JP2020100446A - 缶 - Google Patents
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従来、図2に示されるように、缶50の缶底53には、缶軸O方向に沿う缶50の内側へ向けて凹むドーム部55と、ドーム部55の外周縁部に連なり、缶軸O方向に沿う缶50の外側へ向けて突出するとともに缶軸O回りの周方向に沿って延びる環状凸部(リム)57と、が形成されている。
耐圧強度が低くなると、内容物が封入された缶50の内圧の作用(上昇)により、図3に2点鎖線で示されるように、缶底53の環状凸部57が、缶軸O方向に沿う缶50の外側(図3における下方)へ突出しつつ、缶軸O方向に直交する径方向の外側(図3における左方)へ向けて変形する、いわゆるボトムグロースが発生する。
すなわち、本発明は、缶胴と、缶底と、を有する缶であって、前記缶底には、缶軸方向に沿う当該缶の内側へ向けて凹むドーム部と、前記ドーム部の外周縁部に連なり、前記缶軸方向に沿う当該缶の外側へ向けて突出するとともに缶軸回りの周方向に沿って延びる環状凸部と、が形成され、前記環状凸部のうち、前記ドーム部に連なる内周壁には、前記缶軸方向に沿う縦断面視で、缶軸に直交する径方向の外側へ向けて凹む曲線状をなす第1凹曲面部が形成され、前記縦断面視で、前記ドーム部には、缶軸上に位置するドームトップと、前記ドームトップの前記径方向の外側に接続し、該ドームトップよりも曲率半径が小さい凹曲線状をなす第2凹曲面部と、前記ドーム部の外周縁部に配置され、前記第1凹曲面部と前記第2凹曲面部とを接続するとともに、前記第1凹曲面部及び前記第2凹曲面部に接する直線状をなすテーパ部と、が形成されることを特徴とする。
これにより、ボトムグロースやバックリングを効果的に抑制することができる。
また、缶の縦断面視において、当該缶の外面における第1凹曲面部の曲率半径が1.2mm以下であるので、成形後のスプリングバックが抑えられ、精度よくこの第1凹曲面部を成形できる。具体的には、スプリングバックが抑えられるので、所期する第1凹曲面部の形状を安定的に付与することができ、耐圧強度が安定して高められる。
また、缶の縦断面視において、当該缶の外面における第2凹曲面部の曲率半径が5.0mm以下であるので、該第2凹曲面部を適度に屈曲させて、この第2凹曲面部に応力を集中させやすくすることができる。つまり、応力が集中する箇所を、第1、第2凹曲面部の複数箇所に安定して設定できる(応力を確実に複数箇所に分散できる)ので、缶の耐圧強度が安定して高められる。
また、前記距離が2.8mm以下であるので、環状凸部における第1凹曲面部よりも缶軸方向に沿う缶の外側に位置する部分の、缶軸方向の長さを小さく抑えることができ、これによりボトムグロース量を確実に抑制できる。
また、缶の縦断面視で、前記距離が1.4mm以下であるので、環状凸部における第1凹曲面部、及び該第1凹曲面部よりも缶軸方向に沿う缶の外側に位置する部分において、缶底の板厚が減肉され過ぎたり破断するようなことが防止される。
本実施形態の缶10は、飲料等の内容物が充填、密封される2ピース缶である。
図1において、缶10は、缶胴(ウォール)3と缶底(ボトム)4とを有しており、内部に内容物が充填された状態で、図示しない缶蓋を缶胴3の開口端部に巻締めることで、密封される。缶10の外観については、上述した図2に示される従来の缶50と概ね同様であるが、本実施形態の缶10は、缶底4の構成が従来の缶底53とは異なっている。
また、缶軸に直交する方向を径方向といい、径方向のうち、缶軸に接近する向きを径方向の内側、缶軸から離間する向きを径方向の外側という。また、缶軸回りに周回する方向を周方向という。
また、図1に示される縦断面視において、各構成要素の説明に用いる「曲線(凹曲線・凸曲線)」、「直線」、「接線」とは、特に説明を行わない限り、この縦断面視で缶10の外面における各種の線を表している。
