JP2024018945A - 光学積層体 - Google Patents

光学積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2024018945A
JP2024018945A JP2023077869A JP2023077869A JP2024018945A JP 2024018945 A JP2024018945 A JP 2024018945A JP 2023077869 A JP2023077869 A JP 2023077869A JP 2023077869 A JP2023077869 A JP 2023077869A JP 2024018945 A JP2024018945 A JP 2024018945A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
liquid crystal
group
retardation
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023077869A
Other languages
English (en)
Inventor
智 永安
Satoshi Nagayasu
伸行 幡中
Nobuyuki Hatanaka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to TW112120724A priority Critical patent/TW202405536A/zh
Priority to CN202310898671.3A priority patent/CN117471594A/zh
Priority to KR1020230097318A priority patent/KR20240016909A/ko
Publication of JP2024018945A publication Critical patent/JP2024018945A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】重合性液晶化合物を用いて形成した液晶偏光子及び液晶位相差層を備えた光学積層体において、薄型化を図りつつも優れた耐衝撃性を実現する。【解決手段】光学積層体は、保護層、液晶偏光子、第1貼合層、第1液晶位相差層、第2貼合層、第2液晶位相差層、及び第3貼合層をこの順に含む。液晶偏光子は、二色性色素と重合性液晶化合物とを含む第1液晶組成物の硬化物層を含む。第1貼合層及び第2貼合層は、いずれも活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層である。第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層は、いずれも重合性液晶化合物を含む第2液晶組成物の硬化物層を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、光学積層体に関する。
有機EL表示装置として、表示画面を折曲げたり巻回したりすることが可能なフレキシブル表示装置が知られている。有機EL表示装置には、外光反射を抑制するために、偏光素子と位相差素子とを積層した円偏光板が用いられる。フレキシブル表示装置に適用される円偏光板には、屈曲部での光学特性の低下を低減し、屈曲によってクラックを生じにくくすることが求められる(例えば、特許文献1等)。
国際公開第2016/158300号
円偏光板を薄型化すると、有機EL表示装置の厚みを小さくすることができ、有機EL表示装置の折曲げ性等を向上させやすい。そのため、円偏光板を構成する位相差素子として、樹脂フィルムに代えて液晶化合物を用いて形成した液晶位相差層を用いる等により、円偏光板を薄型化することがある。しかし、円偏光板を薄型化すると強度が低下しやすいため、表示装置の表示画面で行われるタッチパネル操作のような外部から受ける衝撃により、円偏光板にクラックが生じやすくなる。特に偏光素子として液晶化合物を用いて形成した液晶偏光子を用いた場合に、円偏光板にクラックが生じやすいことが見出された。
本発明は、重合性液晶化合物を用いて形成した液晶偏光子及び液晶位相差層を備えた光学積層体において、薄型化を図りつつも優れた耐衝撃性を実現することを目的とする。
本発明は、以下の光学積層体を提供する。
〔1〕 保護層、液晶偏光子、第1貼合層、第1液晶位相差層、第2貼合層、第2液晶位相差層、及び第3貼合層をこの順に含む光学積層体であって、
前記液晶偏光子は、二色性色素と重合性液晶化合物とを含む第1液晶組成物の硬化物層を含み、
前記第1貼合層及び前記第2貼合層は、いずれも活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層であり、
前記第1液晶位相差層及び前記第2液晶位相差層は、いずれも重合性液晶化合物を含む第2液晶組成物の硬化物層を含む、光学積層体。
〔2〕 前記第1貼合層は、ラジカル重合性接着剤組成物の硬化物層である、〔1〕に記載の光学積層体。
〔3〕 前記第2貼合層は、ラジカル重合性接着剤組成物の硬化物層である、〔1〕又は〔2〕に記載の光学積層体。
〔4〕 前記保護層、前記液晶偏光子、前記第1液晶位相差層、及び前記第2液晶位相差層の厚みは、いずれも20.0μm未満である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の光学積層体。
〔5〕 前記第3貼合層のガラス転移温度は、25℃以下である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の光学積層体。
〔6〕 前記保護層の前記液晶偏光子側とは反対側の表面から、前記第3貼合層の前記第2液晶位相差層側とは反対側の表面までの距離をD1[μm]とするとき、
前記第3貼合層の厚みD2[μm]は、D1の40%以上70%以下である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の光学積層体。
〔7〕 さらに、前記液晶偏光子の前記第1貼合層側の表面を覆うオーバーコート層(第2保護層)を有する、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の光学積層体。
本発明によれば、重合性液晶化合物を用いて形成した液晶偏光子及び液晶位相差層を備えることによって薄型化を図りながらも、耐衝撃性に優れた光学積層体を提供することができる。
本発明の実施形態に係る光学積層体の一例を模式的に示す断面図である。 実施例の屈曲性試験の方法を説明する概略図である。 実施例で用いた端面加工装置を模式的に示す概略斜視図である。
以下、図面を参照して光学積層体の好ましい実施形態について説明する。
(光学積層体)
図1は、本発明の実施形態に係る光学積層体の一例を模式的に示す断面図である。図1に示すように、光学積層体1は、保護層11、液晶偏光子15、第1貼合層31、第1液晶位相差層21、第2貼合層32、第2液晶位相差層22、及び第3貼合層33をこの順に含む。光学積層体1は、さらに、液晶偏光子15の第1貼合層31側の表面を覆うオーバーコート層(第2保護層)18を有していてもよい。光学積層体1において、オーバーコート層18を含まない場合は保護層11及び液晶偏光子15が偏光板10を構成し、オーバーコート層18を含む場合は保護層11、液晶偏光子15、及びオーバーコート層18が偏光板10を構成することができる。偏光板10は、吸収軸に平行な偏光成分は吸収し、吸収軸に直交する偏光成分は透過する機能を有する。光学積層体1が備える第3貼合層33の第2液晶位相差層22側とは反対側に、第3貼合層33に対して剥離可能なセパレーター38が貼着されていてもよい。光学積層体1とセパレーター38とは、セパレーター付光学積層体を構成する。
光学積層体1では、第1貼合層31は偏光板10及び第1液晶位相差層21に直接接しており、第2貼合層32は第1液晶位相差層21及び第2液晶位相差層22に直接接しており、第3貼合層33は第2液晶位相差層22に直接接していることが好ましい。第1貼合層31は、偏光板10を構成する液晶偏光子15に直接接していてもよく、偏光板10を構成するオーバーコート層18に直接接していてもよい。偏光板10において、保護層11と液晶偏光子15とは直接接していることが好ましく、液晶偏光子15とオーバーコート層18とは直接接していることが好ましい。
保護層11は、光学積層体1の視認側の最表面を構成することができ、液晶偏光子15の表面を被覆して保護することができる。保護層11の液晶偏光子15側とは反対側の表面は、通常、大気に露出している表面である、保護層11の当該表面に対して剥離可能な表面保護フィルム(プロテクトフィルム)で覆われている表面である、又は、前面板を貼合するための厚み50μm以上の粘着剤層で覆われている表面である。言い換えれば、保護層11は、液晶偏光子15の保護層11側の表面から、保護層11の上記表面までの範囲に存在する層が保護層11を構成する。
保護層11は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。保護層11は樹脂層を含むことが好ましい。保護層11は、例えば液晶偏光子15を形成するための第1液晶組成物(後述)が塗布される第1基材層(後述)の一部又は全部を含んでいてもよい。保護層11の詳細は後述する。
液晶偏光子15は、二色性色素と重合性液晶化合物とを含む第1液晶組成物の硬化物層を含む。液晶偏光子15が第1液晶組成物の硬化物層であることにより、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向した偏光子に比較して、液晶偏光子15の厚みを小さくすることができるため、光学積層体1を薄型化することができる。液晶偏光子15は、上記した硬化物層のみからなる単層構造を有していてもよく、上記した硬化物層に加えて、第1液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物(後述)を配向させるための第1配向膜を含む多層構造を有していてもよい。液晶偏光子15の詳細は後述する。
第1液晶位相差層21及び第2液晶位相差層22は、いずれも重合性液晶化合物を含む第2液晶組成物の硬化物層を含む。第1液晶位相差層21及び第2液晶位相差層22が第2液晶組成物の硬化物層であることにより、樹脂フィルムを用いた位相差層に比較して、第1液晶位相差層21及び第2液晶位相差層22の厚みを小さくすることができるため、光学積層体1を薄型化することができる。第1液晶位相差層21及び第2液晶位相差層22は、上記した硬化物層のみからなる単層構造を有していてもよく、上記した硬化物層に加えて、重合性液晶化合物を配向させるための第2配向膜を含む多層構造を有していてもよい。第1液晶位相差層21と第2液晶位相差層22とは、互いに同じ第2液晶組成物から形成された硬化物層を含んでいてもよいし、互いに異なる第2液晶組成物の硬化物層を含んでいてもよい。
第1貼合層31及び第2貼合層32は、いずれも活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層である。光学積層体1では、液晶偏光子15が第1液晶組成物の硬化物層であり、第1液晶位相差層21及び第2液晶位相差層22が第2液晶組成物の硬化物層である。そのため、液晶偏光子15、第1液晶位相差層21及び第2液晶位相差層22の厚みを小さくすることができ光学積層体1を薄型化できるが、外部からの衝撃に対する強度が低下しやすい。特に、第1液晶組成物の硬化物層である液晶偏光子15と、第2液晶組成物の硬化物層を含む第1液晶位相差層21及び第2液晶位相差層22とを積層した光学積層体では、重りを落下させる耐衝撃性試験(後述)により光学積層体にクラックが生じやすい。このようなクラックは、ポリビニルアルコール樹脂フィルムに二色性色素が吸着した偏光子と上記第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層とを積層した積層体では生じにくく、液晶偏光子15が第1液晶組成物の硬化物層を含む場合に特有の現象と考えられる。
光学積層体1では、上記のように、第1貼合層31及び第2貼合層32が活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層であることにより、ガラス転移温度が25℃以下の貼合層(以下、「粘着剤層」ともいう。)よりも硬い層とすることができる。これにより、耐衝撃性試験において液晶偏光子15、第1液晶位相差層21、及び/又は第2液晶位相差層22に発生するクラックを抑制し、クラックが発生した場合にもクラックのサイズを低減することができる。
第1貼合層31及び第2貼合層32が活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層であることにより、これらのうちの一方又は両方が粘着剤層である場合に比較して、光学積層体1の外部から力を受けたときの傷を残りにくくすることもできる。特に、光学積層体1の保護層11の厚みが小さい場合(例えば15μm以下の場合)、光学積層体1に傷を発生しにくくするために、第1貼合層31及び第2貼合層32が活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層であることが好適である。
第1貼合層31及び/又は第2貼合層32を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物は、ラジカル重合性接着剤組成物であることが好ましい。すなわち、第1貼合層31及び/又は第2貼合層32は、ラジカル重合性接着剤組成物の硬化物層であることが好ましい。第1貼合層31及び第2貼合層32はいずれもラジカル重合性接着剤組成物の硬化物層であることがより好ましい。ラジカル重合性接着剤組成物は、硬化反応により架橋構造を形成して硬度が上昇する速度が速く、活性エネルギー線の照射直後に十分な硬度を有する硬化物層を形成することができる。これに対し、カチオン重合性接着剤組成物は、硬化反応が徐々に進むため、十分な硬度を得るのに時間がかかる。故に、活性エネルギー線の照射直後は未硬化成分が残存し、ラジカル重合性接着剤組成物の硬化物層と比較すると、活性エネルギー線の照射直後に十分な硬度を有する硬化物層が得られにくい傾向にある。そのため、ラジカル重合性接着剤組成物の硬化物層は、カチオン重合性接着剤組成物の硬化物層に比較すると、硬化直後に外部から受けた力に対して変形しにくくなり、光学積層体1に異物噛み込み痕を残りにくくすることができると考えられる。
光学積層体1は通常、長尺体として製造されるため、第1貼合層31及び第2貼合層32によって貼合される層も長尺体である。このような長尺体を貼合ロール及び搬送ロールを用いて搬送すると、これらのロールとの接触により、得られる光学積層体1に異物噛み込み痕が発生することがある。上記のように第1貼合層31及び/又は第2貼合層32がラジカル重合性接着剤組成物の硬化物層であると、硬化直後においても十分な硬度が得ることができるため、外部から受けた力に対して変形しにくく、光学積層体1に異物噛み込み痕が発生することを抑制できる。
これに対し、第1貼合層31及び第2貼合層32がカチオン系接着剤組成物の硬化物層である場合、硬化反応が十分に進行していない状態で貼合ロール又は搬送ロールと接触しやすい。そのため、第1貼合層31及び/又は第2貼合層32がラジカル重合性接着剤組成物の硬化物層を用いた場合に比較すると、光学積層体1に異物噛み込み痕が発生しやすい。
第1貼合層31及び第2貼合層32として活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層を用いることにより、粘着剤層を用いる場合に比較して、第1貼合層31及び第2貼合層32の厚みを小さくすることができるため、光学積層体1をさらに薄型化することもできる。第1貼合層31及び第2貼合層32の詳細は後述する。
第3貼合層33は、光学積層体1を表示装置の表示素子に貼合するための貼合層であることができる。第3貼合層33は、ガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう。)が25℃以下である貼合層であることが好ましい。Tgが25℃以下である貼合層は、粘着剤組成物(感圧式接着剤)を用いて形成されたいわゆる粘着剤層ということができる。第3貼合層33のTgが25℃以下である場合、光学積層体1の第3貼合層33の第2液晶位相差層22側とは反対側にセパレーター38が貼着されていてもよい。第3貼合層33の詳細は後述する。
図1に示すように、保護層11の液晶偏光子15側とは反対側の表面から、第3貼合層33の第2液晶位相差層22側とは反対側の表面までの距離をD1[μm]とするとき、第1貼合層31、第2貼合層32、及び第3貼合層33のうちのTgが25℃以下の層(粘着剤層)の合計厚みDt[μm]は、距離D1の40%以上70%以下であることが好ましく、40%以上67%以下であることがより好ましく、42%以上67%以下であってもよく、43%以上67%以下であってもよい。光学積層体1において、第1貼合層31、第2貼合層32、及び第3貼合層33のうちのTgが25℃以下の層(粘着剤層)となり得るのは第3貼合層33である。そのため、第3貼合層のTgが25℃以下である場合、合計厚みDtは第3貼合層33の厚みD2[μm]に等しくなる。この場合、厚みD2が距離D1の40%以上70%以下であることが好ましく、40%以上67%以下であることがより好ましく、42%以上67%以下であってもよく、43%以上67%以下であってもよい。
光学積層体1は、上記した薄型化により屈曲しやすくなるため、表示画面の折曲げや巻回しが可能なフレキシブル表示装置に好適に用いることができる。光学積層体1をフレキシブル表示装置に適用して屈曲させるときに、第3貼合層33の厚みD2が上記範囲よりも小さくなると、屈曲に伴う第3貼合層33の伸縮により、第3貼合層33がちぎれやすくなる。一方、第3貼合層33の厚みD2が上記範囲よりも大きくなると、光学積層体1の研磨加工において、第1液晶位相差層21及び/又は第2液晶位相差層22にクラックが発生しやすくなる。光学積層体1に加工処理の衝撃が加わると、Tgが25℃以下である第3貼合層33は、厚みが大きいほど大きく変形しやすくなる傾向にある。第3貼合層33が大きく変形すると、これに伴って第1液晶位相差層21及び/又は第2液晶位相差層22の変形が引き起こされるため、第1液晶位相差層21及び/又は第2液晶位相差層22にクラックが発生しやすくなると考えられる。
光学積層体1において、保護層11、液晶偏光子15、第1液晶位相差層21、及び第2液晶位相差層22の厚みは、いずれも20.0μm未満であることが好ましい。保護層11、液晶偏光子15、第1液晶位相差層21、及び第2液晶位相差層22の厚みは、いずれも20.0μm未満であればよく、それぞれ独立して、好ましくは15.0μm以下であり、より好ましくは10.0μm以下であり、さらに好ましくは5.0μm以下であり、よりさらに好ましくは5.0μm未満であり、特に好ましくは4.5μm以下であり、最も好ましくは4.0μm以下、3.5μm以下、又は3.0μm以下である。保護層11、液晶偏光子15、第1液晶位相差層21、及び第2液晶位相差層22の厚みは、それぞれ独立して、通常0.01μm以上であり、0.1μm以上であってもよい。上記した各層の厚みが上記の範囲内であることにより、光学積層体1を繰返し屈曲させたときの屈曲部分の反射色相にムラが生じることを抑制しやすくなる。
保護層11の厚みは、上記の範囲内であればよいが、好ましくは0.1μm以上20.0μm未満であり、より好ましくは0.1μm以上10.0μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以上5.0μm未満であり、よりさらに好ましくは0.1μm以上4.5μm以下であり、最も好ましくは0.1μm以上4.0μm以下である。
液晶偏光子15の厚みは、上記の範囲内であればよいが、好ましくは0.1μm以上10.0μm以下であり、より好ましくは0.3μm以上5.0μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以上3.0μm以下である。
第1液晶位相差層21及び第2液晶位相差層22の厚みは、上記の範囲内であればよいが、それぞれ独立して、好ましくは0.1μm以上10.0μm以下であり、より好ましくは0.3μm以上5.0μm以下であり、さらに好ましくは0.3μm以上3.0μm以下であってもよい。
光学積層体1は、円偏光板であることができ、この場合、光学積層体1を反射防止フィルムとして用いることができる。
(光学積層体の製造方法)
光学積層体1は、保護層11、液晶偏光子15、第1貼合層31、第1液晶位相差層21、第2貼合層32、第2液晶位相差層22、及び第3貼合層33を積層して製造することができる。各層の積層の順序は特に制限されない。例えば、[i]保護層11と液晶偏光子15とを積層した積層体に、第1液晶位相差層21と第2液晶位相差層22とを第2貼合層32を介して積層した積層体(位相差体)を、第1貼合層31を介して積層した後、第3貼合層33を積層してもよく、[ii]保護層11と液晶偏光子15とを積層した積層体に、第1貼合層31を介して第1液晶位相差層21を積層した後、第2貼合層32を介して第2液晶位相差層22を積層し、さらに第3貼合層33を積層してもよい。
(表示装置)
光学積層体1は、表示装置に適用することができる。表示装置は、光学積層体1と、表示素子とを含み、光学積層体1は表示素子の視認側に配置される。光学積層体1は、第3貼合層33を用いて表示素子に貼合することができる。
表示装置は特に限定されず、例えば有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(無機EL)表示装置、液晶表示装置、電界発光表示装置等の表示装置が挙げられる。光学積層体1が円偏光板である場合、有機EL表示装置の反射防止フィルムとして好適に用いることができる。光学積層体1は、表示画面の折曲げや巻回しが可能なフレキシブル表示装置に好適に用いることができる。
表示装置は、スマートフォン、タブレット等のモバイル機器、テレビ、デジタルフォトフレーム、電子看板、測定器又は計器類、事務用機器、医療機器、電算機器等として用いることができる。
以下、光学積層体を構成する各部材、各層を製造するために用いる部材の詳細について説明する。
(偏光板)
偏光板は、液晶偏光子を含むフィルムであり、液晶偏光子の光学的な機能を発揮するフィルムである。偏光板は、液晶偏光子単独であってもよいし、これと保護層とが直接積層されている積層体であってもよく、保護層と液晶偏光子とオーバーコート層(第2保護層)とが直接積層されている積層体であってもよい。
偏光板の偏光性能は、分光光度計を用いて測定することができる。例えば、可視光である波長380nm~780nmの範囲で透過軸方向(配向垂直方向)の透過率(T1)及び吸収軸方向(配向方向)の透過率(T2)を、分光光度計にプリズム偏光子をセットした装置を用いてダブルビーム法で測定することができる。可視光範囲での偏光性能は、下記式(式1)並びに(式2)を用いて、各波長における単体透過率、偏光度を算出し、さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことで、視感度補正単体透過率(Ty)及び視感度補正偏光度(Py)で算出することができる。また、同様に測定した透過率からC光源の等色関数を用いて、L(CIE)表色系における色度a及びbを算出することで、偏光板単体の色相(単体色相)、偏光板を平行配置した色相(平行色相)、偏光板を直交配置した色相(直交色相)が得られる。a及びbは値が0に近いほど、ニュートラルな色相であると判断できる。
単体透過率[%]=(T1+T2)/2 (式1)
偏光度[%]=〔(T1-T2)/(T1+T2)〕×100 (式2)
偏光板の視感度補正偏光度Pyは、通常80%以上であり、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上であり、99.9%以上であれば液晶表示装置に好適に用いることができる。偏光板の視感度補正偏光度Pyを大きくすることは、光学積層体の反射防止機能を高めるうえで有利である。視感度補正偏光度Pyが80%未満であると、光学積層体を反射防止フィルムとして使用した際に十分な反射防止機能が発揮されにくいことがある。
偏光板の視感度補正単体透過率Tyは、大きくなるほど白表示時の明瞭性が増すが、上記(式1)と(式2)との関係からわかるように、単体透過率が大きくなりすぎると偏光度が小さくなるという問題がある。そのため、視感度補正単体透過率Tyは、好ましくは30%以上60%以下であり、より好ましくは35%以上55%以下であり、さらに好ましくは40%以上50%以下であり、さらに好ましくは40%以上45%以下である。視感度補正単体透過率Tyが過度に大きいと視感度補正偏光度Pyが小さくなりすぎて、光学積層体を反射防止フィルムとして使用した際に十分な反射防止機能が発揮されにくいことがある。
偏光板は、[i]後述するように第1基材層上に液晶偏光子を直接形成し、当該第1基材層を保護層として用いることによって得てもよく、[ii]第1基材層として樹脂フィルムとその上に形成された表面処理層とを有するものを用い、この表面処理層上に液晶偏光子を形成した後、第1基材層に含まれる樹脂フィルムを剥離除去し、表面処理層を保護層とすることによって得てもよい。あるいは、[iii]液晶偏光子を形成する際に用いた第1基材層を剥離除去し、液晶偏光子上に保護層を積層してもよい。偏光板がオーバーコート層を有する場合は、第1基材層上の液晶偏光子上に、オーバーコート層を形成すればよい。
(液晶偏光子)
液晶偏光子は、面内に吸収軸とこれに直交する透過軸を有していて、吸収軸に平行な偏光成分は吸収し、透過軸に平行な偏光成分は透過する膜である。液晶偏光子は、二色性色素を含む重合性液晶化合物の重合体からなる層(硬化物層)単独であるか、又はこの層と配向膜との2層構成である膜である。液晶偏光子において、二色性色素が面内で一方向に配向している。液晶偏光子は、重合性液晶化合物と二色性色素とを含む第1液晶組成物から、二色性色素及び重合性液晶化合物を一軸配向させることによって、二色性色素を含む重合性液晶化合物の重合体からなる層(硬化物層)を含むものとして形成することができる。すなわち、液晶偏光子は、重合性液晶化合物の重合体中に包摂された二色性色素によって光が異方性吸収されることによって偏光機能を発現することができる。
第1液晶組成物の硬化物層を含む液晶偏光子は、色相を任意に制御可能である点、大幅に薄型化できる点、並びに、熱による延伸緩和がほとんどなく非収縮性を有する点から、例えばフレキシブル表示装置に好適に用いることができる。
液晶偏光子は、波長λ[nm]の光に対する配向方向の吸光度A1(λ)と配向面内垂直方向の吸光度A2(λ)との比(二色比;A1(λ)/A2(λ))が7以上であれば好ましく、20以上であればより好ましく、さらに好ましくは40以上である。この値が大きければ大きい程、吸収選択性の優れる液晶偏光子といえる。二色性色素の種類にもよるが、ネマチック液晶相の状態で硬化した硬化物層の場合、上記の比は5~10程度である。
液晶偏光子が吸収波長の異なる2種以上の二色性色素を含むことにより、様々な色相の液晶偏光子を作製することができ、可視光全域に吸収を有する液晶偏光子とすることができる。このような吸収特性を有する液晶偏光子とすることで様々な用途に展開し得る。
液晶偏光子は、必要に応じて第1配向膜が形成された第1基材層上に、第1液晶組成物を塗布し、第1液晶組成物に含まれる二色性色素が配向することによって形成することができる。液晶偏光子は硬化物層に加えて第1配向膜を含むことができる。第1基材層は、そのまま保護層として用いてもよく、第1基材層に含まれる樹脂フィルムを保護層として用いてもよく、又は、樹脂フィルムを剥離除去して、第1基材層に含まれる表面処理層を保護層として用いてもよい。第1配向膜は、樹脂フィルムとともに剥離除去してもよい。樹脂フィルムや第1配向膜の剥離除去は、液晶偏光子を第1液晶位相差層や第2液晶位相差層と積層した後に行ってもよい。
(第1液晶組成物)
第1液晶組成物は、液晶偏光子形成用の組成物であり、二色性色素及び重合性液晶化合物に加えてさらに、溶剤、レベリング剤、重合開始剤、増感剤、重合禁止剤、架橋剤、密着剤、及び反応性添加剤等の添加剤を含んでいてもよい。加工性の観点から、第1液晶組成物は、溶媒及びレベリング剤を含むことが好ましい。
重合性液晶化合物とは、分子内に少なくとも1つの重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物である。重合性基は、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、メタクリロイルオキシ基及びアクリロイルオキシ基がより好ましい。液晶性はサーモトロピック液晶でもリオトロピック液晶でもよいが、後述する二色性色素と混合する場合には、サーモトロピック液晶が好ましい。重合性液晶化合物はモノマーであってよく、二量体以上が重合したポリマーであってもよい。
第1液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物がサーモトロピック液晶である場合は、ネマチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物であってもよいし、スメクチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物であってもよい。二色比の大きい液晶偏光子(硬化物層)を得るという観点から、重合性液晶化合物が示す液晶状態は、スメクチック相であることが好ましく、高次スメクチック相であれば高性能化の観点からより好ましい。中でも、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相又はスメクチックL相を形成する高次スメクチック液晶化合物がより好ましく、スメクチックB相、スメクチックF相又はスメクチックI相を形成する高次スメクチック液晶化合物がさらに好ましい。重合性液晶化合物が形成する液晶相がこれらの高次スメクチック相であると、偏光性能の高い液晶偏光子(硬化物層)を製造することができる。また、このように偏光性能の高い液晶偏光子(硬化物層)はX線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークが得られるものである。当該ブラッグピークは分子配向の周期構造に由来するピークであり、その周期間隔が3~6Åである層を得ることができる。液晶偏光子に含まれる硬化物層は、この重合性液晶化合物がスメクチック相の状態で配向した重合性液晶化合物の重合体を含むことが、より高い偏光特性が得られるという観点から好ましい。
