JP2020085128A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】内輪と外輪間の空間の入口を封鎖する密封板を両側面部に有する転がり軸受について、侵入した異物の外部への排出促進の効果を高めることを課題としている。【解決手段】外輪2または内輪3のいずれか一方に密封板6を固定し、その密封板6の自由端側を、他方の輪(軌道輪)に対面させ、その密封板6で外輪2と内輪3間に形成される空間7の軸受両側面の入口部を封鎖した転がり軸受について、異物に暴露される側の密封板6と軌道輪との間の隙間寸法をA、もう一方の密封板6と軌道輪との間の隙間寸法をBとして、A<Bの条件を満足させた。【選択図】図2
Description
この発明は、軸受内部への異物の侵入を防止する密封板を内輪と外輪間の空間の軸受両側面側の入口部に設けた転がり軸受、特に、軸受の片面側からの異物の侵入が懸念される環境下で使用するときに有効性が発揮される転がり軸受に関する。
なお、ここで言う「侵入」は、軸受の内部に液体が入り込む「浸入」も包含した表現である。
なお、ここで言う「侵入」は、軸受の内部に液体が入り込む「浸入」も包含した表現である。
従来の転がり軸受のひとつに、図11に示すものがある。図11の転がり軸受は、密封型軸受と称されているものであって、内部、即ち外輪2と内輪3間に形成される空間7への異物の侵入を防止する目的で、前記空間7の入口部に、その入口部を封鎖する密封板6を設けている。
例示の転がり軸受の密封板6は、金属や樹脂で形成されており、外周側を固定端にしてその固定端が外輪2に固定されている。また、内周側は自由端にして内輪3に対し、所定の隙間gを持って対面させて非固定にしている。
内部の空間7の軸受両側部の入口を封鎖した2個の密封板6と内輪3との間に形成された非接触シール用の隙間gは、同一寸法である。
内輪3と密封板6との間に隙間がある図11のような転がり軸受は、軸心が縦向きになる姿勢にして使用すると、上側に配置された密封板6上に異物が落下したときに、その異物が密封板と内輪との間の隙間から内部に侵入することが懸念される。
そこで、異物の侵入抑制を図った密封型転がり軸受として、下記特許文献1に記載されたものが提案されている。
特許文献1の転がり軸受は、縦向きに配置される軸(以下では縦軸と言う)を内輪で支持する用途に利用される。このような用途では、前記空間の両側に配置される2個の密封板のうち、上向きに配置される片方の密封板上に滴下したチェーン油などの異物が堆積することが考えられる。
堆積した異物は、密封板と軌道輪(外輪と内輪のうち、密封板が固定されない側の輪)の摺動面の突合せ部または摺動面間の微小隙間から軸受内部に入り込む虞がある。
このために、特許文献1の転がり軸受は、前記密封板の外壁に堰として機能する突起を設け、その突起で異物の移動を遮ることで、密封板と軌道輪の摺動面の突合せ部または摺動面間の微小隙間からの軸受内部への異物の侵入を抑制するようにしている。
前記密封板には、樹脂やゴムなどの有機材料で形成されたものと、有機材料と金属との複合材で形成されたものと、金属のみで形成されたものとがある。
このうち、上記特許文献1の密封板は、金属製であり、堰として機能する突起を設けることで異物の侵入を抑制するようにしている。しかしながら、金属製の密封板は特に、軌道輪と密封板との間に両者の接触を避ける隙間(間隙)が設定されることから、その隙間を通っての異物の侵入を完全になくすことができない。
一方、有機材料で形成された密封板や有機材料と金属との複合材で形成された密封板は、軌道輪に接触させて摺動面間の隙間(摺動隙間)をゼロにすることができる。
しかしながら、摺動隙間がゼロであっても、異物がチェーン油などの液体であると、その液体が摺動部を通り抜けて軸受の内部に入り込む事態が起こる。
