JP2019064154A - 熱転写シート、及び印画物の製造方法 - Google Patents

熱転写シート、及び印画物の製造方法 Download PDF

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泰史 米山
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Abstract

【課題】不可視光線吸収材料を含む特別画像、及び昇華性染料を含む熱転写画像の双方の画像形成が可能であり、さらに特別画像上に熱転写画像を品質よく形成できる熱転写シートを提供すること、及びこの熱転写シートを用いた印画物の製造方法を提供すること。【解決手段】染料層を備える熱転写シート10であって、基材1の一方の面上に、不可視光線吸収材料を含有する不可視光線吸収材料含有層2、転写層5、染料層3が面順次に設けられ、転写層5は、受容層5Aのみからなる単層構成、又は基材1から最も近くに受容層5Aが位置する積層構成を呈しており、不可視光線吸収材料含有層2の厚みが1.5μm以下であることを特徴としている。【選択図】図1

Description

本発明は、熱転写シート、及び印画物の製造方法に関する。
ゲームセンターや、商業施設等において設置・利用されているゲーム機の1つとして、カードに印刷されたコード情報を読み取り、読み取ったコード情報を利用してゲームを実行するアーケードゲーム機が知られている。これらアーケードゲーム機で用いられるカードには、アーケードゲーム機に再現されるキャラクタの画像、名称、及びステータス、並びに二次元コード等のコード情報が印刷されており、当該コード情報は、このキャラクタを定義するための情報を有している。近時、アーケードゲーム機の使用形態も多様化しており、赤外線スキャナ等を内蔵したアーケードゲーム機等も提案がされている。このようなアーケードゲーム機では、キャラクタ等を示す可視画像とともに、キャラクタ等を定義するためのコード情報としての不可視画像が印画されているカードが多く用いられており、その一形態として、被転写体上に、不可視画像(ステルス画像等と称される場合もある)、及び可視画像(熱転写画像と称される場合もある)が重なるように形成されたカード等が知られている。このようなカードには、不可視画像上に形成される可視画像に高い品質が求められている。
品質の高い可視画像の形成方法として、昇華性染料を含有する染料層を備えた熱転写シートと、昇華性染料を受容可能な受容層を備える熱転写受像シートとを組合せ、受容層に昇華性染料を移行させて画像を形成する昇華型熱転写方式が広く用いられている。昇華型熱転写方式により形成される画像は、昇華性染料を色材としているため中間調の再現性や階調性に優れており、その品質は銀塩写真に匹敵するものである。なお、昇華型熱転写方式とは、上記のような熱転写シートと熱転写受像シートとを重ね合わせた後に、熱転写シートの背面側にサーマルヘッド加熱デバイスを接触させ、加熱デバイスにより熱転写シートの背面側に画像情報に応じたエネルギーを印加し、且つ熱転写シートの背面側を押圧しながら、熱転写シート上を擦るように加熱デバイスを移動させることで、受容層に昇華性染料を移行させる熱転写方式である。
なお、昇華型熱転写方式を用いた可視画像は、昇華性染料を受容可能な受容層に昇華性染料を移行させることにより行われるところ、被転写体上に形成された不可視画像上に、昇華型熱転写方式を用いて可視画像を形成する場合には、可視画像の形成に先だって、不可視画像上に昇華性染料を受容可能な受容層を設けておくことが必要となる。
特開2016−22208号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、不可視画像、及び昇華性染料を含む可視画像の双方の画像形成が可能であり、さらに不可視画像上に可視画像を品質よく形成できる熱転写シートを提供すること、及びこの熱転写シートを用いた印画物の製造方法を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、染料層を備える熱転写シートであって、基材の一方の面上に、不可視光線吸収材料を含有する不可視光線吸収材料含有層、転写層、染料層が面順次に設けられ、前記転写層は、受容層のみからなる単層構成、又は前記基材から最も近くに前記受容層が位置する積層構成を呈しており、前記不可視光線吸収材料含有層の厚みが1.5μm以下であることを特徴とする。
また、前記不可視光線吸収材料含有層の厚みが0.2μm以上であってもよい。また、前記不可視光線吸収材料の含有量が、前記不可視光線吸収材料含有層の総質量に対し1.5質量%以上であってもよい。
また、上記課題を解決するための本発明は、印画物の製造方法であって、被転写体を準備する被転写体準備工程と、基材の一方の面上に、不可視光線吸収材料を含有する不可視光線吸収材料含有層と、受容層のみからなる単層構成、又は前記基材から最も近くに前記受容層が位置する積層構成を呈する転写層と、昇華性染料を染料層とが面順次に設けられた熱転写シートを準備する熱転写シート準備工程と、前記被転写体の表面の一部を露出させるようにして、前記被転写体の一方の面上に、前記熱転写シートの前記不可視光線吸収材料含有層を溶融転写し、不可視光線吸収材料を含有する特別画像を形成する特別画像形成工程と、前記特別画像、及び前記露出している被転写体のそれぞれの表面の少なくとも一部を覆うようにして、前記被転写体の一方の面上に、前記熱転写シートの転写層を溶融転写する転写層転写工程と、前記転写された前記転写層上に、前記熱転写シートの前記染料層が含有している昇華性染料を移行させて、前記染料層が含有している昇華性染料を含む熱転写画像を形成する熱転写画像形成工程とを含み、前記熱転写シート準備工程で準備される前記熱転写シートが、前記不可視光線吸収材料含有層の厚みが1.5μm以下の熱転写シートであることを特徴とする。
本発明の熱転写シートによれば、不可視光線吸収材料を含む画像、及び昇華性染料を含む画像の双方の画像形成が可能となり、さらに、不可視光線吸収材料を含む画像上に、昇華性染料を含む画像を品質よく形成できる。また、本発明の印画物の製造方法によれば、不可視光線吸収材料を含む画像上に、昇華性染料を含む画像が品質よく形成された印画物を得ることができる。
一実施形態の熱転写シートの概略断面図である。 一実施形態の熱転写シートの概略断面図である。 一実施形態の熱転写シートの概略断面図である。 一実施形態の熱転写シートの概略断面図である。 一実施形態の熱転写シートの概略断面図である。 一実施形態の印画物の製造方法を説明するための工程図であり、(a)〜(c)は全て概略断面図である。 一実施形態の熱転写シートの概略断面図である。 (a)、(b)は、被転写体上に転写された転写層の表面に凹凸が発現している状態の一例を示す概略断面図である。 被転写体上に転写された転写層の表面に凹凸が発現している状態の一例を示す概略断面図である。 (a)、(b)は転写層が転写された被転写体と、一実施形態の熱転写シートとを重ね合わせた状態の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の熱転写シート、及び本発明の印画物の製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は多くの異なる態様での実施が可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略する場合がある。
<<熱転写シート>>
図1、図2に示すように、本発明の一実施形態の熱転写シート10(以下、一実施形態の熱転写シートと言う)は、基材1の一方の面上に、不可視光線吸収材料を含有する不可視光線吸収材料含有層2と、受容層5Aのみからなる単層構成、又は基材1から最も近くに受容層5Aが位置する積層構成を呈する転写層5と、昇華性染料を含有する染料層3とが面順次に設けられた構成を呈している。なお、不可視光線吸収材料含有層2、転写層5、染料層3は、一実施形態の熱転写シート10における必須の構成である。
以下、基材1の一方の面上に、不可視光線吸収材料を含有する不可視光線吸収材料含有層2と、受容層5Aのみからなる単層構成、又は基材1から最も近くに受容層5Aが位置する積層構成を呈する転写層5と、昇華性染料を含有する染料層3とが面順次に設けられた構成を呈する熱転写シート(以下、この構成を呈する熱転写シートのことを、熱転写シートAと称する)を用いた印画物の製造方法について一例を挙げて説明しつつ、一実施形態の熱転写シート10の優位性について説明する。また、以下、各図に示す形態の熱転写シートが、基材1の一方の面上に、不可視光線吸収材料含有層2、転写層5、染料層3がこの順で面順次に設けられた構成を例に挙げて説明を行っているが、不可視光線吸収材料含有層2、転写層5、染料層3の並び順について限定はない。
一例としての熱転写シートAを用いた印画物の形成は、はじめに、熱転写シートAと被転写体とを組合せ、熱溶融型熱転写方式を用いて、被転写体上に、不可視光線吸収材料を含有する特別画像を形成する。具体的には、被転写体と熱転写シートAとを、被転写体と不可視光線吸収材料含有層2とが対向するように重ね合わせ、熱転写シートAの背面側(基材1の不可視光線吸収材料と接しない側)に、加熱デバイスによりエネルギーを印加し、当該印加された領域に対応する不可視光線吸収材料含有層2を溶融軟化させ、溶融軟化した不可視光線吸収材料含有層2を、被転写体上に層ごと転写させて不可視光線吸収材料を含有する特別画像50Aを形成する。熱溶融型熱転写方式では、サーマルヘッド等の加熱デバイスのほか、例えば、ホットスタンプ方式や、ヒートロール方式等を用いることができる。
