JP2013122849A - 集合導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の導体線の集束性が優れる集合導体を提供する。
【解決手段】集合導体10は、アルミニウム又はアルミニウム合金製の複数の導体線110が無撚り状態に束ねられた導体線束11と、導体線束11の外周に接触して覆うように設けられた線束被覆層12とを有する。上記集合導体は、上記複数の導体線のそれぞれは、絶縁被覆しても良い。また、上記線束被覆層構成する管状部材が金属管であり、上記金属管の線束被覆層を覆うように設けられた絶縁被覆材をさらに有してもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は集合導体及びそれを用いたコイルに関する。
複数の導体線が無撚り状態で束ねられた導体線束からなる集合導体がモーターのコイル等の用途で用いられている。
特許文献1には、各々、全体横断面形状を分割した一部分の形状の横断面を有する銅又は銅合金製の複数の導体線が無撚り状態で一体化した集合導体が開示されている。
特開2007−227266号公報
本発明の課題は、複数の導体線の集束性が優れる集合導体を提供することである。
本発明の集合導体は、アルミニウム又はアルミニウム合金製の複数の導体線が無撚り状態に束ねられた導体線束と、該導体線束の外周に接触して覆うように設けられた線束被覆層とを有する。
本発明のコイルは、本発明の集合導体を巻いてなる。
本発明によれば、導体線束の外周に接触して覆うように線束被覆層が設けられているので、導体線束を構成する複数の導体線について優れた集束性を得ることができる。
実施形態1に係る集合導体の斜視図である。 実施形態1に係る横断面形状が平角形状の集合導体の横断面図である。 (a)〜(c)は横断面形状が平角形状の集合導体の横断面概略図である。 導体線の線間に空間を有さない集合導体の横断面図である。 (a)及び(b)は横断面形状が平角形状である従来の集合導体をエッジワイズ曲げ加工したときの課題を示す説明図である。 (a)及び(b)は実施形態1に係る集合導体の製造方法の説明図である。 実施形態2に係る集合導体の斜視図である。 (a)及び(b)は実施形態2に係る集合導体の製造方法の説明図である。 実施形態3に係る集合導体の斜視図である。 (a)及び(b)は実施形態3に係る集合導体の製造方法の説明図である。 実施形態4に係る集合導体の斜視図である。 実施形態4に係る集合導体の製造方法の説明図である。
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る集合導体10を示す。本実施形態に係る集合導体10は、例えば、電気自動車用のインダクションモーターのステータコアに取り付けられるコイルとして用いられるものである。
実施形態1に係る集合導体10は、導体線束11の外周に接触して覆うように線束被覆層12が設けられ、そして、その線束被覆層12を被覆するように絶縁被覆材13が設けられた構成を有する。
実施形態1に係る集合導体10の横断面形状としては、例えば、図1に示すような円形や図2に示すような平角形状の他、正方形、扇形等が挙げられる。横断面形状が円形の場合、外径は例えば0.15〜15mmである。横断面形状が平角形状の場合、幅は例えば0.15mm以上で、厚さは例えば0.15〜15mmである。なお、本出願における平角形状には、図3(a)に示すような角部を有する矩形の他、図3(b)に示すような角部が丸くなった略矩形や図3(c)に示すような上下の辺が直線で且つ両側の辺が円弧状である陸上競技用トラック形状の偏平な断面略矩形も含まれる。
なお、集合導体10は、断面形状が円形や四角形で、作製後、正方形、長方形或いはその他のあらゆる断面形状に成形加工されたものであってもよい。その場合の成形加工方法に制限はないが、2方向圧延、ローラダイスによる4方向圧延、引抜加工、スウェージング加工などが好適である。
導体線束11は、各々、絶縁被覆された複数の導体線110が無撚り状態に束ねられると共に平行に引き揃えられて構成されている。かかる構成の導体線束11により、高周波電流を通電したときの渦電流損失を小さくすることができる。
