しかし、上記公報記載のコイル部品の製造方法では、除去されていないめっきの部分であって研磨加工によりめっきが除去される際にひっぱられた部分が、ドラムコア素地から剥れた状態となったり、キズがついた状態になったりするという問題が生じていた。
そこで、本発明は、めっきがドラムコア素地から剥れた状態となったりキズがついたりすることを防止するコイル部品の製造方法、及び、コイル部品の製造方法により製造されたコイル部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、コイル導体を有し少なくとも該コイル導体が外装体で外装され該外装体が外殻の一部をなす角柱形状体の軸方向両端部の端面及び該角柱形状体の側面の軸方向両端部の部分に下地電極が設けられ、一の該側面の部分に設けられた該下地電極は該コイル導体が電気的に接続された継線部をなすコイル部品本体を用意するコイル部品本体準備工程と、該角柱形状体の該一の側面以外の全ての側面に相当する該コイル部品本体の側面の全面において該下地電極と該外装体の一部とを研磨することにより該一の側面以外の全ての側面の該下地電極を全て除去する研磨工程と、該下地電極上にめっき処理を施すめっき工程とを有するコイル部品の製造方法を提供している。
コイル導体を有し少なくともコイル導体が外装体で外装され外装体が外殻の一部をなす角柱形状体の軸方向両端部の端面及び角柱形状体の側面の軸方向両端部の部分に下地電極が設けられ、一の側面の部分に設けられた下地電極はコイル導体が電気的に接続された継線部をなすコイル部品本体を用意するコイル部品本体準備工程と、角柱形状体の一の側面以外の全ての側面に相当するコイル部品本体の側面の全面において下地電極と外装体の一部とを研磨することにより一の側面以外の全ての側面の下地電極を全て除去する研磨工程と、下地電極上にめっき処理を施すめっき工程とを有するため、研磨加工によりめっきがひっぱられることがなく、めっきの一部がドラムコア素地から剥れた状態となったりキズがついたりすることを防止することができる。また、一の側面以外の全ての側面の下地電極は全て除去されているため、端子電極に閉磁路の逆起電力が発生することを極力抑えることができ、所定のインダクタ特性を得ることができるコイル部品を製造することができる。
ここで、該角柱形状体の該一の側面以外の側面のうちの一つに相当する該コイル部品本体の側面は主要面をなし該主要面に対して該コイル部品本体の反対側の側面は反主要面をなし、該研磨工程では、該反主要面を支持部材の上面に当接させて該コイル部品本体を該支持部材上に載置した状態で該主要面における研磨を行うことが好ましい。
角柱形状体の一の側面以外の側面のうちの一つに相当するコイル部品本体の側面は主要面をなし主要面に対してコイル部品本体の反対側の側面は反主要面をなし、研磨工程では、反主要面を支持部材の上面に当接させてコイル部品本体を支持部材上に載置した状態で主要面における研磨を行うため、上面上で安定して研磨を行うことができ、このため確実に研磨を行うことができる。
また、該研磨工程では、略円柱形状をなし軸心を中心として回転可能な研磨ブレードの該軸心を該主要面の長手方向に直交且つ該主要面に平行に維持した状態で、該研磨ブレードを回転させて該研磨ブレードの周面を該主要面の長手方向の一端側から他端側へと摺動させることにより該主要面の研磨を行い、該研磨ブレードの軸心方向における該研磨ブレードの該周面の長さは該主要面の幅よりも長いことが好ましい。
研磨ブレードの軸心方向における研磨ブレードの周面の長さは主要面の幅よりも長いため、主要面の長手方向の一端側から他端側へ1回の摺動で主要面の研磨を行うことができる。このため研磨ブレードが何度も主要面に触れずに済み、主要面の仕上がりや信頼性を高めることができる。
また、該コイル部品本体の側面は該反主要面及び該主要面以外に一対の対向面を有し、該研磨工程では、対向配置された一対の研磨ブレードを該一対の対向面に接触させて該一対の対向面において同時に研磨を行うことが好ましい。
