JP2009235232A - 多孔性ポリプロピレンフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い空孔率並びに隠蔽性を有する多孔性ポリプロピレンフィルムにおいて、該フィルムに添加した微細な粒子の分散性を向上し、再凝集を抑制することで、粗大突起が少なく品質的に安定な高隠蔽性を有する多孔性ポリプロピレンフィルムを提供すること。
【解決手段】 無機フィラー5〜20質量%と、β晶形成能が50%以上であるポリプロピレン樹脂と、フッ素化合物とを含む、多孔性ポリプロピレンフィルムとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フィルム内部に空孔を有する多孔性ポリプロピレンフィルムに関するものであり、特に、白色度、反射特性、隠蔽性に優れ、液晶表示装置のバックライトユニットを構成する反射板、感熱転写記録方式に用いられる受容紙、合成紙、包装用途等に好ましく用いられる多孔性ポリプロピレンフィルムに関する。
ポリプロピレン系フィルムは、機械特性に優れ、軽量であり、また耐水性・耐湿性、電気特性に優れることから、食品包装用、粘着テープ、紙器類とのラミネート用途、電気絶縁材料用等に広く用いられている。また、該ポリプロピレン系樹脂を基材として、空孔を形成することで、隠蔽性、断熱性、クッション性、透水性・透気性を付与する試みも多数なされており、合成紙、壁紙、プリンター受容紙、電池の電解液セパレータ等の幅広い用途に実用化されている。
ポリプロピレンに空孔を設ける技術は、従来より多くの提案がなされており、その用途・目的に応じて使い分けがなされている。
具体的には、ポリプロピレンの特定の結晶系であるβ晶を形成しておき延伸する方法(例えば、特許文献1)、フィルム成型時にラメラを特定の方向に成長させ、該前駆体フィルムを特定の条件で延伸する方法、溶融状態ではポリプロピレンと安定な融液を形成する材料を添加しておき、冷却固化時に層分離させ該材料を溶媒等で抽出し空孔を形成する方法、ポリプロピレン樹脂と相溶しない樹脂あるいはフィラー(以下非相溶成分)を添加しておき延伸することで、ポリプロピレン樹脂相と該非相溶成分との延伸挙動の差により、空孔を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2〜9)。
ここで、β晶を利用した多孔性フィルムを製造技術は基本的には以下の通りである。すなわち、ポリプロピレンは複数の結晶系を有するが、代表的な結晶系としては、α晶、β晶の2種がある。α晶は最も安定な結晶であり、樹脂を溶融し結晶化させた際に通常生成する結晶系であり、融点は160〜170℃、理想的な密度は0.935g/cmである。β晶は、α晶に比較して熱的に不安定な結晶であり、特定の条件(例えば、α晶の結晶化温度よりも10〜20℃程度高い温度)で結晶化させたり、特定の結晶核剤を添加したりする等によって生成させることができ、融点は140〜150℃、密度は0.922g/cmといずれもα晶に比較して低いことが特徴である。
いずれの結晶系も球晶を形成するが、α晶が核を中心にして放射状にラメラが成長していく構造であるのに対して、β晶は点対象にならず、いわゆるシーフライク構造に代表されるようにラメラが特定の方向に成長し球晶が形成される。従って、延伸挙動としては、α晶球晶が延伸の方向に殆ど依存しない一方で、β晶の球晶は特定の延伸方向において低ひずみ下で破壊する現象があることが知られている。また、β晶は熱的に不安定であることから、一旦溶融する、または延伸ひずみがかかることで、容易にα晶に転換する(β→α転移)。このように、β晶を生成しておき、延伸することで、α晶との延伸挙動差や融点差を利用して、フィルム中に空孔を形成することが可能であるが、両者の差は顕著なものとはいえないために、製膜条件としては非常に狭いものとなり、工業レベルでは再現良く安定した品質のフィルムを得ることが難しいという問題がある。
一方で、上述の技術の中で、非相溶成分を添加しておき、延伸する方法が既存の2軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造プロセスに近く、製造設備面・条件面で対応が容易であり、汎用的な技術として実用化されている。しかしながら、非相溶成分の均一分散が難しいために、ポリエステルフィルム程の高度な隠蔽性、白色度、均一性を達成することが難しく、包装材料の特定用途に使用されるに留まっていた。すなわち、該多孔性フィルムの隠蔽性、白色度を高め、粗大突起等の表面欠点を低減しようとする場合、微細な粒径を有する無機フィラーを多量に添加することとなるが、粒子を微細化していくと空孔の形成性が低下し、フィラーの添加量を増やしても、高い空孔率を得ることが難しくなる。
更に、非ニュートニアン性流体としての性質が強いポリプロピレン樹脂に微細な粒子を多量に添加すると、コンパウンド工程の段階では分散性を高めておいても、溶融押出の際にポリマーフィルターの目づまりが発生しやすくなったり、粒子の凝集によるフィッシュアイが増加する等の問題を有していた。
また、一旦フィルム化した樹脂を再度溶融して、再生原料として使用しようとした場合にも同様に粒子の再凝集が起こりやすくなり、うまく活用できず、製造コストがアップする等の問題も有していた。
