JP5252379B2 - リアクトル用コイルの製造方法 - Google Patents

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本発明は、車載用DC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に好適なリアクトル、このリアクトルの構成部品に適したリアクトル用コイル、及びこのコイルの製造方法に関するものである。特に、複数の異なる機能を有するリアクトルの構成部品に適したコイルを生産性よく製造することができるリアクトル用コイルの製造方法に関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば、特許文献1は、ハイブリッド自動車などの車両に載置されるコンバータの構成部品として、スイッチング素子のON/OFFのスイッチング動作により発生する電流を平滑化するリアクトルを開示している。このリアクトルは、1本の巻線を巻回してなるコイルと、このコイルが配置される環状の磁性コアと、上記コイルと磁性コアとの組合体を収納するケースと、ケース内に充填されて上記組合体を封止する樹脂とを具える。このリアクトルは、通電に伴い発熱したコイルなどを冷却できるように冷却ベースに上記ケースを設置して使用される。
近年、従来のコンバータよりもスイッチング損失が少ないソフトスイッチングが可能な共振形のDC-DCコンバータが検討されている(特許文献2)。このコンバータは、平滑用のリアクトルに加えて、共振用のリアクトル及び共振用のスイッチング素子を具える補助回路を具える。
特開2007-116066号公報 特開2007-043852号公報
しかし、特許文献2では、ソフトスイッチングが可能なリアクトル(インダクタ)の具体的な構造を開示していない。例えば、平滑用リアクトルと共振用リアクトルとを独立した別部材とすることが考えられる。ところが、この構成では、平滑用リアクトル及び共振用リアクトルの双方の構成部品(コイル及び磁性コア)をそれぞれ作製して組み付ける必要があり、工程数が多い。また、この構成では、平滑用リアクトル及び共振用リアクトルの双方を設置するスペースが必要となるため、設置面積が小さく小型であることが望まれる車載部品などに好ましくない。従って、複数の異なる機能を有していながらも生産性に優れ、小型なリアクトルの開発が望まれる。
そこで、本発明の目的は、複数の異なる機能を有するリアクトルの生産性の向上に寄与することができるリアクトル用コイル、及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、複数の異なる機能を有すると共に、小型で、生産性に優れるリアクトルを提供することにある。
複数の異なる機能を有するリアクトルを生産性よく製造するにあたり、部品点数の低減、及び工程数の低減を図る。そこで、磁性コアを共通に利用すると共に、磁性コアにコイルを配置する工程を低減するために、複数の異なる機能のリアクトルに利用される複数のコイルを一つの集合体とする。そして、本発明は、異なる機能に利用される複数のコイルを同時に作製することで、上記目的を達成する。
本発明のリアクトル用コイルの製造方法は、複数の異なる巻線を各巻線の軸方向が平行するように並べて同時に巻回して、機能が異なる複数のコイルが同軸状に並べられたコイル集合体を形成する工程を具える。
上記本発明製造方法によれば、複数のコイルを一度に形成することができ、リアクトル用コイルの生産性に優れる上に、各コイルを異なる機能に利用することができる。即ち、上記本発明製造方法は、異なる機能に利用される複数のコイルを一度に製造することができる。また、上記本発明製造方法により得られたリアクトル用コイル(コイル集合体)は、同軸状に配置された一体物となっているため、共通する一つの磁性コアに同時に配置させることができる。従って、上記本発明製造方法により得られたリアクトル用コイルを利用することで、複数の異なる機能を有するリアクトルを生産性よく製造することができる。そして、得られたリアクトルは、例えば、双方向のソフトスイッチングコンバータの構成部品に利用することができ、複数のコイルのうち一つのコイルと磁性コアとを、昇圧動作及び降圧動作の少なくとも一方を行う平滑用リアクトルとして機能させることができ、他のコイルと同じ磁性コアとを、ソフトスイッチングを行う共振用リアクトルとして機能させることができる。更に、上記製造方法により得られたリアクトル用コイルは、各コイルが近接して配置された集合体であるため、小型である。従って、このリアクトル用コイルを具えるリアクトルは、複数の異なる機能を有していながら、小型である。
上述のように複数の巻線を並列にして同時に巻回するにあたり、特に、複数の巻線を繰り出す工程と、繰り出された複数の巻線を矯正する工程と、複数の巻線を集合させる工程と、矯正すると共に集合させた前記複数の巻線を巻回する工程とを具えることが好ましい。
上記構成によれば、巻胴などに巻回されていた巻線の巻き癖や、集合するまでの間に巻線に導入される変形やねじれなどを矯正することで、これらの変形などを低減することができる。そのため、複数の巻線を一括して繰り出す場合であっても、複数の巻線間に隙間が少ない緻密なコイル集合体を形成することができる。
上記複数の巻線は、種々の仕様の巻線を利用することができ、代表的には、導体と、導体の外周を覆う絶縁層とを具える被覆線が挙げられる。全ての巻線が同じ仕様(導体の断面形状、導体の材質、導体の大きさ、絶縁層の材質や厚さなど)でもよいし、複数の巻線のうち少なくとも一つが異なる仕様でもよい。上記複数の巻線のうち、少なくとも一つは、横断面が矩形状(代表的には長方形状)である平角線を導体とする巻線とすると、導体が丸線からなる巻線を利用する場合と比較して、占積率の高く、小型なコイルを得易い。
上記複数の巻線は、種々の配置状態で巻回することができる。例えば、上記複数の巻線のうち、少なくとも二つの巻線を横並びにして巻回する形態が挙げられる。複数の巻線を横並びに巻回するとは、形成されたコイル集合体の軸方向に複数の巻線が隣り合って配置されるように、複数の巻線をその軸方向が平行するように並べて巻回することを言う。