導体線束11の横断面形状としては、集合導体10の場合と同様、例えば、円形や平角形状の他、正方形、扇形等が挙げられる。導体線束11を構成する導体線110の本数は5本以上であることが好ましく、7本以上であることがより好ましい。導体線束11は、横断面形状が円形の場合、外径が例えば0.1〜10mmであり、横断面形状が平角形状の場合、幅が例えば0.1mm以上で、厚さが例えば0.1〜10mmである。
導体線束11を構成する複数の導体線110は、図1に示すように線間に空間を有していてもよく、逆に、図2及び4に示すように線間に空間を有していなくてもよい。導体線束11を構成する複数の導体線110は、線間が結着剤や接着剤により密着していてもよい。かかる結着剤としては、例えば、熱融着性のポリビニルブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。接着剤としては、例えば、EVA系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、クロロプレン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ニトリル系樹脂、PVC系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。結着剤や接着剤の層厚は例えば0.5μm〜3μmである。
導体線110の横断面形状としては、例えば、円形、正方形や長方形の矩形、その他の多角形の他、導体線110の束を外側から圧縮して形成される不定形な形状等が挙げられる。但し、低コストであるという観点からは、導体線110の横断面形状は円形或いは円形由来の形状であることが好ましい。導体線束11を構成する複数の導体線110が線間に空間を有しない場合、各導体線110の横断面形状は、導体線束11の全体横断面形状を分割した一部分の形状であってもよい。複数の導体線110は、同一の材質及び横断面形状を含む寸法構成を有するもので構成されていてもよく、また、異なる材質や横断面形状を含む寸法構成を有するものが混在して構成されていてもよい。導体線110は、横断面形状が円形の場合、外径が例えば0.01〜3mmであり、矩形の場合、一辺が例えば0.01〜3mmである。但し、表皮効果を抑制する効果を考慮すると、外径或いは一辺の長さは0.01〜1mmであることが好ましい。
各導体線110は、導体線本体111とその外周表面の絶縁被覆層112とを有する。
導体線本体111を形成する金属材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金である。アルミニウムは、4N以上の高純度であることが好ましく、99.99質量%以上のアルミニウムと不可避不純物とを含むものが好ましく、具体的には、例えばアルミニウムA1050材やA1070材等が挙げられる。アルミニウム合金としては、例えば、JIS H4000に記載された1000系アルミニウム、2000系アルミニウム(Al−Cu系合金)、3000系アルミニウム(Al−Mn系合金)、4000系アルミニウム(Al−Si系合金)、6000系アルミニウム(Al−Mg系合金)、7000系アルミニウム(Al−Zn−Mg系合金)等が挙げられる。導体線束11は、アルミニウム製の導体線110のみで構成されていてもよく、また、アルミニウム合金製の導体線110のみで構成されていてもよく、さらに、それらが混在して構成されていてもよい。導体線本体11は、アルミニウム又はアルミニウム合金の母線を伸線及び圧延し、また、必要に応じて熱処理を施すことにより得ることができる。導体線本体111の横断面形状及び寸法構成は実質的には導体線110のものと同一である。
絶縁被覆層112は、絶縁性を有していればその材質は特に限定されるものではないが、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化被膜で構成されていることが好ましい。陽極酸化被膜の絶縁被覆層112は、絶縁被覆層112を有さない導体線110を陽極として電解質溶液中で通電することにより形成することができる。このとき、絶縁被覆層112を有さない導体線110には、脱脂、水洗、酸洗、及び水洗の処理後に陽極酸化被膜の形成処理を施すことが好ましい。厚さ1μm未満の絶縁被覆層112を形成するには、電解質溶液としてホウ酸水溶液を用いることが好ましい。