JP2000213550A - 自動油供給転がり軸受 - Google Patents

自動油供給転がり軸受

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JP2000213550A
JP2000213550A JP11112605A JP11260599A JP2000213550A JP 2000213550 A JP2000213550 A JP 2000213550A JP 11112605 A JP11112605 A JP 11112605A JP 11260599 A JP11260599 A JP 11260599A JP 2000213550 A JP2000213550 A JP 2000213550A
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lubricating oil
raceway groove
outer ring
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Chuichi Sato
忠一 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】HDD用軸受のような高回転精度を要求される
分野で使用される軸受に、グリースに代えて潤滑油潤滑
を適用して、トルク増大がなく、安定した作動が得られ
て、しかも途中給油なしで長期間の使用に耐えうる転が
り軸受を提供する。 【解決手段】内輪1の軌道溝1mと、外輪2の軌道溝2
mとの間に転動体3を配し、その軸Gが上下方向になる
ように装着して用いる転がり軸受Bにおいて、軸受内部
空間と外部とを仕切るシール部材4A,4Bを備えると
共に、上部シール部材4Aの近傍の軸受内部空間に吸油
体11を配設し、下部シール部材4Bの近傍の軌道溝2
mの肩に傾斜面15を設けた。吸油体11から徐々に潤
滑油が放出され、軸受の静止時には下部シール部材4B
上に溜まる。外輪2が回転すると、溜まった潤滑油は遠
心力の作用で傾斜面15を遡上して軌道溝2m,転動体
3,軌道溝1mに自動的に供給されて強制潤滑が行われ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転がり軸受の潤滑
の改良に係り、特に、外部から潤滑油を途中給油せずと
も、軸受内の潤滑油を、軸受回転時の遠心力を利用して
軌道面と転動体との接触部に供給しつつ循環させるよう
にした自動油供給転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】図7は、2個の転がり軸受Bを使用した
ハードディスクドライブ(HDD)装置の断面図であ
る。保持器5を有する各転がり軸受Bの内輪1はHDD
装置のベース8の中心に立設した軸7に嵌合され、外輪
2は装置の回転フランジ6の内径面に嵌合して装着され
ている。ベース8に装着されたアマチュアコイルACと
回転フランジ6に一体に取り付けたロータマグネットR
MとでモータMが構成されている。
【0003】前記の従来の転がり軸受Bにおける潤滑
は、内輪1,外輪2,転動体(玉)3及び内外輪の端部
に装着されたシール部材4で囲まれた軸受内部空間にグ
リースを充填して行われている。周知のようにグリース
は潤滑油と増ちょう剤の混合物で半固体であるから、軸
受内部空間に封入されたグリースがシール部材4のすき
間から外部に漏れだすことはない。内輪1の軌道溝1m
及び外輪2の軌道溝2mと転動体3との接触部即ち実際
に潤滑を必要とする部分の近傍では、グリースら潤滑
油基油がしみ出して液体に近い状態で潤滑に寄与する。
一方、当該接触部から離れた部分では、半固形のままで
飛散しにくく、且つシールの役割をも果たし、その点で
は理想的な潤滑剤であるといえる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、グリー
ス潤滑の場合、半固体状態で前記接触部に入りこみ、そ
こではじめて増ちょう剤内に内蔵されていた潤滑油がし
み出して液状で潤滑機能を発揮するのであるから、接触
