂共重合体(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂:PFA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)であってもよい。
絶縁層7は、単層であってもよいし積層であってもよい。絶縁層7を積層形態とする場合、前記した同一又は異なる樹脂層を設けることができる。絶縁層7の厚さは、単層や積層にかかわらず特に限定されないが、通常は、10μm以上であることが好ましい。
以上、本発明に係る扁平絶縁電線10について説明したが、この扁平絶縁電線10は、扁平又は略扁平の断面に保持された撚線1を有するので、占積率を高め、コイルを小型化することのできるコイル用絶縁電線として好ましく用いられる。この扁平絶縁電線10では、撚線1を覆う絶縁テープ同士2が接着層6で接着しているが、撚線1と絶縁テープ2とは接着していない。その結果、この扁平絶縁電線10は、柔軟であり、コイル巻き線性に優れている。特に、高い絶縁耐圧が要求される小型コイルに用いることが好ましい。
[扁平絶縁電線の製造方法]
本発明に係る扁平絶縁電線10の製造方法は、図2に示すように、撚線1と、少なくとも1つの絶縁テープに接着材料6’が設けられている2つ以上の絶縁テープ2とを準備する工程(準備工程)と、その撚線1を前記2つ以上の絶縁テープ2で覆う工程(絶縁テープ被覆工程)と、その2つ以上の絶縁テープ2で覆った後の撚線1を加工して扁平又略扁平の断面形状にする工程(変形加工工程)と、その断面形状を維持している状態で接着材料6’を固化して前記扁平又略扁平の断面形状を保持する工程(形状保持工程)とを有する。この方法で製造される扁平又略扁平の絶縁電線10は、柔軟でコイル巻き線性に優れ、占積率を高め、コイルを小型化することのできるコイル用絶縁電線となる。
(準備工程)
準備工程は、撚線1と、少なくとも1つの絶縁テープ2に接着材料6’が設けられている2つ以上の絶縁テープ2とを準備する工程である。撚線1、絶縁テープ2、接着材料6’については、既に説明したのでここでの説明は省略する。
(絶縁テープ被覆工程)
絶縁テープ被覆工程は、撚線1を2つ以上の絶縁テープ2で覆う工程であり、2つ以上の絶縁テープ2を用い、2つ以上の絶縁テープ2うち少なくともそれら絶縁テープの重なり部分に接着材料6’が配置されるように覆う。この場合において、2つの絶縁テープ2をそれぞれ逆向きに巻く、又は、それぞれ同じ向きであるが巻きピッチが異なるように巻くことが好ましい。そのように巻いた場合において、2つの絶縁テープ2を撚線1上に直に設けてもよいし、絶縁テープ2のうち接着材料6’を有さない絶縁テープを撚線1上に直に設け、その絶縁テープを介して接着材料6’を有する絶縁テープを設けてもよい。なお、絶縁テープで被覆する方法についても、絶縁テープの説明欄で詳しく説明したのでここでの説明は省略する。
(変形加工工程)
変形加工工程は、2つ以上の絶縁テープ2で覆った後の撚線1を加工して扁平又略扁平の断面形状にする工程である。この変形加工は、ロール圧延加工又はダイ加工で行う。断面形状は、撚り合わせた撚線1の各導体素線1aを変形させない程度に加圧圧延ロール又はダイで扁平形状にして形成される。その結果、特許文献1のような部分的な接着や、特許文献2のような加工硬化がない。
(形状保持工程)
形状保持工程は、2つ以上の絶縁テープ2で覆った後の撚線1の断面形状を扁平又略扁平に維持している状態で、接着材料6’を固化してその断面形状を保持する工程である。この工程において、接着材料6’の固化を、前記の変形加工中又は変形加工直後に行う。
固化の手段は、接着材料6’の種類によって異なり、例えば熱で固化する熱融着性の接着材料の場合は、加熱炉、熱ロール、熱風等の加熱手段で接着材料を固化することができる。また、電離放射線(紫外線等)で固化する接着材料の場合は、紫外線や電子線等の照射手段で接着材料を固化することができる。
変形加工工程と形状保持工程とは、用いる接着材料6’の固化時間により適用するタイミングを任意に変更してもよい。例えば、熱融着性の接着材料を用いる場合は、変形加工よりも前に熱を加えて接着材料を固化しはじめ、固化の途中で圧延ロールやダイ等で変形加工すると、変形加工されているときに冷却固化して形状が保持される。一方、紫外線等の電離放射線で硬化する接着材料を用いる場合は、その接着材料は電離放射線の照射で瞬時に固化するものもあり、このような場合は、変形加工の途中又は直後に電離放射線を照射することにより固化して形状が保持される。