特開2007ー3975号公報(請求項9) 特許第2599934号公報(請求項1) 特許第1748101号公報(請求項1〜15) 特開平11−343357号公報(請求項1〜4) 特許第2611392号公報(請求項1、2) 特許第2917331号公報(請求項1〜4) 特許第2964608号公報(請求項1〜5) 特許第2735989号公報(請求項1、2) 特許第2651469号公報(請求項1、2)
本発明は、高い空孔率並びに隠蔽性を有する多孔性ポリプロピレンフィルムにおいて、該フィルムに添加した微細な粒子の分散性を向上し、再凝集を抑制することで、粗大突起が少なく品質的に安定な高隠蔽性を有する白色ポリプロピレンフィルムを提供せんとするものであり、また製造面ではフィルターの濾圧上昇を小さく抑え、回収原料の活用を容易にし、製造コスト面の低減を図ることを目的とするものである。
上記目的を達成するための本発明は、以下の構成を特徴とする。
(1)無機フィラー5〜20質量%と、β晶形成能が50%以上であるポリプロピレン樹脂と、フッ素化合物とを含む、多孔性ポリプロピレンフィルム。
(2)無機フィラーが酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムおよび酸化アルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の粒子である、上記(1)に記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
(3)フッ素化合物が、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチレンの3種のモノマーの共重合体である、上記(1)または(2)に記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
(4)比重が0.3〜0.7である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
(5)反射率が90%〜102%である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に、ポリプロピレン樹脂を含む厚み0.5〜5μmのスキン層を積層してなる積層多孔性ポリプロピレンフィルム。
本発明フィルムは白色度、隠蔽性に優れるとともに、白色ポリプロピレンフィルムとしても以下の効果を奏するものである。
1.添加粒子の凝集を主体とするフィッシュアイや粗大突起が少なく、高品質の多孔性ポリプピレンフィルムを提供することができる。
2.フィルム製造工程において、ポリマーフィルターの目詰まりを低減でき、経時での圧力損失上昇が小さく、フィルター交換頻度を低減できるので、生産性に優れる。
3.製膜エッジ、スリットエッジ等の非製品部の、無機粒子の再凝集による品質劣化が少なく、回収樹脂利用効率が高まり製造コストの低減を図ることができる。
以下に本発明フィルムの実施形態について詳細に説明する。
本発明のフィルムは、ポリプロピレン樹脂を含んでいるが、β晶形成能が50%以上であることが重要であり、好ましくは60%以上である。β晶形成能が高いほど、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルム製造時に、延伸前のキャストフィルム中のβ晶比率を高くすることが可能となり、空孔形成を効率良く行うことができ、高空孔率で、白色度、隠蔽性、反射率いずれも高いものが得られる。一方、β晶形成能が低いと空孔形成がうまく行かず、空孔率が低く、白色度、隠蔽性、反射率いずれも低いものしか得られない。すなわち、β晶形成能とは、ポリプロピレン樹脂を特定の条件で結晶化させた際に生成した総結晶量に対するβ晶の割合で定義され、β晶の生成し易さの目安である。β晶形成能の上限としては、特に制限を受けるものでは無く、全ての結晶がβ晶となる、β晶形成能が100%であるポリプロピレン樹脂であっても好適に用いることができる。
β晶形成能を高める方法としては、ポリプロピレンの分子量分布、組成を制御する方法等も提案をされているが、上述のように高いβ晶形成能を付与するためには、β晶を選択に生成させる結晶核剤の添加が好ましい。本発明フィルムを構成するポリプロピレンに好ましく添加できるβ晶核剤としては、例えば、1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩;N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレン ジカルボキサミドなどに代表されるアミド系化合物;ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二または三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;テトラオキサスピロ化合物類;イミドカルボン酸誘導体;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;キナクリドン、キナクリドンキノンなどに代表されるキナクリドン系顔料;有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物または塩である成分Bとからなる二成分系化合物などが挙げられるが、これらに限定されるわけではなく、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明においてポリプロピレンに添加するβ晶核剤としては、上記のなかでは特に下記化学式(i)や(ii)で表され、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミドなどに代表されるアミド系化合物や、有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物または塩である成分Bとからなる二成分系化合物が、得られるフィルムの空孔率を高くでき、透過性を向上できるので、特に好ましい。
−NHCO−R−CONH−R ・・・(i)
[ここで、式中のRは、炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数4〜28の飽和もしくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基または炭素数6〜28の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R、Rは同一または異なる炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基またはこれらの誘導体である。]
−CONH−R−NHCO−R ・・・(ii)
[ここで、式中のRは、炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ジアミン残基、炭素数4〜28の飽和もしくは不飽和の脂環族ジアミン残基または炭素数6〜12の複素環式ジアミン残基または炭素数6〜28の芳香族ジアミン残基を表し、R、Rは同一または異なる炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基またはこれらの誘導体である。]
かかる特に好ましいβ晶核剤もしくはβ晶核剤添加ポリプロピレンの具体例としては、新日本理化(株)製β晶核剤“エヌジェスター”(タイプ名:NU−100など)、SUNOCO社製β晶核剤添加ポリプロピレン“BEPOL”(タイプ名:B022−SPなど)などが挙げられる。
β晶核剤の含有量は、用いるβ晶核剤のβ晶生成能にもよるが、A層のポリプロピレン樹脂量に対して0.01〜0.5質量%であることが好ましい。β晶核剤の含有量が上記範囲未満であると、得られるフィルムのβ晶分率が不十分となったり、空孔率が低くなったり、反射率や白色度に劣る場合がある。β晶核剤の含有量が上記範囲を超えると、それ以上添加しても得られるフィルムのβ晶分率が向上せず、経済性に劣り、核剤自体の分散性が悪化して逆にβ晶分率が低下する場合がある。β晶核剤の含有量は、より好ましくは0.02〜0.3質量%、さらに好ましくは0.05〜0.2質量%である。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムを構成する樹脂はホモポリプロピレンを用いることができることはもちろんのこと、製膜工程での安定性や造膜性、物性の均一性の観点から、ポリプロピレンにエチレン成分やブテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン成分を5質量%以下の範囲で共重合してもよい。なお、ポリプロピレンへのコモノマーの導入形態としては、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもいずれでもよい。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(以下、MFRと表記する、測定条件は230℃、2.16kg)は2〜30g/10分の範囲のアイソタクチックポリプロピレン樹脂を用いることができる。高反射率を得るという観点からは、MFRが5〜20g/10分であればより好ましい。ここで、MFRとはJIS K 7210(1995年制定)で規定されている樹脂の溶融粘度を示す指標であり、ポリオレフィン樹脂の特徴を示す物性値として一般的に知られているものである。ポリプロピレン樹脂の場合、条件M、温度230℃、荷重2.16kgで測定する。
また、アイソタクチックポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスは90〜99.9%の範囲であれば好ましい。アイソタクチックインデックスが90%未満の場合、樹脂の結晶性が低くなってしまい、必要なフィルム強度等の特性が得られない場合がある。
また、該ポリプロピレン樹脂は、種々の酸化防止剤、熱安定剤、塩素捕獲剤、帯電防止剤、スリップ剤等を含有していてもよい。特に空孔を多く含む本発明フィルムにおいては、酸素との接触面積が増えるため、酸化防止剤の選定・含有量は重要である。
