JP2024031796A - 積層体及び有機el表示装置 - Google Patents

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敬之 名田
Takayuki Nada
伸行 幡中
Nobuyuki Hatanaka
賢介 森本
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Abstract

【課題】屋外に長時間曝された場合にも、白表示時(発光色)の色味の変化を強く感じることを抑制することができる積層体を提供する。【解決手段】積層体は、第1紫外線吸収層、第1光吸収異方性層、第2紫外線吸収層、及び第2光吸収異方性層をこの順に有する。第1光吸収異方性層は1種以上の二色性色素と液晶性化合物とを含む組成物から形成され、第2光吸収異方性層はその平面に対して水平方向に吸収軸を有する。第1紫外線吸収層及び第2紫外線吸収層はいずれも下記式(1)の関係を満たし、第1光吸収異方性層は、下記式(2)の関係を満たす。T(380)≦20・・・(1)Az>(Ax+Ay)/2・・・(2)[T(380)は、波長380nmにおける透過率[%]を表す。Ax、Ay、及びAzは、第1光吸収異方性層の波長410nm以上780nm以下における吸収極大波長の吸光度である。]【選択図】図1

Description

本発明は、積層体及び有機EL表示装置に関する。
有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置において、白表示時に正面から視認した場合の正面色相と斜方から視認した場合の斜方色相との色相差を低減するために、二色性色素を含む垂直配向液晶硬化膜と水平配向位相差フィルムとを有する積層体を用いることが知られている(例えば、特許文献1)。
特開2020-76920号公報
上記した積層体を備える有機EL表示装置を屋外で長時間使用すると、白表示時(発光色)の色味の変化を強く感じることがあった。
本発明は、屋外に長時間曝された場合にも、白表示時(発光色)の色味の変化を強く感じることを抑制することができる積層体、及び、当該積層体を含む有機EL表示装置の提供を目的とする。
本発明は、以下の積層体及び有機EL表示装置を提供する。
〔1〕 第1紫外線吸収層、第1光吸収異方性層、第2紫外線吸収層、及び第2光吸収異方性層をこの順に有する積層体であって、
前記第1光吸収異方性層は、1種以上の二色性色素と液晶性化合物とを含む組成物から形成され、
前記第2光吸収異方性層は、その平面に対して水平方向に吸収軸を有し、
前記第1紫外線吸収層及び前記第2紫外線吸収層はいずれも、下記式(1)の関係を満たし、
前記第1光吸収異方性層は、下記式(2)の関係を満たす、積層体。
T(380)≦20 (1)
Az>(Ax+Ay)/2 (2)
[式(1)中、T(380)は、波長380nmにおける透過率[%]を表す。
式(2)中、Ax、Ay、及びAzは、前記第1光吸収異方性層の波長410nm以上780nm以下の範囲における吸収極大波長の吸光度であって、それぞれx軸方向、y軸方向、及びz軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。
ここで、前記x軸は、前記第1光吸収異方性層の面内において前記第2光吸収異方性層の吸収軸方向に平行な方向であり、
前記y軸は、前記第1光吸収異方性層の面内において前記x軸に直交する方向であり、
前記z軸は、前記x軸及び前記y軸に直交する方向である。]
〔2〕 前記第1紫外線吸収層及び前記第2紫外線吸収層のうちの少なくとも一方は、下記式(3)の関係を満たす、〔1〕に記載の積層体。
T(410)≦20 (3)
[式(3)中、T(410)は、波長410nmにおける透過率[%]を表す。]
〔3〕 前記第2紫外線吸収層は、前記式(3)の関係を満たす、〔2〕に記載の積層体。
〔4〕 前記液晶性化合物は、スメクチック液晶相を形成する、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の積層体。
〔5〕さらに、前記第2光吸収異方性層の前記第2紫外線吸収層側とは反対側に、下記式(4)及び式(5)の関係を満たす位相差層を有し、
前記位相差層は、重合性液晶化合物の硬化物層である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の積層体。
120nm≦ReA(550)≦160nm (4)
ReA(450)/ReA(550)≦1.0 (5)
[式(4)及び式(5)中、ReA(λ)は、波長λ[nm]における前記位相差層の面内位相差値を表す。]
〔6〕 前記位相差層は、下記式(6)の関係を満たす、〔5〕に記載の積層体。
TA(380)≦20 (6)
[式(6)中、TA(380)は、前記位相差層の波長380nmにおける透過率[%]を表す。]
〔7〕 前記二色性色素は、アゾ化合物である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の積層体。
〔8〕 前記第1光吸収異方性層は、下記式(7)及び式(8)の関係を満たす、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の積層体。
Ax(z=60°)/Ax≧5 (7)
Ay(z=60°)/Ay≧5 (8)
[式(7)中、Ax(z=60°)は、前記第1光吸収異方性層の前記吸収極大波長の吸光度であって、前記y軸を回転軸として、前記第1光吸収異方性層を60°回転させたときの前記x軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。
式(8)中、Ay(z=60°)は、前記第1光吸収異方性層の前記吸収極大波長の吸光度であって、前記x軸を回転軸として、前記第1光吸収異方性層を60°回転させたときの前記y軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。]
〔9〕 前記第2紫外線吸収層は、下記式(9)の関係を満たす、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の積層体。
80nm≦ReB(550)≦160nm (9)
[式(9)中、ReB(550)は、波長550nmにおける前記第2紫外線吸収層の面内位相差値を表す。]
〔10〕 〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の積層体が粘着剤層を介して表示素子に積層されている、有機EL表示装置。
本発明によれば、屋外に長時間曝された場合にも、白表示時(発光色)の色味の変化を強く感じることを抑制することができる積層体を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。 本発明の他の一実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照して積層体及び有機EL表示装置の好ましい実施形態について説明する。
(積層体)
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。図1及び図2に示すように、積層体1,2は、第1紫外線吸収層21(以下、「第1UV吸収層21」ということがある。)、第1光吸収異方性層11、第2紫外線吸収層22(以下、「第2UV吸収層22」ということがある。)、及び第2光吸収異方性層12をこの順に有する。積層体1,2は、通常、第1UV吸収層21側が視認側となる。
積層体2は、図2に示すように、第2光吸収異方性層12の第2UV吸収層22側とは反対側に、1以上の位相差層を含む位相差体13を有していてもよい。積層体2において、第2光吸収異方性層12及び位相差体13は、楕円偏光板として機能する反射防止フィルムを構成していてもよい。
第1光吸収異方性層11は、1種以上の二色性色素と液晶性化合物とを含む組成物(以下、「第1組成物」ということがある。)から形成され、下記式(2)の関係を満たす。第2光吸収異方性層12は、その平面に対して水平方向に吸収軸を有する。積層体1,2において、第1UV吸収層21及び第2UV吸収層22はいずれも、下記式(1)の関係を満たす。
T(380)≦20 (1)
Az>(Ax+Ay)/2 (2)
[式(1)中、T(380)は、波長380nmにおける透過率[%]を表す。
式(2)中、Ax、Ay、及びAzは、第1光吸収異方性層11の波長410nm以上780nm以下の範囲における吸収極大波長の吸光度であって、それぞれx軸方向、y軸方向、及びz軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。
ここで、x軸は、第1光吸収異方性層11の面内において第2光吸収異方性層12の吸収軸方向に平行な方向であり、
y軸は、第1光吸収異方性層11の面内においてx軸に直交する方向であり、
z軸は、x軸及びy軸に直交する方向である。]
積層体1,2は、式(1)を満たす第1UV吸収層21及び第2UV吸収層22を備えている。第1UV吸収層21及び第2UV吸収層22を有することにより、屋外に長時間曝された場合にも、これらの層の下側(視認側とは反対側)に位置する層を紫外線から保護することができる。そのため、積層体1,2が屋外に長時間曝された場合に、積層体1,2を適用した表示装置の白表示時(発光色)において初期の色味からの変化や正面方向の色相と斜方の色相との色相差を強く感じるような色味の変化を抑制できると考えられる。積層体1,2は、屋外に長時間曝された場合の黒表示時における色味の感じ方が、初期における黒表示時における色味の感じ方から大きく変化することを抑制することもできる。
第1UV吸収層21及び第2UV吸収層22のうちの少なくとも一方は、下記式(3)の関係を満たすことが好ましく、第2UV吸収層22が下記式(3)の関係を満たすことがより好ましい。
T(410)≦20 (3)
[式(3)中、T(410)は、波長410nmにおける透過率[%]を表す。]
第1UV吸収層21及び第2UV吸収層22のうちの少なくとも一方が上記式(3)の関係を満たすことにより、紫外線の中でも近紫外線による影響を低減しやすい。これにより、積層体1,2が屋外に長時間曝された場合に、表示装置の白表示時において色味の変化を強く感じることを、より一層抑制しやすくなる。積層体1,2は、屋外に長時間曝された場合の黒表示時における色味の感じ方が、初期における黒表示時における色味の感じ方から大きく変化することをより一層抑制しやすくなる。また、積層体1,2を表示装置に適用した場合に、表示装置に含まれる発光層を、近紫外線から保護することもできるため、近紫外線によって劣化しやすい発光層を保護することもできる。
[i]第1UV吸収層21が上記式(3)の関係を満たさず、第2UV吸収層22が上記式(3)の関係を満たす場合と、[ii]第1UV吸収層21が上記式(3)の関係を満たし、第2UV吸収層22が上記式(3)の関係を満たさない場合とを比較すると、上記[i]の方が、積層体1,2が屋外に長時間曝された場合に、表示装置の白表示時において色味の変化を抑制しやすいと推測される。上記式(1)の関係のみを満たす層と、上記式(1)及び(3)の関係を同時に満たす層とを比較すると、屋外に長時間曝されたときに、上記式(1)及び(3)の関係を同時に満たす層の方が、紫外線吸収能が劣化しやすい傾向にある。また、第1UV吸収層21は、第2UV吸収層22よりも相対的に視認側に配置される。そのため、積層体1,2が屋外に長時間曝されたときに、第2UV吸収層22は、第1UV吸収層21よりも紫外線の影響を受けにくく、紫外線吸収能の劣化が抑制されやすい。このことから、少なくとも第2UV吸収層22が上記式(3)の関係を満たすことが好ましい。
第1UV吸収層21と第1光吸収異方性層11とは、直接接して積層されていてもよく、第1UV吸収層21と第1光吸収異方性層11との間に、第1配向層(後述)等の他の層が介在していてもよい。
第1光吸収異方性層11と第2UV吸収層22とは、直接接して積層されていてもよく、第1光吸収異方性層11と第2UV吸収層22との間には、第1配向層(後述)及び貼合層(接着剤層又は粘着剤層)等の他の層が介在していてもよい。
第2UV吸収層22と第2光吸収異方性層12とは、直接接して積層されていてもよく、第2UV吸収層22と第2光吸収異方性層12との間には、第2配向層(後述)及び貼合層(接着剤層又は粘着剤層)等の他の層が介在していてもよい。
積層体1,2は、液晶性化合物の配向を規制する第1配向層を有していてもよい。積層体1,2が第1光吸収異方性層11及び第1配向層を有する場合、第1光吸収異方性層11と第1配向層とは通常、直接接している。第1配向層は、第1UV吸収層21と第1光吸収異方性層11との間に設けられてもよく、第1光吸収異方性層11と第2UV吸収層22との間に設けられてもよい。
積層体1,2は、液晶性化合物の配向を規制する第2配向層を有していてもよい。積層体1,2が第2光吸収異方性層12及び第2配向層を有する場合、第2光吸収異方性層12と第2配向層とは通常、直接接している。第2配向層は、第2UV吸収層22と第2光吸収異方性層12との間に設けられてもよく、第2光吸収異方性層12の第2UV吸収層22側とは反対側に設けられてもよい。
積層体1,2は、ハードコート層/透明樹脂フィルム/第1光吸収異方性層/貼合層/透明樹脂フィルム/第2光吸収異方性層の層構造を有することが好ましい。第1UV吸収層21は、ハードコート層及び/又は透明樹脂フィルムであることが好ましい。第2UV吸収層22は、貼合層及び/又は透明樹脂フィルムであることが好ましい。第1UV吸収層21及び第2UV吸収層は、それぞれ独立して、ハードコート層又は透明樹脂フィルムであることが好ましい。
以下、積層体1,2が有する各層について詳述する。
(第1UV吸収層(第1紫外線吸収層))
第1UV吸収層21は、上記式(1)の関係を満たす層である。第1UV吸収層21のT(380)は、20%以下であり、15%以下であってもよく、10%以下であってもよく、8%以下であってもよく、5%以下であってもよく、通常0.01%以上である。
第1UV吸収層21は、上記式(3)の関係を満たしていてもよく、第2UV吸収層22が上記式(3)の関係を満たさない場合には上記式(3)の関係を満たすことが好ましい。第1UV吸収層21のT(410)は、90%以下であってもよく、50%以下であってもよく、20%以下であってもよく、18%以下であってもよく、15%以下であってもよく、通常0.01%以上である。第1UV吸収層21のT(380)及びT(410)は、それぞれ分光光度計を用いて波長380nm及び410nmにおける透過率として測定することができる。
第1UV吸収層21は、さらにT(410)/T(450)≦0.9の関係を満たすことが好ましく、T(410)/T(450)≦0.5の関係を満たすことがより好ましく、T(410)/T(450)≦0.2の関係を満たすことがさらに好ましい。第2UV吸収層22がこの関係を満たさない場合には第1UV吸収層21で満たすことが好ましい。この関係を満たすことで、波長410nm以下の光を吸収する一方で可視域の光を吸収しにくいため、表示装置に組み込んだ場合に、紫外光による劣化を抑制するとともに、良好な色彩表現を阻害しにくい積層体を提供することができる。なお、T(450)は、波長450nmにおける透過率[%]を表し、分光光度計を用いて波長450nmにおける透過率として測定することができる。
第1UV吸収層21は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。第1UV吸収層21が単層構造である場合、第1UV吸収層21は紫外線吸収剤を含む層であることが好ましい。第1UV吸収層21が多層構造を有する場合、1以上の層が紫外線吸収能を有していればよく、紫外線吸収剤を含む層を1層以上含むこと好ましい。第1UV吸収層に含まれる紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤を用いることができる。
公知の紫外線吸収剤としては、大別して無機系紫外線吸収剤と有機系紫外線吸収剤とに分けられ、無機系紫外線吸収剤は耐光性や耐熱性等の耐久性が良好である反面、吸収波長の制御や有機材料との相溶性に劣る傾向にある。一方、有機系紫外線吸収剤は、無機系紫外線吸収剤よりも耐久性の点では劣るが、分子構造の自由度から、吸収波長や有機材料との相溶性等のコントロールが可能であり好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン骨格、トリアゾール骨格、トリアジン骨格、シアノアクリレート骨格、メロシアニン骨格等を含む化合物が挙げられる。しかしながら、上記骨格を有する有機系紫外線吸収剤の多くが極大吸収波長(λmax)を波長360nm以下に持つため、波長380~400nmの紫外~近紫外線領域を効率よく吸収できず、この領域の光を十分に吸収するためには使用量を非常に多くする必要がある。また、波長380nm以上の光を吸収できる骨格を有する化合物の多くは紫外線吸収剤を含む組成物が着色したり、耐光性試験において劣化が起こりやすい傾向にあり、特に酸素が供給されやすい場合に顕著となる。
紫外線吸収剤の一実施態様としては、下記式(i)で表される化合物(以下、「化合物(i)」ということがある。)が挙げられる。
Figure 2024031796000002
上記式(i)において、Aはメチレン基、第二級アミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。Aは、高い光選択吸収性を発現させる観点から、好ましくはメチレン基、第二級アミノ基又は酸素原子を表す。
上記式(i)において、Rは水素原子、又は炭素数1~10のアルキル基を表す。Rは、高い光選択吸収性を発現させる観点から、好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~5、さらに好ましくは炭素数1~3のアルキル基を表す。ここで、該アルキル基が少なくとも1つのメチレン基を有する場合、該メチレン基の少なくとも1つは酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。かかるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、メトキシ基、エトキシ基、及びイソプロプキシ基等が挙げられる。
上記式(i)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1~12のアルキル基を表す。R及びRは、高い光選択吸収性を発現させる観点から、それぞれ独立して、好ましくは水素原子又は炭素数1~10のアルキル基、より好ましくは水素原子又は炭素数1~8のアルキル基、さらに好ましくは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基、特に好ましくは水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を表す。
上記式(i)において、Rは炭素数3~50のアルキル基、又は少なくとも1つのメチレン基を有する炭素数3~50のアルキル基であって、該メチレン基の少なくとも1つは酸素原子に置換されているアルキル基を表す。
における炭素数3~50のアルキル基は、疎水性物質との親和性、疎水性溶媒への溶解性及び製造上の経済性の観点から、炭素数が好ましくは8~45(例えば10~45)、より好ましくは12~40、さらに好ましくは13~35、特に好ましくは14~30である。なお、該アルキル基上の炭素原子には置換基が結合していてもよい。
における少なくとも1つのメチレン基を有する炭素数3~50のアルキル基は、疎水性物質との親和性、疎水性溶媒への溶解性及び製造上の経済性の観点から、炭素数が好ましくは3~40、より好ましくは4~35、特に好ましくは5~30、のアルキル基を示す。ここで、少なくとも1つのメチレン基を有する炭素数3~50のアルキル基において、該メチレン基の少なくとも1つは酸素原子に置換されていており、例えば、エトキシ基、プロポキシ基、2-メトキシエトキシメチル基が挙げられる。また、ジエチレングリコール基、トリエチレングリコール基等のポリエチレングリコール基、及びジプロピレングリコール基、トリプロピレングリコール基等のポリプロピレングリコール等も挙げられる。
