JP2020050551A - 炭化珪素多結晶基板の製造方法 - Google Patents

炭化珪素多結晶基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】CVD法によって支持基板上にSiC多結晶膜を成膜するSiC多結晶基板の製造方法において、支持基板を破壊せずに、SiC多結晶膜と支持基板とを容易に分離することができるSiC多結晶基板の製造方法を提供することにある。【解決手段】珪素含有ガス、炭素含有ガス、水素ガスおよび窒素ガスからなる混合ガスを支持基板に供給し、化学気相成長法によって前記支持基板に窒素原子濃度が1×1018〜1×1020個/cm3である炭化珪素の第一多結晶膜を成膜する第一成膜工程を含む、炭化珪素多結晶基板の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、化学気相成長法(以下、「CVD法」とする場合がある)により支持基板上に炭化珪素(以下、「SiC」とする場合がある)多結晶膜を形成して得られる、SiC多結晶基板の製造方法に関する。
SiCは、珪素(以下、「Si」とする場合がある)と炭素で構成される化合物半導体材料である。絶縁破壊電界強度がSiの10倍であり、バンドギャップがSiの3倍と優れているだけでなく、デバイスの作製に必要なp型、n型の制御が広い範囲で可能であることなどから、Siの限界を超えるパワーデバイス用材料として期待されている。
しかしながら、SiC半導体は、広く普及するSi半導体と比較し、大面積のSiC単結晶基板が得られず、製造工程も複雑であることから、Si半導体と比較して大量生産ができず、高価であった。
そこで、SiC半導体のコストを下げるため、様々な工夫が行われてきた。例えば、特許文献1には、SiC基板の製造方法が開示されており、その特徴として、少なくとも、マイクロパイプの密度が30個/cm2以下のSiC単結晶基板とSiC多結晶基板を準備し、SiC単結晶基板とSiC多結晶基板とを貼り合わせる工程を行い、その後、SiC単結晶基板を薄膜化する工程を行うことで、SiC多結晶基板上にSiC単結晶層を形成した基板を製造することが記載されている。
更に、特許文献1には、SiC単結晶基板とSiC多結晶基板とを貼り合わせる工程の前に、SiC単結晶基板に水素イオン注入を行って水素イオン注入層を形成する工程を行い、SiC単結晶基板とSiC多結晶基板とを貼り合わせる工程の後、SiC単結晶基板を薄膜化する工程の前に、350℃以下の温度で熱処理を行い、SiC単結晶基板を薄膜化する工程を、水素イオン注入層にて機械的に剥離する工程とするSiC基板の製造方法が記載されている。
このような方法により、1つのSiC単結晶のインゴットから、より多くのSiC基板が得られるようになった。
特開2014−216555号公報 特開2001−316821号公報
しかしながら、前記記載の方法で製造されたSiC基板は大部分が多結晶基板である。このため、SiC基板が研磨などハンドリングの際に損傷しないように、機械的な強度を有するよう十分な厚さのSiC多結晶基板を使用しなければならない。
また、従来、前記SiC多結晶基板は、CVD法によって支持基板上にSiC多結晶膜を成膜したのち、必要に応じで端面研削により支持基板を側面から露出させ、酸性溶液に浸漬させる、もしくは酸化雰囲気で焼成する等の手段により、支持基板を一部もしくは全部を破壊することで、支持基板とSiC多結晶膜を分離していた。
しかしながら、これらの手法によると、SiC多結晶膜にクラックが生じることで、歩留まりが悪化するという課題があった。
例えば、支持基板にSi基板を用いた場合、SiC多結晶膜が成膜したSi基板をフッ酸と硝酸との混合溶液中に浸漬し、Si基板を溶解させることでSiC多結晶膜を分離することができる。この際、Siとフッ酸および硝酸との反応で生じた熱によって、SiC多結晶膜とSi基板との熱膨張係数の差によって生じる応力に起因して、SiC多結晶膜にクラックが生じる不具合があった。
また、支持基板に黒鉛を用いた場合、SiC多結晶膜が成膜したSi基板を酸素または大気雰囲気中において数百度で加熱し、黒鉛を焼成することでSiC多結晶膜を分離することができる(例えば、特許文献2)。この際も、SiC多結晶膜と黒鉛基板との熱膨張係数の差によって生じる応力に起因して、SiC多結晶膜にクラックが生じる不具合があった。