酸化防止剤や熱安定剤の種類および添加量の選定はフィルムの長期耐熱性にとって重要である。本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンに好ましく添加される酸化防止剤、熱安定剤としては種々の化合物が挙げられるが、酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT);3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール(例えば、チバガイギー(株)製“IRGANOX”1330など);ペンタエリストリール テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例えば、チバガイギー(株)製“IRGANOX”1010など)などが挙げられ、熱安定剤としては例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト(例えば、チバガイギー(株)製“IRGAFOS”168など);3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンの反応生成物(例えば、チバガイギー(株)製HP−136など)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これら酸化防止剤、熱安定剤は、2種類以上を併用することが好ましく、その含有量は、それぞれポリプロピレン全量に対して、0.03〜1質量部であることが好ましい。酸化防止剤、熱安定剤それぞれの含有量が上記範囲未満であると、初期の原料から多孔性フィルムを得るまでの製造工程、その後の二次加工工程において長期耐熱性に劣る場合がある。また、酸化防止剤、熱安定剤それぞれの含有量が上記範囲を超えると、それ以上添加しても得られるフィルムの長期耐熱性が向上せず、経済性に劣る場合がある。酸化防止剤、熱安定剤それぞれの含有量は、ポリプロピレン全量に対して、より好ましくは0.05〜0.9質量部であり、さらに好ましくは0.1〜0.8質量部である。
また、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンには、フィルムの帯電による静電気障害防止のため帯電防止剤を添加してもよい。本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンに添加される帯電防止剤としては、例えば、ベタイン誘導体のエチレンオキサイド付加物、第4級アミン系化合物、アルキルジエタノールアミン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸グリセリド、もしくはこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムには、有機系の滑剤を添加してもよく、例えば、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミドなどのアミド系化合物、もしくはこれらの混合物などが挙げられる。これらの滑剤を添加すると熱可塑性樹脂の加熱成形時の流動性、離型性をよくするために添加されるもので、加工機械とフィルム表面、またはフィルム同士の間の摩擦力を調節するために添加される。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムに添加される帯電防止剤の含有量は、ポリプロピレン全量に対して、0.3質量部以上含有されていることが好ましく、より好ましくは0.4〜1.5質量部である。また、帯電防止剤と滑剤の合計含有量は0.5〜2.0質量部が帯電防止性と滑り性の点でより好ましい。さらに、上記の通り、これらを添加することによりβ晶分率が低下する場合には、実質的に添加しない方が好ましく、適宜添加量を選択すればよい。
また、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、無機フィラーを含んでいる。この無機フィラーの好ましい平均粒径は0.05〜0.5μmであり、より好ましくは、0.1〜0.3μmである。平均粒径が小さすぎると空孔形成性が悪化したり、却って凝集しやすくなり、フィッシュアイや粗大突起の原因となる可能性がある。一方、平均粒径が大きすぎると白色、隠蔽性等が低下する恐れがある。
ここで、本発明においては、β晶によって空孔形成することを前述したが、更にこのようなフィラーを添加する技術的な意味を以下に説明する。すなわち、β晶のみでも、空孔形成は可能であるが、工業的に高生産性を得るためには、ラボスケールに比較して延伸速度を高速化せざるを得ず、この結果、空孔形成以前に結晶が溶融したり、せっかく形成された空孔が延伸方向と垂直な方向に発生する応力によってつぶれる可能性があることから、安定した品質の多孔性フィルムを再現良く生産することが難しいという問題がある。そこで、更に、フィラーを添加することで、延伸張力を分散させると共に、形成された空孔の核として該空孔中に無機フィラーを存在せしめることで、空孔を支え、高い空孔率と安定した延伸特性を実現するものである。このようなフィラーとしては、架橋構造を有する高分子系の有機フィラーも空孔形成という観点からは有効であるが、耐熱性の問題からフィッシュアイの原因となったり、原料価格面から工業レベルでの実現性に劣り、無機系の中で粒径の安定している酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムおよび酸化アルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。これら無機フィラーの含有量は、多孔性を有しているポリプロピレン層の全質量に対して5〜20質量%であることが好ましい。含有量が少なすぎると、製膜安定性に劣り、多すぎると粒子が凝集し、フィルター寿命値が著しく短くなったり、フィッシュアイが発生しやすくなる。
