間質性肺疾患(ILD、及び、その中の下位分類の疾患)、慢性閉塞性肺疾患(COPD、及び、その中の下位分類の疾患)、喘息などの多くの望ましくない肺疾患、ならびに、肺、腎臓、心臓及び目の線維症の兆候は、外部からの負荷によって始まる。非限定的な例によって、これらのエフェクターは、感染、喫煙、環境暴露、放射線被曝、外科的処置及び移植拒絶反応を含んでもよい。しかしながら、遺伝学的性質及び老化の作用に関係する他の原因に帰することもある。
上皮では、瘢痕は、損傷後に貴重な治癒の役割を果たす。しかしながら、上皮組織は、慢性的な及び/又は繰り返しの損傷後に、次第に傷跡が残るようになって、結果として機能の異常をもたらすことがある。特発性肺線維症(IPF、及び、ILDの他の下位分類)の場合、肺のかなりの割合に傷が付くと、呼吸不全になる恐れがある。いずれにせよ、進行性の瘢痕は、臓器の異なる領域への再発性の一連の傷害に由来するか、損傷が治癒した後に回復工程を停止させることができないことに由来することもある。そのような場合、瘢痕工程は制御されず、調節も緩和されなくなる。線維症の形態によっては、瘢痕は限定された領域に局在化されたままであるが、より拡散した広範囲な領域に影響を与えて、直接的な又は関連した臓器不全を結果としてもたらしかねない。
神経疾患では、ミエリンの炎症性破壊(脱髄)は、多発性硬化症のような疾患における最初の事象と考えられる。脱髄は、脊髄、脳及び視神経の神経組織の瘢痕と硬化(硬化症)を引き起こす。脱髄は、神経インパルスの伝導を遅らせ、結果的に脱力感、しびれ、疼痛及び視力喪失を引き起こす。
上皮の損傷では、上皮細胞は、有力な線維芽細胞成長因子形質転換増殖因子ベータ(TGFベータ)、腫瘍壊死因子(TNF)、エンドセリン、サイトカイン、メタロプロテイナーゼ、及び、凝固メディエーター組織因子(coagulation mediator tissue factor)を含む、複数の線維症促進性のメディエーターの放出を引き起こす。重要なことに、放出を引き起こした上皮細胞は、アポトーシスに対して脆弱になり、おそらく上皮細胞層を回復することができないことと相まって、線維症疾患におけるもっとも基本的な異常である。脱髄の場合、異常なTNF発現又は活性は、多発性硬化症及びリウマチ性疾患など他の神経疾患の根本原因と考えられている。
肺線維症、腎線維症、心臓線維症、及び、眼性の線維症、多発性硬化症及びリウマチ性疾患などの疾病において、ピルフェニドンのようなピリドンのアナログを用いた炎症促進性及び線維症促進性の因子の制御によって特徴付けられた生理反応は、線維症及び脱髄を弱める及び/又は逆転させるのに有益なこともある。これらや他の兆候における上記のようなピリドンのアナログ及び/又はピルフェニドンの効果を利用する治療上の戦略は、本明細書で深く検討される。
TNFアルファは喘息の気道で発現し、NF−kappaB、AP−1及び他の転写因子の活性化によって喘息性の炎症を増幅するのに重要な役割を果たすこともある。IgE受容体の活性化は、ヒト肺組織からのTNFアルファの放出を引き起こし、好酸球のTNF mRNAレベルを上方制御する。TNF−アルファは、おそらくムスカリン受容体の発現を媒介とした反応によって、気管支の一時的な過剰な反応を引き起こす。
TNFアルファはCOPDの病態生理にも中心的な役割を果たすとも考えられている。それは、たばこの煙を含む様々な汚染物質との接触後の、肺胞マクロファージ、好中球、T細胞、マスト細胞及び上皮細胞によって生成される。TNFアルファは、動物モデルにおいて、肺への炎症細胞の浸潤、肺線維症及び肺気腫などのCOPDに関連した病理学的特徴を誘発すると示されている。興味深いことに、痰におけるTNFアルファのレベルは、COPDの急性増悪期に著しく増加する。
ピルフェニドンのようなピリドンのアナログの作用機序は、抗炎症性かつ抗線維性であると考えられている。ピルフェニドンは、炎症促進性サイトカインの合成及び放出を阻害し、様々な刺激に応じて炎症細胞の蓄積を減らす。ピルフェニドンはさらに、線維芽細胞の増殖、線維症に関連するタンパク質及びサイトカインの産生、及び、TGFベータ及び血小板由来増殖因子(PDGF)のようなサイトカイン増殖因子に応じた細胞外マトリックスの生合成及び蓄積の増加を和らげる。
インビトロの細胞ベースのアッセイでは、ピルフェニドンは、線維芽細胞の増殖を抑制し、リポ多糖類(LPS)によって刺激されたPDGF、腫瘍壊死因子アルファ(TNFアルファ)、及び、TGF−ベータ1の放出を抑制し、コラーゲン合成を抑制した。アッセイ状態に依存して、これらのインビトロでの活動は、約30マイクロMから約10mM(約5.5mcg/mLから約1.85mg/mLまで)のピルフェニドン濃度で明らかであった。IPF患者のピルフェニドンの経口Cmaxが、推奨される摂食状態の約42ミクロンMから絶食状態の約84ミクロンM(あるいは、それぞれ約7.9mcg/mLから約15.7mcg/mL)であるとすると、これらの同じ活性は、観察された有効性の狭い範囲ではあるが、インビボで促進されることもある。
LPS負荷したマウスへのピルフェニドンの経口投与は、用量依存性の死亡率の低下、炎症促進性サイトカインTNFアルファ、インターロイキン(IL−12)、及び、インターフェロン・ガンマの血中濃度の低下、ならびに、抗炎症性サイトカイン、IL−10の血中濃度の増加を結果としてもたらした。ピルフェニドンによる処置は、肝臓におけるLPS関連の出血性壊死とアポトーシスを防ぎ、TGFベータの増加を抑えた。
インビトロ研究は、ピルフェニドンが、p38 マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の選択的な阻害を介して、線維形成を抑えることもあることを示唆している。これらの観察は、TGFベータによって誘発されたコラーゲン合成の減少に関係していた。p38を止めることで、COPDにおけるコルチコステロイドに対する感受性を取り戻すこともある並行観察は、この疾患集団や他の疾患集団にも有望である。残念なことに、p38 MAPKを阻害する化合物は、有毒であることも分かっており、臨床の場からは外されてきた。これらの化合物は各々経口投与に使用されている。
ブレオマイシンによって誘発された肺線維症のラット、ハムスター及びマウスのモデルでは、ピルフェニドンの予防的な投与は、組織病理学的分析とコラーゲン含有率の定量決定の両方によって評価された肺線維症を減少させた。ピルフェニドンによる処置は肺水腫も減少させ、TGFベータ、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、及び、様々な炎症促進性サイトカインの肺での値を減少させた。
ラットでは、ピルフェニドンは、肝線維症でのコラーゲン生成と沈着を減少させ、心臓線維症と腎線維症を逆転させ、心筋収縮力又は腎機能を正常化することなく、ストレプトゾトシンによって処置された動物からの糖尿病性心臓の拡張期の硬直(diastolic stiffness)の増加を和らげた。DOCA塩の高血圧ラットでは、ピルフェニドンはさらに、心臓のリモデリングを逆にして防ぎ、ノルアドレナリンに対する増大した血管反応を減らすことなく、心臓の硬化の増加を低下させて防いだ。
ヒトでの研究は、経口ピルフェニドンの臨床的な抗炎症性及び抗線維性の利益を示した。光毒性、胃腸障害及び異常肝機能の試験値は、ピルフェニドンの経口投与後のヒトの個体群で現れることもある。結果として、患者への投薬は綿密にモニタリングされなければならない。経口で投与されたピルフェニドンを用いる第3相の臨床研究では、胃腸の耐性を確立するために、初回の用量増加が必要とされた。しかしながら、吐き気、発疹、胃腸障害、めまい、嘔吐、光線過敏性反応、食欲不振の発生と、ASTとALTの血清トランスアミナーゼの上昇によって、投与量レベルは、増加の間、及び、増加の後、限定される。場合によっては、ピルフェニドンの経口投与は、ピルフェニドン投与の投与量減少又は中断という結果になることもある。
胃腸の耐性を確立するために必要とされるピルフェニドンの用量増加に加えて、耐性を達成することができないためにさもなければ治療から取り除かれるであろう(例えば、50%までの及び50%よりも多くの用量減少)個体への経口投与を可能にするために、用量の減少と食物の使用が採用されてきた。さらに、投与耐性を可能にするために食物の使用を利用する臨床研究も試みられてもよい。両方の場合で、血漿Cmaxは投与量に比例して減少する。より具体的には、摂食状態は、Cmaxの約50%の減少、Tmaxの約7倍の増加、及び、10−15%の全面的な曝露の減少という結果になる。摂食状態と絶食状態の両方は、約2.5時間の血漿半減期を結果としてもたらした。この手法は胃腸に関連する有害事象を減少させることもある一方で、最近の経口で投与された臨床研究における臨床的に有意な有効性の不足は、これらの手法によって影響を受けたかもしれない。
観察された毒性と同様に、臨床観察と有害事象にも基づいて、経口ピルフェニドン療法は、約1800mg/日から約2400mg/日まで(それぞれ600mgTIDから801mgTIDまで)の投与量に限定される。したがって、ピルフェニドンが広範囲にヒト以外で有効性を示している一方で、ヒトの有害事象や毒性は経口投与をこの範囲の下限に限定した。
経口で投与したピルフェニドンの観察された有効性と関連する有害事象との間の制御上のリスク便益分析(regulatory risk−benefit analysis)は、臨床的な必要性が満たされていない末期の個体群においてでさえ、これらの投与量が安全性のリスクを保証する十分な有効性を提供しないという懸念を招いた。特定の実施形態において、経口経路にわたって同等の有効性又は改善された有効性を提供するであろう、疾患部位に同等量の又は増量したピルフェニドン又はピリドンのアナログ投与量を直接投与(例えば、肺への吸入送達)する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態において、これらの用量が必要とする投与される薬物の量は少ない。特定の実施形態において、吸入によってピルフェニドンを投与するこの手法は、ピルフェニドンの経口投与と比較して、全身曝露の減少と安全域(safety margin)の増加から利益を得ることもある。吸入による哺乳動物への送達に適したピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の組成物、及び、そのような組成物を用いる方法が本明細書に記載される。
ピルフェニドン抗炎症性又は抗線維性の作用機序が、Cmax又は曝露(曲線下面積、AUC)によって駆り立てられるかどうか、既存のデータからでは明らかではない。幾つかの実施形態において、低度から中程度で観察された臨床上の有効性は、約5mcg/mL又は5mcg/mLよりも大きなピルフェニドン血漿レベル、約50mg・hr/L又は50mg・hr/Lよりも大きな曝露(AUC0−無限大)、及び/又は、約2.5時間の血漿除去速度に関連付けられることもある。
幾つかの実施形態において、ピルフェニドンの静脈内又は経口投与は、血漿で観察されたレベルに匹敵する肺上皮内層流体(epithelial lining fluid)(ELF)レベルを結果としてもたらし、したがって、実施形態によっては、臨床的に測定された約5mcg/mL又は5mcg/mLよりも大きな血漿Cmaxは、低度から中程度で観察された臨床上の肺での有効性に直接関連付けられる。幾つかの実施形態において、経口投与に由来するピルフェニドンの血漿レベルは低い有効性に関連付けられ、したがって、実施形態によっては、結果として生じたELFと肺組織レベルも低い有効性に関連している。他の実施形態において、ピルフェニドンの静脈内投与又は経口投与は、血漿から効果的であると観察されたレベル未満の肺上皮性層流体(ELF)レベルを結果としてもたらすこともある。幾つかの実施形態において、経口又は静脈内送達された、血漿で観察された効果的なレベルに一致するELFレベルは、0.1mcg/mLから約5mcg/mLであってもよい。幾つかの実施形態において、血漿で観察された効果的なレベルに一致するELFレベルは、0.1mcg/mLから約1mcg/mLであってもよい。幾つかの実施形態において、経口又は静脈内送達された、血漿で観察された効果的なレベルに一致するELFレベルは、0.5mcg/mLから約5mcg/mLであってもよい。幾つかの実施形態において、経口又は静脈内送達された、血漿で観察された効果的なレベルに一致するELFレベルは、0.3mcg/mLから約3mcg/mLであってもよい。幾つかの実施形態において、肺へのピルフェニドンの直接投与は、結果的に、1mLのELFに対して約5mcgの、又は、約5mcgよりも多くのピルフェニドンを送達することになり、投与で観察された有害事象と毒性に関連した全身レベルの上昇を伴わない、同等の肺での有効性を結果としてもたらすこともある。非限定的な例によって、これは、肺へのエアロゾル化したピルフェニドン又はピリドンのアナログの経口又は鼻腔内吸入による送達によって遂行され、約0.1mcg/mLの、又は、約0.1mcg/mLよりも多くの、例えば、約0.2mcg/mL、0.4mcg/mL、0.6mcg/mL、0.8mcg/mL、1.0mcg/mL、2mcg/mL、3mcg/mL、4mcg/mL、5mcg/mL、6mcg/mL、7mcg/mL、8mcg/mL、9mcg/mL、又は、10mcg/mLよりも多くのピルフェニドン又はピリドンのアナログをELFに与える。ひとたびELFに入ると、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、実施形態によっては、肺組織に浸透し、結果として、1グラムの肺組織に、約0.004mcgから0.7mcgのピルフェニドン又はピリドンのアナログ(約25mLのELF中、約0.1mcg/mLから、約75mLのELF中約5mcg/mLの、約600グラムの成人の肺組織重量)をもたらすことになる。
幾つかの実施形態において、ピルフェニドンは、血漿と肺の間で、及び/又は、他の器官の間で容易に平衡化することもある。幾つかの実施形態において、器官のピルフェニドンレベルは、さらに、例えば、肺、心臓、腎臓、又は、神経系などの血漿レベルを模倣することもある。幾つかの実施形態において、1グラムの組織に約0.004mcgの、又は、0.004mcgから0.7mcgのピルフェニドンを送達することで、他の器官に対して同様の治療効果を与えることもある。幾つかの実施形態において、追加のピルフェニドン又はピリドンのアナログを与えることで、さらなる有効性を与えることもある。幾つかの実施形態において、これは、エアロゾル化されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの肺への吸入(すなわち、経口吸入又は鼻腔内吸入)送達によって行われてもよい。幾つかの実施形態において、肺に送達されたピルフェニドン又はピリドンのアナログは、心臓に容易に利用可能となる。幾つかの実施形態において、約0.1mcg/mLから約5mcg/mLのELFを与えること、あるいは、0.004mcg/グラム又は約0.7mcg/グラムの肺組織ピルフェニドン又はピリドンのアナログをELFに与えること、あるいは、0.2〜0.7mcg/グラムの肺組織ピルフェニドン又はピリドンのアナログを与えることによって、経口投与で観察された全身での有害事象又は毒性の増加を伴わずに心臓に対して同様の効果的な投与をもたらすこともある。幾つかの実施形態において、エアロゾル化されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの肺への鼻腔内吸入又は経口吸入による送達は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの肝臓への効果的な送達をもたらすこともある。幾つかの実施形態において、肺に送達されたピルフェニドン又はピリドンのアナログは、肝臓に利用可能となる。幾つかの実施形態において、約0.1mcg/mLから約5mcg/mLのELFを与えること、あるいは、約0.004mcg/グラムから約0.7mcg/グラムの肺組織ピルフェニドン又はピリドンのアナログを与えることによって、経口投与で観察された全身の有害事象又は毒性の増加を伴わずに肝臓に対して同様の効果的な投与をもたらすこともある。幾つかの実施形態において、エアロゾル化されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの肺への鼻腔内又は経口吸入による送達は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの腎臓への効果的な送達をもたらすこともある。幾つかの実施形態において、肺に送達されたピルフェニドン又はピリドンのアナログは、腎臓に利用可能となる。幾つかの実施形態において、約0.1mcg/mLから約5mcg/mLのELFを与えること、あるいは、約0.004mcg/グラムから約0.7mcg/グラムの肺組織ピルフェニドン又はピリドンのアナログを与えることによって、経口投与で観察された全身の有害事象又は毒性の増加を伴わずに腎臓に対して同様の効果的な投与をもたらすこともある。幾つかの実施形態において、エアロゾル化されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの鼻腔への鼻腔内吸入送達は、中枢神経系(CNS)へのピルフェニドン又はピリドンのアナログの効果的な送達をもたらすこともある。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの鼻腔への吸入送達は、CNSに容易に利用可能となる。幾つかの実施形態において、約0.1mcg/mLから約5mcg/mLのELF、又は、約0.004mcg/グラムから約0.7mcg/グラムの肺組織ピルフェニドン又はピリドンのアナログと同等の鼻腔に投与される用量を与えることによって、経口投与で観察された全身の有害事象又は毒性の増加を伴わずにCNSに対して同様の効果的な投与をもたらすこともある。
幾つかの実施形態において、約0.004mcg/グラムから約0.7mcg/グラムの組織重量を与える、エアロゾル化された液体又はクリームのピルフェニドン又はピリドンのアナログの所望の効果部位への局所送達により、全身性の有害事象又は毒性を伴うことなく、同様の効果的な投与をもたらすこともある。幾つかの実施形態において、エアロゾル化された液体又はクリームのピルフェニドン又はピリドンのアナログの、損傷を受けた皮膚上皮への局所的送達は、瘢痕、線維症、及び/又は、炎症を防ぐ、又は、逆転させることもある。この損傷は、感染、熱傷、外科手術、急性又は慢性傷害(床ずれなど)、あるいは、他の事象の結果でありえる。幾つかの実施形態において、液体又は乾燥粉末のピルフェニドン又はピリドンのアナログの膀胱への局所的な送達は、瘢痕、線維症、及び/又は、膀胱感染、膀胱癌、留置カテーテルあるいは他の事象に関連した炎症を防ぐこともある。幾つかの実施形態において、液体のピルフェニドン又はピリドンのアナログの目への局所的な送達は、緑内障手術後の結膜及び/又は上強膜における術後線維症の進行を防ぐこともある。
幾つかの実施形態において、約0.004mcg/グラムから約0.7mcg/グラムの組織重量ピルフェニドン又はピリドンのアナログを与える、所望の効果部位への液体のピルフェニドン又はピリドンのアナログの注入送達は、全身性の有害事象又は毒性を伴うことなく、同様の効果的な投与を結果としてもたらす。幾つかの実施形態において、骨格関節への液体のピルフェニドン又はピリドンのアナログの注入送達は、瘢痕、線維症、及び/又は、自己免疫疾患、関節炎、関節リウマチ、感染、あるいは、それ以外の事象に関連した炎症を防ぐこともある。
実施形態によっては、Cmaxに加えて、さらに、追加の実施形態でも、疾患部位へのピルフェニドン曝露(AUC)は、有効性にとっても必要不可欠なこともある。幾つかの実施形態において、約50mg・hr/Lの、又は、50mg・hr/L以上の血漿AUC0−無限大も、肺での有効性に関連付けられる。幾つかの実施形態において、血漿と肺のELF間の、及び、血漿と肺組織の間のピルフェニドンの部分的又は完全な平衡は、肺内でも模倣され得るAUCを与えてもよい。他の実施形態において、肺のELFと組織のAUCはより少なくてもよい。
幾つかの実施形態において、個々に又は組み合わせCmaxにおいて、AUC及び/又は半減期は有効性に必要であり、したがって、いくつかの実施形態において、有効性に必要な3つのパラメータすべて(Cmax、AUC、及び、半減期)を備えた保守的なモデルが提供される。幾つかの実施形態において、非限定的な例によって、約1.0mg・hr/L又は約50mg・hr/LのELF AUC0−無限大を提供し、かつ、経口経路を介して送達される際と同じ時間にわたってこれらの値を維持する、1mLの肺ELFへの約0.1mcgから約5mcgのピルフェニドン又はピリドンのアナログの直接的な吸入送達は、等しく効果的である。同様に、他の実施形態において、約0.2004mcg又は0.2004mcgから0.7mcgのピルフェニドン又はピリドンのアナログの1グラムの肺組織への直接的な吸入送達は、経口送達後の血漿のAUC0−無限大よりも小さな組織のAUC0−無限大から、それと等しいかほぼ等しい組織のAUC0−無限大までを提供し、さらなる実施形態において、経口経路を介して送達される際と同じ時間の間これらの値を維持することは、等しく効果的である。幾つかの実施形態において、以下の仮定及び理論計算は、吸入療法のために記載されている:
ELF送達仮定:
1.ヒトELFの総量は25mLである。
2.投与の吸入経路は、呼吸に適した送達投与量(RDD)に依存し、RDDは、直径5ミクロン未満のエアロゾル粒子で吸入された薬物の一部である。
3.典型的な乾燥粉末、液体の噴霧化、又は、定量吸入の装置のRDDは、10%から70%まで変動する。幾つかの実施形態において、RDDが70%よりも大きく、10%よりも小さな、高効率又は抵抗率の装置が熟慮される。
4.経口投与後の血漿ピルフェニドン又はピリドンのアナログの半減期は、およそ2.5時間である。幾つかの実施形態において、腸吸収はこの規則(vule)に影響を与えるが、このモデルの典型的な目的のため、吸入送達後の肺ELFのピルフェニドン半減期は、経口投与後に2分の1になると仮定する(例えば2.5時間/2=1.25時間)。半減期値は、ピルフェニドンの静脈内投与が経口投与後に約2分の1の肺ELF半減期を結果としてもたらすことを示す測定値によって支持されてもよい。
5.幾つかの実施形態において、5mcg/mLの肺ELFレベルは、有効性の下限であってもよい。及び、
6.801mgの経口ピルフェニドンは、4時間にわたって5mcg/mL又は5mcg/mLよりも大きな血漿レベル(ヒト測定値)をもたらす。経路を比較する目的のために、このモデルは、経口投与後のELFのピルフェニドン値が、血漿と同じ持続時間にわたって、5mcg/mL又は約5mcg/mLの肺ELFのままであると仮定する。
典型的なELF計算:
1.5mcg/mLを作るために、25mLのELFに送達されたMcgピルフェニドン=125mcg
2.30%のRDD効率に基づいて、必要とされる単位投与量は416mcg(125mcg/0.3=416mcg)である。
3.50%のRDD効率に基づいて、必要とされる単位投与量は250mcg(125mcg/0.5=250mcg)である。
4.70%のRDD効率に基づいて、必要とされる単位投与量は179mcg(125mcg/0.7=179mcg)である。
各々1.25時間の3.2半減期の間これらの値で又はこれらの値以上で維持するために補正する(1.25時間の肺半減期を備えた、5mcg/mL又は5mcg/mL以上で4時間=3.2半減期)
5.30%のRDD効率について、3.2半減期の間、臨床的に観察された有効性の下限(この場合は416mcg)を維持するのに必要な単位投与量は、3994mcgである。
6.50%のRDD効率について、3.2半減期の間、臨床的に観察された有効性の下限(この場合は250mcg)を維持するのに必要な単位投与量は、2400mcgである。
7.70%のRDD効率について、3.2半減期の間、臨床的に観察された有効性の下限(この場合は179mcg)を維持するのに必要な単位投与量は、1718mcgである。
非限定的な例によって、上記の仮定に基づいて、及び、特定の実施形態において、30%の効率を備えた、ピルフェニドン又はピリドンのアナログを送達する装置での約4mgの投与量は、801mgの経口投与後に得られたのと同じ期間にわたって5mcg/mL又は5mcg/mLよりも大きな肺のELFレベルをもたらすこともある。さらに、最小有効量のピルフェニドン投与量が、この持続時間にわたって維持されることもある一方で、局所的なピルフェニドンレベルも、改善された有効性を与える著しく高いELFのCmaxレベルを示すこともある。幾つかの実施形態において、30%の効率の装置を用いた4mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログの送達は、約48mcg/mL(4mgX30%=1.2mg。1.2mg/25mL ELF=48mcg/mL)までの肺ELF Cmaxを結果としてもたらすこともある。幾つかの実施形態において、上記の仮定に基づいて、70%の効率を備えた、ピルフェニドン又はピリドンのアナログを投与する装置でのおよそ66mgの投与は、1.85mg/mL(66mgX70%=46.2mg。46.2mg/25mL ELF=1.85mg/mL)までの肺ELF Cmaxを結果としてもたらすこともある。幾つかの実施形態において、上記の仮定に基づいて、30%の効率を備えた、ピルフェニドン又はピリドンのアナログを投与する装置でのおよそ154mgの投与は、1.85mg/mL(154mgX30%=46.2mg。46.2mg/25mL ELF=1.85mg/mL)までの肺ELF Cmaxを結果としてもたらすこともある。幾つかの実施形態において、上記の仮定に基づいて、70%の効率を備えた、ピルフェニドン又はピリドンのアナログを投与する装置でのおよそ12mgの投与は、336mcg/mL(12mgX70%=8.4mg。8.4mg/25mL ELF=336mcg/mL)までの肺ELF Cmaxを結果としてもたらすこともある。幾つかの実施形態において、上記の仮定に基づいて、30%の効率を備えた、ピルフェニドン又はピリドンのアナログを投与する装置でのおよそ28mgの投与も、336mcg/mL(28mgX30%=8.4mg。8.4mg/25mL ELF=336mcg/mL)までの肺ELF Cmaxを結果としてもたらすこともある。幾つかの実施形態において、この投与量により、約6半減期又は約15時間にわたって、5mcg/mLで、又は、5mcg/mL以上で、最小有効投与量が維持されてもよい。いくつかの実施形態において、吸入療法のために記載された実施形態は、Cmaxの上昇によって有益な有効性を提供し、経口投与によって現在制限されている時間よりも長い時間にわたって、5mcg/mL又は5mcg/mLよりも多くの最小有効範囲で薬物曝露を維持する。幾つかの実施形態において、長期曝露は、投与間隔の減少(例えば、現在の一日に三度の経口投与レジメンに対して、一日に一度、又は、一日に二度)を可能にしてもよい。幾つかの実施形態において、送達が肺に直接なされる一方で、これらの投与量は、著しく低い全身血漿レベル(例えば、約2mcg/mLのピルフェニドン)をもたらすこともある。幾つかの実施形態において、30%の効率を備えたエアロゾル装置を用いて送達された約28mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログは、肺(又は鼻腔)のすぐ下流の血管系と組織でのレベルが当初上昇する結果となり、全身の血漿希釈濃度は、約1.7mcg/mL(28mgX30%=8.4mg。8.4mg/5Lの全身血液=1.7mcg/mL)であってもよい。幾つかの実施形態において、約46mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログの送達は、約9.3mcg/mLの全身の血漿希釈濃度を結果としてもたらすこともある。
当業者は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ除去の実際の測定された肺ELF半減期が変化すれば、上記モデルで計算された投与量が変化するということを、本明細書の議論から認識するであろう。半減期が短ければ短いほど、最小有効レベルと考えられる以上の肺ELF濃度を維持するために、ますます多くのピルフェニドン又はピリドンのアナログが投与される必要があるだろう。投与されたピルフェニドン又はピリドンのアナログのさらなる増加は、有効性をさらに改善するために望ましいこともある。さらに、所望の肺組織CmaxとAUCを送達することに加えて、エアロゾルのピルフェニドン又はピリドンのアナログの経口吸入又は鼻腔内吸入による送達は、全身送達のための効率的な経路にも役立つこともある。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入送達によって、血漿半減期が肺ELFよりも遅い所望の肺組織Cmax及びAUCを達成することができる投与スキームが熟慮され、特定の血漿濃度の送達を標的とすることで、肺ELF−ピルフェニドン又はピリドンのアナログ曝露を順に長くしてもよい。
典型的な肺組織送達の仮定:
1.成人の肺の総湿重量は、約685〜1,050グラム(計算のため、控え目に約1,000グラムとする)である。
2.成人の肺血液量は約450mLである。
3.成人の肺の組織重量は、控え目に1,050グラムの湿重量から450mLの血液重量(密度を1.0と仮定する)を引いて、600グラムと等しい。
4.幾つかの実施形態において、マウスにピルフェニドンを静注後に、
−血漿ピルフェニドンTmaxは肺Tmaxと同等である。
−40mg/kgの静脈内投与は、約55mcg/mLの血漿Cmaxと、30mcg/グラム湿重量の肺Cmaxをもたらす。
−控え目に、血液は、肺の湿重量の約40%を占める。実施形態によっては、血漿及び肺のTmaxが同等であるとすれば、その結果として、湿った肺で測定された30mcg/gのピルフェニドンのほとんどが、血液の存在によることになる。控え目に、血液が肺の湿重量の約40%を占める場合、測定された肺重量中の約22mcg/グラムのピルフェニドンの血漿Cmaxの40%(又は、55mcg/mL Xの40%)は、血液によるものである。湿った肺Cmaxとこの数の間の差をとる(又は、30mcg/gから22mcg/gを引く)と、約8mcg/gが肺組織内にある。
−血漿半減期よりも約45%長い測定された湿った肺の半減期が考慮されてもよい。湿った肺のピルフェニドンの約40%以上が血中にあるという議論を取り上げると、実際の肺組織の半減期は血漿よりも45%も長い。
5.55mcg/mLの血漿Cmaxが約8mcg/グラムの肺組織Cmaxをもたらすという上記の観察と計算から、ヒトに対する以下の比較がなされ得る。
−当初の仮定に従うと、ヒトの有効性の下限は、5mcg/mLの血漿ピルフェニドンである。
−上記の比率(55mcg/mLの血漿は、8mcg/グラムの肺組織を結果としてもたらす)がヒトにも当てはまると仮定すると、55mcg/mLで割られた5mcg/mLは約9.1%である。
8mcg/グラムの9.1%は、約0.7mcg/グラムである。
−これを一緒にすると、5mcg/mLの血漿ピルフェニドンは、0.7mcg/グラムの肺組織ピルフェニドンを結果としてもたらすこともある。したがって、約0.7mcg/グラムの肺組織ピルフェニドンは、有効性の下限である。
6.投与の吸入経路は、呼吸に適した送達投与量(RDD)に依存する。RDDは、直径5ミクロン未満のエアロゾル粒子で吸入された薬物の一部である。
7.典型的な乾燥粉末、液体の噴霧化、又は、定量の吸入装置のRDDは、10%から70%まで変動する。RDDが70%よりも大きく、10%未満である高効率及び低効率の装置も存在する。
8.上に議論されるように、肺組織ピルフェニドン半減期は、静脈内に送達された血漿ピルフェニドン半減期よりもはるかに(2−4倍も、又は、2−4倍以上)長い。経口投与後の血漿ピルフェニドン半減期は、およそ2.5時間である。しかしながら、継続的な腸吸収はこの数に影響を与え、ゆえに、静脈内送達後よりもはるかに長い。したがって、このモデルの目的のために、吸入送達後の肺組織ピルフェニドン半減期は、経口投与後と同等である(例えば2.5時間)と考えられる。
9.上記の観察と計算から、肺組織内での有効性の下限は8mcg/グラムである。
10.801mgの経口ピルフェニドンが4時間にわたって5mcg/mL又はそれよりも大きなヒト血漿レベルをもたらすことと、5mcg/mLの血漿が0.7mcg/グラムの肺組織ピルフェニドンをもたらすことを組み合わせると、経口又は鼻腔内の吸入によって送達されるものは、経口投与に対する同等の肺線維症への有効性に関して、少なくとも4時間、0.7mcg/グラム又はそれ以上の肺組織ピルフェニドンでなければならない。
典型的な肺組織計算:
1.0.7mcg/グラムを作るために、1000グラムの湿肺組織(血液プラス肺組織)に送達されたMcgピルフェニドン=700mcg。
2.30%のRDD効率に基づいて、必要とされる単位投与量は2,333mcg(700mcg/0.3=2,333mcg)である。
3.50%のRDD効率に基づいて、必要とされる単位投与量は1,400mcg(700mcg/0.5=1,400mcg)である。
4.70%のRDD効率に基づいて、必要とされる単位投与量は1,000mcg(700mcg/0.7=1,000mcg)である。各々2.5時間の2半減期の間これらの値で又はこれらの値以上で維持するために補正する(2.5時間の肺半減期を備えた、0.7mcg/グラム又はそれ以上での湿肺組織で4時間=1.6半減期)
5.30%のRDD効率について、1.6半減期の間、臨床的に観察された経口経路の有効性の下限(この場合は2,333mcg)に適合するのに必要な単位投与量は、3,733mcgである。
6.50%のRDD効率について、1.6半減期の間、臨床的に観察された経口経路の有効性の下限(この場合は1,400mcg)に適合するのに必要な単位投与量は、2,240mcgである。
7.70%のRDD効率について、1.6半減期の間、臨床的に観察された経口経路の有効性の下限(この場合は1,000mcg)に適合するのに必要な単位投与量は、1,600mcgである。
非限定的な例によって、上記の仮定に基づき、30%の効率を備えた、ピルフェニドン又はピリドンのアナログを送達する装置におけるおよそ3.7mgの投与量は、801mgの経口投与後に得られるのと同じ持続期間にわたって、0.7mcg/グラム又はそれ以上の湿肺組織レベルをもたらすこともある。さらに、ピルフェニドンの最小有効投与量はこの持続時間の間維持されているが、局所的なピルフェニドンレベルは改善された有効性を提供する著しく高い湿肺組織のCmaxレベルを示すこともある。非限定的な例によると、30%の効率を備えた装置を用いた3.7mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログの送達は、約1.1mcg/グラム(3.7mgX30%=1.1mg。1.1mg/1,050グラムの湿った肺重量=1.1mcg/グラム)までの湿肺組織Cmaxを結果としてもたらすこともある。この数は、経口送達後に送達された数よりも約1.5倍近くも高い。別の非限定的な例によると、上記の仮定に基づき、30%の効率でピルフェニドン又はピリドンのアナログを送達する装置におけるおよそ50mgの投与量は、14.3mcg/mL(50mgX30%=15mg。15mg/1,050グラムの湿った肺重量=14.3mcg/グラム)までの湿肺組織Cmax、又は、経口送達後に送達される際のおよそ20倍高い肺組織Cmaxをもたらすこともある。このシナリオでは、この投与量は、801mgの経口投与量投与後の4時間と比較して、少なくとも約5半減期、又は、約12.5時間にわたって、最小有効投与量を、0.7mcg/グラム湿肺組織で、又は、それ以上で維持する結果となることもある。同様に、別の限定的な例によって、上記の仮定に基づき、70%の効率でピルフェニドン又はピリドンのアナログを送達する装置におけるおよそ15mgの投与量は、10mcg/mL(15mgX70%=10.5mg。10.5mg/1,050グラムの湿った肺重量=10mcg/グラム)までの湿肺組織Cmax、又は、経口送達後に送達される際のおよそ14倍高い肺組織Cmaxをもたらすこともある。このシナリオでは、この投与量は、801mgの経口投与量投与後の4時間と比較して、約4.5半減期、又は、少なくとも約11時間にわたって、最小有効投与量を、0.7mcg/グラム湿肺組織で、又は、それ以上で維持する結果となることもある。0.7mcg/グラムの肺組織を超えるそのような持続時間により、1日二度(BID)の投与が許可されてもよい。同様に、別の非限定的な例によって、上記の仮定に基づき、70%の効率でピルフェニドン又はピリドンのアナログを送達する装置におけるおよそ75mgの投与量は、50mcg/mL(75mgX70%=52.5mg。52.5mg/1,050グラムの湿った肺重量=50mcg/グラム)までの湿肺組織Cmax、又は、経口送達後に送達される際のおよそ71倍高い肺組織Cmaxをもたらすこともある。このシナリオでは、この投与量は、801mgの経口投与量投与後の4時間と比較して、少なくとも約6半減期、又は、約15時間にわたって、最小有効投与量を、0.7mcg/グラム湿肺組織で、又は、それ以上で維持する結果となることもある。0.7mcg/グラムの肺組織を超えるそのような持続時間により、BID投与が許可されてもよい。同様に、別の非限定的な例によって、上記の仮定に基づき、30%の効率でピルフェニドン又はピリドンのアナログを送達する装置におけるおよそ15mgの投与量は、4.3mcg/mL(15mgX30%=4.5mg。4.5mg/1,050グラムの湿った肺重量=4.3mcg/グラム)までの湿肺組織Cmax、又は、経口送達後に送達される際のおよそ6倍高い肺組織Cmaxをもたらすこともある。このシナリオでは、この投与量は、801mgの経口投与量投与後の4時間と比較して、少なくとも約3半減期、又は、約7.5時間にわたって、最小有効投与量を、0.7mcg/グラム湿肺組織で、又は、それ以上で維持する結果となることもある。同様に、別の非限定的な例によって、上記の仮定に基づき、30%の効率でピルフェニドン又はピリドンのアナログを送達する装置におけるおよそ75mgの投与量は、21mcg/mL(75mgX30%=22.5mg。22.5mg/1,050グラムの湿った肺重量=21mcg/グラム)までの湿肺組織Cmax、又は、経口送達後に送達される際のおよそ31倍高い肺組織Cmaxをもたらすこともある。このシナリオでは、この投与量は、801mgの経口投与量投与後の4時間と比較して、少なくとも約5半減期、又は、約12.5時間にわたって、最小有効投与量を、0.7mcg/グラム湿肺組織で、又は、それ以上で維持する結果となることもある。0.7mcg/グラムの肺組織を超えるそのような持続時間により、BID投与が許可されてもよい。同様に、別の非限定的な例によって、上記の仮定に基づき、10%の効率でピルフェニドン又はピリドンのアナログを送達する装置におけるおよそ15mgの投与量は、1.4mcg/mL(15mgX10%=1.5mg。1.5mg/1,050グラムの湿った肺重量=1.4mcg/グラム)までの湿肺組織Cmax、又は、経口送達後に送達される際のおよそ2倍高い肺組織Cmaxをもたらすこともある。このシナリオでは、この投与量は、801mgの経口投与量投与後の4時間と比較して、約1半減期、又は、少なくとも約2.5時間にわたって、最小有効投与量を、0.7mcg/グラム湿肺組織で、又は、それ以上で維持する結果となることもある。同様に、別の非限定的な例によって、上記の仮定に基づき、10%の効率でピルフェニドン又はピリドンのアナログを送達する装置におけるおよそ75mgの投与量は、7.1mcg/mL(75mgX10%=7.5mg。7.5mg/1,050グラムの湿った肺重量=7.1mcg/グラム)までの湿肺組織Cmax、又は、経口送達後に送達される際のおよそ2倍高い肺組織Cmaxをもたらすこともある。このシナリオでは、この投与量は、801mgの経口投与量投与後の4時間と比較して、約3.5半減期、又は、少なくとも約8.8時間にわたって、最小有効投与量を、0.7mcg/グラム湿肺組織で、又は、それ以上で維持する結果となることもある。0.7mcg/グラムの肺組織を超えるそのような持続時間により、TID投与が許可されてもよい。そのような手法は、Cmaxの増加と、経口投与によって現在制限されている持続時間よりも長い持続時間にわたって、0.7mcg/グラム又はそれ以上の湿肺組織の最小有効範囲で薬物曝露を維持することから、有効性に恩恵をもたらすことができる。そのような長期曝露は、投与間隔を短くすることができてもよい(例えば、現在の一日に三度の経口投与レジメンに対して、一日に一度又は一日に二度)。さらに、この手法が肺に直接送達する一方で、上記の非限定的な例を用いることによって、全身性の血漿レベルの低下(例えば、5000mLの血液に対する4.5mgの送達用量からの0.6mcg/mL未満のピルフェニドンから、15mgの送達用量からの2mcg/mL未満のピルフェニドン、75mgの用量からの10mcg/mL未満のピルフェニドンまでの、Cmax)がもたらされることもある。
ピルフェニドン又はピリドンのアナログ除去の実際に測定された肺組織の半減期が変われば、上記のモデルで計算された投与量は大きく変化するであろう。半減期がより速ければ、最小有効レベルと考えられるよりも高い肺組織濃度を維持するために、ますます多くの吸入されるピルフェニドン又はピリドンのアナログが必要とされるであろう。吸入されたピルフェニドン又はピリドンのアナログのさらなる増加は、有効性を一層改善するのに望ましいこともある。さらに、望ましい肺組織のCmax及びAUCを送達することに加えて、エアロゾルのピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入送達は、全身性の送達のための効率的な経路に役立つこともある。幾つかの実施形態において、所望の肺組織Cmax及びAUCをまず達成するために、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入送達を可能にする投与スキームが熟慮され、血漿の半減期が肺組織の半減期よりも遅くなることが予想されるため、特定の血漿濃度の送達を標的とすることで、肺組織のピルフェニドン又はピリドンのアナログ曝露を順に長くしてもよい。
瘢痕が不可逆的であるため、IPFの有効性は、侵襲性の線維症から元々の肺組織を保護する作用である。したがって、影響を受けていない組織において、効果的な薬物の正常なレベルを維持することは、患者の生存率の改善に必要不可欠である。臨床的な研究と非臨床な研究は、ピルフェニドンの有効性が弱まった疾患の向上から改善までに及ぶ、用量反応性であることを示唆している。不運にも、胃腸の(GI)重大な副作用及び全身毒性のせいで、この範囲の下限に限定した認可された経口量を強いられる。事態を複雑にしているのは、投与量を吸収する食物を薦めたり、これらの組織に対処する減量/中止の手順を頻繁に始めるように薦めたりすることで、肺への投与量がさらに減らされ、このそれ以外の有望な薬物の必要な維持療法が中断されるということである。エアロゾルのピルフェニドン又はピリドンのアナログの肺への直接的な吸入送達は、送達の経口経路に関連したこれらの安全性又は耐用性の制限を減らす又は取り除く。
経口ピルフェニドンの有効性は、ヒト臨床研究である程度実証され、データは、この効果が用量が高くなるにつれて増加することを示唆する。不運にも、深刻な副作用及び毒性のせいで、経口投与量はこの有効性範囲の下限に限定された(Esbrietは、2403mg/dまで認可された)。Esbrietの処方は、この既に低い有効性投与量を脅かすことから、最小のGI耐性と許容可能な副作用/毒性プロフィールを獲得するために、初期の用量漸増スキームと、推奨された食物を用いる投与を必要とする(267mgのカプセルを3錠まで、又は、801mgを一日三度(TID))。残念ながら、すべての患者がこの推奨された投与量に達するとは限らず、さらに食物はバイオアベイラビリティを減少させる(食物はCmaxとAUCをそれぞれ〜50%及び〜20%を減らす)。さらに、肝酵素値と皮膚の光反応性の増加は、医師の指導を受けた用量の減少と停止の手順を始める。この手順は、第3相試験(これらの研究では、患者の48%から67%の間で、用量は減少した)において中断前に50%の用量減少まで認められた。有効な薬物濃度の長期間の肺組織投与が、侵襲性の線維症からの保護を維持するには必要不可欠であるので、経口ピルフェニドンの処方と実践は、このさもなければ有望な薬物の効果的ではない(sub−efficacious)投与を結果としてもたらす可能性が高い(第3相試験で観察された適度な有効性をある程度は説明する仮説)。
肺線維症の処置の文脈における経口投与に関して、効果的な肺組織曝露に必要な血漿レベルを達成するために、高経口用量が必要である。しかしながら、胃腸の副作用及び全身毒性は、認可された経口用量を、有効性と用量−反応曲線の下限に限定されたレベルに制限してきた。1つの実施形態において、吸入されたピルフェニドン又はピリドンのアナログは、肺への投与量の増加とコンプライアンスの改善によって、ピルフェニドンによる処置の効果を改善する。1つの実施形態において、(例えば、噴霧器を用いる)ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入は、肺にピルフェニドン又はピリドンのアナログを直接送達し、送達された投与量の全身への分布は最小限にされる。幾つかの実施形態において、ピルフェニドンの吸入は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの経口投与に一般的なGI曝露及び/又は全身毒性を減少させる又は除去する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入送達は、経口投与を通じて可能な場合よりも高い肺組織レベルのピルフェニドンを提供する。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入送達は、全身のコンパートメントにピルフェニドン又はピリドンのアナログを送達する効率的な手段として役立つ。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入送達は、経口経路以上のCmaxとAUCの利点を提供する。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入送達は、経口経路以上のCmaxとAUCの利点を提供し、血漿が再循環した、エアロゾルで送達されるピルフェニドン又はピリドンのアナログは、これらの有益な特性を維持する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、軽度から中程度のIPFと診断された患者を処置するために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、軽度から重度のIPFと診断された患者を処置するために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、最初に患者に投与量を増やす必要なく、軽度から中程度のIPFと診断された患者を処置するために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、最初に患者に投与量を増やす必要なく、軽度から重度のIPFと診断された患者を処置するために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、胃腸の、光毒性の、又は、肝酵素に関連する有害事象によって、治療をモニターし、投与量を減らし、又は、治療を中断する必要なく、軽度から中程度のIPFと診断された患者を処置するために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、胃腸の、光毒性の、又は、肝酵素に関連する有害事象によって、治療をモニターし、投与量を減らし、又は、治療を中断する必要なく、軽度から重度のIPFと診断された患者を処置するために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、軽度から中程度のIPFと診断された患者に、予防的な治療を施すために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、軽度から重度のIPFと診断された患者に、予防的な治療を施すために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、最初に患者に投与量を増やす必要なく、軽度から中程度のIPFの患者に予防的な治療を施すために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、最初に患者に投与量を増やす必要なく、軽度から重度のIPFと診断された患者に予防的な治療を施す。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、胃腸の、光毒性の、又は、肝酵素に関連する有害事象によって、治療をモニターし、投与量を減らし、又は、治療を中断する必要なく、軽度から中程度のIPFと診断された患者に、予防的な治療を施すために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、胃腸の、光毒性の、又は、肝酵素に関連する有害事象によって、治療をモニターし、投与量を減らし、又は、治療を中断する必要なく、軽度から重度のIPFと診断された患者に予防的な治療を施すために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、最初に患者に投与量を増やす必要なく、軽度から中程度のIPFと診断された患者の疾患の進行を遅らせるために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、最初に患者に投与量を増やす必要なく、軽度から重度のIPFと診断された患者の疾患の進行を遅らせるために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、胃腸の、光毒性の、又は、肝酵素に関連する有害事象によって、治療をモニターし、投与量を減らし、又は、治療を中断する必要なく、軽度から中程度のIPFと診断された患者の疾患の進行を遅らせるために使用されてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、胃腸の、光毒性の、又は、肝酵素に関連する有害事象によって、治療をモニターし、投与量を減らし、又は、治療を中断する必要なく、軽度から重度のIPFと診断された患者の疾患の進行を遅らせるために使用されてもよい。非限定的な例によって、IPF有効性の臨床エンドポイントは、努力肺活量(FVC)の減少の低下、6分間隔で歩いた距離(6分間の歩行検査;6MWT)の減少の低下、一酸化炭素拡散能(DLCO)の緩やかな減少、無増悪生存期間(PFS)の改善、死亡率の低下、及び、MMP7やCCL18のようなバイオマーカーの変化のモニタリングを含む。幾つかの実施形態において、観察されることもある経口及び吸入されたエアロゾル特性の比較が、表Aで示される。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、高濃度の容易に生物が利用可能なピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の送達を提供し、これは、徐々に溶解する、又は、さもなければ徐々に生物学的に利用可能な化合物製剤の経口経路又は吸入によって投与されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物以上の改善された有効性を与える。幾つかの実施形態において、上記のような徐々に溶解する、又は、さもなければ徐々に生物学的に利用可能な、吸入用の化合物製剤は、限定されないが、乾燥粉末製剤、リポソーム製剤、ナノ懸濁製剤(suspension formulation)、又は、ミクロ懸濁製剤を含む。幾つかの実施形態において、吸入によって投与するための、本明細書で記載及び熟慮されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの水溶液は、完全に均質で可溶性である。
幾つかの実施形態において、経口ピルフェニドン療法を患者が遵守する障害となるものは、GIへの不耐用性である。ピルフェニドン血中濃度は、他の観察された毒性に関与してきたため、重要なこともある。したがって、血中濃度の増加に寄与する因子は考慮されなければならない。投与の経口経路に関して、毒性及びGIへの不耐用性により、投与量は、801mgの1日3回の投与に制限された。肝酵素、光線過敏性反応、及び、光毒性の上昇は、この用量で生じるが、用量が多ければ、もっと頻繁に深刻さを増して生じる。第2に、ピルフェニドンは、CYP1A2によって主として代謝される。肝ミクロソームを用いたインビトロの代謝研究は、ピルフェニドンのおよそ48%が、各々13%未満を寄与するCYP2C9、2C19、2D6、及び、2E1を含む他のCYPアイソザイムを用いて、CYP1A2によって代謝されることを示す。したがって、これらの酵素系の阻害は、ピルフェニドン血中濃度の上昇をもたらし、毒性の発生率と重症度を高める結果となる。この目的を達成するために、グレープフルーツジュース、フルボキサミン、及び、CYP1A2の他の阻害剤などのアイテムは、ピルフェニドンを用いた経口処理の間、回避されなければならない。
ピルフェニドンの経口投与は、フルボキサミンを併用する患者では禁忌となる。フルボキサミンは、Esbriet療法の開始前に中止されなければならず、ピルフェニドンのクリアランスの低下によりEsbriet療法の間、避けられなければならない。ピルフェニドンの代謝に関与するCYP1A2及び1以上の他のCYPアイソザイム(例えば、CYP2C9、2C19及び2D6)の両方の阻害剤である他の療法も、ピルフェニドン処置中には回避されなければならない。
経口投与についても同様に、CYP1A2阻害剤が、CYP2C9(例えば、アミオダロン、フルコナゾール)、2C19(例えば、クロラムフェニコール)、及び、2D6(例えば、フルオキセチン、パロキセチン)などのピルフェニドンの代謝に関与する1つ以上の他のCYPアイソザイムの有力な阻害剤と併用して使用されている場合、特に注意を払わなければならない。
経口生成物は、CYP1A2(例えば、シプロフロキサシン、アミオダロン、プロパフェノン)の他の穏やかな又は強力な阻害剤で治療を受けている患者には、注意して使用されなければならない。
CYP酵素をもたらす多くの生成物が線維症患者にとって有用であるため、それらの使用を許可することは有益である。経口経路がすでに最大許容量(それは適度な有効性しか提供しない)にある一方で、上に記載された酵素の任意の阻害はピルフェニドン血中濃度を上げ、本明細書に記載の有毒事象の速度を早め、重症度を悪化させる。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの経口吸入及び鼻腔内吸入による送達は、経口薬物生成物によって必要とされるよりもはるかに少ない薬物で有効な組織レベルを達成することができ、実施形態によっては、著しく低い血中濃度をもたらし、本明細書に記載のCYP酵素阻害特性に関連した結果は除外される。幾つかの実施形態において、現在のところ経口薬とともに用いられるのが禁忌であるこれらのCYP阻害酵素生成物の使用は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログを用いて投与されてもよい。
ピルフェニドンの一次代謝産物は、5−カルボキシ−ピルフェニドンである。経口投与又は静脈内投与後に、この代謝産物は、血液中高濃度ですぐに現れる。5−カルボキシ−ピルフェニドンは、抗線維症あるいは抗炎症作用を有しているようには見えず、その高血中濃度はピルフェニドン血中濃度の減少で生じる。したがって、経口生成物が可能な限り高い血中濃度で投与される一方で、一旦ピルフェニドンが血液に入ると、ピルフェニドンは即座に非活性種に代謝され、さらに、相当な有効性に必要とされる十分な肺レベルを達成する可能性のある薬物を減らす。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの経口吸入及び鼻腔内吸入による送達は、有効な肺組織レベルを直接達成することができるため、肺外での代謝は最小限にされる。
幾つかの実施形態において、吸入によるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の投与は、経口投与と比較して、胃腸の副作用を減らした。幾つかの実施形態において、吸入による投与での胃腸の副作用が減少したおかげで、当初の用量漸増の必要性はなくなる。幾つかの実施形態において、吸入によるピルフェニドン又はピリドンのアナログの投与は、胃腸管を回避するか、実質的に回避し、ゆえに、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の経口投与で観察された効果は、最小限にされるか、存在しなくなる。幾つかの実施形態において、吸入による投与での食物作用の欠如により、総投与量の送達が可能となる。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、哺乳動物の肺疾患の処置で使用される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、哺乳動物の肺疾患を処置する目的で、経口吸入又は鼻腔内吸入の方法によって哺乳動物に投与される。幾つかの実施形態において、肺疾患は、限定されないが、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、特発性肺線維症、放射線によって誘発された線維症、珪肺症、アスベストによって誘発された肺線維症又は胸膜線維症、急性肺障害、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サルコイドーシス、通常型間質性肺炎(UIP)、嚢胞性線維症、慢性リンパ性白血病(CLL)に関連する線維症、ハンマン−リッチ症候群、カプラン症候群、炭坑夫塵肺症、原因不明の線維性肺胞炎、閉塞性細気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫、間質性肺炎、Wegnerの肉芽腫症、肺強皮症、珪肺症、間質性肺疾患、アスベストによって誘発された肺線維症及び/又は胸膜線維症を含む。幾つかの実施形態において、肺疾患は肺の線維症(すなわち、肺線維症)である。幾つかの実施形態において、肺疾患は、特発性肺線維症である。
(肺線維症)
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物及び方法は、肺線維症を処置し、肺線維症の進行を遅らせ、又は、肺線維症を防ぐことができる。幾つかの実施形態において、肺線維症は、間質性肺線維症を含んでいる。障害のこの群は、深部の肺組織の瘢痕化、息切れや機能的な肺胞の欠如につながること、したがって、酸素交換を制限することによって特徴づけられる。病因は、無機性及び有機性の粉末、ガス、煙霧、及び、蒸気の吸入、薬物の使用、放射線への曝露、及び、過敏性肺炎のような障害の進行、炭坑夫塵肺症、放射線、化学療法、移植拒絶反応、珪肺症、綿肺、及び、遺伝因子を含む。
本明細書に記載のIPFは「特発性肺線維症」を指し、実施形態によっては、数年にわたって顕在化する慢性的な疾患であり、既知の誘発を伴わない肺内部の瘢痕組織を特徴としている。運動誘発性の息切れ及び慢性的な乾性咳は、顕著な症状であってもよい。IPFは、間質性肺疾患(ILD)として、又は、正確には、びまん性の実質肺疾患として知られている肺障害のファミリーに属する。びまん性の肺疾患のこの広義なカテゴリー内では、IPFは特発性間質性肺炎(IIP)として知られている下位の群に属する。特定の臨床的特徴や病理学的パターンによって区別される7つの特徴的なIIPがある。IPFはIIPの最も一般的な形態である。IPFは、通常型間質性肺炎(UIP)として知られている病理学的パターンに関連付けられる。そのため、IPFはしばしばIPF/UIPと呼ばれる。IPFは通常は致命的で、平均生存期間は診断時からおよそ3年である。肺線維症を診断するための1つの検査はなく、胸部X線写真、肺機能検査、運動テスト、気管支鏡検査及び肺生検を含む複数の異なる検査が、本明細書に記載の方法と共に用いられる。
特発性肺線維症(原因不明の線維性肺胞炎としても知られている)は、間質性肺疾患の最も一般的な形態であり、慢性的な進行性の肺の実質線維症を特徴とすることもある。特発性肺線維症は、未知の病因を備えた進行性の臨床的な症候群であり、有効な治療が存在しないため、予後はしばしば致死的である。幾つかの実施形態において、ピルフェニドンは、コラーゲン合成に関連する線維芽細胞の増殖及び分化を阻害し、TGFベータの産生と活動を阻害し、fibronectiv及び結合組織増殖因子の産生を減らし、TNFアルファ及びI−CAMを阻害し、IL−10の産生を増やし、及び/又は、ブレオマイシンによって誘発された肺線維症における血小板由来増殖因子(PDGF)A及びBのレベルを下げる。本明細書に記載のピルフェニドン方法及び組成物は、重度の特発性肺線維症及び他の肺疾患の患者で耐用性及び有用性を与えることもある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載のピルフェニドン方法及び組成物は、軽度から中程度の特発性肺線維症の患者で耐用性及び有用性を与えることもある。幾つかの実施形態において、患者の生存率の増加、肺活量の強化、(プラセボと比較して)急性増悪期のエピソードの減少、及び/又は、疾患の進行の遅延が、以下のピルフェニドン処置で観察される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入送達は、特発性肺線維症又は他の肺線維症の疾患を予防、管理、又は、処置するための有効な手段であってもよい。
「肺線維症」との用語は、線維症に関連するすべての間質性肺疾患を含んでいる。幾つかの実施形態において、肺線維症は「特発性肺線維症」又は「IPF」との用語を含んでいる。幾つかの実施形態において、肺線維症は、非限定的な例によって、無機性及び有機性の粉末、ガス、煙霧、及び、蒸気の吸入、薬物の使用、放射線又は放射線療法への曝露、及び、過敏性肺炎のような障害の進行、炭坑夫塵肺症、放射線、化学療法、移植拒絶反応、珪肺症、綿肺、及び、遺伝因子に由来することもある。
本明細書に記載の方法を用いて処置又は予防する典型的な肺疾患は、限定されないが、特発性肺線維症、関節リウマチのような全身性炎症性疾患に続発する肺線維症、強皮症、狼瘡、原因不明の線維性肺胞炎、放射線によって誘発された線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、サルコイドーシス、強皮症、慢性の喘息、珪肺症、アスベストによって誘発された肺線維症又は胸膜線維症、急性肺障害及び急性呼吸窮迫症候群(細菌性肺炎によって誘発された、外傷によって誘発された、ウイルス性肺炎によって誘発された、人工呼吸器によって誘発された、非肺敗血症によって誘発された、及び、吸引によって誘発されたものを含む)を含んでいる。
(インフラマソームと線維症)
インフラマソームを含む先天性免疫応答は、組織損傷と病原体侵襲に対する第1の防衛線の1つである。インフラマソームは、炎症促進性因子の放出を介して、危険な部位への炎症性細胞の活性化及び動員を媒介する。インフラマソームは、細胞内又は細胞外の侵襲要因から生じる、内因性及び外因性の警告シグナルを認識することができる。インフラマソームを活性化させると知られている内因性侵襲要因は、尿酸、ATP、細胞及び新しく同定された内因性ペプチドからのカリウム流出物、acALY18などの特異的な化学的警告シグナルを含む。外因性侵襲要因は、細菌、ウィルス、及び寄生虫に特有の保存分子モチーフの多様な範囲、外因性化学物質又は紫外線から由来する、病原体関連の分子パターンを含む。インフラマソームの活性化の間、カスパーゼの活性化及び動員のドメイン(CARD)(ASC)を含む、アポトーシススペック様タンパク質は、核から移動し、プロカスパーゼ−1を動員するインフラマソーム複合体に組み込まれる。これらタンパク質の結果として生じる連合は、カスパーゼ−1の開裂と活性化を引き起こす。一旦カスパーゼ−1は活性化されると、その後、IL-1β及びIL-18などの多くの主要な炎症促進性サイトカインを開裂することができる。
NLRP3インフラマソームは、最も広く研究されたインフラマソームであり、このインフラマソームは、内因性及び外因性のソースからの広範囲の警告シグナルを感知することができる。NLRP3インフラマソームの組み立ては、活性酸素種の存在、及び、小胞体とミトコンドリアとの位置的な相互作用を必要とすることが示されてきた。静止したNLRP3は小胞体に局在化される。しかし、一旦インフラマソームが活性化されると、NLRP3とASCの両方は、小胞体及びミトコンドリアの細胞小器官と共に同時に局在化する細胞の核周囲の領域に再分配される。
インフラマソーム複合体の組み立て及び活性化は、しっかりと調節されるプロセスにおいてカスパーゼ−1(IL-1β変換酵素/ICE)の開裂に通じる。カスパーゼ−1の活性な形態は、自食作用に関与すると現在考えられている小胞体/Golgi依存経路を介して生じるであろう方法で分泌シグナル伝達配列を含まない、広範囲のタンパク質前駆体を開裂することができる。自食作用はIL-1βの分泌を調節することに加えて、インフラマソームの活性化も調節する場合があると思われる。静止した線維芽細胞よりも速い速度で活性化された筋繊維芽細胞からASCが分泌されると示されており、これは、インフラマソームが自身の活性化を調節するプロセスにおいて分泌されることを示唆している。更に、一旦活性化されると、カスパーゼ−1はまた、可能ならば同じ自食機構により、自身の分泌を誘発し、このことはまた、カスパーゼ−1により処理されるタンパク質の開裂をさらに調節する場合があると考えられる。
タンパク質のIL-1のファミリーに属するIL-1βとIL-18は、カスパーゼ−1が活性化される場合に、成熟した生物学的に活性なタンパク質に処理される。その後、これらタンパク質は分泌に利用可能となる。多くの他のタンパク質もカスパーゼ−1により処理され、これらタンパク質の多くは炎症、細胞の骨格、及び他の機能に関与する。
初期機構に依存して、インフラマソームの活性化は、インフラマソームの分解、及び損傷の治癒により、十分に定義された進路をたどることができ、或いは連続しており、その結果慢性疾患又は線維症が生じる。急性疾患において、損傷は、初期シグナルの除去により完全に回復することができ、その一方、線維症につながる慢性疾患において、結果として生じる病原体又は刺激物は、除去することができず、そのため、連続的なインフラマソームの活性化、及びIL-1βとIL-18の処理につながることが推測される。
線維症及び創傷の治癒におけるIL-1βの役割は明白であり、研究により、コラーゲンの導入を結果としてもたらす下流機構の幾つかが解明されてきた。IL-1βは、用量に依存した方法で繊維芽細胞によりコラーゲン分泌を直接刺激することができ、気道上皮細胞によるIL-1βの一時的な過剰発現により、肺におけるTGFβ1とコラーゲンの沈着を増加させる。
IL-1βの一時的な発現は、通常の創傷治癒に重要である。しかし、IL-1βの慢性的な発現は線維症を媒介すると思われる。通常の創傷治癒において、IL-1βの分泌は、1日目にピークに達すると見出され、術後3−7日の間に下降する。深く切開された創傷治癒モデルを用いると、IL-1受容体が不足したマウスの創傷治癒は改善され、線維症が少なくなり、コラーゲン分解活性が多くなった。創傷流体は、TGFβ1、IL-6、及び血管内皮成長因子をあまり包含せず、及び、アナキンラ(IL-1受容体アンタゴニスト)の後の野生型創傷は線維症をあまり包含せず、このことはIL-1シグナル伝達が線維症促進性であることを示唆している。
近位細管細胞における短期間のIL-1βとTGFβ1の暴露(分)はSmad3のリン酸化を阻害し、これは次に、下流のTGFβ1のシグナル伝達を阻害した。対照的に、IL-1βとTGFβ1への近位細管細胞の長時間の暴露(24時間)はSmad3のリン酸化を増加させ、更にTGFβ1のシグナル伝達を向上させた。他の細胞も、IL-1βへの同様の反応を示し、IL-1βへの微小血管内皮細胞の暴露は、これら細胞の筋繊維芽細胞への恒久的な形質転換を促進すると見出された。
IL-18 mRNAは、通常の皮膚におけるタンパク質の低い内因性のレベルにより構成的に発現される。損傷の後、mRNAはタンパク質へと急速に翻訳される。IL-1βと同様、損傷した皮膚におけるIL-18タンパク質は一時的なものである。創傷の直後、皮膚のIL-18 mRNAの急速な減少が生じるが、一旦最上皮化が達成されると、これは13日目までに通常のレベルに戻る。創傷治癒において、IL-18はTGFβ1を誘導し、且つ、炎症細胞によりIFNγの分泌を誘導することができる。興味深いことに、IFNγのシグナル伝達の阻害の結果、野生型マウスと比較して創傷治癒が改善され、このことは、IFNγが釣り合いの取れた創傷治癒を必要とすること、そしてその欠如が線維症を促進し得ることを示唆している。
線維症疾患におけるインフラマソームの関与が解明されつつある。しかし、今日までの多くの研究は、間質細胞又は実質細胞におけるインフラマソームの活性化よりも、炎症細胞におけるインフラマソームの活性化に焦点を当てられてきた。インフラマソームの活性化は、病原体の認識、又は細胞の警告シグナル(alarmins)の認識に関与されることに加えて、多くの慢性の突発性疾患に関与されるように思われる。線維症は多くの要因に依存し得ることが推測され、この要因は、インフラマソームの活性化に通じる初期事象、特異的に活性化されたインフラマソーム又はインフラマソームの組み合わせ、標的細胞の活性化されたインフラマソームに対する反応に影響を及ぼす遺伝的変異、IL-1β及びIL-18などのインフラマソームの副産物、細胞から分泌されたサイトカインのレベル、インフラマソームが活性化される細胞タイプ(炎症細胞 対 間質又は実質細胞)、或いはインフラマソームの活性化の持続時間を含む。
たとえ間質細胞が免疫細胞でなくとも、これら細胞の活性化は、炎症細胞の下流の動員を促進するサイトカイン分泌を誘導することができ、これはインフラマソームの活性化により生じ得る。線維芽細胞は、免疫細胞の中心となると考慮されず、感染症と免疫学的に関連があるとも考慮されない。しかし、線維芽細胞は、皮膚が病原体により裂傷を負う又は感染した場合に、単球及び好中球をその部位に動員するために、ケモカインとサイトカインを放出するように活性化され得る。線維芽細胞は、組織損傷により細菌生産物と細胞警告シグナルに反応するセンチネル細胞であると考慮される場合がある。インフラマソームの活性化は、静止した線維芽細胞の筋繊維芽細胞への分化を誘導する。このことから、筋繊維芽細胞の分化を促進する、連続するインフラマソームの調節不全は、過剰な細胞外マトリクスの蓄積、そしてその結果としての臓器不全における重要な要因であるかも知れない。対照的に、通常の創傷治癒において、インフラマソームのシグナル伝達はしっかりと調節され、一旦創傷が閉じられると、筋繊維芽細胞はアポトーシスを受けて、コラーゲン分泌を制限する。
多くの研究により、組織中のコラーゲン沈着の誘導(driving)及び創傷治癒におけるカスパーゼ−1の活性化における、NLRP3インフラマソームの役割が確証されている:(1)ASCタンパク質が不足したマウスにおいて、線維症促進性(profibrotic)化合物であるブレオマイシンへの反応が弱められ;(2)IL-1受容体が不足したマウスにおいて、ブレオマイシンへの反応が妨げられ;(3)野生型マウスの肺への組み換え型IL-1βの直接投与の結果、炎症とコラーゲン沈着による組織破壊が著しく増加され;及び(4)IL-1受容体アンタゴニスト(Anakinra)によるIL-シグナル伝達の阻害は線維症を制限し、そしてIL-1β中性化抗体の投与よりも有効であった。
更なる研究において、ブレオマイシンが肺に浸透すると、尿酸が肺の実質に放出されたことが分かった。尿酸は細胞のサイトゾルに溶解する。しかし、損傷した細胞により放出されると尿酸は沈降し、肉眼で見える大きさの尿酸ナトリウム結晶を形成し、これら結晶は免疫応答を刺激する。尿酸の局在化された増加の結果、細胞に膜損傷を生じさせる結晶の沈着をもたらし、その結果、NLRP3インフラマソームの活性化、及びその後のIL-1βの放出をもたらすことが、推測された。更に、尿酸により媒介されるシグナル伝達はIL-1受容体とNLRP3インフラマソームに依存したことが実証され、自己分泌シグナル伝達ループを媒介とした結果線維症が生じることが示唆された。カスパーゼ−1を欠いたマウスを使用して、カスパーゼ−1がブレオマイシンの繊維症促進性効果に必要であることを実証した。
肝星細胞は、筋繊維芽細胞へと分化し、コラーゲン分泌を上方制御することができる。活性化された肝星細胞は、病原体及び細胞片を捕食し、抗原を提示し、α−平滑筋アクチン緊張線維(actin stress fibers)を発現し、そして移動することができる。尿酸ナトリウム結晶はインフラマソームを活性化し、これにより肝線維症が生じると示されてきた。併せて、これらの発見は更に、インフラマソームが線維症の中心となる重要なシグナル伝達経路であることを示唆した。加えて、肝線維の進行はIL-1αとIL-1βにより媒介され、1日目にピークに達する一方で、コラーゲンとα−平滑筋アクチンは3日目にピークに達した。
自己免疫疾患全身性硬化症(SSc;強皮症)において繊維症がインフラマソーム上で依存することが示されてきた。筋線維芽細胞によるコラーゲン分泌は、カスパーゼ−1が阻害され、且つ、カスパーゼ−1の阻害によりIL−1βとIL−18も阻害される場合に抑止されることが示された。これらのデータは、SScにおけるIL−1βとIL−18の放出が、カスパーゼ−1に依存し且つ繊維症が駆り立てられるインフラマソーム活性化により媒介されることを示唆する。更に、皮膚と臓器においてコラーゲン合成の増加を駆り立てる病原性細胞である、筋線維芽細胞は、カスパーゼ−1の阻害により表現型の上で変更され得る。具体的に、α−平滑筋アクチン緊張繊維は、カスパーゼ−1シグナル伝達が阻害された場合、より薄くなり、且つタンパク質をあまり包含しない。α-平滑筋アクチン発現の変化は、静止した繊維芽細胞において観察されず、f−アクチン発現はカスパーゼ−1不活性化には影響されなかった。これらの所見は更に、皮膚繊維症のモデルのNLRP3及びASCが不足したマウスにおいて反復された。ブレオマイシンの皮下注射による皮膚繊維症の誘導は、肺線維症であったため、ノックアウトマウスにおいて阻害された。これら調査結果により、活性カスパーゼ−1がSSc繊維症を調節することが示唆され、そして、このような患者において、繊維症促進性の表現型を促進するIL−1β及び/又はIL−18により媒介された自己分泌シグナル伝達があるかもしれないことが示唆される。
