JP2010170131A - 偏光板 - Google Patents

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浩一 鷲見
Yoshikazu Miyamoto
佳和 宮本
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英明 熊沢
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Abstract

【課題】高温高湿環境下における寸法および接着強度の安定性に優れた偏光板の提供。
【解決手段】偏光膜の一面および/または他面に、極性基を有する粘着剤もしくは極性基を有する接着剤を介して、下記一般式(1)の単量体を重合した環状ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムが積層されていて、極性基を有する粘着剤もしくは接着剤が、アクリル酸エステルと極性基含有単量体とを含む単量体組成物を重合処理して得られる、アクリル酸エステル系重合体100重量部に対して極性基含有単量体が0.5〜15重量部であるアクリル酸エステル系重合体の水系分散体からなる水系粘着剤もしくは接着剤であり、下記一般式(1)において、R2およびR4で示される基の少なくとも一方が極性基である。
Figure 2010170131

【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)の構成要素などとして好適に使用される偏光板に関する。
最近において、液晶ディスプレイの構成要素として偏光板(偏光フィルム)が使用されている。
図1は、液晶ディスプレイ用の偏光板の具体的構成を示す模式図である。この偏光板は、偏光膜1と、その両面に接着層(図示省略)を介して積層形成された保護フィルム2A,2Bとにより構成され、一方の保護フィルム2Aの表面(液晶基板への貼付面)には、粘着剤層3を介して離型フィルム4が設けられている。
偏光板を構成する偏光膜1は、例えば、透明な高分子フィルムを一定方向に分子配列し、ミセルの間隙に二色性物質を吸着させることにより形成される。偏光膜を構成する高分子フィルムとしては、通常、ポリビニルアルコール系のフィルム(以下、「PVA系フィルム」ともいう。)が使用されている。
偏光板を構成する保護フィルム2A,2Bは、偏光膜1を保護することにより、その耐久性および機械的強度を担保するものであり、かかる保護フィルム2A,2Bとしては、従来、セルローストリアセテートの溶液流延フィルム(以下、「TACフィルム」という。)が使用されている。
然るに、TACフィルムを保護フィルムとして使用する偏光板においては下記のような問題がある。
(1)TACフィルムは防湿性が不十分であるため、これを保護フィルムとする偏光板は、高温高湿環境下に曝されることにより、偏光性能が急激に低下する。
(2)TACフィルムは、ガスバリヤー性が不十分であるため、これを透過して偏光膜に達した酸素によってヨウ素や二色性色素が変質しやすい。
(3)TACフィルムは、製膜性を確保するために添加された可塑剤に起因して、十分な耐熱性を有するものではない。
(4)TACフィルムは、十分な機械的強度を有するものではない。
(5)TACフィルムは、光弾性係数が大きいため、成形時の残留応力や外力の付加によって複屈折が大きくなりやすい。
(6)TACフィルムは、粘着剤に対する密着性が不十分である。
(7)TACフィルムは、アクリル系の粘着剤によって浸食されやすい。
上記のような問題を解決する手段として、PVA系フィルムからなる偏光膜の少なくとも一面に、アクリル酸エステル系重合体を有機溶媒に溶解してなるアクリル系粘着剤による接着層を介して、熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂シートが積層形成された複合フィルム(偏光板)が紹介されている(例えば特許文献1参照。)。
特開平5−212828号公報
しかしながら、上記公報に記載のものを含めて従来公知の偏光板は、高温高湿環境下に長時間にわたり曝されることにより寸法が大きく変化してしまうという問題がある。
また、従来公知の偏光板は、高温高湿環境下に長時間にわたり曝されることにより、偏光膜(PVA系フィルム)と、保護フィルムとの間の接着強度が大きく低下するという問題もある。
このように、従来公知の偏光板は、高温高湿環境下における耐久性が十分ではない。
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、透明性、耐久性、耐熱性、機械的強度などの諸特性に優れ、特に、高温高湿環境下における寸法安定性および接着強度(偏光膜と保護フィルムとの間の接着強度)の安定性に優れた偏光板を提供することにある。
本発明の偏光板は、偏光膜の一面および/または他面に、極性基を有する粘着剤もしくは極性基を有する接着剤を介して、下記一般式(1)で表される単量体を重合して得られる環状ポリオレフィン系樹脂(以下、「特定の環状ポリオレフィン系樹脂」ともいう。)からなるフィルムが積層形成されてなり、
前記極性基を有する粘着剤もしくは極性基を有する接着剤が、アクリル酸エステルと極性基含有単量体とを含む単量体組成物を重合処理して得られる、当該アクリル酸エステル系重合体100重量部に対して極性基含有単量体が0.5〜15重量部であるアクリル酸エステル系重合体の水系分散体からなる水系粘着剤もしくは水系接着剤であり、
下記一般式(1)において、R2 およびR4 で示される基の少なくとも一方が極性基であることを特徴とする。
Figure 2010170131
〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R1 とR2 またはR3 とR4 は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R1 またはR2 とR3 またはR4 とは互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。〕
本発明の偏光板においては、下記の形態が好ましい。
(1)一般式(1)において、R2 またはR4 で示される極性基が式:−(CH2 n COOR5 (式中、R5 は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、nは0〜5である。)で示される基であること。
(2)前記偏光膜が、ポリビニルアルコール系のフィルムからなること。
(3)前記極性基を有する粘着剤もしくは極性基を有する接着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体が、アクリル酸エステルと、極性基含有単量体と、ジエン系単量体とを含む単量体組成物を重合処理して得られること。
本発明の偏光板は、透明性、耐久性、耐熱性、機械的強度などの諸特性に優れており、特に、高温高湿環境下における寸法安定性および接着強度の安定性に優れている。
液晶ディスプレイ用の偏光板の具体的構成を示す模式図である。
以下、本発明の偏光板について説明する。
<偏光膜>
本発明の偏光板を構成する偏光膜は、高分子フィルムに、ヨウ素または二色性染料を吸着・配向させることにより形成することができる。
本発明の偏光板を構成する偏光膜(高分子フィルム)としては、PVA系フィルムからなることが好ましい。