上記構成によれば、各コイルを構成する巻線が、任意のコイルの軸方向に交互に並んで配置されたコイル集合体が得られ、このコイル集合体は、漏れインダクタンス(リーケージ)が小さい。横並びにする巻線の本数は、特に問わない。巻線の本数によっては、例えば、複数本ずつ交互に異なる巻線がコイル集合体の軸方向に並んだコイルが得られる。この場合、一部のコイルを上述した平滑用リアクトルのコイルとし、他部のコイルを上述した共振用リアクトルのコイルに利用することができる。このように機能の異なる各コイルを構成する巻線の本数を異ならせることができ、流される電流などに応じて、巻線の本数を選択するとよい。
或いは、上記複数の巻線のうち、少なくとも二つの巻線を縦積みにして巻回する形態が挙げられる。複数の巻線を縦積みに巻回するとは、形成されたコイル集合体を構成する各コイルが同心状に積層されて配置されるように、複数の巻線をその軸方向が平行するように並べて巻回することを言う。
上記構成によれば、複数のコイルが同心状に重なり合って配置されたコイル集合体が得られ、このコイル集合体は、コイルの軸方向の長さが短く、小型である。縦積みにする巻線の本数は、特に問わない。上記構成によれば、例えば、以下の本発明リアクトル用コイルが得られる。本発明のリアクトル用コイルは、複数の巻線を同軸状に巻回してなる主コイルと、上記主コイルを構成する巻線とは別の巻線を巻回してなり、上記主コイルと異なる機能に用いられる副コイルとを具える。そして、上記副コイルは、上記主コイルの外周に同心状に配置されている。この場合も、機能の異なる各コイルを構成する巻線の本数を異ならせることができ、例えば、巻線の本数が多い主コイルは、流される電流が大きい平滑用リアクトルのコイルに利用し、巻線の本数が少ない副コイルは、流される電流が比較的少ない共振用リアクトルのコイルに利用することができる。
上記横並び及び縦積みのいずれの形態においても、導体断面が等しい巻線としてもよいし、導体断面が異なる巻線を利用してもよい。特に、導体断面が大きな巻線は、流される電流が大きい用途のコイル(例えば、平滑用リアクトルのコイル)に好適に利用することができる。
また、上記横並び形態及び縦積み形態とを組み合わせて巻線を巻回してもよい。このとき、例えば、複数の巻線を横並びにすると共に、これら横並びにした複数の巻線に別の巻線を縦積みにして同時に巻回することで、以下の本発明リアクトル用コイルが得られる。本発明のリアクトル用コイルは、複数の巻線を同心状に巻回してなる主コイルと、上記主コイルを構成する巻線とは別の巻線を巻回してなり、上記主コイルと異なる機能に用いられる副コイルとを具える。そして、上記副コイルを構成するターンが上記主コイルを構成するターン間に存在する。
上記構成によれば、巻線の本数が多い主コイルは、副コイルよりも導体断面が大きくなる。従って、この主コイルを上述のように流される電流が大きい平滑用リアクトルのコイルに、副コイルを共振用リアクトルのコイルに好適に利用することができる。また、この本発明リアクトル用コイルは、上述のようにリーケージが小さい。
上記本発明リアクトル用コイルは、リアクトルの構成部品に好適に利用することができる。本発明のリアクトルは、上記本発明リアクトル用コイルと、このコイルが配置される磁性コアとを具える。そして、上記主コイルを構成する巻線の一端部と、上記副コイルを構成する巻線の一端部とが接合されている。
上記構成によれば、例えば、主コイル及び磁性コアを平滑用リアクトルとして機能させ、副コイル及び同じ磁性コアを共振用リアクトルとして機能させることで、一つのリアクトルでありながら、昇圧動作や降圧動作に加えて、ソフトスイッチングを行える。また、上記構成によれば、主コイル及び副コイルが、共通の一つの磁性コアを利用しているため、平滑用リアクトルと共振用リアクトルとを独立した別部材とする場合と比較して、製造工程が少なく生産性に優れる上に、設置面積が小さく、小型である。上記巻線の一端部同士の接合は、リアクトル用コイルを磁性コアに組み付ける前後の任意のときに行える。巻線の少なくとも一つの導体が平角線であると、接触面積を高められて上記接合を行い易い。
本発明リアクトル用コイルの製造方法は、複数の異なる機能を有するコイル集合体を生産性よく製造することができる。本発明リアクトルは、複数の異なる機能、例えば、昇圧動作や降圧動作に加えて、ソフトスイッチングを行えるといった機能を有する上に、生産性に優れる。本発明リアクトル用コイルを利用することで、上記複数の異なる機能を有するリアクトルの生産性を向上することができる。
図1は、本発明リアクトル用コイルの製造方法の実施に利用するコイル製造装置の概略構成を示す説明図である。 図2は、複数の巻線を横並びにして巻回した本発明リアクトル用コイルの製造方法により得られたリアクトル用コイルの模式説明図であり、図2(A)は、導体断面が等しい巻線を2本同時に巻回した例、図2(B)は、導体断面が異なる巻線を2本同時に巻回した例、図2(C)は、横並び及び縦積みを組み合わせて巻回した例である。 図3は、複数の巻線を横並びにして巻回した本発明リアクトル用コイルの製造方法により得られた別のリアクトル用コイルの模式説明図である。 図4は、複数の巻線を縦積みにして巻回した本発明リアクトル用コイルの製造方法により得られたリアクトル用コイルの模式説明図であり、図4(E)は、導体断面が等しい巻線を2本同時に巻回した例、図4(F)は、導体断面が異なる巻線を2本同時に巻回した例、図4(G)は、3本の巻線を縦積みにして巻回した例である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、図2〜4では、分かり易いように、主コイルを構成する巻線を□、副コイルを構成する巻線を○で示す。また、図2〜4において、(n-I)は、図1のX-X断面、(n-II)は、磁性コアにコイル集合体を配置させた状態の上面図であって、コイル集合体を断面で示し、(n-III)は、コイル集合体の端面を示す(n=A,B,C,D,E,F,G)。更に、図2〜4では、巻線の端部、巻返し部、巻線同士の連結箇所を省略している。
(実施形態1)