近年、低酸素症と再酸化を模倣する条件で、心筋細胞ではなく心臓繊維芽細胞の刺激はインフラマソームを刺激し、このことは繊維症に通じ得ることが見出された。このような条件下で、活性酸素種とカリウム流出物はインフラマソーム活性化の陰の原動力であった。ASCの不足したマウスは、虚血再還流に対する応答を少なくし、浸透するマクロファージと好中球の数を減らした。この研究により、繊維芽細胞が、虚血と再潅流の結果をもたらす危険シグナルを感知することができる感知細胞として作用し、それにより心臓の炎症反応の増加を引き起こし、コラーゲンの沈着を刺激するかもしれないという更なる証拠が提示される。
(小胞体ストレスと繊維症)
小胞体(ER)は、様々な細胞内コンパートメント又は細胞外環境のために予定されたタンパク質のフォールディングのための部位として機能する、特殊な細胞器官である。ERはまた、ステロイド、コレステロール、並びに他の脂質の生合成のための部位、及び、カルシウムの保管とサイトゾル放出のための部位として機能する。加えて、ERは、その機能にかかるストレスを持続する場合、フォールディングされていないタンパク質反応(UPR)と称される、様々なシグナル伝達経路を活性化することができる。真核細胞において、3つのERに内在する膜貫通型タンパク質は、ERストレスを感知し、且つUPRの間にシグナルを形質導入することに重要である:イノシトールを必要とする酵素1(IRE1)、二本鎖RNAにより活性化されたタンパク質キナーゼ−(PKR)−様の真核生物の開始因子2αキナーゼ(PERK)、及び活性化転写因子−6(ATF6)。一時的且つ穏やかなERストレスの間、UPRは、ERの大きさの拡張、タンパク質のフォールディング能力の向上、転写及び翻訳の制御を介したタンパク質合成の抑制、並びに、フォールディングされていない或いは誤ってフォールディングされたタンパク質の分解を含む適応機構により、ERホメオスタシスを回復する。しかし、ストレスが持続的であり且つ強力な場合、UPRは、ミトコンドリア依存性又は非ミトコンドリア依存性のアポトーシス経路を活性化する。UPRシグナル伝達経路はまた、NF−κBの活性化に関係し、炎症過程を調節する主要な転写因子である。ERセンサIRE1αとPERKにより誘導された3つのUPR経路全て、及びATF6は潜在的に、ERストレス中にNF−κB活性化に寄与する。UPR活性化の間、ERに内在するIRE1αは、IRE1αとTRAF2の間の複合体の形成により動員されたIκBキナーゼ(IKK)複合体を介してNF−κBを活性化する。IRE1αのキナーゼ活動は、I−κBの分解、そして後のNF−κBの活性化に繋がる。真核生物の開始因子である2−アルファ(eIF2α)のサブユニットの、PERKに誘導されたリン酸化は、I−κBの翻訳の抑制によりIκBタンパク質のレベルを減らし、NF−κBの核転位を促進することで標的遺伝子の転写を調節する。これらの機構に加えて、NF−κBは、ERストレスの間、カルシウム媒介性ROS産生により活性化される場合がある。共に得られると、ERストレスに関連したNF−κB活性化は、IL−1β産生とインフラマソーム活性化のプライミング工程に関与する。
(腎線維症)
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物及び方法は、腎線維症を処置する、腎線維症の進行を遅らせる、又は、腎線維症を防ぐことができる。腎線維症は、慢性感染症、結石による尿管の閉塞、悪性高血圧症、放射線療法、移植拒絶反応、重度の糖尿病状態、又は、重金属への長期間の曝露の結果として進行することもある。加えて、特発性の糸球体硬化症及び間質性腎線維症は、子どもと成人で報告されている。腎線維症は、腎機能の全体的な機能低下によく関連付けられる。研究によると、経口ピルフェニドンは、ラットにおける糖尿病誘発後に、重金属の負荷(heavy metal challenge)と線維症の逆転に対する保護効果を提供することが示されている。さらに、ラットの腎臓の一部摘出後の腎線維症におけるピルフェニドンの抗線維作用も示された。加えて、経口ピルフェニドンを投与する臨床研究によると、巣状分節性糸球体硬化症の患者で腎機能の低下が遅れたことが分かった。幾つかの実施形態において、腎臓の血管が肺のすぐ下流にあるため、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入による送達は、全身のコンパートメントを、経口投与に関連するさもなければ有害な薬物に曝露することなく、様々な医学的な条件又は手順に由来する腎線維症を防ぐ、管理する、又は、処置するための有効な手段であってもよい。
「腎線維症」との用語は、非限定的な例によって、慢性感染症、結石による尿管の閉塞、悪性高血圧症、放射線療法、移植拒絶反応、深刻な糖尿病状態、又は、重金属への長期間の曝露に関連するリモデリングに関するか、又は、結果として生じるこれらに関する。
<心臓及び腎臓の毒性>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物及び方法は、心臓及び/又は腎臓の毒性を処置する又はその進行を遅らせる、あるいはそれを防ぐことができる。化学療法剤は、治療中に複数の器官に対する毒性を有する。限定しない例によって、ドキソルビシンは、様々な腫瘍に対する広範囲の治療活性を有する。しかしながら、その臨床的使用は、特に心臓と腎臓における、その望ましくない全身毒性によって制限される。ピルフェニドンでの処置は、減少した死亡率によって評価されるようなドキソルビシン誘発性の毒性の重症度を低下させ、腹腔において回復した流体の量を減少させ、及び生化学的及び形態学的レベルでの心臓及び腎臓の病変の重症度を減少させた。幾つかの実施形態において、心臓及び腎臓の脈管構造が、肺のすぐ下流となるため、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入された送達は、全身性のコンパートメントを経口投与に関連する他の有毒な薬物濃度に曝すことなく、化学療法誘発性の心臓及び/又は腎臓の炎症を防ぐか、管理するか、又は処置する有効な手段であり得る。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の吸入による送達は、ヒトにおける化学療法剤又は他の治療剤に関連した心臓毒性及び/又は腎臓毒性の処置に使用される。
限定しない例による用語「心臓毒性」は、毒性を有している化学療法剤への曝露に関係するか又はそれによって引き起こされ得る。限定しない例によって、ドキソルビシンは、様々な腫瘍に対する広範囲の治療活性を有する。しかしながら、その臨床的使用は、特に心臓と腎臓における、その望ましくない全身毒性に限定される。
限定しない例による用語「腎臓毒性」は、毒性を有している化学療法剤への曝露に関係するか又はそれによって引き起こされ得る。限定しない例によって、ドキソルビシンは、様々な腫瘍に対する広範囲の治療活性を有する。しかしながら、その臨床的使用は、特に心臓と腎臓における、その望ましくない全身毒性に限定される。
<心臓線維症>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物及び方法は心臓線維症を処置する又はその進行を遅らせる、あるいはそれを防ぐことができる。慢性高血圧でのような心臓のリモデリングは、筋細胞肥大症及び線維症、細胞外マトリックスタンパク質の増加した及び非同一の沈着に関係している。細胞外マトリックスは、筋細胞を連結し、収縮要素を配列し、筋細胞の過剰拡大及び破壊を防ぎ、力を伝送し、及び断裂を防ぐために引っ張り強度を提供する。線維症は、拡張期の硬直の増加、心臓機能の低下及び不整脈のリスクの増加につながる高血圧症の多くのモデルに生じる。筋細胞肥大症よりもむしろ線維症が、障害のある心血管機能における重大な因子であると、それ自体の心臓線維症の逆転によって、心臓機能は正常へと戻り得る。コラーゲン沈着が動態過程であるため、適切な薬物負荷は、既存の線維症を選択的に逆転し、さらなる線維症を防ぎ、それによって、たとえ増加した収縮期血圧が変わらなくても機能を改善し得る。
ピルフェニドンによるDOCA塩高血圧ラットの処置は、線維症を逆転し防いだ。そのピルフェニドン又はピリドンのアナログの治療は、慢性高血圧に関連する心臓線維症及び高血圧のヒトにおける心臓の機能障害も減ずる有効な手段であり得ることを示唆している。さらに、ストレプトゾトシン糖尿病性のラットのピルフェニドン処置に続く線維症の逆転も示された(Miric et al., 2001)。まとめると、心臓脈管構造が肺のすぐ下流となるため、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入による送達は、限定しない例による、ウイルスの又は細菌による感染、外科手術、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、放射線、化学療法、及び移植拒絶反応を含む、様々な病状又は手順から結果として生じる心臓線維症を防ぐか、管理するか、又は処置するための有効な手段であり得る。
限定しない例による用語「心臓線維症」は、ウイルスの又は細菌による感染、外科手術、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、放射線療法、化学療法、移植拒絶反応、及び筋細胞肥大症及び線維症が関係し、細胞外マトリックスタンパク質の増加した非同一の沈着が生じる、慢性高血圧に関連する又はそれらから結果として生じるリモデリングに関する。線維症は、拡張期の硬直の増加、心臓機能の低下、不整脈のリスクの増加及び心血管機能の障害につながる高血圧症の多くのモデルに生じる。
<肝線維症>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物及び方法は、肝線維症を処置する又はその進行を遅らせる、あるいはそれを防ぐことができる。肝線維症は、限定しない例の持続的なウイルス性肝炎、アルコール過剰摂取及び自己免疫疾患によって引き起こされた、慢性肝疾患の患者における重度の肝損傷の結果、生じる。肝線維症は、細胞外マトリックス成分、特にコラーゲンの異常な蓄積に関係している。肝星細胞は、類洞周囲腔に存在する非柔組織的な肝細胞である。これらの細胞は、肝線維症における細胞外マトリックスの主な細胞源であることが示された。経口のピルフェニドンが、体重減少の予防、肝臓体重の減少の抑制、組織学的評価によって測定された肝線維症の誘発の抑制、及び肝性ヒドロキシプロリンレベルの低下において、ジメチルニトロソアミン誘発性の肝線維症に対する保護効果を提供することを研究は示した。肝臓におけるタイプIコラーゲン及び形質転換増殖因子ベータのためのmRNAの発現もまた、ピルフェニドン処置によって抑制された。さらに、経口のピルフェニドンを投与する臨床研究は、肝炎Cウイルス関連の肝臓病患者において、線維症の減少及び生活の質の向上を示した。まとめると、肝臓脈管構造が肺のすぐ下流となるため、これらの結果は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入による送達は、全身性のコンパートメントを経口投与に関連する他の有毒な薬物濃度に曝すことなく、様々な病状又は手順から結果として生じる肝線維症を防ぐか、管理するか、又は処置するための有効な手段であり得ることを示している。
限定しない例による用語「肝線維症」は、限定しない例の持続的なウイルス性肝炎、アルコール過剰摂取及び自己免疫疾患によって引き起こされた、慢性肝疾患の患者における重度の肝損傷に関連し得る又はそれによって引き起こされ得る。肝線維症は、細胞外マトリックス成分、特にコラーゲンの異常な蓄積に関係している。肝星細胞は、類洞周囲腔に存在する非柔組織的な肝細胞である。
<多発性硬化症>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物及び方法は、多発性硬化症を処置する又はその進行を遅らせる、あるいはそれを防ぐことができる。多発性硬化症は、白質における脱髄性病変及び進行性軸索喪失に起因する神経学的欠乏を特徴とする脱髄疾患である。TNFアルファが多発性硬化症の病因に重要な役割を果たすという証拠は、この適応においてピルフェニドンの評価につながった。臨床研究において、経口ピルフェニドンは、プラセボ以上にScripps Neurological Rating Scaleスコアを改善した。さらに、ピルフェニドンは、再発を減少させ、膀胱機能不全の著しい改善に関係した。まとめると、中枢神経系脈管構造が肺のすぐ下流となるため、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入による送達は、全身性のコンパートメントを経口投与に関連する他の有毒な薬物濃度に曝すことなく、多発性硬化症を防ぐか、管理するか、又は処置するための有効な手段であり得ることをこれらの研究は示唆する。
用語「多発性硬化症」は、白質における脱髄性病変及び進行性軸索喪失に起因する神経学的欠乏を特徴とする脱髄疾患である。
<慢性閉塞性肺疾患(COPD)>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物及び方法は、COPDを処置する又はその進行を遅らせる、あるいはそれを防ぐことができる。限定しない例による、たばこの喫煙が原因の酸化剤及び酸化ストレスは、転写因子の核因子(NF)−κB及び活性化タンパク質(AP)−1の活性化によって少なくとも部分的に媒介される、肺炎症を促進する。これらは、インターロイキン(IL)−8及びTNFαなどの、COPDに重要であると考えられる、いくつかの遺伝子の発現を調整する。これらの炎症促進性のサイトカイン及びケモキネスは、IL−1βと一緒に、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)及びc−jun NH2末端キナーゼ(JNK)も含むシグナル伝達酵素のファミリーである、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)のp38サブグループを強く活性化する。JNK及びp38のメンバーは、主として炎症及びアポトーシスに関係するサイトカインによって活性化される。MAPKファミリー内では、JNK及びp38のサブグループの両方は、媒介する炎症促進性の反応に関係するが、p38は、COPDに顕著な役割を果たすと思われる。ピルフェニドンは、TNFアルファ及びp38−ガンマMAPKの両方を阻害すると示された。さらに、p38−ガンマMAPKのサイレンシングは、コルチコステロイドに対するCOPD感受性を回復する可能性を有すると実証された(Mercado et al., 2007)。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の吸入による送達は、ヒトにおいてCOPDの処置に使用される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入による送達は、全身性のコンパートメントを経口投与に関連する他の有毒な薬物濃度に曝すことなく、COPD又は関連する病気を防ぐか、管理するか、又は処置するための有効な手段であり得る。さらに、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入による送達は、この適応においてそれらの有用性を回復するために、コルチコステロイドによる接合治療(conjunctive therapy)として機能し得る。
限定しない例による用語「慢性閉塞性肺疾患」又は「COPD」は、タバコ煙及び既存の喘息への曝露に関係し得るか又はそれによって引き起こされ得る。COPDは、単純性慢性気管支炎(過度の喫煙による咳)からより重度の慢性閉塞性気管支炎までに及ぶ広範囲の気道疾患を示す。上記の症候群に気道過敏性のエピソードが加えられると、慢性の喘息性気管支炎の診断が確立される。慢性閉塞性肺疾患は、限定されないが、慢性気管支炎、肺気腫、及び/又は肺高血圧症などを含む。
<喘息>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物及び方法は、喘息を処置する又はその進行を遅らせる、あるいはそれを防ぐことができる。TNF−アルファは、接着分子をアップレギュレートし、ムチン分泌を増加させ、気道モデリングを促進するため、喘息において高度に炎症促進性のサイトカインであることが示された。TNF−アルファは、マスト細胞、平滑筋細胞、上皮細胞、単球、及びマクロファージを含む、気道における大量の細胞によってもたらされる。このサイトカインは、喘息の患者に関連し、喘息の患者において増加されることが示された。抗−TNF−アルファ治療を使用する臨床研究は、有望な結果を生んだ。組換えヒトTNF−アルファ受容体(エタネルセプト)の可溶性の形態を使用する一連の研究において、薬剤は、FEV1を改善し、生活の質を向上させた。抗−TNF−アルファ抗体を投与する別の臨床研究は、喘息悪化(インフリキシマブ)を減少させた。しかしながら、有害事象に関係する問題のために、喘息におけるこれらの治療の将来の研究は行われそうにない。ピルフェニドンがTNF−アルファを阻害すると示されたため、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入による送達は、全身性のコンパートメントを経口投与に関連する他の有毒な薬物濃度に曝すことなく、喘息又は関連する病気を管理するか又は処置するための有効な手段であり得る。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の吸入による送達は、ヒトにおいて喘息の処置に使用される。さらに、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの吸入による送達は、ステロイド抵抗性を示す喘息患者におけるそれらの有用性を回復するために、コルチコステロイドによる接合治療として機能し得る。
用語「喘息」は、環境上の及び遺伝的な因子と関係するか又はそれらによって引き起こされる。喘息は、変わりやすい及び再発する病状、可逆的な気流閉塞、及び気管支痙攣によって特徴付けられる、共通の気道の慢性炎症性疾患である。症状は、喘鳴、咳嗽、胸部絞扼感、及び息切れを含む。用語、喘息は、原因を示すために1以上の形容詞と共に使用され得る。喘息の限定しない例は、限定されないが、アレルギー喘息、非アレルギー喘息、急性の重症喘息、慢性喘息、臨床的喘息、夜間喘息、好中球性喘息、アレルゲン誘発性喘息、アスピリン感受性喘息、運動誘発性喘息、幼児期に発症する喘息、成人期に発症する喘息、咳型喘息、職業性喘息、ステロイド抵抗性喘息、又は季節性喘息を含む。
<肺炎症>
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物及び方法は、肺炎症を処置する又はその進行を遅らせる、あるいはそれを防ぐことができる。ピルフェニドン治療は、抗線維症の効果に加えて抗炎症の効果を有すると示された。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、肺炎症を処置するためにヒトに投与される。肺炎症は、気管支炎、喘息、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び間質性肺炎の症状に関係するか又は寄与する。
<緑内障手術後の線維症>
緑内障濾過手術の成功は、手術後の創傷治癒の程度及び瘢痕組織形成の量に依存する。濾過胞消失は、線維芽細胞が、増殖し、創傷へと遊走し、最終的に瘢痕化及び瘻管の閉鎖を引き起こすと生じる。これはしばしば、後の進行性の視神経損傷を有する乏しい術後の眼内圧制御につながる。5−フルオロウラシル及びマイトマイシンCなどの付属的な抗線維症薬剤の使用は、濾過手術の成功率を著しく改善した。しかしながら、それらの作用の非特異的機構のために、これらの薬剤は、広範囲の細胞死及びアポトーシスを引き起こしかねず、結果的に、重度の術後の低血圧症、水疱漏れ(bleb leaks)、及び眼内炎などの、潜在的に視力を脅かす合併症につながる。したがって、代替の抗線維症の薬剤が必要とされる。この目的のために、抗線維症の薬剤、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、有益であることを証明し得る。
<癌>
肺癌死亡率は高く、毎年の肺癌死は、前立腺、乳房、結腸、及び直腸の癌を組み合わせたものに等しい。分子機構に関する知識の進歩、及び多数の新たな治療上の肺癌薬剤の導入にもかかわらず、惨めな5年生存率(11−15%)は比較的不変のままである。これは、悪性細胞への腫瘍化転換及び増殖を促進する因子に関する、限定された利用可能な知識を反映する。
近年まで、癌研究の主な焦点はほとんど、悪性細胞そのものであった。結果として、今日、実験の設定において生じる癌生物学に関する広大な知識と、医療判断学において使用され得る情報へのこの知識の翻訳との間に、著しい食い違いが存在する。今日の腫瘍環境の性質を理解することは、癌遺伝学自体を理解するのと等しく、将来の癌治療に重要であり得る。癌は、単に自律的な腫瘍細胞ではないが、繊維芽細胞、免疫細胞、内皮細胞、及び特異的な間葉細胞で構成される。間質の環境におけるこれら異なる細胞のタイプは、腫瘍増殖を支持し、且つ転移性播種を促進するために悪性細胞によって補充され得る。
「種子及び土壌(seed and soil)」の仮説は、1世紀以上前に示されたが、我々は現在、腫瘍細胞(「種子」)と腫瘍増殖微小環境(「土壌」)の間の、複雑なクロストークを把握し始めている。我々は現在、癌細胞と間質区画との間の相互作用が癌の増殖及び進行に対して大きな影響を及ぼすため、腫瘍増殖が悪性細胞によってのみ決定されないことを理解する。活動的な悪性細胞は、腫瘍内微小環境の開拓に優れる:腫瘍細胞は、(1)間質において定住してそれを変形させ、(2)周囲結合組織を変更し、(3)常在細胞の代謝を修飾し、その結果、防御的でなく許容的な間質をもたらすことができる。
宿主による微環境制御の克服を越えて、癌細胞の重要な特徴は、組織に侵入し、且つ離れて転移するという能力である。侵入及び転移のために、繊維芽細胞、免疫細胞、及び血管新生細胞と、因子との間の共同する相互作用は、不可欠である。
腫瘍間質は基本的に(1)CAF、各組織環境に特有の特異的な間葉細胞タイプ、先天性且つ適応性の免疫細胞、並びに内皮細胞及び周細胞を備えた脈管構造などの、腫瘍の非悪性の細胞、並びに、(2)構造タンパク質(コラーゲン及びエラスチン)、特異的なタンパク質(フィブリリン、フィブロネクチン、及びエラスチン)、及びプロテオグリカンから成る細胞外マトリックス(ECM)から成る。血管新生は、癌細胞の増殖及び生存の中心であり、これまで抗癌療法における間質標的の中で最も成功したものであった。血管新生の開始は、基底膜の劣化、内皮細胞の出芽、及び周細胞付着の調節に通じる、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)誘発を必要とする。しかし、CAFは、形質転換増殖因子(TGF)−β、血管内皮成長因子(VEGF)、及び線維芽細胞成長因子(FGF2)を含む、多数のECM分子及び成長因子の発現を通じて、これらの事象を同調させる際に、重要な役割を果たす。
正常組織の間質は、上皮組織の維持及び保全に不可欠であり、正常組織のホメオスタシスを持続するように協働する多数の細胞を含む。直接の細胞間接着を通じて、又は分泌された分子によって媒介される、標準のエピセリウム細胞と、間質の区画の細胞との間に、連続的且つ両側性の分子のクロストークが存在する。故に、1つの区画における微小な変化は、全体のシステムにおいて劇的な変化を引き起こし得る。
両方の実体が、複雑なECMを分泌する、活性な血管新生及び多数の増殖する繊維芽細胞(その全てが繊維素沈着のバックグラウンド上にある)を有するため、類似点が、創傷からの間質と腫瘍の間に存在する。結果的に、腫瘍間質は、活性化された又は反応的な間質として、一般的に称されてきた。
悪性細胞に通じる癌の進行中の遺伝的改変は、癌細胞のための許容的且つ支持的な環境を確立するために、間質の宿主の区画を結果的に変化させる。腫瘍の成長と侵入の初期段階中、基底膜は劣化され、繊維芽細胞、炎症性浸潤細胞、及び新しく形成した毛細管を含む、活性化した間質は、腫瘍細胞と直接接触するようになる。基底膜マトリックスはまた、癌細胞と繊維芽細胞の間のサイトカイン相互作用を修飾する。間質中のこれら癌誘導性の変化は、癌浸潤に寄与する。動物研究は、傷が付いた及び活性化した間質の両方が、腫瘍形成を促進する腫瘍形成性のシグナルを提供することを示した。ほとんどの臓器における標準の間質は、生理学的なECMに関連して最小数の繊維芽細胞を含むが、活性化した間質は、より多くのECMを産生する繊維芽細胞に関連し、血管分布状態を増強し、ECM産生を増加させた。活性腫瘍細胞侵入の部位での特異的な腫瘍間質タイプのこの形成は、腫瘍浸潤の必須部分と考えられ、腫瘍ストロマトジェネシス(stromatogenesis)として名付けられた。
繊維芽細胞の増殖及びECMの密な沈着による腫瘍間質の拡張は、結合組織形成反応と称される。それは悪性増殖に付随して起こり、活性化された繊維芽細胞も密なコラーゲン/ECMも示さない歯槽陥没から分離され得る。形態学的に、これは、結合織線維増生と称され、腫瘍増殖を予防するための防衛機構と最初に見なされたが、データは、定着腫瘍において、このプロセスが、かなり反対に、血管新生、移動、侵入、及び転移などの、腫瘍進行の様々な態様に関与することを示した。後の研究は、繊維芽細胞及び腫瘍細胞が、ECMを分泌し且つ腫瘍間質内のECMの構成要素を下げることにより、局部組織増殖及び癌進行を増強することができることを示す。これは、VEGFなどのECMにおいて隔離された物質の放出、及び癌腫関連性MMPの分泌に対する反応としてのECMタンパク質からの生成物の開裂に、部分的に関連する。
TGF−β、血小板由来増殖因子(PDGF)、及びFGF2などの、癌細胞によって放出されるプロフィブロティック(Profibrotic)成長因子は、それらが全て繊維芽細胞活性化と組織繊維症の主要な媒介物質であるため、腫瘍間質の量及び組成物を支配する。PDGFとFGF2は、血管新生において同様の有意な役割を果たす。
腫瘍において、活性化繊維芽細胞は、腫瘍周囲の繊維芽細胞又は癌腫関連性繊維芽細胞(CAF)として名付けられる。活性化繊維芽細胞のようなCAFは、非常に不均質であり、活性化繊維芽細胞と同じソースに由来すると考えられる。主な祖先は、局所的に存在する繊維芽細胞であると思われるが、それらはまた、脈管構造からの周細胞及び平滑筋細胞に、骨髄由来の間葉細胞に、或いは、上皮又は内皮の間充織の転移により、由来し得る。活性化繊維芽細胞とCAFの間の差であるように、これらの細胞が由来する様々な起源のため、用語CAFは、むしろ多義性である。CAFと標準の繊維芽細胞の間の後成的、及び恐らくは遺伝子的な相違に関する証拠が増加している。CAFは、α−平滑筋アクチンの発現によって認識され得るが、不均一性のため、α−平滑筋アクチン発現のみが、全てのCAFを識別するとは限らない。従って、他の使用されたCAFマーカーは、繊維芽細胞特異タンパク質1、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、及びPDGF受容体(PDGFR)α/βである。
腫瘍増殖に応じて、繊維芽細胞は、主としてTGF−β、単球走化性タンパク質1などのケモキネス、及びMMPなどのECM分解剤によって活性化される。様々なインビトロの研究における標準の繊維芽細胞は、癌進行に対する阻害効果を実証し、今日、CAFの癌を促進する役割を立証する確固たる証拠が存在する。乳房癌腫において、間質線維芽細胞の80%が、この活性化表現型(CAF)を有すると考えられる。
CAFは、悪性増殖、血管新生、侵入、及び転移を促進する。CAFSの役割、及び癌治療の標的としてのそれらの潜在性は、異種移植片モデルにおいて研究され、翻訳の研究からの証拠は、様々な癌のタイプにおけるCAFの予後の有意性を明らかにした。
腫瘍増殖の状況において、CAFは活性化され、且つ非常に統合的であり、例えば、I型及びIV型コラーゲン、余分なドメインAーフィブロネクチン、ヘパリンスルファートプロテオグルカン、システイン中で酸性且つ豊富な分泌タンパク質、テネイシン−C、結合組織成長因子、MMP、及びプラスミノーゲン活性化因子を分泌する。細胞運動に影響する成長因子及びサイトカインの分泌に加えて、CAFは、腫瘍形成における様々な重要な役割を果たすMMPなどの、ECMを分解するプロテアーゼのための重要なソースである。ECMの劣化により、MMPは、基質に依存して、腫瘍増殖、侵入、血管新生、炎症細胞の動員、及び転移を促進することができる。その上、多くの炎症誘発性サイトカインは、MMPによって活性化されるように思われる。
マウスにおけるB16Mメラノーマ細胞の注射後、肝転移の形成は、これらが転移性のニッチの作成及び血管新生の促進に重要であると思われたため、肝臓における星細胞(繊維芽細胞様)の早期活性化に関係した。MMPも、様々なインビボのモデルにおける腫瘍血管新生に関連付けられた。CAFは、マウスに同時注射されると、その他に非侵襲性の癌細胞の侵入を促進した。更に、CAFを含む異種移植片は、外見上、標準の繊維芽細胞を注入した異種移植片より速く増殖する。
腫瘍間質におけるCAFの動員及び蓄積にて、これら細胞は、様々な成長因子、サイトカイン、及びケモキネスの分泌により、癌細胞、上皮細胞、内皮細胞、周細胞、及び炎症細胞と活発に伝達する。CAFは、TGF−β及び肝細胞増殖因子(HGF)などの強力な腫瘍形成性の分子を提供する。
TGF−βは、癌と間質細胞の両方によって発現された多面発現性の成長因子である。TGF−βは、標準及び前癌状態の細胞において、腫瘍形成の抑圧遺伝子であるが、癌細胞が進行するにつれ、抗増殖性の効果は失われ、代わりに、TGF−βは、侵襲性の表現型への誘導性分化によって、腫瘍形成を促進する。TGF−βはまた、免疫監視からの逃避により癌進行を先導し、TGF−βの発現の増加は、繊維症の癒着性組織の蓄積及び癌進行と強く関連する。近年、TGF−βのI型受容体の小分子阻害剤は、肝細胞癌(HCC)細胞による結合組織成長因子の産生を阻害し、その結果、HCCの間質成分の減少をもたらすと報告された。TGF−β受容体の阻害は、HCCとCAFとの間のクロストークを止め、結果的に腫瘍増殖、侵入、及び転移を回避した。HGFはプラスミノーゲンファミリーに属し、前駆体型においてECMに拘束される。それは、高親和性受容体のc−metに結合し、過剰発現又は一定の腫瘍形成c−Metシグナル伝達は、増殖、侵入、及び転移に繋がる。
PDGFは、繊維芽細胞と周細胞のレギュレーターであり、腫瘍進行において重要な役割を果たす。それは化学走性であり、且つ間充織と内皮細胞のための成長因子である。それは、腫瘍細胞複製において限定された自己分泌の役割を有するが、パラクリン様式、及び腫瘍間質の発達において、潜在的なプレーヤーである。それは、活性化繊維芽細胞の増殖を誘発し、おそらく、間接的にマクロファージからのTGF−β放出の刺激によってCAFを動員する。
腫瘍は、腫瘍間質が並列に拡張することなく進行することはできない。我々は未だに、繊維芽細胞活性化及び癌におけるそれらの蓄積を調節する正確な機構を把握していないが、利用可能な証拠は、腫瘍間質又はCAFが癌治療の候補標的であり得る可能性を指摘する。
CAF及びMMPは、集成的な治療に潜在的な新しい標的を表わし、腫瘍環境の変形した及び変形しない構成要素の両方に影響を及ぼす、上皮由来の腫瘍の主要調節因子の2つであると考えられた。以前に述べられたように、MMP阻害剤による経験は、今までのところは失敗であった。CAFが、標準の繊維芽細胞とは、後成的に、恐らく遺伝学的に異なるという証明は、これら細胞を抗癌療法に潜在的な標的として定義し始めつつある。上皮癌腫の90%より多くにおいて発現されたFAPは、CAFを標的化するための有望な候補として初期に出現し、その阻害の潜在的な治療効果が、近年調査された。前臨床試験において、FAPの停止は、腫瘍増殖を減じて、抗癌剤の腫瘍組織の取り込みを有意に増強する。FAP陽性の進行した癌腫(結腸直腸癌及びNSCLC)を持つ患者がFAP抗体で処置された、第1相試験において、抗体は主要部位に明確に結合されるが、他覚的な反応は観察されなかった。
TGF−βに反応して侵入及び転移を容易に受ける癌細胞の一貫して且つ繰り返された発見物(findings)は、TGF−βの腫瘍形成活性を標的化する新しい抗癌剤の必要性を指摘した。多くの抗−TGF−β抗体及びTGF−β−受容体Iキナーゼが、過去十年間、前臨床に試験された。成功の欠如のため、TGF−βのシグナルシステムの標的化は、未だに理解しにくいままである。腫瘍促進性(protumoral)及び抗腫瘍性の効果の両方がTGF−βに与えられ、TGF−βの多機能の性質は外見上、このリガンド、受容体、又は下流エフェクターを効果的に標的化するための最も大きな障壁を表わすことに、注目されたい。
<肺高血圧症>
肺動脈高血圧症(PAH)は、肺動脈圧の著しい且つ持続した上昇によって特徴付けられる、生死にかかわる疾患である。該疾患は、右室不全及び死を結果としてもたらす。慢性肺高血圧症の処置のための現在の治療方法は、主として予後の幾つかの改善と同様に、症状の軽減を提供する。全ての処置について提唱されたが、大抵の方法の直接の抗増殖性効果を立証する証拠は、見当たらない。加えて、現在適用される薬剤の大半の使用は、望まれない副作用又は不便な投薬経路のいずれかによって妨げられる。高血圧肺動脈の病理変化は、血管平滑筋細胞(SMC)の内皮損傷、増殖、及び超収縮を含む。
世界保健機構は、肺高血圧症(PH)を5つの群に分けている。これらの群は、疾病の原因及び処置の選択に基づいて編成される。全ての群において、肺動脈の平均圧力は25mmHg以上である。標準の肺動脈の圧力は、安静時に8−20mmHgである。(群1は肺動脈高血圧症(PAH)と呼ばれ、群2乃至5は肺高血圧症と呼ばれることに注意する。しかし、全ての群はまとめて、肺高血圧症と呼ばれる。)群1の肺動脈高血圧症は、既知の原因がないPAH;遺伝されるPAH;街上販売薬及び特定のダイエット薬などの、薬物又は毒素によって引き起こされるPAH;結合織疾患、HIV感染、肝臓病、先天性心疾患などの疾病によって引き起こされるPAHを含む。これは、出生時に存在する心疾患、鎌型赤血球症、住血吸虫症である。これは、寄生虫によって引き起こされる感染である。住血吸虫症は、世界の大部分においてPAHの最も共通の原因の1つであり;及び、肺の静脈と微小血管に影響する疾病によって引き起こされるPAH。群2の肺高血圧症は、左心疾患を伴うPHを含む。僧帽弁疾患又は長期的な高血圧などの心臓の左側に影響する疾病は、左心疾患及びPHを引き起こし得る。左心疾患は恐らく、PHの最も共通の原因である。群3の肺高血圧症は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)及び間質性肺疾患などの肺疾患に関連したPHを含む。間質性肺疾患は、肺組織の瘢痕を引き起こす。群3はまた、睡眠無呼吸などの睡眠関連の呼吸障害に関連したPHを含む。群4の肺高血圧症は、肺における凝血又は血液凝固異常によって引き起こされるPHを含む。群5の肺高血圧症は、様々な他の疾患又は疾病によって引き起こされるPHを含む。例は:真性赤血球増加症及び本態性血小板血症などの血液疾患、サルコイドーシス及び血管炎などの全身性疾患を含む。全身性疾患は、身体の臓器の多く、甲状腺疾患及び糖原蓄積病などの代謝障害に関係する。(糖原蓄積病において、身体の細胞は、グルコースの形態を適切に使用しない。)及び、肺動脈と腎臓病を圧する腫瘍などの他の疾病。
様々な成長因子が、PDGF、塩基性FGF(bFGF)、及びEGFを含む、SMCの異常な増殖及び移動に関係してきた。インビトロの研究は、PDGFがSMCのための強力なミトゲン及び化学誘引物質として作用することを確立した。活性PDGFは、ホモダイマー又はヘテロダイマーを形成し、且つα及びβの細胞表面受容体を刺激する、ポリペプチド(A及びBの鎖)によって構築される。近年、2つの付加的なPDGF遺伝子が識別され、PDGF−C及びPDGF−Dのポリペプチドをコード化する。PDGF受容体(PDGFR)は、膜貫通受容体チロシンキナーゼ(RTK)のファミリーに属し、二価のPDGFリガンドによって共に保持されると推測される。二量体の受容体及びPDGFのこの複合体は、RTKの自己リン酸化、及びキナーゼ活性の増加を結果としてもたらす。
両方の受容体は、RAS/MAPK、PI3K、及びホスホリパーゼCγを含む、主要なシグナル伝達導入経路を活性化する。近年、PDGFRαとPDGFRβの両方のアップレギュレーションは、慢性子宮内(intrauterine)肺高血圧症を持つヒツジにおいて示された。しかし、肺のPDGF−A又はPDGF−BのmRNAは、肺の高血圧と対照動物の間で異なることはなかった。重度の肺動脈高血圧症(PAH)の患者からの肺生検において、PDGF−A鎖発現が著しく増大した。
PDGF−A及びPDGF−BのmRNA合成、及び、PDGF−A及びPDGF−BのmRNA及びPDGFアイソフォームの定常的なレベルは、ブレオマイシンで処置した肺において上昇する。ピルフェニドンは、恐らく減少したPDGF−A及びPDGFBのタンパク質において結果として生じる転写後又は翻訳の機構を介して、PDGF−A及びPDGF−Bのレベルを抑止することを、観察した。更に、ピルフェニドンは、PDGF−Aと同様にPDGF−Bのタンパク質の発現のダウンレギュレートにより、ブレオマイシンで誘発した肺線維症を減少させることを観察した。
変更したPDGFシグナル伝達が、PAHの間に重要な役割を果たすため、ピルフェニドン又はピリドンのアナログはまた、PAHにおいて血液動態及び肺血管リモデリングに対して陽性の効果を有し、且つ、この疾患のための抗リモデリング治療として役立つ。
本発明は、本明細書に開示されるようないくつかの実施形態において、1つ以上の所望の組織に対して治療上有用なピルフェニドン又はピリドンのアナログのレベルの迅速で持続した利用可能性を可能にする方法で、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの局所的な送達に関して、先例がない利点を提供する、ピルフェニドン及びピリドンのアナログの化合物製剤のための組成物及び方法を提供する。
特定の好ましい実施形態において、及びより詳しく以下に記載されるように、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤は、哺乳類の被験体において気道組織へと、例えば、ヒト患者において呼吸気道を介して中央の気道に及び/又は肺床(pulmonary beds)(例えば、肺胞毛細血管床)に送達される。特定の特に好ましい実施形態によって、肺のこれらの領域への送達は、本明細書に記載されるように、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤の吸入療法によって達成され得る。
これらの及び関連する実施形態は、投与後すぐに治療上有効なピルフェニドン又はピリドンのアナログを所望組織に利用可能にすることによって、治療上の及び/又は予防的な恩恵を有益に供給するが、同じ投与の事象もまた、驚くほど持続した期間を提供し、その間、局所的に送達されたピルフェニドン又はピリドンのアナログが、延長した治療効果に利用可能である。
本明細書に開示される組成物及び方法は、種々様々な組織へのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物のこのような迅速で持続した局所送達を提供する。肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、嚢胞性線維症、心臓線維症、移植(例えば、肺、肝臓、腎臓、心臓など)、血管グラフト、及び/又は多発性硬化症などの他の疾病を含む、多数の臨床的に有意な疾病の処置のための実施形態が熟慮され、それに関して、迅速で持続した生物学的に利用可能なピルフェニドン又はピリドンのアナログでの治療が示され得る。
したがって、様々な実施形態は、エアロゾル投与を用いて、及び高濃度の送達(又は乾燥製剤)を介して(持続放出の活性な薬物の影響を受けた組織への直接の曝露)、ヒト及び/又は獣医学の被験体における肺線維症の予防及び処置での最適な予防上及び治療上の活性のための組成物及び方法を提供する。特に、特定の好ましい実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの濃縮された用量が送達される。
理論にとらわれることなく、より詳しく本明細書に記載されるような特定のこれらの及び関連した実施形態によると、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、所望の効果のある部位へのピルフェニドン又はピリドンのアナログの迅速で持続した局所的送達を提供する、液体、乾燥粉末又は定量の製剤のエアロゾル投与後に、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの効果的な用量を送達するために選択される成分を有する製剤において提供される。
特定の関連した実施形態によると、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤において溶解された溶質の総量を制御することで、限定しない理論によると、このような製剤の水溶液から形成された噴霧化した液体粒子の特性を含む、治療上有益な特性を有する水性のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤が結果的にもたらされる。さらに、本明細書に開示されるように、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の濃度、pH、及び合計の溶質濃度に関する本明細書で提供されるパラメータ内で、合計の溶質濃度範囲の上方部分(upper portion)での又はその付近の製剤の耐性は、本明細書で提供されるように矯味剤の包含によって増大され得ることが発見された。
肺表面への吸入されたピルフェニドンの曝露によって、結果的に、肺表面カチオンの欠乏及び急性毒性への傾向の増加がもたらされることが予期せず観察された。この欠乏に関する明白な機構は、鉄(III)などのイオンを、鉄(III)のイオン当たり3つのピルフェニドン分子の割合でキレート化するピルフェニドンの能力である。鉄(III)のキレート化は、EDTAのキレート化の強度の2分の1で生じる。肺表面のイオン欠乏を予防する1つの方法は、多価イオンでピルフェニドンを製剤することである。限定しない例によって、このような多価カチオンは、鉄(II)、鉄(III)、カルシウム、マグネシウムなどを含み得る。限定しない例によって、ピルフェニドンの製剤は、2つのピルフェニドン分子の1つのマグネシウムイオンに対する比率でマグネシウムをキレート化することが分かった。したがって、1つのマグネシウム分子による約2から10のピルフェニドン分子間の製剤によって、結果的にピルフェニドンのキレート化の容量が満たされるか又は飽和され、肺表面カチオンを欠乏させるピルフェニドンの能力が低下する。この溶液を、製剤の浸透圧と浸透性のイオン含量を調節する必要性と結びつけることで、多価イオンの塩形態も有益となり得る。限定しない例によって、ピルフェニドンを製剤するために塩化マグネシウムを使用することは、本質的な肺表面カチオンを欠乏させるピルフェニドンの能力を低下させ、製剤の浸透圧の調節に寄与し、製剤に塩化物浸透性のイオンを提供する役割を果たす。特定のこのような実施形態において、例えば、単独でのピルフェニドン又はピリドンのアナログ又は賦形剤で製剤されたそれらを含むピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤は、鼻又は肺のコンパートメントへエアロゾル化される且つ注入され得るか、又は吸入され得る簡単な水溶液中に溶解した。このような製剤は、多価カチオンを包含し得る、及び/又は少なくとも34mcg/mLから約463mg/mLまでの濃度で、及び少なくとも100mOsmol/kgから約6000mOsmol/kg、又は300から約5000mOsmol/kgまでの合計の浸透圧を有して、約4.0から約11.0までのpHまで、より好ましくは約4.0のpHから約8.0のpHまで緩衝液され得る。このような簡単な水性製剤は、矯味剤をさらに含み得、それによって吸入投与に許容可能となる(すなわち、さもなければ有効な治療上の投与を妨げる、望ましくない味又は刺激の特性に優る)。したがって、またより詳しく本明細書に記載されるように、pH、緩衝液のタイプ、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの濃度、合計の浸透圧及び潜在的な矯味剤に関する製剤条件の制御によって、特定の治療上の及び他の利点が提供される。
特定のこのような実施形態において、例えば、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤は、少なくとも0.1mgから約100mgが、鼻又は肺のコンパートメントへ分散され得る且つ注入され得るか、又は吸入され得るように、乾燥粉末製剤中に単独で又は、改善した安定性及び/又は分散性を提供する多価カチオンなどの賦形剤で製剤されて、ピルフェニドン又はピリドンのアナログを含んでいる。したがって、またより詳しく本明細書に記載されるように、分散賦形剤(dispersion excipient)、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの安定性(限定しない例によって、多形体、非晶質の含有物(amorphic content)及び水分を含む)、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの量及び潜在的な矯味剤に関する製剤条件の制御によって、特定の治療上の及び他の利点が提供される。
特定のこのような実施形態において、例えば、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤は、少なくとも0.1mgから約100mgが、鼻又は肺のコンパートメントへエアロゾル化され得る且つ注入され得るか、又は吸入され得るように、改善した安定性及び/又はエアロゾル特性を提供する加圧された定量吸入器の構成においてピルフェニドン又はピリドンのアナログを含んでいる。したがって、またより詳しく本明細書に記載されるように、噴射剤、適切な加圧された定量吸入器のキャニスター、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの安定性に関する製剤条件の制御によって、特定の治療上の及び他の利点が提供される。
特定の好ましい実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤又はその塩は、本明細書に開示される製剤及び組成物において、プロドラッグ、持続放出の又は活性の物質として機能し得、気道(肺床、鼻及び洞を含む)、及び限定されないが、皮膚、直腸、膣、尿道、膀胱、眼、及び耳を含む他の非経口の局所的なコンパートメントに対する持続放出の又は活性の薬物の最大濃度をもたらすための条件下で且つ十分な時間、送達され得る。本明細書に開示されるように、特定の特に好ましい実施形態は、肺の脈管構造へのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の肺送達に続いて循環系を介して到達され得るように肺のコンパートメント及び/又は他の組織及び器官への有効な量のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物を提供する、このような「肺送達」によってもたらされ得るような下気道、言いかえれば、肺又は肺のコンパートメント(例えば、呼吸気管支、肺胞管、及び/又は肺胞)へのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の、経口及び/又は鼻の吸入を介した投与に関する。
異なる製剤が、投与量、形態、濃度及び送達特性によって変わる有効性を有すると知られているため、特定の本明細書に開示される実施形態は、予防的に又は治療上重要である、抗炎症性、抗線維性、抗脱髄性及び/又は組織リモデリングの結果をもたらす特定の製剤及び送達のパラメータを提供する。したがって、これらの及び関連する実施形態は、好ましくは、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ単独又はその塩などの、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物を含む。しかしながら、上に示されるように、本発明は、それほど限定されるように意図されておらず、特に好ましい実施形態に従って、ピルフェニドン又はその塩に関し得る。他の熟考された実施形態は、本明細書に開示されるピリドンのアナログの化合物などの、別のピリドンのアナログの化合物に関し得る。
限定しない例として、好ましい実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)は、例えば、肺線維症の患者を予防、管理、又は処置するための、所望の抗炎症、抗線維症又は組織リモデリングの恩恵を与える有効な濃度又は量を供給するために、ミスト、ガス−液体懸濁液又は噴霧化した液体、乾燥粉末及び/又は定量吸入されたエアロゾルの投与を可能にするように製剤される。
異なる製剤が、投与量、形状、濃度及び送達特性によって有効性において異なると知られているため、本明細書に開示される実施形態は、限定しない例によって、感染、放射線療法、化学療法、環境汚染物質(例えばほこり、蒸気、煙霧、及び無機線維と有機線維)の吸入、過敏症、珪肺症、綿線維沈着症、遺伝因子及び移植拒絶反応に関連する、肺線維症に対する保護及びそのための処置をもたらす、特定の製剤及び送達パラメータを提供する。
これらの及び関連する適用もまた、病気にかかった、肺、洞、鼻腔、心臓、腎臓、肝臓、神経系及び関係する血管に使用するために熟慮される。本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤及び方法は、市販の吸入装置、又はエアロゾルの治療薬投与ための他の装置と共に使用され得る。
限定しない例として、好ましい実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)は、例えば、ヒト及び/又は獣医学の被験体において心臓線維症を予防、管理、又は処置するための、所望の抗炎症、抗線維症又は組織リモデリングの恩恵を与える有効な濃度又は量を供給するために、ミスト、ガス−液体懸濁液又は噴霧化した液体、乾燥粉末及び/又は定量吸入されたエアロゾルの投与を可能にするように製剤される。このような実施形態は、左心房のすぐ上流の肺の脈管構造への、及び従って、膣内の心房及び心室の曝露を有する冠状動脈の動脈系への、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の直接の及び高濃度の送達を提供する。
異なる製剤が、投与量、形状、濃度及び送達特性によって有効性において異なると知られているため、本明細書に開示される実施形態は、限定しない例によって、感染、外科手術、放射線療法、化学療法、及び移植拒絶反応に関連する、心臓線維症に対する保護及びそのための処置をもたらす、特定の製剤及び送達パラメータを提供する。
限定しない例として、好ましい実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)は、例えば、腎線維症を予防、管理、又は処置するための、所望の抗炎症、抗線維症又は組織リモデリングの恩恵を与える有効な濃度又は量を供給するために、ミスト、ガス−液体懸濁液又は噴霧化した液体、乾燥粉末及び/又は定量吸入されたエアロゾルの投与を可能にするように製剤される。このような実施形態は、左心房、左心室(left ventical)のすぐ上流の肺の脈管構造への、及び従って、腎臓の脈管構造への、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の直接の及び高濃度の送達を提供する。
異なる製剤が、投与量、形状、濃度及び送達特性によって有効性において異なると知られているため、本明細書に開示される実施形態は、限定しない例によって、感染、尿管結石、悪性高血圧症、放射線療法、糖尿病、重金属への曝露、化学療法及び移植拒絶反応に関連する、腎線維症に対する保護及びそのための処置をもたらす、特定の製剤及び送達パラメータを提供する。
限定しない例として、好ましい実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)は、例えば、心臓又は腎臓の毒性を予防、管理、又は処置するための、所望の抗炎症の恩恵を与える有効な濃度又は量を供給するために、ミスト、ガス−液体懸濁液又は噴霧化した液体、乾燥粉末及び/又は定量吸入されたエアロゾルの投与を可能にするように製剤される。このような実施形態は、左心房、左心室のすぐ上流の肺の脈管構造への、及び従って、心臓及び腎臓の脈管構造への、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の直接の及び高濃度の送達を提供する。
異なる製剤が、投与量、形状、濃度及び送達特性によって有効性において異なると知られているため、本明細書に開示される実施形態は、限定しない例によって、化学療法に関連する、心臓又は腎臓の毒性に対する保護及びそのための処置をもたらす、特定の製剤及び送達パラメータを提供する。
限定しない例として、好ましい実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)は、例えば、肝線維症を予防、管理、又は処置するための、所望の抗炎症、抗線維症又は組織リモデリングの恩恵を与える有効な濃度又は量を供給するために、ミスト、ガス−液体懸濁液又は噴霧化した液体、乾燥粉末及び/又は定量吸入されたエアロゾルの投与を可能にするように製剤される。このような実施形態は、左心房、左心室のすぐ上流の肺の脈管構造への、及び従って、肝臓の脈管構造への、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の直接の及び高濃度の送達を提供する。
異なる製剤が、投与量、形状、濃度及び送達特性によって有効性において異なると知られているため、本明細書に開示される実施形態は、限定しない例によって、肝感染、肝炎、アルコール過剰摂取、自己免疫疾患、放射線療法、化学療法及び移植拒絶反応に関連する、肝臓線維症に対する保護及びそのための処置をもたらす、特定の製剤及び送達パラメータを提供する。
限定しない例として、好ましい実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)は、例えば、多発性硬化症を予防、管理、又は処置するための、所望の抗炎症及び/又は抗脱髄症の恩恵を与える有効な濃度又は量を供給するために、ミスト、ガス−液体懸濁液又は噴霧化した液体、乾燥粉末及び/又は定量を鼻に注入又は吸入された、あるいは経口で吸入されたエアロゾルの投与を可能にするように製剤される。経口吸入による場合、このような実施形態は、左心房、左心室のすぐ上流の肺の脈管構造への、及び従って、中枢神経系への、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の直接の及び高濃度の送達を提供する。鼻の注入又は鼻の吸入による場合、このような実施形態は、中枢神経系のすぐ上流の鼻及び洞の脈管構造への、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の直接の及び高濃度の送達を提供する。
異なる製剤が、投与量、形状、濃度及び送達特性によって有効性において異なると知られているため、本明細書に開示される実施形態は、多発性硬化症に対する保護及びそのための処置をもたらす、特定の製剤及び送達パラメータを提供する。
限定しない例として、好ましい実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)は、例えば、気腫及び慢性気管支炎を含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関連する疾患を有する患者を予防、管理、又は処置するための、所望の抗炎症、抗線維症又は組織リモデリングの恩恵を与える有効な濃度又は量を供給するために、ミスト、ガス−液体懸濁液又は噴霧化した液体、乾燥粉末及び/又は定量吸入されたエアロゾルの投与を可能にするように製剤される。
異なる製剤が、投与量、形状、濃度及び送達特性によって有効性において異なると知られているため、本明細書に開示される実施形態は、限定しない例によって、パイプ、葉巻き及びたばこの煙、間接喫煙、大気汚染、及び化学煙霧又はほこりへの曝露、及び/又はアルファ−1アンチトリプシン欠乏症に関連するCOPDに対する保護及びそのための処置をもたらす、特定の製剤及び送達パラメータを提供する。
限定しない例として、好ましい実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)は、例えば、喘息を有する患者を予防、管理、又は処置するための、所望の抗炎症の恩恵を与える有効な濃度又は量を供給するために、ミスト、ガス−液体懸濁液又は噴霧化した液体、乾燥粉末及び/又は定量吸入されたエアロゾルの投与を可能にするように製剤される。
異なる製剤が、投与量、形状、濃度及び送達特性によって有効性において異なると知られているため、本明細書に開示される実施形態は、限定しない例によって、運動、遺伝的特徴、空中アレルゲン、パイプ、葉巻き及びたばこの煙のような吸入された刺激物、及び小児期呼吸器感染症に関連する喘息に対する保護及びそのための処置をもたらす、特定の製剤及び送達パラメータを提供する。
限定しない例として、好ましい実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)は、例えば、嚢胞性線維症を有する患者を予防、管理、又は処置するための、所望の抗炎症、抗線維症又は組織リモデリングの恩恵を与える有効な濃度又は量を供給するために、ミスト、ガス−液体懸濁液又は噴霧化した液体、乾燥粉末及び/又は定量吸入されたエアロゾルの投与を可能にするように製剤される。このような実施形態は、抗生物質、ステロイド、高浸透圧溶液、DNAse又は他の粘液を薄める薬剤、又は他の薬剤によるピリドンのアナログの化合物の同時製剤又は同時投与を含み得る。
異なる製剤が、投与量、形状、濃度及び送達特性によって有効性において異なると知られているため、本明細書に開示される実施形態は、嚢胞性線維症に対する保護及びそのための処置をもたらす、特定の製剤及び送達パラメータを提供する。
本明細書に記載される適用のために、噴霧化した液体、乾燥粉末又は定量のエアロゾルのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物(又はその塩)は、同時投与され得るか、連続して投与され得るか、又は抗菌薬(例えば、トブラマイシン及び/又はアミカシンなどの他のアミノグリコシド、アズトレオナム及び/又は他のベータ又はモノ−バクタム、シプロフロキサシン、レボフロキサシン及び/又は他のもの、フルオロキノロン、アジスロマイシン及び/又は他のマクロライド又はケトライド、テトラサイクリン及び/又は他のテトラサイクリン類、キヌプリスチン及び/又は他のストレプトグラミン、リネゾリド及び/又は他のオキサゾリジノン、バンコマイシン及び/又は他のグリコペプチド、及びクロラムフェニコール及び/又は他のフェニコール、及びコリスチン(colisitin)及び/又は他のポリミキシン)、気管支拡張薬(例えばベータ−2アゴニスト及びムスカリン性アンタゴニスト)、コルチコステロイド(例えばサルメテロール、フルチカゾン及びブデソニド)、グルココルチコイド(例えばプレドニゾン)、クロモリン、ネドクロミル、ロイコトリエン変性剤(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト及びジレウトン)高浸透圧溶液、DNAse又は他の粘液を薄める薬剤、インターフェロンガンマ、シクロホスファミド、コルヒチン、N−アセチルシステイン、アザチオプリン、ブロムヘキシン、エンドセリン受容体アンタゴニスト(例えばボセンタン及びアンブリセンタン)、PDE5阻害剤(例えばシルデナフィル、バルデナフィル及びタダラフィル)、PDE4阻害剤(例えばロフルミラスト、シロミラスト、オグレミラスト、テトミラスト及びSB256066)、プロスタノイド(prostinoid)(例えばエポプロステノール、イロプロスト及びトレプロスチニル(treprostinin))、一酸化窒素又は一酸化窒素供与性化合物、IL−13遮断薬、IL−10遮断薬、CTGF特異抗体、CCN2阻害剤、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体アンタゴニスト、PDGF阻害剤、PPARアンタゴニスト、イマチニブ、CCL2特異抗体、CXCR2アンタゴニスト、3倍成長因子キナーゼ阻害剤、抗凝血薬、TNF遮断薬、テトラサイクリン又はテトラサイクリン誘導体、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、下垂体ホルモン阻害剤、TGF−β−中和抗体、銅キレート化剤、アンギオテンシII受容体アンタゴニスト、ケモカイン阻害剤、NF−kappaB阻害剤、NF−kappaBアンチセンスオリゴヌクレオチド、IKK−1及び2阻害剤(例えばイミダゾキノリン(imidazoquinoxaline)又は誘導体、及びキナゾリン又は誘導体)、JNK2及び/又はp38 MAPK阻害剤(例えばピリジルイミダゾルブチン(pyridylimidazolbutyn)−I−ol、SB856553、SB681323、ジアリール尿素又は誘導体、及びインドール−5−カルボキサミド)、PI3K阻害剤、LTB4阻害剤、抗酸化剤(例えばMn−ペンタアザテトラシクロヘキサコサトリエン、M40419、N−アセチル−L−システイン、ムコミスト、フルイムシル、ナシステリン、エルドステイン)、エブセレン(Ebeselen)、チオレドキシン、グルタチオンペルオキシダーゼメメトリックス、クルクミンC3複合体、レスベラトロル及びアナログ、テンポール、触媒性の抗酸化剤、及びOxSODrol)、TNFスカベンジャー(例えばインフリキシマブ、エーテルセプト(ethercept)、アダリムマブ(adalumimab)、PEG−sTNFR1、アフェリモマブ、及びアンチセンスTNF−アルファオリゴヌクレオチド)、インターフェロンベータ−1a(Avonex、Betaseron、又はRebif)、酢酸グラチラマー(Copaxone)、ミトキサントロン(Novantrone)、ナタリズマブ(Tysabri)、メトトレキサート、アザチオプリン(イムラン)、静注用免疫グロブリン(IVIg)、シクロホスファミド(シトキサン)、リオレサール(バクロフェン)、チザニジン(Zanaflex)、ベンゾジアゼピン、コリン作動性薬剤、抗鬱薬及びアマンタジン、との固定された組み合わせで調製され得る。
癌及び肺動脈高血圧症を治療するための有望な手法として示されるように、線維症の疾患、より具体的には特発性肺線維症及び他の肺線維症の疾患において「カクテル療法」又は「カクテル予防法」を可能にするために、癌、線維性又は炎症性の疾患を標的とする薬剤とともに、同時投与か、連続投与か、又は同時処方(薬が同じ疾患を処置するための併用療法としての幾つかのシーケンスで得られることを処方医師によって要求されるように)としてピルフェニドン又はピリドンのアナログを投与する方法が記載される。限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、(以前はAB0024として知られた)モノクローナルGS−6624、アナログ、又は炎症、腫瘍間質、及び/又は線維症を減少するための、結合組織の生合成に関連するLOXL2タンパク質を標的とする別の抗体と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、IW001(Type V コラーゲン)、アナログ、又は炎症、腫瘍間質、及び/又は線維症を減少するための、免疫寛容原性を標的とする他のコラーゲンと、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、PRM−151(組換えペントラキシン−2)、アナログ、又は炎症、腫瘍間質、及び/又は線維症を減少するための、傷害応答の制御を標的とする他の分子と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、CC−930(Junキナーゼ阻害剤)、アナログ、又は炎症反応を低減するための他のJunキナーゼ阻害剤と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、イマチニブ(別名Gleeve又はGlivec(チロシンキナーゼ阻害剤))、アナログ、又は肺繊維芽細胞−筋繊維芽細胞の形質転換及び増殖、同様にPDFG及び形質転換増殖因子(TGF)の阻害による細胞外マトリックス産生及び腫瘍間質形成/維持を阻害するための他のチロシン阻害剤と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、STX−100(インテグリンアルファ−vベータ−6を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は腫瘍間質及び/又は線維症を減少するための、インテグリンアルファ−vベータ−6又は他のインテグリンを標的とする他の抗体と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、QAX576(インターロイキン13[IL−13]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は腫瘍間質及び/又は炎症を減少するための、IL−13を標的とする他の抗体と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、FG−3019(結合組織成長因子[CTGF]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は腫瘍間質及び/又は線維症を減少するための、CTGFを標的とする他の抗体と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、CNTO−888(ケモカイン[C−Cモチーフ]リガンド2[CCL2]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は腫瘍間質及び/又は線維症を減少するための、CCL2を標的とする他の抗体と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、Esbriet、Pirespa又はPirfenex(ピルフェニドンの商品名)、又は炎症、腫瘍間質、及び/又は線維症を標的とするアナログと、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、BIBF−1120(Vargatef;血管内皮細胞増殖因子[VEGF]、血小板由来増殖因子[PDGF]及び線維芽細胞成長因子[FGF]を標的とする三重のキナーゼ阻害剤としても知られる)、アナログ又は線維症、腫瘍間質、及び/又は炎症を減少するための他の三重のキナーゼ阻害剤と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。
ピルフェニドンの投与で、炎症、腫瘍間質、及び/又は線維症の減少を標的とする、他の化合物、分子、及び抗体の(限定しない例による、静脈内及び皮下の)経口及び非経口の投与経路は、しばしば、限定しない例によって、胃腸の副作用、肝臓、腎臓、皮膚、心血管又は他の毒性などの有害反応に関係する。ピルフェニドン又はピリドンのアナログに関して本明細書に記載されるように、鼻及び/又は肺のコンパートメントのすぐ下流の肺又は組織に対する直接の経口又は鼻腔内の吸入の恩恵は、これらの化合物にも有用となる。したがって、限定しない例によって、(以前はAB0024として知られた)モノクローナルGS−6624、アナログ、又は炎症、腫瘍間質、及び/又は線維症を減少するための、結合組織の生合成に関連するLOXL2タンパク質を標的とする別の抗体は、鼻又は肺のコンパートメントのすぐ下流の肺又は組織への直接的な送達のための経口又は鼻腔内の吸入によって投与され得る。別の限定しない例によって、PRM−151(組換えペントラキシン−2)、アナログ、又は炎症、腫瘍間質、及び/又は線維症を減少するための、傷害応答の制御を標的とする他の分子は、鼻又は肺のコンパートメントのすぐ下流の肺又は組織への直接的な送達のための経口又は鼻腔内の吸入によって投与され得る。別の限定しない例によって、CC−930(Junキナーゼ阻害剤)、アナログ、又は腫瘍間質及び/又は炎症反応を低減するための他のJunキナーゼ阻害剤は、鼻又は肺のコンパートメントのすぐ下流の肺又は組織への直接的な送達のための経口又は鼻腔内の吸入によって投与され得る。別の限定しない例によって、イマチニブ(別名Gleeve又はGlivec(チロシンキナーゼ阻害剤))、アナログ、又は肺繊維芽細胞−筋繊維芽細胞の形質転換及び増殖、同様にPDFG及び形質転換増殖因子(TGF)の阻害による細胞外マトリックス産生及び腫瘍間質形成/維持を阻害するための他のチロシン阻害剤は、鼻又は肺のコンパートメントのすぐ下流の肺又は組織への直接的な送達のための経口又は鼻腔内の吸入によって投与され得る。別の限定しない例によって、STX−100(インテグリンアルファ−vベータ−6を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は腫瘍間質及び/又は線維症を減少するための、インテグリンアルファ−vベータ−6又は他のインテグリンを標的とする他の抗体は、鼻又は肺のコンパートメントのすぐ下流の肺又は組織への直接的な送達のための経口又は鼻腔内の吸入によって投与され得る。別の限定しない例によって、QAX576(インターロイキン13[IL−13]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は腫瘍間質及び/又は炎症を減少するための、IL−13を標的とする他の抗体は、鼻又は肺のコンパートメントのすぐ下流の肺又は組織への直接的な送達のための経口又は鼻腔内の吸入によって投与され得る。別の限定しない例によって、FG−3019(結合組織成長因子[CTGF]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は線維症を減少するための、CTGFを標的とする他の抗体は、鼻又は肺のコンパートメントのすぐ下流の肺又は組織への直接的な送達のための経口又は鼻腔内の吸入によって投与され得る。別の限定しない例によって、CNTO−888(ケモカイン[C−Cモチーフ]リガンド2[CCL2]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は腫瘍間質及び/又は繊維症を減少するための、CCL2を標的とする他の抗体は、鼻又は肺のコンパートメントのすぐ下流の肺又は組織への直接的な送達のための経口又は鼻腔内の吸入によって投与され得る。別の限定しない例によって、BIBF−1120(Vargatef;血管内皮細胞増殖因子[VEGF]、血小板由来増殖因子[PDGF]及び線維芽細胞成長因子[FGF]を標的とする三重のキナーゼ阻害剤としても知られる)、アナログ、又は腫瘍間質及び/又は炎症及び/又は線維症を減少するための他の三重のキナーゼ阻害剤は、鼻又は肺のコンパートメントのすぐ下流の肺又は組織への直接的な送達のための経口又は鼻腔内の吸入によって投与され得る。
