JPWO2022004298A5 - - Google Patents
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Description
本開示は、一般にコイル、モータ及び製造方法に関し、より詳細には導線と被膜を有するコイル、モータ及び製造方法に関する。
多数個の凹状スロットと多数個の凸状磁極とを周方向に交互に有するステータコアと、金属線の外周面に絶縁被膜を形成した横断面矩形のマグネットワイヤと、を備えている。かつ、スロットの両側面、両側面の間隔寸法はスロットの底部から先端開口部に向かって小さくなるように形成されている。マグネットワイヤは、磁極に巻設されると共にスロット内に積層状に挿入されている。さらに、マグネットワイヤの幅寸法をスロットの底部から先端開口部に向かって連続的に又は段階的に小さくなるように配設したものである。
一方で、被膜の付いた平角線を折り曲げて、エッジワイズコイルを作製する場合、曲げる部分の角を大きく曲げると、曲げた部分の外側の部分の被膜が破損する可能性がある。被膜が破損するとコイルの品質が低下する可能性がある。
本開示は上記課題に鑑みてなされ、品質の低下を抑制することができるコイル、モータ及び製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係るコイルは、エッジワイズコイルであって、導線と、前記導線を被覆する被膜と、を備える。前記導線は、前記導線が曲げられた部位である曲げ部を含む。前記被膜は、前記導線のうち前記曲げ部とは異なる部位を被覆している第1被膜と、前記曲げ部において少なくとも張力が発生する部位を被覆している第2被膜と、を含む。前記被膜は、前記第1被膜と前記第2被膜との間において、前記張力が発生する方向と交わる方向に境界を有する。
本開示の一態様に係るモータは、前記コイルと、前記コイルを装着するステータと、を備える。
本開示の一態様に係る製造方法は、前記エッジワイズコイルの製造方法であって、前記第1被膜の付いた前記導線を巻回して前記エッジワイズコイルを形成する処理と、前記導線が曲げられた前記曲げ部に前記第2被膜を形成する処理と、を含む。
以下に説明する各実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、各実施形態及び変形例に限定されない。これらの実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態1)
以下、本実施形態に係るコイル1、モータ2及び製造方法について、図1A~図6Bを用いて説明する。
以下、本実施形態に係るコイル1、モータ2及び製造方法について、図1A~図6Bを用いて説明する。
(1)概要
本実施形態1のコイル1は、一例として、エッジワイズコイルである。以下の説明では、コイル1は、エッジワイズコイル1として説明する。本実施形態1のコイル1は、エッジワイズコイル1であって、導線3と、導線3を被覆している被膜5とを備えている。導線3は、曲げられた部位である曲げ部4を含んでいる。被膜5は、導線3のうち曲げ部4とは異なる部位6を被膜する第1被膜L1と、曲げ部4において少なくとも張力T1が発生する部位を被膜する第2被膜L2と、を含んでいる。被膜5は、第1被膜L1と第2被膜L2との間において、張力T1が発生する方向と交わる方向に境界B1を有する。
本実施形態1のコイル1は、一例として、エッジワイズコイルである。以下の説明では、コイル1は、エッジワイズコイル1として説明する。本実施形態1のコイル1は、エッジワイズコイル1であって、導線3と、導線3を被覆している被膜5とを備えている。導線3は、曲げられた部位である曲げ部4を含んでいる。被膜5は、導線3のうち曲げ部4とは異なる部位6を被膜する第1被膜L1と、曲げ部4において少なくとも張力T1が発生する部位を被膜する第2被膜L2と、を含んでいる。被膜5は、第1被膜L1と第2被膜L2との間において、張力T1が発生する方向と交わる方向に境界B1を有する。