また、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムに含まれる空孔の厚み方向の最大長さの平均値(L)は0.1〜0.9μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.8μmである。Lが小さすぎると白色度が悪化しやすい。また、Lが大きすぎると隠蔽性が悪化する恐れがある。更に、本発明においてはこれら空孔に、平均粒子径が0.05〜0.5μmの粒子を含有することが好ましく、より好ましい平均粒子径は0.1〜0.4μmである。平均粒子径が小さすぎると空孔形成性に劣り、大きすぎると隠蔽性が悪化したり、フィルター寿命値が著しく短くなったりする恐れがある。
また、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムには、フッ素化合物が含まれていることが、粒子の再凝集が低減できるので好ましい。これはフッ素化合物が有する溶融ポリマーと金属壁間の潤滑作用により、押出装置内での剪断発熱や異常滞留が低減できる結果と考えられるが、詳しくはわかっていない。
このような効果を有するフッ素化合物としては、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン等の低分子量体やこれらの混合物が例示されるが、特に好ましいフッ素化合物としては、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチレンからなる3元の共重合体(これら3種のモノマーの共重合体)であり、これを用いた場合、ポリプロピレンとの親和性が高く、相分離現象が発生しにくい。好ましい含有量としては50〜1,000ppm(質量基準)、特に好ましくは100〜500ppm(質量基準)である。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、上述の構成をとることで無数の空孔を含有せしめることができ、この結果、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの比重が0.91であるのに対して、0.3〜0.7と低密度化することが可能となる。特に好ましくは比重は0.4〜0.6である。
比重が低すぎると機械強度が低下する恐れがある。一方比重が高すぎると反射率、隠蔽性が低下する恐れがある。このような密度に制御するためには、延伸前のフィルム中のβ晶生成率、無機フィラーの添加量を変更することで達成できるが、合わせて延伸条件も重要であり、延伸温度をアップしたり、延伸速度をアップしていくと空孔率は低下する傾向にある。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、光反射フィルムとして、特にモバイル情報機器用液晶画面の面光源用反射フィルムとして好適に使用するために、反射率が90〜102%であることが好ましい。さらに好ましくは93〜102%であり、96〜102%であれば特に好ましい。反射率をかかる好ましい範囲内とする方法としては、空隙を有する白色フィルムの厚みを増加させる手法がこれまで一般に採られてきたが、厚膜化すると、モバイル情報機器用液晶画面の面光源用反射フィルムとして小型化への要求を満足しなくなる場合があることから、ポリプロピレン樹脂のβ型結晶のα型への転移と粒子添加によるフィルム内部への空隙形成により樹脂−空隙界面を極限まで増大させる方法が好ましい。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムの厚みは、15〜200μmで適宜選択されるが、特に、優れた隠蔽性、反射特性を有することから、例えば、20〜70μmといった厚みの範囲でも十分な特性を有する。
また、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは単層構成のまま用いても構わないが (空孔を含有する多孔性層のみからなっていてもよいが)、上記した多孔性ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に、ポリプロピレン樹脂を含むスキン層を積層してもよい。このスキン層は実質的に空孔を有しないことが好ましい。なお、実質的に空孔を有しないとは空孔率が5%以下であることを意味する。
また、スキン層の厚みは0.5〜5μmであることが好ましい。厚みが0.5μm未満であると、積層した効果が発現しない場合がある。一方、スキン層の厚みが5μmを超えると、モバイル情報機器用液晶画面の面光源用反射フィルムとして小型化への要求を満足しなくなる場合がある。スキン層の厚みは1〜4μmであればより好ましい。
