JP7361849B1 - 偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 0007361849000001
【課題】液晶化合物の硬化物を含む位相差層を複数有する位相差板を備えた偏光板であって、外力に対する耐久性に優れた偏光板を提供する。
【解決手段】直線偏光板と、第1貼合層と、位相差板と、がこの順に積層されてなる偏光板であって、前記位相差板は、第1位相差層と第2位相差層とを有し、前記第1位相差層及び前記第2位相差層は液晶化合物の硬化物を含み、前記第1位相差層と前記第2位相差層との間の剥離強度が1.0N/25mm以下であり、前記第1貼合層は、温度23℃での引張貯蔵弾性率が10MPa以下である粘接着剤からなる、偏光板。
【選択図】図1

Description

本発明は偏光板及び画像表示装置に関する。
従来、画像表示装置において、画像表示パネルの視認側に円偏光板を配置して、外来光の反射による視認性の低下を抑制する方法が採用されている。
円偏光板は、直線偏光板と位相差板とが積層された構成である。円偏光板では、画像表示パネルに向かう外来光を直線偏光板により直線偏光に変換し、続く位相差板により円偏光に変換する。円偏光である外来光は、画像表示パネルの表面で反射するものの、この反射の際に偏光面の回転方向が逆転し、位相差板により直線偏光に変換された後、続く直線偏光板により遮光される。その結果、外部への外来光の出射が著しく抑制される。
位相差板においては、液晶化合物の硬化物を含む位相差層を有する構成が知られている(例えば、特許文献1、2)。かかる構成によると、位相差板の薄型化を図ることができる。
特開2015-163935号公報 特開2019-91030号公報
液晶化合物の硬化物を含む位相差層を複数有する位相差板においては、薄型化を優先すると外力に対する耐久性が低下し、例えば、位相差層間に剥離が生じる等の不具合が生じることがあった。
本発明は、液晶化合物の硬化物を含む位相差層を複数有する位相差板を備えた偏光板であって、外力に対する耐久性に優れた偏光板を提供することを目的とする。
本発明は、以下の偏光板を提供する。
〔1〕 直線偏光板と、第1貼合層と、位相差板と、がこの順に積層されてなる円偏光板であって、
前記位相差板は、
第1位相差層と第2位相差層とを有し、
前記第1位相差層及び前記第2位相差層は液晶化合物の硬化物を含み、
前記第1位相差層と前記第2位相差層との間の剥離強度が1.0N/25mm以下であり、
前記第1貼合層は、温度23℃での引張貯蔵弾性率が10MPa以下である粘接着剤からなる、偏光板。
〔2〕 前記位相差板は、前記第1位相差層と前記第2位相差層との間に、配向膜のみを有する、または介在する他の層を有しない、〔1〕に記載の偏光板。
〔3〕 前記直線偏光板は偏光子を有し、
前記偏光子は、厚みが15μm以下である、〔1〕または〔2〕に記載の偏光板。
〔4〕 前記直線偏光板は前記偏光子の前記第1貼合層とは反対側の表面に設けられた保護フィルムを有し、
前記保護フィルムは、厚みが30μm以下である、〔3〕に記載の偏光板。
〔5〕 前記第1位相差層は、逆分散性のλ/4層である、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の偏光板。
〔6〕 前記第2位相差層は、ポジティブCプレートである、〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の偏光板。
本発明によると、外力に対する耐久性に優れた偏光板を提供することができる。
本実施形態の偏光板の一例を模式的に示す概略断面図である。 位相差板の具体例を模式的に示す概略断面図である。 位相差板の具体例を模式的に示す概略断面図である。 本実施形態の画像表示装置の一例を模式的に示す概略断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下のすべての図面においては、各構成要素を理解しやすくするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
[偏光板]
図1は、本実施形態の偏光板の一例を模式的に示す概略断面図である。図1に示すように、偏光板1は、前面側から、直線偏光板10と、第1貼合層21と、位相差板30と、がこの順に積層されている。位相差板30は、第1位相差層31と、第2位相差層32と、を有する。偏光板1は、円偏光板であってもよい。本明細書において、偏光板という用語は、円偏光板も包含する。
位相差板30は、第1位相差層31と第2位相差層32との間の剥離強度が1.0N/25mm以下であり、0.8N/25mm以下であってもよい。剥離強度は、実施例に示す密着性評価1に記載の方法にしたがった方法により測定される値とする。なお、本発明は、保管環境や使用環境によって剥離強度が低下し、製造直後の剥離強度は1.0N/25mm超であったにもかかわらず、その後1.0N/25mm以下になった位相差板30をも含む。位相差板30の第1位相差層31と第2位相差層32との間の剥離強度は、好ましくは0.2N/25mm以上であり、より好ましくは0.4N/25mm以上である。保管環境や使用環境によって剥離強度が低下した後は、好ましくは0.1N/25mm以上であり、より好ましくは0.2N/25mm以上である。位相差板30において、第1位相差層31と第2位相差層32との間には、介在する他の層を有していても有していなくてもよく、いずれの場合であっても、第1位相差層31と第2位相差層32との間の剥離強度は、第1位相差層31と第2位相差層32とをその間で分離するために要する強度を意味する。
位相差板30において、第1位相差層31と第2位相差層32とが貼合層(以下、「第3貼合層」とする)を介して貼合されている場合には、第1位相差層31と第2位相差層32との剥離強度は、第3貼合層の貼合力に大きく依存する。第3貼合層の貼合力は、第3貼合層の材料に大きく依存し、第3貼合層の貼合力によって、第1位相差層31と第2位相差層32との間の剥離強度が1.0N/25mm以下となる場合がある。貼合力は、一般的に、接着剤の方が粘着剤より低く、第3貼合層が接着剤から形成されている場合に、第1位相差層31と第2位相差層32との間の剥離強度が1.0N/25mm以下となりやすい。位相差板30において、第1位相差層31と第2位相差層32とが、その間に介在する貼合層を有さずに積層されている場合には、第1位相差層31と第2位相差層32との剥離強度は一般的に低く、通常、1.0N/25mm以下である。位相差板30において、第1位相差層31と第2位相差層32とが、貼合層を有さずに積層されている構成としては、第1位相差層31と第2位相差層32との間に、配向膜のみを有する、または介在する他の層を有しない構成が挙げられる。第1位相差層31と第2位相差層32との間に介在する第3貼合層は、薄型化の観点からは粘着剤よりも接着剤であることが好ましく、さらなる薄型化の観点からは第3貼合層を有さずに積層されている構成が好ましい。
本発明者らは、第1位相差層31と第2位相差層32との間の剥離強度が低い位相差板を用いた偏光板は外力に対する耐久性が低いとの知見を得た。本発明者らは、さらに鋭意研究を重ね、第1位相差層31と第2位相差層32との間の剥離強度が1.0N/25mm以下の位相差板を用いた偏光板であっても、直線偏光板10と位相差板30との間に介在する第1貼合層21を、温度23℃での引張貯蔵弾性率が10MPa以下である粘接着剤からなるようにすることにより、外力に対する耐久性に優れた偏光板とすることができるとの知見を得て本発明に至った。第1貼合層21を形成する粘接着剤の温度23℃での引張貯蔵弾性率は、好ましくは8MPa以下であり、より好ましくは5MPa以下であり、さらに好ましくは1MPa以下であり、0.7MPa以下であってもよく、好ましくは0.02MPa以上であり、より好ましくは0.1MPa以上である。本発明に係る偏光板は外力に対する耐久性が高く、外力としては、実施例におけるクロスハッチ試験で付加される外力、落下により付加される外力、製造工程におけるプロテクトフィルムの剥離により付加される外力等が挙げられる。
ここで、貯蔵弾性率(動的弾性率)とは、一般的に用いられる粘弾性測定の用語を意味するものであるが、試料に時間によって変化(振動)する歪みまたは応力を与えて、それによって発生する応力または歪みを測定することにより、試料の力学的な性質を測定する方法(動的粘弾性測定)によって求められる値であり、歪みを応力と同位相の成分、及び位相が90度ずれた成分の2成分の波に分けたとき、振動応力と同位相にある弾性率である。貯蔵弾性率は応力の印加方法に応じて、応力の印加方法が引張方式の時には引張貯蔵弾性率と呼び、ずり方式の時にはずり貯蔵弾性率と呼ぶ。引張貯蔵弾性率とずり貯蔵弾性率との間には一般的に下式(10)の関係があり、変換可能である(書籍名「講座・レオロジー」(編者:日本レオロジー学会、発行者:西口守、発行所:(株)高分子刊行会)、15頁の式(1.12)参照)。
E=G×2×(1+ν) 式(10)
ここで、Eが引張貯蔵弾性率、Gがずり貯蔵弾性率、νがポアソン比である。
引張貯蔵弾性率は、市販の粘弾性測定装置、たとえば、後掲の実施例に示すようなアイティー計測制御(株)製の動的粘弾性測定装置「DVA-220」を用いて測定することができ、ずり貯蔵弾性率は、Anton Paar社製の粘弾性測定装置「MCR-301」等を用いて測定することができる。これらの粘弾性測定装置の温度制御には、循環恒温槽、電気ヒーター、ペルチェ素子等の種々公知の温度制御デバイスが用いられており、これによって測定時の温度を設定することができる。
[第1貼合層]
第1貼合層21は、直線偏光板10と位相差板30との貼合を担う層である。温度23℃において引張貯蔵弾性率が10MPa以下の粘接着剤としては、例えば、粘着剤、接着剤が挙げられる。第1貼合層21としては好ましくは粘着剤が用いられる。本発明者らは、第1貼合層21として、引張貯蔵弾性率が10MPa以下の粘接着剤を用いることにより、外力に対する耐久性を向上することができることを見出した。
第1貼合層21に用いられる具体的な粘着剤としては、たとえば、アクリル系ポリマーや、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとするもので構成することができる。なかでも、アクリル系ポリマーのように、光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を保持し、基材との接着性にも優れ、さらには耐候性や耐熱性などを有し、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等の剥離問題を生じないものを選択して用いることが好ましい。アクリル系ポリマーにおいては、メチル基やエチル基、ブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどからなる官能基含有アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上のアクリル系共重合体が、ベースポリマーとして有用である。
アクリル系ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系ベースポリマーや、これらの(メタ)アクリル酸エステルを2種類以上用いた共重合系ベースポリマーが好適に用いられる。また、これらのベースポリマーには、極性モノマーが共重合されていてもよい。極性モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、2-N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基などの極性官能基を有するモノマーを挙げることができる。
これらのアクリル系ポリマーは、単独でも粘着剤として使用可能であるが、粘着剤には通常、架橋剤が配合される。架橋剤としては、2価または多価金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの、ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの、ポリエポキシ化合物やポリオール化合物であって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの、ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものなどが例示される。なかでもポリイソシアネート化合物が、有機系架橋剤として広く使用されている。
本実施形態において、第1貼合層を形成する粘着剤の貯蔵弾性率を調整するための手段としては、特に制限されないが、たとえば、上述の粘着剤成分に、オリゴマー、具体的にはウレタンアクリレート系のオリゴマーを配合する方法を好適なものとして挙げることができる。さらに、このようなウレタンアクリレート系オリゴマーを配合した粘着剤にエネルギー線を照射して硬化させたものを用いてもよい。ウレタンアクリレート系オリゴマーが配合された粘着剤、あるいは、それを支持フィルム(セパレータ)上に塗工し紫外線硬化させたセパレータ付き粘着剤は、公知であり、粘着剤メーカーから入手できる。
粘着剤には、上記のベースポリマー、架橋剤およびオリゴマーのほか、必要に応じて、粘着剤の粘着力、凝集力、粘性、弾性率、ガラス転移温度などを調整するために、たとえば、天然物や合成物である樹脂類、粘着性付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、消泡剤、腐食抑制剤、光重合開始剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。紫外線吸収剤には、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがある。
粘着剤を第1貼合層21とする場合の厚みは、その接着力などに応じて決定されるが、通常は1~40μmの範囲である。粘着剤層の厚みは3~25μm又は20μm以下とするのが、良好な加工性を保ち、高い耐久性を示すことから、好適である。また、上記範囲の厚みであることにより、外力に対する耐久性をより向上させることができる。
第1貼合層21に用いられる具体的な接着剤としては、感圧型接着剤(粘着剤)以外の接着剤であって、例えば、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。
水系接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を水に溶解、又は分散させた接着剤が挙げられる。水系接着剤を用いた場合の乾燥方法については特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥機や赤外線乾燥機を用いて乾燥する方法が採用できる。
活性エネルギー線硬化型接着剤としては、例えば、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含む無溶剤型の活性エネルギー線硬化型接着剤が挙げられる。無溶剤型の活性エネルギー線硬化型接着剤を用いることにより、層間の密着性を向上させることができる。
活性エネルギー線硬化型接着剤としては、良好な接着性を示すことから、カチオン重合性の硬化性化合物、ラジカル重合性の硬化性化合物のいずれか一方又は両方を含むことが好ましい。活性エネルギー線硬化型接着剤は、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるための光カチオン重合開始剤等のカチオン重合開始剤、又はラジカル重合開始剤をさらに含むことができる。
カチオン重合性の硬化性化合物としては、例えば、脂環式環に結合したエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物、2個以上のエポキシ基を有し芳香環を有さない多官能脂肪族エポキシ化合物、エポキシ基を1つ有する単官能エポキシ基(但し、脂環式エポキシ化合物に含まれるものを除く)、2個以上のエポキシ基を有し芳香環を有する多官能芳香族エポキシ化合物等のエポキシ系化合物;分子内に1個又は2個以上のオキセタン環を有するオキセタン化合物;これらの組み合わせを挙げることができる。
ラジカル重合性の硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に1個又は2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)、ラジカル重合性の二重結合を有するその他のビニル系化合物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、必要に応じて、光増感助剤等の増感剤を含有することができる。増感剤を使用することにより、反応性が向上し、接着剤層の機械強度や接着強度をさらに向上させることができる。増感剤としては、公知のものを適宜適用することができる。増感剤を配合する場合、その配合量は、活性エネルギー線硬化型接着剤の総量100質量部に対し、0.1~20質量部の範囲とすることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、必要に応じて、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、溶媒等の添加剤を含有することができる。
活性エネルギー線硬化型接着剤を用いた場合は、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線を照射し、接着剤の塗布層を硬化させて接着剤層を形成することができる。活性エネルギー線としては、紫外線が好ましく、この場合の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等を用いることができる。
接着剤を第1貼合層21とする場合の厚みは、その接着力などに応じて決定されるが、通常は0.02~10μmの範囲である。接着剤層の厚みは1~4μmとするのが、外力に対する耐久性をより向上させることのできる観点から、好適である。
[直線偏光板]
直線偏光板10は、透過光より直線偏光を得る偏光機能を有するフィルムであればよい。当該フィルムとしては、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルム、又は吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムを偏光子として含むフィルム等が挙げられる。吸収異方性を有する色素としては、例えば、二色性色素が挙げられる。偏光子として用いられる、吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルム、あるいは、液晶性を有する二色性色素を含む組成物又は二色性色素と重合性液晶とを含む組成物を塗布して得られる液相層を有するフィルム等が挙げられる。
<延伸フィルムを偏光子として備える直線偏光板>
吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムを偏光子として備える直線偏光板について説明する。偏光子である、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムは、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、及び二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造される。かかる偏光子をそのまま直線偏光板として用いてもよく、またはかかる偏光子の少なくとも一方の面に透明保護フィルムを貼合したものを直線偏光板として用いてもよい。
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、ホウ酸処理、水洗及び乾燥をして得られる偏光子の厚みは好ましくは5~40μmであり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。
偏光子の片面又は両面に貼合される保護フィルムの材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような樹脂からなる酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなど、当分野において公知のフィルムを挙げることができる。保護フィルムの厚みは、薄型化の観点から、通常300μm以下であり、200μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、また、通常5μm以上であり、10μm以上であってもよい。保護フィルムの厚みが30μm以下、あるいは温度23℃での引張弾性率が2000MPa以上である場合、保護フィルムが外力に対する緩和層として機能しにくいため、外力に対する耐久性が低下し、位相差層間に剥離が生じる等の不具合が生じやすい。また、視認側の保護フィルムは位相差を有していてもよいし、位相差を有していなくてもよい。
保護フィルムは、偏光子の片面又は両面に、貼合層(以下、「第2貼合層」とする)を介して貼合することができる。
<液晶層を有するフィルムを偏光子として備える直線偏光板>
液晶層を有するフィルムを偏光子として備える直線偏光板について説明する。偏光子として用いられる、吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、液晶性を有する二色性色素を含む組成物、又は二色性色素と液晶化合物とを含む組成物を塗布して得られるフィルム等が挙げられる。当該フィルムは、単独で直線偏光板として用いてもよく、その片面又は両面に保護フィルムを有する構成で直線偏光板として用いてもよい。当該保護フィルムとしては、上記した延伸フィルムを偏光子として備える直線偏光板と同一のものが挙げられる。保護フィルムは、偏光子の片面又は両面に、第2貼合層を介して貼合することができる。
吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムは薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。当該フィルムの厚さは、通常20μm以下であり、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以上3μm以下である。
前記吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、具体的には、特開2013-33249号公報等に記載のフィルムが挙げられる。
直線偏光板の一態様として、直線偏光板の第1貼合層とは反対側の表面に保護フィルムが設けられた構成が挙げられる。
<最前面の層>
直線偏光板10は、最前面に反射防止層を備えていてもよい。反射防止層は、直線偏光板10の表面での外光の反射光が視認されるのを防止する機能を有するものであり、従来に準じた反射防止層等の形成方法、すなわちコート法、スパッタ法、真空蒸着法等により形成することができる。反射防止層は、直線偏光板10の前面側に設けられる保護フィルムの前面側に予め形成しておくことにより、かかる保護フィルムを用いて反射防止層付き直線偏光板を構成してもよいし、保護フィルムとは別に設けられてもよい。
直線偏光板10は、最前面に、反射防止層以外の表面処理層を有していてもよい。このような表面処理層としては、ハードコート層、スティッキング防止層、アンチグレア層、拡散層等が挙げられる。
[位相差板]
位相差板30は、第1位相差層31と第2位相差層32とを有し、第1位相差層31及び第2位相差層32は液晶化合物の硬化物を含み、第1位相差層31と第2位相差層32との間の剥離強度が1.0N/25mm以下であれば限定されない。位相差板30は、第3位相差層を有してもよい。第1位相差層、第2位相差層及び第3位相差層はそれぞれ2以上の層から成っていてもよい。
位相差板30は、式(1)及び式(2)で表される光学特性を有することが好ましい。位相差板30がかかる光学特性を有するためには、第1位相差層31、第2位相差層32若しくは第3位相差層が式(1)及び式(2)で表される光学特性を有するか、又は、第1位相差層31、第2位相差層32及び第3位相差層から選ばれる少なくとも2つを組み合わせることで式(1)及び式(2)で表される光学特性を発現すればよい。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (1)
1.00≦Re(650)/Re(550) (2)
本明細書において、Re(450)は波長450nmにおける面内位相差値を表し、Re(550)は波長550nmにおける面内位相差値を表し、Re(650)は波長650nmにおける面内位相差値を表す。
<位相差層>
位相差層としては、例えば、重合性液晶を重合させることにより形成される層及び延伸フィルムが挙げられる。位相差層の光学特性は重合性液晶の配向状態または延伸フィルムの延伸方法により調節することができる。重合性液晶を重合させることにより形成される層は、液晶化合物の硬化物を含む。位相差板30において、薄型化の観点から、少なくとも、第1位相差層31及び第2位相差層32は、液晶化合物の硬化物を含む層である。
(重合性液晶を重合させることにより形成される層)
本明細書においては、重合性液晶の光軸が基材平面に対して水平に配向したものを水平配向、重合性液晶の光軸が基材平面に対して垂直に配向したものを垂直配向と定義する。光軸とは、重合性液晶の配向により形成される屈折率楕円体において、光軸に直交する方向で切り出した断面が円となる方向、すなわち3方向の屈折率がすべて等しくなる方向を意味する。
重合性液晶としては、棒状の重合性液晶および円盤状の重合性液晶が挙げられる。棒状の重合性液晶が基材に対して水平配向または垂直配向した場合は、該重合性液晶の光軸は、該重合性液晶の長軸方向と一致する。円盤状の重合性液晶が配向した場合は、該重合性液晶の光軸は、該重合性液晶の円盤面に対して直交する方向に存在する。
延伸フィルムの遅相軸方向は延伸方法により異なり、一軸、二軸または斜め延伸等、その延伸方法に応じて遅相軸および光軸が決定される。
重合性液晶を重合させることにより形成される層が面内位相差を発現するためには、重合性液晶を適した方向に配向させればよい。重合性液晶が棒状の場合は、該重合性液晶の光軸を基材平面に対して水平に配向させることで面内位相差が発現する、この場合、光軸方向と遅相軸方向とは一致する。重合性液晶が円盤状の場合は、該重合性液晶の光軸を基材平面に対して水平に配向させることで面内位相差が発現する、この場合、光軸と遅相軸とは直交する。重合性液晶の配向状態は、配向膜と重合性液晶との組み合わせにより調整することができる。
位相差層の面内位相差値は、位相差層の厚みによって調整することができる。面内位相差値は式(11)によって決定されることから、所望の面内位相差値(Re(λ))を得るためには、Δn(λ)と膜厚dを調整すればよい。
Re(λ)=d×Δn(λ) (11)
式中、Re(λ)は、波長λnmにおける面内位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表わす。
複屈折率Δn(λ)は、面内位相差値を測定して、位相差層の厚みで除することで得られる。具体的な測定方法においては、ガラス基板のように基材自体に面内位相差が無いような基材上に製膜したものを測定することで、実質的な位相差層の特性を測定することができる。
本明細書では、重合性液晶の配向又はフィルムの延伸により形成される屈折率楕円体における3方向の屈折率を、nx、nyおよびnzとして表す。nxは、位相差層が形成する屈折率楕円体において、フィルム平面に対して平行な方向の主屈折率を表す。nyは、位相差層が形成する屈折率楕円体において、フィルム平面に対して平行であり、且つ、該nxの方向に対して直交する方向の屈折率を表す。nzは、位相差層が形成する屈折率楕円体において、フィルム平面に対して垂直な方向の屈折率を表す。
棒状の重合性液晶の光軸が、基材平面に対して水平に配向した場合、得られる位相差層の屈折率関係は、nx>ny≒nz(ポジティブAプレート)となり、屈折率楕円体におけるnxの方向の軸と遅相軸が一致する。
また、円盤状の重合性液晶の光軸が、基材平面に対して水平に配向した場合、得られる位相差層の屈折率関係は、nx<ny≒nz(ネガティブAプレート)となり、屈折率楕円体におけるnyの方向の軸と遅相軸が一致する。
重合性液晶を重合させることにより形成される層が厚み方向の位相差を発現するためには、重合性液晶を適した方向に配向させればよい。本明細書において、厚み方向の位相差を発現するとは、式(20)において、Rth(厚み方向の位相差値)が負となる特性を示すものと定義する。Rthは、面内の進相軸を傾斜軸として40度傾斜させて測定される位相差値(R40)と、面内の位相差値(Re)とから算出することができる。すなわち、Rthは、Re、R40、d(位相差層の厚み)、およびn0(位相差層の平均屈折率)から、以下の式(21)~(23)によりnx、ny及びnzを求め、これらを式(20)に代入することで算出することができる。
Rth=[(nx+ny)/2-nz]×d (20)
Re =(nx-ny)×d (21)
40=(nx-ny')×d/cos(φ) (22)
(nx+ny+nz)/3=n0 (23)
ここで、
φ=sin-1〔sin(40°)/n0〕
ny'=ny×nz/〔ny2×sin2(φ)+nz2×cos2(φ)〕1/2
また、nx、nyおよびnzは前述の定義と同じである。
重合性液晶が棒状の場合は、該重合性液晶の光軸を基材平面に対して垂直に配向させることで厚み方向の位相差が発現する。重合性液晶が円盤状の場合は、該重合性液晶の光軸を基材平面に対して水平に配向させることで厚み方向の位相差が発現する。円盤状の重合性液晶の場合は、該重合性液晶の光軸が基材平面に対して平行であるため、Reを決めると、厚みが固定されるため、一義的にRthが決定されるが、棒状の重合性液晶の場合は、該重合性液晶の光軸が基材平面に対して垂直であるため、位相差層の厚みを調節することでReを変化させることなくRthを調節することができる。
棒状の重合性液晶の光軸が、基材平面に対して垂直に配向した場合、得られる位相差層の屈折率関係は、nx≒ny<nz(ポジティブCプレート)となり、屈折率楕円体におけるnzの方向の軸と遅相軸方向が一致する。
また、円盤状の重合性液晶の光軸が、基材平面に対して平行に配向した場合、得られる位相差層の屈折率関係は、nx<ny≒nz(ネガティブAプレート)となり、屈折率楕円体におけるnyの方向の軸と遅相軸方向が一致する。
<重合性液晶>
重合性液晶とは、重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物である。重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。重合性液晶が有する液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック液晶でもよく、サーモトロピック液晶を秩序度で分類すると、ネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。
棒状の重合性液晶としては、例えば、下記式(A)で表される化合物及び、下記式(X)で表される基を含む化合物が挙げられる。棒状の重合性液晶としては、波長分散性発現の観点から分子軸方向に対して垂直配向さらに複屈折性を有するT字型あるいはH型にメソゲン構造を有する液晶が好ましく、より強い分散が得られる観点からT字型液晶がより好ましく、T字型液晶の構造としては、具体的には、下記式(A)で表される化合物が挙げられる。
(式(A)で表される化合物)
式(A)は下記のとおりである。以下、式(A)で表される化合物を重合性液晶(A)ということがある。
Figure 0007361849000002
式(A)中、Arは置換基を有していてもよい二価の芳香族基を表す。該二価の芳香族基中には窒素原子、酸素原子、硫黄原子のうち少なくとも1つ以上が含まれることが好ましい。二価の基Arに含まれる芳香族基が2つ以上である場合、2つ以上の芳香族基は互いに単結合、-CO-O-、-O-などの二価の結合基で結合していてもよい。
及びGはそれぞれ独立に、二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基を表す。ここで、該二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていてもよく、該二価の芳香族基又は二価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子に置換されていてもよい。
、L 及びBはそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基である。
k、lは、それぞれ独立に0~3の整数を表し、1≦k+lの関係を満たす。ここで、2≦k+lである場合、B及びB、G及びGは、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
及びEはそれぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基を表し、ここで、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、-COO-で置換されていてもよく、-O-、-S-、-COO-を複数有する場合は互いに隣接しない。P及びPは互いに独立に、重合性基又は水素原子を表し、少なくとも1つは重合性基である。
及びGは、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子及び炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-フェニレンジイル基、ハロゲン原子及び炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-シクロヘキサンジイル基であり、より好ましくはメチル基で置換された1,4-フェニレンジイル基、無置換の1,4-フェニレンジイル基、又は無置換の1,4-trans-シクロヘキサンジイル基であり、特に好ましくは無置換の1,4-フェニレンジイル基、又は無置換の1,4-trans-シクロへキサンジイル基である。
また、複数存在するG及びGのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、また、L又はLに結合するG及びGのうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
及びLはそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra1ORa2-、-Ra3COORa4-、-Ra5OCORa6-、Ra7OC=OORa8-、-N=N-、-CR=CR-、又はC≡C-である。ここで、Ra1~Ra8はそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1~4のアルキレン基を表し、R及びRは炭素数1~4のアルキル基又は水素原子を表す。L及びLはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa2-1-、-CH-、-CHCH-、-COORa4-1-、又はOCORa6-1-である。ここで、Ra2-1、Ra4-1、Ra6-1はそれぞれ独立に単結合、-CH-、-CHCH-のいずれかを表す。L及びLはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CHCH-、-COO-、-COOCHCH-、又はOCO-である。
及びBはそれぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra9ORa10-、-Ra11COORa12-、-Ra13OCORa14-、又は-Ra15OC(=O)ORa16-である。ここで、Ra9~Ra16はそれぞれ独立に単結合、又は炭素数1~4のアルキレン基を表す。B及びBはそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa10-1-、-CH-、-CHCH-、-COORa12-1-、又はOCORa14-1-である。ここで、Ra10-1、Ra12-1、Ra14-1はそれぞれ独立に単結合、-CH-、-CHCH-のいずれかを表す。B及びBはそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CHCH-、-COO-、-COOCHCH-、-OCO-、又は-OCOCHCH-である。
k及びlは、逆波長分散性発現の観点から2≦k+l≦6の範囲が好ましく、k+l=4であることが好ましく、k=2かつl=2であることがより好ましい。k=2かつl=2であると対称構造となるため好ましい。
及びEはそれぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基が好ましく、炭素数4~12のアルカンジイル基がより好ましい。
又はPで表される重合性基としては、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、及びオキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族複素環、及び電子吸引性基から選ばれる少なくとも一つを有することが好ましい。当該芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。当該芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、トリアジン環、ピロリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、及びフェナンスロリン環等が挙げられる。なかでも、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、又はベンゾフラン環を有することが好ましく、ベンゾチアゾール基を有することがさらに好ましい。また、Arに窒素原子が含まれる場合、当該窒素原子はπ電子を有することが好ましい。
式(A)中、Arで表される2価の芳香族基に含まれるπ電子の合計数Nπは8以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは14以上であり、特に好ましくは16以上である。また、好ましくは30以下であり、より好ましくは26以下であり、さらに好ましくは24以下である。
Arで表される芳香族基としては、例えば以下の基が好適に挙げられる。
Figure 0007361849000003
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、*印は連結部を表し、Z、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルキルスルフィニル基、炭素数1~12のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~12のフルオロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~12のアルキルチオ基、炭素数1~12のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~12のN-アルキルスルファモイル基又は炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表す。
、Q及びQは、それぞれ独立に、-CR2’3’-、-S-、-NH-、-NR2’-、-CO-又はO-を表し、R2’及びR3’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。
、及びJは、それぞれ独立に、炭素原子、又は窒素原子を表す。
、Y及びYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
及びWは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、メチル基又はハロゲン原子を表し、mは0~6の整数を表す。
、Y及びYにおける芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。芳香族複素環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ含む炭素数4~20の芳香族複素環基が挙げられ、フリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基が好ましい。
、Y及びYは、それぞれ独立に、置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基であってもよい。多環系芳香族炭化水素基は、縮合多環系芳香族炭化水素基、又は芳香環集合に由来する基をいう。多環系芳香族複素環基は、縮合多環系芳香族複素環基、又は芳香環集合に由来する基をいう。
、Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルコキシ基であることが好ましく、Zは、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基がさらに好ましく、Z及びZは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、シアノ基がさらに好ましい。
、Q及びQは、-NH-、-S-、-NR2’-、-O-が好ましく、R2’は水素原子が好ましい。中でも-S-、-O-、-NH-が特に好ましい。
式(Ar-1)~(Ar-23)の中でも、式(Ar-6)及び式(Ar-7)が分子の安定性の観点から好ましい。
式(Ar-16)~(Ar-23)において、Yは、これが結合する窒素原子及びZと共に、芳香族複素環基を形成していてもよい。芳香族複素環基としては、Arが有していてもよい芳香族複素環として前記したものが挙げられるが、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピロリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ピロリジン環等が挙げられる。この芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。また、Yは、これが結合する窒素原子及びZと共に、前述した置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基又は多環系芳香族複素環基であってもよい。例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等が挙げられる。
(式(X)で表される基を含む化合物)
式(X)は下記のとおりである。以下、式(X)で表される基を含む化合物を重合性液晶(B)ということがある。
P11-B11-E11-B12-A11-B13- (X)
[式(X)中、P11は、重合性基を表わす。
A11は、2価の脂環式炭化水素基または2価の芳香族炭化水素基を表わす。該2価の脂環式炭化水素基および2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6アルコキシ基、シアノ基またはニトロ基で置換されていてもよく、該炭素数1~6のアルキル基および該炭素数1~6アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