ここで、張力T1は、導線3の曲げ部4において、曲げ部4から曲がっていない導線3の両方向に引っ張る力であり、導線3を曲げたことにより発生する力である。張力T1は、導線3に沿って発生する(図1B参照)。張力T1が発生することにより、曲げ部4の広角β側(外側、図1B参照)において、第1被膜L1が損傷する可能性がある。
エッジワイズコイル1は、平角線と呼ばれる導線3を折り曲げることにより形成されている。導線3は、予め絶縁被膜である第1被膜L1により被覆されている。つまり、曲げ部4が形成される前の導線3は、予め絶縁被膜である第1被膜L1により被覆されている。
エッジワイズコイル1は、導線3と、導線3に元々付いていた第1被膜L1と、第1被膜L1が破損する可能性のある特定部位D1を補修する第2被膜L2と、を含んでいる。
一方、本実施形態1のエッジワイズコイル1では、導線3を折り曲げたことにより、導線3(の曲げ部4)は、張力が発生する特定部位D1を含む。特定部位D1では、発生した張力により第1被膜L1が破損する可能性、又は破損する。そこで、導線3(の曲げ部4)は、張力が発生する特定部位D1に対して第2被膜L2を被覆することで、補修する。エッジワイズコイル1の絶縁被膜(第1被膜L1)のうち特定部位D1を補修することにより、エッジワイズコイル1の絶縁性能を維持している。
本実施形態1により、導線3を用いたエッジワイズコイル1の曲げ部4の特定部位D1に対して第2被膜L2で補修することで、エッジワイズコイル1の絶縁性能を維持することができる。
(2)構成
本実施形態1のエッジワイズコイル1の構成について説明する。図1A、図1B及び図1Cに示すように、エッジワイズコイル1は、導線3と、第1被膜L1と、第2被膜L2と、境界B1と、を含んでいる。
本実施形態1のエッジワイズコイル1の構成について説明する。図1A、図1B及び図1Cに示すように、エッジワイズコイル1は、導線3と、第1被膜L1と、第2被膜L2と、境界B1と、を含んでいる。
エッジワイズコイル1の概略図を、図1Aに示す。図1Aに示すように、エッジワイズコイル1は、平角線である導線3を含む。導線3は、導線3が曲げられた部位である曲げ部4を含んでいる。導線3は、断面が、一例として、長方形の平らな角線であり、絶縁被膜である第1被膜L1によって被覆されている。導線3の心材は、例えば、銅材であり、電気伝導性を有している。曲げ部4は、導線3を加工し、曲げられた部分である。第1被膜L1により被覆された導線3を曲げると、図1Bに示すように、曲げ部4の外側の部分では、第1被膜L1が破損する可能性がある。ここで、曲げ部4の外側とは、導線3が巻回されたエッジワイズコイル1の中心から見て、曲げ部4の外側に位置する部分のことである。
曲げ部4の外側の部分では、曲げ加工に従って、張力T1が発生する。張力T1は、導線3に沿って発生する。張力T1が発生することにより、導線3の外側の部分は引張応力が発生し、特定部位D1では、第1被膜L1が浮き剥がれ等が発生する可能性がある。
図1Aの概略図においては、幅固定のエッジワイズコイル1である構成としたが、この構成に限定されない。導線3において、幅加工を行い、幅可変のエッジワイズコイルであってもよい。
本実施形態1のエッジワイズコイル1では、図1Cに示すように、被覆に用いられる第1被膜L1に加えて、特定部位D1の補修用として、第2被膜L2を有している。第1被膜L1と第2被膜L2とは、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。本実施形態1では、第1被膜L1と第2被膜L2とは、同材質であるものとして説明する。
第1被膜L1と第2被膜L2が同材質である場合、第1被膜L1及び第2被膜L2は、例えば、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、エステルイミド、アミドイミド、ポリイミドが挙げられる。また、第1被膜L1及び第2被膜L2の形成方法は、塗布、含浸、滴下、静電塗装、スプレー塗装、電着塗装、粉体塗装、フィルム・テープ貼り付けが挙げられる。第1被膜L1と第2被膜L2とで被膜の形成方法が異なっていてもよい。
