JP2020049865A - 熱転写シート、印画物、およびゲーム機 - Google Patents

熱転写シート、印画物、およびゲーム機 Download PDF

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Abstract

【課題】書き換え可能な不可視画像を形成可能な熱転写シートを提供する。【解決手段】基材と、前記基材の一方の面上に設けられた赤外線吸収材料含有層と、を含む熱転写シートにおいて、前記赤外線吸収材料含有層に赤外線吸収材料を含有し、前記赤外線吸収材料を、所定の波長領域における赤外線吸収率が外部からのエネルギーの印加により変化する性質を有するものとする。【選択図】図2

Description

本発明は、熱転写シート、印画物、およびゲーム機に関する。
ゲームセンターや商業施設等において設置・利用されているゲーム機の1つとして、カードに印刷されたコード情報を読み取り、読み取ったコード情報を利用してゲームを実行するアーケードゲーム機が知られている。これらアーケードゲーム機で用いられるカードには、アーケードゲーム機に再現されるキャラクタの画像、名称、およびステータス、並びに二次元コード等のコード情報が印刷されており、当該コード情報は、このキャラクタを定義するための情報を有している。
近時、その内部にプリンタを備え、ゲームの進行状況に応じてキャラクタのステータスが変化し、ゲーム終了後に、ゲームの進行時に変化したステータスが反映されたキャラクタのカードをオンデマンドで発行可能なアーケードゲーム機が知られている。このアーケードゲーム機によれば、ゲームの遊技者は、新たに発行されたカードを次回以降のゲームに利用し、キャラクタを強化、あるいは育成等ができ、遊技者のカードに対する興趣を高めることができる。たとえば、特許文献1には、利用者の操作によりゲームを実行し、実行されたゲームの結果を保存する携帯端末からゲーム結果情報を受信する通信部と、複数のキャラクタ画像のデータを記憶する記憶部と、受信したゲーム結果情報に基づいてキャラクタ画像を選択し、ゲーム結果情報に含まれるステータス情報と組み合わせてカード画像データを生成する画像データ生成部と、カード画像データを用いて、カード画像を印画紙にプリントし、ゲームカードを出力するプリンタとを備えるゲームカードプリント装置や、このゲームカードプリント装置と、操作を受け付ける入力部、ゲーム画面を表示する表示部、ゲームカードにプリントされたコード情報を読み取る読み取り部、投入された貨幣を識別計数する課金部および読み取ったコード情報に基づいてゲーム内にキャラクタを再現する再現部を有し、所定金額の投入に伴いゲームを実行するアーケードゲームシステムが提案されている。
また、アーケードゲーム機の使用形態も多様化しており、たとえば特許文献2に記載されているように、赤外線スキャナ等を内蔵したアーケードゲーム機等も提案がされている。当該アーケードゲーム機では、キャラクタ等を示す可視画像とともに、キャラクタ等を定義するためのコード情報としての不可視画像が印画されているカードが用いられている。
このようなアーケードゲーム機においては、ゲームの結果に応じてキャラクタのレベルなどが変化する場合も多く、この場合にあっては、ゲームカードに印画されたコード情報を書き換える必要が生じる。
ゲームカードに印画されたコード情報を書き換える方法としては、たとえば、コード情報の印画に際し感熱色素を用い、書き換えの際には印画部分に熱を加えることで消色せしめ、新たなコード情報を再印画する方法が採用されている。この方法によれば、書き換え回数に制限はないが、感熱色素は有色であるため、コード情報が可視画像となってしまい、ゲームカード全体の意匠性が損なわれる場合がある。一方で、ゲームカードにICチップを搭載せしめ、このICチップにコード情報を記録するとともに、適宜書き換える方法も考え得るが、ゲームカードのコストアップが懸念される。
特開2016−22208号公報 国際公開第2018/056395号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、書き換え可能な不可視画像を形成可能な熱転写シートを提供するとともに、書き換え可能な不可視画像が設けられた印画物、さらには、当該印画物を形成しつつその書き換えも可能なゲーム機を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、基材と、前記基材の一方の面上に設けられた赤外線吸収材料含有層と、を含む熱転写シートであって、前記赤外線吸収材料含有層は、赤外線吸収材料を含み、前記赤外線吸収材料は、所定の波長領域における赤外線吸収率が、外部からのエネルギーの印加により変化する性質を有する、ことを特徴とする。
上記の発明にあっては、前記赤外線吸収材料が、波長750nm以上1400nm以下の範囲内に、赤外線吸収率が60%以上の極大吸収波長を有し、かつ、エネルギーの印加により、前記極大吸収波長における赤外線吸収率が40%以下に減少する性質を有していてもよい。
また、上記の発明にあっては、前記基材の一方の面上に、前記赤外線吸収材料含有層に加え、色材層および転写層が面順次に設けられており、前記転写層は、受容層のみからなる単層構造、または、前記基材から最も近くに前記受容層が位置する積層構造、を呈していてもよい。
上記課題を解決するための別の本発明は、被転写体と、前記被転写体上に形成された赤外線吸収材料含有画像と、を含む印画物であって、前記赤外線吸収材料含有画像は、赤外線吸収材料を含み、前記赤外線吸収材料は、所定の波長領域における赤外線吸収率が、外部からのエネルギーの印加により変化する性質を有する、ことを特徴とする。