部における油膜厚さは、単位時間内に前記接触部へ入り
込む量の多少により変化してしまう(「グリース潤滑と
レオロジー」トライボロジスト,第36巻,第5号(1
991)375〜380、森内,相原)。このことは、
例えば上記HDD用の軸受のように、年々高記憶密度化
が進み、より高い回転精度(特に非繰り返し成分、NR
RO)が要求されている分野では、グリースの影響で回
転が不安定になることから特に問題になってきている。
【0005】同分野では又、低トルク化も要求されてい
るが、グリースのような半固形状態のものでは、軌道輪
や転動体などの相対運動の際に軸受内部のグリースが攪
拌されるためトルクが大きく且つ不安定になるという問
題もある。これに対して、液体の潤滑油の場合には、油
膜厚さの変動やトルク増大という問題は生じないが、反
面、初期に軸受内に封入した量で長期間運転を継続する
ことは困難である。一度に多量に充填すると、液体ゆえ
にシール部材から漏れやすく環境を汚染するので、実際
には塗布する程度にして油膜として使用するほかないか
らである。したがって、長期間では蒸発して潤滑剤不足
となり、軸受の回転精度不良,焼付きが発生するおそれ
があり、HDD用軸受に潤滑油を適用することは従来は
不可能であった。
【0006】そこで、本発明は、このような従来の転が
り軸受の潤滑に関する問題点に着目してなされたもので
あり、HDD用軸受のような高回転精度を要求される分
野で使用される軸受にも潤滑油潤滑を適用して、トルク
増大がなく、安定した作動が得られて、しかも途中給油
なしで長期間の使用に耐えうる転がり軸受を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に係る発明は、内輪,外輪の相対する軌
道溝間に転動体を配し、その軸が上下方向になるように
装着して用いる転がり軸受であって、軸受内部空間と外
部とを仕切るシール部材を備えると共に、上部シール部
材近傍の軸受内部空間に吸油体を配設し、下部シール部
材近傍の軌道溝の肩に傾斜を設けたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明の転がり軸受の第
1の実施の形態の要部拡大断面図である。従来と同一部
分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。本発
明の転がり軸受Bは、軸受の軸Gが上下方向になるよう
に設置されることが前提である。
【0009】この第1の実施の形態では、転がり軸受B
の内輪1を装置の固定軸に嵌合し、外輪回転で用いる場
合を説明する。通常の油潤滑軸受の場合と同じく、内輪
1の軌道溝1m、外輪2の軌道溝2m、玉3の各接触面
には、予め防錆を兼ねた潤滑油を塗布してある(初期塗
布油)。
【0010】そして、上部のシール部材(鉄製のシール
ドである)4Aの下面側に、更に吸油体11が接着剤で
固着されている。この吸油体11は、例えば高分子高吸
油ゲルを不織布に包んで構成したものである。当該高分
子高吸油ゲルの材料としては、ポリノルボルネン系エラ
ストマー樹脂,t−ブチルスチレン・ジビニルベンゼン
共重合体,t−ブチルメタクリレートやネオペチルメタ
クリレートの橋架け重合体,メチルメタクリレートの橋
架け重合体などを例示できる。
【0011】これらのゲル材料を不織布に包み、接着剤
でシール部材4Aに固着して、前記初期塗布油と同じ潤
滑油を大量に吸収させてなる吸油体11は、ゲル材料に
吸収した潤滑油を、時間の経過とともに徐々に放出(徐
放)したり、または温度上昇や遠心力に感応して徐放す
る機能を有する。この温度上昇や遠心力感応型の場合
は、軸受の使用時にのみ潤滑油の徐放が行われ、在庫時
など非使用状態では潤滑油の放出を行わない。
【0012】一方、下部のシール部材(上部と同じく鉄
製のシールド)4Bについては、基部を外輪2の端部の
凹部に係合して固定すると共に、その先端部を湾曲させ
て潤滑油受け部13を設けている。そして、内輪1の軌
道溝1mの片側の肩部分の端部を切り欠いて凹状の段部
14を形成し、この段部14の凹所内に、前記下部のシ