また、Rのアルキル基上の炭素原子には置換基が結合していてもよい。置換基としては、例えばハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、炭素数1~6のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基等が挙げられる。
が炭素数3~50のアルキル基である場合、疎水性物質との親和性、及び疎水性溶媒への溶解性の観点から、Rは炭素数3~12の枝分かれ構造を有するアルキル基であることがより好ましく、炭素数6~10の枝分かれ構造を有するアルキル基であることが更に好ましい。
ここで、枝分かれ構造を有するアルキル基とは、該アルキル基が有する炭素原子の少なくとも一つが第三級炭素、又は第四級炭素であるアルキル基を示す。炭素数3~12の枝分かれ構造を有するアルキル基の具体例としては、下記構造を有するアルキル基が挙げられる。
Figure 2024031796000003

[式中、*は連結部を表す。]
上記式(i)において、Xは電子吸引性基を表す。光選択吸収性を向上させる観点から、Xは-NO、-CN、-COR、-COOR、-OR10、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br、-I)、-CSR11、-CSOR12、又は-CSNR1314が好ましく、ニトロ基、シアノ基、又は-COORがより好ましく、シアノ基、又は-COORがさらに好ましい。ここで、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6、例えば炭素数2~5のアルキル基、又はフェニル基を表す。
上記式(i)において、Yは-CO-、-COO-、-OCO-、-O-、-S-、-NR-、-NRCO-、-CONR-、又は-CS-を表し、光選択吸収性を向上させる観点から、好ましくは-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-を表し、より好ましくは-CO-、-COO-、又は-OCO-を表す。ここで、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6、例えば炭素数2~5のアルキル基又はフェニル基を表す。
化合物(i)は、下記式(i-1)で表される化合物(以下、「化合物(i-1)」ということがある。)であることが、種々の溶媒への溶解性及び/又は種々の化合物との親和性に優れる観点から好ましい。
Figure 2024031796000004
上記式(i-1)において、R4-1は炭素数1~6のアルキル基、好ましくは炭素数2~5のアルキル基、より好ましくは3~4のアルキル基を表す。
nは1~10の整数、種々の溶媒への溶解性及び/又は種々の化合物との親和性に優れる観点から、好ましくは1~8の整数、より好ましくは1~6の整数、例えば1~4の整数、特に1~3の整数を表す。なお、nが上記範囲内であると、1質量部当たりが有する光吸収性が向上し、第1UV吸収層21や第2UV吸収層22(後述)に含まれる化合物(i-1)が少量であっても、例えばブルーライトカット機能を発現でき、また、後述する樹脂フィルムやコーティング層に化合物(i-1)を含有させる場合には、これらの光学機能を阻害しにくい。また、貼合層としての粘着剤層に化合物(i-1)に含有させる場合には、粘着機能を阻害しにくい。
上記式(i-1)中のA、R、R及びRは、上記式(i)で説明した意味を表す。
化合物(i-1)は、下記式(i-2)で表される化合物(以下、「化合物(i-2)」ということがある。)であることが好ましい。
Figure 2024031796000005
化合物(i-1)が化合物(i-2)であることにより、種々の溶媒への溶解性及び/又は種々の化合物との親和性に優れるため、該化合物を溶媒に均一に溶解させることが容易となり、また同時に、種々の化合物との親和性にも優れ、両親媒性を示すため、第1UV吸収層21や第2UV吸収層22(後述)に化合物(i-2)を含ませた場合にブリードアウトを生じにくく、安定して光吸収機能を発揮させることができる。
上記式(i-2)のR4-1及びnは、上記式(i-1)で説明した意味を表す。
化合物(i)は、種々の溶媒への溶解性及び/又は種々の化合物との親和性に優れる。かかる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶媒;アセトン、2-ブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン等のエーテル溶媒;及び、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶媒が挙げられる。
かかる溶媒には、親水性溶媒及び疎水性溶媒がある。例えばアルコール溶媒は、炭素数にもよるが、一般に親水性を有する溶媒である。一方、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒は一般に疎水性を有する溶媒である。化合物(i)は、粘着剤シートや光学フィルム等のポリマーフィルムに化合物(i)を含有させた場合にブリードアウトが生じにくい観点及び溶媒の選択性を拡げることができる観点から、親水性溶媒又は疎水性溶媒に可溶であることが好ましく、親水性溶媒及び疎水性溶媒に可溶であること、すなわち両親媒性を有することがより好ましい。
化合物(i)は、下記式(a)の関係を満たすことが好ましい。
ε(420)/ε(400)≦0.4 (a)
[式(a)中、
ε(420)は、波長420nmにおけるグラム吸光係数を表す。
ε(400)は、波長400nmにおけるグラム吸光係数を表す。
グラム吸光係数の単位はL/(g・cm)で定義する。]
式(a)中、ε(420)/ε(400)の値は、波長420nmにおける吸収の強さに対する波長400nmにおける吸収の強さを表しており、この値が小さいほど、420nm付近の波長域の吸収と比較して400nm付近の波長域に特異的な吸収があることを示す。この値が小さいほど黄色みが少なく透明な化合物となる。ε(420)/ε(400)は、適当な溶媒中の化合物について分光光度計(例えば、UV3150(株式会社島津製作所製))を用いて測定したε(420)及びε(400)から算出すればよい。
化合物(i)が上記式(a)を満たす場合、波長400nmの光を吸収する一方で波長420nmの光を吸収しにくく、同時に青色の可視光を吸収しにくいため、化合物(i)を、ブルーライトカット機能を有するとともに良好な色彩表現を阻害しにくい光吸収剤として提供することができ、紫外線吸収剤として使用できる。さらに、かかる化合物(i)を積層体が含む場合には、積層体を構成する部材(例えば、第1光吸収異方性層及び第2光吸収異方性層、有機EL素子や液晶表示素子等の表示素子)が短波長の可視光(すなわち波長400nm付近の光)によって性能が劣化することを抑制することができる。化合物(i)のε(420)/ε(400)の値は、好ましくは0.4以下であり、より好ましくは0.25以下であり、さらに好ましくは0.2以下であり、特に好ましくは0.15以下、とりわけ好ましくは0.1以下、非常に好ましくは0.05以下、例えば0.03以下である。その下限値は特に限定されるものではないが、化合物(i)による400nm付近の吸収能を維持する観点からは、通常0.005以上であることが好ましい。
化合物(i)は、上記式(a)の関係を満たすことに加えて、さらに下記式(b)及び(c)の関係を満たすことが好ましい。
λmax<420 (b)
ε(400)≧40 (c)
[式(b)中、λmaxは化合物(i)の極大吸収波長[nm]を表す。
式(c)中、ε(400)は、式(a)で説明した意味を表す。]
上記式(b)及び(c)を満たす場合、化合物(i)の極大吸収は420nmより短波長側に存在し、かつ、化合物(i)は波長400nm付近に対する高い吸収を示す化合物であるといえる。化合物(i)がこのような式を満たすことにより、かかる化合物(i)を含む樹脂フィルム、コーティング層、又は貼合層は、表示特性に影響を与えにくく高い耐光性を有することができる。化合物(i)の極大吸収波長λmaxは、415nm以下であることがより好ましい。
紫外線吸収剤の含有量は、第1UV吸収層21を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、さらに好ましくは0.5質量部以上10質量部以下である。
第1UV吸収層21は、第1光吸収異方性層11を形成するための第1組成物が塗布される第1基材層(後述)であってもよい。
第1UV吸収層21は、上記式(1)の関係を満たす層であれば特に制限されないが、例えば、紫外線吸収剤を含むガラス基材、紫外線吸収剤を含む樹脂フィルム、及び、紫外線吸収剤を含むコーティング層のうちの1以上を含むことができる。第1UV吸収層21は、樹脂フィルム及びコーティング層のうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。
第1UV吸収層21を構成する樹脂フィルム及びコーティング層としては、次に挙げる樹脂フィルム及びコーティング層が挙げられる。第1UV吸収層21が樹脂フィルム及びコーティング層を含む場合、樹脂フィルム及びコーティング層のうちの少なくとも1つが紫外線吸収剤を含んでいることが好ましい。紫外線吸収剤は、樹脂フィルム及びコーティング層の樹脂を構成する化合物(モノマー又はポリマー)に、紫外線吸収能を有する化合物が結合した化合物であってもよい。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂;シクロ系又はノルボルネン構造を有する環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル樹脂;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンオキシド等が挙げられる。中でも光学フィルム用途で使用する際の透明性等の観点から、トリアセチルセルロース、環状オレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレートのいずれかから選ばれる樹脂フィルムがより好ましい。(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルのうちの少なくとも一方をいう。(メタ)アクリロイル等の表記についても同様である。
樹脂フィルムとしては、市販のセルロースエステル樹脂フィルムを用いてもよい。このようなセルロースエステル樹脂フィルムとしては、“フジタックフィルム”(富士写真フイルム株式会社製);“KC8UX2M”、“KC8UY”及び“KC4UY”(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
樹脂フィルムを構成する環状オレフィン樹脂として、市販の環状オレフィン系樹脂を用いてもよい。このような環状オレフィン系樹脂としては、“Topas”(登録商標)(Ticona社(独)製)、“アートン”(登録商標)(JSR株式会社製)、“ゼオノア(ZEONOR)”(登録商標)、“ゼオネックス(ZEONEX)”(登録商標)(以上、日本ゼオン株式会社製)及び“アペル”(登録商標)(三井化学株式会社製)が挙げられる。これらの環状オレフィン系樹脂は、溶剤キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜することにより、樹脂フィルムとすることができる。
樹脂フィルムとして、市販の環状オレフィン系樹脂フィルムを用いてもよい。このような環状オレフィン系樹脂フィルムとしては、“エスシーナ”(登録商標)、“SCA40”(登録商標)(以上、積水化学工業株式会社製)、“ゼオノアフィルム”(登録商標)(オプテス株式会社製)及び“アートンフィルム”(登録商標)(JSR株式会社製)が挙げられる。
樹脂フィルムの厚みは、20μm以上150μm以下であることが好ましく、30μm以上130μm以下であってもよく、30μm以上120μm以下であってもよく、40μm以上100μm以下であってもよく、40μm以上80μm以下であってもよい。
コーティング層としては、基材フィルムの表面に、ハードコート層形成用組成物、易接着組成物、又はカップリング剤等を塗布して形成した層、反応性モノマー又は反応性ポリマー等を塗布した後に、活性エネルギー線を照射して反応性モノマー又は反応性ポリマーをグラフト重合させることにより形成された層等が挙げられる。コーティング層は、ハードコート層形成用組成物を塗布することにより形成されたハードコート層であることが好ましい。
ハードコート層は、活性エネルギー線硬化型樹脂を含む硬化性組成物の硬化物層であることが好ましく、紫外線硬化型樹脂を含む組成物の硬化物層であることがより好ましい。紫外線硬化型樹脂を含む硬化性組成物は、硬化性成分として(メタ)アクリル化合物を含むことが好ましい。(メタ)アクリル化合物は、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、モノマー、オリゴマー又はポリマーであってもよい。
(メタ)アクリル化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリレート化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物等の(メタ)アクリレート化合物;多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物等のウレタン(メタ)アクリレート化合物;多官能エポキシ(メタ)アクリレート化合物等のエポキシ(メタ)アクリレート化合物;カルボキシル基変性エポキシ(メタ)アクリレート化合物;ポリエステル(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、多官能(メタ)アクリレート化合物又はウレタン(メタ)アクリレート化合物が好ましく、多官能(メタ)アクリレート化合物とウレタン(メタ)アクリレートとを組合せることがより好ましい。
多官能(メタ)アクリレート化合物の含有量は、硬化性組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上100質量部以下であり、より好ましくは60質量部以上95質量部以下であり、さらに好ましくは70質量部以上90質量部以下である。本明細書において、硬化性組成物の固形分とは、硬化性組成物に溶剤が含まれる場合、硬化性組成物から溶剤を除いた成分の合計量をいう。
ハードコート層が紫外線吸収能を有する場合、上記した(メタ)アクリル化合物に、紫外線吸収能を有する化合物が結合した化合物を用いて、ハードコート層を形成してもよい。
硬化性組成物は、硬化性成分に加えて、重合開始剤を含むことができる。重合開始剤としては、光重合開始剤及びラジカル重合開始剤等が挙げられ、公知の重合開始剤を用いることができる。
硬化性組成物は、基材フィルムに塗布した後、活性エネルギー線を照射することにより、(メタ)アクリル化合物等の硬化性成分を重合させて硬化させることができる。
ハードコート層は、JIS K 5600-5-4:1999「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に規定される鉛筆硬度試験(第1基材層をガラス板の上に置いて測定する)で8B又はそれより硬い値を示すことが好ましく、5B又はそれよりも硬くてもよい。
コーティング層の厚みは、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、0.3μm以上15μm以下であってもよく、0.5μm以上10μm以下であってもよく、1μm以上8μm以下であってもよい。
コーティング層を形成するために用いる基材フィルムとしては、上記した樹脂フィルムが挙げられる。基材フィルムは、コーティング層を積層体1,2に組み入れる際に、コーティング層とともに組み入れられてもよく、剥離除去されてもよい。基材フィルムをコーティング層から剥離する場合、基材フィルムのコーティング層が形成される側の表面に、離型剤等を塗布して離型処理を行うことが好ましい。これにより、コーティング層を積層体1,2に組み入れる際に、基材フィルムを剥離除去することができる。
第1UV吸収層21の厚みは、20μm以上150μm以下であることが好ましく、30μm以上130μm以下であってもよく、30μm以上120μm以下であってもよく、40μm以上100μm以下であってもよく、40μm以上80μm以下であってもよい。上記範囲の厚みとすることにより、第1UV吸収層21が第1光吸収異方性層11を形成するための第1基材層として用いられる場合に、実用的な取り扱いができる程度の薄さを有しながらも、強度及び加工性に優れたものとすることができる。
(第2UV吸収層(第2紫外線吸収層))
第2UV吸収層22は、上記式(1)の関係を満たす層である。第2UV吸収層22のT(380)は、20%以下であり、15%以下であってもよく、10%以下であってもよく、8%以下であってもよく、5%以下であってもよく、通常0.01%以上である。第2UV吸収層22のT(380)は、第1UV吸収層21のT(380)と同じであってもよく、異なっていてもよく、第1UV吸収層21のT(380)よりも小さくてもよい。
第2UV吸収層22は、さらに上記式(3)の関係を満たすことが好ましく、第1UV吸収層21が上記式(3)の関係を満たさない場合には上記式(3)の関係を満たすことが好ましい。第2UV吸収層22のT(410)は、90%以下であってもよく、50%以下であってもよく、20%以下であってもよく、18%以下であってもよく、15%以下であってもよく、通常0.01%以上である。第2UV吸収層22のT(410)は、第1UV吸収層21のT(410)と同じであってもよく、異なっていてもよく、第1UV吸収層21のT(410)よりも大きくてもよく、小さくてもよい。第2UV吸収層22のT(380)及びT(410)は、それぞれ分光光度計を用いて波長380nm及び410nmにおける透過率として測定することができる。
第2UV吸収層22は、さらにT(410)/T(450)≦0.9の関係を満たすことが好ましく、T(410)/T(450)≦0.5の関係を満たすことがより好ましく、T(410)/T(450)≦0.2の関係を満たすことがさらに好ましい。第1UV吸収層21がこの関係を満たさない場合には第2UV吸収層22で満たすことが好ましい。この関係を満たすことで、波長410nm以下の光を吸収する一方で可視域の光を吸収しにくいため、表示装置に組み込んだ場合に、紫外光による劣化を抑制するとともに、良好な色彩表現を阻害しにくい積層体を提供することができる。なお、T(410)及びT(450)の意味は上記したとおりである。
第2UV吸収層22は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。第2UV吸収層22が単層構造である場合、第2UV吸収層22は紫外線吸収剤を含む層であることが好ましい。第2UV吸収層22が多層構造を有する場合、1以上の層が紫外線吸収能を有していればよく、紫外線吸収剤を含む層を1層以上含むこと好ましい。第2UV吸収層に含まれる紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤を用いることができる。公知の紫外線吸収剤としては上記で説明したものが挙げられ、例えば、上記した化合物(i)を用いることができる。
第2光吸収異方性層12が液晶膜(後述)である場合、第2UV吸収層22は、第2光吸収異方性層12を形成するための第2組成物(後述)が塗布される第2基材層(後述)であってもよい。あるいは、第2UV吸収層22は、第1光吸収異方性層11を形成するための第1組成物(後述)が塗布される第1基材層(後述)であってもよい。
第2UV吸収層22は、上記式(1)の関係を満たす層であれば特に制限されないが、例えば、紫外線吸収剤を含むガラス基材、紫外線吸収剤を含む樹脂フィルム、紫外線吸収剤を含むコーティング層、及び貼合層のうちの1以上を含むことができる。第2UV吸収層22は、樹脂フィルム及びコーティング層のうちの少なくとも一方を含むことが好ましい。