特許文献1が提案している転がり軸受や、異物の侵入防止策を講じていない従来の一般的な転がり軸受は、油などの異物が内部に侵入した場合、その異物が軸受の内部に閉じ込められ易い。
閉じ込められた異物は、軸受の回転により攪拌され、潤滑性の悪化や内部に封入されている潤滑剤の流出を助長する虞がある。
内部に油の混入によって流動性の高まるフッ素系グリースを封入した転がり軸受は特に、潤滑剤の流出助長が強く懸念される。
この発明は、密封板で内部の空間の入口部を封鎖した転がり軸受について、侵入した異物を速やかに排出できるようにすることを課題としている。
上記の課題を解決するため、この発明においては、軌道輪としての外輪または内輪のいずれか一方に金属製の密封板を固定し、その密封板の自由端側を、他方の輪(軌道輪)に対面させ、その密封板で前記外輪と前記内輪間に形成される空間の軸受両側面の入口部を封鎖した転がり軸受を、
一方の密封板と前記軌道輪との間の隙間寸法をA、他方の密封板と前記軌道輪との間の隙間寸法をBとして、A<Bの条件を満たすものにした。ここで言う「隙間寸法」は、密封板と軌道輪との間の径方向寸法である。
一方の密封板と前記軌道輪との間の隙間寸法をA、他方の密封板と前記軌道輪との間の隙間寸法をBとして、A<Bの条件を満たすものにした。ここで言う「隙間寸法」は、密封板と軌道輪との間の径方向寸法である。
有機材料で形成された密封板や有機材料と金属との複合材で形成された密封板は、軌道輪に接触させて摺動面間の隙間(前記隙間寸法A)をゼロにすることができる。
この転がり軸受の好ましい構成を以下に列挙する。
1)軌道輪との間の隙間寸法をAに設定する密封板と、その隙間寸法をBに設定する密封板を、同一仕様、同一寸法にする。
2)少なくとも軌道輪との間の隙間寸法をAに設定する密封板は、外壁を、固定部から離れるにつれて軸受の軸方向外側に向かう方向に傾斜させる。
3)軌道輪との間の隙間寸法をAに設定する密封板を外輪に固定し、軌道輪との間の隙間寸法をBに設定する密封板を内輪に固定する。
1)軌道輪との間の隙間寸法をAに設定する密封板と、その隙間寸法をBに設定する密封板を、同一仕様、同一寸法にする。
2)少なくとも軌道輪との間の隙間寸法をAに設定する密封板は、外壁を、固定部から離れるにつれて軸受の軸方向外側に向かう方向に傾斜させる。
3)軌道輪との間の隙間寸法をAに設定する密封板を外輪に固定し、軌道輪との間の隙間寸法をBに設定する密封板を内輪に固定する。
前記1)の構成を採用する軸受は、前記軌道輪の、密封板が対面する部位の直径を異ならせることで、一方の密封板の隙間寸法Aと、他方の密封板の隙間寸法Bを異ならせることができる。
また、前記2)の構成を有する軸受での密封板の傾斜は、当該密封板の自由端から固定端に至る間のほぼ全域で外壁が同じ方向に傾斜している形態のほかに、外壁の傾斜が自由端側のみでなされていて、固定端側は傾斜のない状態になっている形態なども考えられる。
この発明の転がり軸受は、縦向き又は横向き配置の支軸を有する装置の前記支軸に内輪を外嵌し、片方の密封板を上向きにして使用する場合に、その有効性が特に顕著に発揮される。前記支軸は、固定軸と回転軸のどちらであってもよく、固定支軸に内輪を固定するものは、外輪をガイドレールに接触させてガイドローラとして使用することができる。
例えば、後に詳しく述べるフィルム延伸機の横延伸装置のテンタクリップには、固定された縦軸及び横軸で内輪を支持し、回転可能な外輪をガイドレール上で転動させるガイドローラが設置されており、この発明の転がり軸受は、その横延伸装置のテンタクリップのガイドローラとして利用することができる。その利用では、とりわけ優れた効果を期待することができる。
この発明は、横長のガイドレールと、そのガイドレールに案内される被ガイド部材と、その被ガイド部材に支持される支軸と、その支軸に支持されるガイドローラを有し、
