JP6010910B2 - 組成物及び光学フィルム - Google Patents
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Description
〔1〕以下の(A)及び(B)を含む組成物。
(A)光配向性ポリマー
(B)分子内に炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有する化合物
〔2〕前記(A)が、光照射により架橋構造を形成し得る光配向性ポリマーである、〔1〕記載の組成物。
〔3〕前記(B)が、活性水素反応性基としてイソシアナト基を有する化合物である、〔1〕又は〔2〕記載の組成物。
〔4〕前記(B)が、下記式(1)で表される化合物である、〔1〕又は〔2〕記載の組成物。
[式(1)中、
nは1〜10までの整数を表わし、R1は、炭素数2〜20の2価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、或いは炭素数5〜20の2価の芳香族炭化水素基を表わす。各繰り返し単位にある2つのR2は、一方が−NH−であり、他方がN−C(=O)−R3で示される基である。R3は、水酸基又は炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。
式(1)中のR3のうち、少なくとも1つのR3は炭素−炭素不飽和結合を有する基である。]
〔5〕〔2〕〜〔4〕のいずれか記載の組成物に含まれる光配向性ポリマーを架橋して形成される光学フィルム。
〔6〕以下の(1)及び(2)を含む光学フィルムの製造方法。
(1)〔2〕〜〔4〕のいずれか記載の組成物を、基材上に塗布する工程;
(2)(1)により基材上に塗布された塗布膜中に含まれる光配向性ポリマーを架橋させることにより光学フィルムを形成する工程。
〔7〕前記基材が、水酸基を有する材料からなる、〔6〕記載の光学フィルムの製造方法。
〔8〕前記水酸基を有する材料が、トリアセチルセルロースをケン化して得られる材料である、〔7〕記載の光学フィルムの製造方法。
〔9〕〔6〕〜〔8〕のいずれか記載の製造方法により得られる光学フィルム。
〔10〕〔9〕記載の光学フィルム上に、さらに光学異方層を形成してなる位相差板。
〔11〕〔9〕記載の光学フィルムを含む偏光板。
〔12〕〔9〕記載の光学フィルムを備えたフラットパネル表示装置。
本組成物は、(A)光配向性ポリマー(以下、場合により「ポリマー(A)」という。)及び(B)分子内に、炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有する化合物(以下、場合により「化合物(B)」という。)を含む。本発明は、本組成物、本組成物を用いて形成される光学フィルム等を提供するものであり、以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。なお、図面中の寸法等は見易さのために任意になっている。
本組成物に含まれるポリマー(A)は、本組成物から製造される本光学フィルム上に光学異方層を形成する際、後述する液晶化合物を配向させるために用いられる。
化合物(B)は上述のとおり、その分子内に炭素−炭素不飽和結合と活性水素反応性基とを有する。ここで、活性水素反応性基とは、カルボキシル基(−COOH)、水酸基(−OH)、アミノ基(−NH2)等の活性水素を有する基に対して反応性を有する基を意味し、グリシジル基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジン基、イミド基、イソシアナト基、チオイソシアナト基、無水マレイン酸基等がその代表例である。化合物(B)が有する、炭素−炭素不飽和結合及び活性水素反応性基の個数は、それぞれ1〜20個、好ましくは1〜10個である。
[式(1)中、
nは1〜10までの整数を表わし、R1は、炭素数2〜20の2価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、或いは炭素数5〜20の2価の芳香族炭化水素基を表わす。各繰り返し単位にある2つのR2は、一方が−NH−であり、他方がN−C(=O)−R3で示される基である。R3は、水酸基又は炭素−炭素不飽和結合を有する基を表す。
式(1)中のR3のうち、少なくとも1つのR3は炭素−炭素不飽和結合を有する基である。]
化合物(2)は市場から容易に入手できる市販品をそのまま又は必要に応じて精製して用いることもできる。該市販品としては、例えば、Laromer(登録商標)LR−9000(BASF社製)等が挙げられる。
続いて、本組成物から製造される本光学フィルムについて説明する。
上述のとおり、本光学フィルムは、本組成物に含まれるポリマー(A)を架橋してなるものが好ましい。架橋したポリマー(A)を含む本光学フィルム上に、さらに光学異方性層を積層して位相差を発現させた位相差板も本光学フィルムの一実施態様である。この場合の本光学フィルムは、光を透過し得るものであり、光学異方層との相互作用等により光学的な機能を有するフィルムである。光学的な機能とは、屈折、複屈折等を意味する。
本組成物中に含まれるポリマー(A)を架橋して製造される本光学フィルムのうち、該ポリマー(A)を偏光照射することで架橋させたものは、配向膜として機能する。具体的には、本組成物(溶剤を含む本組成物)を基材上に塗布し、得られた塗布膜に偏光照射を行ってポリマー(A)を架橋させれば、得られる本光学フィルムは配向膜となる。なお、この塗布膜(未乾燥フィルム)は、偏光照射を行う前に乾燥し、乾燥フィルムとしておくことが好ましい。
