JP2018184188A - ボトル缶及びキャップ付きボトル缶 - Google Patents
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Description
ボトル缶は、アルミニウム合金材料等からなり、有底筒状に形成される。ボトル缶は、缶の周壁である缶胴と、缶の底壁である缶底と、を備えている。缶胴は、缶底に接続する最大径部分である胴部と、胴部から上方(缶軸方向に沿う開口端部側)へ向かうに従い徐々に縮径する肩部と、肩部から上方へ向けて延びる口部と、を備えている。口部は、ねじ部と、ねじ部の下方(缶軸方向に沿う缶底側)に隣接配置され、径方向外側へ向けて膨出するカブラ部と、を有する。
しかしながら、従来のボトル缶では、薄肉化を図った場合において座屈強度を確保することが困難であった。具体的には、ボトル缶の口部にキャップを取り付ける際などに、缶軸方向への荷重(軸荷重)、缶軸に直交する径方向への荷重(横荷重)及び内圧等が作用して、ボトル缶が大きく変形することや座屈変形するおそれがあった。
また、本発明の一態様に係るキャップ付きボトル缶は、上述したボトル缶の前記口部に、キャップが取り付けられたことを特徴とする。
具体的に、例えば本発明とは異なり、カブラ部の下端に直線部が連設されることなく、カブラ部の下端と凹部とが直接的に繋がっている構成の場合、キャップの周壁の下端部を裾巻き成形する際に、キャップの周壁の下端部が成形時に暴れ、裾巻き加工の安定性を損ねるおそれがある。このような不具合を、直線部を備えた本発明によれば確実に防止することができる。
また、凹部の缶軸方向の長さが8mm以下であるので、この凹部の缶軸方向の全長が長くなり過ぎてしまうことを抑えて、該凹部により確実に缶体の座屈強度を高めることができる。また、例えば凹部の缶軸方向の全長を長く確保するために肩部の位置を下げてしまうようなことがなくなり、内容物の容量が減じることを防止できる。
ボトル缶1は、その内部に飲料等の内容物が充填され、後述する缶胴3の口部7に不図示のキャップが取り付けられ密封されることにより、キャップ付きボトル缶とされる。
また、缶軸Cが延在する方向(缶軸Cに沿う方向)を缶軸C方向という。缶軸C方向のうち、缶底2から缶胴3の開口端部(後述する口部7)へ向かう方向を上方といい、開口端部(口部7)から缶底2へ向かう方向を下方という。
また、缶軸Cに直交する方向を径方向という。径方向のうち、缶軸Cに接近する向きを径方向の内側といい、缶軸Cから離間する向きを径方向の外側という。
また、缶軸C回りに周回する方向を周方向という。
また、図1〜図5に示されるボトル缶の缶軸Cに沿う(缶軸Cを含む)縦断面視において、ボトル缶の各部形状の説明に用いる「円弧」、「曲線」、「直線」、「接線」等の線形状は、特に説明しない限り、ボトル缶の外面における各種の線形状を表している。
また、缶胴3は、缶底2に接続する胴部5と、胴部5から上方へ向かうに従い縮径する肩部6と、肩部6から上方へ向けて延びる口部7と、を備えている。
肩部6は、胴部5の上方に連設され、胴部5から上方へ向かうに従い徐々に縮径しており、テーパー状をなしている。
図3に示されるボトル缶1の縦断面視において、カブラ部12の下端部には、カブラ部12の最大径部分から下方へ向けて延びる凸曲線部と、該凸曲線部の下方に連設された凹曲線部と、が含まれる。本実施形態ではこの凹曲線部の下端を、カブラ部12の下端16とする。
凹部13の缶軸C方向に沿う長さAは、1.5〜8mmである。本実施形態において、「凹部13の缶軸C方向に沿う長さA」とは、凹部13が有する凹円弧部17における最上端と、最下端と、の間の缶軸C方向に沿う距離を指す。
凹円弧部17の下端の径方向外側には、径方向に沿って延びる直線部18が連設されている。また、直線部18の径方向外側には、凸円弧部21が連設されている。凸円弧部21については別途後述する。
また図3において、カブラ部12の下方に連設される直線部14と、凹部13のうち最も径方向内側に位置する底部20と、の間の径方向に沿う距離Fが、0.3mm以上である。好ましくは、距離Fは0.6mm以上である。
ボトル缶1は、板材打ち抜き工程、カッピング工程(絞り工程)、DI工程(絞りしごき工程)、トリミング工程、印刷・塗装(缶外面)工程、塗装(缶内面)工程、ネッキング工程、トリミング工程、ねじ成形工程、カール工程及びスロットル工程等を経て、製缶される。
カッピング工程(絞り工程)では、ブランクをカッピングプレスにより絞り加工(カッピング加工)して、カップ状体に成形する。
またDI工程において、缶底には、上述したドーム部9及び環状凸部10がプレス成形される。
なお、上述したように、製缶されたボトル缶1の缶胴3の開口端部近傍には、肩部6及び口部7が形成されるが、本実施形態の例では、肩部6及び口部7の成形が、印刷・塗装(缶外面)工程及び塗装(缶内面)工程よりも後工程において行われる場合について説明する。ただし、塗装(缶内面)工程については、肩部6及び口部7の成形よりも後工程において行われてもよい。