なお、熱溶融型熱転写方式を用い、溶融軟化した不可視光線吸収材料含有層2を溶融転写して形成される特別画像50Aの厚みは、不可視光線吸収材料含有層2の厚みに相当する厚みとなる。
次いで、熱転写シートAと特別画像50Aが形成された被転写体とを組み合わせ、熱溶融型熱転写方式を用いて、特別画像50Aが形成された被転写体上に転写層5を転写する。このとき、転写層5は、(i)特別画像50Aのみを覆うように転写してもよく、(ii)特別画像50Aを被転写体の表面の一部を露出させるようにして形成し、特別画像50A、及び露出している被転写体の表面のそれぞれを覆うように転写してもよい。ところで、特別画像50Aは不可視光線吸収材料含有層2の厚みに相当する厚みを有していることから、上記(ii)に示すように、特別画像50A、及び露出している被転写体の表面のそれぞれを覆うように転写層5を転写した場合には、転写層5の表面には、特別画像50Aの厚みに相当する凹凸が発現することとなる(図8(a)、(b)参照)。具体的には、転写層5の表面には、特別画像50Aと重なる箇所を凸部とし、特別画像50Aと重ならない箇所を凹部とする凹凸が発現する。また、特別画像50Aの厚みが厚くなるほど、転写層5の表面に発現する凸部の高さは高くなる。また、熱転写シートAは、受容層5Aのみからなる単層構成の転写層5、又は基材から最も近くに受容層5Aが位置する積層構成の転写層5を備えており、被転写体上に、転写層5を転写したときに、その最表面には受容層5Aが位置することとなる。
次いで、熱転写シートAと転写層5が転写された被転写体とを組み合わせ、昇華型熱転写方式を用いて、被転写体上に転写された転写層5の最表面に位置する受容層5Aに、一実施形態の熱転写シート10の染料層3が含有している昇華性染料を移行させることで、受容層5Aに熱転写画像50Bを形成する。具体的には熱転写シートAと、転写層5が転写された被転写体とを重ね合わせた後に、熱転写シートAの背面側に加熱デバイスを接触させ、加熱デバイスにより熱転写シートAの背面側に画像情報に応じたエネルギーを印加しながら、熱転写シートAを擦るように加熱デバイスを移動させることで、受容層5Aに熱転写画像50Bを形成する。これにより、被転写体上に、特別画像50Aと熱転写画像50Bとが重なる印画物を得る。
また、昇華型熱転写方式では、熱転写画像形成時に所定の印圧をかけるべく、加熱デバイスにより熱転写シートの背面側に所定の圧力をかけながら、熱転写シートの背面側にエネルギーを印加している。なお、熱転写シートの背面側にかけられる圧力は、通常、熱転写画像形成時において不変である。
ところで、特別画像50A、及び露出している被転写体の表面のそれぞれを覆うように転写層5を転写し、当該転写層5が転写された被転写体と、染料層3を備える熱転写シートとを組み合わせ、当該熱転写シートの背面側に、サーマルヘッド等の加熱デバイスにより、エネルギーを印加し、当該加熱デバイスを移動させながら熱転写画像50Bを形成していったときに、被転写体上に転写された転写層5の表面に、不可視光線吸収材料含有層の厚み(特別画像50A)の厚みに起因する凹凸が発現している場合には、当該転写層5の表面に発現している凹凸に起因して、転写層5と染料層3とを一様に接触させることができず、転写層5と染料層3との間に、接触ムラが生ずることとなる。具体的には、転写層5と染料層3とを接触させたときに、その一部で、転写層5と染料層3とが接触していない等の接触が不十分となる部分が生ずることとなる。この接触ムラは、不可視光線吸収材料含有層の厚み(特別画像50Aの厚み)に起因する凸部の高さが大きくなるにつれ、発生の度合いが大きくなる。
転写層5と染料層3との接触ムラ、換言すれば、転写層5の最表面に位置する受容層5Aと染料層3との接触ムラは、受容層5A上に形成される熱転写画像50Bの濃度に影響を及ぼし、接触ムラが生じている場合には、形成される熱転写画像50Bに濃度ムラが生ずることとなる。具体的には、転写層5と染料層3との接触が不十分な領域では、同一のエネルギーを印加した場合であっても、転写層5と染料層3との接触が十分な領域と比較して、形成される熱転写画像50Bの濃度が低くなる。
次に、熱転写シートAを用い、昇華型熱転写方式により、その表面が凹凸を有する転写層5(図8(a)、(b)参照)に、熱転写画像50Bを形成していくときの、転写層5(受容層5A)と染料層3との接触ムラについてより具体的に説明する。
図10(a)、(b)に示すように、熱転写シートAと、その表面に凹凸が発現している転写層5とを重ね合わせ、加熱デバイスにより熱転写シートAの背面側に一定の圧力をかけながら熱転写画像を形成していった場合に、凸部と重なる領域(図中の「第1領域」)と、凸部と重ならない領域(図中の「第2領域」)における、染料層3との接触についてみると、凸部と重なる領域(「第1領域」)では、染料層3とを十分に接触させることができるものの、凸部と重ならない領域(「第2領域」)では、第1領域の存在によって、染料層3との接触が不十分となりやすく、転写層5の表面に発現している凸部の高さが高くなるにつれ、凸部と重なる領域と、凸部と重ならない領域とをまたぐ様に形成される熱転写画像50Bの濃度ムラが大きくなる。つまり、図10(a)、(b)を例に挙げると、凸部の高さが大きい図10(a)に示す形態では、図10(b)に示す形態と比較して、接触ムラの程度が大きくなり、形成される熱転写画像の濃度ムラは大きくなる。なお、説明の便宜上、図10に示す形態では、転写層5の第2領域の全てにおいて、染料層3と当該領域の転写層5とが接触していない形態となっているが、この限りではなく、凸部の高さによっては、熱転写シートの背面側から加熱デバイスを押圧することで、転写層5の第2領域と染料層3との隙間を埋めるように、その一部、或いは全部において、転写層5と染料層3とを接触させることができる場合もある。また、転写層5と染料層3とが接していない場合であっても、染料層が含有している昇華性染料を、受容層5Aに拡散・移行させる昇華型熱転写方式では、受容層5Aに、熱転写画像50Bの形成は可能であるものの、昇華性染料を受容層5Aに十分に移行させることができない。換言すれば、染料層3から移行した昇華性染料を、受容層5Aに十分に受容させることができず、形成される熱転写画像50Bの濃度は低いものとなる。また、転写層5と染料層3との隙間が大きくなるにつれ、形成される熱転写画像50Bの濃度は低下していく傾向となる。
そこで、一実施形態の熱転写シート10は、熱溶融型熱転写方式によって特別画像50Aを形成するための不可視光線吸収材料含有層2の厚みが1.5μm以下であることを特徴としている。この特徴を有する一実施形態の熱転写シート10によれば、熱転写画像50Bの形成時に生じうる転写層5と染料層3との接触ムラを抑制でき、結果的に濃度ムラのない、或いは濃度ムラが抑制された熱転写画像50Bを形成できる。
具体的には、不可視光線吸収材料含有層2の厚みを1.5μm以下としていることを特徴とする一実施形態の熱転写シート10によれば、不可視光線吸収材料含有層2を溶融転写することで形成される特別画像50Aの厚みを1.5μm以下にできる。これにより、被転写体上に特別画像50Aを、被転写体の表面の一部が露出するように形成し、特別画像50A、及び露出している被転写体を覆うように、転写層5を転写したときに、当該転写層5の表面に凹凸が発現することを抑制できる、或いは、転写層5の表面に凹凸が発現した場合であってもその凸部の高さを、形成される熱転写画像50Bに濃度ムラが生じない程度まで、或いは、濃度ムラが十分に小さくなる程度まで低くできる。したがって、一実施形態の熱転写シート10によれば、転写層5の表面に凹凸が発現することを抑制することで、転写層5と染料層3との接触ムラを小さくでき、その結果、昇華型熱転写方式を用いて、特別画像50Aが形成された被転写体上に転写された転写層5上に、濃度ムラのない、或いは濃度ムラの発生が十分に抑制された高品質の熱転写画像50Bを形成できる。
さらに、不可視光線吸収材料含有層2の厚みを1.5μm以下としていることを特徴とする一実施形態の熱転写シート10によれば、不可視光線吸収材料含有層2を被転写体上に溶融転写するときに尾引きや文字潰れ等が生ずることを抑制できる。なお、本願明細書で言う文字潰れとは、文字として表される転写領域に囲まれた、若しくは挟まれた被転写領域が、尾引きと同様の現象で転写してしまい、本来の文字を再現できていない現象を意味する。
以下、一実施形態の熱転写シート10の各構成について説明する。
(基材)
基材1についていかなる限定もされることはなく、熱転写シートの分野で従来公知のものを適宜選択して用いることができる。基材1の一例としては、グラシン紙、コンデンサー紙またはパラフィン紙等の薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトンもしくはポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテンまたはアイオノマー等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムが挙げられる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用できる。
また、基材1に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、帯電防止層付与等の易接着処理を行ってもよい。また、基材1は、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤等の添加材を含有していてもよい。基材1の厚さについて特に限定はないが、2μm以上10μm以下の範囲内が好ましい。