上記の発明にあっては、前記赤外線吸収材料が、波長750nm以上1400nm以下の範囲内に、赤外線吸収率が60%以上の極大吸収波長を有し、かつ、エネルギーの印加により、前記極大吸収波長における赤外線吸収率が40%以下に減少する性質を有していてもよい。
また、上記の発明にあっては、前記被転写体上に、前記赤外線吸収材料含有画像に加え、色材含有画像および受容層を備え、被転写体側から、赤外線吸収材料含有画像、受容層、色材含有画像がこの順で積層していてもよい。
上記課題を解決するための別の本発明は、ゲーム機能を実行する、ゲーム実行手段と、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱転写シートと被転写体を用いて、被転写体上に赤外線吸収材料含有画像を形成する、画像形成手段と、前記赤外線吸収材料含有画像に赤外線を照射して、当該画像を読み取る、画像読み取り手段と、前記ゲーム実行手段による前記ゲーム機能の実行結果に応じて、前記赤外線吸収材料含有画像にエネルギーを印加することで赤外線吸収材料含有画像を書き換える、画像書き換え手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の熱転写シートによれば、ゲームカードなどの被転写体上に不可視であり、かつ書き換えも可能な画像を形成できる。また、本発明の印画物によれば、赤外線吸収材料含有画像は不可視であるため被転写体の意匠性を損なうことなく、かつ当該赤外線吸収材料含有画像の書き換えも可能である。さらに、本発明のゲーム機によれば、意匠性に優れ、書き換え可能なゲームカードを提供できる。
本発明の実施形態にかかる熱転写シートの概略断面図である。 本発明の実施形態にかかる熱転写シートのメカニズムの説明図である。 エネルギー印加前後の印画物の一例を示す概略正面図であり、(a)はエネルギー印加前を示し、(b)はエネルギー印加後を示す。 エネルギー印加前後の印画物の一例を示す概略正面図であり、(a)はエネルギー印加前を示し、(b)はエネルギー印加後を示す。 本発明の別の実施形態にかかる熱転写シートの概略断面図である。 本発明の実施形態にかかる印画物の概略断面図である。 本発明の別の実施形態にかかる印画物の概略断面図である。 本発明の実施形態にかかるゲーム機の概略図である。
以下に、本発明の実施形態にかかる熱転写シート、印画物、およびゲーム機のそれぞれについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
(1)熱転写シート
図1は、本発明の実施形態にかかる熱転写シートの概略断面図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる熱転写シート10は、基材1と、基材1の一方の面上に設けられた赤外線吸収材料含有層2とを必須の構成として含んでいる。以下にまず、これら必須の構成について説明する。
(1−1)基材
基材1は、特に限定もされることはなく、熱転写シートの分野で用いられているものを適宜選択して用いることができる。たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトンもしくはポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテンまたはアイオノマー等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムが挙げられる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用できる。
また、基材1に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、帯電防止層付与等の易接着処理を行ってもよい。また、基材1は、必要に応じて、充填材、可塑剤、着色剤、帯電防止剤等の添加材を含有していてもよい。基材1の厚さについて特に限定はないが、2μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。
(1−2)赤外線吸収材料含有層
図1に示すように、本実施形態にかかる熱転写シート10にあっては、基材1の一方の面上(図1においては、基材1の上面)に、赤外線吸収材料含有層2が設けられている。この赤外線吸収材料含有層2は、必須の成分として赤外線吸収材料を含有している。本願明細書において「赤外線吸収材料」とは、赤外光を吸収する材料を意味する。
赤外線吸収材料含有層2が設けられた熱転写シートと、被転写体とを重ね合わせ、被転写体上に赤外線吸収材料層を溶融転写することにより、被転写体上に可視光域下では視認できないか、視認しづらく、一方で、赤外光域下で認識可能な、赤外線吸収材料含有画像を形成できる。この赤外線吸収材料含有画像は、いわば「不可視画像」とも言え、不可視であるが故に、被転写体の意匠性を低下させるおそれがなく、アーケードゲーム機に用いられるゲームカードにキャラクタ情報を付与するためのコード情報などを形成する際に好適に用いることができる。
なお、本願明細書において「赤外光域」とは、750nm以上2500nm以下の波長領域を意味する。また「可視光域」とは、400nmより大きく750nm未満の波長領域を意味する。また、後述する「近赤外光域」とは、750nm以上1400nm以下の波長領域を意味する。
