JP2006261572A - コイル部品及びコイル部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ディファレンシャルモードノイズとコモンモードノイズを好適に除去すると共に耐久性が高められたコイル部品及びコイル部品を製造する方法を提供する。
【解決手段】 コア2の巻芯部3は、第一鍔部4側に第一巻回部が規定され、第二鍔部5側に第二巻回部が規定され、第一導線6は、第一巻回部上において、一層ずつ三層以上の奇数層巻回され、最内層である第一層の巻回開始端側が第一鍔部6側に位置して第二端子82に継線され、最外層である最終層の巻回終端側が第二鍔部5側に位置して第四端子92に継線され、第二導線7は、第二巻回部上において、一層ずつ三層以上の奇数層巻回され、最内層である第一層の巻回開始端側が第二鍔部5側に位置して第三端子91に継線され、最外層である最終層の巻回終端側が第一鍔部4側に位置して第一端子81に継線されている。
【選択図】図1
【解決手段】 コア2の巻芯部3は、第一鍔部4側に第一巻回部が規定され、第二鍔部5側に第二巻回部が規定され、第一導線6は、第一巻回部上において、一層ずつ三層以上の奇数層巻回され、最内層である第一層の巻回開始端側が第一鍔部6側に位置して第二端子82に継線され、最外層である最終層の巻回終端側が第二鍔部5側に位置して第四端子92に継線され、第二導線7は、第二巻回部上において、一層ずつ三層以上の奇数層巻回され、最内層である第一層の巻回開始端側が第二鍔部5側に位置して第三端子91に継線され、最外層である最終層の巻回終端側が第一鍔部4側に位置して第一端子81に継線されている。
【選択図】図1
Description
本発明はコイル部品及びコイル部品の製造方法に関し、特にディファレンシャルモード、コモンモードのノイズ阻止特性を備えたコイル部品及びコイル部品の製造方法に関する。
ノイズには、ディファレンシャルモードノイズとコモンモードノイズとがあるが、これらのノイズは、電気回路上においてその伝播経路が異なるため、それぞれ個別の素子によりノイズを除去していた。
これらのノイズを一の素子により除去するために、出願人らは、特許文献1に示されるように、巻芯部と巻芯部の両端に設けられた一対の鍔部とからなるコアにおいて、巻芯部の一端側に一の導線を巻回し巻芯部の他端側に他の導線を巻回して導線間の結合係数を好適な値とした、ノイズ除去に好ましい特性を備えたコイル部品を開示している。
特開平7−240319号公報
コイル部品を取りまく技術の進歩により、ノイズ除去に係る特性、例えばコイル部品の特性インピーダンスが、幅広いレンジに亘って要求されることが多くなっている。また、電子部品が使用される環境も技術の進歩に伴って多種多様になっており、対ショート性等の高耐久性を示すコイル部品が望まれている。
よって本発明は、ディファレンシャルモードノイズとコモンモードノイズをより好適に除去すると共に耐久性が高められたコイル部品及びコイル部品を製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、巻芯部と、巻芯部の一端に設けられた第一鍔部と、巻芯部の他端に設けられた第二鍔部とを有するコアと、第一鍔部に設けられた一対の電極である第一電極部、及び第二鍔部に設けられた一対の電極である第二電極部と、巻芯部に巻回された第一導線及び第二導線と、を備えたコイル部品であって、巻芯部には、第一鍔部側に第一巻回部が規定され、第二鍔部側に第二巻回部が規定されたコイル部品を提供する。このコイル部品の第一導線は、第一巻回部上であって第一鍔部側から第二鍔部側に亘って巻回されて構成される第一導線基層と、第一導線基層上であって、第一導線基層の第二鍔部側導線が第一巻回部の第二鍔部側から第一鍔部側へと巻回されて構成される第一導線往路層と、第一導線往路層の第一鍔部側より第一導線往路層表面に第二鍔部側へと巻回されて構成される第一導線復路層と、からなる第一導線往復層を、一層または複層備える第一導線重層部と、第一導線基層の第一鍔部側より延出されて第一電極部の一方の電極に継線される第一導線第一継線部と、第一導線重層部の最外層であって第二鍔部側より延出されて第二電極部の一方の電極に継線される第一導線第二継線部と、を備えている。また第二導線は、第二巻回部上であって第二鍔部側から第一鍔部側に亘って巻回されて構成される第二導線基層と、第二導線基層上であって、第二導線基層の第一鍔部側導線が第二巻回部の第二鍔部側から第一鍔部側へと巻回されて構成される第二導線往路層と、第二導線往路層の第二鍔部側より第二導線往路層表面に第一鍔部側へと巻回されて構成される第二導線復路層と、からなる第二導線往復層を、一層または複層備える第二導線重層部と、第二導線基層の第二鍔部側より延出されて第二電極部の他方の電極に継線される第二導線第一継線部と、第二導線重層部の最外層であって第一鍔部側より延出されて第一電極部の他方の電極に継線される第二導線第二継線部と、を備えている。
