JP6539024B2 - コイル、及びコイル部品 - Google Patents
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Description
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の実施形態の詳細を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
実施形態に係るコイルは、巻線を巻回してなる一対のコイル素子と、コイル素子同士を連結する連結部を有する。このコイルの主たる特徴とするところは、各コイル素子が特定の形状の巻線を特定の方向に巻回してなり、連結部がコイル素子同士をその最内周で連結して、コイル素子同士が互いに軸を共通するように配置されている点にある。以下、主として図1、2を参照してコイルを説明し、図3、4を参照してコイルの製造方法、図5,6を参照してそのコイルを備えるコイル部品を順に説明する。
コイル1は、一対のコイル素子11,12と、これらコイル素子11,12同士を連結する内側連結部13とを備える。
一対のコイル素子11,12は、導体の断面が矩形状の巻線11w,12wを多層にフラットワイズ巻きしてなる。フラットワイズ巻きは、導体の厚さ方向に巻線11w,12wを曲げて巻くことを言う。即ち、多層にフラットワイズ巻きするとは、巻線を所定のピッチで螺旋状に巻回するのではなく、同一平面上に渦巻き状に巻回することを言う。導体の厚さ方向は、導体断面の短辺に沿った方向を言う。
内側連結部13は、一対のコイル素子11,12の内側端部11i,12i同士を連結する。内側連結部13を備えることで、内側端部11i,12iをコイル素子11,12の内周面から引き出す必要がない。そのため、内側端部11i,12iをエッジワイズ方向に曲げて各コイル素子の軸方向に引き出す必要がなく、巻線11,12自体に無理な力を作用させることがない。また、巻線11w,12wの巻回後に、内側端部11i,12iがコイル素子の外側に引き出された状態となるように、巻線11w,12wの巻回時に余長を考慮しておく必要が無い。内側連結部13は、コイル素子11,12の軸方向に沿っていることが好ましい。軸方向に沿うとは、内側連結部13の長手方向がコイル素子11,12の軸方向と平行であることを言う。そうすれば、内側連結部13に対して螺旋状などの曲げ加工を施す必要がない。
巻線11w,12wは、裸の導体で構成される裸線を用いてもよいし、導体の外周にエナメル(代表的にはポリアミドイミド)などの絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線を用いてもよい。特に、後述する絶縁層14を備える場合、巻線11w,12wには裸線を好適に利用できる。絶縁層14が裸線同士の絶縁性を高められるからである。裸線を用いれば、導体の外周にエナメルを被覆しなくてもよいため、コイル1の生産性を高め易い。巻線11w,12wの巻回作業に伴い絶縁層14の形成ができるからである。
巻線11w,12wの導体の材質は、常電導材料や、超電導材料などが挙げられる。常電導材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられる。超電導材料としては、例えば、Nb−Sn系合金やNb−Ti系合金などの金属系超電導材料、Bi系(例えば、Bi2223)やRE123系などのセラミックス系超電導材料が挙げられる。常電導材料で構成すれば、超電導材料に比較すると、靭性や展延性に優れるため巻回し易くてコイルの生産性を高められる。加えて、常電導材料で構成すれば、極低温に冷却する必要がない。超電導材料で構成すれば、常電導材料に比較すると大電流を流し易い。
導体の形状は、上述のように矩形状である。巻線11w,12wの導体断面のサイズ(幅や厚さ)は、磁心2と組み合わせたコイル部品100の用途に応じたサイズ(要求される特性)を満たした上で、フラットワイズ巻きし易いサイズであることが好ましい。即ち、導体断面のサイズはコイル部品100の用途にもよるが、例えば、導体断面のアスペクト比(幅/厚さ)は、1.5以上1×105以下が挙げられ、更には3以上1×104以下が挙げられる。巻線11w,12wの導体断面幅(長辺長さ)は、例えば、0.5mm以上100mm以下が挙げられ、更には2mm以上30mm以下が挙げられる。巻線11w,12wの導体断面厚さ(短辺長さ)は、例えば、1×10−3mm以上5mm以下が挙げられ、更には1×10−2mm以上2mm以下が挙げられる。
コイル1は、コイル素子11,12の各層間に介在される絶縁層14を備えることが好ましい。絶縁層14は、巻線11w,12w(導体)間を絶縁する。図1では、説明の便宜上、絶縁層14の表面にはハッチングを付している。この点は、後述する図5、6でも同様である。
