JP2004322343A - 乗り物内装材用フイルム及び該フイルムを用た乗り物内装材 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱プレス成型時に空気遮断機能が損なわれず、しかもウレタン発泡基材との接着性、加熱プレス成型時の層間接着強度(ホットタック性)、低温絞り成型性、、不織布表皮材と貼り合わせる際のロ−ル張付き性、局部衝撃性においても優れた効果発揮する、乗り物内装材用フイルムを提供すること。
【解決手段】中間層が軟質ポリプロピレン共重合体であり、その両側にエチレン−アクリル酸共重合体又はエチレン−アクリル酸共重合体とメタロセン系触媒で重合された低密度ポリエチレンとの混合物からなる層があることを特徴とする乗り物内装材貼り合わせ用フイルム。
【選択図】 なし
【解決手段】中間層が軟質ポリプロピレン共重合体であり、その両側にエチレン−アクリル酸共重合体又はエチレン−アクリル酸共重合体とメタロセン系触媒で重合された低密度ポリエチレンとの混合物からなる層があることを特徴とする乗り物内装材貼り合わせ用フイルム。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗り物(特に、自動車)内装材を貼り合わせるのに用いられる多層フイルムと該フイルムを用いて成型された乗り物用内装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車の内装材(例えば、天井材)としては、耐熱性、断熱性、剛性、吸音性、成形性等の機能を有する基材と、耐摩耗性、美観、質感等に優れ、通気性を有する表皮材とを貼り合わせ、プレス成型されたものが使用されている。
そして、前記基材と表皮材との貼り合わせには、近年、溶剤系接着剤やホットメルト接着剤に代えて、貼り合わせ用多層フイルムを用い、プレス成形により基材の賦形と表皮材の接着とを同時に行い、成型工程の短縮化と生産性の向上が図られている。
ところで、この多層フイルムを用いてプレス成形する場合には、前記表皮材に該フイルムを熱ロールで貼り合わせる工程において、熱ロールの熱量を抑えると両者の接着不良が生じ、また逆に、熱量を充分に与えると、前記表皮材に該フイルムが溶融浸透して連続皮膜形状が失われ、結果として該フイルムの空気遮断機能が損なわれるという問題があった。
また、これに加えて、その貼り合わせの際に、該フィルムが熱ロールの加熱圧着面に貼り付き、作業性及び生産性が著しく低下するという問題もあった。
【0003】
そこで、従来からこれらの問題を解決するために色々な技術が提案されて来ており、その主要なものを紹介すると以下のようである。
特許文献1には、MIが5.0−30.0g/10minのポリエチレン系樹脂の外層、融点が外層のポリエチレン系樹脂より10℃以上高く、MIが5.0g/10min未満のポリエチレン系樹脂の内層、及び該ポリエチレン系樹脂より30℃以上高い融点を有するナイロンもしくはエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂の中間層からなるフィルムを使用することが提案されている。しかし、このフィルムでは、基材がレジンや段ボールなど熱圧着温度が低いものや熱成形性ポリウレタンなどポリエチレン樹脂との接着性の悪いものの場合には接着が不十分であるという欠点があった。
特許文献2には、MIが5−100g/10分の低温ホットメルト樹脂層(1)、MIが3g/10分以下のオレフィン系樹脂層(2)、非通気性樹脂層(3)、およびMIが5−100の低温ホットメルト樹脂層(4)を少なくとも有する非通気性多層フィルムが提案されている。しかし、このフィルムは、非通気性樹脂層(3)に衝撃が加わった場合へこみが生じ易い欠点や、ホットメルト樹脂層(1)、(4)が熱成型時に溶融して不均一層になり易い欠点があった。
【0004】