また本発明は、巻芯部と、巻芯部の一端に設けられた第一鍔部と、巻芯部の他端に設けられた第二鍔部とを有するコアと、第一鍔部に設けられた一対の電極である第一電極部、及び第二鍔部に設けられた一対の電極である第二電極部と、巻芯部に巻回された第一導線及び第二導線と、を備えたコイル部品であって、巻芯部は、第一鍔部側に第一巻回部が規定され、第二鍔部側に第二巻回部が規定され、第一導線は、第一巻回部上において、巻芯部の軸方向に一層ずつ三層以上の奇数層巻回され、最内層である第一層の巻回開始端側が第一鍔部側に位置して第一電極部の一方の電極に継線され、最外層である最終層の巻回終端側が第二鍔部側に位置して第二電極部の一方の電極に継線され、第二導線は、第二巻回部上において、巻芯部の軸方向に一層ずつ三層以上の奇数層巻回され、最内層である第一層の巻回開始端側が第二鍔部側に位置して第二電極部の他方の電極に継線され、最外層である最終層の巻回終端側が第一鍔部側に位置して第一電極部の他方の電極に継線されていコイル部品を提供する。
このような構成によると、第一巻回部及び第二巻回部において、導線の巻回数を容易に増やすことができる。よって特性インピーダンスを設定する際の設定の幅を大きく取ることが可能となり、より好適にノイズを除去することが可能となる。また第一巻回部から第二鍔部へと継線する導線の引出位置及び第二巻回部から第一鍔部へと継線する導線の引出位置をそれぞれ最外層とすることができる。第一巻回部から第二鍔部へと引き出される導線と、第二巻回部から第一鍔部へと引き出される導線とは、それぞれ第二巻回部及び第一巻回部を跨ぐ必要が有るが、これらの導線が最外層から引き出されていれば、それぞれ第一巻回部に巻回されている導線及び第二巻回部に巻回されている導線に殆ど当接することなく継線することが可能となる。よって第一導線と第二導線との間での短絡が起こりにくくなり、コイル部品の耐久性を高めることが可能となる。さらに第一巻回部と第二巻回部とを対称な形状にすることができるため、第一導線と第二導線の経路長を容易に同じにすることができる。よって第一導線と第二導線との直流抵抗を同じにすることが可能となり、各電極間において電気的な特性が均等なコイル部品を提供することが可能となる。
また本発明は、巻芯部と巻芯部の一端に設けられた第一鍔部と巻芯部の他端に設けられた第二鍔部とを有したコアと、第一鍔部に設けられた一対の電極である第一電極部及び第二鍔部に設けられた一対の電極である第二電極部と、巻芯部に巻回された第一導線及び第二導線と、を備え、巻芯部は、第一鍔部側に第一導線が巻回される第一巻回部が規定され、第二鍔部側に第二導線が巻回される第二巻回部が規定されたコイル部品を製造する方法を提供する。この製造方法では、第一導線を、第一巻回部に第一巻回部の第一鍔部側から第二鍔部側へと向かって巻回して第一導線基層を構成する第一巻回工程と、第一導線基層上に、第一導線基層の第二鍔部側の導線を第二鍔部側から第一鍔部側へと向かって巻回して第一導線往路層を構成する第一導線往路層形成工程と、第一往路層表面に第一導線往路層の第一鍔部側の導線を第一鍔部側から第二鍔部側へと向かって巻回して第一導線復路層を構成する第一導線復路形成工程と、を含み第一導線往復路層を構成する第二巻回工程と、第二導線を、第二巻回部に第二巻回部の第二鍔部側から第一鍔部側へと向かって巻回して第二導線基層を構成する第三巻回工程と、第二導線基層上に、第二導線基層の第一鍔部側の導線を第一鍔部側から第二鍔部側へと向かって巻回して第二導線往路層を構成する第二導線往路層形成工程と、第二往路層表面に、第二導線往路層の第二鍔部側の導線を第二鍔部側から第一鍔部側へと向かって巻回して第二導線復路層を構成する第二導線復路形成工程と、を含み第二導線往復路層を構成する第四巻回工程と、第一導線基層の第一鍔部側を引き出して第一電極部の一方の電極上に配置する第一導線第一引出工程と、第一導線最外層の第一導線復路層の第二鍔部側を引き出して第二電極部の一方の電極上に配置する第一導線第二引出工程と、第二導線基層の第二鍔部側を引き出して第二電極部の他方の電極上に配置する第二導線第一引出工程と、第二導線最外層の第二導線復路層の第一鍔部側を引き出して第一電極部の他方の電極上に配置する第二導線第二引出工程と、を含み第一導線及び第二導線の継線箇所を規定する継線箇所規定工程と、継線箇所規定工程により規定された継線箇所を第一電極部及び第二電極部に継線する継線工程と、を実行してコイル部品が製造されている。