さらに、支持基板としてSi基板および黒鉛基板のいずれを用いた場合でも、SiC多結晶膜を分離するために支持基板は一部もしくは全部が破壊されるため、製造コストを増加させる要因となっていた。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、CVD法によって支持基板上にSiC多結晶膜を成膜するSiC多結晶基板の製造方法において、支持基板を破壊せずに、SiC多結晶膜と支持基板とを容易に分離することができるSiC多結晶基板の製造方法を提供することにある。
そこで、本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った。その結果、支持基板とSiC多結晶膜との界面においてSiC多結晶膜の窒素原子濃度を所定範囲とすることで、支持基板とSiC多結晶膜との密着性を著しく低下させることができ、支持基板とSiC多結晶膜との剥離が容易になることを見出した。これにより、支持基板を破壊することなく、容易にSiC多結晶膜を分離できることがわかった。
上記課題を解決するために、本発明の炭化珪素多結晶基板の製造方法は、珪素含有ガス、炭素含有ガス、水素ガスおよび窒素ガスからなる混合ガスを支持基板に供給し、化学気相成長法によって前記支持基板に窒素原子濃度が1×1018〜1×1020個/cm3である炭化珪素の第一多結晶膜を成膜する第一成膜工程を含む。
前記第一成膜工程は、平均膜厚が1〜10μmの前記第一多結晶膜を成膜する工程であり、当該第一成膜工程後、化学気相成長法によって前記第一多結晶膜に平均膜厚が400〜1000μmである炭化珪素の第二多結晶膜を成膜する第二成膜工程を含んでもよい。
前記珪素含有ガスが塩素を含んでもよい。
前記支持基板が、表面層として平均膜厚が1〜100μmの二酸化珪素膜を有する珪素基板であってもよい。
前記支持基板に前記第一多結晶膜が成膜した第一複合基板から前記支持基板を分離する第一分離工程、または前記支持基板に前記第一多結晶膜が成膜し、さらに当該第一多結晶膜に前記第二多結晶膜が成膜した第二複合基板から前記支持基板を分離する第二分離工程を含んでもよい。
本発明のSiC多結晶基板の製造方法によれば、支持基板を破壊せずに、SiC多結晶膜と支持基板とを容易に分離することができる。そのため、支持基板を分離する際のSiC多結晶膜の割れが大幅に抑制でき、歩留まりが向上する。さらに、分離した支持基板は再利用できるため、製造コストの低減にも効果がある。
第一複合基板を模式的に示した断面図である。 第二複合基板を模式的に示した断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明するが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
[第一成膜工程]
本発明の炭化珪素多結晶基板の製造方法は、所定の混合ガスを支持基板に供給し、化学気相成長法によって、支持基板に所定の窒素原子濃度の炭化珪素の多結晶膜(第一多結晶膜)を成膜する工程(第一成膜工程)を含む。
(化学気相成長法)
化学気相成長法は、所定の薄膜を形成する蒸着方法のひとつであり、石英等で作られた反応炉内で基板を加熱し、加熱した基板の上に成膜目的となる薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基板表面あるいは気相での化学反応により、基板に膜を成膜する方法である。本発明では、例えば下記の支持基板を反応炉内に固定し、まず、減圧状態でAr等の不活性ガスを流しながら反応炉内を反応温度まで昇温させる。そして、成膜可能な反応温度に達したら、不活性ガスの流通を止め、下記の混合ガスを流して支持基板に供給することで、支持基板にSiC多結晶膜を成膜することができる。なお、本発明では、既存のCVD装置を用いてSiC多結晶膜を成膜することができる。
(支持基板)
支持基板には、Si基板や黒鉛基板を用いることができる。また、Si基板の場合、Si単結晶基板を用いると、成膜されるSiC多結晶膜がSi単結晶基板の結晶構造情報を引き継いで、格子定数の差による応力差でSiC多結晶膜に欠陥が導入される場合がある。これを防止する目的として、Si単結晶基板はその基板上に熱酸化法またはCVD法によって形成されたSiO2膜を表面層として備えてもよい。例えば、表面層として平均膜厚が1〜100μmのSiO2膜を有することで、SiC多結晶膜に欠陥が導入されることを防止することができる。かかる平均膜厚が1μm未満の場合には、欠陥の導入を防止する効果が不十分となるおそれがあり、また、平均膜厚は100μmよりも厚くしなくとも、欠陥の導入を防止する効果は十分に得られる。また、Si基板としては、Si多結晶基板や、Si多結晶基板の上に平均膜厚が1〜100μmのSiO2膜を表面層として備えた基板も使用することができる。