特許文献3には、ポリプロピレン系樹脂製基材と表皮材の貼り合わせ用に、融点が110−145℃でMFRが1−50g/10min であるプロピレンとエチレンの共重合体またはプロピレンとα−オレフィンの共重合体を50−100重量%含有し、厚さが20−100μmであるホットメルトフィルムが提案されている。しかし、このフィルムは、ポリウレタン基材や表層材との熱成型時の接着性が充分でない欠点があった。
特許文献4には、ポリプロピレン樹脂を中間層とし、内層および/または外層がその構成成分として、α−オレフィン共重合体50−100重量%を含むホットメルト樹脂層からなる、少なくとも3層以上の非通気性多層ホットメルトフィルムが開示されている。しかし、このフイルムもフイルム芯層にポリプロピレンを使用するために柔軟性に難点があり、熱成型性に劣る欠点があった。
【0005】
特許文献5には、両面をポリエチレンと可塑化ポリ塩化ビニルとの熱融着フィルムでサンドイッチした非通気性フィルムにより基材と表皮を接合した自動車内装材が開示されているが、該フィルムは基材がレジンボードやダンボールの場合は接着性がなく使用できない欠点があった。
特許文献6には、ポリプロピレンフィルムの両面にエチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸三元共重合体とエチレン・メチルメタクリレート共重合体とのブレンド物からなる薄層を積層した耐熱性熱接着フィルムが開示されている。しかし、このフィルムは、ポリプロピレンフィルム中間層と内外層との層間接着強度が不十分であるという欠点があった。
以上述べたように、従来技術では、フイルムと基材(特に、熱成形性ポリウレタン)の接着性、非通気性(耐熱性)、 高温プレス成型時の層間接着強度(ホットタック性)、熱ロールへの張付き性、局部衝撃性等の問題を全て同時に解決するものではなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−68721号公報
【特許文献2】
特開平9−85908号公報
【特許文献3】
特開2002−12840号公報
【特許文献4】
特開平10−138418号公報
【特許文献5】
実開平5−65532号公報
【特許文献6】
特開平8−1877号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の欠点である、フィルムと基材(特に、熱成形性ポリウレタン)との接着性、非通気性(耐熱性)、 加熱プレス成型時の層間接着強度(ホットタック性)、熱ロールへの張付き性、局部衝撃性等の問題を全て解決する乗り物内装材貼り合わせ用多層フイルム、及び該フイルムを用いて成型した乗り物内装材を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記従来技術の欠点についてこれを改良すべく鋭意研究して、本発明に到達した。即ち、本発明は下記(1)−(2)に示す通りのものである。
(1)中間層が軟質ポリプロピレン共重合体であり、その両側にエチレン−アクリル酸共重合体又はエチレン−アクリル酸共重合体とメタロセン系触媒で重合された低密度ポリエチレンとの混合物からなる層があることを特徴とする乗り物内装材貼り合わせ用フイルム。
(2)第1層の熱可塑性樹脂製不織布と、第2層の請求項1に記載の貼り合わせ用フイルムと、第3層のチップ状ガラス繊維層と、第4層の硬質ウレタン発泡層と、第5層のチップ状ガラス繊維層と、第6層の請求項1に記載の貼り合わせ用フイルムと、第7層の熱可塑性樹脂製不織布とからなることを特徴とする成型自動車天井材。
【0009】
以下に、本発明の各構成について詳しく説明する。
中間層の軟質ポリプロピレン共重合体とは、特表平9−506391号公報で開示される製法で得られる共重合体が好ましい。
その製法は、(A)エチレンおよび/またはCH2 =CHR11(但し、R11:2〜10の炭素原子を有する炭化水素基)オレフィン誘導単位の含量が20重量%以下、プロピレン誘導単位の含量が80重量%以上、キシレン不溶性が60%以上のオレフィンポリマーを得る第1重合段階、(B)前記段階(A)で得られる生成物が、何れかの順序で、