ここで、赤外線吸収材料含有層2に含有される赤外線吸収材料は、所定の波長領域における赤外線吸収率が、外部からのエネルギーの印加により変化する性質を有している。この性質を有する赤外線吸収材料を用いることにより、被転写体に形成された赤外線吸収材料含有画像、いわゆる「不可視画像」に対してエネルギーを印加することで、赤外線吸収材料の赤外吸収率を変化せしめることができ、その結果、赤外光域下で識別される赤外線吸収材料含有画像を変化せしめることができる。
図2は、本発明の実施形態にかかる熱転写シートのメカニズムの説明図である。
図2(a)は、本実施形態にかかる熱転写シート10における赤外線吸収材料含有層2に含有される赤外線吸収材料の赤外光域における吸収率の一例を示すグラフである。図2(a)に示すように、たとえば、この赤外線吸収材料の極大吸収波長は900nmであり、極大吸収波長における赤外線の吸収率は80%であるとする。
図2(b)は、図2(a)の赤外線吸収材料が含有された赤外線吸収材料含有層2が設けられた熱転写シート10を用いて、被転写体100上に赤外線吸収材料含有画像20が形成された印画物の一例を示す概略正面図である。なお、図視した赤外線吸収材料含有画像20は、可視光域下では視認できず、赤外光域下において認識が可能な、いわゆる不可視画像となっている。たとえば、この赤外線吸収材料含有画像を認識する際には、赤外線の吸収率が60%以上の部分を識別可能な赤外線スキャナが用いられる。
ここで、たとえば、図2(b)に示す赤外線吸収材料含有画像20に外部からのエネルギーとして所定量の熱を印加する。
図2(c)は、熱を印加した後の赤外線吸収材料含有画像20中の赤外線吸収材料の赤外光域における吸収率の一例を示すグラフである。本実施形態において用いられている赤外線吸収材料は、上記の通り、「所定の波長領域における赤外線吸収率が、外部からのエネルギーの印加により変化する性質を有している」ため、この例においては、図2(c)に示すように、極大吸収波長である900nm近傍における吸収率が40%以下にまで減少している。
図2(d)は、熱を印加した後の印画物の概略正面図である。上記の通り、赤外線の吸収率が60%以上の部分を識別可能な赤外線スキャナを用いた場合、熱を印加した後の赤外線吸収材料含有画像20は認識されないこととなり、いわゆる書き換えがなされたこととなる。
本実施形態にかかる熱転写シート10によれば、以上のメカニズムにより、被転写体上に不可視の状態で形成された赤外線吸収材料含有画像20を、外部から印加するエネルギーによって書き換えることができる。したがって、たとえばアーケードゲーム機において用いられるゲームカードにキャラクタ情報を付与するにあたり、この熱転写シートを用いてコード情報を印刷することにより、コード情報を有する赤外線吸収材料含有画像20は不可視であることから、ゲームカードの意匠性に影響を与えることがなく、さらに、ゲーム結果によりキャラクタ情報が変化した場合であっても、上記のメカニズムによりコード情報を書き換えることが可能となる。
図3は、エネルギー印加前後の印画物の一例を示す概略正面図であり、(a)はエネルギー印加前を示し、(b)はエネルギー印加後を示す。
上記図2を用いた説明においては、一例として、赤外線吸収材料含有画像20の全体がエネルギー(熱)の印加により認識できなくなる(消滅する)場合を挙げたが、この例に限定されることはない。
たとえば、図3(a)に示すように、複数、たとえば9個のドット柄からなる赤外線吸収材料含有画像20を本実施形態にかかる熱転写シート10を用いて形成しておき、当該複数のドット柄の一部、たとえば右上と左下に位置するドットのみに熱を印加することにより、図3(b)に示すように、熱が印加されたドットのみを消滅せしめて、赤外線吸収材料含有画像20全体の図柄を変化せしめることもできる。また、部分的なエネルギーの印加を繰り返し行うことにより、複数回にわたって、赤外線吸収材料含有画像20全体の図柄を次々に変化せしめることも可能である。この技術を応用すれば、赤外線吸収材料含有画像20を二次元バーコードとすることで、この二次元バーコードの書き換えが可能となる。
図4も、エネルギー印加前後の印画物の一例を示す概略正面図であり、(a)はエネルギー印加前を示し、(b)はエネルギー印加後を示す。
上記図2や図3を用いた説明においては、一例として、1種類の、つまり図1に示した特性をもつ赤外線吸収材料が用いられていたが、必ずしも1種類である必要はなく、たとえば、低エネルギーの印加で赤外線の吸収率が低下する赤外線吸収材料A、中エネルギーの印加で赤外線の吸収率が低下する赤外線吸収材料B、および高エネルギーの印加で赤外線の吸収率が低下する赤外線吸収材料C、という3種類の赤外線吸収材料を含有した赤外線吸収材料含有層を用いて、赤外線吸収材料含有層を被転写体上に形成することもできる。
たとえば、図4(a)に示すように、低エネルギーの印加で赤外線の吸収率が低下する赤外線吸収材料Aを用いて形成した上段3つのドット柄と、中エネルギーの印加で赤外線の吸収率が低下する赤外線吸収材料Bを用いて形成した中段3つのドット柄と、高エネルギーの印加で赤外線の吸収率が低下する赤外線吸収材料Cを用いて形成した下段3つのドット柄を併せて、9個のドット柄からなる赤外線吸収材料含有画像20を形成しておくことも可能である。そして、第1段階として、9個のドット柄からなる赤外線吸収材料含有画像20の全体に対して、低エネルギーを印加することにより、図3(b)に示すように、当該低エネルギーで赤外線の吸収率が低下する赤外線吸収材料Aを含む上段3つのドット柄のみを消滅せしめ、次いで、第2段階として、中エネルギーを印加することにより、図3(c)に示すように、当該中エネルギーの印加で赤外線の吸収率が低下する赤外線吸収材料Bを含む中段3つのドット柄を消滅せしめることができ、これにより、多段階の変化にも対応可能である。
