JP2020044702A - 積層多孔フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
従来、断熱材として、ウレタン樹脂をフロンガスで発泡させたウレタンフォームや、フロンガスに代わる発泡ガスとして、炭化水素を用いた断熱材が使用されているが、これら断熱材は高い断熱性を有する一方で、薄膜化が困難であるため、設置スペースが十分に確保できる用途に使用が限られている。
薄膜化と断熱性を両立する手法として、ガラス繊維を用いたガラスマット(特許文献1)、繊維中にキセロゲル及び/またはエアロゲル粒子を分散させた断熱材(特許文献2、3)、プロピレン系樹脂を延伸することにより多孔化させた断熱材(特許文献4)がある。
このような断熱材は、薄膜化が容易であり、複雑な形状にも追随しやすいため、各種車輌の内装やモバイル電子機器、ウェアラブル電子機器のような限られたスペースにおいても、使用しやすい。
すなわち、本発明の課題は、 オレフィン系樹脂(A)を主成分とする多孔層(I)を有し、かつ、オレフィン系樹脂(B)を主成分とし、結晶融解エンタルピー(ΔHm)が10〜90J/gである層(II)を有する、空孔率が55%以上、透気度が1000秒/dL以上である積層多孔フィルムによって解決される。
本発明の実施形態の一例に係る積層多孔フィルム(以下、「本フィルム」と称することがある)は、オレフィン系樹脂(A)を主成分とする多孔層(I)を有し、かつ、オレフィン系樹脂(B)を主成分とし、結晶融解エンタルピー(ΔHm)が10〜90J/g、結晶化温度(Tc)が110℃以上である層(II)を有する、空孔率が55%以上、透気度が1000秒/dL以上である積層多孔フィルムである。
本フィルムの空孔率は多孔構造を規定する為の重要な要素であり、本フィルムにおける多孔層の空間部分の割合を示す数値である。一般に空孔率が高いほど、優れた断熱性を有することが知られており、本フィルムにおいては、本フィルムの空孔率が55%以上であり、好ましくは57%以上、より好ましくは60%以上である。空孔率が55%以上であれば、優れた断熱性を有する積層多孔フィルムとすることができる。
また上限については特に定めないが通常は75%以下である。
空孔率の測定方法は以下のとおりである。
本フィルムの実質量W1を測定するとともに、試料を構成する樹脂組成物の密度に基づいて空孔率が0%の場合の質量W0を計算する。これらの値から下記式に基づいて空孔率を算出する。
空孔率(%)={(W0−W1)/W0}×100
本フィルムの厚みは特に制限されるものではないが、1μm以上300μm以下であることが好ましい。下限については、10μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましい。一方で上限としては、200μm以下がより好ましく、150μm以下が特に好ましい。厚みが1μm以上であれば、多孔層に充分な空気層を有し、断熱性を確保できる。また、厚みが300μm以下であれば、設置場所が狭い限られたスペースに使用する用途に対しても、使用が容易である。
本フィルムの透気度は、1000秒/dL以上であることが好ましく、5000秒/dL以上であることがより好ましく、10000秒/dL以上であることが特に好ましい。積層多孔フィルムの透気度を1000秒/dL以上とすることで、、多孔層(I)部分への液体や粒子等の異物質の侵入を防ぐことができ、本フィルムの断熱性低下を抑制することができる。
後に説明するように層(II)を有することにより上記の範囲の透気度を有するフィルムとすることが容易となる。
透気度は積層多孔フィルムの厚み方向の空気の通り抜け難さを表し、具体的には100mlの空気が当該積層多孔フィルムを通過するのに必要な秒数で表現されている。そのため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方が積層多孔フィルムの厚み方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方が当該積層多孔フィルムの厚み方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とは積層多孔フィルムの厚み方向の孔のつながり度合いである。透気度(秒/100ml)は、JISP8117に準拠して測定でき、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