厚さ1μm以上(例えば5〜20μm)の絶縁被覆層112を形成するには、電解質溶液として硫酸水溶液、シュウ酸水溶液、クロム酸水溶液、リン酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液を用いることが好ましい。これらのうち被膜形成速度が速いという観点からは硫酸水溶液を用いることが好ましい。厚さ1μm以上の絶縁被覆層112を形成する場合、形成される絶縁被覆層112は多孔質体となるので、絶縁耐圧の低下防止のため、絶縁被覆層112を形成した導体線110に水洗して乾燥する封孔処理を必要に応じて施すことが好ましい。水洗は沸騰水への浸漬又は加圧水蒸気中への暴露により行うことが好ましい。
絶縁被覆層112は絶縁樹脂膜で構成されていてもよい。かかる絶縁樹脂膜を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリアミドイミド系樹脂(AIW)、ポリエステルイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂(PEW)、ウレタン系樹脂(UEW)、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニルホルマール系樹脂等が挙げられる。これらの絶縁樹脂膜の絶縁被覆層112は、導体線素線111にディップ塗装或いはエナメルワニス等を用いた電着塗装等を施すことにより形成することができる。
絶縁被覆層112の厚さは例えば0.001〜0.5mmである。
線束被覆層12は、長さ方向に沿って界面12aを有する管状部材で構成されており、これにより導体線束11の全体としての形状を保持すると共に、後加工により圧延などにより成形された場合に塑性変形して全体としての形状を保持する作用効果を奏する。
線束被覆層12を構成する管状部材の横断面外郭形状としては、集合導体10及び導体線束11の場合と同様、例えば、円形や平角形状の他、正方形、扇形等が挙げられる。線束被覆層12を構成する管状部材の横断面内郭形状は、導体線束11が内嵌めされると共にその外周に接触する形状であれば特に限定されない。線束被覆層12を構成する管状部材の内周面と導体線束11との間には、空間が形成されていてもよく、また、空間が形成されていなくてもよい。
線束被覆層12を構成する管状部材は金属管であってもよい。
金属管を形成する金属材料としては、例えば、タフピッチ銅や無酸素銅などの銅の他、アルミニウム、金、銀、鉄、或いはそれらの合金等が挙げられる。金属管は、導体線本体111を形成するのと同一のアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されていてもよく、また、アルミニウム及びアルミニウム合金とは異なる金属材料で形成されていてもよい。金属管は、内周面及び/又は外周面が絶縁被覆されていてもよい。この場合、界面12aは、溶接などにより接合されていてもよく、また、接合されていなくてもよいが、全体としての形状を保持する点で、接合されている方が好ましい。
線束被覆層12を構成する管状部材は樹脂チューブであってもよい。
樹脂チューブを形成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等が挙げられる。この場合、界面12aは、融着などにより接合されていてもよく、また、接合されていなくてもよいが、全体としての形状を保持する点で、接合されている方が好ましい。
界面12aは、長さ方向に沿って直線状に設けられていてもよく、また、長さ方向に沿って螺旋状に設けられていてもよい。金属管の肉厚は例えば0.01〜3mmであるが、形状保持する点や表皮効果抑制する点を考慮すると、0.05〜1mmが好ましい。
絶縁被覆材13としては、例えば、線束被覆層12を被覆するように螺旋状に巻き付けた樹脂テープ、線束被覆層12を被覆する絶縁樹脂層等が挙げられる。
絶縁被覆材13を構成する樹脂テープとしては、例えば、ポリイミド樹脂製のもの等が挙げられる。樹脂テープは、裏面側にアクリル系等の粘着層を有していてもよく、また、かかる粘着層を有していなくてもよい。絶縁被覆材13は、樹脂テープの単一層で構成されていてもよく、また、樹脂テープの複数層の積層構造で構成されていてもよい。樹脂テープの幅は例えば1〜20mm及び厚さは例えば0.01〜0.2mmである。樹脂テープで構成された絶縁被覆材13の厚さは例えば0.01〜0.5mmである。