また、支持基板として黒鉛基板を用いる場合、一般的な黒鉛基板を使用することができ、例えばCIP(Cold Isostatic Pressing)成形により製造される等方性黒鉛が適している。また、基板の表面は研磨等して鏡面状態となっていれば、成膜した多結晶膜を剥離し易くなる。
(混合ガス)
混合ガスは、珪素含有ガス、炭素含有ガス、水素ガスおよび窒素ガスからなるガスである。珪素含有ガスは、SiC多結晶膜を構成する原料ガスであり、例えば、シラン(SiH4)ガスを用いることができる。また、SiH3Cl、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4などのエッチング作用があるClを含む塩素系珪素含有ガス(クロライド系珪素原料)を用いることもできる。これらの塩素系珪素含有ガスは、含有する塩素(Cl)が成膜の過程において熱分解されて、その後H2ガスと反応して塩化水素(HCl)ガスとなり、HClガスのエッチング作用により、成膜途中に不純物として生じ得るSi単体の凝集を抑制することができる。特に、Siの凝集が発生しやすい高速での成膜において、塩素系珪素含有ガスの使用が有効である。なお、これらのガスは単独での使用や併用が可能である。
炭素含有ガスは、SiC多結晶膜を構成する原料ガスであり、例えば、メタン(CH4)ガス、エタン(C26)ガス、プロパン(C38)ガス、ブタン(C410)ガス等のパラフィン系炭化水素ガスや、エチレン(C24)ガス、プロピレン(C36)ガス、ブチレン(C48)ガス等のオレフィン系炭化水素ガス等を用いることができる。なお、これらのガスは単独での使用や併用が可能である。
また、塩素系珪素含有ガスであり、炭素含有ガスでもあるメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等も原料ガスとして使用することができる。なお、これらのガスは単独での使用や併用が可能である。
水素ガス(H2ガス)は、珪素含有ガス、炭素含有ガスおよび窒素ガスを運搬するキャリアガスである。熱伝導率に優れる点でキャリアガスとして好まれ、また、H2が成膜の過程においてClと反応してHClガスとなり、HClガスのエッチング作用により、成膜途中に不純物として生じ得るSi単体の凝集を抑制することができる。特に、Siの凝集が発生しやすい高速での成膜において、塩素系珪素含有ガスとの併用が有効である。また、H2ガスはSiCに対してエッチング作用があり、成膜過程において突出したSiC部分をエッチングすることで、平滑なSiCを成膜できるという点で、H2ガスの使用は有効である。さらに、H2ガスは、過剰にSiCのエッチングが進まないよう、生成したHClガスを系外へ運搬する役割を果たす。
窒素ガス(N2ガス)は、珪素含有ガスおよび炭素含有ガス等の原料ガスと併用することで、N2ガスが成膜したSiC多結晶膜に添加され、SiC多結晶中のCサイトにNが取り込まれることで、結晶格子が収縮して、SiC膜中に残留応力が発生する。Nの取り込み量が多いほど、残留応力は高くなる傾向にあり、この残留応力の発生によって支持基板とSiC多結晶膜の密着性が著しく低下するため、支持基板とSiC多結晶膜との分離が容易になる。
また、N2ガスは不純物のドーピング用ガスとしても用いることができ、例えば、導電型をn型とする場合のドーピングガスとなる。また、導電型をp型とする場合には、混合ガスと共に、トリメチルアルミニウム(TMA)等をドーピングガスとして用いることができる。
(第一多結晶膜)
上記の混合ガスを使用し、成膜時の混合ガスの流量や反応温度等を制御することで、支持基板にSiCの第一多結晶膜を成膜する。第一多結晶膜の窒素原子濃度(N濃度)が1×1018〜1×1020個/cm3となるようにSiC多結晶膜を成膜することにより、後述する分離工程において、支持基板と第一多結晶膜とを容易に分離することが出来る。なお、N濃度は、二次イオン質量分析装置等により測定することができる。