熱伝導率は断熱材を規定する為の重要な要素であり、本フィルムにおける断熱性能の指標の一つである。本フィルムにおいては、熱伝導率が0.025(W/mK)以下であることが好ましく、より好ましくは0.023(W/mK)以下、更に好ましくは0.021(W/mK)以下である。熱伝導率が0.025(W/mK)以下であれば、優れた断熱性を有する積層多孔フィルムとなる。
上記の空孔率をみたすフィルムであれば、上記の範囲の熱伝導率を有するフィルムとすることが容易となる。
ここで熱伝導率の測定方法は以下のとおりである。
フィルムを10mm角に切り出して厚みをマイクロメータで測定した後、グラファイトスプレーにて黒化処理した後、キセノンフラッシュ法(NETZSCH社製、型式:LFA447 nanoflash)を用いて熱拡散率を評価する。この値を寸法および質量から計算したかさ密度、および、示差走査型熱量計(Perkin Elmer製DSC Pyris1)で測定した比熱との積から熱伝導率を求める。
上記した厚みも考慮すると、本フィルムの厚みは1μm以上300μm以下であり、熱伝導率が0.025W/(m・K)以下であることが好ましい。
特に、(II)/(I)/(II)のように、多孔層(I)を中間層、層(II)を表裏層に有することで、多孔層(I)を疑似的な独立孔とできるため、液体の染込みを生じず、気体の対流を妨げる断熱性に優れた積層多孔フィルムとなる。
本発明の積層多孔フィルムにおける多孔層(I)と層(II)との厚み比は、用途、目的に応じて適宜調整することができる。本発明の効果を得る観点からは、多孔層(I)と層(II)との厚み比[(I):(II)]は、好ましくは、1:1〜1:0.025、より好ましくは、1:0.5〜1:0.05である。多孔層(I)と層(II)との厚み比が上記範囲にある場合、断熱性と機械特性とのバランスが良好であり、断熱フィルムとしての使用に特に適する。なお、多孔層(I)が2層以上ある場合、「多孔層(I)の厚み」とは、複数の多孔層(I)の合計の厚みをいう。層(II)についても同じである。
積層多孔フィルムにおける多孔層(I)と層(II)の厚みおよび厚み比の調整は、延伸前の無孔膜状物の厚みや、延伸条件などを調整することにより制御できる。
積層多孔フィルムに対して、多孔層(I)の厚みは50%以上97%以下が好ましい。55%以上96%以下がより好ましく、60%以上95%以下がさらに好ましい。積層多孔フィルム中の多孔層(I)層の厚みは、5〜290μmであるのが好ましく、10μm〜280μmであるのがより好ましい。多孔層(I)の厚み割合、及び、フィルム中の厚みがこの範囲であれば、本フィルムは優れた断熱性を有することができる。
積層多孔フィルムに対して、前記層(II)の厚みは1〜20%以下であることが好ましい。0.1%以上20%以下がより好ましく、0.5%以上15%以下がさらに好ましく、1%以上10%以下が特に好ましい。積層多孔フィルム中の層(II)の厚みは、1〜100μmであるのが好ましく、2〜50μmであるのがより好ましい。層(II)の厚み割合、及び、フィルム中の厚みがこの範囲内であれば、層(II)を有することで液体や粒子等の異物質の侵入を抑制し、内部の多孔構造に由来する空孔が維持され、断熱性の低下を生じない。
ここで、多孔層(I)及び層(II)が複数配される場合は、各層の合計厚みを用いて算出する。
本発明の積層多孔フィルムを構成する多孔層(I)は、オレフィン系樹脂(A)を主成分とする。以下、多孔層を構成するそれぞれの成分について説明する。
多孔層(I)を構成するオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。この中でも延伸時の多孔化を鑑みると、引張試験時の降伏応力が立ちにくく、延伸ムラをより低減できる観点から後述するプロピレン系樹脂が好適に使用される。
多孔層(I)は微細な多孔質構造を得るために、前記β晶活性を有することが好ましく、中でも、β晶核剤を含むことが好ましい。本発明で用いるβ晶核剤としては以下に示すものが挙げられるが、プロピレン系樹脂のβ晶の生成、成長を増加させるものであれば特に限定されず、また2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、アミド化合物、テトラオキサスピロ化合物、及びキナクリドン類からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