環状凸部7は、この缶10が正立姿勢(缶胴3の開口端部が上方を向く姿勢、図2を参照)となるように不図示の接地面(載置面)上に載置されたときに、該接地面に接するノーズ部(接地部)13と、該ノーズ部13の径方向内側(図1における右方)に位置する内周壁(カウンターシンク)14と、該ノーズ部13の径方向外側(図1における左方)に位置する外周壁(ヒール)15と、を備える。
外周壁15は、缶胴3の下端部に連なっており、かつ、ノーズ部13を介して内周壁14の径方向外側に隣接配置されている。図1に示される缶軸方向に沿う缶10の縦断面視において、外周壁15は、缶胴3の下端部から下方に向かうに従い漸次径方向の内側へ向けて傾斜して形成されている。
また、外周壁15の上端部と缶胴3の下端部、及び、外周壁15の下端部(径方向内側の端部)と内周壁14の下端部(径方向外側の端部)は、図1の縦断面視で、互いの接続部分において共通の接線を有するように、滑らかに連なっている。
また、缶10の外面における外周壁15の中間部(上端部と下端部の間に位置する部位)の曲率半径は、前記上端部の曲率半径よりも大きくされている。
また中間部は、この縦断面視における缶10の外面形状が、単一の円弧で形成されていなくてもよく、例えば、曲率半径が互いに異なる複数の円弧を組み合わせて形成されていてもよい。
また、内周壁14の上端部とドーム部5の下端部(外周縁部)は、図1の縦断面視で、互いの接続部分において共通の接線を有するように、滑らかに連なっている。この接続部分については、詳しく後述する。
この縦断面視で、内周壁14における上方部分(第1凹曲面部1)と下方部分(第2凸曲面部12)は、互いの接続部分において共通の接線を有するように、滑らかに連なっている。
なお、本実施形態では、第1凹曲面部1の曲率半径R1の中心と、缶10の外面のうち、第1凹曲面部1において最も径方向の外側に位置する部分(最深部)と、の缶軸方向の位置が略同じとされている。従って、缶10の外面のうち、第1凹曲面部1において最も径方向の外側に位置する部分と、ノーズ部13と、の間の缶軸方向の距離も、上記距離hと同じく2.0〜2.8mmであり、より好ましくは、2.0〜2.4mmである。
つまり、上記距離dとは、図1の縦断面視において、缶10の外面のうち、第1凹曲面部1の径方向の外端部(最深部)と、第2凸曲面部12の径方向の内端部(最頂部)と、の径方向の距離である。
ドーム部5は、缶軸上に位置するドームトップ16と、ドームトップ16の径方向外側に接続する第2凹曲面部2と、このドーム部5の径方向外側の端部(外周縁部)に配置されるとともに、内周壁14の第1凹曲面部1と上記第2凹曲面部2とを接続するテーパ部17と、を備える。
ただしこれに限定されるものではなく、この縦断面視においてドームトップ16は、上方へ向けて凹む単一の円弧で形成されていてもよい。この場合、ドームトップ16の曲率半径は、例えば48mmである。
また、図1の縦断面視においてドームトップ16が、3つ以上の凹曲線を組み合わせて形成されていてもよい。
また、ドーム部5の外周縁部(下端部)に位置するテーパ部17と、内周壁14の上端部に位置する第1凹曲面部1は、この縦断面視で、互いの接続部分において共通の接線を有するように、滑らかに連なっている。
特に図示していないが、缶10は、アルミニウム合金材料の板材(ブランク)を用いて成形されており、具体的には、板材打ち抜き工程、絞りしごき工程(カッピング工程及びDI工程を含む)、トリミング工程、印刷工程、塗装工程、ネッキング工程、ボトムリフォーム工程、及びフランジング工程をこの順に経て、製缶される。なお、上記ネッキング工程の代わりにプリネッキング工程を用いてもよく、この場合、上述の塗装工程以降が、プリネッキング工程(第1ネッキング工程)、ボトムリフォーム工程、スムースネッキング工程又はスピンフローネッキング工程(第2ネッキング工程)、及びフランジング工程となる。
ただし、本実施形態で説明した缶底4の形状を付与するにあたっては、上記特許文献2のFig.6やFig.14に記載のリフォーミングローラ(成形ローラ)26、230のローラ外周縁部の形状や、缶底4の内周壁14に対する周方向のオーバーラップ量(周方向のローラ成形長さ)や、缶軸方向及び径方向のローラ成形位置(リフォーミングローラのストローク長)などを適宜調整して、成形後に、所期する内周壁14及びドーム部5の形状となるように設定する必要がある。