このような製造方法によると、第一巻回部から第二鍔部へと継線する導線の引出位置及び第二巻回部から第一鍔部へと継線する導線の引出位置をそれぞれ最外層としたコイル部品を製造することができる。第一巻回部から第二鍔部へと引き出される導線と、第二巻回部から第一鍔部へと引き出される導線とは、それぞれ第二巻回部及び第一巻回部を跨ぐ必要が有るが、これらの導線が最外層から引き出されていれば、それぞれ第一巻回部に巻回されている導線及び第二巻回部に巻回されている導線に殆ど当接することなく継線することができる。よって第一導線と第二導線との間での短絡が起こりにくくなるため、耐久性が高められたコイル部品を製造することができる。
また上記製造方法において、第二巻回工程は複数回実行され、第四巻回工程は複数回実行されても良い。このような製造方法によると、第一巻回部及び第二巻回部において、導線の巻回数が多いコイル部品を製造することができる。よって特性インピーダンスを設定する際の設定の幅を大きく取ることが可能となり、より好適にノイズを除去することが可能なコイル部品を製造することができる。
本発明によると、ディファレンシャルモードノイズとコモンモードノイズをより好適に除去すると共に耐久性が高められたコイル部品及びコイル部品を製造する方法を提供することができる。
本発明の実施の形態によるコイル部品及びコイル部品の製造方法について図1から図12を参照しながら説明する。まずコイル部品について図1から図3に基づいて説明する。図1に示されるように、コイル部品1は、コア2と第一導線6と第二導線7と第一端子電極部8と第二端子電極部9とから主に構成されている。
コア2は、フェライト等の磁気素材より製造され、第一導線6及び第二導線7が巻回される巻芯部3と、巻芯部3の一端側に設けられた第一鍔部4と巻芯部3の他端側に設けられた第二鍔部5とを備えている。以下巻芯部3において第一鍔部4から第二鍔部5に向かう方向をx軸方向と定義して説明する。
巻芯部3は、図1及び図2に示されるように、頂面3A、第一側面3B、第二側面3C、底面3Fより構成される。以下、第一側面3Bから第二側面3Cに向かう方向をy軸方向と定義し、頂面3Aから底面3Fへと向かう方向をz軸方向と定義して説明する。益城芯部3は、y−z断面が略長方形であり、図3に示されるように、x軸方向において、略中央位置33から第一鍔部4側に第一巻回部31が規定され、略中央位置33から第二鍔部5側に第二巻回部32が規定されている。
第一鍔部4と第二鍔部5とは、略同じ形状であって、巻芯部3を挟んで対称な形状に成形されている。第一鍔部4は、第一主胴部41と、主胴部41からy軸方向の一方に延出されている第一副胴部42と、主胴部41からy軸方向の他方に延出されている第二副胴部43と、から構成されている。
図1及び図2に示されるように、第一主胴部41は、z軸方向が長手方向でありy軸方向が幅方向であって巻芯部3と略同一の幅である断面略長方形に形成されており、図1に示されるように巻芯部3の頂面3Aより突出してx−y平面と略平行な頂面41Aと、巻芯部3に連結される背面41Cと、背面41Cの対向面であって頂面41Aと略直交する正面41Bと、頂面41Aに対向する底面41F(図2)と、頂面41Aと底面41Fと正面41Bと背面41Cとに連結して第一副胴部42と第二副胴部43との延出基部となる第一側面41D及び第二側面41Eとを備えて構成されている。
第一副胴部42は、第一側面41Dよりy軸方向に延出されて、z軸方向を長手方向とする略直方体に形成されており、第一主胴部41の背面41Cと同一平面にある側面42Cと、底面41Fと同一平面にある底面42F(図2)とを備えている。また、側面42Cに対向する位置に設けられ正面41Bと略平行な側面42Bは、第一主胴部41の正面41Bに対して凹んだ位置に設けられている。第一副胴部42の底面42Fに対向する位置には頂面42Aが設けられている。これら頂面42Aと底面42Fと側面42Bと側面42Cとに交差して、第一側面41Dと平行な側面42Dが形成されている。
第二副胴部43は、第一副胴部42と面対称な構成であり、第二側面41Eよりy軸方向の他方に延出されて、頂面42Aに対応する頂面43Aと、底面42Fに対応する底面と、側面42B及び側面42Cに対応する側面43B及び側面43Cと、側面42Dに対応する側面43Eとを備えて構成されている。
