JP2007056253A - 断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムおよびそれを用いた車輌用断熱パネル - Google Patents

断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムおよびそれを用いた車輌用断熱パネル Download PDF

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Abstract

【課題】
断熱パネルに用いられるフィルムとして薄膜かつ軽量で高い断熱効果を有し、結露や内部に水が浸透した場合に自然乾燥が可能であり、加工時や使用時の変形が少なく、複雑な形状にも追従することができ、断熱パネル用に好適な多孔質ポリプロピレンフィルムおよびそれを用いた車輌用断熱パネルを提供する。
【解決手段】
厚み方向に層状に重なった孔を有してなるフィルムであって、孔と樹脂の界面数が10層/10μm以上であり、比重が0.1〜0.8であり、ガーレー透気度が1〜1000sec/100ccであることを特徴とする断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムおよびそれを用いた断熱パネル用部材及び断熱パネルに関するものである。詳しくは、断熱パネルに用いられるフィルムとして薄膜かつ軽量で高い断熱効果を有し、結露や内部に水が浸透した場合に自然乾燥が可能であり、加工時や使用時の変形が少なく、複雑な形状にも追従することができ、断熱パネル用に好適な多孔質ポリプロピレンフィルムおよびそれを用いた車輌用断熱パネルに関するものである。
従来、車輌には、電車の車輌の内装や、車のキャビン、ルーフの内部、冷蔵車や冷凍車のボディなど、多くの部位に断熱パネルが使用されている。この断熱パネルには、同一の外形で車内の容積を大きくする事による車内環境の快適化や、積載可能容積の向上、車体重量の低減による燃費抑制のために、薄膜化、軽量化が求められている。また、車のキャビンやルーフなどに断熱パネルが用いられる場合には、ダッシュボード、ギア、インパネ、ドアの内側などの複雑な形状に対応することが求められる。その他、冬季の外気と車輌内部の温度差や、冷蔵車、冷凍車内部と外気の温度差などによって起こる結露や、使用時に雨滴などの水分が侵入することによる断熱効果の低下、カビの発生、金属部分の錆、結露水による積み荷の水濡れなどを防止するために、吸放湿性や通気性が求められる場合がある。
このような断熱パネルに用いられる断熱材としては、例えば、発泡剤を添加した樹脂を発泡させた断熱材がある(例えば特許文献1、2、3参照)。しかし、このような断熱材は、高い断熱性を有するものの、薄膜化が困難であり、厚みや柔軟性の点から複雑な形状への追従性に劣るなど、求められる性能を全て満たすものではなかった。
また、発泡による断熱材としては、他に、発泡物質を含有する塗料を塗布して発泡硬化させるような断熱材がある(特許文献4参照)。しかし、このような断熱材では、複雑な形状への追従性には優れるものの、塗布斑や発泡斑により断熱性能が不均一となる、厚みの制御が困難であると云った問題があった。
また、薄膜化が可能で断熱性の高い断熱材としては、ガラスマットを用いた断熱材や、ガラスマットと不織布とを貼り合わせた断熱材がある(特許文献5参照)。しかし、ガラスマットは単独で使用するにはガラス繊維が離脱飛散して皮膚を刺激するなど、取り扱い性に問題があり、不織布を貼り合わせると、厚みが大幅に増加するという問題があった。
また、結露の低減のため、吸湿性繊維を用いる自動車用内装材がある(特許文献6参照)。しかし、内装材として吸湿性繊維を用いる場合、吸放湿により結露を低減することはできるものの、水を吸着することによって内装材の重量が重くなり、燃費が低下するという問題があった。
特開平5−271452号公報(請求項1、2) 特開平6−220238号公報(請求項1) 特開2003−313348号公報(請求項1〜3) 特開2004−299605号公報(請求項1) 特開2005−009566号公報(請求項3、4) 特開2004−155396号公報(請求項3、4)
本発明は、薄膜かつ軽量で高い断熱効果を有し、結露や内部に水が浸透した場合に自然乾燥が可能であり、加工時や使用時の変形が少なく、複雑な形状にも追従することができ、断熱パネル用に好適な多孔質ポリプロピレンフィルムおよびそれを用いた車輌用断熱パネルを提供することを目的とする。
本発明は、上記問題を解決するために、主として、以下の構成を有する。すなわち、本発明は、厚み方向に層状に重なった孔を有してなるフィルムであって、孔と樹脂の界面数が10層/10μm以上であり、比重が0.1〜0.8であり、ガーレー透気度が1〜1,000sec/100ccである断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムである。
また、水中への1時間の浸漬による吸水率が10%以下である断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムである。
また、長手方向と幅方向の弾性率の和が500〜4,000MPaである断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムである。
また、90℃で1時間の熱処理によるフィルムの長手方向及び幅方向の収縮率の和が20%以下であり、収縮率の差が70%以下である断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムであって、90℃で1時間熱処理した後のフィルムのガーレー透気度の変化率が30%以下である断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムである。
また、厚みが10〜500μmである断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムであり、β晶活性を有するポリプロピレンよりなる断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムである。
また、断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムと不織布とを貼り合わせてなる車輌用断熱パネルであり、断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムで断熱材を包囲してなる車輌用断熱パネルである。
本発明によれば、以下に説明するとおり、断熱パネル用として優れた特性を有する多孔質ポリプロピレンフィルムを提供することができる。
(1)厚み方向に層状に重なった孔を有し、該孔と樹脂の界面数が多いことによって、高い断熱効果を得ることができる。
(2)低比重であり、吸水率が低いことによって、燃費の抑制効果、吸水による燃費増大の防止効果を得ることができる。
(3)一定範囲内の透気性を有し、熱処理による透気性の悪化が少ないことによって、結露の防止や、水分の気散効果を得ることができ、加工や使用による透気性の低下を防ぐことができる。
(4)弾性率の和が一定範囲内であることによって、フィルムの強度と断熱パネルを配置する個所の形状への良好な追従性を両立することができる。
(5)熱処理による収縮率が低く、長手方向と幅方向の収縮率の差が小さいことによって、使用時のフィルムの変形による断熱効果の低下を防ぐことができる。
(6)フィルムの厚みが一定範囲内であることによって、高い断熱効果を持ちながら、断熱パネルの薄膜化、省スペース化に寄与することができる。
(7)β晶活性を有するポリプロピレンよりなることによって、溶剤などへの耐性が良好であり、複雑な工程を必要とせず、安価な断熱パネル用フィルムを提供することができる。
以下、本発明のフィルムを得る最良の形態、並びに本発明のフィルムの断熱パネルへの適用における形態について説明する。
本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムは、断熱性の観点から、厚み方向に層状に重なった孔を有することが必要である。層状に重なった孔を有するとは、日本電子(株)製電界放射走査電子顕微鏡を用いて8,000倍に拡大観察して撮影した断面写真において、厚み方向に10本の線を引き、その線上において樹脂と孔とが交互に存在することをいう。また、この層は樹脂と孔との界面を、孔を取り囲む樹脂の、一組の界面、すなわち孔の上部及び下部の一組の界面をそれぞれ1層として計数する。なお、フィルムの断面観察においては、互いに異なる測定視野から任意に選んだ10箇所の断面写真計10枚を使用する。ここで、孔とは円形や楕円形、多角形などの形状を有する、一つの界面で囲まれた空隙を有する部分をいい、孔の内部に存在する円形や楕円形などの一定の形状を有する粒子や非相溶性樹脂からなる核、または孔の界面から内部に向かって枝状若しくは網状に広がるフィブリルは、それを取り囲む孔の一部とみなす。また、8,000倍に拡大した場合に一枚の写真で撮影可能な視野範囲において界面で囲まれた形状が確認できない巨大孔については、観察する倍率を8,000倍からフィルムの全厚み方向が一枚の写真で撮影可能な視野範囲内で確認できる倍率まで下げた場合に、任意の倍率において界面で囲まれた形状を確認できる場合には、一つの孔であるとみなし、8,000倍で確認された界面を0.5層として計数する。また、8,000倍で界面で囲まれた部分が確認できない微細孔については、層数の計測が困難であること及び断熱性向上への効果が微少であることから、層として計数しない。
