JP2020079198A - 六方晶窒化ホウ素の保管方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、化粧料の原料用などとして好適に用いられる、「外原規2006」の規定を満たす、溶出ホウ素の少ない六方晶窒化ホウ素の保管方法を提供することを目的とする。【解決手段】六方晶窒化ホウ素を、粉末X線回折法による黒鉛化指数が3.0以下であり、かつ医薬部外品原料規格2006に準拠して測定される溶出ホウ素濃度が20ppm以下である六方晶窒化ホウ素とし、これを真空状態とした包装容器内、または露点を0℃以下とした希ガス、窒素、空気から選ばれる1種以上のガスが満たされている包装容器内に収納する、六方晶窒化ホウ素の保管方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、六方晶窒化ホウ素の保管方法に関する。
六方晶窒化ホウ素は黒鉛類似の層状構造を有し、潤滑性、熱伝導性、絶縁性、化学的安定性、耐熱衝撃性などの特性に優れ、これらの特性を活かして化粧料(化粧品ともいう)原料、固体潤滑剤や離型剤、樹脂やゴムの充填材、耐熱性を有する絶縁性焼結体などに応用されている。
特に化粧料原料用の六方晶窒化ホウ素については、安全性、衛生性の観点から医薬部外品原料規格2006(以下、「外原規2006」という)にその規格が定められており、この中で、所定の手順で六方晶窒化ホウ素を水に接触させた際に、水に溶出しても許容できるホウ素は、濃度基準で20ppm以下までと規定されている。水に溶出するホウ素(以下、水溶性ホウ素化合物という)を、前記規定を超えて含む六方晶窒化ホウ素は、これを原料として配合した化粧料の、肌への刺激性を高める可能性があるため不適とされている。
なお六方晶窒化ホウ素においては、その製造過程中に水溶性ホウ素化合物が副生する傾向があるため、外原規の規格から逸脱する可能性があるが、水溶性ホウ素化合物を低減する手段として、特許文献1には、六方晶窒化ホウ素を低級アルコールやアセトン等の水可溶性有機溶媒、又はその水溶液、又は界面活性剤水溶液中で攪拌洗浄し、低温かつ低酸素雰囲気下で乾燥する方法が、特許文献2には、六方晶窒化ホウ素を水または熱水に分散させて水溶性ホウ素化合物を洗浄除去し、乾燥させた後、アルコールを添加し、若しくはアルコール中に浸漬し、然る後再度乾燥させる方法が、さらに特許文献3には、六方晶窒化ホウ素を、酸水溶液で洗浄し、乾燥した後、炭素と接触させないようにして、1800〜1950℃の窒素雰囲気下において、1〜5時間熱処理する方法が開示されている。
六方晶窒化ホウ素中に含まれる、水溶性ホウ素化合物は、特に大きく増減する物質ではないと考えられており、溶出ホウ素濃度が、「外原規2006」で規定されている20ppmよりも低いと判定された六方晶窒化ホウ素は、これを一般的な環境、例えば日本薬局方で定められているような常温、即ち15〜25℃の環境下で長期保管したとしても、溶出ホウ素濃度の増加は無視できるとされてきた。しかしながら、通常は敢えて高温高湿な環境下で保管することはない化粧料用の原料であっても、長い期間にわたる保管または何らかのアクシデントなどによる過酷な環境を想定した保管による影響を調べるために実施した、さらに温度や湿度が高い過酷な環境下での加速試験においては、前記溶出ホウ素濃度が「外原規2006」で規定されている20ppmを越えてしまうという課題が新たに出てきた。
なお保管性に優れた六方晶窒化ホウ素として、特許文献4が挙げられる。この文献では純度98重量%以上、水分含有量0.3重量%以下、更に比表面積25m/g以下の窒化ホウ素が保存安定性に優れていると記載されている。しかし窒化ホウ素において比表面積が10m/g以上では、大気中の水分と接し易く、かつ通常このような比表面積の大きい粉末状の窒化ホウ素は、その結晶性が低くなりやすくて加水分解し易いため、その対応のみでは決して保存安定性の解決に至ったとはいえない。