N濃度が1×1018個/cm3未満の場合には、SiC多結晶中へのNの取り込み量が十分ではないことで、支持基板とSiC多結晶膜の密着性が十分に低下せず、支持基板とSiC多結晶膜との分離が容易とならないおそれがある。また、N濃度が1×1020個/cm3より多い場合には、支持基板とSiC多結晶膜の密着性が過剰に低下してしまい、若干の衝撃によっても支持基板とSiC多結晶膜が分離してしまうことが予想され、ハンドリングに不具合が生じるおそれがある。また、n型半導体として用いる場合には、ドーピングの量が多くなることで、性能に不具合の生じるおそれがある。
また、第一多結晶膜の膜厚は、支持基板にSiC多結晶膜の単一層を成膜して基板(第一複合基板)とする場合にはSiC多結晶膜として通常の膜厚である400〜1000μm程度の平均膜厚とすることが好ましい。なお、SiC多結晶膜の平均膜厚は、走査電子顕微鏡(SEM)等により測定することができる。
ただし、以下に説明する第二成膜工程によって第二多結晶膜を成膜して基板(第二複合基板)とする場合には、第一多結晶膜と第二多結晶膜の平均膜厚を合計して、SiC多結晶膜として通常の膜厚である400〜1000μm程度の平均膜厚とすればよい。この場合には、SiC多結晶膜としての特性は第二多結晶膜において発揮することができるよう、第一多結晶膜の平均膜厚は、第二多結晶膜の特性を阻害しないよう1〜10μm程度とすることが好ましい。第一多結晶膜の平均膜厚が1μm未満の場合には、支持基板との密着性が十分に低下しないおそれがある。また、かかる平均膜厚が10μmより大きいと、支持基板との密着性の低下の効果は十分に得られるものの、第二多結晶膜の特性を阻害してしまうおそれがある。
[第二成膜工程]
第二成膜工程は、上記した第一成膜工程後、化学気相成長法によって第一多結晶膜に平均膜厚が400〜1000μmである炭化珪素の第二多結晶膜を成膜する工程である。第一多結晶膜では例えば窒素原子濃度の点でn型半導体等として要求される性能を満足することが困難な場合には、支持基板とSiC多結晶膜の密着性の観点から薄膜の第一多結晶膜を成膜し、その膜に要求性能を満たす第二多結晶膜を成膜すればよい。炭化珪素の第二多結晶膜の成膜は、上記した化学気相成長法により行う。
[分離工程]
分離工程は、支持基板に第一多結晶膜が成膜した第一複合基板から支持基板を分離する第一分離工程、または支持基板に第一多結晶膜が成膜し、さらに第一多結晶膜に第二多結晶膜が成膜した第二複合基板から支持基板を分離する第二分離工程を含む。第一分離工程と第二分離工程は、分離対称が第一複合基板であるか第二複合基板であるかの違いはあるものの、分離工程そのものに違いはないため、以下、第一分離工程と第二分離工程をまとめて説明する。
〈支持基板の露出〉
図1に、第一複合基板100を模式的に示した断面図を示す。第一成膜工程後の支持基板10には、その第1表面11aと第2表面11bのみならず、側面12にも第一多結晶膜20が成膜されている(図1(a))。そこで、支持基板10と第一多結晶膜20との分離を容易とするべく、第一多結晶膜20が成膜した支持基板10を、端面加工装置等を用いて、端面から2〜4mm研削して、支持基板10の側面12を露出させる(図1(b))。これにより、第1表面11aに第一多結晶膜20aが成膜し、第2表面11bに第一多結晶膜20bが成膜した第一複合基板100を得ることができる。なお、成膜前に支持基板10の外周部(側面12)をリング状の黒鉛等でマスクし、その後に第一多結晶膜を成膜すれば、成膜後にマスクを除去することで側面12を露出させることができるため、端面加工は不要である。また、図1では、第1表面11aおよび第2表面11bに成膜する態様を説明したが、本発明はこれに限定されず、第1表面11aおよび第2表面11bのいずれかのみを成膜する場合も含まれる。
図2に、第二複合基板200を模式的に示した断面図を示す。図1(a)の場合と同様に、第一成膜工程および第二成膜工程後の支持基板10には、その第1表面11aと第2表面11bのみならず、側面12にも第一多結晶膜25および第二多結晶膜30が成膜されている(図2(a))。そこで、支持基板10と第一多結晶膜25との分離を容易とするべく、端面加工装置等を用いて、支持基板10の側面12を露出させる(図2(b))。これにより、第1表面11aに第一多結晶膜25aおよび第二多結晶膜30aが成膜し、第2表面11bに第一多結晶膜25bおよび第二多結晶膜30bが成膜した第一複合基板100を得ることができる。なお、成膜前に支持基板10の外周部(側面12)をリング状の黒鉛等でマスクし、その後に第一多結晶膜および第二多結晶膜を成膜すれば、成膜後にマスクを除去することで側面12を露出させることができるため、端面加工は不要である。また、図2では、第1表面11aおよび第2表面11bに成膜する態様を説明したが、本発明はこれに限定されず、第1表面11aおよび第2表面11bのいずれかのみを成膜する場合も含まれる。