コイル1は、一対以上のコイル素子11,12を備えていてもよい。その場合、一対のコイル素子11,12を一ペアのコイル部として、複数ペアのコイル部を備えることが挙げられる。複数ペアのコイル部は、同軸上で、軸方向に並列する。そして、隣接するコイル部同士は、一方のコイル部におけるコイル素子11(12)の外側端部11o(12o)と、他方のコイル部におけるコイル素子12(11)の外側端部12o(11o)とを外側連結部(図示略)により連結する。外側連結部は、両コイル部とは独立した部材、例えば、上述の内側連結部13と同様の部材で構成することが挙げられる。外側連結部の形状・断面積・材質は、各コイル素子11,12を構成する巻線11w,12wの形状・断面積・材質と同一とすることが好ましい。外側連結部と両コイル部の外側端部11o,12oとの連結(接合)は、上述したようにはんだ付けなどで行える。
コイル1の製造は、例えば、巻芯200を利用することで行える(図3,4)。巻芯200には、強度に優れた適宜な棒材が好適に利用できる。コイル1の各コイル素子11,12は巻線11w,12wをフラットワイズ巻きしてなるため、巻線11w,12wの巻芯200への巻き付けが容易である。具体的には、巻芯200を固定して巻線11w、12wを巻き付けたり、巻芯200を回転させて巻線11w,12wを巻芯200に巻き取らせたりすることでコイル1を製造する。まず、巻線11w,12wと、内側連結部13と、巻芯200とを準備する。
巻線11w,12wの一方の端部(内側端部11i)の裏面と内側連結部13の表面とを接合する。例えば、図2右図に示すように、矩形板状の内側連結部13の一端に一方のコイル素子11となる巻線11wの一端を直交するように接合し、矩形板状の内側連結部13の他端に他方のコイル素子12となる巻線12wの一端を直交するように接合する。但し、一方のコイル素子11となる巻線11wと他方のコイル素子12となる巻線12wの引き出し方向は、内側連結部13に対して互いに反対側とする。次に、巻芯200に内側連結部13の裏面を固定させる(図3左図)。その状態で、矢印方向に一方の巻線11wと他方の巻線12wとを巻き付けて両コイル素子11,12を作製する(図3右図)。このとき、巻芯200の周方向に沿って、一方の巻線11wを回転させて巻芯200に巻き付けることで一方のコイル素子11を作製した後、他方の巻線12wを一方の巻線11wとは反対方向に回転させて巻芯200に巻き付けることで他方のコイル素子12を作製してもよい。或いは、両巻線11w、12wを互いに反対方向に回転させて同時に巻き付けることで両コイル素子11,12を同時に作製してもよい。
巻芯200に内側連結部13の裏面を固定させる(図4左図)。続いて、巻線11w、12wと内側連結部13とが別部材の場合(図2右図)、内側連結部13の表面と一方の巻線11wとを接合する(図4左から2番目の図)。例えば、矩形板状の内側連結部13の一端に一方のコイル素子11となる巻線11wの一端を直交するように接合する。そして、矢印方向に巻芯200を回転させて巻線11wを巻き取ることでコイル素子11を作製する(図4左から3番目の図)。次に、内側連結部13の表面に他方の巻線12wをはんだ付けなどで接合する(図4左から4番目の図)。例えば、矩形板状の内側連結部13の他端に他方のコイル素子12となる巻線12wの一端を直交するように接合する。このとき、他方のコイル素子12となる巻線12wの引き出し方向は、内側連結部13に対して一方のコイル素子11となる巻線11wの引き出し側と反対とする。そして、一方の巻線11wを巻き取る場合と反対方向に巻芯200を回転させて巻線12wを巻き取ることでコイル素子12を作製する(図4右図)。
上述のコイル1によれば、外部機器などとの接続作業性に優れる。その理由は次の通りである。(1)外側端部11o,12o自体の取り回しや外側端部11o,12oと外部機器との接続作業をスペースが比較的広いコイル1の外周側で行える。(2)外部機器などとの接続のために、内側端部11i,12iをコイル素子11,12の最内周から引き出す必要がない。(3)接続導体をコイル素子11,12の最内周の内側端部11i,12iに接続する必要がない。上記(1)は、巻線11w,12wを多層にフラットワイズ巻きしてコイル素子11,12を形成することで、外側端部11o,12oをコイル素子11,12の最外周に引き出すことができるためである。上記(2)、(3)は、コイル素子11,12の最内周の内側端部11i,12i同士を内側連結部13により連結しているためである。また、このコイル1は、外部機器などとの接続作業性に優れるため、コイル部品のコイルに好適に利用できる。
図5,6を参照してコイル部品の一例を説明する。コイル部品100は、上述のコイル1と、このコイル1が配置される磁心2とを備える。
コイル1は、上述の一対のコイル素子11,12と上述の内側連結部13とを備える(図5,6)。巻線11w,12wの導体及び内側連結部13は、上述の常電導材料で構成する。コイル素子11,12の各層間には、絶縁層14を設けている。
磁心2は、コイル1が配置される部分を有するEコア21と、コイル1が配置されず、Eコア21と連結してEコア21と共に閉磁路を形成するIコア22とを組み合わせたE−Iコアを備える。磁心2の形態は、このE−Iコアを備える形態に限らず、例えば、一対のE字コアを組み合わせたE−Eコアを備える形態、T字コアとU字コアとを組み合わせたT−Uコアを備える形態、環状のコア(O字コア)を備える形態、四つのI字コアを環状に組み合わせた四角枠状のコアを備える形態など種々の形態とすることができる。各コア間には、ギャップ材やエアギャップを設けることもできる。