光配向法により配向規制力を付与するには、本組成物から形成された塗布膜上に、偏光照射(例えば、直線偏光紫外線)を行う。偏光照射は、例えば、特開2006−323060号公報に記載される装置を用いて行うことができる。また、本組成物から形成された塗布膜上で、所望の複数領域に対応したフォトマスクを準備し、当該領域毎にフォトマスクを介しての偏光照射(例えば、直線偏光紫外線)を繰り返し行うことにより、パターン化配向膜を形成することもできる。上記フォトマスクとしては、例えば、石英ガラス、ソーダライムガラス又はポリエステルなどのフィルム上に、遮光パターンを設けたものが用いられる。遮光パターンで覆われている部分は露光される光が遮断され、覆われていない部分は露光される光が透過される。熱膨張の影響が小さいため、フォトマスクに用いられる基材としては石英ガラスが好ましい。
本発明は、本光学フィルム上に、さらに光学異方層を形成して位相差性を発現させた位相差板を含む。以下、このような位相差板の製造方法について説明するに当たり、光学異方層形成用の組成物(以下、場合により「光学異方層形成用組成物」という)について説明する。
上記光学異方性層は、例えば、液晶化合物を配向させることで形成することができ、光学異方層形成用組成物はかかる液晶化合物、好ましくは重合性液晶化合物を含む。この重合性液晶化合物について詳述する。なお、光学異方層形成用組成物には、重合性液晶化合物1種を含むものでもよく、異なる2種以上の重合性液晶化合物を含むものでもよい。
P11−B11−E11−B12−A11−B13− (X)
(式(X)中、P11は、重合性基を表す。
A11は、2価の脂環式炭化水素基又は2価の芳香族炭化水素基を表す。該2価の脂環式炭化水素基及び2価の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6アルコキシ基、シアノ基又はニトロ基で置換されていてもよく、該炭素数1〜6のアルキル基及び該炭素数1〜6アルコキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。
B11は、−O−、−S−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−NR16−、−NR16−CO−、−CO−、−CS−又は単結合を表す。R16は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
B12及びB13は、それぞれ独立に、−C≡C−、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR16−、−NR16−C(=O)−、−OCH2−、−OCF2−、−CH2O−、−CF2O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。
E11は、炭素数1〜12のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、炭素数1〜5のアルコキシ基で置換されていてもよく、該アルコキシ基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。また、該アルカンジイル基を構成する−CH2−は、−O−又は−CO−に置き換わっていてもよい。
具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、へキサン−1,6−ジイル基、へプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基及びドデカン−1,12−ジイル基等の炭素数1〜12の直鎖状アルカンジイル基;−CH2−CH2−O−CH2−CH2−、−CH2−CH2−O−CH2−CH2−O−CH2−CH2−及び−CH2−CH2−O−CH2−CH2−O−CH2−CH2−O−CH2−CH2−等である。
[式(P−11)〜(P−15)中、
R17〜R21はそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は水素原子を表す。]
特に好ましくは、P11−B11−で表される基が、アクリロイルオキシ基又はメタアクリロイルオキシ基である。
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-B16-E12-B17-P12 (I)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-A14-F11 (II)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-B15-E12-B17-P12 (III)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-A13-F11 (IV)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-B14-E12-B17-P12 (V)
P11-B11-E11-B12-A11-B13-A12-F11 (VI)
(式中、
A12〜A14はそれぞれ独立に、A11と同義であり、B14〜B16はそれぞれ独立に、B12と同義であり、B17は、B11と同義であり、E12は、E11と同義である。
F11は、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシ基、メチロール基、ホルミル基、スルホ基(−SO3H)、カルボキシ基、炭素数1〜10のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表し、該アルキル基及びアルコキシ基を構成する−CH2−は、−O−に置き換っていてもよい。)