なお、図3を用いて説明した「部分的なエネルギーの印加」と図4を用いて説明した「複数の赤外線吸収材料の使用」を併用することももちろん可能であり、これらの併用により、赤外線吸収材料含有画像をより複雑に変化せしめることができる。
また、上記の説明においては、赤外線吸収材料の赤外線吸収率が、外部からのエネルギーの印加により「低下」する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、エネルギーの印加により赤外線吸収率が「増加」する赤外線吸収材料を用いることも可能であり、これを用いることで、たとえば図3に示すドット柄が増える変化も可能となる。
本実施形態における熱転写シート10を構成する赤外線吸収材料としては、上記で説明したとおり、「所定の波長領域における赤外線吸収率が、外部からのエネルギーの印加により変化する性質を有している」材料であって、上記の作用を奏するものであればよい。具体的には、たとえば、ジイモニウム系化合物、アミニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ジチオール系有機金属錯体、シアニン系化合物、アゾ系化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、オキソール系化合物やカーボンブラック等が挙げることができる。なお、これら赤外線吸収材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記の中でも、特に、下記の構造式(1)で示されるシアニン系化合物を用いることが好ましい。
Figure 2020049865
上記の構造式(1)で示されるシアニン系化合物は、構造式(1)中の「n」の増減により極大吸収波長を変化させることができる。なお、構造式(1)中のRは、炭素(C)を主骨格とした構造で、炭素数2以上のアルキル基やカルボキシル基、炭素数6以上の芳香族や脂肪族など、一般的に用いられる有機鎖である。
本実施形態にかかる熱転写シート10における赤外線吸収材料含有層2は、上記赤外線吸収材料とともにバインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂としては、たとえば、ポリエステル、ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、フェノール樹脂およびポリウレタンなどの公知の樹脂を挙げることができる。
また、赤外線吸収材料含有層2は、上記赤外線吸収材料およびバインダー樹脂の他、必要に応じて、各種添加材を添加することも可能である。
赤外線吸収材料含有層の形成方法について特に限定はなく、赤外線吸収材料やバインダー樹脂、さらには必要応じて添加される滑剤等を適当な溶剤中に溶解あるいは分散させた赤外線吸収材料含有層用塗工液を調製し、この塗工液を基材1上に塗布・乾燥することで形成できる。赤外線吸収材料含有層の厚みは、0.2μm以上2.0μm以下の範囲が一般的である。
(1−3)熱転写シートの別の態様
図5は、本発明の別の実施形態にかかる熱転写シートの概略断面図である。
図5に示す本発明の別の実施形態にかかる熱転写シート10は、基材1の一方の面上(図5においては上面)に、赤外線吸収材料含有層2に加え、第1転写層5、色材層3、および第2転写層7が面順次に設けらている。このように、本実施形態にかかる熱転写シート10は、色材層3や転写層5、7を含んでもよい。
(1−4)色材層
色材層3は色材とバインダー樹脂を含有している。図5に示す熱転写シート10にあっては、フルカラー画像の形成を可能とすべく、イエローの色材を含有するイエロー色材層3Y、マゼンタの色材を含有するマゼンタ色材層3M、およびシアンの色材を含有するシアン色材層3C、という3色の色材層が設けられているが、これに限定されることはなく、単一色のみであってもよいし、3色以上の色材層が設けられていてもよい。なお、本願明細書で言う色材とは、昇華性染料、蛍光染料等の染料や、顔料等を含む概念である。
色材層3に含まれる色材としては、たとえば、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、メチン系染料、インドアニリン系染料、ピラゾロメチン系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料、等が挙げられる。具体的には、MSRedG(三井東圧化学(株))、Macrolex Red Violet R(バイエル社)、Ceres Red 7B(バイエル社)、Samaron Red F3BS(三菱ケミカル(株))等の赤色染料、ホロンブリリアントイエロー6GL(クラリアント社)、PTY−52(三菱ケミカル(株))、マクロレックスイエロー6G(バイエル(株))等の黄色染料、カヤセット(登録商標)ブルー714(日本化薬社)、ホロンブリリアントブルーS−R(クラリアント社)、MSブルー100(三井東圧化学(株))、C.I.ソルベントブルー63等の青色染料等を挙げることができる。なお、これらの色材は、1種を単独で用いることもでき、2種以上を混合して用いることもできる。
色材層3中の色材の含有量について特に限定はなく、求められる画像濃度や後述するバインダー樹脂の含有量などに応じて適宜設定できる。一例としては、色材の含有量(全ての色材の合計含有量)は、バインダー樹脂の総質量に対し5質量%以上300質量%以下の範囲である。
