JP4978406B2 - 熱転写記録方法、及び、画像形成体 - Google Patents
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Description
この方法は、可視染料と蛍光染料の熱拡散による染料受容層内での分布状態を制御したものであるが、可視染料と蛍光染料とを完全に分離させたものでないため、潜像画像の蛍光強度の低下を充分に抑制することができないという問題があった。
この方法によると、可視染料と蛍光染料との転写領域を完全に分離できる。しかしながら、受像紙以外の受像体、例えば、ICカードのようなプラスチックカード等に印画する場合、可視染料の印画による画質がカード基材の材質に依存してしまい、場合によっては可視染料が印画できないといった不具合が起こることがあった。
上記蛍光染料は、可視光以外の光を照射することによって蛍光色で視認することができる染料であることが好ましい。
また、上記画像Bが形成された剥離性染料受容層上に、更に保護層を形成する工程(5)を有することが好ましい。
図1は、本発明で用いる中間転写記録媒体の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本発明で用いる中間転写記録媒体1は、基材フィルム2上に、少なくとも剥離性染料受容層3と接着性染料受容層4とがこの順で積層された構造を有する。
好ましい基材フィルム2の具体例としては、例えば、グラシン紙、コンデンサー紙又はパラフィン紙等の薄紙;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン若しくはポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテンまたはアイオノマー等のプラスチックの延伸又は未延伸フィルム等が挙げられる。
また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。
上記背面層は、中間転写記録媒体1を用いて被転写体に上記転写部を転写する際、基材フィルム2とサーマルヘッド等の加熱デバイスとの融着を防止し、摺動性を向上させるために、例えば、硬化型シリコーンオイル、硬化型シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の従来用いられている樹脂と同様の樹脂によって設けることができる。
また、剥離性染料受容層3と基材フィルム2との密着力を調整するために、ポリエステル樹脂等も好ましく用いられる。
また、剥離性染料受容層3は、バインダー樹脂と離型性材料とから形成されていてもよい。
上記バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、或いは熱硬化型樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノアルキッド樹脂等が使用できる。
また、上記離型性材料としては、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂、フッ素系樹脂、タルクやシリカの微粉末、界面活性剤や金属セッケン等の潤滑材等が使用できる。
図2(a)〜(d)は、本発明の熱転写記録方法を説明する説明図である。
上記可視染料とは、後述する蛍光染料と対比される染料であり、蛍光作用が実質上認められない通常の染料を意味する。
上記可視染料としては特に限定されず、印刷において用いられている各種の通常の色素、染料材料を用いることができる。色調としても特に限定されないが、イエロー染料、マゼンタ染料及びシアン染料からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、上記イエロー染料、マゼンタ染料及びシアン染料は、昇華型染料であることが好ましい。
上記ブラック色の昇華性染料としては、例えば、上記イエロー、マゼンタ、シアン染料の混合物等が挙げられる。
上記有機蛍光染料としては、三井化学(株)社製のEB−501、EG−502、ER−120、日本化薬(株)社製のEuN−0001、チバ・ジャパン社製のユビテックス OB、シンロイヒ(株)社製の無色蛍光色材、各種蛍光増白剤等が挙げられる。これらの蛍光染料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱転写は、なかでも熱拡散転写であることが好ましい。画像Aに凹凸が生じず、特に蛍光染料の不可視性に優れ、蛍光染料を用いて印画されていることを発見され難くすることができる。また、他の転写方法と異なり、染料の盛り上がった積層構造は形成されないので、耐擦過性の低下を抑えることができる。