絶縁被覆材13を構成する絶縁樹脂層としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂組成物、ポリエチレン樹脂組成物で形成されたもの等が挙げられる。絶縁樹脂層は、単一の樹脂材料で形成されていてもよく、また、複数の樹脂材料がブレンドされた材料で形成されていてもよい。絶縁樹脂層の絶縁被覆材13の厚さは例えば0.01〜2mmである。
以上の構成の本実施形態に係る集合導体10によれば、導体線束11の外周に接触して覆うように線束被覆層12が設けられているので、導体線束11を構成する複数の導体線110について優れた集束性を得ることができる。
また、一般に、横断面形状が平角形状の集合導体の場合、コイルを形成するためにエッジワイズ巻き加工を施すと、曲げ外側に引張変形及び曲げ内側に圧縮変形がそれぞれ加わることとなる。図5(a)に示すように、複数の導体線11’を束ねただけの従来の集合導体10’では、エッジワイズ巻き加工を施した際、曲げ外側の導体線11’が引張変形し、仮に結着剤等により密着していたとしても、それに抗して他の導体線11’から外れて外方に飛び出したような形態を呈することがある。また、図5(b)に示すように、エッジワイズ巻き加工を施した後に不具合等の理由から一旦真っ直ぐに戻して再加工しようとしても、曲げ外側の導体線11’が引張変形から完全に復帰できず、他の導体線11’から剥離して弓形に膨出したような形態を呈し、そのためそれを再使用することができない。しかしながら、実施形態1に係る横断面形状が平角形状の集合導体10によれば、エッジワイズ巻き加工を施しても、導体線束11を被覆するように設けられた線束被覆層12によって曲げ外側の引張変形及び曲げ内側の圧縮変形が吸収されるので、曲げ外側の導体線110が他の導体線110から外れて外方に飛び出すのを抑制することができる。また、エッジワイズ巻き加工を施した後に一旦真っ直ぐに戻しても、曲げ外側の導体線110が他の導体線110から剥離して弓形に膨出することが抑制されるので、それを再加工して再利用することができる。
実施形態1に係る集合導体10の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、複数の導体線110を無撚り状態に束ねると共に平行に引き揃えて導体線束11を形成した後、図6(a)に示すように、その導体線束11に帯状材12’を縦添えすると共に導体線束11を両側から包むように幅方向に湾曲させ、そして、両側端を付き合わせて或いは両側端部をオーバーラップさせて必要に応じて溶接或いは融着して管状部材の線束被覆層12を形成し、最後に、線束被覆層12で被覆した導体線束11に対し、樹脂テープを巻き付ける加工、押出成形加工、或いは電着塗装加工を施すことにより絶縁被覆材13で被覆する方法が挙げられる。また、図6(b)に示すように、複数の導体線110を無撚り状態に束ねると共に平行に引き揃えた導体線束11に帯状材12’を長さ方向に沿って両側端を付き合わせながら或いは両側端部をオーバーラップさせながら螺旋状に巻き付け、そのオーバーラップ部分を必要に応じて溶接或いは融着する方法も挙げられる。横断面形状が平角形状の集合導体10の場合には、例えば、横断面形状が正方形等の矩形の導体線110をm行×n列(m≧1,n≧1,m=n≠1)に配列させて横断面形状が平角形状の導体線束11を形成し、それを被覆するように線束被覆層12を設けて製造してもよく、また、横断面形状が円形の導体線110を束ねて導体線束11を形成した後、それに型ロールによる圧延加工やダイスを用いた引き抜き加工を施して横断面形状を平角形状に形成し、それを被覆するように線束被覆層12を設けて製造してもよく、さらに、横断面形状が円形の導体線110を束ねて導体線束11を形成し、それを被覆するように線束被覆層12を設けた後、それに型ロールによる圧延加工やダイスを用いた引き抜き加工を施して横断面形状を平角形状に形成して製造してもよい。なお、導体線束11を形成した後、線束被覆層12を設けるまでの間のサポートとして、導体線束11の外周に粘着層を有さない紙テープ或いは樹脂テープのテープ材を螺旋状に仮巻きしてもよい。