PVA系フィルムからなる偏光膜としては、偏光子としての機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、PVAフィルムにヨウ素を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸して得られるPVA・ヨウ素系偏光膜;PVAフィルムに二色性の高い直接染料を拡散吸着させた後、一軸延伸して得られるPVA・染料系偏光膜;PVAフィルムにヨウ素を吸着させ延伸してポリビニレン構造としたPVA・ポリビニレン系偏光膜;PVAフィルムに金、銀、水銀、鉄などの金属を吸着させたPVA・金属系偏光膜;ヨウ化カリウムとチオ硫酸ナトリウムとを含むホウ酸溶液でPVAフィルムを処理した近紫外偏光膜;分子内にカチオン基を含有する変成PVAからなるPVA系フィルムの表面および/または内部に二色性染料を有する偏光膜などを挙げることができる。
PVA系フィルムからなる偏光膜の製造方法についても特に限定されるものではなく、例えば、PVA系フィルムを延伸後ヨウ素イオンを吸着させる方法;PVA系フィルムを二色性染料により染色後、延伸する方法;PVA系フィルムを延伸後、二色性染料で染色する方法;二色性染料をPVA系フィルムに印刷後、延伸する方法;PVA系フィルムを延伸後、二色性染料を印刷する方法などが挙げられる。より具体的には、ヨウ素をヨウ素カリウム溶液に溶解して、高次のヨウ素イオンを調製し、このヨウ素イオンをPVAフィルムに吸着させて延伸し、次いで1〜4%ホウ酸水溶液に浴温度30〜40℃で浸漬して偏光膜を製造する方法、あるいはPVAフィルムを同様にホウ酸処理して一軸方向に3〜7倍程度延伸し、0.05〜5%の二色性染料水溶液に浴温度30〜40℃で浸漬して染料を吸着し、80〜100℃で乾燥して熱固定して偏光膜を製造する方法などを挙げることができる。
<特定の環状ポリオレフィン系樹脂>
本発明においては、偏光膜の一面および/または他面に、特定の環状ポリオレフィン系樹脂からなるフィルム(以下、「特定の樹脂フィルム」ともいう。)が積層形成されて偏光板が構成される。
特定の環状ポリオレフィン系樹脂としては、下記(1)〜(6)に示す重合体を挙げることができる。
(1)上記一般式(1)で表される単量体(以下、「特定単量体」という。)の開環重合体。
(2)特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体。
(3)前記(1)または(2)の開環(共)重合体の水素添加重合体。
(4)前記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化した後、水素添加した(共)重合体。
(5)特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体。
(6)特定単量体と、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体との付加型重合体、並びに、その水素添加重合体。
<特定単量体>
特定の環状ポリオレフィン系樹脂を得るために好適に使用される特定単量体としては、上記一般式(1)中、R1 およびR3 が、それぞれ、水素原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜2の炭化水素基であり、R2 およびR4 が、それぞれ、水素原子または一価の有機基であって、R2 およびR4 の少なくとも一方が極性基であり、mが0〜3の整数、pが0〜3の整数であり、m+pが0〜4であることが好ましく、更に好ましくは0〜2、特に好ましくは1であるものを挙げることができる。
上記の特定単量体の有する極性基としては、ハロゲン原子およびハロゲン原子含有基、カルボキシル基、水酸基、アルキルエステル基や芳香族エステル基などのエステル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、エーテル基、アシル基、シリルエーテル基、チオエーテル基などが挙げられる。これらの中では、カルボキシル基、エステル基が好ましく、特にアルキルエステル基が好ましい。
また、極性基を有する特定単量体のうち、式:−(CH2 n COOR5 (式中、R5 は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、nは0〜5である。)で示される極性基(以下、「特定の極性基」という。)を有する特定単量体は、得られる環状ポリオレフィン系樹脂が、比較的に高いガラス転移温度と低い吸湿性とを有するものとなるとともに、偏光膜を構成する各種材料に対して優れた密着性を有するものとなる点で好ましい。特定の極性基を示す式において、R5 は炭素原子数1〜12、好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜2の炭化水素基であり、この炭化水素基がアルキル基であることが好ましい。また、nは通常0〜5であるが、nの値が小さいものほど、得られる環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くなるので好ましく、特にnが0である特定単量体は、その合成が容易である点で好ましい。
上記一般式(1)において、R1 またはR3 がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基の炭素数は1〜4であることが好ましく、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。また、R1 またはR3 で示されるアルキル基は、特定の極性基が結合している炭素原子と同一の炭素原子に結合されていることが特に好ましい。
また、上記一般式(1)において、mが1である特定単量体は、ガラス転移温度の高い環状ポリオレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。
上記一般式(1)で表わされる特定単量体の具体例としては、次のような化合物が挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−デセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ジメタノオクタヒドロナフタレン、
エチルテトラシクロドデセン、
6−エチリデン−2−テトラシクロドデセン、
トリメタノオクタヒドロナフタレン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,15 .02,7 .011,16 ]−4−エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ヘンエイコセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、 8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンなどを挙げることができる。
これらの特定単量体のうち、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、ペンタシクロ〔7.4.0.12,5 .19,12.08,13〕−3−ペンタデセンは、得られる特定の環状ポリオレフィン系樹脂および特定の樹脂フィルムの光学特性、成形加工性および耐熱性が一段と優れたものとなる点で好ましい。