ール部材4Bの潤滑油受け部13を収納してある。
【0013】更に、外輪2の軌道溝2mの肩の面(即ち
外輪内径面)が、軌道溝2mの縁から軸受端部に向かい
次第に内径が縮小する傾斜角度θの傾斜面15とされて
いる。当該傾斜角度θは、シール部材4Bの潤滑油受け
部13内の潤滑油を、外輪2の回転の遠心力で外輪の軌
道溝2mに逆流させるための角度であり、その大きさ
は、次式に基づき設定されている。
【0014】 θ≧tan-1[g/{r(2π・n/60)2 }] n:外輪回転数rpm r:下部シールの内半径(潤滑油受け部13側の半径) g:重力加速度 次に、この転がり軸受の作用を述べる。
【0015】はじめのうち、転がり軸受は、予め塗布さ
れている初期塗布潤滑油により潤滑される。軸受の静止
時には、潤滑油は重力の影響を受けて内輪1,外輪2,
保持器5を伝わり下部のシール部材4Bの方へ流下す
る。その流下する潤滑油を下部のシール部材4Bで受
け、潤滑油受け部13に溜める。外輪回転時には、潤滑
油受け部13内の潤滑油が遠心力を受け、シール部材4
Bから外輪内径の傾斜面15を経て外輪軌道溝2mに逆
流し、更に玉3を経て内輪溝1m,保持器5の順に伝達
されつつ潤滑機能を果たす。
【0016】軸受の長期使用時には、上部のシール部材
4Aの下面の吸油体11から、必要量の潤滑油が徐放さ
れる。その徐放速度は、吸油体11の温度、外輪回転時
の遠心力等の大きさにより調整することができる。本実
施の形態によれば、シール部材から軸受外部に漏れ出す
おそれなしに液体の潤滑油を使用することが可能とな
る。しかも吸油体に吸収させた潤滑油を徐放し、軸受回
転時の遠心力を利用して循環供給することにより繰り返
し所要箇所に自動的に強制給油できるため、外部からの
補給を必要とせずに長期間運転を継続することができ
る。
【0017】かくして、グリース潤滑の場合のような軸
受の回転トルクの増大や回転不安定が防止され、しかも
環境を汚染したり焼付きが発生するおそれもなく、良好
な回転精度を維持できて、特にHDDのような高回転精
度を要求される分野の軸受に効果的に使用することがで
きる。図2に、本発明の第2の実施の形態を示す。
【0018】この実施の形態の自動油供給転がり軸受
は、上記と同じく外輪回転で使用するものであるが、第
1の実施の形態の場合は、上部のシール部材4Aが吸油
体11を有し、反対側の下部のシール部材4Bは有しな
いことから、外輪2の重量配分にアンバランスを生じる
ことを考慮したものである。すなわち、上部のシール部
材4Aと下部のシール部材4Bとを略同様に形成して回
転する外輪2の重量配分をバランスさせると共に、吸油
体11は取り付け板16を介して固定側である内輪1の
方に取り付けるようにしている。
【0019】このように構成したことにより、外輪2の
重量バランスが良好で、安定した滑らかな回転が得られ
る。その他の構成及び作用・効果は第1の実施の形態の
場合と同様である。図3に、本発明の更に第3の実施の
形態を示す。この実施の形態の自動油供給転がり軸受
は、内輪回転で使用するものである。この場合も、上部
のシール部材4Aの下面に吸油体11を固定している点
は第1の実施の形態の場合と同じである。
【0020】しかし、以下の点は、上記第1の実施の形
態の場合と異なる。すなわち、下部のシール部材4Bに
は潤滑油受け部13を設けていない。また、外輪2の軌
道溝2mの肩の面は傾斜面でなく垂直な円筒内径面とさ
れており、そこに凹状の段部18を設けている。更に、
内輪1の外径面である軌道溝1mの一方の肩の面を傾斜
面15(傾斜角θ)とし、その端部には、下部のシール
部材4Bの内側に位置させて、潤滑油受け部材17を固
定し二重シール構造になっている。その潤滑油受け部材
17は、通常のシールド部材と同じく全体が環状に形成
され、基部は内輪1の凹状の段部14に係止固定されて
いる。そして、基部から先端に向けて上り勾配とされ、
外輪内面の前記凹状の段部18内まで延び、最先端部
(非接触)は内側に折り曲げて油溜まり19が設けられ
ている。
【0021】軸受の静止時は、吸油体11からしみ出し
た潤滑油が、重力の影響を受けて内輪1,外輪2,保持