図1Bに示すように、元々形成されていた第1被膜L1と、補修として形成された第2被膜L2との境目には境界B1が形成される。境界B1は、第1被膜L1と第2被膜L2とが同材質であっても、異材質であっても形成される境界面である。例えば、曲げ部4が形成される前においては、導線3の全面に電着塗装により形成した第1被膜L1が形成されているので、境界B1は形成されていない。曲げ部4が形成され、曲げ部4において第1被膜L1が破損する可能性がある部位に第2被膜L2が形成されると、第1被膜L1と第2被膜L2との間には、境界B1が形成される。具体的には、境界B1は、張力T1が発生する方向と交わる方向に形成される。
境界B1においては、境界B1を挟んで曲げ部4の側の第2被膜L2と、元々母材である導線3を覆っていた被覆である第1被膜L1とが存在しており、第2被膜L2は第1被膜L1の少なくとも一部と重複した重複部7を有している。重複部7では、図1Cに示すように、つまり、第1被膜L1と第2被膜L2とは重なりが生じている。
本実施形態1の境界B1は、第1被膜L1と第2被膜L2との間において、曲げ部4の形状に沿った、境界B1とは別の境界B4を有している。第1被膜L1の損傷した可能性のある特定部位D1は、曲げ部4における導線3の幅方向の一部に形成されており、幅方向の全周囲にわたる境界B1は形成されていない。これは、本実施形態1においては、第2被膜L2は、第1被膜L1の損傷する可能性のある特定部位D1を補修しているためである。
(3)製造方法
本実施形態1のエッジワイズコイル1の製造方法について、図2を参照して説明する。
本実施形態1のエッジワイズコイル1の製造方法について、図2を参照して説明する。
エッジワイズコイル1の製造方法は、エッジワイズコイルの形成処理(ステップS1)と、被膜形成処理(ステップS2)と、を含む。エッジワイズコイルの形成処理では、第1被膜L1が形成された導線3を巻回してエッジワイズコイル1が形成される。被膜形成処理では、導線3が曲げられた曲げ部4に対して第2被膜L2を形成する。
本実施形態1のエッジワイズコイル1の製造方法は、第1被膜L1の付いた導線3を折り曲げることによって、エッジワイズコイル1を形成する処理を含んでいる。第1被膜L1の付いた導線3を折り曲げることにより、エッジワイズコイル1に形成されたエッジ部(曲げ部4)の第1被膜L1が損傷する可能性がある。そのため、エッジワイズコイル1の製造方法は、第2被膜L2により第1被膜L1の損傷する可能性のある特定部位D1を被覆する処理を含んでいる。第1被膜L1と第2被膜L2とは、上述したように、同材質であってもよいし、異材質であってもよい。本実施形態1では、第1被膜L1と第2被膜L2とは同材質で、ポリウレタンを用いた静電塗装により、第2被膜L2を形成する場合について説明する。静電塗装とは、接地した被塗物を正極とし、塗料噴霧装置を負極として、直接高電圧を両極間に印加して、両極間に静電界を形成し、塗料の微粒子を負に帯電させて、被膜を作製する方法である。本実施形態1では、エッジワイズコイル1を接地して正極とし、噴霧塗料装置を負極として、高電圧を両極間に印加し、両極間に静電界を形成する。ポリウレタンの塗料微粒子を負に帯電させて噴霧し、第1被膜L1の特定部位D1に第2被膜L2を形成する。本実施形態1では、第1被膜L1と第2被膜L2とは、ともにポリウレタンであるが、上述したように、第1被膜L1の損傷する可能性のある部分と、新たに静電塗装により形成された第2被膜L2との間には、境界B1が形成される。
以上により、エッジワイズコイル1の曲げ部4に発生する第1被膜L1の損傷による絶縁性能の低下を、第2被膜L2を形成することにより抑制することができる。
(4)利点
コイル1は、エッジワイズコイル1であって、導線3と、導線3を被覆する被膜5と、を備える。導線3は、導線3が曲げられた部位である曲げ部4を含む。被膜5は、導線3のうち曲げ部とは異なる部位6を被覆している第1被膜L1と、曲げ部4において少なくとも張力T1が発生する部位を被覆している第2被膜L2とを含む。被膜5は、第1被膜L1と第2被膜L2との間において、張力T1が発生する方向と交わる方向に境界B1を有する。