また、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムは、断熱性の観点から、孔と樹脂の界面数が10層/10μm以上であることが必要である。より好ましくは15層/10μm以上であり、さらに好ましくは20層/10μm以上であり、30層/10μm以上であることがより高い断熱性を得る観点から特に好ましい。界面数が少ない場合、本発明で達成しようとする断熱効果を得ることが困難となる場合があり、特に、界面数が10層/10μm未満では、断熱性に劣る場合がある。
ポリプロピレンフィルムに厚み方向に層状に重なった孔を設ける方法としては、例えば、被抽出物を微分散させたポリプロピレンをシート化した後に被抽出物を溶媒などにより抽出して孔を形成し、必要に応じて抽出前および/または後に延伸加工を行う工程を有する抽出法、ポリプロピレンを溶融して押し出す際に押出温度を低くし、高ドラフトで未延伸シートを作成することにより特殊な結晶ラメラ構造を形成させ、これを延伸することによりラメラ界面を開裂させて孔を形成するラメラ延伸法、ポリプロピレンに有機若しくは無機の非相溶粒子を大量添加した未延伸シートを延伸することにより異種素材界面を剥離させて孔を形成する粒子法、ポリプロピレンの溶融押出による未延伸シート作製時に結晶密度の低いβ晶(結晶密度:0.922g/cm)を形成させ、これを延伸することにより結晶密度の高いα晶(結晶密度:0.936g/cm)に結晶転移させ、両者の結晶密度差により孔を形成させるβ晶法などがあるが、界面数を多くする観点からは、扁平な孔を設けることが容易な粒子法、β晶法もしくはこれを組み合わせた方法とすることが好ましく、界面数を上記範囲に制御するためには、粒子の凝集による孔の巨大化などの問題が起こりにくいβ晶法、もしくは、少量の粒子を添加することによるβ晶法と粒子法を組み合わせた方法によりフィルムを作製することがより好ましい。また、粒子法により層状に重なった孔を設ける場合には、粒子とポリプロピレンの界面が剥離する際に厚み方向の孔の径が粒子の径の影響を受ける。したがって、界面数を上記の範囲でより増加させるためには、凝集を起こしにくい範囲で径の小さい粒子を用い、かつ微分散させることが特に好ましい。
また、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムは、厚みが10〜500μmであることが、断熱パネルの薄膜化、省スペース化の観点から好ましい。より好ましくは30〜400μmであり、さらに好ましくは50〜350μmであり、60〜300μmであることが、強度と省スペース化の観点から好ましい。厚みが10μm未満ではフィルムの強度が低く、取り扱い性に劣るおそれがあり、500μmを超える場合には、省スペース化を達成できない場合がある。
また、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムは、比重が0.1〜0.8であることが、軽量化による燃費の抑制の観点から必要である。より好ましくは0.15〜0.7であり、さらに好ましくは0.2〜0.6であり、0.2〜0.5であることが、強度と軽量性の両立の観点から好ましい。比重が低すぎる場合には断熱パネルとして用いる際の強度が劣る場合があり、特に比重が0.1未満では、フィルムの強度が低く、加工時や使用時に、フィルムが破断してしまい、取り扱い性に劣るおそれがある。また、比重が0.8を超える場合には、軽量化を達成することができない場合がある。
ここで、フィルムの比重は、孔の大きさや数により定まる、フィルム内部の空隙の割合である空隙率の影響を受ける。空隙率を高くし、比重を低くするためには、孔の径を大きくする若しくは微細な孔を多数形成することにより達成されるが、高い界面数を得る観点からは、微細な孔を多数形成することが好ましい。
微細な孔を多数形成するためには、例えば、粒子法の場合には、径の小さい粒子を多数添加することなどにより、また、β晶法の場合には、β晶の比率を高くすることなどにより達成される。径の小さい粒子とは、粒子の種類や添加量にもよるが、0.01〜5μm、粗大な孔の形成や粒子の凝集の防止と孔形成能の両立の観点からは、0.05〜3μmであることがより好ましい。また、β晶の比率は、比重の制御の観点から、20%以上とすることが好ましい。
本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムは、ガーレー透気度が1〜1,000sec/100ccであることが、断熱性と結露防止、内部に侵入した水分の気散効果を両立させる観点から必要である。より好ましくは1〜800sec/100ccであり、さらに好ましくは5〜700sec/100ccであり、5〜600sec/100ccであることが、断熱性と水分の気散効果の観点から好ましい。ガーレー透気度が1sec/100cc未満では、断熱パネルの一方の表面から他方の表面に容易に空気が透過することによって断熱効果が低下する場合があり、ガーレー透気度が1,000sec/100ccより大きい場合には、結露水や外部からの水の侵入が発生した場合に、水分を気散させることが困難であることによって、水分による断熱効果の低下や断熱パネル内部でのカビの発生、水分が接触する金属部分における錆の発生などが起こる場合がある。
このようなガーレー透気度とするためには、例えば、粒子法の場合には粒子を多量添加することなどにより、β晶法の場合にはβ晶の比率を高くすることなどにより達成される。粒子法によりフィルムを作製する場合、粒子の添加量は、粒子の種類や径にもよるが、1〜50重量%とすることが好ましく、粒子の分散性や孔形成能の観点からは5〜40重量%とすることがより好ましい。また、β晶法と粒子法を併用する場合には、工程の汚れを防ぐ観点から、添加量を0.5〜40重量%とすることが好ましく、粒子の添加によるβ晶の比率の低下を防ぐ観点からは、0.5〜30重量%とすることがより好ましい。また、β晶法によりフィルムを作製する場合には、β晶の比率を20%以上とすることが、ガーレー透気度を低くする観点から好ましい。
また、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムでは、90℃で1時間熱処理した後のガーレー透気度の変化率が30%以下であることが、加工や使用によるガーレー透気度の悪化を防ぐ観点から好ましい。より好ましくは25%以下であり、さらに好ましくは20%以下であり、10%以下であることが特に好ましい。ガーレー透気度の変化率が30%を超える場合には、加工や使用によってガーレー透気度が悪化し、水分の気散能を保持することができなくなるおそれがある。ここで、ガーレー透気度の変化率とは、90℃で1時間の熱処理を行う前後のフィルムについてガーレー透気度を測定し、下記式:
ガーレー透気度の変化率(%)=((熱処理前のガーレー透気度−熱処理後のガーレー透気度)/熱処理前のガーレー透気度)×100
により求められた変化率を指す。
透気度の変化率が高くなる要因としては、収縮率が高いために閉孔する場合や、製膜性を良好にするために低融点樹脂を添加することにより、熱処理の際に添加した樹脂が溶融して閉孔する場合が挙げられる。これを防ぐためには、延伸後の熱処理もしくは弛緩熱処理を少なくとも100℃以上で行うことなどが好ましく、平面性や寸法安定性の観点からは140〜170℃で熱弛緩処理を行うことがより好ましい。
本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムは、水中への1時間の浸漬による吸水率が10%以下であることが、断熱パネル中への水分の侵入による車輌重量の増加と、それによる燃費の悪化を防ぐ観点から好ましい。より好ましくは7%以下であり、さらに好ましくは5%以下であり、3%以下であることが、水分の保持を防ぐ観点から好ましい。吸水率が10%を超えると、侵入した水分が断熱パネル中に保持されることにより車両の重量が増加し、燃費が悪化するおそれがあるほか、水分の保持により、断熱パネルに接する金属部分に錆が発生するおそれがある。ここで、吸水率とは、10cm×10cmのフィルムを23℃湿度60%の環境で24時間調湿して測定した質量を基準質量とし、23℃±3℃の純水の水面下50mmに浸漬し、1時間後に取り出して、表面を(株)旭小津製のハイゼガーゼでふき取って測定した質量を吸水後の質量とし、下記式:
