JP2005209916A - 電気用巻線、電気用巻線の製法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 丸線から形成され、十分な占積率を有し且つ巻線の表面積を増大させて高周波電流が流れる表面近くの電流集中を緩和できる電気用巻線を製造する。
【解決手段】 それぞれ円形断面で形成され且つ外面(10a)が絶縁被覆(5)により被覆された線状の導体(10)から成る被覆電線(1〜n)は、第1の巻線(1)から第n巻線(n)まで徐々に増大する直径で形成された第1巻線(1)から第n巻線(n)のコイル部(1a〜na)と、コイル部(1a〜na)の両側から導出された一端(1b〜nb)及び他端(1c〜nc)とを備え、コイル部(1a〜na)は、同心状に順次嵌合される。第1巻線(1)から第n巻線(n)までの複数の巻線に電流を分散させると同時に、複数の巻線により表面積を増大させることにより高周波電流が流れる表面近くの電流集中を緩和することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 それぞれ円形断面で形成され且つ外面(10a)が絶縁被覆(5)により被覆された線状の導体(10)から成る被覆電線(1〜n)は、第1の巻線(1)から第n巻線(n)まで徐々に増大する直径で形成された第1巻線(1)から第n巻線(n)のコイル部(1a〜na)と、コイル部(1a〜na)の両側から導出された一端(1b〜nb)及び他端(1c〜nc)とを備え、コイル部(1a〜na)は、同心状に順次嵌合される。第1巻線(1)から第n巻線(n)までの複数の巻線に電流を分散させると同時に、複数の巻線により表面積を増大させることにより高周波電流が流れる表面近くの電流集中を緩和することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電気用巻線、電気用巻線の製法及び製造装置、特に、丸線から成る複数本の被覆電線から形成され、十分な占積率を有し且つ巻線の表面積を増大させて高周波電流が流れる表面近くの電流集中を緩和できる電気用巻線、電気用巻線の製法及び製造装置に関する。
長方形断面を有する平角線から形成され、平角線の短辺が巻線の軸方向に平行になるように巻いたエッジワイズ巻線(平打巻線)は、電気用巻線として公知である。エッジワイズ巻線は、例えば、下記特許文献1及び特許文献2に開示される。このような巻線は、特許文献1に示されるように、平角線の短辺が巻線機の回転軸に対して平行になるように螺旋状に巻き付け、線材間に隙間を形成せず、円形断面を有する丸線の巻線に比べて占積率の高いコイルを製造することができる。
高周波電流が導体を流れるとき、電流が導体の表面近くに集中して流れる表皮効果(skin effect)が発生する。表皮効果が発生すると、導体では内部に電流が流れないため、実効断面積が減少し、実効抵抗が増大する。これに対し、特許文献1及び特許文献2に示されるエッジワイズ巻線は、高周波電流が流れる表面近くの電流集中を緩和する解決課題及び解決手段を開示しない。また、エッジワイズ巻線の製造工程では、線材を長方形断面の平角線に形成しなければならない。
螺旋状に巻かれた線材は、互いに導通しないために線材の外面が、樹脂成分を溶剤に溶かしたワニス又は炭素繊維、ガラス繊維若しくはアラミド繊維等の繊維にエポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ等からなる絶縁被膜により被覆される。絶縁被膜を被覆する工程では、平角線の角部で絶縁被膜に損傷が発生する等の特性劣化が発生することがあり、信頼性の高い電気用巻線を形成することができなかった。具体的には、ワニス等の液体は表面張力で丸くなろうとするため、角部が引っ張られて薄くなり、巻線間がショートする心配がある。このため、平角線をワニスでむらなく覆うのは困難であり、比較的細い平角巻線は製造できない。