また第二鍔部5においても第一主胴部41の巻芯部3を挟んだ反対方向に第二主胴部51と、第一副胴部42と同じ方向に延出されている第三副胴部52と、第二副胴部43と同じ方向に延出されている第四副胴部53とから構成されている。第二主胴部51は、頂面51Aと正面51Bと背面51Cと第一側面51Dと第二側面51Eと底面51F(図2)とから構成されている。第三副胴部52は、頂面52Aと側面52Bと側面52Cと側面52Dと底面52F(図2)とから構成されている。第四副胴部53は頂面53Aと側面53Bと側面53Cと側面53Eと底面52Fに対応する底面とから構成されている。
第一端子電極部8は第一鍔部4に設けられ第二端子電極部9は第二鍔部5に設けられている。第一端子電極部8は第一副胴部42に設けられた第一端子81と第二副胴部43に設けられた第二端子82から構成されている。第二端子電極部9は第三副胴部52に設けられた第三端子91と第四副胴部53に設けられた第四端子92から構成されている。第一端子81と第二端子82は主胴部41を挟んで面対称に構成されており、第一端子電極部8と第二端子電極部9とは巻芯部3を挟んで面対称に構成されている。
第一端子81は略コの字状に形成されており、略コの字形状の一対の腕部分となる第一狭持部81A及び第二狭持部81Fと、一対の腕部分を連結する連結部81Bとにより構成されている。これら、第一狭持部81A及び第二狭持部81Fと連結部81Bとは、一枚の金属板が折り曲げ加工されて形成されている。第一端子81は、第一狭持部81Aと第二狭持部81Fとで第一副胴部42の頂面42Aと底面42Fとを狭持し、連結部81B内面が側面42Bに当接した状態で第一副胴部42に固定される。
また、第一端子81の第一狭持部81Aには、第一主胴部41の第一側面41Dと対峙する側部分に切片81Iが設けられている。この切片81Iは、第一狭持部81Aとの連接部分で、第一狭持部81Aの外面と当接するように折り曲げ加工されている。第二端子82も第一端子81と同様に形成されている。
第三端子91も第一端子81と同様に、第一狭持部91Aと第二狭持部91Fと連結部91Bより略コの字形状に形成され第三副胴部52の頂面52Aと底面52Fとを狭持した状態で第三副胴部52に固定されている。第四端子92も第三端子と同様に形成されている。
第一導線6は、第一巻回部31に巻回されている。具体的には、第一巻回部31表面に第一導線基層である第一導線第一層6Aが第一鍔部4近傍から第二鍔部5側に向かって巻芯部3の略中央位置33前まで巻回されて形成されている。第一導線第一層6Aの表面には、第一導線往路層である第一導線第二層6Bが第一導線第一層6Aの略中央位置33側から第一鍔部4側に向かって第一鍔部4前まで巻回されて形成されている。第一導線第二層6Bの表面には、第一導線復路層である第一導線第三層6Cが第一導線第二層6Bの第一鍔部4側から第二鍔部5側に向かって略中央位置33前まで巻回されて形成されている。また第一導線第一層6Aの第一鍔部4側から第一継線部61が延出されて第二端子82の第一狭持部82A上であって切片82Iとの連結部分に配置されている。第一導線第三層6Cの略中央位置33側から第二継線部62が延出されて第四端子92の第一狭持部92A上であって切片92Iとの連結部分に配置されている。
第二導線7は、第二巻回部32に巻回されている。具体的には、第二巻回部32表面に第二導線基層である第二導線第一層7Aが第二鍔部5近傍から第一鍔部4側に向かって巻芯部3の略中央位置33前まで巻回されて形成されている。第二導線第一層7Aの表面には、第二導線往路層である第二導線第二層7Bが第二導線第一層7Aの略中央位置33側から第二鍔部5側に向かって第二鍔部5前まで巻回されて形成されている。第二導線第二層7Bの表面には、第二導線復路層である第二導線第三層7Cが第二導線第二層7Bの第二鍔部5側から第一鍔部4側に向かって略中央位置33前まで巻回されて形成されている。また第二導線第一層7Aの第二鍔部5側から第一継線部71が延出されて第三端子91の第一狭持部91A上であって切片91Iとの連結部分に配置されている。第二導線第三層7Cの略中央位置33側から第二継線部72が延出されて第一端子81の第一狭持部81上であって切片81Iとの連結部分に配置されている。第一端子81〜第四端子92上に配置された各継線部は、溶接等により第一端子81〜第四端子92に電気的に接合されてコイル部品1が完成される。
上記コイル部品1の製造方法について図4から図12を参照しながら以下説明する。コイル部品1を製造する際には、図5及び図7に示されるように、スピンドルチャック11と、ノズル12と、フライヤ13と、チャック14と、クランプ部15と、クランプ16とを使用する。