色材層3に含まれるバインダー樹脂についても特に限定はなく、ある程度の耐熱性を有し、昇華性染料と適度の親和性があるものを適宜選択して使用できる。このようなバインダー樹脂としては、たとえば、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース樹脂;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル樹脂;ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル樹脂;ポリウレタン;ポリアミド;ポリエステル;等を挙げることができる。
バインダー樹脂の含有量についても特に限定はないが、色材層3の総質量に対するバインダー樹脂の含有量が20質量%未満である場合には、色材層3中で色材を十分に保持できず保存性が低下していく傾向にある。したがって、色材層3の総質量に対するバインダー樹脂の含有量は20質量%以上であることが好ましい。バインダー樹脂の含有量の上限値について特に限定はなく、色材や任意の添加材の含有量に応じて適宜設定できる。
また、色材層3は、無機粒子や有機微粒子等の添加材を含有していてもよい。無機粒子としては、タルク、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス、シリコーン樹脂微粒子等が挙げられる。
また、色材層3は、離型剤を含有していてもよい。離型剤としては、変性あるいは未変性のシリコーンオイル(シリコーン樹脂と称されるものも含む)、リン酸エステル、脂肪酸エステル等を挙げることができる。
色材層3の形成方法について特に限定はなく、バインダー樹脂、色材、必要に応じて添加される添加材や離型剤を適当な溶剤中に溶解あるいは分散させた色材層用塗工液を調製し、この塗工液を基材1あるいは基材1上に設けられる任意の層上に塗布・乾燥して形成できる。色材層3の厚みは、0.2μm以上2.0μm以下の範囲が一般的である。
(1−5)第1転写層
図5に示す本実施形態にかかる熱転写シート10にあっては、第1転写層5が、基材1から剥離可能に設けられている。第1転写層5を備える熱転写シート10によれば、被転写体100上に赤外線吸収材料を含有する赤外線吸収材料含有画像20を形成し、さらにこの赤外線吸収画像20上に第1転写層5を形成できる。つまり、赤外線吸収材料含有画像20を第1転写層5によって覆うことができる。これにより、赤外線吸収材料含有画像20が表面に露出することによる種々の問題、たとえば、赤外線吸収材料含有画像20が外部からの衝撃等によって、消失してしまうこと等を抑制できる。さらに、第1転写層5上に色材層3を用いて一般的な、通常の画像を形成することで、赤外線吸収材料含有画像20と、いわゆる通常画像とを有する印画物を製造できる。
第1転写層5上に、昇華型熱転写方式によっていわゆる一般画像を形成する場合には、第1転写層5は、少なくとも受容層5Aを含んでおり、受容層5Aのみからなる単層構造、あるいは基材1側から受容層5A、他の層がこの順で積層されてなる積層構造を呈している(図5参照)。第1転写層5を構成する層のうち基材1から最も近くに位置する層を受容層5Aとしているのは、被転写体上に第1転写層5を転写したときに、その最表面に受容層5Aを位置させるためである。
受容層5Aの材料について特に限定はないが、色材層3が含有する色材が染着し易いバインダー樹脂を用いることが好ましい。このようなバインダー樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、アイオノマー、セルロース樹脂等を挙げることができる。受容層5Aは、これらのバインダー樹脂の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。また、これらバインダー樹脂のモノマーを2種以上共重合してなる共重合体を用いることもできる。このような共重合体としては、たとえば、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体を挙げることができる。中でも、セルロース樹脂は、転写界面に位置する層である受容層5Aの転写性を十分に満足させることができ、熱転写シート10に印加されるエネルギーを高めていった場合であっても、受容層5Aを含む第1転写層5の転写性を満足させることができる点で受容層5Aの材料として好ましい。また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、受容層5Aの染料染着性や、受容層5Aと色材層3との離型性を高めることができる点で、受容層5Aの材料として好ましい。
セルロース樹脂としては、たとえば、セルロースアセテート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース等を挙げることができる。
受容層5Aは、印画時における色材層3との熱融着を抑制するために、離型剤を含有していてもよい。離型剤としては、たとえば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス類、フッ素系またはリン酸エステル系界面活性剤、シリコーンオイル、反応性シリコーンオイル、硬化型シリコーンオイル等の各種変性シリコーンオイル、および各種シリコーン樹脂等を挙げることができる。