光学異方性層形成用組成物には、上記液晶化合物の他に、重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤、レベリング剤、溶剤、カイラル剤等の添加剤を含んでいてもよい。特に光学異方性層形成時に、光学異方性層形成用組成物自体の成膜が容易となる点では、溶剤、特に有機溶剤を含むことが好ましい。また、上記液晶化合物が重合性液晶化合物である場合、光学異方性層形成用組成物を成膜したフィルムを硬化する働きをもつ重合開始剤を、光学異方性層形成用組成物が含んでいると好ましい。
重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、該光重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては例えば、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンジルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩等が挙げられる。具体的には、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369(以上、全てチバ・ジャパン株式会社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学株式会社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬株式会社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170(以上、全て株式会社ADEKA製)、TAZ−A、TAZ−PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)及びTAZ−104(三和ケミカル社製)等を挙げることができる。
光学異方性層形成用組成物には、重合性液晶化合物の重合反応をコントロールするために適量の重合禁止剤を含んでいてもよい。
重合禁止剤としては、たとえばハイドロキノン及びアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類;ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類;ピロガロール類、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤;チオフェノール類;β−ナフチルアミン類或いはβ−ナフトール類等を挙げることができる。
重合禁止剤を用いることにより、化合物(X)等の重合を制御することができ、光学異方性層形成用組成物から形成される光学異方性層の安定性を向上させることができる。光学異方性層形成用組成物における重合禁止剤の含有量は、たとえば重合性液晶化合物100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは0.5質量部〜10質量部である。上記範囲内であれば、重合性液晶化合物の配向を乱すことなく、これらを重合させることができる。
光増感剤としては、例えば、キサントン及びチオキサントン等のキサントン類;アントラセン及びアルキルエーテル等の置換基を有するアントラセン類;フェノチアジン;ルブレンを挙げることができる。
光増感剤を用いることにより、重合性液晶化合物の重合を高感度化することができる。光増感剤の含有量としては、重合性液晶化合物100質量部に対して、例えば0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは0.5質量部〜10質量部である。
レベリング剤としては、有機変性シリコーンオイル系、ポリアクリレート系及びパーフルオロアルキル系のレベリング剤等が挙げられる。具体的には、例えば、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22−161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC−72、同FC−40、同FC−43、同FC−3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R−08、同R−30、同R−90、同F−410、同F−411、同F−443、同F−445、同F−470、同F−477、同F−479、同F−482、同F−483(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S−381、同S−382、同S−383、同S−393、同SC−101、同SC−105、KH−40、SA−100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100、BYK−352、BYK−353、BYK−361N(いずれも商品名:BM Chemie社製)等が挙げられる。これらレベリング剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
カイラル剤としては、公知のカイラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)を用いることができる。
カイラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物又は面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン及びこれらの誘導体が挙げられる。
