JP2003086026A - 高周波用積層平角エナメル電線およびその製造方法 - Google Patents
高周波用積層平角エナメル電線およびその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高周波損失を低減する。
【解決手段】 高周波用積層平角エナメル電線１００ａ
は、中心導体２２をエナメル被膜２３で覆った構造を有
し且つ接合被膜２４で接合・積層された平角素線α１−
１〜α１−５と、その外周に螺旋状に巻き付けられた長
尺物（糸やテープ）９と、その外周に形成された絶縁被
覆層２５および融着層２６とを具備する。 【効果】 平角素線束の断面形状が崩れたり、各平角素
線の配列位置がずれたりする不都合を防止できる。
は、中心導体２２をエナメル被膜２３で覆った構造を有
し且つ接合被膜２４で接合・積層された平角素線α１−
１〜α１−５と、その外周に螺旋状に巻き付けられた長
尺物（糸やテープ）９と、その外周に形成された絶縁被
覆層２５および融着層２６とを具備する。 【効果】 平角素線束の断面形状が崩れたり、各平角素
線の配列位置がずれたりする不都合を防止できる。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波用積層平角
エナメル（enameled wire）電線およびその製造方法に
関し、さらに詳しくは、高周波損失を低減できるように
した高周波用積層平角エナメル電線およびその製造方法
に関する。
エナメル（enameled wire）電線およびその製造方法に
関し、さらに詳しくは、高周波損失を低減できるように
した高周波用積層平角エナメル電線およびその製造方法
に関する。
【０００２】
【従来の技術】図１４は、従来の高周波用エナメルリッ
ツ電線の一例を示す断面図である。この高周波用エナメ
ルリッツ電線５００は、中心導体５２の外周に、絶縁用
のエナメル皮膜５３を形成した複数の素線５１（図示の
例では５１−１〜５１−７）を撚り合わせたものであ
る。前記素線５１の外径は、例えば０．３ｍｍ程度であ
る。高周波では表皮効果により導体の表面に電流分布が
集中するため、複数本の素線５１を撚り合わせたリッツ
線が用いられる。
ツ電線の一例を示す断面図である。この高周波用エナメ
ルリッツ電線５００は、中心導体５２の外周に、絶縁用
のエナメル皮膜５３を形成した複数の素線５１（図示の
例では５１−１〜５１−７）を撚り合わせたものであ
る。前記素線５１の外径は、例えば０．３ｍｍ程度であ
る。高周波では表皮効果により導体の表面に電流分布が
集中するため、複数本の素線５１を撚り合わせたリッツ
線が用いられる。
【０００３】上記のような高周波用エナメルリッツ電線
５００を、例えば電磁調理器の加熱コイルとして使用す
る場合、電磁誘導に伴う振動音を可聴域から外し、且
つ、発熱量を大きくする見地から１０ｋＨｚ付近の高周
波の電流を流すことが多い。
５００を、例えば電磁調理器の加熱コイルとして使用す
る場合、電磁誘導に伴う振動音を可聴域から外し、且
つ、発熱量を大きくする見地から１０ｋＨｚ付近の高周
波の電流を流すことが多い。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の高周波用エ
ナメルリッツ電線５００では、図１５に示すように、表
皮効果により各素線５１の中心導体５２の表面に電流分
布ｉ’が集中するため、導体断面積に比して電流部分の
割合が小さくなり、高周波損失が大きくなってしまう問
題点がある。そこで、本発明の目的は、高周波損失を低
減できるようにした高周波用積層平角エナメル電線およ
びその製造方法を提供することにある。
ナメルリッツ電線５００では、図１５に示すように、表
皮効果により各素線５１の中心導体５２の表面に電流分
布ｉ’が集中するため、導体断面積に比して電流部分の
割合が小さくなり、高周波損失が大きくなってしまう問
題点がある。そこで、本発明の目的は、高周波損失を低
減できるようにした高周波用積層平角エナメル電線およ
びその製造方法を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】第１の観点では、本発明
は、矩形断面を有する中心導体の外周をエナメル被膜で
覆った複数本の平角素線を積層した平角素線束と、前記
平角素線束の外周に螺旋状に巻き付けられた長尺物と、
前記平角素線束および前記長尺物の外周に形成された絶
縁被覆層とを具備したことを特徴とする高周波用積層平
角エナメル電線を提供する。なお、各平角素線を接合被