さらに他の工程としては、2つ以上の絶縁テープ2の外周に絶縁層(樹脂塗工層又は押出樹脂層)7を設ける工程を挙げることができる。絶縁層7及びその形成方法についても、絶縁層7の説明欄で詳しく説明したでここでの説明は省略する。
以下、実施例により本発明をさらに詳しくて説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
[実施例1]
導体素線1aとして直径0.08mmの軟銅線38本を用い、その導体素線1aを撚りピッチ18mmで撚った外径0.57mmの撚線1を準備した。1層目の絶縁テープ2aとして片面に接着材料6’を有するPPSテープを準備し、2層目の絶縁テープ2bとして片面に接着材料6’を有するPPSテープを準備し、3層目の絶縁テープ2cとして片面に接着材料6’を有するPPSテープを準備した。
先ず、1層目の絶縁テープ2aを撚線1の周囲に螺旋状に巻き付けた。このとき、接着材料6’が外側になるようにして、絶縁テープ2aの一部を重ね合わせて巻付けた。次に、2層目の絶縁テープ2bを1層目の絶縁テープ2aの周囲に螺旋状に巻き付けた。このとき、接着材料6’が内側になるようにして、絶縁テープ2bの一部を重ね合わせて巻付けた。次に、3層目の絶縁テープ2cを2層目の絶縁テープ2bの周囲に螺旋状に巻き付けた。このとき、接着材料6’が内側になるようにして、絶縁テープ2cの一部を重ね合わせて巻付けた。3つの絶縁テープ2a,2b,2cを巻付けた3層巻き絶縁電線の外径は0.74mmであった。各絶縁テープ2a,2b,2cが有する接着材料6’は、熱融解性のポリエステル系接着剤が厚さ2μmで各絶縁テープ表面に設けられている。
次に、その3層巻き絶縁電線を160℃の加熱炉中に15秒間走行させて加熱し、加熱炉から出てすぐに2本の金属製圧延ロールの間を走行させて圧延した。2本の金属製圧延ロールの間隔は任意に設定できる構造であり、圧延前に、3層巻き絶縁電線の厚さが0.6mmになるように設定した。なお、その圧延によって3層巻き絶縁電線の幅は約0.95mmになった。ここでの加熱により、各絶縁テープが有する接着材料6’は、加熱によって熱融解して流動性が増し、直後の圧延中に絶縁テープ同士を接着するが、この段階では冷却されて固化し始めているが完全には固化していない。
次に、金属製圧延ロールの出口の空冷装置により、3層巻き絶縁電線は冷却され、熱融着性の接着材料6’は固定して接着層6となり、各絶縁テープを接着して扁平した撚線1の断面形状を保持する。こうして、厚さ0.6mmで幅0.95mmの扁平絶縁電線10を作製した。
得られた扁平絶縁電線10について、JIS C 3216(巻線試験方法)に基づいて、耐圧試験機(菊水電子工業株式会社製)で測定した破壊電圧は11.5kVであり、引張試験機(株式会社オリエンテック製、型番:STA−1225)で測定した伸びは20%であった。この断面形状の扁平絶縁電線10を用いることにより、コイルの巻外径を10%縮小とすることができた。扁平絶縁電線10は柔軟性があり、直径8mmのコアへの巻き線性は優れていた。
[実施例2]
実施例1において、3層目の絶縁テープ2cは用いずに、2つの絶縁テープ2a,2bを撚線1に巻き付けた。それ以外は実施例1と同様にして、厚さ0.55mmで幅0.90mmの扁平絶縁電線10を作製した。
得られた扁平絶縁電線の破壊電圧は11.0kVであり、伸びは20%であった。扁平絶縁電線は柔軟性があり、直径8mmのコアへの巻き線性は優れていた。この扁平絶縁電線10は、破壊電圧が実施例1の場合よりも小さくなっているが、巻き線性等は良好であった。
[実施例3]
実施例1において、1層目の絶縁テープ2aに代えて接着材料を有さない絶縁テープ2dを用いた。さらにその絶縁テープ2dの周囲に巻く2層目の絶縁テープ2bは実施例1とは異なり接着材料6’が外側になるようにして巻き、3層目の絶縁テープ2cは実施例1と同様に接着材料6’が内側になるようにして巻いた。それ以外が実施例1と同様にして、厚さ0.59mmで幅0.94mmの扁平絶縁電線10を作製した。