(不可視光線吸収材料含有層)
図1に示すように、基材1の一方の面上(図示する形態では基材1の上面)には、不可視光線吸収材料含有層2が設けられていている。不可視光線吸収材料含有層2は、必須の成分として不可視光線吸収材料を含有している。本願明細書で言う不可視光線吸収性材料とは、可視光を吸収せず、或いは殆ど吸収せず、赤外光や紫外光等で励起される材料を意味する。つまり、一実施形態の熱転写シート10によれば、当該熱転写シート10と、被転写体100とを重ね合わせ、被転写体100上に不可視光線吸収材料含有層2を溶融転写することで、被転写体100上に、可視光下では視認できない、或いは視認しにくく、赤外光下或いは紫外光下で認識可能な不可視光線吸収材料を含有する画像50Aを形成できる(図6(a)参照)。以下、不可視光線吸収材料を含有する画像のことを「特別画像」と言う場合がある。
不可視光線吸収材料としては、例えば、赤外線吸収材料や紫外線吸収材料が挙げられる。なお、本願明細書で言う「赤外線」とは、極大吸収波長(λmax)領域が、750nm以上2000nm以下の範囲内の波長領域を意味し、「紫外線」とは、極大吸収波長(λmax)領域が、280nm以上400nm以下の範囲内の領域を意味する。
赤外線吸収材料としては、例えば、ジイモニウム系化合物、アミニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ジチオール系有機金属錯体、シアニン系化合物、アゾ系化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、オキソール系化合物やカーボンブラック等が挙げられる。不可視光線吸収材料含有層2は、これら赤外線吸収材料の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
特に、ジイモニウム系化合物やシアニン系化合物を含有する赤外線吸収材料含有層2は、当該赤外線吸収材料含有層2を溶融転写することで得られる特別画像上に、熱転写画像を形成したときに、熱転写画像の耐光性や、耐可塑剤性に悪影響を及ぼさない点で、好ましい赤外線吸収材料含有層2である。ジイモニウム系化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸のジイモニウム塩が挙げられる。
紫外線吸収材料としては、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物等の有機系紫外線吸収材料や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等の無機系紫外線吸収材料等が挙げられる。不可視光線吸収材料含有層2は、紫外線吸収材料の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
また、不可視光線吸収材料含有層2は、赤外線吸収材料と、紫外線吸収性材料の双方を含有していてもよい。
また、不可視光線吸収材料含有層2は、上記不可視光線吸収材料とともに、バインダー樹脂を含有していてもよい。バインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂およびポリウレタン系樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。
また、不可視光線吸収材料含有層2は、種々の添加材を含有していてもよい。添加材の一例としては、色相を有する化合物等、例えば、有機顔料や、無機顔料等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン等の有彩色顔料や、中空粒子等が挙げられる。無機顔料としては、シリカ、酸化チタン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、雲母チタン、白雲母、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、タルク等が挙げられる。また、無機顔料からなるコアの周囲を有機顔料からなるシェルで被覆したコア・シェル顔料等を用いることもできる。これ以外にも、イエロー染料、マゼンタ染料、シアン染料等の有機染料等を用いることもできる。
また、不可視光線吸収材料含有層2を、不可視光線吸収材料を含有する層2Aと、顔料を含有する層2Bとの積層構成としてもよい(図7(a)〜(c)参照)。
不可視光線吸収材料含有層2を積層構成とする場合において、不可視光線吸収材料を含有する層2Aは、図7(a)に示すように、基材1から最も近くに位置させてもよく、図7(b)に示すように、基材1から最も遠くに位置させてもよく、図7(c)、(d)に示すように、不可視光線吸収材料含有層2を、不可視光線吸収材料を含有する層2A、顔料を含有する層2B、及び1つ、又は2つ以上の任意の層2Cを含む積層構成とし、何れかの層間に不可視光線吸収材料を含有する層2Aを位置させてもよい。顔料を含有する層2Bについても同様である。
顔料を含有する層2Bとしては、上記で例示した有機顔料、無機顔料の少なくとも1種、及び必要に応じてバインダー等の添加材を含有している。バインダーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、エチルセルロース、ポリビニルアセタール等が挙げられる。また、バインダーとして、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスを用いることもできる。
顔料を含有する層2Bの厚みについて特に限定はなく、顔料を含有する層2Bと不可視光線吸収材料を含有する層2Aとの合計の厚みが、1.5μm以下となる範囲で適宜設定できる。
一実施形態の熱転写シート10は、基材1の一方の面上に、不可視光線吸収材料含有層2、受容層5Aを含む転写層5、昇華性染料を含有する染料層3が面順次に設けられた構成を呈しており、不可視光線吸収材料含有層2と、受容層5Aを含む転写層5との色相や、不可視光線吸収材料含有層2と、染料層3との色相が近しい場合には、プリンタ内において不可視光線吸収材料含有層2を正確に検知できず、印画時の位置決めを正確にできないといった問題が生じ得る。一方で、上記の如く、不可視光線吸収材料含有層2に顔料等を含有せしめる、或いは、不可視光線吸収材料含有層2を、不可視光線吸収材料を含有する層2Aと、顔料を含有する層2Bとの積層構成とした場合には、不可視光線吸収材料含有層2と他の層との色相に差をもたせることができ、プリンタ内において不可視光線吸収材料含有層2を正確に検知できる。
また、染料層3は昇華性染料を含有していることから、不可視光線吸収材料含有層2に顔料を含有せしめることで、不可視光線吸収材料含有層2と染料層3との可視光透過率に差を持たせることができ、プリンタ内における不可視光線吸収材料含有層2の検知精度を向上させることができる。また、不可視光線吸収材料含有層2に、染料層3が含有する昇華性染料と色相が異なる有機染料を含有せしめることで、プリンタ内における不可視光線吸収材料含有層2の検知精度を向上させることもできる。
上記の通り、不可視光線吸収材料含有層2は、その厚みが1.5μm以下であることを条件とし、その下限値について特に限定はないが、0.2μm以上が好ましい。不可視光線吸収材料含有層2の厚みを、好ましい範囲の厚みとすることで、赤外光、或いは紫外光において十分に識別可能な特別画像50Aを形成できる。換言すれば、不可視光線吸収材料含有層2を用いて形成される特別画像50Aを赤外線スキャナ等によって検知するときの検知性能の向上を図ることができる。また、不可視光線吸収材料含有層2を被転写体上に転写するときの転写性を十分に満足させることができる。
また、不可視光線吸収材料含有層2が含有している不可視光線吸収材料の含有量を最適化することで、不可視光線吸収材料含有層2を用いて形成される特別画像50Aを赤外線スキャナ等によって検知するときの検知性能の更なる向上を図ることができる。具体的には、不可視光線吸収材料含有層2の総質量に対する不可視光線吸収材料の含有量を1.5質量%以上5質量%以下の範囲内、好ましくは2質量%以上3.5質量%以下の範囲内とすることで、特別画像50Aの検知性の更なる向上を図ることができる。
不可視光線吸収材料含有層2の形成方法について特に限定はないが、不可視光線吸収材料、バインダー樹脂、必要に応じて添加される各種の添加材を適当な溶媒に分散、或いは溶解した不可視光線吸収材料含有層用塗工液を調製し、この塗工液を、基材1、或いは基材1上に設けられる任意の層上に、塗布・乾燥して形成できる。塗布方法としては、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースコーティング法等が挙げられる。また、これ以外の塗布方法を用いることもできる。このことは、後述する各種塗工液の塗布方法についても同様である。
(離型層)
不可視光線吸収材料含有層2の転写性(離型性)を向上させるべく、基材1と不可視光線吸収材料含有層2との間に、離型層(図示しない)を設けることもできる。なお、離型層は、不可視光線吸収材料含有層2を被転写体100上に移行させるときに、基材1側に残る層である。離型層の材料としては、例えば、シリコーンワックス等の各種ワックス類、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、水溶性樹脂、セルロース誘導体樹脂、ウレタン系樹脂、酢酸系ビニル樹脂、アクリルビニルエーテル系樹脂、無水マレイン酸樹脂等の各種樹脂等やこれらの混合物等が挙げられる。離型層の厚みは、通常、0.5μm以上5μm以下の範囲内である。
(転写層)