本発明の積層多孔フィルムにおける層(II)は、その表面に溶剤等の液体を滴下した際に染込みを生じない層である。このような層(II)であることにより、液体や粒子等の異物質の入り込むこみを抑制し、内部の多孔構造に由来する空孔が維持され、断熱性の低下を生じない。
具体的には、層(II)のΔHmが10J/g以上の場合、高い弾性率を有する結晶成分が多くなるため、フィルム製造の際に高温キャストロールからの剥離が容易になる。また、高温キャストロールで製膜を行うことで、多孔層(I)の結晶成分が多くなるため、延伸工程の際に多孔形成が効率よく行え、空孔率の増加に寄与する。
一方で、層(II)のΔHmが90J/g以下の場合、層(II)の弾性率が低下するため、孔構造形成のためにフィルムを延伸する際において、多孔層(I)の変形に追随することで、層(II)において多孔構造形成を抑制し、フィルムが透気性を有することを防ぐことができる。
本発明の規定するΔHm(J/g) = 積層体全体における前記層(II)に由来するΔHm(J/g)/積層体全体における前記多孔層(I)の積層比(%)/100(%)
なお、本発明の規定するΔHmは、上記再昇温過程において、半結晶性樹脂にみられるような冷結晶化が生じる場合においても、再昇温過程で生じる結晶融解ピークから算出されたΔHmを適用する。すなわち、再昇温過程において生じる冷結晶化における発熱ピーク面積から算出される結晶化エンタルピー(ΔHc)を、再昇温過程で得られるΔHmからの差し引くことは行わない。
具体的には、層(II)のTcが110℃以上の場合、結晶化温度が高いため結晶化開始温度が高まり、高い弾性率を有する結晶成分が増大することで高温キャストロールからの剥離が行いやすく、剥離時にシート外観ムラが生じるのを防ぐことができる。一方で、層(II)のTcが145℃以下の場合、過度に高い結晶成分へ延伸時に応力集中した際に生じる多孔構造形成を抑制でき、無多孔層を得ることができる。
その中でも、層(II)の結晶融解エンタルピー(ΔHm)を10〜90J/g、結晶化温度(Tc)を110℃以上にすることがしやすいという理由より、ホモプロピレン系樹脂であることが好ましい。ホモプロピレン系樹脂に対してエラストマーを添加することにより、結晶成分を低下させることで、結晶融解エンタルピー(ΔHm)を10〜90J/g、結晶化温度(Tc)を110℃以上にすることがしやすくなる。また、延伸時のボイド形成を軽減し、好適に使用することができる。さらには、多孔層への液体や粒子等の異物質の入り込みを抑制することができ、断熱性の低下を防ぐことができる。
本発明の積層多孔フィルムの製造方法について説明するが、以下の説明は、本発明の積層多孔フィルムを製造する方法の一例であり、本発明の積層多孔フィルムはかかる製造方法により製造される積層多孔フィルムに限定されるものではない。
他の樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
材料樹脂を加熱溶融する方法として、例えばTダイ法、インフレーション法などを挙げることができ、中でもTダイ法を採用するのが好ましい。実用的には、Tダイから材料樹脂を溶融押出してキャストロールによりキャスト成形するのが好ましい。
混練物を冷却しながらフィルムに成形する際、キャストロールの温度は100℃以上が好ましい。より好ましくは110℃以上で、更に好ましくは120℃以上である。本発明では多孔層(I)中のプロピレン系樹脂の結晶部分と非晶部分での延伸工程時による開孔によっても、空孔率の増加が可能であるため、キャストロールの温度を100℃以上とし、高い結晶化度の積層無孔膜状物を得ることが好ましい。また、キャストロール温度の上限は140℃以下が好ましい。より好ましくは135℃以下で、更に好ましくは130℃以下である。キャストロールの温度を140℃以下とすることで、フィルム製膜時にキャストロールからの剥離が容易である。