コイル部品本体の側面は反主要面及び主要面以外に一対の対向面を有し、研磨工程では、対向配置された一対の研磨ブレードを一対の対向面に接触させて一対の対向面において同時に研磨を行うため、一対の研磨ブレードの幅を固定とし一対の研磨ブレード間で研磨することにより、コイル部品の幅のばらつきを抑えることができる。
また、該研磨工程の後であって該めっき工程の前に、該角柱形状体の該一の側面以外の側面に相当する該コイル部品本体の側面と該角柱形状体の端面に相当する該コイル部品本体の端面とを接続する辺の部分のうちの少なくとも一つの該辺の部分を面取りすることが好ましい。
研磨工程の後であってめっき工程の前に、角柱形状体の一の側面以外の側面に相当するコイル部品本体の側面と角柱形状体の端面に相当するコイル部品本体の端面とを接続する辺の部分のうちの少なくとも一つの辺の部分を面取りするため、めっき工程により形成されためっきが研磨工程により研磨されたコイル部品本体の側面よりも当該側面に垂直をなす方向へ突出することを防止することができる。このため、実装基板にコイル部品が実装されたときに、めっきが一の側面以外の側面に隣接配置された他の部品等と接触することを防止することができ、より高密度な実装をすることができる。
また、該コイル導体は導線からなり、該コイル部品本体準備工程では、巻芯部接続面と巻芯部接続面に接続された4つの側面と該4つの側面に接続され該巻芯部接続面に対向する端面とをそれぞれ有する一対の略直方体形状をなす鍔部と、軸方向両端部が該一対の鍔部の該巻芯部接続面にそれぞれ一つずつ接続された巻芯部とを備え、一方の該鍔部の該4つの側面は他方の該鍔部の4つの側面とそれぞれ略平行の位置関係をなすコアを用意する工程と、該鍔部の該端面と該4つの側面とに下地電極を設ける工程と、該導線を該巻芯部に巻回し、該一対の鍔部の該4つの側面のうちの第1の側面上の下地電極に該導線の一端部、他端部をそれぞれ1つずつ電気的に接続する工程と、該一対の鍔部間に樹脂を充填して該導線が巻回された該巻芯部を覆うように略四角柱形状にモールドして樹脂モールドからなる該外装体を成形する工程とを行うことにより略四角柱形状の該角柱形状体を有するコイル部品本体を製造することが好ましい。
コイル部品本体準備工程では、巻芯部接続面と巻芯部接続面に接続された4つの側面と4つの側面に接続され巻芯部接続面に対向する端面とをそれぞれ有する一対の略直方体形状をなす鍔部と、軸方向両端部が一対の鍔部の巻芯部接続面にそれぞれ一つずつ接続された巻芯部とを備え、一方の鍔部の4つの側面は他方の鍔部の4つの側面とそれぞれ略平行の位置関係をなすコアを用意する工程と、鍔部の端面と4つの側面とに下地電極を設ける工程と、導線を巻芯部に巻回し、一対の鍔部の4つの側面のうちの第1の側面上の下地電極に導線の一端部、他端部をそれぞれ1つずつ電気的に接続する工程と、一対の鍔部間に樹脂を充填して導線が巻回された巻芯部を覆うように略四角柱形状にモールドして樹脂モールドからなる外装体を成形する工程とを行うことにより略四角柱形状の角柱形状体を有するコイル部品本体を製造するため、鍔部の側面と端面とが接続されている鍔部の辺の部分で研磨加工によりめっきがひっぱられることがなく、めっきの一部がドラムコア素地から剥れた状態となったりキズがついたりすることを防止することができる。また、鍔部の4つの側面のうちの第1の側面以外の側面の下地電極は全て除去されているため、端子電極に閉磁路の逆起電力が発生することを極力抑えることができ、所定のインダクタ特性を得ることができるコイル部品を製造することができる。
また、該樹脂モールドは該継線部の位置を認識するためのマーク部を有していることが好ましい。樹脂モールドはマーク部を有しているため、継線部の位置を認識し、導線と下地電極との電気的な接続箇所を識別することができる。