B11は、-O-、-S-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-CO-NR16-、-NR16-CO-、-CO-、-CS-または単結合を表わす。R16は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表わす。
B12およびB13は、それぞれ独立に、-C≡C-、-CH=CH-、-CH-CH-、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-C(=O)-NR16-、-NR16-C(=O)-、-OCH-、-OCF-、-CHO-、-CFO-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-または単結合を表わす。
E11は、炭素数1~12のアルカンジイル基を表わし、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-または-CO-に置き換わっていてもよい。]
A11の芳香族炭化水素基および脂環式炭化水素基の炭素数は、3~18の範囲であることが好ましく、5~12の範囲であることがより好ましく、5または6であることが特に好ましい。A11としては、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、1,4-フェニレン基が好ましい。
E11としては、直鎖状の炭素数1~12のアルカンジイル基が好ましい。該アルカンジイル基を構成する-CH-は、-O-に置き換っていてもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、へキサン-1,6-ジイル基、へプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基およびドデカン-1,12-ジイル基等の炭素数1~12の直鎖状アルカンジイル基;-CH-CH-O-CH-CH-、-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-および-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-O-CH-CH-等が挙げられる。
B11としては、-O-、-S-、-CO-O-、-O-CO-が好ましく、中でも、-CO-O-がより好ましい。
B12およびB13としては、それぞれ独立に、-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-が好ましく、中でも、-O-または-O-C(=O)-O-がより好ましい。
P11で示される重合性基としては、重合反応性、特に光重合反応性が高いという点で、ラジカル重合性基またはカチオン重合性基が好ましく、取り扱いが容易な上、液晶化合物の製造自体も容易であることから、重合性基は、下記の式(P-11)~式(P-15)で表わされる基であることが好ましい。
Figure 0007361849000004
[式(P-11)~(P-15)中、
17~R21はそれぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基または水素原子を表わす。]
式(P-11)~式(P-15)で表わされる基の具体例としては、下記式(P-16)~式(P-20)で表わされる基が挙げられる。
Figure 0007361849000005
P11は、式(P-14)~式(P-20)で表わされる基であることが好ましく、ビニル基、p-スチルベン基、エポキシ基またはオキセタニル基がより好ましい。
P11-B11-で表わされる基が、アクリロイルオキシ基またはメタアクリロイルオキシ基であることがさらに好ましい。
重合性液晶(B)としては、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)、式(V)または式(VI)で表わされる化合物が挙げられる。
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-B16-E12-B17-P12 (I)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-F11 (II)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-E12-B17-P12 (III)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-F11 (IV)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-E12-B17-P12 (V)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-F11 (VI)
(式中、
A12~A14はそれぞれ独立に、A11と同義であり、B14~B16はそれぞれ独立に、B12と同義であり、B17は、B11と同義であり、E12は、E11と同義である。
F11は、水素原子、炭素数1~13のアルキル基、炭素数1~13のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシ基、メチロール基、ホルミル基、スルホ基(-SOH)、カルボキシ基、炭素数1~10のアルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表わし、該アルキル基およびアルコキシ基を構成する-CH-は、-O-に置き換っていてもよい。)
重合性液晶(B)の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の「3.8.6 ネットワーク(完全架橋型)」、「6.5.1 液晶材料 b.重合性ネマチック液晶材料」に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物、特開2010-31223号公報、特開2010-270108号公報、特開2011-6360号公報および特開2011-207765号公報記載の重合性液晶が挙げられる。
重合性液晶(B)の具体例としては、下記式(I-1)~式(I-4)、式(II-1)~式(II-4)、式(III-1)~式(III-26)、式(IV-1)~式(IV-26)、式(V-1)~式(V-2)および式(VI-1)~式(VI-6)で表わされる化合物が挙げられる。なお、下記式中、k1およびk2は、それぞれ独立して、2~12の整数を表わす。これらの重合性液晶(B)は、その合成の容易さ、または、入手の容易さの点で、好ましい。
Figure 0007361849000006
Figure 0007361849000007
Figure 0007361849000008
Figure 0007361849000009
Figure 0007361849000010
Figure 0007361849000011
Figure 0007361849000012
Figure 0007361849000013
Figure 0007361849000014
円盤状の重合性液晶としては、例えば、式(W)で表される基を含む化合物(以下、重合性液晶(C)ということがある)が挙げられる。
Figure 0007361849000015

[式(W)中、R40は、下記式(W-1)~(W-5)を表わす。
Figure 0007361849000016
40およびZ40は、炭素数1~12のアルキル基を表わし、該アルキル基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルキル基を構成する-CH-は、-O-または-CO-に置き換わっていてもよい。
重合性液晶(C)の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の「6.5.1 液晶材料 b.重合性ネマチック液晶材料 図6.21」に記載された化合物、特開平7-258170号公報、特開平7-30637号公報、特開平7-309807号公報、特開平8-231470号公報記載の重合性液晶が挙げられる。
式(1)および式(2)で表される光学特性を有する位相差板30は、特定の構造を有する重合性液晶を重合させた場合、特定の構造を有する高分子フィルムを延伸した場合、又は、式(4)、(6)及び式(7)で表される光学特性を有する層と、式(5)、(6)及び式(7)で表される光学特性を有する層とを特定の遅相軸関係で組み合わせることで得られる。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (1)
1.00≦Re(650)/Re(550) (2)
100nm<Re(550)<160nm (4)
200nm<Re(550)<320nm (5)
Re(450)/Re(550)≧1.00 (6)
1.00≧Re(650)/Re(550) (7)
位相差板30は、好ましくは、式(1)および式(2)で表される光学特性を有する。位相差板30が式(1)および式(2)で表される光学特性を有すると、可視光域における各波長の光に対して、一様な偏光変換の特性が得られ、有機EL表示装置等の表示装置の黒表示時の光漏れを抑制することができる。
前記特定の構造を有する重合性液晶としては、例えば、前記重合性液晶(A)が挙げられる。重合性液晶(A)を、基材平面に対して光軸が水平となるように配向することで、式(1)及び式(2)で表される光学特性を有する位相差層が得られ、さらに、前記式(10)に従って膜厚を調節することで、例えば、式(4)で表される光学特性等の所望の面内位相差値を有する位相差層を得ることができる。
100nm<Re(550)<160nm (4)
式(4)、(6)及び式(7)で表される光学特性を有する層と、式(5)、(6)及び式(7)で表される光学特性を有する層とを特定の遅相軸関係で組み合わせる方法としては、周知の方法が挙げられる。
例えば、特開2001-4837号公報、特開2001-21720号公報及び特開2000-206331号公報には、液晶化合物からなる位相差層を少なくとも2層有する位相差フィルムが開示されている。
上記式(6)及び式(7)で表される光学特性を有する位相差層は、周知の方法で得ることができる。すなわち、上記式(1)および式(2)で表される光学特性を有する位相差層を得る方法以外の方法で得られる位相差層は、概ね式(6)及び式(7)で表される光学特性を有する。
(第1位相差層)
第1位相差層31は、好ましくは式(4)で表される光学特性を有し(本明細書では、式(4)で表される光学特性を満たす位相差層を「λ/4層」ともいう。)、より好ましくは式(4-1)で表される光学特性を有する。面内位相差値Re(550)は、上記位相差層の面内位相差値の調整方法と同じ方法で調整することができる。
100nm<Re(550)<160nm (4)
130nm<Re(550)<150nm (4-1)
さらに、第1位相差層は、好ましくは、式(1)及び式(2)で表される光学特性を有する(本明細書では、式(1)及び式(2)で表される光学特性を「逆分散性」ともいう)。かかる光学特性は、上記位相差層と同様の方法で得ることができる。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (1)
1.00≦Re(650)/Re(550) (2)
また、第1位相差層は、好ましくは、式(4)、(6)及び式(7)で表される光学特性を有する層Aと、式(5)、(6)及び式(7)で表される光学特性を有する層Bとを有する。かかる光学特性は、上記位相差層と同じの方法で得ることができる。
100nm<Re(550)<160nm (4)
200nm<Re(550)<320nm (5)
Re(450)/Re(550)≧1.00 (6)
1.00≧Re(650)/Re(550) (7)
層Aは好ましくは式(4-1)で表される光学特性を有する層であり、層Bは好ましくは式(5-1)で表される光学特性を有する層である。
130nm<Re(550)<150nm (4-1)
265nm<Re(550)<285nm (5-1)
また、位相差板が第3位相差層を有する場合、第1位相差層は、好ましくは、式(6)及び(7)で表される光学特性を有する。かかる光学特性は、上記位相差層と同じ方法で得ることができる。
Re(450)/Re(550)≧1.00 (6)
1.00≧Re(650)/Re(550) (7)
第1位相差層は、1以上の重合性液晶を重合させることにより形成されるコーティング層である。第1位相差層が1つの位相差層からなり、式(1)及び式(2)で表される光学特性を有する場合、かかる位相差層は重合性液晶(A)を重合させることにより形成されるコーティング層であると好ましい。第2位相差層が式(6)及び式(7)で表される光学特性を有する場合、かかる位相差層は重合性液晶(B)を重合させることにより形成されるコーティング層であると好ましい。
層Aは、好ましくは重合性液晶(B)を重合させることにより形成されるコーティング層である。層Bは、好ましくは重合性液晶(C)を重合させることにより形成されるコーティング層である。
第1位相差層は、重合性液晶を重合させることにより形成される層であり、その厚さは、通常20μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上3μm以下である。第1位相差層の厚さは、干渉膜厚計、レーザー顕微鏡または触針式膜厚計による測定によって求めることができる。
(第2位相差層)
第2位相差層32は、好ましくは式(3)で表される光学特性を有する(ポジティブCプレート)。
nx≒ny<nz (3)
第2位相差層の面内位相差値Re(550)は通常0~10nmの範囲であり、好ましくは0~5nmの範囲である。厚み方向の位相差値Rth(550)は、通常-10~-300nmの範囲であり、好ましくは-20~-200nmの範囲である。かかる面内位相差値Re(550)及び厚み方向の位相差値Rth(550)は、上記位相差層と同じ方法で調整することができる。
第2位相差層は、1以上の重合性液晶を重合することで形成されるコーティング層である。より好ましくは重合性液晶(B)を重合することで形成されるコーティング層である。
第2位相差層は、重合性液晶を重合させることにより形成される層であり、その厚さは、通常10μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは0.3μm以上3μm以下である。第2位相差層の厚さは、第1位相差層と同じ方法で求めることができる。また、第1位相差層及び第2位相差層の厚さは、それぞれ5μm以下であると好ましい。
(第3位相差層)
第3位相差層は、好ましくは式(5)で表される光学特性を有し、さらに好ましくは式(5-1)で表される光学特性を有する。面内位相差値Re(550)は、上記位相差層の面内位相差値の調整方法と同じ方法で調整することができる。
200nm<Re(550)<320nm (5)
265nm<Re(550)<285nm (5-1)
また、第3位相差層は、好ましくは式(6)及び(7)で表される光学特性を有する。かかる光学特性は、上記位相差層と同様の方法で得ることができる。
Re(450)/Re(550)≧1.00 (6)
1.00≧Re(650)/Re(550) (7)
第3位相差層は、好ましくは1以上の重合性液晶を重合することで形成されるコーティング層である。より好ましくは重合性液晶(B)又は(C)を重合することで形成されるコーティング層である。
第3位相差層は延伸フィルムであってもよく、延伸フィルムの場合、その厚さは、通常300μm以下であり、好ましくは5μm以上100μm以下であり、より好ましくは10μm以上50μm以下である。第3位相差層が重合性液晶を重合させることにより形成される層の場合、その厚さは、通常10μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上5μm以下である。第3位相差層の厚さは、第1位相差層と同じ方法で求めることができる。
(基材)
位相差板30は、基材を有していてもよい。基材は通常透明基材である。透明基材とは、光、特に可視光を透過し得る透明性を有する基材を意味し、透明性とは、波長380~780nmにわたる光線に対しての透過率が80%以上となる特性をいう。具体的な透明基材としては、透光性樹脂基材が挙げられる。透光性樹脂基材を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ノルボルネン系ポリマーなどの環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィドおよびポリフェニレンオキシドが挙げられる。入手のしやすさや透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸エステル、セルロースエステル、環状オレフィン系樹脂またはポリカーボネートが好ましい。
配向膜、第1位相差層、第2位相差層及び第3位相差層が形成される側の基材の面には、配向膜又は位相差層を形成する前に、表面処理を施してもよい。表面処理の方法としては、真空下又は大気圧下、コロナ又はプラズマで基材の表面を処理する方法、基材表面をレーザー処理する方法、基材表面をオゾン処理する方法、基材表面をケン化処理する方法又は基材表面を火炎処理する方法、基材表面にカップリング剤を塗布するプライマー処理する方法、反応性モノマーや反応性を有するポリマーを基材表面に付着させた後、放射線、プラズマ又は紫外線を照射して反応させるグラフト重合法等が挙げられる。中でも、真空下や大気圧下で、基材表面をコロナ又はプラズマ処理する方法が好ましい。
コロナ又はプラズマで基材の表面処理を行う方法としては、大気圧近傍の圧力下で、対向した電極間に基材を設置し、コロナ又はプラズマを発生させて、基材の表面処理を行う方法、対向した電極間にガスを流し、電極間でガスをプラズマ化し、プラズマ化したガスを基材に吹付ける方法、及び、低圧条件下で、グロー放電プラズマを発生させて、基材の表面処理を行う方法が挙げられる。
中でも、大気圧近傍の圧力下で、対向した電極間に基材を設置し、コロナ又はプラズマを発生させて、基材の表面処理を行う方法、又は、対向した電極間にガスを流し、電極間でガスをプラズマ化し、プラズマ化したガスを基材に吹付ける方法が好ましい。かかるコロナ又はプラズマによる表面処理は、通常、市販の表面処理装置により行われる。
基材は、位相差が小さい基材が好ましい。位相差が小さい基材としては、ゼロタック(登録商標)(コニカミノルタオプト(株))、Zタック(富士フィルム(株))などの位相差を有しないセルロースエステルフィルムが挙げられる。また、未延伸の環状オレフィン系樹脂基材も好ましい。
また、配向膜、第1位相差層、第2位相差層及び第3位相差層が形成されていない基材の面には、ハードコート処理、帯電防止処理等がなされてもよい。また、性能に影響しない範囲で、紫外線吸収剤などの添加剤を含んでいてもよい。
基材の厚みは、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向があるため、通常5~300μmであり、好ましくは10~200μmである。
(重合性液晶組成物)
重合性液晶を重合させることにより形成される層(位相差層)は、通常、1以上の重合性液晶を含有する組成物(以下、重合性液晶組成物ということがある。)を、基材、配向膜、保護層又は位相差層の上に塗布し、得られた塗膜中の重合性液晶を重合させることにより形成される。
重合性液晶組成物は、通常溶剤を含み、溶剤としては、重合性液晶を溶解し得る溶剤であって、且つ、重合性液晶の重合反応に不活性な溶剤がより好ましい。
具体的な溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、フェノール等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチル-2-ピロリジノン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の非塩素化脂肪族炭化水素溶剤;トルエン、キシレン等の非塩素化芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリル等のニトリル溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤;およびクロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤;が挙げられる。これら他の溶剤は、単独で用いてもよいし、組み合わせてもよい。
重合性液晶組成物における溶剤の含有量は、通常、固形分100質量部に対して、10質量部~10000質量部が好ましく、より好ましくは50質量部~5000質量部である。固形分とは、重合性液晶組成物から溶剤を除いた成分の合計を意味する。
重合性液晶組成物の塗布は、通常、スピンコ-ティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、スリットコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法や、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法によって行われる。塗布後、通常、得られた塗布膜中に含まれる重合性液晶が重合しない条件で溶剤を除去することにより、乾燥被膜が形成される。乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法が挙げられる。
(配向膜)