得られた扁平絶縁電線の破壊電圧は11.5kVであり、伸びは30%であった。扁平絶縁電線は柔軟性があり、直径8mmのコアへの巻き線性は優れていた。
[比較例1]
実施例1において、3つの絶縁テープ2a,2b,2cを撚線1に巻き付ける際に、各絶縁テープが有する接着材料6’を全て内側にして巻き付けた。それ以外は実施例1と同様にして、比較例1の扁平絶縁電線を作製した。
得られた扁平絶縁電線の破壊電圧は11.5kVであり、伸びは20%であった。扁平絶縁電線は、1つ目の絶縁テープ2aの接着層が撚線1に接着しており、軟性があまりなく、直径8mmのコアへの巻き線性は良くなかった。
[実施例4]
この実施例では、導体本数を少なくした扁平絶縁電線を作製した。導体素線1aとして直径0.08mmの軟銅線19本を用い、その導体素線1aを撚りピッチ12mmで撚った外径0.40mmの撚線1を準備した。1層目の絶縁テープ2aとして片面に接着材料6’を有するPPSテープを準備し、2層目の絶縁テープ2bとして片面に接着材料6’を有するPPSテープを準備し、3層目の絶縁テープ2cとして片面に接着材料6’を有するPPSテープを準備した。
先ず、1層目の絶縁テープ2aを撚線1の周囲に螺旋状に巻き付けた。このとき、接着材料6’が外側になるようにして、絶縁テープ2aの一部を重ね合わせて巻付けた。次に、2層目の絶縁テープ2bを1層目の絶縁テープ2aの周囲に螺旋状に巻き付けた。このとき、接着材料6’が内側になるようにして、絶縁テープ2bの一部を重ね合わせて巻付けた。次に、3層目の絶縁テープ2cを2層目の絶縁テープ2bの周囲に螺旋状に巻き付けた。このとき、接着材料6’が内側になるようにして、絶縁テープ2cの一部を重ね合わせて巻付けた。3つの絶縁テープ2a,2b,2cを巻付けた3層巻き絶縁電線の外径は0.61mmであった。各絶縁テープ2a,2b,2cが有する接着材料6’は、熱融解性のポリエステル系接着剤が厚さ2μmで各絶縁テープ表面に設けられている。
次に、その3層巻き絶縁電線を160℃の加熱炉中に15秒間走行させて加熱し、加熱炉から出てすぐに2本の金属製圧延ロールの間を走行させて圧延した。2本の金属製圧延ロールの間隔は任意に設定できる構造であり、圧延前に、3層巻き絶縁電線の厚さが0.53mmになるように設定した。なお、その圧延によって3層巻き絶縁電線の幅は約0.72mmになった。ここでの加熱により、各絶縁テープが有する接着材料6’は、加熱によって熱融解して流動性が増し、直後の圧延中に絶縁テープ同士を接着するが、この段階では冷却されて固化し始めているが完全には固化していない。
次に、金属製圧延ロールの出口の空冷装置により、3層巻き絶縁電線は冷却され、熱融着性の接着材料6’は固定して接着層6となり、各絶縁テープを接着して扁平した撚線1の断面形状を保持する。こうして、厚さ0.53mmで幅0.72mmの扁平絶縁電線10を作製した。
得られた扁平絶縁電線の破壊電圧は13.9kVであり、伸びは30%であった。扁平絶縁電線は柔軟性があり、直径6mmのコアへの巻き線性は優れていた。
[実施例5]
この実施例では、大きなサイズの扁平絶縁電線を作製した。導体素線1aとして直径0.1mmの軟銅線133本を用い、先ず19本の導体素線1aを35mmピッチで撚り合わせて(子撚り)子撚導体とし、その子撚導体7本を45mmピッチで撚り合わせて(親撚り)、外径1.73mmの撚線1を準備した。1層目の絶縁テープ2aとして接着材料を有していないPETテープを準備し、2層目の絶縁テープ2bとして片面に接着材料6’を有するPETテープを準備し、3層目の絶縁テープ2cとして片面に接着材料6’を有するPETテープを準備した。
先ず、撚線1の周囲に1層目の絶縁テープ2aの一部を重ね合わせて螺旋状に巻き付けた。次に、2層目の絶縁テープ2bを1層目の絶縁テープ2aの周囲に螺旋状に巻き付けた。このとき、接着材料6’が内側になるようにして、絶縁テープ2bの一部を重ね合わせて巻付けた。次に、3層目の絶縁テープ2cを2層目の絶縁テープ2bの周囲に螺旋状に巻き付けた。このとき、接着材料6’が内側になるようにして、絶縁テープ2cの一部を重ね合わせて巻付けた。3つの絶縁テープ2a,2b,2cを巻付けた3層巻き絶縁電線の外径は1.88mmであった。各絶縁テープ2a,2b,2cが有する接着材料6’は、熱融解性のポリエステル系接着剤が厚さ2μmで各絶縁テープ表面に設けられている。