スピンドルチャック11は、コア2を第一鍔部4位置で保持すると共に、自己の軸心を中心に回転することによりコア2のx軸を回転軸としてコア2を回転させることが可能である。また、スピンドルチャック11には、導線を保持可能なクランプ11Aが設けられている。ノズル12は、図示せぬ導線供給装置と繋がって、その先端より第一導線6を供出する。またノズル12は、コア2に対してx軸、y軸、z軸の各々の方向に移動可能であると共に第一導線6の供出方向を任意に変更することが可能である。フライヤ13は、図示せぬ導線供給装置と繋がって、その先端より第二導線7を供出するフライヤノズル13Aを備え、コア2に対してフライヤノズル13Aを公転させると共に、フライヤ13本体がコア2に対してx軸、y軸、z軸の各々の方向に移動することにより、フライヤノズル13Aをコア2に対してx軸、y軸、z軸の各々の方向に移動させている。チャック14は、その先端で第二導線7を保持可能であると共にx軸方向に移動可能である。クランプ部15は第一クランプ15Aと第二クランプ15Bとを備えると共に、コア2の第二鍔部5を狭持してコア2を保持することができる。また第一クランプ15Aの近傍には第一凸部15Cが設けられ第二クランプ15Bの近傍には第2凸部15Dが設けられている。クランプ16は、スピンドルチャック11近傍に設けられて第一導線6を保持することができる。
以上の装置を用いて以下の工程によりコイル部品1を製造する。図4に示されるように、まず予め第一鍔部4及び第二鍔部5に第一端子電極部8及び第二端子電極部9が取り付けられたコア2が、巻芯部3のy−z平面における重心位置を通るx軸が回転軸となるように第一鍔部4部分でスピンドルチャック11に取り付けられる。ノズル12から供出されて予めクランプ16に保持されている第一導線6を、クランプ11Aに掛止して保持すると共に、ノズル12とクランプ11Aとの間で第二端子82の切片82Iに掛止し、第一継線部71を規定する(第一導線第一引出工程)。
そしてクランプ16において第一導線6を開放し、ノズル12を第一巻回部31の第一鍔部4近傍に配置した状態でスピンドルチャック11を第二鍔部5から第一鍔部4を見る方向と直交する断面において時計回りに回転させる。この時にノズル12はスピンドルチャック11の回転数に応じた任意の速度でx軸方向の第一鍔部4から第二鍔部5へと向かう方向へ略中央位置33まで移動する(第一巻回工程)。これにより第一導線第一層6Aが形成される。以下、スピンドルチャック11が回転する方向を時計回りと定義して説明する。
スピンドルチャック11が回転している状態で、ノズル12は、略中央位置33まで来た後に、第一鍔部4側に第一鍔部4近傍位置まで移動する(第一導線往路層形成工程)。そして第一鍔部4近傍位置まで来た後に、更に第二鍔部5へと向かう方向へ略中央位置まで移動する(第一導線復路形成工程)。これらにより第一導線第二層6B及び第一導線第三層6Cが形成される(第二巻回工程)。
第二巻回工程が終了した後にノズル12を巻回終了位置に保持した状態で、次にフライヤ13及びチャック14により第二導線7を第二巻回部32に巻回する。この時に、図5に示されるように、チャック14を巻芯部3のx軸延長線上に配置すると共に、フライヤ13を、その回転軸が巻芯部3のy−z平面における重心位置を通るx軸と略同じ位置となるように配置する。フライヤノズル13Aより供出されている第二導線7の一端は、予めチャック14に保持されている。そしてフライヤノズル13Aとチャック14との間の第二導線7を第三端子91の切片91Iに掛止し、第一継線部71を規定する(第二導線第一引出工程)。
フライヤノズル13Aを第二巻回部32の第二鍔部5近傍に配置した状態でフライヤ13を時計回りに回転させる。この時にフライヤ13は、回転数に応じた任意の速度でx軸方向の第二鍔部5から第一鍔部4へと向かう方向へ略中央位置33まで移動する(第三巻回工程)。これにより第二導線第一層7Aが形成される。
自らが回転している状態でフライヤ13は、フライヤノズル13Aが略中央位置33まで来た後に、第二鍔部5側に第二鍔部5近傍位置まで移動する(第二導線往路層形成工程)。そしてフライヤノズル13Aが第二鍔部5近傍位置まで来た後に、更に第一鍔部4へと向かう方向へ略中央位置まで移動する(第二導線復路形成工程)。これにより第二導線第二層7B及び第二導線第三層7Cが形成される(第四巻回工程)(図6)。
