JP2020098317A - 円偏光板およびそれを用いた画像表示装置 - Google Patents

円偏光板およびそれを用いた画像表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2020098317A
JP2020098317A JP2019034020A JP2019034020A JP2020098317A JP 2020098317 A JP2020098317 A JP 2020098317A JP 2019034020 A JP2019034020 A JP 2019034020A JP 2019034020 A JP2019034020 A JP 2019034020A JP 2020098317 A JP2020098317 A JP 2020098317A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
film
adhesive layer
sensitive adhesive
polarizing plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019034020A
Other languages
English (en)
Inventor
寿和 松本
Toshikazu Matsumoto
寿和 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to PCT/JP2019/009068 priority Critical patent/WO2019176717A1/ja
Priority to CN201980018272.5A priority patent/CN111819478A/zh
Priority to KR1020207026859A priority patent/KR20200130828A/ko
Priority to TW108107859A priority patent/TW201940905A/zh
Publication of JP2020098317A publication Critical patent/JP2020098317A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3083Birefringent or phase retarding elements
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B7/00Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
    • B32B7/02Physical, chemical or physicochemical properties
    • B32B7/023Optical properties
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J123/00Adhesives based on homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Adhesives based on derivatives of such polymers
    • C09J123/02Adhesives based on homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Adhesives based on derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment
    • C09J123/04Homopolymers or copolymers of ethene
    • C09J123/08Copolymers of ethene
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J123/00Adhesives based on homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Adhesives based on derivatives of such polymers
    • C09J123/02Adhesives based on homopolymers or copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond; Adhesives based on derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment
    • C09J123/18Homopolymers or copolymers of hydrocarbons having four or more carbon atoms
    • C09J123/20Homopolymers or copolymers of hydrocarbons having four or more carbon atoms having four to nine carbon atoms
    • C09J123/22Copolymers of isobutene; Butyl rubber ; Homo- or copolymers of other iso-olefines
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3016Polarising elements involving passive liquid crystal elements
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K59/00Integrated devices, or assemblies of multiple devices, comprising at least one organic light-emitting element covered by group H10K50/00
    • H10K59/50OLEDs integrated with light modulating elements, e.g. with electrochromic elements, photochromic elements or liquid crystal elements
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B2457/00Electrical equipment
    • B32B2457/20Displays, e.g. liquid crystal displays, plasma displays
    • B32B2457/208Touch screens

Abstract

【課題】本発明の目的は、視認側にカバーガラスが積層された状態で高温環境下に置かれた場合でも、中央部と周辺部とで反射光の色目が均一な円偏光板を提供することにある。【解決手段】偏光フィルムと、粘接着剤層と、位相差フィルムとを、この順に備え、前記粘接着剤層は、温度40℃、相対湿度92%R.H.における透湿度が100g/(m2・day)以下であり、前記位相差フィルムは、λ/4板として機能し、液晶化合物からなる層を含む円偏光板。【選択図】なし