<共重合性単量体>
特定の環状ポリオレフィン系樹脂を得るための開環重合工程においては、上記の特定単量体を単独で開環重合させてもよいが、当該特定単量体と共重合性単量体とを開環共重合させてもよい。
この場合に使用される共重合性単量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−3−デセン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素数としては、4〜20が好ましく、更に好ましくは5〜12である。
更にポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖に炭素−炭素間二重結合を含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に特定単量体を開環重合させてもよい。そして、この場合に得られる開環共重合体は、そのままでも用いられるが、これをさらに水素添加して得られた水素添加物は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料として有用である。
これらの共重合性単量体は、「特定単量体/共重合性単量体(重量比)」が、100/0〜50/50であることが好ましく、更に好ましくは100/0〜60/40となる割合で用いられる。
そして、この場合に得られる開環重合体の水素添加物は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料として有用である。
<飽和共重合体を構成する不飽和二重結合含有化合物>
飽和共重合体よりなる特定の環状ポリオレフィン系樹脂を得るために、前記特定単量体と共に使用される不飽和二重結合含有化合物としては、例えばエチレン、プロピレン、ブテンなど好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは2〜8のオレフィン系化合物を挙げることができる。
これらの不飽和二重結合含有化合物は、「特定単量体/不飽和二重結合含有化合物(重量比)」が、90/10〜40/60が好ましく、更に好ましくは85/15〜50/50となる割合で用いられる。
<シクロペンタジエン系単量体>
付加型重合体よりなる特定の環状ポリオレフィン系樹脂を得るために、前記特定単量体と共に使用されるシクロペンタジエン系単量体としては、例えばシクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−メチルシクロペンタジエンなどが挙げられる。
<ビニル化環状炭化水素系単量体>
付加型重合体よりなる特定の環状ポリオレフィン系樹脂を得るために、前記特定単量体と共に使用されるビニル化環状炭化水素系単量体としては例えば、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテンなどのビニルシクロペンテン系単量体、4−ビニルシクロペンタン、4−イソプロペニルシクロペンタンなどのビニルシクロペンタン系単量体などのビニル化5員環炭化水素系単量体、4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンなどのビニルシクロヘキセン系単量体、4−ビニルシクロヘキサン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキサンなどのビニルシクロヘキサン系単量体、スチレン、α―メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−フェニルスチレン、p−メトキシスチレン等のスチレン系単量体、d−テルペン、1−テルペン、ジテルペン、d−リモネン、1−リモネン、ジペンテン等のテルペン系単量体、4−ビニルシクロヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプテン等のビニルシクロヘプテン系単量体、4−ビニルシクロヘプタン、4−イソプロペニルシクロヘプタン等のビニルシクロヘプタン系単量体などが挙げられる。
<固有粘度>
特定の環状ポリオレフィン系樹脂について、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )は、0.2〜5dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜3dl/g、特に好ましくは0.4〜2dl/g、最も好ましくは0.4〜1.5dl/gである。固有粘度(ηinh )を本範囲内とすることで、靭性、成形性、レターデーション特性が一段と良好な環状ポリオレフィン系樹脂となる。
<分子量>
特定の環状ポリオレフィン系樹脂の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が10,000〜50,000であることが好ましく、更に好ましくは12,000〜30,000、特に好ましくは15,000〜25,000とされる。また、重量平均分子量(Mw)が20,000〜250,000であることが好ましく、更に好ましくは24,000〜150,000、特に好ましくは30,000〜125,000とされる。分子量分布(Mw/Mn)は2.0〜5.0であることが好ましく、更に好ましくは2.5〜5.0、特に好ましくは2.5を超え4.0以下である。また、分子量5,000以下の割合が15%以下であることが好ましく、更に好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。また、分子量300,000以上の割合が15%以下であることが好ましく、更に好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。ここで各割合は、GPC測定チャートにおいて横軸を分子量としたときのチャートエリア面積(積分値)に相当する。
数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を上記範囲とすることで、靭性が強く十分な強度を有する樹脂フィルムを構成することができるとともに、当該樹脂フィルム(特定の樹脂フィルム)の複屈折(レターデーション)が小さくなり良好な光学特性を発揮することができる。
また、分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲内とすることで、靭性が強く十分な強度を有する樹脂フィルムを構成することができるとともに、当該樹脂フィルム(特定の樹脂フィルム)の複屈折(レターデーション)が一段と小さくなり良好な光学特性を発揮することができる。
さらに、分子量5,000以下の成分の割合が15%を超える場合には、得られる樹脂フィルムの靭性が低いものとなるとともに、連続成形中に該成分が金型内に析出して樹脂フィルムの特性を低下させる傾向があり、一方、分子量300,000以上の成分の割合が15%を超える場合には、樹脂フィルムの複屈折が大きくなることから好ましくない。
<ガラス転移温度(Tg)>