本明細書において、配向膜とは、重合性液晶を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。
配向膜としては、重合性液晶組成物の塗布などにより溶解しない溶剤耐性を有し、また、溶剤の除去や重合性液晶の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。かかる配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜及び表面に凹凸パターンや複数の溝を形成し配向させるグルブ配向膜等が挙げられる。
配向性ポリマーとしては、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル類が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。2種以上の配向性ポリマーを組み合わせて用いてもよい。
配向性ポリマーを含む配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶剤に溶解した組成物(以下、配向性ポリマー組成物ということがある。)を基材に塗布し、溶剤を除去する、又は、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶剤を除去し、ラビングする(ラビング法)ことで得られる。
前記溶剤としては、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチルなどのエステル溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤、および、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマー材料が、溶剤に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1~20%が好ましく、0.1から10%程度がさらに好ましい。
配向性ポリマー組成物として、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)、オプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法としては、スピンコ-ティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、スリットコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が挙げられる。位相差層を、後述するRoll to Roll形式の連続的製造方法により製造する場合、当該塗布方法には通常、グラビアコーティング法、ダイコーティング法又はフレキソ法などの印刷法が採用される。
配向性ポリマー組成物に含まれる溶剤を除去する方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法等が挙げられる。
配向膜に配向規制力を付与するために、必要に応じてラビングを行うことができる(ラビング法)。
ラビング法により配向規制力を付与する方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向性ポリマー組成物を基材に塗布しアニールすることで基材表面に形成された配向性ポリマーの膜を、接触させる方法が挙げられる。
配向膜に配向規制力を付与するために、必要に応じて光配向を行うことができる(光配向法)。
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマー又はモノマーと溶剤とを含む組成物(以下、「光配向膜形成用組成物」ということがある。)を基材に塗布し、光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は、照射する光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御できる点でより好ましい。
光反応性基とは、光照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光照射により生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応もしくは光分解反応等の液晶配向能の起源となる光反応に関与する基が挙げられる。中でも、二量化反応または光架橋反応に関与する基が、配向性に優れる点で好ましい。光反応性基として、不飽和結合、特に二重結合を有する基が好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)および炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する基が特に好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ-ル基、スチルバゾリウム基、カルコン基およびシンナモイル基が挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基、および、アゾキシベンゼン構造を有する基が挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基およびマレイミド基が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリ-ル基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応に関与する光反応性基が好ましく、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいという点で、シンナモイル基およびカルコン基が好ましい。光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
光配向膜形成用組成物を基材上に塗布することにより、基材上に光配向誘起層を形成することができる。該組成物に含まれる溶剤としては、上述の配向性ポリマー組成物に含まれる溶剤と同様のものが挙げられ、光反応性基を有するポリマーあるいはモノマーの溶解性に応じて適宜選択することができる。
光配向膜形成用組成物中の光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの含有量は、ポリマーまたはモノマーの種類や目的とする光配向膜の厚みによって適宜調節できるが、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3~10質量%の範囲がより好ましい。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、光配向膜形成用組成物は、ポリビニルアルコ-ルやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
光配向膜形成用組成物を基材に塗布する方法としては、配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された光配向膜形成用組成物から、溶剤を除去する方法としては、例えば、配向性ポリマー組成物から溶剤を除去する方法と同じ方法が挙げられる。
偏光を照射するには、基板上に塗布された光配向膜形成用組成物から、溶剤を除去したものに直接、偏光UVを照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であると特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外線)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArFなどの紫外光レ-ザ-などが挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ及びメタルハライドランプがより好ましい。これらのランプは、波長313nmの紫外線の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光UVを照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテ-ラ-などの偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
なお、ラビング又は偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
グルブ配向膜は、膜表面の凹凸パターンまたは複数の溝によって、液晶配向が得られる膜である。H.V.ケネルらによって、複数の等間隔に並んだ直線状のグルブ(溝)を有する基材に液晶分子を置いた場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向するという事実が報告されている(Physical Review A24(5)、2713ページ、1981年)。
グルブ配向膜を得る具体的な例としては、感光性ポリイミド表面に周期的なパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像およびリンス処理を行って不要なポリイミド膜を除去し凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤にUV硬化樹脂層を形成し、樹脂層を基材フィルムへ移してから硬化する方法、UV硬化樹脂層を形成した基材フィルムを搬送し、複数の溝を有するロール状の原盤をUV硬化樹脂層表面に押し当てて凹凸を形成後硬化する方法等が挙げられ、特開平6-34976号公報、特開2011-242743号公報記載の方法等を用いることができる。
上記方法の中でも、複数の溝を有するロール状の原盤をUV硬化樹脂層表面に押し当てて凹凸を形成後硬化する方法が好ましい。ロール状原盤としては、耐久性の観点からステンレス(SUS)鋼を用いることができる。
UV硬化樹脂としては、単官能アクリレートの重合体、多官能アクリレートの重合体またはこれらの混合物の重合体を用いることができる。
単官能アクリレートとは、アクリロイルオキシ基(CH=CH-COO-)及びメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)-COO-)からなる群より選ばれる基(以下、(メタ)アクリロイルオキシ基と記すこともある。)を分子内に1個有する化合物である。
(メタ)アクリロイルオキシ基を1個有する単官能アクリレートとしては、炭素数4から16のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数2から14のβカルボキシアルキル(メタ)アクリレート、炭素数2から14のアルキル化フェニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びイソボニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能アクリレートとは、通常、(メタ)アクリロイルオキシ基を分子内に2個乃至6個有する化合物である。
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個有する2官能アクリレートとしては、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート;1,3-ブタンジオール(メタ)アクリレート;1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジアクリレート;ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及び3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが例示される。
(メタ)アクリロイルオキシ基を3個乃至6個有する多官能アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、及びカプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物などが挙げられる。なお、ここに示した多官能アクリレートの具体例において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。また、カプロラクトン変性とは、(メタ)アクリレート化合物のアルコール由来部位と(メタ)アクリロイルオキシ基との間に、カプロラクトンの開環体、又は、開環重合体が導入されていることを意味する。
かかる多官能アクリレートには市販品を用いることもできる。かかる市販品としては、A-DOD-N、A-HD-N、A-NOD-N、APG-100、APG-200、APG-400、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMPT、AD-TMP、ATM-35E、A-TMMT、A-9550、A-DPH、HD-N、NOD-N、NPG、TMPT(新中村化学株式会社製)、”ARONIXM-220”、同”M-325”、同”M-240”、同”M-270”、同”M-309”同”M-310”、同”M-321”、同”M-350”、同”M-360”、同”M-305”、同”M-306”、同”M-450”、同”M-451”、同”M-408”、同”M-400”、同”M-402”、同”M-403”、同”M-404”、同”M-405”、同”M-406”(東亜合成株式会社製)、”EBECRYL11”、同”145”、同”150”、同”40”、同”140”、同”180”、DPGDA、HDDA、TPGDA、HPNDA、PETIA、PETRA、TMPTA、TMPEOTA、DPHA、EBECRYLシリーズ(ダイセル・サイテック株式会社製)などを挙げることができる。
グルブ配向膜の凹凸としては、凸部の幅は0.05~5μmであることが好ましく、凹部の幅は0.1~5μmであることが好ましく、凹凸の段差の深さは2μm以下、好ましくは0.01~1μm以下であることが好ましい。この範囲であれば、配向乱れの小さな液晶配向を得ることができる。
配向膜の厚さは、通常10nm~10000nmの範囲であり、好ましくは10nm~1000nmの範囲であり、より好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは10nm~500nmの範囲である。
重合性液晶の液晶配向は、配向膜及び重合性液晶の性質によって制御される。例えば、配向膜が配向規制力として水平配向規制力を発現させる材料であれば、重合性液晶は水平配向またはハイブリッド配向を形成することができ、垂直配向規制力を発現させる材料であれば、重合性液晶は垂直配向または傾斜配向を形成することができる。配向規制力は、配向膜が配向性ポリマーから形成されている場合は、表面状態やラビング条件によって任意に調整することが可能であり、光配向性ポリマーから形成されている場合は、偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。また、重合性液晶の、表面張力や液晶性等の物性を選択することにより、液晶配向を制御することもできる。
重合性液晶の重合は、重合性官能基を有する化合物を重合させる公知の方法により行うことができる。具体的には、熱重合および光重合が挙げられ、重合の容易さの観点から、光重合が好ましい。光重合により重合性液晶を重合させる場合、光重合開始剤を含有した重合性液晶組成物を塗布し、乾燥して得られる乾燥被膜中の重合性液晶を液晶相状態にした後、該液晶状態を保持したまま、光重合させることが好ましい。
光重合は、通常、乾燥被膜に光を照射することにより実施される。照射する光としては、乾燥被膜に含まれる光重合開始剤の種類、重合性液晶の種類(特に、重合性液晶が有する光重合基の種類)およびその量に応じて、適宜選択され、具体的には、可視光、紫外光およびレーザー光からなる群より選択される光、活性電子線が挙げられる。中でも、重合反応の進行を制御し易い点、および、光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって光重合可能なように、重合性液晶と光重合開始剤との種類を選択することが好ましい。また、重合時に、適切な冷却手段により乾燥被膜を冷却しながら、光照射することで、重合温度を制御することもできる。このような冷却手段の採用により、より低温で重合性液晶の重合を実施すれば、基材が比較的耐熱性が低いものを用いたとしても、適切に位相差層を形成できる。光重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた位相差層を得ることもできる。
重合性液晶組成物は、反応性添加剤を含んでもよい。反応性添加剤としては、その分子内に炭素-炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有するものが好ましい。なお、ここでいう「活性水素反応性基」とは、カルボキシル基(-COOH)、水酸基(-OH)、アミノ基(-NH)等の活性水素を有する基に対して反応性を有する基を意味し、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジン基、イミド基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、無水マレイン酸基等がその代表例である。反応性添加剤が有する、炭素-炭素不飽和結合及び活性水素反応性基の個数は、通常、それぞれ1~20個であり、好ましくはそれぞれ1~10個である。
反応性添加剤において、活性水素反応性基は少なくとも2つ存在すると好ましく、この場合、複数存在する活性水素反応性基は同一でも、異なるものであってもよい。
反応性添加剤が有する炭素-炭素不飽和結合とは、炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合、あるいはそれらの組み合わせであってよいが、炭素-炭素二重結合であると好ましい。中でも、反応性添加剤としては、ビニル基及び/又は(メタ)アクリル基として炭素-炭素不飽和結合を含むと好ましい。さらに、活性水素反応性基が、エポキシ基、グリシジル基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるものが好ましく、アクリル基と、イソシアネート基とを有する反応性添加剤が特に好ましい。
反応性添加剤の具体例としては、メタクリロキシグリシジルエーテルやアクリロキシグリシジルエーテルなどの、(メタ)アクリル基とエポキシ基とを有する化合物;オキセタンアクリレートやオキセタンメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とオキセタン基とを有する化合物;ラクトンアクリレートやラクトンメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とラクトン基とを有する化合物;ビニルオキサゾリンやイソプロペニルオキサゾリンなどの、ビニル基とオキサゾリン基とを有する化合物;イソシアナトメチルアクリレート、イソシアナトメチルメタクリレート、2-イソシアナトエチルアクリレート及び20イソシアナトエチルメタクリレートなどの、(メタ)アクリル基とイソシアネート基とを有する化合物のオリゴマー等が挙げられる。また、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物、無水マレイン酸及びビニル無水マレイン酸などの、ビニル基やビニレン基と酸無水物とを有する化合物などが挙げられる。中でも、メタクリロキシグリシジルエーテル、アクリロキシグリシジルエーテル、イソシアナトメチルアクリレート、イソシアナトメチルメタクリレート、ビニルオキサゾリン、2-イソシアナトエチルアクリレート、2-イソシアナトエチルメタクリレート及び前記のオリゴマーが好ましく、イソシアナトメチルアクリレート、2-イソシアナトエチルアクリレート及び前記のオリゴマーが特に好ましい。
具体的には、下記式(Y)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007361849000017

[式(Y)中、
nは1~10までの整数を表わし、R1’は、炭素数2~20の2価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、或いは炭素数5~20の2価の芳香族炭化水素基を表わす。各繰り返し単位にある2つのR2’は、一方が-NH-であり、他方が>N-C(=O)-R3’で示される基である。R3’は、水酸基又は炭素-炭素不飽和結合を有する基を表す。
式(Y)中のR3’のうち、少なくとも1つのR3’は炭素-炭素不飽和結合を有する
基である。]
前記式(Y)で表される反応性添加剤の中でも、下記式(YY)で表される化合物(以下、化合物(YY)という場合がある。)が特に好ましいものである(なお、nは前記と同じ意味である)。
Figure 0007361849000018

化合物(YY)には、市販品をそのまま又は必要に応じて精製して用いることができる。市販品としては、例えば、Laromer(登録商標)LR-9000(BASF社製)が挙げられる。
重合性液晶組成物が反応性添加剤を含有する場合、その含有量は、重合性液晶100質量部に対して、通常0.1質量部~30質量部であり、好ましくは0.1質量部~5質量部である。