器5を伝わり流下し、潤滑油受け部材17で受け止めら
れて溜める。内輪回転時には、潤滑油受け部材17に溜
まった潤滑油が遠心力を受け、内輪外径の傾斜面15を
経て内輪軌道溝1mに逆流し、更に玉3を経て外輪溝2
m,保持器5の順に伝達されつつ潤滑機能を果たす。但
し、潤滑油の一部は、遠心力により潤滑油受け部材17
の先端の油溜まり19に溜まり、回転停止時に内輪外周
部に戻る。
【0022】続いて、図4,図5に基づいて本発明の第
4の実施の形態を説明する。この実施の形態の自動油供
給転がり軸受は、第1の実施の形態のものと同様に外輪
回転で用いられるもので、同じく吸油体11を上部のシ
ール部材4Aに設けてある。しかして下部のシール部材
4Cの方は、プラスチック製の成形品である。このシー
ル部材4Cは、外輪2に係止する側(すなわち外径側)
に第1のリップ21と第2のリップ22及び前記第1の
リップ21を弾圧するための接点部23を有し、一方、
非接触の内径側には、軸受内方に突出した油溜部24を
有している。
【0023】外輪2の溝2mの肩の面(内径面)には、
傾斜面15に続いて外径側にシール係止溝25が環状に
形成されている。内輪1の溝1mの肩面(外径面)の端
部には凹状の段部14が形成されている。そして、シー
ル部材4Cは、その第2のリップ22の自由状態(鎖線
で示される)の外径寸法が、外輪2の内径寸法D2-n
り大きくしてある。
【0024】このように構成された下部のシール部材4
Cの装着には、本出願人が特願平9−215479号で
先に提示した三重構造の筒型の挿入具30が利用でき
る。その挿入具30の先端の円すい状のシール受け部に
図示しない突き上げ治具を用いてシール部材4Cを円す
い形状に変形させて収納する。次に挿入具30を転がり
軸受Bの上方に位置決めし(図6(a) 参照)、その
まま降下させて軸受外輪を挿入具の外筒31で押さえ、
続いて内筒32を降下させてシール部材4Cをシール係
止溝25の位置まで押し出す。最後に、シャフト33を
押し下げ、シール部材4Cを円周方向に拡大させて平ら
な状態で軸受のシール係止溝25内に嵌着させる(図6
(b)参照)。
【0025】かくして図6に示すようにして軸受Bに装
着されたシール部材4Cは、図5に拡大して示したよう
に、外径側の第1のリップ21がシール係止溝25の内
面に接触すると共に、第2のリップ22が傾斜面15に
弾圧(予圧)されて密着する。接点部23はシール係止
溝25に強制的に圧入される結果、その反発力で前記第
1のリップ21をシール係止溝25の内面に対し弾圧さ
せ、かくして二重シールを形成する。
【0026】シール部材4Cの内径側は、油溜部24が
内輪端部の凹状の段部14内に収まり非接触シールを行
う。外輪2の回転により、シール部材4Cの第2のリッ
プ22の部分には遠心力が作用するから、装着時の予圧
との共働により大きなシール効果を発揮し、潤滑油の漏
れをよく防止できる。且つまた、外輪停止中に流下して
油溜部24を有するシール部材上面に溜まった潤滑油
を、回転時の遠心力で第2のリップ22の斜面及び外輪
2の内径傾斜面15により外輪溝2mに戻して、効果的
な潤滑機能を発揮する。
【0027】第1のリップ21及び接点部23は、シー
ル部材4Cの軸方向の位置決めを行う。したがって、ゴ
ムに比べて弾性の小さいプラスチック材製のシール部材
4Cを、強制的な挿入で装着しても、外輪2の変形は小
さい。上記シール部材4Cの材質はプラスチック材のみ
に限らず、ゴム製でもよい。また、第1,第2のリップ
部のみを特に弾性の大きなエラストマーでインサート成
形してもよい。
【0028】なお、上記シール部材4Cは、外径側に図
5に示すような第1のリップ21と第2のリップ22と
を設けた構造にしたことにより、製造上、品質上でも有
利になっている。すなわち、シール部材4Cを図6の挿
入具30で軸受Bに装着する際、予め、多数のシール部
材4Cをマガジン内に図8のように積み重ねて貯えてお
く。これを、切り出し装置Aにより一枚ずつ下から取り
出して、軸受Bの端面上に搬送する。そのマガジンから
最下段のシール部材4Cのみを取り出すため、その上に