コイル1は、エッジワイズコイル1であって、導線3と、導線3を被覆する被膜5と、を備える。導線3は、導線3が曲げられた部位である曲げ部4を含む。被膜5は、導線3のうち曲げ部とは異なる部位6を被覆している第1被膜L1と、曲げ部4において少なくとも張力T1が発生する部位を被覆している第2被膜L2とを含む。被膜5は、第1被膜L1と第2被膜L2との間において、張力T1が発生する方向と交わる方向に境界B1を有する。
この構成によると、被膜5は、第1被膜L1と第2被膜L2との間において、張力T1が発生する方向と交わる方向に境界B1を有している。そのため、第2被膜L2で曲げ部4を補修していることが分かる。
曲げ部4においては張力T1が発生するため、曲げ部4を被覆する被膜は破損する可能性がある。そこで、第2被膜L2で曲げ部4を補修することで、被膜5の絶縁性能の低下を抑制することができる。このため、コイル1の品質の低下を抑制することができる。したがって、第1被膜L1が破損する可能性のある部分を、絶縁被膜である第2被膜L2で補修したコイル1を提供することができる。
(5)変形例
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
(5-1)変形例1
実施形態1では、第1被膜L1と第2被膜L2とはともにポリウレタンの同材質である構成としたが、この構成に限定されない。第1被膜L1と第2被膜L2とは、異材質である構成であってもよい。
実施形態1では、第1被膜L1と第2被膜L2とはともにポリウレタンの同材質である構成としたが、この構成に限定されない。第1被膜L1と第2被膜L2とは、異材質である構成であってもよい。
第1被膜L1と第2被膜L2が異材質である場合、第1被膜L1は、上記材料又は上記材料の組み合わせに対して、第2被膜L2は、例えば、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、芳香族ポリエステル(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、芳香族ポリアミド、エポキシ、アクリルが挙げられる。上記の第2被膜L2の形成方法は、上述した形成方法が挙げられる。これらに加えて、不飽和ポリエステル等のワニスは、塗布、含浸、滴下により第2被膜L2として形成することができる。フッ素樹脂等の熱収縮チューブは、熱収縮により、第2被膜L2として形成することができる。また、マイカは、フィルム・テープ貼り付けにより、第2被膜L2として形成することができる。
本変形例1では、第1被膜L1と第2被膜L2とが異材質である一例として、第1被膜L1がポリウレタン、第2被膜L2がPEEKである場合について説明する。第1被膜L1であるポリウレタンが塗装された状態において、エッジワイズコイル1を形成する。この場合、曲げ部4において第1被膜L1が損傷して絶縁性能が低下する可能性がある。このため、本変形例1では、絶縁性能の低下を抑制するために、第2被膜L2として第1被膜L1とは異なるPEEKをスプレー塗装により形成する。PEEKのスプレー塗装においては、PEEK樹脂の微粒粉を水に分散させ、エアスプレー装置で吹き付けた後、焼成成膜する。これにより、第2被膜L2であるPEEKの成膜が完了する。第2被膜L2は、スプレー塗装によって、第1被膜L1の上にも、第1被膜L1の特定部位D1の上にも形成されている。つまり、境界B1は、第1被膜L1と第2被膜L2との間に形成されており、実施形態1と同様に、第1被膜L1と第2被膜L2との重なりも発生している。
(5-2)変形例2
曲げ部4の第1被膜L1の特定部位D1を第2被膜L2により補修したエッジワイズコイル1は、図5A及び図5Bに示すように、エッジワイズコイル1を装着するステータ14と組み合わせてモータ2への適用が可能である。エッジワイズコイル1を有するモータ2の側面図を図5Aに、モータ2の上面図を図5Bに示す。
曲げ部4の第1被膜L1の特定部位D1を第2被膜L2により補修したエッジワイズコイル1は、図5A及び図5Bに示すように、エッジワイズコイル1を装着するステータ14と組み合わせてモータ2への適用が可能である。エッジワイズコイル1を有するモータ2の側面図を図5Aに、モータ2の上面図を図5Bに示す。