第2UV吸収層22を構成する樹脂フィルム及びコーティング層としては、第1UV吸収層21を構成する樹脂フィルム及びコーティング層として説明したものが挙げられる。第2UV吸収層22が樹脂フィルム及びコーティング層を含む場合、樹脂フィルム及びコーティング層のうちの少なくとも1つが紫外線吸収剤を含んでいることが好ましい。コーティング層が形成される基材フィルムは、第1UV吸収層21において説明したように、積層体1,2に組み入れてもよく、剥離除去してもよい。
第1UV吸収層21又は第2UV吸収層22は、それぞれ独立して、下記式(9)の関係を満たすことが好ましい。
80nm≦ReB(550)≦160nm (9)
[式(9)中、ReB(550)は、波長550nmにおける第1UV吸収層21又は第2UV吸収層22の面内位相差値を表す。]
ReB(550)は、90nm以上150nm以下であってもよく、100nm以上140nm以下であってもよく、110nm以上130nm以下であってもよい。第2UV吸収層22が上記式(9)の関係を満たすことが好ましく、積層体1,2を表示装置に適用したときの視野角依存性を特に抑制することができる。第1UV吸収層21又は第2UV吸収層22のReB(550)は、位相差測定装置を用いて測定することができる。
上記式(9)の関係を満たす第1UV吸収層21又は第2UV吸収層22は、第1UV吸収層21又は第2UV吸収層22に含まれる樹脂フィルム又はコーティング層に位相差を付与することによって得ることができる。例えば、位相差を有する樹脂フィルムとしては、延伸フィルムが挙げられる。延伸フィルムは、上記樹脂フィルムを延伸したものが挙げられる。位相差を有するコーティング層としては、液晶膜が挙げられる。
第1UV吸収層21又は第2UV吸収層22の遅相軸と第2光吸収異方性層の吸収軸とのなす角θiの範囲は、下記式(10)の関係を満たすことが好ましい。
15°≦|θi|≦75° (10)
第1UV吸収層21又はは第2UV吸収層22が上記式(10)の関係を満たす場合、直線偏光を円偏光に変換できる、いわゆる1/4波長板(λ/4板)となり得る。その際、正面から偏光サングラス越しに見た際の視認性にも優れる。また、第2UV吸収層22が上記式(10)の関係を満たす場合、本実施形態の積層体は、正面方向における透過性に優れ、かつ斜め方向における光吸収特性の方向異方性を低減し、斜め方向からでも正面との色相差低減効果がより高まりやすい。|θi|は、より好ましくは25°≦|θi|≦65°、さらに好ましくは35°≦|θi|≦55°の範囲である。第1UV吸収層21又は第2UV吸収層22の遅相軸と第2光吸収異方性層の吸収軸とのなす角θiは、例えば貼り合わせる角度を調整する、第1UV吸収層21もしくは第2UV吸収層22の遅相軸、又は、第2光吸収異方性層の吸収軸をあらかじめ所定の角度に合わせて製造しRoll to Rollで貼り合わせる等で、上記範囲内に調整することができる。
(第1光吸収異方性層)
第1光吸収異方性層11は、1種以上の二色性色素と液晶性化合物とを含む第1組成物から形成され、上記式(2)の関係を満たす。これにより、第1光吸収異方性層11の平面に対して鉛直方向に、二色性色素の吸収軸が配向していると考えられるため、第1光吸収異方性層11は、正面方向からの光を効果的に透過し、斜め方向からの光を効果的に吸収することができる。
第1光吸収異方性層11は、2種以上の二色性色素を含んでいてもよい。第1光吸収異方性層11に含まれる二色性色素の少なくとも1種は、アゾ化合物であることが好ましい。
第1光吸収異方性層11は、液晶膜であることが好ましい。本明細書において液晶膜とは、液晶性化合物を含む組成物から得られる膜をいう。液晶膜は、液晶性化合物を含んでいてもよく、液晶性化合物の重合体を含んでいてもよい。液晶性化合物の重合体は、液晶性を示してもよく、液晶性を示さなくてもよい。第1光吸収異方性層11を構成する液晶膜は二色性色素を含む。
第1組成物に含まれる液晶性化合物は、液晶性を有する化合物であれば特に限定されず、低分子の液晶性化合物であってもよく、高分子の液晶性化合物であってもよい。液晶性化合物は、重合性基を有する重合性液晶化合物であってもよい。液晶膜が液晶性化合物の重合体を含む場合、当該液晶性化合物は通常、重合性液晶化合物である。液晶性化合物は、スメクチック液晶相を形成する液晶性化合物であることが好ましく、液晶膜は、スメクチック液晶相を形成する液晶性化合物、又は、スメクチック液晶相を形成する液晶性化合物の重合体を含むことが好ましい。二色性色素及び液晶性化合物については、後述する。
上記式(2)におけるz方向の吸光度Azは、第1光吸収異方性層11の側面に光を入射させて測定することになるため、測定が難しい。そこで、測定光である直線偏光の振動面と、第1光吸収異方性層11のx-y平面とのなす角を90°としたとき、この振動面に対して、第1光吸収異方性層11のx-y平面を直線偏光の入射方向に30°及び60°傾けて測定することによりz方向の吸光度Azを見積もることができる。
具体的には、次の方法等で見積もることができる。
y軸を回転軸として第1光吸収異方性層11を30°及び60°回転させた状態で、Axを測定した直線偏光と同一の直線偏光を入射することにより、吸光度Ax(z=30°)及び吸光度Ax(z=60°)をそれぞれ測定する。同様に、x軸を回転軸として第1光吸収異方性層11を30°及び60°回転させた状態で、Ayを測定した直線偏光と同一の直線偏光を入射することにより、吸光度Ay(z=30°)及び吸光度Ay(z=60°)をそれぞれ測定する。
このとき、Ax(z=30°)<Ax(z=60°)かつAy(z=30°)=Ay(z=60°)であれば、Ax(z=30°)<Ax(z=60°)<Ax(z=90°)=Azであり、かつAy(z=30°)<Ay(z=60°)かつAx(z=30°)=Ax(z=60°)であれば、Ay(z=30°)<Ay(z=60°)<Ay(z=90°)=Azであるから、必然的に式(2)の関係を満たすということができる。
ここで、Ax(z=90°)は、y軸を回転軸として第1光吸収異方性層11を90°回転させた状態で、Axを測定した直線偏光と同一の直線偏光を入射することにより測定される吸光度である。Ay(z=90°)は、x軸を回転軸として第1光吸収異方性層11を90°回転させた状態で、Axを測定した直線偏光と同一の直線偏光を入射することにより測定される吸光度である。
特に、第1光吸収異方性層11のx-y平面に吸収異方性がない場合、すなわちAx及びAyが等しい場合においては、Ax(z=30°)=Ay(z=30°)かつAx(z=60°)=Ay(z=60°)である。ここで、Ax(z=30°)=Ay(z=30°)=A(z=30°)とし、Ax(z=60°)=Ay(z=60°)=A(z=60°)とし、Ax(z=90°)=Ay(z=90°)=A(z=90°)とする。そうすると、A(z=30°)<A(z=60°)であれば、A(z=30°)<A(z=60°)<A(z=90°)=Azの関係を満たす。さらに、A(z=30°)>(Ax+Ay)/2であれば、必然的にAzは式(2)を満たすということができる。
上記Ax及びAyは、第1光吸収異方性層11の正面方向の吸光度を意味し、Ax及びAyの値が小さいほど第1光吸収異方性層11中の二色性色素が平面に対して垂直方向に精度よく配向しているといえる。Ax及びAyの値は0.3以下であることが好ましく、0.3を超える場合には第1光吸収異方性層11の正面方向における着色が強くなるため、表示装置に適用した際の正面透過色相が劣る傾向にあることから、Ax及びAyの値はそれぞれ独立して、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、さらに好ましくは0.02以下である。また、Ax及びAyの値の下限値はそれぞれ独立して、通常0.001以上であり、0.003以上であってもよく、0.005以上であってもよい。
上記Ax(z=60°)及びAy(z=60°)は、第1光吸収異方性層11の斜方の吸光度を意味し、表示装置の斜めに漏れ出る光に応じて適宜選択することが可能である。Ax(z=60°)及びAy(z=60°)は、それぞれ独立して1.0以下であることが好ましく、より好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.3以下である。また、下限値は通常0.001以上であり、0.003以上であってもよく、その必要性から0.01以上である。
第1光吸収異方性層11は、下記式(7)及び式(8)の関係を満たすことが好ましい。
Ax(z=60°)/Ax≧5 (7)
Ay(z=60°)/Ay≧5 (8)
[式(7)中、Ax(z=60°)は、第1光吸収異方性層11の波長410nm以上780nm以下の範囲における吸収極大波長の吸光度であって、y軸を回転軸として、第1光吸収異方性層11を60°回転させたときのx軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。
式(8)中、Ay(z=60°)は、第1光吸収異方性層11の上記吸収極大波長の吸光度であって、x軸を回転軸として、第1光吸収異方性層11を60°回転させたときのy軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。]
上記式(7)中のAx(z=60°)/Ax、及び、式(8)中のAy(z=60°)/Ayは、その数値が大きいほど優れた光吸収異方性を示し、これらはそれぞれ独立して、例えば、7以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、また、50以下であることがさらに好ましい。
第1光吸収異方性層11の厚みは、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.5μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上2.5μm以下であることがさらに好ましい。第1光吸収異方性層11の厚みが0.1μm未満であると、斜め方向からの光吸収が弱くなりやすく、厚みが大きくなると二色性色素の配向が乱れやすくなるため、正面方向の透過特性が低下しやすい。
(二色性色素)
第1光吸収異方性層は、1種以上の二色性色素を含む。二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、分子の短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。二色性色素としては、可視光を吸収する特性を有する特性を有することが好ましく、波長380~680nmの範囲に吸収極大波長(λmax)を有するものがより好ましい。
このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素、及びアントラキノン色素等が挙げられるが、中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素、及びスチルベンアゾ色素等が挙げられ、好ましくはビスアゾ色素及びトリスアゾ色素である。二色性色素は単独でも、2種以上を組み合わせてもよいが、第1光吸収異方性層において光吸収異方性が求められる波長範囲に応じて、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
アゾ色素としては、例えば、式(I)で表される化合物が挙げられる。
-A(-N=N-A-N=N-A-T (I)
[式(I)中、
、A、及びAは、互いに独立して、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレン-1,4-ジイル基、置換基を有していてもよい安息香酸フェニルエステル基、置換基を有していてもよい4,4’-スチルベニレン基、又は置換基を有していてもよい2価の複素環基を表し、
及びTは、電子吸引基あるいは電子放出基を表し、アゾ結合面内に対して実質的に180°の位置に有する。
pは0~4の整数を表し、pが2以上である場合、各々のAは互いに同一でも異なっていてもよい。
可視光領域に吸収を示す範囲で、-N=N-結合が-C=C-、-COO-、-NHCO-、-N=CH-結合に置き換わっていてもよい。]
第1光吸収異方性層における二色性色素の含有量は、第1光吸収異方性層100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上20質量部以下であってもよく、1質量部以上10質量部以下であってもよく、1質量部以上5質量部以下であってもよい。第1光吸収異方性層における二色性色素の含有割合は、第1光吸収異方性層を形成するために用いる第1組成物の固形分100質量部に対する二色性色素の割合として算出することができる。第1組成物の固形分とは、第1組成物から有機溶剤等の揮発性成分を除いた全ての成分を意味する。
第1組成物に含まれる二色性色素の含有量(複数種を含む場合はその合計量)は、良好な光吸収特性を得る観点から、液晶性化合物100質量部に対して、通常1~60質量部であり、好ましくは1~40質量部であり、より好ましくは1~20質量部である。二色性色素の含有量がこの範囲より少ないと光吸収が不十分となり、十分な光吸収異方特性が得られず、この範囲よりも多いと、液晶性化合物の液晶分子の配向を阻害する場合がある。
(液晶性化合物及びその重合体)
第1光吸収異方性層を形成するための第1組成物に含まれる液晶性化合物は、ホストゲスト相互作用により二色性色素を配向させるために用いられる。当該液晶性化合物は、低分子の液晶性化合物であってもよく、高分子の液晶性化合物であってもよい。当該液晶性化合物は、重合性液晶化合物であってもよい。液晶性化合物は、スメクチック液晶層を形成する化合物であることが好ましい。
重合性液晶化合物は、重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物である。重合性基は、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基、及びオキセタニル基が好ましく、メタクリロイルオキシ基又はアクリロイルオキシ基がより好ましい。液晶性はサーモトロピック液晶でもリオトロピック液晶でもよいが、上記した二色性色素と混合する場合には、サーモトロピック液晶が好ましい。
重合性液晶化合物がサーモトロピック液晶である場合は、ネマチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物であってもよいし、スメクチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物であってもよい。重合反応により液晶硬化膜(液晶膜)として光吸収異方特性を発現する際には、重合性液晶化合物が示す液晶状態は、スメクチック相であることが好ましく、高次スメクチック相であれば高性能化の観点からより好ましい。中でも、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相、又はスメクチックL相を形成する高次スメクチック液晶化合物がより好ましく、スメクチックB相、スメクチックF相又はスメクチックI相を形成する高次スメクチック液晶化合物がさらに好ましい。重合性液晶化合物が形成する液晶相がこれらの高次スメクチック相であると、光吸収異方特性のより高い第1光吸収異方性層を製造することができる。このように光吸収異方特性の高い第1光吸収異方性層は、X線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークが得られるものである。当該ブラッグピークは分子配向の周期構造に由来するピークであり、第1光吸収異方性層は、その周期間隔が3~6Åであることができる。第1光吸収異方性層は、スメクチック相の状態で配向した重合性液晶化合物の重合体を含むことが、より高い光吸収異方特性が得られるという観点から好ましい。
重合性液晶化合物はモノマーであってもよいが、重合性基が重合したオリゴマーであってもよく、ポリマーであってもよい。このような重合性液晶化合物としては、公知のものを用いることができ、例えば特開2020-76920号公報及び特許第6728581号公報等に記載のものが挙げられる。
液晶性化合物が上記した高分子の液晶性化合物である場合、当該液晶性化合物としては、公知のものを用いることができ、例えば特開2011-237513号公報等に記載のものが挙げられる。
液晶性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。第1光吸収異方性層中の液晶性化合物の含有量は、光吸収異方性層100質量部に対して、40質量部以上99.9質量部以下であることが好ましく、60質量部以上99質量部以下であってもよく、70質量部以上99質量部以下であってもよい。液晶性化合物又は重合体の含有量が上記範囲内であると、第1光吸収異方性層を形成するときの液晶性化合物の配向性が高くなる傾向がある。第1光吸収異方性層における液晶性化合物又はその重合体の含有割合は、光吸収異方性層を形成するために用いる第1組成物(後述)の固形分100質量部に対する第1組成物中の液晶性化合物の割合として算出することができる。
(第1光吸収異方性層の作製方法)
第1光吸収異方性層は、例えば、第1基材層上に、少なくとも1種以上の二色性色素と液晶性化合物とを含む第1組成物を塗布して形成することができる。第1基材層は、上記第1UV吸収層で説明した樹脂フィルムであってもよく、コーティング層が形成された基材フィルムであってもよい。
第1組成物の塗布によって形成された塗布層には、溶剤等を除去するための乾燥処理等を行って第1光吸収異方性層を形成することができる。第1組成物が液晶性化合物として重合性液晶化合物を含む場合は、乾燥処理後の塗布層に活性エネルギー線の照射等を行って重合性液晶化合物を重合することにより、重合性液晶化合物の硬化物層としての第1光吸収異方性層を形成することができる。第1組成物は、第1基材層表面に塗布してもよく、第1基材層表面に形成された第1配向層の表面に塗布してもよい。
第1組成物における二色性色素の含有量(複数種含む場合にはその合計量)は、二色性色素の種類等によって適宜決定することができるが、良好な光吸収特性を得る観点から、例えば、液晶性化合物100質量部に対して、1質量部以上60質量部以下であってもよく、1質量部以上40質量部以下であってもよく、1質量部以上20質量部以下であってもよい。二色性色素の含有量が上記の範囲よりも少なくなると、第1光吸収異方性層の光吸収能が不十分となり、十分な光吸収異方性が得られなくなる場合がある。二色性色素の含有量が上記の範囲よりも多くなると、液晶性化合物の配向を阻害する場合がある。
第1組成物は、二色性色素及び液晶性化合物の他に、溶媒を含んでいてもよい。一般に液晶性化合物は粘度が高いため、これを溶剤に溶解させて、溶剤を含む第1組成物とすることで、第1基材層への塗布が容易になり、結果として第1光吸収異方性層を形成しやすくなる場合が多い。溶剤としては、液晶性化合物を完全に溶解し得るものが好ましく、また、液晶性化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、及び乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、及びメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン、及びヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素含有溶剤;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルミアミド、N-メチル-2-ピロリドン、及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のアミド系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1組成物中の溶媒の含有量は、第1組成物の総量に対して、50~98質量%が好ましい。換言すると、第1組成物における固形分の含有量は、2~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。該固形分の含有量が50質量%以下であると、第1組成物の粘度が低くなることから、第1光吸収異方性層を略均一な厚みに形成しやすくなり、第1光吸収異方性層にムラが生じにくくなる傾向がある。かかる固形分の含有量は、製造しようとする第1光吸収異方性層の厚みを考慮して定めることができる。