特開昭63−33312号公報 特開平1−1574091号公報 特開2004−35273号公報 特開平10−324509号公報
本発明は、化粧料の原料用などとして好適に用いられる、「外原規2006」の規定を満たす、溶出ホウ素の少ない六方晶窒化ホウ素の保管方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、粉末X線回折法による黒鉛化指数が3.0以下であり、かつ医薬部外品原料規格2006に準拠して測定される溶出ホウ素濃度が20ppm以下である六方晶窒化ホウ素を、真空状態とした包装容器内、または露点を0℃以下とした希ガス、窒素、空気から選ばれる1種以上のガスが満たされている包装容器内に収納する、六方晶窒化ホウ素の保管方法である。また本発明の保管方法は、化粧料の原料用である六方晶窒化ホウ素に好ましく適用することができる。なお本発明の保管方法で用いられる前記包装容器は、アルミ蒸着を施されている樹脂製の袋であることが好ましい。
本発明により、医薬部外品原料規格2006に準拠して測定される溶出ホウ素濃度が20ppm以下である、化粧料用の原料などとして好ましく用いられる六方晶窒化ホウ素を、高温高湿の環境下に置いても、保管期間中の前記溶出ホウ素濃度の増加を最小限に抑える保管方法を提供することができる。
以下に、本発明を実施するための形態の説明として、本発明に係る六方晶窒化ホウ素を得るための製造方法とその黒鉛化指数、及び本発明である保管方法について記載する。
<六方晶窒化ホウ素の製造方法>
本発明に係る六方晶窒化ホウ素の製造方法について特に制限はないが、概略的には、粗六方晶窒化ホウ素を合成し、その後、前記粗六方晶窒化ホウ素を粉砕してから、酸性液や水等で六方晶窒化ホウ素以外の不純物、及び水溶性ホウ素化合物を除去して、乾燥する方法を経ることによりこれを得ることができる。なお本発明に係る六方晶窒化ホウ素は、特に粒子径や形状に規定はないが、化粧料用の原料として好ましく用いられるため、粉末状であることが好ましい。
粗六方晶窒化ホウ素を合成する方法としては、ホウ素を含む化合物の粉末及び窒素を含む化合物の粉末(以下、ホウ素を含む化合物と窒素を含む化合物とを併せて出発原料ということもある)と、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、希土類化合物など焼成時に六方晶窒化ホウ素の結晶化を促進する化合物(以下、焼結助剤という)の粉末と、必要に応じて炭素などの還元性物質の粉末とを、それぞれを均一に含む粉末混合物となし、該粉末混合物を窒素、ヘリウム、アルゴン、アンモニア等の雰囲気下で焼成して、合成する方法を挙げることができる。前記粉末混合物を焼成する温度としては、一般に800〜1200℃の範囲が好ましく設定される。なお、焼成温度は一定に保持しても、連続的または不連続的に変化させても良く、焼成時間にも特に制限はない。さらに、前記粉末混合物を焼成する装置類にも特に限定はないが、粉末混合物を収納する容器には例えば六方晶窒化ホウ素製の容器を、加熱装置として例えば電気ヒータを用いた焼成炉を用いることができる。
ここでホウ素を含む化合物としては、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ砂などを好ましく用いることができる。また窒素を含む化合物としては、シアンジアミド、メラミン、尿素などを好ましく選択することができる。さらにアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、希土類化合物など、焼結助剤の好ましい具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。なお、粗六方晶窒化ホウ素を製造するための出発原料や焼結助剤として挙げた各種化合物等は一種類に限定する必要はなく、複数種類の化合物等を同時に使用することもできる。