また、該マーク部は該第1の側面以外の側面に相当する該コイル部品本体の側面の該樹脂モールドの部分に配置されていることが好ましい。
マーク部は第1の側面以外の側面に相当するコイル部品本体の側面の樹脂モールドの部分に配置されているため、研磨工程によりマーク部を除去することができ、コイル部品の表面においてマーク部が不要な場合にマーク部をコイル部品表面に残さずに済む。
また、該コイル部品本体における該巻芯部の軸心位置は、該第1の側面に対向する第2の側面に相当する該コイル部品本体の側面が該研磨工程で研磨される厚さ分だけ該第1の側面の方へ偏って配置されていることが好ましい。
コイル部品本体における巻芯部の軸心は、第1の側面に対向する第2の側面に相当するコイル部品本体の側面が研磨工程で研磨される厚さ分だけ第1の側面の方へ偏って配置されているため、コイル部品において巻芯部を覆う樹脂モールドの第2の側面側の厚みを第1の側面側の厚みと同一とすることができ、第2の側面側においても第1の側面側と同様に十分に厚みが確保された樹脂モールドとすることができる。
また、本発明は、上記コイル部品の製造方法により製造され、該下地電極が外部に露出しないように該下地電極全体にめっき処理が施されているコイル部品を提供している。
コイル部品は、上記コイル部品の製造方法により製造され、下地電極が外部に露出しないように下地電極全体にめっき処理が施されているため、めっきにより下地電極の保護を図ることができる。また、めっきの一部がドラムコア素地から剥れた状態となったりキズがついたりすることを防止することができる。また、一の側面以外の全ての側面の下地電極は全て除去されているため、端子電極に閉磁路の逆起電力が発生することを極力抑えることができ、所定のインダクタ特性を得ることができるコイル部品とすることができる。
以上により本発明は、めっきがドラムコア素地から剥れた状態となったりキズがついたりすることを防止するコイル部品の製造方法、及び、コイル部品の製造方法により製造されたコイル部品を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態によるコイル部品の製造方法及びコイル部品について説明する。先ず、コイル部品の製造方法により製造されるコイル部品について図1、図2に基づき説明する。コイル部品は、具体的には、携帯用の小型電子機器等において用いられるインダクタ部品であり、図2に示されるようにコイル部品1は、コア10と、巻線30と、端子電極40と、樹脂部60とを備えている。コイル部品1は全体として略直方体形状をなしており、後述のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に相当する寸法はそれぞれ2.5mm、1.5mm、1.2mm程度である。
コア10は磁性体(例えば、フェライト等)からなる。コア10は、巻芯部11と一対の鍔部15、15とを有するいわゆるドラムコアである。以下、巻芯部11の軸方向をX軸方向、巻芯部11の軸方向に直交する方向であって図2の紙面の表側から裏側へと向かう方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向と定義して説明する。また、コイル部品1は、巻芯部11のX軸方向の中央位置を中心としてX軸方向において対称形状となっており、特に説明しない限り一対の鍔部15、15については一方の鍔部15について説明するものとし、他方の鍔部15についての説明は省略する。
巻芯部11は軸心がX軸方向へ延びる略四角柱形状をなしている。巻芯部11は、その一端、他端が一対の鍔部15、15の後述の内面21にそれぞれ接続されており、一対の鍔部15、15を互いに連結している。巻芯部11には、1本の巻線30が巻回されている。巻線30としては、例えば、周囲を絶縁被覆された銅線を用いることができる。巻線30を構成する銅線はコイル導体に相当する。