吸水率(%)=((吸水後の質量−基準質量)/吸水後の質量)×100
により求められた吸水率を指す。
吸水率が高くなる要因としては、表面処理を行う場合や、孔径が大きすぎるために水分がフィルムに吸着されやすくなる場合が挙げられる。そのため、吸水率を一定以下にするためには、不織布との貼り合わせなどの際に行う親水化処理等の表面処理を、フィルムの低吸水性を阻害しない範囲とすることが好ましい。
また、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムは、長手方向と幅方向の弾性率の和が500〜4,000MPaであることが、断熱パネルを設置する部位の形状への追従性と強度の両立の観点から好ましい。より好ましくは500〜3,500MPaであり、さらに好ましくは700〜3,300MPaであり、800〜3,000MPaであることが、設置する部位の形状への追従性と強度のバランスの観点から好ましい。弾性率の和が500MPa未満では、加工時にかかる応力によってフィルムが容易に変形し、断熱性が悪化したり、ガーレー透気度が変化したりするおそれがある。また、弾性率が4,000MPaを超える場合には、柔軟性に劣り、断熱パネルを設置する部位の形状に十分に追従させることが困難となる場合がある。ここで、本発明におけるフィルムの長手方向とはフィルムを製造する際の流れ方向に平行な方向であり、幅方向とはフィルムの長手方向に対して垂直な方向である。また、本発明における弾性率とは、25℃の環境下で、引っ張り速度を300mm/min、試料幅を10mm、試料長を50mmとして測定した場合の弾性率を指す。
弾性率は、フィルムの結晶性や比重、添加剤などによって制御することができる。例えば、弾性率を低く制御したい場合には、同程度の結晶性や厚みを有するフィルムでも、比重をより低くすることにより、弾性率を低下させることができる。また、ポリプロピレンにエラストマー成分を共重合した樹脂を添加すれば、比重を変更することなく、弾性率を低下させることができる。
また、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムは、90℃で1時間の熱処理によるフィルムの長手方向及び幅方向の収縮率の和が20%以下であることが、加工時や使用時におけるフィルムの変形による断熱効果の低下を防ぐ観点から好ましい。より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、8%以下であることが、断熱効果の低下を防止する観点から好ましい。長手方向と幅方向の収縮率の和が20%を超える場合には、加工時や使用時にフィルムが大きく変形し、収縮による断熱材の総体積の減少等、フィルム内部の孔の変形により、断熱効果が低下するおそれがある。
また、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムは、90℃で1時間の熱処理によるフィルムの長手方向及び幅方向の収縮率の差が70%以下であることが、フィルムの変形による断熱効果の低下を防止する観点から好ましい。より好ましくは65%以下であり、さらに好ましくは60%以下であり、50%以下であることが、断熱効果の保持の観点から特に好ましい。収縮率の差が70%を超える場合には、断熱材の一部のみが大きく変形して断熱効果が低下したり、他の断熱材などと組み合わせたり金属に接着したりして用いる場合に、剥離や破れを生じるおそれがある。
フィルムの収縮率は、延伸条件により制御することができる。例えば、縦延伸を低温高倍率で行うと長手方向の収縮率が高くなり、横延伸を低温高倍率で行うと幅方向の収縮率が高くなる。この延伸条件を制御することにより、長手方向及び幅方向の収縮率の差を制御することができる。また、熱弛緩処理を行うことにより収縮率を低下させることができ、特に好ましくは140〜170℃で3〜12%の熱弛緩処理を行うことにより、収縮率を低くし、長手方向及び幅方向の収縮率の差を制御することができる。
また、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムは、β晶活性を有するポリプロピレンよりなることが、層状に重なった孔を効率的に形成する観点から好ましい。より好ましくは、フィルムのβ晶比率が20%以上であり、さらに好ましくは30%以上であり、β晶比率が40%以上のポリプロピレンよりなることが、孔の形成と製膜性の観点から特に好ましい。β晶活性を有するポリプロピレン以外の原料を用いる場合、均一な孔の形成が困難である、工程が煩雑である、厚み方向の樹脂と孔の界面数が少なく、十分な断熱性を発揮できない、適度な透気性を得ることが困難であるといった問題が現れる場合がある。
ここで、β晶活性を有するとは、本発明の多孔質ポリプロピレンフィルムを、プラスチックの転移熱測定方法(JIS K7122(1987))に準拠して、走査型差動熱量計(DSC)により、窒素雰囲気下で5mgの試料を10℃/分の速度で280℃まで昇温して5分間保持した後に、10℃/分の冷却速度で30℃まで冷却し、再度10℃/分の速度で昇温していった際に、再度の昇温において、140℃以上160℃未満の範囲にピークを持つポリプロピレン由来のβ晶の融解によって吸熱ピークが1個以上現れることを指し、β晶比率とは、該吸熱ピークの融解熱量(ΔHu−1)と、160℃以上にピークを持つβ晶以外のポリプロピレンに由来する結晶の融解によって1個以上現れる吸熱ピークの融解熱量(ΔHu−2)から、下記式:
β晶比率(%)= {ΔHu−1/(ΔHu−1+ΔHu−2)}×100
により求めた比率を指す。
β晶活性を有するポリプロピレンを得る方法としては、溶融したポリプロピレンを徐冷することによりβ晶を形成させる方法、β晶核剤を添加したポリプロピレンを溶融、押し出しすることによりβ晶を形成させる方法があるが、β晶を安定して形成させるために、β晶核剤を添加することが好ましい。
本発明のポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンに好ましく添加できるβ晶核剤としては、例えば、1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩;N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミドなどに代表されるアミド系化合物;ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二または三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;テトラオキサスピロ化合物類;イミドカルボン酸誘導体;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;キナクリドン、キナクリドンキノンなどに代表されるキナクリドン系顔料;有機二塩基である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物または塩である成分Bとからなる二成分系化合物などが挙げられるが、これらに限定されるわけではなく、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。本発明の微孔性ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンに添加するβ晶核剤としては、上記のなかでは特に下記化学式で表され、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキサミドなどに代表されるアミド系化合物、
R2−NHCO−R1−CONH−R3
[ここで、式中のR1は、炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ジカルボン酸残基、炭素数4〜28の飽和もしくは不飽和の脂環族ジカルボン酸残基または炭素数6〜28の芳香族ジカルボン酸残基を表し、R2、R3は同一または異なる炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基またはこれらの誘導体である。]
R5−CONH−R4−NHCO−R6
[ここで、式中のR4は、炭素数1〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ジアミン残基、炭素数4〜28の飽和もしくは不飽和の脂環族ジアミン残基または炭素数6〜12の複素環式ジアミン残基または炭素数6〜28の芳香族ジアミン残基を表し、R5、R6は同一または異なる炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基またはこれらの誘導体である。]