第1液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。第1液晶組成物における重合性液晶化合物の含有量は、第1液晶組成物の固形分に対して、好ましくは40質量%以上99.9質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上99質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以上99質量%以下である。重合性液晶化合物の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向性が高くなる傾向がある。なお、本明細書において、固形分とは、第1液晶組成物から溶剤を除いた成分の合計量をいう。
二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。二色性色素としては、可視光を吸収する特性を有する特性を有することが好ましく、380~680nmの範囲に吸収極大波長(λmax)を有するものがより好ましい。このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素及びアントラキノン色素等が挙げられるが、中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素及びスチルベンアゾ色素等が挙げられ、好ましくはビスアゾ色素及びトリスアゾ色素である。二色性色素は単独でも、組み合わせてもよいが、可視光全域で吸収を得るためには、2種類以上の二色性色素を組み合わせることが好ましく、3種類以上の二色性色素を組み合わせることがより好ましい。
アゾ色素としては、例えば、式(Da)で表される化合物が挙げられる。
-A(-N=N-A-N=N-A-T (Da)
[式(Da)中、
、A、及びAは、互いに独立して、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレン-1,4-ジイル基、置換基を有していてもよい安息香酸フェニルエステル基、置換基を有していてもよい4,4’-スチルベニレン基、又は置換基を有していてもよい2価の複素環基を表し、
及びTは、電子吸引基あるいは電子放出基を表し、アゾ結合面内に対して実質的に180°の位置に有する。
pは0~4の整数を表し、pが2以上である場合、各々のAは互いに同一でも異なっていてもよい。
可視光領域に吸収を示す範囲で、-N=N-結合が-C=C-、-COO-、-NHCO-、-N=CH-結合に置き換わっていてもよい。]
第1液晶組成物に含まれる二色性色素の含有量(複数種含む場合にはその合計量)は、良好な光吸収特性を得る観点から、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常1~60質量部以下であり、好ましくは1~40質量部以下であり、より好ましくは1~20質量部である。二色性色素の含有量がこの範囲より少ないと光吸収が不十分となり、十分な偏光性能が得られず、この範囲よりも多いと液晶分子の配向を阻害する場合がある。
第1液晶組成物は、溶剤を含有していてもよい。一般に重合性液晶化合物は粘度が高いため、溶剤に溶解させた第1液晶組成物とすることで塗布が容易になり、結果として液晶偏光子の硬化物層を形成しやすくなる場合が多い。溶剤としては、重合性液晶化合物を完全に溶解し得るものが好ましく、また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。
溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン及びメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素含有溶剤;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルミアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のアミド系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤の含有量は、第1液晶組成物の総量に対して50~98質量%が好ましい。換言すると、第1液晶組成物における固形分の含有量は、2~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
第1液晶組成物は、レベリング剤を含有していてもよい。レベリング剤とは、組成物の流動性を調整し、組成物を塗布して得られる膜をより平坦にする機能を有する添加剤である。レベリング剤としては、例えば、有機変性シリコーンオイル系、ポリアクリレート系及びパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。中でも、ポリアクリレート系レベリング剤及びパーフルオロアルキル系レベリング剤が好ましい。
第1液晶組成物がレベリング剤を含有する場合、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.05~3質量部である。
第1液晶組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤は、重合性液晶化合物等の重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、サーモトロピック液晶の相状態に依存しないという観点から、光の作用により活性ラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤は、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物であれば、公知の光重合開始剤を用いることができる。具体的には、光の作用により活性ラジカル又は酸を発生できる光重合開始剤が挙げられ、中でも、光の作用によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤は単独又は二種以上を組み合わせて使用できる。
光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を用いることができ、例えば、活性ラジカルを発生する光重合開始剤としては、自己開裂型のベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ヒドロキシアセトフェノン系化合物、α-アミノアセトフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、アゾ系化合物等を使用でき、水素引き抜き型のベンゾフェノン系化合物、アルキルフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジルケタール系化合物、ジベンゾスベロン系化合物、アントラキノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、ハロゲノアセトフェノン系化合物、ジアルコキシアセトフェノン系化合物、ハロゲノビスイミダゾール系化合物、ハロゲノトリアジン系化合物、トリアジン系化合物等を使用できる。酸を発生する光重合開始剤としては、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩等を使用することができる。低温での反応効率に優れるという観点から自己開裂型の光重合開始剤が好ましく、特にアセトフェノン系化合物、ヒドロキシアセトフェノン系化合物、α-アミノアセトフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物が好ましい。
第1液晶組成物中の重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の種類及びその量に応じて適宜調節できるが、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、通常0.1~30質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~8質量部である。重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合を行うことができる。
第1液晶組成物は、増感剤を含有してもよい。増感剤としては、光増感剤が好ましい。第1液晶組成物が増感剤を含有する場合、第1液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物の重合反応をより促進することができる。かかる増感剤の使用量は、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましい。
重合反応を安定的に進行させる観点から、第1液晶組成物は重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤により、重合性液晶化合物の重合反応の進行度合いをコントロールすることができる。第1液晶組成物が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部である。
(保護層)
保護層は、液晶偏光子の表面を保護する機能を有する。液晶偏光子と保護層とは互いに直接積層されている。ここで「直接積層されている」とは、保護層の自己粘着性によって液晶偏光子に積層されている態様、及び、必要に応じて第1配向膜が形成された保護層上に塗布された液晶偏光子の硬化物層を形成するための第1液晶組成物を硬化することによって、液晶偏光子上に保護層が積層されている態様を含む。保護層は、液晶偏光子との密着性を向上するため、表面活性化処理(例えば、コロナ処理等)が施されていてもよく、プライマー層(易接着層ともいう)等の薄層が形成されていてもよい。
保護層は、液晶偏光子を形成するための第1基材層であってもよく、第1基材層の一部を含むものであってもよい。保護層は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。保護層は、樹脂層を含むことが好ましい。樹脂層は、樹脂フィルム及び/又は表面処理層であってもよい。
樹脂フィルムとしては、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性、延伸性等に優れるフィルムを用いることができる。樹脂フィルムは熱可塑性樹脂フィルムであってもよい。このような樹脂フィルムを構成する樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ナイロン及び芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン・プロピレン共重合体等の鎖状ポリオレフィン系樹脂;シクロ系又はノルボルネン構造を有する環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂ともいう);ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂、並びにこれらの混合物を挙げることができる。かかる材質の樹脂フィルムは市場から容易に入手できる。上記樹脂は、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂又は紫外線硬化型樹脂等であってもよい。本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルのうちの少なくとも一方をいう。(メタ)アクリロイル等の表記についても同様である。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体)、ポリプロピレン樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体)のような鎖状オレフィンの単独重合体の他、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げられる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称である。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、及びこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーのようなノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
ポリエステル系樹脂は、主鎖にエステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸又はその誘導体と多価アルコールとの重縮合体が一般的である。例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。これらのセルロースエステル系樹脂を構成する重合単位を複数種有する共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものも挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース)が特に好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル-メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなる。ポリカーボネート系樹脂は、ポリマー骨格を修飾したような変性ポリカーボネートと呼ばれる樹脂や、共重合ポリカーボネート等であってもよい。ポリカーボネート系樹脂の詳細は、例えば、特開2012-31370号公報に記載されている。
上記した樹脂フィルム(熱可塑性樹脂フィルム)を延伸することにより、保護層を作製することができる。延伸処理としては、一軸延伸や二軸延伸等が挙げられる。延伸方向としては、未延伸フィルムの機械流れ方向(MD)、これに直交する方向(TD)、機械流れ方向(MD)に斜交する方向等が挙げられる。
保護層は、液晶偏光子よりも視認側に配置されるため、所望の表面光学特性又はその他の特徴を付与するために、樹脂フィルムと、樹脂フィルムの表面に設けられた表面処理層とを含んでいてもよい。あるいは、保護層は、樹脂フィルムを含まず、樹脂層として表面処理層を含むものであってもよい。保護層が樹脂フィルムを含まず表面処理層を含むものである場合、例えば表面処理層としての保護層は、次のようにして液晶偏光子に積層することができる。まず、樹脂フィルムの表面処理層が形成される側の表面に、離型剤等の塗布等により離型層を形成する離型処理を行い、この離型層上に表面処理層を形成した表面処理フィルムを用意する。次に、この表面処理フィルムを、液晶偏光子、液晶偏光子と第1液晶位相差層との積層体、又は、液晶偏光子と第1液晶位相差層と第2液晶位相差層との積層体に積層した後、樹脂フィルムを剥離する。これにより、保護層として、樹脂フィルムを含まず表面処理層を含む光学積層体を得ることができる。
表面処理層としては、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層、スティッキング防止層等が挙げられる。表面処理層は、樹脂フィルムの表面又は樹脂フィルム上に形成された離型層にコーティング等によって形成されてもよく、保護層が樹脂フィルムを含む場合は樹脂フィルムの表面の改質処理等によって形成されていてもよい。
表面処理層を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。表面処理層は、樹脂フィルムの一方の面に形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。
ハードコート層は、保護層の表面硬度を高める機能を有し、表面の擦り傷防止等の目的で設けられる。樹脂フィルムにハードコート層を形成することにより、保護層の硬度及び耐スクラッチ性を向上させることができる。ハードコート層は、JIS K 5600-5-4:1999「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に規定される鉛筆硬度試験(ハードコート層を有する光学フィルムをガラス板の上に置いて測定する)でH又はそれより硬い値を示すことが好ましい。
ハードコート層は、所望により、屈折率の調整、曲げ弾性率の向上、体積収縮率の安定化、さらには耐熱性、帯電防止性、防眩性等の向上を図る目的で、各種フィラーを含有することができる。またハードコート層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、レベリング剤、消泡剤のような添加剤を含有することもできる。
(オーバーコート層)
偏光板は、液晶偏光子の第1液晶位相差層側の表面を覆うオーバーコート層(第2保護層)を有していてもよい。オーバーコート層は、液晶偏光子の表面に、光硬化性樹脂や水溶性ポリマー等のオーバーコート層を構成する材料(組成物)を塗布し、乾燥又は硬化することによって形成することができる。光硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリルウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリルアミド系ポリマー;ポリビニルアルコール、及びエチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸又はその無水物-ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール系ポリマー;カルボキシビニル系ポリマー;ポリビニルピロリドン;デンプン類;アルギン酸ナトリウム;ポリエチレンオキシド系ポリマー等が挙げられる。
オーバーコート層の厚みは、通常0.1μm以上10.0μm以下であり、好ましくは5.0μm以下であり、より好ましくは3.0μm以下である。オーバーコート層の厚みが10μm以上であると、屈曲性試験において屈曲部の反射色相ムラが目立ちやすくなり、0.1μm未満であると、高温環境下において色素の拡散を防止する機能が損なわれやすくなる。
(第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層)
第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層は、面内又は厚み方向に位相差を示す膜であって、重合性液晶化合物の重合体からなる層(硬化物層)であるか、又はこの層と配向膜との2層構成である膜である。第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層は、重合性液晶化合物を含む第2液晶組成物の硬化物層を含む。第1液晶位相差層及び/又は第2液晶位相差層は、それぞれ第2配向膜を含んでいてもよい。第1液晶位相差層21を形成するための第2液晶組成物と、第2液晶位相差層22を形成するための第2液晶組成物とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層は、通常、第2基材層上に形成された第2配向膜上に、第2液晶組成物を塗布し、第2液晶用組成物に含まれる重合性液晶化合物を重合することによって形成される。第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層は、通常、重合性液晶化合物が配向した状態で硬化した層を含み、面内で位相差を生じるためには、重合性液晶化合物が第2基材層面に対して水平方向に配向した状態で、当該重合性液晶化合物の重合性基が重合した硬化物層である必要がある。この際、重合性液晶化合物が棒状の液晶化合物である場合、液晶位相差層をポジティブAプレートとすることができ、重合性液晶化合物が円盤状の液晶化合物である場合、液晶位相差層をネガティブAプレートとすることができる。
光学積層体の反射防止機能を高度に達成するためには、第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層の組み合わせが、可視光全域でのλ/4板機能(すなわちπ/2の位相差機能)を有すればよい。また、光学積層体に含まれる第1液晶位相差層又は第2液晶位相差層が逆波長分散性λ/4層であることが好ましい。第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層として配向の異なる2種類以上の液晶位相差層を組み合わせることも好ましい。2種類以上の液晶位相差層の組み合わせとしては、例えば、正波長分散性のλ/2板機能(すなわちπの位相差機能)を有する液晶位相差層(以下、「λ/2層」ともいう。)と正波長分散性のλ/4板機能(すなわちπ/2の位相差機能)を有する液晶位相差層(以下、「λ/4層」ともいう。)との組み合わせが挙げられる。あるいは、斜め方向での反射防止機能を補償し得る観点から、第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層のうちの一方が、厚み方向に異方性を有する層(ポジティブCプレート)であり、他方が逆波長分散性λ/4層であってもよい。また、第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層はそれぞれ、チルト配向状態を形成していてもよいし、コレステリック配向状態を形成していてもよい。
第1液晶位相差層と第2液晶位相差層との組み合わせが可視光全域でのλ/4板機能を有するように調整されている場合に、この第1液晶位相差層と第2液晶位相差層とを含む位相差体は、波長λ[nm]の光に対する面内位相差であるRe(λ)が、下記式(1)に示される光学特性を満たすことが好ましく、下記式(2)及び(3)で示される光学特性を満たすことが好ましい。位相差体は、位相差板を複数積層した積層フィルムであって、積層された複数の位相差板に基づき面内又は厚み方向に位相差を示す積層フィルムである。位相差板は、第1液晶位相差層又は第2液晶位相差層を含むフィルムであって、第1液晶位相差層又は第2液晶位相差層としての光学的な機能を示すフィルムである。
100nm<Re(550)<160nm (1)
Re(450)/Re(550)≦1.0 (2)
1.00≦Re(650)/Re(550) (3)
[式(1)~(3)中、
Re(450)は、波長450nmの光に対する位相差体の面内位相差値を表し、
Re(550)は、波長550nmの光に対する位相差体の面内位相差値を表し、
Re(650)は、波長650nmの光に対する位相差体の面内位相差値を表す。]
上記式(2)の「Re(450)/Re(550)」が1.0を超えると、当該位相差体を備える光学積層体の短波長側での光抜けが大きくなる。「Re(450)/Re(550)」は、好ましくは、0.7以上1.0以下であり、より好ましくは0.80以上0.95以下であり、さらに好ましくは0.80以上0.92以下であり、特に好ましくは0.82以上0.88以下である。「Re(450)/Re(550)」の値は、第2液晶組成物中の重合性液晶化合物の混合比率や、第1液晶位相差層と第2液晶位相差層との積層角度やこれらの位相差値を調整することにより、任意に調整することができる。
第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層の面内位相差値は、それぞれ両液晶位相差層の厚みによって調整することができる。面内位相差値は下記式(4)によって決定されることから、所望の面内位相差値(Re(λ))を得るには、Δn(λ)と膜厚dとを調整すればよい。第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層の厚みは、それぞれ0.5μm以上5μm以下が好ましく、1μm以上3μm以下がより好ましい。第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層の厚みは、それぞれ干渉膜厚計、レーザー顕微鏡、又は触針式膜厚計によって測定することができる。なお、Δn(λ)は、後述する重合性液晶化合物の分子構造に依存する。
Re(λ)=d×Δn(λ) (4)
[式(4)中、
Re(λ)は、波長λ[nm]における液晶位相差層の面内位相差値を表し、
dは、液晶位相差層の厚みを表し、
Δn(λ)は、波長λ[nm]における複屈折率を表す。]
可視光全域でのλ/4板機能を有するように調整された位相差体として、正波長分散性のλ/2層と正波長分散性のλ/4層との組み合わせを用いる場合、下記式(1)、式(6)、及び式(7)で表される光学特性を有する層と、下記式(5)~(7)で表される光学特性を有する層とを、特定の遅相軸関係で組み合わせればよい。
100nm<Re(550)<160nm (1)
200nm<Re(550)<320nm (5)
Re(450)/Re(550)≧1.00 (6)
1.00≧Re(650)/Re(550) (7)
[式(1)及び(5)~(7)中、
Re(450)は、波長450nmの光に対する位相差体の面内位相差値を表し、
Re(550)は、波長550nmの光に対する位相差体の面内位相差値を表し、
Re(650)は、波長650nmの光に対する位相差体の面内位相差値を表す。]
上記λ/2層と上記λ/4層とを組み合わせる方法としては、特開2015-163935号公報や、WO2013/137464号等に記載の周知の方法が挙げられる。視野角補償の観点から好ましくは円盤状の重合性液晶化合物を含む第2液晶組成物から形成されたλ/2層と、棒状の重合性液晶化合物を含む第2液晶組成物から形成されたλ/4層を用いることが好ましい。
ポジティブCプレートは厚み方向に異方性を有するものであれば特に限定はないが、チルト配向やコレステリック配向をしていない場合は、下記式(8)で表される光学特性を有する。
nx≒ny<nz (8)
[式(8)中、
nxは、ポジティブCプレートの面内における波長λ[nm]での主屈折率を表す。
nyは、nxと同一面内で、nxに対して直交する方向の波長λ[nm]でのポジティブCプレートの屈折率を表す。
nz(λ)は、ポジティブCプレートの厚み方向における波長λ[nm]での屈折率を表す。
nx≒nyである場合、nxは、ポジティブCプレートの面内での任意の方向の屈折率とすることができる。]
ポジティブCプレートは、波長550nmにおける厚み方向の位相差値Rth(550)が、通常-170nm以上-10nm以下の範囲であり、好ましくは-150nm以上-20nm以下の範囲であり、より好ましくは-100nm以上-40nmの範囲である。厚み方向の位相差値がこの範囲であれば、斜め方向からの反射防止特性を一段と向上させることができる。
ポジティブCプレートは、棒状の重合性液晶化合物を含む第2液晶組成物から形成されることが好ましい。
第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層としては、上記した構成以外にも、チルト配向やコレステリック配向している構成についても反射防止機能を達成する構成であれば、特に制限なく用いることができる。当該構成としては、例えば、WO2021/060378号、WO2021/132616号、WO2021/132624号等に記載の周知の構成が挙げられる。
(第2液晶組成物)
第2液晶組成物は、第1液晶位相差層形成用の組成物及び第2液晶位相差層形成用の組成物である。第2液晶組成物は、重合性液晶化合物を含み、さらに、溶剤、レベリング剤、重合開始剤、増感剤、重合禁止剤、架橋剤、密着剤、及び反応性添加剤等の添加剤を含んでいてもよい。加工性の観点から、第2液晶組成物は、溶媒及びレベリング剤を含むことが好ましい。添加剤としては、第1液晶組成物で説明したものが挙げられ、第2液晶組成物中の添加剤の含有量等についても、第1液晶組成物で説明した範囲の含有量とすることができる。
第2液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性基、特に光重合性基を有する液晶化合物を意味し、該重合性液晶化合物としては、例えば位相差フィルムの分野において従来公知の重合性液晶化合物を用いることができる。液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック性液晶でもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。サーモトロピック性液晶における相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。棒状液晶であってもよいし円盤状液晶であってもよい。重合性液晶化合物は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
逆波長分散性のλ/4層を得るために用いる重合性液晶化合物としては、逆波長分散性を発現の観点から分子長軸方向に対して垂直方向にさらに複屈折性を有するT字型あるいはH型にメソゲン構造を有する液晶が好ましく、より強い分散が得られる観点からT字型液晶がより好ましく、T字型液晶の構造としては、具体的には、例えば、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024018945000002