前記ガイドローラは、前記支軸に外嵌される内輪と、前記ガイドレール上を転動する外輪と、内・外輪間に配置される転動体を備えた転がり軸受で構成され、その転がり軸受がこの発明の転がり軸受である移動ガイド装置も提供する。
前記ガイドローラは、前記支軸に外嵌される内輪と、前記ガイドレール上を転動する外輪と、内・外輪間に配置される転動体を備えた転がり軸受で構成され、その転がり軸受がこの発明の転がり軸受である移動ガイド装置も提供する。
さらに、移動ガイド装置を有する装置の具体例として、横長のガイドレールと、そのガイドレールに案内される被ガイド部材としてのテンタクリップとを有し、
前記テンタクリップは、そのテンタクリップに縦向き又は横向き姿勢にして固定された支軸と、その支軸に支持されるガイドローラを有し、
前記ガイドローラは、前記支軸に外嵌される内輪と、前記ガイドレール上を転動する外輪と、内・外輪間に配置される転動体を有する転がり軸受で構成され、
その転がり軸受がこの発明の転がり軸受であるフィルム延伸機の横延伸装置も併せて提供する。
前記テンタクリップは、そのテンタクリップに縦向き又は横向き姿勢にして固定された支軸と、その支軸に支持されるガイドローラを有し、
前記ガイドローラは、前記支軸に外嵌される内輪と、前記ガイドレール上を転動する外輪と、内・外輪間に配置される転動体を有する転がり軸受で構成され、
その転がり軸受がこの発明の転がり軸受であるフィルム延伸機の横延伸装置も併せて提供する。
この発明の転がり軸受は、他方の密封板の軌道輪との間の隙間寸法Bを一方の密封板の軌道輪との間の隙間寸法Aよりも大きくしたことで、他方の密封板と軌道輪との間では異物が通り易くなっており、内部に侵入した異物の排出が促進される。
上記1)の構成を採用したものは、軸受の両側部に設ける密封板を兼用することが可能になり、軸受の製造コストの上昇を抑えることができる。
また、上記2)の構成を採用したものは、軌道輪との間の隙間寸法がAに設定される側では、例えば、密封板の外壁上に落下した異物が、内部への侵入口(隙間寸法がAに設定されたシール部)から遠ざかる方向に移動し、軌道輪との間の隙間寸法がBに設定される側では、密封板の内壁の傾斜により、侵入した異物が外部への排出口(隙間寸法がBに設定された非接触シール部)側に移動する。
そのために、軸受の内部に侵入した異物の排出促進の効果がさらに高まり、軸受内部への異物の侵入自体も抑制される。
このほか、上記3)の構成を採用したものは、内部に侵入した異物が軸受の回転によって生じる遠心力によって速やかに排出口のある外輪側に移動し、また、外輪を回転させる用途では、外輪に固定された密封板上に落下した異物が侵入口のある側から遠ざかる方向に移動する。
そのために、軸受の内部に侵入した異物の排出促進や、軸受内部への異物の侵入抑制の効果がさらに高まる。
また、縦向き又は横向き配置の支軸(固定軸や回転軸)をこの発明の転がり軸受を用いて支持しているので、軸受の内部に侵入した異物の排出が促進され、内部に滞留する異物が減少して装置の耐久性が向上する。
さらに、この発明の移動ガイド装置と、その移動ガイド装置を有する装置の具体例であるフィルム延伸機の横延伸装置も、軸受の内部に侵入した異物の排出促進の効果により、装置の耐久性が向上する。
以下、添付図面の図1〜図10に基づいて、この発明の転がり軸受の実施の形態と、その転がり軸受を有するフィルム延伸機の横延伸装置を説明する。
この発明の転がり軸受の一例を図1〜図4に示す。例示の転がり軸受1は、深溝玉軸受であって、外輪2と、内輪3と、保持器4で保持して内・外輪の軌道面2a、3a(図2参照)間に組み込んだ転動体5(ボール)と、2個の密封板6とで構成されている。