また、リフォーミングローラを缶底4の内周壁14に対して周方向に回転させる成形時のオーバーラップ量は、例えば20%(つまりローラ成形長さが周方向に計1.2回転)である。オーバーラップ量が20%であると、成形精度を安定して確保することができ、かつ、ローラへの成形負荷を抑えて工具寿命を延長できる。
これにより、ボトムグロースやバックリングを効果的に抑制することができる。
また、缶10の縦断面視において、当該缶10の外面における第1凹曲面部1の曲率半径R1が1.2mm以下であるので、成形後のスプリングバックが抑えられ、精度よくこの第1凹曲面部1を成形できる。具体的には、スプリングバックが抑えられるので、所期する第1凹曲面部1の形状を安定的に付与することができ、耐圧強度が安定して高められる。
すなわち、缶10の縦断面視において、当該缶10の外面における第2凹曲面部2の曲率半径R2が3.0mm以上であるので、缶底4の板厚がこの第2凹曲面部2において減肉され過ぎるようなことが防止されて、所期する耐圧性能を安定して得ることができる。
また、缶10の縦断面視において、当該缶10の外面における第2凹曲面部2の曲率半径R2が5.0mm以下であるので、該第2凹曲面部2を適度に屈曲させて、この第2凹曲面部2に応力を集中させやすくすることができる。つまり、応力が集中する箇所を、第1、第2凹曲面部1、2の複数箇所に安定して設定できる(応力を確実に複数箇所に分散できる)ので、缶10の耐圧強度が安定して高められる。
すなわち、環状凸部7の内周壁14に第1凹曲面部1をボトムリフォーム加工する際の加工容易性を向上できるとともに、成形精度を確保でき、耐圧強度を安定的に高めることができる。また、ボトムグロース量(変形量)を効果的に抑制することができる。
また、前記距離hが2.8mm以下であるので、環状凸部7における第1凹曲面部1よりも下方(缶軸方向に沿う缶10の外側)に位置する部分の、缶軸方向の長さを小さく抑えることができ、これによりボトムグロース量を確実に抑制できる。なお、前記距離hが2.4mm以下であると、ボトムグロース量をより確実に抑制でき、好ましい。
また、缶10の縦断面視で、前記距離dが1.4mm以下であるので、環状凸部7における第1凹曲面部1、及び該第1凹曲面部1よりも下方(缶軸方向に沿う缶10の外側)に位置する部分(第2凸曲面部12)において、缶底4の板厚が減肉され過ぎたり破断するようなことが防止される。
2 第2凹曲面部
3 缶胴
4 缶底
5 ドーム部
7 環状凸部
10 缶
13 ノーズ部(環状凸部における缶軸方向に沿う缶の外側の端縁)
14 内周壁
16 ドームトップ
17 テーパ部
d 距離
h 距離
R1 第1凹曲面部の曲率半径
R2 第2凹曲面部の曲率半径
すなわち、本発明は、缶胴と、缶底と、を有する缶であって、前記缶底には、缶軸方向に沿う当該缶の内側へ向けて凹むドーム部と、前記ドーム部の外周縁部に連なり、前記缶軸方向に沿う当該缶の外側へ向けて突出するとともに缶軸回りの周方向に沿って延びる環状凸部と、が形成され、前記環状凸部のうち、前記ドーム部に連なる内周壁には、前記缶軸方向に沿う縦断面視で、缶軸に直交する径方向の外側へ向けて凹む曲線状をなす第1凹曲面部が形成され、前記縦断面視で、前記ドーム部には、缶軸上に位置するドームトップと、前記ドームトップの前記径方向の外側に接続し、該ドームトップよりも曲率半径が小さい凹曲線状をなす第2凹曲面部と、前記ドーム部の外周縁部に配置され、前記第1凹曲面部と前記第2凹曲面部とを接続するとともに、前記第1凹曲面部及び前記第2凹曲面部に接する直線状をなすテーパ部と、が形成され、前記環状凸部は、前記内周壁の径方向外側に隣接配置される外周壁を備え、前記縦断面視において、前記外周壁の前記缶軸方向に沿う前記缶底側の下端部は、凸曲線状をなす第1凸曲面部とされており、前記縦断面視で、当該缶の外面における前記第1凸曲面部の曲率半径は、1.8〜2.3mmであることを特徴とする。