有機二塩基である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物または塩である成分Bとからなる二成分系化合物が、得られる微孔性フィルムの比重を低くでき、透過性を向上できるので、特に好ましい。
かかる特に好ましいβ晶核剤もしくはβ晶核剤添加ポリプロピレンの具体例としては、新日本理化(株)社製β晶核剤“エヌジェスター”(タイプ名:NU100など)、SUNOCO社製β晶核剤添加ポリプロピレン“BEPOL”(タイプ名:B022−SPなど)などが挙げられる。
β晶核剤の添加量は、用いるβ晶核剤のβ晶生成能にもよるが、ポリプロピレン全量に対して0.001〜2重量%であることが好ましい。β晶核剤の添加量が0.001重量%未満であると、フィルムのβ晶分率が不十分となったり、比重が高くなったり、透過性能に劣る場合がある。β晶核剤の添加量が2重量%を超えると、添加量を増やしても、得られる微孔性フィルムのβ晶分率が向上せず、経済性に劣るほか、核剤自体の分散性が悪化して逆にβ晶分率が低下する場合がある。β晶核剤の添加量は、より好ましくは0.005〜1.5重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%である。
また、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂としては、ホモポリプロピレンもしくは、プロピレンにプロピレン以外の第2成分、例えばエチレン又はα−オレフィンとして、ブテン、ヘキセン、オクテンなどを1〜15重量%ランダムまたはブロックに共重合させたものなどを用いることができる。また、上記ポリプロピレン樹脂には、他の成分として、超低密度ポリエチレン(V−LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレン−エタクリレート(EEA)、エチレン−メチルメタクリレート(EMMA)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)などのエチレン−α−オレフィンコポリマー、イソプレンゴム(IR)、スチレン系共重合体として、スチレン−ブタジエンラバー(SBR)、水添スチレンブタジエンラバー(HSBR)、スチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)などのエラストマー成分を共重合または添加することができる。ポリプロピレン樹脂にエラストマー成分を共重合または添加する場合、共重合量または添加量は0.1〜15重量%であることが、加工性及び孔の均一性の向上のために好ましい。共重合量および添加量が0.1重量%未満では添加効果を発現することができず、15重量%を超えると分散不良が起こり、ゲル状の突起が形成されたり、加工性の悪化や、加工時や使用時における孔の変形や閉孔が起こるおそれがある。
次に、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムの製造方法について、一例を説明するが、本発明はかかる例のみに限定されるものではない。
本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムにおいては、β晶核剤を0.001〜10重量%含有するポリプロピレン樹脂を、180〜300℃に加熱された押出機に供給して溶融し、Tダイ口金にて押出成形し、溶融フィルムを得る。この溶融フィルムを表面温度80〜130℃、より好ましくは100〜130℃に保たれたドラム上に押出して密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作製する。冷却固化は、ドラム上への押出のみによって行っても、熱風を吹き付けながら行ってもよい。熱風を吹き付けながら行う場合、熱風の温度は、ドラム温度と同じもしくはドラム温度よりも10〜30℃高い温度とすることが、フィルムの熱風が接触する面の冷却速度をドラムと接触している面と同等とするために好ましい。この時、ドラム温度が高いことにより、β晶を安定して形成することができ、二軸延伸後に高い空隙率を有するフィルムを得ることができる。
次に、フィルム内部に孔を形成するために、該未延伸フィルムを80〜160℃に加熱したロール群または内部に複数のロールを配したオーブンに導き、フィルム温度を80〜150℃にした後、表面温度を80〜140℃に保たれたハードクロムメッキした金属ロールとゴムロールの一対のニップロール(延伸ロール)と、表面温度を30〜130℃に保たれたハードクロムメッキした金属ロールとゴムロールの一対のニップロール(冷却ロール)間に通し、延伸ロールと冷却ロールの周速差で長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に3〜7倍、より好ましくは4〜6倍延伸し、30〜130℃のロール群で冷却または熱処理する。
続いて、長手方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、110〜190℃に加熱した雰囲気中(フィルム温度:90〜165℃)で長手方向に垂直な方向(幅方向)に5〜12倍、より好ましくは6〜10倍に延伸する。その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は15倍〜84倍、製膜安定性と生産性の両立の観点からは24〜60倍であることが好ましい。面積倍率が15倍未満であると、孔の形成が不十分となり、本発明のフィルムの特性が得られない、また、面積倍率が84倍を超えると延伸時に破れを生じ易くなる傾向がある。
このようにして得られた二軸延伸フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内にて140〜170℃で1〜30秒間の熱処理工程を行い、その後均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取ることにより、本発明の白色ポリプロピレンフィルムを得ることができる。なお、上記熱処理工程中では、必要に応じて横方向あるいは縦方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。また、二軸延伸は逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸のいずれでもよく、また二軸延伸後に縦、横いずれかの方向に再延伸してもよい。
また、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムは、強度の向上、製膜性の向上等の観点から、積層構造とすることもできる。積層構造とする場合、スキン層の積層方法として、押出機(a)と押出機(b)を有する複合製膜装置において、それぞれ樹脂構成や添加剤、β晶分率等の異なるポリプロピレン樹脂を、180〜300℃に加熱された押出機(a)及び押出機(b)に供給して溶融し、それぞれTダイ複合口金内に導入し、押出機(b)のポリマーが押出機(a)のポリマーの一方の表層(片面)あるいは両方の表層(両面)にくるように積層してフィルム状に共押出成形し、溶融積層フィルムを得る。この溶融積層フィルムを、表面温度90〜130℃に保たれたドラム上で密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製し、単層構造の場合と同様に延伸することができる。
本発明の断熱パネルは、強度、断熱性の向上、任意の形状への成型などの観点から、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムと不織布とを貼り合わせ、または、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムで断熱材を包囲することが好ましい。
本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムと不織布とを貼り合わせる場合、張り合わせの方法としては、単に重ねて用いる方法、接着剤を用いて点接着や線接着、面接着を行う方法、低融点樹脂を用いて熱接着を行う方法、加熱及び/または加圧により圧着する方法等本発明のフィルムの特性を阻害しない物であればどのような物であっても良いが、本発明のフィルムの特性を阻害しない観点からは、接着剤を用いて点接着または線接着を行うことが好ましい。また、本発明の断熱パネルに用いる不織布としては、本発明のフィルムの特性を阻害しない物であればどのような物であっても良いが、例えば、ポリエステル系繊維を用いた不織布、ポリオレフィン系繊維を用いた不織布などが好適に用いられる。