(a)段階(A)で存在する触媒を失活しうる化合物と接触させるか、
(b)少なくとも1つのM− π結合を含有するTi、V、ZrとHfから選択された遷移金属Mの化合物と場合によりアルキル−Al化合物と接触させる処理工程、
(C)1以上の反応器中で、1以上のオレフィンCH2 =CHR11(式中R11は水素または1−10の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアリール基)を、段階(B)で得られた生成物の存在下で重合させ、実質的にアモルファスのオレフィン(コ)ポリマーを段階(A)と(C)で生成されるポリマーの全量に対し20−80重量%の量で得る第2重合段階からなることを特徴とするプロピレンのヘテロフェーズコポリマーの多段製法である。
【0010】
第1重合段階(A)で製造されるポリマーは、高アイソタクチシティ値を有するポリプロピレンのホモポリマー、またはエチレンおよび/またはCH2 =CHR11オレフィンから由来する単位の重量が10重量%より小さい量のプロピレンの結晶性コポリマーであることが好ましい。
段階(C)で製造できる実質的にアモルファスなオレフィン(コ)ポリマーの限定されない例として、約30−70重量%のエチレン由来の単位を有するエチレンとプロピレンの弾性コポリマー、およびエチレンとプロピレンと少量の存在比のジエンの弾性ターポリマー;約30−70重量%のエチレン由来の単位を有するエチレンとブテンの弾性コポリマー、およびエチレン、ブテンとプロピレンの弾性ターポリマー;高分子量(粘度η>1)を有するアタックチックポリプロピレンがある。
【0011】
その製法で得られるポリプロピレン共重合体は、プロピレンのヘテロフェーズコポリマーとも言われる。例えば、エチレンおよび/またはCH2 =CHR11オレフィン誘導単位の含有量が20重量%以下でプロピレン誘導単位の含有量が80重量%以上のキシレン不溶体が60%以上のオレフィンコポリマーであり、好ましくは高アイソタクチシティのポリプロピレンとエチレンおよび/またはCH2 =CHR11オレフィン誘導単位に由来する単位が10重量%以下の結晶性コポリマーであるオレフィンコポリマーの存在下に該オレフィンコポリマーとは異なる触媒の特定触媒と製法の組合わせでアモルファスコポリマーを製造する例えば約30−70重量%のエチレン由来の単位を有するエチレンとプロピレンの弾性コポリマー、およびエチレンとプロピレンと少量のジエン弾性ターポリマー;約30−70重量%のエチレン由来の単位を有するエチレンとブテンの弾性コポリマー、およびエチレン、ブテンとプロピレンの弾性タ−ポリマー;粘度1以上の高分子量アタクチックポリプロピレンコポリマーがある。それらは、多段重合の重合段階でポリマーアロイとして製造される重合体である。
【0012】
その諸性質は、溶融流動性(MFR)0.2−1000g/10min.、曲げ弾性率800−24000kg/cm2 、引張強度100−450kg/cm2 、アイゾット衝撃強度3−100kg−cm/cm、(30℃)融点130−166℃である。従来知られているゴムをブレンド混合する場合と異なりオレフィン系樹脂であるに係わらずオレフィンの特徴である低密度1以下で約0.9g/ccであり、他のオレフィンとも親和性があり重合段階でゴム成分が均一に微分散しているので耐熱性や柔軟性が従来品と格段の違いがある。その重合モノマーにエチレン、プロピレン、ブテンを使用した3元共重合体がある。この3元共重合体は、薄肉化性、耐熱性、低温ヒートシール性、透明性、ホットタック性に優れて上記の諸性質を有する。特に高温時の曲げ弾性の領域が広いのが特徴的である。
【0013】
さらに、本発明の軟質ポリプロピレン共重合体は、中でも、インフレ成型による加工性の観点からは溶融流動性(MFR)0.4〜11の樹脂が好ましく、自動車天井構造体を成型するプレス成型の観点からは、曲げ剛性率が2700kgf/cm〜700kgf/cmの樹脂が好ましい。更に空気遮断機能を満足させる観点からは、160℃以上の融点を有する樹脂が好ましい。