第1組成物は、さらに、光重合開始剤又は熱重合開始剤等の重合開始剤、重合性基を有する非液晶性化合物、レベリング剤、酸化防止剤、光増感剤等の添加剤を含んでいてもよい。第1基材層表面に直接第1組成物を塗布する場合(第1配向層を用いない場合)、第1組成物は、さらに配向促進剤を含むことが好ましい。
重合開始剤は、第1組成物が重合性液晶化合物等の重合反応に関与する化合物を含む場合に用いられ、当該化合物の重合反応を開始し得る化合物である。重合性液晶化合物の重合反応を開始する重合開始剤としては、サーモトロピック液晶の相状態に依存しないという観点から、光の作用により活性ラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤は、重合性液晶化合物等の重合反応を開始し得る化合物であれば、公知の光重合開始剤を用いることができる。具体的には、光の作用により活性ラジカル又は酸を発生できる光重合開始剤が挙げられ、中でも、光の作用によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
光重合開始剤は、公知の光重合開始剤を用いることができる。例えば、活性ラジカルを発生する光重合開始剤としては、
自己開裂型のベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ヒドロキシアセトフェノン系化合物、α-アミノアセトフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、アゾ系化合物等、及び、
水素引き抜き型のベンゾフェノン系化合物、アルキルフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジルケタール系化合物、ジベンゾスベロン系化合物、アントラキノン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、ハロゲノアセトフェノン系化合物、ジアルコキシアセトフェノン系化合物、ハロゲノビスイミダゾール系化合物、ハロゲノトリアジン系化合物、トリアジン系化合物等を使用できる。
酸を発生する光重合開始剤としては、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩等を使用することができる。
低温での反応効率に優れるという観点から、光重合開始剤は、自己開裂型の光重合開始剤が好ましく、特にアセトフェノン系化合物、ヒドロキシアセトフェノン系化合物、α-アミノアセトフェノン系化合物、オキシムエステル系化合物が好ましい。
第1組成物中の重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の種類及びその量に応じて適宜調節できるが、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、通常0.1~30質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~8質量部である。重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく重合を行うことができる。
重合性基を有する非液晶性化合物(以下、「非液晶性化合物」ということがある。)は、重合性基を有し、液晶性を有していない化合物である。非液晶性化合物が有する重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。これらの中でも、好ましい重合性基は、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基、及びオキセタニル基であり、より好ましい重合性基は、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリロイルオキシ基であり、さらに好ましい重合性基は、(メタ)アクリロイルオキシ基である。非液晶性化合物中の重合性基は、1種であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよいが、液晶性化合物が有する重合性基と同一の重合性基であることが好ましい。
非液晶性化合物が有する重合性基の個数は、特に制限されず、例えば1~20個であってもよいが、第1光吸収異方性層の膜強度をより高めやすい観点からは、好ましくは2~10個、より好ましくは3~6個である。非液晶性化合物が重合性基を2以上有する場合、該重合性基は互いに同一であっても異なっていてもよい。
重合性基を有する非液晶性化合物としては、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。重合性基を有する非液晶性化合物としての単官能アクリレート及び多官能アクリレートは非液晶性であることから、メソゲン構造を有しないものが好ましい。単官能アクリレート及び多官能アクリレートは、分子内にウレタン構造、アミノ構造、エポキシ構造、エチレングリコール構造、及び/又はポリエステル構造を含んでいてもよい。
レベリング剤とは、組成物の流動性を調整し、組成物を塗布して得られる膜をより平坦にする機能を有する添加剤である。レベリング剤としては、例えば、有機変性シリコーンオイル系、ポリアクリレート系、及びパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。中でも、ポリアクリレート系レベリング剤及びパーフルオロアルキル系レベリング剤が好ましい。
第1組成物がレベリング剤を含有する場合、液晶性化合物の含有量100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.05~3質量部である。レベリング剤の含有量が上記範囲内であると、液晶性化合物を配向させることが容易であり、かつ得られる第1光吸収異方性層がより平滑となる傾向がある。液晶性化合物に対するレベリング剤の含有量が上記範囲を超えると、得られる第1光吸収異方性層にムラが生じやすい傾向がある。なお、第1組成物は、レベリング剤を2種以上含有していてもよい。
第1組成物は、二色性色素及び液晶性化合物、並びに必要に応じて、溶媒、非液晶性化合物、配向促進剤、重合開始剤及びレベリング剤等の添加剤を撹拌することによって得ることができる。
第1組成物を塗布する方法としては、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法等の塗布法、フレキソ法等の印刷法等の公知の方法が挙げられる。
第1基材層上に形成された第1組成物の塗布層には乾燥処理を行うことが好ましい。第1組成物が溶剤を含む場合、塗布層を乾燥することにより、塗布層中の溶剤を除去することができる。乾燥方法としては、公知の方法が挙げられ、自然乾燥法、加熱乾燥法、通風乾燥法、減圧乾燥法等のうちの1以上の方法が挙げられる。
乾燥処理における乾燥条件は、第1組成物に含まれる成分によって適宜決定することができる。例えば、乾燥処理における乾燥温度は、50℃以上150℃以下であり、60℃以上120℃以下であってもよい。乾燥処理における乾燥時間は、15秒以上10分以下であり、0.5分以上5分以下であってもよい。
乾燥処理において加熱処理を行う場合、第1組成物に含まれる液晶性化合物を相転移させる液晶相転移温度以上の温度に加熱することにより、塗布層中の溶剤を除去しながら、液晶性化合物を配向させることができる。これにより、第1光吸収異方性層の面に対して鉛直方向に、液晶性化合物を配向させることができ、液晶性化合物の配向に伴い、二色性色素も配向させることができる。
あるいは、第1基材層表面に第1配向層を設ける場合、第1配向層の配向規制力により、塗布層中の液晶性化合物及び二色性色素を配向させてもよい。
第1組成物が重合性液晶化合物を含んでいない場合、上記のように液晶性化合物及び二色性色素を配向させた後、溶剤を除去することにより、第1光吸収異方性層を得てもよい。
第1組成物が重合性液晶化合物を含む場合、第1基材層上に形成された塗布層を乾燥し、重合性液晶化合物及び二色性色素を配向させた状態で活性エネルギー線を照射して重合性液晶化合物を重合硬化させることにより、液晶性化合物及び二色性色素が配向した第1光吸収異方性層を形成することができる。
重合性液晶化合物を重合させる方法としては、光重合が好ましい。光重合は、第1基材層上又は第1配向層上に重合性液晶化合物を含む第1組成物が塗布された塗布層を含む積層構造体に活性エネルギー線を照射することにより実施される。照射する活性エネルギー線としては、塗布層に含まれる重合性液晶化合物の種類(特に、重合性液晶化合物が有する光重合性官能基の種類)、光重合開始剤を含む場合には光重合開始剤の種類、及びそれらの量に応じて適宜選択される。具体的には、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線、及びγ線からなる群より選択される一種以上の光が挙げられる。中でも、重合反応の進行を制御し易い点、及び光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって光重合可能なように、重合性液晶化合物の種類を選択することが好ましい。
活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380~440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線照射強度は、通常、10mW/cm~3,000mW/cmである。紫外線照射強度は、好ましくはカチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。光を照射する時間は、通常0.1秒~10分であり、好ましくは1秒~5分であり、より好ましくは5秒~3分であり、さらに好ましくは10秒~1分である。このような紫外線照射強度で1回又は複数回照射すると、その積算光量は、10mJ/cm~3,000mJ/cm、好ましくは50mJ/cm~2,000mJ/cm、より好ましくは100mJ/cm~1,000mJ/cmである。積算光量がこの範囲以下である場合には、重合性液晶化合物の硬化が不十分となり、第1光吸収異方性層を被着体に転写する際に良好な転写性が得られない場合がある。逆に、積算光量がこの範囲以上である場合には、第1光吸収異方性層が着色する場合がある。
第1配向層は、液晶性化合物の液晶配向を容易にする。液晶配向の状態は、第1配向層及び液晶性化合物の性質によって変化し、その組み合わせは任意に選択することができる。
配向規制力は、第1配向層が配向性ポリマーから形成されている場合は、表面状態やラビング条件によって任意に調整することが可能である。第1配向層が光配向性ポリマーから形成されている場合は、偏光照射条件等によって任意に配向規制力を調整することができる。また、液晶性化合物の表面張力や液晶性等の物性を選択することにより、液晶配向を制御することもできる。
第1基材層と第1光吸収異方性層との間に形成される第1配向層としては、第1配向層上に第1光吸収異方性層を形成する際に使用される溶剤に不溶であり、また、溶剤の除去や液晶の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。第1配向層としては、配向性ポリマーからなるポリマー配向層、光配向層及びグルブ(groove)配向層、配向方向に延伸してある延伸フィルム等が挙げられ、長尺のロール状フィルムに適用する場合には、配向方向を容易に制御できる点で、光配向層が好ましい。
第1配向層の厚みは、通常10nm~5000nmの範囲であり、好ましくは10nm~1000nmの範囲であり、より好ましくは30~300nmである。
ラビング配向層に用いられる配向性ポリマーとしては、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸エステル類等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。これらの配向性ポリマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラビングする方法としては、配向性ポリマー組成物を第1基材層に塗布し、アニールすることによって第1基材層表面に形成された配向性ポリマーの膜を、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに接触させる方法が挙げられる。
光配向層は、光反応性基を有するポリマーやオリゴマー又はモノマーからなる。光配向層は、光配向層を形成するための組成物を第1基材層に塗布した塗布層に偏光を照射することで配向規制力が得られる。照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御できる点で光配向層がより好ましい。
光反応性基とは、光を照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光を照射することで生じる分子の配向誘起、若しくは、異性化反応、二量化反応、光架橋反応又は光分解反応のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じるものである。当該光反応性基の中でも、二量化反応又は光架橋反応を起こすものが、配向性に優れる点で好ましい。以上のような反応を生じうる光反応性基としては、不飽和結合、特に二重結合を有するものが好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)、及び炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する基がより好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては例えば、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ-ル基、スチルバゾリウム基、カルコン基及びシンナモイル基等が挙げられる。反応性の制御が容易であるという点や光配向時の配向規制力の発現の観点から、カルコン基及びシンナモイル基が好ましい。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基及び芳香族ヒドラゾン等の構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基及びホルマザン基等や、アゾキシベンゼンを基本構造とするものが挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基及びマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基及びハロゲン化アルキル基等の置換基を有していてもよい。
偏光を照射するには、光配向層を形成するための組成物の塗布層の膜面から直接偏光を照射する形式でも、第1基材層側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であることが特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外光)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArF等の紫外光レーザー等が挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ及びメタルハライドランプがより好ましい。これらのランプは、波長313nmの紫外光の発光強度が大きいため好ましい。上記した光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光を照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラー等の偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
(第2光吸収異方性層)
第2光吸収異方性層12は、その平面に対して水平方向に吸収軸を有する。第2光吸収異方性層12は、例えば光吸収異方性を有する色素である二色性色素が一軸配向した偏光子である。二色性色素が一軸配向した偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂等のポリマー中にヨウ素や有機二色性染料を含浸させた状態で一軸延伸することによって形成した偏光子;重合性液晶化合物等の液晶性を有する化合物及び二色性色素を含む組成物等を用いて、二色性色素及び液晶性を有する化合物を配向させることによって形成した偏光子が挙げられる。このような偏光子は、延伸フィルムや液晶性の化合物中に包摂された二色性色素によって光が異方性吸収されることによって、無偏光の光を入射させたとき、吸収軸に直交する振動面をもつ直線偏光を透過させる偏光機能を発現することができる。
第2光吸収異方性層は、上記したように、吸収異方性を有する色素をポリビニルアルコール系樹脂等のポリマーに吸着させた延伸偏光フィルム(以下、ポリマーとしてポリビニルアルコール系樹脂を用いた延伸偏光フィルムを「PVA偏光フィルム」ということがある。);吸収異方性を有する色素及び液晶性を有する化合物を含む第2組成物を基材フィルムに塗布して形成した液晶膜の偏光層を含む液晶偏光フィルムであることができる。吸収異方性を有する色素としては、二色性色素が挙げられる。PVA偏光フィルムに含まれる二色性色素は、ヨウ素であることが好ましい。
PVA偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、「PVA系フィルム」ということがある。)を一軸延伸する工程、PVA系フィルムを二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたPVA系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及び必要に応じて、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程等を経て得ることができる。
第2光吸収異方性層がPVA偏光フィルムである場合、第2光吸収異方性層の厚みは、通常30μm以下であり、好ましくは18μm以下、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。該厚みは、通常1μm以上であり、例えば5μm以上であればよい。
PVA系フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、又は染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。もちろん、ここに示した複数の段階で一軸延伸を行うこともできる。一軸延伸には、周速の異なるロール間でフィルム運搬方向に一軸に延伸する方法や、熱ロールを用いてフィルム運搬方向に一軸に延伸する方法、テンターを使用して幅方向に延伸する方法等が採用できる。一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸により行ってもよいし、水等の溶媒を用い、PVA系フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸により行ってもよい。延伸倍率は、通常3~8倍程度である。また、熱可塑性樹脂フィルム上にポリビニルアルコールを含む水溶液を塗布した後に乾燥処理を施し、熱可塑性樹脂フィルムと共に上記方法にて延伸してもよい。
PVA系フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液にPVA系フィルムを浸漬する方法により行うことができる。二色性色素として、具体的にはヨウ素や二色性有機染料が用いられる。
吸収異方性を有する色素及び液晶性を有する化合物を含む第2組成物から形成された液晶偏光フィルムは、色相を任意に制御可能である点、及び大幅に薄型化できる点、さらに熱による延伸緩和がないため非収縮性を有する点で例えば、フレキシブルディスプレイ用途に好適に用いることができる。