モータ2は、エッジワイズコイル1と、シャフト11と、ベアリング12と、ロータ13と、ステータ14と、端子部材15と、ベアリング18と、を含んでいる。
エッジワイズコイル1においては、導線3を折り曲げて形成した後、曲げ部4の第1被膜L1の損傷する可能性のある特定部位D1は、第2被膜L2により補修されている。そのため、導線3を折り曲げたことによるエッジワイズコイル1の絶縁性能の低下は抑制されている。
モータ2の各要素について説明する。シャフト11は、回転動力を伝える。ベアリング12と、ベアリング18とは、2つのベアリングにより、シャフト11を回転可能に支持している。ロータ13は、図5B、図6A及び図6Bに示すように、シャフト11と、複数(図6A及び図6Bでは12個)の永久磁石17と、を備える。ロータ13は、ステータ14に対して回転可能であり、ステータ14の複数のエッジワイズコイル1に電流が流れることにより発生する磁界により回転する。つまり、ロータ13は、永久磁石17を有し、永久磁石17による磁界とステータ14のエッジワイズコイル1に電流が流れることにより発生する磁界とで回転し、発生するトルクをシャフト11に伝える。ステータ14は、複数のティース16を有している。複数のティース16には、インシュレータを介して複数のエッジワイズコイル1が巻回されている。端子部材15は、スイッチング回路(図示せず)に接続する複数(図5Bでは3つ)の端子部材である。
モータ2では、エッジワイズコイル1をステータ14に装着する。導線3を巻回してエッジワイズコイル1を形成する方法について、図6A及び図6Bの12極18スロットのエッジワイズコイル1を用いて説明する。
導線3を巻回してエッジワイズコイル1を形成する方法は、図6Aに示す幅固定と、図6Bに示す幅可変とが可能である。幅固定は、導線3を巻回する幅を固定しており、幅可変は導線3を巻回する幅を可変としている。幅加工を施した平角線(導線3)を折り曲げてエッジワイズコイル1を作製することにより、スロット内の占積率を向上させて、大きな回転トルクを効率よく得られるモータ2を製造することが可能である。ここで、幅加工とは、占積率が高くなるようにエッジワイズコイル1の幅を調整するために、導線3の幅を加工することである。
以上により、第1被膜L1が破損する可能性のある部分に絶縁被膜である第2被膜L2を補修することにより、品質の低下を抑制したモータ2を提供することができる。
(実施形態2)
本実施形態2では、エッジワイズコイル1を作製して角になる、つまりエッジになる部分(曲げ部4)の第1被膜L1は予め除去する点が実施形態1とは異なる。本実施形態2では、図3Aに示すように、導線3において、エッジ部分となる曲げ部4の第1被膜L1を予め除去しておく。導線3のうち曲げ部4に相当する部位を特定部位D2とする。
本実施形態2では、エッジワイズコイル1を作製して角になる、つまりエッジになる部分(曲げ部4)の第1被膜L1は予め除去する点が実施形態1とは異なる。本実施形態2では、図3Aに示すように、導線3において、エッジ部分となる曲げ部4の第1被膜L1を予め除去しておく。導線3のうち曲げ部4に相当する部位を特定部位D2とする。
特定部位D2には、曲げ加工を行う場合、張力T1が作用する。張力T1は、図3Bに示すように、曲げ部4の形状に沿って発生する。このため、特定部位D2の第1被膜L1は、実施形態1と同様に、第1被膜L1が損傷する可能性がある。このため、予め特定部位D2の第1被膜L1を除去しておくことにより、張力T1の影響を抑制することができる。
図3Bに示すように、特定部位D2を曲げて曲げ部4を形成する。このため、エッジ部(曲げ部4)において第1被膜L1が付いていないエッジワイズコイル1が形成される。予め曲げ部4の第1被膜L1が除去された特定部位D2が形成されていることから、導線3に曲げ加工を行うことにより発生する張力T1の第1被膜に対する影響を抑制することができる。
図3Cに示すように、第1被膜L1が付いていない曲げ部4に第2被膜L2を形成し、元々の第1被膜L1と第2被膜L2とで被膜5を形成し、第1被膜L1の絶縁性能の低下を抑制することができる。