Description

本発明は、円偏光板およびそれを用いた画像表示装置に関するものである。
近年、携帯電話やタブレット端末などの普及が進み、画像表示装置として液晶表示装置や有機EL表示装置(OLED)が広く用いられるようになってきた。また、表示装置の薄型化に伴い、用いる偏光板などの各部材の薄型化が求められている。例えば、有機EL表示装置は、通常、外光が金属電極(陰極)で反射されて鏡面のように視認されることを抑制するために、有機ELパネルの視認側表面に円偏光板が配置される。
前記円偏光板としては、一般的には偏光板とλ/4板の積層体が用いられているが、例えば、偏光子と、特定の屈折率特性を有する1枚の位相差層を積層したものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
延伸フィルムを用いたλ/4板では薄型化には限界があり、さらなる薄型化に向けて重合性液晶化合物からなる位相差フィルムを用いたλ/4板が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、このような位相差フィルムを円偏光板に適用した場合には、円偏光板をガラスに貼り付け、さらにカバーガラスを円偏光板上(画像表示装置における視認側)に積層した状態で耐熱試験を行うと、サンプル中央部の位相差フィルムの位相差値が低下することが明らかになった。その結果、円偏光板の中央部と周辺部とで反射光の色目が変わって、外観が悪化するという問題があった。
特許第3325560号公報 特開2014−123134公報
本発明の目的は、視認側にカバーガラスが積層された状態で高温環境下に置かれた場合でも、中央部と周辺部とで反射光の色目が均一な円偏光板を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の円偏光板及び画像表示装置を提供する。
[1] 偏光フィルムと、粘接着剤層と、位相差フィルムとを、この順に備え、
前記粘接着剤層は、温度40℃、相対湿度92%R.H.における透湿度が100g/(m・day)以下であり、
前記位相差フィルムは、λ/4板として機能し、液晶化合物からなる層を含む円偏光板。
[2] 前記粘接着剤層が、ポリイソブチレン、及び水素引抜型光重合開始剤を含むゴム系粘着剤組成物から形成された粘着剤層であることを特徴とする[1]に記載の円偏光板。
[3] 前記粘接着剤層が、ポリオレフィン系樹脂を含む粘着剤層であることを特徴とする[1]に記載の円偏光板。
[4] 前記ポリオレフィン系樹脂が、非晶質ポリプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする[3]に記載の円偏光板。
[5] 前記偏光フィルムの厚みが、15μm以下であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の円偏光板。
[6] 前記位相差フィルムが、下記式(α)及び(β)を満たす[1]〜[5]のいずれかに記載の円偏光板。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (α)
1.00≦Re(650)/Re(550) (β)
[式中、Re(450)は波長450nmにおける面内位相差値を表し、Re(550)は波長550nmにおける面内位相差値を表し、Re(650)は波長650nmにおける面内位相差値を表す。]
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の円偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
[8] 前記画像表示装置が、有機エレクトロルミネッセンス表示装置である[7]に記載の画像表示装置。
[9] [1]〜[6]のいずれかに記載の円偏光板と、ウインドウと、タッチセンサとを含むフレキシブル画像表示装置用積層体。
本発明によれば、視認側にカバーガラスが積層された状態で高温環境下に置かれた場合でも、中央部と周辺部とで色目が均一な円偏光板を提供することができる。
さらに、本発明は前記円偏光板を用いることで、耐熱性に優れた画像表示装置を提供することができ、特に有機EL表示装置に好適に用いることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大となる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内の位相差値
面内の位相差値[Re(λ)]は、温度23℃、波長λ(nm)におけるフィルムの面内の位相差値をいう。Re(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Re(λ)=(nx−ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差値
面内の位相差値[Rth(λ)]は、温度23℃、波長λ(nm)におけるフィルムの厚み方向の位相差値をいう。Rth(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、Rth(λ)={(nx+ny)/2−nz}×dによって求められる。
(偏光フィルム)
偏光フィルムは、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性物質からなる偏光フィルムが好適である。これらの偏光フィルムの厚さは特に制限されないが、一般的に3〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムとしては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他に、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、およびアンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常、85〜100mol%程度であり、98mol%以上が好ましい。このポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等も用いることができる。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1,000〜10,000程度であり、1,500〜5,000程度が好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、得られる偏光フィルムの厚みを15μm以下とすることを考慮すると、5〜35μm程度であるのが好ましく、5〜20μmであるのがより好ましい。原反フィルムの膜厚が35μm以上であると、偏光フィルムを製造する際の延伸倍率を高くする必要があり、また得られる偏光フィルムの寸法収縮が大きくなる傾向にある。一方、原反フィルムの膜厚が5μm以下であると、延伸を施す際のハンドリング性が低下し、製造中に切断などの不具合が発生しやすくなる傾向にある。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、または染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前またはホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常、3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素が含有された水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部程度である。また、ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常、20〜40℃程度である。
また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10-4〜10重量部程度であり、1×10-3〜1重量部程度が好ましい。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常、20〜80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、10〜1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行うことができる。
ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、通常、水100重量部あたり、2〜15重量部程度であり、5〜12重量部が好ましい。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、通常、水100重量部あたり、0.1〜15重量部程度であり、5〜12重量部程度が好ましい。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60〜1,200秒程度であり、150〜600秒程度が好ましく、200〜400秒程度がより好ましい。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常、50℃以上であり、50〜85℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常、5〜40℃程度である。また、浸漬時間は、通常、1〜120秒程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常、30〜100℃程度であり、50〜80℃が好ましい。乾燥処理の時間は、通常、60〜600秒程度であり、120〜600秒が好ましい。
乾燥処理によって、偏光フィルムの水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常、5〜20重量%であり、8〜15重量%が好ましい。水分率が5重量%を下回ると、偏光フィルムの可撓性が失われ、偏光フィルムがその乾燥後に損傷したり、破断したりする場合がある。また、水分率が20重量%を上回ると、偏光フィルムの熱安定性に劣る場合がある。
また、偏光子の製造工程におけるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの延伸、染色、ホウ酸処理、水洗工程、乾燥工程は、例えば、特開2012−159778号に記載されている方法に準じて行ってもよい。この文献記載の方法では、基材フィルムへのポリビニルアルコール系樹脂のコーティングにより、偏光子となるポリビニルアルコール系樹脂層を形成する。
偏光フィルムの厚みは、15μm以下であり、好ましくは3〜10μmである。
また、前記偏光フィルムは、当該偏光フィルムの片面のみに保護フィルムを有する片面保護偏光板や、偏光フィルムの両面に保護フィルムを有する両面保護偏光板として使用することができる。
(保護フィルム)
前記偏光フィルムの片面又は両面に設けられる保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性等に優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂、イミド系樹脂、スルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、アリレート系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、又は、前記樹脂のブレンド物等も前記保護フィルムを形成する樹脂の例として挙げられる。保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。偏光フィルムの両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じ樹脂材料からなる保護フィルムを用いても良く、異なる樹脂材料等からなる保護フィルムを用いても良い。
保護フィルムの厚みは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性等の点より1〜500μm程度である。
前記偏光フィルムと保護フィルムとは通常、水系接着剤または活性エネルギー線硬化型接着剤等を介して積層される。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。電子線硬化型接着剤は、上記各種の保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。保護フィルムは、偏光フィルムとの貼合に先立って、ケン化処理、コロナ処理、およびプラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
前記保護フィルムの偏光フィルムを接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、帯電防止層やスティッキング防止層、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
(位相差フィルム)
本発明で用いる位相差フィルムは、いわゆるλ/4板として機能し得る。λ/4板として機能するとは、位相差フィルムの波長590nmにおける面内位相差値Re(590)が90〜190nmであることをいう。面内位相差値Re(590)は、好ましくは110〜170nmであり、さらに好ましくは120〜160nmである。
上記位相差フィルムは、液晶化合物からなる層を含む。液晶化合物を用いることにより、得られる位相差層のnxとnyとの差を非液晶材料に比べて格段に大きくし得る。その結果、所望の面内の位相差値を得るための位相差層の厚みを格段に小さくし得、得られる円偏光板、画像表示装置の薄型化に寄与し得る。また、円偏光板の製造においてロールツーロールが可能となり、製造工程を格段に短縮し得る。詳細については後述する。位相差フィルムは、液晶化合物から形成される層以外に、後述の基材、支持基材、配向膜、接着剤層等を含んでいてもよい。
上記液晶化合物は、好ましくは、その液晶相がネマチック相である(ネマチック液晶)。
液晶化合物の液晶性の発現機構は、リオトロピックであってもよいし、サーモトロピックであってもよい。液晶化合物の配向状態は、好ましくは、ホモジニアス配向である。液晶化合物としては、例えば、液晶ポリマーや液晶モノマーが使用可能である。液晶ポリマーおよび液晶モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
上記液晶化合物からなる層は、好ましくは、液晶化合物が硬化した層である。具体的には、液晶化合物が液晶性モノマーである場合、液晶化合物は、重合性モノマー(重合性液晶化合物)および/または架橋性モノマー(架橋性液晶化合物)であることが好ましい。液晶性モノマーを重合または架橋させることで、液晶性モノマーの配向状態を固定できるためである。液晶性モノマーを配向させた後に、例えば、液晶性モノマー同士を重合または架橋させれば、それによって上記配向状態を固定することができる。ここで、重合によりポリマーが形成され、架橋により3次元網目構造が形成されることとなるが、これらは非液晶性である。すなわち、重合後または架橋後において、液晶性は必要とされない。したがって、形成された位相差層は、例えば、液晶性化合物に特有の温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が起きることはない。その結果、位相差フィルムは、温度変化に影響されない、極めて安定性に優れた層となり得る。
重合性液晶化合物を重合させることにより形成される層が面内位相差を発現するためには、重合性液晶化合物が適した方向に配向した状態で重合すればよい。重合性液晶化合物が棒状の場合は、該重合性液晶化合物の光軸を基材平面に対して水平に配向させることで面内位相差が発現する。この場合、光軸方向と遅相軸方向とは一致する。重合性液晶化合物が円盤状の場合は、該重合性液晶化合物の光軸を基材平面に対して水平に配向させることで面内位相差が発現する。この場合、光軸と遅相軸とは直交する。重合性液晶化合物の配向状態は、配向膜と重合性液晶化合物との組み合わせにより調整することができる。
本発明では、位相差フィルムが以下に述べる重合性液晶化合物が硬化した層を含むことで、式(α)及び式(β)で表される光学特性を有する位相差フィルムを得ることができる。位相差フィルムがこのような光学特性を発現するために、位相差フィルムは、2種類以上の位相差層を有していてもよい。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (α)
1.00≦Re(650)/Re(550) (β)
<重合性液晶化合物>
重合性液晶化合物とは、重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物である。重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。重合性液晶化合物が有する液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック液晶でも良く、サーモトロピック液晶を秩序度で分類すると、ネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。
例えば、重合性液晶化合物は、位相差フィルムが好ましい光学特性を発現できることから、下記の式(1)で表される化合物(以下「化合物(1)」という場合がある)であることが好ましい。
−F−(B−A−E−G−D−Ar−D−G−E−(A−B−F−P (1)
[式(1)中、Arは芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する2価の基を表し、Ar基中の芳香環に含まれるπ電子の数Nπは、12以上である。
及びDは、それぞれ独立に、*−O−CO−(*は、Arに結合する位置を表す)、*−C(=S)−O−、*−O−C(=S)−、−CR−、−CR−CR−、*−O−CR−、*−CR−O−、−CR−O−CR−、*−CR−O−CO−、*−O−CO−CR−、*−CR−O−CO−R−、*−CR−CO−O−CR−、*−NR−CR−、*−CR−NR−、*−CO−NR−、又は*−NR−CO−を表す。R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基を表す。該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子の一部は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、−O−、−S−又は−NH−に置換されていてもよい。
、E、B及びBは、それぞれ独立に、−CR−、−CH−CH−、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−O−C(=S)−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CH−、−CH−O−、−S−CH−、−CH−S−又は単結合を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
及びAは、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子の一部は、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよい。該炭素数1〜4のアルキル基及び該炭素数1〜4アルコキシ基に含まれる水素原子の一部は、フッ素原子に置換されていてもよい。
k及びlは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。
及びFは、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基に含まれる水素原子の一部は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよく、該アルキレン基に含まれるメチレン基の一部は、−O−又は−CO−に置換されていてもよい。
及びPは、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基(ただし、P及びPのうち少なくとも1つは、重合性基を表す)を表す。]
化合物(1)は、式(2)及び式(3)で表される要件を充足することが好ましい。
(Nπ−4)/3<k+l+4 (2)
12≦Nπ≦22 (3)
[式(2)及び式(3)中、Nπ、k及びlは上記と同じ意味を表す。]
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスロリン環等が挙げられ、芳香族複素環としては、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。なかでも、ベンゼン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
Arは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する2価の基であって、該2価の基中に含まれる芳香環のπ電子の合計数Nπは、12以上であり、好ましくは12以上、22以下であり、より好ましくは、13以上、22以下である。
Arは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも二つの芳香環を有する2価の基であることが好ましい。
式(1)中、Arが式(Ar−1)〜式(Ar−13)で表されるいずれかの2価の基であることが好ましい。
Figure 2020098317
[式(Ar−1)〜式(Ar−13)中、Zは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基または炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
及びQは、それぞれ独立に、−CR−、−S−、−NR−、−CO−又は−O−を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
、Y及びYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
及びWは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、メチル基又はハロゲン原子を表す。
mは、0〜6の整数を表す。
nは、0〜2の整数を表す。]
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、ヘキシル基スルフィニル等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルスルフィニル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキルスルフィニル基がより好ましく、メチルスルフィニル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキルスルホニル基がより好ましく、メチルスルホニル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられ、炭素数1〜4のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のフルオロアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
炭素数1〜6のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルキルチオ基が好ましく、炭素数1〜2のアルキルチオ基がより好ましく、メチルチオ基が特に好ましい。
炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−イソブチルアミノ基、N−sec−ブチルアミノ基、N−tert−ブチルアミノ基、N−ペンチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基等が挙げられ、炭素数1〜4のN−アルキルアミノ基が好ましく、炭素数1〜2のN−アルキルアミノ基がより好ましく、N−メチルアミノ基が特に好ましい。
炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基としては、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N,N−ジイソブチルアミノ基、N,N−ジペンチルアミノ基、N,N−ジヘキシルアミノ基等が挙げられ、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルアミノ基が好ましく、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルアミノ基がより好ましく、N,N−ジメチルアミノ基が特に好ましい。
炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基としては、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−イソプロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−イソブチルスルファモイル基、N−sec−ブチルスルファモイル基、N−tert−ブチルスルファモイル基、N−ペンチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基等が挙げられ、炭素数1〜4のN−アルキルスルファモイル基が好ましく、炭素数1〜2のN−アルキルスルファモイル基がより好ましく、N−メチルスルファモイル基が特に好ましい。
炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−メチル−N−エチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N,N−ジイソプロピルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジイソブチルスルファモイル基、N,N−ジペンチルスルファモイル基、N,N−ジヘキシルスルファモイル基等が挙げられ、炭素数2〜8のN,N−ジアルキルスルファモイル基が好ましく、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルスルファモイル基がより好ましく、N,N−ジメチルスルファモイル基が特に好ましい。
は、ハロゲン原子、メチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、メチルスルホニル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、メチルチオ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−メチルスルファモイル基またはN,N−ジメチルスルファモイル基であることが好ましい。
およびRにおける炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
は、−S−、−CO−、−NH−、−N(CH)−であることが好ましく、Qは、−S−、−CO−であることが好ましい。
、YおよびYにおける芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。芳香族複素環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも一つ含み、炭素数4〜20の芳香族複素環基が挙げられ、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基が好ましい。
かかる芳香族炭化水素基および芳香族複素環基は、少なくとも一つの置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基等が挙げられ、ハロゲン原子、炭素数1〜2のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜2のアルキルスルホニル基、炭素数1〜2のフルオロアルキル基、炭素数1〜2のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキルチオ基、炭素数1〜2のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜4のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜2のアルキルスルファモイル基が好ましい。
ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基および炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基としては、前記したものと同様のものが挙げられる。
、Y及びYが、それぞれ独立に、式(Y−1)〜式(Y−6)で表されるいずれかの基であることが好ましい。
Figure 2020098317
[式(Y−1)〜式(Y−6)中、Zは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のチオアルキル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基または炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基を表す。
は、0〜5の整数、aは、0〜4の整数、bは、0〜3の整数、bは、0〜2の整数、Rは、水素原子又はメチル基を表す。]
としては、ハロゲン原子、メチル基、シアノ基、ニトロ基、スルホン基、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、チオメチル基、N,N−ジメチルアミノ基又はN−メチルアミノ基が好ましい。
さらにY、Y及びYが、それぞれ独立に、式(Y−1)又は式(Y−3)で表される基であることが、化合物(1)の製造工程やコストの点で特に好ましい。
及びWが、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基又はメチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
mは0または1であることが好ましい。nは0であることが好ましい。
式(1)中、Arが、式(Ar−6a)、式(Ar−6b)、式(Ar−6c)、式(Ar−10a)又は(Ar−10b)で表される2価の基であることがより好ましい。
Figure 2020098317
[式(Ar−6a)〜式(Ar−6c)、式(Ar−10a)及び式(Ar−10b)中、Z,n,Q,Z,a及びbは、上記と同じ意味を表す。]
Arの例を式(ar−1)〜式(ar−189)に示す。
式(Ar−1)〜式(Ar−4)で表される基の具体例として、式(ar−1)〜式(ar−29)で表される基が挙げられる。
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
式(Ar−5)で表される基の具体例として、式(ar−30)〜式(ar−39)で表される基が挙げられる。
Figure 2020098317
Figure 2020098317
式(Ar−6)又は式(Ar−7)で表される基の具体例として、式(ar−40)〜式(ar−119)で表される基が挙げられる。
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
式(Ar−8)又は式(Ar−9)で表される基の具体例として、式(ar−120)〜式(ar−129)で表される基が挙げられる。
Figure 2020098317
Figure 2020098317
式(Ar−10)で表される基の具体例として、式(ar−130)〜式(ar−149)で表される基が挙げられる。
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
式(Ar−11)で示される基の具体例としては、式(ar−150)〜式(ar−159)で示される基が挙げられる。
Figure 2020098317
Figure 2020098317
式(Ar−12)で表される基の具体例として、式(ar−160)〜式(ar−179)で表される基が挙げられる。
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
式(Ar−13)で示される基の具体例としては、式(ar−180)〜式(ar−189)で示される基が挙げられる。
Figure 2020098317
Figure 2020098317
およびDが、*−O−CO−、*−O−C(=S)−、*−O−CR−、*−NR−CR−または*−NR−CO−(*はArとの結合部位を表わす。
)であることが好ましい。DおよびDが、*−O−CO−、*−O−C(=S)−または*−NR−CO−(*はArとの結合部位を表わす。)であることがより好ましい。R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基またはエチル基であることがより好ましい。
及びGとしては、式(g−1)〜式(g−10)で示されるヘテロ原子を含んでもよい脂環式炭化水素基が挙げられ、5員環又は6員環の脂環式炭化水素基であることが好ましい。
Figure 2020098317
上記式(g−1)〜(g−10)で示される基に含まれる水素原子の一部は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜4のフルオロアルキル基;トリフルオロメトキシ基等の炭素数1〜4のフルオロアルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びGとしては、式(g−1)で表される6員環からなる脂環式炭化水素基であることが好ましく、1,4−シクロヘキシレン基であることがさらに好ましく、trans−1,4−シクロへキシレン基であることが特に好ましい。
及びAにおける2価の脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基としては、上記式(g−1)〜式(g−10)で表される5員環又は6員環などからなる脂環式炭化水素基や、式(a−1)〜式(a−8)で表される炭素数6〜20程度の2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
Figure 2020098317
なお、A及びAとして、前記例示された基の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、i−プロピル基又はt−ブチル基などの炭素数1〜4程度のアルキル基;メトキシ基又はエトキシ基などの炭素数1〜4程度のアルコキシ基;トリフルオロメチル基;トリフルオロメチルオキシ基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子又は臭素原子などのハロゲン原子に置換されていてもよい。
及びAとしては、特に、いずれも同種類の基であると、化合物(1)の製造が容易であることから好ましい。またA及びAとしては、単環の1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基であると好ましく、化合物(1)の製造が容易なことから、特に1,4−フェニレン基が好ましい。
及びBは、同じ種類の2価の基であると、化合物(1)の製造が容易なことから好ましい。さらに化合物(1)の製造がより容易なことから、B及びBのうち、A及びAのみと結合しているB及びBが、それぞれ独立に、−CH−CH−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−O−CH−、−CH−O−又は単結合であることが好ましく、特に高い液晶性を示すことから、−CO−O−又は−O−CO−が好ましい。B及びBのうち、E又はEと結合しているB及びBが、それぞれ独立に、−O−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−又は単結合であることがより好ましい。
k及びlは、液晶性の観点から、それぞれ独立に、0〜3の整数を表すことが好ましく、k及びlは0〜2であることがより好ましい。k及びlの合計は、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。
及びPは、それぞれ独立に、水素原子又は重合性基(ただし、P及びPのうち少なくとも1つは、重合性基を表す)を表す。P及びPが両方とも重合性基であると、得られる位相差フィルムの膜硬度が優れる傾向があることから好ましい。重合性基とは、本発明の化合物(1)を重合させることのできる置換基であり、具体的には、ビニル基、p−スチルベン基、アクリロイル基、メタクロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基、カルボキシル基、メチルカルボニル基、水酸基、アミド基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、アルデヒド基、イソシアネート基又はチオイソシアネート基などが例示される。また重合性基には、上記例示の基とE及びEを結合するために、B及びBとして示される基が含まれていてもよい。たとえば光重合させるのに適した、ラジカル重合性、カチオン重合性基が好ましく、特に取り扱いが容易な上、製造も容易であることからアクリロイル基又はメタクロイル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。P及びPがいずれも重合性基であると、得られる位相差フィルムの膜硬度が優れる傾向があることからより好ましい。
−D−G−E−(A−B−F−P、−D−G−E−(A−B−F−Pの具体的例としては、式(R−1)〜式(R−134)で表される基が挙げられる。*(アスタリスク)は、Arとの結合位置を示す。また式(R−1)〜式(R−134)におけるnは2〜12の整数を表す。
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
さらに化合物(1)としては、化合物(i)〜化合物(xxxiv)が挙げられる。表中のR1は、−D−G−E−(A−B−F−Pを、R2は、−D−G−E−(A−B−F−Pを表す。
Figure 2020098317
なお、化合物(xxx)および化合物(xxxi)においては、式(1−A)で示される基および式(1−B)で示される基のうちのいずれか一方は、(R−57)〜(R−120)のいずれかである。
上記表1中、化合物(xvii)は、Arで示される基が式(ar−78)で示される基である化合物、Arで示される基が式(ar−79)で示される基である化合物またはArで示される基が式(ar−78)で示される基である化合物と式(ar−79)で示される基である化合物との混合物のいずれかであることを意味する。
上記表2中、化合物(xxx)は、Arで示される基が式(ar−120)で示される基である化合物、Arで示される基が式(ar−121)で示される基である化合物またはArで示される基が式(ar−120)で示される基である化合物と式(ar−121)で示される基である化合物との混合物のいずれかであることを意味し、化合物(xxxi)は、Arで示される基が式(ar−122)で示される基である化合物、Arで示される基が式(ar−123)で示される基である化合物またはArで示される基が式(ar−122)で示される基である化合物と式(ar−123)で示される基である化合物との混合物のいずれかであることを意味する。
さらに表1の化合物(i)、化合物(ii)、化合物(iv)、化合物(v)、化合物(vi)、化合物(ix)、化合物(x)、化合物(xi)、化合物(xvi)、化合物(xviii)、化合物(xix)、化合物(xx)、化合物(xxi)、化合物(xxiii)、化合物(xxiv)、化合物(xxv)、化合物(xxvi)、化合物(xxvii)、、化合物(xxviii)、及び、化合物(xxix)の代表的な構造式を式(ii−1)、式(iv−1)、式(v−1)、式(v−2)、式(v−3)、式(v−4)、式(v−5)、式(vi−1)、式(ix−1)、式(x−1)、式(xi−1)、式(xvi−1)、式(xix−1)、式(xx−1)、式(xxi−1)、式(xxiii−1)、式(xxiv−1)、式(xxv−1)、式(xxvi−1)、式(xxvii−1)、式(xxviii−1)、式(xxix−1)、式(xxxii−1)、及び、式(xxxiv−1)に例示する。位相差フィルムにおいては、異なる複数の種類の化合物(1)を用いてもよい。
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
化合物(1)として、さらに、例えば以下のものが例示される。ただし、式中n1及びn2は、それぞれ独立に2〜12の整数を示す。
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
化合物(1)は、Methoden der Organischen Chemie、Organic Reactions、Organic Syntheses、Comprehensive Organic Synthesis、新実験化学講座等に記載されている公知の有機合成反応(例えば、縮合反応、エステル化反応、ウイリアムソン反応、ウルマン反応、ウイッティヒ反応、シッフ塩基生成反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木−宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト−ハートウィッグ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応、アルドール反応など)を、その構造に応じて、適宜組み合わせることにより、製造することができる。
液晶化合物として、異なる複数の化合物を併用してもよい。化合物(1)と併用してもよい液晶化合物(以下、その他の液晶化合物ということがある。)としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の3章 分子構造と液晶性の、3.2 ノンキラル棒状液晶分子、3.3 キラル棒状液晶分子に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物が挙げられる。ただし、その他の液晶化合物は、化合物(1)とは構造が異なるものである。
その他の液晶化合物としては、例えば、式(4)で表される化合物(以下「化合物(4)」という場合がある)等を使用してもよい。
11−E11−(B11−A11−B12−G (4)
[式(4)中、A11は、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基又は複素環基を表し、該芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び複素環基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ニトロ基、ニトリル基又はメルカプト基に置換されていてもよい。
11及びB12は、それぞれ独立に、−CR1415−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR14−、−NR14−C(=O)−、−OCH−、−OCF−、−NR14−、−CHO−、−CFO−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。R14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R14及びR15が連結して炭素数4〜7のアルキレン基を構成してもよい。
11は、炭素数1〜12のアルキレン基を表す。該アルキレン基に含まれる水素原子の一部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよい。
11は、重合性基を表す。
Gは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、炭素数1〜13のフルオロアルキル基、炭素数1〜13のアルキルアミノ基、ニトリル基、ニトロ基であるか、炭素数1〜12のアルキレン基を介して結合する重合性基を表し、該アルキレン基に含まれる水素原子の一部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよい。
tは、1〜5の整数を表す。]
特に、P11及びGにおける重合性基としては、化合物(1)と重合することができる基であればよく、ビニル基、ビニルオキシ基、p−スチルベン基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクロイル基、メタクロイルオキシ基、カルボキシル基、アセチル基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、ホルミル基、−N=C=Oまたは−N=C=S等が挙げられる。なかでも、光重合に適するという点で、ラジカル重合性基またはカチオン重合性基が好ましく、取り扱いが容易で、液晶化合物の製造も容易であるという点で、アクリロイルオキシ基、メタクロイルオキシ基またはビニルオキシ基が好ましい。
また、A11の芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び複素環基の炭素数は、それぞれ、例えば3〜18であり、5〜12であることが好ましく、5又は6であることが特に好ましい。
化合物(4)としては、例えば、式(4−1)及び式(4−2)で表される化合物が挙げられる。
11−E11−(B11−A11)t−B12−E12−P12 (4−1) P11−E11−(B11−A11)t−B12−F11 (4−2)
[式(4−1)及び式(4−2)中、P11、E11、B11、A11、B12は上記と同義である。
11は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、炭素数1〜13のフルオロアルキル基、炭素数1〜13のアルキルアミノ基、ニトリル基、ニトロ基を表す。
12は、E11と同義である。
12は、P11と同義である。
及びtはtと同義である。]
さらに、これら式(4−1)及び(4−2)で表される化合物として、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)又は式(V)で表される化合物を含む。
11−E11−B11−A11−B12−A12−B13−A13−B14−A14−B15−A15−B16−E12−P12 (I)
11−E11−B11−A11−B12−A12−B13−A13−B14−A14−B15−E12−P12 (II)
11−E11−B11−A11−B12−A12−B13−A13−B14−E12−P12 (III)
11−E11−B11−A11−B12−A12−B13−A13−B14−F11 (IV)
11−E11−B11−A11−B12−A12−B13−F11 (V)
[式(I)〜式(V)中、A12〜A15は、A11と同義であり、B13〜B16は、B11と同義である]。
なお、式(4−1)、式(4−2)、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)及び式(V)で表される化合物においては、P11とE11との組み合わせを適宜選択することにより、さらにP12とE12との組み合わせを適宜選択することにより、両者がエーテル結合又はエステル結合を介して結合されていることが好ましい。
化合物(4)の具体例としては、たとえば以下の式(I−1)〜式(I−5)、式(II−1)〜式(II−6)、式(III−1)〜式(III−19)、式(IV−1)〜式(IV−14)、式(V−1)〜式(V−5)で表される化合物などが挙げられる。ただし、式中kは、1〜11の整数を表す。これらの液晶化合物であれば、合成が容易であり、市販されているなど、入手が容易であることから好ましい。
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
Figure 2020098317
その他の液晶化合物の使用量は、たとえばその他の液晶化合物と化合物(1)との合計100重量部に対して、90重量部以下である。
位相差フィルムは、化合物(1)を含む組成物から形成することができる。位相差フィルムを形成する組成物は、さらに重合開始剤を含有する組成物であることが好ましい。重合開始剤は、光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、たとえばベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩等が挙げられ、より具体的には、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369(以上、全てチバ・ジャパン株式会社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学株式会社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬株式会社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152又はアデカオプトマーSP−170(以上、全て株式会社ADEKA製)などを挙げることができる。
また重合開始剤の使用量は、たとえばその他の液晶化合物と化合物(1)との合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、液晶の配向性を乱すことなく、化合物(1)を重合させることができる。
位相差フィルムの波長分散特性は、化合物(1)に由来する構造単位の含有量によって、任意に決定することができる。位相差フィルムにおける構造単位の中で化合物(1)に由来する構造単位の含有量を増加させると、得られる位相差フィルムは、よりフラットな波長分散特性、さらには式(α)および式(β)を満たす逆波長分散特性を示すようになる。
具体的には、その他の液晶化合物と化合物(1)とを含む組成物について、化合物(1)に由来する構造単位の含有量が異なる組成物を2〜5種類程度調製し、それぞれの組成物について後述するように、同じ膜厚の位相差フィルムを製造して得られる位相差フィルムの位相差値を求め、その結果から、化合物(1)に由来する構造単位の含有量と位相差フィルムの位相差値との相関を求め、得られた相関関係から、上記膜厚における位相差フィルムに所望の位相差値を与えるために必要な化合物(1)に由来する構造単位の含有量を決定すればよい。
上記位相差フィルムの厚みは、λ/4板として最も適切に機能し得るように設定され得る。言い換えれば、厚みは、所望の光学特性が得られるように設定され得る。位相差層の厚みは、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは0.5〜8μm、特に好ましくは0.5〜5μmである。
(位相差フィルムの製造方法)
位相差フィルムの製造方法について、以下に説明する。
まず、化合物(1)に、必要に応じて、有機溶剤、上述したその他の液晶化合物、上述した重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤又はレベリング剤などの添加剤を加えて、組成物を調製する。特に成膜時に成膜が容易となることから、組成物は有機溶剤を含むことが好ましく、得られた光学フィルムを硬化する働きをもつことから重合開始剤を含むことが好ましい。
〔重合禁止剤〕