液晶偏光フィルムは、例えば第2基材層上に第2組成物を塗布し、第2組成物に含まれる二色性色素を配向させて第2光吸収異方性層を形成することにより得ることができる。液晶偏光フィルムに含まれる第2光吸収異方性層では、二色性色素、及び、液晶性を有する化合物又はその重合体は、第2基材層面に対して水平配向している。
液晶偏光フィルムに含まれる第2光吸収異方性層(液晶膜)の厚みは、好ましくは0.1μm以上5μm以下であり、より好ましくは0.3μm以上4μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以上3μm以下である。上記厚みがこの範囲よりも小さくなると、必要な光吸収が得られない場合があり、かつ、上記厚みがこの範囲よりも大きくなると、第2配向層(後述)による配向規制力が低下し、配向欠陥を生じやすい傾向にある。
液晶偏光フィルムに含まれる第2光吸収異方性層(液晶膜)は、波長λ[nm]の光に対する配向方向の吸光度A1(λ)と、当該配向方向の面内に対して垂直方向の吸光度A2(λ)の比(二色比;A1/A2)が7以上であれば好ましく、20以上であればより好ましく、さらに好ましくは40以上である。二色性比の値が大きければ大きい程、吸収選択性の優れる第2光吸収異方性層ということができる。二色性色素の種類にもよるが、液晶偏光フィルムに含まれる液晶膜(液晶硬化膜)がネマチック液晶相の状態で硬化している場合には、上記二色性比は5~10程度である。
吸収波長の異なる2種以上の二色性色素を混合することにより、様々な色相の第2光吸収異方性層を作製することができ、可視光全域に吸収を有する第2光吸収異方性層とすることができる。このような吸収特性を有する第2光吸収異方性層とすることで、様々な用途に展開しうる。
第2基材層としては、第1基材層で説明したものが挙げられる。第2基材層は、積層体に組み入れる際に剥離除去してもよいが、剥離除去せずに第2光吸収異方性層の保護フィルムとして用いてもよい。液晶偏光フィルムに用いる二色性色素としては、第1光吸収異方性層に用いた二色性色素等が挙げられる。液晶性を有する化合物としては、棒状液晶化合物、円盤状液晶化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。液晶性を有する化合物としては、重合性液晶化合物であることが好ましい。液晶性を有する化合物及び重合性液晶化合物は、第1光吸収異方性層で説明した液晶性化合物を用いることもできる。
液晶偏光フィルムは、第2配向層を含んでいてもよい。第2配向層は、液晶性を有する化合物を、液晶偏光フィルムの面に対して水平方向に配向させ得る水平配向層であることが好ましい。第2配向層は、配向性ポリマーで形成されたポリマー配向層、光配向ポリマーで形成された光配向層、層表面に凹凸パターンや複数のグルブ(溝)を有するグルブ配向層を挙げることができる。第2配向層は、配向角の精度及び品質等の観点から光配向層であることが好ましい。第2配向層を構成する上記の各配向層としては、第1配向層で説明したものが挙げられる。
(偏光板)
偏光板は、第2光吸収異方性層の片面又は両面に保護フィルムを有する直線偏光板である。第2光吸収異方性層は、偏光板の形態で積層体に組込まれてもよい。保護フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムを用いることができる。熱可塑性樹脂フィルムは、第2光吸収異方性層との密着性を向上するため、表面処理(例えば、コロナ処理等)が施されていてもよく、プライマー層(下塗り層ともいう)等の薄層が形成されていてもよい。第2光吸収異方性層と保護フィルムとは、直接接していてもよいが、貼合層(粘着剤層又は接着剤層)を介して積層されていてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、透明フィルムであることが好ましく、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ナイロンや芳香族ポリアミド等のポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂;シクロ系及びノルボルネン構造を有する環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂ともいう);(メタ)アクリル樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。中でも、熱可塑性樹脂フィルムは、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、セルロースエステル系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム又は(メタ)アクリル系樹脂フィルムであることが好ましい。
保護フィルムは、熱可塑性樹脂フィルム上にハードコート層が形成されているものであってもよい。ハードコート層は、熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。ハードコート層を設けることにより、硬度及び耐スクラッチ性を向上させた熱可塑性樹脂フィルムとすることができる。ハードコート層は、例えば活性エネルギー線硬化型樹脂、好ましくは紫外線硬化型樹脂の硬化層である。紫外線硬化型樹脂としては、例えば(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。ハードコート層は、強度を向上させるために、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は特に限定されず、無機系微粒子、有機系微粒子又はこれらの混合物が挙げられる。
保護フィルムの厚みは、5μm以上150μm以下であることが好ましく、10μm以上100μm以下であってもよく、10μm以上80μm以下であってもよい。
(位相差体)
積層体2は、第2光吸収異方性層12の第2UV吸収層22側とは反対側に、1以上の位相差層を含む位相差体13を有していてもよい。位相差体13は、面内位相差を有する位相差層を1以上含むことが好ましく、さらに厚み方向に位相差を有する位相差層を含んでいてもよい。
積層体2において第2光吸収異方性層12及び位相差体13が反射防止フィルムとして機能する場合、反射防止機能を高度に達成する観点から、位相差体に含まれる面内位相差を有する位相差層として、可視光全域でのλ/4板機能(すなわちπ/2の位相差機能)を有するλ/4位相差層を含むことが好ましい。λ/4位相差層は、逆波長分散性のλ/4位相差層が好ましい。面内位相差を有する位相差層として、正波長分散性のλ/2板機能を有する位相差層(λ/2位相差層)と正波長分散性のλ/4位相差層とを組み合わせたものを用いてもよい。
第2光吸収異方性層12及び位相差体13が反射防止フィルムとして機能する場合、斜め方向での反射防止機能を補償し得る観点から、位相差体は、面内位相差を有する位相差層に加えて、厚み方向に位相差を有する位相差層としてポジティブCプレートを含むことができる。
位相差体13が、面内位相差を有する位相差層と、厚み方向に位相差を有する位相差層とを含む場合、これらの積層順は特に限定されず、第2光吸収異方性層12側から順に、面内位相差を有する位相差層、及び、厚み方向に位相差を有する位相差層を有していてもよく、この逆であってもよい。位相差体13を構成する位相差層の間には貼合層が設けられていてもよい。貼合層は、粘着剤層又は接着剤層である。
位相差体13は、下記式(4)及び式(5)の関係を満たす第1位相差層(位相差層)を有することが好ましい。
120nm≦ReA(550)≦160nm (4)
ReA(450)/ReA(550)≦1.0 (5)
[式(4)及び式(5)中、ReA(λ)は、波長λ[nm]における第1位相差層の面内位相差値を表す。]
第1位相差層のReA(550)は、125以上155以下であってもよく、130以上150以下であってもよく、135以上145以下であってもよい。第1位相差層のReA(550)が上記の範囲内であることにより、第1位相差層はλ/4位相差層として好適に機能することができる。
上記式(5)の「ReA(450)/ReA(550)」が1.0を超えると、第1位相差層及び第2光吸収異方性層12が反射防止フィルム(楕円偏光板)を構成したときに、短波長側での光抜けが大きくなる。「ReA(450)/ReA(550)」は、好ましくは、0.7以上1.0以下、より好ましくは0.80以上0.95以下、さらに好ましくは0.80以上0.92以下、特に好ましくは0.82以上0.88以下である。「ReA(450)/ReA(550))」の値は、第1位相差層を得るために重合性液晶化合物を用いる場合には、重合性液晶化合物の混合比率を調整することにより、任意に調整することができる。
第1位相差層の面内位相差値は、第1位相差層の厚みによって調整することができる。面内位相差値は下記式によって決定される。
Re(λ)=d1×Δn(λ)
[式中、
Re(λ)は、波長λ[nm]における第1位相差層の面内位相差値を表し、
d1は、第1位相差層の厚みを表し、
Δn(λ)は、波長λ[nm]における第1位相差層の複屈折率を表す。]
上記式から理解されるように、第1位相差層の波長λ[nm]における面内位相差値(Re(λ))を所望の値とするためには、Δn(λ)と厚みd1とを調整すればよい。第1位相差層の厚みは、0.5μm~5μmが好ましく、1μm~3μmがより好ましい。当該厚みは、干渉膜厚計、レーザー顕微鏡又は触針式膜厚計により測定することができる。なお、第1位相差層を得るために重合性液晶化合物を用いる場合には、Δn(λ)は当該重合性液晶化合物の分子構造に依存することになる。
第1位相差層は、さらに下記式(6)の関係を満たすことが好ましい。
TA(380)≦20 (6)
[式(6)中、TA(380)は、第1位相差層の波長380nmにおける透過率[%]を表す。]
第1位相差層のTA(380)は、15%以下であってもよく、10%以下であってもよく、8%以下であってもよく、5%以下であってもよく、通常0.01%以上である。第1位相差層のTA(380)が上記の範囲内であることにより、第1位相差層を含む積層体を表示装置の表示素子に積層し、表示装置が屋外に長時間曝された場合にも、表示装置の発光層を近紫外線から保護することができる。これにより、表示装置の発光層の劣化を抑制することができる。
さらに、第1位相差層のTA(410)は、80%以下であってもよく、75%以下であってもよく、70%以下であってもよい。また、第1位相差層のTA(410)は、10%以下であってもよく、5%以下であってもよく、通常0.01%以上である。第1位相差層のTA(410)が上記の範囲内であることにより、さらに表示装置の発光層の劣化を抑制することができる。TA(410)は、第1位相差層の波長410nmにおける透過率[%]を表す。
上記したように、位相差体は、厚み方向に位相差を有する位相差層(以下、「第2位相差層」ということがある。)を含むことができる。第2位相差層は、例えばポジティブCプレートである。ポジティブCプレートの波長550nmにおける厚み方向の位相差値Rth(550)は、通常-170nm以上-10nm以下の範囲であり、好ましくは-150nm以上-20nm以下、より好ましくは-100nm以上-40nmの範囲である。ポジティブCプレートの厚み方向の位相差値がこの範囲であれば、位相差体及び第2光吸収異方性層12が反射防止フィルム(楕円偏光板)を構成したときに、斜め方向からの反射防止特性をより一層向上させることができる。位相差値Rth(550)は、位相差測定装置によって測定することができる。
位相差体を構成する位相差層(第1位相差層、第2位相差層等)が液晶膜を含む場合、位相差層は、これらを支持する基材層(後述する第3基材層)と積層した状態で、積層体に組み込まれてもよい。位相差層と基材層とは直接接していることができる。
位相差体に含まれる位相差層は、延伸フィルムであってもよく、液晶膜を含む液晶フィルムであってもよいが、液晶フィルムであることが好ましい。
位相差層が延伸フィルムである場合、延伸フィルムは従来公知のものを用いることができ、樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸することによって位相差を付与したものを用いることができる。樹脂フィルムとしては、トリアセチルセルロース及びジアセチルセルロース等のセルロースフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリメチル(メタ)アクリレート及びポリエチル(メタ)アクリレート等のアクリル樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリノルボルネンフィルム等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
位相差層が延伸フィルムである場合、位相差層の厚みは、通常5μm以上200μm以下であり、好ましくは10μm以上80μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下である。
位相差層が液晶フィルムである場合、液晶フィルムは、液晶性を有する化合物を含む第3組成物を、第3基材層に塗布して形成された液晶膜を含むことができる。
第3基材層としては、第1基材層で説明したものが挙げられる。第3基材層は、積層体に組込む際に剥離除去してもよいが、剥離除去せずに位相差層の保護フィルムとして用いてもよい。液晶性の化合物としては、重合性基、特に光重合性基を有する液晶性の化合物である重合性液晶化合物を用いることができる。重合性液晶化合物としては、例えば位相差フィルムの分野において従来公知の重合性液晶化合物を用いることができる。光重合性基とは、光重合開始剤から発生した反応活性種、例えば活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。光重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック性液晶でもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。また、サーモトロピック性液晶における相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。また、棒状液晶であってもよいし円盤状液晶であってもよい。重合性液晶化合物は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
第1位相差層(λ/4位相差層)が重合性液晶化合物を重合硬化した液晶硬化膜(液晶膜)を含む液晶フィルムである場合、重合性液晶化合物が水平方向に配向した液晶膜を含むことが好ましい。第1位相差層を得るために用いる重合性液晶化合物としては、逆波長分散性発現の観点から分子長軸方向に対して垂直方向にさらに複屈折性を有するT字型あるいはH型にメソゲン構造を有する液晶が好ましく、より強い分散が得られる観点からT字型液晶がより好ましく、T字型液晶の構造としては、具体的には、例えば、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2024031796000006

[式(II)中、
Arは置換基を有していてもよい二価の芳香族基を表す。該二価の芳香族基中には窒素原子、酸素原子、硫黄原子のうち少なくとも1つ以上が含まれることが好ましい。二価の基Arに含まれる芳香族基が2つ以上である場合、2つ以上の芳香族基は互いに単結合、-CO-O-、-O-等の二価の結合基で結合していてもよい。
及びGはそれぞれ独立に、二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基を表す。ここで、該二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよく、該二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子に置換されていてもよい。
、L、B及びBはそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基である。
k、lは、それぞれ独立に0~3の整数を表し、1≦k+lの関係を満たす。ここで、2≦k+lである場合、B及びB、G及びGは、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
及びEはそれぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基を表し、ここで、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-COO-で置換されていてもよく、-O-、-S-、-COO-を複数有する場合は互いに隣接しない。
及びPは互いに独立に、重合性基又は水素原子を表し、少なくとも1つは重合性基である。]
及びGは、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子及び炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-フェニレンジイル基、ハロゲン原子及び炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-シクロヘキサンジイル基であり、より好ましくはメチル基で置換された1,4-フェニレンジイル基、無置換の1,4-フェニレンジイル基、又は無置換の1,4-trans-シクロヘキサンジイル基であり、特に好ましくは無置換の1,4-フェニレンジイル基、又は無置換の1,4-trans-シクロへキサンジイル基である。
また、複数存在するG及びGのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、また、L又はLに結合するG及びGのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
及びLはそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra1ORa2-、-Ra3COORa4-、-Ra5OCORa6-、Ra7OC=OORa8-、-N=N-、-CR=CR-、又はC≡C-である。ここで、Ra1~Ra8はそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1~4のアルキレン基を表し、R及びRは炭素数1~4のアルキル基又は水素原子を表す。L及びLはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa2-1-、-CH-、-CHCH-、-COORa4-1-、又はOCORa6-1-である。ここで、Ra2-1、Ra4-1、Ra6-1はそれぞれ独立に単結合、-CH-、-CHCH-のいずれかを表す。L及びLはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CHCH-、-COO-、-COOCHCH-、又はOCO-である。
及びBはそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra9ORa10-、-Ra11COORa12-、-Ra13OCORa14-、又はRa15OC=OORa16-である。ここで、Ra9~Ra16はそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1~4のアルキレン基を表す。B及びBはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa10-1-、-CH-、-CHCH-、-COORa12-1-、又はOCORa14-1-である。ここで、Ra10-1、Ra12-1、Ra14-1はそれぞれ独立に単結合、-CH-、-CHCH-のいずれかを表す。B及びBはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CHCH-、-COO-、-COOCHCH-、-OCO-、又はOCOCHCH-である。