また、外面塗装後は、内面塗装とその乾燥・焼付が行われる。DI缶の内面への塗装は、スプレーノズルによって缶胴の開口端部から缶底へ向けて塗料を噴霧して行われる。噴霧した塗料を乾燥することにより缶内面に塗膜を形成して、耐食性を付与する。
なお、本実施形態では、口部7のカブラ部12及び凹部13の成形を、上記ネッキング工程においてダイ加工ツールを用いて行う。ただし、凹部13の成形については、ねじ成形工程の前後において回転加工ツール(中子ローラ、外子ローラ等の成形ローラ)を用いて行ってもよい。
これにより、図1に示されるようなボトル缶1が製缶される。
具体的には、ボトル缶1の口部7にキャップを被せ、プレッシャーブロックによって、口部7に対してキャップを下方へ向けて押し付ける。これにより、キャップの頂壁(天壁)の下面に設けたシール材を、口部7のカール部15に上方から押し付け、ボトル缶1を密封状態とする。この密封状態で、キャップの周壁にねじ巻きローラを径方向内側へ向けて押し当てつつ周方向に転動させることにより、該周壁にねじ部11の雄ねじ形状に倣った雌ねじ形状を形成する。また、キャップの周壁の下端部に裾巻きローラを径方向内側へ向けて押し当てつつ周方向に転動させることにより、該周壁の下端部をカブラ部12に係止させる。これにより、ボトル缶1の内容物が密封された状態で、口部7にキャップが取り付けられる。またこの密封状態は、口部7からキャップを取り外し開栓するまでの間、維持される。
具体的に、例えば本実施形態とは異なり、カブラ部12の下端16に直線部14が連設されることなく、カブラ部12の下端16と凹部13とが直接的に繋がっている構成の場合、キャップの周壁の下端部を裾巻き成形する際に、キャップの周壁の下端部が成形時に暴れ、裾巻き加工の安定性を損ねるおそれがある。このような不具合を、直線部14を備えた本実施形態によれば確実に防止することができる。
この参考例では、直線部14と肩部6との間に、溝状の凹部13が形成される代わりに、直線部14よりも大径とされた筒状部101が形成されている。また、カブラ部12の下端16と、筒状部101のうち最も径方向外側に位置する頂部102と、の間の缶軸C方向に沿う距離(最短距離)Bが、5mmを超える。
その結果、参考例のボトル缶100に対して、本実施形態のボトル缶1は、缶体の座屈強度が例えば25%程度も向上することが確認された。
すなわちこの場合、凹部13と凸円弧部21とを滑らかに接続することができ、凹円弧部22と肩部6とを滑らかに接続することができる。従って、それぞれの接続箇所において集中荷重が作用するような不具合を防止でき、座屈強度を安定して高めることができる。
従ってこの場合、径方向内側へ向けて窪まされた凹部13により、缶軸C方向の荷重に対する座屈強度を確実に向上できる。
すなわちこの場合、カブラ部12の下方に連設される直線部14から、凹部13が径方向内側へ向けて窪む窪み量が0.3mm以上であるので、該凹部13によって缶体の座屈強度を確実にかつ顕著に高めることができる。この効果をより格別なものとするには、距離F(窪み量)が、0.6mm以上であることが望ましい。
すなわち上記構成では、凹部13の缶軸C方向の長さAが1.5mm以上であるので、凹部13を成形しやすく、剛性を増す効果が十分得られる。
また、凹部13の缶軸C方向の長さAが8mm以下であるので、この凹部13の缶軸C方向の全長が長くなり過ぎてしまうことを抑えて、該凹部13により確実に缶体の座屈強度を高めることができる。また、例えば凹部13の缶軸C方向の全長を長く確保するために肩部6の位置を下げてしまうようなことがなくなり、内容物の容量が減じることを防止できる。
また、凹部13の板厚が0.3mm以下であるとしたが、これに限定されるものではなく、凹部13の板厚は、0.3mmを超えてもよい。
この場合、ボトル缶1の縦断面視において、凹部13と肩部6との間に、凸円弧部21、凹円弧部22及びこれらを接続する直線部が形成されている。この直線部が設けられることによって、凹部13と肩部6との缶軸C方向に沿う距離を長く確保することが容易となり、その分、凹部13とカブラ部12との缶軸C方向の距離を短くすることができて、前述の実施形態による作用効果を安定して得ることができる。
この場合、凹部13に形成された複数の凹円弧部の曲率半径を互いに異ならせることができるので、例えば、曲率半径の小さい凹円弧部によって、カブラ部12に対して凹部13(の底部20)を缶軸C方向に接近配置することができ、上述の座屈強度を高められるという効果がより安定して得られやすくなる。また、曲率半径の小さい凹円弧部によって、缶軸C方向の所定の領域内における凹部13の径方向内側へ向けた窪み量を大きく確保しやすくなり、軸方向や径方向の荷重に対する強度の向上を図ることができる。