癌及び肺動脈高血圧症を処置するための有望な方法として示されるように、線維症に付随して起こる肺高血圧症、より具体的には3型肺高血圧症において、「カクテル療法」又は「カクテル予防法」を可能にするために、肺高血圧症、繊維症、又は炎症性疾患を標的とする薬剤と、(処方医師によって、薬は、同じ疾患を処置するための併用療法として幾つかの順序で得られることを要求されるように)同時投与、連続投与、又は同時に処方されるような、ピルフェニドン又はピリドンのアナログを投与する方法が、記載される。限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、モノクローナルGS−6624(以前はAB0024として知られる)、アナログ、又は炎症、肺高血圧症、及び/又は繊維症を減少するための、結合組織生物発生に関連するLOXL2タンパク質を標的とする別の抗体と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、IW001(V型コラーゲン)、アナログ、又は炎症、肺高血圧症、及び/又は繊維症を減少するための、免疫原性の耐性を標的とする別のコラーゲンと、固定したで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、PRM−151(組み換え型ペントラキシン−2)、アナログ、又は炎症、肺高血圧症、及び/又は繊維症を減少するための、傷害応答の調節を標的とする別の分子と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、CC−930(Junキナーゼ阻害剤)、アナログ、又は炎症反応を減少するための、他のJunキナーゼ阻害剤と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、肺繊維芽細胞−筋繊維芽細胞の形質転換及び増殖、同様にPDFG及び形質転換増殖因子(TGF)の阻害による細胞外マトリックス産生及び肺動脈高血圧症形成/維持も阻害するためのイマチニブ(別名Gleeve又はGlivec(チロシンキナーゼ阻害剤))、アナログ、又は他のチロシン阻害剤と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、STX−100(インテグリンアルファ−vベータ−6を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は、肺高血圧症及び/又は繊維症を減少するための、インテグリンアルファ−vベータ−6を標的とする他の抗体と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、QAX576(インターロイキン13[IL−13]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は、肺高血圧症及び/又は炎症を減少するための、IL−13を標的とする他の抗体と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、FG−3019(結合組織成長因子[CTGF]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は、肺高血圧症及び/又は繊維症を減少するための、CTGFを標的とする他の抗体と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、CNTO−888(ケモカイン[C−Cモチーフ]リガンド2[CCL2]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は肺高血圧症及び/又は繊維症を減少するための、CCL2を標的とする他の抗体と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、Esbriet、Pirespa、又はPirfenex(商品名ピルフェニドン)、又は炎症、肺高血圧症、及び/又は繊維症を標的とするアナログと、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない実施例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、BIBF−1120(Vargatef;血管内皮成長因子[VEGF]、血小板由来増殖因子[PDGF]、及び線維芽細胞成長因子[FGF]を標的とする三重のキナーゼ阻害剤としても知られる)、アナログ、又は繊維症、肺高血圧症、及び/又は炎症を減少するための他の三重のキナーゼ阻害剤と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、癌に関連する肺高血圧症、腫瘍間質、又は繊維症を処置するための、エンドセリン受容体アンタゴニスト(例えば、ボセンタン又はアンブリセンタン)と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、癌に関連する肺高血圧症、腫瘍間質、又は繊維症を処置するための、PDE5阻害剤(例えばシルデナフィル、バルデナフィル、及びタダラフィル)と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、癌に関連する肺高血圧症、腫瘍間質、又は繊維症を処置するための、プロスタノイド(prostinoid)(例えば、エポプロステノール、イロプロスト、及びトレプロスチニル(treprostinin))と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。別の限定しない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログは、癌に関連する肺高血圧症、腫瘍間質、又は繊維症を処置するための、酸化窒素又は酸化窒素を寄与する化合物(例えば、硝酸塩、亜硝酸塩、又は吸入亜硝酸塩)と、固定した組み合わせで投与されるか、同時投与されるか、連続して投与されるか、又は同時に処方される。
ピルフェニドンの投与と同様に、炎症、肺高血圧症、及び/又は繊維症の減少を標的とする、他の化合物、分子、及び抗体の(限定されないが静脈内及び皮下の)投与の経口及び非経口の投与経路は、限定されないが、胃腸の副作用、肝臓、腎臓、皮膚、心臓血管、又は他の毒性などの有害反応と、頻繁に関連する。ピルフェニドン又はピリドンのアナログについて本明細書に記載されるように、鼻及び/又は肺のコンパートメントの直ぐ下流で肺又は組織に直接経口又は経鼻吸入を行うことの利益はまた、これら化合物に利益を与える。それ故、限定しない例によって、モノクローナルGS−6624(以前はAB0024として知られる)、アナログ、又は炎症、肺高血圧症、及び/又は繊維症を減少するための、結合組織生物発生に関連するLOXL2タンパク質を標的とする別の抗体は、鼻及び/又は肺のコンパートメントの直ぐ下流で肺又は組織に直接送達するために経口又は経鼻吸入によって、投与される。別の限定しない例によって、PRM−151(組み換え型ペントラキシン−2)、アナログ、又は炎症、肺高血圧症、及び/又は繊維症を減少するための、傷害応答の調節を標的とする他の分子は、鼻又は肺のコンパートメントの直ぐ下流で肺又は組織に直接送達するために経口又は経鼻吸入によって、投与され得る。別の限定しない例によって、CC−930(Junキナーゼ阻害剤)、アナログ、又は炎症反応を減少するための、他のJunキナーゼ阻害剤は、鼻又は肺のコンパートメントの直ぐ下流の肺又は組織に直接送達するために経口又は鼻腔吸入によって、投与され得る。別の限定しない例によって、イマチニブ(別名Gleeve又はGlivec(チロシンキナーゼ阻害剤))、アナログ、又は肺繊維芽細胞−筋繊維芽細胞の形質転換及び増殖、同様にPDFG及び形質転換増殖因子(TGF)の阻害による細胞外マトリックス産生及び肺動脈高血圧症を阻害するための他のチロシン阻害剤は、鼻又は肺のコンパートメントの直ぐ下流の肺又は組織に直接送達するために経口又は鼻腔吸入によって、投与され得る。別の限定しない例によって、STX−100(インテグリンアルファ−vベータ−6を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は、肺高血圧症及び/又は繊維症を減少するための、インテグリンアルファ−vベータ−6を標的とする他のインテグリンは、鼻又は肺のコンパートメントの直ぐ下流で肺又は組織に直接送達するために経口又は経鼻吸入によって、投与され得る。別の限定しない例によって、QAX576(インターロイキン13[IL−13]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は、肺高血圧症及び/又は炎症を減少するための、IL−13を標的とする他の抗体は、鼻又は肺のコンパートメントの直ぐ下流で肺又は組織に直接送達するために経口又は経鼻吸入によって、投与され得る。別の限定しない例によって、FG−3019(結合組織成長因子[CTGF]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は、肺高血圧症及び/又は繊維症を減少するための、CTGFを標的とする他の抗体は、鼻又は肺のコンパートメントの直ぐ下流で肺又は組織に直接送達するために経口又は経鼻吸入によって、投与され得る。別の限定しない例によって、CNTO−888(ケモカイン[C−Cモチーフ]リガンド2[CCL2]を標的とするモノクローナル抗体)、アナログ、又は肺動脈高血圧症及び/又は繊維症を減少するための、CCL2を標的とする他の抗体は、鼻又は肺のコンパートメントの直ぐ下流で肺又は組織に直接送達するために経口又は経鼻吸入によって、投与され得る。別の限定しない例によって、BIBF−1120(Vargatef;血管内皮成長因子[VEGF]、血小板由来増殖因子[PDGF]、及び線維芽細胞成長因子[FGF]を標的とする三重のキナーゼ阻害剤としても知られる)、アナログ、又は肺高血圧症及び/又は繊維症及び/又は炎症を減少するための他の三重のキナーゼ阻害剤は、鼻又は肺のコンパートメントの直ぐ下流で肺又は組織に直接送達するために経口又は経鼻吸入によって、投与され得る。別の限定しない例によって、エンドセリン受容体アンタゴニスト(例えばボセンタン又はアンブリセンタン)は、癌、腫瘍間質、又は繊維症に関連する肺高血圧症を処置する。別の制限しない例によって、PDE5阻害剤(例えば、シルデナフィル、バルデナフィル、及びタダラフィル)は、癌、腫瘍間質、又は繊維症に関連する肺高血圧症を処置する。別の制限しない例によって、プロスタノイド(例えば、エポプロステノール、イロプロスト、及びトレプロスチニル)は、癌、腫瘍間質、又は繊維症に関連する肺高血圧症を処置する。別の制限しない例によって、酸化窒素又は酸化窒素を寄与する化合物(例えば、硝酸塩、亜硝酸塩、又は吸入亜硝酸塩)は、癌、腫瘍間質、又は繊維症に関連する肺高血圧症を処置する。
癌及び肺動脈高血圧症を処置するための有望な方法として示されるように、癌、より具体的には肺癌において、「カクテル療法」又は「カクテル予防法」を可能にするために、癌を標的とする薬剤と、(処方医師によって、薬が、同じ疾患を処置するための併用療法として幾つかの順序で得られることを要求されるように)同時投与、連続投与、又は同時に処方されるような、ピルフェニドン又はピリドンのアナログを投与する方法が、記載される。抗ガン剤はゲフィチニブ(Iressa、ZD1839としても知られる)を含み得る。ゲフィチニブは、上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼドメインの選択的阻害剤である。標的タンパク質(EGFR)は、Her1(erb−B1)、Her2(erb−B2)、及びHer3(erb−B3)を含む、受容体のファミリーである。EGFRは、例えば肺及び乳の癌における、特定のタイプのヒト癌腫の細胞において過剰発現される。これは、抗アポトーシスのRasシグナル伝達カスケードの、不適当な活性化に通じ、最終的に制御されない細胞増殖に通じる。ゲフィチニブ感受性の非小細胞肺癌に関する研究は、EGFRチロシンキナーゼドメインにおける突然変異が、抗アポトーシス経路を活性化する原因であることを示した。これら突然変異は、ゲフィチニブ及びエルロチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤に対する感受性の増加を与える傾向がある。非小細胞肺癌組織構造のタイプのうち、腺癌は、これらの突然変異を最も頻繁に抱えるタイプである。これら突然変異は、アジア人、女性、及び非喫煙者においてより共通して見られる(また、より頻繁に腺癌を有する傾向がある)。ゲフィチニブは、酵素のアデノシン三リン酸(ATP)結合部位への結合により、EGFRチロシンキナーゼを阻害する。故に、抗アポトーシスのRasシグナル伝達カスケードの活性化におけるEGFRチロシンキナーゼの機能は阻害され、且つ悪性細胞が阻害される。ゲフィチニブは他の癌において効果的であるとさらに証明されねばならないが、EGFR過剰発現が関係する他の癌の処置において使用される潜在性も存在する。ゲフィチニブが選択的な化学療法剤であるため、その耐用性特性は、以前の細胞毒性薬剤より優れている。薬物副作用(ADR)は、潜在的に死病に許容可能である。ざ瘡のような発疹が、非常に共通して報告される。他の一般的な副作用は:下痢、吐き気、嘔吐、食欲不振、口内炎、脱水、皮膚反応、爪囲炎、肝酵素の無症性の上昇、無力症、結膜炎、眼瞼炎を含む。稀な副作用は:間質性肺疾患、角膜びらん、異常なまつ毛及び髪の毛の成長を含む。
別の抗ガン剤は、エルロチニブ(Tarcevaとしても知られる)である。エルロチニブは、癌の様々な形態において大いに発現され且つ時に突然変異される、上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼを明確に標的とする。それは、受容体のアデノシン三リン酸(ATP)結合部位に可逆的な様式で結合する。送信されるシグナルのために、2つのEGFR分子は、ホモダイマーを形成するよう共に生ずる必要がある。その後、これらは、チロシン残基の上で互いにトランス燐酸化するATPの分子を使用し、それは、フォスフォチロシン残留物を生成して、核へのシグナルカスケードを形質導入するか、又は他の細胞の生化学的プロセスを活性化するタンパク質複合体を組み立てるために、EGFRにフォスフォチロシン結合タンパク質を補充する。ATPの阻害によって、EGFR中のフォスフォチロシン残基の形成は可能でなく、シグナルカスケードが開始されない。エルロチニブは、肺癌の処置において延命効果を示した。エルロチニブは、少なくとも1つの前の化学療法レジメンに失敗した、局所的に進行した又は転移性の非小細胞肺癌の処置のために承認される。それはまた、局所的に進行した、切除可能でない、又は転移性の膵癌の処置のために、ゲムシタビンと組み合わせて承認される。肺癌において、エルロチニブは、EGFR突然変異がある又はない患者において効果的であると示されたが、EGFR突然変異がある患者の群においてより効果的であると思われる。EGFR突然変異陽性患者の中の反応率は、およそ60%である。BACのような腺癌又は亜型を有する、非喫煙者及び軽い喫煙経験者である患者は、EGFR突然変異を有する可能性があるが、突然変異は全てのタイプの患者に生じ得る。EGFR陽性の患者は一般的にKRAS陰性である。エルロチニブは近年、JAK2V617F活性の強力阻害剤であると示された。JAK2V617Fは、チロシンキナーゼJAK2の突然変異体であり、真性赤血球増加症(PV)を持つ大半の患者と、特発性の骨髄線維症又は本態性血小板血症の患者の十分な割合において、見出される。研究は、エルロチニブがJAK2V617F陽性のPV及び他の骨髄増殖性疾患の処置に使用され得ることを示唆する。発疹が、大多数の患者に生じる。これはざ瘡に類似し、主として顔面及び首に関係する。それは自己制限され、継続的に使用しても、大多数の場合において分解する。興味深いことに、幾つかの臨床研究は、皮膚反応の重症度と生存増大との間の相関性を示してきたが、これは定量的に評価されなかった。皮膚疹は、臨床的利益のサロゲートマーカーであり得る。他の副作用は、下痢、食欲不振、疲労、稀に、咳及び呼吸困難の増加を特徴とする間質性肺炎を含む。これは重度のものであり、呼吸が激しく悪化する患者の中で考慮されねばならない。エルロチニブが難聴を引き起こし得ることも、示唆されてきた。稀な副作用は、重度の胃腸管、皮膚、及び眼の障害を含む。加えて、エルロチニブを処方した人の中には、重度又は致死的な胃腸管の穿孔;水疱性、水疱形成性、及び剥離性の皮膚疾病(致死的なものもある);及び角膜病変などの重度の眼疾患を進行する者もいる。結果的に死亡するものを含むケースの幾つかは、Stevens−Johnson症候群/中毒性表皮壊死症を暗示した。エルロチニブは、肝酵素CYP3A4によって主に代謝される。セントジョンズワートなどの、この酵素を誘発する(即ち、その産生を刺激する)化合物は、エルロチニブ濃度を低下させ得、その一方で阻害剤は濃度を増加することができる。CML中のイマチニブなどの、他のATP競合的な小分子チロシンキナーゼ阻害剤のように、患者は抵抗性を急速に進行する。エルロチニブの場合、これは典型的に、処置の開始から8−12か月で生じる。抵抗性の50%以上が、大きな無極性のメチオニン残基(T790M)による小さな極性のトレオニン残基の置換に関する、EGFRキナーゼドメインのATP結合ポケットにおける突然変異によって、引き起こされる。「ゲートキーパー」突然変異仮説の提案者は、この突然変異が立体障害によってエルロチニブの結合を妨げることを示唆しているが、研究は、T790Mが、エルロチニブの妨害作用を減少させるATP結合親和性の増加を与えることを示唆する。薬物抵抗性のおよそ20%が、PI3KのERBB3依存性の活性化を駆り立てる、肝細胞増殖因子受容体の増幅によって引き起こされる。他の抵抗性のケースは、EGFRによりホモ二量体化し、そしてヘテロダイマーを形成するための、突然変異したIGF−1受容体の動員を含む、多数の突然変異に関係し得る。これは、EGFR阻害剤の存在下でさえEGFRの下流エフェクターの活性化を可能にする。幾つかのIGR−1R阻害剤は、進行の様々な段階にある(AG1024又はAG538などのTKI、或いはNVP−AEW541などのピロロ[2,3−d]−ピリミジン誘導体のいずれかの周辺に基づく)。IGF−1Rを標的とするモノクローナル抗体フィギツムマブは現在、臨床試験を受けている。抵抗性の別の原因は、EGFRによる刺激とは無関係のAktの活性化の増加を可能にする、PTEN腫瘍抑制因子の不活性化変異であり得る。抵抗性と格闘するための最も有望な方法は、おそらく併用療法である。作用の異なる様式を備える多くの異なる治療剤による処置を始めることは、T790M及び突然変異を与える他の抵抗性の発達に対する、最良の防御を提供すると思われる。
別の抗癌剤は、ボルテゾミブ(本来のコード名PS−341; Velcade and Bortecadとして販売)である。ボルテゾミブは、ヒトにおいて試験される第1の治療上のプロテアソーム阻害剤である。それは、再発性多発性骨髄腫及びマントル細胞リンパ腫を処置するために、米国において承認される。多発性骨髄腫において、完全な臨床反応は、その他に抵抗性がある又は急速に進行する疾患を患う患者において得られてきた。ボルテゾミブは本来、MG−341として合成された。前臨床医学の結果を見込めた後に、薬物(PS−341)は、多発性骨髄腫癌の患者の小さな第I相試験において試験された。ボルテゾミブ(Velcade)は、多発性骨髄腫に使用するために承認される。別の市販で入手可能なボルテゾミブ製品−Bortenatは、伝えられるところによれば、宣言されるより実質的に多くの活性実体を含み、且つ潜在的に、更にいっそう、毒性の増加を結果としてもたらす。更に、Bortenatは、不明瞭な臨床的影響力による、記録した倫理学上の生成物Velcadeからの、幾つかの他の化学物質と製剤の偏差を有している。ボルテゾミブ中のホウ素原子は、26Sプロテアソームの触媒部位を、高親和性及び特異性に結合する。正常細胞において、プロテアソームは、ユビキチン化タンパク質の劣化によりタンパク質の発現及び機能を調節し、また、異常なタンパク質又はミスフォールドタンパク質の細胞を浄化する。臨床及び前臨床のデータは、ミエローマ細胞の不死の表現型の維持における役割を支援し、細胞培養及び異種移植片のデータは、固形腫瘍癌に類似する機能を支援する。多数の機構が関与するように思われるが、プロテアソーム阻害は、アポトーシス促進性因子の劣化を妨げ、アポトーシス促進性経路の抑止に依存する腫瘍細胞におけるプログラム細胞死の活性化を可能にし得る。近年、ボルテゾミブが、プロテアソームによってもたらされる細胞内ペプチドのレベルの、急速且つ劇的な変化を引き起こしたことが見出された。幾つかの細胞内ペプチドは、生物学的に活性であると示され、そのため、細胞内ペプチドのレベルに対するボルテゾミブの効果は、薬物の生物学的作用及び/又は副作用に寄与し得る。ボルテゾミブは、静脈内投与後に急速に取り除かれる。ピーク濃度は約30分で到達する。薬物濃度は、1時間後にはもはや測定することができない。薬力学は、末梢血単核細胞におけるプロテアソーム阻害を測定することにより測定される。標準の末梢血単核細胞及び大抵の他の癌細胞株と比較して、プロテアソーム阻害に対する、ミエローマ細胞株及び外套細胞株のはるかに大きな感受性は、あまり理解されていない。ボルテゾミブは、患者の30%における末梢性ニューロパチーに関係している;時々、それは苦痛を伴うことがある。これは、先在するニューロパチーを持つ患者におけるよりも悪化し得る。加えて、好中球減少症及び血小板減少症を引き起こす骨髄抑制も生じ、且つそれは用量を制限し得る。しかし、これら副作用は通常、進行疾患を持つ患者のための骨髄移植及び他の処置選択に対しては、穏やかである。ボルテゾミブは帯状疱疹の高い割合に関係するが、予防的なアシクロビルはこの危険性を減少し得る。胃腸の効果及び無力症は、最も一般的な有害事象である。確立されたボルテゾミブの効果は、再発性/難治性の多発性骨髄腫を持つ、極度に前処置した患者において最高8つのサイクルの間、21日間のサイクルの1、4、8、及び11日目の静脈内ボーラスにより投与される、1.3mg/m2(デキサメタゾンの有無に関わらず)である。ボルテゾミブの実証された優位性は、高用量のデキサメタゾンレジメンにわたって1.3mg/m2である(例の中間(example median)TTP 6.2対3.5か月、及び1年の生存80%対66%による)。実験室の研究及び臨床試験は、新しいタイプの他の薬理学的な薬剤と組み合わせることにより、ボルテゾミブの抗癌性効力を更に増加させることが可能であり得るかどうかを、研究している。例えば、臨床試験は、サリドマイド、レナリドミド、血管内皮成長因子(VEGF)の阻害剤、又は三酸化ヒ素の追加が有益であり得ることを示した。実験室の研究において、例えば、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、タプシガルジン、又はセレコキシブと組み合わせた時、ボルテゾミブが多発性骨髄腫細胞をより効率的に死滅させたことが、見出された。ボルテゾミブが、膵癌中でレオリジン(Reolysin)と相乗的であるという、前臨床医学的証拠が存在する。しかし、これら後の組み合わせの何れかの治療効力と安全性は、癌患者において未だに評価されていない。
抗癌剤の別のファミリーは、ヤーヌスキナーゼ阻害剤である。JAK阻害剤としても知られるため、これらは、酵素(JAK1、JAK2、JAK3、TYK2)のヤーヌスキナーゼファミリーの1以上の活性の阻害により機能し、それによりJAK−STATシグナル経路に干渉する、一種の薬物である。これら阻害剤は、癌及び炎症性疾患の処置における治療用途を有する。サイトカインは、細胞増殖及び免疫応答を制御する際に重要な役割を果たす。多くのサイトカインが、I型及びII型のサイトカイン受容体に結合し、且つそれらを活性化することにより、機能する。これら受容体は次に、シグナル伝達のための酵素のヤーヌスキナーゼ(JAK)ファミリーに依存する。従って、これらヤーヌスキナーゼの活性を阻害する薬物は、サイトカインシグナル伝達系を遮断する。より具体的に、ヤーヌスキナーゼは、活性化したサイトカイン受容体を燐酸化する。これら燐酸化した受容体は次に、遺伝子転写を調節するSTAT転写因子を動員する。臨床試験に達するための第1のJAK阻害剤は、トファシチニブであった。トファシチニブは、JAK3(IC50=2nM)の特異的阻害剤であり、それにより、IL−2、IL−4、IL15、及びIL−21の活性を遮断する。従って、Th2細胞分化は遮断され、それ故、トファシチニブはアレルギー性疾患の処置に効果的である。トファシチニブはまた、それほどではないにせよ、次にIFN−γ及びIL−6のシグナル伝達、並びに結果的にTh1細胞分化を遮断する、JAK1(IC50=100nM)及びJAK2(IC50=20nM)を阻害する。JAK阻害剤の例は、次のものを含む:乾癬、骨髄線維症、及び関節リウマチのためのJAK1/JAK2に対するルクソリチニブ;乾癬と関節リウマチのためのJAK3に対するトファシチニブ(タソシチニブ(tasocitinib);CP−690550);関節リウマチのためのJAK1/JAK2に対するバリシチニブ(Baricitinib)(LY3009104、INCB28050);骨髄増殖性障害のためのJAK2に対するCYT387;急性骨髄性白血病(AML)のためのJAK2に対するレスタウルチニブ;再発性のリンパ腫及び進行性の骨髄性悪性腫瘍、慢性特発性骨髄線維症(CIMF)のためのJAK2に対するパクリチニブ(Pacritinib)(SB1518);及び、骨髄線維症のためのJAK2に対するTG101348。
抗癌剤の別のファミリーは、ALK阻害剤である。ALK阻害剤は、EML4−ALK転位などの、未分化のリンパ腫キナーゼ(ALK)の変異により腫瘍に対して作用する、潜在的な抗癌剤である。非小細胞肺癌腫(NSCLC)の約7%は、EML4−ALK転位を有する。ALK阻害剤の例は、次のものを含む:クリゾチニブ(商品名Xalkori)はNSCLCのために承認される;AP26113は前臨床段階にある;及び、LDK378は、第二世代のALK阻害剤としてNovartisによって開発される。NPM−ALKは、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)を制御し、且つ他のALK阻害剤の標的である、ALKの異なる変異/融合である。クリゾチニブは、標的キナーゼのATP結合ポケット内の競合的結合により、プロテインキナーゼ阻害剤として、アミノピリジンの構造及び機能を有する。非小細胞肺癌の患者の約4%は、発癌に寄与し且つ悪性表現型を制御する(drive)ように思われる構成的なキナーゼ活性を結果としてもたらす、EML4(「4様棘皮動物微小管付属蛋白質(echinoderm microtubule−associated protein−like 4)」)とALK(「未分化のリンパ腫キナーゼ」)の間に融合遺伝子を生じさせる、染色体再配置を有する。融合タンパク質のキナーゼ活性はクリゾチニブによって阻害される。この遺伝子融合を持つ患者は典型的に、上皮成長因子受容体遺伝子(EGFR)又はK−Ras遺伝子において突然変異を有していない、より若い非喫煙者である。ALK融合NSLCの新たなケースの数は、米国では1年当たり約9,000であり、世界中では約45,000である。ALK突然変異は、神経芽腫の事例の約15%における悪性表現型、即ち、非常に幼い子どもにほぼ排他的に生じる、珍しい形態の末梢神経系癌の制御において重要であると思われる。クリゾチニブは、悪性新生物の多くの他の組織学的形態の腫瘍形成に関係する、c−Met/肝細胞増殖因子受容体(HGFR)チロシンキナーゼを阻害する。クリゾチニブは現在、悪性細胞の増殖、移動、及び侵入の調節により、その効果を及ぼすと考えられる。他の研究は、クリゾチニブが、悪性腫瘍における血管新生の阻害を介しても作用し得ることを示唆する。クリゾチニブは、ALK融合遺伝子を運ぶ82の患者の90%において、腫瘍を縮ませたか、又は安定させた。腫瘍は、処置された人々の57%において、少なくとも30%縮んだ。その大半は腺癌を有しており、一度も喫煙していない又は喫煙経験者であった。彼らは、クリゾチニブを受ける前に平均3つの他の薬物による処置を受け、10%のみが、標準的治療に反応すると予想された。彼らは、6か月の中間持続時間、250mgのクリゾチニブを毎日2回与えられた。これら患者のおよそ50%は、吐き気、嘔吐、又は下痢などの少なくとも1つの副作用を被った。クリゾチニブに対する幾つかの反応は、15か月まで続いた。第3相試験(PROFILE 1007)は、ALK陽性のNSCLCの処置において、クリゾチニブを標準セカンドライン化学療法(ペメトレキセド又はタキソテレ)と比較する。加えて、第2相試験(PROFILE 1005)は、前の化学療法の1つのラインより多くを受けた、類似の基準を満たす患者を研究する。クリゾチニブ(Xalkori)は、異常な未分化のリンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子を発現する、特定の後期の(局所的に進行性又は転移性の)非小細胞肺癌を処置するために、承認される。承認は、EML4−ALK融合のためのコンパニオン分子の試験を必要とした。
別の抗癌剤は、クリゾチニブである。クリゾチニブも、進行性の播種性の未分化大細胞リンパ腫、及び神経芽腫の臨床試験において試験されている。
抗癌標的は、Bcl−2(B細胞リンパ腫2)を含む。BCL2遺伝子によるコード化は、細胞死(アポトーシス)を調節する調節タンパクのBcl−2ファミリーの設立メンバーである。濾胞性リンパ腫中の染色体14及び18に関する染色体転座において最初に記載される様々なタンパク質の第2メンバーであるため、Bcl−2の名はB細胞リンパ腫2に由来する。Bcl−2オルソログは、完全ゲノムデータが利用可能である、多数の哺乳動物において識別された。Bcl−2の2つのアイソフォーム、1G5Mとしても知られるアイソフォーム1、及び1G5O/1GJHとしても知られるアイソフォーム2は、相似褶曲を示す。しかし、これらアイソフォームがBADとBAKのタンパク質に結合する能力、同様に、結合溝の構造的なトポロジー及び静電ポテンシャルを結果としてもたらすことは、2つのアイソフォームに関する抗アポトーシスの活性における差を示唆する。Bcl−2遺伝子への損傷は、黒色腫、乳癌、前立腺癌、慢性リンパ性白血病、及び肺癌を含む多くの癌の原因、並びに、統合失調症、及び自己免疫病の起こり得る原因であると確認された。それは、癌処置に対する抵抗性の原因でもある。癌は、細胞増殖と細胞死の間のホメオスタシスのバランスにおける妨害の結果として生じる。抗アポトーシス遺伝子の過剰発現、及びアポトーシス促進性遺伝子の過小発現は、癌の特徴である細胞死の欠如において結果として生じ得る。例は、リンパ腫で見られ得る。リンパ球における抗アポトーシスのBcl−2タンパク質の過剰発現は、単独で癌を引き起こさない。しかし、Bcl−2及び癌原遺伝子mycの同時の過剰発現は、リンパ腫を含む活動的なB細胞悪性腫瘍をもたらし得る。濾胞性リンパ腫において、免疫グロブリン重鎖遺伝子位置の隣のbcl−2遺伝子を配置する、染色体転座は共通して、14番目と18番目の染色体(t(14;18))の間に生じる。この融合遺伝子は調節解除され、過度に高いレベルのBcl−2の転写に通じる。これは、アポトーシスを受けるこれらの細胞の性質を減少させる。細胞死はまた、免疫系を調節する際に非常に活性な役割を果たす。それが機能的な場合、中心及び末梢性寛容の両方を介して、自己抗原に免疫非応答を引き起こし得る。不完全なアポトーシスの場合、それは、自己免疫疾患の病因の態様に寄与し得る。自己免疫疾患、1型糖尿病は、異常なT細胞AICD及び不完全な末梢性寛容に通じる、不完全なアポトーシスによって引き起こされ得る。樹状細胞が免疫系の最も重要な抗原提示細胞であるという事実のため、それらの活性は、アポトーシスとしてのそのような記機構によってしっかりと調節されねばならない。研究者は、Bim−/−であり、故に、効果的なアポトーシスを誘発することができない樹状細胞を含むマウスが、標準の樹状細胞を持つものよりも多くの自己免疫疾患を得ることを、見出した。他の研究は、抗アポトーシスのBcl−2に依存するタイマーによって、樹状細胞の寿命が部分的に制御され得ることを示した。アポトーシスは、莫大な社会的影響を持つ様々な疾患を調節する際に非常に重要な役割を果たす。例えば、統合失調症は、アポトーシス促進性因子及び抗アポトーシス因子の異常な比率から結果として生じ得る神経変性疾患である。この不完全なアポトーシスは、Bcl−2の異常な発現、及びカスパーゼ−3の発現の増加から結果として生じ得るという、幾つかの証拠が存在する。Bcl−2タンパク質のファミリーについての更なる研究は、アポトーシスを促進及び阻害するためにこれらのタンパク質がどのようにして相互に作用するかについて、より多くの全体像を提供する。関与される機構についての理解は、癌、自己免疫性疾病、及び神経系疾患を処置するための新たな治療も発展を支援し得る。Bcl−2阻害剤は、次のものを含む:Bcl−2を標的とする、アンチセンスオリゴヌクレオチド薬物Genasense(G3139)。アンチセンスDNA又はRNAの鎖は非コードであり、コード鎖(RNA又はタンパク質のそれぞれをもたらすためのテンプレートである)に補足的である。アンチセンス薬物は、mRNAでハイブリダイズし、それを不活性化して、タンパク質が形成されるのを妨げる、RNAの短い配列である。Bcl−2 mRNAの開始コドン領域にて標的とされるアンチセンスRNAによって、ヒトリンパ腫細胞(t(14;18)転位を伴う)の増殖が阻害され得ることが、示された。インビトロの研究は、Bcl−2 mRNAの第1の6つのコドンに相補的である、Genasenseの同定に繋がった。別のBCL−2阻害剤はABT−73である。ABT−73は、ABT−737としても知られる、Bcl−2、Bcl−xL、及びBcl−wの新しい阻害剤である。ABT−737は、リンパ腫と他の白血病の治療において有益であると証明し得る、Bcl−xL及びBcl−wなどであるが、A1及びMcl−1ではない、Bcl−2及びBcl−2関連タンパク質を標的とする、多くのいわゆるBH3ミメティック小分子阻害剤(SMI)の中の1つである。別の阻害剤はABT−199である。ABT−199は、慢性リンパ性白血病の患者におけるBcl−2タンパク質の機能を遮断するよう設計される、いわゆるBH3ミメティック薬物である。別のBcl−2阻害剤は、肺小細胞癌のためのオバトクラックス(GX15−070)である。Bcl−2の阻害によって、オバトクラックスは、癌細胞における細胞死を誘発し、腫瘍増殖を妨げる。
抗癌剤の別のファミリーは、PARP阻害剤である。PARP阻害剤は、酵素ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)の薬理学的阻害剤の群である。それらは、多数の指標のために開発される;最も重要なものは、癌の処置である。癌の様々な形態は、通常の細胞よりもPARPに依存し、PARPを癌治療対して誘引性の標的にする。癌治療におけるそれらの使用に加えて、PARP阻害剤は、長期的な神経変性疾患と同様に、卒中及び心筋梗塞などの急性の生死にかかわる疾患のための電位治療であると考慮される。DNAは、各細胞周期中に何千回も傷つけられ、その損傷は修復されねばならない。BRCA1、BRCA2、及びPALB2は、誤りのない相同遺伝子組換え回復による二本鎖DNA破壊の修復にとって重要なタンパク質、又はHRR、経路である。何れかのタンパク質の遺伝子が突然変異されると、変化は、最終的に乳癌を引き起こし得る、DNA修複における誤りに通じ得る。一度に十分な損傷に曝されると、変更された遺伝子は、細胞の死を引き起こし得る。PARP1は、一本鎖切断(DNAにおける「切れ目」)の修復にとって重要なタンパク質である。DNAが複製される(細胞分裂に先行しなければならない)まで、そのような切れ目が修復されないまま存続する場合、その後修復自体は、二重鎖破壊を形成させ得る。PARP1を阻害する薬物は、この方法で多数の二重鎖破壊を形成させ、BRCA1、BRCA2、又はPALB2の突然変異を備えた腫瘍において、これら二重鎖破壊は、効率的に修復されず、細胞の死に通じる。DNAを癌細胞ほど頻繁に修復せず、且つ任意の突然変異されたBRCA1又はBRCA2を欠く正常細胞は未だに、PARPの阻害から残存することを可能にする、相同性の修復動作を有している。腫瘍抑制因子PTENを欠く幾つかの癌細胞は、Rad51(重大な相同遺伝子組換え構成要素)の下向き調節のためPARP阻害剤に敏感であり得るが、他のデータは、PTENがRad51を調節しない場合があること示唆する。従って、PARP阻害剤は、多くのPTENを欠く腫瘍(例えば、幾つかの活動的な前立腺癌)に対して効果的であり得る。(例えば急成長している腫瘍中の)酸素において低い癌細胞は、PARP阻害剤に敏感である。PARP阻害剤は本来、主としてPARP酵素活性の遮断し、それにより、DNAの損傷の修復を妨げ、最終的に細胞死を引き起こすことにより作動すると考えられた。PARP阻害剤は、追加の作用様式を有する:抗腫瘍活性に関連がある、DNA損傷の部位でのPARPタンパク質の局在化。捕捉されたPARPタンパク質−DNA複合体は、それらがDNA複製を遮断するため、細胞に対し非常に有毒である。損傷を受けたDNA上でPARPタンパク質を捕捉する差動的な能力に関して、研究者が3つのPARP阻害剤を試験した時、研究者は、阻害剤の捕捉する性質が広く変わったことを見出した。ヒトのタンパク質のPARPファミリーは、DNA結合及び修復タンパク質である、PARP1及びPARP2を含む。DNAの損傷によって活性化されると、これらタンパク質は、DNAを修復する実作業を行う他のタンパク質を動員する。標準条件下で、一旦修復プロセスが進行中であれば、PARP1とPARP2はDNAから放出される。しかし、この研究が示すように、それらがPARP阻害剤に結合すると、PARP1とPARP2はDNA上で捕捉されるようになる。研究者は、捕捉したPARP−DNA複合体が、PARP活性の欠如下で蓄積する修復されない一本鎖DNA破壊よりも細胞に対して有毒であることを示し、PARP阻害剤がPARP毒物として作用することを示した。これら結果は、主にPARP酵素活性を阻害するように作用し、且つDNA上でPARPタンパク質を捕捉しない触媒の阻害剤、並びに、ブロックPARP酵素活性を遮断し、且つPARP毒物として作用する二重阻害剤という、2種類のPARP阻害剤が存在することを示唆した。放射線療法の主な機能は、DNA鎖の破壊をもたらし、激しいDNAの損傷を引き起こして、細胞死に通じることである。放射線療法は、任意の標的細胞の100%を死滅させる潜在性を持つが、そうするのに必要な用量は、健康な組織に受け入れがたい副作用をもたらす。それ故、放射線療法は、放射線被曝の特定のレベルまで、与えられるだけである。阻害剤がBRCA1/BRCA2突然変異を備えた腫瘍組織における放射線療法によって生じさせられる一本鎖破壊からの二重鎖破壊の形成に通じるため、PARP阻害剤と放射線治療を組み合わせることは、成功の見込みを提供する。この組み合わせはそれ故、同じ放射線量によるものよりも有力な治療、又は低放射線量による同様に有力な治療に通じる。PARP阻害剤の例は、次のものを含む:乳癌と扁平上皮細胞肺癌のためのイニパリブ(Iniparib)(BSI 201);乳房、卵巣癌及び結腸直腸癌のためのオラパリブ(Olaparib)(AZD−2281);転移性乳房及び卵巣癌のためのルカパリブ(Rucaparib)(AG014699、PF−01367338);転移性黒色腫及び乳癌のためのベリパリブ(Veliparib)(ABT−888);非小細胞肺癌(NSCLC)のためのCEP 9722;PARP1及びPARP2の両方を阻害するMK 4827;進行性の血液悪性腫瘍、及び進行性又は再発性の固形腫瘍のためのBMN−673;及び3−アミノベンズアミド。
抗癌標的の別のファミリーは、PI3K/AKT/mTORの経路である。この経路は、成長調節、代謝、及び翻訳開始などの多くの細胞機能に重要なシグナル経路である。この経路内では、多くの有益な抗癌剤処置標的が存在し、この理由のため、それは近年において多くの研究に曝された。ホスホイノシチド3−キナーゼ阻害剤(PI3K阻害剤)は、この経路の一部であり、それ故、阻害を介して、頻繁に腫瘍抑制を結果としてもたらす、ホスホイノシチド3−キナーゼ酵素を阻害することにより機能する、潜在的な医療用薬物である。多くの異なる種類及びアイソフォームのPI3Kが存在する。種類1のPI3Kは、4つのタイプ(アイソフォーム)、即ちp110アルファ、p110ベータ、p110ガンマ、及びp110デルタを伴う、p110として知られる触媒サブユニットを持つ。研究されている阻害剤は、種類IのPI3Kの1以上のアイソフォームを阻害する。それらは、様々な癌の処置について積極的に調査されている。例は、次のものを含む:ウォルトマンニン、PI3Kの不可逆阻害剤;デメトキシビリジン、ウォルトマンニンの誘導体;及びLY294002、PI3Kの可逆的阻害剤。他のPI3K阻害剤は、次のものを含む:結腸直腸癌及び多発性骨髄腫のためのペリホシン;CAL101、特定の後期型の白血病のための経口PI3Kデルタ;IAPL‐866;IPI−145、特に血液系悪性腫瘍のための、PI3Kデルタ及びガンマの新しい阻害剤;PI3Kα、δのアイソフォームを優勢的に阻害するBAY 80−6946;BEZ235、PI3K/mTOR二重阻害剤;RP6503、喘息及びCOPDの処置のための二重PI3Kデルタ/ガンマ阻害剤;TGR 1202、経口PI3Kデルタ阻害剤(RP5264としても知られる);SF1126、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)のための第1のPI3KI;INK1117、PI3K−アルファ阻害剤;3nMのGDC−0941 IC50;BKM120;XL147(SAR245408としても知られる);XL765(SAR245409としても知られる);Palomid 529;GSK1059615(その場合、単一又は繰り返しの投薬後の十分な暴露の不足のため、臨床試験が終了した);ZSTK474、p110aに対する強力な阻害剤;進行性の固形腫瘍のためのPWT33597−二重PI3Kアルファ/mTOR阻害剤;IC87114、p110δの選択的阻害剤。それは、p110−δの阻害のための100nMのIC50を有する;TG100−115は、4つのアイソフォームを全て阻害するが、p110―γ及びp110−δに対して5−10倍優れた効力を持つ;CAL263;RP6530、T細胞リンパ腫のための二重PI3Kデルタ/ガンマ阻害剤;PI−103、二重PI3K−mTOR阻害剤;GNE−477、4nM及び21nMのIC50値を備えたPI3K−アルファ及びmTOR阻害剤;HDAC阻害剤でもあるCUDC−907;及び、Erk1/2も阻害するAEZS−136。
別の抗癌剤は、アパチニブである。YN968D1としても知られるため、アパチニブは、血管内皮成長因子受容体−2(KDRとしても知られるVEGFR2)を選択的に阻害するチロシンキナーゼ阻害剤である。それは、癌細胞中の血管新生を阻害すると思われる、経口で生物学的に利用可能な小分子薬剤である;具体的に、アパチニブは、VEGFを媒介とした内皮細胞の遊走及び増殖を阻害し、それにより腫瘍組織中の新たな血管形成を遮断する。この薬剤はまた、c−Kit及びc−SRCのチロシンキナーゼを穏やかに阻害する。アパチニブは、転移性胃癌、転移性乳癌、及び進行性肝細胞癌のための潜在的な標的化した処置として、現在臨床試験を受けている治験の制癌剤である。癌患者は、28日間毎日、様々な用量のアパチニブを投与された。アパチニブは、750mg/日未満の用量で十分に許容され、3つの用量制限毒性の3つは1000mg/日で報告され、最大耐用量は850mg/日であると測定される。研究者はまた、相I/IIにおいて処置された65の癌患者を報告し、1.54%は完全寛解を有し、12.31%は部分寛解を有し、66.15%は安定した疾患を有し、及び20%は進行性の疾患を有していた。ヒト臨床研究におけるアパチニブの安全性及び薬物動態に関する個別の公表された報告は、それが広範囲の癌型にわたって有望な抗腫瘍活性を有すると、結論づけた。幾つかの癌細胞は、特定の制癌剤の細胞毒性に対する抵抗性(多剤耐性と呼ばれる)を発展させる能力を持つ。研究は、アパチニブが特定の従来の抗癌剤に対する癌細胞の多剤耐性を回避するのに役立ち得ると、結論づけた。研究は、アパチニブが、それらの機能を阻害し且つ抗癌剤の細胞内濃度を増加させることにより、ABCB1及びABCG2を媒介とする多剤耐性を逆転することを示した。この研究は、特に化学療法に対する抵抗性が存在する場合に、アパチニブが従来の抗癌剤との併用療法において潜在的に効果的になることを示唆する。
抗癌標的の別のファミリーは、BRAFである。BRAFはB−Rafをコード化するヒト遺伝子である。該遺伝子はまた、癌原遺伝子B−Raf及びv−Rafマウス肉腫ウィルスの癌遺伝子相同染色体B1と呼ばれ、一方でタンパク質は、セリン/トレオニン−プロテインキナーゼB−Rafとしてより形式的に知られている。B−Rafタンパク質は、細胞増殖の配向に関係する、細胞の内部にシグナルを送ることに関係する。2002年には、それが、ヒト癌において不完全である(突然変異させられた)ことを示された。特定の他の遺伝したBRAF突然変異は、先天性欠損を引き起こす。BRAFによって制御される癌を処置する薬物が、開発されてきた。ベムラフェニブ及びダブラフェニブ(dabrafenib)は、後期黒色腫のために承認される。B−Rafは、増殖シグナル導入プロテインキナーゼのRafキナーゼファミリーのメンバーである。このタンパク質は、細胞の分裂、分化、及び分泌に影響を及ぼす、MAPキナーゼ/ERKシグナル経路を調節する役割を果たす。B−Rafは、766−アミノ酸、調節されたシグナル伝達セリン/トレオニンに特異的なタンパク質キナーゼである。おおまかに言えば、それは、Rafキナーゼファミリーの3つの保存ドメイン特徴からなる:保存領域1(CR1)、Ras−GTP−結合自己調節ドメイン、保存領域2(CR2)、セリンが豊富なヒンジ部、及び保存領域3(CR3)、タンパク性基質上の共通配列を燐酸化する触媒のタンパク質キナーゼドメイン。その活性な構造において、B−Rafは、水素結合及びそのキナーゼドメインの静電的相互作用を介して、二量体を形成する。B−Rafは、セリン/トレオニンに特異的なタンパク質キナーゼである。そのため、それは、ATPによる標的タンパク質上の共通配列におけるセリン及びトレオニンの残基のリン酸化を触媒し、生成物としてADP及びリン酸化タンパクをもたらす。それが非常に調節されたシグナル伝達キナーゼであるため、B−Rafは、酵素として活性になる前に、最初にRas−GTPを結合しなければならない。一旦B−Rafが活性化されると、保存タンパク質キナーゼ触媒コアは、二分子求核置換反応を介してATPのγ−リン酸基上で、活性化した基質セリン又はトレオニンヒドロキシルの酸素原子の求核攻撃を促進することにより、タンパク性基質を燐酸化する。脱離基としてADPを備えたセリン及びトレオニンの残基の二分子置換を介してタンパク質リン酸化を効果的に触媒するために、B−Rafは最初にATPを結合し、その後、ATPのγ−リン酸塩が転送されるため、遷移状態を安定させなければならない。本質的に、活性B−Raf突然変異体が、成長するよう細胞に過度にシグナル伝達を行うことにより、共通して癌(臨床的有意性を参照)を引き起こすため、B−Rafの阻害剤は、癌の治療上の候補としてキナーゼドメインの不活性且つ活性な構造の両方ために開発されてきた。BAY43−9006(ソラフェニブ、Nexavar)は、初期の肝臓癌及び腎臓癌の処置のために、FDAによって承認されたV600E突然変異体B−Raf及びC−Rafの阻害剤である。Bay43−9006は、酵素をその不活性形でロックすることにより、B−Rafキナーゼドメインを不能にする。前記阻害剤は、キナーゼドメインのための高親和性を通じて、ATP結合ポケットを遮断することにより、これを達成する。その後、それは、活性な構造への活性化ループ及びDFGモチーフの移動を止めるために、重要な活性化ループ及びDFGモチーフの残基を結合する。最終的に、トリフルオロメチルフェニル部分は、DFGモチーフ及び活性化ループの活性構造部位を立体的に遮断し、キナーゼドメインが構造を活性に推移することを不可能にする。BAY43−9006の遠位のピリジル環は、キナーゼN−ローブの疎水性ヌクレオチド結合ポケットにおいて固着し、W531、F583、及びF595と相互に作用する。触媒のループF583及びDFGモチーフF595との疎水的相互作用は、これらの構造の不活性構造を安定させ、酵素活性化の可能性を減少させる。更に、K483、L514、及びT529の、中心フェニル環との疎水的相互作用は、前記阻害剤のためのキナーゼドメインの親和性を増加させる。F595の、中央の環との疎水的相互作用は、同様に、DFG構造スイッチのエネルギー的な好ましさを更に減少させる。最終的に、BAY43−9006の、キナーゼドメインとの極性相互作用は、阻害剤のための酵素親和性を増加させ、且つ不活性構造におけるDFG残基を安定させるというこの傾向を持続する。E501及びC532の水素は、阻害剤の尿素及びピリジル基をそれぞれ結合し、その一方で尿素カルボニルは、DFGモチーフを適所にロックするためにD594のバックボーンアミド窒素からの水素結合を受け入れる。DFGモチーフ及び活性化ループが、タンパク質の活性な構造におけるそれらの位置へと推移した後に配される(inhabit)、αC螺旋とαE螺旋との間の疎水性ポケットを立体的に遮断することにより、キナーゼドメインがBAY43−9006に結合される場合、トリフルオロメチルフェニル部分は、不活性構造の熱力学的な好ましさを強化する(cements)。PLX4032(ベムラフェニブ)は、後期黒色腫の処置のために、FDAによって承認されたV600突然変異体B−Raf阻害剤である。キナーゼドメインの不活性形を阻害するBAY43−9006と異なり、ベムラフェニブは、キナーゼの活性「DFG−in」形態を阻害し、ATP結合部位においてそれ自体を堅く固着する。キナーゼの活性型のみを阻害することにより、ベムラフェニブは、調節されないB−Raf(通常、癌を引き起こすもの)により細胞増殖を選択的に阻害する。ベムラフェニブが単に、薬物動態学の理由で加えられたフェニル環における、その前駆物質(PLX4720)とは異なるため、PLX4720の作用の様式は、ベムラフェニブのものと同等である。PLX4720のアンカー領域、二環式7−アザインドール(7−azaindole bicyclic)が単に、チッ素原子が炭素と置換された2つの場所において部位を占領する天然のアデニンと異なるため、PLX4720は、部分的にATP結合部位に対する優れた親和性を持つ。これにより、C532へのN7水素結合及びQ530へのN1水素結合のような、強い分子間相互作用を保存することが可能となる。ATP結合疎水性ポケット(C532、W531、T529、L514、A481)内の優れた適合は、同様に結合親和性を増加させる。水及びジフルオロ−フェニルに結合する、ケトンリンカー水素結合は、第2疎水性ポケット(A481、V482、K483、V471、I527、T529、L514、及びF583)に適合し、全体として例外的に高い結合親和性に寄与する。活性Rafへの選択的結合は、αC螺旋の推移によって作成されるRafに選択的なポケットに結合する、末端のプロピル基によって達成される。キナーゼの活性な構造のための選択性は、活性状態でD594のバックボーンペプチドNHとの水素結合によって安定させられる、pH感受性の脱プロトンしたスルホンアミド基によって、更に増大される。不活性状態において、阻害剤のスルホンアミド基は、代わりにその残基のバックボーンカルボニル基と相互に作用し、反発を作成する。故に、ベムラフェニブは、B−Rafのキナーゼドメインの活性状態に優先的に結合する。BRAF遺伝子における突然変異は、2つの方法で疾患を引き起こし得る。最初に、突然変異は遺伝され、先天性欠損を引き起こし得る。次に、突然変異が後天的に現われ、癌遺伝子として、癌を引き起こし得る。この遺伝子において遺伝する突然変異は、心臓面皮膚(cardiofaciocutaneous)症候群(心臓欠損、精神遅滞、及び特有な容貌を特徴とする疾患)を引き起こす。この遺伝子において得られた突然変異は、非ホジキンリンパ腫、結腸直腸癌、黒色腫、甲状腺乳頭癌、非小細胞肺癌、及び肺の腺癌を含む癌において見出された。BRAF遺伝子のV600E突然変異は、多数の研究において有毛細胞白血病に関連し、且つ、不必要なMLH1シーケンシングを受ける患者の数を減少させるためにリンチ症候群をスクリーンする際の使用のために示唆されてきた。上に言及されるように、B−Rafが十分に理解された高収率標的であるため、製薬会社の中には、抗癌性使用のための突然変異したB−rafタンパク質の特異的阻害剤を開発しつつある製薬会社もある。転移性黒色腫の処置のためのZelborafとして認可されたベムラフェニブ(RG7204又はPLX4032)は、なぜ活性B−Raf阻害剤が薬物候補として追求されているのかに関する、現在の最先端技術の例である。ベムラフェニブは、その高い効果と選択性のため癌を標的とする機構として、生化学的に関心をそそる。B−Rafは、転移性黒色腫患者が生存する見込みを増加させただけでなく、以前の最良の化学療法の処置:ダカルバジンと比較して、同じ量の時間で7−12%から53%まで、処置に対する反応率を上昇させた。薬物の高い効果にもかかわらず、腫瘍の20%は未だに、処置に対する抵抗性を進行する。マウスにおいて、腫瘍の20%は56日後に抵抗するようになる。この抵抗性の機構は未だに議論されているが、幾つかの仮説は、高濃度のベムラフェニブ、及び増殖シグナル伝達の上流のアップレギュレーションを補うために、B−Rafの過剰発現を含む。より一般的なB−raf阻害剤は、GDC−0879、PLX−4720、ソラフェニブトシラート、ダブラフェニブ、及びLGX818を含む。
抗癌剤の別のファミリーは、MEK阻害剤である。これらは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ・キナーゼ酵素MEK1及び/又はMEK2を阻害する、化学物質又は薬物である。それらは、幾つかの癌において大抵は過活動性である、MAPK/ERK経路に影響を及ぼすために使用され得る。従って、MEK阻害剤は、幾つかの癌、特にBRAFにより突然変異した黒色腫、及びKRAS/BRAFにより突然変異した結腸直腸癌の処置に対する潜在性を持つ。MEK阻害剤の例は、次のものを含む:BRAFにより突然変異した黒色腫の処置のための、及びBRAFにより突然変異した黒色腫を処置するためのBRAF阻害剤ダブラフェニブとの可能な組み合わせのための、トラメチニブ(GSK1120212);非小細胞肺癌(NSCLC)のためのセルメチニブ;胆道癌及び黒色腫のための第1相試験を有していた、MEK162;乳癌、結腸癌、及び黒色腫のためのPD−325901;XL518;CI−1040及びPD035901。
抗癌剤の別のファミリーは、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)阻害剤である。CDK阻害剤は、CDKの機能を阻害する化学物質である。それは、癌細胞の過剰増殖を妨げることによって癌を処置するために使用される。多くのヒト癌において、CDKは過活動性であり、又はCDKを阻害するタンパク質は機能的ではない。それ故、癌細胞の調節されない増殖を妨げるCDK機能を標的とすることが、合理的である。しかし、CDKの1つの特異的なタイプのノックアウトが細胞増殖に頻繁に影響を及ぼさない、又は特異的な組織タイプにおいてのみ効果があることを、遺伝学研究が明らかにしたため、癌標的としてのCDKの効力は、注意深く評価されるべきである。例えば、マウスにおける大抵の成熟細胞は、CDK4とCDK2の両方が存在することなく、通常は増殖する。更に、特異的なCDKは、細胞周期の一定期間において、単に活性である。それ故、候補化合物の薬物動態及び投与スケジュールは、全細胞周期の全体にわたって薬物の活動濃度を維持するために、注意深く評価されなければならない。CDK阻害剤のタイプは、次のものを含む:広域スペクトルのCDKを標的とする広範囲のCDK阻害剤;CDKの特異的なタイプを標的とする特異的なCDK阻害剤;及び、VEGFR又はPDGFRなどの付加的なキナーゼと同様に、CDKも標的とする多数の標的阻害剤。具体例は、次のものを含む:白血病、黒色腫、及び固形腫瘍のためにCDK4とCDK6を標的とする、CDK4とPD−0332991を標的とするP1446A−05。
別の抗癌剤は、サリノマイシンである。サリノマイシンは、抗菌性及びコクシジウム抑制薬のイオノフォア治療薬である。サリノマイシンは、抗癌剤パクリタキセルよりも少なくとも100倍効果的に、マウスにおける乳癌幹細胞を死滅させると示された。研究により16,000の異なる化学化合物がスクリーンされ、サリノマイシン及びエトポシドを含む小さな亜群のみが、転移及び再発に原因である癌幹細胞を標的としたことを見出した。サリノマイシンが癌幹細胞を死滅させる作用の機構は、明確には未知のままであるが、同じ化合物スクリーンにおけるナイジェリシンの検知のためカリウムイオノフォアとしてその作用によるものと考えられる。2011年に実行した研究は、サリノマイシンがヒト癌細胞のアポトーシスを誘発し得ることを示した。少数の臨床的パイロット研究からの結果を見込むことで、サリノマイシンがCSCを効果的に排除し、且つ、激しく前処理された及び治療抵抗性の癌の部分的な臨床的緩解を誘発することができることを、明らかにする。サリノマイシンがCSC及び治療抵抗性の癌細胞の両方を死滅させる能力は、化合物を新規且つ効果的な抗癌剤として定義し得る。サリノマイシン及びその誘導体が、薬物耐性の癌細胞株に対する強力な抗増殖性の活性を示すことも、示されてきた。サリノマイシンは、製薬会社Verastemが抗癌幹細胞薬物を製造する努力において重要な化合物である。
非小細胞肺癌のための薬物は、次のものを含み得る:Abitrexate(メトトレキサート)、Abraxane(パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤)、Afatinib Dimaleate、Alimta(ペメトレキセド二ナトリウム)、Avastin(ベバシズマブ)、カルボプラチン、シスプラチン、クリゾチニブ、エルロチニブ塩酸塩、Folex(メトトレキサート)、Folex PFS(メトトレキサート)、Gefitinib Gilotrif(アファチニブジマレアート)、塩酸ゲムシタビン、ジェムザール(塩酸ゲムシタビン)、Iressa(ゲフィチニブ)、メトトレキサート、メトトレキサートLPF(メトトレキサート)、Mexate(メトトレキサート)、Mexate−AQ(メトトレキサート)、パクリタキセル、パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤、Paraplat(カルボプラチン)、パラプラチン(カルボプラチン)、ペメトレキセド二ナトリウム、Platinol(シスプラチン)、Platinol−AQ(シスプラチン)、Tarceva(エルロチニブ塩酸塩)、タキソール(パクリタキセル)、Taxotere又はDocecad(ドセタキセル)、及びXalkori(クリゾチニブ)。
非小細胞肺癌のために承認された組み合わせは、次のものを含み得る:カルボプラチン−タキソール、及びゲムシタビン−シスプラチン。
肺小細胞癌のために承認される薬物は、次のものを含み得る:Abitrexate(メトトレキサート)、Etopophos(リン酸エトポシド)、エトポシド、リン酸エトポシド、Folex(メトトレキサート)、Folex PFS(メトトレキサート)、Hycamtin(塩酸トポテカン)、メトトレキサート、メトトレキサートLPF(メトトレキサート)、Mexate(メトトレキサート)、Mexate−AQ(メトトレキサート)、Toposar(エトポシド)、塩酸トポテカン塩、及びVePesid(エトポシド)。
上気道(例えば、鼻、洞、及び咽頭のコンパートメント)、呼吸気道(例えば、喉頭、気管、及び気管支のコンパートメント)及び肺又は肺コンパートメント(例えば、呼吸気管支、肺胞管、肺胞)を含む気道の1つ以上の所望領域への直接のエアロゾル投与は、呼吸器の病理の部位への高濃度及び滴定された濃度の薬物の、プロドラッグが活性な、又は持続放出による送達を得るために、鼻腔内又は経口の吸入を介して、特定の好ましい実施形態において達成され得る(例えば「肺送達」)。鼻腔内又は経口の吸入によるなどのエアロゾル投与はまた、薬物送達の非呼吸経路に関係する呼吸器外の毒性のリスクを減らして、他の組織又は臓器、限定しない例によって、心臓、脳、肝臓の中枢神経系及び/又は腎臓に到達するために、肺の脈管構造を介した薬物の、プロドラッグが活性な、又は持続放出による送達(例えば、さらに肺送達)を提供するために使用され得る。したがって、特定のピリドン化合物(例えば、ピルフェニドン)の治療上の組成物の有効性が、製剤及び送達のパラメータに依存して変わり得るため、本明細書に記載される特定の実施形態は、組成物の再製剤及び認知された活性な薬物化合物のための新しい送達方法を反映する。他の実施形態は、例えば、瘢痕化を防ぐための熱傷創傷へのエアロゾル送達を含む、病気にかかった皮膚、直腸、膣、尿道、膀胱、眼、及び/又は耳への本明細書で提供されるようなピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤の直接的曝露を介して、本明細書に記載される発見から恩恵を得るかもしれない局所的な病理及び/又は感染を熟慮する。
治療上の投与のために意図された任意の組成物(本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤など)が特徴付けられ得ることに従う、臨床的及び薬理学的な基準に加えて、当該技術分野に精通した当業者は、与えられた薬剤組成物に特有の多くの物理化学的因子を認識するであろう。これらは、限定されないが、水溶解度、粘度、分割する係数(partitioning coefficient)(LogP)、様々な製剤中の予測された安定性、浸透圧、表面張力、pH、pKa、pKb、溶解速度、痰透過性、痰結合/不活性化、味覚、咽喉の被刺激性及び急性の耐性を含む。
特定の生成物の形状を選択する際に考慮する他の因子は、製剤(例えばピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤)の物理化学、製剤が使用されるための意図した疾患指標、臨床的受容性、及び患者のコンプライアンスを含む。限定しない例として、(例えば、液体粒子の噴霧化した懸濁液、定量の噴射剤によって生成された乾燥粉末製剤又はエアロゾルの分散液などのミストの経口及び/又は鼻腔内の吸入による)エアロゾル送達のための所望のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤は、定量の吸入装置などの吸入装置を使用してパッケージ化及び投与するための、水性液などの単純液体(例えば、カプセル化していない可溶性の賦形剤/塩を有する可溶性のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物)、水性液などの複合液体(例えば、脂質、リポソーム、シクロデキストリン、マイクロカプセル化、及びエマルジョンなどの可溶性の賦形剤でカプセル化された又は複合化したピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物)、複合懸濁液(例えば、低溶解度の、安定したナノ懸濁液単独としての、共結晶/共沈殿の複合体としての、及び/又は固体の脂質ナノ粒子などの低溶解度の脂質を有する混合物としてのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物)、乾燥粉末(例えば、単独での、又は共結晶/共沈殿/スプレー乾燥した複合体又は低溶解度の賦形剤/塩又はラクトースなどの易溶性の配合物を有する混合物における乾燥粉末のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物)、又は有機可溶性の又は有機懸濁液の溶液、の形態で提供され得る。
特定の好ましい実施形態に従って本明細書で提供されるような、特定のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤、又はピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤の組成物の選択は、所望の生成物のパッケージングに左右される。パッケージングを選択する際に考慮される因子は、例えば、固有の生成物安定性、製剤が凍結乾燥を受けやすいかどうか、装置選択(例えば、液体の噴霧器、乾燥粉末の吸入器、定量の吸入器)、及び/又はパッケージング形態(例えば、単純液体、複合液体製剤)、装置への挿入前に溶解される液体として又は凍結乾燥物としてバイアル中に提供されるかどうか、複合懸濁製剤、液体として又は凍結乾燥物としてバイアル中に提供されるかどうか、及び装置への挿入前に又はその挿入後に溶解する可溶塩/賦形剤の成分を有しているか又は有していないか、又は液体及び固体の成分の別々のパッケージング、バイアル、カプセル又はブリスターパック中の乾燥粉末製剤、及び別々の容器単独で又は易溶性又は低溶解性の固形薬剤とともに別々の容器において易溶性又は低溶解性の固形薬剤としてパッケージ化された他の製剤、を含み得る。
パッケージ化された薬剤は、少なくとも0.1mg/mLから約50mg/mLの濃度で、約3.0から約11.0のpH、より好ましくは約4から8のpHを有し、少なくとも50mOsmol/kgから約1000mOsmol/kg、より好ましくは、200から約500mOsmol/kgの合計の浸透圧を有している、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の水溶液として提供される溶液を含む、肺送達のためのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤の組成物を提供するような方法で作られ得る。
幾つかの実施形態において、本発明は、ピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)のエアロゾル送達及び/又は局所送達に関する。ピルフェニドンは、エアロゾルによる(例えば、液体の噴霧化、乾燥粉末の分散又は定量の投与を介する)、又は局所的な(例えば、水性懸濁液、油製剤など、あるいは点滴、スプレー、坐薬、軟膏剤又は軟膏などとして)臨床的に望ましいレベルの投与を可能にする、好ましい溶解性を有し、肺線維症を有する被験体、又は肺線維症を有しているおそれのある被験体の急性の又は予防的な処置のための方法に使用され得る。いつ肺線維症が存在するか又はいつ被験体が肺線維症を有しているおそれがあるかを決定するための臨床的基準は、当業者に公知である。吸入による肺送達によって、全身曝露を減少させるため、臨床的に所望される部位に直接、直接的な及び滴定した投与が可能となる。
好ましい実施形態において、方法は、間質性肺疾患(ILD)を有する又はそれを有する疑いのある被験体へ、エアロゾル(例えば、空気又は別のガス中の液体粒子の懸濁液)としてピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤を投与することによって、間質性肺疾患を処置するか又はそれに対する予防法として機能する。間質性肺疾患は、American Thoracic Society/European Respiratory Societyの特発性間質性肺炎の国際的な学際的コンセンサスの分類(international multidisciplinary concensus classification)、AM. J. Respir. Crit. Care Med. 165, 277−304 (2002)によって定義されるような、特発性間質性肺炎のそれらの疾病を含む。これらは、既知の原因又は結合組織疾患、職業原因又は薬物の副作用に関係するILD、特発性間質性肺炎(例えば特発性肺線維症、非特異性の間質性肺炎、剥離性間質性肺炎、呼吸器の細気管支炎−ILD、特発性器質化肺炎、急性間質性肺炎及びリンパ球性間質性肺炎)、肉芽腫性肺疾患(例えば、サルコイドーシス、感覚過敏性(hypersensitity)間質性肺炎及び感染)、及びILDの他の形態(例えば、リンパ管平滑筋腫症、肺のランゲルハンスの細胞骨組織球症、好酸球性肺炎及び肺胞たんぱく症)を含む。
治療方法は、ILDを有するか又は有する疑いのある被験体を識別するなどの、診断工程も含み得る。幾つかの実施形態において、方法は、特発性肺線維症をさらに下位に分類する。幾つかの実施形態において、エアロゾルのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物(又はその塩)製剤の送達された量は、急性、亜急性、又は慢性の症状緩和、線維症の進行の遅延、線維症の進行の停止、線維性の損傷の逆転、及び/又はその後の生存率の増加及び/又は生活の質の改善を提供するのに十分である。
治療方法はまた、他の組織、限定しない例によって、心臓、肝臓、腎臓又は皮膚において線維症を有するか又は有する疑いのある被験体を識別するなどの、診断工程を含み得る。幾つかの実施形態において、噴霧化した液体、乾燥粉末又は定量のエアロゾルのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物(又はその塩)製剤の送達された量は、急性、亜急性、又は慢性の症状緩和、線維症の進行の遅延、線維症の進行の停止、線維性の損傷の逆転、及び/又はその後の生存率の増加及び/又は生活の質の改善を提供するのに十分である。
治療方法はまた、多発性硬化症を有するか又は有する疑いのある被験体を識別するなどの、診断工程を含み得る。幾つかの実施形態において、噴霧化した液体、乾燥粉末又は定量のエアロゾルのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物(又はその塩)製剤の送達された量は、急性、亜急性、又は慢性の症状緩和、脱髄症の進行の遅延、脱髄症の進行の停止、脱髄症の損傷の逆転、及び/又はその後の生存率の増加及び/又は生活の質の改善を提供するのに十分である。
別の実施形態において、噴霧化した液体、乾燥粉末又は定量のエアロゾルのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物(又はその塩)は、共存する細菌感染の治療も提供するために、同時投与され得るか、連続して投与され得るか、抗菌剤との固定された組み合わせで調製され得る。限定しない例によって、細菌はまた、シュードモナス−エルジノーサ、シュードモナス−フルオレッセンス、シュードモナス−アシドボランス、シュードモナス−アルカリゲネス、シュードモナス−プチダ、ステノトロホモナス−マルトフィリア、バークホリデリア−セパシア、エロモナス−ハイドロフィラ、エシェリキア−コリ、シトロバクター−フロインディ、サルモネラ−チフィムリウム、サルモネラ−チフィ、サルモネラ−パラチフィ、サルモネラ−エンテリティディス、シゲラ−ディゼンテリエ、シゲラ−フレックスネリ、シゲラ−ソンネ、エンテロバクター−クロアカエ、エンテロバクター−エロゲネス、クレブシエラ−ニューモニエ、クレブシエラ−オキシトカ、セラチア−マルセッセンス、フランシセラ−ツラレンシス、モルガネラ−モルガニイ、プロテウス−ミラビリス、プロテウス−ブルガリス、プロビデンシア−アルカリファシエンス、プロビデンシア−レットゲリ、プロビデンシア−スチュアルティイ、アシネトバクター−カルコアセチカス、アシネトバクター−ヘモリチカス(Acinetobacter haemolyticus)、エルシニア−エンテロコリチカ、エルシニア−ペスティス、エルシニア−シュードツベルクローシス、エルシニア−インターメディア、ボルデテラ−パータッシス、ボルデテラ−パラペルツッシス、ボルデテラ−ブロンキセプチカ、ヘモフィルス−インフルエンゼ、ヘモフィルス−パラインフルエンゼ、ヘモフィルス−ヘモリチカス、ヘモフィルス−パラヘモリチカス、ヘモフィルス−デュクレイ、パスツレラ−ムルトシダ、パスツレラ−ヘモリチカ、ブランハメラ−カタラーリス、ヘリコバクター−ピロリ、カンピロバクター−フィタス、カンピロバクター−ジェジュニ、カンピロバクター−コリ、ボレリア−ブルグドルフェリ、ビブリオ−コレラ、ビブリオ−パラヘモリチカス、レジオネラ−ニューモフィラ、リステリア−モノサイトゲネス、ナイセリア−ゴノレエ、 ナイセリア−メニンギチジス、キンゲラ、モラクセラ、ガードネレラ−バジナリス、バクテロイデス−フラジリス、バクテロイデス−ディスタソニス、バクテロイデス3452Aホモロジー群、バクテロイデス−ブルガタス、バクテロイデス−オバータス(Bacteroides vulgatus)、バクテロイデス−シータイオタオミクロン、バクテロイデス−ユニフォルミス、バクテロイデス−エガーシイ及びバクテロイデス−スプランクニカスなどの、グラム陰性菌であり得る。上に記載された方法の幾つかの実施形態において、細菌は、グラム陰性の嫌気性細菌であり、これらは、限定しない例によって、バクテロイデス−フラジリス、バクテロイデス−ディスタソニス、バクテロイデス3452Aホモロジー群、バクテロイデス−ブルガタス、バクテロイデス−オバータス(Bacteroides vulgatus)、バクテロイデス−シータイオタオミクロン、バクテロイデス−ユニフォルミス、バクテロイデス−エガーシイ及びバクテロイデス−スプランクニカスを含む。上に記載された方法の幾つかの実施形態において、細菌は、グラム陽性菌であり、これらは、限定しない例によって、コリネバクテリウム−ジフセリエ、コリネバクテリウム−ウルセランス、ストレプトコッカス−ニューモニエ、ストレプトコッカス−アガラクティエ、ストレプトコッカス−ピオゲネス、ストレプトコッカス−ミレリ;ストレプトコッカス(群G);ストレプトコッカス(群C/F);エンテロコッカス−フェカーリス、エンテロコッカス−フェシウム、スタフィロコッカス−アウレウス、スタフィロコッカス−エピデルミディス、スタフィロコッカス−サプロフィティクス、スタフィロコッカス−インターメジウス、スタフィロコッカス−ヒイカスの亜種ヒイカス(Staphylococcus hyicus subsp. hyicus)、スタフィロコッカス−ヘモリチカス、スタフィロコッカス−ホミニス、及びスタフィロコッカス−サッカロリティクスを含む。上に記載された方法の幾つかの実施形態において、細菌は、グラム陽性の嫌気性細菌であり、これらは、限定しない例によって、クロストリジウム−ディフィシレ、クロストリジウム−パーフリンジェンス、クロストリジウム−テタニ(Clostridium tetini)、及びクロストリジウム−ボツリヌムを含む。上に記載された方法の幾つかの実施形態において、細菌は、抗酸性細菌であり、これらは、限定しない例によって、マイコバクテリウム−ツベルクローシス、マイコバクテリウム−アビウム、マイコバクテリウム−イントラセルラーレ、及びマイコバクテリウム−レプレを含む。上に記載された方法の幾つかの実施形態において、細菌は、異型の細菌であり、これらは、限定しない例によって、クラミジア−ニューモニエ及びマイコプラズマ−ニューモニエを含む。
限定しない例として、好ましい実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)は、上皮内層流体(ELF)、痰、肺組織、気管支洗浄流体(BAL)における薬物濃度として、又は薬物動態学的分析を介する血中濃度の解析によって測定され得る、肺及び/又は標的とされた下流の組織における閾値の薬物濃度をもたらし維持する有効な濃度又は量を供給するために、ミスト、ガス−液体懸濁液又は噴霧化した液体、乾燥粉末及び/又は定量吸入されたエアロゾルの投与を可能にするように製剤される。1つの実施形態は、動物及びヒトにおける肺線維症、及びILD(特発性肺線維症を含む)、COPD及び喘息に関する炎症の処置のために、影響を受けた組織に対する直接的な高濃度又は滴定された濃度の薬物曝露をもたらす、エアロゾル投与の使用を含む。1つのこのような実施形態において、肺へのエアロゾル投与後に達成されたピークの肺ELFレベルは、0.1mg/mLと約50mg/mLの間のピルフェニドン又はピリドンのアナログのレベルとなる。別の実施形態において、肺へのエアロゾル投与後に達成されたピークの肺の湿組織レベルは、0.004mcg/グラム肺組織と約500mcg/グラム肺組織の間のピルフェニドン又はピリドンのアナログのレベルとなる。
限定しない例として、好ましい実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)は、上皮内層流体(ELF)、痰、肺組織、気管支洗浄流体(BAL)における薬物濃度として、又は肺外の治療、維持又は予防に十分な薬物濃度をもたらす肺の脈管構造に吸収される、薬物動態学的分析を介する血中濃度の解析によって測定され得る、血液及び/又は肺における閾値の薬物濃度をもたらし維持する有効な濃度又は量を供給するために、ミスト、ガス−液体懸濁液又は噴霧化した液体、乾燥粉末及び/又は定量吸入されたエアロゾルの投与を可能にするように製剤される。1つの実施形態は、限定されないが、心臓線維症、腎線維症、肝線維症、心臓又は腎臓の毒性、又は多発性硬化症の処置、維持及び/又は予防のために、肺の脈管構造及び次の組織における高濃度の薬物曝露をもたらす、エアロゾル投与の使用を含む。1つのこのような実施形態において、経口吸入後の肺へのエアロゾル投与後、あるいは鼻腔内投与後の肺又は鼻腔へのエアロゾル投与後に達成された、ピークの組織特異的な血漿レベル(例えば、心臓、腎臓及び肝臓)又は脳脊髄液レベル(例えば中枢神経系)は、0.1mcg/mLと約50mcg/mLの間のピルフェニドン又はピリドンのアナログのレベルとなる。別の実施形態において、肺へのエアロゾル投与後に達成されたピークの肺の湿組織値は、0.004mcg/グラム肺組織と約500mcg/グラム肺組織の間のピルフェニドン又はピリドンのアナログのレベルとなる。