従来、溶剤に樹脂を溶かし込んだワニスの中に平角線を通過させて絶縁被膜を形成していたが、絶縁被膜の特性劣化を防ぐために、例えば、水の中に樹脂粒子を分散させた電着ワニスの中に平角線を通過させながら電圧を加え、平角線の表面に樹脂を析出させる電着絶縁法等の被覆法を行わなければならなかった。電着絶縁法によれば、平角線の角部に電界の集中が起こり、やや厚めに樹脂を付着させることができるが、エッジワイズ巻線の絶縁被膜及び絶縁被膜を被覆する工程は、丸線からなる巻線と比較して製品及び製造コストが高価であった。
更に、巻線機の回転軸に線材を巻き付ける工程では、エッジワイズ巻線は、線材の短辺を回転軸に対して平行に巻き付けるため、線材の屈曲が容易でなく、回転軸に対して垂直にならずに倒れこみを生じる不具合が発生した。よって、エッジワイズ巻線の製法では、この不具合を矯正する倒れ止め具等の手段が必要不可欠であり、複雑且つ高精度な機構となり、製造装置は高価である。また、異なる仕様の電気用巻線を製造する場合には、使用する線材の長方形断面を変更しなければならず、設計の自由度が低い欠点があった。
そこで本発明は、十分な占積率を有し且つ巻線の表面積を増大させることにより、高周波電流が流れる表面近くの電流集中を緩和できる電気用巻線、電気用巻線の製法及び製造装置を提供することを目的とする。また、本発明は、丸線を使用して電気用巻線を安価に製造できる電気用巻線、電気用巻線の製法及び製造装置を提供することを目的とする。更に、本発明は、従来のエッジワイズ巻線に発生する製造工程での巻線の倒れこみ又は角部の絶縁被膜の特性劣化を防止できる電気用巻線、電気用巻線の製法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明による電気用巻線は、それぞれ円形断面で形成された線状の導体(10)と、導体(10)の外面(10a)に被覆された絶縁被覆(5)とを有するn本の被覆電線(1〜n)から形成された第1巻線(1)から第n巻線(n)までの複数の巻線を備え、第1巻線(1)から第n巻線(n)は、それぞれ湾曲して形成されたコイル部(1a〜na)と、コイル部(1a〜na)の両側から導出された一端(1b〜nb)及び他端(1c〜nc)とを備え、第1巻線(1)から第n巻線(n)のコイル部(1a〜na)は、第1の巻線(1)から第n巻線(n)まで徐々に増大する直径で形成され、第1巻線(1)から第n巻線(n)のコイル部(1a〜na)は、同心状に順次嵌合される。本発明の電気用巻線では、第1巻線(1)から第n巻線(n)までの複数の巻線に電流を分散させると同時に、第1巻線(1)から第n巻線(n)までの複数の巻線により表面積を増大させることにより、高周波電流が流れる表面近くの電流集中を緩和することができる。また、下記の作用効果が得られる。
[1] 市販の丸線から成る被覆電線(1〜n)を使用して電気用巻線を安価に製造することができる。
[2] 第1巻線(1)から第n巻線(n)のコイル部(1a〜na)は、同心状に順次嵌合されるので、十分な占積率を有する電気用巻線を形成できる。
[3] 第1巻線(1)から第n巻線(n)までの本数を適宜に設定でき、電気用巻線の設計自由度を向上できる。
[4] 丸線から成る被覆電線(1〜n)を使用するので、従来のエッジワイズ巻線に発生する製造工程での巻線の倒れこみ又は角部の絶縁被膜(5)の特性劣化を防止することができ、信頼性の高い電気用巻線を形成することができる。
[2] 第1巻線(1)から第n巻線(n)のコイル部(1a〜na)は、同心状に順次嵌合されるので、十分な占積率を有する電気用巻線を形成できる。
[3] 第1巻線(1)から第n巻線(n)までの本数を適宜に設定でき、電気用巻線の設計自由度を向上できる。