一対の鍔部15、15はX軸方向における巻芯部11の両端に設けられており、鍔部15は巻芯部11と一体的に形成されている。鍔部15は略直方体形状を呈しており、図1に示されるように、第1〜4の側面16〜19と外面20と内面21とを有している。外面20は端面に相当し、内面21は巻芯部接続面に相当する。鍔部15の第1の側面16と第2の側面17とは、Z軸方向において互いに対向している。鍔部15の第3の側面18と第4の側面19とは、Y軸方向において互いに対向している。また、鍔部15の外面20と内面21とは、X軸方向において互いに対向している。第1〜4の側面16〜19と外面20と内面21とは鍔部15の輪郭をなす外表面を構成する。また、一方の鍔部15の4つの側面16〜19は他方の鍔部15の4つの側面16〜19とそれぞれ面一である。
外面20は、X軸方向における一対の鍔部15、15のそれぞれの端面をなしている。第1の側面16は、コイル部品1を図示せぬ回路基板に実装するときに、当該図示せぬ回路基板の表面の電極パターンに対向する実装面をなし、図示せぬ回路基板の表面に平行をなすように構成されている。
端子電極40は、外面20の全面にわたって外面20に対向するようにして設けられた端面対向部41と、第1の側面16の全面にわたって第1の側面16に対向するようにして設けられた実装面対向部42とのみから構成されている。端面対向部41は下地電極41Aと上地電極41Bとを有し、実装面対向部42は下地電極42Aと上地電極42Bとを有している。第1の側面16と外面20とが接続されている辺において、下地電極41Aと下地電極42Aとが接続されると共に上地電極41Bと上地電極42Bとが接続されることにより、端面対向部41と実装面対向部42とは接続されている。以上より端子電極40は、外面20の全面と、第1の側面16全面及び樹脂部60の底面60Aの一部とに設けられていることになるのであるが、鍔部15においては外面20全面上と第1の側面16全面上とにのみ設けられていることになる。
下地電極41Aは、外面20上に全面にわたってAgが焼付けられることにより設けられている。上地電極41Bは、当該下地電極41A上に全面にわたってAg層がディップによりこの順で形成され、Ag層表面上全面にめっきによりNi層が形成され、Ni層表面上全面にSnがめっきされて設けられている。下地電極41Aの一部であってZ軸プラス方向の端縁部は上地電極41Bにより覆われており、外部に露出していない。同様に下地電極41Aの一部であってY軸プラス方向及びマイナス方向の端縁部は上地電極41Bにより覆われており、外部に露出していない。従って下地電極41A全体にめっき処理が施された状態となっている。
下地電極42Aは、第1の側面16の全面と後述する樹脂部60の底面60Aの一部とにわたってAgが焼付けられることにより設けられている。上地電極42Bは、当該下地電極42A上の全面と後述する樹脂部60の底面60Aの一部とにわたってAg層がディップによりこの順で形成され、Ag層表面上全面にめっきによりNi層が形成され、Ni層表面全面にSnがめっきされて設けられている。下地電極42Aの一部であってY軸プラス方向及びマイナス方向の端縁部は上地電極42Bにより覆われており、外部に露出していない。従って下地電極42A全体に上地電極42B処理が施された状態となっている。
一方の鍔部15上の実装面対向部42の一部をなす下地電極42Aは、上地電極42BのAg層、Ni層が形成される前に、巻線30の一端30A(図2)を構成する後述の銅線が熱圧着によりそれぞれ固着され電気的に接続されて継線された領域である継線部をなしている。巻線30の一端30Aを構成する銅線は、継線部において上地電極42Bによって覆われており、外部には露出せず、上地電極42Bと下地電極42Aとの間に挟まれた位置関係となっている。他方の鍔部15の実装面対向部42の一部をなす下地電極42Aも、一方の下地電極42Aと同様に、巻線30の他端30Bを構成する後述の銅線がそれぞれ固着され電気的に接続されて継線された領域である継線部をなしている。