また、曲率半径の大きい凹円弧部によって、凹部13の缶軸C方向に沿う長さを大きく確保することができ、該凹部13による座屈強度向上の効果を缶軸C方向の広い範囲で奏することができる。
この場合、ボトル缶1の縦断面視において、凹部13に、複数の凹円弧部及びこれらの凹円弧部同士を接続する凹部内直線部が形成される。凹部内直線部は、例えば缶軸Cに沿って延びる。凹部内直線部が設けられることによって、凹部13の缶軸C方向に沿う長さを大きく確保することが容易となり、該凹部13による座屈強度向上の効果を缶軸C方向の広い範囲で得ることができる。
凹部内直線部は、缶軸Cに対して傾斜させられていてもよく、この場合、凹部13の径方向に沿う長さ(径方向内側へ向けた窪み量)をより大きく確保することができ、軸方向荷重に対する座屈強度のさらなる向上を図ることができる。
また、凹部13が複数の凹円弧部同士を接続する凹部内直線部を有し、該凹部内直線部が缶軸Cに平行に延びている場合、前述の実施形態で説明した図3の距離Bとは、カブラ部12の下端16と、底部20のうち最上端と、の間の缶軸C方向の距離(つまり最短距離)を指す。
また前述の実施形態では、凹部13の凹円弧部17の上端に凸円弧部19が連設された例を挙げて説明したが、凹円弧部17と凸円弧部19との間に、径方向外側へ向かうに従い上方に向けて傾斜するテーパー部が設けられており、該テーパー部を介して、凹円弧部17と凸円弧部19とが接続されていてもよい。
2 缶底
3 缶胴
5 胴部
6 肩部
7 口部
11 ねじ部
12 カブラ部
13 凹部
14 直線部
16 カブラ部の下端
20 底部
21 凸円弧部
22 凹円弧部
31 第1接続部
32 第2接続部
A 凹部の缶軸方向に沿う長さ
B カブラ部の下端と、凹部のうち最も径方向内側に位置する底部と、の間の缶軸方向に沿う距離
C 缶軸
E 第1接続部と、第2接続部と、の間の缶軸方向に沿う距離
F 直線部と、凹部のうち最も径方向内側に位置する底部と、の間の径方向に沿う距離
Claims (11)
- 缶胴と缶底とを備えた有底筒状のボトル缶であって、
前記缶胴は、
前記缶底に接続する胴部と、
前記胴部から上方へ向かうに従い縮径する肩部と、
前記肩部から上方へ向けて延びる口部と、を備え、
前記口部は、
ねじ部と、
前記ねじ部の下方に隣接配置され、径方向外側へ向けて膨出するカブラ部と、
前記カブラ部より小径とされ、前記カブラ部の下端から下方へ延びる直線部と、
前記直線部と前記肩部との間に配置され、径方向内側へ向けて窪むとともに周方向に延びる溝状の凹部と、を有するボトル缶。 - 請求項1に記載のボトル缶であって、
前記カブラ部の下端と、前記凹部のうち最も径方向内側に位置する底部と、の間の缶軸方向に沿う距離が、5mm以下であるボトル缶。 - 請求項1又は2に記載のボトル缶であって、
缶軸に沿う縦断面視で、前記凹部と前記肩部との間に、前記凹部と前記肩部とを接続する凸円弧部及び凹円弧部を備えたボトル缶。 - 請求項3に記載のボトル缶であって、
前記凹部の下方に前記凸円弧部が隣接配置され、
前記肩部の上方に前記凹円弧部が隣接配置されたボトル缶。 - 請求項3又は4に記載のボトル缶であって、
前記凹部の下方に隣接配置された前記凸円弧部と、前記凹部と、を繋ぐ第1接続部と、
前記肩部の上方に隣接配置された前記凹円弧部と、前記肩部と、を繋ぐ第2接続部と、の間の缶軸方向に沿う距離が、3mm以上であるボトル缶。 - 請求項3〜5のいずれか一項に記載のボトル缶であって、
缶軸に沿う縦断面視で、前記凸円弧部と前記凹円弧部との間に、前記凸円弧部と前記凹円弧部とを接続する直線部を備えたボトル缶。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のボトル缶であって、
前記凹部のうち最も径方向内側に位置する底部が、前記ねじ部において最も径方向内側に位置する部分よりも小径であるボトル缶。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のボトル缶であって、
前記カブラ部の下方に連設される前記直線部と、前記凹部のうち最も径方向内側に位置する底部と、の間の径方向に沿う距離が、0.3mm以上であるボトル缶。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載のボトル缶であって、
前記凹部の缶軸方向に沿う長さが、1.5〜8mmであるボトル缶。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載のボトル缶であって、
前記凹部の板厚が、0.3mm以下であるボトル缶。 - 請求項1〜10のいずれか一項に記載のボトル缶の前記口部に、キャップが取り付けられたキャップ付きボトル缶。
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