[4] 丸線から成る被覆電線(1〜n)を使用するので、従来のエッジワイズ巻線に発生する製造工程での巻線の倒れこみ又は角部の絶縁被膜(5)の特性劣化を防止することができ、信頼性の高い電気用巻線を形成することができる。
本発明による電気用巻線の製法は、それぞれ円形断面で形成された線状の導体(10)と、導体(10)の外面に被覆された絶縁被覆(5)とを有するn本の被覆電線(1〜n)を準備する工程と、n本の被覆電線(1〜n)の各々に、徐々に増大する異なる直径で湾曲してコイル部(1a〜na)を形成し且つコイル部(1a〜na)の両側から一端(1b〜nb)及び他端(1c〜nc)とを導出させて、第1巻線(1)から第n巻線(n)までの複数の巻線を製造する工程と、第1巻線(1)から第n巻線(n)の後続する巻線のコイル部(1a〜na)を先行する巻線のコイル部(1a〜na)の外側に同心状に順次嵌合する工程とを含む。
本発明による電気用巻線の製造装置は、徐々に増大する異なる直径及び同一の軸方向長さを有し、同心状且つ階段状に形成された第1のマンドレル(11)から第nのマンドレル(10+n)を備える心軸装置(16)と、第1のマンドレル(11)から第nのマンドレル(10+n)の各々に巻き付けられる被覆電線(1〜n)の各端部(1b〜nb)を固定する固定装置(17)と、心軸装置(16)を回転可能に支持する支持装置と、心軸装置(16)を回転する回転駆動装置と、第1のマンドレル(11)から第nのマンドレル(10+n)の各々に張力を加えながら被覆電線(1〜n)を供給する電線供給装置とを備え、回転駆動装置により心軸装置(16)を回転することにより、固定装置(17)により各端部(1b〜nb)を固定した被覆電線(1〜n)を第1のマンドレル(11)から第nのマンドレル(10+n)の各々に巻き付けて、異なる直径のコイル部(1a〜na)を有する第1巻線(1)から第n巻線(n)を各被覆電線(1〜n)に形成し、第1巻線(1)から第n巻線(n)の後続する巻線のコイル部(1a〜na)を先行する巻線のコイル部(1a〜na)の外側に同心状に順次嵌合できる。
また、本発明による電気用巻線の製造装置の他の実施形態は、マンドレル(21)と、マンドレル(21)に隣接するフランジ(25)と、マンドレル(21)上に配置され且つマンドレル(21)の長さ方向に移動可能な狭持体(24)とを備える心軸装置(26)と、マンドレル(21)に巻き付けられる被覆電線(1〜n)の各端部(1b〜nb)を固定する固定装置(27)と、心軸装置(26)を回転可能に支持する支持装置と、心軸装置(26)を回転する回転駆動装置と、マンドレル(21)に張力を加えながら被覆電線(1〜n)を供給する電線供給装置とを備え、固定装置(27)により各端部(1b〜nb)を固定した複数の被覆電線(1〜n)をフランジ(25)と狭持体(24)とにより狭持し、回転駆動装置により心軸装置(26)を回転することによって、被覆電線(1〜n)をマンドレル(21)に巻き付けて、異なる直径のコイル部(1a〜na)を有し、巻線のコイル部(1a〜na)が同心状に順次嵌合した第1巻線(1)から第n巻線(n)を各被覆電線(1〜n)に形成する。
前記のように、本発明の電気用巻線、電気用巻線の製法及び製造装置は、丸線から成る複数本の被覆電線により、十分な占積率を有し、安価且つ信頼性の高い電気用巻線を製造できる。