別の実施形態において、熱傷部位で閾値の薬物濃度をもたらし維持するために、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤の非経口の又は非鼻腔の局所投与を介する患者の急性又は予防的な処置のための方法が提供される。1つの実施形態は、皮膚の瘢痕化の処置又は予防のために、影響を受けた組織に対する直接的な高濃度の薬物曝露をもたらす、エアロゾル投与の使用を含む。例えば、これら及び関連する実施形態によると、用語、エアロゾルは、スプレー、ミスト、又は他の有核の液体又は乾燥粉末の形態を含み得る。
別の実施形態において、熱傷部位で閾値の薬物濃度をもたらし維持するために、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤の非経口の又は非鼻腔の局所投与を介する患者の急性又は予防的な処置のための方法が提供される。1つの実施形態は、外科的な緑内障手術(例えば水疱線維症(bleb fibrosis))後の瘢痕化の処置又は予防のために、影響を受けた組織に対する直接的な高濃度の薬物曝露をもたらす、エアロゾル投与又は製剤の滴下の使用を含む。例えば、これら及び関連する実施形態によると、用語、エアロゾルは、スプレー、ミスト、又は他の有核の液体又は乾燥粉末の形態を含み得る。滴下は、単純液体又は懸濁液製剤でもよい。
別の実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えばピルフェニドン)は、吸入によって製剤され、ここで、(例えば、液体噴霧化又は定量の投与後の)吸入された液体エアロゾル又は乾燥粉末エアロゾルは、約1ミクロンから10ミクロンの空気動力学的質量中央粒の平均粒径、及び約3ミクロン以下の幾何学的標準偏差の粒径を有している。別の実施形態において、粒径は、2ミクロンから約5ミクロンの空気動力学的質量中央粒及び約3ミクロン以下の幾何学的標準偏差の粒径である。1つの実施形態において、幾何学的標準偏差の粒径は、約2ミクロン以下である。
限定しない例として、好ましい実施形態において、本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン)は、少なくとも約1分間、少なくとも約5分間、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも約1時間、少なくとも2時間、少なくとも約4時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、又は少なくとも1週間の間、肺の病状、疑われる肺の病状の部位、及び/又は肺の脈管構造への肺吸収の部位で、治療上有効な濃度のままである。有効なピルフェニドン又はピリドンのアナログ濃度は、治療効果をもたらすのに十分であり、効果は、肺の病状の部位へと局所化され得るか又は肺の病状の部位から広く作用し得る。
限定しない例として、好ましい実施形態において、吸入投与後の本明細書で提供されるようなピリドンのアナログの化合物(例えば、ピルフェニドン又はその塩)は、少なくとも約1分間、少なくとも約5分間、少なくとも10分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも約1時間、少なくとも2時間、少なくとも約4時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、又は少なくとも1週間の間、心臓線維症、腎線維症、肝線維症、心臓又は腎臓の毒性、又は多発性硬化症の脱髄症の部位で治療上有効な濃度のままである。有効なピルフェニドン又はピリドンのアナログ濃度は、治療効果をもたらすのに十分であり、効果は、肺外の病状の部位へと局所化され得るか又は肺外の病状の部位から広く作用し得る。
幾つかの実施形態において、肺の部位などの送達部位において、本明細書で提供されるようなピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤は、0.1、0.2、0.4、0.8、1、2、4、6、10、15、20、25、30、35、40、45、50ミリグラムなどのすべての整数値を含む、少なくとも約0.1mgから約50mgまでのピルフェニドン又はピリドンのアナログの毎日の呼吸に適した送達投与量を達成するように、1回以上の投与で投与される。幾つかの実施形態において、本明細書で提供されるようなピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤は、0.1、0.2、0.4、0.8、1、2、4、6、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300ミリグラムなどのすべての整数値を含む、少なくとも約0.1mgから約30mgまでのピルフェニドン又はピリドンのアナログの毎日の呼吸に適した送達投与量を達成するように、1回以上の投与で投与される。ピルフェニドン又はピリドンのアナログ製剤は、60分未満、50分未満、40分未満、30分未満、20分未満、15分未満、10分未満、7分未満、5分未満、3分未満、2分未満、1分未満、10回の吸息呼吸、8回の吸息呼吸、6回の吸息呼吸、4回の吸息呼吸、3回の吸息呼吸、2回の吸息呼吸又は1回の吸息呼吸で、記載された呼吸に適した送達投与量で投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ製剤は、1秒の吸息及び2秒の呼息、2秒の吸息及び2秒の呼息、3秒の吸息及び2秒の呼息、4秒の吸息及び2秒の呼息、5秒の吸息及び2秒の呼息、6秒の吸息及び2秒の呼息、7秒の吸息及び2秒の呼息、また8秒の吸息及び2秒の呼息の呼吸パターンを使用して、記載された呼吸に適した送達投与量で投与される。
幾つかの実施形態において、鼻腔又は洞などの送達部位において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤は、0.1、0.2、0.4、0.8、1、2、4、6、10、15、20、25、30、35、40、45、50ミリグラムなどのすべての整数値を含む、少なくとも約0.1mgから約50mgまでのピルフェニドン又はピリドンのアナログの毎日の鼻腔又は洞の沈殿した投与量を達成するように、1回以上の投与で投与される。幾つかの実施形態において、鼻腔又は洞などの送達部位において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤は、0.1、0.2、0.4、0.8、1、2、4、6、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300ミリグラムなどのすべての整数値を含む、少なくとも約0.1mgから約300mgまでのピルフェニドン又はピリドンのアナログの毎日の鼻腔又は洞の沈殿した投与量を達成するように、1回以上の投与で投与される。ピルフェニドン又はピリドンのアナログ製剤は、20分未満、15分未満、10分未満、7分未満、5分未満、3分未満、2分未満、1分未満、10回の鼻腔内の吸息呼吸、8回の鼻腔内の吸息呼吸、6回の鼻腔内の吸息呼吸、4回の鼻腔内の吸息呼吸、3回の鼻腔内の吸息呼吸、2回の鼻腔内の吸息呼吸又は1回の鼻腔内の吸息呼吸で、記載された鼻腔又は洞の沈殿した投与量で投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ製剤は、1秒の吸息及び2秒の呼息、2秒の吸息及び2秒の呼息、3秒の吸息及び2秒の呼息、4秒の吸息及び2秒の呼息、5秒の吸息及び2秒の呼息、6秒の吸息及び2秒の呼息、7秒の吸息及び2秒の呼息、8秒の吸息及び2秒の呼息の呼吸パターンを使用して、記載された呼吸に適した送達投与量で投与される。
上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、ヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、ILDを有するヒトである。幾つかの実施形態において、方法は、特発性肺線維症をさらに下位に分類する。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、ヒト被験体は、人工呼吸器を装着し得る。
ヒトが人工呼吸器を装着する実施形態において、エアロゾル投与は、装置でインライン装置(限定しない例によって、Nektar Aeroneb Pro)又は液体噴霧化のための装置を有する類似したアダプターを使用して行われる。エアロゾル投与はまた、乾燥粉末又は定量のエアロゾルの生成及び送達のためのインラインアダプターを使用して行われ得る。
上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、ヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、心臓線維症治療を必要とするヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、ヒト被験体は、人工呼吸器を装着し得る。
上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、ヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、腎線維症治療を必要とするヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、ヒト被験体は、人工呼吸器を装着し得る。
上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、ヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、肝線維症治療を必要とするヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、ヒト被験体は、人工呼吸器を装着し得る。
上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、ヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、心臓又は腎臓の毒性に対する治療を必要とするヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、ヒト被験体は、人工呼吸器を装着し得る。
上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、ヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、COPD治療を必要とするヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、ヒト被験体は、人工呼吸器を装着し得る。
上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、ヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、喘息治療を必要とするヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、ヒト被験体は、人工呼吸器を装着し得る。
上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、ヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、被験体は、多発性硬化症治療を必要とするヒトである。上に記載される方法の幾つかの実施形態において、ヒト被験体は、人工呼吸器を装着し得る。
別の実施形態において、医薬組成物は、約50mOsmol/kgから約6000mOsmol/kgの浸透圧を有している、上に記載されるようなカプセル化していない水溶性賦形剤を有する、単純液体ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤を含んで提供される。1つの実施形態において、浸透圧は、約50mOsmol/kgから約1000mOsmol/kgである。1つの実施形態において、浸透圧は、約400mOsmol/kgから約5000mOsmol/kgである。他の実施形態において、浸透圧は、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500mOsmol/kgから、約1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3200、3400、3600、3800 4000、4200、4400、4600、4800、5000、5200、5400、5600、5800及び6000mOsmol/kgまでである。浸透圧、及び本出願における他のいずれにおいても、定量値に言及するために使用されるときの「約(about)」は、所定量が、明示された数値の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は20パーセント、示された量より多く又は少なくなり得ることを意味する。
別の実施形態において、医薬組成物は、約30mMから約300mMまでの間、好ましくは50mMから200mMの間の浸透イオン濃度を有する単純液体ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤を含んで提供される。1つのこのような実施形態において、組成物中の1つ以上の浸透イオンは、塩化物及び臭化物から成る群から選択される。
別の実施形態において、医薬組成物は、約50mOsmol/kgから約6000mOsmol/kgまでの溶液浸透圧を有している、上に記載されるような、脂質、リポソーム、シクロデキストリン、マイクロカプセル化、及びエマルジョンなどの、水溶性賦形剤でカプセル化され複合化された、複合液体ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤を含んで提供される。1つの実施形態において、浸透圧は、約50mOsmol/kgから約1000mOsmol/kgである。1つの実施形態において、浸透圧は、約100mOsmol/kgから約500mOsmol/kgである。1つの実施形態において、浸透圧は、約400mOsmol/kgから約5000mOsmol/kgである。
別の実施形態において、医薬組成物は、約30mMから約300mMまでの浸透イオン濃度を有している、複合液体ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤を含んで提供される。1つのこのような実施形態において、組成物中の1つ以上の浸透イオンは、塩化物及び臭化物から成る群から選択される。
別の実施形態において、医薬組成物は、約50mMから約200mMまでの浸透イオン濃度を有している、複合液体ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤を含んで提供される。1つのこのような実施形態において、組成物中の1つ以上の浸透イオンは、塩化物及び臭化物から成る群から選択される。
別の実施形態において、医薬組成物は、約2つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物対約0.1から約4の多価カチオンの正電荷との間のピルフェニドン又はピリドンのアナログ対多価カチオンの正電荷モル比を有している、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤の単純液体の製剤を含んで提供される。限定しない例による、1つのマグネシウムイオン(2のカチオン正電荷)に対して2つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、1つのマグネシウムイオンに対して3つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、1つのマグネシウムイオンに対して4つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、及び2つのマグネシウムイオンに対して2つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物である。
予期しない発見は、二価のカチオン、限定しない例による、マグネシウムが、モル比依存性の方法で、ピルフェニドンの溶解時間を減少し、ピルフェニドンの水溶解度を増加させたことであった。この増加した飽和溶解性は、肺に対する予測される十分な量の吸入された液体噴霧化したピルフェニドンの送達を可能にしている。例によって、3つのマグネシウム分子に対する1つのピルフェニドン分子は、1つのマグネシウム分子に対する1つのピルフェニドン分子より遅い溶解時間及び低減された飽和溶解性を示した。さらに、1つのマグネシウム分子に対する1つのピルフェニドン分子は、ナトリウムに対するピルフェニドンの等モル比より速い溶解時間及び大きな水溶解度を示した。
別の実施形態において、医薬組成物は、約0.1から約4の多価カチオンの正電荷に対してピルフェニドン又はピリドンのアナログを有している、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤の複合液体製剤を含んで提供される。限定しない例による、1つのマグネシウムイオン(2のカチオン正電荷)に対して2つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、1つのマグネシウムイオンに対して3つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、1つのマグネシウムイオンに対して4つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、及び2つのマグネシウムイオンに対して2つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物である。
別の実施形態において、医薬組成物は、約50mOsmol/kgから約6000mOsmol/kgまでの溶液浸透圧を有している、上に記載されるような、単独での、又は共結晶/共沈殿の複合体、又は脂質のナノ懸濁液などの低い溶解度脂質を有する混合物における、低水溶性の安定したナノ懸濁液として、複合液体ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤を含んで提供される。1つの実施形態において、浸透圧は、約100mOsmol/kgから約500mOsmol/kgである。1つの実施形態において、浸透圧は、約400mOsmol/kgから約5000mOsmol/kgである。
別の実施形態において、医薬組成物は、約30mMから約300mMまでの浸透イオン濃度を有している、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤の複合懸濁液を含んで提供される。1つのこのような実施形態において、組成物中の1つ以上の浸透イオンは、塩化物及び臭化物から成る群から選択される。
別の実施形態において、医薬組成物は、約50mMから約200mMまでの浸透イオン濃度を有している、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤の複合懸濁液を含んで提供される。1つのこのような実施形態において、組成物中の1つ以上の浸透イオンは、塩化物及び臭化物から成る群から選択される。
別の実施形態において、医薬組成物は、約1つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物対約0.1から約4の多価カチオンの正電荷との間のピルフェニドン又はピリドンのアナログ対多価カチオンの正電荷モル比を有している、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤の複合懸濁液を含んで提供される。限定しない例による、1つのマグネシウムイオン(2のカチオン正電荷)に対して2つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、1つのマグネシウムイオンに対して3つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、1つのマグネシウムイオンに対して4つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、及び2つのマグネシウムイオンに対して2つのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物である。
他の実施形態において、本明細書で提供されるようなピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤、あるいは医薬組成物は、矯味剤を含んで提供される。限定しない例として、矯味剤は、砂糖、サッカリン(例えば、サッカリンナトリウム)、甘味料、あるいは味、後味、認識された不愉快な塩辛さ、酸味又は苦味に有益に影響を与える、又は(例えば、送達投与量を減少し得る又は処方された治療レジメンを有する患者のコンプライアンスに不利な影響を与え得るなど、咳嗽又は咽頭炎又は他の望まれない副作用を引き起こすことによって)レシピエントを刺激する、経口の又は吸入された製剤の傾向を減少させる、他の化合物又は薬剤を含み得る。特定の矯味剤は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物を含む複合体を形成し得る。
本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤に関連する特定の好ましい実施形態において、製剤は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物及び矯味剤を含み、所望の浸透圧、及び/又は最適化された浸透イオン濃度に関して最適化され得る。特定のこのような実施形態において、矯味剤は、サッカリン(例えば、サッカリンナトリウム)を含み、これは、限定しない理論に従って、溶液の検知可能な浸透圧に対する効果がほとんどない又は全くないかもしれないように、非常に低濃度で存在するときにさえ望ましい味覚効果を提供する、この矯味剤の能力に関係した特定の利点を与え、それによって、本明細書に記載される製剤は、耐性が優れた方法で、水溶液、有機製剤又は乾燥粉末製剤を送達することができる。特定のこのような実施形態において、矯味剤は、キレート剤(例えば、EDTA又はマグネシウムなどの二価カチオン)を含み、これは、限定しない理論に従って、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ上の味を刺激する化学部分を覆う(masking)ことによって、望ましい味の効果を提供するこの矯味剤の能力に関連した特定の利点を与える。二価カチオンとともに、矯味剤として含むことによって、浸透圧調整剤としての代用ともなり得、塩形態を保留する(pending)ことで、浸透イオン(例えば塩化マグネシウム)も提供され得、それによって、本明細書に記載される製剤は、耐性が優れた方法で、水溶液、有機製剤又は乾燥粉末製剤を送達することができる。これらの及び関連する実施形態の限定しない例は、約4から約8のpH及び(例えば、塩化ナトリウムで調節された)約50から約1000mOsmol/kgの浸透圧を有する水溶液を含む、本明細書に記載されるような肺送達のためのピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤を含み、該水溶液は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物及びサッカリンナトリウムを含み、ここで該水溶液は、約0.1mMから約2.0mMのサッカリンを含有する。関連する限定しない例は、約1mMから約100mMのクエン酸塩を含有する水溶液中でクエン酸塩(例えばクエン酸)をさらに含む。関連する限定しない例は、約0.0mMから約100mMのリン酸塩を含有する水溶液中でクエン酸塩をさらに含むか又はクエン酸塩をリン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム)と交換する。別の関連する限定しない例は、約0.5mMから約100mMのリン酸塩を含有する水溶液中でクエン酸塩をさらに含むか又はクエン酸塩をリン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム)と交換する。別の限定しない例によって、これらの及び関連する実施形態は、約4から約8のpH及び(例えば、塩化マグネシウムで調節された)約50から約5000mOsmol/kgの浸透圧を有する水溶液を含む、本明細書に記載されるような肺送達のためのピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤を含み、該水溶液は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物を含み、ここで、二価カチオン(例えば、ベリリウム(berilium)、マグネシウム又はカルシウム)は、浸透圧を調節するために、また矯味剤として機能する。矯味剤として含まれる場合、二価カチオン(例えば、マグネシウム)は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログとともに化学量的に加えられる。例えば、2molのピルフェニドン又はピリドンのアナログに対して1molの二価イオン、2molのピルフェニドン又はピリドンのアナログに対して1.5molの二価イオン、2molのピルフェニドン又はピリドンのアナログに対して2molの二価イオン、2molのピルフェニドン又はピリドンのアナログに対して3molの二価イオン又は2molのピルフェニドン又はピリドンのアナログに対して4molの二価イオンである。浸透圧をさらに増加させる必要がある場合、塩化ナトリウム又は付加的な二価塩が使用され得る。関連する限定しない例は、約1mMから約100mMのクエン酸塩を含有する水溶液中で、クエン酸塩(例えば、クエン酸)をさらに含む。関連する限定しない例のクエン酸塩は、約0.0mMから約100mMのリン酸塩を含有する水溶液中で、リン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム)と交換される。別の関連する限定しない例のクエン酸塩は、約0.0mMから約100mMのリン酸塩を含有する水溶液中で、リン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム)と交換される。
別の実施形態において、ピルフェニドンに対するマグネシウムの正確なモル比を含むことで、溶解時間が減少し、肺への十分な液体の噴霧化送達に必要なレベルまで飽和溶解度が増加するが、予期しない発見は、この製剤が、噴霧化した溶液の吸入後の急性の耐性のために矯味剤をさらに必要とするということであった。この目的のために、0.1と1.0マイクロモルの間のサッカリンは、この溶解度を可能にする製剤の使用を可能にする。
別の実施形態において、医薬組成物は、光分解を回避するために光から保護され得る。
限定しない例によって、これは、光保護されたバイアル、アンプル、ブリスター、カプセル又は他の有色の又は光保護された主要な包装によって生じ得る。別の限定しない例によって、これは、アルミニウムなどの副次的な包装又は他の光保護されたオーバーポーチ(over−pouch)、箱又は他の副次的な包装の使用によって生じ得る。
別の実施形態において、医薬組成物は、酸化から保護するために、酸素から保護され得る。限定しない例によって、溶液中で、これは、混合する(例えば、散布する)前に又はその間に溶液から酸素を取り除くことによって、及び/又は主要な包装のヘッドスペースガスを制御すること(例えば、ヘッドスペースにおけるアルゴン又は窒素などの不活性ガスの使用)によって生じ得る。同様に、別の限定しない例によって、含有された副次的な包装ガス(例えば不活性ガスを有する)の制御も必要とされ得る。粉末製剤に関して、これは、主要な包装及び/又は副次的な包装における挿入ガスの使用によって制御され得る。定量吸入された生成物は、溶液生成物に関して上に記載される手段と同じ手段によって恩恵を受け得る。
別の実施形態において、医薬組成物中のピルフェニドン又はピリドンのアナログは、カチオンの金属イオンを含むことで、加水分解から保護され得る。限定しない例によって、アミド結合の酸水解は、塩濃度が増加するにつれ減少する。具体的には、水和数は、この速度の減少に重要であり、それは、電解質の水化が反応に関する遊離水の利用可能性を減少させるからである。したがって、その速度は、塩及び水和数が増加するにつれ減少する。水和数を増加させる順番は、カリウム<ナトリウム<リチウム<マグネシウムである。速度減少はまた、イオン強度に略類似している。限定しない例によって、マグネシウムの追加は、ピルフェニドンの2−ピリドン構造を安定させる。ピルフェニドンは、1Fe(III)に対して3つのピルフェニドン分子の比率でFe(III)をキレート化することが知られている。このことから、ピルフェニドンは、1マグネシウム+2電荷に対して2つのピルフェニドン分子でマグネシウムをキレート化することになる。したがって、この目的のために、マグネシウム又は他のカチオンの金属イオンの追加は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの量と定比であり得る。限定しない例によって、0.1のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、0.25のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、0.5のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、0.75のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、1つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、1.5のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、2つのマグネシウム分子に対して2のピルフェニドン分子、3つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、4つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、5つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、6つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、7つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、8つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、9つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、10のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、12のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、14のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、16マグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、18マグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、又は20のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子である。カリウム、ナトリウム、リチウム又は鉄は、これらの比率よび医薬組成物においてマグネシウムの代わりとなり得る。上記の医薬組成物には、約4.0から約8.0までのpHでの、本明細書に記載される緩衝液の維持が含まれ、緩衝液は、300mOsmo/kg及び600mOsmo/kgの浸透圧を提供するレベルで、MgCl2又はそのカチオン塩を含む。300mOsmo/kgは、噴霧化した溶液中のこの吸入後の急性の耐性にとって重要なものとして文献で議論されているが、600mOsmo/kgは、他の薬液と十分に耐性があると未公開の研究において示されてきた。しかしながら、6000mOsmo/kgまでの最終溶液の浸透圧が熟考される。予測できなかったことに、本明細書に記載される製剤は、高い浸透圧で優れた耐性を実証している。
別の実施形態において、液体のピルフェニドン又はピリドンのアナログの医薬組成物は、溶解度促進剤又は共溶媒を含有し得る。限定しない例によって、これらは、エタノール、塩化セチルピリジニウム、グリセリン、レシチン、プロピレングリコール、ポリソルベート(ポリソルベート20、40、60、80及び85を含む)、ソルビタントリオレエートなどを含み得る。さらなる例によって、塩化セチルピリジニウムは、約0.01mg/mLから約4mg/mLの医薬組成物までで使用され得る。同様に、別の限定しない例によって、エタノールは、約0.01%から約30%の医薬組成物までで使用され得る。同様に、別の限定しない例によって、グリセリンは、約0.01%から約25%の医薬組成物までで使用され得る。同様に、別の限定しない例によって、レシチンは、約0.01%から約4%の医薬組成物までで使用され得る。同様に、別の限定しない例によって、プロピレングリコールは、約0.01%から約30%の医薬組成物までで使用され得る。同様に、別の限定しない例によって、ポリソルベートも、約0.01%から約10%の医薬組成物までで使用され得る。同様に、別の限定しない例によって、ソルビタントリオレエートは、約0.01%から約20%の医薬組成物までで使用され得る。
別の実施形態において、液体又は乾燥粉末ピルフェニドン又はピリドンのアナログの医薬組成物は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの溶解度及び/又は溶解を助けるために、キレート化された金属イオンを含有し得る。限定しない例によって、これらは、鉄、マグネシウム、又はカルシウムを含み得る。
別の実施形態において、液体又は乾燥粉末ピルフェニドン又はピリドンのアナログの医薬組成物は、活性酸素種の除去を助けるために、キレート化された金属イオンを含有し得る。限定しない例によって、これらは、鉄、マグネシウム、又はカルシウムを含み得る。限定しない例によって、この目的のために、マグネシウム又は他のカチオンの金属イオンの追加は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの量と定比であり得る。限定しない例によって、0.1のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、0.25のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、0.5のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、0.75のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、1つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、1.5のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、2つのマグネシウム分子に対して2のピルフェニドン分子、3つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、4つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、5つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、6つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、7つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、8つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、9つのマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、10のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、12のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、14のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、16のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、18のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子、又は20のマグネシウム分子に対して2つのピルフェニドン分子である。カリウム、ナトリウム、リチウム又は鉄は、これらの比率よび医薬組成物においてマグネシウムの代わりとなり得る。上記の医薬組成物には、約4.0から約8.0までのpHでの、本明細書に記載される緩衝液の維持が含まれ、緩衝液は、300mOsmo/kg及び600mOsmo/kgの浸透圧を提供するレベルで、MgCl2又はそのカチオン塩を含む。300mOsmo/kgは、噴霧化した溶液中のこの吸入後の急性の耐性にとって重要なものとして文献で議論されているが、600mOsmo/kgは、他の薬液と十分に耐性があると未公開の研究において示されてきた。しかしながら、5000mOsmo/kgまでの最終溶液の浸透圧が熟考される。
幾つかの実施形態において、本明細書には、ピルフェニドン; 水; リン酸緩衝液又はクエン酸緩衝液; 及び随意に塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムを含む医薬組成物が記載される。他の実施形態において、本明細書には、ピルフェニドン;水;緩衝液;及び塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリソルベート80、及び塩化エチルピリジニウム臭化物(あるいは塩化物)から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む医薬組成物が記載される。幾つかの実施形態において、緩衝液は、リン酸緩衝液である。他の実施形態において、緩衝液は、クエン酸緩衝液である。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、1mgから500mgのピルフェニドン、例えば5mg、10mg、15mg、25mg、37.5mg、75mg、100mg、115mg、150mg、190mg、220mg、又は500mgのピルフェニドンを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物の浸透圧は、約50mOsmo/kgと6000mOsmo/kgとの間である。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、サッカリン(例えば、ナトリウム塩)を随意に含む。本明細書に記載される医薬組成物の限定しない例は、実施例1の表1−1から表1−11に記載される医薬組成物のいずれか1つを含む。
ピルフェニドンの溶液は、溶液中のAPIが分解されやすいために、光から保護されたままであるはずである。
別の実施形態において、医薬組成物は、ラクトースなどの添加物を有して又は有さずに、乾燥粉末の形態で、単純な乾燥粉末ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物を単独で含んで提供される。
別の実施形態において、液体、乾燥粉末又は定量吸入装置において使用される医薬組成物は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログが塩形態でないように提供される。
別の実施形態において、医薬組成物は、ラクトースなどの添加物を有して又は有さずに、共結晶/共沈殿/スプレーの乾燥した複合体において、又は乾燥粉末形態で低い水溶性の賦形剤/塩を有する混合物において、複合乾燥粉末ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤を含んで提供される。
別の実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物を投与するためのシステムが提供され、該システムは、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤の溶液を含む容器、及び容器と物理的に結合又は共にパッケージ化され、約1ミクロンから約5ミクロンまでの平均質量の空気動力学的直径(mean mass aerodynamic diameter)の粒径、体積平均径(VMD)又は、質量中央径(MMD)及び約2.5ミクロン以下の平均質量の空気動力学的直径の幾何学的標準偏差の粒径を有している、溶液のエアロゾルを生成するのに適した噴霧器を含む。1つの実施形態において、幾何学的標準偏差の粒径は、約3.0ミクロン以下である。1つの実施形態において、幾何学的標準偏差の粒径は、約2.0ミクロン以下である。
別の実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物の乾燥粉末を投与するためのシステムが提供され、該システムは、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物を含む容器、及び容器に結合され、約1ミクロンから約5ミクロンまでの平均質量の空気動力学的直径の粒径及び約3.0ミクロン以下の標準偏差の粒径を有している、分散した乾燥粉末エアロゾルを生成するのに適した乾燥粉末吸入器を含む。1つの実施形態において、標準偏差の粒径は、約2.5ミクロン以下である。1つの実施形態において、標準偏差の粒径は、約2.0ミクロン以下である。
別の実施形態において、キットは、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物を含む医薬製剤を含む容器、及び医薬製剤をエアロゾル化し、それを口内の投与後に、下気道に、例えば、肺胞、肺胞管及び/又は細気管支などの肺コンパートメントに送達するのに適した、エアロゾライザー(aerosolizer)(例えば、特定の好ましい実施形態において、液体噴霧器)を含んで提供される。製剤はまた、乾燥粉末として又は定量吸入器を介して送達され得る。
別の実施形態において、キットは、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物を含む医薬製剤を含む容器、及び医薬製剤をエアロゾル化し、それを鼻腔内の投与後に、鼻腔に送達するのに適した、エアロゾライザー(例えば、特定の好ましい実施形態において、液体噴霧器)を含んで提供される。製剤はまた、乾燥粉末として又は定量吸入器を介して送達され得る。
多くの担体及び賦形剤が、同じ製剤内でさえ、いくらかの機能を果たし得ることを理解されたい。
熟慮された医薬組成物は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回などの投与を可能にする、治療上有効な量のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物を提供する。幾つかの実施形態において、吸入による送達のための医薬組成物は、1日1回の投与を可能にする、有効な量のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物を提供する。幾つかの実施形態において、吸入による送達のための医薬組成物は、1日2回の投与を可能にする、有効な量のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物を提供する。幾つかの実施形態において、吸入による送達のための医薬組成物は、1日3回の投与を可能にする、有効な量のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物を提供する。
前述の一般的な記載及び以下の詳細な説明の両方が、単に例示的及び説明的なものであり、請求されるような本発明を限定するものではないと理解されるべきである。
<特定の専門用語>
用語「mg」はミリグラムを指す。
用語「mcg」はマイクログラムを指す。
用語「microM」は、ミクロモルを指す。
用語「QD」は、1日1回の投与を指す。
用語「BID」は、1日2回の投与を指す。
用語「TID」は、1日3回の投与を指す。
用語「QID」は、1日4回の投与を指す。
本明細書で使用されるように、用語「約(about)」は、用語「およそ(approximately)」と同義的に使用される。説明的に、特定の治療上有効な薬量に関する用語「約」の使用は、引用された値とはわずかに異なるその値、例えば、有効且つ安全でもある、±0.1%から±10%を示す。
本明細書で使用されように、用語「含む(comprising)」、「含む(inclusding)」、「など(such as)」、及び「例えば(for example)」は、広い、限定しない意味で使用される。
用語「投与(administration)」又は「投与する(administering)」及び「送達(delivery)」又は「送達(delivery)」は、例えば、抗炎症性、抗線維症性及び/又は抗脱髄症性の医薬組成物として、又は他の目的のために、本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤などの、治療上の又は予防的な製剤の投与量を哺乳動物に与える方法を指す。好ましい送達方法又は投与の方法は、様々な因子、例えば、医薬組成物の成分、製剤が導入される、送達される又は投与される所望の部位、治療効果が求められる部位、あるいは下流の罹病器官への最初の送達(例えば、心臓、腎臓、肝臓、中枢神経系又は他の病気にかかった場所への吸収及び第2の送達のための肺へのエアロゾル送達)の部位の近さによって変わり得る。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、経肺投与によって投与される。
用語「経肺投与(pulmonary administration)」、「吸入(inhalatio)」又は「肺送達(pulmonary delivery)」又は「経口吸入(oral inhalation)」又は「鼻腔内吸入(intranasal inhalation)」及び他の関連語は、所望の治療上の又は予防的な薬剤が哺乳動物の肺に送達されるような経路によって、本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤などの、治療上の又は予防的な製剤の投与量を哺乳動物に与える方法を指す。肺へのこのような送達は、鼻腔内投与、経口吸入投与によって生じ得る。これらの投与経路の各々は、本明細書に記載される製剤のエアロゾルの吸入として生じ得る。幾つかの実施形態において、経肺投与は、人工呼吸器によって本明細書に記載されるエアロゾルを受動的に送達することによって生じる。
用語「鼻腔内吸入投与(intranasal inhalation administration)」及び「鼻腔内吸入送達(intranasal inhalation delivery)」は、製剤が、鼻腔を通った哺乳動物の肺における直接の治療上の製剤の送達及び吸収を標的としているような経路によって、本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤などの、治療上の又は予防的な製剤の投与量を哺乳動物に与える方法を指す。いくつかの実施形態において、鼻腔内吸入投与は、噴霧器によって行われる。
用語「鼻腔内投与(intranasal administration)」及び「鼻腔内送達(intranasal delivery)」は、所望の治療上の又は予防的な薬剤が鼻腔又は下流の罹病器官に送達される(例えば、中枢神経系又は他の病気にかかった場所への吸収及び第2の送達のための鼻腔へのエアロゾル送達)ような経路によって、本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤などの、治療上の又は予防的な製剤の投与量を哺乳動物に与える方法を指す。鼻腔へのこのような送達は、鼻腔内投与によって生じ得、ここで、この投与経路は、本明細書に記載される製剤のエアロゾルの吸入、本明細書に記載される製剤のエアロゾルの注入、本明細書に記載される製剤の経管栄養、又は人工呼吸器による受動的な送達として生じ得る。
用語「眼内投与(intraoccular administration)」及び「眼内送達(intraoccular delivery)」は、所望の治療上の又は予防的な薬剤が眼に送達されるような経路によって、本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤などの、治療上の又は予防的な製剤の投与量を哺乳動物に与える方法を指す。眼へのこのような送達は、眼への直接的な投与によって生じ得る。この投与経路は、本明細書に記載される製剤のエアロゾルのスプレー、本明細書に記載される製剤のエアロゾルの注入、又は本明細書に記載される製剤の滴下として生じ得る。
「経口投与(Oral administration)」又は「経口で(orally)」又は「経口の(oral)」は、物質(例えば、医薬組成物)が口腔を通って得られる投与経路である。幾つかの実施形態において、それは、任意のさらなる記載なしで使用されるとき、物質の口腔を通る消化管への直接的な投与を指す。経口投与は、一般に、錠剤、丸剤、カプセル剤、及び溶液などの多くの形態を含む。
用語「経口吸入投与(oral inhalation administration)」又は「経口吸入送達(oral inhalation delivery)」又は「経口吸入(oral inhalation)」は、哺乳動物の肺への直接的な製剤の送達及び吸収のための口腔を通って、本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログ(又はその塩)の化合物製剤などの、治療上の又は予防的な製剤の投与量を哺乳動物に与える方法を指す。幾つかの実施形態において、経口吸入投与は、噴霧器の使用によって行われる。
用語「異常肝機能(abnormal liver function)」は、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、ビリルビン、及び/又はアルカリフォスファターゼを含む、肝機能のバイオマーカーのレベルで異常として明らかになり得、薬剤誘発性肝障害の指標であり得る。FDA Draft Guidance for Industry.Drug−Induced Liver Injury: Premarketing Clinical Evaluation,October 2007を参照。
「グレード2の肝機能異常(Grade 2 liver function abnormalities)」は、正常上限(ULN)の2.5倍を超える及び5倍以下の、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アルカリフォスファターゼ(ALP)、又はガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の上昇を含む。グレード2の肝機能異常はまた、ULNの1.5倍を超える及び3倍以下のビリルビンレベルの上昇を含む。
「胃腸の有害事象(Gastrointestinal adverse events)」は、限定されないが、以下のいずれか1つ以上を含む:消化不良、吐き気、下痢、胃食道逆流性疾患(GERD)及び嘔吐。
「担体」又は「賦形剤」は、化合物の投与を促進するために、例えば、化合物の溶解度を増加させるために使用される化合物又は物質である。固体担体は、例えば、スターチ、ラクトース、リン酸ジカルシウム、スクロース、及びカオリンを含む。液体担体は、例えば、滅菌水、生理食塩水、緩衝液、非イオン性の界面活性剤、及び油、ピーナッツ及び胡麻油などの食用油を含む。さらに、当該技術分野で一般に使用されるような様々なアジュバントが含まれ得る。これら及び他のこのような化合物は、文献、例えば、Merck Index, Merck & Company, Rahway, NJに記載されている。医薬組成物中の様々な成分の含有物の考察は、例えば、Gilman et al. (Eds.) (1990); Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Ed., Pergamon Pressに記載される。
本明細書に使用されるような「診断(diagnostic)」は、健康又は疾患の状態の識別及び特徴づけを助ける化合物、方法、システム又は装置である。診断は、当該技術分野で知られているように、標準アッセイにおいて使用され得る。
「患者」又は「被験体」は、交換可能に使用され、哺乳動物を指す。
用語「哺乳動物」は、その通常の生物学的意味で使用される。幾つかの実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。
用語「エキソビボ(ex vivo)」は、有機体以外の人工環境における生体組織中又は生体組織上で行われる実験又は操作を指す。
用語「薬学的に許容可能な担体」又は「薬学的に許容可能な賦形剤」は、任意の及びすべての溶媒、分散媒、被膜剤、抗菌性及び殺菌性の薬剤、等張剤及び吸収を遅らせる薬剤(absorption delaying agents)などを含む。薬学的に活性な物質に関するこのような培地及び薬剤の使用は、当該技術分野に周知である。任意の従来の培地又は薬剤が活性成分と適合できない場合を除いて、治療上の組成物におけるその使用が熟考される。補足的な活性成分も組成物に組み込まれ得る。
用語「薬学的に許容可能な塩」は、本発明の化合物の生物学的効果及び特性を保持する塩を指し、これは生物学的に又は他の方法で望ましくないわけではない(not biologically or otherwise undesirable)。多くの場合、本発明の化合物は、アミノ基及び/又はカルボキシル基又はそれに類似した基の存在によって酸及び/又は塩基(base salts)を形成することができる。薬学的に許容可能な酸付加塩は、無機酸と有機酸によって形成することができる。塩に由来し得る無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。塩に由来し得る有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、ナフトエ酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモン酸(エンボン酸)、ステアリン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコペプトン酸、グルクロン酸、乳酸、ラクトビオン酸、酒石酸、安息香酸、珪皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む。薬学的に許容可能な塩基付加塩は、無機塩基及び有機塩基によって形成することができる。塩に由来し得る無機塩基は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどを含み、特に、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム塩が好ましい。塩に由来し得る有機塩基は、例えば、第一級、第二級、及び第三級のアミン、自然発生の置換されたアミンを含む置換されたアミン、環状アミン、塩基性のイオン交換樹脂、特に、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、ベネタミン、N−メチル−グルカミン、及びエタノールアミンなどを含む。他の酸は、ドデシル硫酸(dodecylsufuric acid)、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、及びサッカリンを含む。
用語「pHを低下させる酸(pH−reducing acid)」は、本発明の化合物の生物学的効果及び特性を保持する酸を指し、これは生物学的に又は他の方法で望ましくないわけではない。薬学的に許容可能なpHを低下させる酸は、例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸を含む。限定しない例によってまた、pHを低下させる酸はまた、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、ナフトエ酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモン酸(エンボン酸)、ステアリン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコペプトン酸、グルクロン酸、乳酸、ラクトビオン酸、酒石酸、安息香酸、珪皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸を含み得る。
特定の本明細書に開示される実施形態によると、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤は、酸性の賦形剤水溶液として典型的に存在する「酸性の賦形剤」を含み得る。例は、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、プロピオン酸塩及びソルビン酸塩などの酸塩類、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、フォスフィン酸、リン酸モノエステル、及びリン酸ジエステルなどの有機酸、及び/又は1〜12の炭素原子、クエン酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、及びトリクロロ酢酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メチルホスホン酸、メチルホスフィン酸、ジメチルホスフィン酸、及びホスホン酸モノブチルエステルを含む他の有機酸、を含み得る。
「緩衝液」は、pHを調節するために機能する化合物を指す。特定の関連する実施形態において、pH緩衝液は、「およその(about)」詳述されたpH値であるpHを維持するための条件下及び十分な量で存在する。「およその」このようなpHは、その緩衝液の機能的な存在を指し、これは、当該技術分野で知られているように、緩衝液のpKa値、緩衝液濃度、加工温度、pKa(すなわち、緩衝液が、プロトン化された形態と脱プロトンされた形態との間の平衡状態であるpH(典型的には、pH値の有効な緩衝の範囲の中心))に対する組成物の他の成分の効果を含む様々な因子、及び他の因子の結果であり得る。
故に、pHとの文脈での「およその」は、0.5のpH単位以下、より好ましくは0.4のpH単位以下、より好ましくは0.3のpH単位以下、さらにより好ましくは0.2のpH単位以下、最も好ましくは0.1−0.15のpH単位以下による詳述された値より大きく又は小さくなり得る、pHの量的変異を表わすと理解され得る。上に示されるように、特定の実施形態において、略一定のpH(例えば、長期間の間、詳述された範囲内で維持されるpH)は、pH約4.0からpH約8.0、pH約4.0からpH約7.0、又はpH約4.0からpH約6.8、又は本明細書に記載されるような任意の他のpH又はpH範囲であり得、これは、好ましい実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤に関してpH約4.0からpH約8.0であり得、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の水溶液に関してpH8.0よりも大きくなり得る。
それ故、pH緩衝液は、典型的に、適切な条件下及び十分な量で存在するときに、当該技術分野に精通している当業者によって選択され得るような所望のpHレベルを維持することができる組成物、例えば、クエン酸塩、ギ酸塩、リンゴ酸塩、ギ酸塩、ピリジン、ピペラジン、スクシナート、ヒスチジン、マレイン酸塩、ビス−トリス、ピロリン酸塩、PIPES、ACES、ヒスチジン、MES、カコジル酸、H2CO3/NaHCO3及びN−(2−アセトアミド)−2−イミノ二酢酸(ADA)を含む緩衝液、あるいは本明細書の開示に基づいて、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の所望の生物学的又は薬理学的活性を維持、保存、増強、保護、あるいは促進するための他の緩衝液を含み得る。適切な緩衝液は、表1又は当該技術分野に公知の緩衝液を含み得る(例えば、Calbiochem(登録商標)Biochemicals & Immunochemicals Catalog 2004/2005, pp. 68−69 及びそこに引用されるカタログページ、EMD Biosciences, La Jolla, CAを参照)。
本明細書に開示される特定の実施形態に従って使用され得る緩衝液の限定しない例は、限定されないが、ギ酸塩(pKa 3.77)、クエン酸(pKa2 4.76)、リンゴ酸塩(pKa2 5.13)、ピリジン(pKa 5.23)、ピペラジン((pKa1)5.33)、スクシナート((pKa2)5.64)、ヒスチジン(pKa 6.04)、マレイン酸塩((pKa2)6.24)、クエン酸((pKa3)6.40)、ビス−トリス(pKa 6.46)、ピロリン酸塩((pKa3)6.70)、PIPES(pKa 6.76)、ACES(pKa 6.78)、ヒスチジン(pKa 6.80)、MES(pKa 6.15)、カコジル酸(pKa 6.27)、H2CO3/NaHCO3(pKa1)(6.37)、ADA(N−(2−アセトアミド)−2−イミノ二酢酸)(pKa 6.60)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、クエン酸緩衝液又はリン酸緩衝液を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、クエン酸緩衝液を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に開示される医薬組成物は、リン酸緩衝液を含む。
「溶媒和物」は、溶媒と、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、代謝物、又はその塩との相互作用によって形成される化合物を指す。適切な溶媒和物は、水和物を含む、薬学的に許容可能な溶媒和物である。
「治療上有効な量」又は「薬学的に有効な量」によって、治療効果を有する、本発明に関して開示されるような、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物が意図される。処置に有用なピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の投与量は、治療上有効な量である。したがって、本明細書に使用されるように、治療上有効な量は、臨床治験結果及び/又はモデル動物の肺線維症、心臓線維症、腎線維症、肝線維症、心臓又は腎臓の毒性、多発性硬化症、COPD又は喘息によって判断されるような所望の治療効果を生む、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物のそれらの量を意味する。具体的な実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、予め決められた投与量で投与され、したがって、治療上有効な量は、投与された投与量の量となる。この量及びピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の量は、当業者によって慣例的に決定され得、線維症性、炎症性、脱髄症性の損傷に対する治療上の又は予防的な効果が生まれるかなどの様々な因子、及びその疾患部位が、最初の吸入されたエアロゾル投与量を受ける最初の呼吸の位置からどれくらい離れているかによって変わる。この量はさらに、患者の身長、体重、性別、年齢及び病歴による。予防的処置に関して、治療上有効な量は、線維症性、炎症性又は脱髄症性の傷害を予防するのに有効となるであろう量である。
「治療効果」は、ある程度まで、炎症、線維症及び/又は脱髄症に関係する症状の1つ以上を軽減する。これは、さらなる炎症、線維症及び/又は脱髄症の進行を遅らせる、それらを予防する又は低減することを含む。IPFに関して、「治療効果」は、患者によって報告された生活の質の改善及び/又は統計的に有意な、運動負荷試験及び関係する血液酸素飽和度の増加又は安定化、ベースラインの強制肺活量の衰退の低下、急性増悪の発症の減少、無増悪生存率の増加、寿命(time−to−death)の増加又は疾患の改善、及び/又は肺線維症の減少として定義される。心臓の線維症に関して、「治療効果」は、患者によって報告された生活の質の改善及び/又は統計的に有意な、心臓機能の改善、線維症の減少、心臓の硬直の低減、弁狭窄の低減又は逆転、不整脈の発症の減少、及び/又は心房又は心室のリモデリングの低減として定義される。腎線維症に関して、「治療効果」は、患者によって報告された生活の質の改善及び/又は糸球体濾過率(glomular filtration rate)及び関係するマーカーの統計的に有意な改善として定義される。肝線維症に関して、「治療効果」は、患者によって報告された生活の質の改善及び/又は統計的に有意な、アミノトランスフェラーゼ(例えばAST及びALT)、アルカリフォスファターゼ、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、ビリルビン、プロトロンビン時間、グロブリンの上昇の低下に加え、血小板減少症、白血球減少症及び好中球減少症及び凝固障害の逆転として定義される。さらに、画像、内視鏡又は他の病理の所見の潜在的な逆転。COPDに関して、「治療効果」は、患者によって報告された生活の質の改善及び/又は統計的に有意な、運動能力及び関係する血液酸素飽和度の改善、FEV1及び/又はFVC、同様の、無増悪生存の進行の遅延又は停止、寿命の増加又は疾患の改善、及び/又は急性増悪の発症の減少として定義される。喘息に関して、「治療効果」は、患者によって報告された生活の質の改善及び/又は統計的に有意な、運動能力の改善、FEV1及び/又はFVCの改善、及び/又は急性増悪の発症の減少として定義される。多発性硬化症に関して、「治療効果」は、患者によって報告された生活の質の改善及び/又は統計的に有意な、Scripps Neurological Rating Scaleスコアの改善、膀胱機能不全の改善、Disability Status Socresの改善、MRI病変計算、及び/又は、疾患の進行の遅延又は停止として定義される。
「処置する(treat)」、「処置(treatment)」、又は「処置すること(treating)」は、本明細書に使用されるように、治療目的のために医薬組成物を投与することを指す。幾つかの実施形態において、処置することは、疾患又は疾病の少なくとも1つの症状を軽減する、和らげる、又は改善する、任意のさらなる症状が生じるのを防ぐ、疾患又は疾病の少なくとも1つの現在の症状の進行を阻止する、疾患又は疾病の症状の少なくとも1つを取り除く、疾患又は疾病の退行を引き起こす、疾患又は疾病によって引き起こされた疾病を取り除く、又は疾患又は疾病の症状を停止することを指す。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される組成物は、予防的処置に使用される。用語「予防的処置」は、まだ病気にかかっていないが、特定の疾患にかかりやすい、又はさもなければそのリスクのある、又は病気にかかっているが、本明細書に記載される医薬組成物によって処置される間に症状が悪化しない患者を処置することを指す。用語「治療上の処置」は、疾患に既に苦しむ患者に対する処置を施すことを指す。したがって、好ましい実施形態において、処置することは、治療上有効な量のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の(治療上の又は予防的な目的のための)哺乳動物への投与である。
「処置する」、「処置」、又は「処置すること」は、本明細書に使用されるように、予防的な及び/又は治療上の目的のために医薬組成物を投与することを指す。用語「予防的処置」は、まだ病気にかかっていないが、特定の疾患にかかりやすい、又はさもなければそのリスクのある患者を処置することを指す。用語「治療上の処置」は、疾患に既に苦しむ患者に対する処置を施すことを指す。したがって、好ましい実施形態において、処置することは、治療上有効な量のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の(治療上の又は予防的な目的のための)哺乳動物への投与である。
用語「投与間隔」は、複数の投与レジメン中の医薬品の2回の連続する投与量の投与間の時間を指す。
「呼吸に適した送達投与量(respirable delivered dose)」は、5ミクロン以下である、呼吸シミュレーターの吸気相中に吸入されたエアロゾル化されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物粒子の量である。
本明細書に使用されるような「肺沈着」は、肺の内部表面に沈着する少量の名目上の用量の医薬品有効成分(API)を指す。
「名目上の用量」、又は「充填された用量(loaded dose)」は、哺乳動物への投与前に噴霧器に入れられる薬物の量を指す。名目上の用量を含有している溶液の量は、「充填容量(fill volume)」と呼ばれる。
「増強された薬物動態学的特性」は、幾つかの薬物動態学的パラメータの改善を意味する。改善され得る薬物動態学的パラメータは、AUClast、AUC(0−∞)、Tmax、及び随意にCmaxを含む。幾つかの実施形態において、増強された薬物動態学的特性は、1つのタイプの吸入装置によって投与された名目上の用量の医薬品有効成分(API)のために得られた薬物動態学的パラメータを、同じ医薬品有効成分(API)の組成物の経口投与によって得られた同じ薬物動態学的パラメータと比較することによって定量的に測定され得る。
「血漿濃度」は、被験体又は患者集団の血液の血漿成分中の、医薬品有効成分の濃度を指す。
「呼吸器の疾病」は、本明細書に使用されるように、限定されないが、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、慢性気管支炎、気腫、又は喘息を含む、気道において肉体的に明らかとなる疾患又は疾病を指す。
「噴霧器」は、本明細書に使用されるように、医薬、組成物、製剤、懸濁剤、及び混合物などを、肺への送達のための霧状のミスト又はエアロゾルへと変える装置を指す。噴霧器はまた、アトマイザーとも呼ばれ得る。
「薬物吸収」又は単に「吸収」は、典型的に、薬物(例えば、肺胞の肺毛細管ベッドに吸収されている薬物)の送達の部位から障壁をこえて、血管又は作用の部位への薬物の移動のプロセスを指す。
<ピルフェニドン及びピリドンのアナログの化合物>
本明細書の他のところにも示されるように、好ましい実施形態において、本明細書に記載されるようなピリドン化合物の製剤に使用するためのピリドン化合物は、ピルフェニドン(5−メチル−1−フェニル−2−(1H)−ピリドン)又はその塩を含む。様々な実施形態は、ピルフェニドンの使用とともに記載されているが、他のピリドンのアナログの化合物、又はその塩が、ピルフェニドンの代わりに使用され得ることが留意される。
ピルフェニドンはまた、5−メチル−1−フェニル−2−(1H)−ピリドンとして知られ、以下の構造を有している:
「ピリドンのアナログ」又は「ピリドン化合物」は、ピルフェニドンと同じ種類の生物活性及び有効性を有している化合物を指す。このようなピリドンのアナログの化合物は、哺乳動物への投与後に、治療上の又は予防的な目的のために、抗炎症性、抗線維症性及び/又は脱髄症性の活性をもたらす化合物である。幾つかの実施形態において、ピリドンのアナログは、置換された2−(1H)ピリドン又は3−(1H)ピリドンのコア構造を有する化合物である。幾つかの実施形態において、ピリドンのアナログは、置換された2−(2h)ピリドンのコア構造を有する化合物である。