未延伸フィルム厚さが50μm以上であれば、フィルムが薄すぎるために延伸時に破断を起こすのを防ぐことができ、未延伸フィルムの厚さが1000μm以下であれば、フィルムが剛直になり過ぎて延伸を行い難くなるのを防ぐことができる。
ついで、得られた無孔膜状物を一軸延伸あるいは二軸延伸を行う。一軸延伸は縦一軸延伸であってもよいし、横一軸延伸であってもよい。二軸延伸は同時二軸延伸であってもよいし、逐次二軸延伸であってもよい。本発明の目的である層(II)を有する積層多孔フィルムを作製する場合には、各延伸工程で延伸条件を選択でき、多孔構造を制御し易い逐次二軸延伸がより好ましい。なお、膜状物の流れ方向(MD)への延伸を「縦延伸」といい、流れ方向に対して垂直方向(TD)への延伸を「横延伸」という。
さらに、本発明の積層多孔フィルムには、本発明を損なわない範囲で必要に応じてコロナ処理、プラズマ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面加工、更にはミシン目加工などを施すことができ、用途に応じて本発明の積層多孔フィルムを数枚重ねることも可能である。
本発明の積層多孔フィルムは、他部材と組み合わせることにより、各種部材への断熱性付与が容易に可能であり、特に各種車輌の内装部材やモバイル電子機器の部材として利用される。
(オレフィン系樹脂(A))
・A−1;ホモポリプロピレン(ノバテックPP FY6HA、MFR:2.4g/10分[230℃、2.16kg荷重]、Mw/Mn=3.2、日本ポリプロ社製)
(β晶核剤)
・C−1:3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
(酸化防止剤)
・D−1;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトとテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリトールとの1:1混合物(IRGANOX−B225、BASF社製)
(オレフィン系樹脂(B))
・B−1;ホモポリプロピレン(ノバテックPP FY6HA、MFR:2.4g/10分[230℃、2.16kg荷重]、日本ポリプロ社製)
・B−2;ホモポリプロピレン(ノバテックPP FY4、MFR:5.0g/10分、[230℃、2.16kg荷重]、日本ポリプロ社製)
・B−3;ランダムポリプロピレン(プライムTPO F3910、MFR:4.5g/10分、プライムポリマー社製)
(エラストマー)
・E−1;α−オレフィンコポリマー(タフマーPN3560、MFR:6.0g/10分[230℃、2.16kg荷重]、三井化学社製)
・E−2;α−オレフィンコポリマー(ダイナロン1320P、MFR:3.5g/10分[230℃、2.16kg荷重]、JSR社製)
オレフィン系樹脂(A−1)100質量部、β晶核剤(C−1)0.2質量部、酸化防止剤(D−1)0.1質量部を混合して、二軸押出機にて280℃で溶融押出することで混合物1を得た。オレフィン系樹脂(B−1)70質量部、エラストマー(E−1)30質量部を混合して、二軸押出機にて230℃で溶融押出することで混合物2を得た。リップ開度1mmのTダイで表裏層側押出機に前記混合物2、中層側押出機に前記混合物1を用いて成形を行い、キャストロールに導かれて積層無孔膜状物を得た。その後、積層無孔膜状物は縦延伸機を用いて、105℃に設定したロール間において、ドロー比65%を3段(縦延伸倍率4.5倍)掛けて縦延伸を行った。縦延伸後のフィルムは、フィルムテンター設備(京都機械社製)にて、予熱温度150℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度150℃で横方向に3.5倍延伸した後、155℃で熱処理を行い、積層多孔フィルムを得た。得られた積層多孔フィルムの評価結果を表1に纏める。
オレフィン系樹脂(B−1)70質量部、エラストマー(E−2)30質量部を混合して、二軸押出機にて230℃で溶融押出することで混合物3を得た。リップ開度1mmのTダイで表裏層側押出機に前記混合物3、中層側押出機に前記合物1を用いて成形を行い、キャストロールに導かれて積層無孔膜状物を得た。その後、積層無孔膜状物は実施例1と同様の方法で縦延伸、横延伸を行い、積層多孔フィルムを得た。得られた積層多孔フィルムの評価結果を表1に纏める。