以下、図1,2,3を参照して、実施形態1のリアクトル用コイルの製造方法を説明する。この製造方法は、例えば、図2,3に示すようなリアクトル1A〜1Dに利用されるリアクトル用コイル(コイル集合体10A〜10D)を製造する際に利用される。まず、リアクトル1Aの構成を説明する。なお、リアクトル1A〜1Dの基本的構成、及びリアクトル用コイル(コイル集合体10A〜10D)の基本的構成は同様であり、ここでは、代表してリアクトル1A及びコイル集合体10Aを詳細に説明する。
[リアクトル1Aの全体構成]
リアクトル1Aは、巻線を巻回してなるリアクトル用コイル(コイル集合体10A)と、コイル集合体10Aが配置される環状の磁性コア2とを具える。コイル集合体10Aは、巻線11wから構成される主コイル11と、主コイル11を構成する巻線11wとは別の巻線12wから構成される副コイル12とを具えており、副コイル12を構成する各ターンが主コイル11を構成するターン間に配置された一体物となっている。リアクトル1Aは、主コイル11及び副コイル12を具えるコイル集合体10Aに対して一つの磁性コア2を具える。また、主コイル11を構成する巻線11wの一端部と副コイル12を構成する巻線12wの一端部とは、接合されている。このリアクトル1Aにおいて磁性コア2及び主コイル11は、例えば、コンバータに具えるスイッチング素子のON/OFFのスイッチング動作により発生する電流を平滑化する平滑用リアクトルとして機能する。磁性コア2及び副コイル12は、上記スイッチング動作の損失を低減するためにソフトスイッチングに利用される共振用リアクトルとして機能する。このようにリアクトル1Aは、複数の異なる機能を有する複数のコイル(主コイル11、副コイル12)からなるコイル集合体10Aを具える。
[コイル集合体10A]
《全体構成》
コイル集合体10Aは、上述のように異なる巻線11w,12wから構成される主コイル11と副コイル12とを具え、主コイル11を構成する各ターンの巻線11wと、副コイル12を構成する各ターンの巻線12wとが1本ずつ交互に配置されている。即ち、両コイル11,12は同軸状に配置されている。ここでは、副コイル12のターン数が主コイル11より少ないため、副コイル12は、主コイル11の一部にのみ存在している。
《主コイル》
主コイル11を構成する巻線11wは、横断面(端面)が長方形状の平角線からなる導体の外周にエナメルからなる絶縁層を具える被覆平角線である。主コイル11は、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにしてなるエッジワイズコイルである。コイル集合体10Aでは、一対の主コイル11を具える。両主コイル11は、各軸方向が平行するように並列に配置されており、巻線11wの一部からなる巻返し部(図示せず)により連結されて一体物となっている。各主コイル11は、図2(A-III)に示すように角部を丸めた長方形枠状の端面形状であり、巻線11wが直線状に配置された直線部13(図1)と、この直線部に繋がり、巻線11wが湾曲された湾曲部14(図1)とを具える角Rコイルである。以下、巻線11wからなる巻返し部と、この巻返し部により連結された一対の主コイル11とをまとめて主コイル部と呼ぶ。
《副コイル》
副コイル12を構成する巻線12wは、巻線11wとは別の被覆平角線である。ここでは、巻線11wと巻線12wとは、平角線の幅及び厚さが等しい同じ仕様のものを利用している。副コイル12も主コイル11と同様のエッジワイズコイルである。また、コイル集合体10Aでは、上述の主コイル11と同様に並列に配置された一対の副コイル12を具え、各副コイル12も主コイル11と同様の端面形状の角Rコイルである。両副コイル12は、各副コイル12を構成する巻線12wの一端部同士を接合することにより連結されている。後述する各種の溶接などにより上記一端部同士を直接接合してもよいし、上記一端部に端子部材や接続板などを取り付けてこれらを介して接合してもよい。以下、上記連結された一対の副コイル12をまとめて副コイル部と呼ぶ。
上記構成を具えるコイル集合体10Aは、例えば、図1に示すコイル製造装置20により製造することができる。
《コイル製造装置》
装置20は、巻胴に巻き取られた巻線10wを繰り出すサプライ21と、各巻線10wを矯正する矯正部22と、複数の巻線10wを集合させる集合部23と、集合された巻線群10gを螺旋状に巻回してコイル集合体10を形成する巻回部24とを具える。
この装置20は、複数のサプライ21a,21b,21c,…を具えており、各サプライ21は、それぞれ別の巻線10wが巻き取られている。例えば、サプライ21aには、巻線11w、サプライ21bには、巻線12wが巻き取られている。各サプライ21の配置位置は、コイル集合体10の形態に応じて変更可能である。例えば、コイル集合体10Aを形成する場合、巻線11wが巻き取られたサプライ21aと、巻線12wが巻き取られたサプライ21bとを互いに同じ高さに配置し、巻線11wの繰り出し及び巻線12wの繰り出しを各サプライ21a,21bのほぼ等しい位置から行う。このように、複数のサプライ21を立体的に配置することで、複数の巻線10wを各巻線10wの軸方向が平行するように繰り出すときに生じる水平方向の位置のずれや高さ方向の位置のずれを低減して、巻線10wの走行中に生じ得る変形やねじれなどを低減する。従って、巻線11w,12w間に隙間が少ない緻密なコイル集合体10Aを形成することができる。
上記各サプライ21はそれぞれ、水平方向及び高さ方向(水平方向に直交する方向)にトラバース可能な構成とすると、複数の巻線10wを一括して繰り出した場合であっても、各巻線10wの繰り出し位置をほぼ一定に保持することができ、上述した走行時の変形などを低減して、緻密なコイル集合体10を形成することができて好ましい。上記トラバース機構は、巻胴に巻き取られている巻線10wの残量を適宜なセンサで測定し、この測定量に応じて移動可能な構成が挙げられる。
また、この装置20は、光電センサ(図示せず)を具えており、各サプライ21からの巻線10wの繰り出し状態を把握し、各サプライ21からの巻線10wの繰り出しを巻回部24の巻回動作に同調させることで、各巻線10wに作用する張力を一定に保持している。この構成では、一般的なダンサローラを用いて張力を一定にする場合に比較して、上述した走行時の変形などを低減して、緻密なコイル集合体10を形成することができる。