[式(I)中、
Arは置換基を有していてもよい二価の芳香族基を表す。該二価の芳香族基中には窒素原子、酸素原子、硫黄原子のうち少なくとも1つ以上が含まれることが好ましい。二価の基Arに含まれる芳香族基が2つ以上である場合、2つ以上の芳香族基は互いに単結合、-CO-O-、-O-等の二価の結合基で結合していてもよい。
及びGはそれぞれ独立に、二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基を表す。ここで、該二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよく、該二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子に置換されていてもよい。
、L、B及びBはそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基である。
k、lは、それぞれ独立に0~3の整数を表し、1≦k+lの関係を満たす。ここで、2≦k+lである場合、B及びB、G及びGは、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
及びEはそれぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基を表し、ここで、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-COO-で置換されていてもよく、-O-、-S-、-COO-を複数有する場合は互いに隣接しない。
及びPは互いに独立に、重合性基又は水素原子を表し、少なくとも1つは重合性基である。]
及びGは、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子及び炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-フェニレンジイル基、ハロゲン原子及び炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-シクロヘキサンジイル基であり、より好ましくはメチル基で置換された1,4-フェニレンジイル基、無置換の1,4-フェニレンジイル基、又は無置換の1,4-trans-シクロヘキサンジイル基であり、特に好ましくは無置換の1,4-フェニレンジイル基、又は無置換の1,4-trans-シクロへキサンジイル基である。
また、複数存在するG及びGのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、また、L又はLに結合するG及びGのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
及びLはそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra1ORa2-、-Ra3COORa4-、-Ra5OCORa6-、Ra7OC=OORa8-、-N=N-、-CR=CR-、又はC≡C-である。ここで、Ra1~Ra8はそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1~4のアルキレン基を表し、R及びRは炭素数1~4のアルキル基又は水素原子を表す。L及びLはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa2-1-、-CH-、-CHCH-、-COORa4-1-、又はOCORa6-1-である。ここで、Ra2-1、Ra4-1、Ra6-1はそれぞれ独立に単結合、-CH-、-CHCH-のいずれかを表す。L及びLはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CHCH-、-COO-、-COOCHCH-、又はOCO-である。
及びBはそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra9ORa10-、-Ra11COORa12-、-Ra13OCORa14-、又はRa15OC=OORa16-である。ここで、Ra9~Ra16はそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1~4のアルキレン基を表す。B及びBはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa10-1-、-CH-、-CHCH-、-COORa12-1-、又はOCORa14-1-である。ここで、Ra10-1、Ra12-1、Ra14-1はそれぞれ独立に単結合、-CH-、-CHCH-のいずれかを表す。B及びBはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CHCH-、-COO-、-COOCHCH-、-OCO-、又はOCOCHCH-である。
k及びlは、逆波長分散性発現の観点から2≦k+l≦6の範囲が好ましく、k+l=4であることが好ましく、k=2かつl=2であることがより好ましい。k=2かつl=2であると対称構造となるため好ましい。
及びEはそれぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基が好ましく、炭素数4~12のアルカンジイル基がより好ましい。
又はPで表される重合性基としては、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、及びオキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族複素環、及び電子吸引性基から選ばれる少なくとも一つを有することが好ましい。当該芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。当該芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、トリアジン環、ピロリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、及びフェナンスロリン環等が挙げられる。なかでも、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、又はベンゾフラン環を有することが好ましく、ベンゾチアゾール基を有することがさらに好ましい。また、Arに窒素原子が含まれる場合、当該窒素原子はπ電子を有することが好ましい。
式(I)中、Arで表される2価の芳香族基に含まれるπ電子の合計数Nπは8以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは14以上であり、特に好ましくは16以上である。また、好ましくは30以下であり、より好ましくは26以下であり、さらに好ましくは24以下である。
Arで表される芳香族基としては、例えば以下の基が好適に挙げられる。
Figure 2024018945000003