オレフィン系樹脂(B−2)70質量部、エラストマー(E−1)30質量部を混合して、二軸押出機にて230℃で溶融押出することで混合物4を得た。リップ開度1mmのTダイで表裏層側押出機に前記混合物4、中層側押出機に前記合物1を用いて成形を行い、キャストロールに導かれて積層無孔膜状物を得た。その後、積層無孔膜状物は実施例1と同様の方法で縦延伸、横延伸を行い、積層多孔フィルムを得た。得られた積層多孔フィルムの評価結果を表1に纏める。
リップ開度1mmのTダイで表裏層側押出機にオレフィン系樹脂(B−1)、中層側押出機に前記合物1を用いて成形を行い、キャストロールに導かれて積層無孔膜状物を得た。その後、積層無孔膜状物は実施例1と同様の方法で縦延伸、横延伸を行い、積層多孔フィルムを得た。得られた積層多孔フィルムの評価結果を表1に纏める。
リップ開度1mmのTダイで表裏層側押出機にオレフィン系樹脂(B−3)、中層側押出機に前記混合物1を用いて成形を行い、キャストロールに導かれて積層無孔膜状物を得た。その後、積層無孔膜状物は実施例1と同様の方法で縦延伸、横延伸を行い、積層多孔フィルムを得た。得られた積層多孔フィルムの評価結果を表1に纏める。
1/1000mmのダイアルゲージを用いて無作為に10点測定して、その平均値を厚みとした。
測定試料の実質量W1を測定し、樹脂組成物の密度に基づいて空孔率が0%の場合の質量W0を計算し、これらの値から下記式に基づいて空孔率を算出した。
空孔率(%)={(W0−W1)/W0}×100
積層多孔フィルムの層(II)のDSC測定を行った。30℃から高温保持温度まで加熱速度10℃/分で昇温後、1分間保持し、次に高温保持温度から30℃まで冷却速度10℃/分で降温後、1分間保持し、更に30℃から高温保持温度まで加熱速度10℃/分で再昇温させた。このとき降温した際の結晶化ピーク温度を結晶化温度(Tc)とし、再昇温過程における該結晶融解ピーク面積から結晶融解エンタルピー(ΔHm)を算出した。
25℃の空気雰囲気下にて、JIS P8117に準拠して透気度を測定した。測定機器として、デジタル型王研式透気度専用機(旭精工社製)を用いた。
測定試料を10mm角に切り出して厚みをマイクロメータで測定した後、グラファイトスプレーにて黒化処理した後、キセノンフラッシュ法(NETZSCH社製、型式:LFA447 nanoflash)を用いて熱拡散率を評価した。この値を寸法、質量から計算した、かさ密度、示差走査型熱量計(Perkin Elmer製DSC Pyris1)で測定した比熱との積から熱伝導率を求めた。
未延伸フィルムと延伸フィルムについて、フィルム最表面で生じる割れや樹脂の流動ムラに代表される外観ムラを目視及び走査型電子顕微鏡(SEM)(「株式会社日立ハイテクノロジーズ社製 S−4500」)にて評価した。一般に未延伸状態のフィルムにて外観ムラを生じている場合、延伸後のフィルムについても同様の外観ムラを生じる。
○:フィルム全面にて表面が均一で、外観ムラを生じていない。
△:フィルムの一部分にて表面が不均一で、外観ムラを生じている。
×:フィルム全面にて表面が不均一で、外観ムラを生じている
Claims (5)
- オレフィン系樹脂(A)を主成分とする多孔層(I)を有し、かつ、オレフィン系樹脂(B)を主成分とし、結晶融解エンタルピー(ΔHm)が10〜90J/g、結晶化温度(Tc)が110℃以上である層(II)を有する、空孔率が55%以上、透気度が1000秒/dL以上である積層多孔フィルム。
- 積層多孔フィルムに対して、前記層(II)の厚みが1〜20%以下である請求項1に記載の積層多孔フィルム。
- 前記多孔層(I)を中間層、前記層(II)を表裏面に有する請求項1または2に記載の積層多孔フィルム。
- フィルムの厚みが1μm以上300μm以下であり、熱伝導率が0.025W/(m・K)以下である請求項1〜3のいずれかに記載の積層多孔フィルム。
- オレフィン系樹脂(B)を主成分とし、結晶融解エンタルピー(ΔHm)が10〜90J/gであり、結晶化温度(Tc)が110℃以上である層(II)を有する積層体を延伸することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層多孔フィルムの製造方法。
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