〈支持基板とSiC多結晶膜の分離〉
従来の方法で支持基板にSiC多結晶膜を成膜すると、支持基板とSiC多結晶膜は強固に密着しているため、支持基板を破壊する方法によりSiC多結晶膜と分離して、SiC多結晶基板を製造する。支持基板としてSi基板を用いた場合、SiC多結晶膜が成膜したSi基板を、フッ酸と硝酸を体積比で1:1に混合した溶液等に24時間以上浸漬することで、Si基板を溶解し、SiC多結晶膜を分離できる。また、支持基板として黒鉛基板を用いた場合、SiC多結晶膜が成膜した黒鉛基板を例えば大気雰囲気中において800℃で100時間以上加熱することによって、黒鉛基板が焼成するため、SiC多結晶膜を分離できる。
ただし、本発明の炭化珪素多結晶基板の製造方法では、上記のような溶液の浸漬や加熱は不要であり、特別な処理をすることなく、わずかに支持基板を変形させることで、支持基板とSiC多結晶膜を分離できる。また、変形による分離が困難である場合は、支持基板が破損しない程度の機械的衝撃、または、湯浴等により分離が可能である。
[その他の工程]
本発明の炭化珪素多結晶基板の製造方法は、上記の工程に加え、その他の工程を含んでもよい。例えば、CVD法を行う前に支持基板を清浄な状態にすることや、支持基板を所定の大きさや形状に加工する前処理工程等が挙げられる。
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
支持基板として、表面にSiO2膜が平均膜厚で1μm成膜された厚み500μmのSi単結晶基板を使用した。そして、支持基板を熱CVD装置の炉内に固定し、炉内を排気ポンプにより真空引きを行った後、1350℃まで加熱した。
珪素含有ガスとしてSiCl4、炭素含有ガスとしてCH4、キャリアガスとしてH2ガス、不純物ドーピングガスとしてN2ガスを用いた。第一成膜工程ではSiCl4:CH4:H2:N2=1:1:10:10の比率とする混合ガスを支持基板に供給し、30分間の成膜を実施して第一多結晶膜を得た。続いて、第二成膜工程では第一成膜工程よりもN2ガス流量を低減し、SiCl4:CH4:H2:N2=1:1:10:5の比率とする混合ガスを第一多結晶膜に供給し、40時間の成膜を実施して第二多結晶膜を得た。第二成膜工程における炉内圧力は、30kPaであった。
得られた第二複合基板の断面構造を走査電子顕微鏡により、また、N濃度を二次イオン質量分析装置により評価したところ、支持基板との界面において、平均膜厚が10μm、N濃度が4×1019個/cm3の第一多結晶膜の層が確認できた。実施例1の第二複合基板について、端面加工装置により基板外周部で支持基板を露出させる分離工程を行ったところ、わずかに支持基板を変形させることのみによって、支持基板から第一多結晶膜および第二多結晶膜からなるSiC多結晶膜を容易に剥離させることができ、炭化珪素多結晶基板を得ることができた。
(実施例2)
第一成膜工程として、SiCl4:CH4:H2:N2=1:1:10:10の比率とする混合ガスを支持基板に供給して、40時間30分間の成膜を実施して第一多結晶膜を得た。第二成膜工程は実施しなかった。その他の条件は、実施例1と同様とした。得られた実施例2の第一複合基板の断面構造を走査電子顕微鏡により、また、N濃度を二次イオン質量分析装置により評価したところ、支持基板上に平均膜厚が800μm、N濃度が4×1019個/cm3の第一多結晶膜の層が確認できた。実施例2の第一複合基板について、実施例1と同様に分離工程を行ったところ、端面研削加工後にわずかに支持基板を変形させることのみによって、支持基板から第一多結晶膜からなるSiC多結晶膜を容易に剥離させることができ、炭化珪素多結晶基板を得ることができた。
(実施例3)