[式(Ar-1)~式(Ar-23)中、
*印は連結部を表し、
、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルキルスルフィニル基、炭素数1~12のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~12のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~12のアルキルチオ基、炭素数1~12のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~12のN-アルキルスルファモイル基又は炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表す。
及びQは、それぞれ独立に、-CR2’3’-、-S-、-NH-、-NR2’-、-CO-又はO-を表し、R’及びR3’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。
、及びJは、それぞれ独立に、炭素原子、又は窒素原子を表す。
、Y及びYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
及びWは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、メチル基又はハロゲン原子を表す。
mは0~6の整数を表す。]
、Y及びYにおける芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。芳香族複素環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ含む炭素数4~20の芳香族複素環基が挙げられ、フリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基が好ましい。
、Y及びYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基であってもよい。多環系芳香族炭化水素基は、縮合多環系芳香族炭化水素基、又は芳香環集合に由来する基をいう。多環系芳香族複素環基は、縮合多環系芳香族複素環基、又は芳香環集合に由来する基をいう。
、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルコキシ基であることが好ましく、Zは、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基がさらに好ましく、Z及びZは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、シアノ基がさらに好ましい。
及びQは、-NH-、-S-、-NR2’-、-O-が好ましく、R2’は水素原子が好ましい。中でも-S-、-O-、-NH-が特に好ましい。
式(Ar-1)~(Ar-23)で表される化合物の中でも、式(Ar-6)及び式(Ar-7)で表される化合物が分子の安定性の観点から好ましい。
式(Ar-16)~(Ar-23)で表される化合物において、Yは、これが結合する窒素原子及びZと共に、芳香族複素環基を形成していてもよい。芳香族複素環基としては、Arが有していてもよい芳香族複素環として前記したものが挙げられるが、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピロリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ピロリジン環等が挙げられる。この芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。また、Yは、これが結合する窒素原子及びZと共に、前述した置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基であってもよい。例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等が挙げられる。
重合性液晶化合物の中でも、極大吸収波長が300~400nmである化合物が好ましい。第2液晶組成物の長期安定性の点で有利となり、第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層に含まれる第2液晶組成物の硬化物層の配向性及び膜厚の均一性を向上できる。なお、重合性液晶化合物の極大吸収波長は、溶媒中で紫外可視分光光度計を用いて測定できる。該溶媒は重合性液晶化合物を溶解し得る溶媒であり、例えばクロロホルム等が挙げられる。
円盤状の重合性液晶化合物としては、例えば、式(W)で表される基を含む化合物(以下、「重合性液晶化合物(W)」ともいう。)が挙げられる。
Figure 2024018945000004

[式(W)中、R40は、下記式(W-1)~(W-5)を表す。]
Figure 2024018945000005

[式(W-1)~(W-5)中、
40及びZ40は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい。
m2は、整数を表す。]
棒状の重合性液晶化合物としては、例えば式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)、式(VI)、又は式(VII)で表わされる化合物が挙げられる。
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-B16-E12-B17-P12 (II)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-F11 (III)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-E12-B17-P12 (IV)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-F11 (V)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-E12-B17-P12 (VI)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-F11 (VII)
[式(II)~(VII)中、
A11~A14は、それぞれ独立に、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該炭素数1~6のアルキル基及び該炭素数1~6のアルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
B11及びB17は、それぞれ独立に、-O-、-S-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-CO-NR16-、-NR16-CO-、-CO-、-CS-、又は単結合を表す。R16は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。
B12~B16は、それぞれ独立に、-C≡C-、-CH=CH-、-CH-CH-、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-C(=O)-NR16-、-NR16-C(=O)-、-OCH-、-OCF-、-CHO-、-CFO-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-又は単結合を表す。
E11及びE12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい。
F11は、水素原子、炭素数1~13のアルキル基、炭素数1~13のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシ基、メチロール基、ホルミル基、スルホ基(-SOH)、カルボキシ基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基及びアルコキシ基を構成する-CH-は、-O-に置き換っていてもよい。
P11及びP12は、それぞれ独立に、重合性基を表す。]
第2液晶組成物中の重合性液晶化合物の含有量は、第2液晶組成物の固形分100質量部に対して、例えば70~99.5質量部であり、好ましくは80~99質量部である。重合性液晶化合物の含有量が上記範囲内であれば、得られる硬化物層(液晶硬化膜)の配向性の観点から有利である。なお、本明細書において、第2液晶組成物の固形分とは、第2液晶組成物から有機溶剤等の揮発性成分を除いた全ての成分を意味する。
(第1基材層、第2基材層)
第1液晶組成物が塗布される第1基材層、及び、第2液晶組成物が塗布される第2基材層としては、ガラス基材及びフィルム基材が挙げられ、フィルム基材が好ましく、液晶偏光子や第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層を連続的に製造できる点で長尺のロール状フィルムがより好ましい。第1液晶組成物及び第2液晶組成物は、それぞれ第1基材層及び第2基材層に形成された配向膜上に塗布されてもよい。
フィルム基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂;シクロ系又はノルボルネン構造を有する環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリステル系樹脂;ポリ(メタ)アクリル系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンオキシド等が挙げられる。
フィルム基材として、市販のセルロースエステル樹脂基材を用いてもよい。このようなセルロースエステル樹脂基材としては、“フジタックフィルム”(富士写真フイルム株式会社製);“KC8UX2M”、“KC8UY”及び“KC4UY”(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
フィルム基材を構成する環状オレフィン樹脂として、市販の環状オレフィン系樹脂を用いてもよい。このような環状オレフィン系樹脂としては、“Topas”(登録商標)(Ticona社(独)製)、“アートン”(登録商標)(JSR株式会社製)、“ゼオノア(ZEONOR)”(登録商標)、“ゼオネックス(ZEONEX)”(登録商標)(以上、日本ゼオン株式会社製)及び“アペル”(登録商標)(三井化学株式会社製)が挙げられる。
第1基材層全体又はその一部を保護層として用いる場合、第1基材層は、上記した保護層で説明した材料及び層構造を有することが好ましい。第1基材層の一部を保護層として用いる場合、例えばフィルム基材の表面に離型層を形成し、フィルム基材上に液晶偏光子を形成した後に、フィルム基材を剥離除去できるようにすればよい。
第1基材層及び第2基材層は、実用的な取り扱いができる程度の質量である点では、薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。この観点から、第1基材層及び第2基材層の厚みは、それぞれ独立に、通常5μm~300μmであり、好ましくは10μm~200μmであり、より好ましくは10~50μmである。第1基材層を剥離して液晶偏光子(第1液晶組成物の硬化物層)を転写する、第2基材層を剥離して第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層を転写することにより、光学積層体の薄膜化を図ることができる。
(第1配向膜、第2配向膜)
第1配向膜及び第2配向膜は、重合性液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。
第1配向膜及び第2配向膜は、重合性液晶化合物の液晶配向を容易にする。水平配向、垂直配向、ハイブリッド配向、傾斜配向等の液晶配向の状態は、第1配向膜及び第2配向膜、並びに重合性液晶化合物の性質によって変化し、その組み合わせは任意に選択することができる。例えば、第1配向膜及び/又は第2配向膜は配向規制力として水平配向を発現させる材料であれば、重合性液晶化合物は水平配向又はハイブリッド配向を形成することができ、垂直配向を発現させる材料であれば、重合性液晶化合物は垂直配向又は傾斜配向を形成することができる。水平、垂直等の表現は、液晶偏光子並びに第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層の平面を基準とした場合の、配向した重合性液晶化合物の長軸の方向を表す。例えば、垂直配向とは、液晶偏光子、第1液晶位相差層又は第2液晶位相差層の平面に対して垂直な方向に、配向した重合性液晶化合物の長軸を有することである。ここでいう垂直とは、液晶偏光子、第1液晶位相差層又は第2液晶位相差層の平面に対して90°±20°のことを意味する。
配向規制力は、配向膜が配向性ポリマーから形成されている場合は、表面状態やラビング条件によって任意に調整することが可能であり、光配向性ポリマーから形成されている場合は、偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。また、重合性液晶化合物の、表面張力や液晶性等の物性を選択することにより、液晶配向を制御することもできる。
第1配向膜及び第2配向膜が、フィルム基材又はガラス基材と、第1液晶組成物又は第2液晶組成物の硬化物層との間に形成される場合、第1液晶組成物又は第2液晶組成物に含まれる溶剤に不溶であり、また、溶剤の除去や重合性液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。第1配向膜及び第2配向膜としては、それぞれ独立に、配向性ポリマーからなる配向膜、光配向膜及びグルブ(groove)配向膜、配向方向に延伸してある延伸フィルム等が挙げられ、長尺のロール状フィルムに適用する場合には、配向方向を容易に制御できる点で、光配向膜が好ましい。
第1配向膜及び第2配向膜の厚みは、それぞれ独立に、通常10nm~5000nmの範囲であり、好ましくは10nm~1000nmの範囲であり、より好ましくは30~300nmである。
ラビング配向膜に用いられる配向性ポリマーとしては、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸エステル類等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。これらの配向性ポリマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラビングする方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向性ポリマー組成物を基材に塗布しアニールすることで、フィルム基材又はガラス基材表面に形成された配向性ポリマーの膜を、接触させる方法が挙げられる。
光配向膜は、光反応性基を有するポリマーやオリゴマー又はモノマーからなる。光配向膜は、偏光を照射することで配向規制力が得られる。照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御できる点で光配向膜がより好ましい。
光反応性基とは、光を照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光を照射することで生じる分子の配向誘起又は異性化反応、二量化反応、光架橋反応、又は光分解反応のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じるものである。当該光反応性基の中でも、二量化反応又は光架橋反応を起こすものが、配向性に優れる点で好ましい。以上のような反応を生じうる光反応性基としては、不飽和結合、特に二重結合を有するものが好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)、及び炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する基がより好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては例えば、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ-ル基、スチルバゾリウム基、カルコン基及びシンナモイル基等が挙げられる。反応性の制御が容易であるという点や光配向時の配向規制力発現の観点から、カルコン基及びシンナモイル基が好ましい。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基及び芳香族ヒドラゾン等の構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基及びホルマザン基等や、アゾキシベンゼンを基本構造とするものが挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基及びマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基及びハロゲン化アルキル基等の置換基を有していてもよい。
偏光を照射するには、膜面から直接偏光を照射する形式でも、フィルム基材又はガラス基材側から偏光を照射し、偏光を透過させる形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であることが特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外光)が特に好ましい。
(第1貼合層、第2貼合層、第3貼合層、接着剤層)
第1貼合層及び第2貼合層は、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層であり、いわゆる接着剤層と称される貼合層である。第3貼合層は、接着剤層であってもよいが、ガラス転移温度Tgが25℃以下の貼合層であることが好ましい。接着剤層は、接着剤組成物を用いて形成することができ、Tgが25℃以下の貼合層は、例えば粘着剤組成物を用いて形成することができる。貼合層のTgは、示差走査熱量計(DSC)により測定できる。
接着剤組成物としては、例えば、水系接着剤組成物、加熱又は紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性組成物等が挙げられる。水系接着剤組成物としては、例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を水に溶解したもの、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を水に分散させたものが挙げられる。水系接着剤組成物は、さらに、多価アルデヒド、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物、グリオキサール化合物、水溶性エポキシ樹脂等の硬化性成分や架橋剤を含有していてもよい。
接着剤組成物は、主成分として硬化性(重合性)化合物を含み、活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物としては、硬化性化合物としてカチオン重合性化合物を含むカチオン重合性接着剤組成物、硬化性化合物としてラジカル重合性化合物を含むラジカル重合性接着剤組成物、硬化性化合物としてカチオン重合性化合物とラジカル重合性化合物との両方を含むハイブリッド型接着剤組成物等が挙げられる。
カチオン重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射や加熱によりカチオン重合反応が進行して硬化する化合物又はオリゴマーであり、具体的にはエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニル化合物等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物(脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する化合物);ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物(分子内に芳香族環とエポキシ基とを有する化合物);2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物(脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環を分子内に少なくとも1個有する化合物)等が挙げられる。
オキセタン化合物としては、3-エチル-3-{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン等の分子内に1個以上のオキセタン環を有する化合物が挙げられる。
カチオン重合性接着剤組成物は、カチオン重合開始剤を含むことが好ましい。カチオン重合開始剤は熱カチオン重合開始剤であってもよいし、光カチオン重合開始剤であってもよい。カチオン重合開始剤としては、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート等の芳香族ジアゾニウム塩;ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の芳香族ヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート等の芳香族スルホニウム塩;キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート等の鉄-アレーン錯体等が挙げられる。カチオン重合開始剤の含有量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して通常0.1~10質量部である。カチオン重合開始剤は2種以上含んでいてもよい。
カチオン重合性接着剤組成物としては、例えば、特開2016-126345号公報、特開2021-113969号公報に記載のカチオン重合性組成物等が挙げられる。
ラジカル重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射や加熱によりラジカル重合反応が進行して硬化する化合物又はオリゴマーであり、具体的にはエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系化合物、分子内に1個以上のビニル基を有するビニル化合物等が挙げられる。
(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、及び、官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルオリゴマー等の(メタ)アクリロイル基含有化合物を挙げることができる。
ラジカル重合性接着剤組成物は、ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。ラジカル重合開始剤は熱ラジカル重合開始剤であってもよいし、光ラジカル重合開始剤であってもよい。ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン、3-メチルアセトフェノン等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤;4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;キサントン、フルオレノン等が挙げられる。ラジカル重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して通常0.1~10質量部である。ラジカル重合開始剤は2種以上含んでいてもよい。
ラジカル重合性接着剤組成物としては、例えば、特開2016-126345号公報、特開2016-153474号公報、国際公開第2017/183335号に記載のラジカル重合性組成物等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、必要に応じて、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、溶媒等の添加剤を含有することができる。
第1貼合層又は第2貼合層によって貼合される2つの層のうちの少なくとも一方の層の貼合面に、接着剤組成物を塗工し、接着剤組成物の塗工層を介して上記2つの層を重ね合わせ、貼合ロール等を用いて上下から押圧して貼合後、塗工層を乾燥する、塗工層に活性エネルギー線を照射して硬化させる、又は加熱して硬化させることにより行うことができる。
接着剤組成物の塗工層を形成する前に、上記2つの層の貼合面の少なくとも一方に、ケン化処理、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理、アンカーコーティング処理等の易接着処理を施してもよい。
接着剤組成物の塗工層の形成には、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ドクターブレードコーター等の種々の塗工方式を使用することができる。
活性エネルギー線を照射する場合の光照射強度は、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の組成ごとに決定されるものであって特に限定されないが、10mW/cm以上1,000mW/cm以下であることが好ましい。なお、照射強度は、好ましくは光カチオン重合開始剤又は光ラジカル重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。このような光照射強度で1回あるいは複数回照射して、その積算光量を、10mJ/cm以上とすることが好ましく、100mJ/cm以上1,000mJ/cm以とすることがより好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の重合硬化を行うために使用する光源は、特に限定されないが、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプが挙げられる。
水系接着剤組成物から形成される接着剤層の厚みは、例えば5μm以下であってよく、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上であってよく、0.05μm以上であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物から形成される硬化物層(接着剤層)の厚みは、例えば、10μm以下であってよく、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上であってもよく、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。
粘着剤組成物としては、従来公知の光学的な透明性に優れる粘着剤組成物を特に制限なく用いることができ、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等のベースポリマーを有する粘着剤組成物を用いることができる。また、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、熱硬化型粘着剤組成物などであってもよい。これらの中でも、透明性、粘着力、再剥離性、耐候性、耐熱性等に優れるアクリル系樹脂をベースポリマーとした粘着剤組成物が好適である。
粘着剤組成物は、さらに、架橋剤、シラン化合物、帯電防止剤等を含んでいてもよい。
粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル系樹脂は、下記式(VIII)で示される(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位(以下、「構造単位(VIII)」ともいう。)を主成分(例えば、(メタ)アクリル系樹脂の構造単位100質量部に対して50質量部以上含む。)とする重合体(以下、「(メタ)アクリル酸エステル重合体」ともいう。)であることが好ましい。
Figure 2024018945000006