重合性液晶組成物は、1種以上のレベリング剤を含有することが好ましい。レベリング剤は、重合性液晶組成物の流動性を調整し、重合性液晶組成物を塗布することにより得られる塗布膜をより平坦にする機能を有し、具体的には、界面活性剤が挙げられる。レベリング剤としては、ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤およびフッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤としては、”BYK-350”、”BYK-352”、”BYK-353”、”BYK-354”、”BYK-355”、”BYK-358N”、”BYK-361N”、”BYK-380”、”BYK-381”および”BYK-392”[BYK Chemie社]が挙げられる。
フッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤としては、”メガファック(登録商標)R-08”、同”R-30”、同”R-90”、同”F-410”、同”F-411”、同”F-443”、同”F-445”、同”F-470”、同”F-471”、同”F-477”、同”F-479”、同”F-482”および同”F-483”[DIC(株)];”サーフロン(登録商標)S-381”、同”S-382”、同”S-383”、同”S-393”、同”SC-101”、同”SC-105”、”KH-40”および”SA-100”[AGCセイミケミカル(株)];”E1830”、”E5844”[(株)ダイキンファインケミカル研究所];”エフトップEF301”、”エフトップEF303”、”エフトップEF351”および”エフトップEF352”[三菱マテリアル電子化成(株)]が挙げられる。
重合性液晶組成物がレベリング剤を含有する場合、その含有量は、重合性液晶100質量部に対して、0.01質量部以上5質量部以下が好ましく、0.05質量部以上5質量部以下がより好ましく、0.05質量部以上3質量部以下がさらに好ましい。レベリング剤の含有量が前記の範囲内であると、重合性液晶を水平配向させることが容易であり、かつ、得られる偏光層がより平滑となる傾向がある。重合性液晶に対するレベリング剤の含有量が前記の範囲内であると、得られる位相差層にムラが生じにくい傾向がある。
重合性液晶組成物は、1種以上の重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤は、重合性液晶の重合反応を開始し得る化合物であり、より低温条件下で、重合反応を開始できる点で、光重合開始剤が好ましい。具体的には、光の作用により活性ラジカルまたは酸を発生できる光重合開始剤が挙げられ、中でも、光の作用によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩が挙げられる。
ベンゾイン化合物としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンゾインイソブチルエーテルが挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび2,4,6-トリメチルベンゾフェノンが挙げられる。
アルキルフェノン化合物としては、ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1,2-ジフェニル-2,2-ジメトキシエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパン-1-オンのオリゴマーが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。
トリアジン化合物としては、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジンおよび2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジンが挙げられる。
重合開始剤には、市販のものを用いることができる。市販の重合開始剤としては、”イルガキュア(Irgacure)(登録商標)907”、”イルガキュア(登録商標)184”、”イルガキュア(登録商標)651”、”イルガキュア(登録商標)819”、”イルガキュア(登録商標)250”、”イルガキュア(登録商標)369”(チバ・ジャパン(株));”セイクオール(登録商標)BZ”、”セイクオール(登録商標)Z”、”セイクオール(登録商標)BEE”(精工化学(株));”カヤキュアー(kayacure)(登録商標)BP100”(日本化薬(株));”カヤキュアー(登録商標)UVI-6992”(ダウ社製);”アデカオプトマーSP-152”、”アデカオプトマーSP-170”((株)ADEKA);”TAZ-A”、”TAZ-PP”(日本シイベルヘグナー社);および”TAZ-104”(三和ケミカル社)が挙げられる。
重合性液晶組成物が重合開始剤を含有する場合、その含有量は、該組成物に含有される重合性液晶の種類およびその量に応じて適宜調節できるが、重合性液晶100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、0.5~8質量部がさらに好ましい。重合性開始剤の含有量が、この範囲内であれば、重合性液晶の配向を乱すことなく重合させることができる。
重合性液晶組成物が光重合開始剤を含有する場合、該組成物は光増感剤をさらに含有していてもよい。光増感剤としては、キサントン、チオキサントンなどのキサントン化合物(例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンなど);アントラセン、アルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセンなど)などのアントラセン化合物;フェノチアジンおよびルブレンが挙げられる。
重合性液晶組成物が光重合開始剤および光増感剤を含有する場合、該組成物に含有される重合性液晶の重合反応をより促進することができる。光増感剤の使用量は、光重合開始剤および重合性液晶の種類およびその量に応じて適宜調節できるが、重合性液晶100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、0.5~8質量部がさらに好ましい。
重合性液晶の重合反応をより安定的に進行させるために、重合性液晶組成物は適量の重合禁止剤を含有してもよく、これにより、重合性液晶の重合反応の進行度合いを制御しやすくなる。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、アルコキシ基含有ハイドロキノン、アルコキシ基含有カテコール(例えば、ブチルカテコールなど)、ピロガロール、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシラジカルなどのラジカル捕捉剤;チオフェノール類;β-ナフチルアミン類およびβ-ナフトール類が挙げられる。
重合性液晶組成物が重合禁止剤を含有する場合、その含有量は、重合性液晶の種類およびその量、並びに光増感剤の使用量などに応じて適宜調節できるが、重合性液晶100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、0.5~8質量部がさらに好ましい。重合禁止剤の含有量が、この範囲内であれば、重合性液晶の配向を乱すことなく重合させることができる。
[位相差板の製造方法]
位相差板を製造する場合、第1位相差層、第2位相差層及び第3位相差層を形成する順序は任意である。また、第1位相差層における層Aと層Bを形成する順序も任意である。
基材上に、配向膜を介するかまたは介さずに層Aを形成し、該層Aの上に、配向膜を介するかまたは介さずに層Bが形成し、該層Bの上に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成してもよい。
基材上に、配向膜を介するかまたは介さずに層Bを形成し、該層Bの上に、配向膜を介するかまたは介さずに層Aを形成し、該層Aの上に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成してもよい。
基材上に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成し、該第2位相差層の上に、配向膜を介するかまたは介さずに層Aを形成し、該層Aの上に、配向膜を介するかまたは介さずに層Bを形成してもよい。
基材上に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成し、該第2位相差層の上に、配向膜を介するかまたは介さずに層Bを形成し、該層Bの上に、配向膜を介す
るかまたは介さずに層Aを形成してもよい。
基材の一方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに層Aを形成し、該層Aの上に、配向膜を介するかまたは介さずに層Bを形成し、基材の他方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成してもよい。
基材の一方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに層Bを形成し、該層Bの上に、配向膜を介するかまたは介さずに層Aを形成し、基材の他方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成してもよい。
層Aの上に配向膜を介するかまたは介さずに層Bが形成される場合、又は、層Bの上に配向膜を介するかまたは介さずに層Aが形成される場合は、層Aと層Bとの間に保護層があってもよい。また、第2位相差層の上に配向膜を介するかまたは介さずに層Aが形成される場合、第2位相差層の上に配向膜を介するかまたは介さずに層Aが形成される場合、層Aの上に配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層が形成される場合、又は、層Bの上に配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層が形成される場合は、第2の位相差層と層A又は層Bとの間に保護層があってもよい。
基材上に、配向膜を介するかまたは介さずに第1位相差層を形成し、該第1位相差層の上に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成し、該第2位相差層の上に、配向膜を介するかまたは介さずに第3位相差層を形成してもよい。
基材上に、配向膜を介するかまたは介さずに第3位相差層を形成し、該第3位相差層の上に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成し、該第2位相差層の上に、配向膜を介するかまたは介さずに第1位相差層を形成してもよい。基材の一方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第1位相差層を形成し、該第1位相差層の上に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成し、基材の他方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第3位相差層を形成してもよい。
基材の一方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成し、該第2位相差層の上に、配向膜を介するかまたは介さずに第1位相差層を形成し、基材の他方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第3位相差層を形成してもよい。
基材の一方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第3位相差層を形成し、該第3位相差層の上に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成し、基材の他方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第1位相差層を形成してもよい。
基材の一方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成し、該第2位相差層の上に、配向膜を介するかまたは介さずに第3位相差層を形成し、基材の他方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第1位相差層を形成してもよい。
基材上に、配向膜を介するかまたは介さずに第1位相差層を形成し、該第1位相差層の上に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成てもよい。
基材の一方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成し、該第2位相差層の上に、配向膜を介するかまたは介さずに第1位相差層を形成してもよい。
基材の一方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層を形成し、基材の他方の面に、配向膜を介するかまたは介さずに第1位相差層を形成してもよい。
第1位相差層の上に配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層が形成される場合、又は、第2位相差層の上に配向膜を介するかまたは介さずに第1位相差層が形成される場合は、第1位相差層と第2位相差層との間に保護層があってもよい。また、第2位相差層の上に配向膜を介するかまたは介さずに第3位相差層が形成される場合、又は、第3位相差層の上に配向膜を介するかまたは介さずに第2位相差層が形成される場合は、第2位相差層と第3位相差層との間に保護層があってもよい。
(保護層)
保護層は、通常、多官能アクリレート(メタクリレート)、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等からなるアクリル系オリゴマーあるいはポリマー、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、デンプン類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等の水溶性ポリマーと溶剤とを含有する保護層形成用組成物から形成されることが好ましい。
保護層形成用組成物に含有される溶剤は、前記した溶剤と同様のものが挙げられ、中でも、水、アルコール溶剤およびエーテル溶剤からなる群より選ばれる少なくとも一つの溶剤が、保護層を形成する層を溶解させることがない点で、好ましい。アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。中でも、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
保護層の厚さは、通常20μm以下である。保護層の厚さは、0.5μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。保護層の厚さは、通常、干渉膜厚計、レーザー顕微鏡または触針式膜厚計による測定によって求めることができる。
続いて、連続的に位相差板を製造する方法について説明する。このような連続的に本光学フィルムを製造する好適な方法として、Roll to Roll形式による方法が挙げられる。ここでは、重合性液晶を重合させることにより形成される位相差層の製造方法について説明するが、重合性液晶を重合させることにより形成される位相差層にかえて、延伸フィルムからなる位相差層を用いてもよい、この場合、下記製造工程における「重合性液晶組成物を塗布し」を「延伸フィルムを積層し」に読み替えればよい。
また、下記に代表的な構成の製造方法を例示するが、その他の構成は、下記製造方法に準じて実施すればよい。
(1)基材が巻芯に巻き取られているロールを準備する工程、
(2)該ロールから、該基材を連続的に送り出す工程、
(3)該基材上に配向膜を連続的に形成する工程、
(4)該配向膜上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に第1位相差層を形成する工程、
(5)前記(4)で得られた第1位相差層の上に保護層を連続的に形成する工程、
(6)前記(5)で得られた保護層の上に配向膜を連続的に形成する工程、
(7)前記(6)で得られた配向膜の上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に第2位相差層を形成する工程、
(8)連続的に得られた光学フィルムを第2の巻芯に巻き取り、第2ロールを得る工程を順に行う方法が挙げられる。なお、工程(3)、(5)及び(6)は、必要に応じて省略してもよく、この際、工程(4)における「該配向膜上」は、「該基材上」に、工程(6)における「前記(5)で得られた保護層」は、「該第1位相差層」に、工程(7)における「前記(6)で得られた配向膜」は、「該第1位相差層」又は「前記(5)で得られた保護層」に読み替える。また、搬送時のシワやカールを抑制するために、各工程におけるフィルム搬送時には、保護フィルムを貼合してもよい。
また、
(1a)基材が巻芯に巻き取られているロールを準備する工程、
(2a)該ロールから、該基材を連続的に送り出す工程、
(3a)該基材上に配向膜を連続的に形成する工程、
(4a)該配向膜上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に第2位相差層を形成する工程、
(5a)前記(4a)で得られた第2位相差層の上に保護層を連続的に形成する工程、
(6a)前記(5a)で得られた保護層の上に配向膜を連続的に形成する工程、
(7a)前記(6a)で得られた配向膜の上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に第1位相差層を形成する工程、
(8a)連続的に得られた光学フィルムを第2の巻芯に巻き取り、第2ロールを得る工程を順に行う方法も挙げられる。なお、工程(3a)、(5a)及び(6a)は、必要に応じて省略してもよく、この際、工程(4a)における「該配向膜上」は、「該基材上」に、工程(6a)における「前記(5a)で得られた保護層」は、「該第2位相差層」に、工程(7a)における「前記(6a)で得られた配向膜」は、「該第2位相差層」又は「前記(5a)で得られた保護層」に読み替える。また、搬送時のシワやカールを抑制するために、各工程におけるフィルム搬送時には、保護フィルムを貼合してもよい。
また、
(1b)基材が巻芯に巻き取られているロールを準備する工程、
(2b)該ロールから、該基材を連続的に送り出す工程、
(3b)該基材上に配向膜を連続的に形成する工程、
(4b)該配向膜上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に第1位相差層を形成する工程、
(5b)前記(4b)で得られた第1位相差層と反対の基材面に配向膜を連続的に形成する工程、
(6b)前記(5b)で得られた配向膜上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に第2位相差層を形成する工程、
(7b)連続的に得られた光学フィルムを第2の巻芯に巻き取り、第2ロールを得る工程、を順に行う方法も挙げられる。なお、工程(3b)、及び(5b)は、必要に応じて省略してもよく、この際、工程(4b)における「該配向膜上」は、「該基材上」に、工程(6b)における「前記(5b)で得られた配向膜上」は、「前記(4b)で得られた第1位相差層と反対の基材面」に読み替える。また、搬送時のシワやカールを抑制するために、各工程におけるフィルム搬送時には、保護フィルムを貼合してもよい。
また、
(1c)透明基材が巻芯に巻き取られているロールを準備する工程、
(2c)該ロールから、該透明基材を連続的に送り出す工程、
(3c)該透明基材上に配向膜を連続的に形成する工程、
(4c)該配向膜上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に第2位相差層を形成する工程、
(5c)前記(4c)で得られた第2位相差層と反対の基材面に配向膜を連続的に形成する工程、
(6c)前記(5c)で得られた配向膜上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に第1位相差層を形成する工程、
(7c)連続的に得られた光学フィルムを第2の巻芯に巻き取り、第2ロールを得る工程、を順に行う方法も挙げられる。なお、工程(3c)、及び(5c)は、必要に応じて省略してもよく、この際、工程(4c)における「該配向膜上」は、「該基材上」に、工程(6c)における「前記(5c)で得られた配向膜上」は、「前記(4c)で得られた第2位相差層と反対の基材面」に読み替える。また、搬送時のシワやカールを抑制するために、各工程におけるフィルム搬送時には、保護フィルムを貼合してもよい。
また、
(1d)基材が巻芯に巻き取られているロールを準備する工程、
(2d)該ロールから、該基材を連続的に送り出す工程、
(3d)該基材上に配向膜を連続的に形成する工程、
(4d)該配向膜上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に層Aを形成する工程、
(5d)前記(4d)で得られた層Aの上に保護層を連続的に形成する工程、
(6d)前記(5d)で得られた保護層の上に配向膜を連続的に形成する工程、
(7d)前記(6d)で得られた配向膜の上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に層Bを形成する工程、
(8d)前記(7d)で得られた層Bの上に保護層を連続的に形成する工程、
(9d)前記(8d)で得られた保護層の上に配向膜を連続的に形成する工程、
(10d)前記(9d)で得られた配向膜の上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に第2位相差層を形成する工程、