膜により接合してもよい。上記第１の観点による高周波
用積層平角エナメル電線では、厚さの小さい複数本の平
角素線を積層した平角素線束を電流路として用いること
で、高周波電流を流したときに、導体断面積に比して電
流部分の割合を大きくできる。これにより、高周波損失
を低減し、小型化と高出力化に対応できるようになる。
また、前記平角素線束の形状は、その外周に巻き付けら
れた長尺物により保持されるので、各平角素線の配列位
置がずれて特性が低下することを防止できる。さらに、
前記平角素線束および長尺物は、その外周に形成された
絶縁被覆層で保護されるので、耐久性を高めることが出
来る。
は、矩形断面を有する中心導体の外周をエナメル被膜で
覆った複数本の平角素線を積層した平角素線束と、前記
平角素線束の外周に螺旋状に巻き付けられた長尺物と、
前記平角素線束および前記長尺物の外周に形成された絶
縁被覆層とを具備したことを特徴とする高周波用積層平
角エナメル電線を提供する。なお、各平角素線を接合被
膜により接合してもよい。上記第１の観点による高周波
用積層平角エナメル電線では、厚さの小さい複数本の平
角素線を積層した平角素線束を電流路として用いること
で、高周波電流を流したときに、導体断面積に比して電
流部分の割合を大きくできる。これにより、高周波損失
を低減し、小型化と高出力化に対応できるようになる。
また、前記平角素線束の形状は、その外周に巻き付けら
れた長尺物により保持されるので、各平角素線の配列位
置がずれて特性が低下することを防止できる。さらに、
前記平角素線束および長尺物は、その外周に形成された
絶縁被覆層で保護されるので、耐久性を高めることが出
来る。
【０００６】第２の観点では、本発明は、上記構成の高
周波用積層平角エナメル電線において、前記長尺物は、
糸状物であることを特徴とする高周波用積層平角エナメ
ル電線を提供する。上記第２の観点による高周波用積層
平角エナメル電線では、高速巻きに適した糸状の長尺物
を用いるので、製造効率を高めて、低コスト化できる。
周波用積層平角エナメル電線において、前記長尺物は、
糸状物であることを特徴とする高周波用積層平角エナメ
ル電線を提供する。上記第２の観点による高周波用積層
平角エナメル電線では、高速巻きに適した糸状の長尺物
を用いるので、製造効率を高めて、低コスト化できる。
【０００７】第３の観点では、本発明は、上記構成の高
周波用積層平角エナメル電線において、前記糸状物は、
ナイロン糸またはテトロン糸であることを特徴とする高
周波用積層平角エナメル電線を提供する。上記第３の観
点による高周波用積層平角エナメル電線では、絶縁性，
強度等に優れたナイロン糸またはテトロン糸を長尺物と
して用いるので、電線としての特性を高めつつ、平角素
線束を強固に結束できるようになる。
周波用積層平角エナメル電線において、前記糸状物は、
ナイロン糸またはテトロン糸であることを特徴とする高
周波用積層平角エナメル電線を提供する。上記第３の観
点による高周波用積層平角エナメル電線では、絶縁性，
強度等に優れたナイロン糸またはテトロン糸を長尺物と
して用いるので、電線としての特性を高めつつ、平角素
線束を強固に結束できるようになる。
【０００８】第４の観点では、本発明は、上記構成の高
周波用積層平角エナメル電線において、前記長尺物は、
テープ状物であることを特徴とする高周波用積層平角エ
ナメル電線を提供する。上記第４の観点による高周波用
積層平角エナメル電線では、接触面積が比較的大きいテ
ープ状の長尺物を用いるので、平角素線束をいっそう安
定に保持できるようになる。
周波用積層平角エナメル電線において、前記長尺物は、
テープ状物であることを特徴とする高周波用積層平角エ
ナメル電線を提供する。上記第４の観点による高周波用
積層平角エナメル電線では、接触面積が比較的大きいテ
ープ状の長尺物を用いるので、平角素線束をいっそう安
定に保持できるようになる。
【０００９】第５の観点では、本発明は、上記構成の高
周波用積層平角エナメル電線において、前記テープ状物
は、ナイロンポリエステルテープまたはカプトンテープ
であることを特徴とする高周波用積層平角エナメル電線
を提供する。上記第５の観点による高周波用積層平角エ
ナメル電線では、絶縁性，強度，耐熱性，耐薬品性，可
撓性等に優れたナイロンポリエステルテープまたはカプ
トンテープを長尺物として用いるので、電線としての特
性を高めつつ、平角素線束を長期間に亘って安定な形状
で結束しておくことが可能となる。
周波用積層平角エナメル電線において、前記テープ状物
は、ナイロンポリエステルテープまたはカプトンテープ