曲げ部4において、第1被膜L1を予め除去することで、導線3を曲げて曲げ部4を形成する場合に、第1被膜L1の浮き剥がれ等の破損が発生する可能性を予め抑制し、曲げ部4を形成した後に第2被膜L2を形成することで、安定した第1被膜L1と第2被膜L2とを形成することができる。
具体的には、元々の被膜である第1被膜L1には、実施形態1と同様の材料、製造方法を適用することができる。また、第2被膜L2にも、実施形態1と同様の材料、製造方法を適用することができる。
一例として、電着塗装により第2被覆である第2被膜L2が形成される場合について説明する。まず、導線3において、曲げ部4になる部分の第1被膜L1を除去する。次に、導線3をエッジワイズコイル1となるように成形加工する。この場合、予め第1被膜L1を除去した領域は、エッジワイズコイル1の曲げ部4に相当しており、曲げ部4において第1被膜L1が除去されている。この第1被膜L1が除去された領域に、第2被膜L2が電着塗装により形成される。電着塗装では、電着塗料の中に電着塗布される対象と、電極とを入れて電位を生じさせ、塗膜成分を電気泳動させることにより、電着塗布される対象の表面に塗膜を析出させる。今回、導線3の第1被膜L1を予め除去し、導線3の母材をむき出しにしていることで、電着塗布における電極の役割を果たし、第1被膜L1を予め除去した曲げ部4に電着塗布することが可能となっている。導線3の第1被膜L1を予め除去した曲げ部4に第2被膜L2を形成し、エッジワイズコイル1は完成する。
第1被膜L1が予め除去された曲げ部4に第2被膜L2を形成することにより、曲げ部4の両端において、図3Bに示すように、境界B2が形成される。境界B2においては、第1被膜L1は第2被膜L2の少なくとも一部と重複している。つまり、第1被膜L1と第2被膜L2とは重なりが生じている。
また、第2被膜L2は、曲げ部4の全周を被覆している。これは曲げ部4に相当する部位(特定部位D2)の導線3の第1被膜L1を予め除去しているためであって、実施形態1のように第1被膜L1の損傷する可能性のある特定部位D1だけを第2被膜L2により補修する場合とは異なるように境界B2は形成されている。
(実施形態3)
本実施形態3のエッジワイズコイル1では、例えば、フッ素樹脂等により形成される熱収縮チューブL3を第2被膜L2として用いる点が、実施形態1,2とは異なる。
本実施形態3のエッジワイズコイル1では、例えば、フッ素樹脂等により形成される熱収縮チューブL3を第2被膜L2として用いる点が、実施形態1,2とは異なる。
図4Aに示すように、第2被膜L2としての熱収縮チューブL3は、エッジワイズコイル1を形成する前に、導線3において曲げ部4として形成される部位(形成予定部位D3)に熱収縮チューブL3を配置させておいて、エッジワイズコイル1を形成する。
図4Bに示すように、第1被膜L1の付いた導線3を曲げ加工を行って曲げ部4を形成すると、曲げ部4には張力T1が発生する。張力T1は、曲げ部4を曲げ部4から第1被膜L1の付いた導線3の方向に、曲げ部4の両端を引っ張るように作用する。このため、曲げ部4においては、張力T1により、第1被膜L1は破損する可能性がある。
図4Bに示すように、エッジワイズコイル1を形成後に熱を加えて熱収縮チューブL3を収縮させ、図4Cに示すように曲げ部4の第1被膜L1の損傷を修復する。ここで、曲げ部4として形成される部位(形成予定部位D3)が複数設けられる場合には、複数の形成予定部位D3に一対一に対応する複数の熱収縮チューブL3が、対応する形成予定部位D3に配置される。
熱収縮チューブL3による第1被膜L1の補修は、第1被膜L1とは異なる材質の第2被膜L2を、導線3の長さ方向とは垂直方向の導線3及び曲げ部4の周囲方向において、全周にわたって補修している。
また、曲げ部4と、導線3との間には、図4Cに示すように、境界B3が形成される。境界B3においては、第1被膜L1と熱収縮チューブL3とは重なり(重複部7)が生じている。境界B3は、実施形態2と同様に、導線3の幅方向の全周囲にわたって形成されている。
(その他の変形例)
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記各実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