また、出発原料を混合して粉末混合物となしてから焼成が終了するまでの間に、本発明の目的を逸脱しない範囲内で、加熱、冷却、加湿、乾燥、及び洗浄の操作をさらに加えることも可能である。
また、焼成が終了して得られた六方晶窒化ホウ素(粗六方晶窒化ホウ素という)を粉砕して粉末となす手段や条件に、特に限定はない。そのため粉砕装置については、その粉砕原理やメーカーにより様々な呼称があり、特に限定はないが、例えば低速回転羽根タイプの衝撃型粉砕機が好ましく用いることができる。
粉砕した粗六方晶窒化ホウ素粉末中には、六方晶窒化ホウ素以外の不純物や水溶性ホウ素化合物(以下まとめて不純物等という)が含まれている可能性があるため、化学薬品液や、水や有機溶媒を用いた洗浄により不純物等を除去してから固液分離して乾燥し、最終的に粉末状の本発明に係る六方晶窒化ホウ素を得ることができる。
粗六方晶窒化ホウ素粉末中に含まれる不純物等を洗浄する方法にも特に限定はないが、粗六方晶窒化ホウ素粉末を、化学薬品液や、水や有機溶媒中に浸漬して撹拌したり、粗六方晶窒化ホウ素粉末に、化学薬品液や、水や有機溶媒をスプレーして洗浄する方法等がある。化学薬品液としては、例えば酸性水溶液等を用いることができる。水は例えば5〜95℃の水または熱水を用いることができ、また不純物の二次的な混入を避ける観点から、電気伝導度が0.5mS/m以下の水を使用することがでる。固液分離の方法も特に限定はなく、例えば吸引ろ過機、加圧ろ過機、回転式ろ過機、沈降分離機、又はそれらの組み合わせた装置を用いることができる。
さらに、固液分離後の粗六方晶窒化ホウ素粉末の乾燥方法にも特に制限はないが、使用できる乾燥装置の一例を示せば、棚式乾燥機、流動層乾燥機、噴霧乾燥機、回転型乾燥機、ベルト式乾燥機、又はそれらの組み合わせであり、乾燥機の設定温度は30℃以上250℃以下、好ましくは200℃以下、乾燥機内の圧力は10−6kPaA以上101.3kPaA以下、好ましくは5kPaA以下である。洗浄、固液分離、乾燥はそれぞれ1回でも良いし、同じ方法または異なる方法を組み合わせて複数回実施しても構わない。
<六方晶窒化ホウ素の黒鉛化指数>
本発明に係る六方晶窒化ホウ素の黒鉛化指数は、3.0以下である。黒鉛化指数はGI(GGraphitization Indexの略)値とも呼ばれ、ここでは六方晶窒化ホウ素の結晶化の程度を示す指数であり、数値が小さいほど結晶化が進んでいることを示す。黒鉛化指数が3.0を超えてしまうと、六方晶窒化ホウ素粉末表面の水可容性ホウ素化合物を除去しても、溶出ホウ素の測定中に六方晶窒化ホウ素粉末が加水分解し、新たに水可容性ホウ素化合物が生成してしまい溶出ホウ素が20ppmを超えてしまう。黒鉛化指数は、粗六方晶窒化ホウ素合成時の焼結助剤の配合量、及び焼成温度によって制御することができる。焼結助剤の配合量としては1wt%〜15wt%であることが好ましい。また、焼成温度はそれぞれ1600〜2200℃の範囲であることが好ましい。焼結助剤が少ないと六方晶窒化ホウ素の結晶化が進まないため、溶出ホウ素量の増加を招き、また焼結助剤が多すぎると六方晶窒化ホウ素粉末の粒成長が進みすぎ、例えばこれを用いた化粧料の、肌への触感にざらつきが発生したり、外観上のぎらつきが強くなるため化粧料原料として好ましくない。なお溶出ホウ素濃度が20ppmを超えた六方晶窒化ホウ素粉末は、保管中に溶出ホウ素が減少することはなく、「外原規2006」の規定値を超えてしまい、これを原料として配合した化粧料の、肌への刺激性を高める可能性がある。