尚、本発明の軟質ポリプロピレン共重合体は、モンテルSDK社製 商品名キャタロイとして市販されている。
【0014】
本発明のエチレン−アクリル酸共重合体(以下、EAAと略記することがある。)は、MI値(190℃ 2.16g/10分)が0.1〜30g/10分、アクリル酸(以下、AAと略記することがある。)含有量は1〜40wt%であるものが好ましい。
このEAAには、メタロセン系触媒で重合された低密度ポリエチレン(以下、メタロセンLLDPEと略記することがある。)を混合して用いると、成型後の固化時間が短縮でき、フイルム中間層の軟質ポリプロピレンとの接着性が向上して好ましい。そのメタロセンLLDPEの混合割合は、EAAのAA含有量にもよるが、略30重量%以下が好ましい。
【0015】
このEAAは、軟質ポリプロピレンと共押出しが可能であり、インフレーションフイルム成型がし易く、生産性とフイルムの積層厚み均一性に優れている。また、このEAAは、ホットタック性が良好で、プレス成型時のフイルムの層間剥離防止性に優れている。このEAAのAA含有量(1〜40wt%)は、高AA含量の方が接着性が向上する効果がある。
その好ましいAA含有量は、内外層(即ち、EAA単独、又はEAA+メタロセンLLDPE)に対し、5wt%超〜40wt%であり、特に好ましくは、7wt%〜40wt%である。
また、そのMI(0.1〜30g/10分 190℃、2.16kg)は、高MI値で流動性良好で、接着性が向上する効果がある。
更に、軟質ポリプロピレン共重合体の両側を占める接着樹脂としては、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸とエチレンとの共重合体、又は該酸でグラフト変性したPE、PP、EVA等の樹脂も、熱可塑性樹脂製不織布、ガラス繊維、ウレタン樹脂発泡体と良好な接着性が得られることから好ましい。
【0016】
本発明のガラス繊維層の繊維とは、繊維状のガラスであり、繊維の太さは0.1〜2.0デニールで良い。長さは5mm〜500mmで、チップ状でもバラ状でも均一であることが好ましい。
ガラス繊維層の厚みは0.1−5mm厚みで良い。この繊維層があると局部衝撃を緩和し成型体にへこみ跡を残し難くなる。
本発明のウレタン発泡層とは、ウレタン樹脂でできた発泡体であれば良く、硬質系ウレタン樹脂であれば更に良いし、シアヌレート発泡体でも良い。発泡体も独立気泡で構成される発泡体が非通気性や熱成型性の点で好ましいが、通気性を要求される場合は連続気泡の発泡体が良い。その平均気泡径は0.01から2.0mm程度が良い。
ウレタン発泡層の厚みは1−40mmで、熱成型性の観点からは1−10mm程度が優れるが、特性に合わせて用いれば良いし、また積層して用いても良い。
本発明の不織布層は、熱可塑性樹脂製の細い繊維の不織布からなり、該不織布は熱成型時の曲げに追従し易くて好ましい。具体的には、ポリエステル系樹脂やポリプロピレン系樹脂製繊維のスパンボンド法やフラッシュ紡糸法でできた不織布が好適に用いられる。不織布層の厚みは0.1−3.5mm程度が良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
【実施例】
(実施例1)
インフレーション成型方法により、以下の中間層及び内、外層からなる、全体厚みが45μmの、自動車内装材貼り合わせ用3層フイルム(以下、フイルムIAという。)を得た。 このフイルムIAは、フイルムロール原反の形状で供給される。
中間層:厚みが15μmの軟質ポリプロピレン共重合体(MI値0.8g/10分;230℃ 2.16kg、密度0.88g/cc、融点162℃、キャタロイ;モンテルSDK社商品名)よりなる。
内層及び外層:厚み15μmのエチレン−アクリル酸共重合体(EAA) (MI値10g/10分;190℃ 2.16kg条件、アクリル酸(AA)含有量10wt%,融点100℃)よりなる。