特定の環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、100℃以上200℃以下であることが好ましく、更に好ましくは120℃以上180℃以下、特に好ましくは130℃以上175℃以下である。ガラス転移温度(Tg)が100℃未満であると十分な耐熱性が得られず、一方、ガラス転移温度(Tg)が200℃を超えると成形加工性が著しく低下してしまう。
さらに、特定の環状ポリオレフィン系樹脂のゲル含有量は0.1重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下、最も好ましくは0.001重量%以下である。ゲル含有量を0.1重量%以下とすることで成形時のシルバーストリークの発生を抑えることができ、高歩留まりで樹脂フィルムを得ることが可能となる。
また、特定の環状ポリオレフィン系樹脂の加熱による揮発成分の割合としては、例えば360℃に加熱した場合の前後の重量変化が、0.3重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.05重量%以下とされる。当該重量変化を0.3重量%以下とすることによりシルバーストリークの抑制効果をより一層発揮することができる。
<他の樹脂成分>
本発明の偏光板を構成する特定の樹脂フィルムは、特定の環状ポリオレフィン系樹脂のみからなるものであってもよいが、炭化水素樹脂、ポリスチレンオリゴマー、ロジン樹脂などの他の樹脂成分が含有されて構成されていてもよい。
このとき、他の樹脂成分の含有量としては、特定の環状ポリオレフィン系樹脂100重量部あたり、60重量部以下とされ、好ましくは30重量部以下とされる。
これらの他の樹脂成分は、常温で固体のものであって、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が20,000以下、好ましくは200〜20,000のものであることが好ましい。
ここで、これらのポリスチレン換算重量平均分子量が過大であると、特定の環状ポリオレフィン系樹脂との相溶性が悪くなり、得られる樹脂混合物の透明性が低減するので好ましくない。また、常温で液状の炭化水素樹脂を用いると、得られる樹脂混合物の機械的強度が低下し、しかも、当該炭化水素樹脂が樹脂フィルムの表面にブリードするので好ましくない。
かかる炭化水素樹脂としては、C5 系樹脂、C9 系樹脂、C5 系/C9 系混合樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、ビニル置換芳香族系化合物の重合体系樹脂、オレフィン/ビニル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、シクロペンタジエン系化合物/ビニル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、前記樹脂の水素添加物などを挙げることができる。
ロジン樹脂としては、例えばアピエチン酸、ピマル酸などと、その誘導体としての水添体、不均化体、重合体、エステル化体などが挙げられる。
<充填剤および添加剤>
特定の環状ポリオレフィン系樹脂には、機械的性質を向上させる目的で、充填剤を添加することができる。かかる充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、金属フレーク、ガラスビーズ、ワラストナイト、ロックフィラー、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどを挙げることができ、これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、特定の環状ポリオレフィン系樹脂には、公知の難燃剤、抗菌剤、木粉、カップリング剤、酸化防止剤、老化防止剤、熱劣化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、着色剤、滑剤、シリコーンオイル、発泡剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などの各種添加剤を配合することもできる。
ここに、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリルニトリル系紫外線吸収剤などを例示することができる。また、レベリング剤としては、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤など塗料用レベリング剤を例示することができる。
<他の樹脂成分、充填剤および添加剤の添加方法>
上記の他の樹脂成分、充填剤、添加剤等を特定の環状ポリオレフィン系樹脂に配合する方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法、例えば、
(i)二軸押出機、ロール混練機などを用いて混合することによりペレット状の樹脂組成物を得る方法、
(ii)溶液の状態にして混合し、溶媒を除去することにより樹脂組成物を得る方法を挙げることができる。
前記(i)の製造方法においては、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダーなどの溶融混練機を用いることができる。
混練温度は、好ましくは200〜350℃、更に好ましくは240〜320℃である。また、各成分を混練りするに際しては、各成分を一括して混練りしても数回に分けて添加しながら混練りしてもよい。
<水素添加率>
特定の環状ポリオレフィン系樹脂が上記(3)、(4)、(6)に示した水素添加重合体である場合において、その水素添加率は、通常90重量%以上とされ、好ましくは95重量%以上、更に好ましくは99重量%以上とされる。水素添加率を90重量%以上とすることにより、最終的に得られる偏光板の耐熱劣化性、耐光劣化性などを向上させることができる。
特定の環状ポリオレフィン系樹脂は、透明性、耐熱性、耐湿性、機械的強度、粘着剤に対する耐蝕性などに優れている。
そして、特定の環状ポリオレフィン系樹脂から得られる特定の樹脂フィルム(厚さ25μm)は、その吸湿性が通常0.1〜5%とされ、好ましくは0.15〜3%とされる。 また、常温高湿(25℃、相対湿度90%)の環境下における当該特定の樹脂フィルムの水蒸気透過度は20〜200g/(m2 ・24Hr)と低いものである。
さらに、当該特定の樹脂フィルムの光弾性係数は、1×10-7〜7×10-7cm2 /dyneと小さいため、成形時の残留応力や外力の付加によっても複屈折(レターデーション)が変化しにくく、光学的な均一性にも優れている。
<特定の樹脂フィルムの形成方法>
本発明の偏光板を構成する特定の樹脂フィルムは、溶液流延法により形成してもよいが、特定の環状ポリオレフィン系樹脂が光弾性係数の小さい樹脂であるため、溶融成形法で形成しても、複屈折が十分に小さいフィルムを得ることができる。
<溶液流延法>
溶液流延法によって特定の樹脂フィルムを形成する場合において、特定の環状ポリオレフィン系樹脂を溶解させるために使用する溶媒としては、沸点が100℃以上のものであることが好ましく、更に好ましくは120℃以上とされる。特に、25℃において固型分濃度10重量%以上としても、特定の環状ポリオレフィン系樹脂を均一に溶解できる溶媒が好ましい。