以下に、変形例について列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記各実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
変形例2において、モータ2は、図6Bに示す幅可変のエッジワイズコイル1を用いる構成としたが、この構成に限定されない。図6Aに示す幅固定のエッジワイズコイル1を用いる構成であってもよい。
実施形態3において、導線3の全周囲にわたって第1被膜L1とは異なる素材である熱収縮チューブL3を用いて第1被膜L1を補修する構成としたが、この構成に限定されない。例えば、絶縁テープ(図示せず)で第1被膜L1の特定部位D1を巻く構成であってもよい。
(まとめ)
以上、説明したように、第1の態様に係るコイル(1)は、エッジワイズコイル(1)であって、導線(3)と、導線(3)を被覆している被膜(5)と、を備える。導線(3)は、導線(3)が曲げられた部位である曲げ部(4)を含む。被膜(5)は、導線(3)のうち曲げ部(4)とは異なる部位(6)を被覆している第1被膜(L1)と、曲げ部(4)において少なくとも張力(T1)が発生する部位を被覆している第2被膜(L2)とを含む。被膜(5)は、第1被膜(L1)と第2被膜(L2)との間において、張力が発生する方向と交わる方向に境界(B1,B2,B3)を有する。
以上、説明したように、第1の態様に係るコイル(1)は、エッジワイズコイル(1)であって、導線(3)と、導線(3)を被覆している被膜(5)と、を備える。導線(3)は、導線(3)が曲げられた部位である曲げ部(4)を含む。被膜(5)は、導線(3)のうち曲げ部(4)とは異なる部位(6)を被覆している第1被膜(L1)と、曲げ部(4)において少なくとも張力(T1)が発生する部位を被覆している第2被膜(L2)とを含む。被膜(5)は、第1被膜(L1)と第2被膜(L2)との間において、張力が発生する方向と交わる方向に境界(B1,B2,B3)を有する。
この構成によると、曲げ部(4)とは異なる部位(6)を被覆している第1被膜(L1)と、張力(T1)が発生する部位を被覆している第2被膜(L2)を有することで、被膜(5)を補修したコイル(1)を提供することができる。曲げ部(4)を第2被膜(L2)で被覆することで、境界(B1,B2,B3)が形成される。また、曲げ部(4)では、張力(T1)が発生するため、曲げ部(4)が形成される部位に予め第1被膜(L1)が形成されると、当該部位に形成された第1被膜(L1)は破損する可能性がある。このため、第1被膜(L1)の破損する可能性のある部位を第2被膜(L2)により補修することで、絶縁性能の低下を抑制すること、つまり被膜(5)の品質の低下を抑制することができる。
第2の態様に係るコイル(1)では、第1の態様において、第1被膜(L1)と第2被膜(L2)とは同一材料から形成されている。
この構成によると、第1被膜(L1)と第2被膜(L2)とが同一材料で形成されていることにより、追加で材料が発生することがなく、被膜(5)の絶縁性能の低下を抑制しながら、第1被膜(L1)を補修するコストを抑制することができる。
第3の態様に係るコイル(1)では、第1の態様において、第1被膜(L1)と第2被膜(L2)とは別材料から形成されている。
この構成によると、第1被膜(L1)と第2被膜(L2)とは、別材料から形成されることで、補修の際の材料の選択肢及び製造方法の選択肢が広くなる。
第4の態様に係るコイル(1)では、第1~第3のいずれかの態様において、第1被膜(L1)と第2被膜(L2)との間において、曲げ部(4)の形状に沿った、境界(B1)とは別の境界(B4)を有する。
この構成によると、第1被膜(L1)と第2被膜(L2)との間において、曲げ部(4)の形状に沿った、境界(B1)とは別の境界(B4)を有することで、第2被膜(L2)は、導線(3)の一部を補修している。このため、第2被膜(L2)は、第1被膜(L1)の破損している可能性がある箇所を補修しており、被膜(5)の絶縁性能の低下を抑制しながら、第1被膜(L1)を補修するコストを抑制することができる。