1−フェニル−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(4−メチルフェニル)−2−(1H)−ピリドン、5−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(1H)−ピリドン、5−メチル−1−(4−メトキシフェニル)−2−(1H)−ピリドン、5−メチル−1−(2’−ピリジル)−2−(1H)ピリドン、6−メチル−1−フェニル−3−(1H)ピリドン、6−メチル−1−フェニル−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−p−トリル−3−(1H)ピリドン、5−メチル−3−フェニル−1−(2’−チエニル)−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(2’−ナフチル)−3−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(2’−ナフチル)−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−フェニル−3−(1H)ピリドン、5−メチル−1−p−トリル−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(1’ナフチル)−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(5’−キノリル)−3−(1H)ピリドン、5−エチル−1−フェニル−2−(1H)ピリドン、5−エチル−1−フェニル−3−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(5’−キノリル)−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(4’−メトキシフェニル)−3−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(4’−キノリル)−2−(1H)ピリドン、4−メチル−1−フェニル−3−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(4’−ピリジル)−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(3’−ピリジル)−3−(1H)ピリドン、3−メチル−1−フェニル−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(4’−メトキシフェニル)−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(2’−チエニル)−3−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(2’−ピリジル)−3−(1H)ピリドン、1,3−ジフェニル−2−(1H)ピリドン、1,3−ジフェニル−5−メチル−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(2’−キノリル)−3−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(3’−トリフルオロメチルフェニル)−2−(1H)ピリドン、1−フェニル−3−(1H)ピリドン、1−(2’−フリル)−5−メチル−3−(1H)−ピリドン、3−エチル−1−フェニル−2−(1H)ピリドン、1−(4’−クロロフェニル)−5−メチル(1H)ピリドン、5−メチル−1−(3’−ピリジル)−2−3−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(3−ニトロフェニル)−2−(1H)ピリドン、3−(4’−クロロフェニル)−5−メチル−1−フェニル−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(2’−チエニル)−2−(1H)ピリドン、5−メチル−1−(2’−チアゾリル)−2−(1H)ピリドン、3,6−ジメチル−1−フェニル−2−(1H)ピリドン、1−(4’クロロフェニル)−5−メチル−2−(1H)ピリドン、1−(2’−イミダゾリル)−5−メチル−2−(1H)ピリドン、1−(4’−ニトロフェニル)−2−(1H)ピリドン、1−(2’−フリル)−5−メチル−2−(1H)ピリドン、1−フェニル−3−(4’−クロロフェニル)−2−(1H)ピリドン。
幾つかの実施形態において、ピリドンのアナログの化合物は、米国特許公開番号US20090005424;米国特許公開番号20070092488;米国特許第8,022,087号;米国特許第6,090,822号;米国特許第5,716,632号;米国特許第5,518,729号;米国特許第5,310,562号;米国特許第4,052,509号;米国特許第4,042,699号;米国特許第3,839,346号;又は米国特許第3,974,281号に記載される化合物であり;その各々はそのような化合物についての参照により本明細書に組み込まれる。
幾つかの実施形態において、ピリドンのアナログの化合物は、米国特許公開番号US20140107110;米国特許公開番号20140094456;又はWO/2014055548に記載される化合物であり;その各々はそのような化合物についての参照により本明細書に組み込まれる。
幾つかの実施形態において、ピリドンのアナログの化合物はITMN−30162、又はその薬学的に許容可能な塩である。
幾つかの実施形態において、ピリドンのアナログは、ピルフェニドンの1つ以上の水素原子が重水素で置換された、重水素化されたピルフェニドン化合物である。
本明細書に記載される組成物及び方法の特定の他の異なる実施形態によって、ピリドン化合物は、ビス(2−ヒドロキシエチル)アザンイウム;2−(3,5−ジヨード−4−オキソピリジン−1−イル)酢酸、プロピル2−(3,5−ジヨード−4−オキソピリジン−1−イル)酢酸、2−[3−[4−(3−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]プロピル][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−オン 塩酸塩]、2−[3−[4−(3−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]プロピル]―[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−オン、3−アニリノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−[3−[4−(3−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]プロピル]―[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−オン 塩酸塩、2−[3−[4−(3−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]プロピル]―[1,2,4]トリアゾロ[4,3a]ピリジン−3−オン,2S)−2−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)プロパン酸、2−[3−[4(3−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]プロピル]―[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−オン、2−[3−[4−(3−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]プロピル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−オン 塩酸塩、2−[3−[4−(3−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]プロピル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−オン 塩酸塩、(2S)−2−[(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)アミノ]プロパン酸、2−[3−[4−(3−クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]プロピル]―[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−オン 塩酸塩、2−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)プロパン酸、2−[3−[4−(3クロロフェニル)ピペラジン−1−イル]プロピル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−オン 塩酸塩、プロピル2−(3,5−ジヨード−4−オキソピリジン−1−イル)酢酸、2−(3,5−ジヨード−4−オキソピリジン−1−イル)酢酸;2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)エタノール、(2S)−2−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)プロパン酸、(2R)−2−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)プロパン酸、2−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)プロパン酸、5−シアノ−6−メチル−N−[4(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−5−ニトロ−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(1−ブトキシビニル)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシアミド、5−アセチル−6−メチル−N−[4−(メチルスルフォニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−[(1E)−N−メトキシエタンイミドイル]−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−[(1E)−N−ヒドロキシエタンイミドイル]−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−5−(ピリジン−3−イルエチニル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−5−(2−ピリジン−3−イルエチニル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−ビニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、エチル2−メチル−5−({[4−(メチルスルホニル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−6−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸塩、5−(4−メタンスルホニル−ベンジルカルバモイル)−2−メチル−6−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸、6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボン酸 5−ジメチルアミド 3−(4−メタンスルホニル−ベンジルアミド)、6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボン酸 5−アミド 3−(4−メタンスルホニル−ベンジルアミド)、6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボン酸 3−(4−メタンスルホニル−ベンジルアミド)5−メチルアミド、6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボン酸 5−[(2−ヒドロキシ−エチル)−メチル−アミド]3−(4−メタンスルホニル−ベンジルアミド)、6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボン酸 3−(4−メタンスルホニル−ベンジルアミド)5−(メチル−プロピル−アミド)、6−メチル−2−オキソ−5−(ピロリジン−1−カルボニル)−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボン酸 3−(4−メタンスルホニル−ベンジルアミド)、6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボン酸 5−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−アミド]3−(4−メタンスルホニル−ベンジルアミド)、5−((2R)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 3−(4−メタンスルホニル−ベンジルアミド)、5−(3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボニル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボン酸 3−(4−メタンスルホニル−ベンジルアミド)、N3−[(1,1−ジオキシド−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾチエン−5−イル)メチル]−N5、N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、5−(N1−アセチル−ヒドラジノカルボニル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、5−[N1−(2−シアノ−アセチル)−ヒドラジノカルボニル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、5−{[2−(アミノカルボノチオイル)ヒドラジノ]カルボニル}−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−ヒドラジノカルボニル−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、5−({2−[(エチルアミノ)カルボニル]ヒドラジノ}カルボニル)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−({2−[(N,N−ジメチルアミノ)カルボニル]ヒドラジノ}カルボニル)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(3,3−ジメチル−ウレイド)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、6−メチル−5−(3−メチル−ウレイド)−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−5−ウレイド−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、5−アミノ−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−5−プロピオニル−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−ホルミル−6−メチル−N−[4−(メチルスルフォニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−5−(3−オキソブチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−アセチル−N−[4−(イソプロピルスルホニル)ベンジル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−アセチル−1−(3−シアノ−フェニル)−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニルーベンジルアミド、5−アセチル−1−(3−クロロ−フェニル)−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、5−アセチル−6−メチル−2−オキソ−1−m−トリル−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、5−(1−ヒドロキシエチル)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(1−アジドエチル)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−5−(1−モルホリン−4−イルエチル)−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(1−ヒドロキシプロピル)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(1−ヒドロキシエチル)−N−[4−(イソプロピルスルホニル)ベンジル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カル
ボキサミド、N−[4−(シクロプロピルスルホニル)ベンジル]−5−ホルミル−6−メチル−2−オキソ 1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−[(E)−(メトキシイミノ)メチル]−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(ヒドロキシメチル)−6−メチル−N−[4−(メチルスルフォニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−[(ジメチルアミノ)メチル]−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−5−[(メチルアミノ)メチル]−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ 1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−5−(モルホリン−4−イルメチル)−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−{[(2−フリルメチル)アミノ]メチル}−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−[(シクロプロピルアミノ)メチル]−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−{[(2−ヒドロキシプロピル)アミノ]メチル}−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−[(シクロペンチルアミノ)メチル]−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−{[(2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ]メチル}−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−5−(ピロリジン−1−イルメチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−{[メトキシ(メチル)アミノ]メチル}−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−{[(シアノメチル)アミノ]メチル}−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−{[(シクロプロピルメチル)アミノ]メチル}−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−[(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)メチル]−6−メチル−N―[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(2−ヒドロキシエトキシ)−N−[4−(イソプロピルスルホニル)ベンジル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、2−メチル−5−({[4−(メチルスルホニル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−6−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル酢酸、5−メトキシ−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(3−メトキシプロポキシ)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、2−メチル−5−({[4−(メチルスルホニル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−6−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル メタンスルホン酸、5−エトキシ−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(2−ヒドロキシエトキシ)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(シアノメトキシ)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、2−({2−メチル−5−({[4−(メチルスルホニル)ベンジル]アミノ}カルボニル)−6−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル}オキシ)酢酸エチル、5−[2−(ジメチルアミノ)−2−オキソエトキシ]−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(2−アミノエトキシ)−N−[4−(イソプロピルスルホニル)ベンジル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(アセチルアミノ)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、N−[4−(イソプロピルスルホニル)ベンジル]−6−メチル−5−[3−(メチルアミノ)プロポキシ]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(1−メトキシエチル)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(2−ブロモ−1−メトキシエチル)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(1−イソプロポキシエチル)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(N1−イソブチリル−ヒドラジノカルボニル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、N5−メトキシ−6−メチル−N3−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロ ピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5−メトキシ−N5,6−ジメチル−N3−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、5−[(2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)カルボニル]−6−メチル−N−[4−(メチルスルフォニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−N3−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−N5−ピロリジン−1−イル−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−5−(ピペリジン−1−イルカルボニル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−N3−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−N5−モルホリン−4−イル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、6−メチル−5−[(4−メチルピペリジン−1−イル)カルボニル]−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−N3−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−N5−ピペリジン−1−イル−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5−(tert−ブチル)−N5,6−ジメチル−N3−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5−ブチル−N5,6−ジメチル−N3−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5−エチル−N5−イソプロピル−6−メチル−N3−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、5−[N1−(ホルミル−ヒドラジノカルボニル]−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、N1−[5−(4−メタンスルホニル−ベンジルカルバモイル)−2−メチル−6−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボニル]−ヒドラジンカルボン酸エチルエステル、5−({2−[(エチルアミノ)カルボノチオイル]ヒドラジノ}カルボニル)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、5−(イソオキサゾリジン−2−イルカルボニル)−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボン酸 5−(メトキシ−メチル−アミド)3−[4−(プロパン−2−スルフォニル)−ベンジルアミド]、6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボン酸 3−(4−エタンスルホニル−ベンジルアミド)5−(メトキシ−メチル−アミド)、6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボン酸 3−(4−シクロプロパンスルホニル−ベンジルアミド)5−(メトキシ−メチル−アミド)、6−メチル−2
−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボン酸 5−[(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド]3−(4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、5−(イソオキサゾリジン−2−カルボニル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−エタンスルホニル−ベンジルアミド、5−(イソオキサゾリジン−2−カルボニル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)1,2ジヒドロピリジン−3−カルボン酸 4−シクロプロパンスルホニルベンジルアミド、5−(N−ヒドロキシカルバムイミドイル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、N3−(シクロヘキシルメチル)−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−(ピリジン−3−イルメチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−N3−(2−モルホリン−4−イルエチル)―2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−N3−(3−モルホリン−4−イルプロピル)−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−ベンジル−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−(1−フェニルエチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−(2−フェニルエチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−[(2R)−2−フェニルシクロプロピル]−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−[2−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)エチル]−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、5−{[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イル]カルボニル}−N,N,2−トリメチル−6−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、N3−[(1−エチルピロリジン−2−イル)メチル]−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−N3−[3−(2−メチルピペリジン−1−イル)プロピル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−N3−(1−ナフチルメチル)−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチル)−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−(3,4−ジフルオロベンジル)−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−(2−クロロ−4−フルオロベンジル)−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−(2−チエニルメチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−(3,4−ジクロロベンジル)−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−(2−シクロヘキサ−1−エン−1−イルエチル)−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−[1−(4−クロロフェニル)エチル]−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−[3−(2−オキソピロリジン−1−イル)プロピル]−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−(ピリジン−4−イルメチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N,N,2−トリメチル−6−オキソ−5−[(4−フェニルピペラジン−1−イル)カルボニル]−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、N,N,2−トリメチル−6−オキソ−5−[(4−ピリジン−2−イルピペラジン−1−イル)カルボニル]−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、N3−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イルメチル)−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、メチル4−{[({5−[(ジメチルアミノ)カルボニル]−6−メチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}カルボニル)アミノ]メチル}ベンゾアート、5−{[3−(ジメチルアミノ)ピロリジン−1−イル]カルボニル}−N,N,2−トリメチル−6−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−[2−(2−チエニル)エチル]−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−(4−フェノキシベンジル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−(3−チエニルメチル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−[2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル]−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−{2−[4−(アミノスルホニル)フェニル]エチル}−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−[4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル]−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−フェノキシ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イルメチル)−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−[(6−フルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−8−イル)メチル]−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−(1−ベンゾチエン−3−イルメチル)−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)エチル]−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−N3−[(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−[(1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−[(5−メトキシ−4−オキソ−4H−ピラン−2−イル)メチル]−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−(3−アゼパン−1−イルプロピル)−N5,N
5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−(4−シアノベンジル)−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−N3−[3−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル)プロピル]−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、N3−{[(2R)−1−エチルピロリジン−2−イル]メチル}−N5,N5,6−トリメチル−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキサミド、5−シクロプロピル−6−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、6−メチル−5−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボキサミド、5−(4,5−ジヒドロ−オキサゾール−2−イル)−6−メチル−2−オキソ−1−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,2−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボン酸 4−メタンスルホニル−ベンジルアミド、5−シクロプロピル−6−メチル−N−{[5−(メチルスルホニル)ピリジン−2−イル]メチル}−2−オキソ−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド、2−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)プロパン酸、(2S)−2−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)プロパン酸、2−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)プロパン酸、(2S)−2−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)プロパン酸、2−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)プロパン酸、2−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)プロパン酸、プロピル2−(3,5−ジヨード−4−オキソピリジン−1−イル)酢酸、(2S)−2−アザンイウムイル−3−(3−ヒドロキシ−4−オキソピリジン−1−イル)プロパノアート、プロピル2−(3,5−ジヨード−4−オキソピリジン−1−イル)酢酸、2−(4−アミノフェニル)エタノール、4−ヒドロキシ−5−(3−メチルアニリノ)−1H−ピリミジン−6−オン、6−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−4−メチルピリジン−2−オン、1,6−ジメチル−2−オキソ−5−ピリジン−4−イルピリジン−3−カルボニトリル、(2−オキソ−1H−ピリジン−3−イル)酢酸、3−メチル−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)ブタノ−1−オン、5−メチル−1−フェニルピリジン−2−オン、6−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−4−メチルピリジン−2−オン、2−アミノエタノール;6−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−4−メチルピリジン−2−オン、4−[(3,5−ジヨード−4−オキソピリジン−1−イル)メチル]安息香酸、2−アミノエタノール;3−[(6−ヒドロキシ−5−メチル−2−オキソ−1H−ピリジン−3−イル)イミノ]−5−メチルピリジン−2,6−ジオン、5−エチル−3−[(5−エチル−2−メトキシ−6−メチルピリジン−3−イル)メチルアミノ]−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン、6−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−4−メチルピリジン−2−オン、5−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−1H−ピリジン−2−オン、6−(4,4−ジメチル−5−オキソフラン−2−イル)−1H−ピリジン−2−オン、N’−(6−オキソ−1H−ピリジン−2−イル)−N,N−ジプロピルメタンイミドアミド、[6−オキソ−1−[(2R,3R,4S,5S,6R)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(ヒドロキシルメチル)オキサン−2−イル]ピリジン−2−イル]酢酸、5−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−1H−ピリジン−2−オン、3−[(6−ヒドロキシ−5−メチル−2−オキソ−1H−ピリジン−3−イル)イミノ]−5−メチルピリジン−2,6−ジオン、5−(4−シアノフェニル)−6−メチル−2−オキソ−1H−ピリジン−3−カルボニトリル、3,3−ジエチル−1−[(ピペラジン−1−イルアミノ)メチル]ピリジン−2,4−ジオン、5−エチル−3−[(5−エチル−2−メトキシ−6−メチルピリジン−3−イル)メチルアミノ]−6−メチル−1H−ピリジン−2−オン及びそれらの薬学的に許容可能な塩、から成る群から選択される。
幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、遊離塩基又は遊離酸の形態で、本明細書に記載される組成物及び方法に使用される。他の実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、薬学的に許容可能な塩として使用される。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、化合物を酸又は塩基と反応させることによって得られる。薬学的に許容可能な塩の種類は、限定されないが、化合物の遊離塩基を、薬学的に許容可能な、例えば、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタリン酸、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2−ナフタリンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコペプトン酸、4,4′−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸、3−フェニルプルピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、酪酸、フェニル酢酸、フェニル酪酸、バルプロ酸などの薬学的に許容可能な酸;又は(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(例えばマグネシウム、又はカルシウム)、又はアルミニウムイオンによって置換される場合の塩基、と反応させることによって形成される、(1)酸付加塩を含む。幾つかの場合において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの、有機塩基と、あるいは限定されないが、アルギニン、リジンなどの、アミノ酸と反応される。
<吸入されたエアロゾル及び局所的な(非経口)薬物送達の利点>
エアロゾル化されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の吸入療法によって、血管吸収部位のすぐ下流の領域への沈着又は体内吸収のその部位での治療上の作用のために、気道(鼻腔内又は肺)において徐放性又は活性な物質の直接の沈着が可能となる。中枢神経系(CNS)の沈着の場合には、鼻腔内の吸入エアロゾル送達によって、CNSコンパートメントの上流に直接、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物が沈着する。
上に記載された鼻腔内及び肺への適用と同様に、気道外の臓器の処置又は予防には、これらの呼吸器外の部位への移動のための全身の血管領域への吸収が必要とされる。心臓、肝臓及び腎臓に関係する線維症又は炎症性の疾患を処置又は予防する場合に、気道、より具体的には深肺における薬物の沈着によって、左心房を通って頚動脈又は冠動脈のいずれかへとこれらの臓器への直接アクセスが可能となる。同様に、CNS障害(例えば多発性硬化症)を処置する場合に、(上に定義されるような)気道又は鼻腔における薬物の沈着、より具体的には、鼻腔から鼻の毛細管床への吸収によって、脳及びCNSへの即時アクセスが可能となる。この直接的な送達によって、不必要な全身曝露なしで高濃度ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の直接的な投与が可能となる。同様に、この経路によって、これらの指標(indications)のために重要であり得るレベルまでの投与量の滴定が可能となる。
<医薬組成物>
本明細書に記載される方法の目的のために、ピリドンのアナログの化合物、最も好ましくは、ピルフェニドンは、液体噴霧療法、乾燥粉末又は定量吸入器を使用して投与され得る。幾つかの実施形態において、本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、エアロゾル形成、指標のための投与量、沈着位置、肺、鼻腔内/洞、又は呼吸外の治療上の作用のための肺又は鼻腔内の送達、優れた味、製造及び貯蔵の安定性、及び患者の安全性及び耐性に適している医薬組成物として生成される。
幾つかの実施形態において、製造されたピリドンのアナログの化合物、最も好ましくは、ピルフェニドンのアイソフォーム含有量は、製剤原料及び製剤の安定、鼻及び/又は肺における溶解(乾燥粉末又は懸濁液の製剤の場合)、耐性、及び作用の部位(肺、鼻/洞、又は局所組織)のために最適化され得る。
<製造>
幾つかの実施形態において、ピルフェニドン製剤(drug product)(DP)は、随意の添加塩(NaCl及び/又はMgCl2及び/又はMgSO4)を加えた水性の緩衝剤(クエン酸塩又はリン酸塩pH=4乃至8)中で、約1mg/mL乃至約100mg/mLの濃度でピルフェニドンを含む。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン製剤はまた、共溶媒(制限的でない例によって、エタノール、プロピレングリコール、及びグリセリン)及び/又は界面活性剤(制限的でない例によって、Tween80、Tween60、レシチン、セチルピリジニウム、及びTween20)を含む。幾つかの実施形態において、その製剤はまた、矯味剤(制限的でない例によって、サッカリンナトリウム)を含む。
3mg/mLより上のピルフェニドン濃度を達成するために、製造プロセスが記載される。1つの実施形態において、製造プロセスは、高温のピルフェニドンの水溶解、共溶媒及び/又は界面活性剤及び/又は塩の追加の後の、及びその後の周囲温度までの冷却を含む。このプロセスにおいて、追加の共溶媒及び/又は界面活性剤及び/又は塩は、冷却プロセスの間、高温で溶かされたピルフェニドンを安定させ、そして、ピルフェニドンの安定した、高濃度の、周囲温度の製剤を提供する。幾つかの実施形態において、処理温度は、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、又は他の加圧可能な上昇した温度である。幾つかの実施形態において、プロセスは、溶液が冷やされるのにつれて、最高温度で、又は徐々により低い温度での、界面活性剤及び/又は共溶媒及び/又は塩の追加を含む。幾つかの実施形態において、界面活性剤及び/又は共溶媒及び/又は塩の追加は、温度が維持される間、又は溶液が冷やされるにつれて、突然に又は徐々に生じる。溶液が最高温度で維持される時間は、0分から24時間までである。溶液が最高温度から冷やされる時間は、0分から24時間までである。幾つかの実施形態において、溶液は、光から保護される。幾つかの実施形態において、その溶液は、酸素濃度を除去するため、又は低下させるために、散水される。幾つかの実施形態において、反応容器のヘッドスペースは、不活性ガス又は不活性ガスの混合物を含む。不活性ガスは、窒素及びアルゴンを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン製剤は、その他の緩衝水溶液中で、0%乃至100%の濃度範囲で、共溶媒を含む。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン製剤は、約1%乃至約25%の濃度で、共溶媒を含む。共溶媒は、エタノール、グリセリン、又はプロピレングリコールを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン製剤は、その他の緩衝水溶液中で、0%乃至100%の濃度範囲で、界面活性剤を含む。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン製剤は、約0.1%乃至約10%の濃度で、界面活性剤を含む。界面活性剤は、Tween20、Tween60、Tween80、セチルピリジニウム臭化物、又はレシチンを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン製剤は、緩衝剤を含む。幾つかの実施形態において、緩衝剤は、0 mMと1000 mMの間の濃度で、クエン酸塩、リン酸塩、又はギ酸塩のような薬剤の塩形態及び/又は酸形態を含む。幾つかの実施形態において、緩衝剤は、1 mMと50 mMの間の濃度で、クエン酸塩、リン酸塩、又はギ酸塩のような薬剤の塩形態及び/又は酸形態を含む。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン製剤は、塩を含む。幾つかの実施形態において、塩は、0%と100%の間の濃度で存在する。幾つかの実施形態において、塩は、約0.1%と約5%の間の濃度で存在する。幾つかの実施形態において、塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、又は塩化バリウムである。幾つかの実施形態において、甘味剤がピルフェニドン製剤に加えられる。幾つかの実施形態において、甘味剤は、サッカリン又はその塩である。幾つかの実施形態において、甘味剤は、約0.01 mMと約10 mMの間の濃度で存在する。幾つかの実施形態において、緩衝溶液のpHは、約2.0と約10.0の間であろう。
別の実施形態において、製造プロセスは、過飽和のピルフェニドン水溶液への、過剰な共溶媒及び/又は界面活性剤及び/又はカチオンの追加を含む。過剰な共溶媒及び/又は界面活性剤及び/又はカチオンの水溶液における溶解で、製剤は稀釈され、共溶媒及び/又は界面活性剤及び/又はカチオンの濃度を、安全な及び/又は無毒な及び/又は刺激反応性でないような、一般に認識される濃度範囲内に減少させる。
幾つかの実施形態において、製造プロセスは、実施例5において記載される通りである。
<投与>
ピリドンのアナログの化合物(本明細書に開示された、最も好ましいピルフェニドン)が、治療上効果的な用量(例えば、以前に記載された疾病状態のための処置を提供するのに十分な用量)で投与され得る。一般に、例えば、ピルフェニドン化合物製剤における、ピルフェニドンの毎日のエアロゾル用量は、1回用量につき、約0.001mgから約6.6mgまでのピルフェニドン/kg(体重)であってもよい。よって、70kgの人への投与については、投与量範囲は、1つの用量あたり約0.07mg乃至約463mgのピルフェニドン、又は1日に約0.280mg乃至約1852mgのピルフェニドンである。投与される活性化合物の量は、もちろん、処置される被験体及び疾病状態、病気の重症度、投与の方法及びスケジュール、疾患の位置(例えば、鼻腔送達又は上気道送達、咽頭の又は喉頭の送達、気管支の送達、肺送達、及び/又は後の全身性の、又は中枢神経系の吸収を備えた肺送達をもたらすのに望ましいかどうか)、及び処方医師の判断に依存する;例えば、好ましい実施形態、又はピリドンのアナログの化合物の他の実施形態における、ピルフェニドンのエアロゾル投与のためのおよその用量範囲は、1日当たり約0.28乃至1852mgである。
別の予測されない観察は、肺へのエアロゾルのピルフェニドンの吸入送達が、経口投与で観察されたピルフェニドンのより少ない代謝を示すということである。したがって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの経口又は鼻腔内の吸入は、不活発な薬剤への実質的な代謝なしに、肺組織への有効成分の最大レベルを許容する。
CYP酵素の阻害剤は、高い血中濃度及び関連する毒性を結果として生じさせる、ピルフェニドン代謝を少なくする。CYP酵素を生じさせる多くの生成物は、線維症患者にとって有用であるため、それらの使用の許可は、有益である。経口経路が既に最大の許容可能な容量(それは、単に適度な有効性を提供する)にある一方、上述された酵素の任意の阻害は、ピルフェニドン血中濃度を上げ、本明細書に記載される毒性のイベントの比率及び重症度を増加させる。ピルフェニドン又はピリドンのアナログの口及び鼻腔内の吸入送達が、経口の生成物によって必要とされるより非常に少ない薬物により、効果的な組織レベルを達成することができるため、結果として生じる血液レベルは著しくより低く、そして、本明細書に記載されるCYP酵素の阻害特性に関連する結果は、排除される。したがって、これらのCYP阻害酵素生成物の使用を許可することは、現在、経口薬では禁忌とされる。
ピルフェニドンの主要な代謝物は、5−カルボキシ−ピルフェニドンである。経口又は静脈内投与の後に、この代謝物が、血液中の高い濃度で速く現われる。5−カルボキシ−ピルフェニドンは、抗線維症又は抗炎症作用を有するようには思われず、その高い血液レベルは、ピルフェニドン血中濃度を失うことで生じる。したがって、経口生成物が最も高い可能なレベルで服用される一方、一旦ピルフェニドンが血中に入れば、それは、非活性種に急速に代謝され、薬物可能性をさらに少なくし、かなりの有効性に必要とされる十分な肺レベルを達成する。ピルフェニドン又はピリドンのアナログの経口及び鼻腔吸入の送達は、有効な肺組織レベルに直接達成することができるため、肺外代謝は要因ではない。
ピリドンのアナログの化合物、最も好ましくは、その薬学的に許容可能な塩などの、本明細書に開示されるピルフェニドンの投与は、例えば、噴霧器によって送達されるような液体の粒子を含むミスト又はスプレーの経鼻吸入及び/又は経口吸入などのエアロゾル吸入を含むが、これらに限定されない同様の有用性を供給する、薬剤のための投与の受け入れられた形態のうちいずれかを介し得る。
よって、薬学的に許容可能な組成物は、例えば、粉末、液体、懸濁液、複合体形成、リポソーム、微粒子などのような、固形、半固形、液体及びエアロゾルの投薬形態を含み得る。好ましくは、組成物は、正確な用量の単回投与に適した単位剤形で提供される。単位剤形はまた、一緒に組み立てられ、包装されて、毎週又は毎月の供給を患者に提供することができ、そして、食塩水、矯味剤、医薬品賦形剤、及び他の活性成分又は担体のような、他の化合物を組み込み得る。
ピリドンのアナログの化合物、最も好ましくは、その薬学的に許容可能な塩などの、本明細書に開示されるピルフェニドンは、単独で、又はより典型的には、従来の医薬担体、賦形剤など(例えば、マンニトール、ラクトース、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカン、セルロース、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、ラクトース、スクロース、グルコースなど)と組み合わせのいずれかで、投与され得る。所望される場合、医薬組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、pH緩衝剤などのような、少量の無毒な補助物質(例えば、クエン酸、アスコルビン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンラウリン酸モノエステル、酢酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミンなど)を含み得る。一般に、意図される投与の形態に依存して、医薬製剤は、本発明の化合物の約0.005重量%乃至95重量%、好ましくは約0.1重量%乃至50重量%を含む。そのような剤形を調製する実際の方法は、既知であるか、又は当業者にとって明らかである;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaを参照。
1つの好ましい実施形態において、組成物は、液体を含むバイアル、懸濁される固体、乾燥粉末、冷凍乾燥品(lyophilisate)、又は他の組成物のような単位剤形の形状をとり、したがって、組成物は、活性成分と共に、ラクトース、スクロース、第二リン酸カルシウム、その他同種のもののような稀釈剤;ステアリン酸マグネシウム又はその他同種のもののような潤滑剤;及びデンプン、アカシアゴム、ポリビニルピロリジン、ゼラチン、セルロース、セルロース誘導体又はその他同種のもののような結合剤を含み得る。
例えば、液体の薬学的に管理可能な組成物は、上で定義されるような活性化合物及び担体中の随意の補助薬(例えば、水、食塩水、水性のデキストロース、グリセロール、グリコール、エタノール、又はその他同種のもの)を溶解し、分散し、溶液又は懸濁液を形成することにより調製され得る。エアロゾル化される溶液は、液体の溶液又は懸濁液、あるいはエマルジョンとしての、若しくは、エアロゾルの生成及び吸入の前に、液体中での溶解又は懸濁に適した、固体形態でのいずれかの、従来の形態で調製され得る。そのようなエアロゾル組成物に含まれる活性化合物の割合は、化合物の活性及び被験体のニーズと同様に、その特定の性質に大きく依存する。しかしながら、溶液中の0.01%乃至90%の活性成分の割合は、利用可能であって、もし組成物が固体であれば、より高くなり、それは後に、上記の割合を薄めるであろう。幾つかの実施形態において、組成物は、溶液中に、0.25%乃至50.0%の活性薬剤を含む。
ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤は、2つのグループへ分けることができる;単体製剤及び複合体製剤のグループは、改善された耐性、安定性及び耐性のために最適化されたpH、即放性又は徐放性、及び/又は曲線下領域(AUC)形状を増強する特性に、矯味剤を提供する。単体製剤は、さらに3つのグループへ分けることができる。1.単体製剤は、噴霧療法のための、水ベースの液体製剤を含み得る。制限的でない例によって、水ベースの液体製剤は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物単独からなり、又はカプセル化していない水溶性賦形剤とともに構成され得る。2.単体製剤はまた、噴霧療法又は定量吸入器のための、有機体ベースの液体製剤を含み得る。制限的でない例によって、有機体ベースの液体製剤は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、又はカプセル化していない有機可溶性の賦形剤とともに構成され得る。3.単体製剤はまた、乾燥粉末吸入器による投与のための、乾燥粉末製剤を含み得る。制限的でない例によって、乾燥粉末製剤は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物単独からなり、又はラクトースのような添加物を備えた又は備えない、水溶性あるいは有機可溶性のいずれかである、カプセル化していない賦形剤のいずれかとともに、構成され得る。複合体製剤は、さらに5つのグループへ分けることができる。1.複合体製剤は、噴霧療法のための、水ベースの液体製剤を含み得る。制限的でない例によって、水ベースの液体複合体製剤は、脂質、リポソーム、シクロデキストリン、マイクロカプセル化及びエマルジョンのような、水溶性の賦形剤でカプセル化された、又は複合体化されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物で構成され得る。2.複合体製剤はまた、噴霧療法又は定量吸入器のための、有機体ベースの液体製剤を含み得る。制限的でない例によって、複合体製剤は、脂質、マイクロカプセル化、及び逆位相の水ベースのエマルジョンのような有機可溶性の賦形剤でカプセル化された、又は複合体化されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物で構成され得る。3.複合体製剤はまた、噴霧療法のために、低い可溶性の水ベースの液体製剤を含み得る。制限的でない例によって、低い可溶性の水ベースの液体の複合体製剤は、脂質のナノ懸濁液のように、低い水溶性の、安定したナノ懸濁液単独として、又は共結晶/共沈物の賦形剤の複合体中で、あるいは低い可溶性の脂質との混合物中のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物から構成され得る。4,複合体製剤はまた、噴霧療法又は定量吸入器のための、低い有機可溶性ベースの液体製剤を含み得る。制限的でない例によって、低い可溶性の有機体ベースの液体の複合体製剤は、脂質のナノ懸濁液のように、低い水溶性の、安定したナノ懸濁液単独として、又は共結晶/共沈物の賦形剤の複合体中で、あるいは低い可溶性の脂質との混合物中のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物から構成され得る。5.複合体製剤はまた、乾燥粉末吸入器を使用する投与のための、乾燥粉末製剤を含み得る。制限的でない例によって、複合体乾燥粉末製剤は、共同結晶/共沈物/スプレー乾燥した複合体、又はラクトースなどの添加物を備えた、あるいはそれを備えない乾燥粉末形態における低い水溶性の賦形剤/塩との混合物中で、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物から構成され得る。単体製剤及び複合体製剤の調製のための具体的な方法は、本明細書に記載される。
<エアロゾル送達>
本明細書に記載されるようなピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、肺線維症、COPD又は喘息を含む、肺の病変の部位へと、好ましくは直接、エアロゾルとして投与される。エアロゾルはまた、心臓、腎臓、及び肝臓の線維症並びに炎症性疾患のような、肺外の病変の治療又は予防のための肺血管系への吸収、又は中枢神経系に関連する、肺外の又は外鼻の空洞の脱髄疾患のための肺送達又は鼻腔送達のために、肺の区画に送達され得る。
幾つかの装置技術が、乾燥粉末又は液体のエアロゾル化生成物を送達するために存在する。乾燥粉末製剤は、一般に、投薬にあまり時間を必要としないが、より長く、より高価な開発努力を必要とする。反対に、液体製剤は、歴史的に、より長い投与時間に苦しんできたが、より短く、それほど高価でない開発努力という利点を有する。本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は可溶性に幅があり、一般に安定しており、そして様々な味を有する。1つのそのような実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、pH 4乃至pH 8で可溶性であって、水溶液において安定しており、味のないものに制限される。そのようなピリドンは、ピルフェニドンを含む。
したがって、1つの実施形態において、本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の特定の製剤は、エアロゾル化装置と組み合わされ、感染部位、肺動脈高血圧症、鼻腔外及び/又は肺外の適応症に体内吸収するための肺又は鼻腔内の部位、及び最大許容性での、最大の薬物沈着に最適化される吸入用のエアロゾルを提供する。最適化され得る因子は、溶液又は固形の微粒子製剤、送達の速度、及びエアロゾル化装置によって生成される粒径及び粒子分布を含む。
<粒径及び粒子分布>
エアロゾル粒径/液滴直径の分布は、次のいずれかの用語で表わされ得る:
― 空気動力学的中央粒子径(MMAD)−エアロゾルの質量の半分が、より小さな液滴及びより大きな液滴の半分で包含される液滴の大きさ;
― 体積平均径(VMD);
― 質量中央径(MMD);
― 細粒分(FPF)−直径で5μm未満である、粒子の割合。
これらの測定は、異なる吸入装置及び複合薬の、インビトロ(in vitro)での性能の比較に使用された。一般に、細粒分がより高い程、肺に沈着しそうな放出される用量の比率は、より高くなる。
一般に、吸入された粒子は、次の2つのメカニズムのうちの1つによる沈着の対象となる:埋伏(通常、より大きな粒子について有意である)、及び沈降(より小さな粒子について一般的である)。埋伏は、粒子が気流に従わず、生理的表面に衝突するのに、吸入された粒子の分子が十分に大きい場合に生じる。対照的に、沈降は、吸入される気流で伝わった非常に小さな粒子が、気流内でのランダム拡散の結果として生理的表面に衝突する場合に、主として肺の深い部分で生じる。
経肺投与について、上気道は、中間気道及び下気道を支持して回避される。肺の薬物送達は、口と咽喉を通るエアロゾルの吸入によって遂行され得る。約5ミクロンよりも大きい空気動力学的中央粒子径(MMAD)を有する粒子は、一般に肺に達しない;代わりに、それらは、咽喉の奥に影響する傾向があり、呑み込まれ、恐らく経口的に吸収される。約1乃至約5ミクロンの直径を有する粒子は、上部乃至中間の肺の領域(誘導気道)に達するのに、十分に小さいが、大きすぎて肺胞に達することはできない。より小さな粒子(すなわち、約0.5乃至約2ミクロン)は、肺胞の領域に達することが可能である。非常に小さな粒子は、放出され得るが、約0.5ミクロンより小さな直径を有する粒子もまた、沈降によって肺胞の領域に沈着され得る。粒径の測定は、体積平均径(VMD)、質量中央径(MMD)、又はMMADとして称され得る。これらの測定は、埋伏(MMD及びMMAD)、又はレーザー(VMD)によってなされ得る。液体の粒子については、もし環境条件が維持されれば(例えば、標準的な湿度)、VMD、MMD及びMMADは、同じであってもよい。しかしながら、湿度が維持されなければ、MMD及びMMADの測定は、インパクター(impator)測定の間に、脱水によりVMDより小さくなるであろう。この記載のために、VMD、MMD及びMMAD測定は、VMD、MMD及びMMADの記載が比較可能になるように、標準条件の下にあると考える。同様に、MMD及びMMADでの乾燥粉末粒度試験もまた、比較可能であると考える。
幾つかの実施形態において、エアロゾルの粒径は、肺病理及び/又は肺外の、全身の、又は中枢神経系分布の部位で、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の沈着を最大にし、また、耐性(又は、後の事例での、全身吸収)を最大にするために最適化される。エアロゾルの粒径は、空気動力学的中央粒子径(MMAD)の用語で表わされ得る。それらは、大きすぎるために、上気道の弯曲を通り抜けることができないので、大きな粒子(例えば、MMAD>5μm)は、上気道で沈着し得る。小さな粒子(例えば、MMAD<2μm)は、下気道に不十分に沈着されてもよく、よって、放出されるようになり、上気道の沈着のためのさらなる機会を提供する。従って、不耐性(例えば、咳と気管支痙攣)は、吸入と放出を繰り返す間、大きな粒子の吸入埋伏及び小さな粒子の沈降の両方からの上気道沈着から生じ得る。したがって、1つの実施形態において、最適の粒径は、中肺での沈着を最大化し、そして上気道沈着に関連した不耐性を最小限にするために使用される(例えば、MMAD=2−5μm)。さらに、制限的な幾何標準偏差(GSD)を備えた、定義された粒径の生成は、沈着と耐性を最適化して得る。狭いGSDは、所望のMMADの大きさの範囲の外側で、粒子の数を制限する。1つの実施形態において、本明細書に開示される1以上の化合物を含むエアロゾルは、約2.5ミクロン以下のGSDを備える、約2ミクロンから約5ミクロンまでのMMADを有することを提供される。別の実施形態において、2ミクロン以下のGSDを備える、約2.8ミクロンから約4.3ミクロンまでのMMADを有するエアロゾルが提供される。別の実施形態において、1.8ミクロン以下のGSDを備える、約2.5ミクロンから約4.5ミクロンまでのMMADを有するエアロゾルが提供される。
幾つかの実施形態において、呼吸送達(全身又は局所的な分布のため)を意図されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、水性の製剤として、ハロゲン化炭化水素プロペラント中の懸濁液又は溶液として、あるいは、乾燥粉末として投与され得る。水性の製剤は、水力又は超音波による原子化のいずれかを利用する液体噴霧器によってエアロゾル化され得る。プロペラントベースのシステムは、適切な加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)を使用し得る。乾燥粉末は、乾燥粉末吸入器装置(DPI)を使用してもよく、それは、製剤原料を有効に分散させることができる。所望の粒径及び分布は、適切な装置を選択することにより得られ得る。
本明細書で使用されるような肺沈着は、特定の送達ルートを介する患者への薬剤の投与の際、薬理学的な活性の特定の部位で、生物利用可能である医薬品有効成分(API)の、名目上の用量のごく少量を指す。例えば、30%の肺沈着は、投与の直前の、吸入装置中の活性成分の30%が肺に沈着されることを意味する。同様に、60%の肺沈着は、投与の直前の、吸入装置中の活性成分の60%が肺などに沈着されることを意味する。肺沈着は、シンチグラフィ又はデコンボリューションの方法を使用して測定され得る。幾つかの実施形態において、本発明は、患者における呼吸状態の処置又は予防のための方法及び吸入システムを提供し、液体噴霧器により、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の名目上の用量を患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、液体噴霧器は、高効率の液体噴霧器である。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の名目上の用量に基づいて、少なくとも約7%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、又は少なくとも約85%のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の肺沈着が達成される。
肺内でのエアロゾル沈着を測定するために使用される2つの主な方法がある。第1に、γ―シンチグラフィは、99m−テクネチウムのような物質で薬物を放射標識すること、及び薬物を吸入した後に被験体をスキャンすることにより行なわれる。この技術は、上気道及び肺における局所分布と同様に、患者によって吸入されたエアロゾルの比率を定量化できるという利点を有する。第2に、下気道で沈着されるほとんどの薬物が、血流へ吸収されるため、薬物動態学の技術は、肺沈着を測定するために使用される。この技術は、気道上皮と相互に作用し、全身的に吸収されるICSの総量を評価することができるが、粘膜毛様体クリアランスの後に吐き出され、呑み込まれ得る、小さな部分を見落とし、局所分布について我々に伝えられないであろう。したがって、γ−シンチグラフィと薬物動態研究は、多くの場合、補足的であると考えられる。
幾つかの実施形態において、液体噴霧器によるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の投与は、約1.0μm乃至約2.5μm、約1.2μm乃至約2.0μm、又は約1.0μm乃至約2.0μmの放出された粒径の分布のGSDを提供する。幾つかの実施形態において、MMADは、約0.5μm乃至約5μm、又は約1乃至約4μm、又は5μm未満である。幾つかの実施形態において、VMDは、約0.5μm乃至約5μm、又は約1乃至約4μm又は約5μm未満である。
細粒分(FPF)は、噴霧器吸入装置の効率性を説明する。FPFは、5.0μm未満の直径の液滴を備えた、送達されるエアロゾル用量、又は吸入される質量の割合を表す。直径5.0μm未満の液滴は、肺に浸透すると考えられる。幾つかの実施形態において、液体噴霧器を用いた、ピルフェニドン又はピリドンのアナログ溶液の投与は、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、又は少なくとも約80%のRDDを提供する。
患者への薬物の送達される用量(DD)は、噴霧器に満たされた液体の容積(充填容積)の特定の部分であって、それは装置のマウスピースから放出される。名目上の用量とDDの間の差は、主に残基のものではない容積の総量(すなわち、投与後に噴霧器に残る充填容積の総量)であるか、又は患者からの呼気中のエアロゾル形態において失われ、したがって、患者の体に沈着されない。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される、噴霧される製剤のDDは、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%である。
呼吸に適した送達用量(RDD)は、患者の肺の胚上皮上に到達し、沈着するのに十分に小さな、噴霧器から放出された液滴内に含まれる薬物の、送達される質量の発現である。RDDは、DDをFPFで掛けることにより測定される。
1つの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物を含む水性の液滴が本明細書に記載され、そこで、水性の液滴は、約5.0μm未満の直径を有する。幾つかの実施形態において、水性の液滴は、約5.0μm未満、約4.5μm未満、約4.0μm未満、約3.5μm未満、約3.0μm未満、約2.5μm未満、約2.0μm未満、約1.5μm未満、又は約1.0μm未満の直径を有する。幾つかの実施形態において、水性の液滴は、1以上の共溶媒(colsolvents)を含む。幾つかの実施形態において、1以上の共溶媒は、エタノール及びプロピレングリコールから選択される。幾つかの実施形態において、水性の液滴は、緩衝剤を更に含む。幾つかの実施形態において、緩衝剤は、クエン酸塩緩衝剤又はリン酸塩緩衝剤である。幾つかの実施形態において、液滴は、液体噴霧器、及び本明細書に記載されるようなピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の水溶液から生成された。幾つかの実施形態において、水性の液滴は、約0.1mg/mLと約60mg/mLの間のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の濃度、及び約50mOsmol/kgから約6000mOsmol/kgまでの重量オスモル濃度を有する水溶液から生成された。幾つかの実施形態において、重量オスモル濃度は、約100mOsmol/kgより大きい。幾つかの実施形態において、重量オスモル濃度は、約400mOsmol/kgより大きい。幾つかの実施形態において、重量オスモル濃度は、約1000mOsmol/kgより大きい。幾つかの実施形態において、重量オスモル濃度は、約2000mOsmol/kgより大きい。幾つかの実施形態において、重量オスモル濃度は、約3000mOsmol/kgより大きい。幾つかの実施形態において、重量オスモル濃度は、約4000mOsmol/kgより大きい。幾つかの実施形態において、重量オスモル濃度は、約5000mOsmol/kgより大きい。