[式(VIII)中、
10は、水素原子又はメチル基を表し、
20は、炭素数1~20のアルキル基を表し、前記アルキル基は直鎖状、分岐状又は環状のいずれの構造を有していてもよく、前記アルキル基の水素原子は、炭素数1~10のアルコキシ基で置き換わっていてもよい。]
式(VIII)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、i-へキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、n-及びi-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、i-デシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルコキシ基含有アルキルアクリレートの具体例としては、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でもn-ブチル(メタ)アクリレートまたは2-エチルへキシル(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、特にn-ブチル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、構造単位(VIII)以外の他の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。他の単量体に由来する構造単位は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。(メタ)アクリル酸エステル重合体が含み得る他の単量体としては、極性官能基を有する単量体、芳香族基を有する単量体、アクリルアミド系単量体が挙げられる。
極性官能基を有する単量体としては、極性官能基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。極性官能基としては、ヒドロキシ基;カルボキシ基;炭素数1~6のアルキル基で置換された置換アミノ基又は無置換アミノ基;エポキシ基等の複素環基等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体中の極性官能基を有する単量体に由来する構造単位の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の全構造単位100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下、さらに好ましくは1質量部以上5質量部以下である。
芳香族基を有する単量体としては、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基と1個以上の芳香環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等)を有し、フェニル基、フェノキシエチル基、又はベンジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体中の芳香族基を有する単量体に由来する構造単位の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の全構造単位100質量部に対して、好ましくは4質量部以上20質量部以下、より好ましくは4質量部以上15質量部以下である。
アクリルアミド系単量体としては、N-(メトキシメチル)アクリルアミド、N-(エトキシメチル)アクリルアミド、N-(プロポキシメチル)アクリルアミド、N-(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-(2-メチルプロポキシメチル)アクリルアミド等が挙げられる。
さらに、構造単位(VIII)以外の他の単量体に由来する構造単位として、スチレン系単量体に由来する構造単位、ビニル系単量体に由来する構造単位、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構造単位等が含まれていてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(以下、単に「Mw」ともいう。)は、50万~250万であることが好ましい。重量平均分子量が50万以上であると、高温、高湿の環境下における粘着剤層の耐久性を向上させることができる。重量平均分子量が250万以下であると、粘着剤組成物を含有する塗工液を塗工する際の操作性が良好となる。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(以下、単に「Mn」ともいう。)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、通常2~10である。本明細書において「重量平均分子量」及び「数平均分子量」とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
(メタ)アクリル系樹脂は、酢酸エチルに溶解させて濃度20質量%の溶液としたとき、25℃における粘度が、20Pa・s以下であることが好ましく、0.1~15Pa・sであることがより好ましい。(メタ)アクリル樹脂の25℃における粘度が上記範囲内であると、上記樹脂により形成された粘着剤層を含む光学積層体の耐久性の向上や、リワーク性に寄与する。上記粘度は、ブルックフィールド粘度計によって測定できる。
(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば-60~20℃、好ましくは-50~15℃、より好ましくは-45~10℃、さらに好ましくは-40~0℃である。なお、ガラス転移温度は示差走査熱量計(DSC)により測定できる。
(メタ)アクリル系樹脂は、2種以上の(メタ)アクリル酸エステル重合体を含んでもよい。そのような(メタ)アクリル酸エステル重合体としては、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位(VIII)を主成分とするものであって、重量平均分子量が5万~30万の範囲にあるような比較的低分子量の(メタ)アクリル酸エステル重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂は、通常、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合方法によって製造することができる。(メタ)アクリル系樹脂の製造においては、通常、重合開始剤の存在下に重合が行われる。重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル系樹脂を構成する全ての単量体の合計100質量部に対して、通常0.001~5質量部である。
粘着剤組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、慣用の架橋剤(例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、過酸化物等)が挙げられ、特に粘着剤組成物のポットライフ、架橋速度、及び偏光板の耐久性等の観点から、イソシアネート系化合物であることが好ましい。架橋剤の割合は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、例えば、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部である。
粘着剤組成物は、さらにシラン化合物を含有していてもよい。粘着剤組成物におけるシラン化合物の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、通常0.01~10質量部である。
粘着剤組成物は、帯電防止剤をさらに含んでもよい。帯電防止剤としては、公知のものが挙げられ、イオン性帯電防止剤が好適である。粘着剤組成物の帯電防止性能の経時安定性に優れるという点で、室温で固体であるイオン性帯電防止剤が好ましい。帯電防止剤の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~20質量部であり、より好ましくは1~7質量である。
粘着剤層の厚みは、通常0.1~30μmであり、好ましくは3~30μmであり、さらに好ましくは5~25μmである。
粘着剤層は、温度25℃における貯蔵弾性率が、好ましくは1.0×10Pa~1.0×10Paであり、より好ましくは1.0×10Pa~1.0×10Paである。貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定により得られ得る。
粘着剤層は、温度70℃におけるクリープ量ΔCrが、例えば65μm以下であり、50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、さらには15μm以下であってもよい。クリープ量ΔCrの下限は、例えば0.5μmである。クリープ量がこのような範囲であれば、貯蔵弾性率の場合と同様に、光学積層体を切断する際の糊欠け、糊汚れ、及び切断不良を抑制することができる。なお、クリープ値は、例えば以下の手順で測定され得る:縦20mm×横20mmの接合面にてステンレス製試験板に貼り付けた粘着剤層に対して、試験板を固定した状態で500gfの荷重を鉛直下方に加える。荷重を加え始めてから100秒後及び3600秒後の各時点における試験板に対する粘着剤層のクリープ量(ずれ量)を測定し、それぞれCr100及びCr3600とする。測定したCr100及びCr3600から、式ΔCr=Cr3600-Cr100によりクリープ量ΔCrが求められ得る。
(セパレーター)
セパレーターは、光学積層体を表示素子に貼合するための第3貼合層に対して剥離可能に設けられ、第3貼合層の表面を被覆保護する。セパレーター付光学積層体の第3貼合層からセパレーターを剥離する際には、セパレーターは第3貼合層の形状を保ったまま剥離することができる。セパレーターとしては、基材フィルム及び離型処理層を有するものが好ましい。基材フィルムは、樹脂を製膜したフィルムが挙げられ、当該樹脂としては、例えば第1基材層及び第2基材層に用いるフィルム基材が挙げられる。離型処理層は、公知の離型処理層であればよく、例えばフッ素化合物やシリコーン化合物等の離型剤を基材フィルムにコーティングして形成された層が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。実施例及び比較例中の「%」及び「部」は、特記しない限り、「質量%」及び「質量部」である。
[厚みの測定]
各層の厚みの測定には、特記しない限り、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)、又は、株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーター「MH-15M」を用いた。
[基材層付き偏光板(1)の作製]
(第1液晶組成物の調製)
下記の成分を混合し、温度80℃で1時間撹拌することで、第1液晶組成物を得た。重合性液晶化合物(X1)及び(X2)は下記に示す構造を有する。二色性色素(DP1)~(DP3)は、特開2013-101328号公報の実施例に記載のアゾ色素であり、下記に示す構造を有する。
重合性液晶化合物(X1):75部
重合性液晶化合物(X2):25部
二色性色素(DP1):2.5部
二色性色素(DP2):2.5部
二色性色素(DP3):2.5部
重合開始剤[2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア(登録商標)369;BASFジャパン社製]:6部
レベリング剤[ポリアクリレート化合物(BYK-361N;BYK-Chemie社製)]:1.2部
溶剤[o-キシレン]:250部
・重合性液晶化合物(X1):
Figure 2024018945000007

・重合性液晶化合物(X2):
Figure 2024018945000008
・二色性色素(DP1):
Figure 2024018945000009

・二色性色素(DP2):
Figure 2024018945000010

・二色性色素(DP3):
Figure 2024018945000011
(光配向膜形成用組成物(1)の調製)
特開2013-033249号公報に記載の下記成分を混合し、得られた混合物を80℃で1時間撹拌することにより、光配向膜形成用組成物(1)を得た。
・下記に示す構造の光配向性ポリマー:2部
Figure 2024018945000012

・溶剤[o-キシレン]:98部
(水溶性ポリマー水溶液の調製)
以下の合成スキームにしたがって、下記構造単位からなる水溶性ポリマーを得た。
Figure 2024018945000013
ジメチルスルホキシド400g中に分子量1000のポリビニルアルコール(和光純薬工業株式会社製)20gと、求核剤としてN,N-ジメチル-4-アミノピリジンを0.55mg、トリエチルアミン4.6gを溶解し、撹拌しながら温度60℃まで昇温した。この後、ジメチルスルホキシド50g中にメタクリル酸無水物10.5gを溶解させた溶液を1時間かけて滴下し、温度60℃で14時間加熱撹拌することで反応させた。得られた反応溶液を室温まで冷却後、反応溶液中にメタノール481gを加えて完全に混合するように撹拌することで、反応溶液とメタノールの比率(質量)が1:1となるように調整した。この溶液中に1500mLのアセトンを徐々に加えることで、水溶性ポリマーを晶析法により結晶化させた。得られた白色結晶を含む溶液を濾過し、アセトンでよく洗浄した後に真空乾燥することで、水溶性ポリマーを20.2g得た。得られた水溶性ポリマーを水に溶解させ、3質量%の水溶性ポリマー水溶液を調製した。
(HC層形成用組成物の調製)
下記の成分を混合し、温度50℃で4時間撹拌して、ハードコート(HC)層形成用組成物を得た。
・下記に示す構造のアクリレートモノマー:70部
Figure 2024018945000014

・ウレタンアクリレート樹脂[EBECRYL4858(ダイセル・オルネクス株式会社製)]:30部
・重合開始剤[Omnirad907(IGM Resins B.V社製)]:3部
・溶媒[メチルエチルケトン]:10部
(基材層付き偏光板(1)の作製)
フィルム幅800mmのロール状離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ユニチカ(株)製「FF-50」、片面離型処理PETフィルム(支持基材の厚み:50μm))の離型処理面に、上記で得たHC層形成用組成物をスロットダイコーターで連続的に塗布し、温度100℃で2分間乾燥して厚み2.00μmのHC層(保護層)を形成した。これにより、片面離型処理PETフィルムの離型処理面上にHC層が積層されたフィルムが得られ、これを第1基材層(1)とした。
第1基材層(1)のHC層にプラズマ処理を施した後、スロットダイコーターを用いて上記で調製した光配向膜形成用組成物(1)を塗布して、片面離型処理PETフィルムの中央部の幅600mm範囲に塗布層を形成した。続いて、温度100℃に設定した通風乾燥炉中を2分間かけて搬送することで溶剤を除去し、HC層上の塗布層を乾燥させた。その後、乾燥後の上記塗布層に対して、片面離型処理PETフィルムの長さ方向に対して90°方向の偏光UV光を20mJ/cm(313nm基準)の強度となるように照射することで配向規制力を付与して、HC層上に光配向膜(1)を形成した。光配向膜(1)の厚みは、約50nmであった。
第1基材層(1)上に形成した光配向膜(1)上に、スロットダイコーターを用いて上記で調製した第1液晶組成物を塗布し、第1基材層(1)の中央部の幅600mm範囲に塗布層を形成した。続いて、温度110℃に設定した通風乾燥炉中を2分間かけて搬送することで溶剤を除去し、第1基材層(1)上の塗布層を乾燥させた。その後、高圧水銀灯を用いて紫外光を1000mJ/cm(365nm基準)で照射して、乾燥後の上記塗布層に含まれる重合性液晶化合物を硬化させることで第1液晶組成物の硬化物層を形成し、第1基材層(1)上に光配向膜(1)及び硬化物層(併せて液晶偏光子)がこの順に形成された基材層付き液晶偏光子(1)を得た。基材層付き液晶偏光子(1)は、長さ方向に対して90°方向に吸収軸を有していた。硬化物層の厚みは、3μmであった。
次いで、基材層付き液晶偏光子(1)の液晶偏光子側にプラズマ処理を施した後、スロットダイコーターを用いて、上記で調製した水溶性ポリマー水溶液を連続的に塗布し、温度100℃で2分間乾燥して厚み2μmのオーバーコート層(第2保護層)を形成した。これにより、第1基材層(1)(片面離型処理PETフィルム/HC層)/液晶偏光子(光配向膜(1)/硬化物層)/オーバーコート層をこの順に備える長尺の基材層付き偏光板(1)を得た。
得られた基材層付き偏光板(1)を、40mm×40mmの大きさの正方形に裁断した。オーバーコート層側を、無アルカリガラス板(コーニング社製、商品名「Eagle-XG」)に、厚みが25μmのアクリル系粘着剤(リンテック株式会社製、商品名「P-3132」)を用いて貼合した後、片面離型処理PETフィルムを剥離して試験体を得た。
得られた試験体の透過軸方向の単体透過率(T1)及び吸収軸方向の単体透過率(T2)を、分光光度計(島津製作所株式会社製 UV-3150)に偏光子付フォルダーをセットした装置を用いて、ダブルビーム法により2nmステップ380~680nmの波長範囲で測定した。下記式(式1)並びに(式2)を用いて、各波長における単体透過率、偏光度を算出し、さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い、視感度補正単体透過率(Ty)及び視感度補正偏光度(Py)を算出した。
単体透過率[%]=(T1+T2)/2 (式1)
偏光度[%]=〔(T1-T2)/(T1+T2)〕×100 (式2)
その結果、試験体の視感度補正単体透過率(Ty)は42%、視感度補正偏光度(Py)は97%であり、偏光板として有用な値であることを確認した。さらに、温度100℃で120時間、試験体を加熱した後に、上記の手順で視感度補正単体透過率(Ty)及び視感度補正偏光度(Py)を算出したところ、加熱後の試験体も、視感度補正単体透過率(Ty)は42%、視感度補正偏光度(Py)は97%であり、光学性能の低下は見られなかった。
[基材層付き偏光板(2)の作製]
片面離型処理PETフィルムに形成するHC層(保護層)の厚みを3.95μmに変更したこと以外は、基材層付き偏光板(1)の作製の手順で基材層付き偏光板(2)を作製した。
[基材層付き偏光板(3)の作製]
片面離型処理PETフィルムに形成するHC層(保護層)の厚みを4.95μmに変更したこと以外は、基材層付き偏光板(1)の作製の手順で基材層付き偏光板(3)を作製した。
[第1液晶位相差層(1)の作製]
(配向膜形成用組成物(1)の調製)
市販のポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)に水を加えて温度100℃で1時間加熱し、配向膜形成用組成物(1)を得た。
(第2液晶組成物(1)の調製)
下記に示す重合性液晶化合物(X3)及び重合性液晶化合物(X4)を混合し、これに下記に示すレベリング剤、光重合開始剤、及びイオン性化合物を添加し、さらに下記に示す溶剤を添加して混合物を得た。この混合物を温度80℃で1時間撹拌することにより、第2液晶組成物(1)を調製した。重合性液晶化合物(X3)及び(X4)は、特開2010-244038号公報に記載の方法にしたがって調製し、下記に示す構造を有する。イオン性化合物は、下記に示す構造を有する。
重合性液晶化合物(X3):80部
重合性液晶化合物(X4):20部
レベリング剤[メガファックF-556(DIC社製)]:0.1部
光重合開始剤[Omnirad907(IGM Resin B.V.社製)]:2.5部
イオン性化合物:0.1部
溶剤[シクロペンタノン]:650部
・重合性液晶化合物(X3):
Figure 2024018945000015