樹脂部60は、図1、図2に示されるように、一対の鍔部15、15の内面21間に充填されるように、巻線30が巻回された巻芯部11を環装し覆うようにして設けられている。樹脂部60は樹脂にフェライト粉を混合して構成されている。
樹脂部60の表面は底面60A、上面60B、第1側面60C、図示せぬ第2側面を有している。上面60Bは、一方の鍔部15の第2の側面17と他方の鍔部15の第2の側面17との間に位置し、これら2つの第2の側面17、17を結ぶように第2の側面17、17に面一に構成されている。第1側面60Cは、一方の鍔部15の第3の側面18と他方の鍔部15の第3の側面18との間に位置し、これら2つの第3の側面18、18を結ぶように第3の側面18、18に面一に構成されている。図示せぬ第2側面は、一方の鍔部15の第4の側面19と他方の鍔部15の第4の側面19との間に位置し、これら2つの第4の側面19、19を結ぶように第4の側面19、19に面一に構成されている。
上述のようにコイル部品1には、下地電極41A、42Aが外部に露出しないように下地電極41A、42A全体にめっき処理が施されて上地電極41B、42Bが設けられているため、上地電極41B、42Bにより下地電極41A、42Aの保護を図ることができる。また、第4の側面19及び第1の側面16以外の鍔部の外表面には下地電極が存在しない状態となっているため、端子電極40に閉磁路の逆起電力が発生することを極力抑えることができ、所定のインダクタ特性を得ることができるコイル部品1とすることができる。
コイル部品の製造方法については以下の通りである。先ずコイル部品本体準備工程を行う。コイル部品本体準備工程では、先ず、巻芯部11と一対の鍔部15、15とを備えたコア10を用意する。次に、ディップ(浸漬)により、鍔部15の外面20全面及び側面16〜19全面にAgペーストを付着させた後乾燥させて、一部が下地電極41A、42AとなるAg膜を形成する。次に、巻芯部11に巻線30を巻き付け、巻線30の一端30A、他端30Bを構成する銅線を、鍔部15、15の第1の側面16、16上の下地電極42A、42A上に熱圧着する。
次に、四角柱形状をなす樹脂モールドからなる樹脂部60を形成する。樹脂部60は外装体に相当する。樹脂部60の形成は、一対の鍔部15、15の間で巻芯部11に巻き付けられた巻線30を環装して覆うように、トランスファー成形によるモールドなどにより一対の鍔部15、15の間に樹脂を充填することにより行う。以上の工程により2つの端面とこれら2つの端面を結ぶ4つの側面とを有する略四角柱形状の角柱形状体を有するコイル部品本体1´(図3)が製造される。ここで、角柱形状体とは、コイル導体たる巻線30を有し巻線30が、樹脂部60を構成する樹脂モールドで外装され当該樹脂モールドが外殻の一部をなすものであってコイル部品本体1´を構成しているものを言い、未だ下地電極41A、42Aが形成されていない状態のものを言う。次に、巻線30の一端30A、他端30Bを構成する銅線の熱圧着された部分を覆うように下地電極41A、42Aの上にAg層をディップにより形成する。以上がコイル部品本体準備工程である。
次に、研磨工程を行う。研磨工程では、図3(a)、(b)に示されるように、ダイサーに設けられた略円柱形状をなす研磨ブレード1001により、コイル部品本体1´の4つの側面のうちの第2の側面17及び樹脂部60の上面60Bとなる側面1´A(図3(a)における上面)を研磨する。当該側面1´Aは主要面に相当し主要面1´Aの反対側の面1´Bは反主要面に相当する。研磨ブレード1001の軸心方向における研磨ブレード1001の周面1001Aの長さは主要面1´Aの長手方向に対する幅よりも長く構成されている。