あるシール部材4Cに爪Bを引っかけて落下を防止する
必要がある。しかして、シール部材4Cの場合、リップ
22は、積み重ねたシール部材間に適切なスキマをつく
り、爪Bの引っかけをやり易くする機能を果たす。この
ように、積み重ねたシール部材間に所要の切り出し高さ
(スキマ)Hを確保することは、プラスチック製のシー
ルのように比較的軟らかく、積み重ねると変形してくっ
つき易い材質の場合特に必要で、生産性向上、品質確保
の点でも非常に有効である。
【0029】更に、本発明の第5の実施の形態を、図9
に基づいて説明する。この実施の形態は、繊維の毛細管
現象を利用して軸受の軌道面と転動体との接触部に潤滑
油を循環供給するものである。図9(a),(b)に示
すように、回転輪である外輪2の内径面(溝肩面)2
n、すなわちシール部材4B側の傾斜面15に、外輪内
径面を一周する環状の浅い溝15mを設けて給油体40
が取り付けられている。この給油体40は、図9(c)
に示すような湾曲断面を有するプラスチック製のシェル
リング41の内面(凹曲面)41nに、繊維束42の一
端部を接着又はインサート射出成形等の手段で保持させ
他端側をシェルリング41の外部に突出させて形成され
ており、その円環状のシェルリング41の外周面41g
を前記環状溝15mの溝面に接着,圧入等の手段で固着
して装着される。なお、図示のシェルリング41の場
合、一端を折り返して鍔(つば)部41tが形成されて
いる。この鍔部41tは傾斜面15から外方へ若干突出
するようにしてあり、外輪回転時の遠心力の作用でシェ
ルリング41内の潤滑油が下方のシール部材4B側に流
失することを防止する機能を有する。
【0030】給油体40の繊維束42は、装着状態でそ
の先端部が玉3の表面に軽く接触するようにしてある。
繊維束42を構成する繊維材の条件として、細いこと、
クリープ現象を起こさないこと、錆びないこと、接触相
手を傷つけないことが満たされれば特に限定はされない
が、例えばステンレスファイバーや炭素繊維等が好適と
いえる。その他、強度,剛性の高いPEEKなどの高分
子材でもよい。
【0031】いま、図9(a)において外輪2が軸Gの
回りに回転し始めると、シェルリング41の窪み内に溜
まっていた潤滑油Oが遠心力を受ける。HDD装置の場
合、高速回転のため外輪2の遠心加速度は非常に大きく
なる(例えば、名番B5-39で外輪回転数14000rpmを想定
した場合の遠心加速度は1.15×103gにもなる)が、鍔部
41tが堰となり潤滑油の下方への漏れ出しを防止す
る。
【0032】また、シェルリング41が嵌合している外
輪内径面の環状溝15mとシェルリング41の外周面4
1gとの間を抜けて潤滑油が流下することも考えられる
が、強大な遠心力でシェルリング41が環状溝15mに
押し付けられるから、回転数が大きい程にシール効果を
発揮して、潤滑油の下方のシール部材4B側への流失現
象が阻止され、潤滑油は全てシェルリング41の窪み内
に保持される。
【0033】よって、シール部材4B自体のシール効果
は小さくてもよい。ここでシール部材4B自体のシール
効果については、今後ますますHDD装置の回転数が増
大するにつれて大きな問題となることが予想され、特
に、プラスチックシールのように、シール効果を高める
とシール抵抗が増えるものでは致命的問題になる。この
保持された潤滑油は、外輪回転の遠心力で傾斜面15を
遡上して外輪軌道溝2mに供給されると共に、繊維束4
2の毛細管現象により吸い上げられ、玉3の表面を経て
外輪軌道溝2m,内輪軌道溝1mおよび保持器5と玉3
との接触部位に供給される。外輪2の回転が停止する
と、前記接触部位に供給された潤滑油(遠心力が作用し
ていた外輪側に特に集まりやすい)が下方に垂れてくる
が、これは繊維束42に再び吸収されると共にシェルリ
ング41の窪み内に溜まり保持される。回転と停止のサ
イクル毎に上記の潤滑油循環が行われるから、常に自動
給油が行われて良好な潤滑がなされることになる。
【0034】更に、軸受の長期停止時にも、繊維束42
の毛細管現象により外輪軌道溝2mに潤滑油が自動給油