Figure 2024018945000016
・イオン性化合物:
Figure 2024018945000017
(基材層付き第1液晶位相差層(1)の作製)
長方形に切り出したシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(日本ゼオン株式会社製、ZF14)に、コロナ処理装置(AGF-B10;春日電機株式会社製)を用いてコロナ処理を施した後に配向膜形成用組成物(1)を塗布し、加熱乾燥後、厚み100nmの配向膜を形成した。得られた配向膜の表面にCOPフィルムの長手方向から75°となる角度でラビング処理を施し、その上に、第2液晶組成物(1)を、バーコーターにより塗布した。得られた塗布膜を温度120℃で2分間乾燥した後、高圧水銀ランプ(ウシオ電機株式会社製「ユニキュアVB-15201BY-A」)を用いて、窒素雰囲気下にて温度80℃にて露光量1000mJ/cm(365nm基準)の紫外光を乾燥被膜に照射することにより、重合性液晶化合物の光軸がCOPフィルム面に対して水平方向に配向した状態で硬化した重合性液晶化合物の硬化物層(1-1)を形成した。これにより、第2基材層(COPフィルム)/第1液晶位相差層(1)(配向膜/硬化物層(1-1))からなる基材層付き第1液晶位相差層(1)を得た。
得られた硬化物層(1-1)の厚みをレーザー顕微鏡で測定したところ2μmであった。第1液晶位相差層(1)の面内位相差値は、王子計測機器株式会社製のKOBRA-WRを用いて測定した。その結果、波長550nmにおける面内位相差値は、Re(550)=270nmであった。なお、COPフィルムの波長550nmにおける位相差値は略0であるため、COPフィルムは第1液晶位相差層(1)の光学特性には影響しない。配向角はCOPフィルムの長手方向に対して-15°であった。
[第2液晶位相差層(1)の作製]
(第2液晶組成物(2)の調製)
下記に示す重合性液晶化合物(X5)、レベリング剤、及び光重合開始剤を混合し、さらに下記に示す溶剤を混合して、温度80℃で1時間撹拌することにより、第2液晶組成物(2)を調製した。重合性液晶化合物(X5)は、下記に示す構造を有する。
重合性液晶化合物(X5)[Paliocolor LC242(BASFジャパン社製)]:100部
レベリング剤[BYK-361N(BYK-Chemie社製)]:0.1部
光重合開始剤[Omnirad907(IGM Resin B.V.社製)]:2.5部
溶剤[プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート(PGME)]:400部
・重合性液晶化合物(X5):
Figure 2024018945000018
(基材層付き第2液晶位相差層(1)の作製)
長方形に切り出したトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(コニカミノルタ株式会社製、KC4UY)に配向膜形成用組成物(1)を塗布し、加熱乾燥後、厚み100nmの配向膜を形成した。得られた配向膜の表面に、TACフィルムの長手方向から15°となる角度でラビング処理を施し、その上に、第2液晶組成物(2)を、バーコーターにより塗布した。得られた塗布膜を温度100℃で1分間乾燥した後、室温まで冷却して乾燥被膜を得た。次いで、高圧水銀ランプ(ウシオ電機株式会社製「ユニキュアVB-15201BY-A」)を用いて、窒素雰囲気下にて露光量1000mJ/cm(365nm基準)の紫外光を乾燥被膜に照射することにより、重合性液晶化合物の光軸がTACフィルム面に対して水平方向に配向した状態で硬化した重合性液晶化合物の硬化物層(2-1)を形成した。これにより、第2基材層(TACフィルム)/第2液晶位相差層(1)(配向膜/硬化物層(2-1)(水平配向液晶硬化膜))からなる基材層付き第2液晶位相差層(1)を得た。
得られた硬化物層(2-1)の厚みをレーザー顕微鏡で測定したところ1μmであった。第2液晶位相差層(1)の面内位相差値は、王子計測機器株式会社製のKOBRA-WRを用いて測定した。その結果、波長550nmにおける面内位相差値は、Re(550)=140nmであった。なお、TACフィルムの波長550nmにおける位相差値は略0であるため、TACフィルムは第2液晶位相差層(1)の光学特性には影響しない。配向角はTACフィルムの長手方向に対して75°であった。
[第1液晶位相差層(2)の作製]
(光配向膜形成用組成物(2)の調製)
下記に示す構造を有する光配向性材料2部とシクロペンタノン(溶剤)98部とを混合し、温度80℃で1時間撹拌することにより、光配向膜形成用組成物(2)を得た。下記構造を有する光配向性材料(重量平均分子量:50000、m:n=50:50)は、特開2021-196514号公報に記載の方法に準じて合成した。
光配向性材料:
Figure 2024018945000019
(第2液晶組成物(3)の調製)
下記に示す重合性液晶化合物(X6)、重合性液晶化合物(X7)、レベリング剤及び光重合開始剤を混合し、さらに、固形分濃度が13%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を混合して、温度80℃で1時間撹拌することにより、第2液晶組成物(3)を調製した。重合性液晶化合物(X6)及び重合性液晶化合物(X7)は、下記に示す構造を有する。重合性液晶化合物(X6)は、特開2019-003177に記載の方法と同様に準備した。重合性液晶化合物(X7)は、特開2009-173893号公報に記載の方法と同様に準備した。
重合性液晶化合物(X6):90部
重合性液晶化合物(X7):10部
レベリング剤[BYK-361N(BM Chemie社製)]:0.1部
光重合開始剤[イルガキュアOXE-03(BASFジャパン株式会社製)]:3部
・重合性液晶化合物(X6):
Figure 2024018945000020