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係る集合導体10を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は実施形態1と同一符号で示す。
実施形態2に係る集合導体10では、線束被覆層12は、シームレスの管状部材で構成されており、これにより導体線束11の全体としての形状を保持すると共に、後加工により圧延などにより成形された場合に塑性変形して全体としての形状を保持する作用効果を奏する。
線束被覆層12を構成する管状部材は、金属管であってもよく、また、樹脂チューブであってもよい。金属管及び樹脂チューブの構成については実施形態1と同一である。
実施形態2に係る集合導体10の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、図8(a)に示すように、複数の導体線110を無撚り状態に束ねると共に平行に引き揃えて導体線束11を形成した後、その導体線束11を線束被覆層12を構成する管状部材に内嵌めするように挿通し、最後に、線束被覆層12で被覆した導体線束11に対し、樹脂テープを巻き付ける加工、押出成形加工、或いは電着塗装加工を施すことにより絶縁被覆材13で被覆する方法が挙げられる。また、図8(b)に示すように、予め線束被覆層12を構成する管状部材を絶縁被覆材13で被覆し、そこに複数の導体線110を無撚り状態に束ねると共に平行に引き揃えた導体線束11を内嵌めするように挿通する方法も挙げられる。
その他の構成及び作用・効果は実施形態1と同一である。
(実施形態3)
図9は、実施形態3に係る集合導体10を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は実施形態1と同一符号で示す。
実施形態3に係る集合導体10では、線束被覆層12は、導体線束11に長さ方向に沿って螺旋状に巻き付けられた帯状部材で構成されており、これにより導体線束11の全体としての形状を保持すると共に、後加工により圧延などにより成形された場合に塑性変形して全体としての形状を保持する作用効果を奏する。帯状部材は、裏面側にアクリル系等の粘着層を有していてもよく、また、かかる粘着層を有していなくてもよい。帯状部材の幅は例えば0.5〜20mm及び厚さは例えば0.01〜1mmである。
線束被覆層12を構成する帯状部材は金属テープであってもよい。
金属テープを形成する金属材料としては、例えば、タフピッチ銅や無酸素銅などの銅の他、アルミニウム、金、銀、鉄、或いはそれらの合金等が挙げられる。金属テープは、導体線本体111を形成する金属材料と同一のアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されていてもよく、また、アルミニウム及びアルミニウム合金とは異なる金属材料で形成されていてもよい。金属テープは、表面及び/又は裏面が絶縁被覆されていてもよい。
線束被覆層12を構成する帯状部材は樹脂テープであってもよい。
樹脂テープを形成する樹脂材料としては、樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等が挙げられる。
線束被覆層12を構成する帯状部材は、導体線束11の外周に単一層からなる線束被覆層12を形成するように設けられていてもよく、また、複数層の積層構造からなる線束被覆層12を形成するように設けられていてもよい。帯状部材で構成された線束被覆層12の厚さは例えば0.01〜2mmである。
線束被覆層12は、単一の帯状部材で構成されていてもよく、また、複数の帯状部材で構成されていてもよい。後者の場合、帯状部材の本数は例えば1〜3本である。また、複数の帯状部材は、同一の材質及び寸法構成を有するもので構成されていてもよく、また、異なる材質や寸法構成を有するものが混在して構成されていてもよい。
線束被覆層12を構成する帯状部材の導体線束11への巻き付け螺旋方向は、右螺旋方向であってもよく、また、左螺旋方向であってもよい。線束被覆層12が複数の帯状部材で構成される場合、複数の帯状部材は、右螺旋方向及び左螺旋方向のうちいずれか一方の方向のみに導体線束11に巻き付けられていてもよく、また、右螺旋方向及び左螺旋方向の両方の方向が混在して導体線束11に巻き付けられていてもよい。