図1に示すように、基材1上には、上記不可視光線吸収材料含有層2と面順次に転写層5が設けられている。転写層5は、基材1から剥離可能に設けられており、熱溶融型熱転写方式によって不可視光線吸収材料含有層2が転写された被転写体100上に溶融転写される層である。
転写層5は、少なくとも受容層5Aを含んでおり、受容層5Aのみからなる単層構成、或いは基材1側から受容層5A、他の層がこの順で積層されてなる積層構成を呈している。なお、一実施形態の組合せで用いられる熱転写シート10は、転写層5を構成する層のうち基材1から最も近くに位置する層が受容層5Aであることを必須の条件としている。これは、不可視光線吸収材料含有層2が転写された被転写体100上に転写層5を転写したときに、当該転写層5の最表面に受容層5Aを位置させるためである。
転写層5を備える一実施形態の熱転写シート10によれば、不可視光線吸収材料含有層2を溶融転写して形成される特別画像50A上に、転写層5を転写することで、特別画像50Aが表面に露出することによる種々の問題、例えば、特別画像50Aが外部からの衝撃等によって、消失してしまうこと等を抑制できる。
「受容層」
受容層5Aは、昇華性染料を染着可能なバインダー樹脂を含有している。受容層5Aが含有しているバインダー樹脂について特に限定はなく、染料層が含有している昇華性染料を染着しやすいバインダー樹脂を用いることが好ましい。このようなバインダー樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、アイオノマー、セルロース系樹脂等が挙げられる。受容層5Aは、これらのバインダー樹脂の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。また、これらバインダー樹脂の2種以上を共重合してなる共重合体を用いることもできる。中でも、セルロース系樹脂は、転写界面に位置する層である受容層5Aの転写性を十分に満足させることができ、熱転写シート10に印加されるエネルギーを高めていった場合であっても、受容層5Aを含む転写層5の転写性を満足させることができる点で受容層5Aの材料として好ましい。また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、受容層5Aの染料染着性や、受容層5Aと各色の染料層との離型性の更なる向上を図ることができる点で、受容層5Aの材料として好ましい。
セルロース系樹脂としては、例えば、セルロースアセテート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース等が挙げられる。
受容層5Aは、印画時における染料層3との熱融着を抑制するために、離型剤を含有していてもよい。離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス類、フッ素系またはリン酸エステル系界面活性剤、シリコーンオイル、反応性シリコーンオイル、硬化型シリコーンオイル等の各種変性シリコーンオイル、各種シリコーン樹脂等が挙げられる。
受容層5Aは、上記バインダー樹脂、必要に応じて添加される離型剤等の添加材を適当な溶媒に、分散、或いは溶解した受容層用塗工液を調製し、この塗工液を、基材1、或いは基材1上に設けられる任意の層上に、塗布・乾燥して形成できる。受容層5Aの厚みについて特に限定はなく、通常、0.3μm以上10μm以下の範囲内である。
「ヒートシール層」
被転写体100と転写層5との密着性を向上させるべく、図2に示すように、転写層5を、基材1側から受容層5A、ヒートシール層5Cをこの順で積層してなる積層構成とすることもできる。ヒートシール層5Cの材料としては、被転写体100、及び不可視光線吸収材料含有層2を用いて形成される特別画像50Aとの接着性が良好な材料が好ましい。このような材料としては、例えば、エチルセルロース、酢酪酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン等のスチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アイオノマー、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体等の合成樹脂や、粘着付与剤としてのロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、エステルゴム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンアクリルニトリルゴム、ポリアミド樹脂、ポリ塩素化オレフィン等が挙げられる。ヒートシール層5Cの厚みは、0.1μm以上20μm以下の範囲内が好ましい。
「プライマー層」
図2に示すように、受容層5Aとヒートシール層5Cとの間に、プライマー層5Bを設けることもできる。プライマー層5Bを設けることで、受容層5Aとヒートシール層5Cとの密着性の向上、受容層5Aと染料層との離型性の向上を図ることができ、また、受容層5A上に形成された熱転写画像に生じ得る滲みの抑制や、帯電防止性を付与できる。
一例としてのプライマー層5Bは、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等のバインダー樹脂、必要に応じて、アルミナ、シリカ、酸化チタン、カーボンブラック等の無機粒子を含有している。バインダー樹脂とともに、無機粒子を含有するプライマー層5Bによれば、プライマー層5Bを含む転写層5の箔切れ性を更に良好なものにできる。好ましい形態のプライマー層5Bは、バインダー樹脂とともに、アルミナ微粒子や、シリカ微粒子を含有している。特に好ましい形態のプライマー層5Bは、バインダー樹脂とともに、アルミナゾル由来のアルミナ微粒子や、コロイダルシリカ由来のシリカ微粒子を含有している。また、バインダー樹脂を用いずに、プライマー層5Bを無機微粒子から形成することもできる。
また、染料離型性の向上を主眼とする場合には、受容層5A上に、水系樹脂を含有するプライマー層5Bを設けることが好ましい。換言すれば、水系樹脂を、水系溶媒に分散或いは溶解してなるプライマー層用塗工液を用いて、受容層5A上にプライマー層5Bを設けることが好ましい。なお、本願明細書で言う「水系樹脂」とは、水溶性樹脂、或いは水系溶媒に不溶性であるが、エマルジョンやディスパージョンのように、水系溶媒に分散可能な樹脂を意味する。水系溶媒としては、水や、水とアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸、ポリヒドロキシエチルアクリレート、水溶性(或いは水分散)ポリエステル樹脂、水溶性(或いは水分散)ポリウレタン樹脂、水分散性塩化ビニル樹脂、水分散性塩化アクリル系樹脂、水分散性エポキシ樹脂、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、ヒドロキシプロピルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
プライマー層5Bの形成方法について特に限定はなく、バインダー樹脂、必要に応じて添加される添加材を、適当な溶媒に分散、或いは溶解したプライマー層用塗工液を調製し、この塗工液を、受容層5A上に、塗布・乾燥して形成できる。
プライマー層5Bの厚みについて特に限定はないが、0.01μm以上5μm以下の範囲内が好ましく、0.02μm以上3μm以下の範囲内が特に好ましい。
転写層5の厚みについて特に限定はないが、0.1μm以上10μm以下の範囲内が好ましく、0.5μm以上5μm以下の範囲内がより好ましく、0.8μm以上5μm以下の範囲内がさらに好ましい。なお、転写層5の厚みとは、転写層5が受容層5Aのみからなる単層構成を呈する場合には、受容層5Aの厚みであり、転写層5が受容層5Aを含む積層構成を呈する場合には、転写層5を構成する層の合計の厚みである。
転写層5の厚みを上記好ましい厚みの範囲とすることで、特別画像50A上に転写層5を転写し、当該転写層5上に、熱転写画像を形成するときの、転写層5と染料層3との接触ムラをより効果的に抑制できる。具体的には、転写層5の厚みを上記好ましい範囲とすることで、特別画像50Aの厚みよりも、転写層5の表面に発現する凹凸における凸部の高さを低くできる。これにより、厚みを1.5μm以下とした上記不可視光線吸収材料含有層により形成される特別画像50Aの厚みと相俟って、熱転写画像50Bの形成時に生じうる転写層5と染料層3との接触ムラを抑制でき、結果的に、転写層5上に、濃度ムラのない、或いは濃度ムラがより抑制された熱転写画像50Bを形成できる。図9は、図8(a)に示す形態において、転写層5の厚みを厚くした場合の、転写層5の表面に発現する凹凸の状態を示す概略断面図である。同図に示すように、転写層5の厚みを、図8(a)に示す転写層5の厚みよりも厚くしていった場合には、転写層5の表面に発現する凹凸における凸部の高さは、図8(a)の転写層5の表面に発現している凹凸における凸部の高さより低くなっている。
また、転写層5の厚みを上記好ましい範囲とすることで、転写層5の箔切れ性を良好なものにでき、狙い通りの形状で、転写層5を転写できる。具体的には、エネルギーが印加された領域に対応する転写層5のみを転写できる。なお、本願明細書で言う箔切れ性とは、転写層5を転写するときの尾引きの抑制度合いを示し、箔切れ性が良好であるという場合には、尾引きの発生を十分に抑制可能であることを意味する。また、本願明細書で言う尾引きとは、転写層5を転写するときに、転写層5の転写領域と非転写領域の境界を起点とし、該境界から非転写領域側にはみ出すように転写層5が転写されてしまう現象を意味する。
(染料層)