また、装置20は、各サプライ21から繰り出された巻線10wをそれぞれ矯正するための複数の矯正部22を具える。各矯正部22は、巻線10wを挟持するように千鳥状に配置された複数の溝付きロールを具える。巻線10wを矯正部22に通過させることで、上述した走行時の変形などを矯正すると共に、巻線10wに張力を付与する。
集合部23は、複数の巻線10wを挟持するように、千鳥状に配置された複数の溝付きロール(図示せず)を具える。溝付きロールの溝の形状は、集合する巻線10wの形状に応じて適宜変更することができる。この溝付きロールに複数の巻線10wを一度に通過させることで、複数の巻線10wを束ねて巻線群10gとすることができる。コイル集合体10Aでは、図2(A-I)に示すように巻線11wと巻線12wとが横並びにされた巻線群10gを巻回する。より具体的には、巻線11w及び巻線12wにおいて、長方形状の端面に直交する四つの側面のうち、幅広の面同士が隣り合って並ぶように巻線11w,12wを繰り出して巻回する。
上記溝付きロールを通過させることで、複数の巻線10wを束ねられると共に、巻線10wを矯正することができ、コイル集合体10を構成する各コイル間に余分な隙間が生じることを低減することができる。溝付きロールの数、大きさなどは適宜選択することができる。装置20では、矯正部22に加えて、集合部23でも巻線10wを矯正することで、緻密なコイル集合体10を形成することができる。
巻回部24は、巻線群10gを螺旋状に巻回する作業部分であり、巻線群10gを曲げる際に曲げの内周側に配置されて曲げの中心となる丸棒芯部24aと、巻線群10gを丸棒芯部24aの周面に押し付けて巻線群10gを丸棒芯部24aの周面に沿って曲げる曲げ部24bと、曲げ部24bを駆動する曲げ駆動部(図示せず)とを具える。ここでは、直線部13と湾曲部14とを具える角Rコイルを形成することから、曲げ部24bの長さは、巻線群10gにおいて直線部13(ここでは特に長辺部分)を形成する箇所の長さよりも長いと、巻線群10gを安定して精度よく曲げることができて好ましい。また、巻線群10gを挟持するように配置される一対のガイドを具えた構成とすると、巻線群10gがバラバラになり難く、纏まった状態で曲げることができて好ましい。
上記曲げ部24bの曲げ動作に同期して、上述した各サプライ21の巻胴の回転、矯正部22の溝付きローラの回転、集合部23の溝付きローラの回転などが行われる。
その他、巻回部24は、繰り出し量を測定する巻線長測定センサ(例えば、非接触式センサ)、巻線群10gが螺旋状に巻回されるように、巻線群10gにおけるコイルの軸方向の位置を少しずつずらすために巻線群10gを押える押え部(図示せず)を具える。巻回部24の基本的な構成は、角Rコイルの形成に利用される市販の巻回装置と同様であり、市販の巻回装置を利用することができる。
その他、装置20は、各種のセンサの測定情報を入力する情報入力部、設定値などを記憶する記憶部、設定値などを記憶部などに入力する設定値入力部、設定値と測定値とを比較する比較判断部、各部に命令を出す命令部などを具える制御手段(図示せず)を具える。例えば、設定値入力部を利用して記憶部に、予め設計したサプライ21の繰り出し情報、巻線において直線部及び湾曲部の形成箇所の長さなどの情報を入力しておく。比較判断部は、記憶部から呼び出した設定値と、情報入力部に入力された測定情報とを比較判断する。命令部は、判断結果に基づき、例えば、トラバース機構に指令を出して、各サプライ21の位置を変動させたり、曲げ部24bの駆動機構に指令を出して、巻線を直進させたり、湾曲させたり、光電センサからの測定情報に基づき、各サプライ21の回転速度を制御したりする。このような制御手段は、例えば、市販のコンピュータを利用することができる。
上記構成を具えるコイル製造装置20を用いて、コイル集合体10Aを形成する手順を説明する。
まず、巻線11w,12wをサプライ21a,21bから繰り出して、矯正部22を通過させてそれぞれを矯正する。矯正された巻線11w,12wは、集合部23に送られて集合され、巻線群10gとなる。集合部23を通過することで、巻線11w,12wは、上述のように走行時の変形などやサプライ21の巻胴に巻回されていたことによる巻き癖などを矯正することができ、巻線11w,12wを密着させることができる。従って、巻線11w,12w間に隙間が少ない巻線群10gとすることができる。
上記巻線群10gは、巻回部24に送られ、巻回部24は、巻線11w,12wを同時に巻回する。具体的には、巻線群10gにおいてコイル集合体10Aの直線部13(ここでは主として長辺部分)を形成する箇所は、巻回部24に直線状に所定の長さだけ送られる。
上記直線部13に繋がる湾曲部14を形成する箇所は、曲げ駆動部により駆動された曲げ部24bにより丸棒芯部24aの周面に沿って曲げられる。なお、巻線群10gの曲げにあたり、巻線群10gの浮き上がりを低減するために、装置20の巻回部24の直前に押え部(図示せず)を設けてもよい。
上記湾曲部12の形成に引き続いて、直線部13(短辺部分)の形成を行う。このとき、曲げ駆動部は曲げ部24bを元の位置まで戻し、巻線群10gを所定の長さだけ直線状に送る。
次に、巻線群10gにおいて上記直線部(短辺部分)に繋がる湾曲部14を上述のように曲げ部24bにより形成する。湾曲部14を形成したら、上述のように曲げ部24bを元に位置に戻す。
以下、直線部13と湾曲部14との形成を上述のように繰り返し行うことで、角を丸めた長方形枠状の端面形状を有する二つのコイル(ここでは主コイル11と副コイル12)が同軸状に並べられたコイル集合体が得られる。図1では、1ターンのみ示すが、上記工程を繰り返すことで紙面の奥から手前側に向かって順次ターンが形成されていき、複数のターンを具えるコイルが得られる。形成途中のコイル集合体10が巻き崩れなどし難いように所定の形状を保持するために、巻回部24には巻回された巻線の両側を挟む治具(図示せず)を具えると、コイル集合体10の成形性を高められる。