以下、本発明による電気用巻線、電気用巻線の製法及び製造装置の実施の形態を図1〜図12について説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態による電気用巻線は、それぞれ円形断面で形成された線状の導体(10)と、導体(10)の外面(10a)に被覆された絶縁被覆(5)とを有する4本の被覆電線(1〜4)から形成された第1巻線(1)から第4巻線(4)までの複数の巻線を備え、第1巻線(1)から第4巻線(4)は、それぞれ湾曲して形成されたコイル部(1a〜4a)と、コイル部(1a〜4a)の両側から導出された一端(1b〜4b)及び他端(1c〜4c)とを備える。第1巻線(1)から第4巻線(4)のコイル部(1a〜4a)は、第1の巻線(1)から第4巻線(4)まで徐々に増大する直径で形成され、第1巻線(1)から第4巻線(4)のコイル部(1a〜4a)は、同心状に順次嵌合される。
また、第1巻線(1)から第4巻線(4)の一端(1b〜4b)及び他端(1c〜4c)は、直線状に整列して配置される。巻線(1〜4)の端部(1b〜4b,1c〜4c)を整列させることにより、外観よく且つ電気機器の端子等の接続部に良好に接続できる。図1及び図2の電気用巻線は、巻線の軸方向に第1巻線(1)から第4巻線(4)のコイル部(1a〜4a)を4層重ねた円筒型の巻線を示す。図示しないが、巻線は、円形ではない四辺形等の形状に巻かれた筒型又は平面型の巻線でもよい。
図3に示すように、被覆電線(1〜4)を構成する導体(10)は、銅等の高導電性金属から成る丸線により形成され、丸線の周面が絶縁被覆(5)により被覆されている。本発明では、導体(10)として丸線を使用するので、ワニス又はプリプレグ等の周知の絶縁性被覆材から成る絶縁被覆(5)を特性劣化なく、容易且つ安価に被覆することができる。詳細に図示しないが、絶縁被覆(5)を自己融着性ワニス等の自己融着性材料により形成し、隣合う第1巻線(1)から第4巻線(4)の絶縁被覆(5)を互いに密着し融着させてもよい。複数の巻線(1〜n)がばらばらにならず作業性を向上できる。また、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアセタール、ポリビニルホルマール、ポリウレタン及びエポキシ等の合成樹脂から選択された絶縁物質を導体(10)に蒸着、異なる液状樹脂中への導体(10)の浸漬若しくは押し出しにより絶縁被覆(5)を形成してもよい。例えば、接着剤が塗布されたポリイミド製カプトン(Kapton−登録商標)フィルム等の絶縁フィルムを導体(10)に巻き付けてもよく、接着剤を使用せずに、絶縁フィルムを巻き付けた後に熱融着してもよい。絶縁被覆(5)は、IEC(国際電気標準会議)規格に従い、適宜設定してよい。
本実施の形態の電気用巻線は、第1巻線(1)から第4巻線(4)までの複数の巻線に電流を分流させると同時に、第1巻線(1)から第4巻線(4)までの複数の巻線により表面積を増大させるので、高周波電流が流れる表面近くの電流集中を緩和することができる。
図1及び図2に示す本実施の形態の電気用巻線を製造する際に、まず、それぞれ円形断面で形成され且つ外面が絶縁被覆により被覆された線状の導体から成る被覆電線と、被覆電線を巻いて電気用巻線を製造する巻線機とが用意される。
図4に示すように、巻線機(20)は、徐々に増大する異なる直径及び同一の軸方向長さを有し、同心状且つ階段状に形成された第1のマンドレル(11)から第4のマンドレル(14)を備える心軸装置(16)と、第1のマンドレル(11)から第4のマンドレル(14)の各々に巻き付けられる被覆電線(1〜4)の各端部(1b〜4b)を固定する固定装置(17)と、心軸装置(16)を回転可能に支持する支持装置(図示せず)と、心軸装置(16)を回転する回転駆動装置(図示せず)と、第1のマンドレル(11)から第4のマンドレル(14)の各々に張力を加えながら被覆電線(1〜4)を供給する電線供給装置(図示せず)とを備える。