図1に示すように、基材1の一方の面上には、上記不可視光線吸収材料含有層2、第1転写層(5)と面順次に染料層3が設けられている。染料層3は昇華性染料を含有しており、一実施形態の組合せにより形成される熱転写画像がモノカラーである場合には、図1に示すように適宜選択した1色の層のみ形成してもよいし、所望の画像がフルカラー画像である場合には、図2に示すように、イエローの昇華性染料を含有するイエロー染料層3Y、マゼンタの昇華性染料を含有するマゼンタ染料層3M、シアンの昇華性染料を含有するシアン染料層3Cを、基材1の同一面に面順次に繰り返し形成してもよい。
染料層3が含有している昇華性染料について特に限定はないが、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変退色しないものが好ましい。このような昇華性染料としては、例えば、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、メチン系染料、インドアニリン系染料、ピラゾロメチン系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレン等のシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾ等のアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料等が挙げられる。具体的には、MSRedG(三井東圧化学(株))、Macrolex Red Violet R(バイエル社)、CeresRed 7B(バイエル社)、Samaron Red F3BS(三菱ケミカル(株))等の赤色染料、ホロンブリリアントイエロー6GL(クラリアント社)、PTY−52(三菱ケミカル(株))、マクロレックスイエロー6G(バイエル社)等の黄色染料、カヤセット(登録商標)ブルー714(日本化薬(株))、ワクソリンブルーAP−FW(ICI社製)、ホロンブリリアントブルーS−R(クラリアント社)、MSブルー100(三井東圧化学(株))、C.I.ソルベントブルー63等の青色染料等が挙げられる。
昇華性染料の含有量は、後述するバインダー樹脂の総質量に対し、50質量%以上350質量%の範囲内が好ましく、80質量%以上300質量%の範囲内がより好ましい。昇華性染料の含有量を上記好ましい範囲とすることで、印画濃度や、保存性のさらなる向上を図ることができる。
染料層3に含まれ、上記昇華性染料を担持するためのバインダー樹脂についても特に限定はなく、ある程度の耐熱性を有し、昇華性染料と適度の親和性があるものを使用できる。このようなバインダー樹脂としては、例えば、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース系樹脂;ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール等のビニル系樹脂;ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;等が挙げられる。
バインダー樹脂の含有量について特に限定はないが、染料層3の総質量に対するバインダー樹脂の含有量は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。バインダー樹脂の含有量を上記好ましい含有量とすることで、保存性のさらなる向上が図られる。バインダー樹脂の含有量の上限値について特に限定はなく、昇華性染料や、任意の添加材の含有量に応じて適宜設定できる。
また、染料層3は、無機粒子、有機微粒子等の添加材を含有していてもよい。無機粒子としては、タルク、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられ、有機微粒子としては、ポリエチレンワックス、シリコーン樹脂微粒子等が挙げられる。染料層3は、離型剤を含有していてもよい。さらに離型剤としては、変性或いは未変性のシリコーンオイル(シリコーン樹脂と称されるものも含む)、リン酸エステル、脂肪酸エステル等が挙げられる。
染料層3の形成方法について特に限定はなく、バインダー樹脂、昇華性染料、必要に応じて添加される添加材や、離型剤を、適当な溶剤に分散、或いは溶解した染料層用塗工液を調製し、この塗工液を、基材1、或いは基材1上に設けられる任意の層上に、塗布・乾燥することで形成できる。染料層3の厚みは、通常、0.2μm以上2μm以下の範囲内である。
(染料プライマー層)
基材1と染料層3との間に、基材1と染料層3との密着性の向上を目的とする染料プライマー層(図示しない)を設けることもできる。
染料プライマー層について特に限定はなく、熱転写シートの分野で従来公知の染料プライマー層を適宜選択して用いることができる。一例としての染料プライマー層は、樹脂材料から構成されている。染料プライマー層を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等の樹脂等が挙げられる。また、染料プライマー層は、これら樹脂成分とともに、有機粒子や、無機粒子等の各種の添加材を含有していてもよい。
染料プライマー層の形成方法についても特に限定はなく、上記で例示した樹脂成分、必要に応じて添加される添加材を、適当な溶媒に分散、或いは溶解した染料プライマー層用塗工液を調製し、この塗工液を、基材1上に、塗布・乾燥して形成できる。染料プライマー層の厚みについて特に限定はないが、通常は、0.02μm以上1μm以下の範囲内である。
(保護層を含む転写層)
図2に示すように、基材1の一方の面上に、上記不可視光線吸収材料含有層2、転写層5、染料層3とともに、保護層7Aを含む転写層7を面順次に設けることもできる。以下、上記で説明した受容層5Aを含む転写層5との違いを明確にすべく、保護層7Aを含む転写層7のことを「他の転写層」と言う場合がある。他の転写層7は、保護層7Aのみからなる単層構成を呈していてもよく、図2に示すように、基材1側から剥離層7B、保護層7Aがこの順で積層されてなる積層構成を呈していてもよい。また、これ以外の構成を呈していてもよい。
「保護層」
保護層7Aを構成するバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、紫外線吸収性樹脂、エポキシ樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、活性光線硬化性樹脂等が挙げられる。なお、活性光線とは、活性光線硬化性樹脂に対して化学的に作用させて重合を促進せしめる光線を意味し、具体的には、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等を意味する。
保護層7Aを構成するバインダー樹脂の含有量について特に限定はないが、保護層7Aの総質量に対するバインダー樹脂の含有量は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。バインダー樹脂の含有量の上限について特に限定はなく、その上限は100質量%である。また、保護層7Aは、バインダー樹脂に加え、各種フィラーや、蛍光増白剤、耐侯性を向上させるための紫外線吸収剤等、その他の材料を含有していてもよい。
保護層7Aの形成方法についても特に限定はなく、上記で例示したバインダー樹脂、必要に応じて添加される添加材を、適当な溶媒に分散、或いは溶解した保護層用塗工液を調製し、この塗工液を、基材1、或いは基材1上に設けられる任意の層上に、塗布・乾燥して形成できる。保護層7Aの厚みについて特に限定はないが、通常は、2μm以上15μm以下の範囲内である。
「剥離層」
他の転写層7の転写性を向上させるべく、他の転写層7を、基材1側から剥離層7B、保護層7Aがこの順で積層されてなる積層構成とすることもできる。剥離層7Bを構成するバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラールなどのビニル共重合体の熱可塑性樹脂や、飽和又は不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂、アミノアルキッド樹脂などの熱硬化型の樹脂、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール等が挙げられる。また、他の転写層7の箔切れ性の向上を図るべく、剥離層7Bに、マイクロシリカやポリエチレンワックスなどのフィラーを含有させてもよい。また剥離層は、上記に例示した樹脂に加えイソシアネート化合物等の架橋剤、錫系触媒、アルミニウム系触媒等の触媒を用いて形成することとしてもよい。
剥離層7Bの形成方法についても特に限定はなく、上記で例示したバインダー樹脂、必要に応じて添加される添加材を、適当な溶媒に分散、或いは溶解した剥離層用塗工液を調製し、この塗工液を、基材1上に、塗布・乾燥して形成できる。剥離層7Bの厚みについて特に限定はないが、通常は、0.1μm以上5μm以下の範囲内である。
(背面層)
また、基材1の他方の面上に背面層(図示しない)を設けることもできる。なお、背面層は、一実施形態の組合せで用いられる熱転写シート10における任意の構成である。
背面層の材料について限定はなく、例えば、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性又はフッ素変性ウレタン等の天然又は合成樹脂の単体又は混合物等が挙げられる。