【0018】
次に、0.1デニールのポリプロピレン繊維の不織布とフイルムIAを熱ロールで貼付け、次いでガラス繊維チップ層を介してウレタン発泡基材をサンドイッチ状に注入し積層し、(屋根側)不織布/フイルムIA/ガラス繊維/硬質ウレタン発泡層/ガラス繊維/フイルムIA/不織布(室内側)の順にそれぞれの材料を配置した積層体を成形した。
続いて、その積層体をガイドローラーによりプレス成型機の型の上に導いて、130℃〜135℃の温度条件下にプレス成型し、基材としてウレタン発泡層を有する自動車天井材を成型した。
この自動車天井材に用いられたフイルムIAは、熱プレス成型中にその内外層は溶融しても、全体としてはフイルムシート形状を保つことから、得られた自動車天井材は優れた空気遮断性及びタバコの煙遮断性を発揮する。
また、このフイルムIAは、優れた空気遮断性(耐熱性)の他に、ウレタン発泡基材との接着性、加熱プレス成型時の層間接着強度(ホットタック性)、低温絞り成型性、、不織布表皮材と貼り合わせる際のロ−ル張付き性、局部衝撃性においても優れた効果を示し満足すべきものであった。
【0019】
(実施例2)
インフレーション成型方法により、以下の中間層及び内、外層からなる、全体厚みが45μmの、自動車内装材貼り合わせ用3層フイルム(以下、フイルムIIBという。)を得た。
中間層:厚み15μmで、軟質ポリプロピレン共重合体(MI値0.8g/10分;230℃ 2.16kg、密度0.88g/cc、融点162℃、キャタロイ;モンテルSDK社商品名)よりなる。
外層:厚み15μmで,エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)(MI値10g/10分;190℃ 2.16kg条件、アクリル酸(AA)含有量10wt%,融点100℃)の70wt%と、メタロセン触媒で製造された低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI値4g/10分;190℃ 2.16kg条件、密度0.917g/cc、融点 121℃)30wt%との混合樹脂層よりなる。
内層:厚み15μmで,エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)(MI値10g/10分;190℃ 2.16kg条件、アクリル酸(AA)含有量10wt%,融点100℃)の50wt%と、メタロセン触媒で製造された低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI値4g/10分;190℃ 2.16kg条件、密度0.917g/cc、融点 121℃)50wt%との混合樹脂層よりなる。
【0020】
次いで、実施例1のフイルムIAに代えて、フイルムIIBを用いる以外は実施例1と同様にして、優れた空気遮断性及びタバコの煙遮断性を発揮する自動車天井材を得た。
また、フイルムIIBは、プレス加工の型枠より開放され次に移送される際に設備上要求されるホットタック性がIAより更に優れると共に、ウレタン発泡基材との接着性、低温絞り成型性、、不織布表皮材と貼り合わせる際のロ−ル張付き性、局部衝撃性において、フイルムIAと同等の優れた効果を示した。
【0021】
(実施例3)
インフレーション成型方法により、以下の中間層及び内、外層からなる、全体厚みが45μmの、自動車内装材貼り合わせ用3層フイルム(以下、フイルムIIICという。)を得た。
中間層:厚み15μmで、軟質ポリプロピレン共重合体(MI値0.8g/10分;230℃ 2.16kg、密度0.88g/cc、融点162℃、キャタロイ;モンテルSDK社商品名)よりなる。
外層:厚み15μmで,エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体(MI値3g/10分;190℃ 2.16kg条件、融点95℃、ボンダイン;住友化学(株)商品名)よりなる。