線束被覆層12を構成する帯状部材の導体線束11への巻き付け螺旋ピッチは例えば0.05〜200mmである。帯状部材は、螺旋ピッチを密にして例えばラップ巻きで導体線束11を被覆するように設けられていてもよく、また、螺旋ピッチを疎にしてギャップ巻きでテープ間から導体線束11が露出するように設けられていてもよい。線束被覆層12が複数の帯状部材で構成される場合、複数の帯状部材は、単一の巻き付け螺旋ピッチで導体線束11に巻き付けられていてもよく、また、複数の巻き付け螺旋ピッチが混在して導体線束11に巻き付けられていてもよい。
実施形態3に係る集合導体10の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、図10(a)に示すように、複数の導体線110を無撚り状態に束ねると共に平行に引き揃えて導体線束11を形成した後、その外周に線束被覆層12を構成するための帯状部材T1を螺旋状に巻き付け、最後に線束被覆層12で被覆した導体線束11を絶縁テープ(樹脂テープ)の巻き付け或いは押出成形により絶縁被覆材13で被覆する方法が挙げられる。また、図10(b)に示すように、複数の導体線110を無撚り状態に束ねると共に平行に引き揃えた導体線束11の外周に、裏面層が線束被覆層12を構成するための帯状部材T1及び表面層が絶縁被覆材13を構成するための絶縁テープT2にそれぞれ構成された複合テープTを螺旋状に巻き付ける方法も挙げられる。
その他の構成及び作用・効果は実施形態1と同一である。
(実施形態4)
図11は、実施形態4に係る集合導体10を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は実施形態1と同一符号で示す。
実施形態4に係る集合導体10では、線束被覆層12は、導体線束11の長さ方向に沿って螺旋状に巻き付けるように設けられた金属線12”で構成されており、これにより導体線束11の全体としての形状を保持すると共に、後加工により圧延などにより成形された場合に塑性変形して全体としての形状を保持する作用効果を奏する。
線束被覆層12を構成する金属線12”の横断面形状としては、例えば、円形や矩形の他、外側から圧縮して形成される不定形な形状等が挙げられる。金属線12”は、導体線110の横断面形状と同一の横断面形状であってもよく、また、導体線110の横断面形状とは異なる横断面形状であってもよい。金属線12”は、導体線110よりも細くてもよく、また、導体線110よりも太くてもよく、さらに、導体線110と同一の太さであってもよい。
金属線12”を形成する金属材料としては、例えば、タフピッチ銅や無酸素銅などの銅の他、アルミニウム、金、銀、鉄、或いはそれらの合金等が挙げられる。金属線12”は、導体線本体111を形成するのと同一のアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されていてもよく、また、アルミニウム及びアルミニウム合金とは異なる金属材料で形成されていてもよい。金属線12”は、絶縁被覆されていてもよく、また、金属線本体とその外周表面の絶縁被覆層とを有してもよい。金属線12”は、横断面形状が円形の場合、外径が例えば0.01〜3mmであり、矩形の場合、一辺が例えば0.01〜3mmである。
金属線12”は、導体線束11の外周に線材の単一層を形成するように設けられていてもよく、また、線材の複数層の積層構造を形成するように設けられていてもよい。金属線12”が巻き付けられて形成された線材の層の総厚さは例えば0.01〜3mmである。
金属線12”は、単一線で構成されていてもよく、また、複数線で構成されていてもよい。後者の場合、金属線12”の本数は例えば1〜100本である。複数の金属線12”は、同一の材質及び横断面形状を含む寸法構成を有するもので構成されていてもよく、また、異なる材質や横断面形状を含む寸法構成を有するものが混在して構成されていてもよい。複数の金属線12”は、撚り線に構成されていてもよい。
金属線12”の導体線束11への巻き付け螺旋方向は、右螺旋方向であってもよく、また、左螺旋方向であってもよい。金属線12”が複数の場合、複数の金属線12”は、右螺旋方向及び左螺旋方向のうちいずれか一方の方向のみに導体線束11に巻き付けられていてもよく、また、右螺旋方向及び左螺旋方向の両方の方向が混在して導体線束11に巻き付けられていてもよい。