また、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムで断熱材を包囲する場合、包囲する方法としては、本発明のフィルムの特性を阻害しない方法であればどのような方法であっても良いが、例えば、本発明のフィルムを袋状に成形し、内部に断熱材を挿入する方法、本発明のフィルムで断熱材を挟み、熱融着や圧着、接着剤による接着などの方法により包囲する方法、成型した断熱材を設置対象部分に設置した後、本発明のフィルムを被せて熱融着や圧着、接着剤による接着などの方法により包囲する方法などがある。また、本発明の断熱パネルに用いる断熱材としては、例えば、ガラスマット、不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどの発泡体、ビーズ状断熱材、植物を主原料とする繊維などを用いることができる。
本発明の断熱パネルを車輌用に用いる場合、特にこれに限定されるわけではないが、例えば冷凍車、冷蔵車などの輸送車両用箱体に用いる場合には、本発明の断熱パネルを金属板などの外層板、内装板の間に挟持し、プレス加工や任意の形状への切断、組み立てなどの加工を施して箱体を形成することができる。また、車輌のドアの内側や内装などに用いる場合には、樹脂板や金属板などに挟持するか、接着剤などで貼り合わせた後、任意の形状に加工を施して構造体を形成することができる。
[特性の測定方法および評価方法]
本発明の特性値は、次の評価方法、評価基準により求められる。
(1)界面数
界面数は、ミクロトーム((株)日本ミクロトーム研究所製)を用いて、フィルムを氷に埋包してフィルム内部の気泡を潰すことなく厚み方向に切断し、この切片を日本電子(株)製電界放射走査電子顕微鏡 JSM−6700Fを用いて、加速電圧1.0kVで8,000倍に拡大観察して撮影した写真により求めた。界面数は、互いに異なる測定視野から任意に選んだ10カ所の断面写真計10枚において、写真上に、厚み方向に長さ10μmの線を10本引き、界面数を計数することにより求めた。層は、線上において樹脂と孔が交互に存在する部分において、樹脂に包囲された孔の上部及び下部の一組の界面を1層として計数し、下記のように評価した。
優:20層以上
良:15層以上20層未満
可:10層以上15層未満
不可:10層未満
(2)比重
フィルムの比重は、フィルムを30mm×40mmの大きさにカットして得た試料サンプルを、ミラージュ貿易(株)製高精度電子比重計SD−120Lを用い、水中置換法(JIS K−7112(1999)のA法)に準じて測定した。なお、測定は温度23℃、相対湿度65%の条件下にて行った。
(3)ガーレー透気度及びガーレー透気度変化率
透気度は、テスター産業(株)製B型デンソメーターを用いて、紙及び板紙−透気度試験方法−ガーレー試験機法(JIS P−8117(1998))に準拠して、25℃の環境下でそれぞれ異なる10点について測定し、平均値をフィルムの透気度とした。また、ガーレー透気度変化率は、90℃で1時間の熱処理を行う前後のフィルムのそれぞれ異なる10点についてガーレー透気度を測定し、下記式:
ガーレー透気度の変化率(%)=((熱処理前のガーレー透気度−熱処理後のガーレー透気度)/熱処理前のガーレー透気度)×100
により求めた。
(4)吸水率
吸水率は、フィルムを10cm×10cmの大きさにカットして得た試料につき、23℃湿度60%の環境で24時間調湿して測定した質量を基準質量とし、23℃±3℃の純水の水面下50mmに浸漬し、1時間後に取り出して、表面を(株)旭小津製のハイゼガーゼでふき取って測定した質量を吸水後の質量とし、下記式:
吸水率(%)=((吸水後の質量−基準質量)/吸水後の質量)×100
により吸水率を算出し、下記のように評価した。
優:3%以下
良:3%超過5%以下
可:5%超過10%以下
不可:10%超過
(5)弾性率
弾性率は、オリエンテック社製テンシロン(引っ張り試験機)を用いて、25℃において測定した。測定は、引っ張り速度300mm/min、幅10mm、試料長50mmとして、フィルムの長手方向及び幅方向について、弾性率をそれぞれ10点測定することにより求めた。また、弾性率の和は、長手方向と幅方向の弾性率を足すことにより求めた。また、弾性率の差値は、長手方向と幅方向の弾性率より、下記式:
差値(%)=((最大値−最小値)/最大値)×100
により求めた。
(6)収縮率
フィルムの収縮率は、試料幅100mm、試料長100mmとして、ギアオーブンにより120℃、30分の条件下で、フィルムの長手方向及び幅方向についてそれぞれ10点測定することによって求めた。また、収縮率の差値は、長手方向の幅方向の収縮率より、下記式:
差値(%)=((最大値−最小値)/最大値)×100
により求めた。
(7)厚み
厚みは、ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B−7509(1955)、測定子5mmφ平型)を用いて、フィルムの長手方向及び幅方向に10cm間隔で10点測定して、その平均値をフィルムの厚みとした。
(8)β晶分率
β晶分率は、ポリプロピレン樹脂およびポリプロピレンフィルムをセイコー電子工業(株)製走査型差動熱量計RDC220(DSC)を用い、プラスチックの転移熱測定方法(JIS K7122(1987))に準拠して、窒素雰囲気下で5mgの試料を10℃/分の速度で250℃まで昇温して5分間保持した後に、10℃/分の冷却速度で10℃まで冷却し、再度10℃/分の速度で昇温していった際に、再度の昇温において、140℃以上160℃未満の範囲にピークを持つポリプロピレン由来のβ晶の融解によって1個以上現れる吸熱ピークの融解熱量(ΔHu−1)と、160℃以上にピークを持つβ晶以外のポリプロピレン由来の結晶の融解によって1個以上現れる吸熱ピークの融解熱量(ΔHu−2)を測定し、下記式:
β晶比率(%)= {ΔHu−1/(ΔHu−1+ΔHu−2)}×100
にて求めた。
本発明を以下の実施例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製、WF−836DG3、MFR:7g/10分、II:96.5%)96.8重量%と、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製、タイプ:HMS−PP PF−814、MFR:3g/10分)3重量%と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.2重量%添加混合し、二軸押出機に供給して200℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。
次に、該β晶ポリプロピレンを200℃に加熱された押出機に供給して溶融し、Tダイ口金内を通してフィルム状に押出成形し、表面温度120℃に加熱されたキャストドラム上に密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムを110℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、フィルムの長手方向に5倍延伸し、90℃のロールで冷却した。
続いて、延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、148℃に加熱した雰囲気中でフィルムの幅方向に10倍延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=50倍)、フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内にて160℃で横方向10%の弛緩熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却してポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。得られたフィルムは、十分な層数を有しており、比重が低く、良好なガーレー透気度を示すなど、断熱パネル用の目的に適していた。
実施例2
ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製、FLX80E4、MFR:5g/10分、II:96.5%)93.9重量%と、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製、タイプ:HMS−PP PF−814、MFR:3g/10分)3重量%とエチレン・αオレフィン共重合体の“エンゲージ”8411(ダウ・ケミカル社製)3重量%と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.1重量%添加混合し、二軸押出機に供給して200℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。