であることを特徴とする高周波用積層平角エナメル電線
を提供する。上記第５の観点による高周波用積層平角エ
ナメル電線では、絶縁性，強度，耐熱性，耐薬品性，可
撓性等に優れたナイロンポリエステルテープまたはカプ
トンテープを長尺物として用いるので、電線としての特
性を高めつつ、平角素線束を長期間に亘って安定な形状
で結束しておくことが可能となる。
【００１０】第６の観点では、本発明は、矩形断面を有
する中心導体の外周をエナメル被膜で覆った複数本の平
角素線を積層する平角素線積層工程と、前記積層後の平
角素線束の外周に螺旋状に長尺物を巻き付ける長尺物巻
付工程と、前記巻付後の平角素線束の外周に絶縁被覆層
を形成する絶縁被覆層形成工程とを含むことを特徴とす
る高周波用積層平角エナメル電線の製造方法を提供す
る。上記第６の観点による高周波用積層平角エナメル電
線の製造方法では、積層後の平角素線束の外周に螺旋状
に長尺物を巻き付けるので、各平角素線の配列位置がず
れて特性が低下することを防止できる。また、平角素線
束および長尺物を絶縁被覆層で保護するので、耐久性を
高めることが出来る。
する中心導体の外周をエナメル被膜で覆った複数本の平
角素線を積層する平角素線積層工程と、前記積層後の平
角素線束の外周に螺旋状に長尺物を巻き付ける長尺物巻
付工程と、前記巻付後の平角素線束の外周に絶縁被覆層
を形成する絶縁被覆層形成工程とを含むことを特徴とす
る高周波用積層平角エナメル電線の製造方法を提供す
る。上記第６の観点による高周波用積層平角エナメル電
線の製造方法では、積層後の平角素線束の外周に螺旋状
に長尺物を巻き付けるので、各平角素線の配列位置がず
れて特性が低下することを防止できる。また、平角素線
束および長尺物を絶縁被覆層で保護するので、耐久性を
高めることが出来る。
【００１１】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明の実施
の形態を説明する。なお、これにより本発明が限定され
るものではない。
の形態を説明する。なお、これにより本発明が限定され
るものではない。
【００１２】図１は、本発明の一実施形態にかかる高周
波用積層平角エナメル電線を製造する高周波用積層平角
エナメル電線製造装置１０００を示す構成図である。ま
ず、供線機１（１−１，１−２，…，１−ｎ）から長尺
かつ可撓性の平角素線α１（α１−１，α１−２，…，
α１−ｎ）をそれらの矩形断面の長手方向を略水平に寝
かせた姿勢で繰り出す。図２に示すように、前記平角素
線α１は、中心導体２２の外周を絶縁用のエナメル被膜
２３で覆った構造である。前記平角素線α１の寸法例を
示せば、幅ｗは１.６ｍｍ，厚さｄは０.０３ｍｍであ
る。前記中心導体２２の材料は、例えば、銅，銅合金，
アルミニウム，アルミニウム合金，またはそれら金属の
組み合わせである。前記エナメル被膜２３の材料は、例
えば、ポリアミドイミド（polyamide-imide），ポリエ
ステルイミド（polyester-imide）である。また、前記
エナメル被膜２３の膜厚は、例えば１〜３μｍ程度であ
る。
波用積層平角エナメル電線を製造する高周波用積層平角
エナメル電線製造装置１０００を示す構成図である。ま
ず、供線機１（１−１，１−２，…，１−ｎ）から長尺
かつ可撓性の平角素線α１（α１−１，α１−２，…，
α１−ｎ）をそれらの矩形断面の長手方向を略水平に寝
かせた姿勢で繰り出す。図２に示すように、前記平角素
線α１は、中心導体２２の外周を絶縁用のエナメル被膜
２３で覆った構造である。前記平角素線α１の寸法例を
示せば、幅ｗは１.６ｍｍ，厚さｄは０.０３ｍｍであ
る。前記中心導体２２の材料は、例えば、銅，銅合金，
アルミニウム，アルミニウム合金，またはそれら金属の
組み合わせである。前記エナメル被膜２３の材料は、例
えば、ポリアミドイミド（polyamide-imide），ポリエ
ステルイミド（polyester-imide）である。また、前記
エナメル被膜２３の膜厚は、例えば１〜３μｍ程度であ
る。
【００１３】次に、図３に示すように、フェルト２と，
接合塗料槽３の塗布ロール３ａと，垂直スリット治具４
と，成形治具５とにより、各平角素線α１を積層する。
接合塗料槽３の塗布ロール３ａと，垂直スリット治具４
と，成形治具５とにより、各平角素線α１を積層する。
【００１４】すなわち、上下に正対するフェルト２の間
隙に各平角素線α１を挿通させてから、塗布ロール３ａ
で前記平角素線α１の表面に接合塗料を塗布する。前記
接合塗料の材料は、ナイロン系樹脂，エポキシ系樹脂，