また、背面層は、固形あるいは液状の滑剤を含有していてもよい。滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、有機カルボン酸およびその誘導体、金属石鹸、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等が挙げられる。背面層の総質量に対する滑剤の含有量は、5質量%以上50質量%以下の範囲内が好ましく、10質量%以上40質量%以下の範囲内がより好ましい。
背面層の形成方法について特に限定はなく、樹脂、必要に応じて添加される滑剤等を、適当な溶剤に分散、或いは溶解した背面層用塗工液を調製し、この塗工液を、基材1上に塗布・乾燥して形成できる。背面層の厚みは、1μm以上10μm以下の範囲内が好ましい。
<熱転写シートの構成例>
図3〜図5は、一実施形態の熱転写シートの構成の一例を示す概略断面図である。
図3(a)に示す形態の熱転写シート10は、基材1の一方の面上に、不可視光線吸収材料含有層2、転写層5、イエロー染料層3Y、マゼンタ染料層3M、シアン染料層3C、他の転写層7、イエロー染料層3Y、マゼンタ染料層3M、シアン染料層3C、他の転写層7がこの順で面順次に設けられている。図3に示す形態の熱転写シート10は、各層を「1パネル」としたときに、印刷上流側(図示する形態では図面の左側)から「6パネル」が、被転写体100の一方の面側に画像を形成する(1画面目の画像を形成する)ために用いられるパネルとなっており、残りの「4パネル」が被転写体100の他方の面側に画像を形成する(2画面目の画像を形成する)ために用いられるパネルとなっている。なお、被転写体100が受容層を有しない場合には、他の転写層7とイエロー染料層3Yとの間に、転写層5を設け、転写層5、イエロー染料層3Y、マゼンタ染料層3M、シアン染料層3C、他の転写層7から構成される「5パネル」によって、被転写体100の他方の面側に画像を形成することもできる。また、図3(b)に示すように、図3(a)の「6パネル」と「4パネル」を入れ替えることもできる。また、他の転写層7を除いた構成とすることもできる(図示しない)。また、図3(c)に示す形態では、不可視光線吸収材料含有層2、転写層5、イエロー染料層3Y、マゼンタ染料層3M、シアン染料層3C、他の転写層7、イエロー染料層3Y、マゼンタ染料層3M、シアン染料層3C、他の転写層7の「10パネル」を「1ユニット」としたときに、当該「1ユニット」が繰り返し設けられている。以下、被転写体100の一方の面側に形成される画像のことを「1画面目の画像」と言い、被転写体の他方の面側に形成される画像のことを「2画面目の画像」と言う場合がある。
ところで、印画時における位置合わせや、頭出しは、各「パネル」の集合体を「1ユニット」としたときに、「1ユニット」単位で行われ、「1ユニット」は、他の「1ユニット」と、「1ユニット」を構成する「パネル」の配列が同一となっていることが必要となる。つまり、図3に示す形態では、被転写体100の一方の面側に「1画面目の画像」を形成する際に用いられる「6パネル」と、被転写体の他方の面上に「2画面目の画像」を形成するために用いられる「4パネル」のそれぞれを「1ユニット」とすることはできず、「6パネル」と「4パネル」を纏めた「10パネル」を「1ユニット」とする必要がある。しかしながら、「1ユニット」を構成する「パネル」数が多くなるにつれ、各層を検知するためのプリンタの設計負荷が大きくなるといった問題が内在しており、「1ユニット」を構成する「パネル数」は少ないことが望まれている。
そこで、図4に示す形態の熱転写シート10は、基材1の一方の面上に、不可視光線吸収材料含有層2、転写層5、イエロー染料層3Y、マゼンタ染料層3M、シアン染料層3C、他の転写層7の「6パネル」からなる集合体を「1ユニット」としたときに、当該「1ユニット」が繰り返し設けられている。つまり、図3に示す形態では、被転写体の一方の面側に「1画面目の画像」を形成するために用いられるパネルを「6パネル」から構成し、被転写体100の他方の面側に「2画面目の画像」を形成するために用いられるパネルを「4パネル」から構成しているのに対し、図4に示す形態では、「1画面目の画像」、及び「2画面目の画像」を形成するためのパネルを、ともに「6パネル」から構成し、この「6パネル」を「1ユニット」とすることで「1ユニット」を構成するパネル数を少なくしている。
一方で、図4に示す形態では、「1画面目の画像」を、特別画像50Aを含む画像とし、「2画面目の画像」を、特別画像50Aを含まない画像とする場合であっても、「1ユニット」を構成するパネル数を少なくすべく、「1ユニット」の全てに不可視光線吸収材料含有層2を含ませる必要があり、無駄が多くなるといった問題が生じ得る。
そこで、図5に示す形態の熱転写シート10は、基材1の一方の面上に、不可視光線吸収材料含有層2、転写層5、イエロー染料層3Y、マゼンタ染料層3M、シアン染料層3C、他の転写層7の「6パネル」からなる集合体を「1ユニット」としたときに、1画面目の画像、及び2画面目の画像の形成に供されるパネルを一体化させ、2画面の長さの「パネル」としている。図示する形態では、イエロー染料層3Y、マゼンタ染料層3M、シアン染料層3Cのそれぞれが、2画面の長さの「パネル」となっている。つまり、1つの染料層を、1画面目の画像、及び2画面目の画像の形成に用いる構成としている。この形態の熱転写シート10によれば、被転写体の一方の面側、及び他方の面側に形成される画像に用いられる層の「パネル」長を2画面分の長さとし、何れか一方の面側に形成される画像に用いられる層の「パネル」長を1画面分の長さとすることで、使用されない「パネル」による無駄を抑制できる。例えば、図5に示す形態の熱転写シート10によれば、「1ユニット」を用いて、被転写体100の一方の面上に1画面目の画像を形成し、次いで、被転写体100を上下反転させるとともに、熱転写シート10を巻き戻し、先に使用した「1ユニット」を再び用いて、被転写体100の他方の面上に2画面目の画像を形成できる。なお、図5に示す形態では、イエロー染料層3Y、マゼンタ染料層3M、シアン染料層3Cを、1画面目の画像、及び2画面目の画像の形成に用いるべく、その「パネル」長を2画面分の長さとしているが、これ以外の層、例えば、転写層5や、他の転写層7の「パネル」長を2画面分の長さとすることもできる。また「1ユニット」を繰り返し設けることもできる。
<<一実施形態の印画物の製造方法>>
次に、本発明の一実施形態の印画物の製造方法(以下、一実施形態の印画物の製造方法と言う)について説明する。一実施形態の印画物の製造方法は、被転写体100を準備する被転写体準備工程と、基材1の一方の面上に、不可視光線吸収材料を含有する不可視光線吸収材料含有層2と、受容層5Aのみからなる単層構成、又は基材1から最も近くに受容層5Aが位置する積層構成を呈する転写層5と、昇華性染料を含有する染料層3とが面順次に設けられた熱転写シート10を準備する熱転写シート準備工程と、被転写体100の表面の一部を露出させるようにして、被転写体100の一方の面上に、熱転写シート10の不可視光線吸収材料含有層2を溶融転写し、不可視光線吸収材料を含有する特別画像50Aを形成する特別画像形成工程と(図6(a)参照)、特別画像50A、及び露出している被転写体100のそれぞれの表面の少なくとも一部を覆うようにして、被転写体100の一方の面上に、熱転写シート10の転写層5を溶融転写する転写層転写工程と(図6(b)参照)、転写された転写層5上に、熱転写シート10の染料層が含有している昇華性染料を移行させて、染料層が含有している昇華性染料を含む熱転写画像50Bを形成する熱転写画像形成工程と(図6(c)参照)を含み、熱転写シート準備工程で準備される熱転写シート10が、不可視光線吸収材料含有層2の厚みが1.5μm以下の熱転写シートであることを特徴としている。
(被転写体を準備する工程)
本工程で準備される被転写体100について特に限定はなく、天然繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等からなるものであり、単層からなるものであっても、複数層からなるものであっても良い。
被転写体100がプラスチックフィルムからなる場合、プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレートの共押し出しフィルム等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリメチルメタアクリレート等のアクリル系樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアラミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルファイト等のエンジニアリング樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、高衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂、セロファン、セルロースアセテート、ニトロセルロース等のセルロース系フィルム、等が挙げられる。プラスチックフィルムは、上記した樹脂を主成分とする共重合樹脂若しくは混合体(アロイを含む)であってもよい。
また、被転写体100は、後述する特別画像50Aが形成される面とは反対側の面上に受容層を備えていてもよい。なお、一実施形態の印画物の製造方法で用いられる熱転写シート10が、被転写体100の両面に転写層5を転写可能な構成をとる場合には、被転写体100は受容層を備えていることを要しない。
被転写体100の厚みについて特に限定はないが、3μm以上800μm以下の範囲内が好ましく、100μm以上600μm以下の範囲内がより好ましい。
(熱転写シートを準備する工程)