コイル集合体10Aでは副コイル部の両副コイル12のターン数が主コイル部の両主コイル11よりも少ないため、コイル集合体10Aの製造には、途中から主コイル11のみを形成する工程を含む。具体的には、副コイル部の一方の副コイル12の形成が終わったら、サプライ21bの繰り出しを一時的に停止して装置20に具える切断部(図示せず)などにより巻線12wを切断する。そして、サプライ21aの繰り出しのみを行って、主コイル部の一方の主コイル11の形成を行う。この一方の主コイル11の形成が終わったら、巻返し部に必要な分だけ巻線11wを直線状に送り、引き続いて、主コイル部の他方の主コイル11を形成する。そして、この他方の主コイル11の形成途中から、サプライ21bの繰り出しを開始して、副コイル部の他方の副コイル12を上記他方の主コイル11と共に形成する。所定数のターンを形成したら、装置20に具える切断部(図示せず)などにより巻線群10gを切断する。そして、巻返し部を公知の手法により形成したり、両副コイル12を接合することで、コイル集合体10Aが得られる。
なお、主コイル11と副コイル12のターン数が同じ場合は、巻線11w,12wによる同時巻回を繰り返し行うとよい。この場合、巻線12wの一部からなる巻返し部により両副コイル12を連結する形態としてもよい。この形態では、両主コイル11を繋ぐ巻返し部に必要な分だけ巻線11wを直線状に送るとき、同時に、両副コイル12を繋ぐ巻返し部に必要な分だけ巻線12wを直線状に送るとよい。そして、巻返し部を形成する際に複数の巻線11w,12wがばらけないようにテープなどで固定してから形成すると作業性がよい。
或いは、巻線11wのみを供給して一方の主コイル11のみを先に形成し始め、この主コイル11の形成途中から巻線12wも供給して一方の副コイル12を同時に形成してもよい。この場合、両主コイル11の連結箇所と両副コイル12の連結箇所とを同じ側に形成できるため、両コイル部共に巻返し部を具える形態としてもよい。
《主コイル部及び副コイル部の端部》
主コイル部を構成する巻線11wの両端部(図示せず)、及び副コイル部を構成する巻線12wの両端部(図示せず)は、適宜延伸されている。そして、上述のように主コイル部を構成する巻線11wの一端部、及び副コイル部を構成する巻線12wの一端部は、絶縁層を剥いで導体同士を接合する。この接合には、例えば、TIG溶接、レーザ溶接、抵抗溶接などの溶接、その他、圧着、冷間圧接、振動溶着を好適に利用することができる。
上記接合された両コイル部の一端部に対して、一つの端子部材(図示せず)が接続される。また、主コイル部を構成する巻線11wの他端部、及び副コイル部を構成する巻線12wの他端部にもそれぞれ端子部材が接合される。端子部材の取り付けには、上記TIG溶接などの溶接の他、圧着などを利用することができる。これらの端子部材を介して、各コイル部に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。
なお、両コイル部の一端部同士を直接接合せず、それぞれに端子部材を取り付け、端子部材を介して一端部同士を接合してもよい。各コイル11,12を構成する巻線の形状や大きさなどが異なる場合、上述のように端子部材を介することで、一端部同士を容易に接合することができる。
[磁性コア10]
次に、上記コイル集合体10A〜10Dが配置される磁性コア2を説明する。磁性コア2は、主コイル部の一方の主コイル11及び副コイル部の一方の副コイル12が配置される直方体状のコイル巻回部2cと、主コイル部の他方の主コイル11及び副コイル部の他方の副コイル12が配置される直方体状のコイル巻回部2cと、主コイル11及び副コイル12が実質的に配置されない一対の端部コア2eとを有する。離間して並列される上記一対のコイル巻回部2cを挟むように、上記一対の端部コア2eが離間して配置されて閉ループ状(環状)の磁性コア2が形成される。この磁性コア2は、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性材料からなる磁性体片とアルミナなどの非磁性材料からなるギャップ材(図示せず)とからなる。コイル巻回部2cは、磁性体片とギャップ材とを交互に積層して構成され、端部コア2eは、磁性体片から構成される。磁性体片には、軟磁性粉末の圧粉成形体や、複数の電磁鋼板を積層した積層体が利用できる。ギャップ材は、インダクタンスの調整のために磁性体片間に設けられる隙間に配置される部材である(エアギャップの場合もある)。これら磁性体片及びギャップ材は、接着剤などで一体に接合される。磁性体片の分割数やギャップ材の個数は、主コイル部及び副コイル部がそれぞれ所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。
[その他のリアクトルの構成部材]
磁性コア2のコイル巻回部2cの外周に、絶縁性材料からなる筒状ボビンを配置すると、コイル集合体10Aと磁性コア2との間の絶縁性を高めることができる。上記絶縁性材料には、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂などの絶縁性樹脂が利用できる。
上記コイル集合体10Aと磁性コア2との組合体は、そのまま利用してもよいが、アルミニウムといった金属製のケース(図示せず)に収納し、更にケース内に絶縁性樹脂(ポッティング樹脂、図示せず)を充填した構成とすることができる。或いは、上記組合体をケースに収納せず、絶縁性樹脂により被覆し、外側樹脂部(図示せず)を具える構成としてもよい。上記絶縁性樹脂には、エポキシ樹脂やウレタン樹脂、PPS樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、不飽和ポリエステルなどが利用できる。上記樹脂に、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを混合した樹脂を利用すると、放熱性を高められる。
[その他のコイル集合体10B〜10D]
コイル集合体10B〜10Dのいずれも、上記コイル集合体10Aと同様に、異なる巻線から構成される主コイル11と副コイル12とが同軸状に並べられている。コイル集合体10B,10Cでは、主コイル11を構成する各ターンの巻線と、副コイル12を構成する各ターンの巻線12wとが1本ずつ交互に配置されており、コイル集合体10Dでは、主コイル11を構成する2本の巻線11wと副コイル12を構成する1本の巻線12wとが交互に配置されている。