次に、該β晶ポリプロピレンを220℃に加熱された押出機に供給して溶融し、Tダイ口金内を通してフィルム状に押出成形し、表面温度100℃に加熱されたキャストドラム上にβ晶ポリプロピレンの層がキャストドラム側となるように密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムを110℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、フィルムの長手方向に5倍延伸し、40℃のロールで冷却した。
続いて、延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、145℃に加熱した雰囲気中でフィルムの幅方向に10倍延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=50倍)、フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内にて155℃で横方向10%の弛緩熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却してポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。得られたフィルムは、十分な層数を有しており、比重が低く、良好なガーレー透気度を示すなど、断熱パネル用の目的に適していた。
実施例3
ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製、タイプ:FS2011C、MFR:1.3g/10分、II:96%)99.5重量%と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.5重量%添加混合し、二軸押出機に供給して200℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。
次に、該β晶ポリプロピレンを200℃に加熱された押出機に供給して溶融し、Tダイ口金内を通してフィルム状に押出成形し、表面温度120℃に加熱されたキャストドラム上に密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムを120℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、フィルムの長手方向に4倍延伸し、30℃のロールで冷却した。
続いて、延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、135℃に加熱した雰囲気中でフィルムの幅方向に8倍延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=32倍)、フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内にて155℃で横方向3%の弛緩熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却してポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。得られたフィルムは、収縮率の差が大きいものの、十分な層数を有しており、比重が低く、良好なガーレー透気度を示すなど、断熱パネル用の目的に適していた。
実施例4
ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製、FS2016、MFR:2g/10分、II:96.5%)99.3重量%と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)0.1重量%と平均粒径2.5μmのポリメチルメタクリレートの架橋粒子(日本触媒(株)製、タイプMA−1002)0.6重量%とを添加混合し、二軸押出機に供給して280℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。
次に、該β晶ポリプロピレンを200℃に加熱された押出機に供給して溶融し、フィルム状に押出成形し、表面温度100℃に加熱されたキャストドラム上に密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムを120℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、フィルムの長手方向に5倍延伸し、40℃のロールで冷却した。
続いて、延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、125℃に加熱した雰囲気中でフィルムの幅方向に10倍延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=50倍)、フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内にて145℃で横方向5%の弛緩熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却してポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。得られたフィルムは、収縮率の差が大きいものの、十分な層数を有しており、比重が低く、断熱パネル用の目的に適していた。
実施例5
ポリプロピレン樹脂(ダウ・ケミカル(株)製、タイプ:F200ST1、MFR:1.3g/10分、II:97%)93.95重量%と、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製、タイプ:HMS−PP PF−814、MFR:3g/10分)3重量%とエチレン・αオレフィン共重合体の“エンゲージ”8411(ダウ・ケミカル社製)3重量%と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.05重量%添加混合し、二軸押出機に供給して200℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥し、樹脂Aを得た。
次に、ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製、FS2016、MFR:2g/10分、II:96.5%)93.8重量%と、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製、タイプ:HMS−PP PF−814、MFR:3g/10分)3重量%とエチレン・αオレフィン共重合体の“エンゲージ”8411(ダウ・ケミカル社製)3重量%と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.2重量%添加混合し、二軸押出機に供給して280℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥し、樹脂Bを得た。
次に、樹脂Aを200℃に加熱された押出機Aに、樹脂Bを260℃に加熱された押出機Bに供給して溶融し、β晶ポリプロピレン樹脂Aとポリプロピレン樹脂Bの積層比がA:B=8:2となるようにTダイ口金内でA/B2層に積層して、フィルム状に押出成形し、表面温度90℃に加熱されたキャストドラム上に樹脂Aの層がキャストドラム側となるように密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムを100℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、フィルムの長手方向に4倍延伸し、40℃のロールで冷却した。
続いて、延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、143℃に加熱した雰囲気中でフィルムの幅方向に8倍延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=32倍)、フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内にて160℃で横方向10%の弛緩熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却してポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。得られたフィルムは、十分な層数を有しており、比重が低く、良好なガーレー透気度を示すなど、断熱パネル用の目的に適していた。
実施例6
β晶核剤添加ポリプロピレン樹脂として、SUNOCO社製“BEPOL”(タイプ:B022−SP、MI:1.8g/10分)97.95重量%とポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製、タイプ:HMS−PP PF−814、MFR:3g/10分)3重量%と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.05重量%添加混合し、二軸押出機に供給して280℃でガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。