また、本発明の缶において、前記内周壁は、前記第1凹曲面部よりも前記缶軸方向に沿う当該缶の外側に位置する第2凸曲面部を有し、前記縦断面視で、前記第2凸曲面部は、径方向内側へ向けて凸となる曲線状をなしており、前記縦断面視で、当該缶の外面における前記第2凸曲面部の曲率半径は、0.8〜1.0mmであることとしてもよい。
また、本発明の缶において、前記内周壁は、前記第1凹曲面部よりも前記缶軸方向に沿う当該缶の外側に位置する第2凸曲面部を有し、前記縦断面視で、前記第2凸曲面部は、径方向内側へ向けて凸となる曲線状をなしており、前記縦断面視で、前記第1凹曲面部と前記第2凸曲面部は、互いの接続部分において共通の接線を有するように、滑らかに連なっていることとしてもよい。
また、本発明の缶において、前記外周壁は、前記缶軸方向に沿う前記缶胴の開口端部側の上端部が凸曲面状をなしており、前記上端部と前記第1凸曲面部との間に位置する中間部が凹曲面状をなしており、前記縦断面視で、当該缶の外面における前記中間部の曲率半径は、前記上端部の曲率半径よりも大きくされていることとしてもよい。
また、本発明の缶において、前記縦断面視で、当該缶の外面における前記第1凸曲面部の曲率半径の中心を円中心とし前記第1凸曲面部が円周の一部とされる仮想円の内部に、当該缶の外面における前記第1凹曲面部の曲率半径の中心があることとしてもよい。
また、本発明の缶において、前記縦断面視で、当該缶の外面における前記第1凸曲面部の曲率半径の中心を円中心とし前記第1凸曲面部が円周の一部とされる仮想円と、当該缶の外面における前記第2凹曲面部の曲率半径の中心を円中心とし前記第2凹曲面部が円周の一部とされる仮想円とが、互いに重なることとしてもよい。
Claims (5)
- 缶胴と、缶底と、を有する缶であって、
前記缶底には、
缶軸方向に沿う当該缶の内側へ向けて凹むドーム部と、
前記ドーム部の外周縁部に連なり、前記缶軸方向に沿う当該缶の外側へ向けて突出するとともに缶軸回りの周方向に沿って延びる環状凸部と、が形成され、
前記環状凸部のうち、前記ドーム部に連なる内周壁には、前記缶軸方向に沿う縦断面視で、缶軸に直交する径方向の外側へ向けて凹む曲線状をなす第1凹曲面部が形成され、
前記縦断面視で、前記ドーム部には、
缶軸上に位置するドームトップと、
前記ドームトップの前記径方向の外側に接続し、該ドームトップよりも曲率半径が小さい凹曲線状をなす第2凹曲面部と、
前記ドーム部の外周縁部に配置され、前記第1凹曲面部と前記第2凹曲面部とを接続するとともに、前記第1凹曲面部及び前記第2凹曲面部に接する直線状をなすテーパ部と、が形成されることを特徴とする缶。 - 請求項1に記載の缶であって、
前記縦断面視で、当該缶の外面における前記第1凹曲面部の曲率半径が、0.8〜1.2mmであることを特徴とする缶。 - 請求項1又は2に記載の缶であって、
前記縦断面視で、当該缶の外面における前記第2凹曲面部の曲率半径が、3.0〜5.0mmであることを特徴とする缶。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の缶であって、
前記縦断面視で、
前記第1凹曲面部の曲率半径の中心と、
前記環状凸部における前記缶軸方向に沿う当該缶の外側の端縁と、の間の前記缶軸方向の距離が、2.0〜2.8mmであることを特徴とする缶。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の缶であって、
前記縦断面視で、当該缶の外面のうち、
前記第1凹曲面部における最も前記径方向の外側に位置する部分と、
前記環状凸部における前記第1凹曲面部よりも前記缶軸方向に沿う当該缶の外側に位置する部分の、最も前記径方向の内側に位置する部分と、の間の前記径方向の距離が、0.8〜1.4mmであることを特徴とする缶。
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