フェノール系樹脂である。これにより、図４に示すよう
に、前記エナメル被膜２３の外周に接合被膜２４が形成
された平角素線α３となる。
隙に各平角素線α１を挿通させてから、塗布ロール３ａ
で前記平角素線α１の表面に接合塗料を塗布する。前記
接合塗料の材料は、ナイロン系樹脂，エポキシ系樹脂，
フェノール系樹脂である。これにより、図４に示すよう
に、前記エナメル被膜２３の外周に接合被膜２４が形成
された平角素線α３となる。
【００１５】それから、各平角素線α３を矩形断面の長
手方向が略垂直となるように立てた姿勢に直して、垂直
方向に細長いスリットＳを有する垂直スリット治具４に
挿通して積層する。図５に前記積層後の平角素線束α４
の断面を例示する。前記スリットＳの水平幅τｓは、
〔平角素線α１の厚さ＋１０μｍ以下のマージン幅〕×
積層枚数ｎである。例えば、ｄ＝３０μｍ，前記マージ
ン幅＝５μｍ，ｎ＝１５とすると、τｓ＝５２５μｍで
ある。前記マージン幅の広狭は、積層に適した圧接力と
なるように調整する。また、前記スリットの長手方向の
角度θは、水平方向に対して４５°以上１３５°以下で
あり、９０°とすることが特に好ましい。また、前記平
角素線α３が前記スリットＳに入線する区間での最大角
度φは、各平角素線α３に過大な捩り力が加わることを
防止する見地から、水平面に対して１０°以下とするこ
とが好ましい。
手方向が略垂直となるように立てた姿勢に直して、垂直
方向に細長いスリットＳを有する垂直スリット治具４に
挿通して積層する。図５に前記積層後の平角素線束α４
の断面を例示する。前記スリットＳの水平幅τｓは、
〔平角素線α１の厚さ＋１０μｍ以下のマージン幅〕×
積層枚数ｎである。例えば、ｄ＝３０μｍ，前記マージ
ン幅＝５μｍ，ｎ＝１５とすると、τｓ＝５２５μｍで
ある。前記マージン幅の広狭は、積層に適した圧接力と
なるように調整する。また、前記スリットの長手方向の
角度θは、水平方向に対して４５°以上１３５°以下で
あり、９０°とすることが特に好ましい。また、前記平
角素線α３が前記スリットＳに入線する区間での最大角
度φは、各平角素線α３に過大な捩り力が加わることを
防止する見地から、水平面に対して１０°以下とするこ
とが好ましい。
【００１６】このように、前記平角素線α３を垂直に立
ててから前記スリットＳに入線することで、積層前に、
各平角素線α３から重力で垂れ下がった接合塗料によ
り、平角素線α３同士が癒着してしまう不都合を防止し
つつ接合状態を微調整することが可能となり、前記塗布
ロール３ａと前記垂直スリット治具４との距離Ｌを短く
することが出来る。例えば、Ｌ＝０.３ｍである（これ
に対し、平角素線α３を水平に寝かせた姿勢のままで積
層する場合には、例えば２ｍ以上の距離にする必要があ
り、装置全体が大型化してしまう）。
ててから前記スリットＳに入線することで、積層前に、
各平角素線α３から重力で垂れ下がった接合塗料によ
り、平角素線α３同士が癒着してしまう不都合を防止し
つつ接合状態を微調整することが可能となり、前記塗布
ロール３ａと前記垂直スリット治具４との距離Ｌを短く
することが出来る。例えば、Ｌ＝０.３ｍである（これ
に対し、平角素線α３を水平に寝かせた姿勢のままで積
層する場合には、例えば２ｍ以上の距離にする必要があ
り、装置全体が大型化してしまう）。
【００１７】それから、前記平角素線束α４を、成形治
具５に刻設された垂直方向に細長い溝Ｍに挿通して、全
体の断面形状を整える。図６に示すように、成形後の平
角素線束α５においては、各平角素線α１が横一列に整
列する。前記溝Ｍの水平幅τｍは、〔平角素線α１の厚
さ＋１０μｍ以下のマージン幅〕×積層枚数である。例
えば、ｄ＝３０μｍ，前記マージン幅＝２μｍ，ｎ＝１
５とすると、τｍ＝４８０μｍである。前記マージン幅
の広狭は、形状補整に適した圧接力となるように調整す
る。また、前記溝Ｍの垂直深さｈは、前記平角素線α１
の幅ｗの１倍以上５倍以下である。例えば、ｈをｗ＝
１.６ｍｍの３倍とすると、ｈ＝４.８ｍｍである。前記
平角素線束α４に加わる荷重（成形治具５の重さ）Ｇ
は、十分な成形性能を得ながら、前記平角素線束α４に
過大なストレスが加わることを防止する見地から、前記
平角素線束α４の安全テンションの０.２倍以上１倍以
下とすることが好ましい。
具５に刻設された垂直方向に細長い溝Ｍに挿通して、全
体の断面形状を整える。図６に示すように、成形後の平
角素線束α５においては、各平角素線α１が横一列に整
列する。前記溝Ｍの水平幅τｍは、〔平角素線α１の厚