外輪2と内輪3間には空間7が存在し、その空間7の両側の入口部に前記密封板6が配置され、その密封板6により、空間7の入口部が封鎖されている。
密封板6は、金属のプレス成形品である。この密封板6の径方向外端部は、円筒に近い形の巻き曲げ部6aとして加工され、その巻き曲げ部6aが、外輪2の内径側の肩部(両側付近)に形成された係止溝2bに係止して密封板6の径方向外端部(巻き曲げ部6a)が外輪2に固定されている。
巻き曲げ部6aには、切り込み8を周方向に適当な間隔をあけて複数設けており、その切り込み8の設置によって巻き曲げ部6aを円環状に湾曲させることを可能にしている。
密封板6の非固定側の端部には、図2に示すように、軸方向内向きに折り曲げたスカート部6bが形成され、そのスカート部6bが内輪3の外径面3bに微小隙間をもって対面し、密封板6の非固定側端部と内輪3との間に非接触シール部が作り出されている。
密封板6は、外壁6cが固定端側から自由端側に向かって傾斜せずに(軸心に対して直角向き)延びている。
図2に示すように、片方の密封板6と内輪3との間の隙間寸法をA、もう一方の密封板6と内輪3との間の隙間寸法をBとして、隙間寸法Bは隙間寸法Aよりも大に設定されている。
図1〜図4の転がり軸受1は、内輪3との間の隙間寸法がAに設定された密封板6が異物の暴露側(多くの場合は上側)を向く姿勢にして使用される。
この転がり軸受1は、潤滑用のグリースを、内輪3との間に寸法Aの隙間を有する密封板(図1、図2の上側の密封板)6の内壁と保持器4との間に封入するとよい。そうすることで封入したグリースの流出が抑制される。
また、そのグリースを外輪2の軌道面2aと保持器4との間に封入するのもよく、こうすることで、寸法Aの隙間から寸法Bの隙間への異物の貫流が容易になり、内部に侵入した異物を軸受の外部に速やかに排出することができる。
図5は、この発明の転がり軸受の他の形態である。図5の転がり軸受1も、深溝玉軸受である。
図5の転がり軸受1は、接触形の密封板と非接触形の密封板を併用したものになっている。両側面部に設けられる2つの密封板6のうち、異物の暴露側(図中上側)に配置される密封板6は、金属製の芯金6−1とリップ6dを有するゴム6−2を組み合わせたゴムシールとなっている。
その密封板6(ゴムシール)は、外径側が外輪2に固定され、内径側のリップ6dが内輪3と摺動する接触形になっている。従って、その密封板6と内輪3との間の隙間寸法A=0である。
一方、図中下側の密封板6は、金属製の非接触形(金属シールド)であって、内輪3との間に寸法Bの隙間を有する。よって、図5の転がり軸受1は、自ずとA<Bの関係が成立する。
図5の転がり軸受1は、図中上側の密封板(ゴムシール)6のゴムを着色することができる。その着色により、図中下側の密封板(金属シールド)6との目視判別が容易になり、軸受の組み付け方向の確認が容易になる利点が生じる。
図6は、この発明の転がり軸受のさらに他の形態である。この図6の転がり軸受1も、深溝玉軸受である。
図6の転がり軸受1は、異物の暴露側(図中上側)に設けられる密封板6と非暴露側に設けられる密封板6が、どちらも金属製の非接触形(金属シールド)になっている。また、外輪2の両側部に固定された2つの密封板6は、同一仕様・同一寸法となっている。
一方、内輪3は外径面3bの両側部が非対称形状になっており、その内輪3の2つの密封板6の各々と対面する領域の外径を変化させることで、2つの密封板6と内輪3との間の隙間寸法A,BについてA<Bの関係を成立させている。
この図6の転がり軸受1は、密封板6を成形するための金型が1種類でよく、金型費の抑制が図れる。また、使用する密封板6の統一により、生産ラインに投入する部品の種類が減少するため、異品混入の未然防止にもつながる。
図7も、この発明の転がり軸受のさらに他の形態である。この図7の転がり軸受1も、深溝玉軸受である。