上記熱拡散転写とは、拡散転写や昇華転写とも呼ばれる転写方法であり、典型的には、熱拡散転写シートの染料層を被印画面である接着性染料受容4の画像A形成領域と向き合うようにして重ね合わせ、当該染料層を印画すべき画像情報に従って加熱して染料を接着性染料受容4の画像形成領域へ熱拡散させる方法によって行われる。
上述した通り、剥離性染料受容層4は、基材フィルム2に対する離型性を有する層であるので、本工程を行うことで、基材フィルム2を剥離性染料受容層4から容易に引き剥がすことができる。
上記可視染料及び蛍光染料としては、上記画像Aにおいて説明したものと同様のものが挙げられる。また、接着性染料受容層3に画像Bを形成する方法としては特に限定されず、上述した接着性染料受容層4に画像Aを形成する方法と同様の方法が挙げられる。
このようにして画像Aと画像Bとを形成することで、可視染料と蛍光染料との転写領域を完全に分離でき、潜像画像の蛍光強度の低下を充分に抑制することができる。
上述した画像A又は画像Bのいずれか一方である潜像画像の上に更に保護層6を形成すれば、特殊な反射光を用いる等意識的に特別の確認方法を用いても可視光下ではほぼ視認不可能な、より不可視性の高い潜像画像を得ることができる。
保護層6は、無色透明、或いは、着色透明等の、転写後にその下層の画像が見える程度の透明で形成される。また、保護層6は、剥離性染料受容層3に対して剥離しない性質であることが必要である。
上記保護層形成用樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、アクリル、ポリウレタン、アクリルウレタン等の樹脂の単体又は混合物、これらの樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの変性樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等が挙げられる。保護層6の厚さとしては、例えば、0.5〜10μm程度に形成される。
上記電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマー又はオリゴマー(必要に応じて光重合開始剤を添加)を電離放射線(電子線、紫外線等)によって架橋、硬化させたものを使用できる。
上記反応性紫外線吸収剤は、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケル−キレート系、ヒンダードアミン系のような非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基など)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものが挙げられる。
また、本発明の画像形成体は、本発明の熱転写記録方法により形成されたものであるため、可視染料による可視画像と蛍光染料による潜像画像とが形成されており、該蛍光染料による潜像画像は、蛍光強度が低下することがない。
まず、厚さ12μmで透明なポリエチレンテレフタレートを基材フィルムとして用い、その表面に、以下に示す組成の剥離性染料受容層用塗工液を塗布・乾燥して、基材フィルム上に厚さ1.5μmの剥離性染料受容層を形成した。
<剥離性染料受容層用塗工液>
シリコーン変性アクリル樹脂 40部
ポリエステル樹脂 2部
メチルエチルケトン 50部
トルエン 50部
<接着性染料受容層用塗工液>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 40部
アクリル変性シリコーン 1.5部
メチルエチルケトン 50部
トルエン 50部
耐熱滑性層を片面に付与した基材フィルム(ポリエチレンテレフタレート、厚さ5μm)のもう一方の片面に、以下に示す材料を用い、グラビアコートにより、熱拡散転写性蛍光発色層を形成し、熱拡散転写性蛍光発色層を有する熱転写シートを得た。上記熱拡散転写性蛍光発色層の乾燥後の膜厚は0.4μmであった。
<熱拡散転写性蛍光発色層用塗工液>
オキサゾール系蛍光染料 1.5部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 3.5部
トルエン 47.5部
メチルエチルケトン 47.5部
ポリエチレンワックス 0.1部
耐熱滑性層を片面に付与した基材フィルム(ポリエチレンテレフタレート、厚さ5μm)のもう一方の片面に、以下に示す材料を用い、グラビアコートにより、離型層、保護層の順に積層し、保護層形成用シートを形成した。上記離型層、上記保護層の乾燥後の膜厚はそれぞれ、0.5μm、1.0μmであった。
<離型層用塗工液>
・ポリビニルアルコール樹脂 2.0部
・ウレタンエマルジョン樹脂 2.6部
・イソプロピルアルコール 63.6部
・イオン交換水 31.8部
<保護層用塗工液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 30部
・トルエン 35部
・メチルエチルケトン 35部