さ＋１０μｍ以下のマージン幅〕×積層枚数である。例
えば、ｄ＝３０μｍ，前記マージン幅＝２μｍ，ｎ＝１
５とすると、τｍ＝４８０μｍである。前記マージン幅
の広狭は、形状補整に適した圧接力となるように調整す
る。また、前記溝Ｍの垂直深さｈは、前記平角素線α１
の幅ｗの１倍以上５倍以下である。例えば、ｈをｗ＝
１.６ｍｍの３倍とすると、ｈ＝４.８ｍｍである。前記
平角素線束α４に加わる荷重（成形治具５の重さ）Ｇ
は、十分な成形性能を得ながら、前記平角素線束α４に
過大なストレスが加わることを防止する見地から、前記
平角素線束α４の安全テンションの０.２倍以上１倍以
下とすることが好ましい。
【００１８】次に、図１に戻り、前記平角素線束α５を
焼付機６に挿通して、前記接合被膜２４を焼付硬化させ
る。これにより、前記接合被膜２４の膜厚は、例えば、
２〜３μｍとなる。
焼付機６に挿通して、前記接合被膜２４を焼付硬化させ
る。これにより、前記接合被膜２４の膜厚は、例えば、
２〜３μｍとなる。
【００１９】次に、前記焼付硬化後の平角素線束α６を
巻付機７０に挿通する。図７に示すように、前記巻付機
７０は、長尺物９が巻回されたボビン８と，そのボビン
８をダイレクト駆動方式（プーリーなどを介さずに駆動
部と非駆動部とを直結して駆動する方式）で回転させる
モータ７とを具備して構成されている。すなわち、ボビ
ン８から繰り出された長尺物９が、前記ボビン８の内孔
を貫通している平角素線束α５の走行方向に沿って螺旋
状に巻き付けられる。前記長尺物９は、例えば、直径が
３０デニール５本持ち程度の糸（ナイロン糸やテトロン
糸）や、幅が１.２ｍｍで厚さが０.０５ｍｍ程度のテー
プ（ナイロンポリエステルテープやカプトンテープ）で
ある。また、前記巻付けのピッチｐは、例えば１.０ｍ
ｍ程度である。図８に、前記巻付後の平角素線束α９の
断面を例示する。前記長尺物９の巻付けにより、前記平
角素線束α９の断面形状が崩れたり、各平角素線α１の
配列位置がずれたりする不都合を防止し、仕上がり電線
（後述する高周波用積層平角エナメル電線１００）の特
性のバラツキをいっそう低減できる。
巻付機７０に挿通する。図７に示すように、前記巻付機
７０は、長尺物９が巻回されたボビン８と，そのボビン
８をダイレクト駆動方式（プーリーなどを介さずに駆動
部と非駆動部とを直結して駆動する方式）で回転させる
モータ７とを具備して構成されている。すなわち、ボビ
ン８から繰り出された長尺物９が、前記ボビン８の内孔
を貫通している平角素線束α５の走行方向に沿って螺旋
状に巻き付けられる。前記長尺物９は、例えば、直径が
３０デニール５本持ち程度の糸（ナイロン糸やテトロン
糸）や、幅が１.２ｍｍで厚さが０.０５ｍｍ程度のテー
プ（ナイロンポリエステルテープやカプトンテープ）で
ある。また、前記巻付けのピッチｐは、例えば１.０ｍ
ｍ程度である。図８に、前記巻付後の平角素線束α９の
断面を例示する。前記長尺物９の巻付けにより、前記平
角素線束α９の断面形状が崩れたり、各平角素線α１の
配列位置がずれたりする不都合を防止し、仕上がり電線
（後述する高周波用積層平角エナメル電線１００）の特
性のバラツキをいっそう低減できる。
【００２０】次に、前記平角素線束α９の外周に、絶縁
塗料槽１０の塗布ロール１０ａで絶縁塗料を塗布する。
前記絶縁塗料の材料は、例えば、ポリアミドイミド，ポ
リエステルイミドである。これにより、図９に示すよう
に、前記長尺物９の外周に絶縁被覆層２５が形成された
平角素線束α１０となる。
塗料槽１０の塗布ロール１０ａで絶縁塗料を塗布する。
前記絶縁塗料の材料は、例えば、ポリアミドイミド，ポ
リエステルイミドである。これにより、図９に示すよう
に、前記長尺物９の外周に絶縁被覆層２５が形成された
平角素線束α１０となる。
【００２１】次に、前記平角素線束α１０をフェルト１
１の間隙に挿通させて余分な絶縁塗料を除去してから焼
付機１２に挿通し、前記絶縁被覆層２５を焼付硬化させ
る。
１の間隙に挿通させて余分な絶縁塗料を除去してから焼
付機１２に挿通し、前記絶縁被覆層２５を焼付硬化させ
る。
【００２２】次に、前記焼付硬化後の平角素線束α１０
の外周に、融着塗料槽１３の塗布ロール１３ａで融着塗
料を塗布する。前記融着塗料の材料は、例えば、ウレタ
ンやポリエステルなどの熱硬化性樹脂である。これによ
り、図１０に示すように、前記絶縁被覆層２５の外周に
保護用の融着層２６が形成された高周波用積層平角エナ
メル電線１００ａを得る。
の外周に、融着塗料槽１３の塗布ロール１３ａで融着塗
料を塗布する。前記融着塗料の材料は、例えば、ウレタ