また、スキン層は片面だけでなく両面に積層することで、粒子の脱落を防止し、工程汚染を防止するという観点からより好ましい。ここで、両面のスキン層はそれぞれ同一組成であってもよく、異なってもよい。また、同一組成の場合、1台の溶融押出機を使用して溶融し、ポリマー管内で2つに分割して多孔性ポリプロピレンフィルムの両面に積層してもよいし、異なる溶融押出機を使用してもよい。
該スキン層に用いられる樹脂としては、ポリプロピレンホモポリマー、エチレンプロピレン共重合体、エチレンプロピレンブテン共重合体、プロピレンブテン共重合体、酸無水物グラフトポリオレフイン樹脂が例示される。また、プロピレン系ポリマーに他の樹脂として、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低分子量ポリエチレン、ポリブテン1、ポリ3メチルブテン1、ポリ4メチルペンテン1等のポリオレフイン類等が添加されていてもよい。また、アンチブロッキン剤として有機及び無機フィラーが添加されていてもよい。
本発明によるフィルムは、液晶反射板、受容紙、壁紙に好ましく用いることができる。また、他のフイルム、金属、不織布等と貼り合わせ、断熱性の向上、意匠性の付与等にも用いることができる。
以下に、本発明を実施例および比較例によってさらに詳しく具体的に説明するが、本発明フィルムが以下の記述に拘束されものではない。
なお、実施例、比較例における各種特性は、以下の方法により測定、評価を行った。
(1)平均粒子径
樹脂に添加前の粒子、もしくは上記のように熱溶媒を用いて樹脂、フィルムから濾別し単離した粒子を透過型電子顕微鏡(日立製作所製 H−7100FA)を用いて30,000倍で写真撮影を行う。写真上の個々の粒子について円相当径を測定する。1,000個の粒子について、円相当径を求め、粒子径を0〜0.05μm、0.05〜0.10μm、0.10〜0.15μm・・・、0.55〜0.60μm・・・、とグループ分けし、それぞれのグループにいくつの粒子が含まれるか粒度分布を求める。各グループの中間値をそのグループの代表径diとし(たとえば、0.10〜0.15μmのグループではdi=0.125μm)、グループに含まれる粒子個数niとから、下記式により平均粒子径(質量平均径)を算出する。
d = (Σ ni ・ di) / (Σ ni ・ di
(2)β晶形成能
樹脂またはフィルム5mgをサンプルとしてアルミパンに採取し、示差走査熱量計(DSC)(セイコー電子工業製 RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で20℃から20℃/分で250℃まで昇温し、そのまま5分間保持する。次いで、20℃/分で25℃まで降温し、そのまま5分間保持する。そして、再度20℃/分で250℃まで昇温し測定を行った。2回目の昇温の際に観察される145〜157℃の温度域のポリプロピレンのβ晶融解ピークと158℃以上に観察されるポリプロピレンのα晶融解ピークについて、高温側の平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれる領域の面積から、各々の融解熱量を算出した。なお、融解熱量の較正はインジウムを用いて行う。β晶形成能はβ晶融解熱量(ΔHβ)、α晶融解熱量(ΔHα)から以下の式で算出する。
β晶形成能(%) = 〔ΔHβ / (ΔHα + ΔHβ)〕 × 100
なお、積層フィルムを入手して、各層のβ晶形成能を測定する際は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、測定することができる。
(3)フィルム厚み
JIS C−2330(2001)の7.4.1.1.により、平均フィルム厚さを求めた。フィルム厚みは1枚で測定し、10点の平均値とした。
(4)フィルムを構成するコア層(A)とスキン層(B)の厚み
フィルムの断面を、走査型電子顕微鏡S−2100A形((株)日立製作所製)を用いて1,500倍に拡大観察して撮影し、この断面写真を用いて、各層の厚み方向の長さを計測し、拡大倍率から逆算して各層の厚みを求めた。尚、各層の厚みを求めるに当たっては、互いに異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真計5枚を使用し、それらの平均値として算出した。
なお、コア層とは、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムの層を意味する。
(5)フィルム比重
フィルムの比重は、ミラージュ貿易(株)製高精度電子比重計(SD−120L)を用いて、30×40mmのサイズに切り出したサンプルについて、JIS K 7112(1999)A法(水中置換法)に準じて23℃、65%RHにて測定して求めた。
(6)反射率
分光光度計(日立製作所製 U−3410)に、φ60積分球(日立製作所製 130−0632)および10度傾斜スペーサーを取り付けた状態で560nmの反射率をフィルム両面について3回測定した平均値を求め、より高い反射率を示す面の値を反射率とした。
(7)製膜工程における工程通過性
フィルムを5m幅、10,000m巻き取った時のフィルムの破れ回数を求めた。また、このフィルム破れ回数や、製膜機に配置された金属ロール、特に延伸ロールへの白粉の付着状態から、以下のように工程通過性を評価した。
◎:金属の延伸ロールに白粉の付着がなく、フィルム破れは1度もなく、製膜は安定していた。