位相差フィルムを形成する組成物は、重合禁止剤を含むことができる。重合禁止剤としては、たとえばハイドロキノン又はアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類、ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類、ピロガロール類、2,2、6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール類、β−ナフチルアミン類或いはβ−ナフトール類等を挙げることができる。
重合禁止剤を用いることにより、その他の液晶化合物や化合物(1)の重合を制御することができ、得られる位相差層の安定性を向上させることができる。また重合禁止剤の使用量は、たとえばその他の液晶化合物と化合物(1)との合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、液晶の配向性を乱すことなく、化合物(1)を重合させることができる。
〔光増感剤〕
位相差フィルムを形成する組成物は、光増感剤を含むことができる。光増感剤としては、たとえばキサントン又はチオキサントン等のキサントン類、アントラセン又はアルキルエーテルなどの置換基を有するアントラセン類、フェノチアジン或いはルブレンを挙げることができる。
光増感剤を用いることにより、その他の液晶化合物や化合物(1)が高感度に重合することができる。また光増感剤の使用量としては、その他の液晶化合物と化合物(1)との合計100重量部に対して、たとえば0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、液晶の配向性を乱すことなく、化合物(1)を重合させることができる。
〔レベリング剤〕
位相差フィルムを形成する組成物は、レベリング剤を含むことができる。レベリング剤としては、たとえば放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352,BYK−353,BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング株式会社製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、塗料添加剤(信越化学工業株式会社製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)又はフッ素系添加剤(大日本インキ化学工業株式会社製:F−445、F−470、F−479)などを挙げることができる。
レベリング剤を用いることにより、位相差フィルムを平滑化することができる。さらに位相差フィルムの製造過程で、組成物の流動性を制御したり、その他の液晶化合物や化合物(1)を重合して得られる位相差フィルムの架橋密度を調整したりすることができる。
またレベリング剤の使用量の具体的な数値は、たとえばその他の液晶化合物と化合物(1)との合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。上記範囲内であれば、液晶の配向性を乱すことなく、化合物(1)を重合させることができる。
〔有機溶剤〕
位相差フィルムを形成する組成物は、有機溶剤を含むことができる。有機溶剤としては、化合物(1)及びその他の液晶化合物などを溶解し得る有機溶剤であり、重合反応に不活性な溶剤であればよい。有機溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ又はブチルセロソルブなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマーブチロラクトン又はプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン又はメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレン又はクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、乳酸エチル、クロロホルム、フェノールなどが挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
位相差フィルムを形成する組成物の粘度は、塗布しやすいように、たとえば10Pa・s以下、好ましくは0.1〜7Pa・s程度に調整されることが好ましい。
また組成物における固形分の濃度は、たとえば5〜50重量%である。固形分の濃度が50%以下であると、組成物の粘度が低いことから、位相差フィルムの膜厚が均一になりやすくなる傾向があることから好ましい。
続いて支持基材に、配向膜を形成し、配向膜上に組成物を塗布し、乾燥、重合させて、支持基材上に目的の位相差層を得ることができる。重合は、活性エネルギー線の照射または加熱により行うことができる。支持基材および配向膜は、剥離することができる。
かくして得られた位相差フィルムは、透明性に優れ、様々な画像表示装置用フィルムとして使用される。形成される層の厚みは、上記のとおり、得られる位相差フィルムの位相差値によって、異なるものである。
<第2の位相差フィルム>
本発明で用いる位相差フィルムとしては、前記の位相差フィルムに第2の位相差フィルムを積層一体化したものを用いることが好ましい。第2の位相差フィルムとしては、屈折率特性がnz>nx≧nyの関係を示すものが好ましい。このような屈折率特性を有する第2の位相差フィルムを備えることで、例えば、反射防止偏光板として使用した場合に、反射光を吸収する効果の角度依存性が低減し、様々な角度で反射した反射光に対して、その出射を防止することができるため、好ましい。
1つの実施形態においては、前記第2の位相差フィルムは、その屈折率がnx=nyの関係を示す。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。具体的には、Re(550)が10nm未満であることが好ましい。
前記第2の位相差フィルムの厚み方向の位相差Rth(550)は、−260nm〜−10nmが好ましく、−230nm〜−15nmがより好ましく、−215nm〜−20nmがさらに好ましい。このような範囲であることで、上記効果が顕著となるため、好ましい。
前記第2の位相差フィルムは、任意の適切な材料で形成することができ、特に限定されるものではないが、液晶化合物がホメオトロピック配向に固定された位相差層であることが好ましい。ホメオトロピック配向させることができる液晶化合物は、液晶モノマーであっても液晶ポリマーであってもよい。当該液晶化合物及び当該液晶層の形成方法の具体例としては、例えば、特開2002−333642号公報の[0020]〜[0042]に記載の液晶化合物及び形成方法が挙げられる。この場合、厚みは、0.1μm〜5μmが好ましく、0.2μm〜3μmがより好ましい。
第2の位相差フィルムが積層された位相差フィルムの波長590nmにおける面内の位相差値Re(590)も90〜190nmであり、好ましくは110〜170nm、さらに好ましくは120〜160nmである。
前述の位相差フィルムと第2の位相差フィルムとを積層一体化するには、任意の接着剤層又は粘着剤層を使用することができる。接着剤層又は粘着剤層は、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性等に優れているため、好ましい。接着剤としては、水系、溶剤系、ホットメルト系、活性エネルギー線硬化型等の各種形態のものが
用いられるが、水系接着剤又は活性エネルギー線硬化型接着剤が好適である。また、公知のいかなる接着剤層又は粘着剤層も使用することができる。
<粘接着剤層>
本発明で使用する粘接着剤層は、温度40℃、相対湿度92%R.H.における透湿度が、100g/(m・day)以下であればよく、その組成は特に限定されるものではない。ここで、「粘接着剤層」とは、接着剤層又は粘着剤層のことをいう。
前記粘接着剤層の透湿度は、100g/(m・day)以下であり、50g/(m・day)以下であることが好ましく、30g/(m・day)以下であることがより好ましく、20g/(m・day)以下であることがさらに好ましい。また、透湿度の下限値は特に限定されるものではないが、理想的には、水蒸気を全く透過させないこと(すなわち、0g/(m・day))が好ましい。粘接着剤層の透湿度が前記範囲であれば、偏光板から位相差フィルムへの水分の移行を抑制することができ、高温環境下での熱と水分とによる位相差フィルムの劣化を抑制することができるため好ましい。前記透湿度は、粘接着剤層の厚みが50μmである場合における温度40℃、相対湿度92%R.H.条件下での水蒸気透過率(透湿度)であって、その測定方法は実施例に記載の方法に従うことができる。
<接着剤層>
接着剤層としては、温度40℃、相対湿度92%R.H.における透湿度が、100g/(m・day)以下であればよい。接着剤層を形成する接着剤の組成は特に限定されるものではなく、任意の適切な接着剤からなる層を採用し得る。このような接着剤としては、例えば、天然ゴム接着剤、α−オレフィン系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エチレン−酢酸ビニル樹脂エマルション接着剤、エチレン−酢酸ビニル樹脂系ホットメルト接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂溶剤系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、スチレン−ブタジエンゴム溶剤系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ニトロセルロース系接着剤、反応性ホットメルト接着剤、フェノール樹脂系接着剤、変性シリコーン系接着剤、ポリエステル系ホットメルト接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤、ポリオレフィン樹脂ホットメルト接着剤、ポリ酢酸ビニル樹脂溶剤系接着剤、ポリスチレン樹脂溶剤系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルピロリドン樹脂系接着剤、ポリビニルブチラール系接着剤、ポリベンズイミダゾール接着剤、ポリメタクリレート樹脂溶剤系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、レゾルシノール系接着剤等が挙げられる。このような接着剤は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
接着剤としては、接着形態で分類すると、例えば、熱硬化型接着剤、ホットメルト接着剤等が挙げられる。このような接着剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
熱硬化型接着剤は、加熱により熱硬化して固化することにより接着力を発現する。熱硬化型接着剤としては、例えば、エポキシ系熱硬化型接着剤、ウレタン系熱硬化型接着剤、アクリル系熱硬化型接着剤等が挙げられる。熱硬化型接着剤の硬化温度は、例えば、100〜200℃である。
ホットメルト接着剤は、加熱により溶融又は軟化して、被着体に熱融着し、その後の冷却によって、固化することにより、被着体に接着する。ホットメルト接着剤としては、例えば、ゴム系ホットメルト接着剤、ポリエステル系ホットメルト接着剤、ポリオレフィン系ホットメルト接着剤、エチレン−酢酸ビニル樹脂系ホットメルト接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤、ポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤の軟化温度(環球法)は、例えば、100〜200℃である。また、ホットメルト接着剤の溶融粘度は、180℃で、例えば、100〜30000mPa・sである。
接着剤層の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、0.01〜10μm程度であることが好ましく、0.05〜8μm程度であることがより好ましい。
<粘着剤層>
粘着剤層としては、温度40℃、相対湿度92%R.H.における透湿度が、100g/(m・day)以下であればよい。粘着剤層を形成する粘着剤の組成は特に限定されるものではなく、任意の適切な粘着剤からなる層を採用し得る。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤等を挙げることができるが、これらの中でも、透湿度の観点から、ゴム系粘着剤やポリオレフィン系粘着剤であることが好ましい。
ゴム系粘着剤としては、ゴム系ポリマーを含むものであればよく、その組成は特に限定されるものではない。
本発明で用いるゴム系ポリマーは、室温付近の温度域においてゴム弾性を示すポリマーである。具体的には、スチレン系熱可塑性エラストマー、イソブチレン系ポリマー等を挙げることができることができるが、本発明においては、耐候性の観点から、イソブチレンの単独重合体であるポリイソブチレン(PIB)を用いることが好ましい。これは、ポリイソブチレンは、主鎖の中に二重結合を含まないため、耐光性が優れるものである。
前記ポリイソブチレンとしては、例えば、BASF社製のOPPANOL等の市販品を用いることができる。
前記ポリイソブチレンの重量平均分子量(Mw)は、10万以上であることが好ましく、30万以上であることがより好ましく、60万以上であることがさらに好ましく、70万以上であることが特に好ましい。また、重量平均分子量の上限値は特に限定されるものではないが、500万以下が好ましく、300万以下がより好ましく、200万以下がさらに好ましい。前記ポリイソブチレンの重量平均分子量を10万以上とすることで高温保管時の耐久性がより優れるゴム系粘着剤組成物とすることができる。
前記ポリイソブチレンの含有量は、特に限定されるものではないが、ゴム系粘着剤組成物の全固形分中、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましく、85重量%以上であることがさらに好ましく、90重量%以上であることが特に好ましい。ポリイソブチレンの含有量の上限は特に限定されるものではなく、99重量%以下であることが好ましく、98重量%以下であることがより好ましい。ポリイソブチレンを前記範囲で含むことで、低透湿性に優れるため好ましい。
また、本発明で使用するゴム系粘着剤においては、前記ポリイソブチレン以外のポリマーやエラストマー等を含むこともできる。具体的には、イソブチレンとノルマルブチレンとの共重合体、イソブチレンとイソプレンとの共重合体(例えば、レギュラーブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、部分架橋ブチルゴム等のブチルゴム類)、これらの加硫物や変性物(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基で変性したもの)等のイソブチレン系ポリマー;スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS、SISの水添物)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水添物)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のスチレン系ブロックコポリマー等のスチレン系熱可塑性エラストマー;ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、EPR(二元系エチレン−プロピレンゴム)、EPT(三元系エチレン−プロピレンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリプロピレンとEPT(三元系エチレン−プロピレンゴム)とのポリマーブレンド等のブレンド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができるが、前記ポリイソブチレン100重量部に対して10重量部程度以下であることが好ましく、耐久性の観点からは、含まないことが好ましい。
また、本発明で使用するゴム系粘着剤は、前記ポリイソブチレンと水素引抜型光重合開始剤を含むことが特に好ましい。
前記水素引抜型光重合開始剤とは、活性エネルギー線を照射することで、開始剤自身は開裂することなく、前記ポリイソブチレンより水素を引き抜き、ポリイソブチレンに反応点を作ることができるものである。当該反応点形成により、ポリイソブチレンの架橋反応を開始することができるものである。
光重合開始剤としては、本発明で用いる水素引抜型光重合開始剤の他に、活性エネルギー線の照射により、光重合開始剤自身が開裂分解してラジカルを発生させる開裂型光重合開始剤も知られている。しかしながら、本発明で用いるポリイソブチレンに、開裂型光重合開始剤を用いると、ラジカルが発生した光重合開始剤によりポリイソブチレンの主鎖が切断されてしまい、架橋することができないものである。本発明においては、水素引抜型光重合開始剤を用いることで、前述の通りポリイソブチレンの架橋をすることができるものである。
水素引抜型光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジクロルベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等;アセトナフトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の芳香族ケトン化合物;テレフタルアルデヒド等の芳香族アルデヒド、メチルアントラキノン等のキノン系芳香族化合物が挙げられる。これらは1種単独で、又は、2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、反応性の点から、ベンゾフェノン系化合物が好ましく、ベンゾフェノンがより好ましい。
前記水素引抜型光重合開始剤の含有量は、前記ポリイソブチレン100重量部に対して、0.001〜10重量部であることが好ましく、0.005〜10重量部であることがより好ましく、0.01〜10重量部であることがさらに好ましい。水素引抜型光重合開始剤を前記範囲で含むことで、架橋反応を目的の密度まで進行させることができるため好ましい。
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、開裂型光重合開始剤を前記水素引抜型光重合開始剤と伴に用いてもよいが、前述の理由により用いないことが好ましい。
本発明で使用するゴム系粘着剤は、さらに多官能ラジカル重合性化合物を含むことができる。本発明において、多官能ラジカル重合性化合物はポリイソブチレンの架橋剤として機能するものである。
前記多官能ラジカル重合性化合物は、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有するラジカル重合性の官能基を少なくも2つ有する化合物である。多官能ラジカル重合性化合物の具体的としては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等を挙げることができる。これらを1種単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。これらの中でも、ポリイソブチレンに対する相溶性の観点から、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物が好ましく、(メタ)アクリロイル基を2つ有する2官能(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する3官能(メタ)アクリレートがより好ましく、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記多官能ラジカル重合性化合物の含有量は、前記ポリイソブチレン100重量部に対して20重量部以下であることが好ましく、15重量以下であることがより好ましく、10重量部以下であることがさらに好ましい。また、多官能ラジカル重合性化合物の含有量の下限値は特に限定されるものではないが、例えば、前記ポリイソブチレン100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましく、1重量部以上であることがさらに好ましい。多官能ラジカル重合性化合物の含有量が前記範囲にあることで、得られたゴム系粘着剤層の耐久性の観点から好ましい。
多官能ラジカル重合性化合物の分子量は、特に限定されないが、例えば、1000以下程度であることが好ましく、500以下程度であることがより好ましい。
本発明で使用するゴム系粘着剤は、テルペン骨格を含む粘着付与剤、ロジン骨格を含む粘着付与剤、及びこれらの水添物からなる群から選択される少なくとも1種の粘着付与剤を含むことができる。ゴム系粘着剤に粘着付与剤を含むことで、各種被着体に対して高い接着性を有し、かつ、高温環境下においても高い耐久性を有するゴム系粘着剤層を形成することができるため、好ましい。
前記テルペン骨格を含む粘着付与剤としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体等のテルペン重合体や、前記テルペン重合体を変性(フェノール変性、スチレン変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン樹脂等が挙げられる。上記変性テルペン樹脂の例には、テルペンフェノール樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂(水素化テルペン樹脂)等が含まれる。ここでいう水素添加テルペン樹脂の例には、テルペン重合体の水素化物及び他の変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂の水素添加物が含まれる。これらの中でも、ゴム系粘着剤への相溶性や粘着特性の観点から、テルペンフェノール樹脂の水素添加物が好ましい。
前記ロジン骨格を含む粘着付与剤としては、ロジン樹脂、重合ロジン樹脂、水添ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、ロジンフェノール樹脂等が挙げられ、具体的には、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン)や、これらを水添化、不均化、重合、その他の化学的に修飾された変性ロジン、これらの誘導体を使用することができる。
前記粘着付与剤としては、例えば、ヤスハラケミカル(株)製のクリアロンシリーズ、ポリスターシリーズ、荒川化学工業(株)製のスーパーエステルシリーズ、ペンセルシリーズ、パインクリスタルシリーズ等の市販品を使用することができる。
前記粘着付与剤が水素添加物である場合、水素添加は、部分的に水素添加されている部分水素添加物であってもよく、化合物中の全ての二重結合に水素添加がされている完全水素添加物であってもよい。本発明においては、粘着特性、耐候性や色相の観点から完全水素添加物であることが好ましい。
前記粘着付与剤が、シクロヘキサノール骨格を含むことが粘着特性の観点から好ましい。これは詳細な原理は不明であるが、フェノール骨格よりシクロヘキサノール骨格の方が、ベースポリマーであるポリイソブチレンとの相溶性のバランスがとれるためと考えられる。シクロヘキサノール骨格を含む粘着付与剤としては、例えば、テルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂等の水添物が好ましく、テルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂等の完全水素添加物がより好ましい。
前記粘着付与剤の軟化点(軟化温度)は、特に限定されないが、例えば、80℃以上程度であることが好ましく、100℃以上程度であることがより好ましい。粘着付与剤の軟化点が80℃以上であることで、高温においても粘着付与剤が軟化せずに粘着特性を保つことができるため好ましい。粘着付与剤の軟化点の上限値は、特に限定されないが、軟化点が高くなり過ぎると、分子量がより高くなり、相溶性が悪化し、白化等の不具合を生じてしまう場合があるため、例えば、200℃以下程度であることが好ましく、180℃以下程度であることが好ましい。なお、ここでいう粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K5902及びJIS K2207のいずれかに規定する軟化点試験方法(環球法)によって測定された値として定義される。
前記粘着付与剤の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではないが、5万以下であることが好ましく、3万以下であることが好ましく、1万以下であることがより好ましく、8000以下であることがさらに好ましく、5000以下であることが特に好ましい。また、前記粘着付与剤の重量平均分子量の下限値は特に限定されるものではないが、500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、2000以上であることがさらに好ましい。前記粘着付与剤の重量平均分子量が前記範囲にあることで、ポリイソブチレンとの相溶性が良く、白化等の不具合を生じないため好ましい。
前記粘着付与剤の添加量は、前記ポリイソブチレン100重量部に対して、40重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることがさらに好ましい。また、粘着付与剤の添加量の下限値は特に限定されるものではないが、0.1重量部以上であることが好ましく、1重量部以上であることがより好ましく、5重量部以上であることがさらに好ましい。粘着付与剤の使用量を前記範囲にすることで、粘着特性を向上できるため好ましい。また、粘着付与剤の使用量が前記範囲を超えて多量添加となると、粘着剤の凝集力が低下してしまう傾向があり、好ましくない。