コイル集合体10Bでは、主コイル11を構成する巻線として、副コイル12を構成する巻線12wよりも導体断面が大きな巻線11wBを用いている。巻線11wBは、巻線12wよりも平角線の幅及び厚さが大きい。副コイル12が上述のように流される電流が小さい共振用リアクトルのコイルに利用される場合、巻線12wの平角線の幅及び厚さの少なくとも一方を、主コイルを構成する巻線よりも小さくしてもよい。このように主コイル11を構成する巻線と副コイル12を構成する巻線の導体断面積を異ならせてもよい。
上記コイル集合体10Bは、コイル集合体10Aと同様に、上記装置20を利用して、導体断面が異なる巻線11wB,12wを横並びにして同時に巻回することで得られる。即ち、コイル集合体10Aと同様に、巻線11wB,12wの幅広の面同士が隣り合って並ぶように巻線11wB,12wを繰り出して巻回する。例えば、コイル集合体10Aを作製する場合と同様に、巻線11wBが巻き取られたサプライ21cと、巻線12wが巻き取られたサプライ21bとを互いに同じ高さに配置し、巻線11wBの繰り出し及び巻線12wの繰り出しを各サプライ21b,21cのほぼ同じ位置から行う。また、集合部23の溝付きロールは、図2(B-I)に示すように、巻線11wB,12wがつくる外形に沿った溝を有するものを利用するとよい。このような巻線11wBを利用することで、得られたコイル集合体10Bでは、図2(B-III)に示すように、端面からみると主コイル11に隠れて副コイル12が見えない。
コイル集合体10Cでは、主コイル11を構成する巻線として、複数の巻線11wをまとめた巻線体11wCを用いている。巻線体11wCとすることで、主コイル11を構成する巻線の合計導体断面積を副コイル12を構成する巻線12wよりも簡単に大きくすることができる。従って、主コイル11を副コイル12よりも大きな電流を流す用途(例えば、平滑用リアクトルのコイル)に好適に利用することができる。また、巻線体11wCは、断面積が大きい1本の巻線11wBを利用する場合と比較して、湾曲部における内周側部分の膨れと外周側部分の薄肉化を低減することができる、コイルの渦電流損が小さい、高周波電流に対する表皮効果を受け難い、といった種々の効果を奏する。
上記コイル集合体10Cは、コイル集合体10Aと同様に、上記装置20を利用して、巻線体11wCと巻線12wとを横並びにして同時に巻回することで得られる。コイル集合体10Cでは、巻線11wにおいて、長方形状の端面に直交する四つの側面のうち、幅が細い面同士が隣り合って並ぶように、かつ一方の巻線11wと巻線12wの幅広の面同士が隣り合って並ぶように巻線11w,12wを繰り出して巻回する。例えば、巻線11wが巻き取られたサプライ21aと、もう一つ別の巻線11wが巻き取られたサプライ(図示せず、ここではサプライCと呼ぶ)とを用意し、サプライ21aの下方位置に上記サプライCを配置し、このサプライCと巻線12wが巻き取られたサプライ21bとを互いに同じ高さに配置する。そして、サプライ21aの下方側、及びサプライ21aの下方に位置するサプライCの上方側からそれぞれ巻線11wを繰り出し、サプライ21bの上方側から巻線12wを繰り出すことで、3本の巻線の繰り出し位置がほぼ等しくなるようにする。また、集合部23の溝付きロールは、図2(C-I)に示すように、2本の巻線11wからなる巻線体11wcと巻線12wとがつくる巻線群10gの外形に沿った溝を有するものを利用するとよい。このような巻線体11wCを利用することで、得られたコイル集合体10Cでは、図2(C-III)に示すように、端面から見ると、主コイル11を構成する各巻線11wが縦積みされ、各巻線11wがつくるコイルが同心状に配置されており、この主コイル11に隠れて副コイル12が見えない。
コイル集合体10Dも、上記コイル集合体10Cと同様に、複数の巻線11wをまとめた巻線体11wDにより主コイル11を構成している。但し、コイル集合体10Dは、複数の巻線11wを横並びにして巻回して形成している。即ち、コイル集合体10Dでは、巻線11w,12wにおいて幅広の面同士が隣り合って並ぶように巻線11w,12wを繰り出して巻回する。コイル集合体10Dを上記装置20により形成する場合は、巻線11wが巻き取られたサプライ21aと、別の巻線11wが巻き取られた別のサプライCと、巻線12wが巻き取られたサプライ21bとを互いに同じ高さに配置すると共に、サプライ21a,21bを隣り合って並べ、これらのサプライ21a,21bの手前又は奥にサプライCを配置する。そして、サプライ21aの巻線11wと巻線12wとの間から、サプライCの巻線11wを引き出す。こうすることで、3本の巻線をほぼ等しい位置から繰り出すことができる。また、集合部23の溝付きロールとして、図3(D-I)に示すように、2本の巻線11wからなる巻線体11wDと巻線12wとがつくる巻線群10gの外形に沿った溝を有するものを利用するとよい。このような巻線体11wDを利用することで、上述のように、主コイル11を構成する複数の巻線11wと副コイル12を構成する1本の巻線12wとが交互に配置されたコイル集合体10Dが得られる。
[効果]
上述のように複数の異なる巻線を同時に巻回することで、機能が異なるリアクトルに用いられる複数のコイルを容易に製造することができる。また、得られたリアクトル用コイル(コイル集合体10)は、一つのコイル(例えば、主コイル11)のターン間に他方のコイル(例えば、副コイル12)のターンが配置された構成であることから一体物として取り扱える上に、分離された別部材である場合と比較して、小型である。従って、得られたリアクトル用コイルは、リアクトルの組立にあたり、取り扱い易く、組立作業性に優れる。また、このリアクトル用コイルでは、複数のコイルに一つの磁性コアを共通に利用することができる。従って、コイル集合体10A〜10Dを具えるリアクトル1A〜1Dを双方向DC-DCコンバータの構成部品とした場合、主コイル11及び磁性コア2により昇圧動作や降圧動作を行え、かつ副コイル12及び磁性コア2により上記動作にあたりソフトスイッチングを行えながら、共振用リアクトルを別途設けた場合と比較して部品点数が少なく生産性に優れる上に、小型である。