図7の転がり軸受1は、外輪2の両側面部に金属製の密封板6が固定されている。図中上側の密封板6は異物に暴露される。この図中上側の密封板6と図中下側の密封板6は、内輪3との間の隙間寸法A,Bが、A<Bの関係を満たすように設定されている。
内輪3との間の隙間寸法がA,Bに設定された2つの密封板6は、外壁6cが固定部から離れるにつれて軸受の軸方向外側に変位する方向に傾斜している。
このために、軸受が軸心を縦向きにして使用され、その軸受の上側の密封板6に対して異物が降りかかる用途においては、上側の密封板6上に落ちた異物が内部への侵入口から遠ざかる方向に流れる。
また、下側の密封板6については、侵入した異物が密封板の傾斜の影響によって排出口に近づく方向に流れ、内部への異物の侵入の抑制と、内部に侵入した異物の排出促進の効果がより高まる。
なお、図7の転がり軸受1に採用した密封板6は、自由端側から固定端側に至る間のほぼ全域で外壁6cが同じ方向に傾斜している。しかし、外壁の傾斜が自由端側のみに付され、固定端側は傾斜のない密封板や、自由端側とは反対向きに傾斜している密封板も内部への異物の侵入の抑制と、内部に侵入した異物の排出促進の効果を期待できる。
図8も、この発明の転がり軸受のさらに他の形態である。この図8の転がり軸受1も、深溝玉軸受である。
図8の転がり軸受1は、両側面部に金属製の密封板6が設けられている。異物に暴露される図中上側の密封板6は、外径側が外輪2に固定され、内径側の端部が寸法Aの非接触シール隙間を介して内輪3に対面している。
また、図中下側の密封板6は、内径側が内輪3に固定され、外径側の端部が寸法Bの非接触シール隙間を介して外輪2に対面している。
この図8の転がり軸受1も、隙間寸法Aと隙間寸法Bの関係は、A<Bになっている。
図8の構造によれば、内部に侵入した異物が軸受の回転によって生じる遠心力によって速やかに排出口(寸法Bの隙間)のある外輪2側に移動する。また、外輪を回転させる用途では、上側の密封板6の外壁上に落下した異物が侵入口から遠ざかる方向に移動する。
図8の構造によれば、内部に侵入した異物が軸受の回転によって生じる遠心力によって速やかに排出口(寸法Bの隙間)のある外輪2側に移動する。また、外輪を回転させる用途では、上側の密封板6の外壁上に落下した異物が侵入口から遠ざかる方向に移動する。
このために、軸受の内部に侵入した異物の排出促進や、軸受内部への異物の侵入抑制の効果がさらに高まる。
なお、この発明の転がり軸受は、軸心(支軸)を横向きにして使用する用途にも利用することができる。支軸を横向きにして使用する場合にも、外輪2と内輪3間の空間7に対して一方向から異物が侵入することがある。
このようなケースでは、軌道輪との間の隙間寸法がAに設定されている側の端面を異物に暴露される側に配置することで、空間7に侵入した異物を、他端側のBの寸法を有する隙間から、効果的に排出することができる。
転がり軸受をガイドローラとして使用する装置の一例を図9に示す。図9の装置は、フィルム延伸機の横延伸装置である。フィルム延伸機は、図示していないが、押出し機、ダイヘッド、冷却装置、縦延伸装置、横延伸装置、引き取り巻取り機を加工ラインに連続して配置したものである。
押出し機を経由してダイヘッドから吐出された溶融樹脂は、冷却装置によってシート状に冷却成形される。その後、多段ロールによって縦方向に延伸され、さらに、横延伸装置のテンタクリップにより横方向に延伸される。そして、以上の工程を経て得られたフィルムは、熱処理してロール状に巻き取られる。
図9に示したフィルム延伸機の横延伸装置10には、テンタクリップ11と、送られてくるフィルムFの左右両側に配設される図10に示すようなガイドレール20が含まれている。