また、本発明で使用するゴム系粘着剤には、前記テルペン骨格を含む粘着付与剤、ロジン骨格を含む粘着付与剤以外の粘着付与剤を添加することもできる。当該粘着付与剤としては、石油樹脂系粘着付与剤を挙げることできる。前記石油系粘着付与剤としては、例えば、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂(脂肪族環状石油樹脂)、脂肪族・芳香族系石油樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加石油樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等が挙げられる。
前記石油樹脂系粘着付与剤は、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができるが、例えば、前記ポリイソブチレン100重量部に対して、30重量部以下程度で用いることができる。
前記ゴム系粘着剤には、希釈剤として有機溶媒を添加することができる。希釈剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、n−ヘプタン、ジメチルエーテル等を挙げることができ、これらを1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、トルエンが好ましい。
希釈剤の添加量は、特に限定されるものではないが、ゴム系粘着剤中に50〜95重量%程度で添加することが好ましく、70〜90重量%程度であることがより好ましい。希釈剤の添加量が前記範囲であることにより、支持体等へ塗工性の観点から好ましい。
本発明で使用するゴム系粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の添加剤を添加することもできる。添加剤の具体例としては、軟化剤、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート、エポキシ化合物、アルキルエーテル化メラミン化合物等)、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。ゴム系粘着剤に添加される添加剤の種類、組み合わせ、添加量等は、目的に応じて適切に設定され得る。ゴム系粘着剤における前記添加剤の含有量(総量)は、30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明で用いるゴム系粘着剤層は、前記粘着剤から形成することができ、その製造方法は特に限定されないが、各種支持体等に粘着剤を塗布し、加熱乾燥や活性エネルギー線の照射等により、粘着剤層を形成することができる。
前記ゴム系粘着剤として、ポリイソブチレンを含む場合は、粘着剤に、活性エネルギー線を照射して、前記ポリイソブチレンを架橋することが好ましい。活性エネルギー線の照射は、通常、前記ゴム系粘着剤を各種支持体等に塗布し、得られた塗布層に照射される。
また、前記活性エネルギー線の照射は、塗布層に(他部材等を貼り合せることなく)直接照射してもよく、塗布層にセパレータ等の光学フィルムやガラス等の各種部材を貼り合せた後に照射してもよい。前記光学フィルムや各種部材に貼り合せた後に照射する場合は、当該光学フィルムや各種部材越しに活性エネルギー線を照射してもよく、当該光学フィルムや各種部材を剥離して、当該剥離した面から活性エネルギー線を照射してもよい。
前記粘着剤の塗布方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。
前記粘着剤の塗布層を加熱乾燥する場合、加熱乾燥温度は、30℃〜200℃程度が好ましく、40℃〜180℃がより好ましく、80℃〜150℃がさらに好ましい。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤層を得ることができる。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、5秒〜20分程度が好ましく、30秒〜10分がより好ましく、1分〜8分がさらに好ましい。
また、前記粘着剤の塗布層に活性エネルギー線を照射する場合においても、前記接着剤又は粘着剤が、希釈剤として有機溶媒を含有する場合は、塗布後、活性エネルギー線照射前に、加熱乾燥等により溶媒等を除去することが好ましい。
前記加熱乾燥温度は、特に限定されないが、残存溶媒を少なくする観点から、30℃〜90℃程度が好ましく、60℃〜80℃程度がより好ましい。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、5秒〜20分程度が好ましく、30秒〜10分がより好ましく、1分〜8分がさらに好ましい。
前記活性エネルギー線としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等を挙げることができるが、これらの中でも、紫外線が好ましい。
紫外線の照射条件は、特に限定されるものではなく、架橋させるゴム系粘着剤の組成に応じて、任意の適切な条件に設定することができるが、例えば、照射積算光量が100mJ/cm〜2000mJ/cmが好ましい。
前記支持体としては、例えば、剥離処理したシート(セパレータ)や、前述の位相差フィルムを用いることができる。
前記セパレータの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、及びこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等を挙げることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等が挙げられる。
前記セパレータの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。前記セパレータには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型、及び防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレータの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜行うことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
前記粘接着剤層を、剥離処理したシート(セパレータ)上に形成した場合、当該粘着剤層を位相差フィルムや偏光フィルム上に転写して、本発明の円偏光板を形成することができる。
前記粘着剤層の厚みは、特に限定されるものではなく、その用途に応じて適宜設定することができるが、250μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、55μm以下であることがさらに好ましい。また、粘着剤層の厚みの下限値は、特に限定されるものではないが、耐久性の観点からは、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく15μm以上であることがさらに好ましい。
また、本発明で用いる粘着剤層のゲル分率は、特に限定されないが、10〜98%程度が好ましく、25〜98%程度がより好ましく、45〜90%程度であることがさらに好ましい。ゲル分率が前記範囲にあることで、耐久性と粘着力を両立できるため好ましい。
ポリオレフィン系粘着剤としては、ポリオレフィン系樹脂を含むものであればよく、その組成は特に限定されるものではない。
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、低結晶ポリプロピレン、非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体などのエチレン共重合体やポリオレフィン変性ポリマー等が挙げられる。該粘着剤層は、より好ましくは非晶質ポリプロピレン系樹脂を含み、さらに好ましくは非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体を含む。このような粘着剤層であれば、さらに段差追従性に優れる粘着シートを得ることができる。なお、本明細書において、「非晶質」とは、結晶質のように明確な融点を有さない性質をいう。
粘着剤に含まれる非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体の含有割合は、粘着剤層の弾性値が0.7N/mm以下となるよう適宜調整され得る。粘着剤に含まれる非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体の含有割合は、重量比で、好ましくは10重量%〜100重量%であり、より好ましくは10重量%〜95重量%である。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、好ましくはメタロセン触媒を用いて、プロピレンと1−ブテンとを重合することにより得ることができる。より詳細には、非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、例えば、メタロセン触媒を用いてプロピレンと1−ブテンとを重合させる重合工程を行い、当該重合工程の後、触媒残さ除去工程、異物除去工程等の後処理工程を行うことにより、得ることができる。非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、このような工程を経て、例えば、パウダー状、ペレット状等の形状で得られる。メタロセン触媒としては、例えば、メタロセン化合物とアルミノキサンとを含むメタロセン均一混合触媒、微粒子状の担体上にメタロセン化合物が担持されたメタロセン担持型触媒等が挙げられる。
上記のようにメタロセン触媒を用いて重合された非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、狭い分子量分布を示す。上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は好ましくは3以下であり、より好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1.1〜2であり、特に好ましくは1.2〜1.9である。分子量分布が狭い非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は低分子量成分が少ないので、このような非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体を用いれば、低分子量成分のブリードによる被着体の汚染を防止し得る粘着剤層を得ることができる。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体における、プロピレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは80モル%〜99モル%、より好ましくは85モル%〜99モル%であり、さらに好ましくは90モル%〜99モル%である。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体における、1−ブテン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは1モル%〜20モル%、より好ましくは1モル%〜15モル%、さらに好ましくは1モル%〜10モル%である。このような範囲であれば、靭性と柔軟性とのバランスに優れた粘着剤層を得ることができる。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体の重量平均分子量(Mw)は好ましくは200,000以上であり、より好ましくは200,000〜500,000であり、さらに好ましくは200,000〜300,000である。非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体の重量平均分子量(Mw)がこのような範囲であれば、一般的なスチレン系熱可塑性樹脂、アクリル系熱可塑性樹脂(Mwが100,000以下)と比較して、低分子量成分が少なく、被着体の汚染を防止し得る粘着剤層を得ることができる。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体の230℃、2.16kgfにおけるメルトフローレートは、好ましくは1g/10min〜50g/10minであり、より好ましくは5g/10min〜30g/10minであり、さらに好ましくは5g/10min〜20g/10minである。非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体のメルトフローレートがこのような範囲であれば、共押し出し成形により、加工不良なく厚みの均一な粘着剤層を形成することができる。メルトフローレートは、JISK7210に準じた方法により測定することができる。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにその他のモノマー由来の構成単位を含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、例えば、エチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン等が挙げられる。
上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにその他のモノマー由来の構成単位を含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、例えば、エチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン等が挙げられる。
上記粘着剤層は、好ましくは結晶性ポリプロピレン系樹脂をさらに含む。結晶性ポリプロピレン系樹脂を含有することにより、粘着剤層の70℃の弾性率E’を所望の値に調整し得る。結晶性ポリプロピレン系樹脂の含有割合は、所望とする弾性率E’に応じて任意の適切な割合に設定され得る。結晶性ポリプロピレン系樹脂の含有割合は、上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体と当該結晶性ポリプロピレン系樹脂との合計重量に対して、好ましくは0重量%〜90重量%であり、より好ましくは5重量%〜90重量%である。
上記結晶性ポリプロピレン系樹脂は、ホモポリプロピレンであってもよく、プロピレンとプロピレンに共重合可能なモノマーとにより得られる共重合体であってもよい。プロピレンに共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン等が挙げられる。上記結晶性ポリプロピレン系樹脂がプロピレンとプロピレンに共重合可能なモノマーとにより得られる共重合体である場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
上記結晶性ポリプロピレン系樹脂は、好ましくは上記非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体同様、メタロセン触媒を用いて重合することにより得られる。このようにして得られた結晶性ポリプロピレン系樹脂を用いれば、低分子量成分のブリードによる被着体の汚染を防止することができる。
上記結晶性ポリプロピレン系樹脂の結晶化度は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上である。結晶化度は、代表的には示差走査熱量分析(DSC)またはX線回折により求められる。
好ましくは、上記粘着剤層は、F、Cl、Br、NO 、NO 、SO 2−、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、NH を実質的に含まない。被着体を当該イオンで汚染することを防止することができるからである。上記イオンを含まない粘着剤層は、例えば、当該粘着剤層に含まれる非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体を上記のようにメタロセン触媒を用いて溶液重合することにより得ることができる。
当該メタロセン触媒を用いた溶液重合においては、非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体は、重合溶媒とは異なる貧溶媒を用いて析出単離(再沈殿法)を繰り返して、精製することができるので、上記イオンを含まない粘着剤層を得ることができる。なお、本明細書において、「F、Cl、Br、NO 、NO 、SO 2−、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、NH を実質的に含まない」とは、標準的なイオンクロマトグラフ分析(例えば、ダイオネクス社製、商品名「DX−320」、「DX−500」を用いたイオンクロマトグラフ分析)において検出限界未満であることをいう。具体的には、粘着剤層1gに対して、
、Cl、Br、NO 、NO 、SO 2−およびKがそれぞれ0.49μg以下、LiおよびNaがそれぞれ0.20μg以下、Mg2+およびCa2+がそれぞれ0.97μg以下、NH が0.5μg以下である場合をいう。
上記粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにその他の成分を含んでいてもよい。当該その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤等が挙げられる。その他の成分の種類および使用量は、目的に応じて適切に選択され得る。
本発明で用いるポリオレフィン系粘着剤層は、前記粘着剤から形成することができ、その製造方法は特に限定されないが、各種支持体等に粘着剤を押し出し成形し、加熱乾燥や活性エネルギー線の照射等により、粘着剤層を形成することができる。
上記押し出し成形における成形温度は、好ましくは160℃〜220℃であり、より
好ましくは170℃〜200℃である。このような範囲であれば、成形安定性に優れる。
前記支持体としては、例えば、剥離処理したシート(セパレータ)や、前述の位相差フィルムを用いることができる。
前記セパレータの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、及びこれらのラミネート体等の適宜な薄葉体等を挙げることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等が挙げられる。
前記セパレータの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。前記セパレータには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型、及び防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレータの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜行うことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
前記粘接着剤層を、剥離処理したシート(セパレータ)上に形成した場合、当該粘着剤層を位相差フィルムや偏光フィルム上に転写して、本発明の円偏光板を形成することができる。
前記粘着剤層の厚みは、特に限定されるものではなく、その用途に応じて適宜設定することができるが、250μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、55μm以下であることがさらに好ましい。また、粘着剤層の厚みの下限値は、特に限定されるものではないが、耐久性の観点からは、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、15μmを超えることがさらに好ましい。
前記偏光フィルムや保護フィルムを有する偏光板、前記位相差フィルムには、積層する前にコロナ処理,プラズマ処理等の表面改質処理や易接着層を形成するなどの処理を施しておいてもよい。
<円偏光板の構成>
本発明の円偏光板の構成についてより詳細に説明する。円偏光板は、偏光フィルムと、粘接着剤層と、位相差フィルムとを、この順に備える。換言すれば、粘接着剤層は、偏光フィルムと位相差フィルムとの間に配置される。
例えば、偏光フィルムの片面のみに保護フィルムを有する片面保護偏光板を用いる場合は、保護フィルム/偏光フィルム/粘接着剤層/位相差フィルムから構成される円偏光板とすることができる。また、偏光フィルムの両面に保護フィルムを有する両面保護偏光板を用いる場合は、保護フィルム/偏光フィルム/保護フィルム/粘接着剤層/位相差フィルムから構成される円偏光板とすることができる。粘接着剤層は、偏光フィルムまたは保護フィルムと、位相差フィルムとを積層するための粘接着剤層であることができる。すなわち、粘接着剤層は、偏光フィルム、保護フィルムまたは位相差フィルムに直接接して配置されることができる。
前記構成において、偏光フィルムの吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とのなす角度は、35°〜55°であることが好ましく、38°〜52°がより好ましく、40°〜50°がさらに好ましく、42°〜48°がさらに好ましく、44°〜46°が特に好ましい。当該角度がこのような範囲であれば、所望の円偏光機能が実現され得るため好ましい。なお、本明細書において角度に言及するときは、特に明記しない限り、当該角度は時計回り及び反時計回りの両方の方向の角度を包含する。
本発明の円偏光板には、前記以外の接着剤層や粘着剤層、下塗り層(プライマー層)等の介在層や、易接着層を含んでいてもよい。
また、本発明の円偏光板には、機能層を設けることができる。機能層を設けることで、偏光フィルムに生じる貫通クラック及びナノスリット等の欠陥の発生を抑制することができるため、好ましい。機能層は、各種の形成材から形成することができる。機能層は、例えば、樹脂材料を偏光フィルムに塗布することにより形成することができる。
前記機能層を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、PVA系樹脂、アクリル系樹脂等を挙げることができる。これら樹脂材料は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらの中でも、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂からなる群から選択される1種以上が好ましく、PVA系樹脂がより好ましい。また、前記樹脂の形態は、水系、溶剤系のいずれでもよい。前記樹脂の形態は、水系樹脂が好ましく、PVA系樹脂が好ましい。また、水系樹脂としては、アクリル樹脂水溶液やウレタン樹脂水溶液を用いることができる。
前記機能層は、厚くなりすぎると光学信頼性と耐水性が低下するため、機能層の厚みは15μm以下であるのが好ましく、10μm以下であるのがより好ましく、8μm以下がさらに好ましく、6μm以下がさらに好ましく、5μm以下がさらに好ましく、3μm以下が特に好ましい。一方、機能層の厚みは0.2μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であるのがより好ましく、0.7μm以上であるのがさらに好ましい。当該厚みの機能層により、クラックの発生を抑制することができるため、好ましい。
<粘着剤付き円偏光板>
本発明の円偏光板は、少なくともいずれか一方の表面に粘着剤層を設けて粘着剤付き円偏光板とすることができる。用いる粘着剤は、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。この粘着剤層としては、上で説明した温度40℃、相対湿度92%R.H.における透湿度が100g/(m・day)以下の粘着剤と同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。
前記粘着剤と異なる粘着剤としては、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。粘着剤としては、特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましい。
この粘着剤層としては、光学透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性、および接着性等の粘着特性を示すものであればよいが、耐久性等に優れるものが好ましく用いられる。具体的に粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂からなる感圧性接着剤(アクリル系粘着剤ともいう)が挙げられる。
前記アクリル系粘着剤から形成される粘着剤層は、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、および(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル系樹脂や、これらの(メタ)アクリル酸エステルを2種類以上用いた共重合樹脂が好ましく用いられる。また、これらの樹脂には、極性モノマーが共重合されている。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、およびグリシジル(メタ)アクリレートといったカルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基,およびエポキシ基等の極性官能基を有するモノマーが挙げられる。また、粘着剤には、通常、アクリル系樹脂とともに架橋剤が配合されている。
粘着剤にはこの他、各種の添加剤が配合されていてもよい。好適な添加剤として、シランカップリング剤や帯電防止剤がある。シランカップリング剤は、ガラスとの接着力を高めるうえで有効である。帯電防止剤は、静電気の発生を低減または防止するうえで有効である。すなわち、粘着剤層を介して偏光板を液晶セルに貼る際、それまで粘着剤層を覆って仮着保護していた表面保護フィルム(セパレータ)を剥がしてから液晶セルに貼り合わされるが、その表面保護フィルムを剥がすときに発生する静電気によって、セル内の液晶に配向不良を生じ、これが液晶表示装置の表示不良をもたらすことがある。