ンやポリエステルなどの熱硬化性樹脂である。これによ
り、図１０に示すように、前記絶縁被覆層２５の外周に
保護用の融着層２６が形成された高周波用積層平角エナ
メル電線１００ａを得る。
【００２３】次に、前記高周波用積層平角エナメル電線
１００ａを焼付機１４に挿通して、前記融着層２６を焼
付硬化させて高周波用積層平角エナメル電線１００を仕
上げ、巻取機１５に巻き取る。なお、前記高周波用積層
平角エナメル電線１００は、例えば、ブロック間耐圧が
２８００Ｖ／１秒であり、耐圧５００Ｖで４万時間１８
０℃以上耐える。
１００ａを焼付機１４に挿通して、前記融着層２６を焼
付硬化させて高周波用積層平角エナメル電線１００を仕
上げ、巻取機１５に巻き取る。なお、前記高周波用積層
平角エナメル電線１００は、例えば、ブロック間耐圧が
２８００Ｖ／１秒であり、耐圧５００Ｖで４万時間１８
０℃以上耐える。
【００２４】なお、前記中心導体２２の外周に形成され
る各部材（エナメル被膜２３，接合被膜２４，絶縁被覆
層２５，融着層２６）の材料は、例えば１８０℃程度の
半田付け熱で溶ける材料とすることが電線の使い勝手を
高める見地から好都合である。また、各部材の材料は、
耐熱性と可撓性と価格のそれぞれを総合的に勘案して決
定することが好ましい。
る各部材（エナメル被膜２３，接合被膜２４，絶縁被覆
層２５，融着層２６）の材料は、例えば１８０℃程度の
半田付け熱で溶ける材料とすることが電線の使い勝手を
高める見地から好都合である。また、各部材の材料は、
耐熱性と可撓性と価格のそれぞれを総合的に勘案して決
定することが好ましい。
【００２５】上記のようにして製造された前記高周波用
積層平角エナメル電線１００において、電流分布ｉは、
図１１に示すように、各中心導体２２の全体に広がる。
すなわち、前記中心導体２２の厚さｄは極めて小さい
（上記例では０.０３ｍｍ弱）ため、表皮効果があって
も、電流が流れない部分がほとんど無くなり、導体断面
積に比して電流部分の割合を大きくすることが可能とな
る。これにより、高周波損失を低減して、高出力化に対
応できるようになる。
積層平角エナメル電線１００において、電流分布ｉは、
図１１に示すように、各中心導体２２の全体に広がる。
すなわち、前記中心導体２２の厚さｄは極めて小さい
（上記例では０.０３ｍｍ弱）ため、表皮効果があって
も、電流が流れない部分がほとんど無くなり、導体断面
積に比して電流部分の割合を大きくすることが可能とな
る。これにより、高周波損失を低減して、高出力化に対
応できるようになる。
【００２６】（実施例）図１２は、前記平角素線束α９
の断面写真の模式図である。平角素線α１の総数ｎは、
１５である。図示の都合上、長尺物９を、誇張して描画
する。前記長尺物９を巻き付けることで、全体の断面形
状が崩れることが防止され、各平角素線α１がほぼ横一
列に整列していることが判る。
の断面写真の模式図である。平角素線α１の総数ｎは、
１５である。図示の都合上、長尺物９を、誇張して描画
する。前記長尺物９を巻き付けることで、全体の断面形
状が崩れることが防止され、各平角素線α１がほぼ横一
列に整列していることが判る。
【００２７】（比較例）図１３は、上記実施例と同じ条
件で、但し前記長尺物９を巻き付けないで得た平角素線
束α９’の断面写真の模式図である。比較例では、全体
の断面形状の崩れが前記実施例よりも増大し、各平角素
線α１の配列位置がずれていることが判る。このよう
に、平角素線α１同士の隙間が不均一となると、平角素
線α１から発生する電磁場が乱れて、高周波損失が増大
してしまう。
件で、但し前記長尺物９を巻き付けないで得た平角素線
束α９’の断面写真の模式図である。比較例では、全体
の断面形状の崩れが前記実施例よりも増大し、各平角素
線α１の配列位置がずれていることが判る。このよう
に、平角素線α１同士の隙間が不均一となると、平角素
線α１から発生する電磁場が乱れて、高周波損失が増大
してしまう。
【００２８】
【発明の効果】本発明の高周波用積層平角エナメル電線
によれば、エナメル被膜付きの平角素線を積層した平角
素線束の外周に長尺物（糸やテープ）が巻き付けられて
いるので、平角素線束の断面形状が崩れたり、各平角素
線の配列位置がずれたりする不都合を防止することが出
来る。
によれば、エナメル被膜付きの平角素線を積層した平角
素線束の外周に長尺物（糸やテープ）が巻き付けられて
いるので、平角素線束の断面形状が崩れたり、各平角素
線の配列位置がずれたりする不都合を防止することが出
来る。