電線供給装置は、例えば、伸びを吸収して張りを一定に保ちながら被覆電線(1〜4)を供給できる周知のテンション装置が使用され、巻線機(20)から一定間隔離れた位置に各マンドレル(11〜14)に対して個別に配置される。心軸装置(16)は、第4のマンドレル(14)に隣接するフランジ(15)を有し、フランジ(15)及び第2のマンドレル(12)から第4のマンドレル(14)に形成されたスリット(18)は、被覆電線(1〜4)の各端部(1b〜4b)を固定する固定装置(17)となる。スリット(18)は、図4に示すように、各マンドレル(12〜14)及びフランジ(15)の周面(12a〜14a,15a)から各軸方向に向かい且つ各々連通して形成される。また、スリット(18)は、被覆電線(1〜4)の各端部(1b〜4b)を狭持して固定する。被覆電線(1〜4)の各端部(1b〜4b)は、スリット(18)を通り、フランジ(15)の背面から導出される。第1のマンドレル(11)から第4のマンドレル(14)は、隣接する第2のマンドレル(12)から第4のマンドレル(14)又はフランジ(15)との間に段差を形成する壁面(12b〜15b)をそれぞれ有し、必要数の被覆電線(1〜4)が電線供給装置から各マンドレル(11〜14)の壁面(12b〜15b)に近接する周面(11a〜14a)に供給され、被覆電線(1〜4)の各端部(1b〜4b)がスリット(18)により固定される。
次に、回転駆動装置によって、図4に示すように、心軸装置(16)を矢印の方向に回転することにより、固定装置(17)により各端部(1b〜4b)を固定した被覆電線(1〜4)を第1のマンドレル(11)から第4のマンドレル(14)の各々に巻き付けて、異なる直径のコイル部(1a〜4a)を有する第1巻線(1)から第4巻線(4)を各被覆電線(1〜4)に形成する。被覆電線(1〜4)は、周面を壁面(12b〜15b)に当接しながら、第1のマンドレル(11)から第4のマンドレル(14)の各々に巻き付けられる。各マンドレル(11〜14)は、コイル部(1a〜4a)の両側から一端(1b〜4b)及び他端(1c〜4c)とを導出させて、第1巻線(1)から第4巻線(4)までの複数の巻線が製造される。
続いて、被覆電線(1〜4)は、各マンドレル(11〜14)に所定の回数に巻かれた後、端部(1b〜4b,1c〜4c)を残して被覆電線(1〜4)の巻き始め側と巻き終わり側とを切断し、複数の巻線(1〜4)が一括して各マンドレル(11〜14)から引き抜れる。図5に示すように、各マンドレル(11〜14)から引き抜かれた巻線(1〜4)は、第1巻線(1)から第4巻線(4)までの後続する巻線(2〜4)のコイル部(2a〜4a)が、先行する巻線(1〜3)のコイル部(1a〜3a)の外側に同心状に順次嵌合され、図1に示す電気用巻線を形成することができる。また、前述したように、絶縁被覆(5)を自己融着性材料により形成し、巻線(1〜4)のコイル部(1a〜4a)を嵌合した後に、図示しない熱風装置又は通電加熱装置等の加熱装置により絶縁被覆(5)を加熱して、隣合う第1巻線(1)から第4巻線(4)の絶縁被覆(5)を互いに密着し融着させてもよい。
本発明の電気用巻線、電気用巻線の製法及び製造装置は、前記の実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。図示しないが、異なる直径のマンドレルを有する複数の心軸装置を備え、各心軸装置により被覆電線を個別にマンドレルに巻き付けて、異なる直径のコイル部を有する第1巻線から第n巻線を各被覆電線に形成してもよい。複数の心軸装置により個別に形成された第1巻線から第n巻線を同心状に順次嵌合した電気用巻線も本発明の範囲に含まれる。