・重合性液晶化合物(X7):
Figure 2024018945000021
クロロホルム10mLに重合性液晶化合物(X6)1mgを溶解させて溶液を得た。得られた溶液を光路長1cmの測定用セルに測定用試料を入れ、測定用試料を紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから極大吸収度となる波長を読み取ったところ、波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは356nmであった。
(基材層付き第1液晶位相差層(2)の作製)
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ダイアホイル、三菱樹脂(株)製)に、光配向膜形成用組成物(2)をバーコーターにより塗布した。得られた塗布層を温度120℃で2分間乾燥させた後、室温まで冷却して塗布層を乾燥させた。その後、乾燥後の上記塗布層に対して、UV照射装置(SPOT CURE SP-9;ウシオ電機株式会社製)を用いて、偏光紫外光100mJ(313nm基準)を照射し、光配向膜(2)を得た。日本分光株式会社製のエリプソメータM-220を用いて測定した光配向膜(2)の厚みは100nmであった。
PETフィルム上の光配向膜(2)上に、バーコーターを用いて上記で調製した第2液晶組成物(3)を塗布し、塗布層を形成した。塗布層を温度120℃にて2分間加熱乾燥した後、室温まで冷却した。乾燥後の上記塗布層に対して、高圧水銀ランプ(ウシオ電機株式会社製「ユニキュアVB-15201BY-A」)を用いて、窒素雰囲気下にて露光量500mJ/cm(365nm基準)の紫外光を照射することにより、重合性液晶化合物がPETフィルム面内に対して水平方向に配向した状態で硬化した第2液晶組成物(3)の硬化物層(1-2)を形成した。オリンパス株式会社製のレーザー顕微鏡LEXT
OLS4100を用いて測定した硬化物層(1-2)の厚みは2μmであった。これにより、第2基材層(PETフィルム)/第1液晶位相差層(2)(光配向膜(2)/硬化物層(1-2))からなる基材層付き第1液晶位相差層(2)を得た。
基材層付き第1液晶位相差層(2)の第1液晶位相差層(2)側にコロナ処理を施し、リンテック社製25μm感圧式粘着剤を介して基材層付き第1液晶位相差層(2)をガラスに貼合し、PETフィルムを剥離し除去して試験体を得た。この試験体の面内位相差値を、王子計測機器株式会社製のKOBRA-WRを用いて測定した。波長450nm、550nm、及び650nmの光に対する面内位相差値は波長448.2nm、498.6nm、548.4nm、587.3nm、628.7nm、及び748.6nmの光に対する面内位相差値の測定結果から得られたコーシーの分散公式より求めた。その結果、面内位相差値は、Re(450)=122nm、Re(550)=140nm、Re(650)=144nmであり、各波長での面内位相差値の関係は以下のとおりであった。
Re(450)/Re(550)=0.87
Re(650)/Re(550)=1.03
[式中、Re(450)は波長450nmの光に対する面内位相差値を、Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値を、Re(650)は波長650nmの光に対する面内位相差値を表す。]
[第2液晶位相差層(2)の作製]
(垂直配向膜形成用組成物の調製)
2-フェノキシエチルアクリレートと、テトラヒドロフルフリルアクリレートと、ジペンタエリスリトールトリアクリレートと、ビス(2-ビニルオキシエチル)エーテルとを1:1:4:5の割合で混合し、さらに重合開始剤としてLUCIRIN TPOを4%の割合で添加して、垂直配向膜形成用組成物を調製した。
(第2液晶組成物(4)の調製)
第2液晶組成物(4)は、光重合性ネマチック液晶化合物(メルク社製、RMM28B)と溶媒とを、固形分が1~1.5gとなるようにして調製した。溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)と、メチルイソブチルケトン(MIBK)と、シクロヘキサノン(CHN)とを、質量比(MEK:MIBK:CHN)で35:30:35の割合で混合した混合溶媒を用いた。
(基材層付き第2液晶位相差層(2)の作製)
フィルム幅800mmのロール状離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ユニチカ(株)製「FF-50」、片面離型処理PETフィルム(支持基材の厚み:50μm))の離型処理側とは反対の表面にコロナ処理を施した後、スロットダイコーターを用いて、上記で調製した垂直配向膜形成用組成物を、硬化後の厚みが3μmになるように塗布した。塗布膜に200mJ/cmの紫外線を照射して、片面離型処理PETフィルム上に垂直配向膜を形成した。
片面離型処理PETフィルム上の垂直配向膜上に、スロットダイコーターを用いて、上記で調製した第2液晶組成物(4)を、硬化後の厚みが1μmとなるように塗布した。乾燥温度を75℃、乾燥時間を120秒間として、塗布層を乾燥させた後、紫外線(UV)照射して、重合性液晶化合物を重合させて硬化物層(2-2)を形成した。これにより、第2基材層(片面離型処理PETフィルム)/第2液晶位相差層(2)(垂直配向膜/硬化物層(2-2))からなる基材層付き第2液晶位相差層(2)を得た。第2液晶位相差層(2)は、ポジティブCプレートであった。
[活性エネルギー線硬化性組成物(1)(カチオン重合性接着剤組成物)の調製]
下記に示す成分を混合した後、脱泡して、活性エネルギー線硬化性組成物(1)を調製した。なお、光カチオン重合開始剤は、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、その部数は固形分量で示す。
・カチオン重合性化合物(1)[3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(商品名:OXT-221、東亞合成(株)製)]:60.0部
・カチオン重合性化合物(2)[3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:CEL2021P、(株)ダイセル製)]:32.5部
・カチオン重合性化合物(3)[2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(商品名:EHPE3150、(株)ダイセル製)]:7.5部
・光カチオン重合開始剤[CPI-100P(サンアプロ(株)製、50質量%溶液)]:2.3部
・光増感剤[9,10-ジブトキシアントラセン]:1.0部
・光増感助剤[1,4-ジエトキシナフタレン]:1.0部
[活性エネルギー線硬化性組成物(2)(ラジカル重合性接着剤組成物)の調製]
下記に示す成分を混合し、活性エネルギー線硬化性組成物(2)を調製した。
・N,N-ジメチルアクリルアミド[KJケミカルズ(株)製]:65部
・ジシクロペンタニルアクリレート[日立化成工業(株)]:15部
・紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂[商品名:UV-3700B、日本合成化学工業(株)製、粘度:30,000~60,000mPa・s/60℃、分子量(Mw):38,000、オリゴマー官能基数:2、ガラス転移温度Tg:-6℃]:20部
・光ラジカル重合開始剤[Omnirad 819(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン)、BASFジャパン(株)]:3部
[粘着剤層(1)の作製]
撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、アクリル酸n-ブチル95.0部、アクリル酸4.0部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル1.0部、酢酸エチル200部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.08部を仕込み、上記反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。窒素雰囲気下で攪拌しながら、反応溶液を60℃に昇温し、6時間反応させた後、室温まで冷却した。
得られた溶液の一部の重量平均分子量を測定したところ、180万の(メタ)アクリル酸エステル重合体の生成を確認した。(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
〔測定条件〕
・GPC測定装置:東ソー株式会社製,HLC-8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー株式会社製
TSK guard column HXL-H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
上記工程で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100部(固形分換算値;以下同じ)と、イソシアネート系架橋剤として、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名「コロネート(登録商標)L」)1.5部と、シランカップリング剤として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM403」)0.30部と、紫外線硬化性化合物としてエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製:品名「A-9300」)7.5部と、光重合開始剤として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(BASF社製:イルガキュア(登録商標)907)0.5部とを混合し、十分に撹拌して、酢酸エチルで希釈することにより、粘着剤組成物(1)の塗工溶液を得た。
セパレーター(リンテック株式会社製:SP-PLR382190)の離型処理面(剥離層面)に、アプリケーターにより、乾燥後の厚みが5μm(株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーター「MH-15M」で測定)となるように、粘着剤組成物(1)の塗工溶液を塗工した後、温度100℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗工層のセパレーターが貼合された面とは反対面に、もう1枚のセパレーター(リンテック株式会社製:SP-PLR381031)を貼合した。この塗工層にベルトコンベア付き紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ社製、ランプはDバルブを使用)を用いて剥離シート越しに紫外線(照射強度500mW/cm、積算光量500mJ/cm)を照射して粘着剤層(1)を形成し、両面セパレーター付き粘着剤層(1)を得た。
温度40℃、相対湿度90%の条件下において、水蒸気透過度測定機(Lyssy社製「Lyssy-L80-5000」)を用いて、粘着剤層(1)の水蒸気透過度を測定したところ、7600g/(m・24h)であった。
粘着剤層(1)の貯蔵弾性率G’を測定したところ、温度25℃において125,000Paであった。貯蔵弾性率G’の測定は、粘着剤層(1)を厚みが0.2mm(株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーター「MH-15M」で測定)になるように複数枚積層した後、直径8mmの円柱体を打ち抜いたものを測定用サンプルとして用い、この測定用サンプルについて、JIS K7244-6に準拠し、粘弾性測定装置(Physica社製、MCR300)を用いてねじりせん断法により、以下の条件で測定した。
〔測定条件〕
ノーマルフォースFN:1N
歪みγ:1%
周波数:1Hz
温度:25℃
粘着剤層(1)のガラス転移温度を次の手順で測定したところ、25℃以下であった。まず、粘着剤層(1)を5mg採取して、アルミニウム押え蓋型容器に入れ、押さえつけて密閉し、測定用試料を作製した。示差走査熱量計(DSC)〔エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)から販売されている「EXSTAR-6000 DSC6220」に上記の測定用試料が入った容器をセットし、窒素ガスをパージしながら、20℃から-60℃まで降温し、-60℃に達してから1分間保持した後、-60℃から150℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、150℃に達したら直ちに20℃まで降温した。そして、-60℃から150℃まで昇温するときのDSC曲線から、JIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」に規定される中間点ガラス転移温度を求め、これを測定対象の粘着剤層(1)のガラス転移温度とした。
[粘着剤層(2)~(6)の作製]
撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、アクリル酸n-ブチル97.0部、アクリル酸1.0部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.5部、酢酸エチル200部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.08部を仕込み、上記反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。窒素雰囲気下で攪拌しながら、反応溶液を60℃に昇温し、6時間反応させた後、室温まで冷却した。得られた溶液の一部の重量平均分子量を上記した手順で測定したところ、180万の(メタ)アクリル酸エステル重合体の生成を確認した。
上記工程で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100部(固形分換算値;以下同じ)と、イソシアネート系架橋剤として、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名「コロネート(登録商標)L」)0.30部と、シランカップリング剤として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名「KBM403」)0.30部とを混合し、十分に撹拌して、酢酸エチルで希釈することにより、粘着剤組成物(2)の塗工溶液を得た。
セパレーター(リンテック株式会社製:SP-PLR382190)の離型処理面(剥離層面)に、アプリケーターにより、乾燥後の厚みがそれぞれ5μm(粘着剤層(2))、10μm(粘着剤層(3))、15μm(粘着剤層(4))、25μm(粘着剤層(5))、及び35μm(粘着剤層(6))となるように(厚みは、株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーター「MH-15M」で測定)、粘着剤組成物(2)の塗工溶液を塗工した後、温度100℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗工層のセパレーターが貼合された面とは反対面に、もう1枚のセパレーター(リンテック株式会社製:SP-PLR381031)を貼合し、両面セパレーター付き粘着剤層(2)~(6)を得た。
粘着剤層(2)~(6)の貯蔵弾性率G’を上記した手順で測定したところ、温度25℃においていずれも25500Paであった。また、粘着剤層(2)~(6)のガラス転移温度を上記した手順で測定したところ、いずれも25℃以下であった。
〔実施例1〕
(基材層付き位相差積層体(1)の作製)
上記で得た基材層付き第1液晶位相差層(1)と基材層付き第2液晶位相差層(1)とを、それぞれ第1液晶位相差層(1)側及び第2液晶位相差層(1)側が貼合面となるようにして、上記で調製した活性エネルギー線硬化性組成物(1)を介して積層した。次いで、基材層付き第2液晶位相差層(1)側から紫外線を照射して、活性エネルギー線硬化性組成物(1)を硬化させて、厚み2μmの第2貼合層を形成し、基材層付き位相差積層体(1)(位相差体(1))を得た。基材層付き位相差積層体(1)は、第2基材層(COPフィルム)/第1液晶位相差層(1)(配向膜/硬化物層(1-1))/第2貼合層(活性エネルギー線硬化性組成物(1)の硬化物層)/第2液晶位相差層(1)(硬化物層(2-1)/配向膜)/第2基材層(TACフィルム)の層構造を有する。
(セパレーター付光学積層体(1)の作製)
上記で得た長尺の基材層付き偏光板(1)から、長尺の長さ方向が長辺となるように切り出した基材層付き偏光板(1)のオーバーコート層側にコロナ処理を行った。次いで、上記で得た基材層付き位相差積層体(1)の第1液晶位相差層(1)側の第2基材層(COPフィルム)を剥離し、剥離面にコロナ処理を行った。第2基材層の剥離とともに配向膜も剥離した。上記のコロナ処理面どうしを長辺が互いに重なるようにして、上記で調製した活性エネルギー線硬化性組成物(1)を介して貼合した。次いで、基材層付き偏光板(1)側から、UVAの積算光量が約350mJ/cm(測定器:FusionUV社製UV Power PuckIIによる測定値)となるように紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性組成物(1)を硬化させて硬化物層である第1貼合層を形成した。第1貼合層の厚みは2μmであった。
その後、基材層付き第2液晶位相差層(1)の第2基材層(TACフィルム)を剥離して露出した面に、両面セパレーター付き粘着剤層(4)から一方のセパレーターを剥離して露出した粘着剤層(4)を貼合し、基材層付き偏光板(1)側の片面離型処理PETフィルムを剥離して、セパレーター付光学積層体(1)を得た。第2基材層の剥離とともに配向膜も剥離した。セパレーター付光学積層体(1)は、保護層(HC層)/液晶偏光子(光配向膜(1)/硬化物層)/オーバーコート層/第1貼合層(活性エネルギー線硬化性組成物(1)の硬化物層)/第1液晶位相差層(1)(硬化物層(1-1))/第2貼合層(活性エネルギー線硬化性組成物(1)の硬化物層)/第2液晶位相差層(1)(硬化物層(2-1))/第3貼合層(粘着剤層(4))/セパレーターの層構造を有する。
〔実施例2~4〕
第2貼合層として表2に示すものを用いて基材層付き位相差積層体(2)(位相差体(2))を得た。第1貼合層及び第3貼合層として表2に示すものを用い、基材層付き偏光板(1)と基材層付き位相差積層体(1)との間に介在する活性エネルギー線硬化性組成物(2)を硬化させるために、UVBの積算光量が約250mJ/cm(測定器:FusionUV社製UV Power PuckIIによる測定値)となるように紫外線を照射したこと以外は、実施例1と同様にしてセパレーター付光学積層体(2)~(4)を得た。
〔実施例5〕
(基材層付き位相差積層体(5)の作製)
上記で得た基材層付き第1液晶位相差層(2)と基材層付き第2液晶位相差層(2)とを、それぞれ第1液晶位相差層(2)側及び第2液晶位相差層(2)側が貼合面となるようにして、上記で調製した活性エネルギー線硬化性組成物(1)を介して積層した。次いで、基材層付き第2液晶位相差層(2)側から紫外線を照射して、活性エネルギー線硬化性組成物(1)を硬化させて、厚み2μmの第2貼合層を形成し、基材層付き位相差積層体(5)(位相差体(5))を得た。基材層付き位相差積層体(5)は、第2基材層(PETフィルム)/第1液晶位相差層(2)(光配向膜(2)/硬化物層(1-2))/第2貼合層(活性エネルギー線硬化性組成物(1)の硬化物層)/第2液晶位相差層(2)(硬化物層(2-2)/垂直配向膜)/第2基材層(片面離型処理PETフィルム)の層構造を有する。
(セパレーター付光学積層体(5)の作製)
基材層付き位相差積層体(1)に代えて基材層付き位相差積層体(5)を用いたこと以外は実施例1のセパレーター付光学積層体(1)の作製の手順で、セパレーター付光学積層体(5)を得た。ただし、基材層付き位相差積層体(5)の第2基材層(PETフィルム及び片面離型処理PETフィルム)の剥離では、いずれも第2基材層が剥離し、光配向膜(2)及び垂直配向膜は剥離されず、それぞれ硬化物層(1-2)及び硬化物層(2-2)上に残った。セパレーター付光学積層体(5)は、保護層(HC層)/液晶偏光子(光配向膜(1)/硬化物層)/オーバーコート層/第1貼合層(活性エネルギー線硬化性組成物(1)の硬化物層)/第1液晶位相差層(2)(光配向膜(2)/硬化物層(1-2))/第2貼合層(活性エネルギー線硬化性組成物(1)の硬化物層)/第2液晶位相差層(2)(硬化物層(2-2)/垂直配向膜)/第3貼合層(粘着剤層(4))/セパレーターの層構造を有する。
〔実施例6~8〕
基材層付き偏光板、第1貼合層、第2貼合層、及び第3貼合層として表3に示すものを用い、基材層付き偏光板と基材層付き位相差積層体との間に介在する活性エネルギー線硬化性組成物(2)を硬化させるために、UVBの積算光量が約250mJ/cm(測定器:FusionUV社製UV Power PuckIIによる測定値)となるように紫外線を照射したこと以外は実施例5と同様にして、セパレーター付光学積層体(6)~(8)を得た。
〔実施例9〕
両面セパレーター付き粘着剤層(3)に代えて両面セパレーター付き粘着剤層(6)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、セパレーター付光学積層体(9)を得た。
〔比較例1〕
(基材層付き位相差積層体(c1)の作製)
上記で得た基材層付き第1液晶位相差層(1)の第1液晶位相差層側(1)、及び基材層付き第2液晶位相差層(1)の第2液晶位相差層(1)側に、それぞれコロナ処理を施した。このコロナ処理面どうしを、両面セパレーター付き粘着剤層(1)のセパレーターを剥離して得られる粘着剤層(1)を介して貼合し、基材層付き位相差積層体(c1)(位相差体(c1))を得た。基材層付き位相差積層体(c1)は、第2基材層(COPフィルム)/第1液晶位相差層(1)(配向膜/硬化物層(1-1))/第2貼合層(粘着剤層(1))/第2液晶位相差層(1)(硬化物層(2-1)/配向膜)/第2基材層(TACフィルム)の層構造を有する。
(セパレーター付光学積層体(c1)の作製)
上記で得た長尺の基材層付き偏光板(1)から、長尺の長さ方向が長辺となるように切り出した基材層付き偏光板(1)のオーバーコート層側にコロナ処理を行った。次いで、上記で得た基材層付き位相差積層体(c1)の第1液晶位相差層(1)側の第2基材層(COPフィルム)を剥離し、剥離面にコロナ処理を行った。第2基材層の剥離とともに配向膜も剥離した。上記のコロナ処理面どうしを長辺が互いに重なるようにして、上記で調製した活性エネルギー線硬化性組成物(1)を介して貼合した。次いで、基材層付き偏光板(1)側から、UVAの積算光量が約350mJ/cm(測定器:FusionUV社製UV Power PuckIIによる測定値)となるように紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性組成物(1)を硬化させて硬化物層である第1貼合層を形成した。第1貼合層の厚みは2μmであった。
その後、基材層付き第2液晶位相差層(1)の第2基材層(TACフィルム)を剥離して露出した面に、両面セパレーター付き粘着剤層(5)から一方のセパレーターを剥離して露出した粘着剤層(5)を貼合し、基材層付き偏光板(1)側の片面離型処理PETフィルムを剥離して、セパレーター付光学積層体(c1)を得た。第2基材層の剥離とともに配向膜も剥離した。セパレーター付光学積層体(c1)は、保護層(HC層)/液晶偏光子(光配向膜(1)/硬化物層)/オーバーコート層/第1貼合層(活性エネルギー線硬化性組成物(1)の硬化物層)/第1液晶位相差層(1)(硬化物層(1-1))/第2貼合層(粘着剤層(1))/第2液晶位相差層(1)(硬化物層(2-1))/第3貼合層(粘着剤層(5))/セパレーターの層構造を有する。
〔比較例2〕
(基材層付き位相差積層体(c2)の作製)
上記で得た基材層付き第1液晶位相差層(2)の第1液晶位相差層側(2)、及び基材層付き第2液晶位相差層(2)の第2液晶位相差層(2)側に、それぞれコロナ処理を施した。このコロナ処理面に、両面セパレーター付き粘着剤層(1)のセパレーターを剥離して得られる粘着剤層(1)を貼合し、基材層付き位相差積層体(c2)(位相差体(c2))を得た。基材層付き位相差積層体(c2)は、第2基材層(PETフィルム)/第1液晶位相差層(2)(光配向膜(2)/硬化物層(1-2))/第2貼合層(粘着剤層(1))/第2液晶位相差層(2)(硬化物層(2-2)/垂直配向膜)/第2基材層(片面離型処理PETフィルム)の層構造を有する。
(セパレーター付光学積層体(c2)の作製)
上記で得た基材層付き偏光板(1)のオーバーコート層側にコロナ処理を行った。次いで、上記で得た基材層付き位相差積層体(c2)の第1液晶位相差層(2)側の第2基材層(PETフィルム)を剥離し、剥離面にコロナ処理を行った。第2基材層の剥離では、PETフィルムが剥離され、光配向膜(2)は剥離されずに硬化物層(1-2)上に残った。上記のコロナ処理面どうしを、両面セパレーター付き粘着剤層(1)のセパレーターを剥離して得られる粘着剤層(1)を介して貼合した。
その後、基材層付き第2液晶位相差層(2)の第2基材層を剥離して露出した面に、両面セパレーター付き粘着剤層(5)から一方のセパレーターを剥離して露出した粘着剤層(5)を貼合し、基材層付き偏光板(1)側の片面離型処理PETフィルムを剥離して、セパレーター付光学積層体(c2)を得た。第2基材層の剥離により、片面離型処理PETフィルムが剥離し、垂直配向膜は配向されずに硬化物層(2-2)上に残った。セパレーター付光学積層体(c2)は、保護層(HC層)/液晶偏光子(光配向膜(1)/硬化物層)/オーバーコート層/第1貼合層(粘着剤層(1))/第1液晶位相差層(2)(光配向膜(2)/硬化物層(1-2))/第2貼合層(粘着剤層(1))/第2液晶位相差層(2)(硬化物層(2-2)/垂直配向膜)/第3貼合層(粘着剤層(5))/セパレーターの層構造を有する。
〔比較例3〕
(接着剤組成物の調製)
以下に示す成分を混合した後、脱泡して、カチオン重合型の接着剤組成物を調製した。カチオン重合開始剤は、50質量%プロピレンカーボネート溶液として配合し、その固形分量を示した。
・1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(EX-212L、ナガセケムテックス(株)製):25部
・4-ヒドロキシブチルビニルエーテル:10部
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(EXA-830CRP、DIC(株)製):65部・カチオン重合開始剤(CPI-100P、サンアプロ(株)製、50質量%溶液):3部
(基材層付き位相差積層体(c3)の作製)
上記で得た基材層付き第1液晶位相差層(2)と基材層付き第2液晶位相差層(2)とを、それぞれ第1液晶位相差層側(2)側及び第2液晶位相差層(2)側が貼合面となるようにして、上記で調製した活性エネルギー線硬化性組成物(1)を介して積層した。次いで、基材層付き第2液晶位相差層(2)側から紫外線を照射して、活性エネルギー線硬化性組成物(1)を硬化させて、厚み2μmの第2貼合層を形成し、基材層付き位相差積層体(c3)(位相差体(c3))を得た。基材層付き位相差積層体(c3)は、第2基材層(PETフィルム)/第1液晶位相差層(2)(光配向膜(2)/硬化物層(1-2))/第2貼合層(活性エネルギー線硬化性組成物(1)の硬化物層)/第2液晶位相差層(2)(硬化物層(2-2)/垂直配向膜)/第2基材層(片面離型処理PETフィルム)の層構造を有する。
(セパレーター付光学積層体(c3)の作製)
上記で得た基材層付き偏光板(1)のオーバーコート層側にコロナ処理を行った。次いで、上記で得た基材層付き位相差積層体(c3)の第1液晶位相差層(2)側の第2基材層(PETフィルム)を剥離し、剥離面にコロナ処理を行った。第2基材層の剥離では、PETフィルムが剥離され、光配向膜(2)は剥離されずに硬化物層(1-2)上に残った。上記のコロナ処理面どうしを、両面セパレーター付き粘着剤層(1)のセパレーターを剥離して得られる粘着剤層(1)を介して貼合して、積層構造体(c3)を得た。
厚み13.00μmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(日本ゼオン株式会社製、ZF14)、及び、上記で得た積層構造体(c3)の基材層付き偏光板(1)側の片面離型処理PETフィルムを剥離して露出した面に、コロナ処理を施した。このコロナ処理面どうしを、上記で調製した接着剤組成物を介して貼合し、紫外線照射装置(SPOT CURE SP-7、ウシオ電機株式会社製)を用いて露光量500mJ/cm(365nm基準)の紫外線を照射して、厚み2.00μmの接着剤層を形成した。紫外線はCOPフィルム側から照射した。その後、基材層付き第2液晶位相差層(2)の第2基材層を剥離して露出した面に、両面セパレーター付き粘着剤層(4)から一方のセパレーターを剥離して露出した粘着剤層(4)を貼合して、セパレーター付光学積層体(c3)を得た。第2基材層の剥離により、片面離型処理PETフィルムが剥離し、垂直配向膜は配向されずに硬化物層(2-2)上に残った。セパレーター付光学積層体(c3)は、保護層(COPフィルム/接着剤層/HC層)/液晶偏光子(光配向膜(1)/硬化物層)/オーバーコート層/第1貼合層(粘着剤層(1))/第1液晶位相差層(2)(光配向膜(2)/硬化物層(1-2))/第2貼合層(活性エネルギー線硬化性組成物(1)の硬化物層)/第2液晶位相差層(2)(硬化物層(2-2)/垂直配向膜)/第3貼合層(粘着剤層(4))/セパレーターの層構造を有する。
〔比較例4〕
COPフィルムに代えて、厚み20.00μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(KC2CT、コニカミノルタ株式会社製)を用い、このTACフィルムと積層構造体(c3)から片面離型処理PETフィルムを剥離して露出した面とを貼合し、TACフィルム側から紫外線を照射したこと以外は、比較例3のセパレーター付光学積層体(c3)の作製の手順でセパレーター付光学積層体(c4)を得た。
[粘着剤層の厚みの比率(Dt/D1)の算出]
保護層の液晶偏光子側とは反対側の表面から、第3貼合層の第2液晶位相差層側とは反対側の表面までの距離をD1(図1)とし、第1貼合層、第2貼合層、及び第3貼合層のうちのTgが25℃以下の層(粘着剤層)の合計厚みDtとして、厚み比率[%](=Dt/D1×100)を算出した。活性エネルギー線硬化性組成物(1)の硬化物層、及び、活性エネルギー線硬化性組成物(2)の硬化物層は、上記した手順で測定したところ、いずれも25℃超であった。実施例において、合計厚みDtは、第3貼合層の厚みD2(図1)となる。結果を表2~5に示す。
[耐衝撃性試験]
上記で得たセパレーター付光学積層体のセパレーターを剥離して露出した第3貼合層に、無アルカリガラス(コーニング社製、EAGLE XG(登録商標)、厚み0.7mm)を貼合し、試験用サンプルとした。試験用サンプルの光学積層体側の面(保護層側の面)上に、5cmの高さから重りを落下させる耐衝撃性試験を行った。重りは、質量が4.6gであり、光学積層体の表面に衝突する箇所の直径が0.75mmの球状体であり、ステンレス製である。耐衝撃性試験後の試験用サンプルを光学積層体(保護層)側から観察し、重りの落下箇所及びその周辺のクラックの有無を確認し、クラックがある場合はクラックの大きさを計測し、以下の基準で評価した。クラックの大きさは、保護層の平面視においてクラックを内接する真円の直径とした。結果を表2~5に示す。
A:クラックは観察されなかった。
B:200μm未満の大きさのクラックが観察された。
C:200μm以上の大きさのクラックが観察された。
[引っ掻き試験]
上記で得たセパレーター付光学積層体を用い、第2貼合層を形成してから1時間後、かつ、偏光板と第1液晶位相差層との間に第1貼合層を形成してから30分後に、上記耐衝撃性試験で説明した手順で試験用サンプルを作製した。試験用サンプルの光学積層体側の表面(保護層側の表面)に、引っ掻き式硬度計(ドイツ・エリクセン社製、モデル318、ボール直径0.75mm)により5Nの荷重を加え、この荷重を押し当てながら上記表面上を速度1cm/sで移動させた。その後、表1に示す蛍光灯の照度及び映り込みの条件下で、試験用サンプルの光学積層体の保護層側を正面方向及び斜め方向から観察し、引っ掻き傷の視認の有無に応じて、下記表1に示す基準で評価を行った。結果を表2~5に示す。
Figure 2024018945000022
[屈曲性試験(1):反射色相の評価]
上記で得たセパレーター付光学積層体から、スーパーカッターを用いて、液晶偏光子の吸収軸が長辺と平行となるように、長辺110mm×短辺10mmの長方形の小片の試験片を切り出した。
図2(a)に示すように、個別に移動可能な二つの治具501,502を有する屈曲試験機に、試験片500の保護層側が内側になり屈曲軸が短辺に平行となるように試験片500を屈曲させた状態で、試験片500の長辺側の端部をそれぞれ治具501、502に粘着テープで固定し、治具501、502の間隔Lが70mmとなるように治具501、502の位置を調節した。その後、図2(b)に示すように、間隔Lが4.0mm(屈曲半径2R)となるように矢印Aの方向に治具501を移動させて試験片500をさらに屈曲させ、その後、治具501を矢印Bの方向に移動させて間隔Lを70mmに戻すという一連の動作を1回とカウントとして、温度25℃、相対湿度55%の環境下にて、上記動作を連続して10万回繰り返した。治具501の移動速度は1.32m/秒であり、上記の間隔Lを変化させる動作を10万回繰り返すために要した時間は27.8時間であった。上記動作を10万回繰り返した後、試験片500を屈曲試験機から取出し、試験片500の屈曲を解放し、セパレーターを剥離して第3貼合層を露出させ、その露出面にアルミ蒸着膜付きPETフィルム(東レフィルム加工社製、商品名「#50 DMS(X42)」)のアルミ蒸着膜面側を貼り合わせて貼合体とした。貼合体の保護層側から正面視で、屈曲軸に沿った部分の反射色相のムラの有無を確認し、以下の基準で評価した。結果を表2~5に示す。
A:反射色相のムラは視認されなかった。
B:反射色相のムラは目立たないが、視認された。
C:反射色相のムラが目立つ。
[屈曲性試験(2):第3貼合層の剥がれの評価]
上記で得たセパレーター付光学積層体から、スーパーカッターを用いて、液晶偏光子の吸収軸が長辺と平行となるように、長辺110mm×短辺10mmの長方形の小片を切り出した。この小片からセパレーターを剥離して第3貼合層を露出させ、その露出面にアルミ蒸着膜付きPETフィルム(東レフィルム加工社製、商品名「#50 DMS(X42)」)のアルミ蒸着膜面側を貼り合わせて試験片とした。
この試験片を用いたこと以外は、屈曲性試験(1)用いた屈曲試験機を用い、屈曲性試験(1)で説明した条件で間隔Lを変化させる動作を10万回繰り返した。上記動作を10万回繰り返した後、屈曲試験機から取出した試験片の屈曲を解放し、試験片の保護層側から正面視で第3貼合層の剥がれの有無を確認し、以下の基準で評価した。第3貼合層に剥がれが生じた場合、剥がれは試験片の端部から発生するため、剥がれの大きさは、剥がれが発生した試験片の端部から剥がれの試験片の端部側とは反対側までの最短距離とした。結果を表2~5に示す。
A:第3貼合層の剥がれは確認されなかった。
B:100μm未満の大きさの第3貼合層の剥がれが確認された。
C:100μm以上の大きさの第3貼合層の剥がれが確認された。
[加工性試験]
上記で得たセパレーター付光学積層体の保護層側の表面に表面保護フィルムを貼合し、これを、液晶偏光子の吸収軸が長辺に対して+45°となるように長方形にカットして、加工用サンプルとした。表面保護フィルムは、保護層に対して剥離可能に貼着され、セパレータ付光学積層体の形状を保持したままで剥離できるフィルムである。
加工性試験では、端面加工装置を用いて研磨加工を行い、研磨端面に生じた第1液晶位相差層及び第2液晶位相差層のクラックの有無を観察した。端面加工装置について図3に基づいて説明する。図3は、端面加工装置を模式的に示す概略斜視図である。端面加工装置では、支持部50及び2つの回転工具60を備えた装置によって、加工用サンプルの積層物Wの研磨加工を行うことができる。支持部50は、積層物Wを上下から押圧して、研磨加工中に積層物W自体が移動しないように及び積み重ねられた加工用サンプルがずれないように固定等するためのものである。回転工具60は、積層物Wの端面を研磨加工するためのものであり、回転軸Rを中心に回転することができる。支持部50は、平板状の基板(積層物Wの移動手段)51;基板51上に配置される門形のフレーム52;基板51上に配置される、中心軸を中心に回転可能な回転テーブル53;フレーム52における回転テーブル53と対向する位置に設けられ、上下動可能なシリンダ54を備えるものであることができる。積層物Wは、回転テーブル53とシリンダ54とによってジグ55を介して挟まれ、固定される。基板51の両側には、2つの回転工具60が互いに向かい合って設けられる。回転工具60は、積層物Wの大きさに合わせて回転軸Rに沿う方向に移動可能であり、基板51は、2つの回転工具60の間を通過するように移動可能である。研磨加工にあたっては、積層物Wを支持部50に固定し、回転工具60の回転軸方向の位置を適切に調整したうえで、回転工具60をそれらの回転軸Rを中心に回転させつつ、積層物Wが向かい合う回転工具60の間を通過するように基板51を移動させる。これにより、積層物Wの端面に平行な方向であって積層方向に直交する方向に沿って、積層物Wに対して回転工具60を相対移動させつつ、回転工具60が有する研磨刃を積層物Wの向かい合う露出した端面に当接させてこれらの端面を研磨する研磨加工を行うことができる。
図3に示す端面加工装置を用い、下記に示す研磨条件で、加工用サンプルを120mm×50mmの長方形(平面視)に研磨加工した。
研磨加工を行う際の加工用サンプルの積層枚数:100枚
研磨加工を行う積層物Wを両面から押圧するクランプ圧:0.1MPa
積層物Wと回転工具60との間の相対移動速度:3500mm/min
回転工具60の回転速度:5400rpm
送りピッチ(相対移動速度から回転工具60の回転速度と回転工具60が1回転する際に研磨刃が端面に接触する回数とを除した値):0.32mm
研磨刃進入方向:加工用サンプルの端面をセパレーター側から表面保護フィルム側に向けて研磨刃が進入する方向
研磨加工後の加工用サンプルから、セパレーターを剥がして露出した第3貼合層にアルミ蒸着膜付きPETフィルム(東レフィルム加工社製、商品名「#50 DMS(X42)」)のアルミ蒸着膜面側を貼り合わせて貼合体とした。貼合体の保護層側から光学顕微鏡VHX-1000(キーエンス社製)を用いて、以下の基準で評価した。クラックの大きさは、保護層の平面視においてクラックを内接する真円の直径とした。結果を表2~5に示す。
A:クラックは観察されなかった。
B:200μm未満の大きさのクラックが観察された。
C:200μm以上の大きさのクラックが観察された。
Figure 2024018945000023
Figure 2024018945000024
Figure 2024018945000025
Figure 2024018945000026
1 光学積層体、10 偏光板、11 保護層、15 液晶偏光子、18 オーバーコート層(第2保護層)、21 第1液晶位相差層、22 第2液晶位相差層、31 第1貼合層、32 第2貼合層、33 第3貼合層、38 セパレーター、50 支持部、51 基板、52 フレーム、53 回転テーブル、54 シリンダ、55 ジグ、60 回転工具、500 試験片、501,502 治具、B 研磨刃、R 回転軸、W 積層物。