【００２９】また、本発明の高周波用積層平角エナメル
電線の製造方法によれば、長尺物を巻き付けることで平
角素線束の崩れを抑制した低損失電線を、インライン
（in-line）化された製造工程で効率よく製造すること
が出来る。したがって、例えば、アルミニウムや銅など
の調理器具の加熱にも対応可能な電磁調理器用加熱コイ
ルを好適に製造できるようになる。
電線の製造方法によれば、長尺物を巻き付けることで平
角素線束の崩れを抑制した低損失電線を、インライン
（in-line）化された製造工程で効率よく製造すること
が出来る。したがって、例えば、アルミニウムや銅など
の調理器具の加熱にも対応可能な電磁調理器用加熱コイ
ルを好適に製造できるようになる。
【図１】本発明の一実施形態にかかる高周波用積層平角
エナメル電線を製造する装置を示す構成図である。
エナメル電線を製造する装置を示す構成図である。
【図２】平角素線を示す断面図である。
【図３】図１の製造装置における積層工程部分を示す斜
視図である。
視図である。
【図４】接合被膜形成後の平角素線を示す断面図であ
る。
る。
【図５】積層後の平角素線束を示す断面図である。
【図６】成形後の平角素線束を示す断面図である。
【図７】図１の製造装置における巻付機を示す構成図で
ある。
ある。
【図８】長尺物巻付後の平角素線束を示す断面図であ
る。
る。
【図９】絶縁被覆層形成後の平角素線束を示す断面図で
ある。
ある。
【図１０】高周波用積層平角エナメル電線を示す断面図
である。
である。
【図１１】図１０の高周波用積層平角エナメル電線にお
ける電流分布を示す説明図である。
ける電流分布を示す説明図である。
【図１２】実施例に対応する断面写真を示す模式図であ
る。
る。
【図１３】比較例に対応する断面写真を示す模式図であ
る。
る。
【図１４】従来の高周波用エナメルリッツ電線の一例を
示す断面図である。
示す断面図である。
【図１５】図１４の高周波用エナメルリッツ電線におけ
る電流分布を示す説明図である。
る電流分布を示す説明図である。
１ 供線機
２，１１ フェルト
３ 接合塗料槽
３ａ，１０ａ，１３ａ 塗布ロール
４ 垂直スリット治具
５ 成形治具
６，１２，１４ 焼付機
７ モータ
８ ボビン
９ 長尺物
１０ 絶縁塗料槽
１３ 融着塗料槽
１５ 巻取機
２２ 中心導体
２３ エナメル被膜
２４ 接合被膜
２５ 絶縁被覆層
２６ 融着層
７０ 巻付機
１００ａ，１００ 高周波用積層平角エナメル
電線 １０００ 高周波用積層平角エナメル
電線製造装置 α１，α２，α３，α４ 平角素線 α５，α６，α９，α１０ 平角素線束 ｉ 電流分布 Ｓ スリット Ｍ 溝
電線 １０００ 高周波用積層平角エナメル
電線製造装置 α１，α２，α３，α４ 平角素線 α５，α６，α９，α１０ 平角素線束 ｉ 電流分布 Ｓ スリット Ｍ 溝
Claims (6)
- 【請求項１】 矩形断面を有する中心導体の外周をエナ
メル被膜で覆った複数本の平角素線を積層した平角素線
束と、前記平角素線束の外周に螺旋状に巻き付けられた
長尺物と、前記平角素線束および前記長尺物の外周に形
成された絶縁被覆層とを具備したことを特徴とする高周
波用積層平角エナメル電線。 - 【請求項２】 請求項１に記載の高周波用積層平角エナ
メル電線において、前記長尺物は、糸状物であることを
特徴とする高周波用積層平角エナメル電線。 - 【請求項３】 請求項２に記載の高周波用積層平角エナ
メル電線において、前記糸状物は、ナイロン糸またはテ
トロン糸であることを特徴とする高周波用積層平角エナ
メル電線。 - 【請求項４】 請求項１に記載の高周波用積層平角エナ
メル電線において、前記長尺物は、テープ状物であるこ
とを特徴とする高周波用積層平角エナメル電線。 - 【請求項５】 請求項４に記載の高周波用積層平角エナ
メル電線において、前記テープ状物は、ナイロンポリエ
ステルテープまたはカプトンテープであることを特徴と
する高周波用積層平角エナメル電線。 - 【請求項６】 矩形断面を有する中心導体の外周をエナ
メル被膜で覆った複数本の平角素線を積層する平角素線
積層工程と、前記積層後の平角素線束の外周に螺旋状に
長尺物を巻き付ける長尺物巻付工程と、前記巻付後の平
角素線束の外周に絶縁被覆層を形成する絶縁被覆層形成
工程とを含むことを特徴とする高周波用積層平角エナメ