このような溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、クロロベンゼン等が挙げられ、その中でも、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼンが好ましい。また、特定の環状ポリオレフィン系樹脂を溶解する限りにおいて、これらの溶媒に、シクロヘキサン、クロロホルム、ベンゼン、テトラヒドロフランやジオキサン等の環状エーテル、あるいはn−ヘキサンやn−オクタン等の直鎖の炭化水素等を含有させてもよい。これらの条件を良好に満たすものとしては、沸点が100℃以上のキシレン、エチルベンゼン等の芳香族系溶剤を50%以上含有するものがある。
溶液流延法において使用する溶液(樹脂溶液)中の樹脂濃度は、通常5〜60重量%とされ、好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは20〜45重量%とされる。溶液中の樹脂濃度が低過ぎる場合には、当該溶液の粘度が低くなって、フィルムの厚さの調整が困難となる。一方、溶液中の樹脂濃度が高過ぎる場合には、当該溶液の粘度が高くなって製膜性が低下し、また、外観の良好なフィルムを形成することができない。
樹脂溶液を流延する方法は、特に限定されず、一般の溶液流延法を用いることができる。具体的には、樹脂溶液をバーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターナイフ、メイア・バー、ロール・コート、ダイ・コートなどを用いて、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱材料、スチールベルト、金属箔などの平板またはロール上に流延する方法を挙げることができる。
溶液流延法により形成されたフィルムは、残留溶媒濃度が2重量%以下となるまで乾燥する。残留溶媒濃度が高すぎる場合には、得られるフィルムが耐熱性の良好なものとならず、また、高温環境下に曝されたときに、残留溶媒が蒸発して周囲に悪影響を与えたり、変形の原因となったりする。
溶液流延法により形成されたフィルムの乾燥処理は、2段階に分けて実施することが好ましい。まず、第1段階の乾燥として、平板またはロール上のフィルムを30〜100℃、好ましくは40〜80℃の温度で残留溶媒温度が10重量%以下、好ましくは5重量%以下になるまで乾燥する。この場合、乾燥温度が高すぎると、溶媒の揮発に際してフィルムが発泡することがある。次いで、平板またはロールからフィルムを剥離し、第2段階の乾燥として、室温から60℃以上、好ましくは70℃から樹脂のガラス転移温度(Tg)までの温度に昇温させ、残留溶媒濃度が2重量%以下、好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下になるまで乾燥する。この乾燥温度が低すぎると乾燥が進まず、温度が高すぎると発泡する。
第1段階の乾燥終了後にフィルムを平板またはロールから剥離し、第2段階の乾燥を行ってもよいし、第1段階の乾燥終了後、一旦冷却してフィルムを平板またはロールから剥離し、第2段階の乾燥を行ってもよい。
<溶融成形法>
溶融成形法によって特定の樹脂フィルムを形成する具体的方法としては、Tダイを用いる溶融押出法、インフレーション法などの溶融押出法、カレンダー法、熱プレス法、射出成形法などを挙げることができる。
これらのうち、形成されるフィルムの厚さのバラツキが小さく、10〜500μm程度の厚さのフィルムを容易に加工することができ、かつ、レターデーションの絶対値およびそのバラツキを小さくすることができる点から、Tダイを用いる溶融押出法が好ましい。
溶融成形法の条件としては、特定の環状ポリオレフィン系樹脂と同程度のガラス転移温度(Tg)を有する光学材料に適用される一般的な条件と同様であり、例えば、Tダイを用いる溶融押出法では、樹脂温度240〜300℃程度とし、引き取りロールの温度を100〜150℃程度の比較的高温として、樹脂フィルムを徐冷できる条件を選択することが好ましい。また、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、ダイには滞留部が極力少なくなるような構造が必要であり、ダイの内部やリップにキズ等が極力ないものを用いることが好ましい。
<特定の樹脂フィルムの厚さ>
以上のようにして形成される特定の樹脂フィルムの厚さは、通常5〜500μmとされ、好ましくは10〜200μm、更に好ましくは20〜100μmとされる。樹脂フィルムの厚さが5μm未満である場合には、十分な強度を有するものとならない。一方、樹脂フィルムの厚さが500μmを超える樹脂フィルムは、良好な外観を有するものとならない。さらに溶液流延法でフィルムを形成する場合に、乾燥処理が困難となる。
ここに、TACフィルムによって所期の性能(耐湿性、耐熱性および強度)を達成するためには、通常80μm以上の厚みを必要とするのに対し、特定の樹脂フィルムによれば50μm程度の厚みによって同等程度の性能を発揮することができる。このように、特定の樹脂フィルムは、薄肉であっても、偏光膜の保護フィルムとして機能を十分に有するものであり、これにより、液晶ディスプレイの視覚依存性の改良にも寄与することができる。
特定の樹脂フィルムの厚さのバラツキとしては、平均厚さの±5%以内とされ、好ましくは±3%以内とされる。厚さのバラツキが大きいと、レターデーションのバラツキなどの原因となり、偏光膜の保護フィルムとして好ましくない。
特定の樹脂フィルムの光線透過率は、通常80%以上とされ、好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上とされる。
特定の樹脂フィルムの耐熱性は、これを構成する特定の環状ポリオレフィン系樹脂の種類(ガラス転移温度(Tg))により決定され、また、当該特定の樹脂フィルムが溶液流延法により形成される場合には、残留溶媒濃度にも依存する。
<極性基を有する粘着剤もしくは接着剤>
特定の樹脂フィルムは、極性基を有する粘着剤もしくは極性基を有する接着剤(以下、これらをまとめて「極性基含有粘接着剤」ともいう。)による層、例えば、極性基含有粘接着剤の塗膜から形成される層を介して、偏光膜の一面および/または他面に積層形成される。
極性基含有粘接着剤の有する極性基としては、ハロゲン原子およびハロゲン原子含有基、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アルキルエステル基や芳香族エステル基などのエステル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、エーテル基、アシル基、シリルエーテル基、チオエーテル基などが挙げられる。これらの中では、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、エステル基が好ましい。
また、極性基含有粘接着剤は、水系粘着剤もしくは水系接着剤であることが好ましい。 特定の樹脂フィルムを貼り付けるために使用する好適な極性基含有粘接着剤としては、アクリル酸エステル系重合体の水系分散体を挙げることができる。
極性基含有粘接着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体は、アクリル酸エステルと、極性基含有単量体とを含む単量体組成物を重合処理することにより得ることができる。 ここに、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどを挙げることができる。