このような静電気の発生を低減または防止するうえで、帯電防止剤の配合が有効である。
すくなくとも一方の粘着剤の厚みは、3〜50μmとすることが好ましい。さらに好ましくは、3〜30μmである。
粘着剤層に導電性を持たせる場合には、その抵抗値は適宜選択されればよいが、例えば1×10〜1×1011Ω/□の範囲であることが好ましい。
円偏光板に形成する前記粘着剤層の形成方法は、公知の方法により行うことができる。
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の円偏光板を有することを特徴とする。
画像表示装置としての種類は問わず公知のものが使用できる。例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置に本発明の円偏光板が好適に用いることができる。とくに、有機EL表示装置の反射防止偏光板として好適に用いることができる。
画像表示装置は、フレキシブル画像表示装置であってもよい。フレキシブル画像表示装置は、フレキシブル画像表示装置用積層体と、有機EL表示パネルとからなり、有機EL表示パネルに対して視認側にフレキシブル画像表示装置用積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。フレキシブル画像表示装置用積層体としては、ウインドウ、本発明の円偏光板、タッチセンサを含有していてもよく、それらの積層順任意であるが、視認側からウインドウ、本発明の円偏光板、タッチセンサ、またはウインドウ、タッチセンサ、本発明の円偏光板の順に積層されていることが好ましい。タッチセンサの視認側に円偏光板が存在すると、タッチセンサのパターンが視認されにくくなり表示画像の視認性が良くなるので好ましい。それぞれの部材は接着剤、粘着剤等を用いて積層することができる。
また、ウインドウ、円偏光板、タッチセンサのいずれかの層の少なくとも一面に形成された遮光パターンを具備することができる。
[ウインドウ]
ウインドウは、フレキシブル画像表示装置の視認側に配置され、その他の構成要素を外部からの衝撃または温湿度等の環境変化から保護する役割を担っている。従来このような保護層としてはガラスが使用されてきたが、フレキシブル画像表示装置におけるウインドウはガラスのようにリジッドで堅いものではなく、フレキシブルな特性を有する。前記ウインドウは、フレキシブルな透明基材からなり、少なくとも一面にハードコート層を含んでいてもよい。
(透明基材)
透明基材は、可視光線の透過率が70%以上、好ましくは80%以上である。前記透明基材は、透明性のある高分子フィルムなら、どのようなものでも使用可能である。具体的に、透明基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ノルボルネンまたはシクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体等のポリオレフィン類、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース等の(変性)セルロース類、メチルメタクリレート(共)重合体等のアクリル類、スチレン(共)重合体等のポリスチレン類、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体類、アクリロニトリル・スチレン共重合体類、エチレン‐酢酸ビニル共重合体類、ポリ塩化ビニル類、ポリ塩化ビニリデン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等のポリエステル類、ナイロン等のポリアミド類、ポリイミド類、ポリアミドイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルスルホン類、ポリスルホン類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアセタール類、ポリウレタン類、エポキシ樹脂類などの高分子で形成されたフィルムであってもよい。これらの高分子はそれぞれ単独または2種以上混合して使用することができる。好ましくは、前記記載の透明基材の中でも透明性及び耐熱性に優れたポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムまたはポリイミドフィルム、ポリエステル系フィルム、オレフィン系フィルム、アクリルフィルム、セルロース系フィルムが好ましい。高分子フィルムの中には、シリカ等の無機粒子、有機微粒子、ゴム粒子等を分散させることも好ましい。さらに、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などの配合剤を含有させてもよい。前記透明基材の厚さは5〜200μm、好ましくは、20〜100μmである。透明基材は、未延伸フィルム、1軸延伸フィルムまたは2軸延伸フィルムであってもよい。
(ハードコート)
前記ウインドウには透明基材の少なくとも一面にハードコート層が設けられていてもよい。ハードコート層の厚さは特に限定されず、例えば、2〜100μmであってもよい。
ハードコート層の厚さが2μm未満の場合、十分な耐衝撃性耐擦傷性を確保することが難しく、100μmを超えると、耐屈曲性が低下し、硬化収縮によるカール発生の問題が発生することがある。
ハードコート層は、活性エネルギー線或いは熱エネルギーを照射して架橋構造を形成する反応性材料を含むハードコート組成物の硬化層であることができる。活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線及び電子線などを挙げることができる。紫外線が特に好ましい。ハードコート組成物は、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種の重合物を含有する。ハードコート組成物には重合開始剤をさらに含むことができる。ハードコート組成物はさらに溶剤、添加剤からなる群から選択される一つ以上をさらに含むことができる。添加剤としては、無機粒子、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、潤滑剤、防汚剤などが挙げられる。
[タッチセンサ]
タッチセンサは入力手段として用いられる。タッチセンサとしては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式等様々な様式が提案されており、いずれの方式でも構わない。中でも静電容量方式が好ましい。静電容量方式タッチセンサは活性領域及び前記活性領域の外郭部に位置する非活性領域に区分される。活性領域は表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であって、使用者のタッチが感知される領域であり、非活性領域は表示装置で画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。タッチセンサはフレキシブルな特性を有する基板と;前記基板の活性領域に形成された感知パターンと;前記基板の非活性領域に形成され、前記感知パターンとパッド部を介して外部の駆動回路と接続するための各センシングラインを含むことができる。フレキシブルな特性を有する基板としては、前記ウインドウの透明基板と同様の材料が使用できる。タッチセンサの基板は、靱性が2,000MPa%以上のものがタッチセンサに生じ得るクラックを抑制する観点から好ましい。より好ましくは靱性が2,000MPa%〜30,000MPa%でる。ここで、靭性は、高分子材料の引張試験を通じて得られる応力(MPa)−ひずみ(%)曲線(Stress−Strain Curve)において、破壊点までの曲線の下部面積として定義される。
[接着層]
フレキシブル画像表示装置用積層体を形成する各層(ウインドウ、円偏光板、タッチセンサ)並びに各層を構成するフィルム部材(直線偏光板、λ/4位相差板等)は接着剤によって積層することができる。接着剤としては、水系接着剤、有機溶剤系、無溶剤系接着剤、固体接着剤、溶剤揮散型接着剤、湿気硬化型接着剤、加熱硬化型接着剤、嫌気硬化型、活性エネルギー線硬化型接着剤、硬化剤混合型接着剤、熱溶融型接着剤、感圧型接着剤(粘着剤)、再湿型接着剤等汎用に使用されているものが使用できる。中でも水系溶剤揮散型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、粘着剤がよく用いられる。接着剤層の厚さは、求められる接着力等に応じて適宜調節することができ、0.01μm〜500μm、好ましくは0.1μm〜300μmである。フレキシブル画像表示装置用積層体が複数の接着層を備える場合、それぞれの厚みや種類は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
[遮光パターン]
遮光パターンはフレキシブル画像表示装置のベゼルまたはハウジングの少なくとも一部として適用することができる。遮光パターンがフレキシブル画像表示装置の辺縁部に配置される配線を遮蔽し、視認されにくくする。遮光パターンは単層または複層の形態であってもよい。遮光パターンの色は特に制限されることはなく、黒色、白色、金属色などが挙げられる。遮光パターンは顔料と、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーンなどの高分子とで形成することができる。遮光パターンは、印刷、リソグラフィ、インクジェットなど各種の方法にて形成することができる。遮光パターンの厚さは1μm〜100μmであってもよく、好ましくは2μm〜50μmでる。また、遮光パターンの厚み方向に傾斜等の形状を付与することも好ましい。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す部及び%は、特記ないかぎり重量基準である。なお、以下の例における各物性の測定は、次の方法で行った。
(1)厚さの測定:
株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーター“MH−15M”を用いて測定した。
(2)面内レターデーション及び厚み方向レターデーションの測定:
王子計測機器株式会社製の平行ニコル回転法を原理とする位相差計“KOBRA(登録商標)−WPR”を用い、23℃の温度において、各波長での面内レターデーション及び厚み方向レターデーションを測定した。
(3)粘着剤層の透湿度の測定
実施例、比較例で用いた粘着シート(粘着剤層の厚み:50μm)の粘着面に、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム、厚み:25μm、コニカミノルタ(株)製)に貼り合わせた。その後、粘着シートのセパレータを剥がして、測定用サンプルを得た。次に、この測定用サンプルを用いて、下記条件で、透湿度試験方法(カップ法、JIS Z 0208に準じる)により、透湿度(水蒸気透過率)を測定した。
測定温度:40℃
相対湿度:92%R.H.
測定時間:24時間
測定には、恒温恒湿槽を使用した。
[製造例1]偏光フィルムの作製
厚み30μmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上)を、乾式延伸により約4倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、40℃の純水に40秒間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.052/5.7/100の水溶液に28℃で30秒間浸漬して染色処理を行った。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が11.0/6.2/100の水溶液に70℃で120秒間浸漬した。引き続き、8℃の純水で15秒間洗浄した後、300Nの張力で保持した状態で、60℃で50秒間、次いで75℃で20秒間乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している厚み12μmの吸収型偏光子を得た。
[製造例2]位相差フィルムの作製
下記構造の光配向性材料5部(重量平均分子量:30000)とシクロペンタノン(溶媒)95部とを成分として混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、配向膜形成用組成物を得た。
Figure 2020098317
以下に示す重合性液晶化合物A、及び重合性液晶化合物Bを90:10の質量比で混合した混合物に対して、レベリング剤(F−556;DIC社製)を1.0部、及び重合開始剤である2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(「イルガキュア369(Irg369)」、BASFジャパン株式会社製)を6部添加した。
さらに、固形分濃度が13%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、80℃で1時間攪拌することにより、液晶硬化膜形成用組成物を得た。
重合性液晶化合物Aは特開2010−31223号公報に記載の方法で製造した。また、重合性液晶化合物Bは、特開2009−173893号公報に記載の方法に準じて製造した。以下にそれぞれの分子構造を示す。
[重合性液晶化合物A]
Figure 2020098317
[重合性液晶化合物B]
Figure 2020098317
〔基材、配向膜、液晶化合物が硬化した層からなる積層体の製造〕
基材として50μm厚のシクロオレフィン系フィルム〔日本ゼオン(株)製の商品名「ZF−14−50」〕上にコロナ処理を実施した後、配向膜形成用組成物をバーコーターで塗布し、80℃で1分間乾燥し、偏光UV照射装置〔ウシオ電機(株)の商品名「SPOT CURE SP−9」〕を用いて、波長313nmにおける積算光量:100mJ/cmで軸角度45°にて偏光UV露光を実施した。続いて、配向膜に、配向液晶硬化膜形成用組成物を、バーコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプ〔ウシオ電機(株) の商品名:「ユニキュアVB−15201BY−A」〕を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:500mJ/cm)することにより、液晶化合物が硬化した層を形成し、基材、配向膜及び液晶化合物が硬化した層からなる積層体を得た。
上記方法にて製造した液晶化合物が硬化した層の面内位相差値Re(λ)は、粘着剤を介してガラスに貼合し、基材であるシクロオレフィン系フィルムを剥離した後に測定した。
各波長における位相差値Re(λ)を測定結果は、Re(450)=121nm、Re(550)=142nm、Re(650)=146nm、Re(450)/Re(550)=0.85、Re(650)/Re(550)=1.03であった。
[製造例3]ゴム系粘着剤1の作製
ポリイソブチレン(商品名:OPPANOL B80、Mw:約75万、BASF社製)100重量部と、多官能ラジカル重合性化合物としてのトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:NKエステルA−DCP、2官能アクリレート、分子量:304、新中村化学工業(株)製)10重量部、水素引抜型光重合開始剤であるベンゾフェノン(和光純薬工業(株)製)0.5部、完全水添テルペンフェノール10重量部を配合したトルエン溶液(粘着剤溶液)を固形分が15重量%になるように調整し、ゴム系粘着剤1(溶液)を調製した。
[製造例4]ゴム系粘着剤シート1の作製
製造例3で得られたゴム系粘着剤1(溶液)を、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)の剥離処理面に塗布して塗布層を形成した。次いで、塗布層を80℃で3分乾燥させて、粘着剤層を形成し、粘着剤層の厚みが20μmの粘着シートを作製した。また、粘着シートの粘着面には、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)を、剥離処理面と前記粘着剤層が接するように貼り合せた。粘着剤層の両面に被覆されたポリエステルフィルムは、剥離フィルム(セパレータ)として機能する。
一方のセパレータを剥離し、セパレータを剥離した側から、室温で紫外線を照射し、ゴム系粘着剤層1/セパレータからなる粘着シートを得た。前記紫外線照射は、UVA領域にて、光量1000mJ/cmであった。別途同様に塗布厚みを調整し作製した50μmの厚みの粘着剤層を備える粘着シートを用いて透湿度を測定したところ、粘着剤層の透湿度は10g/(m・day)であった。
[製造例5]オレフィン系粘着剤シートの作製
粘着剤層形成材料として、メタロセン触媒により重合した非晶質プロピレン−(1−ブテン)共重合体(住友化学株式会社製、商品名「タフセレンH5002」:プロピレン由来の構成単位90モル%/1−ブテン由来の構成単位10モル%、Mw=230,000、Mw/Mn=1.8)60部とメタロセン触媒により重合した結晶性ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ(株)製、商品名「WINTEC WFX4」)40部とを混合して用いた。上記粘着剤層形成材料100部を押し出し機に投入し、Tダイ溶融押し出し(押出温度180℃)を行い、粘着剤層の厚みが20μmの粘着シートを得た。また、粘着シートの粘着面には、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)を、剥離処理面と前記粘着剤層が接するように貼り合せた。粘着剤層の両面に被覆されたポリエステルフィルムは、剥離フィルムとして機能する。別途押し出し条件を調整して作製した50μmの厚みの粘着剤層を備える粘着シートを用いて透湿度を測定したところ、粘着剤層の透湿度は12g/(m・day)であった。
[製造例6]ゴム系粘着剤2の作製
スチレン系熱可塑性エラストマーとしてスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS、商品名:SEPTON 2063、スチレン含有量:13%、(株)クラレ製)100重量部と、粘着付与剤として水添テルペンフェノール(商品名:YSポリスターTH130、軟化点:130℃、水酸基価:60、ヤスハラケミカル(株)製)40.4重量部、石油系粘着付与剤(商品名:ピコラスチックA5、ビニルトルエン系粘着付与剤、軟化点:5℃、イーストマンコダック社製)61.7部、軟化剤としてポリブテン(商品名:HV−300、重量平均分子量:3000、JX日鉱日石エネルギー(株)製)21.3部を配合したトルエン溶液を固形分が30重量%になるように調整し、ゴム系粘着剤2(溶液)を調製した。
[製造例7]ゴム系粘着剤シート2の作製
製造例6で得られたゴム系粘着剤2(溶液)を、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)の剥離処理面に塗布して塗布層を形成した。次いで、塗布層を80℃で3分乾燥させて、粘着剤層を形成し、粘着剤層の厚みが20μmの粘着シートを作製した。また、粘着シートの粘着面には、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)を、剥離処理面と前記粘着剤層が接するように貼り合せた。粘着剤層の両面に被覆されたポリエステルフィルムは、剥離フィルム(セパレータ)として機能する。
一方のセパレータを剥離し、セパレータを剥離した側から、室温で紫外線を照射し、ゴム系粘着剤層2/セパレータからなる粘着シートを得た。前記紫外線照射は、UVA領域にて、光量1000mJ/cmであった。別途同様に塗布厚みを調整し作製した50μmの厚みの粘着剤層を備える粘着シートを用いて透湿度を測定したところ、粘着剤層の透湿度は40g/(m・day)であった。
[実施例1]
製造例1で得られた偏光フィルムの片面に、接着剤層の厚さが0.1μmになるようにポリビニルアルコール系接着剤を塗布しながら、保護フィルム(トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(商品名:KC2UAW、厚み:25μm、コニカミノルタ株式会社製)を貼合せたのち、80℃で2分間の乾燥を行い、片面保護フィルム付き偏光板を作製した。得られた片面保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム側に、製造例4で得られたゴム系粘着剤層1を介して、位相差フィルムを貼り合わせた。ここで、位相差フィルムの遅相軸が偏光フィルムの吸収軸に対して反時計回りに45°となるように貼り合わせた。さらに位相差フィルムのゴム系粘着剤層1側とは反対の面にアクリル系粘着剤(リンテック株式会社製、P−3132)を貼りあわせ粘着剤付き円偏光板を得た。得られた粘着剤付き円偏光板は、TACフィルム/接着剤層/偏光フィルム/ゴム系粘着剤層1/位相差フィルム/アクリル系粘着剤/剥離フィルムからなる構造を有していた。
得られた円偏光板を110mm×70mmに裁断した。剥離フィルムを剥離して露出したアクリル系粘着剤を介して、円偏光板を無アルカリガラス(コーニング社製、イーグルXG)に貼合した。次いで、円偏光板の保護フィルム(TACフィルム)面にもアクリル系粘着剤(リンテック株式会社製、P−3132)を介して無アルカリガラス(コーニング社製、イーグルXG)を円偏光板の主面が完全に覆われるように貼りあわせ評価サンプルを作製した。
こうして得られた評価サンプルを、85℃のオーブンに400hr投入した。評価サンプルを鏡の上に配置し、蛍光灯下で反射光の色目を確認したところ中央部と周辺部とで色目は均一であった。評価サンプルの中央部での位相差フィルムの位相差値の変化量を測定したところ、初期から8.8nm低下しているだけだった。
[実施例2]
製造例1で得られた偏光フィルムの両面に、接着剤層の厚さが0.1μmになるようにポリビニルアルコール系接着剤を塗布しながら、保護フィルム(トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(商品名:KC2UAW、厚み:25μm、コニカミノルタ株式会社製)をそれぞれ貼合せたのち、80℃で2分間の乾燥を行い、両面保護フィルム付き偏光板を作製した。実施例1の片面保護フィルム付き偏光板を、前記両面保護フィルム付き偏光板に変更した以外は同様に評価サンプルを作製した。
こうして得られた評価サンプルを、85℃のオーブンに400hr投入した。評価サンプルを鏡の上に配置し、蛍光灯下で反射光の色目を確認したところ中央部と周辺部とで色目は均一であった。評価サンプルの中央部での位相差フィルムの位相差値の変化量を測定したところ、初期から8.6nm低下しているだけだった。
[実施例3]
実施例1のゴム系粘着剤1を製造例5のオレフィン系粘着剤に変更した以外は、実施例1と同様に評価サンプルを作製した。
こうして得られた評価サンプルを、85℃のオーブンに400hr投入した。評価サンプルを鏡の上に配置し、蛍光灯下で反射光の色目を確認したところ中央部と周辺部とで色目は均一であった。評価サンプルの中央部での位相差フィルムの位相差値の変化量を測定したところ、初期から9.4nm低下しているだけだった。
[実施例4]
実施例2のゴム系粘着剤1を製造例5のオレフィン系粘着剤に変更した以外は、実施例2と同様に評価サンプルを作製した。
こうして得られた評価サンプルを、85℃のオーブンに400hr投入した。評価サンプルを鏡の上に配置し、蛍光灯下で反射光の色目を確認したところ中央部と周辺部とで色目は均一であった。評価サンプルの中央部での位相差フィルムの位相差値の変化量を測定したところ、初期から9.2nm低下しているだけだった。
[実施例5]
実施例1のゴム系粘着剤1を製造例7のゴム系粘着剤2に変更した以外は、実施例1と同様に評価サンプルを作製した。
こうして得られた評価サンプルを、85℃のオーブンに400hr投入した。評価サンプルを鏡の上に配置し、蛍光灯下で反射光の色目を確認したところ中央部と周辺部とで色目は均一であった。評価サンプルの中央部での位相差フィルムの位相差値の変化量を測定したところ、初期から9.5nm低下しているだけだった。
[実施例6]
実施例2のゴム系粘着剤1を製造例7のゴム系粘着剤2に変更した以外は、実施例2と同様に評価サンプルを作製した。
こうして得られた評価サンプルを、85℃のオーブンに400hr投入した。評価サンプルを鏡の上に配置し、蛍光灯下で反射光の色目を確認したところ中央部と周辺部とで色目は均一であった。評価サンプルの中央部での位相差フィルムの位相差値の変化量を測定したところ、初期から9.4nm低下しているだけだった。
[比較例1]
実施例1のゴム系粘着剤1をアクリル系粘着剤(リンテック株式会社製、P−3132、厚み50μmでの透湿度:1030g/(m・day))を用いた以外は、実施例1と同様に評価サンプルを作製した。
こうして得られた評価サンプルを、85℃のオーブンに400hr投入した。評価サンプルを鏡の上に配置し、蛍光灯下で反射光の色目確認したところ中央部と周辺部とで色目は異なっていた。具体的には、中央部の反射光が赤く色付いていた。評価サンプルの中央部での位相差フィルムの位相差値の変化量を測定したところ、初期から16.8nm低下していた。
[比較例2]
実施例2のゴム系粘着剤1をアクリル系粘着剤(リンテック株式会社製、P−3132、厚み50μmでの透湿度:1030g/(m・day))を用いた以外は同様に評価サンプルを作製した。
こうして得られた評価サンプルを、85℃のオーブンに400hr投入した。評価サンプルを鏡の上に配置し、蛍光灯下で反射光の色目の確認したところ中央部と周辺部とで色目は異なっていた。具体的には、中央部の反射光が赤く色付いていた。評価サンプルの中央部での位相差フィルムの位相差値の変化量を測定したところ、初期から16.3nm低下していた。
本発明によれば、視認側にカバーガラスが積層された状態で高温環境下に置かれた場合でも、中央部と周辺部とで反射光の色目が均一な円偏光板を提供することができるので有用である。