受容層5Aは、上記バインダー樹脂、必要に応じて添加される離型剤等の添加材を適当な溶媒に、分散あるいは溶解させた受容層用塗工液を調製し、この塗工液を基材1あるいは基材1上に設けられる任意の層上に塗布・乾燥して形成できる。受容層5Aの厚みについて特に限定はなく、通常、0.3μm以上10μm以下の範囲である。
被転写体100と第1転写層5との密着性を向上させるべく、図5に示すように、第1転写層5を、基材1側から受容層5Aとヒートシール層5Cとをこの順で積層してなる積層構造とすることもできる。ヒートシール層5Cの材料としては、被転写体100との接着性が良好な材料が好ましい。このような材料としては、たとえば、エチルセルロース、酢酪酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。ヒートシール層5Cの厚みは、0.1μm以上20μm以下の範囲が好ましい。
図5に示すように、受容層5Aとヒートシール層5Cとの間に、プライマー層5Bを設けることもできる。プライマー層5Bを設けることで、受容層5Aとヒートシール層5Cとの密着性の向上、受容層5Aと色材層との離型性の向上を図ることができ、また、受容層5A上に形成された熱転写画像に生じ得る滲みの抑制や、帯電防止性を付与できる。
プライマー層5Bの厚みについて特に限定はないが、0.01μm以上5μm以下の範囲が好ましく、0.02μm以上3μm以下の範囲が特に好ましい。
なお、被転写体100へ転写された第1転写層5上に、熱溶融型熱転写方式によって熱転写画像50Bを形成する場合には、第1転写層5は受容層5Aを有していなくともよく、被転写体上に転写可能なヒートシールパネル等を適宜選択して用いることができる。ヒートシールパネルとしては、上記剥離層や、ヒートシール層、及び後述する保護層等を適宜選択して、あるいはこれらを組合せて用いることができる。
(1−6)第2転写層
図5に示す本実施形態にかかる熱転写シート10にあっては、上記で説明した第1転写層5に加え、第2転写層7も基材1から剥離可能に設けられている。
図5に示す第2転写層7は、基材1側から剥離層7Bと保護層7Aとがこの順で積層されてなる積層構造を呈していているが、これに限定されることはなく、保護層7Aのみからなる単層構造を呈していてもよく、これ以外の構成を呈していてもよい。
保護層7Aを構成するバインダー樹脂としては、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、紫外線吸収性樹脂、エポキシ樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、活性光線硬化性樹脂等を挙げることができる。なお、活性光線とは、活性光線硬化性樹脂に対して化学的に作用させて重合を促進せしめる光線を意味し、具体的には、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等を意味する。
保護層7Aを構成するバインダー樹脂の含有量について特に限定はないが、保護層7Aの固形分総量に対し、バインダー樹脂は20質量%以上含有されていることが好ましく、30質量%以上含有されていることがさらに好ましい。バインダー樹脂の含有量の上限について特に限定はなく、その上限は100質量%である。また、保護層7Aは、バインダー樹脂に加え、各種フィラーや、蛍光増白剤、耐侯性を向上させるための紫外線吸収剤等、その他の材料を含有していてもよい。
保護層7Aの形成方法についても特に限定はなく、上記で例示したバインダー樹脂、必要に応じて添加される添加材を、適当な溶媒に溶解あるいは分散させた保護層用塗工液を調製し、この塗工液を基材1あるいは基材1上に設けられる任意の層上に塗布・乾燥して形成できる。保護層7Aの厚みについて特に限定はないが、通常は、0.5μm以上10μm以下の範囲である。
図5に示すように、第2転写層7の転写性を向上させるべく、第2転写層7を、基材1側から剥離層7Bと保護層7Aとがこの順で積層されてなる積層構造とすることもできる。剥離層7Bを構成するバインダー樹脂としては、たとえば、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル樹脂等に例示される熱可塑性樹脂、飽和または不飽和ポリエステル、ポリウレタン、熱硬化性エポキシ−アミノ共重合体、及び熱硬化性アルキッド−アミノ共重合体(熱硬化性アミノアルキド樹脂)等に例示される熱硬化性樹脂、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。また、第2転写層7の箔切れ性の向上を図るべく、剥離層7Bにマイクロシリカやポリエチレンワックス等のフィラーを含有させてもよい。また剥離層7Bは、上記に例示した樹脂に加えイソシアネート化合物等の架橋剤、錫系触媒、アルミニウム系触媒等の触媒を用いて形成することとしてもよい。
剥離層7Bの形成方法についても特に限定はなく、上記で例示したバインダー樹脂や必要に応じて添加される添加材を適当な溶媒に溶解あるいは分散させた剥離層用塗工液を調製し、この塗工液を基材1上に塗布・乾燥して形成できる。剥離層7Bの厚みについて特に限定はないが、通常は、0.1μm以上5μm以下の範囲である。
(1−7)背面層
また、基材1の他方の面上に背面層(図示しない)を設けることもできる。
背面層の材料について限定はなく、たとえば、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等のビニル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のアクリル樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン等の天然または合成樹脂の単体または混合物等を挙げることができる。