内層:厚み15μmで,エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)(MI値10g/10分;190℃ 2.16kg条件、アクリル酸(AA)含有量10wt%,融点100℃)よりなる。
【0022】
次いで、実施例1のフイルムIAに代えて、フイルムIIICを用いる以外は実施例1と同様にして、優れた空気遮断性及びタバコの煙遮断性を発揮する自動車天井材を得た。
また、フイルムIIICは、ウレタン発泡基材との接着性、加熱プレス成型時の層間接着強度(ホットタック性)、低温絞り成型性、、不織布表皮材と貼り合わせる際のロ−ル張付き性、局部衝撃性において、フイルムIAと同等の優れた効果を示した。
【0023】
(実施例4〜6)、(比較例1〜2)
実施例1のフイルムIAにおいて、その内、外層を共に表1に記載する樹脂とする以外は、実施例1と同様にして自動車天井材を得た。
この自動車天井材について、以下の方法により「接着性」と「ホットタック性」を測定した。その結果は表1に示されている。
「接着性」:
プレス成型された自動車天井材を25mm幅にカットして、インストロン型引っ張り試験機で不織布(表皮材)をT剥離(23℃、引っ張りスピード200mm/分)して接着強度(N/25mm)を測定し、
6(N/25mm)以下;×
6(N/25mm)超〜7(N/25mm)以下;△
7(N/25mm)超〜10(N/25mm)以下;○
107(N/25mm)超;◎
と評価した。
【0024】
「ホットタック性」:
プレス成型された自動車天井材をプレス加工の型枠よりバキュウム吸引して吊る下げ移送する際の不織布とフイルムの間での剥離現象(ふくれ現象)を目視にて観察し、
深しぼり部、平部共に剥離現象なしの場合を◎、
深しぼり部の一部がわずかに剥離する場合を○、
深しぼり部が剥離する場合を△、
深しぼり部、平部共に剥離する場合を×
と評価した。
尚、表1のEAA欄の3440、3330はダウケミカル社商品名、エスコール5100はエクソンケミカル社商品名、メタロセンLLDPE 欄のエリート5200、アフィニティ1880はダウケミカル社商品名であり、MI(190℃ 2.16kg条件)とAA含量は、EAA単独、又はEAA+メタロセンLLDPEに対する値である。
【0025】
【表1】
【0026】
(比較例3)
インフレーション成型方法により、以下の中間層及び内、外層からなる、全体厚みが45μmの、自動車内装材貼り合わせ用3層フイルム(以下、フイルムIVDという。)を得た。
中間層:厚み15μmで、軟質ポリプロピレン共重合体(MI値0.8g/10分;230℃ 2.16kg、密度0.88g/cc、融点162℃、キャタロイ;モンテルSDK社商品名)よりなる。
内層及び外層:厚み15μmで,エチレン−アクリル酸共重合体(EAA) (MI値10g/10分;190℃ 2.16kg条件、アクリル酸(AA)含有量10wt%,融点100℃)の40wt%と、メタロセン触媒で製造された低密度ポリエチレン (LLDPE)(MI値4g/10分;190℃2.16kg条件、密度0.917g/cc、融点121℃)60wt%との混合樹脂層よりなる。
次いで、実施例1のフイルムIAに代えて、フイルムIVDを用いる以外は実施例1と同様にして、自動車天井材を得た。この自動車天井材は、プレス加工の型枠よりバキュウム吸引して吊る下げ移送する際に、不織布とフイルムIVDの間で剥離現象(ふくれ現象)が発生して接着特性が満足しなかった。