図6に示す他の実施形態では、巻線機(30)は、マンドレル(21)、マンドレル(21)に隣接するフランジ(25)、マンドレル(21)上に配置され且つマンドレル(21)の長さ方向に移動可能な狭持体(24)を備える心軸装置(26)と、マンドレル(21)に巻き付けられる被覆電線(1〜4)の各端部(1b〜4b)を固定する固定装置(27)と、心軸装置(26)を回転可能に支持する支持装置(図示せず)と、心軸装置(26)を回転する回転駆動装置(図示せず)と、マンドレル(21)に張力を加えながら被覆電線(1〜4)を供給する電線供給装置(図示せず)とを備える。狭持体(24)は、図7に示すように、マンドレル(21)が先端(21a)から挿通される孔部(24a)を有し、マンドレル(21)上を摺動することができる。
図7に示すように、固定装置(27)により各端部(1b〜nb)を固定した複数の被覆電線(1〜n)をフランジ(25)と狭持体(24)とにより狭持し、回転駆動装置により心軸装置(26)を回転することによって、倒れこみを防止しながら、被覆電線(1〜4)をマンドレル(21)に巻き付けることができる。本実施の形態の巻線機(30)により、図7に示すように、フランジ(25)と狭持体(24)とにより狭持して複数の被覆電線(1〜4)をマンドレル(21)に巻き付けることによって、図8に示すように、狭持体(24)をマンドレル(21)上でフランジ(25)から離間する方向に動かすことによりマンドレル(21)の軸方向に被覆電線(1〜4)を複数層巻き付けて、図1に示す円筒型の巻線を形成することが可能である。
図6に示す巻線機(30)は、固定装置(27)としてフランジ(25)にスリット(28)を有し、被覆電線(1〜4)の各端部(1b〜4b)をスリット(28)に通して固定するため、図1及び図2に示すように、被覆電線(1〜4)のコイル部(1a〜4a)に隣接して折曲部(1d〜4d)が形成される。これに対し、図9に示す巻線機(31)では、被覆電線(1〜4)の各端部(1b〜4b)を壁面(25b)に沿ってフランジ(25)の外部側に配置し、被覆電線(1〜4)をフランジ(25)と狭持体(24)とにより狭持して被覆電線(1〜4)をマンドレル(21)に巻き付けるので、折曲部(1d〜4d)が形成されない図2に示す電気用巻線を形成することができる。よって、折曲部(1d〜4d)を除去する工程を省略して、外観よく且つ電気機器の端子等の接続部に良好に接続できる電気用巻線を完成できる。
図10に示す他の実施形態では、巻線機(32)は、前述した図4の心軸装置(16)に相当する2つの心軸装置(33,34)を備える。心軸装置(33,34)は、所定の間隔をもって配置され、一方の心軸装置(33)は固定され、他方の心軸装置(34)は水平方向に移動可能とする。回転して電線供給装置から供給される被覆電線(1〜4)を巻き付ける図4の心軸装置(16)に対し、本実施形態の心軸装置(33,34)は、回転駆動せず、被覆電線(1〜4)を適度な張力を加えながら送出し且つ数値制御(NC)により自動制御されて移動する電線供給装置のノズル(35)によって、被覆電線(1〜4)を一方の心軸装置(33)及び他方の心軸装置(34)に巻き付ける。被覆電線(1〜4)が心軸装置(33,34)の各マンドレルに所定の回数に巻かれた後、図10に示すように、マンドレルに被覆電線(1〜4)が巻かれた状態で、他方の心軸装置(34)が一方の心軸装置(33)から離間する方向に移動される。この工程により、被覆電線(1〜4)は、引っ張られて巻線形状に矯正され、形成された巻線(1〜4)が緩んで巻戻りするのを防止する。
この後、端部を残して被覆電線(1〜4)の巻き始め側と巻き終わり側とを切断し、複数の巻線(1〜4)が一括して心軸装置(33,34)の各マンドレルから引き抜れる。続いて、図4の心軸装置(16)により形成された巻線(1〜4)と同様に、各マンドレルから引き抜かれた巻線(1〜4)は、第1巻線(1)から第4巻線(4)までの後続する巻線(2〜4)のコイル部が、同心状に順次嵌合され、図1又は図2に示す電気用巻線が形成される。本実施形態では、被覆電線(1〜4)を2つの心軸装置(33,34)に巻き付けるため、同時に2組の電気用巻線を製造することができる。