以下に黒鉛化指数の測定方法を記す。六方晶窒化ホウ素粉末は、黒鉛と類似の結晶構造を有しており、粉末X線回折法を利用し、黒鉛と同様の方法で、その黒鉛化指数を算出することができる。即ち、黒鉛化指数は、X線回折スペクトルの(100)面に由来するピークの面積S、(101)面に由来するピークの面積S、及び(102)面に由来するピークの面積Sの各値を、(式1)に代入することによって算出することができることが示され(J.Thomas,et.al,J.Am.Chem.Soc.84,4619(1962))ており、これを六方晶窒化ホウ素に適用したものである。
黒鉛化指数=(S+S)/S(式1)
ここで(式1)におけるSは、六方晶窒化ホウ素の(100)面のX線回折スペクトルに相当するピークの面積(積分強度比)であり、具体的には2θ=40度以上42.5度以下のピークの面積である。同様にSは六方晶窒化ホウ素の(101)面のX線回折スペクトルに相当するピークの面積(積分強度比)であり、具体的には2θ=43度以上45度以下のピークの面積である。Sは六方晶窒化ホウ素の(102)面のX線回折スペクトルに相当するピークの面積(積分強度比)であり、具体的には2θ=48度以上52度以下のピークの面積である。なお、各ピークの面積を求めるにあたり、2θ=38度及び54度における各値を直線で結んでベースラインを作成し、ベースラインを基準として各ピーク面積を算出した。黒鉛化指数は六方晶窒化ホウ素粉末の結晶性の指標となり、高結晶性でかつ粒子が十分に成長した場合には、粒子が配向しやすくなるため、六方晶窒化ホウ素粉末の黒鉛化指数は小さくなる傾向がある。
<六方晶窒化ホウ素の溶出ホウ素濃度>
本発明に係る六方晶窒化ホウ素の溶出ホウ素濃度は、医薬部外品原料規格2006に記載される測定方法に準拠して測定した値である。本発明の保管方法により保管される六方晶窒化ホウ素は、前記測定方法による溶出ホウ素濃度が20ppm以下である六方晶窒化ホウ素である。
<六方晶窒化ホウ素の保管方法>
本発明は、六方晶窒化ホウ素の保管方法を規定し、水に溶出するホウ素濃度に係る「外原規2006」の規定を、製造直後のみならず少なくとも6ヶ月間保管後にも満たす保管方法であることを見出し、より安全な化粧料の原料用として好ましい六方晶窒化ホウ素を市場に供給できることにより完成に至ったものである。
外原規2006の溶出ホウ素濃度に関する規定を満たす六方晶窒化ホウ素の粉末を、長期間保管した際の溶出ホウ素は、20ppm以上には増加しない傾向があるため、これを包装容器中に収納後に長期保管した場合でも、水溶性ホウ素化合物の増加量は微々たるものとされてきた。しかしながら、六方晶窒化ホウ素粉末の長期にわたる保管や使用を想定し、高温かつ高湿度雰囲気中に六方晶窒化ホウ素粉末を一定期間置いた場合に、溶出ホウ素は「外原規2006」で規定されている20ppmを越えてしまう問題点が新たに出てきた。
即ち発明者らは、六方晶窒化ホウ素中に含まれる水溶性ホウ素化合物について、従来は保管中に殆ど増加しないと考えられていたのに対して、特に高温高湿の加速試験を受けるとこれが増加する原因について鋭意研究を重ねた。その結果、六方晶窒化ホウ素を、大気開放下に置いた場合、六方晶窒化ホウ素中に含まれる水溶性ホウ素化合物は大気中に揮発し、その含有量が減少することを見出した。六方晶窒化ホウ素粉末と、大気中に含まれる水分の加水分解により生成される水溶性ホウ素化合物の生成速度と、生成した水溶性ホウ素化合物の揮発速度が同程度の場合には、六方晶窒化ホウ素化合物からの溶出ホウ素は、見かけ上増加しない。但し、長期保管のため六方晶窒化ホウ素を密閉性の高い包装容器内に納めると水可溶ホウ素化合物の揮発が制限されるため、包装容器内の水分と六方晶窒化ホウ素粉末の加水分解による水可溶ホウ素化合物の生成が揮発に勝り、溶出ホウ素が増加する。この課題を解決するためには、包装容器内の水分を低減し、六方晶窒化ホウ素粉末の加水分解を抑制する必要があることを見出した。以下にその保管方法の詳細を記載する。