また、極性基含有単量体の有する極性基としては、ハロゲン原子およびハロゲン原子含有基、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アルキルエステル基や芳香族エステル基などのエステル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、エーテル基、アシル基、シリルエーテル基、チオエーテル基などを挙げることができ、これらのうち、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、エステル基が好ましく、水酸基およびカルボキシル基が特に好ましい。好ましい極性基含有単量体の具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸などを挙げることができる。
アクリル酸エステル系重合体の合成に供されるアクリル酸エステルと、極性基含有単量体との比率としては、アクリル酸エステル系重合体100重量部に対して、極性基含有単量体が0.5〜15重量部とされる。
さらに、アクリル酸エステル系重合体の合成に供される単量体として、ジビニルベンゼンなどのジエン系単量体を使用することが好ましい。アクリル酸エステルと、極性基含有単量体と、ジエン系単量体とを含む組成物を重合処理して得られるアクリル酸エステル系重合体は、高い強度の接着層を形成することができる。ここに、ジエン系単量体の使用量としては、アクリル酸エステル系重合体100重量部に対して0〜10重量部とされる。ジエン系単量体の使用量が10重量部を超えると、粘着剤層もしくは接着剤層が硬くなる。
アクリル酸エステル系重合体を得るための重合法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などを挙げることができる。
なお、重合溶媒に、トルエン、キシレンなどの非極性溶媒を用いると、得られる粘着剤を使用する際に、被粘着体である偏光膜と樹脂フィルムとの間にずれ等を生じやすく、好ましくない。
極性基含有粘接着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体の分子量としては、GPC分析により測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が5,000〜500,000であることが好ましく、更に好ましくは10,000〜200,000とされ、重量平均分子量(Mw)が15,000〜1,000,000であることが好ましく、更に好ましくは20,000〜500,000とされ、その分子量分布(Mw/Mn)は1.2〜5であることが好ましく、更に好ましくは1.4〜3.6とされる。
本発明で使用する極性基含有粘接着剤には、イソシアネートやブチル化メラミンなどの架橋剤、紫外線吸収剤などを添加することができる。ここに、極性基含有粘接着剤への架橋剤の添加は、通常、当該極性基含有粘接着剤を塗布する直前に行われる。
<偏光板の製造方法>
本発明の偏光板は、PVA系フィルムなどからなる偏光膜の一面および/または他面に、特定の樹脂フィルムを極性基含有粘接着剤を使用して貼り合わせ、これを加熱し圧着することにより、偏光膜と特定の樹脂フィルムとを接着(複合化)させることにより製造することができる。
本発明で使用する極性基含有粘接着剤は、通常、特定の樹脂フィルムの表面に塗布される。特定の樹脂フィルムの表面に極性基含有粘接着剤を塗布する方法としては、平滑性の良好な離型フィルム(セパレーター)の表面に極性基含有粘接着剤を塗布し、塗膜を乾燥した後、当該塗膜を特定の樹脂フィルムの表面に転写する転写法を挙げることができる。
離型フィルムの表面への極性基含有粘接着剤の塗布方法としては、刷毛を用いる方法、ガンスプレーを用いる方法、スピンコーターを用いる方法、バーコーターを用いる方法などを例示することができる。これらのうち、均一な厚みの塗膜を容易に形成することができる観点からバーコーターを用いる方法が好ましい。
極性基含有粘接着剤の塗膜の厚さは、通常0.1〜50μmとされ、好ましくは0.5〜10μmとされる。
塗膜の乾燥条件としては、40〜90℃で1〜100分間とされ、好ましくは50〜80℃で2〜30分間とされる。
なお、本発明で使用する極性基含有粘接着剤は、有機溶媒系のアクリル系の粘着剤とは異なり、特定の環状ポリオレフィン系樹脂を浸食するものではないため、特定の樹脂フィルムの表面に直接塗布しても、当該特定の樹脂フィルムに光学的バラツキなどを発生させることはない。
偏光膜と特定の樹脂フィルムとを接着させるための加熱・圧着処理としては、例えば、50〜120℃(好ましくは80〜100℃)で1〜5分間(好ましくは1.5〜3分間)加熱し、次いで、1〜10kg/cm2 (好ましくは4〜7kg/cm2 )の圧力で加圧する処理を挙げることができる。これにより、接着強度に優れた複合フィルム(本発明の偏光板)を得ることができる。
本発明の偏光板は、(1)偏光膜の保護フィルムとして特定の樹脂フィルムを使用していること、(2)偏光膜と、特定の樹脂フィルムとの間に極性基含有粘接着剤が介在していることにより、低複屈折性、透明性、耐久性、耐熱性、機械的強度などの諸特性に優れており、しかも、高温高湿環境下における寸法安定性および接着強度(偏光膜と保護フィルムとの間の接着強度)の安定性に優れている。
本発明の偏光板を構成する特定の樹脂フィルムは、偏光膜の片面(一面または他面)のみに積層形成されていてもよいが、偏光膜の両面(一面および他面)に積層形成されていることが好ましい。また、偏光膜の一面のみに特定の樹脂フィルムを積層形成する場合には、当該偏光膜の他面に、従来公知の樹脂フィルムを積層形成していてもよい。
本発明の偏光板(特定の樹脂フィルム−偏光膜−特定の樹脂フィルム)の一面または他面(例えば液晶基板への貼付面)には、粘着剤層を介して、離型紙または離型フィルムが設けられていることが好ましい。
本発明の偏光板は、液晶ディスプレイ(LCD)の構成要素として特に好適に用いることができるが、サングラス、カメラ用フィルター、スポーツゴーグル、照明用グローブ、自動車ヘッドライトの防眩被覆、室内透視防止、光量調整フィルター、蛍光表示コントラスター、透光度連続変化板、顕微鏡用偏光フィルムなどの分野にも利用することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下において、「部」および「%」は、特に断りのない限り「重量部」および「重量%」を意味する。
<合成例1>
8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12.5 ,17.10]−3−ドデセン(特定単量体)250部と、1−ヘキセン(分子量調節剤)18部と、トルエン750部とを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(1.5モル/l)のトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)のトルエン溶液(濃度0.05モル/l)3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環重合体について、30℃のクロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )は0.65dl/gであった。