また、背面層は、固形あるいは液状の滑剤を含有していてもよい。滑剤としては、たとえば、ポリエチレンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、有機カルボン酸およびその誘導体、金属石鹸、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を挙げることができる。背面層の総質量に対する滑剤の質量は、5質量%以上50質量%以下の範囲、好ましくは10質量%以上40質量%以下の範囲である。
背面層の形成方法について特に限定はなく、樹脂や必要に応じて添加される滑剤等を適当な溶剤中に溶解あるいは分散させた背面層用塗工液を調製し、この塗工液を基材1上に塗布・乾燥することで形成できる。背面層の厚みは、0.5μm以上10μm以下の範囲が好ましい。
(2)被転写体
本実施形態にかかる熱転写シート10と組み合わせて用いられる被転写体100については特に限定されることはない。たとえば、天然繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等からなるものであり、単層からなるものであっても、複数層からなるものであっても良い。
被転写体100がプラスチックフィルムからなる場合、プラスチックフィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリメチルメタアクリレート等のアクリル樹脂、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のスチレン樹脂、セロファン、セルロースアセテート、ニトロセルロース等のセルロース系フィルム、等が挙げられる。プラスチックフィルムは、上記した樹脂を主成分とする共重合樹脂若しくは混合体(アロイを含む)であってもよい。
被転写体100自体は、受容層を備えていなくともよいが、色材層3を用いて昇華型熱転写方式により画像を形成する場合には、受容層を備えていることが好ましい。
被転写体100の厚みについて特に限定はないが、3μm以上800μm以下の範囲であることが好ましく、100μm以上600μm以下の範囲であることがより好ましい。
(3)印画物
次に、本発明の実施形態にかかる印画物について図面を用いて説明する。
図6は、本発明の実施形態にかかる印画物の概略断面図である。
図6に示すように、本発明の実施形態にかかる印画物200は、被転写体100と、この被転写体100上に形成された赤外線吸収材料含有画像20とを含んでおり、図1に示す本実施形態にかかる熱転写シート10において製造した印画物といえる。
このような印画物200によれば、赤外線吸収材料含有画像20に対して、外部からエネルギーを印加することにより、赤外線吸収材料含有画像20中の赤外線吸収材料の赤外線吸収率を変化せしめ、これにより赤外線吸収材料含有画像20、いわゆる不可視画像を変化せしめることができる。
図7は、本発明の別の実施形態にかかる印画物の概略断面図である。
図7に示すように、本発明の実施形態にかかる印画物200は、被転写体100上に、赤外線吸収材料含有画像20、受容層50、色材含有画像30、さらには保護層70がこの順で積層された構造を呈しており、図5に示す本実施形態にかかる熱転写シート10において製造した印画物といえる。
このような印画物200によれば、図6に示した印画物と同様、赤外線吸収材料含有画像20を変化せしめることができるとともに、当該赤外線吸収材料含有画像20を一般的な色材含有画像30で隠ぺいしつつ、その全体を保護層でカバーしているので、当該印画物の意匠性をより向上せしめることができる。
(4)ゲーム機
次に、本発明の実施形態にかかるゲーム機について図面を用いて説明する。
図8は、本発明の実施形態にかかるゲーム機の概略図である。
図8に示すゲーム機500は、ゲーム機能を実行するゲーム実行手段(図示せず)と、上記で説明した本実施形態にかかる熱転写シート10と被転写体100を用いて、被転写体100上に赤外線吸収材料含有画像20を形成する画像形成手段400と、前記赤外線吸収材料含有画像20に赤外線を照射して当該画像を読み取る画像読み取り手段410と、前記ゲーム実行手段による前記ゲーム機能の実行結果に応じて、前記赤外線吸収材料含有画像20にエネルギーを印加することで赤外線吸収材料含有画像を書き換える画像書き換え手段20と、を備えている。
また、図示する形態のゲーム機500は、コントロールパネル(図示しない)、モニタ515、スピーカー、カード挿入口510、カード排出口511、コイン投入口(図示しない)、電源等、一般的なゲーム機の構成を有している。図示する形態において、画像形成手段400、コントロールパネル、モニタ515、スピーカーは、制御ユニットに接続されている。制御ユニットは、ゲームプログラムに従って、ゲームの実行を制御するゲーム制御部(図示しない)、ゲーム制御部により与えられるデータに基づいて、モニタ515に画像を表示させる表示制御部(図示しない)、ゲーム制御部により与えられるデータに基づいて、スピーカーより音を出力する音声制御部(図示しない)等を有している。ゲーム制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)や、RAM(Randam Access Memory)等で構成されている。CPUは、記憶部、ROM、記録媒体等に格納されたゲームプログラムを、RAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バスを介して接続された各装置を駆動させてゲーム処理を実行する。