(11d)連続的に得られた光学フィルムを第2の巻芯に巻き取り、第2ロールを得る工程を順に行う方法が挙げられる。なお、工程(3d)、(5d)、(6d)、(8d)、及び(9d)、は、必要に応じて省略してもよく、この際、工程(4d)における「該配向膜上」は、「該基材上」に、工程(6d)における「前記(5d)で得られた保護層」は、「該層A」に、工程(7d)における「前記(6d)で得られた配向膜」は、「該層A」又は「前記(5d)で得られた保護層」に、工程(9d)における「前記(8d)で得られた保護層」は、「該層B」に、工程(10d)における「前記(9d)で得られた配向膜」は、「該層B」又は「前記(9d)で得られた保護層」に読み替える。また、搬送時のシワやカールを抑制するために、各工程におけるフィルム搬送時には、保護フィルムを貼合してもよい。
また、
(1e)基材が巻芯に巻き取られているロールを準備する工程、
(2e)該ロールから、該基材を連続的に送り出す工程、
(3e)該基材上に配向膜を連続的に形成する工程、
(4e)該配向膜上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に第1位相差層を形成する工程、
(5e)前記(4e)で得られた第1位相差層の上に保護層を連続的に形成する工程、
(6e)前記(5e)で得られた保護層の上に配向膜を連続的に形成する工程、
(7e)前記(6e)で得られた配向膜の上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に第2位相差層を形成する工程、
(8e)前記(4e)で得られた第1位相差層と反対の基材面に配向膜を連続的に形成する工程、
(9e)前記(8e)で得られた配向膜上に重合性液晶組成物を塗布し、連続的に第3位相差層を形成する工程、
(10e)連続的に得られた光学フィルムを第2の巻芯に巻き取り、第2ロールを得る工程を順に行う方法も挙げられる。なお、
工程(3e)、(5e)及び(8e)は、必要に応じて省略してもよく、この際、工程(4e)における「該配向膜上」は、「該基材上」に、工程(6e)における「前記(5e)で得られた保護層」は、「前記(4e)で得られた第1位相差層」に、工程(9e)における、「前記(8e)で得られた配向膜上」は、「前記(4e)で得られた第1位相差層と反対の基材面」に読み替える。また、搬送時のシワやカールを抑制するために、各工程におけるフィルム搬送時には、保護フィルムを貼合してもよい。また、搬送時のシワやカールを抑制するために、各工程におけるフィルム搬送時には、保護フィルムを貼合してもよい。
図2は、位相差板30の具体例を模式的に示す概略断面図である。図2(a)は、第1位相差層31及び第2位相差層32が積層された位相差板30である。図2(b)は、基材33、第1位相差層31及び、第2位相差層32が、この順番で積層された位相差板30である。図2(c)は、基材33、第2位相差層32及び、第1位相差層31が、この順番で積層された位相差板30である。図2(d)は、第1位相差層31、基材33及び、第2位相差層が、この順番で積層された位相差板30である。
基材33を有する位相差板30から基材を取り除くことで基材を有さない位相差板30(図2(a))を得ることができる。
また、第1位相差層31を有する基材33と、第2位相差層32を有する基材33’を貼り合せることでも、位相差板30を製造することができる。具体例としては、図2(e)、図2(f)及び図2(g)が挙げられる。貼り合せには、貼合層(以下、位相差板30内での層間の貼合に用いられる貼合層を「第3貼合層」とも称する。)を用いることができる。
図3は、第1位相差層が層A及び層Bから構成される場合、又は、第3位相差層を有する場合の、位相差板30の具体例を模式的に示す概略断面図である。図3(a)は、層A34、層B35、第2位相差層32がこの順で積層された位相差板30である。図3(b)は、層B35、層A34、第2位相差層32がこの順で積層された位相差板30である。図3(c)は、基材33、層A34、層B35及び第2位相差層32がこの順番で積層された位相差板30である。図3(d)は、基材33、第1位相差層31、第2位相差層32及び第3位相差層38がこの順番で積層された位相差板30である。図3(e)は、基材33、層B35、層A34及び第2位相差層32がこの順番で積層された位相差板30である。図3(f)は、基材33、第3位相差層38、第2位相差32及び第1位相差層31がこの順番で積層された位相差板30である。図3(g)は、基材33、第2位相差32、層B35及び層A34がこの順番で積層された位相差板30である。図3(h)は、基材33、第2位相差32、層A34及び層B35がこの順番で積層された位相差板30である。基材33を有する位相差板30から基材33を剥離することで基材33を有さない位相差板30(図3(a)、(b))を得ることもできる。
第1位相差層31、層A34及び層B35を含む構成の場合、又は、第3位相差層33を有する場合には基材33の両面にそれぞれの層を積層してもよい。具体的な例として、例えば、図3(i)は、第2位相差層32、基材33、層A34及び層B35がこの順番で積層された位相差板30である。図3(j)は、第2位相差層32、基材33、層B35及び層A34がこの順番で積層された位相差板30である。図3(k)は、第1位相差層31、基材33、第3位相差層38及び第2位相差層32がこの順番で積層された位相差板30である。図3(l)は、第1位相差層31、基材33、第2位相差層32及び第3位相差層38がこの順番で積層された位相差板30である。図3(m)は、第3位相差層38、基材33、第1位相差層31及び第2位相差層32がこの順番で積層された位相差板30である。図3(n)は、第3位相差層38、基材33、第2位相差層32及び第1位相差層31がこの順番で積層された位相差板30である。第2位相差層32、層A34及び層B35は、各層上に直接塗布により形成してもよく、各層を製造後貼合によって貼り合せてもよく、また各層を順次転写によって積層してもよい。
位相差板30は、第1位相差層31と第2位相差層32との間に、介在する他の層を有する構成であっても、介在する他の層を有しない構成であってもよい。介在する他の層としては、基材33、上述の保護層、上述の配向膜、第3貼合層が挙げられる。位相差板30は、第1位相差層31と第2位相差層32との間に、介在する他の層として配向膜のみを有する構成や、介在する他の層を有しない構成においては、第1位相差層31と第2位相差層32との間の剥離強度が1.0N/25mm以下となりやすくなる。本明細書において、第1位相差層31と第2位相差層32との間に介在する層は、第1位相差層31の第2位相差層32側の最表面から第2位相差層32の第1位相差層31側の最表面との間に介在する層を意味する。したがって、第1位相差層31が層Aと層Bとから構成される場合、層Aと層Bとの間に介在する層は、第1位相差層31と第2位相差層32との間に介在する層とはみなさない。
[第2貼合層、第3貼合層]
第2貼合層は、直線偏光板10内で層同士を貼合するために用いられる貼合層であり、第3貼合層は、位相差板30内で層同士を貼合するために用いられる貼合層である。以下、貼合層という場合には、第2貼合層および第3貼合層のどちらをも含むものとする。
貼合層は、粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層、又は、接着剤組成物を用いて形成された接着剤層である。第2貼合層および第3貼合層は、熱付与時の熱収縮挙動を抑制する観点からは接着剤層であることが好ましい。
貼合層が粘着剤層である場合、粘着剤層を形成するために用いる粘着剤組成物としては、上記の透湿度を満たすことができるものであれば特に限定されない。粘着剤組成物としては、例えば、ゴム系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリビニルエーテル系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系ポリマー、ポリビニルピロリドン系ポリマー、ポリ(メタ)アクリルアミド系ポリマー、セルロース系ポリマー等のポリマーを主成分として含むものであればよい。本明細書において、主成分とは、粘着剤組成物の全固形分のうち50質量%以上を含む成分をいう。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。粘着剤組成物としては、ゴム系ポリマーが好ましい。なお、上記「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及びメタクリルの少なくとも1種」を意味する。「(メタ)アクリレート」等の表記も同様である。
ゴム系ポリマーとしては、天然ゴム;ポリイソブチレンゴム(PIB)、イソプレンゴム(IR)、イソブチレン-イソプレンゴム(IIR)、ノルマルブチレン-イソブチレン共重合体ゴム、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレンゴム(SIR)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SIBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SEPS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体ゴム(SBS)、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体ゴム(SEP)等の合成ゴム等を挙げることができる。ゴム系ポリマーは、ポリイソブチレンゴム(PIB)、イソブチレン-イソプレンゴム(IIR)、ノルマルブチレン-イソブチレン共重合体ゴムが好ましく、ポリイソブチレンゴム(PIB)がより好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上をモノマーとする重合体又は共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有しており、活性エネルギー線照射前においても粘着性を有してフィルム等の被着体に密着させることができ、活性エネルギー線の照射によって硬化して密着力の調整ができる性質を有する粘着剤組成物である。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、紫外線硬化型であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物は、ベースポリマー、架橋剤に加えて、活性エネルギー線重合性化合物をさらに含有する。さらに必要に応じて、光重合開始剤や光増感剤等を含有させることもある。
粘着剤組成物は、ポリマーに加えて溶剤;粘着付与剤、軟化剤、充填剤(金属粉やその他の無機粉末等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、着色剤、消泡剤、腐食防止剤、光重合開始剤等の添加剤を含むことができる。活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物を用いた場合は、形成された粘着剤層に、活性エネルギー線を照射することにより所望の硬化度を有する硬化物とすることができる。
粘着剤層は、上記粘着剤組成物の有機溶剤希釈液を基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
貼合層が接着剤層である場合、接着剤層を形成するために用いる接着剤組成物としては、上記の透湿度を満たすことができるものであれば特に限定されない。接着剤組成物としては、例えば、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、天然ゴム接着剤、α-オレフィン系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エチレン-酢酸ビニル樹脂エマルション接着剤、エチレン-酢酸ビニル樹脂系ホットメルト接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂溶剤系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、スチレン-ブタジエンゴム溶剤系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ニトロセルロース系接着剤、反応性ホットメルト接着剤、フェノール樹脂系接着剤、変性シリコーン系接着剤、ポリエステル系ホットメルト接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリウレタン樹脂ホットルト接着剤、ポリオレフィン樹脂ホットメルト接着剤、ポリ酢酸ビニル樹脂溶剤系接着剤、ポリスチレン樹脂溶剤系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルピロリドン樹脂系接着剤、ポリビニルブチラール系接着剤、ポリベンズイミダゾール接着剤、ポリメタクリレート樹脂溶剤系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、レゾルシノール系接着剤等が挙げられる。このような接着剤は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
水系接着剤としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルション接着剤等を挙げることができる。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって硬化する接着剤であり、例えば重合性化合物及び光重合性開始剤を含むもの、光反応性樹脂を含むもの、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含むもの等を挙げることができる。上記重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性(メタ)アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマー等の光重合性モノマーや、これらモノマーに由来するオリゴマー等を挙げることができる。上記光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射して中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルといった活性種を発生する物質を含むものを挙げることができる。
貼合層の厚みは特に限定されないが、貼合層が粘着剤層である場合、5μm以上であることが好ましく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、通常200μm以下であり、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。貼合層が接着剤層である場合、貼合層の厚みは、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよく、また5μm以下であることが好ましく、3μm以下であってもよく、2μm以下であってもよい。
[偏光板の製造方法]
本実施形態の偏光板は、上記位相差板と上記直線偏光板とを、第1貼合層を用いて貼り合わせることで得ることができる。位相差板の第1位相差層が一層のみから構成され、かつ遅相軸が一つしか存在しない場合、位相差板の第1位相差層の遅相軸(光軸)に対して、該直線偏光板の透過軸が実質的に45°となるように設定するのが好ましい。実質的に45°とは、通常45±5°の範囲である。このような角度の配置において、偏光板は、円偏光板として機能することができる。
直線偏光板へ、基材を有さない位相差板を貼合する方法としては、基材を取り除いた位相差板を、第1貼合層を用いて直線偏光板へ貼合する方法、及び、位相差板を第1貼合層を用いて直線偏光板へ貼合した後に、基材を取り除く方法等が挙げられる。この際、第1貼合層は、位相差板が有する位相差層側に粘接着剤を塗布することにより直接形成されてもよく、直線偏光板側へ粘接着剤を塗布することにより直接形成されてもよく、または予め他の基材上に形成されている第1貼合層を直線偏光板と位相差板との間に介在させてもよい。基材と、位相差層との間に配向膜がある場合は、基材と共に配向膜も取り除いてもよい。
位相差層又は配向膜等と化学結合を形成する官能基を表面に有する基材は、位相差層又は配向膜等と化学結合を形成し、取り除き難くなる傾向がある。よって基材を剥離して取り除く場合は、表面の官能基が少ない基材が好ましく、また、表面に官能基を形成する表面処理を施していない基材が好ましい。
また、基材と化学結合を形成する官能基を有する配向膜は、基材と配向膜との密着力が大きくなる傾向があるため、基材を剥離して取り除く場合は、基材と化学結合を形成する官能基が少ない配向膜が好ましい。また、基材と配向膜とを架橋する試薬が含まれないことが好ましく、さらに、配向性ポリマー組成物及び光配向膜形成用組成物等の溶液には基材を溶解する、溶剤等の成分が含まれないことが好ましい。
また、位相差層と化学結合を形成する官能基を有する配向膜は、位相差層と配向膜との密着力が大きくなる傾向がある。よって基材と共に配向膜を取り除く場合は、位相差層と化学結合を形成する官能基が少ない配向膜が好ましい。また、位相差層及び配向膜には、位相差層と配向膜とを架橋する試薬が含まれないことが好ましい。
また、配向膜と化学結合を形成する官能基を有する位相差層は、配向膜と位相差層との密着力が大きくなる傾向がある。よって基材を取り除く場合又は、基材と共に配向膜を取り除く場合は、基材又は配向膜と化学結合を形成する官能基が少ない位相差層が好ましい。また、重合性液晶組成物は、好ましくは基材又は配向膜と位相差層とを架橋する試薬を含まない。
例えば、基材、第2位相差層32及び、第1位相差層31がこの順番で積層された位相差板30の第1位相差層31の表面に第1貼合層21を貼付し、そこへ直線偏光板10を貼合し、その後、位相差板30の基材を取り除くことで、直線偏光板10、第1貼合層21、第1位相差層31及び、第2位相差層32がこの順番で積層された、図1に示される構成の偏光板を製造することができる。また、基材、第1位相差層及び、第2位相差層がこの順番で積層された位相差板の第2位相差層の表面に第1貼合層を貼付し、そこへ直線偏光板を貼合し、その後、位相差板の基材を取り除くことで、直線偏光板、第2位相差層及び、第1位相差層がこの順番で積層された偏光板を製造することができる。薄膜化の観点から、基材を剥離する事が好ましい。
第1位相差層が層A及び層Bを含む場合、又は、第3位相差層を含む場合は、各層の積層方向に制限がある。
具体的には、λ/4の位相差を有する層Aと、λ/2の位相差を有する層Bを積層する場合、直線偏光板の吸収軸に対して、まず層Bを、層Bの遅相軸が75°となるように形成し、次に層Aを、層Aの遅相軸が15°となるように形成する。
また、λ/4の位相差を有する第1位相差層と、λ/2の位相差を有する第3位相差層を有する場合、直線偏光板の吸収軸に対して、まず第3位相差層を、第3位相差層の遅相軸が75°となるように形成し、次に第1位相差層を、第1位相差層の遅相軸が15°となるように形成する。第2位相差層の位置に制限はないが、直線偏光板、層B及び層Aがこの順番で積層されか、又は、直線偏光板、第3位相差層及び第1位相差層がこの順番で積層される必要がある。このように積層することで、得られる偏光板は広帯域円偏光板として機能を発現することが可能となる。ここで、層Aと層Bを形成する軸角度に制限はなく、例えば、特開2004-126538号公報に記載のように、層Aと層Bの遅相軸角度を偏光板の吸収軸に対して30°と-30°、あるいは45°と-45°としても、広帯域λ/4板としての機能を発現させることができることは公知であるから、所望の方法で層を積層することが可能である。
[画像表示装置]
図4は、本実施形態の画像表示装置の一例を模式的に示す概略断面図である。画像表示装置2は、図4に示すように、前面側から、図1に示す偏光板1、画像表示パネル40をこの順に有する。画像表示装置2において、偏光板1は、直線偏光板10側が位相差板30よりも前面側となるような向きで配置される。
偏光板1が円偏光板である場合、画像表示装置2において、外部からの入射光は、偏光板1で反射する光と、偏光板1を透過する光とがある。偏光板1は、最前面に反射防止層を有する構成であってもよく、反射防止層を設けることにより、偏光板1の表面で反射する光(以下、「外部反射光」ともいう)を低減することができる。偏光板1を透過する光は、画像表示パネル40で反射されて反射光となり(以下、「内部反射光」ともいう)、偏光板1に吸収される。内部反射光は、偏光板1で全て吸収されることが望ましいものの、一部は前面から放出される(以下、かかる光を「放出内部反射光」ともいう)。
偏光板1は、偏光板1を画像表示パネル40に貼合させるために用いることができる粘着剤層を後面上に備え、粘着剤層付き偏光板として構成されていてもよい。
<画像表示装置が有していてもよい他の層>
画像表示装置2は、上記した層以外の層を有していてもよい。以下、画像表示装置2が有していてもよい他の層を例示する。
(タッチセンサパネル)
タッチセンサパネルは、画像表示装置の画面に接触(タッチ)する指などを検知(センシング)する装置(センサ)であり、画面上の指の位置を検知して画像表示装置に入力する入力手段として用いられる。タッチセンサパネルは、偏光板1と画像表示パネル40の間に配置されてもよく、偏光板1の前面側に配置されていてもよい。タッチセンサパネルとしては、タッチされた位置を検出可能なセンサであれば、検出方式は限定されることはなく、抵抗膜方式、静電容量結合方式、光センサ方式、超音波方式、電磁誘導結合方式、表面弾性波方式、赤外線方式等のタッチセンサパネルが例示される。低コストであることから、抵抗膜方式、静電容量結合方式のタッチセンサパネルが好適に用いられる。