研磨に際しては、反主要面1´Bを図示せぬ支持部材の上面に当接させてコイル部品本体1´を支持部材上に載置した状態として、主要面1´Aに対して研磨ブレード1001の周面1001Aを接触させて研磨を行う。このときコイル部品本体1´は、その長手方向が平行をなす位置関係で複数並べられ、隣り合うコイル部品本体1´同士は所定の間隔で離間している。このように並べられたコイル部品本体1´の1つ1つの主要面1´Aに対して研磨が行われる。このように所定の間隔で離間して配置されているため、一のコイル部品本体1´について主要面1´Aの長手方向の一端側から他端側へ主要面1´Aの研磨を行う際に、当該一のコイル部品本体1´の隣に並べられている他のコイル部品本体1´の主要面1´Aを研磨してしまうことはない。この研磨により、図3(c)に示されるように、主要面1´A上の樹脂モールドの一部と下地電極の全てが除去されて、樹脂部60の上面60Bが形成され、第2の側面17全面が露出する。
このように反主要面1´Bを図示せぬ支持部材の上面に当接させてコイル部品本体1´を支持部材上に載置した状態で主要面1´Aにおける研磨を行うため、上面上で安定して研磨を行うことができ、このため確実に研磨を行うことができる。また、研磨ブレード1001の軸心方向における研磨ブレード1001の周面1001Aの長さは主要面1´Aの長手方向に対する幅よりも長く構成されているため、主要面1´Aの長手方向の一端側から他端側へ1回の摺動で主要面1´Aの研磨を行うことができる。このため研磨ブレード1001が何度も主要面1´Aに触れずに済み、主要面1´Aの仕上がりや信頼性を高めることができる。
次に、コイル部品本体1´をその軸心を中心として90°回転させ、コイル部品本体1´の4つの側面のうちの第4の側面19及び樹脂部60の図示せぬ第2側面となる側面1´Cを、図3(d)、(e)に示されるように上面となるように図示せぬ支持部材上に載置する。当該側面1´Cは一対の対向面の一方に相当する。そして、略円柱形状をなす研磨ブレード1001の周面1001Aを側面1´Cに接触させることにより、当該側面1´Cを研磨する。このことにより、図3(f)に示されるように、側面上の樹脂モールドの一部と下地電極の全てが除去されて、樹脂部60の図示せぬ第2側面が形成され、第4の側面19全面が露出する。
次に、コイル部品本体1´をその軸心を中心として180°回転させ、コイル部品本体1´の4つの側面のうちの第3の側面18及び樹脂部60の第1側面60Cとなる側面を上面となるように図示せぬ支持部材上に載置する。当該側面は一対の対向面の他方に相当する。そして、略円柱形状をなす研磨ブレード1001の周面1001Aを当該側面1´Cに接触させることにより、当該側面を研磨する。このことにより当該側面上の樹脂モールドの一部と下地電極の全てが除去されて、樹脂部60の第1側面60Cが形成され、第3の側面18全面が露出する。以上が研磨工程である。
次に、研磨工程を経たコイル部品本体1´の端縁に生じているエッジを削るためのバレル研磨を行う。次に、下地電極41A、42Aの上に電解めっきによるめっき処理によりNi層を形成し、更に、その上に電解めっきによるSnめっき処理を施すことによりNi層の表面にSnめっき層を形成して上地電極41B、42Bを形成するめっき工程を行う。以上の工程を経てコイル部品1を製造する。
上述のようにコイル部品の製造方法は、コイル部品本体準備工程と、研磨工程と、めっき工程とを有するため、研磨加工によりめっきたる上地電極41B、42Bがひっぱられることがなく、上地電極41B、42Bの一部が鍔部15を構成するドラムコア素地から剥れた状態となったりキズがついたりすることを防止することができる。