記憶部は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)であり、ゲーム制御部が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(Operating System)等が格納されている。プログラムに関しては、OSに相当する制御プログラムや、ゲームプログラム、所定の処理をコンピュータに実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。これらの各プログラムコードは、ゲーム制御部により必要に応じて読み出されてRAMに移され、各種の手段として実行される。
画像読み取り手段410は、カード挿入口510の内部に設けられ、印画物(カード)に形成された赤外線吸収材料含有画像20の情報を読み取る。画像読み取り手段410としては、赤外線スキャナ等を挙げることができる。
ゲーム実行手段は、特別画像の情報に基づいてゲームを実行し、ゲームの実行結果に基づいて画像データを生成する。当該画像データには、ゲーム機能の実行結果を反映させた赤外線吸収材料含有画像のデータが含まれる。ゲーム実行手段は生成した画像データを、画像書き換え手段420に送信する。
画像書き換え手段420は、受信した画像データに基づき、元々形成されていた赤外線吸収材料含有画像に対して、外部からエネルギーを印加することで、当該赤外線吸収材料含有画像を受信した画像データに変化せしめる。画像書き換え手段420としては、熱エネルギーを加えるサーマルヘッドや、レーザー照射装置などを挙げることができる。
画像書き換え手段420において、赤外線吸収材料含有画像20が書き換えられた印画物(カード)は、カード排出口511より排出される。
1・・・基材
2・・・赤外線吸収材料含有層
3・・・色材層
5・・・第1転写層
5A・・・受容層
5B・・・プライマー層
5C・・・ヒートシール層
7・・・第2転写層
7A・・・保護層
10・・・熱転写シート
20・・・赤外線吸収材料含有画像
30・・・色材含有画像
50・・・転写層(受容層)
70・・・転写層(保護層)
100・・・被転写体
200・・・印画物

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材の一方の面上に設けられた赤外線吸収材料含有層と、を含む熱転写シートであって、
    前記赤外線吸収材料含有層は、赤外線吸収材料を含み、
    前記赤外線吸収材料は、所定の波長領域における赤外線吸収率が、外部からのエネルギーの印加により変化する性質を有する、ことを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記赤外線吸収材料が、波長750nm以上1400nm以下の範囲内に、赤外線吸収率が60%以上の極大吸収波長を有し、かつ、エネルギーの印加により、前記極大吸収波長における赤外線吸収率が40%以下に減少する性質を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記基材の一方の面上に、前記赤外線吸収材料含有層に加え、色材層および転写層が面順次に設けられており、
    前記転写層は、受容層のみからなる単層構造、または、前記基材から最も近くに前記受容層が位置する積層構造、を呈している、ことを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写シート。
  4. 被転写体と、前記被転写体上に形成された赤外線吸収材料含有画像と、を含む印画物であって、
    前記赤外線吸収材料含有画像は、赤外線吸収材料を含み、
    前記赤外線吸収材料は、所定の波長領域における赤外線吸収率が、外部からのエネルギーの印加により変化する性質を有する、ことを特徴とする印画物。
  5. 前記赤外線吸収材料が、波長750nm以上1400nm以下の範囲内に、赤外線吸収率が60%以上の極大吸収波長を有し、かつ、エネルギーの印加により、前記極大吸収波長における赤外線吸収率が40%以下に減少する性質を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の印画物。
  6. 前記被転写体上に、前記赤外線吸収材料含有画像に加え、色材含有画像および受容層を備え、
    被転写体側から、赤外線吸収材料含有画像、受容層、色材含有画像がこの順で積層している、ことを特徴とする請求項4または5に記載の印画物。
  7. ゲーム機能を実行する、ゲーム実行手段と、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱転写シートと被転写体を用いて、被転写体上に赤外線吸収材料含有画像を形成する、画像形成手段と、
    前記赤外線吸収材料含有画像に赤外線を照射して、当該画像を読み取る、画像読み取り手段と、
    前記ゲーム実行手段による前記ゲーム機能の実行結果に応じて、前記赤外線吸収材料含有画像にエネルギーを印加することで赤外線吸収材料含有画像を書き換える、画像書き換え手段と、を備えることを特徴とするゲーム機。
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