抵抗膜方式のタッチセンサパネルの一例は、互いに対向配置された一対の基板と、それら一対の基板の間に挟持された絶縁性スペーサーと、各基板の内側の前面に抵抗膜として設けられた透明導電膜と、タッチ位置検知回路とにより構成されている。抵抗膜方式のタッチセンサパネルを設けた画像表示装置においては、前面板の表面がタッチされると、対向する抵抗膜が短絡して、抵抗膜に電流が流れる。タッチ位置検知回路が、このときの電圧の変化を検知し、タッチされた位置が検出される。
静電容量結合方式のタッチセンサパネルの一例は、基板と、基板の全面に設けられた位置検出用透明電極と、タッチ位置検知回路とにより構成されている。静電容量結合方式のタッチセンサパネルを設けた画像表示装置においては、前面板の表面がタッチされると、タッチされた点で人体の静電容量を介して透明電極が接地される。タッチ位置検知回路が、透明電極の接地を検知し、タッチされた位置が検出される。静電容量方式タッチセンサパネルは活性領域及び前記活性領域の外郭部に位置する非活性領域に区分される。活性領域は表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であって、使用者のタッチが感知される領域であり、非活性領域は表示装置で画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。
タッチセンサパネルの厚みは、例えば5μm以上2,000μm以下であってよく、5μm以上100μm以下であってもよい。
<フレキシブル画像表示装置>
画像表示装置は、フレキシブル画像表示装置であってもよい。フレキシブル画像表示装置は、折り曲げ可能な画像表示装置である。フレキシブル画像表示装置は、光学式指紋認証システムが組み込まれ、折り曲げ可能な画像表示素子と、本発明の偏光板とを備える。折り曲げ可能な画像表示素子は、例えば有機EL表示パネルである。有機EL表示パネルに対して視認側に本発明の偏光板が配置され、折り曲げ可能に構成されている。フレキシブル画像表示装置用偏光板は、さらに前面板やタッチセンサパネルを備えていてもよい。
視認側から前面板、本発明の偏光板、およびタッチセンサパネルがこの順に積層されているか、または視認側から前面板、タッチセンサパネルおよび本発明の偏光板が、この順に積層されていることが好ましい。タッチセンサパネルよりも視認側に偏光子が存在すると、タッチセンサパネルのパターンが視認されにくくなり、結果として表示画像の視認性が良くなるので、タッチセンサパネルよりも視認側に本発明の偏光板を備える構成、すなわち、前面板、本発明の偏光板及びタッチセンサパネルをこの順で備えることがさらに好ましい。それぞれの部材は接着剤、粘着剤等を用いて積層することができる。また、前面板、偏光板、タッチセンサパネルのいずれかの層の少なくとも一面に形成された遮光パターンを具備することができる。
視認側から前面板、本発明の偏光板および、折り曲げ可能な画像表示パネルを備えるフレキシブル画像表示装置において、前面板および本発明の偏光板は、偏光板と、前面板とを備える前面板付き偏光板を構成する。この前面板付き偏光板において、前面板は通常、偏光板の視認側に配置され、偏光板とは、例えば粘着剤または接着剤により積層される。
視認側からタッチセンサパネル、本発明の偏光板および、折り曲げ可能な画像表示パネルを備えるフレキシブル画像表示装置において、タッチセンサパネルおよび本発明の偏光板は、偏光板とタッチセンサパネルとを備えるタッチセンサパネル付き偏光板を構成する。また、視認側から、本発明の偏光板、タッチセンサパネル、および折り曲げ可能な画像表示素子を備えるフレキシブル画像表示装置において、タッチセンサパネルおよび本発明の偏光板は、偏光板とタッチセンサパネルとを備えるタッチセンサパネル付き偏光板を構成する。このタッチセンサパネル付き偏光板において、タッチセンサパネルは偏光板よりも背面側(視認側とは反対側)に配置されてもよいし、偏光板よりも視認側に配置されてもよい。タッチセンサパネルと偏光板とは、例えば粘着剤または接着剤により積層される。
本発明の偏光板は、その視認側に前面板を積層して前面板付き偏光板として用いることもできる。前面板付き偏光板は、本発明の偏光板と、その視認側に配置された前面板とを備える。
(前面板)
前面板としては、ガラス、樹脂フィルムの少なくとも一面にハードコート層を含んでなるもの等が挙げられる。ガラスとしては、例えば、高透過ガラスや、強化ガラスを用いることができる。特に薄い透明面材を使用する場合には、化学強化を施したガラスが好ましい。ガラスの厚みは、例えば100μm~5mmとすることができる。
樹脂フィルムの少なくとも一面にハードコート層を含んでなる前面板は、既存のガラスのように硬直ではなく、フレキシブルな特性を有することができる。ハードコート層の厚さは特に限定されず、例えば、5μm~100μmであってもよい。
樹脂フィルムとしては、例えばノルボルネン、多環ノルボルネン系単量体のようなシクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体、セルロース(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、イソブチルエステルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース)エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリシクロオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ等の高分子で形成されたフィルムであってもよい。これらの高分子はそれぞれ単独又は2種以上混合して使用することができる。
樹脂フィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルム、例えば1軸延伸フィルム、2軸延伸フィルムであってもよい。樹脂フィルムとしては、透明性及び耐熱性に優れている点で、ポリアミドイミドフィルム、ポリイミドフィルム、1軸延伸ポリエステルフィルム、2軸延伸ポリエステルフィルムが好ましく、透明性及び耐熱性に優れるとともに、フィルムの大型化に対応できる点で、シクロオレフィン系誘導体フィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムが好ましく、透明性と光学的に異方性のない樹脂フィルムが比較的入手しやすい点で、トリアセチルセルロース及びイソブチルエステルセルロースフィルムが、それぞれ好ましい。樹脂フィルムの厚さは、通常5~200μmであり、好ましくは20~100μmである。
(遮光パターン)
遮光パターンはベゼルとも呼ばれる部材であり、前面板における表示素子側に形成することができる。遮光パターンを備えることにより、表示装置を構成する各配線を隠して使用者に視認されないようにすることができる。遮光パターンの色及び材質は特に制限されることはなく、黒色、白色、金色等の多様な色を有する樹脂物質で形成することができる。一実施形態において、遮光パターンの厚さは2μm~50μmであってもよく、好ましくは4μm~30μmであってもよく、より好ましくは6μm~15μmの範囲であってもよい。また、遮光パターンと表示部の間の段差による気泡混入及び境界部の視認を抑制するために、遮光パターンに形状を付与することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。実施例、比較例中の「%」及び「部」で表される配合量は、特記しない限り、質量%及び質量部である。
(1)活性エネルギー線硬化型接着剤の調製
下記成分を配合して混合した後、脱泡して、活性エネルギー線硬化型接着剤A、B、Cをそれぞれ調製した。
<活性エネルギー線硬化型接着剤A>
・3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名:CEL2021P、株式会社ダイセル製):70質量部
・ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(商品名:EX-211、ナガセケムテックス株式会社製):20質量部
・2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(商品名:EX-121、ナガセケムテックス株式会社製):10質量部
・カチオン重合開始剤(商品名:CPI-100_50%溶液、サンアプロ株式会社製):4.5質量部(実質固形分2.25質量部)
・1,4-ジエトキシナフタレン:2質量部
<活性エネルギー線硬化型接着剤B>
・ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(商品名:EX-211L、ナガセケムテックス(株)製):30質量部
・3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(商品名:OXT-221、東亞合成(株)製):13質量部
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:EP-4100E、(株)ADEKA、粘度13Pa・s(温度25℃)):45質量部
・芳香族含有オキセタン化合物(商品名:TCM-104、TRONLY製):12質量部
・カチオン重合開始剤(商品名:CPI-100_50%溶液、サンアプロ株式会社製):4.5質量部(実質固形分2.25質量部)
・1,4-ジエトキシナフタレン:1質量部
<活性エネルギー線硬化型接着剤C>
・N,N-ジメチルアクリルアミド(KJケミカルズ(株)製):7重量部
・4-ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機工業(株)):55重量部
・1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成(株)):28重量部
・紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(商品名:UV-3000B、日本合成化学工業(株)):10重量部
・2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(商品名:DAROCUR 1173、BASFジャパン(株)):3重量部
<接着剤層の引張貯蔵弾性率の測定>
厚み50μmの環状ポリオレフィン系樹脂フィルムの片面に、第一理化(株)製のバーコーターで、ワイヤーバー#18を用いて、厚みが25μmとなるように接着剤組成物(活性エネルギー線硬化型接着剤A~C)を塗工した。次に、フュージョンUVシステムズ社製の「Fusion UVランプシステム」でランプに「Dバルブ」を用いて、UV波長領域UVAの積算光量が3000mJ/cm(測定器:FusionUVシステムズ社製UV Power PuckIIによる測定値)となるように温度25℃相対湿度60%RHの大気中で紫外線を照射した。その後、温度25℃相対湿度60%RHの大気中暗黒化に48時間静置して、接着剤を硬化させた。これを5mm×30mmの大きさに裁断し、環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを剥がして接着剤の硬化フィルムを得た。
上記のように得られた接着剤の硬化フィルムを、その長辺が引張り方向となるように、アイティー計測制御(株)製の動的粘弾性測定装置「DVA-220」を用いてつかみ具の間隔2cmで把持し、引張りと収縮の周波数を10Hz、測定温度を23℃にし、温度23℃における引張貯蔵弾性率を求めた。接着剤層A~Cの引張貯蔵弾性率はそれぞれ、
接着剤層A:2.1×10MPa、接着剤層B:2.4×10MPa、接着剤層C:0.56MPaであった。
(2)粘着剤層の作製
両面が剥離フィルムに貼り合わせられた、以下のアクリル系粘着剤層(1)~(3)を用意した。
<粘着剤層(1)>
(2-1-1)アクリル樹脂溶液1の調製
冷却管、窒素導入管、温度計、及び撹拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル100部、アクリル酸ブチル99.0部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.5部、及びアクリル酸0.5部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.12部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。重合開始剤を添加した後、1時間この温度で保持し、次いで内温を54~56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hrで反応容器内へ連続的に加え、(メタ)アクリル系樹脂の濃度が35質量%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から6時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えて(メタ)アクリル系樹脂の濃度が20質量%となるように調節し、アクリル樹脂溶液1を調製した。得られたアクリル樹脂は、重量平均分子量Mwが170万、分子量分布Mw/Mnが3.9であった。なお、Mw及びMnは、GPC装置にカラムとして、東ソー(株)製の「TSKgel GMHHR-H(S)」を2本直列につないで配置し、溶出液としてテトラヒドロフランを用い、試料濃度2mg/mL、試料導入量100μL、温度40℃、流速1mL/分の条件で、標準ポリスチレン換算により測定した。
(2-1-2)粘着剤組成物1の調製
(2-1-1)にて得られたアクリル樹脂溶液1の固形分80部に対して、二官能アクリレート(新中村化学工業株式会社より入手;品番「A-DOG」)を20部(固形分)、架橋剤(東ソー株式会社製:商品名「コロネートL」(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75質量%))を有効成分ベースで2.5部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:商品名「イルガキュア500」)を1.5部、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製:商品名「KBM-403」)を0.3部添加し、更に固形分濃度が13%となるように酢酸エチルを添加して粘着剤組成物1を得た。
A-DOGは、ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンとのアセタール化合物のジアクリレートであって、下式の構造を有する。
Figure 0007361849000019
(2-1-3)粘着剤層(1)の作製
上記(2-1-2)で調製した粘着剤組成物1を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレートフィルム〔リンテック(株)から入手した「PLZ-383030」〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥して粘着剤層(粘着剤シート)を作製した。次いで得られた粘着剤層のセパレータフィルムと反対側の表面を離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレートフィルム〔リンテック(株)から入手した「PLR-381031」〕の離型処理面と貼合した。続けて紫外線を下記の条件で照射し、粘着剤層(1)を作製した。得られた粘着剤層の温度23℃でのずり貯蔵弾性率は0.13MPaであった。
<UV照射条件>
・Fusion UVランプシステム(フュージョンUVシステムズ社製)Hバルブ使用
・UV波長領域UVAの積算光量250mJ/cm(測定器:FusionUV社製UV Power PuckIIによる測定値)
<粘着剤層(2)>
(2-2-1)アクリル樹脂溶液2の調製
冷却管、窒素導入管、温度計、及び撹拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル81.8部、アクリル酸ブチル90.0部、アクリル酸メチル5.0部及びアクリル酸5.0部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.15部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。重合開始剤を添加した後、1時間この温度で保持し、次いで内温を54~56℃に保ちながら酢酸エチルを添加速度17.3部/hrで反応容器内へ連続的に加え、(メタ)アクリル系樹脂の濃度が35質量%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から6時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えて(メタ)アクリル系樹脂の濃度が20質量%となるように調節し、アクリル樹脂溶液2を調製した。得られたアクリル樹脂は、重量平均分子量Mw が160万、分子量分布Mw/Mnが4.5であった。なお、Mw及びMnは、GPC装置にカラムとして、東ソー(株)製の「TSKgel GMHHR-H(S)」を2本直列につないで配置し、溶出液としてテトラヒドロフランを用い、試料濃度2mg/mL、試料導入量100μL、温度40℃、流速1mL/分の条件で、標準ポリスチレン換算により測定した。
(2-2-2)粘着剤組成物2の調製
(2-2-1)にて得られたアクリル樹脂溶液2の固形分100部に対して、架橋剤(東ソー株式会社製:商品名「コロネートL」(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75質量%))を有効成分ベースで0.15部、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製:商品名「KBM-403」)を0.2部添加し、更に固形分濃度が13%となるように酢酸エチルを添加して粘着剤組成物2を得た。
(2-2-3)粘着剤層(2)の作製
上記(2-2-2)で調製した粘着剤組成物2を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレートフィルム〔リンテック(株)から入手した「PLR-382190」〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥して粘着剤層(粘着剤シート)を作製した。次いで得られた粘着剤層のセパレータフィルムと反対側の表面を離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレートフィルム〔リンテック(株)から入手した「PET-251130」〕の離型処理面と貼合し、粘着剤層(2)を作製した。得られた粘着剤層の温度23℃でのずり貯蔵弾性率は0.026MPaであった。
<粘着剤層(3)>
(2-3-1)アクリル樹脂溶液3の調製
冷却管、窒素導入管、温度計、及び撹拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル91部、アクリル酸2-エチルヘキシル43部、アクリル酸ブチル55部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル2.0部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げた。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。重合開始剤を添加した後、1時間この温度で保持し、次いで内温を54~56℃に保ちながら酢酸エチルを反応容器内へ連続的に加え、(メタ)アクリル系樹脂の濃度が35質量%となった時点で酢酸エチルの添加を止め、さらに酢酸エチルの添加開始から10時間経過するまでこの温度で保温した。最後に酢酸エチルを加えて(メタ)アクリル系樹脂の濃度が20質量%となるように調節し、アクリル樹脂溶液3を調製した。得られたアクリル樹脂は、重量平均分子量Mw が110万、分子量分布Mw/Mnが4.8であった。なお、Mw及びMnは、GPC装置にカラムとして、東ソー(株)製の「TSKgel GMHHR-H(S)」を2本直列につないで配置し、溶出液としてテトラヒドロフランを用い、試料濃度2mg/mL、試料導入量100μL、温度40℃、流速1mL/分の条件で、標準ポリスチレン換算により測定した。
(2-3-2)粘着剤組成物3の調製
(2-3-1)にて得られたアクリル樹脂溶液3の固形分100部に対して、架橋剤(東ソー株式会社製:商品名「コロネートL」(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75質量%))を有効成分ベースで0.3部、シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製:商品名「KBM-403」)を0.25部添加し、更に固形分濃度が15%となるように酢酸エチルを添加して粘着剤組成物3を得た。
(2-3-3)粘着剤層(3)の作製
上記(2-3-2)で調製した粘着剤組成物3を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレートフィルム〔リンテック(株)から入手した「POGW-502190」〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥して粘着剤層(粘着剤シート)を作製した。次いで得られた粘着剤層のセパレータフィルムと反対側の表面に離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレートフィルム〔リンテック(株)から入手した「PLR-381031」〕の離型処理面と貼合し、粘着剤層(3)を作製した。得られた粘着剤層の温度23℃でのずり貯蔵弾性率は0.01MPaであった。