左右のガイドレール20は、両者間の間隔がラインの進行方向に向かって徐々に広くなっている。このガイドレール20にテンタクリップ11が案内されてそのテンタクリップ11に掴まれたフィルムFが左右に引き延ばされる。
テンタクリップ11は、多数個が鎖状に連結されてガイドレール20に装着される。このテンタクリップ11は、図9に示すように、縦延伸後のフィルムFの両端部を掴むグリップ部12と、閉ループで構成されたガイドレール20上を転動する縦軸ガイドローラ13及び横軸ガイドローラ14と、縦軸ガイドローラ13を支持する支軸(縦軸)15と、横軸ガイドローラ14を支持する支軸(横軸)16を有する。支軸15、16は、テンタクリップ11に固定されている。
ガイドレール20は、水平方向を向く第1ガイド面20aと垂直方向を向く第2ガイド面20bを有している。
第1ガイド面20aは、上を向いた面と下を向いた面の二面が設けられており、その二面の第1ガイド面20aに2個の横軸ガイドローラ14が個別に案内されてテンタクリップ11の高さ方向の位置決めがなされる。
第2ガイド面20bも、互いに背を向けた二面が対をなしており、その対の第2ガイド面20bに、対をなす2個の縦軸ガイドローラ13が案内されてテンタクリップ11の横方向の位置決めがなされる。
なお、第2ガイド面20bによる対の縦軸ガイドローラ13の案内部は、上下に2箇所設けられており、その2箇所の縦軸ガイドローラ案内部によってテンタクリップ11の姿勢が保持されている。
このように構成されたテンタクリップ11は、グリップ部12でフィルムFの両端部を掴み、この状態でガイドレール20に沿って進行方向に進む。これにより、フィルムFが横向きに引き延ばされる。
縦軸ガイドローラ13と横軸ガイドローラ14には、深溝玉軸受や複列アンギュラ玉軸受が多用されている。例示のフィルム延伸機の横延伸装置10のテンタクリップ11には、縦軸ガイドローラ13として、図1〜図8に示したようなこの発明の深溝玉軸受が用いられている。
図示のフィルム延伸機の横延伸装置10については、テンタクリップ11やガイドレール20に付着した潤滑油などが、縦軸ガイドローラ13として用いた深溝玉軸受に含まれている上向き配置の上側の密封板上に滴り落ちることが不可避的に発生する。
密封板上に落ちたその異物(潤滑油など)は、金属製密封板を有する従来の図11に示した転がり軸受が縦軸ガイドローラ13として使用されていると、密封板の自由端側に形成される非接触シール部から軸受の内部に侵入する虞がある。
図9の横延伸装置10は、縦軸ガイドローラ13が、既述のこの発明の転がり軸受1で構成されているので、上側の密封板6(図9には図示せず)上に落下した異物は、上側の密封板6と軌道輪との間の隙間を通って不可避的に軸受の内部に侵入する。
しかしながら、下側の密封板6と軌道輪との間の隙間寸法Bが上側の密封板6と軌道輪との間の隙間寸法Aよりも大きくなっているため、軸受の内部に侵入した異物は下側の密封板6と軌道輪との間の隙間から外部に排出され易い。
これにより、侵入した異物が軸受の回転により攪拌され、軸受の潤滑性の悪化や軸受の内部に封入されている潤滑剤の流出を助長するなどの不具合が抑えられる。
なお、この発明の転がり軸受は、フィルム延伸機の横延伸装置以外の装置、例えば、横長のガイドレールと、そのガイドレールに案内される被ガイド部材と、その被ガイド部材に支持される縦向き配置の固定軸と、その固定軸に支持されるガイドローラを有する移動体などの移動ガイド装置においても、前記ガイドローラとして好適に利用することができ、このようなケースでも優れた効果を期待できる。
既に述べた通り、用途次第では、支軸を横向きにして使用する場合にも、外輪と内輪間の空間に対して一方向から異物が侵入することがあり、そのようなケースでも、この発明の転がり軸受を使用することで、内部に侵入した異物の排出を促進して軸受の寿命を延ばすことができる。
1 転がり軸受