また、本明細書に記載されるようなピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の複数の水性の液滴を含む水性のエアロゾルが記載される。幾つかの実施形態において、エアロゾル中の水性の液滴の少なくとも約30%は、約5μm未満の直径を有する。幾つかの実施形態において、エアロゾル中の水性の液滴の少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、又は少なくとも約90%は、約5μm未満の直径を有する。幾つかの実施形態において、水性のエアロゾルは、液体噴霧器で生成される。幾つかの実施形態において、水性のエアロゾルは、高効率の液体噴霧器で生成される。
<液体噴霧器>
1つの実施形態において、噴霧器は、主に約1と約5ミクロンの間のMMADを有する、本明細書に開示されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物のエアロゾルの形成を可能にすることを基礎として選択される。1つの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の送達された量は、肺の病理及び/又は肺外の、全身の、組織又は中枢神経系分布に治療効果を提供する。
以前に、2つの種類の噴霧器(ジェットと超音波)が、2と4ミクロンの間の大きさを有するエアロゾル粒子を生成し、送達できることが示された。これらの粒径は、中間気道の沈着に最適であることとして示された。しかしながら、もし、特別に処方された溶液が使用されなければ、これらの噴霧器は、治療効果を得るために十分な量の薬物を投与するために、典型的により大きな質量を必要とする。ジェット噴霧器は、エアロゾルの液滴への水溶液の気圧切断を利用する。超音波噴霧器は、圧電性結晶による水溶液の剪断を利用する。しかしながら、典型的には、ジェット噴霧器は、臨床条件の下で約10%だけ効率的であって、その一方で、超音波噴霧器は、約5%だけ効率的である。よって、肺に沈着し吸収された医薬品の量は、噴霧器に入れられた大量の薬物にもかかわらず、ほんの10%である。哺乳動物への投与前に噴霧器に入れられる薬物の量は、一般に「名目上の用量」又は「充填された用量(loaded dose)」を指す。名目上の用量を含む溶液の容積は、「充填容積」を指す。より小さな粒径、又は遅い吸入速度は、深い肺沈着を許容する。遅い吸入に加えて、Philips Ineb Adaptive Aerosol Delivery(AAD) System及びActivaero Flow And Volume Regulated Inhalation Technology(FAVORITE)などの装置は、送達効率や周辺沈着を最大限にし、且つ用量再現性を向上する一方で副作用を減らすために吸気流を補助するために制御された装置の機能を用いる。中肺及び肺胞沈着の両方が、適応症(例えば、肺線維症及び全身送達のための中間の及び/又は肺胞の沈着)に依存するこの発明に望まれ得る。噴霧器を使用する製剤送達のための組成物及び方法の例示的な開示は、例えば、US2006/0276483に見出すことができ、それは、振動メッシュ噴霧器を使用する、エアロゾル化されたミストの送達の技術、プロトコル及び特性の記載を含む。
したがって、1つの実施形態において、振動メッシュ噴霧器は、好ましい実施形態で本明細書に開示されるようなピルフェニドン化合物のエアロゾルを、又は他の実施形態で本明細書に開示されるようなピリドンのアナログの化合物を送達するために使用される。振動メッシュ噴霧器は、ダイアフラム弁及び吸気弁及び呼気弁との流体接点で、液体の貯蔵容器を含む。1つの実施形態において、ピルフェニドン化合物製剤(又は、別の関連する実施形態において、ピリドンのアナログの化合物製剤)の約1乃至約6mlは、貯蔵容器内に入れられ、そしてエアロゾル発生機は、選択的に、約1と約5ミクロンの間の粒径の、微粒化されたエアロゾルを生成することに関与する。1つの実施形態において、約1から約10mlのピルフェニドン化合物製剤(又は、別の関連する実施形態において、ピリドンのアナログの化合物製剤)は、貯蔵容器内に入れられ、そしてエアロゾル発生機は、選択的に、約1と約5ミクロンの間の粒径の、微粒化されたエアロゾルを生成することに関与する。1つの実施形態において、もともと貯蔵容器内に入れられるピルフェニドン化合物製剤(又は、別の関連する実施形態において、ピリドンのアナログの化合物製剤)の容積について、エアロゾル発生機は、投与される用量のサイズを増やすために置き換えられた。
幾つかの実施形態において、本明細書に開示されるようなピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤は、液体の噴霧吸入器に入れられ、そして、約1と約5ミクロンの間の粒径で生成されているMMADを備える、約0.5乃至約6mlの用量の溶液から、約34mcgから約463mgまで送達するための投与量に調製される。
幾つかの実施形態において、本明細書に開示されるようなピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤は、液体の噴霧吸入器に入れられ、そして、約1と約5ミクロンの間の粒径で生成されているMMADを備える、約0.5乃至約7mlの用量の溶液から、約34mcgから約463mgまで送達するための投与量に調製される。
制限的でない例によって、噴霧されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、約20分未満、約15分未満、約10分未満、約7分未満、約5分未満、約3分未満、又は約2分未満で、記載された、呼吸に適した送達される用量内で投与され得る。
制限的でない例によって、噴霧されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、呼吸制御型噴霧器を使用して、約20分未満、約15分未満、約10分未満、約7分未満、約5分未満、約3分未満、又は約2分未満で、記載された、呼吸に適した送達される用量内で投与され得る。
制限的でない例によって、他の状況において、噴霧されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、改善された耐性に達してもよく、及び/又はより長い時間にわたって投与された場合に、曲線下領域(AUC)形状を増強する特性を示し得る。これらの条件の下で、約2分以上、好ましくは約3分以上、より好ましくは約5分より多く、より好ましくは約7分より多く、より好ましくは約10分より多く、そして幾つかの場合に最も好ましい、約10から約20分までで、記載された、呼吸に適した送達される用量。
本明細書に開示されるように、ピルフェニドン化合物が約34mcg/mLから約463mg/mLまでのピルフェニドンの濃度で存在する場合に、約4.0からpH 8.0までのpHを有する、ピルフェニドン化合物水溶液を含むピリドンのアナログの化合物製剤組成物が提供される。特定の他の実施形態において、ピルフェニドン化合物製剤は、約4.0から約8.0までのpHを有する水溶液、約34mcg/mLから約463mg/mLまでのピルフェニドンの濃度でピルフェニドン化合物を含む溶液;そして、約0mMから約50mMまでの濃度のクエン酸緩衝液又はリン酸緩衝液として提供される。特定の他の実施形態において、ピルフェニドン化合物製剤は、約4.0から約8.0までのpHを有する水溶液、約34mcg/mLから約463mg/mLまでのピルフェニドンの濃度でピルフェニドン化合物を含む溶液;そして、4.7と6.8の間のpKaを有し、販売可能な商品の貯蔵寿命期間にわたって貯蔵可能にするのに十分な期間、約4.0から約8.0までのpHを維持する、あるいは酸又は基を用いた滴定後に維持するのに十分な濃度で存在する緩衝液。
幾つかの実施形態において、ピルフェニドン;水;リン酸緩衝剤又はクエン酸緩衝剤;そして随意に、塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムを含む医薬組成物が本明細書で記載される。他の実施形態において、ピルフェニドン;水;緩衝剤;及び塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリソルベート80及び臭化セチルピリジニウム(又は、塩化物)から選択される、少なくとも1の追加の成分を含む医薬組成物が本明細書で記載される。幾つかの実施形態において、緩衝剤は、リン酸緩衝剤である。他の実施形態において、緩衝剤は、クエン酸緩衝剤である。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、1mg乃至500mgの、例えば、5mg、10mg、15mg、25mg、37.5mg、75mg、100mg、115mg、150mg、190mg、220mg、又は500mgのピルフェニドンを含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物の重量オスモル濃度は、約50mOsmo/kgと6000 mOsmo/kgの間にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物の重量オスモル濃度は、約50mOsmo/kgと5000mOsmo/kgの間にある。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、随意にサッカリン(例えば、ナトリウム塩)を含む。幾つかの実施形態において、そのような医薬組成物は、約1と約5ミクロンの間の粒径で生成されているMMADの粒径を備える、約0.5乃至約6mlの用量の溶液から、約1mgと約500mgまで送達するための液体の噴霧吸入器に入れられる。幾つかの実施形態において、そのような医薬組成物は、約1から約5ミクロンの間の粒径で生成されているMMADを備える、約0.5から約7mlの用量の溶液から、約1mgから約500mgまで送達するための液体の噴霧吸入器に入れられる。幾つかの実施形態において、そのような噴霧された医薬組成物は、それぞれの吸入された呼吸における1と5ミクロンの間のMMADを備えたエアロゾル粒子中で、約0.0001mgと約25mgの間のピルフェニドン又はピリドンのアナログを送達し得る。幾つかの実施形態において、1分にわたる10の呼吸で送達される1mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログ、それにより吸入された粒子の50%が1と5ミクロンの間にあり、0.05mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログは、各呼吸において送達されるであろう。幾つかの実施形態において、10分にわたる15の呼吸で送達される1mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログ、それにより吸入された粒子の50%が1と5ミクロンの間にあり、0.0033mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログは、各呼吸において送達されるであろう。幾つかの実施形態において、20分にわたる20の呼吸で送達される1mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログ、それにより吸入された粒子の50%が1と5ミクロンの間にあり、0.00125mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログは、各呼吸において送達されるであろう。幾つかの実施形態において、1分にわたる10の呼吸で送達される200mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログ、それにより吸入された粒子の50%が1と5ミクロンの間にあり、10mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログは、各呼吸において送達されるであろう。幾つかの実施形態において、10分にわたる15の呼吸で送達される200mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログ、それにより吸入された粒子の50%が1と5ミクロンの間にあり、0.67mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログは、各呼吸において送達されるであろう。別の制限的でない例によって、幾つかの実施形態において、20分にわたって、1分につき20の呼吸で送達される200mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログ、それにより吸入された粒子の50%が1と5ミクロンの間にあり、0.25mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログは、各呼吸において送達されるであろう。幾つかの実施形態において、1分にわたる10の呼吸で送達される500mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログ、それにより吸入された粒子の50%が1と5ミクロンの間にあり、25mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログは、各呼吸において送達されるであろう。幾つかの実施形態において、10分にわたって、1分につき15の呼吸で送達される500mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログ、それにより吸入された粒子の50%が1と5ミクロンの間にあり、1.67mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログは、各呼吸において送達されるであろう。幾つかの実施形態において、20分にわたって、1分につき20の呼吸で送達される500mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログ、それにより吸入された粒子の50%が1と5ミクロンの間にあり、0.625mgのピルフェニドン又はピリドンのアナログは、各呼吸において送達されるであろう。
幾つかの実施形態において、噴霧されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、約20分未満、約10分未満、約7分未満、約5分未満、約3分未満、又は約2分未満で、記載される呼吸に適した送達された用量で投与され得る。
水性及び他の非加圧の液体システムについて、様々な噴霧器(小さな容積の噴霧器を含む)は、製剤をエアロゾル化するのに利用可能である。圧縮機駆動の噴霧器は、噴射技術を組み込み、液体のエアロゾルを生成するために圧縮空気を使用する。そのような装置は、例えば、Healthdyne Technologies, Inc.;Invacare, Inc.;Mountain Medical Equipment, Inc.;Pari Respiratory, Inc.;Mada Medical, Inc.;Puritan−Bennet;Schuco, Inc.、DeVilbiss Health Care, Inc.;及びHospitak, Inc.から商業的に利用可能である。超音波噴霧器は、呼吸に適した液体の液滴を生成するために、圧電性結晶の振動の形態で力学的エネルギーに依存し、例えばOmron Heathcare Inc.、Boehringer Ingelheim、及びDeVilbiss Health Care, Inc.から商業的に利用可能である。振動メッシュ噴霧器は、呼吸に適した液体の液滴を生成するために、圧電性物質又は機械的なパルスのいずれかに依存する。本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログで使用するための噴霧器の他の例は、米国特許第4,268,460号;第4,253,468号;第4,046,146号;第3,826,255号;第4,649,911号;第4,510,929号;第4,624,251号;第5,164,740号;第5,586,550号;第5,758,637号;第6,644,304号;第6,338,443号;第5,906,202号;第5,934,272号;第5,960,792号;第5,971,951号;第6,070,575号;第6,192,876号;第6,230,706号;第6,349,719号;第6,367,470号;第6,543,442号;第6,584,971号;第6,601,581号;第4,263,907号;第5,709,202号;第5,823,179号;第6,192,876号;第6,644,304号;第5,549,102号;第6,083,922号;第6,161,536号;第6,264,922号;第6,557,549号;及び第6,612,303号に記載され、それら全ては、引用によって、それら全体に、本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載されているような薬の送達を提供するのに適した、任意の既知の吸入噴霧器は、本明細書に記載される様々な実施形態及び方法において使用され得る。そのような噴霧器は、例えば、ジェット噴霧器、超音波噴霧器、拍動メンブレン噴霧器(pulsating membrane nebuizers)、振動メッシュ、又は多数の孔を有するプレートを備えた噴霧器、及び振動発生器及び水性チャンバ(例えば、Pari eFlow(登録商標))を含む噴霧器を含む。本発明で使用するのに適した商業的に利用可能な噴霧器は、Aeroneb(登録商標)、MicroAir(登録商標)、Aeroneb(登録商標)Pro、及びAeroneb(登録商標)Go、Aeroneb(登録商標)Solo、Aeroneb(登録商標)Solo/Idehalerの組み合わせ、Aeroneb(登録商標)Solo又はGo Idehaler−Pocket(登録商標)の組み合わせ、PARI LC−Plus(登録商標)、PARI LC−Star(登録商標)、PARI Sprint(登録商標)、eFlow及びeFlow Rapid(登録商標)、Pari Boy(登録商標)N及びPari Duraneb(登録商標)(PARI、GMBH)、MicroAir(登録商標)(Omron Healthcare, Inc.)、Halolite(登録商標)(Profile Therapeutics Inc.)、Respimat(登録商標)(Boehringer Ingelheim)、Aerodose(登録商標)(Aerogen, Inc, Mountain View, CA)、Omron Elite(登録商標)(Omron Healthcare, Inc.)、Omron Microair(登録商標)(Omron Healthcare, Inc.)、Mabismist II(登録商標)(Mabis Healthcare, Inc.)、Lumiscope(登録商標)6610,(Lumiscope Company, Inc.)、Airsep Mystique(登録商標)(AirSep Corporation)、Acorn−1及びAcorn−2(Vital Signs, Inc.)、Aquatower(登録商標)(Medical Industries America)、Ava−Neb(登録商標)(Hudson Respiratory Care Incorporated)、Cirrus(登録商標)(Intersurgical Incorporated)、Dart(登録商標)(Professinal Medical Products)、Devilbiss(登録商標)Pulmo Aide(DeVilbiss Corp.)、Downdraft(登録商標)(Marquest)、Fan Jet(登録商標)(Marquest)、MB−5(Mefar)、Misty Neb(登録商標)(Baxter)、Salter 8900(Salter labs)、Sidestream(登録商標)(Medic−Aid)、Updraft−II(登録商標)(Hudson Respiratory Care)、Whisper Jet(登録商標)(Marquest Medical Products)、Aiolos(登録商標)(Aiolos Medicnnsk Teknik)、Inspiron(登録商標)(Intertech Resources, Inc.)、Optimist(登録商標)(Unomedical Inc.)、Prodomo(登録商標)、Spira(登録商標)(Respiratory Care Center)、AERx(登録商標)及びAERx Essence(商標)(Aradigm)、Respirgard II(登録商標)、Sonik(登録商標)LDI Nebulizer(Evit Labs)、Swirler W Radioaerosol System(AMICI, Inc.社)、Maquet SUN 145 ultrasonic、Schill untrasonic、compare and compare Elite from Omron、Monoghan AeroEclipse BAN、Transneb、DeVilbiss 800、AerovectRx、Porta−Neb(登録商標)、Freeway Freedom(商標)、Sidestream、Philips, Inc.によって生産されるVentstream及びI−nebを含み得る。さらなる制限的でない例によって、米国特許第6,196,219号は、引用によって、その全体に、本明細書に組み込まれられる。
本明細書に記載されるような水性吸入薬の送達を提供するのに適した、これらの、及び他の既知の噴霧器のいずれかは、本明細書に記載される様々な実施形態及び方法において使用され得る。幾つかの実施形態において、噴霧器は、例えば、Pari GmbH(Starnberg、Germany)、DeVilbiss Healthcare(Heston、Middlesex、UK)、Healthdyne、Vital Signs、Baxter、Allied Health Care、Invacare、Hudson、Omron、Bremed、AirSep、Luminscope、Medisana、Siemens、Aerogen、Mountain Medical、Aerosol Medical Ltd.(Colchester、Essex、UK)、AFP Medical(Rugby、Warwickshire、UK)、Bard Ltd.(Sunderland、UK)、Carri−Med Ltd.(Dorking、UK)、Plaem Nuiva(Brescia、Italy)、Henleys Medical Supplies(London、UK)、Intersurgical(Berkshire、UK)、Lifecare Hospital Supplies(Leies、UK)、Medic−Aid Ltd.(West Sussex、UK)、Medix Ltd.(Essex、UK)、Sinclair Medical Ltd.(Surrey、UK)、及び多くの他のものから利用可能である。
本明細書に記載される方法及びシステムにおいて使用するのに適した他の噴霧器は、限定されないが、ジェット噴霧器(随意に、圧縮機とともに売られる)、超音波噴霧器及びその他のものを含み得る。本明細書で使用するための典型的なジェット噴霧器は、Pari LC plus/ProNeb、Pari LC plus/ProNeb Turbo、Pari LC Plus/Dura Neb 1000 & 2000、Pari LC plus/Walkhaler、Pari LC plus/Pari Master、Pari LC star、Omron CompAir XL Portable nebulizer System(NE−C18及びJetAir Disposable nebulizer)、Omron compare Elite Compressor Nebulizer System(NE−C21及びElite Air Reusable Nebulizer)、Proneb Ultra compressorを備えたPari LC Plus又はPari LC Star nebulizer、Pulomo−aide、Pulmo−aide LT、Pulmo−aide traveler、Invacare Passport、Inspiration Healthdyne 626、Pulmo−Neb Traveler、DeVilbiss 646、Whisper jet、AcornII、Misty−Neb、Allied aerosol、Schuco Home Care、Lexan Plasic Pocet Neb、SideStream Hand Held Neb、Mobil mist、Up−Draft、Up−DraftII、T Up−Draft、ISO−NEB、Ava−Neb、Micro Mist、及びPuImoMateを含み得る。
本明細書に記載されるような薬の送達を提供するのに適した典型的な超音波噴霧器は、MicroAir、UltraAir、Siemens Ultra Nebulizer 145、CompAir、Pulmosonic、Scout、5003 Ultrasonic Neb、5110 Ultrasonic Neb、5004 Desk Ultrasonic Nebulizer、Mystique Ultrasonic、Lumiscope’s Ultrasonic Nebulizer、Medisana Ultrasonic Nebulizer、Microstat Ultrasonic Nebulizer、及びMabismist Hand Held Ultrasonic Nebulizerを含み得る。本明細書で使用するための他の噴霧器は、5000 Electromagnetic Neb、5001 Electromagnetic Neb、5002 Rotary Piston Neb、Lumineb I Piston Nebulizer 5500、Aeroneb Portable nebulizer System、Aerodose Inhaler、及びAeroEclipse Breath Actuated Nebulizerを含む。振動メッシュ、又は多数の孔を有するプレートを含む典型的な噴霧器は、R.DhandによってNew Nebulizer Technology−Aerosol Generation by Using a vibrating Mesh or Plate with multiple Apertures, Long−Term Healthcare Strategies 2003, (July 2003), p. 1−4、及びRespiratory Care, 47: 1406−1416 (2002)内に記載され、そのそれぞれの全体の開示は、引用によって、本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載される発明において使用するのに適した追加の噴霧器は、振動発生器及び水性チャンバを含む噴霧器を含む。そのような噴霧器は、例えば、Pari eFlowとして商業的に販売され、そして米国特許第6,962,151号、第5,518,179号、第5,261,601号、及び第5,152,456号に記載され、その各々は、引用によって具体的に本明細書に組み込まれる。
流量、メッシュ膜の大きさ、エアロゾル吸入チャンバの大きさ、マスクの大きさ及び材料、バルブ、及び動力源のような、噴霧化において使用されるパラメータは、異なるタイプ及び水性の吸入混合物でのそれらの使用を最大化するために、本明細書に記載されるような薬の送達を提供するために適用可能であるように、変化され得る。
幾つかの実施形態において、薬物溶液は、患者による噴霧器の使用前に形成される。他の実施形態において、薬物は、液体の形態で噴霧器に貯蔵され、それは懸濁液、溶液又はその他同種のものを含み得る。他の実施形態において、薬物は、固体の形態で噴霧器に貯蔵される。この場合、その溶液は、米国特許第6,427,682号及びPCT国際公開WO 03/035030(それらの両方は、引用によって、それら全体に、本明細書に組み込まれる)で記載されるように、噴霧器の作動の際に混合される。これらの噴霧器において、固体の薬物(固体組成物を形成するために賦形剤と随意に混合される)は、液体溶媒から離れた区画に貯蔵される。
液体溶媒は、液体の組成物を形成するために、固体組成物を溶解することができ、それはエアロゾル化され、吸入され得る。そのような能力は、他の因子、選択された量の作用、及び潜在的に、液体の組成物中にある。容易な処理及び再現可能な投薬を可能にするために、無菌の水性液は、できるだけ軽い振動の下で、短期間で固体組成物を溶解し得る。幾つかの実施形態において、最終的な液体は、わずか約30秒後に使用する準備ができる。幾つかの場合には、固体組成物は、約20秒以内に、有利には、約10秒以内に溶解される。本明細書で使用されるように、用語「溶解する(した)」「溶解している」及び「溶解」は、固体組成物の分解、及び活性化合物の放出、すなわち溶解を指す。液体溶媒による固体組成物の溶解の結果として、活性化合物が溶解された状態で含まれる液体の組成物が形成される。本明細書で使用されるように、少なくとも約90wt.−%が溶解される場合、及びより好ましくは、少なくとも約95wt.−%が溶解される場合に、活性化合物は溶解された状態にある。
基本的な分離された区画の噴霧器の設計に関して、それが同じ容器又は主要な包装の個別のチャンバ内で、水性の液体及び固体組成物を収容するのに有用であるかどうかは、又は、それらが個別のチャンバ内で提供されるべきであるかどうかは、主として具体的な適用に依存する。個別の容器が使用される場合、これらは同じ第2の包装内でセットとして提供される。個別の容器の使用は、活性化合物の2以上の用量を含む噴霧器で特に好まれる。多用量キット内で提供される容器の総数に制限はない。1つの実施形態において、固体組成物は、多数の容器又は容器の多数のチャンバ内で、単位用量として提供され、他方で、液体溶媒は、1のチャンバ又は容器内で提供される。この場合、好ましい設計は、定量ディスペンサー内で液体を提供し、それは、液体を測定するための機械ポンプのような分散装置によって閉じられるガラス又はプラスチックのボトルから構成され得る。例えば、ポンプ機構の1つの作動は、固体組成物の1つの用量単位を溶解するために、正確な量の液体を分散し得る。
多回用量の分離された区画の噴霧器(multiple−dose separated−compartment nebulizers)についての別の実施形態において、固体組成物及び液体溶媒の両方は、多数の容器又は容器の多数のチャンバ内で、適合した単位用量として提供される。例えば、2室の容器は、一方のチャンバで固体組成物の1の単位を、他方のチャンバで液体の1の単位を保持するのに使用され得る。本明細書で使用されるように、1の単位は、固体組成物中にある薬物の量によって定義され、それは1の単位用量である。しかしながら、そのような2室の容器もまた、1のみの単一薬物用量を含む噴霧器に、有利に使用され得る。
分離された区画の噴霧器の1つの実施形態において、2つのブリスターを有するブリスターパックが使用され、ブリスターは、最終的な液体組成物の用量単位を調製するために適合した量で、固体組成物及び液体溶媒を含むためのチャンバを表す。本明細書で使用されるように、ブリスターパックは、熱成形され、又は圧力成形された主要な包装単位を示し、たいてい、アルミニウムのような金属箔を随意に含む、高分子の包装材料を含む。ブリスターパックは、内容物の容易な分散を可能にするように成形され得る。例えば、パックの1つの側面は、テーパー状である(tapered)か、テーパエンドでブリスターパックを開くと、内容物が別のベッセルに分散可能であるテーパー状の部分又は領域を有し得る。テーパエンドは、先端にを示し得る。
幾つかの実施形態において、ブリスターパックの2つのチャンバは、チャンネルによって接続され、チャンネルは、液体溶媒を含むブリスターから、固体組成物を含むブリスターに流体を配向するのに適している。貯蔵中で、チャンネルはシールで閉じられる。この意味で、シールは、液体溶媒が固体組成物に接触するのを防ぐ任意の構造である。シールは、好ましくは、壊れやすい、又は除去可能である;噴霧器が使用される場合に、シールを壊す又は除去することによって、液体溶媒が他のチャンバに入り、固体組成物を溶解することが可能となる。溶解プロセスは、ブリスターパックを振ることにより改善され得る。したがって、吸入のための最終的な液体組成物が得られ、液体は、チャンネルによって接続されたパックの一方又は両方のチャンバに存在し、パックがどのように保持されるかに依存する。
別の実施形態によると、チャンバのうちの1つ、好ましくは、ブリスターパックのテーパー状の部分により近いものは、第2のチャンネルと連通し、該チャンネルは、チャンバから先細りの部分の基端位置へ伸びる。貯蔵中で、この第2のチャンネルは、パックの外側とは連通しないが、気密状態で閉じられる。随意に、第2のチャンネルの基端は、壊れやすい、又は除去可能なキャップ、又は栓によって閉じられ、それらは例えば、ネジ切りキャップ、切断キャップ(a break−off cap)、又は遮断キャップ(a cut−off cap)であってもよい。
1つの実施形態において、2つの区画を有するバイアル又は容器が使用され、区画は、最終的な液体組成物の用量単位を調製するのに適合した量で、固体組成物及び液体溶媒を含むためのチャンバを表す。液体組成物及び第2の液体溶媒は、最終的な液体組成物の用量単位を調製するのに適合した量で含まれ得る(制限的でない例による、2つの可溶性の賦形剤又はピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物及び賦形剤が、保存には不安定であるが、投与用の同じ混合物においては所望される場合)。
幾つかの実施形態において、バイアル又は容器がチャンネル又は壊れやすいバリアによって接続されるような場合に、2つの区画は物理的に分離されるが、流体連結しており、チャンネル又は壊れやすいバリアは、投与前の混合を可能にするように、2つの区画の間で、流体を配向するように適用される。貯蔵中に、チャンネルは、シール又は壊れやすいバリアインタクト(barrier intact)で閉じられる。この意味で、シールは、2つの区画の内容物の混合を防ぐ任意の構造である。シールは、好ましくは、壊れやすいか、又は除去可能である;噴霧器が使用される場合に、シールを壊す又は除去することによって、液体溶媒が他のチャンバに入り、そして固体組成物を溶解するか、又は2つの液体の場合には、混合させることが可能となる。溶解又は混合プロセスは、容器を振ることにより改善され得る。したがって、吸入用の最終的な液体組成物が得られ、液体は、チャンネル又は壊れやすいバリアによって接続されたパックのチャンバのうち、1又は両方の中にあり、それはパックがどのように保持されるかに依存する。
固体組成物自体は、様々な異なるタイプの剤形で提供され得、それは、薬物の物理化学的性質、所望の溶解速度、経費検討、及び他の基準に依存する。実施形態のうちの1つにおいて、固体組成物は、単一の単位である。これは、1回単位用量の薬物が、単一の、物理的に形成された固体の形態又は商品に含まれることを示唆する。言いかえれば、固体組成物は密着し、それは複合の単位剤形と対照的であって、その中で単位は非干渉性である。
固体組成物用の剤形として使用され得る、単一の単位の例は、圧縮錠剤、フィルム状の単位、箔状の単位、ウェハー、冷凍乾燥されたマトリックス単位などのような錠剤を含む。好ましい実施形態において、固体組成物は、高度に多孔質の、冷凍乾燥された形態である。そのような冷凍乾燥物(時にウェハー又は冷凍乾燥された錠剤とも呼ばれる)は、それらの迅速な分解に特に役立ち、それはまた、活性化合物の迅速な分解を可能にする。
一方で、幾つかの適用のため、固体組成物もまた、上に定義されるような、複合の単位剤形として形成され得る。複合の単位の例は、粉末、粒剤、微粒子、ペレット、ビーズ、冷凍乾燥された粉末などである。1つの実施形態において、固体組成物は、冷凍乾燥された粉末である。そのような分散した冷凍乾燥されたシステムは、多くの粉末粒子を含み、そして、粉末の形成中で使用される冷凍乾燥プロセスにより、それぞれの粒子は、粉末が非常に迅速に水を吸収することが可能である、不規則で多孔性の微細構造を有し、その結果、早く分解することが可能である。
迅速な薬物溶解を達成することも可能である、別のタイプの多重微粒子のシステムは、薬物で覆われた粉末、粒剤、又は水溶性の賦形剤からのペレット剤のものであって、その結果、薬物は個々の粒子の外側表面に位置される。このタイプのシステムでは、水溶性の低分子量の賦形剤は、そのような覆われた粒子のコアを調製するのに有用であって、それはその後、薬物、及び、好ましくは、結合剤、ポア形成、サッカリド、糖アルコール、フィルム形成ポリマー、可塑剤、又は医薬コーティング組成物において使用される他の賦形剤のような1以上の追加の賦形剤を含むコーティング組成物で覆われ得る。
別の実施形態において、固体組成物は、不溶性の材料で作られた複合の単位上で覆われるコーティング層に類似する。不溶性の単位の例は、ガラス、ポリマー、金属、及びミネラル塩で作られたビーズを含む。再び、所望の効果は、主として、コーティングの迅速な分解、及び迅速な薬物溶解であって、それは、特に高い表面積対体積率を有する物理的形態中で、固体組成物を提供することにより達成される。典型的には、コーティング組成物は、薬物及び水溶性の低分子量賦形剤に加えて、可溶性の粒子を覆うために上述されたもののような1以上の賦形剤、又は医薬コーティング組成物で有用なことが既知である任意の他の賦形剤を含む。
所望の効果を達成するために、1を超える水溶性の低分子量賦形剤を、固体組成物に組み込むことが有用であり得る。例えば、1の賦形剤は、その薬物担体及び稀釈用量について選択されてもよく、他方、別の賦形剤がpHを調節するために選択され得る。もし、最終的な液体組成物が緩衝化される必要があれば、ともに緩衝系を形成する2つの賦形剤が選択され得る。
1つの実施形態において、分離された区画の噴霧器中で使用される液体は、水性液であって、それは、主成分が水である液体として本明細書中で定義される。液体は、必ずしも水のみから成るわけではない;しかしながら、1つの実施形態において、それは精製水である。別の実施形態において、液体は、他の成分又は物質(好ましくは、他の液体成分)を含むが、また恐らく溶解した固形物も含む。有用であり得る、水以外の液体成分は、プロピレングリコール、グリセロール、及びポリエチレングリコールを含む。溶質として固体の化合物を組み込む理由の1つは、そのような化合物が最終的な液体組成物において望ましいということであるが、固体組成物、又は活性成分のような、その成分と互換性がない。
液体溶媒のための、別の望ましい特徴は、それが無菌であるということである。もし、無菌を確保するために取られる手段がなければ、水性液は相当な微生物学的汚染及び増殖のリスクにさらされるであろう。ほぼ無菌の液体を提供するために、許容可能な抗菌剤又は保存剤の有効な量が組み込まれ得、又は液体がそれを提供し、気密のシールでそれを密閉する前に滅菌され得る。1つの実施形態において、液体は、保存剤なしに、滅菌された液体であって、適切な気密容器中で提供される。しかしながら、噴霧器が活性化合物の多回用量を含む、別の実施形態によると、液体は、定量ディスペンサーのような、多回用量の容器に供給されてもよく、そして、最初の使用後に、微生物学的汚染を防ぐための保存剤を必要とし得る。
<高効率の液体噴霧器>
高効率の液体噴霧器は、充填された用量の大部分を、患者に送達するのに適用される吸入装置である。幾つかの高効率の液体噴霧器は、微細孔膜を利用する。幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器はまた、1以上の能動的に又は受動的に振動する、微細孔膜を利用する。幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、1以上の振動する膜を含む。幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、振動するメッシュ又は多数の孔を備えたプレート、及び随意にエアロゾル混合チャンバを備えた振動発生器を含む。幾つかのそのような実施形態において、混合チャンバは、エアロゾル発生器からエアロゾルを収集する(又は、段階分けする)ように機能する。幾つかの実施形態において、吸入バルブもまた、吸入相の間に、混合チャンバ内への大気の流入を可能にするために使用され、呼気相の間に、混合チャンバからのエアロゾルの漏出を防ぐために閉じられる。幾つかのそのような実施形態において、呼気バルブは、混合チャンバに取り外し可能に取り付けられ、患者が混合チャンバからエアロゾルを吸入するマウスピースに配置される。また幾つかの他の実施形態において、高効率の液体噴霧器は、拍動する膜を含む。幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、連続的に作動している。
幾つかの実施形態において、大量の液体に対してテーパ状のノズルの振動する微細孔膜を含む、高効率の液体噴霧器は、圧縮ガスの必要性なしに、液滴の柱を生成するであろう。これらの実施形態において、微細孔膜の噴霧器中の溶液は、空気中に開放されているのとは反対側で、膜と接している。膜は、噴霧ヘッドの大量のノズルオリフィスによって、穿孔される。均一なサイズの液滴としてノズルを通って放たれる、膜の液側の流体を生じさせる膜の周辺で、溶液中の交互の音響圧力が大きくなる場合に、エアロゾルが生成される。
幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、溶液と接する、受動的なノズル膜及び個別の圧電変換器を使用する。対照的に、幾つかの高効率の液体噴霧器は、活性なノズル膜(active nozzle membrane)を使用し、それはノズル膜の高周波振動を介して、溶液の非常に微細な液滴を生成するために、噴霧器中で音響圧力を使用する。
幾つかの高効率の液体噴霧器は、共鳴システムを含む。幾つかのそのような高効率の液体噴霧器において、膜は、膜の中心での震動的動作の振幅が特に大きい周波数によって動作させられ、結果として、ノズルの周辺で集中的な音響圧力が生じる;共鳴周波数は、約100kHzであり得る。弾性支持は、噴霧ヘッドの機械的環境への振動エネルギーの望ましくない損失を最小限に維持するために使用される。幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器の振動膜は、電鋳法によりニッケル−パラジウム合金で作られ得る。
幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、(i)哺乳動物に投与されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の名目上の用量に基づいて、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、又は少なくとも約85%での肺沈着を達成する。
幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、(ii)約1.0μm乃至約2.5μm、約1.2μm乃至約2.5μm、約1.3μm乃至約2.0μm、少なくとも約1.4μm乃至約1.9μm、少なくとも約1.5μm乃至約1.9μm、少なくとも約1.5μm、約1.7μm、又は約1.9μmの、高効率の液体噴霧器で投与された溶液の、放たれた液滴粒径分布の幾何標準偏差(GSD)を提供する。
幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、(iii)約1μm乃至約5μm、約2乃至約4μm、約2.5乃至約4.0μmの、高効率の液体噴霧器で放たれた溶液の粒径の、空気動力学的中央粒子径(MMAD)を提供する。幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、(iii)1μm乃至約5μm、約2乃至約4μm、又は約2.5乃至約4.0μmの体積平均径(VMD)を提供する。幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、(iii)1μm乃至約5μm、約2乃至約4μm、又は約2.5乃至約4.0μmの質量中央径(MMD)を提供する。
幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、(iv)少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、又は少なくとも約90%の、高効率の噴霧器から放たれた液滴の細粒分(FPF=%≦5ミクロン)を提供する。
幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、(v)少なくとも0.1 mL/min、少なくとも0.2 mL/min、少なくとも0.3 mL/min、少なくとも0.4 mL/min、少なくとも0.5 mL/min、少なくとも0.6 mL/min、少なくとも0.8 mL/min、又は少なくとも1.0 mL/minの出力速度を提供する。
幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、(vi)哺乳動物への充填容積の少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、又は少なくとも約80%を送達する。
幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、又は少なくとも約85%のRDDを提供する。
幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、又は(vi)の1以上を提供するように特徴づけられる。幾つかの実施形態において、高効率の液体噴霧器は、(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、又は(vi)の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は6つ全てを提供するように特徴づけられる。
穿孔された膜を備えた高効率の液体噴霧器の追加の特徴は、米国特許第6,962,151号、第5,152,456号、第5,261,601号、及び第5,518,179号、米国特許第6,983,747号で開示され、その各々は、引用によって、その全体に、本明細書に組み込まれる。高効率の液体噴霧器の他の実施形態は、振動可能な膜を含む。これらの高効率の液体噴霧器の特徴は、7,252,085;7,059,320;6,983,747で開示され、その各々は、引用によって、その全体に、本明細書に組み込まれる。
商業用の高効率の液体噴霧器は、次のものから利用可能である:PARI(Germany)の商品名eFlow(登録商標);Nektar Therapeutics(San Carlos、CA)の商品名AeroNeb(登録商標)Go、及びAeroNeb(登録商標)Pro、及びAeroNeb(登録商標)Solo、Respironics(Murrysville、CA)の商品名I−Neb(登録商標)、Omron(Bannckburn、IL)のMicro−Air(登録商標)、Activaero(Germany)のAkita(登録商標)。商業用の高効率の噴霧器はまた、OnQ(登録商標)噴霧器の技術を利用するAerogen(Galaway、Ireland)から利用可能である。
<定量吸入器(MDI)>
噴射剤駆動吸入器(pMDI)は、各作動の際に、定量の薬を放出する。薬は、ハロゲン化炭化水素のような、適切な噴射剤中の製剤原料の懸濁液又は溶液として調剤される。pMDIは、例えば、Newman, S. P., Aerosols and the Lung, Clarke et al., eds., pp.197−224(Butterworths,London,England,1984)に記載される。
幾つかの実施形態において、MDI中の製剤原料の粒径は、最適に選択され得る。幾つかの実施形態において、活性成分の粒子は、約50ミクロン未満の直径を有する。幾つかの実施形態において、粒子は、約10ミクロン未満の直径を有する。幾つかの実施形態において、粒子は、約1ミクロンから約5ミクロンまでの直径を有する。幾つかの実施形態において、粒子は、約1ミクロン未満の直径を有する。1つの有利な実施形態において、粒子は、約2ミクロンから約5ミクロンまでの直径を有する。
制限的でない例によって、定量吸入器(MDI)、本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、MDIの要件を満たす製剤から、約34 mcgから約463mgまで送達するための投与量で調製される。本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、噴射剤中で可溶性、共溶媒(制限的でない例によるエタノール)を加えた噴射剤中で可溶性、増加した溶解度を促進する追加の部分(制限的でない例によるグリセロール又はリン脂質)を加えた噴射剤中で可溶性であるか、安定した懸濁液、又は微粉化された、スプレー乾燥された又はナノ懸濁液であってもよい。
制限的でない例によって、定量のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、10以下の吸入呼吸で、より好ましくは8以下の吸入呼吸で、より好ましくは6以下の吸入呼吸で、より好ましくは8以下の吸入呼吸で、より好ましくは4以下の吸入呼吸で、より好ましくは2以下の吸入呼吸で、記載された呼吸に適した送達用量で投与され得る。
MDIとともに使用するための噴射剤は、当該技術分野で既知の、任意の噴射剤であってもよい。噴射剤の例は、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、及びジクロロテトラフルオロエタンのようなクロロフルオロカーボン(CFC);ヒドロフルオロアルカン(HFA);及び二酸化炭素を含む。CFCの使用に関連する環境問題により、CFCの代わりにHFAを使用することが、有利かもしれない。HFAを含む医薬のエアロゾル調製物の例は、米国特許第6,585,958号;第2,868,691号及び第3,014,844号に提示され、それらは全て、引用によって、それら全体に、本明細書に組み込まれる。幾つかの実施形態において、製剤原料の溶解又は懸濁を促進するために、共溶媒は、噴射剤と混合される。
幾つかの実施形態において、噴射剤及び活性成分は、米国特許第4,534,345号で記載されるように、個別の容器に含まれ、それは、引用によって、その全体に、本明細書に組み込まれられる。
幾つかの実施形態において、本明細書に使用されるMDIは、患者がレバー、ボタン、又は他のアクチュエーターを押すことによって作動する。他の実施形態において、エアロゾルの放出は、活性化される呼吸(breath activated)であって、米国特許第6,672,304号;第5,404,871号;第5,347,998号;第5,284,133号;第5,217,004号;第5,119,806号;第5,060,643号;第4,664,107号;第4,648,393号;第3,789,843号;第3,732,864号;第3,636,949号;第3,598,294号;第3,565,070号;第3,456,646号;第3,456,645号;及び第3,456,644号に記載されるように、その結果、最初に単位を供給した後、一旦患者が吸入し始めると、活性化合物のエアロゾルが放出され、その各文献の各々は、その全体に、引用によって、本明細書に組み込まれる。そのようなシステムは、より多くの活性化合物が患者の肺に入ることを可能にする。患者が活性成分を備えた適切な投与量を得るのを助ける別の機構は、米国特許第4,470,412号及び第5,385,140号に記載されるように、薬物を吸入するために1より多くの呼吸を使用することを可能にし、それらの両方は、それらの全体に引用によって本明細書に組み込まれる。
当該技術分野で既知の、及び本明細書における使用に適しているMDIの追加の例は、米国特許第6,435,177号;第6,585,958号;第5,642,730号;第6,223,746号;4,955,371号;第5,404,871号;第5,364,838号;及び第6,523,536号を含み、これらは全て、それらの全体に引用によって本明細書に組み込まれる。
<乾燥粉末吸入器(DPI)>
乾燥粉末吸入器には、主な設計が2つある。第1の設計は、薬物のためのリザーバーが装置内に置かれ、患者が、吸入チャンバ内に薬物の用量を加える計量装置である。第2は、個々の用量が個別の容器内で製造された、製造計量装置である。両方のシステムは、約1から約5ミクロンまでの質量中央径の小さな粒子の中への薬物の製剤に依存し、より大きな賦形剤の粒子(典型的に、100ミクロンの直径のラクトース粒子)を備えた共製剤を、通常含む。薬粉は、吸入チャンバに入れられ(装置計量によるか、又は製造計量された投与量の切断によってのいずれかで)、そして、患者の吸気の流れは、装置から口腔へと粉末を加速させる。粉末経路の非層流特徴は、賦形剤の薬物の集合体を分解させ、多量の大きな賦形剤の粒子は、咽喉の奥でそれらの埋伏を引き起こし、その一方で、より小さな薬物の粒子は、肺に深く沈着する。
液体の噴霧及びMDIでのように、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物のエアロゾル製剤の粒径は、最適化され得る。粒径が約5ミクロンのMMADより大きい場合、そのとき、粒子は上気道に沈着される。エアロゾルの粒径が約1ミクロンより小さい場合、そのとき、それは肺胞へ送達され、全身の血液循環へ移動させられ得る。
制限的でない例によって、乾燥粉末吸入器において、本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、乾燥粉末製剤から約34 mcgから約463mgまで分散及び送達するための投与量中で調製される。
制限的でない例によって、乾燥粉末ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、10以下の吸入呼吸で、より好ましくは8以下の吸入呼吸で、より好ましくは6以下の吸入呼吸で、より好ましくは8以下の吸入呼吸で、より好ましくは4以下の吸入呼吸で、より好ましくは2以下の吸入呼吸で、記載された呼吸に適した送達用量で投与され得る。
幾つかの実施形態において、乾燥粉末吸入器(DPI)は、本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物を分散するために使用される。DPIは、微細な乾燥した粒子形状で、製剤原料を含む。典型的には、患者による吸入は、乾燥粒子に、患者の肺に吸い込まれるエアロゾル雲を形成させる。微細な乾燥薬物の粒子は、当該技術分野において既知である、任意の技術によって生産され得る。幾つかの周知の技術は、ジェットミル又は他の粉砕装備の使用、飽和又は過飽和溶液の溶液から沈澱、スプレー乾燥、インサイツ(in situ)の微粒子化(Hovione)、又は超臨界流体法を含む。典型的な粉末製剤は、球状のペレット剤又は接着剤混合物の生成を含む。接着剤混合物において、薬物の粒子は、直径約50乃至約100ミクロンの大きさのラクトース一水和物のような、より大きな担体粒子に付けられる。より大きな担体粒子は、エアロゾル形成を改善するために、担体/薬物の凝集体上の空気力を増加させる。乱流形装置及び/又は機械装置は、凝集体をそれらの成分に分ける。その後、より小さな薬物粒子が肺に吸引され、他方で、より大きな担体粒子が口腔又は咽喉に沈着する。接着剤混合物の幾つかの例は、米国特許第5,478,578号、及びPCT国際公開WO 95/11666、WO 87/05213、WO 96/23485、及びWO 97/03649で記載され、それらの全ては、引用によって、それらの全体に、組み込まれられる。追加の賦形剤もまた、製剤原料とともに含まれ得る。
3つの共通したタイプのDPIがあり、それらの全ては、本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物と共に使用され得る。単回用量のDPIにおいて、1回分の乾燥の製剤原料/賦形剤を含むカプセルが、吸入器に充填される。作動時に、カプセルが破壊され、乾燥粉末が分散され、乾燥粉末吸入器を使用して吸入されることを可能にする。追加の用量を分散するために、古いカプセルは除去され、追加のカプセルが充填されなければならない。単回用量のDPIの例は、米国特許第3,807,400号;第3,906,950号;第3,991,761号;及び第4,013,075号に記載され、それらは全て引用によって、本明細書に組み込まれる。複合単位用量のDPIにおいて、複合の単回用量の区画を含む包装が提供される。例えば、包装はブリスターパックを含んでもよく、そこで、それぞれのブリスター区画は、1回分の用量を含む。それぞれの用量は、ブリスター区画の破壊により分散され得る。包装内の区画の幾つかの配置のうちのいずれかが使用され得る。例えば、環状の又はストリップの配置が一般的である。複数の単位用量のDPIの例は、EPO特許出願公開第0211595A2号、第0455463A1号、及び第0467172A1号に記載され、それらの全ては、引用によって、それら全体に、本明細書に組み込まれられる。複数用量のDPIにおいて、乾燥粉末の単一のリザーバーが使用される。米国特許第5,829,434号;第5,437,270号;第2,587,215号;第5,113,855号;第5,840,279号;第4,688,218号;第4,667,668号;第5,033,463号;及び第4,805,811号、及びPCT国際公開WO 92/09322に記載されるように、エアロゾル化され、吸入されるリザーバーから単回用量の量を測定する機構が提供され、これらの文献全ては、引用によって、本明細書に組み込まれる。
幾つかの実施形態において、患者の吸入に加えて、又はそれ以外の補助のエネルギーが、DPIの動作を促進するために提供され得る。例えば、圧縮空気は、米国特許第3,906,950号;第5,113,855号;第5,388,572号;第6,029,662号、及びPCT国際公開WO 93/12831、WO 90/07351、及びWO 99/62495に記載されるように、粉末の分解に役立つように提供されてもよく、それらの全ては引用によって、それら全体に、本明細書に組み込まれる。電気駆動式のインペラーもまた、米国特許第3,948,264号;第3,971,377号;第4,147,166号;第6,006,747号、及びPCT国際公開WO 98/03217に記載されるように提供され、これらは全て、引用によって本明細書に組み込まれる。別の機構は、PCT国際公開WO 90/13327に記載されるように、電動のタッピングピストンであり、その文献は、引用によって、その全体に、本明細書に組み込まれる。他のDPIは、米国特許第5,694,920号及び第6,026,809号に記載されるように、バイブレータを使用し、その両方は、引用によって、それら全体に、本明細書に組み込まれられる。最後に、スクレーパシステムが、PCT国際公開WO 93/24165に記載されるように使用されてもよく、それは引用によって、その全体に組み込まれる。
本明細書における使用のためのDPIの追加の例は、米国特許第4,811,731号;第5,113,855号;第5,840,279号;第3,507,277号;第3,669,113号;第3,635,219号;第3,991,761号;第4,353,365号;第4,889,144号、第4,907,538号;第5,829,434号;第6,681,768号;第6,561,186号;第5,918,594号;第6,003,512号;第5,775,320号;第5,740,794号;及び第6,626,173号に記載され、これらは全て引用によって本明細書に組み込まれる。
幾つかの実施形態において、スペーサ又はチャンバは、米国特許第4,470,412号;第4,790,305号;第4,926,852号;第5,012,803号;第5,040,527号;第5,024,467号;第5,816,240号;第5,027,806号;及び第6,026,807号に記載されるように、患者によって吸収される製剤原料の量を増加させるため、本明細書に記載される吸入器のうちのいずれかとともに使用され、これらは全て、引用によって本明細書に組み込まれる。例えば、スペーサは、エアロゾルの生成時からエアロゾルが患者の口腔に入る時まで、時間を遅らせ得る。そのような遅延は、患者の吸入とエアロゾル生成の間の同期を改善し得る。マスクもまた、米国特許第4,809,692号;第4,832,015号;第5,012,804号;第5,427,089号;第5,645,049号;及び第5,988,160号に記載されるような、従来のマウスピースを使用するのが難しい幼児又は他の患者のために組み込まれてもよく、これらは全て引用によって本明細書に組み込まれる。
乾燥粉末吸入器(DPI)(乾燥粉末粒子の分解及びエアロゾル化に関係する)は、通常、薬物投与量を送達するためにユニットを通じて吸引される吸気のバーストに依存する。そのような装置は、例えば米国特許第4,807,814号(それは、吸引段階及び注入段階を有する、含気性の粉末の排出装置を対象とする);SU 628930(Abstract)(軸上の空気流通管を有する手持ち式の粉末ディスペンサーを記載する);Fox et al., Powder and Bulk Engineering, pages 33−36(March 1988)(ベンチュリ管の制限の上流に、軸上の吸気管を有する、ベンチュリ管の排出装置を記載する);EP 347 779(折り畳み可能な膨張チャンバを有する手持ち式の粉末ディスペンサーを記載する)、及び米国特許第5,785,049号(薬物用の乾燥粉末送達装置を対象とする)に記載される。
本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物製剤と共に使用され得る乾燥粉末吸入器の商用例は、Aerolizer、Turohaler、Handihaler及びDiscusを含む。
<溶液/分散の製剤>
1つの実施形態において、可溶性の又はナノ微粒子の薬物粒子を含む水性の製剤が、提供される。水性のエアロゾル製剤について、薬物は、約34 mcg/mLから約463mg/mLまでの濃度で存在し得る。幾つかの実施形態において、薬物は、約1mg/mLから約463mg/mLまで、又は約1mg/mL乃至約400mg/mL、又は約0.1mg/mL乃至約360mg/mL、又は約1mg/mL乃至約300mg/mL、又は約1mg/mL乃至約200mg/mL、又は約1mg/mL乃至約100mg/mL、又は約1mg/mL乃至約50mg/mL、又は約5mg/mL乃至約50mg/mL、又は約10mg/mL乃至約50mg/mL、又は約15mg/mL乃至約50mg/mL、又は約20mg/mL乃至約50mg/mLの濃度で存在する。そのような製剤は、肺の適切な領域への効果的な送達に、非常に短時間で大量の製剤原料が肺に送達されるのを可能にするという追加の利点を有する、より濃縮されたエアロゾル製剤を提供する。1つの実施形態において、製剤は、十分に耐性のある製剤を提供するために最適化される。したがって、1つの実施形態において、本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、優れた味、約4.0乃至約8.0のpH、約100乃至約5000 mOsmol/kgの容量オスモル濃度を有するように調剤される。幾つかの実施形態において、容量オスモル濃度は、約100から約1000 mOsmol/kgまでである。幾つかの実施形態において、容量オスモル濃度は、約200から約500 mOsmol/kgまでである。幾つかの実施形態において、浸透イオン濃度は、約30から約300mMまでである。
幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、水、及び共溶媒、等張化剤、甘味料、界面活性剤、湿潤剤、キレート剤、抗酸化剤、塩、及び緩衝剤から選択される1以上の追加の成分を含む、水性の医薬組成物が本明細書に記載される。多くの賦形剤が、同じ製剤内でさえも、幾つかの機能を果たし得るということが理解されるべきである。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、任意の増粘剤を含まない。
幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物中のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の濃度は、約0.1mg/mLと約100mg/mLの間である。幾つかの実施形態において、医薬組成物中のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の濃度は、約1mg/mLと約100mg/mLの間、約10mg/mLと約100mg/mLの間、約20mg/mLと約100mg/mLの間、約25mg/mLと約100mg/mLの間、約30mg/mLと約100mg/mLの間、約15mg/mLと約50mg/mLの間、約20mg/mLと約50mg/mLの間、約25mg/mLとの約50mg/mLの間、又は約30mg/mLと約50mg/mLの間にある。
幾つかの実施形態において、pHは、約pH4.0と約pH8.0の間にある。幾つかの実施形態において、pHは、約pH5.0と約pH8.0の間にある。幾つかの実施形態において、pHは、約pH6.0と約pH8.0の間にある。幾つかの実施形態において、pHは、約pH6.5と約pH8.0の間にある。
幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、1以上の共溶媒を含む。幾つかの実施形態において、共溶媒の総量が組成物の全容積の約1%から約50%v/vまでの場合、水性の医薬組成物は1以上の共溶媒を含む。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は1以上の共溶媒を含み、共溶媒の総量が組成物の全容積の約1%から約50%v/vまで、約1%から約40%v/vまで、約1%から約30%v/vまで、又は約1%から約25%v/vまでの場合である。共溶媒は、エタノール、プロピレングリコール及びグリセロールを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約1%v/v乃至約25%でエタノールを含む。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約1%v/v乃至約15%でエタノールを含む。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約1%v/v、2%v/v、3%v/v、4%v/v、5%v/v、6%v/v、7%v/v、8%v/v、9%v/v、10%v/v、11%v/v、12%v/v、13%v/v、14%v/v、15%v/v、16%v/v、17%v/v、18%v/v、19%v/v、20%v/v、21%v/v、22%v/v、23%v/v、24%v/v、又は25%v/vでエタノールを含む。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約1%v/v乃至約25%でグリセロールを含む。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約1%v/v乃至約15%でグリセロールを含む。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約1%v/v、2%v/v、3%v/v、4%v/v、5%v/v、6%v/v、7%v/v、8%v/v、9%v/v、10%v/v、11%v/v、12%v/v、13%v/v、14%v/v、15%v/v、16%v/v、17%v/v、18%v/v、19%v/v、20%v/v、21%v/v、22%v/v、23%v/v、24%v/v、又は25%v/vでグリセロールを含む。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約1%v/v乃至約50%でプロピレングリコールを含む。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約1%v/v乃至約25%でプロピレングリコールを含む。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約1%v/v、2%v/v、3%v/v、4%v/v、5%v/v、6%v/v、7%v/v、8%v/v、9%v/v、10%v/v、11%v/v、12%v/v、13%v/v、14%v/v、15%v/v、16%v/v、17%v/v、18%v/v、19%v/v、20%v/v、21%v/v、22%v/v、23%v/v、24%v/v、又は25%v/vでプロピレングリコールを含む。
幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約1%v/v乃至約25%でエタノールを、及び約1%v/v乃至約50%でプロピレングリコールを含む。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約1%v/v乃至約15%でエタノールを、及び約1%v/v乃至約30%でプロピレングリコールを含む。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約1%v/v乃至約8%でエタノールを、及び約1%v/v乃至約16%でプロピレングリコールを含む。幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、エタノールを含み、容積に基づいて、プロピレングリコールの2倍多い。
幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、緩衝剤を含む。幾つかの実施形態において、緩衝剤は、クエン酸塩緩衝剤又はリン酸塩緩衝剤である。幾つかの実施形態において、緩衝剤は、クエン酸塩緩衝剤である。幾つかの実施形態において、緩衝剤は、リン酸塩緩衝剤である。
幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、水、エタノール及び/又はプロピレングリコール、約4乃至8でpHを維持する緩衝剤、及び随意に、塩、界面活性剤、及び甘味料(矯味剤)から選択される1以上の成分から、本質的に成る。幾つかの実施形態において、1以上の塩が等張化剤から選択される。幾つかの実施形態において、1以上の塩が塩化ナトリウム及び塩化マグネシウムから選択される。
幾つかの実施形態において、水性の医薬組成物は、約10mg/mL乃至約50mg/mLの濃度のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、水、1又は2の共溶媒(約1%v/v乃至約25%v/vの濃度のエタノール、及び/又は約1%v/v乃至約50%v/vの濃度のプロピレングリコール)、約4乃至8でpHを維持する緩衝剤、及び随意に、塩、界面活性剤、及び甘味料(矯味剤)から選択される1以上の成分から、本質的に成る。
1つの実施形態において、エアロゾル製剤の調製に使用される溶液又は稀釈剤は、約4.0から約8.0までのpH範囲を有する。このpH範囲は、耐性を改善する。エアロゾルが酸性かアルカリ性のいずれかである場合、それは気管支痙攣及び咳を引き起こし得る。pHの安全な範囲は相対的であって、弱酸性のエアロゾルに耐え得る患者もあれば、他方で、気管支痙攣を経験する者もある。約4.0未満のpHを備えた任意のエアロゾルは、典型的には気管支痙攣を引き起こす。体内組織は、一般にアルカリ性のエアロゾルを緩衝化することができないので、約8.0より高いpHを有するエアロゾルは、低い耐性を有し得る。約4.0より低く、及び約8.0より高く制御されたpHを備えたエアロゾルは、典型的に、重篤な気管支痙攣の咳及び炎症反応に伴って起こる肺炎症を結果として生じさせる。患者における気管支痙攣、咳又は炎症の回避と同様に、これらの理由についても、エアロゾル製剤にとっての最適pHは、約pH4.0と約pH8.0の間に決定される。
制限的でない例によって、組成物はまた、緩衝剤又はpH調節薬剤、典型的には、有機酸又は塩基から調製された塩を含み得る。代表的な緩衝剤は、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の有機酸塩、トリス、トロメタミン、塩酸塩又はリン酸塩の緩衝剤を含む。
多くの患者が、苦味、塩味、甘味、金属味の感覚を含む、様々な化学的な味への感受性を増加させてきた。十分に耐性のある製剤を作り出すために、制限的でない例によって、味のマスキングは、矯味賦形剤、調節された重量オスモル濃度、及び甘味料の追加を通じて行われ得る。
多くの患者が、様々な化学薬品への感受性を増加させており、気管支痙攣の、喘息性の又は他の咳の高い発生率を有する。彼らの気道は、低張の又は高張の、及び酸性の又はアルカリ性の状態に、そして塩化物のような任意の不変のイオンの存在に、特に敏感である。これらの状態における任意の不均衡又は特定の値を超える塩化物の存在は、気管支痙攣又は炎症性の事象及び/又は吸入可能な製剤による処置を大きく損なう咳を導く。これら両方の状態は、気管支内の空間の中へのエアロゾル化された薬物の効率的な送達を妨げる。
幾つかの実施形態において、本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の水溶液の重量オスモル濃度は、賦形剤を提供することにより調節される。幾つかの場合において、特定の量の塩化物又は別のアニオンが、エアロゾル化されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の良好で効果的な送達に必要とされる。