Claims (9)

  1. 偏光フィルムと、粘接着剤層と、位相差フィルムとを、この順に備え、
    前記粘接着剤層は、温度40℃、相対湿度92%R.H.における透湿度が100g/(m・day)以下であり、
    前記位相差フィルムは、λ/4板として機能し、液晶化合物からなる層を含む円偏光板。
  2. 前記粘接着剤層が、ポリイソブチレン、及び水素引抜型光重合開始剤を含むゴム系粘着剤組成物から形成された粘着剤層であることを特徴とする請求項1に記載の円偏光板。
  3. 前記粘接着剤層が、ポリオレフィン系樹脂を含む粘着剤層であることを特徴とする請求項1に記載の円偏光板。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂が、非晶質ポリプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする請求項3に記載の円偏光板。
  5. 前記偏光フィルムの厚みが、15μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の円偏光板。
  6. 前記位相差フィルムが、下記式(α)及び(β)を満たす請求項1〜5のいずれかに記載の円偏光板。
    Re(450)/Re(550)≦1.00 (α)
    1.00≦Re(650)/Re(550) (β)
    [式中、Re(450)は波長450nmにおける面内位相差値を表し、Re(550)は波長550nmにおける面内位相差値を表し、Re(650)は波長650nmにおける面内位相差値を表す。]
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の円偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
  8. 前記画像表示装置が、有機エレクトロルミネッセンス表示装置である請求項7に記載の画像表示装置。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の円偏光板と、ウインドウと、タッチセンサとを含むフレキシブル画像表示装置用積層体。
JP2019034020A 2018-03-12 2019-02-27 円偏光板およびそれを用いた画像表示装置 Pending JP2020098317A (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2019/009068 WO2019176717A1 (ja) 2018-03-12 2019-03-07 円偏光板およびそれを用いた画像表示装置
CN201980018272.5A CN111819478A (zh) 2018-03-12 2019-03-07 圆偏振板及使用了该圆偏振板的图像显示装置
KR1020207026859A KR20200130828A (ko) 2018-03-12 2019-03-07 원편광판 및 그것을 이용한 화상 표시 장치
TW108107859A TW201940905A (zh) 2018-03-12 2019-03-08 圓偏光板及使用該圓偏光板之圖像顯示裝置