次に、第2の実施の形態によるコイル部品について図4を参照しながら説明する。第2の実施の形態によるコイル部品101は複数枚の絶縁層形成用グリーンシート1a〜1mが積層され焼成されてなる積層型電子部品である。コイル部品101は、一対の端面101A、101Aとこれら一対の端面101A、101Aを結ぶ4つの側面101B〜101Eとを有する四角柱形状をなしている。コイル部品101は、外形が四角柱形状たる略直方体形状をなす積層部品本体部111と端子電極140とを有している。
端子電極140は、積層部品本体部111の両端面111A、111Aの全面と下面111Bの一部であって両端面寄りの部分と設けられている。端子電極140は、銀ペーストからなる導体ペーストがディップ等により被着し焼成されてなる下地電極と、下地電極が外部に露出しないように下地電極の全体を覆うように下地電極上に電気めっきが施されて形成されためっき140Aとにより構成されている。電気めっきとしては、銅とニッケルと錫、ニッケルと金、ニッケルとパラジウムと金、ニッケルとパラジウムと銀、あるいはニッケルと銀等が用いられている。
積層部品本体部111は、図4(a)に示されるような、例えば磁性体粉または低誘電率の非磁性体粉がバインダーや可塑剤に混合されてシート状とされた絶縁層形成用グリーンシート1a〜1mが積層され焼成されて構成されている。絶縁層形成用グリーンシート1c〜1dにはコイル導体2、2a、2bが設けられており、コイル導体2、2a、2bは、図4(a)に示されるようなコ字形(3/4ターン)等をなすパターンにより構成されている。コイル導体2、2a、2bの端部には導体充填スルーホール4が設けられている。また、絶縁層形成用グリーンシート1a、1b、1k、1mには、中央に導体充填スルーホール4が設けられ、スルーホール4を覆うように引き出し電極5Aが設けられている。
絶縁層形成用グリーンシート1a〜1m上のコイル導体2、2a、2bや引き出し電極5Aは、銀やその合金等の金属粉を含む導体ペーストの印刷により設けられている。同様に、スルーホール4を構成する導体は、銀やその合金等の金属粉を含む導体ペーストが絶縁層形成用グリーンシート1a等に形成された貫通孔に充填されてなる。
コイル部品の製造方法のコイル部品本体準備工程では、先ず積層部品本体部111を以下のようにして製造する。実際の製造工程では大きな絶縁層形成用グリーンシートが用いられて、後述の焼成前に切断されて多数の積層型電子部品の積層体本体部111が同時に製造されるのであるが、便宜上1つの積層体本体部111を製造する工程として説明する。先ず、図4(a)に示されるように、複数枚の絶縁層形成用グリーンシート1c〜1jを積層する。この際、積層方向に隣接する絶縁層形成用グリーンシート1c〜1jのコイル導体2、2a、2bがスルーホール4を介して電気的に接続されて、コイル導体2、2a、2bが全体として螺旋状とされている状態となるようにする。
これと同時に、絶縁層形成用グリーンシート1c〜1jの図4(a)に示される積層方向左方に絶縁層形成用グリーンシート1a、1bを更に積層し、積層方向右方に絶縁層形成用グリーンシート1k、1mを更に積層する。そして、更に、積層方向左側から、絶縁層形成用グリーンシート1aの左面の中央部分を覆う引き出し電極5Aとなる導体ペーストが付されたフィルム6により転写を行い、引き出し電極5Aを絶縁層形成用グリーンシート1aの左面の中央部分に設ける。そしてこれらの積層された絶縁層形成用グリーンシート1a〜1m全体を圧着し所定の形状に切断し焼成する。以上の工程を経て積層部品本体部111は製造される。
次に、積層部品本体部111の両端面111A、111Aの全面と4つの側面111B〜111Eの両端面111A、111A近傍部分とに、導体ペーストをディップ等により被着させ焼成して下地電極を形成してコイル部品本体を製造する。以上がコイル部品本体準備工程である。