幾つかの実施形態において、本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の水溶液の重量オスモル濃度は、100mOsmol/kgより大きい。幾つかの実施形態において、本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の水溶液の重量オスモル濃度は、300mOsmol/kgより大きい。幾つかの実施形態において、本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の水溶液の重量オスモル濃度は、1000mOsmol/kgより大きい。幾つかの実施形態において、高い重量オスモル濃度(すなわち、約300 mOsmol/kgより大きい)を有する水溶液のエアロゾル送達は、気管支痙攣の、喘息性の又は他の咳の高い発生率を有する。幾つかの実施形態において、記載されるような大きい重量オスモル濃度(すなわち、約300 mOsmol/kgより大きい)を有する水溶液のエアロゾル送達は、気管支痙攣の、喘息性の又は他の咳の発生の発生率を増加させない。
幾つかの実施形態において、賦形剤を提供することにより、本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の水溶液の重量オスモル濃度は、100mOsmol/kgより大きい。幾つかの場合において、特定の量の塩化物又は別の陰イオンが、エアロゾル化されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の良好で効果的な送達に必要とされる。
幾つかの実施形態において、エアロゾルのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物のための製剤は、約1乃至約5mlの薄い食塩水(1/10と2/1の間の通常生理食塩水)毎に、約34 mcgから約463mgまでのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物を含み得る。したがって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物溶液の濃度は、約34 mcg/mlより大きく、約463 mcg/mlより大きく、約1mg/mlより大きく、約2mg/mLより大きく、約3.0mg/mLより大きく、約3.7mg/mLより大きく、約10mg/mLより大きく、約37mg/mLより大きく、約50mg/mlより大きく、約100mg/mLより大きく、又は463mg/mLより大きくてもよい。
幾つかの実施形態において、溶液の重量オスモル濃度は、約100 mOsmol/kgから約6000 mOsmol/kgまでである。幾つかの実施形態において、溶液の重量オスモル濃度は、約100 mOsmol/kgから約5000 mOsmol/kgまでである。幾つかの他の実施形態において、溶液の重量オスモル濃度は、約400 mOsmol/kgから約5000 mOsmol/kgまでである。
1つの実施形態において、浸透イオン濃度は、約25 mMから約400 mMまでである。様々な他の実施形態において、浸透イオン濃度は、約30 mMから約300 mMまで;約40 mMから約200 mMまで;及び約50 mMから約150 mMまでである。
<固形の微粒子製剤>
幾つかの実施形態において、固形薬物ナノ粒子は、乾燥したエアロゾルを生成する際に使用するため、又は液体の懸濁液中でナノ粒子を生成するために提供される。ナノ微粒子の薬物を含む粉末は、ナノ微粒子の薬物及び表面修飾因子の水分散液をスプレー乾燥し、凝集した薬物のナノ粒子から成る乾燥粉末を形成することによって作られ得る。1つの実施形態において、集合は、深い肺送達に適した、約1乃至約2ミクロンの大きさを有し得る。集合の粒径は、スプレー乾燥した分散液中の薬物の濃度を増加させることにより、又はスプレー乾燥によって生成される液滴の大きさを増加させることにより、上部の気管支部分又は鼻粘膜のような代替の送達部位を標的とするために、増加され得る。
あるいは、薬物及び表面修飾因子の水性分散液は、ラクトース又はマンニトールのような、溶解された希釈剤を含み得、スプレー乾燥された場合、溶解された希釈剤は、呼吸に適した稀釈剤の粒子を形成し、その各々は、少なくとも1つの埋め込まれた薬物ナノ粒子及び表面修飾因子を含む。埋め込まれた薬物を備えた稀釈剤の粒子は、深い肺送達に適した、約1乃至約2ミクロンの粒径を有し得る。加えて、稀釈剤の粒径は、スプレー乾燥前に水性分散液中の溶解された稀釈剤の濃度を増加させることにより、又はスプレー乾燥器によって生成される液滴の大きさを増加させることにより、上部の気管支部分又は鼻粘膜のような代替の送達部位を標的とするために、増加され得る。
スプレー乾燥された粉末は、DPI又はpMDI中で、単独で又は冷凍乾燥されたナノ微粒子の粉末と組み合わされてのいずれかで使用され得る。加えて、薬物のナノ粒子を含むスプレー乾燥された粉末は、それぞれの液滴が少なくとも1の薬物ナノ粒子を含む場合に、呼吸に適した液滴の大きさを有する水性分散液を生成するために、ジェット又は超音波噴霧器のいずれかの中で再構成され得、使用され得る。濃縮されたナノ微粒子の分散液はまた、本発明のこれらの実施形態において使用され得る。
ナノ微粒子の薬物分散液もまた、冷凍乾燥され、鼻又は肺の送達に適した粉末を得ることができる。そのような粉末は、表面修飾因子を有する、凝集したナノ微粒子薬物の粒子を含み得る。そのような集合体は、呼吸に適した範囲内(例えば、約1乃至約5ミクロンのMMAD)の大きさを有し得る。
適切な粒径の冷凍乾燥された粉末もまた、薬物及び表面修飾因子の水性分散液を冷凍乾燥することによって得られ、それは、さらにラクトース又はマンニトールのような溶解された稀釈剤を含む。これらの例において、冷凍乾燥された粉末は、稀釈剤の呼吸に適した粒子から成り、その各々は、少なくとも1の埋め込まれた薬物ナノ粒子を含む。
冷凍乾燥された粉末は、DPI又はpMDI中で、単独で又はスプレー乾燥されたナノ微粒子の粉末と組み合わされてのいずれかで使用され得る。加えて、薬物のナノ粒子を含む冷凍乾燥された粉末は、それぞれの液滴が少なくとも1の薬物ナノ粒子を含む場合に、呼吸に適した液滴の大きさを有する水性分散液を生成するために、ジェット又は超音波噴霧器のいずれかの中で再構成され得、使用され得る。
本発明の1つの実施形態は、ナノ微粒子の薬物粒子及び表面修飾因子を含む、推進剤ベースのシステムのためのプロセス及び組成物を対象とする。そのような製剤は、周囲圧力で又は高圧力のいずれかの条件下で行われる液体推進剤中の粗い製剤原料及び表面修飾因子を湿式粉砕することにより調製され得る。あるいは、薬物ナノ粒子を含む乾燥粉末は、薬物ナノ粒子の水性分散液をスプレー乾燥又は冷凍乾燥することによって調整され得、そして、結果として生ずる粉末は、従来のpMDIで使用するのに適した噴射剤へ分散される。そのようなナノ微粒子のpMDI製剤は、鼻又は肺送達のいずれかに使用され得る。経肺投与については、そのような製剤は、これらの方法から利用可能な小さな粒径(例えば、約1乃至約2ミクロンのMMAD)のために、深い肺領域への送達を増加させることができる。濃縮されたエアロゾル製剤もまた、pMDI中で使用され得る。
別の実施形態は、肺又は鼻の送達のためのナノ微粒子組成物を含む乾燥粉末を対象とする。粉末は、ナノ微粒子の薬物の粒子の呼吸に適した集合体、又は少なくとも1の埋め込まれた薬物のナノ粒子を含む稀釈剤の呼吸に適した粒子から成り得る。ナノ微粒子の薬物の粒子を含む粉末は、スプレー乾燥又は凍結乾燥(冷凍乾燥)によって水を除去することにより、水性分散液のナノ粒子から調製され得る。スプレー乾燥は、冷凍乾燥よりも時間がかからず、高価でなく、したがって、よりコスト効率が良い。しかしながら、生物学的製剤のような特定の薬物には、乾燥粉末製剤を作る際のスプレー乾燥よりもむしろ、冷凍乾燥が有効である。
約1から約5ミクロンまでのMMADの粒径を有する、乾燥粉末のエアロゾル送達において使用される、従来の微粉化された薬物粒子は、そのような粉末における固有の静電気の凝集力のため、計量し、少量で分散するのが、多くの場合困難である。これらの困難性は、不完全な粉末分散及び最適以下の肺への送達と同様に、送達装置への製剤原料の損失を導き得る。多くの薬物化合物、特にタンパク質及びペプチドは、深い肺送達及び全身吸収のために意図される。従来通りに調製された乾燥粉末の平均粒径は、通常約1から約5ミクロンまでのMMADの範囲にあるため、実際に肺胞の領域に到達する原料の破片は、かなり小さいかもしれない。したがって、微粉化された乾燥粉末の肺、特に肺胞の領域への送達は、粉末自体の特性のために、一般に非常に能率が悪い。
ナノ微粒子の薬物を含む乾燥粉末のエアロゾルは、比較可能な微粉化された製剤原料より小さくなることができ、したがって、深い肺への効率的な送達に適切である。さらに、ナノ微粒子の薬物の集合体は、形状において球状で、良好な流れ特性があり、それによって、用量測定、及び肺又は鼻腔内で投与される組成物の沈着を援助する。
乾燥したナノ微粒子の組成物は、DPI及びpMDIの両方において使用され得る。本明細書中で使用されるように、「乾燥」は、約5%未満の水を有する組成物を指す。
1つの実施形態において、組成物は、光散乱法によって測定されるように、約1000nm未満、より好ましくは約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、又は約200nm未満の有効な平均粒径を有するナノ粒子を含むように提供される。「約1000nm未満の有効な平均粒径」によって、少なくとも50%の薬物の粒子が、光散乱技術によって測定された場合、約1000nm未満の重量平均粒径を有していることを意味する。好ましくは、薬物の粒子の少なくとも70%が、約1000nm未満の平均粒径を有し、より好ましくは、薬物の粒子の少なくとも90%が、約1000nm未満の平均粒径を有し、そして、さらにより好ましくは、粒子の少なくとも95%が、約1000nm未満の重量平均粒径を有する。
水性のエアロゾル製剤について、ナノ微粒子のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の薬剤は、約34 mcg/mL乃至約463mg/mLの濃度で存在し得る。乾燥粉末エアロゾル製剤について、ナノ微粒子の薬剤は、所望の薬物投与量に依存して、約34mg/g乃至約463mg/gの濃度で存在し得る。濃縮されたナノ微粒子のエアロゾル(水性のエアロゾル製剤について、約34 mcg/mL乃至約463mg/mLの、及び乾燥粉末のエアロゾル製剤について、約34 mcg/mL乃至約463mg/mLの濃度で、ナノ微粒子の薬物を含むように定義される)が、具体的に提供される。そのような製剤は、短い投与時間(すなわち、従来の肺の噴霧器療法で見られるような、4乃至20分以内の投与時間と比較して、1用量当たり約3乃至15秒未満)での肺又は鼻腔の適切な領域への効果的な送達を提供する。
エアロゾル投与のためのナノ微粒子の薬物組成物は、例えば、(1)粉砕又は沈澱のいずれかによって得られた、ナノ微粒子の薬物の分散液を噴霧すること;(2)ナノ微粒子の薬物及び表面修飾因子の集合体の乾燥粉末をエアロゾル化すること(エアロゾル化された組成物はさらに、稀釈剤を包含し得る);又は(3)非水性の推進剤中でナノ微粒子の薬物又は薬物の集合体の懸濁液をエアロゾル化することにより、作られ得る。ナノ微粒子の薬物及び表面修飾因子の集合体(それらは、さらに稀釈剤を含み得る)は、加圧されていない、又は加圧された非水性のシステム内で作られ得る。濃縮されたエアロゾル製剤もまた、そのような方法によって作られ得る。
ナノ粒子薬物を得るための水性の薬物の製粉は、液体の分散媒における薬物粒子を分散することにより、及び、薬物の粒度を所望の効果的な平均粒度に減少するために粉砕媒体がある状態で機械的な手段を適用することにより、実行され得る。粒子は、1つ以上の表面修飾因子がある状態で、その大きさが減少され得る。あるいは、粒子は摩擦後、1つ以上の表面修飾因子と接触させられ得る。希釈剤などの他の化合物は、サイズ減少プロセスの間に、薬物/表面修飾因子の組成物に加えられ得る。分散液は、連続的に、又はバッチ方式で製造され得る。
ナノ粒子分散液を形成する別の方法は、微量沈殿によるものである。これは、任意の追跡毒性溶媒(trace toxic solvents)又は可溶性になった重金属不純物のない界面活性剤を増強する、1つ以上の表面修飾因子及び1つ以上のコロイド安定性がある状態で、薬物の安定した分散液を調製する方法である。例えば、そのような方法は、(1)混合により適切な溶媒中で薬物を溶解する工程;(2)澄んだ溶液を形成するため、少なくとも1つの表面修飾因子を含む溶液に混合することにより、工程(1)の製剤を加える工程;及び、(3)適切な非溶媒を使用して混合することにより、工程(2)の製剤を沈殿する工程を含む。前記方法の後、任意の形成された塩を除去し、存在すれば、従来の手段によって分散液の透折又はダイアフィルトレーション及び濃縮を行う。結果として生ずるナノ粒子薬物の分散液は、液体の噴霧器内で利用され得る、又はDPI或いはpMDIにおいて使用するための乾燥粉末を形成するために処理され得る。
非水性の、加圧されなかった製粉システムにおいて、室温で1atm以下の蒸気圧を有し、且つ、製剤原料が実質的に不溶性である、非水性の液体は、ナノ粒子薬物の組成物を作るための湿式粉砕培地として使用され得る。そのようなプロセスにおいて、薬物及び表面修飾因子のスラリーは、ナノ粒子薬物粒子を生成するために非水性の培地において製粉され得る。適切な非水性の培地の例は、エタノール、トリクロロモノフルオロメタン(CFC−11)、及びジクロロテトラフルオロエタン(dichlorotetafluoroethane)(CFC−114)を含む。CFC−11を使用する利点は、単にわずかに涼しい室温でCFC−11を扱うことができることであり、その一方でCFC−114は、蒸発を回避するためのより多くの制御された条件を必要とする。製粉の完了の際、液体培地は、真空下又は加熱により除去及び回収され得、乾燥したナノ粒子の組成物をもたらす。その後、乾燥組成物は適切な容器に充填され、最終的な噴射剤が追加され得る(charged with)。典型的な最終生産物の噴射剤は、理想的には塩素化炭化水素を含まないが、HFA−134a(テトラフルオロエタン)及びHFA−227(ヘプタフルオロプロパン)を含む。塩素殺菌されていない噴射剤は環境上の理由で好ましいものであり得る一方で、塩素殺菌された噴射剤も、本発明のこの実施形態において使用され得る。
非水性の、加圧された製粉システムにおいて、室温で1atmより著しく大きな蒸気圧を有する非水性の液体培地は、ナノ粒子薬物の組成物を作るための製粉プロセスにおいて使用され得る。製粉培地が、適切なハロゲン化炭化水素噴射剤である場合、結果として生ずる分散液は、適切なpMDI容器に直接充填され得る。代替的に、製粉培地は、真空下又は加熱により除去及び回収され得、乾燥したナノ粒子組成物をもたらす。その後、この組成物は、適切な容器に充填され、pMDIにおける使用に適切な噴射剤が加えられ得る。
スプレー乾燥は、液体培地における薬物の微粉化の後、ナノ粒子薬物の粒子を含む粉末を得るために使用されるプロセスである。一般に、液体培地が室温で約1atm未満の気圧の蒸気圧を有している場合、スプレー乾燥が使用され得る。スプレー乾燥器は、液体の蒸発及び薬物の粉末の採取を可能にする装置である。液体サンプルは、溶液又は懸濁液のいずれかであっても、スプレーノズルに供給される。ノズルは、その後キャリヤガスによって乾燥室の中へ運搬される、直径約20乃至約100ミクロンの範囲内のサンプルの液滴を生成する。キャリヤガス温度は、典型的に約80乃至約200℃である。液滴は、迅速な液体の蒸発にさらされ、サイクロン装置の下の特殊なリザーバーに集められる乾燥粒子を残す。約1ミクロン乃至約5ミクロンより下の範囲のより小さな粒子も、可能である。
液体サンプルが、ナノ粒子及び表面修飾因子の水性分散液から成る場合、集めた生成物は、ナノ粒子薬物の粒子の球状の凝集物から成る。液体サンプルが、不活性の希釈剤材料が溶解されたナノ粒子の水性分散液から成る場合(ラクトース又はマンニトールなど)、集めた生成物は、埋め込まれたナノ粒子薬物の粒子を含む希釈剤(例えば、ラクトース又はマンニトール)の粒子から成る。集めた生成物の最終的な大きさは制御され得、スプレー乾燥器ノズルによって生成された液滴の大きさと同様に、液体サンプルにおけるナノ粒子薬物及び/又は希釈剤の濃度に依存する。集めた生成物は、肺又は鼻の送達のため従来のDPIにおいて使用され得、pMDIにおいて使用される噴射剤中で分散され、又は、粒子は、噴霧器に使用するための水において再構成され得る。
幾つかの例において、最終生産物の計測特性を改善するため、スプレー乾燥した材料に、不活性の担体を加えることが、望ましいかもしれない。このことは特に、スプレー乾燥粉末が非常に小さい時(約5ミクロン未満)、又は、意図した用量が非常に小さく、それにより用量の計量が困難になる時のものであり得る。一般に、そのような担体粒子(充填剤としても知られる)は、あまりに大きすぎるため、肺に配達されず、単に口と咽喉に詰め込まれて(impact)、飲み込まれる。そのような担体は、ラクトース、マンニトール、又はトレハロース等の糖から典型的に成る。多糖類とセルロース化合物を含む他の不活性材料も、担体として役立ち得る。
ナノ粒子薬物の粒子を含む、スプレー乾燥粉末は、従来のDPIにおいて使用され、pMDIにおける使用のため噴射剤中で分散され、又は噴霧器による使用のため液体培地内で再構成され得る。
低融点(すなわち、約70乃至約150℃)を有する化合物等の、熱によって変性される又は不安定にされる化合物、又は例えば、バイオロジクスに関して、昇華は、乾燥粉末のナノ粒子薬物の組成物を得るための蒸発にわたって好ましい。このことは、スプレー乾燥に関連した高いプロセス温度を昇華が回避するためである。加えて、冷凍乾燥又は凍結乾燥としても知られる昇華は、特に生物学的製剤のための、薬物化合物の貯蔵性を高め得る。冷凍乾燥した粒子も再構成され、噴霧器において使用され得る。冷凍乾燥したナノ粒子薬物の粒子の凝集物は、乾燥粉末の中間体と混合されるか、或いは鼻又は肺の送達のいずれかのためDPI及びpMDIにおいて単独で使用され得る。
昇華は、生成物を凍らせる工程、及びサンプルを強い真空状態にさらす工程を含む。これによって、形成された氷は、固体状態から蒸気状態まで直接変形することが可能となる。そのようなプロセスは高度に効率的であり、故に、スプレー乾燥より大きな収量を提供する。結果として生ずる冷凍乾燥した生成物は、薬物と修飾因子を含む。薬物は、典型的に凝集状態に存在し、(肺又は鼻の)吸入に単独で、希釈剤材料(ラクトース、マンニトールなど)と共に、DPI又はpMDIの中で使用され、或いは、噴霧器において使用するために再構成され得る。
<リポソーム組成物>
幾つかの実施形態において、本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、リポソーム粒子へと調製され得、該リポソーム粒子はその後、吸入送達のためにエアロゾル化され得る。本発明に役立つ脂質は、中性脂肪及び帯電した脂質の両方を含む、様々な脂質の何れかでもよい。望ましい特性を有する担体係は、脂質、標的とする基、及び循環エンハンサーの適切な組み合わせを使用して調製され得る。加えて、本明細書で提供される組成物は、リポソーム又は脂質の粒子(好ましくは脂質粒子)の形態をとることができる。本明細書で使用されるように、用語「脂質粒子」は、核酸を「コーティングし」、水性の内部がほとんど無い又は全く無い脂質二重層担体を指す。より具体的に、前記用語は、内部層の一部が、核酸(例えばプラスミドリン酸ジエステル主鎖)上の負電荷とのイオン結合又はイオン対を形成するカチオンの脂質を含む、自己集合性脂質二重層担体を記載するために使用される。内部層はまた、中性又は融合の脂質、及び幾つかの実施形態において、負に帯電した脂質を含むことができる。粒子の外側層は典型的に、内部層の疎水性の尾部と、末尾から末尾までの様式(tail−to−tail fashion)(リポソームにおけるように)で配向された脂質との混合物を含む。外側層の脂質上に存在する極性頭部基は、粒子の外部表面を形成する。
リポソームの生物活性薬剤は、あまり頻繁でない投与及び増強した治療指数を可能にする、持続した治療効果又はより低い毒性を有するように設計され得る。リポソームは、所望の医薬品を捕捉する二重層から構成される。これらは、異なる層の脂質又は層の間の水性の空間のいずれかの中に閉じ込められる医薬品を備えた、同心性の二重層の多層状の小胞として構成され得る。
制限のない例によって、組成物において使用される脂質は、リン脂質、トコフェロール、ステロイド、脂肪酸、アルブミンなどの糖タンパク質、負に帯電した脂質及びカチオン脂質を含む、合成、半合成、又は自然発生の脂質でもよい。リン脂質は、卵ホスファチジルコリン(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール(EPG)、卵ホスファチジルイノシトール(EPI)、卵ホスファチジルセリン(EPS)、ホスファチジルエタノールアミン(EPE)、及び卵ホスファチジン酸(EPA);大豆対応物、大豆ホスファチジルコリン(SPC);SPG、SPS、SPI、SPE、及びSPA;水素化した卵及び大豆の対応物(例えば、HEPC、HSPC)、12乃至26の炭素原子を含むグリセロールの位置の2及び3における脂肪酸のエステル結合、及びコリン、グリセロール、イノシトール、セリン、エタノールアミン、同様に対応するホスファチジン酸を含むグリセロールの1つの位置の異なる頭部基の鎖から構成された他のリン脂質、を含む。これらの脂肪酸上の鎖は、飽和又は不飽和にされ得、リン脂質は、異なる鎖長及び異なる不飽和度の脂肪酸から構成することができる。特に、製剤の組成物は、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、自然発生の肺用界面活性剤の主成分、同様に、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)及びジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)を含み得る。他の例は、ジミリストイルホスファチジルコリン(dimyristoylphosphatidycholine)(DMPC)及びジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(dipalmitoylphosphatidcholine)(DPPC)及びジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)及びジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(dioleylphosphatidylethanolamine)(DOPE)、並びに、パルミトイルステアロイルホスファチジルコリン(PSPC)及びパルミトイルステアロイルホスファチジルグリセロール(PSPG)のような混合リン脂質、及び、モノ−オレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(MOPE)のような単一のアシル化されたリン脂質を含む。
好ましい実施形態において、PEGにより修飾された脂質は、凝集予防薬剤として本発明の組成物に組み込まれる。PEGにより修飾された脂質の使用は、リポソーム又は脂質担体の表面にかさ高いPEGグループを置き、担体の外部へのDNAの結合を防ぐ(それにより、脂質担体の架橋結合及び凝集を阻害する)。PEG−セラミドの使用は多くの場合好ましいものであり、膜二重層を安定させ、循環寿命(circulation lifetime)を延長するという追加の利点を有する。加えて、PEG−セラミドは、脂質二重層におけるPEGセラミドの寿命を制御するための異なる脂質の尾部の長さにより調製され得る。このように、「プログラム可能な」放出が達成され得、脂質担体融合の制御をもたらす。例えば、セラミド部分に取り付けられるC20−アシル基を有するPEG−セラミドは、22時間の半減期を有する脂質二重層担体から拡散する。C14−及びC8−アシル基を有するPEG−セラミドは、10分及び1分未満の半減期を有する担体からそれぞれ拡散する。その結果、脂質の尾部の長さの選択は、二重層が既知の速度で不安定に(故に融合性に)なる組成物を提供する。あまり好ましくないが、他のPEG脂質又は脂質ポリオキシエチレンの接合体は、本組成物に役立つ。適切なPEGにより修飾された脂質の例は、PEGにより修飾されたホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸、PEGにより修飾されたジアシルグリセロール及びジアルキルグリセロール、PEGにより修飾されたジアルキルアミン及びPEGにより修飾された1,2−ジアシルオキシプロパン−3−アミンを含む。特に好ましいのは、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第5,820,873号に記載される、PEG−セラミド接合体(例えば、PEG−Cer−C8、PEG−Cer−C14又はPEG−Cer−C20)である。
本発明の組成物は、直径約50nm乃至約400nmであるリポソーム組成物を提供するために調製され得る。当業者は、組成物の大きさが被包される体積に依存してより大きく又はより小さくなり得ることを理解する。したがって、より大きな体積について、サイズ分布は典型的に約80nmから約300nmまでである。
<表面修飾因子>
本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、既知の有機及び無機の医薬品賦形剤から選択され得る適切な表面修飾因子を備えた医薬組成物において調製され得る。そのような賦形剤は、低分子量のオリゴマー、ポリマー、界面活性剤、及び天然物を含む。好ましい表面修飾因子は、非イオン性及びイオン性の界面活性剤を含む。2つ以上の表面修飾因子は、組み合わせて使用され得る。
表面修飾因子の代表的な例は、塩化セチルピリジニウム、ゼラチン、カゼイン、レシチン(リン脂質)、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000などのマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween20(商標)、及びTween80(商標)などの市販のTweens(商標)(ICI特殊化学品));ポリエチレングリコール(例えば、Carbowax 3350(商標)、及び1450(商標)、及びCarbopol 934(商標)(ユニオンカーバイド))、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、硫酸ドデシルナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、HPC−SL及びHPC−L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、非晶質のセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、エチレンオキシド及びホルムアルデヒド(チロキサポール、superione、及びトリトンとしても知られる)を備えた4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル(tetaamethylbutyl))−フェノールポリマー、ポロクサマー(例えば、Pluronics F68(商標)、及びF108(商標)であり、それらは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);ポロキサミン(poloxamnines)(例えば、Poloxamine 908(商標)としても知られるTetronic 908(商標)であり、それは、エチレンジアミンへのプロピレンオキシド及びエチレンオキシドの連続する追加に由来する四官能性のブロックコポリマーである(BASF Wyandotte Corporation, Parsippany, N.J.))ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ドクセート(DOSS)などの帯電したリン脂質;Tetronic 1508(商標);(T−1508)(BASF Wyandotte Corporation)、ナトリウムスルホコハク酸(sodium sulfosuccinic acid)のジアルキルエステル(例えば、Aerosol OT(商標)であり、それはナトリウムスルホコハク酸のジオクチルエステルである(American Cyanamid));ラウリル硫酸ナトリウムであるDuponol P(商標)(DuPont);アルキルアリールポリエーテルスルホナートであるTritons X−200(商標)(Rohm and Haas);ステアリン酸スクロース及びジステアリン酸スクロースの混合物であるCrodestas F−110(商標)(Croda Inc.);Olin−log(商標)、又はSurfactant 10−G(商標)としても知られるp−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)(Olin Chemicals, Stamford, Conn.);Crodestas SL−40(商標)(Croda, Inc.);及びC18 H37 CH2(CON−CH2(CHOH)4(CH2 OH)2であるSA9OHCO(Eastman Kodak Co.);デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド;n−デシルβ−D−マルトピラノシド;n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド;n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルβ−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチル−β−D−グルコピラノシド;オクチルβ−D−チオグルコピラノシド;及び同種のものを含む。チロキサポールは、ステロイドの肺又は鼻腔内の放出にとって、なおさら噴霧治療にとって特に好ましい表面修飾因子である。
本明細書に開示される溶液中で使用される界面活性剤の例は、限定されないが、ラウレス硫酸アンモニウム、酸化ケタミン(cetamine oxide)、セトリモニウムクロリド、セチルアルコール、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、コカミドDEA、コカミドプロピルベタイン、酸化コカミドプロピルアミン、コカミドMEA、DEAラウリル硫酸塩、ジ−ステアリルフタル酸アミド、ジセチルジメチル塩化アンモニウム、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウム、ラウレススルホコハク酸ジナトリウム、ジ(水素化した)獣脂フタル酸(tallow phthalic acid)、ジラウリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピルnf、パルミチン酸イソプロピルnf、ラウリルアミド(lauramide)DEA、ラウリルアミドMEA、酸化ラウリルアミド、酸化ミリスタミン(myristamine oxide)、オクチルイソノナノアート、パルミチン酸オクチル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オレアルコニウムクロリド、PEG−2ステアラート、PEG−32グリセリルカプリラート/カプラート、PEG−32ステアリン酸グリセリル、PEG−4及びPEG−150ステアラート及びジステアラート、PEG−4乃至PEG−150ラウレート及びジラウレート、PEG−4乃至PEG−150オレアート及びジオレアート、PEG−7グリセリルココエート、PEG−8密蝋、ステアリン酸プロピレングリコール、ナトリウムC14−16オレフィンスルホナート、ナトリウムラウリルスルホアセテート、ラウリル硫酸ナトリウム、トリデセス硫酸ナトリウム、ステアラルコニウムクロリド、酸化ステアラミド、TEAドデシルベンゼンスルホナート、TEAラウリルスルファートを含む。
これら表面修飾因子のほとんどは、医薬品賦形剤として知られており、アメリカ薬剤師会(American Pharmaceutical Association)とイギリス薬学会(Pharmaceutical Society of Great Britain)によって共同出版された「the Handbook of Pharmaceutical Excipeints」(The Pharmaceutical Press、1986)に詳細に記載されており、それは引用により具体的に組み込まれる。表面修飾因子は商業的に利用可能であり、及び/又は当該技術分野において既知の技術により調製され得る。薬物及び表面修飾因子の相対量は広く変わる場合があり、最適な量の表面修飾因子は、例えば、選択された特定の薬物及び表面修飾因子、ミセルを形成する場合の表面修飾因子の臨界ミセル濃度、表面修飾因子の親水性−脂肪親和性−バランス(HLB)、表面修飾因子の融点、表面修飾因子及び/又は薬物の水溶解度、表面修飾因子の水溶液の表面張力などに依存し得る。
本発明において、薬物対表面修飾因子の最適比は、0.1%まで対99.9%までのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物であり、より好ましくは約10%対90%である。
<ミクロスフェア>
ミクロスフェアは、水の中で可溶化される薬物化合物の適切な量を最初に加えることにより、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の肺送達に使用され得る。例えば、水性のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の溶液は、氷槽上で1乃至3分間のプローブ超音波処理(probe sonication)によって、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)の予め決定した量(0.1−1% w/v)を含む塩化メチレン内で分散され得る。別々に、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、PLGA(0.1−1% w/v)を含む塩化メチレンの中で可溶化され得る。結果として生じる油中水型の初乳剤又はポリマー/薬物の溶液は、氷槽上で3乃至5分間のプローブ超音波処理によって、1−2%のポリビニルアルコール(前に4℃に冷却した)から成る水性の連続相において分散される。結果として生じるエマルジョンは、塩化メチレンを蒸発させるために室温で2−4時間続けて撹拌される。このように形成された微小粒子は、5−10分間8000−10000rpmで遠心分離することにより、連続相から分離される。沈殿した粒子は、蒸留水で3回洗浄され、凍結乾燥される。凍結乾燥されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の微小粒子は、−20℃で保管される。
制限のない例によって、スプレー乾燥手法は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物のミクロスフェアを調製するために使用される。適切な量のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、PLGA(0.1−1%)を含む塩化メチレンにおいて可溶化される。この溶液は、ミクロスフェアを得るためにスプレー乾燥される。
制限のない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の微小粒子は、サイズ分布(必要条件:90%<5μm、95%<10μm)、形状、適切な技術及び方法を使用する薬物充填効果及び薬物放出のため特徴化される。
制限のない例によって、この手法はまた、固体(低い溶解度のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物或いはナノ粒子ベースの製剤のための塩形態などの、AUC形状−増強製剤(AUC shape−enhancing formulation))の水溶解度を隔離し(sequester)改善するために使用され得る。ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の特定の量は、96から75%までの水で希釈された時、溶液中でフルオロキノロンを維持するのに必要な最小の量の96%のエタノール中に、最初に溶解され得る。その後この溶液は、75%のエタノール溶液を得るために水で希釈され、次に、パラセタモールの特定の量は、以下のw/w薬物/ポリマー比率を得るために加えられ得る:1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、6:1、9:1、及び19:1。これら最終溶液は、以下の条件下でスプレー乾燥される:送り速度(15mL/min);入口温度、110℃;出口温度、85℃;圧力、4バール、及び乾燥用空気の処理量、35m3/hr。その後、粉末が収集され、乾燥器(dessiccator)内に真空下で保管される。
<固体脂質粒子>
ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の固体脂質粒子の製剤は、少なくとも脂質の融解温度で維持された脂質溶解物(ホスファチジルコリン及びホスファチジルセリン等のリン脂質)中の薬物の溶解、その後、少なくとも脂質の融解温度で維持された、温かい水性の界面活性剤溶液(典型的に1−5% w/v)における薬物含有溶解物の分散に関与し得る。粗雑分散は、ナノエマルジョンを得るためにMicrofluidizer(登録商標)を使用して、1−10分間均質化される。4−25℃の間の温度までのナノエマルジョンの冷却により、再度脂質が凝固され、固体の脂質ナノ粒子の形成をもたらす。製剤パラメータ(脂質マトリックスのタイプ、界面活性剤濃度、及び産生パラメータ)の最適化は、長くなった薬物送達を達成するように行なわれる。制限のない例によって、この手法はまた、固体(低い溶解度のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物或いはナノ粒子ベースの製剤のための塩形態などのAUC形状−増強製剤)の水溶解度を隔離し改善するために使用され得る。
<溶融押出のAUC形状−増強製剤>
溶融押出のAUC形状を増強するピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の製剤は、界面活性剤を加えること又はマイクロエマルジョンを調製すること、シクロデキストリンなどの他の分子との包接複合体を形成すること、薬物のナノ粒子を形成すること、又はポリマーマトリクスに無定形の薬物を埋め込むことにより、ミセル中の薬物を溶解することによって調製され得る。ポリマーマトリクス中の薬物の均質的な埋め込みは、固体の分散物をもたらす。固体の分散物は、2つの方法で調製され得る:溶媒法及びホットメルト方法。溶媒法は、薬物及び適切なポリマーが溶解され、次に(スプレー)乾燥される、有機溶媒を使用する。この方法の主な欠点は、有機溶媒の使用及びバッチモード生産プロセスである。ホットメルト方法は、適切なポリマーにおいて薬物を分散させる又は溶解するために熱を使用する。溶融押出プロセスはホットメルト方法の最適化されたバージョンである。溶融押出手法の利点は、有機溶媒及び連続生産プロセスの欠如である。溶融押出が新しい製薬の技術であるため、それを扱う文献は限定される。技術的な構成は、制限の無い実施例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物のAUC形状−増強製剤を作成するため、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、ヒドロキシプロピル−b−シクロデキストリン(HP−b−CD)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の混合及び押し出しに関与する。シクロデキストリンは、外側表面及び中央における空洞の上に水酸基を備えた、環状体形状の分子である。シクロデキストリンは、包接複合体の形成により薬物を隔離する。シクロデキストリンと薬物の間の複雑な形成は、広範囲に調べられてきた。ポリマーと共複合化した(co−complexed)薬物及びシクロデキストリンの安定した複合体を形成するために、水溶性ポリマーは、複合体形成中にシクロデキストリン及び薬物に相互作用することが知られている。この複合体は、古典的シクロデキストリン薬物複合体より安定している。1つの例として、HPMCは水溶性である;従って、溶解物におけるHP−b−CDを備えたこのポリマーの使用は、水性の可溶性のAUC形状−増強製剤を作成すると予想される。制限のない例によって、この手法はまた、固体(低い溶解度のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物或いはナノ粒子ベースの製剤のための塩形態などの、AUC形状−増強製剤)の水溶解度を隔離し改善するために使用され得る。
<共沈物>
共沈物ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の製剤は、薬理学的に不活性のポリマー材料を備えた共沈物の形成により調製され得る。様々な水溶性ポリマーを備えたAUC形状の増強製剤を作るための分子個体分散液又は共沈物の形成は、それらのインビトロ(in vitro)の溶解速度及び/又はインビボ(in vivo)の吸収を著しく遅くすることができることが実証されてきた。粉末化した生成物を調製する際に、溶解速度が粒度によって強く影響されるため、粉砕は一般的に粒度を少なくするために使用される。さらに、強い力(粉砕などの)は、表面エネルギーを増加させて、粒度が減少するのと同様に結晶格子の歪みを引き起こし得る。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、b−シクロデキストリン、キチン、及びキトサンとの共同粉砕薬物、結晶セルロース、及びゼラチンは、AUC形状の増強が、容易に生物にとって利用可能なピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物のために得られるように、溶解特性を増強してもよい。制限のない例によって、この手法はまた、固体(低い溶解度のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物或いはナノ粒子ベースの製剤のための塩形態などの、AUC形状−増強製剤)の水溶解度を隔離し改善するために使用され得る。
<分散液を増強するペプチド>
組成物は、2つ以上のロイシン残基を含む1つ以上のジペプチド又はトリペプチドを含み得る。更に制限の無い例によって、分散液を増強するペプチドを開示する米国特許第6,835,372号は、その全体において引用により本明細書に組み込まれる。この特許は、ジ−ロイシル含有ジペプチド(例えば、ジロイシン)及びトリペプチドが、粉末化した組成物の分散性を増加させる能力において優れているという開示を記載する。
別の実施形態において、アミノ酸を含む高度に分散性の粒子が投与される。疎水性アミノ酸が好ましい。適切なアミノ酸は、自然発生及び非自然発生の疎水性アミノ酸を含む。限定されないが、非自然発生のアミノ酸を含む幾つかの自然発生の疎水性アミノ酸は、例えば、ベータ−アミノ酸(arnino acid)を含む。疎水性アミノ酸の両方のD、L及びラセミ化合物の構成が利用され得る。適切な疎水性アミノ酸はまた、アミノ酸アナログを含み得る。本明細書で使用されるように、アミノ酸アナログは、以下の式:−−NH−−CHR−−CO−−を有するアミノ酸のD又はLの構成を含み、ここで、Rは、脂肪族基、置換した脂肪族基、ベンジル基、置換したベンジル基、芳香族基又は置換した芳香族基であり、ここで、Rは自然発生のアミノ酸の側鎖に対応しない。本明細書で使用されるように、脂肪族基は、完全に飽和する直鎖の、分岐鎖の、又は環式のC1−C8炭化水素を含み、それは、窒素、酸素又は硫黄等の1又は2のヘテロ原子を含有し、及び/又は、脱飽和の1つ以上のユニットを含有する。芳香族基は、フェニル及びナフチル等の炭素環式の芳香族基、及びイミダゾリル、インドリル、チエニル、フラニル、ピリジル、ピラニル、オキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル及びアクリジニル(acridintyl)等の複素環の芳香族基を含む。
脂肪族基、芳香族基、ベンジル基の上の適切な置換基は、−−OH、ハロゲン(−−Br、−−Cl、−−I、及び−−F)−−O(脂肪族基、置換した脂肪族基、ベンジル基、置換したベンジル基、アリール基、又は置換したアリール基)、−−CN、−−NO2、−−COOH、−−NH2、−−NH(脂肪族基、置換した脂肪族基、ベンジル基、置換したベンジル基、アリール基、又は置換したアリール基)、−−N(脂肪族基、置換した脂肪族基、ベンジル基、置換したベンジル基、アリール基、又は置換したアリール基)2、−−COO(脂肪族基、置換した脂肪族基、ベンジル基、置換したベンジル基、アリール基、又は置換したアリール基)、−−CONH2、−−CONH(脂肪族基、置換した脂肪族基、ベンジル基、置換したベンジル基、アリール基、又は置換したアリール基)、−−SH、−−S(脂肪族基、置換した脂肪族基、ベンジル基、置換したベンジル基、芳香族基、又は置換した芳香族基)、及び−−NH−−C(.dbd.NH)−−NH2を含む。置換したベンジル基又は芳香族基はまた、置換基として脂肪族基又は置換した脂肪族基を有し得る。置換した脂肪族基はまた、置換基としてベンジル基、置換したベンジル基、アリール基、又は置換したアリール基を有し得る。置換した脂肪族基、置換した芳香族基、又は置換したベンジル基は、1つ以上の置換基を有し得る。アミノ酸置換基の修飾は、例えば、親水性である天然のアミノ酸の親油性(lypophilicity)又は疎水性を増加し得る。
多くの適切なアミノ酸、アミノ酸アナログ、及びその塩は、商業的に得られ得る。他のものは、当該技術分野で既知の方法によって合成することができる。
疎水性は一般的に、無極性溶媒と水の間のアミノ酸の分配に関して定義される。疎水性アミノ酸は、無極性溶媒を優先する酸である。アミノ酸の相対的な疎水性は、グリシンが値0.5を有している疎水性規模で、発現することができる。そのような規模で、水を優先するアミノ酸は、0.5より下の値を有し、無極性溶媒を優先するものは、0.5より上の値を有している。本明細書で使用されるように、用語、疎水性アミノ酸は、疎水性の規模で、0.5より大きな値又は0.5に等しい値を有し、要するに、少なくともグリシンのものと等しい無極性の酸において分割する傾向がある。
利用され得るアミノ酸の例は、限定されないが、グリシン、プロリン、アラニン、システイン、メチオニン、バリン、ロイシン、チロシン(tyosine)、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファンを含む。好ましい疎水性アミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、アラニン、バリン、フェニルアラニン、及びグリシンを含む。疎水性アミノ酸の組み合わせも利用することができる。更に、全体的な組み合わせが疎水性である、疎水性及び親水性の(水の中で優先的に分割する)アミノ酸の組み合わせも、利用することができる。
アミノ酸は、少なくとも10重量%の量で本発明の粒子の中に存在し得る。好ましくは、アミノ酸は、約20から約80重量%までに及ぶ量で粒子の中に存在し得る。疎水性アミノ酸の塩は、少なくとも10重量パーセントの量で本発明の粒子の中に存在し得る。好ましくは、アミノ酸塩は、約20から約80重量%までに及ぶ量で粒子の中に存在する。好ましい実施形態において、粒子は、約0.4g/cm3未満のタップ密度を有する。
アミノ酸を含む粒子を形成して送達する方法は、米国特許第6,586,008号、表題「Use of Simple Amino Acids to Form Porous Particles During Spray Drying」に記載され、その教示は、その全体における引用によって本明細書に組み込まれる。
<タンパク質/アミノ酸>
タンパク質賦形剤は、ヒト血清アルブミン(HSA)、組み換え型ヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼイン、ヘモグロビンなどのアルブミンを含み得る。適切なアミノ酸(本発明のジロイシルペプチドの外部)は、緩衝能においても機能し得、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテーム、チロシン、トリプトファンなどを含む。分散剤として機能するアミノ酸及びポリペプチドが好ましい。このカテゴリーに分類されるアミノ酸は、ロイシン、バリン、イソロイシン、トリプトファン、アラニン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、及びプロリンなどの疎水性アミノ酸を含む。分散性を増強するペプチド賦形剤は、上記のものなどの1つ以上の疎水性アミノ酸構成要素を含む、二量体、三量体、四量体、及び五量体を含む。
<炭水化物>
制限のない例によって、炭水化物賦形剤は、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボースなどの単糖類;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類;ラフィノース、メレジトース、バクガデキストリン、デキストラン、デンプンなどの多糖類;及びマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール・ソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトール、イソマルト、トレハロースなどのアルジトールを含む。
<ポリマー>
制限のない例によって、組成物はまた、ポリマー賦形剤/添加剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの誘導されたセルロース、フィコール(重合体の糖)、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラート(dextrates)(制限の無い例によって、シクロデキストリンは、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリン、無作為にメチル化されたベータ−シクロデキストリン、ジメチル−アルファ−シクロデキストリン、ジメチル−ベータ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−1−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−2−アルファ−シクロデキストリン、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、及びスルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリン)、ポリエチレングリコールを含み得、ペクチンも使用され得る。
投与される高度に分散性の粒子は、生物活性薬剤を含み、生物学的適合性の、好ましくは生分解性のポリマー、コポリマー、又は混合物を含む。ポリマーは、以下のものを含む、粒子の異なる特徴を最適化するために合わせられ得る:i)送達の際に薬剤の安定性及び活性の保持を提供するための、送達される薬剤とポリマーの間の相互作用;ii)ポリマー分解の速度、及び、それによる薬物放出特性の速度;iii)表面特性、及び化学修飾による能力の標的化;及びiv)粒子空隙率。
ポリ酸無水物などの表面浸食性ポリマー(Surface eroding polymers)は、粒子を形成するために使用され得る。例えば、ポリ[(p−カルボキシフェノキシ)ヘキサン無水物](PCPH)などのポリ酸無水物が使用され得る。生物分解性のポリ酸無水物は、米国特許第4,857,311号に記載される。ポリ(ヒドロキシ酸)を含むポリエステルに基づくものなどの、バルク浸食性ポリマー(Bulk eroding polymers)も使用され得る。例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)又はそのコポリマーは、粒子を形成するために使用され得る。ポリエステルはまた、アミノ酸などの帯電した又は機能的にすることができる基を有し得る。好ましい実施形態において、制御放出特性を備えた粒子は、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)などの界面活性剤を組み込む、ポリ(D,L−乳酸)及び/又はポリ(DL−lactic−co−グリコール酸)(PLGA)から形成され得る。
他のポリマーは、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンなどのポリアルキレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコールなどのポリビニル化合物、ポリビニルエーテル、及びポリビニルエステル、アクリル及びメタクリル酸のポリマー、セルロース及び他の多糖類、及びペプチド又はタンパク質、又はコポリマー或いはそれらの混合物を含む。ポリマーは、異なる制御された薬物送達適用のため、インビボ(in vivo)における適切な安定及び分解速度を有するために選択され、又は修飾され得る。
高度に分散性の粒子は、Hrkach et al., Macromolecules, 28: 4736−4739 (1995); and Hrkach et al., ”Poly(L−Lactic acid−co−amino acid) Graft Copolymers: A Class of Functional Biodegradable Biomaterials” in Hydrogels and Biodegradable Polymers for Bioapplications, ACS Symposiurn Series No. 627, Raphael M, Ottenbrite et al., Eds., American Chemical Society, Chapter 8, pp. 93−101, 1996に記載されるように、機能的にされたポリエステルグラフトコポリマーから形成され得る。
本発明の好ましい実施形態において、生物活性薬剤及びリン脂質を含む、高度に分散性の粒子が投与される。適切なリン脂質の例は、特に、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、及びそれらの組み合わせを含む。リン脂質の特定の例は、限定されないが、ホスファチジルコリンジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジパルミトイルフォスファチジルグリセロール(DPPG)、又はそれらの任意の組み合わせを含む。他のリン脂質は、当業者に知られている。好ましい実施形態において、リン脂質は肺に対して内因性である。
リン脂質は、約0から約90重量%までに及ぶ量で粒子の中に存在し得る。より一般的には、リン脂質は、約10から約60重量%までに及ぶ量で粒子の中に存在し得る。
本発明の別の実施形態において、リン脂質又はその組み合わせは、高度に分散性の粒子に制御放出特性を与えるために選択される。特定のリン脂質の相転移温度は、患者の生理的な体温より下、略それと同じ、又はそれよりも上の場合がある。好ましい相転移温度は、30℃から50℃(例えば患者の正常体温の+/−10℃内の)まで変動する。相転移温度に従ったリン脂質又はリン脂質の組み合わせの選択によって、粒子は、制御放出特性を有するように合わせられ得る。例えば、患者の体温より高い相転移温度を有するリン脂質又はリン脂質の組み合わせを含む粒子の投与によって、ドーパミン前駆体、アゴニスト又は前駆体及び/又はアゴニストの任意の組み合わせの放出は、遅くなり得る。他方、急速な放出は、より低い転移温度を有する粒子のリン脂質に含まれることにより、得ることができる。
<矯味、香味、その他>
また上述されるように、本明細書に開示されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の製剤、及び関連する組成物は、着香料などの1以上の矯味剤、無機塩類(例えば、塩化ナトリウム)、甘味料、抗酸化薬、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN 20」及び「TWEEN 80」などのポリソルベート)、ソルビタンエステル、サッカリン(例えば、本明細書の他の場所で示されるように、特定の濃度又はピルフェニドンなどのピリドンのアナログの化合物に対する特定の分子比で、特定の実施形態に存在し得る、サッカリンナトリウム、他のサッカリン形状)、重炭酸塩、シクロデキストリン、脂質(例えば、レシチン及び他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンなどのリン脂質)、脂肪酸及び脂肪酸エステル、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA、亜鉛、及びその他そのような適切なカチオン)を更に含む。本発明に従った組成物における使用に適した他の医薬品賦形剤及び/又は添加剤は、“Remington: The Science & Practice of Pharmacy”, 19th ed., Williams & Williams, (1995), and in the “Physician’s Desk Reference”, 52nd ed., Medical Economics, Montvale, N.J. (1998)”に記載される。
制限のない例によって、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の製剤中の矯味剤は、調味料、甘味料、及び他の様々なコーティングストラテジー(coating strategies)(例えば、スクロース、デキストロース、及びラクトースなどの糖、カルボン酸、メントール、アミノ酸、アルギニンなどのアミノ酸誘導体、リジン、及びグルタミン酸ナトリウム、及び/又は人工着香料油、調味香料及び/又は天然油、植物、葉、花、果実などからの抽出物、及びそれらの組み合わせの使用を含み得る。これらは、桂皮油、冬緑油、ペパーミント油、クローバー油、ベイ油、アニス油、ユーカリ、バニラ、レモン油、オレンジ油、ブドウ及びグレープフルーツ油などの柑橘類の油、リンゴ、モモ、西洋ナシ、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットなどを含む果実精を含み得る。追加の甘味料は、スクロース、デキストロース、アスパルテーム(Nutrasweet(登録商標))、アセスルファム−K、スクラロース及びサッカリン(例えば、本明細書の他の場所で示されるように、特定の濃度又はピルフェニドンなどのピリドンのアナログの化合物に対する特定の分子比で、特定の実施形態に存在し得る、サッカリンナトリウム、又は他のサッカリン形状)、有機酸(制限のない例によって、クエン酸及びアスパラギン酸)を含む。そのような着香料は、約0.05から約4重量パーセントまでで存在し、着香料に対する効果、風味材料(flavorant)の溶解度、溶解度に対する風味材料の効果、又は他の製剤構成要素の他の物理化学的又は薬物動態学の特性の効能の1以上の要因、或いは他の要因として、より低い又はより高い量で存在し得る。
吸入された薬物の不快味を改善又は隠すための別の手法は、薬物の溶解度を減少させることであり、例えば、薬物は、味覚受容体と相互作用するように溶解しなければならない。従って、薬物の固体形態を送達することは、味の反応を回避し、所望の改善された味の効果(affect)をもたらし得る。ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の溶解度を減少させるための制限のない方法は、例えば、キシナホン酸(xinafoic acid)、オレイン酸、ステアリン酸、及び/又はパモ酸との複合化などの、ピリドンのアナログの化合物の特定の塩形態の製剤における使用を介して、本明細書に記載される。追加の共沈殿剤は、ジヒドロピリジン、及びポリビニルピロリドンなどのポリマーを含む。
さらに、矯味は、親油性のベシクルの生成によって達成され得る。追加のコーティング剤又はキャッピング剤は、デキストラート(制限のない例によって、シクロデキストリンは、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリン、無作為にメチル化されたベータ−シクロデキストリン、ジメチル−アルファ−シクロデキストリン、ジメチル−ベータ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−1−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−2−アルファ−シクロデキストリン、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、及びスルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンを含み得る)、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースなどの修飾したセルロース、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、糖及び糖アルコール、ワックス、セラック、アクリル、及びそれらの混合物を含む。制限のない例によって、特定の実施形態に従ってピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の非溶解形態を、又は、他の実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の非溶解形態を送達する他の方法は、単独で、或いは、微粉化した結晶、乾燥粉末、スプレー乾燥、及び/又はナノ懸濁液の製剤などの、単純な、溶解度に影響の無い製剤(simple, non−solubility affecting formulation)において投与することである。
特定の他の好ましい実施形態に従った代替案は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の製剤に味覚変革薬剤(taste−modifying agent)を含めることである。これら実施形態は、活性な薬のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物或いはその塩と混合される、その上にコーティングされる、又はそれと組み合わされる、矯味剤を製剤中に含むことを熟慮する。これら製剤における1つ以上のそのような薬剤の包含はまた、ピルフェニドン(例えば粘液溶解剤)又はピリドンのアナログの化合物に加えて製剤に含まれている、薬理学的に活性な化合物の味を改善する役目を果たし得る。そのような味覚変革物質の制限しない例は、酸性のリン脂質、リゾリン脂質、トコフェロールポリエチレングリコールコハク酸塩、及びエンボン酸(パモエート)を含む。これら薬剤の多くは、単独で、又はピルフェニドン或いはピリドンのアナログの化合物(又はその塩)と組み合わせて、或いは別個の実施形態において、エアロゾル投与用のピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物と組み合わせて使用され得る。
<粘液溶解剤>
ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物によるエアロゾル処置中に痰粘性を少なくする薬剤を組み合わせる製剤を生産する方法は、以下のものを含む。これら薬剤は、固定の組み合わせにおいて調製され、或いは、エアロゾルのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の治療と連続して投与され得る。
最も一般に処方される薬剤は、N−アセチルシステイン(NAC)であり、それは、巨大分子間のジスルフィド架橋を壊すことによりインビトロ(in vitro)で粘液を解重合する。唾液の粘着性のそのような減少は、呼吸器官からその除去を促進すると仮定されている。加えて、NACは酸素ラジカルスカベンジャーとして作用し得る。NACは、経口又は吸入のいずれかによって得られ得る。投与のこれら2つの方法の間の違いは、形式的に研究されていない。経口投与後、NACは、肝臓及び腸において、システイン(酸化防止剤グルタチオンの前駆体)へと還元される。酸化防止剤の特性は、嚢胞性線維症(CF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は肺性線維症疾患(例えば、特発性の肺線維症)における肺機能の衰退を防ぐのに役立ち得る。噴霧化したNACは、粘着性を少なくすることにより唾液の喀出を改善するために、特にヨーロッパ大陸においてCFを有する患者に一般的に処方される。この最終の目的は、CFにおける肺機能の衰退を遅くすることである。
L−リジン−N−アセチルシステイナート(ACC)又はナシステリン(Nacystelyn)(NAL)は、粘液分解酵素薬、酸化防止剤、及び抗炎症の特性を有する、新しい粘液活性の(mucoactive)薬剤である。化学的に、それはACCの塩である。この薬物は、L−リジン及びACCの相乗効果の粘液分解酵素薬の活性のため、その親分子ACCより優れた活性を示すように思われる。更に、そのほぼ中性のpH(6.2)は、非常に低い発生率の気管支痙攣を備えた肺において、その投与を可能にするが、酸性のACC(pH2.2)のための場合には当てはまらない。必要な肺投与量が非常に高く(およそ2mg)、微粉化した薬物が粘着性及び密着性であるため、NALは吸入された形態で処方するのが難しく、故にそれが再分解可能な(redispersable)製剤を生産することに問題である。この形態が、前臨床研究及び最初の臨床研究を始めるために開発するのに最も容易であり、且つ最も速いものであったため、NALは、計量式吸入器(MDI)を含むクロロフルオロカーボン(CFC)として最初に開発された。NAL MDIは、1吹きにつき2mgを送達され、そこからおよそ10%が、健康なボランティアの肺に達することができた。必要な投与量を得るには12吹きも必要となるため、この製剤の1つの主な不便は、患者のコンプライアンスであった。更に、患者集団(12)の大部分が経験する、協調の問題と組み合わせた医薬品からのCFCガスの進行性の除去は、NALの新しい本草薬の形態の開発に繋がった。乾燥粉末吸入器(DPI)製剤は、MDIへのコンプライアンスの問題を解決するために、且つ、幼い子供を含む最も広い起こり得る患者集団に薬物を投与するための、最適な、複製可能な、快適な方法と組み合わせるために選ばれた。
NALのDPI製剤は、(通常は錠剤の直接圧縮のために保存される)従来のものでないラクトース、即ち、ローラー乾燥した(RD)無水のβ−ラクトースの使用を含む。単用量(monodose)のDPI装置によりインビトロ(in vitro)で試験した時、この粉末製剤は、名目上の投与量の少なくとも30%、即ち、MDIを備えたものより3倍高い細粒分(FPF)を生産する。この手法は、同時投与又は固定された併用療法のいずれかのための、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物と組み合わせて使用され得る。
粘液溶解薬の活性に加えて、嚢胞性線維症(CF)患者の気道内の過度の好中球のエラスターゼ活性は、進行性の肺損傷をもたらす。還元剤によるエラスターゼ上のジスルフィド結合の破壊は、その酵素活性を修飾し得る。3つの自然発生のジチオール還元系が、エラスターゼ活性に対するそれらの効果のために調べられた:1)大腸菌チオレドキシン(Trx)系、2)組み換え型ヒトチオレドキシン(rhTrx)系、及び3)ジヒドロリボ酸(DHLA)。Trx系は、Trx、Trx還元酵素、及びNADPHから成った。エラスターゼ活性の分光測光法のアッセイによって示されるように、2つのTrx系及びDHLAは、CF唾液の可溶性の相(sol)の中に存在するエラスチン分解活性と同様に、精製されたヒト好中球のエラスターゼも阻害した。3つのTrx系構成要素のいずれかの除去は、阻害を防いだ。モノチオールN−アセチルシステイン及び還元したグルタチオンと比較して、ジチオールは、より大きなエラスターゼ阻害を示した。治験ツールとしてTrxを合理化するために、rhTrxの安定した還元体が合成され、単一の構成要素として使用された。還元されたrhTrxは、NADPH又はTrx還元酵素無しで、精製されたエラスターゼ及びCF唾液solエラスターゼを阻害した。TrxとDHLAが粘液溶解薬の効果を有するため、我々は、粘液溶解薬の処置の後にエラスターゼ活性の変化を調査した。未加工のCF唾液は、還元されたrhTrx、Trx系、DHLA、又はDNaseで直接処置された。Trx系及びDHLAは、エラスターゼ活性を増加させなかったが、還元されたrhTrx処置は、solエラスターゼ活性を60%増加させた。対照的に、DNase処置の後のエラスターゼ活性は、190%増加した。それらの粘液溶解薬の効果と組み合わせたエラスターゼ活性を制限する、TrxとDHLAの能力は、CFのため、これらの化合物の電位療法を行う。
加えて、嚢胞性線維症(CF)患者の唾液の中に存在するが、正常な気道流体には無いF−アクチン及びDNAの束は、感染した気道流体のクリアランスを阻害し、CFの病状を悪化させる、唾液の変更された粘弾性特性に寄与する。これらの逆の特性を変更する1つの手法は、F−アクチンを小さな断片に切断するため、構成モノマー及びゲルゾリンへとDNAを酵素学的に解重合するためにDNaseを使用して、これらの線維の凝集物を除去することである。DNAとF−アクチンの上の陰性の表面電荷の高密度は、単独で強い静電反発を示すこれらのフィラメントの束が、ヒストン、抗菌性ペプチド、及び気道流体において普及している他の正に帯電した分子などの、多価カチオンによって安定させられ得る。更に、実際のところ、ヒストンH1又はリゾチームの追加の後に形成されたDNA又はF−アクチンの束は、重合体のアスパラギン酸塩又はグルタミン酸塩などの可溶性の多価のアニオンによって、効率的に溶解されることが観察された。ポリ−アスパラギン酸塩又はポリ−グルタミン酸塩の追加はまた、CF唾液中のDNA及びアクチン含む束を分散させ、DNase I又はゲルゾリンによる処置の後に得られたものに匹敵するレベルにまでこれらサンプルの弾性率を低下させる。ヒストンH1で形成されたDNA束を含むサンプルに加えられた時、ポリ−アスパラギン酸の追加はまた、DNase活性を増加させた。CF唾液に加えられた時、ポリ−アスパラギン酸塩は、細菌の増殖を著しく少なくし、このことは、内因性の抗菌性因子の活性化を示す。これらの発見は、CF唾液において形成される帯電した生体高分子の大きな束を選択的に分離するため、可溶性の多価のアニオンが、電位を単独で又は他の粘液溶解剤と組み合わせて有していることを示唆する。
従って、NAC、未分画のヘパリン、還元したグルタチオン、ジチオール、Trx、DHLA、他のモノチオール、DNAse、ドルナーゼアルファ、高張性の製剤(例えば、約350mOsmol/kgより大きな重量オスモル濃度)、重合体のアスパラギン酸塩又はグルタミン酸塩などの多価のアニオン、グリコシダーゼ、及び上述される他の例は、還元した唾液粘性からのより優れた分布により、抗線維症の及び/又は抗炎症性の活性を改善するために、エアロゾル投与のためのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、及び、他の粘液溶解剤、及び(改善された唾液流動性及び粘膜毛様体クリアランスからの)改善された肺機能並びに免疫の炎症反応からの減少した肺組織損傷による、改善された臨床の結果と組み合わせられ得る。
<吸入装置の特徴づけ>
特定の吸入装置の効率は、とりわけ、薬物動態学の特性の分析、肺沈着の割合の測定、呼吸可能な送達投与量(RDD)の測定、出力速度の測定、幾何学的な標準偏差値(GSD)、及び空気動力学的質量中央径値(MMAD)を含む、多くの異なる方法によって測定され得る。
特定の吸入装置を調べる方法とシステムが知られている。1つのそのようなシステムは、計算手段、吸入装置が接続されるべき接続片を備えたポンプ手段における中空シリンダーから成る。ポンプ手段において、中空シリンダーから延伸するピストンロッドがある。リニア駆動装置は、1つ以上の呼吸パターンが、ポンプ手段の接続片上にシミュレーションされるような様式で、作動され得る。吸入装置の評価の実行を可能にするために、コンピューターは、データ伝送手段を用いた有利な構成において接続される。データ伝送手段の助けにより、コンピューターは、呼吸パターンのデータを交換するために、特定のデータバンクを用いた別のコンピューターと接続され得る。このように、可能な限り代表的である呼吸パターンのライブラリは、非常に速く形成され得る。米国特許第6,106,479号は、より詳細に吸入装置を調べるためのこの方法を開示し、その全体における引用によって本明細書に組み込まれる。
<薬物動態学の特性>
薬物動態学は、製剤原料の取り込み、分配、代謝、及び分泌に関係がある。薬物動態学の特性は、製剤原料の吸収、分配、代謝、及び分泌を測定するように設計される、1つ以上の生物学的な測定を含む。薬物動態学の特性を視覚化する1つの方法は、血漿濃度曲線の手段によるものであり、それは、Y軸上の平均活性成分血漿濃度と、X軸上の時間(通常は数時間における)を描くグラフである。血漿濃度曲線によって視覚化され得る幾つかの薬物動態学のパラメータは、以下のものを含む:
・Cmax:患者における最大血漿濃度
・AUC:曲線下面積
・TOE:暴露時間
・T1/2:患者における薬物の量を半分に減らすためにかかる期間
・Tmax:患者における最大の血漿濃度に達するための時間
薬物動態学(PK)は、体内のピルフェニドン、又はピリドンのアナログの化合物の濃度などの治療薬剤の時間的経過に関連する。薬力(PD)は、薬物動態とインビボ(in vivo)の有効性の関係に関連する。PK/PDパラメータは、効果的な活性による曝露など、治療薬剤を相互に関連付ける。従って、作用の異なるPK/PDパラメータの多様な機構などによって、治療薬剤の治療上の有効性を予想することが、使用され得る。