第一巻回部31及び第二巻回部32に第一導線6及び第二導線7が巻回された後に、図7に示されるように、第二鍔部5をクランプ部15で保持すると共に、チャック14で保持されていた第二導線7を第一クランプ15Aに持ち替えて保持する。チャック14は第二導線7が第一クランプ15Aに持ち替えられた後にx軸方向であってコア2から離間する方向に移動される。
次に図8に示されるように、フライヤ13がx軸方向であってフライヤ13からスピンドルチャック11側に向かう方向に動いて、フライヤノズル13Aより供出されている第二導線7の第二継線部72を第一端子81上の切片81I(図1)位置に配置する(第二導線第二引出工程)。更にフライヤ13が動いて第二導線7をクランプ11Aの位置まで延出させる。そしてフライヤ13を反時計回りに約半周回動させるか、若しくはフライヤ13をy軸方向であって第一副胴部41から第二副胴部42に向かう方向に移動させることにより、第二導線7をクランプ11Aに掛止する。次に図9に示されるように、フライヤ13をx軸方向のスピンドルチャック11からチャック14へと向かう方向へ移動し、第二導線7を第2凸部15Dに掛止する。更にフライヤ13をx軸方向に移動すると共に、y軸方向であって第二副胴部42から第一副胴部41に向かう方向へ移動し、チャック14に第二導線7を保持させる。
次に図10に示されるように、ノズル12をスピンドルチャック11からクランプ部15へと向かう方向に移動して、第一導線6の第二継線部62を第4端子92上の切片92I(図1)位置に配置する(第一導線第二引出工程)。以上の工程により、第一導線6及び第二導線7が第一端子電極部8及び第二端子電極部9に配置される(継線箇所規定工程)。
そしてノズル12を第一凸部15C位置まで更に移動させて第一凸部15Cに第一導線6を掛止した後に、第一導線6を第二クランプ15Bにより保持する。次に図11に示されるように、ノズル12をクランプ16位置まで移動させて第一導線6をクランプ16により保持する。そして図12に示されるように、第一導線6を第二クランプ15Bとクランプ16との間で切断し、第二導線7をクランプ11Aとチャック14との間で切断する。これによりノズル12より供出されている第一導線6がクランプ16に保持され、フライヤノズル13Aより供出されている第二導線7がチャック13に保持されたのみである初期の状態にもどり、その後新たなコア2について、クランプ16に保持されている第一導線6を、クランプ11Aに保持すると共にクランプ11Aとクランプ16との間で切断し、第一端子81(図1)の切片81Iに掛止して巻芯部3に巻回すると図四に示される状態になる。
第一端子電極部8及び第二端子電極部9ではそれぞれの端子に設けられた切片が折り曲げられて第一導線6及び第二導線7が第一端子電極部8及び第二端子電極部9上に固定される。この状態でコア2をスピンドルチャック11及びクランプ部15より外して、第一導線6及び第二導線7の余分な部分かカットし、第一導線6の第一継線部61及び第二継線部62と第二導線7の第一継線部71及び第二継線部72を溶接等により継線し(継線工程)、コイル部品1を完成し、製造工程を終了する。
本実施の形態では、巻芯部3に巻回される第一導線6及び第二導線7については三層として説明したがこれに限らず、五層や七層の三層以上の奇数層としても良い。換言すれば第一巻回部31及び第二巻回部32において、複数層に亘って第一導線6及び第二導線7が巻回されて巻終わり位置が最外層かつ略中央位置33近傍に来れば何層でも良いのである。よって複数層とする場合には、図3に示されるように、第一導線第二層6B及び第一導線第三層6Cを第一導線往復層6Dとして、第一導線往復層6Dを重層した第一導線重層部を形成すればよい。第二導線7も第一導線6と同様に第二導線重層部を形成すればよい。
コイル部品1を製造する工程においても、第二巻回工程及び第四巻回工程を複数回繰り返すことにより、第一導線重層部及び第二導線重層部を形成することが可能である。またコイル部品1を製造する工程においては、ノズル12とスピンドルチャック11とにより第一導線6を巻回した後に、フライヤ13により第二導線7を巻回したが、例えばスピンドルチャック11を時計回りに回転させると共に、フライヤ13をスピンドルチャック11の二倍の回転数で時計回りに回転させることにより、第一導線6と第二導線7とを同時に巻回してもよい。
1・・コイル部品 2・・コア 3・・巻芯部 3A・・頂面 3B・・第一側面
3C・・第二側面 3F・・底面 31・・第一巻回部 32・・第二巻回部
33・・略中央位置 4・・第一鍔部 41・・第一主胴部 41A・・頂面