また、上記リアクトル用コイルは、主コイル11及び副コイル12を構成する巻線として被覆平角線を利用し、エッジワイズコイルとすることで、占積率を高められる上に、小型にすることができる。
(実施形態2)
以下、図4を参照して、実施形態2のリアクトル用コイルの製造方法を説明する。この製造方法は、例えば、図4に示すようなリアクトル1E〜1Gに利用されるリアクトル用コイル(コイル集合体10E〜10G)を製造する際に利用される。コイル集合体10E〜10Gはいずれも、実施形態1のコイル集合体10A〜10Dと基本的構成が同様であり、異なる巻線から構成される主コイル11と副コイル12とを具え、主コイル11と副コイル12とは同軸状に並べられている。また、コイル集合体10E〜10Gはいずれも、巻返し部(図示せず)で連結された一対の主コイル11を有する主コイル部と、一対の副コイル12を有する副コイル部とを具える。両副コイル12は、各副コイル12を構成する巻線12wの一端部同士が直接又は間接的に接合されて連結されている。リアクトル1E〜1Gの基本的構成は、上述したリアクトル1A〜1Dと同様であり、上記コイル集合体10E〜10Gに対して一つの環状の磁性コア2を具え、主コイル部を構成する巻線11w,11wBの一端部と副コイル部を構成する巻線12wの一端部とが接合されている。そして、リアクトル1E〜1Gにおいて磁性コア2及び主コイル11は、平滑用リアクトルとして機能し、磁性コア2及び副コイル12は、共振用リアクトルとして機能する。
実施形態1との主たる相違点は、コイル集合体10E〜10Gでは、図4(E-III)、図4(F-III)、図4(G-III)に示すように、副コイル12が主コイル11の外周に同心状に配置されている点にある。以下、この相違点を中心に説明し、その他の構成は説明を省略する。
[コイル集合体10E]
主コイル11を構成する巻線11w、及び副コイル12を構成する巻線12wはいずれも、平角線の幅及び厚さが等しい被覆平角線である。また、主コイル部の各主コイル11、及び副コイル部の各副コイル12はいずれも、エッジワイズコイルである。なお、ここでは、副コイル12のターン数が主コイル11より少ないため、副コイル12は、主コイル11の一部にのみ存在している。
上記コイル集合体10Eは、実施形態1と同様に、上記装置20を利用し、巻線11w,12wを縦積みに並べて同時に巻回することで得られる。即ち、コイル集合体10Eでは、巻線11w及び巻線12wにおいて、長方形状の端面に直交する四つの側面のうち、幅が狭い面同士が隣り合って並ぶように巻線11w,12wを繰り出して巻回する。例えば、巻線11wが巻き取られたサプライ21aの上方側に巻線12wが巻き取られたサプライ21bを配置し、巻線11wをサプライ21aの上方側から、巻線12wをサプライ21bの下方側からほぼ等しい位置となるように繰り出す。また、集合部23の溝付きロールは、図4(E-I)に示すように、巻線11w,12wがつくる外形に沿った溝を有するものを利用するとよい。
[コイル集合体10F]
コイル集合体10Fでは、主コイル11を構成する巻線として、上述したコイル集合体10Bと同様に、副コイル12を構成する巻線12wよりも導体断面が大きな巻線11wBを用いている。そして、コイル集合体10Eと同様に、巻線11wB及び巻線12wにおいて幅が狭い面同士が隣り合って並ぶように巻線11wB,12wを繰り出して巻回する。コイル集合体10Fを上記装置20により形成する場合は、巻線11wBが巻き取られたサプライ21cの上方側に巻線12wが巻き取られたサプライ21bを配置し、巻線11wBをサプライ21cの上方側から、巻線12wをサプライ21bの下方側からほぼ等しい位置となるように繰り出す。また、集合部23の溝付きロールは、図4(F-I)に示すように、巻線11wB,12wがつくる外形に沿った溝を有するものを利用するとよい。
[コイル集合体10G]
コイル集合体10Gでは、主コイル11を構成する巻線として、上述したコイル集合体10Cと同様に、複数の巻線11wをまとめた巻線体11wCを用いている。コイル集合体10Gでは、巻線11w,12wにおいて幅が細い面同士が隣り合って並ぶように巻線11w,12wを繰り出して巻回する。コイル集合体10Fを上記装置20により形成する場合は、巻線11wが巻き取られたサプライ21aの上方側に、巻線12wが巻き取られたサプライ21bを配置すると共に、もう一つ別の巻線11wが巻き取られた別のサプライC(図示せず)をサプライ21aと同じ高さであって、サプライ21aの手前又は奥にする。そして、サプライ21aの上方側から巻線11wを繰り出し、サプライ21bの下方側から巻線12wを繰り出すと共に、サプライ21aの巻線11wと巻線12wとの間からサプライCの巻線11wを引き出す。こうすることで、3本の巻線をほぼ等しい位置から繰り出すことができる。また、集合部23の溝付きロールは、図4(G-I)に示すように、2本の巻線11wからなる巻線体11wcと巻線12wとがつくる巻線群10gの外形に沿った溝を有するものを利用するとよい。
[効果]
実施形態2も、複数の異なる巻線を同時に巻回することで、機能が異なるリアクトルに用いられる複数のコイルを容易に製造することができる。また、得られたリアクトル用コイル(コイル集合体)は、一つのコイル(例えば、主コイル11)の外周に他方のコイル(例えば、副コイル12)が同心状に配置された構成であることから一体物として取り扱える上に、分離された別部材である場合と比較して、小型である。従って、得られたリアクトル用コイルは、リアクトルの組立にあたり、取り扱い易く、組立作業性に優れる。また、このリアクトル用コイルでは、複数のコイルに一つの磁性コアを共通に利用することができる。従って、コイル集合体10E〜10Gを具えるリアクトル1E〜1Gを双方向DC-DCコンバータの構成部品とした場合、主コイル11及び磁性コア2により昇圧動作や降圧動作を行え、かつ副コイル12及び磁性コア2により上記動作にあたりソフトスイッチングを行えながら、共振用リアクトルを別途設けた場合と比較して部品点数が少なく、生産性に優れると共に、小型である。