任意の標準の薬物動態のプロトコルは、本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物を含む製剤の投与後、ヒトにおける血漿濃度特性を測定するために使用され得、それにより、製剤が、本明細書において立案される薬物動態の基準を満たすかどうかを確立する。例えば、しかし限定することなく、一種の無作為化された単回投与の交差研究は、健康な成人のヒト被験体のグループを使用して利用され得る。被験体の数は、統計分析における変動の適切な制御を提供するのに十分であり得、典型的に約8以上であるが、特定の実施形態において、より小さなグループが使用され得る。1つの実施形態において、被験体は、0時間で、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物を含む試験吸入混合物の1回量の投与を受ける。血液サンプルは、投与前、及び投与後の様々な間隔で各被験体から集められる。血漿は、遠心分離によって血液サンプルから分離することができ、分離した血漿は、例えば、「Ramu et al., Journal of Chromatography B, 751:49−59 (2001)」に記載されるもの等の、有効な高速液体クロマトグラフィー/直列重量分光測定(tandem weight spectrometry)(LC/APCI−MS/MS)の手順によって分析される。他の実施形態において、単一の被験体からのデータが集められ、pK特性を構築するために使用され、及び増強された薬物動態の特性を示し得る。また他の実施形態において、適切なインビトロ(in vitro)のモデルが、pK特性を構築するために使用され、及び増強された薬物動態の特性を実証又は示し得る。
幾つかの実施形態において、ヒトpK特性は、相対成長率の使用によって得られ得る。1つの実施形態において、ラットのエアロゾル肺データ及び血漿送達は、可能なヒトのデータの指標を提供するために計られる。1つの実施形態において、相対成長率は、「USA FDA Guidance for industry−Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers」において確立されるパラメータを使用する。
所望の薬物動態の特性を与える任意の水性の吸入可能な混合物は、本方法に従った投与に適しているかもしれない。
本明細書で使用されるように、医薬品のインビボ(in vivo)の濃度の「ピーク期間」は、製薬の濃度がその最大の血漿又は疾患部位の濃度の少なくとも50%である場合、製薬の投与間隔の時間として定義される。幾つかの実施形態において、「ピーク期間」は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の投薬の間隔を記載するために使用される。
幾つかの実施形態において、肺疾患の処置を考慮すると、本明細書に記載の方法又はシステムは、肺疾患の処置のため、少なくとも薬物動態学の特性において2倍の増強を供給する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法及びシステムは、経口投与と比較して、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の肺組織の薬物動態の特性において少なくとも2倍の増強を提供する。
幾つかの実施形態において、5−カルボキシ−ピルフェニドン(主要なピルフェニドン肝臓代謝物質)の遅れた出現は、本明細書に記載の方法及びシステムから観察された。幾つかの実施形態において、肺組織からのピルフェニドンの迅速な除去が観察された。肺組織からのピルフェニドンの最初の迅速な除去と、血漿におけるピルフェニドンの平行する出現の比較は、直接の経肺投与がピルフェニドンの全身性の投与にとって優れた経路であり得ることを示唆する。5−カルボキシ−ピルフェニドン代謝物質の遅れた出現は、この代謝物質が、肺への直接のエアロゾル投与の後、肺及び他の組織へのピルフェニドンの再循環のための標識として機能するというこの仮説を支持する。幾つかの実施形態において、再循環されたピルフェニドンは、肺及び潜在的に有効な他の組織における長期的な、上昇されたピルフェニドンレベルを支持することに恐らく重要である。
幾つかの実施形態において、吸入によってヒトに投与されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の量は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物、及び尿の中に見出される関連する代謝物質の量の測定により計算され得る。幾つかの実施形態において、投与されるピルフェニドンの約80%は、尿(95%が一次代謝産物、5−カルボキシ−ピルフェニドンである)に分泌される。幾つかの実施形態において、尿中の化合物及び代謝物質に基づいた計算は、48回の採尿(単一の投与後の)を通じて行われ、それにより、ヒトに送達されたピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の総量は、測定されたピルフェニドンとその代謝物質の合計である。制限のない例によって、ピルフェニドンの80%が分泌されたことが知られており、ピルフェニドンとその代謝物質の50mgの合計の尿の測定は、約63mgの送達用量に翻訳する(translate)(80%で割った50mg)。制限のない例によって、吸入されたエアロゾル微粒子画分(FPF)が75%である場合、薬物の約75%が肺に堆積した(及び、約25%は呑み込まれ、続いて、80%が尿に分泌された腸から吸収された)ことが仮定され得る。63mgの送達用量(尿中分泌によって測定されるように)のこれらの2つの計算を統合すると、約47mgは、肺に送達される、吸入されたエアロゾルのピルフェニドンの量となる(実際のRDD;63mg及び75%のFPFの生成物として計算される)。その後、このRDDは、肺組織濃度を含めて、様々な計算において使用され得る。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法又はシステムは、本明細書に記載されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の薬物動態の特性を提供する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法又はシステムは、実施例6及び7におけるようなピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の薬物動態の特性を提供する。
幾つかの実施形態において、肺線維症の処置におけるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の効果は、吸入によるヒトへの連続投与を通じて達成される。実施例6及び7に示されるように、吸入によるヒトへのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の投与は、経口送達と比較して、より高いCmaxレベルを提供する。幾つかの実施形態において、吸入によって投与されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の溶液は、経口送達と比較して、より高いCmaxレベルを提供する。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の最適な投与スケジュールを明確にするために、ピーク時(peak period)が使用される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の溶液は、週に1回より多く投与される。
少量の気管内のエアロゾル用量は、急速に排除された高い肺Cmax及び低いAUCを送達する。ヒト、動物、及びインビトロの研究は全て、ピルフェニドン効果が用量応答性である(即ち、より多くの用量が効果の向上に関連する)ことを示し、且つCmaxがピルフェニドン効果において重要な制御因子(driver)であることを示唆する。肺Cmaxは効果に重要であると思われる一方で、より規則的なピルフェニドン曝露も、この効果を増強するのに重要であると思われる。幾つかの実施形態において、ヒトの肺疾患を処置するコンテキストにおいて、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物のより頻繁な直接の肺投与は、繰り返しの高いCmaxの投薬、及び活性な治療剤のより規則的な曝露の提供の両方を通じて、利益を提供し得る。
幾つかの実施形態において、本明細書には、哺乳動物の肺疾患の処置方法が記載され、該方法は、連続的な投与スケジュールでピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物を、それを必要とする哺乳動物の肺に直接投与する工程を含み、ここで、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量の観察された肺組織Cmaxは、0.1mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量から観察された肺組織Cmaxは、0.5mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量から観察された肺組織Cmaxは、1.0mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量から観察された肺組織Cmaxは、5mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量から観察された肺組織Cmaxは、10mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量から観察された肺組織Cmaxは、15mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量から観察された肺組織Cmaxは、20mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量から観察された肺組織Cmaxは、25mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量から観察された肺組織Cmaxは、30mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量から観察された肺組織Cmaxは、35mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量から観察された肺組織Cmaxは、40mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量から観察された肺組織Cmaxは、45mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量から観察された肺組織Cmaxは、50mcg/グラムの肺組織よりも大きい。幾つかの実施形態において、前記用量は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の水溶液を含む。幾つかの実施形態において、前記用量は、液体噴霧器で投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、週に1回より多く投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、連続的な毎日の投与スケジュールで投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の単一用量は、週に1回より多く、週に2回より多く、週に3回より多く、週に4回より多く、週に5回より多く、週に6回より多く、又は毎日、投与される。
幾つかの実施形態において、本明細書には、哺乳動物の肺疾患の処置方法が記載され、該方法は、連続的な投与スケジュールでピルフェニドン又はピリドンのアナログを、それを必要とする哺乳動物の肺に直接投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、a)哺乳動物の肺に直接投与される用量からのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の肺組織Cmaxは、少なくともピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の経口投与量の801mgまでの肺組織Cmax以上であり;及び/又は、b)哺乳動物の肺に直接投与される用量からのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の血液AUC0−24は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の経口投与量の801mgまでの血液AUC0−24以下である。幾つかの実施形態において、a)哺乳動物の肺に直接投与される用量からのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の肺組織Cmaxは、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の経口投与量の801mgまでの肺組織Cmax以上であり;及び、b)哺乳動物の肺に直接投与される用量からのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の血液AUC0−24は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の経口投与量の801mgまでの血液AUC0−24以下である。幾つかの実施形態において、a)哺乳動物の肺に直接投与される用量からのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の肺組織Cmaxは、少なくともピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の経口投与量の801mgまでの肺組織Cmax以上であり;又は、b)哺乳動物の肺に直接投与される用量からのピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の血液AUC0−24は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の経口投与量の801mgまでの血液AUC0−24以下である。幾つかの実施形態において、前記用量は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の水溶液を含む。幾つかの実施形態において、前記用量は、液体噴霧器で投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、週に1回より多く投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の単一用量は、週に1回より多く、週に2回より多く、週に3回より多く、週に4回より多く、週に5回より多く、週に6回より多く、又は毎日、投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、連続的な毎日の投与スケジュールで投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、1日1回、1日2回、又は1日3回、投与される。
<投薬の方法及び処置レジメン>
1つの態様において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物による治療を必要とするヒトに毎日投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、吸入によってヒトに投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、1日1回投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、1日2回投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、1日3回投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、隔日で投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、週に2回投与される。
一般的に、ヒトにおける本明細書に記載の疾患又は疾病の処置のために使用される、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の用量は典型的に、1つの用量当たり約0.001mg乃至約10mgのピルフェニドン/kg(体重)の範囲にある。1つの実施形態において、所望の投与量は、単回投与で、又は同時に(若しくは短時間にわたり)投与される分割用量で、或いは適切な間隔(例えば一日に2回、3回、4回、又はそれ以上の下位投与量)で、都合よく提供される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、1日1回同時に(又は、短期間にわたり)投与される分割量で、都合良く提供される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、1日2回、均等な量で投与される分割量で、都合良く提供される。
幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、吸入によってヒトに毎日投与される。幾つかの実施形態において、ヒトにピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、1つの用量当たり約0.001mg乃至約10mgのピルフェニドン/kg(体重)の用量で、経口投与される。幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物は、連続的な毎日の投与スケジュールで、吸入によってヒトに投与される。
用語「連続的な投与スケジュール」は、等間隔での特定の治療剤の投与を指す。幾つかの実施形態において、連続的な投与スケジュールは、特定の治療剤からの任意の休薬期間を設けることなく、通常の間隔での特定の治療剤の投与を指す。幾つかの他の実施形態において、連続的な投与スケジュールは、サイクルにおける特定の治療剤の投与を指す。幾つかの他の実施形態において、連続的な投与スケジュールは、特定の治療剤から休薬期間(例えば、ウオッシュ・アウト期間、又は薬物が投与されない他のそのような期間)の後の、薬物投与のサイクルにおける特定の治療剤の投与を指す。例えば、幾つかの実施形態において、治療剤は、1日1回、1日2回、1日3回、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、週に6回、週に7回、隔週、3日おき、4日おき、1週間治療剤を投与しなかった後に1週間毎日、1又は2週間治療剤を投与しなかった後に2週間毎日、1、2、又は3週間治療剤を投与しなかった後に3週間毎日、1、2、3、又は4週間治療剤を投与しなかった後に4週間毎日、1週間治療剤を投与しなかった後に毎週の治療剤の投与、2週間治療剤を投与しなかった後に隔週の治療剤の投与で、投与される。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日1回である。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日2回である。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日3回である。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日3回より多い。
用語「連続的な毎日の投与スケジュール」は、毎日およそ同時での、毎日の特定の治療剤の投与を指す。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日1回である。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日2回である。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日3回である。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日3回より多い。
幾つかの実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の量は、1日1回投与される。幾つかの他の実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の量は、1日2回投与される。幾つかの他の実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の量は、1日3回投与される。
ヒトの疾患又は疾病の状態の改善が観察されない特定の実施形態において、ピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の毎日の用量は、増大する。幾つかの実施形態において、1日1回の投与スケジュールは、1日2回の投与スケジュールに変わる。幾つかの実施形態において、1日3回の投与スケジュールが、投与されるピルフェニドン又はピリドンのアナログの化合物の量を増加させるために利用される。幾つかの実施形態において、吸入による投与の頻度は、より定期的に繰り返しの高いCmaxレベルを提供するために増大する。幾つかの実施形態において、吸入による投与の頻度は、ピルフェニドンへの、維持された又はより規則的な暴露を提供するために増大する。幾つかの実施形態において、吸入による投与の頻度は、より定期的に繰り返しの高いCmaxレベルを提供し、且つピルフェニドンへの、維持された又はより規則的な暴露を提供するために増大する。
幾つかの実施形態において、人に与えられる活性治療剤のより規則的な暴露を提供する、繰り返しの高いCmax投薬の量は、限定されないが、疾患又は疾病の状態及び重症度、ヒトの主体性(例えば重量)、及び(適用可能であれば)投与される特定の付加的な治療剤に依存して、変わる。
<実施例>
<実施例1:ピルフェニドン製剤>
ピルフェニドンの組成物の非限定的な制限的でない例は、表1−1乃至表1−11に記載されたものを含む。
幾つかの実施形態において、ピルフェニドンは、約4.0乃至約8.0のpH範囲に亘って、17mg/mLまでの水溶解度を示した。しかしながら、この(及びより低い)濃度では、噴霧化された溶液(そうでなければ低張溶液)の吸入の際に急性の耐性を改善するために、塩添加が必要とされることが測定された。浸透圧を処理するために、NaCl又はMgCl2を加えた。幾つかの実施形態において、NaClの追加は、急性の耐性を改善したが、製剤を不安定にし、結果として周囲の保存の際に、沈澱反応を生じさせた。幾つかの実施形態において、MgCl2の追加が、許容可能な範囲内の重量オスモル濃度を備えたこの濃度で、安定した、可溶性溶液を維持することが測定された。制限的でない例によって、ピルフェニドンが15mg/mL(又は81mM)である場合、81mMのMgCl2は、マグネシウム対ピルフェニドンの1:1のモル比を提供する。この効果もまた、マグネシウム対ピルフェニドンの1:1及び1:2のモル比を備える、様々なピルフェニドンの濃度で観察されたが、マグネシウム対ピルフェニドンの0.25:1以下、又は1:0.33以上の比では、それぞれ観察されなかった。この効果は、pH 4.0及びpH 5.8で5mM乃至50mMのクエン酸緩衝液、及びpH6.2、pH7.3、及びpH 7.8で5mM乃至50mMのリン酸緩衝液において観察された。他の観察は次のものを含んでいる:1)両方の緩衝系の製剤は、金属味、苦味及び喉の刺激を示した;2)0.1から0.7mMまでのサッカリンナトリウムは、これらの製剤を矯味することが要求された;3)0.6mMのサッカリンナトリウムは、最良の濃度であり、リン酸緩衝液中のピルフェニドン対マグネシウムの2:1のモル比の風味を、1:1のモル比のものよりも多く改善した;4)サッカリンナトリウムのないクエン酸緩衝液中のピルフェニドン対マグネシウムの2:1のモル比の味は、0.6mMのサッカリンナトリウムを含むリン酸緩衝液中のピルフェニドン対マグネシウムの1:1のモル比と同等であった;5)0.2mMのサッカリンナトリウムを含むクエン酸緩衝液中のピルフェニドン対マグネシウムの2:1のモル比の味は、0.6mMのサッカリンナトリウムを含むリン酸緩衝液中のピルフェニドン対マグネシウムの2:1のモル比と同等であった;6)0.6mMのサッカリンナトリウムを含むクエン酸緩衝液中のピルフェニドン対マグネシウムの1:1のモル比の味は、0.6mMのサッカリンナトリウムを含むリン酸緩衝液中のピルフェニドン対マグネシウムの2:1のモル比と同等であった;7)及び、pH6までのいずれかの緩衝系におけるピルフェニドン対マグネシウムの2:1のモル比を溶解するのに必要とされる時間の40%以内で溶解される、ピルフェニドン対マグネシウムの1:1のモル比。この効果は、pH8まででは観察されなかった。
<実施例2:緩衝液及びpHの効果の発展研究>
クエン酸及びリン酸緩衝液中のピルフェニドンの溶解度を調べた(表2)。ピルフェニドン(250mg)を、水又は水単独中の5 mLの緩衝液で再構成し、超音波処理とボルテックスで完全に混合した。サンプルを一晩、室温で攪拌した。サンプルを視覚的に検査し、外観を記録し、遠心分離し、任意の未溶解の材料を沈殿させ、そして上清を0.22μmのPVDFフィルタを通し、シリンジを介して取り除いた。濾過されたサンプルを、次の点に関して試験した:外観、pH(USP<791>)、重量オスモル濃度(USP<785>)、及びRP−HPLCによるピルフェニドン濃度及びピルフェニドン %純度。残留する濾過されたサンプルを、ガラスバイアルで3つの等しい容積に分け、25℃/60RH、40℃/75RH、及び冷蔵に置いた。サンプルを、アルミホイルで覆い、光曝露を少なくした。第一夜のインキュベーションの後、変色又は沈澱生成の任意の兆候について、サンプルを簡単に視覚的に調査した。
表2は、記載された条件下において観察されたピルフェニドンの溶解度を示す。
<実施例3:共溶媒及び界面活性剤の効果>
追加された共溶媒(エタノール、プロピレングリコール、又はグリセリン)及び界面活性剤(ポリソルベート80又は臭化セチルピリジニウム)の存在する状態でのピルフェニドンの溶解度を調査した。水性のビヒクルの緩衝液タイプ、強度、及びpHを、緩衝液/pHの効果の研究結果(実施例2)からの結果に基づいて選択する。ピルフェニドン(375mg)を、表3に示される5 mLの各溶媒系で再構成する。
各々のサンプルを一晩、室温で攪拌した。サンプルを、視覚的に検査し、外観を記録した。サンプルを、遠心分離し、任意の未溶解の材料を沈殿させ、そして上清を0.22μmのPVDFフィルタを通し、シリンジを介して取り除いた。濾過されたサンプルを、次の点に関して試験した:外観、pH(USP<791>)、重量オスモル濃度(USP<785>)、及びRP−HPLCによるピルフェニドン濃度及びピルフェニドン %純度。残留する濾過されたサンプルを、ガラスバイアルで3つの等しい容積に分け、25℃/60RH、40℃/75RH、及び冷蔵に置いた。サンプルを、アルミホイルで覆い、光曝露を少なくした。インキュベーションの第一夜の後、サンプルを、変色又は沈澱生成の任意の兆候のために、簡潔に、視覚的に調査した。
エタノール(EtOH)及びプロピレングリコール(PG)の両方は、ピルフェニドンの飽和溶解度を増加させる。エタノール及びプロピレングリコールはともに、ピルフェニドンの飽和溶解度を増加させる際の、相加効果を有する。
選択された製剤を、味の試験及び喉の刺激及び又は咳嗽反応のための重量オスモル濃度の測定及び噴霧化の対象とした。表4は、これらの結果を示す。
表4からの結果は、共溶媒含有製剤が、比較的高い重量オスモル濃度を含むことを示す。意外なことに、これらの高いオスモル溶液は、乏しい吸入の耐性を示さない。8%(v/v)以内のエタノールと16%(v/v)のプロピレングリコールとを含む溶液は、最小限の苦い後味を備える甘味、最小限の喉の刺激、及び咳嗽反応の最小限の刺激を有する。共溶媒を欠く製剤を、約15mg/mLに限定する。これらの同じ製剤は、苦い、わずかに金属味を示した。意外なことに、共溶媒を可能にする高濃度のピルフェニドン製剤(制限的でない例により、44mg/mLまで)は、これらの乏しい味の特徴を示さない。
飽和ピルフェニドン製剤は、試験条件下で2乃至5日まで安定しているように見えた。しかしながら、すべての場合に、ピルフェニドンは、最終的に再度結晶化した。この再結晶化を、サンプルの前濾過によって阻害しなかった。この観察から、飽和よりも低いピルフェニドンの濃度を、調査した。85%の飽和ピルフェニドンの濃度をいくつかの温度に曝露した。これらの結果を表5に示す。
表5からの結果は、これらの85%のピルフェニドンの飽和製剤が、4℃に至るまで(少なくとも次の一晩の培養で)、再結晶化しないことを示す。これらの結果は、これらの製剤が4℃に至るまで周期的な曝露よりも残存し、冷凍したとしても、攪拌なしに再溶解するであろうことを示唆する。
追加の研究は、安定性評価のために最適化された共溶媒の強度の機能として、5mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH 6.5中でピルフェニドンの安定性を試験した。標的の濃度は、各々の特定された共溶媒の濃度で可能なおよそ85%の飽和濃度を表す。2つの追加の製剤が、特定の製剤中の1mg/mLでのピルフェニドンの安定性を試験した。ピルフェニドン(量は表6に概説される)を、記載されるように100mLのビヒクルで再構成し、攪拌によって完全に混合した。サンプルを、完全に溶解されるまで攪拌した。一旦溶解すると、サンプルを0.22μmのPVDFフィルタを通して、シリンジを介して濾過した。
サンプルを冷却し、濾過及び分散の間に、揮発性の共溶媒(エタノール)の蒸発損失を減少させた。各々の製剤の約5.0−mLのアリコートを、適切な閉鎖(20mmの栓)を備えた高位規格(class A)のガラスの6mlの容器に移した。少なくとも8の容器を、25℃/60RHで直立方向で維持し、そして別の8つの容器を、40℃/75RHで維持する。各々の製剤につき1つの容器を、次のものをテストすると共に、最初の評価、t=0に使用した:外観、pH、重量オスモル濃度、ピルフェニドンアッセイ(%のラベル表示として報告される)のためのHPLC=RP−HPLC、及び個々の不純物(%のピルフェニドン及びRRTとして報告される)。安定した時点の試験は、外観、及びピルフェニドンアッセイ(%のラベル表示として報告される)並びに個々の不純物(%のピルフェニドン及びRRTとして報告される)を評価するであろう。
各々の異なる製剤については、サンプルを、表7に示されるスケジュールに従って試験する。
選択された製剤を、ラットの肺へのエアロゾル送達の後の薬物動態学的分析のために調製した。これらの研究において、肺、心臓、腎臓、及び血漿の組織のサンプルを、ピルフェニドン及び代謝産物の含有率のために分析した(表16乃至19)。この研究のために調製された製剤を、表9に概説する。簡潔には、この研究は、最適化された共溶媒の強度の機能として、5mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH 6.5中でピルフェニドンを調製した。各製剤での標的濃度は、12.5mg/mLである。ピルフェニドン(表9に記載されるような量)を、記載されるように30mLのビヒクルで再構成し、攪拌によって完全に混合した。完全に溶解するまで、サンプルを攪拌した。一旦ピルフェニドンが完全に溶解すると、製剤を0.22μmのPVDFフィルタを通して、シリンジを介して濾過した。濾過されたサンプルを、HPLCによって分析した。
その後、サンプルを冷却し、濾過及び分散の間に、揮発性の共溶媒(エタノール)の蒸発損失を減少させた。製剤を、適切な閉鎖(20mmの栓)を備えた高位規格(class A)のガラス容器(およそ10 mL)に移した。
<実施例4:噴霧化装置の性能>
選択された製剤を、噴霧化装置のエアロゾル特性評価のために調製する。簡潔には、この研究は、最適化された共溶媒強度の機能として、5mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH 6.5中でピルフェニドンを調製した。これらの製剤を、表10に概説する。ピルフェニドン(表10にリストされるような量)を記載されるように再構成し、攪拌によって完全混合した。各々のサンプルを、完全に溶解するまで、攪拌した。一旦完全に溶解されると、製剤を0.45μmのPVDFフィルタを通して、シリンジを介して濾過した。濾過したサンプルを、HPLCによって分析した。
各々のサンプルを冷却し、濾過及び分散の間に、揮発性の共溶媒(エタノール)の蒸発損失を減少させた。表10に記載されるように、各々の製剤を、適切な閉鎖を備えた高位規格(class A)のガラス容器に移した。
<Philips I−neb(登録商標)AADシステム>
エアロゾル分析のために、各々のI−neb呼吸駆動型噴霧器の3つのユニットを、各々の装置/製剤の組み合わせについて3通り、試験した。Malvern Mastersizerのエアロゾル粒径測定器を使用して、粒度及び分布を特徴づけた。報告されたパラメータは、質量中央径(MMD)、スパン、細粒分(FPF=%≦5ミクロン)、出力速度(毎秒mg 製剤)、噴霧化された容積、送達された容積(FPFの範囲での用量の容積)、呼吸に適した送達用量(mg 送達されたピルフェニドンの容積)であった。エアロゾルの出力を、1.25Lの換気の容積を用いて、5秒の吸入、2秒の吐き出しの呼吸パターンを使用して測定した。その結果を表11に示す。
<PARI eFlow(登録商標)−35ヘッド>
エアロゾル分析のために、35−ヘッドを含む各々のe−Flow噴霧器の3つのユニットを、各々の装置/製剤の組み合わせについて2通り、試験した。Insitec Spraytec Laser Particle測定器を使用して、粒度及び分布を特徴づけた。報告されたパラメータは、容積測定の中央径(VMD)、幾何学的な標準偏差(GSD)、用量を噴霧化する時間(持続時間)、噴霧化後に残留する用量(死容積)、及び細粒分(FPF=%≦5ミクロン)であった。各製剤の4 mLを試験した。その結果を表12に示す。
<Aerogen Aeroneb(登録商標)Solo>
エアロゾル分析のために、2と4の間のユニットの、Aeroneb(登録商標)Pro−Xコントローラを備えた各々のAeroneb(登録商標)Solo噴霧器を、各々の製剤で試験した。Malvern Spraytechエアロゾル粒子測定器を使用して、粒径及び分布を特徴づけた。報告されたパラメータは、容積測定の中央径(VMD)、幾何学的な標準偏差(GSD)、用量を噴霧化する時間(持続時間)、噴霧化後に残留する用量(死容積)、及び細粒分(FPF=%≦5ミクロン)であった。各々の製剤の1 mLを試験した。その結果を表13に示す。
<実施例5:処理温度の発展研究>
この研究は、この温度及び飽和溶解度での安定性を良く理解するために、水溶液中のピルフェニドンの上記の周囲温度の安定性を試験した。この情報を、本発明の製造工程の実施形態において利用してもよく、ここで、共溶媒及び/又は界面活性剤及び/又はカチオンの追加の存在下又はその後で、高温のピルフェニドンの水溶解、及びその後の周囲温度への冷却は、周囲温度の溶解のみ(ambient temperature dissolution alone)よりも高いピルフェニドンの飽和溶解度を提供する。このプロセスにおいて、追加された共溶媒及び/又は界面活性剤及び/又はカチオンは、冷却プロセス中に、高温で溶解されたピルフェニドンを安定させ、長期保存のための安定した、高濃度の、周囲温度の製剤を提供し得る。あるいは、追加された共溶媒及び/又は界面活性剤及び/又はカチオンは、周囲温度の溶解のみよりも大きな、溶液中で維持するための可溶性のピルフェニドンへのアクセスを提供し得る。あるいは、高温の溶解を、製造プロセスの実施形態へ統合して、溶解時間を減らし、及び/又は溶解時間及び溶解の程度に対するロット間の結晶構造、無形質の内容物、及び多形変動性の効果を減らし得る。
製剤を、表11に記載されるように調製した。簡潔には、この研究は、エタノール、プロピレングリコール、及び/又はポリソルベート80の存在下で、5mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH 6.5中で250mgのピルフェニドンを調製した。各々の製剤の最終的な容積は、5 mLであった。ピルフェニドン(表11にリストされるような量)を、記載されるように再構成し、攪拌によって完全に混合した。各々のサンプルを完全に混合し、一晩60℃で攪拌した。60℃から25℃までの急冷及び段階的な冷却を行った。HPLC分析を、一晩のインキュベーション後に、及び25℃への冷却の後に得られたサンプルについて行った。HPLC分析の前に、製剤を0.45μmのPVDFフィルタを通して、シリンジを介して濾過した。この評価のための結果を、表14に示す。
表14における結果は、ピルフェニドンを60℃に加熱することは、50mg/mLまで、又は潜在的にそれを超えた、十分な溶解を可能にすることを示す。この溶解された材料の25℃までの急冷は、急速な再結晶につながった(示されないデータ)。25℃までの緩やかな冷却(さらに温度を下げる前に、各々のプロセスで生じる温度平衡とともに、60℃から40℃、30℃、そして25℃まで段階的に)は、ピルフェニドンを、各々の溶液が最終的に再結晶化する前の数時間、約50mg/mLで溶液中にとどまらせることを可能とする。再結晶前(30℃で、又は25℃で平衡の後のいずれか)に、各々の製剤を濾過することは、著しく延長(extend)せず、又は再結晶化を防がなかった。ピルフェニドンの溶解時間は、加熱により減らされ、溶解プロセスの間にこの温度で安定しているように見える。したがって、ピルフェニドン製剤を加熱することは、製造プロセスの実施形態において有益かもしれず、周囲温度で観察された、より遅い溶解を克服し得る。
<実施例6:薬物動態及び肺の組織分布>
Sprague−Dawleyラット(300から350グラム)に、経口(経管栄養)又はエアロゾル(気管内のPenn Century MicroSprayer(登録商標)の噴霧カテーテル)の経路のいずれかによって、ピルフェニドンを投与した。経口投与のために、50mgのピルフェニドンを、0.5%のCMCを含む、3.33mLの蒸留水中で、15mg/mLの終末濃度へ溶解した。溶液を、すべての結晶が溶解するまで、ボルテックスした。ラットに、70mg/kgのピルフェニドン(1.4 mLまで)を投与した。血漿サンプルを、投与前、及び投与の0.08時間後、0.16時間後、0.25時間後、0.5時間後、0.75時間後、1.0時間後、1.5時間後、2、4時間後及び6時間後に得た。肺組織のサンプルについては、8つの追加のラットにも、経口経路によって70mg/kgを投与した。肺を、投与前、及び投与の0.08時間後、0.5時間後、2時間後及び4時間後に得た。材料を抽出し、ピルフェニドンをμg/mLの血漿及びμg/グラムの肺組織として定量化した。エアロゾル投与については、60mgのピルフェニドンを、81mMのMgCl2を含む、10mMのリン酸緩衝液、pH 6.2に溶解した(1:1のピルフェニドン対マグネシウム)。ラットに、噴霧カテーテルによって、5mg/kgのピルフェニドン(100μLまで)を投与した。血漿サンプルを、投与前、及び投与の0.08時間後、0.16時間後、0.25時間後、0.5時間後、0.75時間後、1.0時間後、1.5時間後、2時間後、4時間後及び6時間後に得た。肺組織のサンプルについては、8つの追加のラットにも、経口経路によって70mg/kgを投薬した。肺を、投与前、及び投与の0.08時間後、0.5時間後、2時間後及び4時間後に得た。材料を抽出し、ピルフェニドンをμg/mLの血漿及びμg/グラムの肺組織として定量化した。これらの研究からの結果を、表15に示す。
<実施例7:共溶媒の製剤の薬物動態及び組織分布>
共溶媒の製剤(表9に記載される)の薬物動態及び組織分布を評価するために、3通りのSprague−Dawleyラット(350乃至400グラム)に、ボーラスのエアロゾル(気管内のPenn Century MicroSprayer(登録商標)の噴霧カテーテル)によって、ピルフェニドンを投与した。ラットに、噴霧カテーテルによって、約4mg/kg(150μLまで)のピルフェニドンを投薬した。血漿サンプル、及び全肺、心臓及び腎臓を、投与前、及び投与の0.033時間後、0.067時間後、0.1時間後、0.167時間後、0.333時間後、0.667時間後、1.0時間後、1.5時間後、2時間後及び2.5時間後に得た。材料を抽出し、μg/mLの血漿及びμg/グラムの肺、心臓、又は腎臓の組織として定量化した。これらの研究からの結果を、表16から19に示す。これらの研究において、有害事象は示されなかった。
共溶媒の組織分布への効果の研究からの結果は、16%のプロピレングリコールを備えた8%までのエタノールの存在が、0.4%の塩化ナトリウム製剤と比較して、組織又は血漿の薬物動態的特性を変化させることを示す。さらに、これらの結果は、5−カルボキシ−ピルフェニドン(主要なピルフェニドンの肝臓代謝物)の遅発性出現を示す。肺組織からのピルフェニドンの最初の迅速除去と、血漿中のピルフェニドンの並列出現(parallel appearance)の比較は、直接の経肺投与が、ピルフェニドンの全身投与のために優れた経路であり得ることを示唆する。5−カルボキシ−ピルフェニドンの代謝物の遅発性出現は、この代謝産物が、肺への直接のエアロゾル投与の後に、肺及び他の組織へのピルフェニドンの再循環のための標識として役立つという仮説を支持する。さらに、表15及び16で示唆され、図1及び表20でモデル化されたデータによって支持されるように、再循環されるピルフェニドンは、潜在的有効性の、肺及び他の組織における長期間のピルフェニドンレベルに寄与する可能性が高い。
噴霧器からの10乃至12分間の噴霧投与の後の、ピルフェニドンのヒトの肺の組織分布及び関連した薬物動態を理解するために、ボーラスの噴霧カテーテル投与の後の、計測されたラットの薬物動態及び肺の組織分布のデータを計量した。簡潔には、相対成長率を使用して、ラットのエアロゾルの肺のデータ及び血漿の送達を、ヒトに対して計量した。ラットのデータを、表16及び17から得た。相対成長率は、US FDA Guidance for Industry−Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers. July, 2005、及びCaldwell et al., European journal of Drug Metabolism and Pharmacokinetics, 2004, Vol. 29, No. 2, pp.133−143において確立されるパラメータを使用した。比較のため、経口投与から結果として生じる、ヒト血漿の薬物動態のデータを、Rubino et al., 2009で直接得た。経口のデータについては、摂食状態のヒトのデータを使用した。血漿のピルフェニドンをエアロゾル投与から送達する場合の、血漿のピルフェニドンの薬物動態をモデル化するために、絶食状態のヒトからの薬物動態データを使用した(Rubino et al., 2009)。吸入されたエアロゾル由来の血漿のピルフェニドンレベルを、5,000mLの全血液量に対して、吸入された、呼吸に適して沈着したピルフェニドンの、仮定された100%の生物学的利用能に基づいて計算した。肺の組織分布及び薬物動態に対する血漿由来のピルフェニドンの寄与(経口又はエアロゾルの吸入投与のいずれかから)は、血漿のピルフェニドンの50%を肺組織に送達した、任意の所定の時間で仮定した。実施例によって、10μg/mLの血漿レベルは、肺組織に対して5μg/グラムのピルフェニドンに寄与した。この分析の結果を、図1及び表20に示す。
エアロゾル送達のパラメータ(aerosol deliver parameters)は、高効率で、メッシュベースの噴霧器における、表10の製剤の特性に基づいた。呼吸に適した送達用量(RDD)は、細粒分(FPF、%<5ミクロン)及び吸入された質量の生成物によって計算された。約110mgのRDDを、5mLの装置に充填された用量の、40mg/mLのピルフェニドン製剤(200mgの充填された用量)から計算した。FPF及び吸入された質量は、それぞれ85%及び67%であった。吸入された質量を、呼吸パターンに基づいて計算した。1:1の吸入:eFlow装置及び35ヘッドを使用する呼気呼吸パターン(例えば、2秒の呼気の後の2秒の吸入)は、約67%の吸入された質量を生産すると予想される。このことから、2:1の呼吸パターン(例えば、2秒の呼気の後の4秒の吸入)は、約74%と約80%の間の吸入された質量を生成し得る。74%の吸入された質量及び85%のFPFを使用して、200mgの装置を充填した用量は、約125mgのRDDを生成し得る。同様に、80%の吸入された質量は、200mgの装置を充填した用量から約136mgのRDDを生成し得る。継続して、3:1の呼吸パターン(例えば、2秒の呼気の後の6秒の吸入)は、約80%と約87%の間の吸入された質量を生成し得る。87%の吸入された質量及び85%のFPFを使用して、200mgの装置を充填した用量は、約148mgのRDDを生成し得る。幾つかの実施形態において、RDDを、追加の手段:制限的でない例によって、装置を充填した容積を変化させること、及び/又は製剤のピルフェニドン濃度を変化させることによって、さらに増加させ、又は減少させ得る。幾つかの実施形態において、製剤濃度を50mg/mLに増加させること、及び5mLの装置を充填した容積を使用することは、250mgの装置を充填した用量を提供するであろう。85%のFPF及び約67%の吸入された質量を使用すると、250mgの装置を充填した用量は、約142mgのRDDを生成し得、74%の吸入された質量は、約157mgのRDDを生成し得、80%の吸入された質量は、約170mgのRDDを生成し得、そして、87%の吸入された質量は、約185 mgのRDDを生成し得る。追加の用量の段階的拡大は、ピルフェニドン製剤への増加した共溶媒の追加により可能となる。同様に、用量の段階的縮小は、減少した装置を充填した用量(減少した容積及び/又は減少したピルフェニドン製剤の濃度)及び/又はそれほど効率的でない呼吸パターンで可能である。相対成長率は、動物とヒトの間の薬物動態のパラメータ、及び投薬量スケーリングを予想するために確立された手段である一方、相対成長率によって予想される期間よりも十分に長く肺に残る、ヒトに吸入される治療を支持する先例が存在する。この可能性もまた、より長い肺のピルフェニドンの滞留時間を結果として生じさせ、減少した血漿曝露に転換し得る。
<実施例8:共溶媒の製剤の薬物動態及び組織分布>
以前の気管内エアロゾル送達(実施例6を参照)は、肺の第1の分岐の真上の単回のボーラス点滴として実行された。インビボの効能研究については、投与量を等量に分けて、これまでのように、ただし、2分間にわたって、投与することによって、換気の吸入による呼吸を模倣する試みがなされた。この作業について、4つの群のウィスターラット(300−500グラム)に、合計して2分間にわたって、1匹の動物当たり全部で300mcLを、1匹の動物あたり50mcLの等しい6回分の投与量にわけて(およそ20秒あけて)ボーラスエアロゾル(気管内のPenn Century MicroSprayer(登録商標)の噴霧カテーテル)によって、あるいは、ボーラスの経口での胃管栄養(1匹の動物あたり300mcL/)によって、ピルフェニドンを投与した。
投与量を0.45%の塩化ナトリウム溶液中で調製し、表21に記載されているように投与した。
血漿サンプルおよび全肺を、投与前、投与の2、4、6、10、30、60、および、120分後に、採取した。材料を抽出し、mcg/mL血漿、および、μg/グラム肺組織として、ピルフェニドンで定量化した。これらの研究結果を表22に示す。これらの研究では顕著な有害事象はなかった。
<実施例9:インビボの有効性−肺線維症のブレオマイシンモデル>
長時間の気管内の直接的な肺エアロゾル投与と経口の胃管栄養の間の抗繊維症の有効性を比較するために、肺線維症のブレオマイシンモデルで行った。この研究の投与量は、表22(実施例8からの)で得られる薬物動態学的パラメータに基づいて選択した。簡潔に言えば、ウィスターラット(175−225グラム)に、Penn Century MicroSprayer(登録商標)のカテーテルを使用して、気管内の経路でブレオマイシンを投与した。ブレオマイシン暴露後の7日目に、動物に、食塩水またはピルフェニドンによる処置を始めた。動物に、7日目から28日目まで一日に一度投与し、29日目に安楽死させた。ピルフェニドンは、Penn Century MicroSprayer(登録商標)のカテーテルを使用して気管内に、あるいは、経口の胃管栄養によって投与した。偽のおよびブレオマイシンの対照群は、処置を受けなかったか、あるいは、Penn Century MicroSprayer(登録商標)のカテーテルによって気管内で食塩水を受け取った。より頻繁に(あるいは頻度を減らして)投与を行うことにより、観察された効果が改善されることもある一方で、気管内の投与に必要な麻酔は、動物の体重の増加を減らし(食物摂取量を減少させた)、したがって、この研究では投与を一日に一度に限定した。麻酔が体重の増加を減らしたことから、すべての研究動物(気管内、口、または、対照)は、同じ技術と時間を用いて、一日に一度イソフルランを受け取った。12匹の動物をそれぞれの投与群に登録した。経口のピルフェニドンに関して、1つの群は経口の胃管栄養によって30mg/kgを受け取り、第2の群は100mg/kgを受け取った。気管内のピルフェニドン投与に関しては、1つの群は、0.9mg/kg(30mg/kgの経口の肺組織Cmaxと一致するように標的とされた)、第2の群は、3.0mg/kg(100mg/kgの経口の肺組織Cmaxと一致するように標的とされた)を受け取り、第3の群は、6.4mg/kg(30mg/kgの経口の血漿AUCと一致するように標的とされた)を受け取った。経口の胃管栄養は一回の300mcLの量で投与された。技術的な制限により、mg/kg投与量を2分間で6回の50mcL投与量に等しく分割する代わりに、同じ時間にわたって40秒ごとに3回の等量50mcLを投与して、気管内の投与を行った。投与量の選択については、表22のデータから推定した。29日目に動物を安楽死させた。右肺を抽出し、ヒドロキシプロリン含有量を測定し、左肺を組織学的検査にさらした。組織学的部分はピクロシリウス(picrosirius)レッドで染色し、肺組織繊維症について採点した。それぞれの染色した肺組織部分の20のランダムな写真を撮り、盲検方式にして、独立した表示パネルによって採点した。観察を重ねて分析した。これらの研究のデータや結果を表23、24、25、26、および27と、図3および4に示す。
この研究に選択された投与量は、(肺組織Cmaxまたは血漿AUCに一致する)コンパレーターの経口経路からの決定的な薬物動態学的パラメータを標的とした。これらの標的は薬物動態研究から選択され、肺組織と血漿を集め、ピルフェニドン値が比較した。これらの研究では、気管内の投与後の肺組織Cmaxは、常に最初に集めた時点のものであった。この最初の肺組織を採取するのに必要な時間が真の肺Cmaxを正確に捕らえないこともあることを考慮することが重要である。我々の研究では、採取時間は約1分であった。投薬の上記のCmaxが選択されたのは、この薬物動態学的点であった。肺組織をそれよりも前に採取することが可能な場合は、Cmaxは高くなることもある。Penn Century MicroSprayer(登録商標)のカテーテルが全負荷投与量をほとんど送達すると、これらの研究における達成される可能性のあるCmaxは高くなることもある。例として、250グラムのラットの肺の重さは約1.5グラムである。この動物に0.9mg/kgの投与量(225mg)を送達することによって、150mcg/グラムまでの肺組織Cmaxが得られる。この研究では、投与量を三分割した。したがって、可能なCmaxは、約50mcg/グラムの肺組織であった(30mg/kgの経口投与量によって実際に達成されたものの約5倍)。大量の全身性ピルフェニドン暴露は肺での有効性を減らすという解釈に対して、ほぼ150〜200mg/kgの経口投与量は、経口の安全性プロフィールが許可しない投与量である、50mcg/グラムの肺組織Cmaxを達成することを求められる。
これらの結果と、ピルフェニドンによる他の非臨床的および臨床的な経験から、肺Cmaxは抗繊維症の有効性に重要であるように思われる。さらに、Cmaxが重要である一方で、高い全身性暴露はこの効果を弱める。経口投により非常に大きな血漿AUCがもたらされるが、小さな肺組織Cmaxしか得られない。比較すると、低肺組織投与量を達成するためには、肺に直接、比較的小さなエアロゾルを送達することによって、低全身性暴露の高い肺組織Cmax値を達成することができる(経口送達では可能でない投与プロフィール)。
この研究の結果によれば、ピルフェニドンは肺に直接送達された方が効果的である(繊維症が少なく、ヒドロキシプロリンが少ない)。しかしながら、大量の全身性ピルフェニドン暴露は、直接的または間接的にこの効果を弱める。具体的には、経口経路では、比較的小さな肺組織Cmaxを達成するのに大量の経口投与量が必要である。大量に全身投与することなく同様のCmaxを達成することにより、有効性が高まる。しかしながら、この直接的な肺投与量を段階的に増やすと、結果として全身性の暴露を増やすことになり、この効果を低下させる。これらの結果を他の公表された報告(Swaney et al. Br. J. Pharmacol. 160(7):1699−713, 2010; Tian et al., Chin. Med. Sci. J. 21(3):145−51, 2006; and Trivedi et al., Nanotechnology. 23(50):505101, 2012)と組み合わせると、ピルフェニドンがAUC依存のU字型の用量応答に従うものであることは明白である。具体的には、高い肺組織Cmaxは肺組織の抗繊維症の有効性にとって重要である。しかしながら、この陽性の効果は。関連する小さな血漿AUCに依存しているように思われ、血漿AUCが大きければ大きいほど、有効性は低くなる。図3および4は、AUC依存性のU字型のピルフェニドン用量応答を示す。実際には、投与の経口経路はこのU字型に限定された用量応答を満たすことができない。安全性と耐性により、1回の投与あたり801mgの経口薬(Esbriet(登録商標))のさらなる用量の増加を防ぐ。これらのデータおよび他の公表された研究(Swaney et al., 2010, Tian et al., 2006, and Trivedi et al., 2012)は、経口投与の増加が可能な場合には、血漿AUCの関連する増加は任意の関連する肺組織Cmaxの利点を減らしたり否定したりすることもあるということを示す。比較すると、少量のエアロゾルピルフェニドン投与量の吸入により、U字型の用量応答:高い肺組織Cmax、低い血漿AUCの範囲内で投与を行うことができる。この発見を例証するべく、換気−呼吸−吸入によるエアロゾル投与後の可能なヒト肺組織および血漿薬物動態学を再度モデル化した(図5)。言及されたように、安全性と耐性により、801mgの経口のピルフェニドン投与量(1日三度801mgを服用)のさらなる増加は制限される。これらの安全性および/または耐性による制限は、血漿AUC、血漿Cmax、胃腸の曝露、またはこれらの事象の組み合わせに関連付けられてもよい。モデルの目的のために、801mgの経口のピルフェニドン投与量に由来する血漿AUCは、吸入したエアロゾルピルフェニドン投与の限界として確立された。しかしながら、この限界は、血漿Cmax、またはこれらの薬物動態学的パラメータの組み合わせとしても設定することができる。
図2と図5のモデル用のエアロゾル送達パラメータは、高効率でメッシュベースの噴霧器の特徴に基づいた(表12)。エアロゾル送達後の肺の半減期は、ボーラスの気管内(実施例6および7)と長時間の気管内(実施例8)のピルフェニドンの薬物動態の結果の両方から測定した。呼吸に適した送達投与量(RDD)は、微粒子画分(FPF、%<5ミクロン)の生成物と吸入された質量によって計算した。ボーラスの気管内の薬物動態結果から得た肺の半減期を用いると、47mgのRDDを約5分間換気吸入した後のモデル化したヒトの薬物動態を、25mg/mLのピルフェニドン製剤(90mgの負荷投与量)の3.6mL装置負荷投与量から計算した。この非限定的な例については、78%のFPFと67%の吸入された質量を使用した。これらの数を使用すると、90mgの装置に負荷した投与量で、約47mgのRDDがもたらされることもある(表26および図2)。長時間の気管内の薬物動態結果から得られた肺の半減期を用いて、120mg、50mg、および2.5mgのRDDの換気吸入の後のモデル化されたヒトの薬物動態を再度算出した(図5)。68mg/mLのピルフェニドン製剤(230mgの負荷投与量)の3.6mLの装置負荷投与量から、約120mgのRDDを算出した。この制限しない例について、78%のFPFと67%の吸入された質量を使用した。これらの数を使用して、230mgの装置負荷投与量により、約120mgのRDDがもたらされることもある。27mg/mLのピルフェニドン製剤(96mgの負荷投与量)の3.6mLの装置負荷投与量から約50mgのRDDを算出した。同様に、7.2mg/mLのピルフェニドン製剤(4.8mgの負荷投与量)の0.66mLの装置負荷投与量から、2.5mgのRDDを算出した。この後者の投与量は1分で送達されるようにモデル化された。投与量の増加は、ピルフェニドン製剤に増量した共溶媒を追加することで可能となる。同様に、投与量の減少は、装置負荷投与量の減少(容量の減少および/またはピルフェニドン製剤濃度の低下)、および/または、効率の悪い呼吸パターンにより、可能となる。約20mg/mL未満のピルフェニドン製剤濃度の減少には共溶媒を必要としないこともあるが、緩衝液、透過性イオン、浸透圧調節剤、または、味遮断(taste−masking)剤を含んでもよい。肺の排出と血漿暴露は、吸入エアロゾル投与後の100%のバイオアベイラビリティを仮定する。したがって、実際のヒト血漿ピルフェニドン暴露は、ヒトの吸入投与後に減少することもあり得る。
さらに臨床的に考察するものは、ブレオマイシンモデルにおいて非有効性を示したラット血漿AUCである。図3および4に示されるような非限定的な例によって、3.0mg/kgの気管内の直接的な肺でのエアロゾルによるラットへの投与により、ピルフェニドンの有効性がまったく観察されない血漿AUCが生じた。送達された投与量が少ない場合にのみ、抗繊維症の効果が示されている。気管内または経口の高用量から得られた血漿AUCは、同様に有効性がないか、あるいは、疾患を増強したように思われる。したがって、3mg/kgの気管内投与量から得られるよりも少ない吸入送達された血漿AUCは、ピルフェニドンの有効性を許可するために重要なこともあると主張することができる。(全体表面積による)非比例の測定を用いて、3mg/kgのラット投与量を60kgのヒトに合わせたことにより、29mgのヒトの肺送達投与量が生じた(等しい肺の除去速度と100%のバイオアベイラビリティを仮定して)。このことから、ヒト投与量における考察は、29mgの気管内エアロゾル投与量と同等のRDDは、U字型のピルフェニドン用量−応答曲線の上限を表わすヒト血漿AUCを結果として生じることもあるということかもしれない。長時間の気管内の薬物動態データモデルを用いて、29mgのRDDをもたらす3分間の換気吸入された霧状の投与後の、達成される可能性のあるヒト肺組織Cmaxおよび血漿AUC0−18hrsは、それぞれ、43.2mcg/グラムの肺組織と13.4 mcg・hr/mLである。
(実施例10.低濃度投与量形態のためのピルフェニドン製剤)
表30の結果は、遅延型の装置の出力(0.5mL/分未満または約0.5mL/分)は、小粒子の高出力(0.7mL/分を超える、または約0.7mL/分)よりも耐用性(大きな粒径でも)を改善させることを示す。この出力エアロゾル耐用性差は、以下の液体製剤特性の包含することにより克服することができる:1.5−6のpH領域は中性のpHよりも一般に良好であること;2.塩化ナトリウムは塩化マグネシウムよりも耐用性に優れ、これはより強力な金属的な風味を保持する傾向がある;3.クエン酸塩緩衝液(および関連するpH領域)はリン酸塩緩衝液よりも耐用性が優れている;ならびに、約16mg/mLのピルフェニドン濃度に関して0.5〜0.9mMのナトリウムサッカリン、および約4mg/mLのピルフェニドン濃度に関して0.1〜0.4mMのナトリウムサッカリンを包含すること(これらの2つの、および、様々なピルフェニドン濃度間の最適な味と耐用性のために滴定するため)。ナトリウムサッカリンに加えて、5mMのクエン酸ナトリウム緩衝液、約5.5pH、約150mMの塩化ナトリウムが、水性の飽和溶解度以下のピルフェニドン濃度には最適である。追加の観察は約250乃至約500mOsmo/kgの重量オスモル濃度を維持することを含む。この範囲外の重量オスモル濃度の製剤の耐用性は、上記の製剤パラメータと装置出力とエアロゾル粒径特性の変更により調整されてもよい。
(実施例11:噴霧化装置の性能)
エアロゾルの働きを評価するために、いくつかの製剤(表31)がPARI eFlow装置で試験トされた。こうした研究については、標準的なeFlow 35L headが用いられた。粒度分布はInsitec Spraytec Laser Particle Sizerを使用して測定された。呼吸シミュレーションは、呼吸療法トレーニング肺に取り付けられたServo1000i換気装置を使用して行われた。ヨーロッパ人の標準的な呼吸パターン(15呼吸/分、500ccの一回呼吸量、および吸気対呼気の1:1の比率)が測定で使用された。こうした研究からの結果を表32と33に示す。それぞれの結果は3つの装置の各々における繰り返し試行の平均である。
こうした結果は、15mg/mLのピルフェニドン製剤の2mLが2.9分以内に投与され、15.5mgのRDDをもたらすことを示す。こうした結果は4mg/mLのピルフェニドン製剤の2mLが3.1分以内に投与され、4.2mgのRDDをもたらすことを示す。ピルフェニドン濃度と装置の充填容量の操作は、投与量送達時間と肺のCmax/プラズマ照射比率の最適化を可能にする。
(実施例12.ピルフェニドン活性と曝露条件−インフラマソーム活性化と繊維芽細胞分化)
インフラマソーム活性化
インフラマソーム活性化の初期段階の阻害に対するピルフェニドンの影響は、264.7のマクロファージで測定された。簡潔に言えば、ウェルあたり100000細胞の播種密度でマクロファージを96ウェルプレートに置いた。その後、細胞を夜通し培養した。翌日、細胞は200ng/mlのLPSを様々なピルフェニドン濃度で受け取り、0%のFBS培地で4時間培養した。この工程の阻害に対するピルフェニドンの曝露時間の影響を特徴づけるために、こうした培養物を希釈するか、または手つかずのままにした。吸入された薬物動態学を模倣するために、培養物を、LPS/ピルフェニドン追加後10、20、30、40、および120分に2倍に希釈した。240分間のインキュベーション後、上澄みを集めた。希釈した培養物をLPSと交換しなかった。LPSまたは培地を単独で含む希釈した培養物の別の対照が含まれていた。4時間のインキュベーションの終了時、上澄みを取り除き、2mMのATPを加えた。培養物をさらに40分間培養した。上澄みを集めて、分泌されたIL−1βを定量化した。その後、MTS染料を含む0%のFBS培地を残りの細胞に加えて、細胞毒性を測定した。
インフラマソーム活性化の第2段階の阻害に対するピルフェニドンの影響も264.7のマクロファージで測定した。簡潔に言えば、ウェルあたり100000細胞の播種密度でマクロファージを96ウェルプレートに置いた。その後、細胞を夜通し培養した。翌日、細胞は200ng/mlのLPSを受け取り、0%のFBS培地で4時間培養した。4時間のインキュベーションの終了時に、上澄みを取り除き、ピルフェニドン影響に関する2つの手法を評価した。最初に、ピルフェニドンを含むまたは含まない0%のFBSを含んでいる培地を加えて、5分間培養した。5分終了時に、上澄みを取り除き、0%のFBSと2mMのATPを含む培地を加えるか、または、最終濃度の2mMのATPをピルフェニドン含有培養物に加えた。培養物をさらに40分間培養した。上澄みを集めて、分泌されたIL−1βを定量化した。その後、MTS染料を含む0%のFBS培地を残りの細胞に加えて、細胞毒性を測定した。第2の手法において、LPSを含む上澄みをいったん取り除くと、ピルフェニドンを含むまたは含まない0%のFBSと2mMのATPを含んでいる培地を加えた。培養物を短時間のピルフェニドン曝露について評価する場合、10分間のインキュベーション後に培地を取り除き、0%のFBSを含む新鮮な培地と取り替えた。このような培養物をさらに30分間培養した。10分と40分の両方の培養物の上澄みを、分泌されたIL−1βについて分析した。短時間の暴露結果は、10分のサンプル、40分のサンプル、およびこうした結果について報告された。長時間のピルフェニドン曝露対照については、培養物は40分のATPインキュベーション期間にわたってピルフェニドンを維持した。こうした上澄みを同じように分泌されたIL−1βについて分析した。両方の手法の下で、MTS染料を含む0%のFBS培地を残りの細胞に加えて、細胞毒性を測定した。
表34からの結果は、ピルフェニドンが第1のシグナルのインフラマソーム活性化の阻害時に用量反応性であることを示している。データはさらに約25mcg/mLの50パーセントの阻害濃度(IC50)を伴うこの活性には短時間のピルフェニドン曝露のみしか必要とされないことも示している。
表35からの結果は、ピルフェニドンが第2のシグナルのインフラマソーム活性化を阻害する際にも投与量反応性であることを示している。10および40分のサンプリング点の分析によれば、カスパーゼ1活性化、pro−IL−1β開裂、および/またはIL−1β分泌の動力学を解釈において考慮しなければならないことが分かる。最初の10分のサンプリング点は、ピルフェニドンが第2のシグナルの活性化を増強することがあることを示唆する。しかしながら、40分のサンプリング点の分析は、投与量反応性の抑制活性の再開を示す。短時間のサンプリング点と長時間のサンプリング点の合計を比較すると、第2のシグナルのインフラマソーム活性化の阻害は、弱い用量反応性であるとはいえ(約625mcg/mLのIC50)、2つの暴露時間のあいだで類似しているように見える。しかしながら、第2のサンプリング点を単独で測定する場合、IC50は約25mcg/mLに減少する。こうした結果は、最適な抑制活性を達成するために、ピルフェニドン活性が当初の暴露の後に短い時間を必要とすることを示唆する。この活性には短時間のピルフェニドン曝露しか必要としないという観察をさらに裏付けるものである。
小胞体ストレス(ERストレス)に対する折り畳まれていないタンパク質の反応(UPR)が、第1のシグナルと第2のシグナルのインフラマソーム活性化の両方を調整することが示されている。こうしたデータの中心となって、IRE1αは、インフラマソームのNFκB活性化(第1のシグナルの事象)とNLRP3活性化(第2のシグナルの事象)を調整する。巨視的には、IRE1αは(NFκB活性化により)サイトカイン産生をもたらし、これが繊維症促進性IL−1β/TGFβ増幅ループ(オートクリンとパラクリン)を調整する。IRE1αはさらに(スプライシングにより)XBP1を活性化し、これがタンパク質シャペロン産生とERの分泌能力を増大させ;IRE1αが非分泌細胞から分泌細胞まで変形する細胞の能力を阻害することを抑制する。表34と表35の結果を比較すると、これらのデータは、ピルフェニドンがUPR/インフラマソームのこの中央の修飾物質を阻害し、それによって、こうしたさもなければ繊維症促進性の細胞の反応を直接減らすこともあるということが示唆されている。
繊維芽細胞分化
TGFβ1により引き起こされた繊維芽細胞分化の阻害に対するピルフェニドンの影響を正常なヒト肺繊維芽細胞で測定した。簡潔に言えば、ウェルごとに20000の細胞を黒色の96ウェルのコラーゲンでコーティングしたプレートに播種し、一晩中培養して粘着させた(約24時間)。インキュベーション後、培地を取り除き、0%のFBSと、TGFβ1のみ、または様々なピルフェニドン濃度のTGFβ1とを含む培地と取り替えた。その後、培養物を48時間培養した。分化の阻害に対するピルフェニドン曝露時間の影響を特徴づけるために、培養物を希釈するか、あるいは手つかずにしておいた。吸入された薬物動態学(短時間の暴露)を模倣するために、培養物をTGFβ1/ピルフェニドン追加後の10、20、30、40、120、240、および360分に2倍に希釈した。希釈した培養物はTGFβ1(長時間暴露)とは取り替えなかった。別の対照はTGFβ1または培地のみを含む希釈した培養物に含まれていた。インキュベーションの終了時、細胞を固定して、画像化と螢光プレートリーダーによる定量化のために染色した。MTS染料分析を使用して、平行培養物を細胞毒性について評価した。
表36からの結果は、ピルフェニドンが繊維芽細胞分化を阻害する際に投与量反応性であることを示す。インフラマソームモデルで示されたものに類似して、こうしたデータは、長時間のピルフェニドン曝露(この場合48時間)が約25mcg/mLのIC50を提示することを示している。興味深いことに、短時間のピルフェニドン曝露は長時間の暴露の約5倍も活性が低かった(約125mcg/mLのIC50)。
広範な用量反応を特徴づけるために、繊維芽細胞分化を阻害する短時間のピルフェニドン曝露の能力を再度評価した(表37)。表36に示されたものに類似して、こうしたデータは、短時間のピルフェニドン曝露が長時間の暴露の約5倍も活性が低かったことを示している。こうした研究が一定の48時間の曝露と比較して、単一の短時間の暴露しか評価していないということを考慮すると、これらの2つの曝露時間の間の実際のIC50値はもっと近似することになり、短時間のピルフェニドン曝露だけが活性に必要であるというさらなる裏付けを与える。
いくつかの実施形態では、TGFβは肺繊維芽細胞中のERストレスを引き起こす。いくつかの実施形態では、このERストレスは、IRE1βα活性化とその後のαSMAの発現とコラーゲン分泌を引き起こす。さらなる実施形態では、IRE1αの阻害はαSMAとコラーゲン分泌を減らす。いくつかの実施形態において、こうした観察を考慮すると、同じIC50でのインフラマソームと繊維芽細胞の分化を阻害するピルフェニドンの能力は、これらの2つの事象の背後にあるメカニズムが関連していることを示唆している。
(実施例13.インビボ有効性−LPSにより誘発された肺のインフラマソームモデル)
気管内の、直接の肺エアロゾル投与と経口の経管栄養の有効性を比較するために、LPSにより引き起こされた肺のインフラマソームモデルを行った。簡潔に言えば、Sprague Dawleyラット(200−250グラム)に、挿管エアロゾル送達装置を使用して、気管内経路(IT)によって1回量のLPSを投与した。すべてのIT投与量を肺の分岐の真上に送達した。偽の動物を食塩水で処置した。一回のピルフェニドン投与量を、LPS暴露の2時間前に経管栄養(PO;300mcL中の30mg/kg)によって、またはLPSと同じ時間に曝露あるいはIT(300mcLのLPS投薬溶液中の0.5mg/kg)によって送達した。24時間後に動物を安楽死させた。肺を洗浄して集め、気管支肺胞洗浄液(BAL)を総細胞数、好中球、マクロファージ、好酸球、およびリンパ球について評価した。BALもIL−1bについて評価した。こうした研究からのデータと結果を表38と39に示す。
表38と39からの結果は、肺に直接与えられた0.5mg/kgは、LPSにより引き起こされた炎症性細胞浸潤を打ち消し、LPSにより引き起こされたBAL IL−1βレベルを62%減少させた。比較して、60倍の経口量はいずれの終点でも効果がなかった。本明細書に記載されたデータから、0.5mg/kgのITが、血中濃度の非常に低い、〜83mcg/gramの肺組織Cmaxをもたらしたと推測される。比較して、表22は、同様のサイズのラットへの30mg/kgのPO投与量が、実質的に血中濃度のより大きい、〜10mcg/mLの肺組織Cmaxをもたらすことを示している。例9と12と一緒に、こうした結果は、短時間のピルフェニドン曝露しか活性には必要ではなく、直接的な肺投与が経口送達では起こりえない高い肺Cmaxレベルの送達を可能にすることをさらに裏付けるものである。
(実施例14:噴霧化装置の性能)
エアロゾルの性能を評価するために、複数の製剤(表40)をAKITA JETとAKITA2 APIXNEB噴霧器システム装置で試験した。粒度分布はHELOS Particle Sizerを使用して測定された。装置入力パラメータは表41に示される。こうした研究からの結果を表42〜45に示す。それぞれの結果は3つの装置の各々で繰り返した試行の平均である。
こうした結果は、15mg/mLのピルフェニドン製剤の2mLが、4.55分と6.58分に投与され、AKITA(登録商標)2 APIXNEBとAKITA(登録商標)ジェット噴霧器システム装置のそれぞれについて10.71mgと2.49mgのRDDをもたらすことを示している。こうした結果はさらに、4mg/mLのピルフェニドン製剤の2mLが5.01分と6.58分に投与され、AKITA(登録商標)2 APIXNEBとAKITA(登録商標)ジェット噴霧器システム装置のそれぞれについて、5.28mgと2.49mgのRDDをもたらすことを示している。ピルフェニドン濃度と装置の充填容量の操作により、投与量送達時間と肺Cmax/プラズマ照射比率の最適化が可能となる。
上に記載された様々な実施形態を組み合わせてさらなる実施形態を提供することができる。米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許公開はすべて本明細書で言及され、参照により全体として本明細書に組み込まれる。必要に応じて、さらなる実施形態を提供するための様々な特許、出願、および公開の概念を使用することが必要な場合、実施形態の態様を修正することができる。こうした変化やそれ以外の変更は上記の詳細な記載を考慮して実施形態で行うことができる。一般に、以下の請求項では、使用される用語は明細書と請求項で開示される特定の実施形態に対する主張を限定するためには解釈されてはならないが、こうした主張が与えられる等価物の十分な範囲を含むあらゆる実施形態を含めるために解釈されなければならない。これに応じて、請求項は本開示によって制限されない。