k及びlは、逆波長分散性発現の観点から2≦k+l≦6の範囲が好ましく、k+l=4であることが好ましく、k=2かつl=2であることがより好ましい。k=2かつl=2であると対称構造となるため好ましい。
及びEはそれぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基が好ましく、炭素数4~12のアルカンジイル基がより好ましい。
又はPで表される重合性基としては、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、及びオキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族複素環、及び電子吸引性基から選ばれる少なくとも一つを有することが好ましい。当該芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。当該芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、トリアジン環、ピロリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、及びフェナンスロリン環等が挙げられる。なかでも、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、又はベンゾフラン環を有することが好ましく、ベンゾチアゾール基を有することがさらに好ましい。また、Arに窒素原子が含まれる場合、当該窒素原子はπ電子を有することが好ましい。
式(II)中、Arで表される2価の芳香族基に含まれるπ電子の合計数Nπは8以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは14以上であり、特に好ましくは16以上である。また、好ましくは30以下であり、より好ましくは26以下であり、さらに好ましくは24以下である。
Arで表される芳香族基としては、例えば以下の基が好適に挙げられる。
Figure 2024031796000007

[式(Ar-1)~式(Ar-23)中、
*印は連結部を表し、
、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルキルスルフィニル基、炭素数1~12のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~12のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~12のアルキルチオ基、炭素数1~12のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~12のN-アルキルスルファモイル基又は炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表す。
及びQは、それぞれ独立に、-CR2’3’-、-S-、-NH-、-NR2’-、-CO-又はO-を表し、R’及びR3’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。
及びJは、それぞれ独立に、炭素原子、又は窒素原子を表す。
、Y及びYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
及びWは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、メチル基又はハロゲン原子を表す。
mは0~6の整数を表す。]
、Y及びYにおける芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。芳香族複素環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ含む炭素数4~20の芳香族複素環基が挙げられ、フリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基が好ましい。
、Y及びYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基であってもよい。多環系芳香族炭化水素基は、縮合多環系芳香族炭化水素基、又は芳香環集合に由来する基をいう。多環系芳香族複素環基は、縮合多環系芳香族複素環基、又は芳香環集合に由来する基をいう。
、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルコキシ基であることが好ましく、Zは、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基がさらに好ましく、Z及びZは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、シアノ基がさらに好ましい。
及びQは、-NH-、-S-、-NR2’-、-O-が好ましく、R2’は水素原子が好ましい。中でも-S-、-O-、-NH-が特に好ましい。
式(Ar-1)~(Ar-23)で表される化合物の中でも、式(Ar-6)及び式(Ar-7)で表される化合物が分子の安定性の観点から好ましい。
式(Ar-16)~(Ar-23)で表される化合物において、Yは、これが結合する窒素原子及びZと共に、芳香族複素環基を形成していてもよい。芳香族複素環基としては、Arが有していてもよい芳香族複素環として前記したものが挙げられるが、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピロリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ピロリジン環等が挙げられる。この芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。また、Yは、これが結合する窒素原子及びZと共に、前述した置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基であってもよい。例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等が挙げられる。
重合性液晶化合物の中でも、極大吸収波長が300~400nmである化合物が好ましい。重合性液晶化合物を含む第3組成物に光重合開始剤が含まれる場合、長期保管時に重合性液晶化合物の重合反応及びゲル化が進行するおそれがある。しかし、重合性液晶化合物の極大吸収波長が300~400nmであれば保管中に紫外光が曝露されても、光重合開始剤からの反応活性種の発生及び該反応活性種による重合性液晶化合物の重合反応及びゲル化の進行を有効に抑制できる。そのため、第3組成物の長期安定性の点で有利となり、第1位相差層に含まれる液晶硬化膜の配向性及び膜厚の均一性を向上できる。なお、重合性液晶化合物の極大吸収波長は、溶媒中で紫外可視分光光度計を用いて測定できる。該溶媒は重合性液晶化合物を溶解し得る溶媒であり、例えばクロロホルム等が挙げられる。
第3組成物中の重合性液晶化合物の含有量は、第3組成物の固形分100質量部に対して、例えば70~99.5質量部であり、好ましくは80~99質量部であり、より好ましくは85~98質量部であり、さらに好ましくは90~95質量部である。重合性液晶化合物の含有量が上記範囲内であれば、得られる液晶硬化膜の配向性の観点から有利である。なお、第3組成物の固形分とは、第3組成物から有機溶剤等の揮発性成分を除いた全ての成分を意味する。
液晶フィルムである位相差層(第1位相差層又は第2位相差層)は、液晶膜に加えて第3配向層を含んでいてもよい。第3配向層は、液晶性の化合物を配向させる方向に応じて選択すればよく、垂直配向層であってもよく、水平配向層であってもよい。第3配向層が配向規制力として水平配向を発現させる材料であれば、液晶性の化合物は水平配向又はハイブリッド配向を形成することができ、垂直配向を発現させる材料であれば、液晶性の化合物は垂直配向又は傾斜配向を形成することができる。水平、垂直等の表現は、位相差層の平面を基準とした場合の、配向した液晶性の化合物の長軸の方向を表す。例えば、垂直配向とは位相差層の平面に対して垂直な方向に、配向した液晶性の化合物の長軸を有することである。ここでいう垂直とは、位相差層の平面に対して90°±20°のことを意味する。第3配向層としては、第1配向層及び第2配向層で説明したものが挙げられる。
液晶フィルムである位相差層(第1位相差層又は第2位相差層)が紫外域の光を吸収する場合、当該位相差層と第1UV吸収層及び第2UV吸収層との組み合わせにより、積層体2は、有機EL発光表示装置の表示素子等の劣化抑制にさらに寄与することができる。
一方で、液晶フィルムである位相差層(第1位相差層又は第2位相差層)は、紫外線による劣化のみではなく、重合性液晶化合物の極大吸収波長によっては、短波長の可視光においても劣化する傾向がある。そのため、上記位相差層と、式(3)の関係を満たす第1UV吸収層又は第2UV吸収層とを組み合わせた積層体2では、短波長の可視光による上記位相差層の劣化を抑制することができる。
液晶フィルムの厚みは、好ましくは0.5μm以上5μm以下であり、より好ましくは1μm以上3μm以下である。
(貼合層)
貼合層は、粘着剤層又は接着剤層である。
貼合層が粘着剤層である場合、粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層である。粘着剤組成物又は粘着剤組成物の反応生成物は、それ自体を被着体に貼り付けることで接着性を発現するものであり、いわゆる感圧型接着剤と称されるものである。また、後述する活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層は、活性エネルギー線を照射することにより、架橋度や接着力を調整することができる。
粘着剤組成物としては、従来公知の光学的な透明性に優れる粘着剤を特に制限なく用いることができ、例えば、アクリルポリマー、ウレタンポリマー、シリコーンポリマー、ポリビニルエーテル等のベースポリマーを含有する粘着剤組成物を用いることができる。また、粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物、又は、熱硬化型粘着剤組成物等であってもよい。これらの中でも、透明性、粘着力、再剥離性(リワーク性)、耐候性、耐熱性等に優れるアクリル樹脂をベースポリマーとした粘着剤組成物が好適である。粘着剤層は、(メタ)アクリル樹脂、架橋剤、シラン化合物を含む粘着剤組成物の反応生成物から構成されることが好ましく、その他の成分を含んでいてもよい。
粘着剤層を形成するための粘着剤組成物は、例えば、アクリルポリマー、ウレタンポリマー、シリコーンポリマー、ポリビニルエーテル等のベースポリマーを含むことができる。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型粘着剤、熱硬化型粘着剤等であってもよい。これらの中でも、透明性、粘着力、再剥離性(リワーク性)、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル樹脂をベースポリマーとした粘着剤が好適である。粘着剤層は、(メタ)アクリル樹脂、架橋剤、シラン化合物を含む粘着剤の反応生成物から構成されることが好ましく、その他の成分を含んでいてもよい。
粘着剤層は、活性エネルギー線硬化型粘着剤を用いて形成してもよい。活性エネルギー線硬化型粘着剤は、上記した粘着剤組成物に、多官能性アクリレート等の紫外線硬化性化合物を配合し、粘着剤層を形成した後に紫外線を照射して硬化させることにより、より硬い粘着剤層を形成することができる。活性エネルギー線硬化型粘着剤は、紫外線や電子線等のエネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有している。活性エネルギー線硬化型粘着剤は、エネルギー線照射前においても粘着性を有しているため、被着体に密着し、エネルギー線の照射により硬化して密着力を調整することができる性質を有する。
粘着剤層の厚みは特に限定されないが、通常5μm以上300μm以下であり、10μm以上250μm以下であってもよく、15μm以上100μm以下であってもよく、20μm以上50μm以下であってもよい。
貼合層が接着剤層である場合、接着剤層は、接着剤組成物を用いて形成することができる。接着剤層を形成するための接着剤組成物としては、感圧型接着剤(粘着剤)以外の接着剤であって、例えば、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。
水系接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂を水に溶解、又は分散させた接着剤が挙げられる。水系接着剤を用いた場合の乾燥方法については特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥機や赤外線乾燥機を用いて乾燥する方法が採用できる。
活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含む無溶剤型の活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。無溶剤型の活性エネルギー線硬化型接着剤を用いることにより、層間の密着性を向上させることができる。
貼合層が接着剤層である場合の厚みは、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であってもよく、また10μm以下であることが好ましく、5μm以下であってもよい。
(有機EL表示装置)
有機EL表示装置は、上記した積層体が粘着剤層を介して表示素子に積層されているものである。有機EL表示装置では、第1UV吸収層側が視認側となるように、積層体が組込まれる。
有機EL表示装置が有する表示素子は紫外域の光に弱く、また短波長の可視光においても劣化が起こり、白表示時(発光時)の色相が変化しやすいが、上記した積層体を備えた有機EL表示装置では、白表示時の色相変化を抑制することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。実施例及び比較例中の「%」及び「部」は、特記しない限り、質量%及び質量部である。
[基材層の準備]
(基材層(1):TACフィルム)
基材層(1)として、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(KC4UY-TAC、コニカミノルタ社製)を準備した。基材層(1)は紫外線吸収剤を含むフィルムである。
(基材層(2):PETフィルム)
基材層(2)として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ダイアホイルT140E25、三菱樹脂社製)を準備した。基材層(2)の厚みは38μmであった。
(基材層(3):COPフィルム/HC層)
シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(G+、日本ゼオン社製)にコロナ処理を施した。COPフィルムのコロナ処理面に対し、グラビアコーティング法により、ハードコート層形成用組成物(アロニックス(登録商標)UV3701、東亜合成社製)を塗布し塗布層を形成した。COPフィルム上の塗布層を、温度100℃で3分間乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて、積算光量500mJ/cmの条件で紫外線を照射し、厚み2μmのハードコート(HC)層を形成し、基材層(3)とした。基材層(3)は、COPフィルム/HC層の層構造を有する。COPフィルムは紫外線吸収剤を含むフィルムである。
(基材層(4):UV-HC層/COPフィルム)
多官能アクリレート(「A-DPH-12E」:新中村化学工業株式会社製)70部、ウレタンアクリレート(「UV-7650B」:日本化学工業株式会社製)30部、重合開始剤(「NCI-730」:株式会社ADEKA製)3部、下記式(UVA-04)で表される化合物2部、及びメチルエチルケトン34部を混合し、紫外線吸収剤を含有するハードコート層形成用組成物(以下、「UV-HC層形成用組成物」ということがある。)を調製した。式(UVA-04)で表される化合物は、特開2017-120430号公報の合成例4の記載を参考にして合成した。
Figure 2024031796000008
次いで、COPフィルム(G+、日本ゼオン社製)の片面にコロナ処理を施し、バーコーターにてUV-HC層形成用組成物を塗布して塗布層を形成した。COPフィルム上の塗布層に対して0.5m/sの流速で温度70℃の乾燥空気を30秒間流通させることにより溶剤を蒸発させ、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)にて積算光量が200mJ/cmになるように照射して、厚みが5μmの紫外線吸収剤を含有するハードコート層(以下、「UV-HC層」ということがある。)を形成し、基材層(4)とした。基材層(4)は、UV-HC層/COPフィルムの層構造を有する。
(基材層(5):UV-HC層/COPフィルム/HC層)
上記した手順で基材層(3)(COPフィルム/HC層)を作製した。作製した基材層(3)のCOPフィルム面にコロナ処理を施し、基材層(4)で説明したUV-HC層を形成する手順で、基材層(3)上にUV-HC層を形成し、基材層(5)とした。基材層(5)は、UV-HC層/COPフィルム/HC層の層構造を有する。
(基材層(6):COPフィルム)
基材層(6)として、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(ZF-14-50、日本ゼオン社製)を準備した。基材層(6)は紫外線吸収能を有していないフィルムである。
[偏光板の準備]
(第2光吸収異方性層(1)の作製)
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上の厚み30μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、温度30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に温度30℃で浸漬してヨウ素染色を行った(ヨウ素染色工程)。ヨウ素染色工程を経たポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に、温度56.5℃で浸漬してホウ酸処理を行った(ホウ酸処理工程)。ホウ酸処理工程を経たポリビニルアルコール系樹脂フィルムを温度8℃の純水で洗浄した後、温度65℃で乾燥して、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向している偏光子(延伸後の厚み12μm)として第2光吸収異方性層(1)を得た。この際、ヨウ素染色工程とホウ酸処理工程において延伸を行った。かかる延伸におけるトータル延伸倍率は5.3倍であった。
(水系接着剤の調製)
水100部に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(クラレポバールKL318、クラレ社製)3部と、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン650(固形分濃度30%の水溶液)、住化ケムテックス製)1.5部を添加して、水系接着剤を調製した。
(偏光板(1)の作製)
上記で準備した基材層(1)を保護フィルムとして用いた。上記で作製した第2光吸収異方性層(偏光子)と、ケン化処理された基材層(1)とを、上記水系接着剤を介してニップロールで貼り合わせた。得られた貼合物に張力をかけながら、温度60℃で2分間乾燥して、第2光吸収異方性層(1)の片面に、基材層(1)を有する偏光板(1)を得た。偏光板(1)は、基材層(1)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)の層構造を有する。