41B・・正面 41C・・背面 41D・・第一側面 41E・・第二側面
41F・・底面 42・・第一副胴部 42A・・頂面 42B・・側面
42C・・側面 42D・・側面 42F・・底面 43・・第二副胴部
43A・・頂面 43B・・側面 43C・・側面 43E・・側面 43F・・底面
5・・第二鍔部 51・・第二主胴部 51A・・頂面 51B・・正面
51C・・背面 51D・・第一側面 51E・・第二側面 51F・・底面
52・・第三副胴部 52A・・頂面 52B・・側面 52C・・側面
52D・・側面 52F・・底面 53・・第四副胴部 53A・・頂面
53B・・側面 53C・・側面 53E・・側面 53F・・底面
6・・第一導線 6A・・第一導線第一層 6B・・第一導線第二層
6C・・第一導線第三層 61・・第一継線部 62・・第二継線部 7・・第二導線
7A・・第二導線第一層 7B・・第二導線第二層 7C・・第二導線第三層
71・・第一継線部 72・・第二継線部 8・・第一端子電極部 81・・第一端子
81A・・第一狭持部 81B・・連結部 81F・・第二狭持部 81I・・切片
82・・第二端子 82A・・第一狭持部 82I・・切片 9・・第二端子電極部
91・・第三端子 91A・・第一狭持部 91B・・連結部 91F・・第二狭持部
91I・・切片 92・・第四端子 92A・・第一狭持部 92I・・切片
11・・スピンドルチャック 11A・・クランプ 12・・ノズル 13・・フライヤ
13A・・フライヤノズル 14・・チャック 15・・クランプ部
15A・・第一クランプ 15B・・第二クランプ 16・・クランプ
3C・・第二側面 3F・・底面 31・・第一巻回部 32・・第二巻回部
33・・略中央位置 4・・第一鍔部 41・・第一主胴部 41A・・頂面
41B・・正面 41C・・背面 41D・・第一側面 41E・・第二側面
41F・・底面 42・・第一副胴部 42A・・頂面 42B・・側面
42C・・側面 42D・・側面 42F・・底面 43・・第二副胴部
43A・・頂面 43B・・側面 43C・・側面 43E・・側面 43F・・底面
5・・第二鍔部 51・・第二主胴部 51A・・頂面 51B・・正面
51C・・背面 51D・・第一側面 51E・・第二側面 51F・・底面
52・・第三副胴部 52A・・頂面 52B・・側面 52C・・側面
52D・・側面 52F・・底面 53・・第四副胴部 53A・・頂面
53B・・側面 53C・・側面 53E・・側面 53F・・底面
6・・第一導線 6A・・第一導線第一層 6B・・第一導線第二層
6C・・第一導線第三層 61・・第一継線部 62・・第二継線部 7・・第二導線
7A・・第二導線第一層 7B・・第二導線第二層 7C・・第二導線第三層
71・・第一継線部 72・・第二継線部 8・・第一端子電極部 81・・第一端子
81A・・第一狭持部 81B・・連結部 81F・・第二狭持部 81I・・切片
82・・第二端子 82A・・第一狭持部 82I・・切片 9・・第二端子電極部
91・・第三端子 91A・・第一狭持部 91B・・連結部 91F・・第二狭持部
91I・・切片 92・・第四端子 92A・・第一狭持部 92I・・切片
11・・スピンドルチャック 11A・・クランプ 12・・ノズル 13・・フライヤ
13A・・フライヤノズル 14・・チャック 15・・クランプ部
15A・・第一クランプ 15B・・第二クランプ 16・・クランプ
Claims (4)
- 巻芯部と、該巻芯部の一端に設けられた第一鍔部と、該巻芯部の他端に設けられた第二鍔部とを有するコアと、
該第一鍔部に設けられた一対の電極である第一電極部、及び該第二鍔部に設けられた一対の電極である第二電極部と、
該巻芯部に巻回された第一導線及び第二導線と、を備えたコイル部品であって、
該巻芯部は、該第一鍔部側に第一巻回部が規定され、該第二鍔部側に第二巻回部が規定され、
該第一導線は、
該第一巻回部上であって該第一鍔部側から該第二鍔部側に亘って巻回されて構成される第一導線基層と、
該第一導線基層上であって、該第一導線基層の該第二鍔部側導線が該第一巻回部の該第二鍔部側から該第一鍔部側へと巻回されて構成される第一導線往路層と、該第一導線往路層の該第一鍔部側より該第一導線往路層表面に該第二鍔部側へと巻回されて構成される第一導線復路層と、からなる第一導線往復層を、一層または複層備える第一導線重層部と、
該第一導線基層の該第一鍔部側より延出されて該第一電極部の一方の電極に継線される第一導線第一継線部と、