第5の態様に係るコイル(1)では、第1~第3のいずれかの態様において、第2被膜(L2)は、曲げ部(4)の全周を被覆している。
この構成によると、第2被膜(L2)は、曲げ部(4)の全周を覆うことで、安定した補修を行うことができ、被膜(5)の絶縁性能の低下を抑制することができる。つまり、品質の低下を抑制することができる。
第6の態様に係るコイル(1)では、第1~第5のいずれかの態様において、境界(B1,B2,B3)を挟んで、第1被膜(L1)は、第2被膜(L2)の少なくとも一部と重複する。
この構成によると、第1被膜(L1)と第2被膜(L2)とが重複することにより、境界(B1,B2,B3)において、絶縁性能の低下を抑制することができる。つまり、品質の低下を抑制することができる。
第7の態様に係るモータ(2)は、第1~第6のいずれかの態様のコイル(1)と、コイルを装着するステータ(14)と、を備える。
この構成によると、導線(3)を曲げることによって作製したエッジワイズコイル(1)において、元々付いていた絶縁被膜である第1被膜(L1)の特定部位(D1)を第2被膜(L2)で補修することにより、コイル(1)の被膜(5)の絶縁性能の低下を抑制したモータ(2)を提供することができる。つまり、品質の低下を抑制することができる。
第8の態様に係る製造方法は、エッジワイズコイル(1)の製造方法であって、第1被膜(L1)の付いた導線(3)を巻回してエッジワイズコイル(1)を形成する処理と、導線(3)が曲げられた曲げ部(4)に第2被膜(L2)を形成する処理と、を含む。
この方法によると、第1被膜(L1)の付いた導線(3)を曲げることによってエッジワイズコイル(1)を形成する処理と、曲げ部(4)に絶縁被膜である第2被膜(L2)を形成する処理と、を含むことによって、絶縁性能の低下を抑制したエッジワイズコイル(1)を提供することができる。つまり、品質の低下を抑制することができる。
1 コイル、エッジワイズコイル
2 モータ
3 導線
4 曲げ部
5 被膜
6 異なる部位
7 重複部
14 ステータ
L1 第1被膜
L2 第2被膜
B1,B2,B3,B4 境界
T1 張力
2 モータ
3 導線
4 曲げ部
5 被膜
6 異なる部位
7 重複部
14 ステータ
L1 第1被膜
L2 第2被膜
B1,B2,B3,B4 境界
T1 張力
Claims (8)
- エッジワイズコイルであって、
導線と、
前記導線を被覆している被膜と、を備え、
前記導線は、前記導線が曲げられた部位である曲げ部を含み、
前記被膜は、前記導線のうち前記曲げ部とは異なる部位を被覆している第1被膜と、前記曲げ部において少なくとも張力が発生する部位を被覆している第2被膜と、を含み、
前記被膜は、前記第1被膜と前記第2被膜との間において、前記張力が発生する方向と交わる方向に境界を有する、
コイル。 - 前記第1被膜と前記第2被膜とは同一材料から形成されている、
請求項1に記載のコイル。 - 前記第1被膜と前記第2被膜とは別材料から形成されている、
請求項1に記載のコイル。 - 前記第1被膜と前記第2被膜との間において、前記曲げ部の形状に沿った、前記境界とは別の境界を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のコイル。 - 前記第2被膜は、前記曲げ部の全周を被覆している、
請求項1~3のいずれか一項に記載のコイル。 - 前記第1被膜は、前記第2被膜の少なくとも一部と重複する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のコイル。 - 請求項1~6のいずれか一項に記載のコイルと、
前記コイルを装着するステータと、を備える、
モータ。 - エッジワイズコイルの製造方法であって、
第1被膜の付いた導線を巻回してエッジワイズコイルを形成する処理と、
前記導線が曲げられた曲げ部に第2被膜を形成する処理と、を含む、
製造方法。
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-
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