このようにして得られた開環重合体溶液4,000部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(C6 5 3 3 0.48部を添加し、水素ガス圧100kg/cm2 、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱攪拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(特定の環状ポリオレフィン系樹脂)を得た。
このようにして得られた水素添加重合体(以下、「樹脂(a)」という。)について 1H−NMRを用いて水素添加率を測定したところ99.9%であった。また、当該樹脂(a)についてDSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ170℃であった。また、当該樹脂(a)について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は39,000、重量平均分子量(Mw)は116,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.97であった。また、当該樹脂(a)について、23℃における飽和吸水率を測定したところ0.4%であった。また、当該樹脂(a)について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh )を測定したところ0.67dl/gであった。
<合成例2>
6−メチル−1,4,5,8−ジメタノ―1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレンに、重合触媒としてトリエチルアルミニウムの15%シクロヘキサン溶液10部と、トリエチルアミン5部と、4塩化チタンの20%シクロヘキサン溶液10部とを添加して、シクロヘキサン中で開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。
このようにして得られた開環重合体溶液をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液にニッケル触媒を添加し、水素ガス圧40kg/cm2 、反応温度165℃の条件下で、4時間加熱攪拌して水素添加反応を行った。
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、粉末状の水素添加重合体を得た。
このようにして得られた水素添加重合体(以下、「樹脂(b)」という。)について 1H−NMRを用いて水素添加率を測定したところ99.9%であった。また、当該樹脂(b)についてDSC法によりガラス転移温度(Tg)を測定したところ142℃であった。また、当該樹脂(b)について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は40,000、重量平均分子量(Mw)は118,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.95であった。また、当該樹脂(b)について、23℃における飽和吸水率を測定したところ0.05%であった。また、当該樹脂(b)について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh )を測定したところ0.69dl/gであった。
<調製例1>
反応容器に蒸留水250部を仕込み、当該反応容器に、アクリル酸ブチル90部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8部と、ジビニルベンゼン2部と、オレイン酸カリウム0.1部とを添加し、これをテフロン製の攪拌羽根により攪拌して分散処理した。
当該反応容器内を窒素置換した後、この系を50℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.2部を添加して重合を開始した。2時間経過後、過硫酸カリウム0.1部を更に添加し、この系を80℃まで昇温し、1時間にわたり重合反応を継続させて重合体分散液を得た。 次いで、エバポレーターを用いて、固形分濃度が70%になるまでこの重合体分散液を濃縮することにより、アクリル酸エステル系重合体の水系分散体からなる水系粘着剤(極性基を有する粘着剤)を得た。
このようにして得られた水系粘着剤(以下、「水系粘着剤(A−1)」という。)を構成するアクリル酸エステル系重合体について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は69,000、重量平均分子量(Mw)は135,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.96であった。また、水系粘着剤(A−1)について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh )を測定したところ1.2dl/gであった。
<調製例2>
2−ヒドロキシエチルメタクリレートに代えて、メタクリル酸8部を使用したこと以外は調製例1と同様にして、アクリル酸エステル系重合体の水系分散体からなる水系粘着剤(極性基を有する粘着剤)を得た。
このようにして得られた水系粘着剤(以下、「水系粘着剤(A−2)」という。)を構成するアクリル酸エステル系重合体について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は65,000、重量平均分子量(Mw)は140,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.15であった。また、水系粘着剤(A−2)について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh )を測定したところ1.1dl/gであった。
<比較調製例1>
オートクレーブにトルエン180部を仕込み、当該オートクレーブに、アクリル酸ブチル90部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部とを添加した。当該オートクレーブ内を窒素置換した後、この系を80℃まで昇温し、ラウロイルパーオキサイド0.2部を添加し、更にこの系を110℃まで昇温して重合を開始した。2時間経過後、この系を135℃まで昇温し、2時間にわたり重合反応を継続させて重合体溶液を得た。
次いで、エバポレーターを用いて、固形分濃度が70%になるまでこの重合体溶液を濃縮することにより、アクリル酸エステル系重合体のトルエン溶液からなる有機溶媒系の粘着剤を得た。
このようにして得られた粘着剤(以下、「溶液型粘着剤(B−1)」という。)を構成するアクリル酸エステル系重合体について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)により、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は39,000、重量平均分子量(Mw)は94,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.41であった。また、溶液型粘着剤(B−1)について、30℃のクロロホルム中で固有粘度(ηinh )を測定したところ0.55dl/gであった。