金属線12”の導体線束11への巻き付け螺旋ピッチは例えば0.1〜100mmである。金属線12”は、螺旋ピッチを密にして導体線束11を被覆するように設けられていてもよく、また、螺旋ピッチを疎にして金属線12”間から導体線束11が露出するように設けられていてもよい。金属線12”が複数の場合、複数の金属線12”は、単一の巻き付け螺旋ピッチで導体線束11に巻き付けられていてもよく、また、複数の巻き付け螺旋ピッチが混在して導体線束11に巻き付けられていてもよい。
実施形態4に係る集合導体10の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、図12に示すように、複数の導体線110を無撚り状態に束ねると共に平行に引き揃えて導体線束11を形成した後、その外周に粘着層を有さない紙テープ或いは樹脂テープ等の補助テープ材T’を螺旋状に仮巻きし、そして、その仮巻きした補助テープ材T’を外しながら金属線12”を螺旋状に巻き付けて線束被覆層12を構成し、最後に、金属線12”を巻き付けた導体線束11に対し、絶縁テープを巻き付ける加工、押出成形加工、或いは電着塗装加工を施すことにより絶縁被覆材13で被覆する方法が挙げられる。
本発明は集合導体及びそれを用いたコイルについて有用である。
10 集合導体
11 導体線束
110 導体線
111 導体線本体
112 絶縁被覆層
12 線束被覆層
12’ 帯状材
12” 金属線
12a 界面
13 絶縁被覆材
T 複合テープ
T1 帯状部材
T2 絶縁テープ
T’ 補助テープ材

Claims (14)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金製の複数の導体線が無撚り状態に束ねられた導体線束と、該導体線束の外周に接触して覆うように設けられた線束被覆層と、を有する集合導体。
  2. 請求項1に記載された集合導体において、
    上記複数の導体線のそれぞれが絶縁被覆されている集合導体。
  3. 請求項2に記載された集合導体において、
    上記複数の導体線のそれぞれは、アルミニウム又はアルミニウム合金の陽極酸化被膜で絶縁被覆されている集合導体。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された集合導体において、
    上記線束被覆層が管状部材で構成されている集合導体。
  5. 請求項4に記載された集合導体において、
    上記線束被覆層を構成する管状部材が金属管である集合導体。
  6. 請求項5に記載された集合導体において、
    上記金属管の線束被覆層を覆うように設けられた絶縁被覆材をさらに有する集合導体。
  7. 請求項4に記載された集合導体において、
    上記線束被覆層を構成する管状部材が樹脂チューブである集合導体。
  8. 請求項1乃至3のいずれかに記載された集合導体において、
    上記線束被覆層が上記導体線束に長さ方向に沿って螺旋状に巻き付けられた帯状部材で構成されている集合導体。
  9. 請求項8に記載された集合導体において、
    上記線束被覆層を構成する帯状部材が金属テープである集合導体。
  10. 請求項9に記載された集合導体において、
    上記金属テープの線束被覆層を覆うように設けられた絶縁被覆材をさらに有する集合導体。
  11. 請求項8に記載された集合導体において、
    上記線束被覆層を構成する帯状部材が樹脂テープである集合導体。
  12. 請求項1乃至3のいずれかに記載された集合導体において、
    上記線束被覆層が上記導体線束に長さ方向に沿って螺旋状に巻き付けられた金属線で構成されている集合導体。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載された集合導体において、
    横断面形状が平角形状である集合導体。
  14. 請求項1乃至13のいずれかに記載された集合導体を巻いてなるコイル。
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