偏光板(1)の第2光吸収異方性層(1)面を入射面として分光光度計(V7100、日本分光製)にて、偏光板(1)の光学特性の測定を行ったところ、視感度補正単体透過率は42.7%、視感度補正偏光度は99.991%であった。
(偏光板(2)の作製)
上記で作製した基材層(4)(UV-HC層/COPフィルム)を保護フィルムとして用い、基材層(4)のCOPフィルム面にコロナ処理を施した。上記で作製した第2光吸収異方性層(1)に、上記水系接着剤を介してニップロールで、基材層(4)のコロナ処理面を貼り合わせた。得られた貼合物に張力をかけながら、温度60℃で2分間乾燥して偏光板(2)を得た。偏光板(2)は、基材層(4)(UV-HC層/COPフィルム)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)の層構造を有する。
偏光板(2)の第2光吸収異方性層(1)面を入射面として分光光度計(V7100、日本分光製)にて、偏光板(2)の光学特性の測定を行ったところ、視感度補正単体透過率は42.5%、視感度補正偏光度は99.990%であった。
(偏光板(3)の作製)
上記で準備した基材層(6)を保護フィルムとして用い、基材層(6)の片面にコロナ処理を施した。上記で作製した第2光吸収異方性層(1)に、上記水系接着剤を介してニップロールで、保護フィルムのコロナ処理面を貼り合わせた。得られた貼合物に張力をかけながら、温度60℃で2分間乾燥して偏光板(3)を得た。偏光板(3)は、基材層(6)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)の層構造を有する。基材層(6)は、紫外線吸収能を有していないフィルムであった。
偏光板(3)の第2光吸収異方性層(1)面を入射面として分光光度計(V7100、日本分光製)にて、偏光板(3)の光学特性の測定を行ったところ、視感度補正単体透過率は42.4%、視感度補正偏光度は99.990%であった。
(偏光板(4)の作製)
上記で準備した基材層(3)を保護フィルムとして用い、基材層(3)のHC層側にコロナ処理を施した。上記で作製した第2光吸収異方性層(1)に、上記水系接着剤を介してニップロールで、保護フィルムのコロナ処理面を貼り合わせた。得られた貼合物に張力をかけながら、温度60℃で2分間乾燥して偏光板(4)を得た。偏光板(4)は、基材層(3)(COPフィルム/HC層)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)の層構造を有する。基材層(3)のCOPフィルムは紫外線吸収剤を含むフィルムである。偏光板(4)の第2光吸収異方性層(1)面を入射面として分光光度計(V7100、日本分光製)にて、偏光板(4)の光学特性の測定を行ったところ、偏光板の視感度補正単体透過率は42.1%、視感度補正偏光度は99.991%であった。
[第1位相差層の準備]
(第1位相差層(1)の作製)
下記に示す構造を有する光配向性材料5部(重量平均分子量:30000)とシクロペンタノン(溶媒)95部とを混合し、得られた混合物を温度80℃で1時間撹拌することにより、水平配向層形成用組成物を調製した。
Figure 2024031796000009
下記に示す構造を有する重合性液晶化合物(1)及び重合性液晶化合物(2)を、それぞれ調製した。重合性液晶化合物(1)は、特開2010-31223号公報に記載の方法に準じて製造した。重合性液晶化合物(2)は、特開2009-173893号公報に記載の方法に準じて製造した。
重合性液晶化合物(1):
Figure 2024031796000010

重合性液晶化合物(2):
Figure 2024031796000011
テトラヒドロフラン50mLに重合性液晶化合物(1)1mgを溶解させて溶液を得た。得られた溶液を光路長1cmの測定用セルに測定用試料を入れ、測定用試料を紫外可視分光光度計(UV-2450、株式会社島津製作所製)にセットして吸収スペクトルを測定し、得られた吸収スペクトルから極大吸収度となる波長を読み取ったところ、波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは350nmであった。
重合性液晶化合物(1)及び重合性液晶化合物(2)を質量比90:10で混合し、混合物を得た。得られた混合物100部に対して、レベリング剤(BYK-361N、BM
Chemie社製)0.1部と、光重合開始剤として2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア(登録商標)369(Irg369)、BASFジャパン株式会社製)6部とを添加した。さらに、固形分濃度が13%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加した。この混合物を温度80℃で1時間撹拌することにより、液晶膜形成用の第3組成物(1)を調製した。
基材層(6)にコロナ処理を施した後、上記で調製した水平配向層形成用組成物をバーコーターを用いて塗布し、温度80℃で1分間乾燥し、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP-9、ウシオ電機株式会社製)を用いて、波長313nmにおける積算光量:100mJ/cmで偏光UV露光を行い、水平配向層を形成した。水平配向層の厚みをエリプソメータで測定したところ、200nmであった。
続いて、水平配向層上にバーコーターを用いて、上記で調製した第3組成物(1)を塗布し、温度120℃で60秒間加熱した後、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB-15201BY-A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、第3組成物(1)を塗布した面から紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:500mJ/cm)することにより、重合性液晶化合物の硬化物層である液晶膜(液晶硬化膜)を形成し、水平配向層及び液晶硬化膜の層構造を有する第1位相差層(1)を形成した。これにより、基材層(6)/第1位相差層(1)(水平配向層/液晶硬化膜)の層構造を有する基材付き第1位相差層を得た。
基材層(6)が位相差を有していないことを確認した後、位相差測定装置(KOBRA-WPR、王子計測機器株式会社製)を用いて、基材付き第1位相差層の波長450nm及び波長550nmにおける面内位相差値を測定し、第1位相差層の波長450nm及び波長550nmにおける面内位相差値ReA(450)及びReA(550)を算出した。その結果、第1位相差層のReA(550)は142nmであり、ReA(450)/ReA(550)は0.85であった。
(第1位相差層(2)の作製)
ガラス転移温度(Tg)が125℃であるノルボルネン系樹脂製の未延伸フィルムを、温度128℃の雰囲気下で横一軸延伸し、第1位相差層(2)としての延伸フィルムを得た。一軸延伸は、テンター式延伸機を用いて行った。
位相差測定装置(KOBRA-WPR、王子計測機器株式会社製)を用いて、第1位相差層(2)の面内位相差値ReA(450)及びReA(550)を測定したところ、面内位相差Re(550)は140nmであり、面内位相差Re(450)は142nmであり、ReA(450)/ReA(550)は1.01であった。第1位相差層(2)の遅相軸の方向は、延伸フィルムの延伸方向に平行な方向であった。
[第2位相差層の準備]
Paliocolor LC242(重合性液晶化合物、BASF社製)100部に対して、レベリング剤としてF-556を0.1部、及び重合開始剤としてイルガキュア369を3部添加した。固形分濃度が13%となるようにシクロペンタノンを添加して、第3組成物(2)を得た。
基材層(6)を四角形に切り出し、コロナ処理装置(AGF-B10、春日電機株式会社製)を用いて出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回コロナ処理を施した。基材層(6)のコロナ処理面にバーコーターを用いて第3組成物(2)を塗布した後、温度100℃に設定した乾燥オーブンで1分間乾燥した。次いで、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB-15201BY-A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:500mJ/cm)することにより、重合性液晶化合物が塗膜平面に対して垂直配向した第2位相差層を形成した。これにより、基材層(6)/第2位相差層の層構造を有する基材付き第2位相差層を得た。
第2位相差層における重合性液晶化合物の配向状態を確認するため、基材層(6)に位相差がないことを確認した後、位相差測定装置(KOBRA-WPR、王子計測機器株式会社製)を用いて、第2位相差層の厚み方向の位相差値Rthを測定した。測定においては、第2位相差層への光の入射角を変化させて、正面位相差値、及び進相軸を中心に40°傾斜させたときの位相差値を測定した。各波長における平均屈折率は、日本分光社製のエリプソメータM-220を用いて測定した。また、垂直配向位相差層の塗布膜の厚みは、Optical NanoGauge膜厚計C12562-01(浜松ホトニクス社製)を使用して測定した。
上記測定した正面位相差値、進相軸を中心に40°傾斜させたときの位相差値、平均屈折率、第2位相差層の厚みの値から、王子計測機器技術資料(https://oji-keisoku.co.jp/support/download/index.php)を参考に3次元屈折率を算出した。得られた3次元屈折率から、下記式にしたがって、第2位相差層の波長λ[nm]における厚み方向の位相差値Rth(λ)を算出した。
Rth(λ)
=((nx(λ)+ny(λ))/2-nz(λ))×d2
[式中、
nx(λ)は、第2位相差層の面内における波長λnmでの主屈折率を表す。
ny(λ)は、nx(λ)と同一面内で、nx(λ)に対して直交する方向の波長λ[nm]での屈折率を表す。
nz(λ)は、第2位相差層の厚み方向における波長λ[nm]での屈折率を表し、
nx(λ)=ny(λ)である場合、nx(λ)は、第2位相差層の面内での任意の方向の屈折率とすることができる。
d2は、第2位相差層の厚みを表す。]
その結果、第2位相差層のRth(550)は-70nmであり、RthC(450)/RthC(550)は1.10であった。
[粘着剤層(1)の準備]
粘着剤層(1)として、厚み20μmのアクリル系感圧式粘着剤(リンテック社製)を準備した。
[粘着剤層(2)の準備]
特開2017-120430号公報の製造例6の記載を参考にして、粘着剤組成物及び粘着剤シートを調製した。粘着剤シートは、セパレーターの離型処理面に式(UVA-04)で表される化合物を含む粘着剤層(2)を有するシートである。
〔実施例1〕
(第1組成物(1)の調製)
下記に示す成分を混合し、温度80℃で1時間撹拌することにより、第1組成物(1)を得た。
重合性液晶化合物(3):75部
重合性液晶化合物(4):25部
二色性色素(1):1部
重合開始剤(イルガキュア369、BASF社製):6部
重合性基を有する非液晶性化合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(6官能)):1.5部
レベリング剤(F-556、DIC社製):0.25部
溶剤(o-キシレン):300部
重合性液晶化合物(3)及び(4)は、下記に示す構造を有し、lub等、Recl.Trav.Chim.Pays-Bas、115、321-328(1996)記載の方法にしたがって合成した。
・重合性液晶化合物(3):
Figure 2024031796000012

・重合性液晶化合物(4):
Figure 2024031796000013
二色性色素(1)は、下記に示す構造を有する特開2013-101328号公報の実施例に記載のアゾ系色素を用いた。クロロホルム溶液中で測定した二色性色素(1)の極大吸収波長は、600nmであった。
・二色性色素(1):
Figure 2024031796000014
(基材付き第1光吸収異方性層(a)の作製)
上記で準備した基材層(1)を四角形に切り出し、コロナ処理装置(AGF-B10、春日電機株式会社製)を用いて出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回コロナ処理を施した。切り出した基材層(1)のコロナ処理面にバーコーターを用いて第1組成物(1)を塗布した後、温度100℃に設定した乾燥オーブンで1分間乾燥した。次いで、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB-15201BY-A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:500mJ/cm)することにより、重合性液晶化合物及び二色性色素が塗膜平面に対して垂直配向した第1光吸収異方性層(1)を形成した。これにより、基材層(1)/第1光吸収異方性層(1)の層構造を有する基材付き第1光吸収異方性層(a)を得た。
(積層体(1)の作製)
上記で準備した基材付き第1光吸収異方性層(a)、偏光板(1)、及び基材付き第1位相差層を用い、第1光吸収異方性層(1)及び偏光板(1)を構成する基材層(1)、及び、第1位相差層(1)(液晶硬化膜側の面)にコロナ処理を施し、これらを上記で準備した粘着剤層(1)を介して積層して積層体(1)を得た。積層体(1)は、基材層(1)(第1UV吸収層)/第1光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/基材層(1)(第2UV吸収層)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/基材層(6)の層構造を有する。積層体(1)において、第2光吸収異方性層の吸収軸と第1位相差層(1)の遅相軸とのなす角度は45°である。
〔実施例2〕
(基材付き第1光吸収異方性層(b)の作製)
基材層(1)に代えて基材層(5)を用い、基材層(5)のHC層側にコロナ処理を行い、このコロナ処理面に第1組成物(1)を塗布したこと以外は、基材付き第1光吸収異方性層(a)の作製の手順にしたがって、基材層(5)(UV-HC層/COPフィルム/HC層)/第1光吸収異方性層(1)の層構造を有する基材付き第1光吸収異方性層(b)を得た。
(積層体(2)の作製)
基材付き第1光吸収異方性層(a)に代えて、基材付き第1光吸収異方性層(b)を用いたこと以外は、積層体(1)の作製の手順にしたがって、積層体(2)を得た。積層体(2)は、基材層(5)(UV-HC層/COPフィルム/HC層)/第1光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/基材層(1)(第2UV吸収層)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/基材層(6)の層構造を有する。基材層(5)は、第1UV吸収層である。
〔実施例3〕
(積層体(3)の作製)
偏光板(1)に代えて偏光板(2)を用いたこと以外は、積層体(1)の作製の手順にしたがって、積層体(3)を得た。積層体(3)は、基材層(1)(第1UV吸収層)/第1光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/基材層(4)(UV-HC層/COPフィルム)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/基材層(6)の層構造を有する。基材層(4)は、第2UV吸収層である。
〔実施例4〕
(積層体(4)の作製)
基材付き第1位相差層に代えて第1位相差層(2)を用いたこと以外は、積層体(3)の作製の手順にしたがって、積層体(4)を得た。積層体(4)は、基材層(1)(第1UV吸収層)/第1光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/基材層(4)(UV-HC層/COPフィルム)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(2)の層構造を有する。基材層(4)は、第2UV吸収層である。
〔実施例5〕
(基材付き第1光吸収異方性層(c)の作製)
基材層(1)に代えて基材層(3)を用い、基材層(3)のHC層側にコロナ処理を行い、このコロナ処理面に第1組成物(1)を塗布したこと以外は、基材付き第1光吸収異方性層(a)の作製の手順にしたがって、基材層(3)(COPフィルム/HC層)/第1光吸収異方性層(1)の層構造を有する基材付き第1光吸収異方性層(c)を得た。
(積層体(5)の作製)
基材付き第1光吸収異方性層(a)に代えて、基材付き第1光吸収異方性層(c)を用いたこと以外は、積層体(3)の作製の手順にしたがって、積層体(5)を得た。積層体(5)は、基材層(3)(COPフィルム/HC層)/第1光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/基材層(4)(UV-HC層/COPフィルム)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/基材層(6)の層構造を有する。基材層(3)は、第1UV吸収層であり、基材層(4)は、第2UV吸収層である。
〔実施例6〕
(積層体(6)の作製)
上記した手順で作製した積層体(5)から、基材層(6)を剥離し、上記で準備した粘着剤層(1)を介して、基材付き第2位相差層の第2位相差層側を貼合し、積層体(6)を得た。積層体(6)は、基材層(3)(COPフィルム/HC層)/第1光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/基材層(4)(UV-HC層/COPフィルム)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/粘着剤層(1)/第2位相差層/基材層(6)の層構造を有する。基材層(4)は、第2UV吸収層である。
〔実施例7〕
基材付き第1光吸収異方性層(c)に代えて、基材付き第1光吸収異方性層(b)を用いたこと以外は、積層体(6)の作製の手順にしたがって、積層体(7)を得た。積層体(7)は、基材層(5)(UV-HC層/COPフィルム/HC層)/第1光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/基材層(4)(UV-HC層/COPフィルム)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/粘着剤層(1)/第2位相差層/基材層(6)の層構造を有する。基材層(5)は、第1UV吸収層であり、基材層(4)は、第2UV吸収層である。
〔実施例8〕
(第1組成物(2)の調製)
下記に示す成分を混合し、温度80℃で1時間撹拌することにより、第1組成物(2)を得た。
重合性液晶化合物(3):75部
重合性液晶化合物(4):25部
二色性色素(1):1部
二色性色素(2):1部
重合開始剤(イルガキュア369、BASF社製):6部
重合性基を有する非液晶性化合物(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(6官能)):1.5部
レベリング剤(F-556、DIC社製):0.25部
溶剤(o-キシレン):300部
二色性色素(2)は、下記に示す構造を有する特開2013-101328号公報の実施例に記載のアゾ系色素を用いた。クロロホルム溶液中で測定した二色性色素(2)の極大吸収波長は、488nmであった。
・二色性色素(2):
Figure 2024031796000015
(基材付き第1光吸収異方性層(d)の作製)
基材層(1)に代えて基材層(3)を用い、第1組成物(1)に代えて第1組成物(2)を用い、基材層(3)のHC層側にコロナ処理を行い、このコロナ処理面に第1組成物(2)を塗布したこと以外は、基材付き第1光吸収異方性層(1)の作製の手順にしたがって、基材層(3)(COPフィルム/HC層)/第1光吸収異方性層(2)の層構造を有する基材付き第1光吸収異方性層(d)を得た。
(積層体(8)の作製)