第一成膜工程において、SiCl4:CH4:H2:N2=1:1:10:100の比率とする混合ガスを支持基板に供給した以外は、実施例1と同様にして成膜を実施した。得られた第二複合基板の断面構造を走査電子顕微鏡により、また、N濃度を二次イオン質量分析装置により評価したところ、支持基板との界面において、平均膜厚が10μm、N濃度が1×1020個/cm3の第一多結晶膜の層が確認できた。実施例3の第二複合基板について、実施例1と同様に分離工程を行ったところ、端面研削加工後にわずかに支持基板を変形させることのみによって、支持基板から第一多結晶膜および第二多結晶膜からなるSiC多結晶膜を容易に剥離させることができ、炭化珪素多結晶基板を得ることができた。
(実施例4)
第一成膜工程において、SiCl4:CH4:H2:N2=1:1:10:1の比率とする混合ガスを支持基板に供給した以外は、実施例1と同様にして成膜を実施した。得られた第二複合基板の断面構造を走査電子顕微鏡により、また、N濃度を二次イオン質量分析装置により評価したところ、支持基板との界面において、平均膜厚が10μm、N濃度が1×1018個/cm3の第一多結晶膜の層が確認できた。実施例4の第二複合基板について、実施例1と同様に分離工程を行ったところ、端面研削加工後にわずかに支持基板を変形させることのみによって、支持基板から第一多結晶膜および第二多結晶膜からなるSiC多結晶膜を容易に剥離させることができ、炭化珪素多結晶基板を得ることができた。
(比較例1)
第一成膜工程に変えて、SiCl4:CH4:H2:N2=1:1:10:0の比率とする混合ガスを支持基板に供給した以外は、実施例1と同様にして30分の成膜および40時間の成膜を実施し、SiC多結晶膜を形成した。比較例1の複合基板について、実施例1と同様に分離工程を行ったところ、端面研削後において、支持基板が破損しない程度の機械的衝撃および湯浴を行っても、支持基板とSiC多結晶膜が剥離しなかった。そこで、この複合基板をフッ酸と硝酸を体積比で1:1に混合した溶液に24時間浸漬した。その結果、支持基板(Si単結晶基板)を溶解させることで、SiC多結晶膜を分離できたものの、Siとフッ酸および硝酸との反応で生じた熱によって、SiC多結晶膜とSi基板との熱膨張係数の差によって生じる応力に起因して、SiC多結晶膜にクラックが生じた。
[まとめ]
以上、実施例において説明したように、本発明の炭化珪素多結晶基板の製造方法であれば、フッ酸と硝酸との混合溶液に浸漬する処理や、焼成処理を必要とせず、これらの処理による不具合であるSiC多結晶膜へのクラックは生じない。そして、支持基板を破壊することなく、SiC多結晶膜と支持基板とを容易に分離することができる。
10 支持基板
11a 第1表面
11b 第2表面
12 側面
20 第一多結晶膜
20a 第一多結晶膜
20b 第一多結晶膜
25 第一多結晶膜
25a 第一多結晶膜
25b 第一多結晶膜
30 第二多結晶膜
30a 第二多結晶膜
30b 第二多結晶膜
100 第一複合基板
200 第二複合基板

Claims (5)

  1. 珪素含有ガス、炭素含有ガス、水素ガスおよび窒素ガスからなる混合ガスを支持基板に供給し、化学気相成長法によって前記支持基板に窒素原子濃度が1×1018〜1×1020個/cm3である炭化珪素の第一多結晶膜を成膜する第一成膜工程を含む、炭化珪素多結晶基板の製造方法。
  2. 前記第一成膜工程は、平均膜厚が1〜10μmの前記第一多結晶膜を成膜する工程であり、
    当該第一成膜工程後、化学気相成長法によって前記第一多結晶膜に平均膜厚が400〜1000μmである炭化珪素の第二多結晶膜を成膜する第二成膜工程を含む、請求項1に記載の炭化珪素多結晶基板の製造方法。
  3. 前記珪素含有ガスが塩素を含む、請求項1または2に記載の炭化珪素多結晶基板の製造方法。
  4. 前記支持基板が、表面層として平均膜厚が1〜100μmの二酸化珪素膜を有する珪素基板である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素多結晶基板の製造方法。
  5. 前記支持基板に前記第一多結晶膜が成膜した第一複合基板から前記支持基板を分離する第一分離工程、または
    前記支持基板に前記第一多結晶膜が成膜し、さらに当該第一多結晶膜に前記第二多結晶膜が成膜した第二複合基板から前記支持基板を分離する第二分離工程
    を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化珪素多結晶基板の製造方法。
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