○:金属の延伸ロールに白粉の付着がなく、フィルム破れは1回以下で、製膜は安定していた。
△:金属の延伸ロールに白粉又は樹脂が付着した工程汚れが見られたが、フィルム破れは1回以下で、製膜は安定していた。
×:金属の延伸ロールに白粉又は樹脂が付着した工程汚れが見られ、フィルム破れが2回以上あり、製膜は安定していなかった。
(8)製膜後のポリマーフィルターの目詰まり性
フィルム製膜後、押出機内の洗浄のため無機粒子を含まないPP樹脂(例えば住友化学製ホモポリプロピレンFSX81E4)でフィルター洗浄のための製膜を12時間行い、洗浄後、押出機に取り付けたポリマーフィルターの無機粒子の目づまり状況、また、洗浄直後のフィルムのロール端面の色具合を目視にて評価した。
○:フィルター内に白色の無機粒子が見られず、ロール端面が無色であった。
△:フィルター内に白色の無機粒子が多少見られるが、ロール端面はほぼ無色であった。
×:フィルター内に白色の無機粒子が多く見られ、ロール端面は白色を帯びていた。
(実施例1)
住友化学製ホモポリプロピレンFSX81E4(MFR:5g/10分、以下PP−1と表記する)を99.77質量部、β晶核剤である、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100、以下、単にβ晶核剤と表記する)を0.23質量部と、酸化防止剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製IRGANOX(登録商標)1010(以下単に酸化防止剤)を0.15質量部および熱安定剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製IRGAFOS(登録商標)168(以下単に熱安定剤)を0.1質量部添加し、二軸押出機を用いて300℃で溶融混練した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却し、チップカッターで5mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥して、チップ<1>を得た。このようにして得たチップ<1>65.7質量部と大日本インキ化学工業(株)製の酸化チタン60質量%マスターバッチ(PEONY(登録商標) WHITE L−11165MPT、以下、酸化チタンMBと表記する)33.3質量部、大日本インキ工業(株)製のフッ素樹脂5質量%含有マスターバッチ(ADDITIVE MASTERBATCH PAP−3058、以下、単にフッ素樹脂MBと表記する)1.0質量部をドライブレンドして樹脂原料Aとした。
また、住友化学製共重合ポリプロピレンFSX62E1(エチレン成分2質量%共重合、アクリル粒子0.25質量%含有)を樹脂原料Bとした。なお、該樹脂の融解結晶化温度は104℃であった。
これらの組成物を別々の単軸押出機に供給し、各々220℃で溶融押出を行った。ポリマー管途中に設置した精度35μmカットのスクリーンフィルターにて異物を除去後、マルチマニホールド型のB/A/B複合Tダイにて積層し、そのまま表面温度85℃の金属ロール上に吐出し、金属ロールに密着させて徐冷し未延伸シートを得た。ついでこの未延伸シートを135℃に加熱した金属ロールを使用して予熱し、フィルム長手方向に4.5倍延伸した。引き続いて、テンター式横延伸機に導入して、145℃にて幅方向に機械倍率で8倍の延伸を行い、引き続き幅方向への弛緩率5%、160℃で5秒間の熱固定を行い、トータル厚み70μm、B/A/Bの積層厚み比2:66:2の二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例2)
二軸延伸後のトータル厚みを50μm、B/A/Bの積層厚み比を2:46:2とした以外は、実施例1と同様の方法で製膜を行い、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例3)
フッ素樹脂MBの添加量を0.4質量部とし、未延伸シートを130℃に加熱した金属ロールを使用して予熱し、フィルム長手方向に5倍延伸して二軸延伸後のトータル厚みを70μm、B/A/Bの積層厚み比を1:68:1とした以外は、実施例2と同様の方法で製膜を行い、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(実施例4)
樹脂原料Bを用いず、樹脂原料A単層で押出を行い、二軸延伸後のトータル厚みをA層のみで70μmとした以外は実施例1と同様の方法で製膜を行い、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例1)
フッ素樹脂MBを添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で製膜を行い、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例2)
フッ素樹脂MBを添加しなかった以外は、実施例2と同様の方法で製膜を行い、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例3)