されるから、時間経過に伴い潤滑油が蒸発し消失しても
自然に補給される。なお、この第5の実施の形態では、
潤滑油の自動供給について、給油体40の毛細管現象と
共に傾斜面15における遠心力に潤滑油の遡上現象をも
利用するものとしたが、必ずしも給油体40の装着面は
傾斜面とは限らず、通常の外輪内径面と同じく垂直面で
あってもよい。しかし、傾斜面15として毛細管現象と
遠心力とを併用する方が給油効率が良く好ましい。
【0035】また、給油体40は、外輪内径面2nのう
ちの玉3より下側の面にのみ装着したものを示したが、
玉3より上側の面に装着しても良く、あるいは上下両側
の面に装着しても良い。図10に、本発明の第6の実施
の形態を示す。この実施の形態は、上記給油体40を、
回転輪である内輪1の外径面1g、すなわちシール部材
4B側の軌道溝(1m)肩面の方に取り付けている点が
上記第5の実施の形態とは大きく異なっている。この場
合の潤滑油の自動供給は、専ら給油体40の繊維束42
の毛細管現象によりなされることになる。なお、図示の
ものでは、シール部材4Bは遠心力の作用による潤滑油
汲み上げ作用を有しない通常のシールドを用いている
が、その他公知の他のシール部材を自在に選定して用い
てよい。
【0036】この場合、給油体40は、内輪の上下両側
の外径面1g(軌道溝1mの肩面)に装着したため、上
または下の一方側にのみ装着した場合に対して潤滑油の
供給速度を倍増させることができる。勿論、使用態様等
に応じて上または下の一方側にのみ装着することも可能
である。また、繊維束42の先端部の接触部位は、玉表
面とは限らず、保持器5の表面でも良い。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、下部シール部材近傍の軌道溝の肩に傾斜を
設けて、軸受回転時の遠心力を利用して軸受内で潤滑油
を自動的に強制循環させつつ供給するものとしたため、
HDD用軸受のような高回転精度を要求される分野で使
用される軸受にグリースに代えて潤滑油潤滑を適用で
き、その結果、トルク増大がなく、安定した作動が得ら
れて、しかも途中給油なしで長期間の使用に耐えうる転
がり軸受を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の要部の断面図であ
る。
【図2】本発明の第2の実施の形態の要部の断面図であ
る。
【図3】本発明の第3の実施の形態の要部の断面図であ
る。
【図4】本発明の第4の実施の形態の要部の断面図であ
る。
【図5】図4のIV部の拡大図である。
【図6】図4のシール部材の装着方法を説明する断面図
である。
【図7】従来の転がり軸受を使用したハードディスクド
ライブ(HDD)装置の断面図である。
【図8】第4の実施形態のシール部材が、軸受の生産性
向上に寄与し得ることを説明する図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態を示し、(a)は要
部の断面図、(b)はそのb部拡大図、(c)は給油体
40の切断斜視図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態の要部の断面図で
ある。
【符号の説明】
1 内輪 1m 軌道溝 2 外輪 2m 軌道溝 3 転動体 4A 上部シール部材 4B 下部シール部材 4C 下部シール部材 11 吸油体 13 潤滑油受け部 15 傾斜面 40 給油体 41 シェルリング 42 繊維束

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪,外輪の相対する軌道溝間に転動体
    を配し、その軸が上下方向になるように装着して用いる
    転がり軸受であって、軸受内部空間と外部とを仕切るシ
    ール部材を備えると共に、上部シール部材近傍の軸受内
    部空間に吸油体を配設し、下部シール部材近傍の軌道溝
    の肩に傾斜を設けたことを特徴とする自動油供給転がり
    軸受。
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