次に、該β晶ポリプロピレン90重量%に、ガラス転移点(Tg)150℃の非相溶性樹脂ポリカーボネート(ダウ・ケミカル(株)製、タイプ:A1700、分子量:17,000、MI:27g/分)10重量%を添加混合して、300℃に加熱された押出機に供給して溶融し、Tダイ口金内を通してフィルム状に押出成形し、表面温度90℃に加熱されたキャストドラム上に密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムを120℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、フィルムの長手方向に6倍延伸し、80℃のロールで冷却した。
続いて、延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、140℃に加熱した雰囲気中でフィルムの幅方向に10倍延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=60倍)、フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内にて150℃で横方向5%の弛緩熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却してポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。得られたフィルムは、収縮率の差が大きいものの、十分な層数を有しており、比重が低いなど、断熱パネル用の目的に適していた。
実施例7
ポリプロピレン樹脂(ダウ・ケミカル(株)製、タイプ:F200ST1、MFR:1.3g/10分、II:97%)96.9重量%と、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製、タイプ:HMS−PP PF−814、MFR:3g/10分)3重量%と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.1重量%添加混合し、二軸押出機に供給して200℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥し、樹脂Aを得た。
次に、ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製、FS2016、MFR:2g/10分、II:96.5%)96.6重量%と、ポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製、タイプ:HMS−PP PF−814、MFR:3g/10分)3重量%と、平均粒径4.5μmのポリメチルメタクリレートの架橋粒子(日本触媒(株)製、タイプMA−1004)0.2重量%と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)を0.2重量%添加混合し、二軸押出機に供給して280℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥し、樹脂Bを得た。
次に、樹脂Aを200℃に加熱された押出機Aに、樹脂Bを260℃に加熱された押出機Bに供給して溶融し、β晶ポリプロピレン樹脂Aとポリプロピレン樹脂Bの積層比がA:B=9:1となるようにTダイ口金内でA/B2層に積層して、フィルム状に押出成形し、表面温度90℃に加熱されたキャストドラム上に樹脂Aの層がキャストドラム側となるように密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムを100℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、フィルムの長手方向に5倍延伸し、40℃のロールで冷却した。
続いて、延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、135℃に加熱した雰囲気中でフィルムの幅方向に10倍延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=50倍)、フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内にて145℃で横方向3%の弛緩熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却してポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。得られたフィルムは、収縮率の和及び差が大きいものの、十分な層数を有しており、比重が低く、良好なガーレー透気度を示すなど、断熱パネル用の目的に適していた。
実施例8
実施例1のβ晶ポリプロピレンを200℃に加熱された押出機に供給して溶融し、Tダイ口金内を通してフィルム状に押出成形し、表面温度120℃に加熱されたキャストドラム上に非ドラム面側より120℃の熱風を吹き付けながら密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムを100℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、フィルムの長手方向に5倍延伸し、50℃のロールで冷却した。
続いて、延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、145℃に加熱した雰囲気中でフィルムの幅方向に10倍延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=50倍)、フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内にて158℃で横方向5%の弛緩熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却し、フィルムの片面を空気中でコロナ放電処理を行い表面の濡れ張力を38mN/mにして厚み15μmのポリプロピレンフィルムを得た。
次に、厚さ0.19mm、目付30g/cmのポリエステル不織布(東レ(株)製M2030)とポリプロピレンフィルムを積層した。積層方法としては、ポリエステル不織布上に接着剤として“クリスボン”TA−170(大日本インキ化学工業(株)製)100重量部、架橋剤“クリスボン”ACCEL T(大日本インキ化学工業(株)製)5重量部、トルエン30重量部を混合し、ナイフオーバーロールコーティングにて乾燥後の厚みが5μmとなるようにコートした。その後、乾燥温度130℃で1分乾燥後、上記微多孔ポリプロピレンフィルムとコロナ放電処理を行った綿を接着面として重ね合わせ、130℃に保たれた一対のニップロール(金属ロールとゴムロール)に通して、線圧9kg/cmの圧力で圧着して積層後、120℃で1分間乾燥した後、160℃で30秒間熱処理して不織布貼り合わせシートを得た。得られたシートの特性を表1に示す。なお、貼り合わせシートの物性は、層数及びβ晶比率についてはポリプロピレンフィルム部分について、その他の物性については貼り合わせ後のシートについて測定した。得られたシートは、十分な層数を有しており、比重が低く、良好なガーレー透気度を示すなど、断熱パネル用の目的に適していた。
比較例1
ポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製、PM671A、MFR:7g/10分、II:96%)20重量%と、β晶核剤添加ポリプロピレン樹脂として、SUNOCO社製“BEPOL”(タイプ:B022−SP、MI:1.8g/10分)65重量%と、ガラス転移点(Tg)150℃の非相溶性樹脂ポリカーボネート(ダウ・ケミカル(株)製、タイプ:A1700、分子量:17,000、MI:27g/分)15重量%とを添加混合し、二軸押出機に供給して280℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットし、100℃で2時間乾燥した。
次に、該ポリプロピレンを280℃に加熱された押出機に供給して溶融し、Tダイ口金内を通してフィルム状に押出成形し、表面温度100℃に加熱されたキャストドラム上に密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムを135℃に加熱保持されたロールに導いて予熱後、フィルムの長手方向に5倍延伸し、40℃のロールで冷却した。