包装容器内部の水分を低減する方法としては、水分含有量の少ないガスで置換する方法または真空状態とした包装容器、即ち真空包装を用いる方法が好ましい。ガス置換方法および真空包装は、特に限定されるものではなく一般に包装体のガス置換および真空包装に用いられている方法が適用できる。なお、本発明でいう「真空」とは、JIS Z8126−1:1999で定義される、「通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態」の定義に準じるが、具体的には圧力が0.1kPaA以上100kPaA以下の状態であることが好ましい。
置換ガスは、水分含有量の少ないガスであれば特に限定はないが、例えば、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの不活性ガス、二酸化炭素、乾燥空気などがある。各種ガスは一種類に限定する必要はなく、複数種類のガスを同時に使用することもできる。経済的な面から窒素を用いることが好ましい。
本発明における置換ガスの露点は0℃以下であることが望ましい。より好ましくは−20℃以下であることが望ましい。露点が0を超えると、包装容器内の水分量が多くなるため長期保管時の溶出ホウ素が規定値以上に増加してしまう。
本発明に用いられる包装容器の種類には特に限定はないが、例えばシリカもしくはアルミナを蒸着したポリエステル、ナイロン6やポリメタキシリレンアジパミドに代表されるポリアミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、塩化ビニリデンなどのプラスチックフィルムやこれらの多層フィルム、またアルミなどの金属箔や金属蒸着膜などのガスバリア性物質を用いて形成された包装容器などが挙げられる。このガスバリア性物質の水蒸気透過度は、特に制限されるものではないが、好ましくは10g/(m・24h)以下であり、より好ましくは1g/(m・24h)以下である。なお前記の包装容器は、必ずしも器状である必要はなく、袋状であっても良い。
以下、実施例及び比較例により、本発明に係る六方晶窒化ホウ素粉末の保管方法をさらに詳細に説明する。しかし、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ホウ酸粉末(和光純薬社製、純度99.5%以上)100g、及びメラミン粉末(和光純薬社製、純度99.0%以上)90gと、炭酸カルシウム(和光純薬社製、純度99.5%以上)10gの各出発原料及び焼結助剤をそれぞれ秤量し、アルミナ製乳鉢を用いて10分間混合した。作製した粉末混合物を恒温恒湿機(AGX−225、ADVANTEC社製)に入れ、80℃、相対湿度95%で1時間加湿し、その後120℃で1時間乾燥した。これを六方晶窒化ホウ素製の容器(容積約500cm)に入れ、炉室内容積が約16000cmの電気炉(TV−200、東海高熱工業社製)内に配し、炉室内への窒素ガス流量が16L/分、10℃/分の割合で室温から昇温し、1000℃で2時間保持したのち、さらに10℃/分の割合で昇温し、2000℃まで到達させてから4時間温度を保持した。その後、加熱を止めて自然冷却させ、温度が100℃以下まで下がった時点で電気炉を開放して、粗六方晶窒化ホウ素(粉砕前)を回収した。これを衝撃型粉砕機(マイクロパルベライザーAP型、ホソカワミクロン社製)を用いて回転数3600rpmの条件で粉砕条件で粉砕し、粗六方晶窒化ホウ素の粉末となした。前記粗六方晶窒化ホウ素の粉末中に含まれる不純物を除くため、5%希硝酸500gあたり50gの割合で該粉末を投入し、室温で60分攪拌した後、吸引ろ過により固液分離により、ろ液が中性になるまで水を入れ替えて洗浄した。更に、得られた粉末は乾燥機で120℃で3時間一旦乾燥した後、さらに製造直後における溶出ホウ素を低減するため、表1に示す条件で、水洗浄と乾燥を繰り返し、実施例1に係る六方晶窒化ホウ素粉末を得た。