次に、第1の実施の形態と同様に研磨工程を行う。研磨工程では、研磨ブレード1001により、コイル部品101の図4(b)に示される両端面101A、101A及び下面101Bに相当するコイル部品本体の端面及び下面以外の側面101C、101D、101Eとなる面を研磨する。このことにより、端子電極140が、積層部品本体部111の両端面111A、111Aの全面と図4(b)に示される下面111Bの一部であって両端面111A、111A近傍の部分とに設けられた状態とする。次に、下地電極上に電気めっきを施して上地電極たるめっき140Aを設けるめっき工程を行う。以上の工程を経てコイル部品101を製造する。
本発明によるコイル部品及びコイル部品の製造方法は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、研磨工程の後であってめっき工程の前に、角柱形状体の一の側面以外の側面に相当するコイル部品本体の側面と角柱形状体の端面に相当するコイル部品本体の端面とを接続する辺の部分のうちの少なくとも一つの辺の部分を面取りしてもよい。
具体的には例えば、研磨工程の後であってめっき工程の前に、図5に示されるようにコイル部品本体の主要面1´Aと端面との接続位置をなす辺の部分を面取りして面取り部201aを設ける。このことにより、面取り後のめっき工程により形成される上地電極41Bの上端が、面取り部201aよりも上方へ僅かに延びた状態で形成された場合であっても、上地電極41Bの上端がコイル部品201の上面よりも上方へ突出することを防止することができる。このため、図示せぬ実装基板にコイル部品201が実装されたときに、上地電極41Bの上端がコイル部品201の上面に隣接配置された図示せぬシートや他の部品等と接触することを防止することができ、より高密度な実装をすることができる。
また、本実施の形態では、1つの研磨ブレード1001が用いられたが、対向配置された一対の研磨ブレードを用いてもよい。例えば、一対の研磨ブレード間の距離を、Y軸方向におけるコイル部品1の幅と略同一として固定し、Y軸方向におけるコイル部品本体1´の一対の対向面にそれぞれ接触させて当該一対の端面において同時に研磨を行えばよい。このようにすることで、Y軸方向におけるコイル部品1の幅のばらつきを抑えることができる。
また、樹脂部60を構成する樹脂モールドは継線部の位置を認識するためのマーク部を有していてもよい。マーク部は、例えば、樹脂部60の表面であって研磨工程において研磨される面、即ち、樹脂部60の上面60B、又は第1側面60C、又は図示せぬ第2側面に形成される。
この構成により継線部の位置を認識することができ、巻線30と下地電極41A、42Aとの電気的な接続箇所を識別することができる。また、研磨工程によりマーク部を除去することができ、コイル部品1の表面においてマーク部が不要な場合にマーク部をコイル部品1の表面に残さずに済む。
また、コイル部品本体1´における巻芯部11の軸心は、研磨工程において主要面が研磨される厚さ分だけ樹脂部60の底面60Aの方へ偏って配置されていてもよい。このことにより、コイル部品において巻芯部11を覆う樹脂部60の上面60B側の厚みを底面60A側の厚みと同一とすることができ、上面60B側においても底面60A側と同様に十分に厚みが確保された樹脂部60とすることができる。
また、研磨工程ではダイサーに設けられた略円柱形状をなす研磨ブレード1001を用いたが、研磨するための手段はこれに限定されない。
また、コア10は磁性体(例えば、フェライト等)から構成されたが、これに限定されない。例えば、セラミック等の非磁性体によりコアが構成されてもよい。
また、樹脂部60は、エポキシ樹脂にフェライト粉を混合してなる絶縁体材料から構成されたが、これに限定されず、例えばフェライト粉が混合されていなくてもよい。
また、導体は巻線30を構成する銅線により構成されたが、これに限定されず、少なくとも巻芯部11に相当する芯部に配置され一端と他端とを有する導体であればよい。従って、導体は芯部に巻回されていなくてもよい。また、巻線30の本数は1本に限定されず、複数本であってもよい。