次に、その3層巻き絶縁電線を160℃の加熱炉中に15秒間走行させて加熱し、加熱炉から出てすぐに2本の金属製圧延ロールの間を走行させて圧延した。2本の金属製圧延ロールの間隔は任意に設定できる構造であり、圧延前に、3層巻き絶縁電線の厚さが1.41mmになるように設定した。なお、その圧延によって3層巻き絶縁電線の幅は約1.72mmになった。ここでの加熱により、2層目と3層目の絶縁テープが有する接着材料6’は、加熱によって熱融解して流動性が増し、直後の圧延中に絶縁テープ同士を接着するが、この段階では冷却されて固化し始めているが完全には固化していない。
次に、金属製圧延ロールの出口の空冷装置により、3層巻き絶縁電線は冷却され、熱融着性の接着材料6’は固定して接着層6となり、各絶縁テープを接着して扁平した撚線1の断面形状を保持する。こうして、厚さ1.41mmで幅1.72mmの扁平絶縁電線10を作製した。
得られた扁平絶縁電線の破壊電圧は8.0kVであり、伸びは20%であった。扁平絶縁電線は柔軟性があり、直径10mmのコアへの巻き線性は優れていた。
1 撚線
1a 導体素線
2 絶縁テープ
2a 第1絶縁テープ
2b 第2絶縁テープ
2c 第3絶縁テープ
2d 非接着絶縁テープ
6 接着層
6’ 接着材料
7 絶縁層
10 扁平絶縁電線

Claims (10)

  1. 扁平又は略扁平の断面形状に保持された撚線と、前記撚線を覆って前記撚線の断面形状を保持する2つ以上の絶縁テープとを有し、前記2つ以上の絶縁テープのうち少なくとも1つの絶縁テープに接着層が設けられており、前記絶縁テープ同士が前記接着層で接着されていることを特徴とする扁平絶縁電線。
  2. 前記絶縁テープは2つ以上であり、該2つ以上の絶縁テープうち少なくとも該絶縁テープの重なり部分で接着している、請求項1に記載の扁平絶縁電線。
  3. 接着している前記2つの絶縁テープは、それぞれ逆向きに巻かれている、又は、それぞれ同じ向きであるが巻きピッチが異なるように巻かれている、請求項1又は2に記載の扁平絶縁電線。
  4. 接着している前記2つの絶縁テープが前記撚線を直に覆っている、又は、
    前記絶縁テープのうち前記接着層で接着されていない絶縁テープが前記撚線を直に覆っており、接着している前記2つの絶縁テープが前記撚線を直に覆っていない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の扁平絶縁電線。
  5. 撚線と、少なくとも1つの絶縁テープに接着材料が設けられている2つ以上の絶縁テープとを準備する工程と、
    前記撚線を前記2つ以上の絶縁テープで覆う工程と、
    前記2つ以上の絶縁テープで覆った後の前記撚線を加工して扁平又略扁平の断面形状にする工程と、
    前記断面形状を維持している状態で前記接着材料を固化して前記断面形状を保持する工程と、を有する、ことを特徴とする扁平絶縁電線の製造方法。
  6. 前記絶縁テープで覆う工程において、2つ以上の前記絶縁テープを用い、該2つ以上の絶縁テープうち少なくとも該絶縁テープの重なり部分に前記接着材料が配置されるように覆う、請求項5に記載の扁平絶縁電線の製造方法。
  7. 前記2つの絶縁テープをそれぞれ逆向きに巻く、又は、それぞれ同じ向きであるが巻きピッチが異なるように巻く、請求項6に記載の扁平絶縁電線の製造方法。
  8. 前記2つの絶縁テープを前記撚線上に直に設ける、又は、
    前記絶縁テープのうち前記接着材料を有さない絶縁テープを前記撚線上に直に設け、該絶縁テープを介して前記接着材料を有する絶縁テープを設ける、請求項6又は7に記載の扁平絶縁電線の製造方法。
  9. 前記断面形状に加工する工程において、前記加工を、ロール圧延加工又はダイ加工で行う、請求項5〜8のいずれか1項に記載の扁平絶縁電線の製造方法。
  10. 前記断面形状を保持する工程において、前記接着材料の固化を、前記加工中又は加工直後に行う、請求項5〜9のいずれか1項に記載の扁平絶縁電線の製造方法。
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