続いて、延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、150℃に加熱した雰囲気中でフィルムの幅方向に8倍延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=40倍)、フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内にて160℃で横方向8%の弛緩熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却してポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。得られたフィルムは、層数が不十分であり、比重が高いなど、本発明の断熱パネル用の目的に適するものではなかった。
比較例2
ポリプロピレン樹脂(サンアロマー(株)製、PM671A、MFR:7g/10分、II:96%)60重量%に、炭酸カルシウム(商品名:スターピゴット15A、白石カルシウム社製、平均粒子径0.15μm)40重量%を添加混合し、二軸押出機に供給して280℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットし、100℃で2時間乾燥した。
次に、該ポリプロピレンを280℃に加熱された押出機に供給して溶融し、Tダイ口金内を通してシート状に押出成形し、表面温度30℃のキャストドラム上に非ドラム面側より20℃の冷風を吹き付けながら密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムを125℃に加熱保持されたロールに導いて予熱後、フィルムの長手方向に4倍延伸し、30℃のロールで冷却した。
続いて、延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、135℃に加熱した雰囲気中でフィルムの幅方向に5倍延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=20倍)、フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内にて150℃で横方向3%の弛緩熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却してポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。得られたフィルムは、層数が不十分であり、ガーレー透気度が悪いなど、本発明の断熱パネル用の目的に適するものではなかった。
比較例3
ポリプロピレン樹脂(住友化学(株)製、FS2016、MFR:2g/10分、II:96.5%)96.9重量%と、β晶核剤として、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、NU−100)0.1重量%と平均粒径6μmのポリメチルメタクリレートの架橋粒子(日本触媒(株)製、タイプMA−1006)3重量%とを添加混合し、二軸押出機に供給して280℃で溶融混合した後、ガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥した。
次に、該β晶ポリプロピレンを200℃に加熱された押出機に供給して溶融し、フィルム状に押出成形し、表面温度120℃に加熱されたキャストドラム上に密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。該未延伸フィルムを100℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、フィルムの長手方向に5倍延伸し、80℃のロールで冷却した。
続いて、延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、145℃に加熱した雰囲気中でフィルムの幅方向に10倍延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=50倍)、フィルムの結晶配向を完了させて平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内にて155℃で横方向5%の弛緩熱処理を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却してポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。得られたフィルムは、比重が低く、ガーレー透気度が高いものの、層数が不十分であり、本発明の断熱パネル用の目的に適していなかった。
比較例4
電子線架橋発泡ポリエチレンシートとして、トーレペフ30040を用いた。シートは比重が低いものの、総数が不十分であり、透気性を示さず、本発明の断熱パネル用の目的に適していなかった。
比較例5
ポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.60)に結晶性ポリプロピレン(MFR:2.7g/10分)14重量%を混合し、290℃に加熱された押出機に供給して溶融し、T−ダイスよりフィルム上に押出成形し、30℃のキャストドラム上に静電気的に密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作成した。該未延伸フィルムを90℃に加熱されたロール延伸機に導いて、フィルムの長手方向に3.1倍延伸した。
続いて延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、130℃に加熱した雰囲気中でフィルムの幅方向に3.0倍延伸後、さらにフィルムの長手方向に90℃で1.2倍縦延伸後(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率×再縦延伸倍率=11.2倍)、テンター内にて235℃で5%緩和させながら熱処理し、均一に徐冷後、室温まで冷却してポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。得られたフィルムは比重が高く、層数が少ないなど、本発明の断熱パネル用の目的に適していなかった。
Figure 2007056253
本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムは、薄膜且つ軽量で断熱効果が高く、吸水や湿潤による燃費増大を防ぐことができ、薄膜化、省スペース化が可能で、加工時や使用時の変形が少なく、複雑な形状にも好適に追従する断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムであり、本発明の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムを用いた断熱パネルは、断熱効果が高く、省スペース化が可能な断熱パネルとして用いることができる。

Claims (9)

  1. 厚み方向に層状に重なった孔を有してなるフィルムであって、孔と樹脂の界面数が10層/10μm以上であり、比重が0.1〜0.8であり、ガーレー透気度が1〜1,000sec/100ccであることを特徴とする断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルム。
  2. 水中への1時間の浸漬による吸水率が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルム。
  3. 長手方向と幅方向の弾性率の和が500〜4,000MPaであることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルム。
  4. 90℃で1時間の熱処理によるフィルムの長手方向及び幅方向の収縮率の和が20%以下であり、収縮率の差が70%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルム。
  5. 90℃で1時間熱処理した後のフィルムのガーレー透気度の変化率が30%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルム。
  6. 厚みが10〜500μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルム。
  7. β晶活性を有するポリプロピレンよりなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムと不織布とを貼り合わせてなることを特徴とする車輌用断熱パネル。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の断熱パネル用多孔質ポリプロピレンフィルムで断熱材を包囲してなることを特徴とする車輌用断熱パネル。
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