<粘着剤層のずり貯蔵弾性率の測定と引張貯蔵弾性率への変換>
粘着剤層のずり貯蔵弾性率は、粘弾性測定装置(MCR-301、Anton Paar社)を用いて測定した。実施例および比較例で用いたものと同じ粘着剤層を幅30mm×長さ30mmにして、剥離フィルムを剥がし、厚みが200μmとなるように複数枚積層して測定ステージに接合後、測定チップ(PP25,Anton Paar社)と接着した状態で-20℃~100℃の温度領域で周波数1.0Hz、変形量1%、ノーマルフォース1N、昇温速度5℃/分の条件下にて測定を行った。ここで得られるずり貯蔵弾性率に対して、式(10)による変換を行い、温度23℃での引張貯蔵弾性率を得た。
E=G×2×(1+ν) 式(10)
ここで、Eが引張貯蔵弾性率、Gがずり貯蔵弾性率、νがポアソン比である。本明細書では、粘着剤のポアソン比は0.5であるものとして扱う(書籍名「講座・レオロジー」(編者:日本レオロジー学会、発行者:西口守、発行所:(株)高分子刊行会)、15頁の式(1.12)参照)。
(3)偏光子の作製
厚み20μm、重合度2400、ケン化度99%以上のポリビニルアルコールフィルムを、熱ロール上で延伸倍率4.5倍に一軸延伸し、緊張状態を保ったまま、水100質量部あたりヨウ素0.05質量部及びヨウ化カリウム5質量部を含有する、28℃の染色浴に60秒間浸漬した。
次いで、水100質量部あたりホウ酸5.5質量部及びヨウ化カリウム15質量部を含有する、64℃のホウ酸水溶液1に、110秒間浸漬した。次いで、水100質量部あたりホウ酸5.5質量部及びヨウ化カリウム15質量部を含有する、67℃のホウ酸水溶液2に、30秒間浸漬した。その後、10℃の純水を用いて水洗し、乾燥して、偏光子を得た。偏光子の厚みは8μmであり、ホウ素含有量は4.3質量%あった。
(4)保護フィルムの準備
以下の保護フィルムを準備した。
・保護フィルム:厚さ13μmのノルボルネン系樹脂フィルム〔日本ゼオン株式会社製、商品名「ZEONOR」〕。
(5)直線偏光板の作製
上記で作製した偏光子の片面に水系接着剤を介して上記保護フィルムを、ロール貼合機を用いて貼合した。貼合後、80℃で3分間乾燥処理を行った。偏光子の片面にのみ保護フィルムが積層された直線偏光板を得た。直線偏光板は、偏光子、接着剤層及び保護フィルムがこの順に積層されたものであった。
(6)第1位相差層の作製
(i)光配向膜形成用組成物の調製
下記構造の光配向性材料5部(重量平均分子量:30000)とシクロペンタノン(溶媒)95部とを混合した。得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、光配向膜形成用組成物を得た。
Figure 0007361849000020
(ii)第1位相差層形成用組成物の調製
以下に示す重合性液晶化合物A、及び重合性液晶化合物Bを90:10の質量比で混合した。この混合物100部に対して、レベリング剤(F-556;DIC株式会社製)を1.0部、及び重合開始剤である2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(「イルガキュア369(Irg369)」、BASFジャパン株式会社製)を6部添加した。
さらに、固形分濃度が13%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加し、80℃で1時間攪拌することにより、第1位相差層形成用組成物を得た。
重合性液晶化合物Aは、特開2010-31223号公報に記載された方法で製造した。また、重合性液晶化合物Bは、特開2009-173893号公報に記載された方法に準じて製造した。以下にそれぞれの分子構造を示す。
(重合性液晶化合物A)
Figure 0007361849000021
(重合性液晶化合物B)
Figure 0007361849000022
(iii)位相差層基材の準備
厚みが50μmであるシクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製、「ZF-14-50」)上にコロナ処理を施し、位相差層基材とした。コロナ処理は、ウシオ電機株式会社製のTEC-4AXを使用して行った。コロナ処理は、出力0.78kW、処理速度10m/分の条件で1回行った。
(iv)光配向膜の形成
位相差層基材に、光配向膜形成用組成物をバーコーターにより塗布した。塗布膜を80℃で1分間乾燥し、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP-7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、100mJ/cmの積算光量で偏光UV露光を実施した。得られた水平配向膜の厚みをレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)で測定したところ、100nmであった。
(v)第1位相差層の形成
続いて、室温25℃、相対湿度30%の環境下において、第1位相差層形成用組成物を孔径0.2μmのPTFE製メンブレンフィルタ(アドバンテック東洋株式会社製、品番;T300A025A)に通し、25℃に保温した配向膜付き基材フィルム上にバーコーターを用いて塗布した。塗膜を120℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB―15201BY-A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm)した。得られた塗膜の厚みをレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)で測定したところ2μmであった。
得られた第1位相差層の位相差値を測定したところ、Re(450)=121nm、Re(550)=139nm、Re(650)=146nmであった。
各波長での面内位相差値の関係は以下のとおりとなった。
Re(450)/Re(550)=0.87
Re(650)/Re(550)=1.05
(7)第2位相差層の作製
(i)配向性ポリマー組成物(1)の調製
サンエバーSE-610(日産化学株式会社製)1部と2-ブトキシエタノールを99部とを混合して配向性ポリマー組成物(1)を得た。
(ii)第2位相差層形成用組成物の調製
下図で示す重合性液晶(BASF社製、LC242)を19.2部、レベリング剤(ビックケミージャパン社製、「BYK-361N」)を0.1部、重合開始剤(BASFジャパン製「イルガキュア 907」)を0.5部、反応添加剤(BASFジャパン製、「Laromaer LR-9000」)1.1部、及びプロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート79.1部を混合した。混合液を80℃で1時間攪拌することにより、第2位相差層形成用組成物を得た。
Figure 0007361849000023
(iii)位相差層基材の準備
厚みが50μmであるシクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製、「ZF-14-50」)上にコロナ処理を施し、位相差層基材とした。コロナ処理は、ウシオ電機株式会社製のTEC-4AXを使用して行った。コロナ処理は、出力0.78kW、処理速度10m/分の条件で1回行った。
(iv)配向性ポリマー膜の形成
位相差層基材に、配向性ポリマー組成物(1)を、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥し、配向膜を得た。得られた配向膜の膜厚をレーザー顕微鏡で測定したところ、34nmであった。
(v)第2位相差層の形成
続いて、配向膜上に第2位相差層形成用組成物を、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、温度:25℃、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm)することにより第2位相差層を得た。得られた第2位相差層の膜厚をレーザー顕微鏡で測定したところ、膜厚は450nmであった。また、得られた位相差フィルム(2)の波長550nmでの位相差値を測定したところRe(550)=1nm、Rth(550)=-70nmであった。すなわち、第2位相差層は下記式(3)で表される光学特性を有した。なお、COPの波長550nmにおける位相差値は略0であるため、当該光学特性には影響しない。
nx≒ny<nz (3)
(8)位相差板Aの作製
位相差層基材付きの第1位相差層の第1位相差層および位相差層基材付きの第2位相差層の第2位相差層に、それぞれコロナ処理を施した。一方のコロナ処理面に、調製した活性エネルギー線硬化型接着剤Aを塗布して、位相差層基材付きの第1位相差層と位相差層基材付きの第2位相差層とを貼り合わせた。位相差層基材付きの第2位相差層側から紫外線を照射して紫外線硬化性接着剤を硬化させて、接着剤層を形成した。紫外線は、波長320nm~390nmのUVAが420mJ/cmとなるように照射した。位相差層基材/第1位相差層/接着剤層A/第2位相差層/位相差層基材、がこの順に積層された位相差板Aが得られた。硬化後の接着剤層Aの厚みをレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製、「LEXT」)で測定したところ、1.5μmであった。
(9)位相差板Bの作製
活性エネルギー線硬化型接着剤Aに代えて、活性エネルギー線硬化型接着剤Bを用いたこと以外は、(8)と同様にして、位相差板Bを作製した。位相差層基材/第1位相差層/接着剤層B/第2位相差層/位相差層基材、がこの順に積層された位相差板Bが得られた。硬化後の接着剤層Bの厚みをレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製、「LEXT」)で測定したところ、3.0μmであった。
(10)位相差板Cの作製
活性エネルギー線硬化型接着剤層Bの代わりに粘着剤層(1)を使用した以外は、位相差板Bと同様の方法で位相差板Cを作製した
(11)位相差板Dの作製
基材/配向層/第2位相差層(ポジティブCプレート)/配向層/第1位相差層(λ/4層)、がこの順に積層された位相差板Dを以下のようにして作製した。
(基材)
基材として、シクロオレフィンポリマーフィルム(COP)(日本ゼオン株式会社製のZF-14)を準備した。
(コロナ処理)
コロナ処理装置には、春日電機株式会社製のAGF-B10を用いた。コロナ処理は、上記コロナ処理装置を用いて、出力0.3kW、処理速度3m/分の条件で1回行った。
(高圧水銀ランプ)
高圧水銀ランプには、ウシオ電機株式会社製のユニキュアVB―15201BY-Aを
用いた。
コロナ処理を施した基材の表面に、位相差板Aの作製において調製した配向性ポリマー組成物(1)を、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥した。得られた配向膜の膜厚をレーザー顕微鏡で測定したところ、34nmであった。続いて、配向膜上に、位相差板Aの作製において調製した第2位相差層形成用組成物を、バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥した後、高圧水銀ランプを用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm)することにより第2位相差層(ポジディブCプレート)を形成し、第2位相差層を有する第2位相差フィルムを得た。得られた第2位相差層の膜厚をレーザー顕微鏡で測定したところ、膜厚は450nmであった。また、得られた第2位相差フィルムの波長550nmでの位相差値を測定したところ、Re(550)=1nm、Rth(550)=-70nmであった。すなわち、第2位相差層は、下記式(3):
nx≒ny<nz (3)
で表される光学特性を有した。なお、基材の波長550nmにおける位相差値は略0であるため、当該光学特性には影響しない。
次に、第2位相差フィルムの第2位相差層の上に、下記配向性ポリマー組成物(2)をバーコーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥した。得られた配向膜の厚みをレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)で測定したところ、100nmであった。続いて、配向膜をラビング処理し処理面に位相差板Aの作製において調製した第1位相差層形成用組成物にさらにLarmer(登録商標)LR9000(BASFジャパン社製)1部を加えた組成物を、バーコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥した。高圧水銀ランプを用いて、塗膜に紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm)することにより、第2位相差層の上に第1位相差層を形成し、位相差板Dを得た。得られた第1位相差層の厚みをレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)で測定したところ2μmであった。得られた位相差板Dの位相差値を測定したところ、Re(450)=121nm、Re(550)=139nm、Re(650)=146nmであった。
各波長での面内位相差値の関係は以下のとおりとなった。
Re(450)/Re(550)=0.87
Re(650)/Re(550)=1.05
すなわち、得られた位相差板Dは上述の式(1)、(2)及び(4)で表される光学特性を有した。
(配向性ポリマー組成物(2))
市販のポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)、水を加えて100℃で1時間加熱し、固形分量2質量%(溶剤濃度98質量%)の配向性ポリマー組成物(2)を得た。
(12)円偏光板の作製
(実施例1)
直線偏光板の偏光子にコロナ処理を施し、剥離フィルム付き粘着剤層(1)の一方の剥離フィルムを剥離した面を貼合した後、粘着剤層の他方の剥離フィルムを剥離した。この粘着剤層に対して位相差板Aの第1位相差層側の位相差層基材を剥離してコロナ処理を施したものを積層した。続けて、第2位相差層側の位相差層基材を剥離した面にコロナ処理を施し、剥離フィルム付き粘着剤層(2)の一方の剥離フィルムを剥離した面を貼合した。このようにして、直線偏光板/粘着剤層(1)/第1位相差層/接着剤層A/第2位相差層/粘着剤層(2)/剥離フィルム、が積層された実施例1の円偏光板を得た。
(実施例2)
粘着剤層(1)の代わりに粘着剤層(2)を使用した以外は実施例1と同様に円偏光板を作製した。
(実施例3)
粘着剤層(1)の代わりに粘着剤層(3)を使用した以外は実施例1と同様に円偏光板を作製した。
(実施例4)
直線偏光板の偏光子側および位相差板Aの第1位相差層側の位相差層基材を剥離した面に、それぞれコロナ処理を施した。一方のコロナ処理面に、調製した活性エネルギー線硬化型接着剤Cを塗布して、直線偏光板と位相差板Aとを貼り合わせた。直線偏光板側から紫外線を照射して紫外線硬化性接着剤を硬化させて、接着剤層Cを形成した。紫外線は、波長320nm~390nmのUVAを420mJ/cmで照射した。硬化後の活性エネルギー線硬化型接着剤の厚みをレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製、「LEXT」)で測定したところ、1.5μmであった。続けて、第2位相差層側の位相差層基材を剥離した面にコロナ処理を施し、剥離フィルム付き粘着剤層(2)の一方の剥離フィルムを剥離した面を貼合した。このようにして、直線偏光板/接着剤層C/第1位相差層/接着剤層A/第2位相差層/粘着剤層(2)/剥離フィルムが積層された比較例1の円偏光板を得た。
(実施例5)
位相差板Aの代わりに位相差板Dを使用した以外は実施例1と同様に円偏光板を作製した。なお、位相差層の形成に用いた基材を剥離してから、粘着剤層(2)を積層した。
(実施例6)
粘着剤層(1)の代わりに粘着剤層(2)を使用した以外は実施例5と同様に円偏光板を作製した。
(実施例7)
粘着剤層(1)の代わりに粘着剤層(3)を使用した以外は実施例5と同様に円偏光板を作製した。
(実施例8)
位相差板Aの代わりに位相差板Dを使用した以外は実施例4と同様に円偏光板を作製した。
(比較例1)
活性エネルギー線硬化型接着剤Cの代わりに活性エネルギー線硬化型接着剤Bを使用した以外は実施例4と同様に円偏光板を作製した。
(比較例2)
位相差板Aの代わりに位相差板Dを使用した以外は比較例1と同様に円偏光板を作製した。
(参考例1)
位相差板Aの代わりに位相差板Cを使用した以外は比較例1と同様に円偏光板を作製した。
(参考例2)
位相差板Aの代わりに位相差板Bを使用した以外は比較例1と同様に円偏光板を作製した。
(13)密着性の評価
得られた円偏光板の第1位相差層と第2位相差層との間の密着性を以下の方法で評価した。
(i)位相差層間の密着性評価用サンプルの作製
厚みが50μmであるシクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製、「ZF-14-50」)上にコロナ処理を施し、(12)で作製した各円偏光板の剥離フィルムを剥離した面を貼合した。続けて、円偏光板の直線偏光板側面にコロナ処理を施し、剥離フィルム付き粘着剤層(2)の一方の剥離フィルムを剥離した面を貼合し、これを位相差層間の密着性評価用サンプルとした。
(ii)密着性評価1(初期)
得られた密着性評価用サンプルを、長さ200mm×幅25mmのサイズに切り出し、直線偏光板側の粘着剤層を介して無アルカリガラス板に貼合した。これを温度23℃、相対湿度60%の雰囲気下で1日放置した。
無アルカリガラス板に貼合した評価用サンプルを、第1位相差層と第2位相差層との間で180°方向に、剥離速度300mm/分で剥離する剥離試験を行った。このときの剥離強度(密着力)〔N/25mm〕を、株式会社島津製作所製の「オートグラフ AGS-50NX」を用いて測定した。表1に測定結果を示す。なお、参考例1及び2では、測定ができない程度に第1位相差層と第2位相差層とが密着していた。参考例1及び2において、第1位相差層と第2位相差層との間の剥離強度は1.0N/25mm超であると言える。
(iii)密着性評価2(高湿熱試験後)
無アルカリガラス板に貼合した評価用サンプルを、温度80℃、相対湿度90%RHで48時間保存する高湿熱試験を行った後に、(ii)と同じ方法で第1位相差層と第2位相差層との間の密着性評価を行った。表1に測定結果を示す。なお、参考例1及び2では、測定ができない程度に第1位相差層と第2位相差層とが密着していた。参考例1及び2において、第1位相差層と第2位相差層との間の剥離強度は1.0N/25mm超であると言える。
(14)耐久性評価
得られた円偏光板の外力に対する耐久性を以下の方法で評価した。
(i)耐久性評価1(初期)
得られた円偏光板に対して、外力に対する耐久性の指標として、JIS D0202-1988に準拠したクロスハッチ試験(JISにおける「碁盤目付着性試験」)による評価を行った。円偏光板の第2位相差層側の剥離フィルムを剥離し、粘着剤層(2)を介してガラスに貼合した。ガラス面と反対側の直線偏光板側にカッターナイフで1mm角の碁盤日を100個刻み、粘着テープ(幅25mm、ニチバン製)を完全に付着させた。次いで、粘着テープを該面に対して90°の方向に引き剥がした。100個の碁盤日のうち剥がれずに残った碁盤日の数で外力に対する耐久性を評価した。残った碁盤日の数が95~100/100の場合をA、50~95/100の場合をB、0~49/100の場合をCとした。表1に評価結果を示す。
(ii)耐久性評価2(高湿熱試験後)
得られた偏光板を、温度80°、相対湿度90%RHで48時間保存する高湿熱試験を行った後に、(i)と同じ方法で外力に対する耐久性を評価した。表1に評価結果を示す。
Figure 0007361849000024
1 偏光板、2 画像表示装置、10 直線偏光板、21 第1貼合層、30 位相差板、31 第1位相差層、32 第2位相差層、40 画像表示パネル。

Claims (5)

  1. 保護フィルムと、偏光子と、第1貼合層と、位相差板と、がこの順に積層されてなる偏
    光板であって、
    前記保護フィルムは、厚みが30μm以下であり、
    前記偏光子と前記第1貼合層との間に保護フィルムを有さず、
    前記位相差板は、
    第1位相差層と第2位相差層とを有し、
    前記第1位相差層及び前記第2位相差層は液晶化合物の硬化物を含み、
    前記第1位相差層と前記第2位相差層との間の剥離強度が1.0N/25mm以下で
    あり、
    前記第1貼合層は、温度23℃での引張貯蔵弾性率が10MPa以下である粘接着剤か
    らなり、
    前記第1貼合層は、厚みが5μm以下である、偏光板。
  2. 前記位相差板は、前記第1位相差層と前記第2位相差層との間に、配向膜のみを有する
    、または介在する他の層を有しない、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記偏光子は、厚みが15μm以下である、請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 前記第1位相差層は、逆分散性のλ/4層である、請求項1または2に記載の偏光板。
  5. 前記第2位相差層は、ポジティブCプレートである、請求項1または2に記載の偏光板
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