例えば、特開2007−269640号公報、特開2007−269639号公報、特開2007−176870号公報、特開2003−137887号公報、特表2000−515496号公報、特開2007−169178号公報、特表平9−506088号公報に記載されているような化合物が挙げられ、好ましくはBASFジャパン(株)製のpaliocolor(登録商標) LC756が挙げられる。
カイラル剤を用いる場合、その含有量は、たとえば重合性液晶化合物100質量部に対して、例えば0.1質量部〜30質量部であり、好ましくは1.0質量部〜25質量部である。上記範囲内であれば、重合性液晶化合物を重合する際に、該重合性液晶化合物の配向を乱すことをより抑制できる。
光学異方性層形成用組成物は、上述のとおり、光学異方性層製造の操作性を良好にするために溶剤、特に有機溶剤を含むことが好ましい。有機溶剤としては、重合性液晶化合物等、光学異方性層形成用組成物の構成成分を溶解し得る有機溶剤が好ましく、さらには重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤がより好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びフェノール等のアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタン等の非塩素系脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレン等の非塩素系芳香族炭化水素溶剤;アセトニトリル等のニトリル系溶剤;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル系溶剤;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素系溶剤;等が挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。これら有機溶剤の中でも、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、非塩素系脂肪族炭化水素溶剤及び非塩素系芳香族炭化水素溶剤が好ましい。
なお、溶剤の除去は、重合反応と並行して行ってもよいが、重合を行う前に、ほとんどの溶剤を除去しておくことが好ましい。その除去方法としては、本光学フィルムの製造方法において乾燥方法として例示したものと同じ方法が採用される。中でも、自然乾燥又は加熱乾燥が好ましく、自然乾燥又は加熱乾燥を行う際の温度は、0℃〜250℃の範囲が好ましく、50℃〜220℃の範囲がより好ましく、80℃〜170℃の範囲がさらに好ましい。加熱時間は、10秒間〜60分間が好ましく、より好ましくは30秒間〜30分間である。
nx>ny≒nzのポジティブAプレート、
nx≒ny>nzのネガティブCプレート、
nx≒ny<nzのポジティブCプレート、
nx≠ny≠nzのポジティブOプレート及びネガティブOプレート
が挙げられる。
本位相差板を広帯域λ/4板として用いる場合は、Re(549)は113〜163nm、好ましくは130〜150nmに調整すればよい。広帯域λ/2板として用いる場合は、Re(549)は250〜300nm、好ましくは265〜285nmに調整すればよい。位相差値が前記の値であると、広範の波長の光に対し、一様に偏光変換できる傾向があり、好ましい。ここで、広帯域λ/4板とは、各波長の光に対し、その1/4の位相差値を発現する位相差フィルムであり、広帯域λ/2板とは、各波長の光に対し、その1/2の位相差値を発現する位相差フィルムである。ここでいうReについては後述する。
Re(λ)=d×Δn(λ) (4)
(式中、Re(λ)は、波長λnmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λnmにおける複屈折率を表す。)
本光学フィルムは、例えば偏光板製造に用いることができる。当該偏光板は、上述した本位相差板を少なくとも一つ有する形式で得られる。
この偏光板としては、図1(a)〜図1(e)に示すように、(1)本位相差板1と、偏光フィルム層2とが、直接積層された偏光板4a(図1(a));(2)本位相差板1と偏光フィルム層2とが、接着剤層3’を介して貼り合わされた偏光板4b(図1(b));(3)本位相差板1と、本位相差板1’とを積層させ、さらに、本位相差板1’と偏光フィルム層2とを積層させた偏光板4c(図1(c));(4)本位相差板1と、本位相差板1’とを接着剤層3を介して貼り合わせ、さらに、本位相差板1’上に偏光フィルム層2を積層させた偏光板4d(図1(d));及び、(5)本位相差板1と、本位相差板1’とを接着剤層3を介して貼り合わせ、さらに、本位相差板1’と偏光フィルム層2とを接着剤層3’を介して貼り合せた偏光板4e(図1(e))等が挙げられる。ここで接着剤とは、接着剤及び/又は粘着剤のことを総称するものである。
また、偏光板においては、図1(c)〜図1(e)に示すように、2以上の本位相差板を直接又は接着剤層を介して貼り合わせてもよい。
本光学フィルムを備えたフラットパネル表示装置は、本位相差板を有するものであり、本位相差板はフラットパネル表示装置に係る部材として極めて有用である。例えば、本位相差板と、液晶パネルとが貼り合わされた液晶パネルを備える液晶表示装置や、本位相差板と、発光層とが貼り合わされた有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」ともいう)パネルを備える有機EL表示装置を挙げることができる。本光学フィルムを備えたフラットパネル表示装置の実施形態として、液晶表示装置と、有機EL表示装置とについて、簡単に説明する。