ル電線の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001278043A JP2003086026A (ja) | 2001-09-13 | 2001-09-13 | 高周波用積層平角エナメル電線およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001278043A JP2003086026A (ja) | 2001-09-13 | 2001-09-13 | 高周波用積層平角エナメル電線およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003086026A true JP2003086026A (ja) | 2003-03-20 |
Family
ID=19102474
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2001278043A Pending JP2003086026A (ja) | 2001-09-13 | 2001-09-13 | 高周波用積層平角エナメル電線およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003086026A (ja) |
Cited By (12)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2008093645A1 (ja) * | 2007-01-30 | 2008-08-07 | Mitsubishi Cable Industries, Ltd. | 集合導体及びその製造方法 |
| JP2008186724A (ja) * | 2007-01-30 | 2008-08-14 | Mitsubishi Cable Ind Ltd | 集合導体及びその製造方法 |
| WO2009004989A1 (ja) * | 2007-06-29 | 2009-01-08 | Tokyo Institute Of Technology | 高周波用配線材料 |
| JP2009011064A (ja) * | 2007-06-27 | 2009-01-15 | Denso Corp | 回転電機のステータ及びその製造方法 |
| JP2009267074A (ja) * | 2008-04-25 | 2009-11-12 | Toyota Industries Corp | リアクトル装置 |
| JP2010050241A (ja) * | 2008-08-21 | 2010-03-04 | Totoku Electric Co Ltd | 電気機器用コイルおよびコイル用電線 |
| CN102298991A (zh) * | 2011-09-09 | 2011-12-28 | 无锡锡洲电磁线有限公司 | 改进的纸绝缘自粘漆包组合导线 |
| JP2014112506A (ja) * | 2012-11-09 | 2014-06-19 | Furukawa Electric Co Ltd:The | コイル用線材、コイル構造 |
| CN106448836A (zh) * | 2016-12-06 | 2017-02-22 | 保定天威线材制造有限公司 | 一种局部自粘漆层高温高粘合强度换位导线及其生产方法 |
| JP2018060613A (ja) * | 2016-10-03 | 2018-04-12 | 古河電気工業株式会社 | 平角電線積層装置、平角電線積層方法、及び積層平角電線の製造方法 |
| DE112007003777B4 (de) * | 2006-02-24 | 2019-11-14 | Mitsubishi Cable Industries, Ltd. | Leiteranordnung |
| KR102281216B1 (ko) * | 2020-10-30 | 2021-07-23 | (주)위즈테크놀로지 | 더미 케이블 자동 융착장치 및 융착방법 |
-
2001
- 2001-09-13 JP JP2001278043A patent/JP2003086026A/ja active Pending
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| CN106448836A (zh) * | 2016-12-06 | 2017-02-22 | 保定天威线材制造有限公司 | 一种局部自粘漆层高温高粘合强度换位导线及其生产方法 |
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Legal Events
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