図10に示す心軸装置(33,34)では、他方の心軸装置(34)を移動させたが、両方の心軸装置(33,34)をお互いに離間する方向に移動させてもよい。また、図4の心軸装置(16)と同様に、心軸装置(33,34)の一方又は両方を回転させてもよい。図11に示すように、被覆電線(1〜4)を一方の心軸装置(33)と他方の心軸装置(34)との間で略並行となるように各マンドレルの周面に巻き付けてもよいが、図12に示すように、被覆電線(1〜4)を一方の心軸装置(33)と他方の心軸装置(34)との間で∞文字状に交差させて各マンドレルの周面に巻き付けてもよい。
本実施の形態の電気用巻線、電気用巻線の製法及び製造装置では、上記の構成により、更に下記の作用効果が得られる。
[1] 市販の丸線から成る被覆電線(1〜n)を使用して電気用巻線を安価に製造することができる。
[2] 第1巻線(1)から第n巻線(n)のコイル部(1a〜na)は、先行する巻線の外側に同心状に順次嵌合されるので、十分な占積率を有する電気用巻線を形成できる。
[3] 第1巻線(1)から第n巻線(n)までの本数を適宜に設定でき、電気用巻線の設計自由度を向上できる。
[4] 丸線から成る被覆電線(1〜n)を使用するので、従来のエッジワイズ巻線に発生する製造工程での巻線の倒れこみ又は角部の絶縁被膜(5)の特性劣化を防止することができ、信頼性の高い電気用巻線を形成することができる。
[1] 市販の丸線から成る被覆電線(1〜n)を使用して電気用巻線を安価に製造することができる。
[2] 第1巻線(1)から第n巻線(n)のコイル部(1a〜na)は、先行する巻線の外側に同心状に順次嵌合されるので、十分な占積率を有する電気用巻線を形成できる。
[3] 第1巻線(1)から第n巻線(n)までの本数を適宜に設定でき、電気用巻線の設計自由度を向上できる。
[4] 丸線から成る被覆電線(1〜n)を使用するので、従来のエッジワイズ巻線に発生する製造工程での巻線の倒れこみ又は角部の絶縁被膜(5)の特性劣化を防止することができ、信頼性の高い電気用巻線を形成することができる。
本発明による電気用巻線は、コンバータ、チョークコイル又はトランス等の電気機器、スイッチング電源、特に、高速スイッチング電源のトランス用巻線等の電源機器に良好に適用できる。
(1〜4(n))・・第1巻線〜第4(n)巻線(被覆電線)、 (1a〜4a(na))・・コイル部、 (1b〜4b(nb))・・一端(端部)、 (1c〜4c(nc))・・他端(端部)、 (5)・・絶縁被覆、 (10)・・導体、 (10a)・・外面、 (11〜14(10+n))・・第1のマンドレル〜第4(n)のマンドレル、 (12b〜15b)・・壁面、 (15)・・フランジ、 (16)・・心軸装置、 (17)・・固定装置、 (18)・・スリット、 (21)・・マンドレル、 (24)・・狭持体、 (25)・・フランジ、 (26)・・心軸装置、 (27)・・固定装置、
Claims (9)
- それぞれ円形断面で形成された線状の導体と、該導体の外面に被覆された絶縁被覆とを有するn本の被覆電線から形成された第1巻線から第n巻線までの複数の巻線を備え、
前記第1巻線から第n巻線は、それぞれ湾曲して形成されたコイル部と、該コイル部の両側から導出された一端及び他端とを備え、
前記第1巻線から第n巻線のコイル部は、前記第1の巻線から第n巻線まで徐々に増大する直径で形成され、
前記第1巻線から第n巻線のコイル部は、同心状に順次嵌合されたことを特徴とする電気用巻線。 - 隣合う前記第1巻線から第n巻線の絶縁被覆は、互いに密着し融着された請求項1に記載の電気用巻線。
- 高速スイッチング電源のトランス用巻線に使用する請求項1又は2に記載の電気用巻線。