液晶表示装置としては、例えば、図2(a)及び図2(b)に示すような液晶表示装置等が挙げられる。図2(a)に示す液晶表示装置10aは、本発明の偏光板4と液晶パネル6とを、接着層5を介して貼り合わせてなるものであり、図2(b)に示す液晶表示装置10bは、本発明の偏光板4と本発明の偏光板4’とを液晶パネル6の両面に接着層5及び接着層5’を介して貼り合わせたものである。上記構成によれば、図示しない電極を用いて、液晶パネルに電圧を印加することにより、液晶分子の配向が変化し、白黒表示ができる。
有機EL表示装置としては、図3に示す有機EL表示装置等が挙げられる。上記有機EL表示装置としては、本発明の偏光板4と、有機ELパネル7とを、接着層5を介して貼り合わせてなる有機EL表示装置11が挙げられる。上記有機ELパネル7は、導電性有機化合物からなる少なくとも1層の層である。上記構成によれば、図示しない電極を用いて、有機ELパネルに電圧を印加することにより、有機ELパネルが有する発光層に含まれる化合物が発光し、白黒表示ができる。
なお、上記有機EL表示装置11において、偏光板4は、広帯域円偏光板として機能するものであることが好ましい。広帯域円偏光板として機能するものであると、有機EL表示装置11の表面において外光の反射を防止することができる。
光配向性ポリマー(Z)を、Macromol. Chem. Phys. 197,1919-1935 (1996)に記載される方法で製造した。
式(Z−a)で示されるモノマーを、得られたモノマー(Z−a)1.5部とメタクリル酸メチル0.1部とをテトラヒドロフラン16部中に溶解させ、60℃で24時間反応させた。次いで、反応液を室温まで放冷後、トルエンとメタノールとの混合液中に滴下することで、共重合体(Z)を析出させた。共重合体(Z)の数平均分子量は33000であった。共重合体(Z)において、モノマー(Z−a)に由来する構造の含有率は75mol%であった。
装置;HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム;TOSOH TSKgel MultiporeHXL−M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−288、A−5000、A−500
表1及び表2に示す各成分を混合し、得られた溶液を80℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却して組成物を調製した。
(実施例1〜2、比較例1)
ケン化済トリアセチルセルロースフィルム上に表1の組成物1〜3で示される組成物を塗布し、乾燥後、厚さ280nmの膜を形成した。続いて、面に対して垂直方向から、偏光UV照射冶具付きスポットキュア(SP−7、ウシオ電機(株)製)を用いて、照度15mW/cm2で5分間直線偏光を照射した。偏光UVを施した面に、表2の液晶組成物1を、バーコーターを用いて塗布し、120℃に加熱し、液晶相に配向させた膜を得た。その後、室温まで冷却した状態で紫外線をユニキュア(VB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて波長365nmにおいて40mW/cm2の照度で1分間照射することにより、光学フィルムを作製した。
JIS−K5600に則り、コーテック株式会社製クロスカットガイドIシリーズ(CCI−1、1mm間隔、25マス用)を用いて、実施例1〜2及び比較例1で作成したサンプルの剥離耐性を評価した。剥離試験後、液晶層の残存数をカウントした結果を表3に示す。
実施例1〜2及び比較例1で作成したフィルムの位相差値を測定機(KOBRA−WR、王子計測機器社製)により測定した。位相差値Re(λ)は、波長(λ)549nmにおいて測定した。結果を表3に示す。
2、2’:偏光フィルム層、
3、3’:接着剤層、
4a、4b、4c、4d、4e、4、4’:偏光板、
5、5’:接着層、
6:液晶パネル、
7:有機ELパネル、
10a、10b:液晶表示装置、
11:有機EL表示装置
Claims (11)
- 以下の(A)及び(B)を含む組成物。
(A)光配向性ポリマー
(B)分子内に炭素−炭素不飽和結合と少なくとも2つの活性水素反応性基とを有し、
前記炭素−炭素不飽和結合が、ビニル基、(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記活性水素反応性基が、エポキシ基、グリシジル基及びイソシアナト基からなる群から選ばれる少なくとも1種である化合物 - 前記(A)が、光照射により架橋構造を形成し得る光配向性ポリマーである請求項1記載の組成物。
- 前記(B)が、活性水素反応性基としてイソシアナト基を有する化合物である請求項1又は2記載の組成物。
- 請求項2〜4のいずれか記載の組成物に含まれる光配向性ポリマーを架橋して形成される光学フィルム。
- 以下の(1)及び(2)を含む光学フィルムの製造方法。
(1)請求項2〜4のいずれか記載の組成物を、基材上に塗布する工程;
(2)(1)により基材上に塗布された塗布膜中に含まれる光配向性ポリマーを架橋させることにより光学フィルムを形成する工程。 - 前記基材が、水酸基を有する材料からなる請求項6記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記水酸基を有する材料が、トリアセチルセルロースをケン化して得られる材料である請求項7記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項5記載の光学フィルム上に、さらに光学異方層を有する位相差板。
- 請求項5記載の光学フィルムを含む偏光板。
- 請求項5記載の光学フィルムを備えたフラットパネル表示装置。
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