<作製例1>
合成例1で得られた樹脂(a)を、Tダイを備えた押出機による溶融押出法により、厚さ0.1mmの樹脂フィルム(特定の樹脂フィルム)を作製した。
ここに、溶融温度を300℃とし、引取ロールの温度を150℃とした。
このようにして得られた樹脂フィルム(以下、「樹脂フィルム(a−1)」という。)について、ダイヤル式厚さゲージを使用して厚さのバラツキを測定したところ、平均厚さ(0.1mm)の±2%以内であった。
<作製例2>
合成例1で得られた樹脂(a)を、Tダイを備えた押出機による溶融押出法により、厚さ0.05mmの樹脂フィルム(特定の樹脂フィルム)を作製した。
ここに、溶融温度を300℃とし、引取ロールの温度を150℃とした。
このようにして得られた樹脂フィルム(以下、「樹脂フィルム(a−2)」という。)について、ダイヤル式厚さゲージを使用して厚さのバラツキを測定したところ、平均厚さ(0.05mm)の±5%以内であった。
<比較作製例1>
ポリメチルメタクリレート樹脂「アクリペットVH」(三菱レーヨン(株)製)を、Tダイを備えた押出機による溶融押出法により、厚さ0.05mmの樹脂フィルム(比較用の樹脂フィルム)を作製した。
ここに、溶融温度を230℃とし、引取ロールの温度を80℃とした。
このようにして得られた樹脂フィルム(以下、「樹脂フィルム(PMMA)」という。)について、ダイヤル式厚さゲージを使用して厚さのバラツキを測定したところ、平均厚さ(0.05mm)の±5%以内であった。
<比較作製例2>
合成例2で得られた樹脂(b)を、Tダイを備えた押出機による溶融押出法により、厚さ0.05mmの樹脂フィルム(比較用の樹脂フィルム)を作製した。
ここに、溶融温度を270℃とし、引取ロールの温度を130℃とした。
このようにして得られた樹脂フィルム(以下、「樹脂フィルム(b−1)」という。)について、ダイヤル式厚さゲージを使用して厚さのバラツキを測定したところ、平均厚さ(0.05mm)の±5%以内であった。
<実施例1>
調製例1で得られた水系粘着剤(A−1)を、離型フィルム「バイナシート」(藤森工業社製)の表面に、バーコーターを用いて塗布し、厚さ0.02mmの塗膜を形成し、この塗膜を80℃で2分間乾燥することにより、転写フィルムを作製した。次いで、当該転写フィルムの乾燥塗膜〔水系粘着剤(A−1)〕を、作製例1で得られた厚さ0.1mmの樹脂フィルム(a−1)の表面に転写した。
このようにして水系粘着剤(A−1)の乾燥塗膜が転写形成された樹脂フィルム(a−1)を2枚用意し、これらの樹脂フィルム(a−1)の各々を、水系粘着剤(A−1)の乾燥塗膜を介して、ヨウ素を吸着させて一軸延伸して得られたPVA・ヨウ素系の偏光膜の一面および他面に貼り付けることにより、樹脂フィルム(a−1)と、乾燥塗膜と、偏光膜と、乾燥塗膜と、樹脂フィルム(a−1)との積層体を作製した。
次いで、この積層体を、90℃で2分間加熱し、5kg/cm2 の条件で加圧することにより、本発明の偏光板を製造した。
<実施例2>
水系粘着剤(A−1)に代えて、調製例2で得られた水系粘着剤(A−2)を使用したこと以外は実施例1と同様にして本発明の偏光板を製造した。
<実施例3>
樹脂フィルム(a−1)に代えて、作製例2で得られた厚さが0.05mmの樹脂フィルム(a−2)を使用したこと以外は実施例1と同様にして本発明の偏光板を製造した。
<比較例1>
樹脂フィルム(a−1)に代えて、比較作製例1で得られた厚さ0.05mmの樹脂フィルム(PMMA)を使用したこと以外は実施例1と同様にして比較用の偏光板を製造した。
<比較例2>
樹脂フィルム(a−1)に代えて、比較作製例2で得られた厚さ0.05mmの樹脂フィルム(b−1)を使用したこと以外は実施例1と同様にして比較用の偏光板を製造した。
<比較例3>
水系粘着剤(A−1)に代えて、比較調製例1で得られた溶液型粘着剤(B−1)を使用したこと以外は実施例1と同様にして比較用の偏光板を製造した。
<比較例4>
樹脂フィルム(a−1)に代えて樹脂フィルム(b−1)を使用し、水系粘着剤(A−1)に代えて溶液型粘着剤(B−1)を使用したこと以外は実施例1と同様にして比較用の偏光板を製造した。
<偏光板の評価>
実施例1〜3および比較例1〜4により得られた偏光板の各々について、(1)偏光膜と樹脂フィルムとの間の初期接着強度(C0 )、(2)高温高湿環境に曝された後の接着強度(C)、(3)高温高湿環境に曝されたことによる寸法変化率を測定した。ここに、「高温高湿環境」としては、恒温恒湿試験機(タバイエスペック社)により、温度85℃、相対湿度80%の環境を実現し、この環境下に、偏光板の各々を300時間放置した。 また、「接着強度」は、ピール剥離試験機(JIS Z−0237)を用いて測定し、「寸法変化率」は、偏光板を短冊状(100mm×30mm)に裁断し、高温高湿環境に放置した前後の寸法(長手方向および幅方向)をノギスを用いて測定することにより求めた。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2010170131
1 偏光膜
2A,2B 保護フィルム
3 粘着剤層
4 離型フィルム

Claims (3)

  1. 偏光膜の一面および/または他面に、極性基を有する粘着剤もしくは極性基を有する接着剤を介して、下記一般式(1)で表される単量体を重合して得られる環状ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムが積層形成されてなり、
    前記極性基を有する粘着剤もしくは極性基を有する接着剤が、アクリル酸エステルと極性基含有単量体とを含む単量体組成物を重合処理して得られる、当該アクリル酸エステル系重合体100重量部に対して極性基含有単量体が0.5〜15重量部であるアクリル酸エステル系重合体の水系分散体からなる水系粘着剤もしくは水系接着剤であり、
    下記一般式(1)において、R2 およびR4 で示される基の少なくとも一方が極性基であることを特徴とする偏光板。
    Figure 2010170131
    〔式中、R1 〜R4 は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R1 とR2 またはR3 とR4 は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R1 またはR2 とR3 またはR4 とは互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。〕
  2. 前記偏光膜が、ポリビニルアルコール系のフィルムからなることを特徴とする請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記極性基を有する粘着剤もしくは極性基を有する接着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体が、アクリル酸エステルと、極性基含有単量体と、ジエン系単量体とを含む単量体組成物を重合処理して得られることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偏光板。
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