本工程は、図1に示すように、基材1の一方の面上に、不可視光線吸収材料を含有する不可視光線吸収材料含有層2と、受容層5Aのみからなる単層構成、又は基材1から最も近くに受容層5Aが位置する積層構成を呈する転写層5と、昇華性染料を含有する染料層3とが面順次に設けられた熱転写シート10を準備する工程である。そして、一実施形態の印画物の製造方法は、本工程で準備される熱転写シート10の不可視光線吸収材料含有層2の厚みが1.5μm以下であることを特徴としている。本工程で準備される熱転写シート10は、上記で説明した一実施形態の熱転写シート10をそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。
(特別画像形成工程)
本工程は、熱転写シート10と被転写体100とを、熱転写シート10の不可視光線吸収材料含有層2と被転写体100の一方の面とが対向するように重ね合わせ、熱溶融型熱転写方式により、図6(a)に示すように、被転写体100の表面の一部を露出させるようにして、被転写体100の一方の面上に、熱転写シート10の不可視光線吸収材料含有層2を溶融転写し、不可視光線吸収材料を含む特別画像50Aを形成する工程である。特別画像50Aについて特に限定はなく、例えば、後述する熱転写画像50Bの画像情報を含む二次元コード等が挙げられる。特別画像50Aの形成、及び転写層5の転写、並びに熱転写画像50Bの形成に用いられるプリンタとしては、サーマルヘッド等の加熱手段を有する従来公知のプリンタを適宜選択して用いることができる。
一実施形態の印画物の製造方法では、その厚み1.5μm以下の不可視光線吸収材料含有層2を備える熱転写シート10が用いられることから、本工程において形成される特別画像50Aの厚みを1.5μm以下にできる。
(転写層転写工程)
本工程は、熱溶融転写方式を用いて、図6(b)に示すように、特別画像50A、及び露出している被転写体100のそれぞれの表面の少なくとも一部を覆うように、被転写体100上に、熱転写シート10の転写層5を溶融転写する工程である(図6(b)に示す形態では、特別画像50Aの表面、及び露出している被転写体100の表面の全てを覆っている)。具体的には、熱転写シート10と、特別画像50Aが形成された被転写体100とを、熱転写シート10の転写層5と被転写体100の一方の面とが対向するように重ね合わせ、熱転写シートの背面側(熱転写シートにおける基材の他方の面側)に印圧をかけながらエネルギーを印加することで、エネルギーが印加された領域に対応する転写層を、特別画像50A、及び露出している被転写体100のそれぞれの表面の少なくとも一部を覆うように転写する工程である。
一実施形態の印画物の製造方法では、特別画像形成工程において形成される特別画像50Aの厚みを1.5μm以下にでき、転写層5の表面に凹凸が発現することを抑制できる、或いは凹凸が発現した場合であっても、後述する昇華型熱転写方式を用いた熱転写画像形成時において、熱転写画像50Bに濃度ムラが生じない、或いは濃度ムラを十分に抑制できる。
また、熱転写シートの背面側に、印圧をかけながらエネルギーを印加して、当該エネルギーが印加された領域に対応する転写層5を転写するにあたり、特別画像50Aと重なる領域にエネルギーをかけるときの印圧が、特別画像50Aと重ならない領域にエネルギーをかけるときの印圧よりも高くなるようにして、転写層5の転写を行うことが好ましい。このような手段で転写層を転写することで、所謂なめし効果により、転写層5の表面に発現し得る凹凸における凸部の高さを低くできる。
また、特別画像50Aの全部と重なるように転写層5を転写する場合には、当該特別画像50Aを覆い、その形状が、特別画像50Aの大きさよりも大きくなるように転写層5を転写することが好ましい。換言すれば、転写層5の一部が、特別画像50Aの外縁から、外方に向かって突出するように、転写層5を転写することが好ましい。このような転写層5の転写によれば、特別画像50A上に、転写層5を重ねて転写するときのレジズレのリスクを低減できる。また、所謂なめし効果により、転写層5の表面に発現し得る凹凸における凸部の高さを低くできる。特別画像50Aの外縁から外方に向かって突出している転写層5の幅の一例としては、当該特別画像50Aの外縁を起点として、当該起点から2.5mm以上離れた位置までの幅が挙げられる。
また、熱転写シートの背面側からエネルギーを印加するときに、エネルギーを印加する領域とは異なる領域、つまりは転写層5の転写を所望しない領域にも印圧をかけながら(当該領域にはエネルギーを印加しない)転写層5の転写を行うことが好ましい。エネルギーを印加せずに、印圧をかける領域の一例としては、エネルギーを印加する領域とエネルギーを印加しない領域との境界を起点として、当該起点から外方に向かって(エネルギーを印加しない領域に向かって)2.5mm以上離れた位置までの領域が挙げられる。また、上記で説明した各種の手段を適宜組合せてもよい。また、後述する熱転写画像形成工程において、同様の手段を用いることもできる。この場合、転写層の転写とある記載を、熱転写画像の形成と、また、特別画像50Aとある記載を、転写層の表面に発現した凹凸における凸部と読み替えればよい。
(熱転写画像形成工程)
本工程は、熱転写シート10と、特別画像50A、及び転写層5が形成された被転写体100とを、熱転写シート10の染料層3と被転写体100に転写された転写層5とが対向するように重ね合わせ、昇華型熱転写方式により、転写層5上に、染料層が含有している昇華性染料を拡散移行させて、図6(c)に示すように、転写層5上に、染料層が含有している昇華性染料を含む熱転写画像50Bを形成する工程である。本工程を経ることで、被転写体100の一方の面上に、特別画像50A、及び熱転写画像50Bが形成されてなる印画物200を得る。
一実施形態の印画物の製造方法では、昇華型熱転写方式を用いた熱転写画像形成時に、被転写体上に転写された転写層5と染料層3との間に生じうる接触ムラを抑制でき、その結果、濃度ムラのない、或いは濃度ムラが十分に抑制された高品質の印画物200を得ることができる。
(任意の工程)
また、熱転写画像50Bの形成後、当該熱転写画像50B上に、保護層7Aを含む他の転写層7を転写する工程を含んでいてもよい(図示しない)。他の転写層7を転写する工程は、一実施形態の印画物の製造方法における任意の工程である。他の転写層7の転写は、図2〜図5に示すように、他の転写層7を有する熱転写シート10を用いて行ってもよく、上記で準備した熱転写シート10とは異なる別途の熱転写シート(保護層転写シート等)を用いて行ってもよい。
(別途の熱転写画像形成工程)
また、図3〜図5に示す熱転写シート10を用い、上記の各種の工程に先立って、或いは、上記各種の工程を行った後に、被転写体100の他方の面上に、別途の熱転写画像(図示しない)を形成する工程を含んでいてもよい。この場合において、被転写体100の他方の面が受容層を有していない場合には、別途の熱転写画像の形成を行う前に、被転写体100の他方の面上に、転写層5を転写する工程を含んでいてもよい。また、別途の熱転写画像上に、他の転写層7を転写する工程を含んでいてもよい(図示しない)。別途の熱転写画像形成工程を含む一実施形態の印画物の製造方法によれば、両面に熱転写画像が形成された印画物を得ることができる。また、被転写体100の他方の面上に、特別画像50Aを形成することもできる。
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部は質量基準である。
(実施例1)
基材として厚さ4.5μmPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用い、この基材の一方の面上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時の厚みが1μmになるように塗布・乾燥し背面層を形成した。また、基材の他方の面上に、下記組成の不可視光線吸収材料含有層用塗工液1を乾燥時の厚みが1μmになるように塗布・乾燥し不可視光線吸収材料含有層を形成した。また、基材の他方の面上に、不可視光線吸収材料含有層と面順次に、下記組成の受容層用塗工液を乾燥時の厚みが1μmになるように塗布・乾燥して受容層を形成した。また、基材の他方の面上に、不可視光線吸収材料含有層、受容層と面順次に、下記組成のプライマー層用塗工液を乾燥時の厚みが0.2μmになるように塗布・乾燥してプライマー層を形成し、このプライマー層上に下記組成のイエロー染料層用塗工液1、マゼンタ染料層用塗工液1、およびシアン染料層用塗工液1を、乾燥時の厚みが0.7μmになるように塗布・乾燥して染料層を形成することで、基材の一方の面上に、背面層が設けられ、基材の他方の面上に、不可視光線吸収材料含有層、受容層、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層がこの順で面順次に設けられた実施例1の転写シートを得た。
(背面層用塗工液)
・ポリビニルブチラール樹脂 1.8部
(エスレック(登録商標)BX−1 積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート 5.5部
(バーノック(登録商標)D750 DIC(株))
・リン酸エステル系界面活性剤 1.6部
(プライサーフ(登録商標)A208N 第一工業製薬(株))
・タルク 0.35部
(ミクロエース(登録商標)P−3 日本タルク工業(株))
・トルエン 18.5部
・メチルエチルケトン 18.5部
(不可視光線吸収材料含有層用塗工液1)
・アクリル樹脂 6.7部
(ダイヤナールBR−87 三菱レイヨン(株))
・ジイモニウム塩 0.3部
(CIR−RL 日本カーリット(株))
・酸化チタン 2.9部