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018043841 2018-03-12
JP2018043841 2018-03-12
JP2018236096 2018-12-18
JP2018236096 2018-12-18

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020098317A true JP2020098317A (ja) 2020-06-25

Family

ID=71105917

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019034020A Pending JP2020098317A (ja) 2018-03-12 2019-02-27 円偏光板およびそれを用いた画像表示装置

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2020098317A (ja)
KR (1) KR20200130828A (ja)
CN (1) CN111819478A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022004138A1 (ja) * 2020-07-03 2022-01-06 住友化学株式会社 粘着剤層付き偏光板
WO2022004137A1 (ja) * 2020-07-03 2022-01-06 住友化学株式会社 粘着剤層付き偏光板
WO2022049909A1 (ja) * 2020-09-02 2022-03-10 日東電工株式会社 偏光板、位相差層付偏光板および有機エレクトロルミネセンス表示装置

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI829445B (zh) * 2021-11-25 2024-01-11 南韓商Lg化學股份有限公司 背板膜、有機發光顯示器及行動電話

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013001830A (ja) * 2011-06-17 2013-01-07 Nitto Denko Corp 粘着シート
WO2017195506A1 (ja) * 2016-05-10 2017-11-16 日東電工株式会社 有機el表示装置用光学フィルム、有機el表示装置用偏光フィルム、有機el表示装置用粘着剤層付き偏光フィルム、及び有機el表示装置
WO2018042879A1 (ja) * 2016-09-05 2018-03-08 日東電工株式会社 ゴム系粘着剤組成物、ゴム系粘着剤層、粘着フィルム、ゴム系粘着剤層付光学フィルム、光学部材、及び画像表示装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1045261B1 (en) 1998-10-30 2005-02-02 Teijin Limited Phase difference film and optical device using it
JP5391682B2 (ja) 2007-12-28 2014-01-15 住友化学株式会社 化合物、光学フィルム及び光学フィルムの製造方法
JP6119109B2 (ja) * 2012-04-27 2017-04-26 住友化学株式会社 偏光板及び液晶表示装置
JP2018025765A (ja) * 2016-07-29 2018-02-15 住友化学株式会社 光学積層体

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013001830A (ja) * 2011-06-17 2013-01-07 Nitto Denko Corp 粘着シート
WO2017195506A1 (ja) * 2016-05-10 2017-11-16 日東電工株式会社 有機el表示装置用光学フィルム、有機el表示装置用偏光フィルム、有機el表示装置用粘着剤層付き偏光フィルム、及び有機el表示装置
WO2018042879A1 (ja) * 2016-09-05 2018-03-08 日東電工株式会社 ゴム系粘着剤組成物、ゴム系粘着剤層、粘着フィルム、ゴム系粘着剤層付光学フィルム、光学部材、及び画像表示装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022004138A1 (ja) * 2020-07-03 2022-01-06 住友化学株式会社 粘着剤層付き偏光板
WO2022004137A1 (ja) * 2020-07-03 2022-01-06 住友化学株式会社 粘着剤層付き偏光板
WO2022049909A1 (ja) * 2020-09-02 2022-03-10 日東電工株式会社 偏光板、位相差層付偏光板および有機エレクトロルミネセンス表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN111819478A (zh) 2020-10-23
KR20200130828A (ko) 2020-11-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2017195506A1 (ja) 有機el表示装置用光学フィルム、有機el表示装置用偏光フィルム、有機el表示装置用粘着剤層付き偏光フィルム、及び有機el表示装置
JP2020098317A (ja) 円偏光板およびそれを用いた画像表示装置
KR100939947B1 (ko) 위상차 점착제층, 그 제조 방법, 점착형 광학 필름, 그제조 방법 및 화상 표시 장치
JP6792382B2 (ja) ゴム系粘着剤組成物、ゴム系粘着剤層、粘着フィルム、ゴム系粘着剤層付光学フィルム、光学部材、及び画像表示装置
JP6860666B2 (ja) 偏光板
KR20130138135A (ko) 광학 필름의 활성화 처리 방법 및 제조 방법, 광학 필름 그리고 화상 표시 장치
WO2020044750A1 (ja) 円偏光板及びそれを用いた画像表示装置
JP2019159311A (ja) 偏光板およびそれを用いた画像表示装置
TWI803451B (zh) 橡膠系黏著劑組成物、橡膠系黏著劑層、附橡膠系黏著劑層之光學薄膜、光學構件、影像顯示裝置及橡膠系黏著劑層之製造方法
JP2018119075A (ja) 粘接着剤層付き透明導電性フィルム、積層体、及び有機el表示装置
WO2021124905A1 (ja) 複合偏光板及び液晶表示装置
TWI808224B (zh) 光學膜
WO2019176717A1 (ja) 円偏光板およびそれを用いた画像表示装置
WO2019176719A1 (ja) 積層体、複合偏光板および画像表示装置
JP2019155907A (ja) 積層体、複合偏光板および画像表示装置
WO2017110913A1 (ja) ゴム系粘着剤組成物、ゴム系粘着剤層、ゴム系粘着剤層付光学フィルム、光学部材、画像表示装置、及びゴム系粘着剤層の製造方法
WO2020026804A1 (ja) 光学フィルム
TW202405536A (zh) 光學積層體
WO2019176718A1 (ja) 偏光板およびそれを用いた画像表示装置
JP2024018330A (ja) 光学積層体
JP2024018945A (ja) 光学積層体
JP2022013327A (ja) 粘着剤層付き偏光板
CN117471599A (zh) 偏振板和图像显示装置
JP2010170131A (ja) 偏光板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210810

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20210810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210907

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211104

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220111