製造例1で作製した中間転写記録媒体の接着性染料受容層に、イエロー、マゼンタ、シアンの各色材層が面順次に設けられた熱転写シートを用い、熱拡散転写法によって画像Aとして可視画像を形成した。その後に、白色塩化ビニルカード(被転写体)に、上記の可視画像が形成された接着性染料受容層を圧接し、中間転写記録媒体を被転写体に転写した。
上記実施例1で作製した画像形成体の剥離性受容層上に、さらに製造例3で得られた保護層形成用シートを使用して熱拡散転写法によって保護層を形成した以外は、上記実施例1と同様の方法で画像形成体を作製した。
製造例1で作製した中間転写媒体の接着性染料受容層に、画像Aとして製造例2で得られた熱転写シートを用いて潜像画像を形成し、中間転写媒体から基材フィルムを剥離させて露出させた剥離性染料受容層に、画像Bとしてイエロー、マゼンタ、シアンによる可視画像を形成させた(すなわち、実施例1と画像形成順序を反対にしている)以外は、上記実施例1と同様の方法で画像形成体を作製した。
上記実施例3で作製した画像形成体の剥離性受容層上に、さらに製造例3で得られた保護形成用シートを使用して熱拡散転写法によって保護層を形成した以外は、上記実施例1と同様の方法で画像形成体を作製した。
製造例1で作製した中間転写媒体の接着性染料受容層に、イエロー、マゼンタ、シアンによる可視画像を形成させ、さらに蛍光染料による潜像画像を重ねて形成してから、白色塩化ビニルカードに、上記の可視画像が形成された接着性染料受容層を圧接し、中間転写記録媒体を被転写体に転写して画像形成体を作製した。
製造例1で作製した中間転写媒体の接着性染料受容層に、蛍光染料による潜像画像を形成させ、さらにイエロー、マゼンタ、シアンによる可視画像を重ねて形成してから、白色塩化ビニルカードに、上記の可視画像が形成された接着性染料受容層を圧接し、中間転写記録媒体を被転写体に転写して画像形成体を作製した。
製造例1で作製した中間転写媒体の接着性染料受容層に、画像Aとして熱拡散転写性蛍光発色層を設けた熱転写リボンによって潜像画像を形成させ、中間転写媒体から基材フィルムを剥離させて露出させた剥離性染料受容層には何も画像を形成しないことで、蛍光強度測定のリファレンス用の画像形成体を作製した。
実施例及び比較例で作製した画像形成体の潜像画像について、紫外線(365nm)照射環境下における目視観察を行い、目視確認の可否(視認性)を以下の基準により評価した。
(潜像画像の視認性評価基準)
○:視認しやすい
△:視認しにくい
×:ほとんど視認できない
実施例及び比較例で作製した画像形成体の潜像画像を通常光源下(白色光・太陽光)で目視観察し、目視確認の可否(不可視性)を以下の基準により評価した。
(不可視性評価基準)
○:通常状態では目視不可能
△:通常状態で反射光でなら確認可能
×:通常でも潜像画像が見えてしまう
実施例及び比較例で作製した画像形成体の潜像画像の蛍光強度を日本分光製、分光蛍光光度計FP−6600にて、蛍光強度を測定した。このとき、熱拡散転写性蛍光染料のみを転写した場合(参考例1)の蛍光強度を1として、実施例および比較例における相対蛍光強度を算出した。
一方、各比較例の画像形成体は、同一層に可視画像と蛍光画像が転写された場合には、バックトラップ等の影響によって蛍光強度が低下し、充分な視認性が得られなかった。
2:基材フィルム
3:剥離性染料受容層
4:接着性染料受容層
5:被転写体
6:保護層
Claims (4)
- 基材フィルム上に、少なくとも剥離性染料受容層と接着性染料受容層とがこの順で積層された構造の中間転写記録媒体の前記接着性染料受容層に、可視染料による可視画像、又は、蛍光染料による潜像画像である画像Aを、熱転写により形成する工程(1)、
前記画像Aを形成した接着性染料受容層を被転写体に圧接し、前記中間転写記録媒体を前記被転写体に転写する工程(2)、
前記中間転写記録媒体の前記基材フィルムを剥離して前記剥離性染料受容層を露出させる工程(3)、及び、
露出させた前記剥離性染料受容層に、可視染料による可視画像、又は、蛍光塗料による潜像画像である画像Bを、熱転写により形成する工程(4)を有し、
前記画像A及び画像Bは、いずれか一方が前記可視画像であり、他方が前記潜像画像である
ことを特徴とする熱転写記録方法。 - 可視染料は、イエロー染料、マゼンタ染料及びシアン染料からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載の熱転写記録方法。
- 蛍光染料は、可視光以外の光を照射することによって蛍光色で視認することができる染料である請求項1又は2記載の熱転写記録方法。
- 画像Bが形成された剥離性染料受容層上に、更に保護層を形成する工程(5)を有する請求項1、2又は3記載の熱転写記録方法。
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