チップ<1>4.4質量部、酸化チタンMB25.0質量部、フッ素樹脂MB1.0質量部、PP−1を69.6質量部をドライブレンドして樹脂原料Aとし、二軸延伸後のトータル厚みを75μm、B/A/Bの積層厚み比を2:71:2とした以外は実施例1と同様の方法で製膜を行い、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例4)
チップ<1>65.7質量部、酸化チタンMB3.3質量部、フッ素樹脂MB1.0質量部、PP−1を30.0質量部をドライブレンドして樹脂原料Aとし、二軸延伸後のトータル厚みを65μm、B/A/Bの積層厚み比を2:61:2とした以外は実施例1と同様の方法で製膜を行い、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
(比較例5)
PP−1を99.55質量部、β晶核剤を0.45質量部と、酸化防止剤を0.15質量部および熱安定剤を0.1質量部添加し、二軸押出機を用いて300℃で溶融混練した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却し、チップカッターで5mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥して、チップ<2>を得た。このようにして得たチップ<2>を33.3質量部、酸化チタンMB66.7質量部をドライブレンドして樹脂原料Aとし、二軸延伸後のトータル厚みを100μm、B/A/Bの積層厚み比を2:96:2とした以外は実施例1と同様の方法で製膜を行おうと試みたが、濾圧が著しく上昇し、製膜できなかった。
Figure 2009235232
実施例1〜4、比較例1〜5で得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムのデータを表1に示した。
実施例1〜3ではフッ素樹脂(フッ素化合物)の添加により製膜における破れが少なく、また製膜後、金属ロール上に白粉の付着が見られず、工程汚染性の低いフィルムを得た。またβ晶核剤と無機粒子の添加によりフィルム比重が低く、高反射率を達成し、光反射フィルムとして好適に使用できるものであった。
実施例4ではスキン層が積層されていないため工程汚れが一部見られたが、製造上問題のあるほどではなかった。
実施例1〜4において、洗浄製膜後のポリマーフィルターに白色の無機粒子が多少見られたがフィルターの目詰まりは少なかった。洗浄製膜後のフィルムロール端面はほぼ無色であり、製品品質としてほぼ問題ないものであった。
比較例1、2では製膜においてフィルムの破れがおき、また製膜後、工程内の金属ロール上に白粉の付着が見られた。また、洗浄製膜後のフィルターには白色の無機粒子が多く見られフィルターの目詰まりが著しく、また洗浄製膜後のフィルムロール端面は白色を帯びており製品品質に問題があった。
比較例3ではβ晶核剤の添加量が低いため二軸延伸後のフィルムの空隙が少なく十分に低いフィルム比重を達成できなかったため、十分な反射率が得られず、反射板用途として特徴のあるものではなかった。
比較例4では無機粒子の添加量が少ないため十分な反射率が得られず、反射板用途として特徴のあるものではなかった。
比較例5では無機粒子の添加量が多く、フィルターが詰まって濾圧が著しく上昇したため製膜できなかった。戦場製膜後のフィルターには白色の無機粒子が多く見られフィルターの目詰まりが著しく、また洗浄製膜後のフィルムロール端面は白色を帯びており製品品質に問題があった。
本発明によるフィルムは、フィッシュアイ、粗大突起等が少なく均一性に優れるため、液晶反射板、受容紙、壁紙に好ましく用いることができる。また、他のフイルム、金属、不織布等と貼り合わせ、断熱性の向上、意匠性の付与等にも用いることができる。

Claims (6)

  1. 無機フィラー5〜20質量%と、β晶形成能が50%以上であるポリプロピレン樹脂と、フッ素化合物とを含む、多孔性ポリプロピレンフィルム。
  2. 無機フィラーが酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムおよび酸化アルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の粒子である、請求項1に記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
  3. フッ素化合物が、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチレンの3種のモノマーの共重合体である、請求項1または2に記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
  4. 比重が0.3〜0.7である、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
  5. 反射率が90%〜102%である、請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に、ポリプロピレン樹脂を含む厚み0.5〜5μmのスキン層を積層してなる積層多孔性ポリプロピレンフィルム。
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