該第一導線重層部の最外層であって該第二鍔部側より延出されて該第二電極部の一方の電極に継線される第一導線第二継線部と、を備え、
該第二導線は、
該第二巻回部上であって該第二鍔部側から該第一鍔部側に亘って巻回されて構成される第二導線基層と、
該第二導線基層上であって、該第二導線基層の該第一鍔部側導線が該第二巻回部の該第二鍔部側から該第一鍔部側へと巻回されて構成される第二導線往路層と、該第二導線往路層の該第二鍔部側より該第二導線往路層表面に該第一鍔部側へと巻回されて構成される第二導線復路層と、からなる第二導線往復層を、一層または複層備える第二導線重層部と、
該第二導線基層の該第二鍔部側より延出されて該第二電極部の他方の電極に継線される第二導線第一継線部と、
該第二導線重層部の最外層であって該第一鍔部側より延出されて該第一電極部の他方の電極に継線される第二導線第二継線部と、を備えることを特徴とするコイル部品。 - 巻芯部と該巻芯部の一端に設けられた第一鍔部と該巻芯部の他端に設けられた第二鍔部とを有したコアと、該第一鍔部に設けられた一対の電極である第一電極部及び該第二鍔部に設けられた一対の電極である第二電極部と、該巻芯部に巻回された第一導線及び第二導線と、を備え、該巻芯部は、該第一鍔部側に該第一導線が巻回される第一巻回部が規定され、該第二鍔部側に該第二導線が巻回される第二巻回部が規定されたコイル部品を製造する方法であって、
該第一導線を、該第一巻回部に該第一巻回部の該第一鍔部側から該第二鍔部側へと向かって巻回して第一導線基層を構成する第一巻回工程と、
該第一導線基層上に、該第一導線基層の該第二鍔部側の導線を該第二鍔部側から該第一鍔部側へと向かって巻回して第一導線往路層を構成する第一導線往路層形成工程と、該第一往路層表面に該第一導線往路層の該第一鍔部側の導線を該第一鍔部側から該第二鍔部側へと向かって巻回して第一導線復路層を構成する第一導線復路形成工程と、を含み第一導線往復路層を構成する第二巻回工程と、
該第二導線を、該第二巻回部に該第二巻回部の該第二鍔部側から該第一鍔部側へと向かって巻回して第二導線基層を構成する第三巻回工程と、
該第二導線基層上に、該第二導線基層の該第一鍔部側の導線を該第一鍔部側から該第二鍔部側へと向かって巻回して第二導線往路層を構成する第二導線往路層形成工程と、該第二往路層表面に、該第二導線往路層の該第二鍔部側の導線を該第二鍔部側から該第一鍔部側へと向かって巻回して第二導線復路層を構成する第二導線復路形成工程と、を含み第二導線往復路層を構成する第四巻回工程と、
該第一導線基層の該第一鍔部側を引き出して該第一電極部の一方の電極上に配置する第一導線第一引出工程と、該第一導線最外層の該第一導線復路層の該第二鍔部側を引き出して該第二電極部の一方の電極上に配置する第一導線第二引出工程と、該第二導線基層の該第二鍔部側を引き出して該第二電極部の他方の電極上に配置する第二導線第一引出工程と、該第二導線最外層の該第二導線復路層の該第一鍔部側を引き出して該第一電極部の他方の電極上に配置する第二導線第二引出工程と、を含み該第一導線及び該第二導線の継線箇所を規定する継線箇所規定工程と、
該継線箇所規定工程により規定された継線箇所を該第一電極部及び該第二電極部に継線する継線工程と、を備えたことを特徴とするコイル部品の製造方法。 - 該第二巻回工程は複数回実行され、該第四巻回工程は複数回実行されることを特徴とする請求項2に記載のコイル部品の製造方法。
- 巻芯部と、該巻芯部の一端に設けられた第一鍔部と、該巻芯部の他端に設けられた第二鍔部とを有するコアと、
該第一鍔部に設けられた一対の電極である第一電極部、及び該第二鍔部に設けられた一対の電極である第二電極部と、
該巻芯部に巻回された第一導線及び第二導線と、を備えたコイル部品であって、
該巻芯部は、該第一鍔部側に第一巻回部が規定され、該第二鍔部側に第二巻回部が規定され、
該第一導線は、該第一巻回部上において、該巻芯部の軸方向に一層ずつ三層以上の奇数層巻回され、最内層である第一層の巻回開始端側が該第一鍔部側に位置して該第一電極部の一方の電極に継線され、最外層である最終層の巻回終端側が該第二鍔部側に位置して該第二電極部の一方の電極に継線され、
該第二導線は、該第二巻回部上において、該巻芯部の軸方向に一層ずつ三層以上の奇数層巻回され、最内層である第一層の巻回開始端側が該第二鍔部側に位置して該第二電極部の他方の電極に継線され、最外層である最終層の巻回終端側が該第一鍔部側に位置して該第一電極部の他方の電極に継線されていることを特徴とするコイル部品。
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