前記実施例1に係る六方晶窒化ホウ素粉末20gを、包装容器内の雰囲気を露点−80℃の窒素とした、アルミ蒸着袋(ラミジップAL−11 アズワン社製)に入れたのち、ヒートシールにて密閉し、実施例1の保管方法を実施した。なお、実施例1に係る包装容器に収納した六方晶窒化ホウ素は、40℃75%RHに設定した高温高湿機内で6ヶ月間長期保管した。
<黒鉛化指数の測定方法>
実施例1に係る六方晶窒化ホウ素粉末の黒鉛化指数は、これを製造した直後に、高出力粉末X線回折装置(D8 ADVANCE Super Speed、ブルカー・エイエックスエス社製)を用いて測定した。六方晶窒化ホウ素粉末はプレス成型して被検体とし、X線源はCuKα線を用い、管電圧は45kV、管電流は360mAの条件とした。この測定結果は表1に記載した。
<溶出ホウ素濃度の測定>
実施例1に係る六方晶窒化ホウ素の、製造直後、及び6ヶ月保管後の溶出ホウ素濃度を、「外原規2006」に準拠し、以下に示す手順で測定した。
試料:2.5gを化学的に安定なフッ素系樹脂製ビーカーにとり、エタノール:10mlを加えてよくかき混ぜ、さらに水:40mlを加えてよくかき混ぜたのち、フッ素系樹脂製時計皿にのせ、50℃で1時間加温した。冷却後、ろ過し、残留物を少量の水で洗い、洗液をろ液に合わせた。この液をさらにメンブランフィルター(0.22μm)でろ過した。ろ液全量をフッ素系樹脂製ビーカーにとり、硫酸:1mlを加え、ホットプレート上で10分間煮沸した。冷却後、この液をポリエチレン製メスフラスコに入れ、フッ素系樹脂製ビーカーを少量の水で洗い、ポリエチレン製メスフラスコに合わせたのち、水を加えて正確に50mlとし、これを試料溶液とした。別にホウ素標準液:1mlを正確にとり、水を加えて正確に100mlとし、標準溶液とした。試料溶液および標準溶液各1mlをポリエチレン製ビンに正確にとり、硫酸および酢酸の等容量混液:6mlを加えて、振り混ぜた。ついで、クルクミン・酢酸試液:6mlを加えて振り混ぜたのち、80分間放置した。これを酢酸・酢酸アンモニウム緩衝液:30mlを加えて振り混ぜ、5分間放置したのち、水を対照とし、吸光度特定法により、溶出ホウ素量を求めた。この試験を行うとき、波長:543nm付近の吸収の最大波長における試料溶液の吸光度は、標準溶液の吸光度以下である。ただし、試料溶液の吸光度は、前処理法を含め、同様に操作して得た空試験液の吸光度で補正した。
これらの測定結果は表1に記載した。
(実施例2〜4、比較例1〜3)
包装容器、即ちアルミ蒸着袋内の雰囲気、及びその露点を表1としたこと以外は、実施例1と同様に実施した。これら雰囲気のガスの種類及びその露点、黒鉛化指数と溶出ホウ素濃度の測定結果は実施例1と併せて表1に記載した。なお表1において、実施例4のガスの種類は真空(40kPaA)と表記されているが、これはアルミ蒸着袋内の圧力を40kPaAまで減圧してヒートシールしたことを示している。
Figure 2020079198
表1の実施例と比較例の結果が示すように、本発明により、長期保管時における溶出ホウ素量が少ない六方晶窒化ホウ素粉末の保管方法を提供できることがわかる。

Claims (3)

  1. 粉末X線回折法による黒鉛化指数が3.0以下であり、かつ医薬部外品原料規格2006に準拠して測定される溶出ホウ素濃度が20ppm以下である六方晶窒化ホウ素を、真空状態とした包装容器内、または露点を0℃以下とした希ガス、窒素、空気から選ばれる1種以上のガスが満たされている包装容器内に収納する、六方晶窒化ホウ素の保管方法。
  2. 六方晶窒化ホウ素が化粧料の原料用である、請求項1記載の六方晶窒化ホウ素の保管方法。
  3. 包装容器がアルミ蒸着を施されている樹脂製の袋である、請求項1または2記載の六方晶窒化ホウ素の保管方法。
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