- それぞれ円形断面で形成された線状の導体と、該導体の外面に被覆された絶縁被覆とを有するn本の被覆電線を準備する工程と、
前記n本の被覆電線の各々に、徐々に増大する異なる直径で湾曲してコイル部を形成し且つ該コイル部の両側から一端及び他端とを導出させて、第1巻線から第n巻線までの複数の巻線を製造する工程と、
前記第1巻線から第n巻線の後続する巻線のコイル部を先行する巻線のコイル部の外側に同心状に順次嵌合する工程とを含むことを特徴とする電気用巻線の製法。 - 前記第1巻線から第n巻線の後続する巻線のコイル部を先行する巻線のコイル部に同心状に順次嵌合する工程の後に、隣合う前記第1巻線から第n巻線の絶縁被覆を互いに密着し融着する工程を含む請求項4に記載の電気用巻線の製法。
- 異なる直径を有し、同心状且つ階段状に形成された第1のマンドレルから第nのマンドレルを備える心軸装置と、
前記第1のマンドレルから第nのマンドレルの各々に巻き付けられる被覆電線の各端部を固定する固定装置と、
前記心軸装置を回転可能に支持する支持装置と、
前記心軸装置を回転する回転駆動装置と、
前記第1のマンドレルから第nのマンドレルの各々に張力を加えながら前記被覆電線を供給する電線供給装置とを備え、
前記回転駆動装置により前記心軸装置を回転することによって、前記固定装置により各端部を固定した前記被覆電線を前記第1のマンドレルから第nのマンドレルの各々に巻き付けて、異なる直径のコイル部を有する第1巻線から第n巻線を各被覆電線に形成し、
第1巻線から第n巻線の後続する巻線のコイル部を先行する巻線のコイル部の外側に同心状に順次嵌合できることを特徴とする電気用巻線製造装置。 - 前記心軸装置は、前記第nのマンドレルに隣接するフランジを有し、
該フランジ及び前記第2のマンドレルから第nのマンドレルに形成されたスリットは、被覆電線の各端部を固定する固定装置となる請求項6に記載の電気用巻線製造装置。 - 前記第1のマンドレルから第nのマンドレルは、隣接する前記第2のマンドレルから第nのマンドレル又はフランジとの間に段差を形成する壁面をそれぞれ有し、
前記被覆電線は、周面を前記壁面に当接して、第1のマンドレルから第nのマンドレルの各々に巻き付けられる請求項6又は7に記載の電気用巻線製造装置。 - マンドレルと、該マンドレルに隣接するフランジと、前記マンドレル上に配置され且つ該マンドレルの長さ方向に移動可能な狭持体とを備える心軸装置と、
前記マンドレルに巻き付けられる被覆電線の各端部を固定する固定装置と、
前記心軸装置を回転可能に支持する支持装置と、
前記心軸装置を回転する回転駆動装置と、
前記マンドレルに張力を加えながら前記被覆電線を供給する電線供給装置とを備え、
前記固定装置により各端部を固定した複数の前記被覆電線を前記フランジと狭持体とにより狭持し、
前記回転駆動装置により前記心軸装置を回転することによって、前記被覆電線を前記マンドレルに巻き付けて、
異なる直径のコイル部を有し、巻線のコイル部が同心状に順次嵌合した第1巻線から第n巻線を各被覆電線に形成することを特徴とする電気用巻線製造装置。
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JP2004015424A JP2005209916A (ja) | 2004-01-23 | 2004-01-23 | 電気用巻線、電気用巻線の製法及び製造装置 |
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- 2004-01-23 JP JP2004015424A patent/JP2005209916A/ja active Pending
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