2 外輪
2a 軌道面
2b 係止溝
3 内輪
3a 軌道面
3b 外径面
4 保持器
5 転動体
6 密封板
6a 巻き曲げ部
6b スカート部
6c 外壁
6d リップ
6−1 芯金
6−2 ゴム
7 外輪と内輪間の空間
8 切り込み
g 内輪と密封板との間の隙間
10 フィルム延伸機の横延伸装置
11 テンタクリップ
12 グリップ部
13 縦軸ガイドローラ
14 横軸ガイドローラ
15 縦軸
16 横軸
20 ガイドレール
20a 第1ガイド面
20b 第2ガイド面
F フィルム
2 外輪
2a 軌道面
2b 係止溝
3 内輪
3a 軌道面
3b 外径面
4 保持器
5 転動体
6 密封板
6a 巻き曲げ部
6b スカート部
6c 外壁
6d リップ
6−1 芯金
6−2 ゴム
7 外輪と内輪間の空間
8 切り込み
g 内輪と密封板との間の隙間
10 フィルム延伸機の横延伸装置
11 テンタクリップ
12 グリップ部
13 縦軸ガイドローラ
14 横軸ガイドローラ
15 縦軸
16 横軸
20 ガイドレール
20a 第1ガイド面
20b 第2ガイド面
F フィルム
Claims (7)
- 軌道輪としての外輪(2)または内輪(3)のいずれか一方に金属製の密封板(6)を固定し、その密封板(6)の自由端を、他方の軌道輪に対面させ、その密封板(6)で前記外輪(2)と前記内輪(3)間に形成される空間(7)の入口を封鎖した転がり軸受であって、
軸受の両側面部にそれぞれ設けられる密封板について、一方の密封板(6)と前記軌道輪との間の隙間寸法をA、他方の密封板と前記軌道輪との間の隙間寸法をBとして、A<Bの条件を満たす転がり軸受。 - 前記転がり軸受が、深溝玉軸受である請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記軌道輪との間の隙間寸法をAに設定する密封板(6)と、軌道輪との間の隙間寸法をBに設定する密封板(6)を同一仕様・同一寸法にし、前記軌道輪の、前記隙間寸法をAに設定する密封板と隙間寸法をBに設定する密封板の自由端が対面する部位の直径を異ならせて前記A<Bの条件を成立させた請求項1又は2に記載の転がり軸受。
- 少なくとも前記軌道輪との間の隙間寸法をAに設定する密封板(6)の外壁を、固定部から離れるにつれて軸受の軸方向外側に向かう方向に傾斜させた請求項1〜3のいずれかに記載の転がり軸受。
- 前記軌道輪との間の隙間寸法をAに設定する密封板(6)を外輪(2)に固定し、軌道輪との間の隙間寸法をBに設定する密封板(6)を内輪(3)に固定した請求項1〜4のいずれかに記載の転がり軸受。
- 横長のガイドレールと、そのガイドレールに案内される被ガイド部材と、その被ガイド部材に支持される支軸と、その支軸に支持されるガイドローラを有し、前記ガイドローラは、前記支軸に外嵌される内輪と、前記ガイドレール上を転動する外輪と、内・外輪間に配置される転動体を備えた転がり軸受で構成され、その転がり軸受が請求項1〜5のいずれかに記載の転がり軸受である移動ガイド装置。
- 横長のガイドレール(20)と、そのガイドレール(20)に案内される被ガイド部材としてのテンタクリップ(11)とを有し、前記テンタクリップ(11)は、そのテンタクリップ(11)に縦向き又は横向き姿勢にして固定された支軸(15)と、その支軸(15)に支持されるガイドローラ(13)を有し、前記ガイドローラ(13)は、前記支軸(15)に外嵌される内輪(3)と、前記ガイドレール(20)上を転動する外輪(2)と、内・外輪間に配置される転動体(5)を有する転がり軸受で構成され、その転がり軸受が、請求項1〜5のいずれかに記載の転がり軸受であるフィルム延伸機の横延伸装置。
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