Eコア21及びIコア22は、公知の軟磁性材を利用することができる。軟磁性材は、例えば、軟磁性粉末を加圧成形した圧粉成形体、樹脂中に軟磁性粉末が分散された磁粉分散樹脂成形体、複数の電磁鋼板を積層した積層体、焼結体などを利用できる。軟磁性粉末は、代表的には、純鉄(純度99質量%以上)や、Fe−Si−Al系合金、Fe−Si系合金、Fe−Al系合金、Fe−Ni系合金などの鉄合金などが挙げられる。軟磁性粒子は、その表面に形成される絶縁被膜を備えていてもよい。絶縁被膜の材料は、例えば、リン酸塩、シリコーン樹脂などの絶縁性樹脂、シリカなどの酸化物が挙げられる。軟磁性粒子の表面に絶縁被膜を有することで、特に各コアを圧粉成形体で構成する場合、渦電流損を低減できて磁心の磁気特性を向上できる。上記樹脂は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂やPPS樹脂などの熱可塑性樹脂を利用できる。ここでは、両コア21、22は、圧粉成形体で構成する。
コイル1と磁心2(内側張出部21i)との間を絶縁する絶縁部材(図示略)を備えていてもよい。特に、コイル1の最内周に絶縁層14が設けられておらず裸の導体が配置されている場合には、絶縁部材を備えることでコイル1と磁心2との間の絶縁性を高められるため好ましい。絶縁部材は、例えば、絶縁テープ・絶縁紙・絶縁シートによる被覆や、絶縁性樹脂の被覆(射出成形など)、絶縁材の塗装、別途作製してコイル1や磁心2に組み付けるボビンなどで構成することが挙げられる。絶縁部材の構成材料は、上述した絶縁層14と同様の材料が挙げられる。なお、上述したようにコイル1の最内周に絶縁層14が設けられている場合には、絶縁部材は備えていなくてもよい。
コイル部品100の製造は、予めコイル1を作製しておき、磁心2に組み合わせることで行ったり、磁心2の形状によるが、磁心2に対して巻線11w,12wなどを巻き付けることで行える。予めコイル1を作製しておく場合、コイル1は上述の「コイルの製造方法」と同様に、磁心以外の巻芯を利用して作製する。一方、磁心に対して巻線を巻きつける場合、磁心を上述した巻芯として用いることで作製できる。
上述のコイル部品100によれば、外側端部11o,12oと外部機器との接続作業性に優れる。これは、外側端部11o,12oがコイル素子11,12の最外周に配置されているからである。また、コイル部品100は、生産性に優れる。その理由は次の通りである。(1)コイル1と磁心2との組み合わせ作業を行い易い。(2)磁心2に巻線11w,12wなどを巻きつけてコイル部品100を製造する場合、巻線11w,12wの巻回作業を簡素化できる。(3)コイル部品100を製造した後に内側端部11i,12iをコイル素子11,12の最内周から外側に引き出す必要がない。(4)内側端部11i,12iに接続導体などを別途接続する必要がない。上記(1)、(3)、(4)は、コイル素子11,12の最内周の内側端部11i,12i同士を内側連結部13により連結しているためである。より具体的に上記(1)は、内側端部11i,12iや内側端部11i,12iに接続される接続導体などがコイル素子11,12の最内周から外側に引き出されていない。そのため、内側端部11i,12iや接続導体などによりコイル1と磁心2との組み合わせが阻害され難いからである。上記(2)は、巻線11w、12wの巻回後に、内側端部11i,12iがコイル素子11、12の最内周から外側に引き出された状態となるように、巻線11w,12wの巻回時に余長を考慮して置く必要がないからである。
1 コイル
11、12 コイル素子
11w,12w 巻線
11i,12i 内側端部
11o,12o 外側端部
13 内側連結部
14 絶縁層
2 磁心
21 Eコア 22 Iコア
21b、22b 基部
21i 内側張出部
21o 外側張出部
200 巻芯
Claims (5)
- 導体の断面が矩形状の巻線を多層にフラットワイズ巻きして、前記巻線の一端が最内周に配置され、前記巻線の他端が最外周に引き出される一対のコイル素子と、
前記巻線の前記一端同士を連結する内側連結部とを備え、
前記一対のコイル素子と前記内側連結部とが互いに独立した別部材で形成され、
前記一対のコイル素子は、互いに軸を共通するように配置され、
前記一対のコイル素子同士の間には間隔が設けられているコイル。 - 前記巻線の導体が、常電導材料で構成されている請求項1に記載のコイル。
- 前記内側連結部が、前記コイル素子の軸方向に沿っている請求項1又は請求項2に記載のコイル。
- 前記コイル素子の各層間に介在される絶縁層を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコイル。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコイルと、前記コイルが配置される磁心とを備えるコイル部品。
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