基材付き第1光吸収異方性層(b)に代えて、基材付き第1光吸収異方性層(d)を用いたこと以外は、積層体(7)の作製の手順にしたがって、積層体(8)を得た。積層体(8)は、基材層(3)(COPフィルム/HC層)/第1光吸収異方性層(2)/粘着剤層(1)/基材層(4)(UV-HC層/COPフィルム)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/粘着剤層(1)/第2位相差層/基材層(6)の層構造を有する。基材層(3)は、第1UV吸収層であり、基材層(4)は、第2UV吸収層である。
〔実施例9〕
基材付き第1光吸収異方性層(a)の第1光吸収異方性層(1)と、偏光板(1)の基材層(1)とを、粘着剤層(2)を用いて貼合したこと以外は、積層体(1)の作製の手順にしたがって、積層体(9)を作製した。積層体(9)は、基材層(1)(第1UV吸収層)/第1光吸収異方性層(1)/粘着剤層(2)/基材層(1)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/基材層(6)の層構造を有する。基材層(1)は、第1UV吸収層であり、粘着剤層(2)及び基材層(1)が、第2UV吸収層である。
〔実施例10〕
(基材付き第1光吸収異方性層(e)の作製)
基材層(1)に代えて基材層(5)を用い、第1組成物(1)に代えて第1組成物(2)を用い、基材層(5)のHC層側にコロナ処理を行い、このコロナ処理面に第1組成物(2)を塗布したこと以外は、基材付き第1光吸収異方性層(a)の作製の手順にしたがって、基材層(5)(UV-HC層/COPフィルム/HC層)/第1光吸収異方性層(2)の層構造を有する基材付き第1光吸収異方性層(e)を得た。
基材付き第1光吸収異方性層(b)に代えて基材付き第1光吸収異方性層(e)を用い、偏光板(2)に代えて偏光板(4)を用いたこと以外は、積層体(7)の作製の手順にしたがって、積層体(10)を作製した。積層体(10)は、基材層(5)(UV-HC層/COPフィルム/HC層)/第1光吸収異方性層(2)/粘着剤層(1)/基材層(3)(COPフィルム/HC層)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/粘着剤層(1)/第2位相差層/基材層(6)の層構造を有する。基材層(5)は、第1UV吸収層であり、基材層(3)は、第2UV吸収層である。
〔比較例1〕
(配向層形成用組成物の調製)
配向性ポリマーのサンエバー(登録商標)SE-610(日産化学工業社製)0.3部(固形分濃度1.0%)に、プロピレングリコールモノメチルエーテル27.7部を加えて、配向層形成用組成物を得た。配向性ポリマーの固形分濃度は、固形分量を納品仕様書に記載の濃度から換算した。
(第1組成物(3)の調製)
下記に示す成分を混合し、温度80℃で1時間撹拌することにより、第1組成物(3)を得た。
重合性液晶化合物(3):75部
重合性液晶化合物(4):25部
二色性色素(1):2.8部
重合開始剤(イルガキュア369、BASF社製):6部
レベリング剤(BYK-361N(ポリアクリレート化合物)、BYK-Chemie社製)):0.3部
溶剤(o-キシレン):300部
(基材付き第1光吸収異方性層(f)の作製)
基材層(2)を四角形に切り出し、コロナ処理装置(AGF-B10、春日電機株式会社製)を用いて出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回コロナ処理を施した。基材層(2)のコロナ処理面にバーコーターを用いて配向層形成用組成物を塗布した後、温度120℃に設定した乾燥オーブンで1分間乾燥し、配向層を得た。得られた配向層上に、さらにバーコーターを用いて、第1組成物(3)を塗布した後、温度100℃に設定した乾燥オーブンで1分間乾燥した。次いで、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB-15201BY-A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm)することにより、重合性液晶化合物及び二色性色素が塗膜平面に対して垂直配向した第1光吸収異方性層(3)を形成した。これにより、基材層(2)/配向層/第1光吸収異方性層(3)の層構造を有する基材付き光吸収異方性層(f)を得た。
(積層体(11)の作製)
上記で準備した基材付き第1光吸収異方性層(f)、偏光板(1)、及び基材付き第1位相差層を用い、第1光吸収異方性層(3)及び第1位相差層(1)(液晶硬化膜側の面)にコロナ処理を施して、これらを上記で準備した粘着剤層(1)を介して積層して積層体(11)を得た。積層体(11)は、基材層(2)/配向層/第1光吸収異方性層(3)/粘着剤層(1)/基材層(1)(第2UV吸収層)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/基材層(6)の層構造を有する。積層体(11)において、第2光吸収異方性層の吸収軸と第1位相差層(1)の遅相軸とのなす角度は45°である。
〔比較例2〕
(基材付き第1光吸収異方性層(g)の作製)
第1組成物(3)に代えて第1組成物(1)を用いたこと以外は、基材付き第1光吸収異方性層(f)の作製の手順にしたがって、基材層(2)/配向層/光吸収異方性層(1)の層構造を有する基材付き第1光吸収異方性層(g)を作製した。
(積層体(10)の作製)
基材付き第1光吸収異方性層(f)に代えて上記で準備した基材付き第1光吸収異方性層(g)を用い、偏光板(1)に代えて偏光板(3)を用いたこと以外は、積層体(11)の作製の手順にしたがって、積層体(12)を得た。積層体(12)は、基材層(2)/配向層/第1光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/基材層(6)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/基材層(6)の層構造を有する。
〔比較例3〕
偏光板(3)に代えて偏光板(1)を用いたこと以外は、積層体(12)の作製の手順にしたがって、積層体(13)を得た。積層体(13)は、基材層(2)/配向層/第1光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/基材層(1)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/基材層(6)の層構造を有する。
〔比較例4〕
基材付き第1光吸収異方性層(g)に代えて上記で準備した基材付き第1光吸収異方性層(a)を用いたこと以外は、積層体(12)の作製の手順にしたがって、積層体(14)を得た。積層体(14)は、基材層(1)/第1光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/基材層(6)/接着剤層/第2光吸収異方性層(1)/粘着剤層(1)/第1位相差層(1)(液晶硬化膜/水平配向層)/基材層(6)の層構造を有する。
[重合性液晶化合物の相転移温度の測定]
配向層を形成したガラス基板上で重合性液晶化合物を加熱しながら、偏光顕微鏡(BX-51、オリンパス社製)によるテクスチャー観察によって相転移温度を確認した。
重合性液晶化合物(3)は、昇温時において、温度95℃で結晶相からスメクチックA相を呈し、温度111℃でネマチック相に相転移し、温度113℃で等方性液体相へ相転移した。降温時において、温度112℃でネマチック相に相転移し、温度110℃でスメクチックA相に相転移し、温度94℃でスメクチックB相へ相転移したことを確認した。
重合性液晶化合物(4)は、昇温時において、温度81℃で結晶相からスメクチックA相を呈し、温度121℃でネマチック相に転移し、温度137℃で等方性液体相へ相転移した。降温時において、温度133℃でネマチック相に相転移し、温度118℃でスメクチックA相に相転移し、温度78℃でスメクチックB相へ相転移したことを確認した。
参考として、同様にしてBASF社製サーモトロピック性ネマチック液晶LC242、及び、重合性液晶化合物(1)のテクスチャー観察を行った。これらは、ネマチック相のみを示し、明確なスメクチック相を示さなかった。
[第1光吸収異方性層の吸光度の測定]
(第1光吸収異方性層の準備)
基材層(1)に代えて基材層(6)を用いたこと以外は、基材付き第1光吸収異方性層(a)の作製の手順にしたがって、基材層(6)上に第1光吸収異方性層(1)を形成した。基材層(6)上の第1光吸収異方性層(1)側の面を、上記で準備した粘着剤層を介して、大きさが4cm×4cmであり、厚みが0.7mmのガラスに貼合して、測定サンプル(1)を作製した。第1組成物(1)に代えて第1組成物(2)及び(3)を用いたこと以外は、測定サンプル(1)の作製と同様にして、測定サンプル(2)及び(3)を作製した。
(吸光度の測定)
上記で作製した測定サンプルを紫外可視分光光度計(UV-2450、島津製作所社製)にセットして吸光度を測定し、波長410nmから波長780nmまでの範囲における極大吸収波長(λmax)での吸光度Ax、Ay、Ax(z=30°)、Ax(z=60°)、Ay(z=30°)、及びAy(z=60°)を測定した。測定にあたり、測定サンプルを上記紫外可視分光光度計にセットし、波長800nmの吸光度がゼロとなるように補正した後、Axを測定した。Ax(z=30°)、Ax(z=60°)、Ay(z=30°)、及びAy(z=60°)についても、同様に測定サンプル30°又は60°に傾斜させた状態でセットし、波長800nmの吸光度がゼロとなるように補正した後に測定した。Ax及びAx(z=60°)は、上記式(3)及び式(7)で説明したとおりである。また、Ay、Ax(z=30°)、Ay(z=30°)、及びAy(z=60°)については、式(2)の吸光度Azを見積もる方法について説明したとおりである。結果を表1~表3に示す。
上記式(2)の関係の充足性は、次の手順で判断した。
y軸を含むように測定サンプルを30°及び60°回転させた状態で、Axを測定したときと同一の直線偏光を入射することによりAx(z=30°)及びAx(z=60°)を測定し、同様に、x軸を含むように測定サンプルを30°及び60°回転させた状態で、Ayを測定したときと同一の直線偏光を入射することによりAy(z=30°)及びAy(z=60°)を測定した。
x-y平面に吸収異方性がない場合、すなわちAx及びAyが等しい場合においては、Ax(z=30°)=Ay(z=30°)かつAx(z=60°)=Ay(z=60°)であるから、Ax(z=30°)及びAy(z=30°)をA(z=30°)とし、Ax(z=60°)及びAy(z=60°)をA(z=60)とし、Ax(z=90°)及びAy(z=90°)をA(z=90)とした。
A(z=30°)<A(z=60°)の関係にある場合、A(z=30°)<A(z=60°)<A(z=90°)=Azの関係を満たすため、A(z=30°)>(Ax+Ay)/2又はA(z=60°)>(Ax+Ay)/2であれば、上記式(2)の関係を充足すると判断した。
[第1光吸収異方性層の厚みの測定]
第1光吸収異方性層の厚みを、エリプソメータ(日本分光社製M-220)で測定した。結果を表1~表3に示す。
[透過率測定]
分光光度計(UV-2450、島津製作所株式会社製)を用いて、測定対象のフィルム面に対して法線方向から入射することにより、透過スペクトルを測定した。粘着剤層(2)については、基材層に貼り合わせ、一体品として測定を実施した。透過スペクトルの測定は、波長380nmから波長780nmの範囲の光を2nmステップで行った。得られた透過スペクトルから透過率を決定した。結果を表1~表3に示す。
[積層体の外観評価(1)]
(初期の積層体の外観評価(1))
上記で作製した積層体の基材層(6)を剥離し、上記で準備した粘着剤層(1)を介して厚み0.7mmの無アルカリガラスに貼り合わせて評価用サンプルとした。SAMSUNG社製「GalaxyS5」から前面ガラス及び偏光板を除去して、表示装置を取り出した。取り出した表示装置に、第2光吸収異方性層よりも第1光吸収異方性層側が視認側となるように、評価用サンプルを水を介して載せた。その後、表示装置の電源をONにし、輝度を最大とした上でブルーライトカット機能やカラーバランス変更等の画面表示色を変更する設定をすべてOFFにし、白画面を表示した状態で(HTMLのカラーコード#FFFFFFを表示した状態)、白表示時の正面からの色相、斜め方向からの色相を確認し、その際の各方向での色相及び色相差について、下記に示す評価基準で評価し、これを初期の評価とした。結果を表1~表3に示す。
<評価基準>
A:色相差をほとんど感じない。
B:正面からの色味又は斜め方向からの色味をわずかに感じるものの、正面と斜め方向との間の色相差はほとんど感じない。
C:正面からの色味又は斜め方向からの色味をやや感じるものの、正面と斜め方向との間の色相差はあまり感じない。
D:色相差を感じる。
E:色相差を強く感じる。
(耐光性試験後の積層体の外観評価(1))
上記の評価用サンプルを適用した表示装置を、第2光吸収異方性層よりも第1光吸収異方性層側が上になるようにして、耐光性試験機(サンテストXLS+、ATLAS製)に投入し、積算光量が288400kJ/mとなる条件で光照射を行って耐光性試験を行った。耐光性試験後の表示装置について、初期の積層体の外観評価(1)で説明した手順で、白表示時の正面からの色相、斜め方向からの色相を確認し、その際の各方向での色相及び色相差について、下記に示す評価基準で評価し、これを耐光性試験後の評価とした。結果を表1~表3に示す。
<評価基準>
A:色相差をほとんど感じない。
B:正面からの色味又は斜め方向からの色味をわずかに感じるものの、正面と斜め方向との間の色相差はほとんど感じない。
C:正面からの色味又は斜め方向からの色味の初期からの変化をやや感じるものの、正面と斜め方向との間の色相差はあまり感じない。
D:色相差を感じ、かつ、初期の色味との差を感じる。
E:色相差を強く感じ、かつ、初期の色味との差を強く感じる。
[積層体の外観評価(2)]
(初期の積層体の外観評価(2))
上記で作製した積層体の基材層(6)を剥離し、上記で準備した粘着剤層(1)を介して厚み0.7mmの無アルカリガラスに貼り合わせて評価用サンプルとした。SAMSUNG社製「GalaxyS5」から前面ガラス及び偏光板を除去して、表示装置を取り出した。取り出した表示装置に、第2光吸収異方性層よりも第1光吸収異方性層側が視認側となるように、評価用サンプルを水を介して載せた。その後、表示装置の電源をOFFにした状態(黒表示時)で、正面方向及び斜め方向から視認した際の反射色相の色味を確認し、下記に示す評価基準で評価し、これを初期の評価とした。結果を表1~表3に示す。
<評価基準>
A:色味をほとんど感じない。
B:わずかに色味を感じる。
C:色味を感じる。
D:色味を強く感じる。
(耐光性試験後の積層体の外観評価(2))
上記の評価用サンプルを適用した表示装置を、第2光吸収異方性層よりも第1光吸収異方性層側が上になるようにして、耐光性試験機(サンテストXLS+、ATLAS製)に投入し、積算光量が288400kJ/mとなる条件で光照射を行って耐光性試験を行った。耐光性試験後の表示装置について、初期の積層体の外観評価(2)で説明した手順で、反射色相の色味を確認し、下記に示す評価基準で評価し、これを耐光性試験後の評価とした。結果を表1~表3に示す。
A:色味をほとんど感じない。
B:わずかに色味を感じる。
C:色味を感じる。
D:色味を強く感じ、初期の反射色相との差も感じる。
Figure 2024031796000016
Figure 2024031796000017
Figure 2024031796000018
1,2 積層体、11 第1光吸収異方性層、12 第2光吸収異方性層、13 位相差体、21 第1紫外線吸収層(第1UV吸収層)、22 第2紫外線吸収層(第2UV吸収層)。

Claims (10)

  1. 第1紫外線吸収層、第1光吸収異方性層、第2紫外線吸収層、及び第2光吸収異方性層をこの順に有する積層体であって、
    前記第1光吸収異方性層は、1種以上の二色性色素と液晶性化合物とを含む組成物から形成され、
    前記第2光吸収異方性層は、その平面に対して水平方向に吸収軸を有し、
    前記第1紫外線吸収層及び前記第2紫外線吸収層はいずれも、下記式(1)の関係を満たし、
    前記第1光吸収異方性層は、下記式(2)の関係を満たす、積層体。
    T(380)≦20 (1)
    Az>(Ax+Ay)/2 (2)
    [式(1)中、T(380)は、波長380nmにおける透過率[%]を表す。
    式(2)中、Ax、Ay、及びAzは、前記第1光吸収異方性層の波長410nm以上780nm以下の範囲における吸収極大波長の吸光度であって、それぞれx軸方向、y軸方向、及びz軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。
    ここで、前記x軸は、前記第1光吸収異方性層の面内において前記第2光吸収異方性層の吸収軸方向に平行な方向であり、
    前記y軸は、前記第1光吸収異方性層の面内において前記x軸に直交する方向であり、
    前記z軸は、前記x軸及び前記y軸に直交する方向である。]
  2. 前記第1紫外線吸収層及び前記第2紫外線吸収層のうちの少なくとも一方は、下記式(3)の関係を満たす、請求項1に記載の積層体。
    T(410)≦20 (3)
    [式(3)中、T(410)は、波長410nmにおける透過率[%]を表す。]
  3. 前記第2紫外線吸収層は、前記式(3)の関係を満たす、請求項2に記載の積層体。
  4. 前記液晶性化合物は、スメクチック液晶相を形成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. さらに、前記第2光吸収異方性層の前記第2紫外線吸収層側とは反対側に、下記式(4)及び式(5)の関係を満たす位相差層を有し、
    前記位相差層は、重合性液晶化合物の硬化物層である、請求項1又は2に記載の積層体。
    120nm≦ReA(550)≦160nm (4)
    ReA(450)/ReA(550)≦1.0 (5)
    [式(4)及び式(5)中、ReA(λ)は、波長λ[nm]における前記位相差層の面内位相差値を表す。]
  6. 前記位相差層は、下記式(6)の関係を満たす、請求項5に記載の積層体。
    TA(380)≦20 (6)
    [式(6)中、TA(380)は、前記位相差層の波長380nmにおける透過率[%]を表す。]
  7. 前記二色性色素は、アゾ化合物である、請求項1又は2に記載の積層体。
  8. 前記第1光吸収異方性層は、下記式(7)及び式(8)の関係を満たす、請求項1又は2に記載の積層体。
    Ax(z=60°)/Ax≧5 (7)
    Ay(z=60°)/Ay≧5 (8)
    [式(7)中、Ax(z=60°)は、前記第1光吸収異方性層の前記吸収極大波長の吸光度であって、前記y軸を回転軸として、前記第1光吸収異方性層を60°回転させたときの前記x軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。
    式(8)中、Ay(z=60°)は、前記第1光吸収異方性層の前記吸収極大波長の吸光度であって、前記x軸を回転軸として、前記第1光吸収異方性層を60°回転させたときの前記y軸方向に振動する直線偏光の吸光度を表す。]
  9. 前記第2紫外線吸収層は、下記式(9)の関係を満たす、請求項1又は2に記載の積層体。
    80nm≦ReB(550)≦160nm (9)
    [式(9)中、ReB(550)は、波長550nmにおける前記第2紫外線吸収層の面内位相差値を表す。]
  10. 請求項1又は2に記載の積層体が粘着剤層を介して表示素子に積層されている、有機EL表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20210043874A1 (en) * 2018-04-17 2021-02-11 Lg Chem, Ltd. Oval polarizing plate and organic light emitting device

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