(TCA―888 堺化学工業(株))
・トルエン 20部
・メチルエチルケトン 20部
(受容層用塗工液)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 15.8部
(ソルバイン(登録商標)CNL 日信化学工業(株))
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 1部
(ソルバイン(登録商標)C 日信化学工業(株))
・有機変性シリコーンオイル 1.2部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・有機変性シリコーンオイル 1.2部
(X−24−510 信越化学工業(株))
・有機変性シリコーンオイル 0.8部
(KF−352A 信越化学工業(株))
・トルエン 40部
・メチルエチルケトン 40部
(プライマー層用塗工液)
・アルミナゾル 2.5部
(アルミナゾル200 日産化学工業(株))
・ポリビニルピロリドン樹脂 2.5部
(PVP K−60 ISPジャパン(株))
・水 47.5部
・イソプロピルアルコール 47.5部
(イエロー染料層用塗工液)
・ソルベントイエロー93 6部
・ポリビニルアセタール樹脂 5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・トルエン 50部
・メチルエチルケトン 50部
(マゼンタ染料層用塗工液)
・ディスパースレッド60 3部
・ディスパースバイオレット26 4部
・ポリビニルアセタール樹脂 5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・トルエン 50部
・メチルエチルケトン 50部
(シアン染料層用塗工液)
・ソルベントブルー63 4部
・ディスパースブルー354 4部
・ポリビニルアセタール樹脂 5部
(エスレック(登録商標)KS−5 積水化学工業(株))
・トルエン 50部
・メチルエチルケトン 50部
(実施例2)
上記組成の不可視光線吸収材料含有層用塗工液1を乾燥時の厚みが0.5μmとなるように塗布・乾燥して不可視光線吸収材料含有層を形成した以外は、全て実施例1と同様にして実施例2の熱転写シートを得た。
(実施例3)
不可視光線吸収材料含有層用塗工液1にかえて、下記組成の不可視光線吸収材料含有層用塗工液2を用い、当該不可視光線吸収材料含有層用塗工液2を、乾燥時の厚みが、0.5μmとなるように塗布・乾燥して不可視光線吸収材料含有層を形成した以外は、全て実施例1と同様にして実施例3の熱転写シートを得た。
(不可視光線吸収材料含有層用塗工液)
・アクリル樹脂 6.7部
(ダイヤナール(登録商標)BR−87 三菱レイヨン(株))
・ジイモニウム塩 0.1部
(CIR−RL 日本カーリット(株))
・酸化チタン 2.9部
(TCA―888 堺化学工業(株))
・トルエン 20部
・メチルエチルケトン 20部
(比較例1)
上記組成の不可視光線吸収材料含有層用塗工液1を、乾燥時の厚みが2μmとなるように塗布・乾燥して不可視光線吸収材料含有層を形成した以外は、全て実施例1と同様にして比較例1の熱転写シートを得た。
(被転写体の作成)
厚み35μmの多孔質ポリオレフィンフィルム(SP−U 三井化学東セロ(株))上に、下記組成のプライマー層用塗工液1を、乾燥時の厚みが1.5μmとなるように塗布・乾燥してプライマー層を形成し、次いで、プライマー層上に、下記組成の受容層用塗工液を、乾燥時の厚みが4μmとなるように塗布・乾燥して受容層を形成し、多孔質ポリオレフィンフィルム上に、プライマー層、受容層がこの順で積層された積層体を得た。次いで、厚み400μm(坪量310g/m2)の芯材紙(OKLカード 王子製紙(株))の一方の面上に、上記で得られた積層体を、下記組成の接着層用塗工液(厚み4μm)を用いて貼合した。また、上記芯材紙の他方の面にも同様に、多孔質ポリオレフィンフィルム上に、プライマー層、受容層がこの順で積層された積層体を貼合した。これにより、芯材紙の両面に、当該芯材紙側から、多孔質ポリオレフィンフィルム、プライマー層、受容層が設けられた被転写体を得た。
(プライマー層用塗工液1)
・ポリエステル樹脂 4.2部
(ポリエスター(登録商標)WR−905 日本合成化学(株))
・酸化チタン 8.4部
(TCA−888 堺化学工業(株))
・蛍光増白剤 0.07部
(ユビテックス(登録商標)BAC BASFジャパン社)
・イソプロピルアルコール 7.2部
・水 21部
(受容層用塗工液)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部
(ソルバイン(登録商標)C 日信化学工業(株))
・シリコーンオイル 1部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・トルエン 20部
・酢酸エチル 20部
(接着層用塗工液)
・ウレタン樹脂 30部
(タケラック(登録商標)A−969V 三井化学(株))
・イソシアネート 10部
(タケネート(登録商標)A−5 三井化学(株))
・酢酸エチル 60部
(印画物の形成)
<不可視光線吸収材料含有層を含有する画像(特別画像)の形成>
各実施例、及び比較例の熱転写シートと、上記で作成した被転写体とを組合せ、下記テストプリンターを用いて、被転写体上へ、不可視光線吸収材料含有層をパターン状に溶融転写し特別画像を形成した。形成された特別画像の厚みを表1に示す。なお、特別画像の厚みは、各実施例、及び比較例の熱転写シートの不可視光線吸収材料含有層の厚みに対応している。
(テストプリンター)
サーマルヘッド:KEE−57−12GAN2−STA(京セラ(株))
発熱体平均抵抗値:3303(Ω)
主走査方向印字密度:300(dpi)
副走査方向印字密度:300(dpi)
印画電圧:18(V)
ライン周期:1.5(msec.)
印字開始温度:35(℃)
パルスDuty比:85(%)
<受容層の転写>
上記テストプリンターを用いて、特別画像が形成された被転写体上に、各実施例、及び比較例の熱転写シートの受容層を全面転写した。
<熱転写画像の転写>
上記テストプリンターを用い、上記で転写した受容層上に、グレー画像((R,G,B)=(128,128,128))を形成し、各実施例、及び比較例の印画物を得た。
(濃度ムラ評価)
各実施例、及び比較例の熱転写シートを用いて形成した印画物を目視で確認し、濃度ムラを認識できたか否かを、下記の評価基準に基づいて評価した。
「評価基準」
A:濃度ムラがなかった
NG:濃度ムラが発生した
(特別画像検知性評価)
赤外線スキャナ(テスト品)を用いて、各実施例、及び比較例の印画物が有する特別画像の検出性評価を行い、以下の評価基準に基づいて特別画像の検出性評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。
「評価基準」
A:問題なく検知でき、誤検知する可能性が極めて低い。
B:検知でき、誤検知される可能性が低い。
C:検知できるが、誤検知される可能性が高い。
Figure 2019064154

Claims (5)

  1. 染料層を備える熱転写シートであって、
    基材の一方の面上に、不可視光線吸収材料を含有する不可視光線吸収材料含有層、転写層、染料層が面順次に設けられ、
    前記転写層は、受容層のみからなる単層構成、又は前記基材から最も近くに前記受容層が位置する積層構成を呈しており、
    前記不可視光線吸収材料含有層の厚みが1.5μm以下であることを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記不可視光線吸収材料含有層の厚みが0.2μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記不可視光線吸収材料含有層の総質量に対する、前記不可視光線吸収材料の含有量が1.5質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱転写シート。
  4. 印画物の製造方法であって、
    被転写体を準備する被転写体準備工程と、
    基材の一方の面上に、不可視光線吸収材料を含有する不可視光線吸収材料含有層と、受容層のみからなる単層構成、又は前記基材から最も近くに前記受容層が位置する積層構成を呈する転写層と、昇華性染料を染料層とが面順次に設けられた熱転写シートを準備する熱転写シート準備工程と、
    前記被転写体の表面の一部を露出させるようにして、前記被転写体の一方の面上に、前記熱転写シートの前記不可視光線吸収材料含有層を溶融転写し、不可視光線吸収材料を含有する特別画像を形成する特別画像形成工程と、
    前記特別画像、及び前記露出している被転写体のそれぞれの表面の少なくとも一部を覆うようにして、前記被転写体の一方の面上に、前記熱転写シートの転写層を溶融転写する転写層転写工程と、
    前記転写された前記転写層上に、前記熱転写シートの前記染料層が含有している昇華性染料を移行させて、前記染料層が含有している昇華性染料を含む熱転写画像を形成する熱転写画像形成工程と、
    を含み、
    前記熱転写シート準備工程で準備される前記熱転写シートが、前記不可視光線吸収材料含有層の厚みが1.5μm以下の熱転写シートであることを特徴とする印画物の製造方法。
  5. 前記転写工程が、前記特別画像、及び前記露出している被転写体の表面の全部を覆うように、前記転写層を転写する工程であることを特徴とする請求項4に記載の印画物の製造方法。
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