また、上記リアクトル用コイルは、主コイル11及び副コイル12を構成する巻線として被覆平角線を利用し、エッジワイズコイルとすることで、占積率を高められる上に、小型にすることができる。
(変形例1)
上記実施形態1,2では、主コイル及び副コイルを構成する巻線としていずれも、被覆平角線を説明したが、両巻線に、導体が丸線からなる被覆丸線や導体が撚り線からなる被覆電線を利用してもよいし、一方の巻線を被覆平角線とし、他方の巻線を被覆丸線や被覆電線としてもよい。被覆電線の絶縁層の構成材料には、例えば、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、シリコンゴムなどが挙げられる。被覆電線を利用することで、主コイルと副コイルとの間の絶縁性を高められる。上述のように主コイル及び副コイルを構成する巻線の厚さや幅、導体断面積、巻き数などは、適宜選択することができる。
(変形例2)
上記実施形態1,2では、主コイル及び副コイルを構成する巻線としていずれも、導体が銅からなるものを説明したが、銅や銅合金以外の材質としてもよい。例えば、副コイルに流される電流が主コイルよりも小さい場合などでは、導体がアルミニウムやアルミニウム合金からなる巻線を利用することができる。この場合、リアクトルの軽量化に寄与することができる。
(変形例3)
上記実施形態1,2では、両主コイルが巻返し部で連結された構成を説明したが、一対の主コイルをそれぞれ別の巻線で形成してもよい。この場合、副コイル部と同様に、一対の主コイルの巻線の一端部同士を上記溶接などで接合したり、端子部材を介して接合させるとよい。或いは、主コイル部及び副コイル部に具えるコイルをそれぞれ一つとしてもよい。
(変形例4)
上記実施形態2では、副コイルが主コイルの一端側に寄せて配置された形態を説明したが、コイル集合体を作製後、副コイルを移動させて主コイルと副コイルとの相対位置を変化させてもよい。特に、主コイルの軸方向の中心位置と副コイルの軸方向の中心位置とを等しくすると、リーケージを効果的に小さくすることができる。
なお、上述した実施の形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。
本発明リアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車といった車両に搭載される双方向ソフトスイッチングDC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用することができる。本発明リアクトル用コイルは、上記リアクトルの構成部品に好適に利用することができる。本発明リアクトル用コイルの製造方法は、上記リアクトルの構成部品に利用されるリアクトル用コイルの製造に好適に利用することができる。
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G リアクトル 2 磁性コア 2c コイル巻回部
2e 端部コア
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G コイル集合体 11 主コイル
12 副コイル 10w,11w,11wB,12w 巻線 10g 巻線群 11wC,11wD 巻線体
13 直線部 14 湾曲部
20 コイル製造装置 21,21a,21b,21c サプライ 22 矯正部 23 集合部
24 巻回部 24a 丸棒芯部 24b 曲げ部

Claims (8)

  1. 主コイルを構成する巻線と副コイルを構成する巻線からなる複数の巻線を繰り出す繰り出し工程と、
    繰り出された各巻線の軸方向が平行するように並べて同時に巻回し、平滑用リアクトルのコイルとなる主コイルと共振用リアクトルのコイルとなる副コイルとが同軸状に並べられたコイル集合体を形成する巻回工程と、
    前記主コイルを構成する巻線の一端部と、前記副コイルを構成する巻線の一端部とを接合する接合工程とを具えることを特徴とするリアクトル用コイルの製造方法。
  2. 前記繰り出し工程で繰り出された各巻線を集合させて巻線群とする集合工程を具え、
    前記集合工程は、前記巻線群の形状に応じた溝付きロールに各巻線を通過させることで集合させ、
    前記巻回工程は、前記巻線群を巻回することを特徴とする請求項1に記載のリアクトル用コイルの製造方法。
  3. 前記主コイルを構成する巻線の合計導体断面積が、前記副コイルを構成する巻線の合計導体断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のリアクトル用コイルの製造方法。
  4. 前記主コイルを構成する巻線と前記副コイルを構成する巻線の一方は、導体が平角線からなる被覆平角線であり、他方は、導体が丸線からなる被覆丸線、又は導体が撚り線からなる被覆電線であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトル用コイルの製造方法。
  5. 前記巻回工程は、前記主コイルと前記副コイルとを形成する工程と、前記主コイルのみを形成する工程とを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル用コイルの製造方法。
  6. 前記複数の巻線のうち、前記主コイルを構成する巻線と前記副コイルを構成する巻線とを横並びにして巻回することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリアクトル用コイルの製造方法。
  7. 前記複数の巻線のうち、前記主コイルを構成する巻線と前記副コイルを構成する巻線とを縦積みにして巻回することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリアクトル用コイルの製造方法。
  8. 前記主コイルを構成する巻線の導体は銅又は銅合金からなり、
    前記副コイルを構成する巻線の導体はアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のリアクトル用コイルの製造方法。
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