Claims (7)

  1. 保護層、液晶偏光子、第1貼合層、第1液晶位相差層、第2貼合層、第2液晶位相差層、及び第3貼合層をこの順に含む光学積層体であって、
    前記液晶偏光子は、二色性色素と重合性液晶化合物とを含む第1液晶組成物の硬化物層を含み、
    前記第1貼合層及び前記第2貼合層は、いずれも活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物層であり、
    前記第1液晶位相差層及び前記第2液晶位相差層は、いずれも重合性液晶化合物を含む第2液晶組成物の硬化物層を含む、光学積層体。
  2. 前記第1貼合層は、ラジカル重合性接着剤組成物の硬化物層である、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記第2貼合層は、ラジカル重合性接着剤組成物の硬化物層である、請求項1又は2に記載の光学積層体。
  4. 前記保護層、前記液晶偏光子、前記第1液晶位相差層、及び前記第2液晶位相差層の厚みは、いずれも20.0μm未満である、請求項1又は2に記載の光学積層体。
  5. 前記第3貼合層のガラス転移温度は、25℃以下である、請求項1又は2に記載の光学積層体。
  6. 前記保護層の前記液晶偏光子側とは反対側の表面から、前記第3貼合層の前記第2液晶位相差層側とは反対側の表面までの距離をD1[μm]とするとき、
    前記第3貼合層の厚みD2[μm]は、D1の40%以上70%以下である、請求項5に記載の光学積層体。
  7. さらに、前記液晶偏光子の前記第1貼合層側の表面を覆うオーバーコート層を有する、請求項1又は2に記載の光学積層体。
JP2023077869A 2022-07-29 2023-05-10 光学積層体 Pending JP2024018945A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
TW112120724A TW202405536A (zh) 2022-07-29 2023-06-02 光學積層體
CN202310898671.3A CN117471594A (zh) 2022-07-29 2023-07-20 光学层叠体
KR1020230097318A KR20240016909A (ko) 2022-07-29 2023-07-26 광학 적층체

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022121601 2022-07-29
JP2022121601 2022-07-29

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024018945A true JP2024018945A (ja) 2024-02-08

Family

ID=89806989

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023077869A Pending JP2024018945A (ja) 2022-07-29 2023-05-10 光学積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024018945A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI732772B (zh) 積層體、含有該積層體之圓偏光板,及具備該積層體之顯示裝置
WO2020044750A1 (ja) 円偏光板及びそれを用いた画像表示装置
JP2010072439A (ja) 液晶層用光硬化型接着剤組成物および液晶フィルム
JP2024031796A (ja) 積層体及び有機el表示装置
WO2022239767A1 (ja) 積層体および表示装置
TW202012469A (zh) 光學膜
WO2024024119A1 (ja) 光学積層体
JP2024018945A (ja) 光学積層体
KR20240016909A (ko) 광학 적층체
JP2024018946A (ja) 円偏光板
KR20200092884A (ko) 유기 el 디스플레이용 적층체 및 그것에 사용하는 원편광판
TW202409620A (zh) 圓偏光板
KR20240016916A (ko) 원편광판
JP7355955B1 (ja) 光学積層体
CN117471594A (zh) 光学层叠体
CN117471595A (zh) 圆偏振板
WO2024038667A1 (ja) 光学積層体及びその製造方法
JP7361849B1 (ja) 偏光板及び画像表示装置
JP2024018583A (ja) 光学積層体およびその製造方法
WO2023090051A1 (ja) 光学積層体
JP2024018584A (ja) 光学積層体およびその製造方法
WO2024042818A1 (ja) 積層体及び有機el表示装置
TW202409610A (zh) 光學積層體及其製造方法
JP2024068090A (ja) 巻回体
TW202413094A (zh) 光學積層體及其製造方法