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、加熱プレス成型時に空気遮断機能が損なわれず、しかもウレタン発泡基材との接着性、加熱プレス成型時の層間接着強度(ホットタック性)、低温絞り成型性、、不織布表皮材と貼り合わせる際のロ−ル張付き性、局部衝撃性においても優れた効果発揮する、乗り物内装材用フイルム及び該フイルムから成型される改善された空気遮断性及びタバコの煙遮断性を有する乗り物内装材が提供されるので、産業界に対する貢献は大である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗り物(特に、自動車)内装材を貼り合わせるのに用いられる多層フイルムと該フイルムを用いて成型された乗り物用内装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車の内装材(例えば、天井材)としては、耐熱性、断熱性、剛性、吸音性、成形性等の機能を有する基材と、耐摩耗性、美観、質感等に優れ、通気性を有する表皮材とを貼り合わせ、プレス成型されたものが使用されている。
そして、前記基材と表皮材との貼り合わせには、近年、溶剤系接着剤やホットメルト接着剤に代えて、貼り合わせ用多層フイルムを用い、プレス成形により基材の賦形と表皮材の接着とを同時に行い、成型工程の短縮化と生産性の向上が図られている。
ところで、この多層フイルムを用いてプレス成形する場合には、前記表皮材に該フイルムを熱ロールで貼り合わせる工程において、熱ロールの熱量を抑えると両者の接着不良が生じ、また逆に、熱量を充分に与えると、前記表皮材に該フイルムが溶融浸透して連続皮膜形状が失われ、結果として該フイルムの空気遮断機能が損なわれるという問題があった。
また、これに加えて、その貼り合わせの際に、該フィルムが熱ロールの加熱圧着面に貼り付き、作業性及び生産性が著しく低下するという問題もあった。
【0003】
そこで、従来からこれらの問題を解決するために色々な技術が提案されて来ており、その主要なものを紹介すると以下のようである。
特許文献1には、MIが5.0−30.0g/10minのポリエチレン系樹脂の外層、融点が外層のポリエチレン系樹脂より10℃以上高く、MIが5.0g/10min未満のポリエチレン系樹脂の内層、及び該ポリエチレン系樹脂より30℃以上高い融点を有するナイロンもしくはエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂の中間層からなるフィルムを使用することが提案されている。しかし、このフィルムでは、基材がレジンや段ボールなど熱圧着温度が低いものや熱成形性ポリウレタンなどポリエチレン樹脂との接着性の悪いものの場合には接着が不十分であるという欠点があった。
特許文献2には、MIが5−100g/10分の低温ホットメルト樹脂層(1)、MIが3g/10分以下のオレフィン系樹脂層(2)、非通気性樹脂層(3)、およびMIが5−100の低温ホットメルト樹脂層(4)を少なくとも有する非通気性多層フィルムが提案されている。しかし、このフィルムは、非通気性樹脂層(3)に衝撃が加わった場合へこみが生じ易い欠点や、ホットメルト樹脂層(1)、(4)が熱成型時に溶融して不均一層になり易い欠点があった。
【0004】
特許文献3には、ポリプロピレン系樹脂製基材と表皮材の貼り合わせ用に、融点が110−145℃でMFRが1−50g/10min であるプロピレンとエチレンの共重合体またはプロピレンとα−オレフィンの共重合体を50−100重量%含有し、厚さが20−100μmであるホットメルトフィルムが提案されている。しかし、このフィルムは、ポリウレタン基材や表層材との熱成型時の接着性が充分でない欠点があった。
特許文献4には、ポリプロピレン樹脂を中間層とし、内層および/または外層がその構成成分として、α−オレフィン共重合体50−100重量%を含むホットメルト樹脂層からなる、少なくとも3層以上の非通気性多層ホットメルトフィルムが開示されている。しかし、このフイルムもフイルム芯層にポリプロピレンを使用するために柔軟性に難点があり、熱成型性に劣る欠点があった。
【0005】
特許文献5には、両面をポリエチレンと可塑化ポリ塩化ビニルとの熱融着フィルムでサンドイッチした非通気性フィルムにより基材と表皮を接合した自動車内装材が開示されているが、該フィルムは基材がレジンボードやダンボールの場合は接着性がなく使用できない欠点があった。
特許文献6には、ポリプロピレンフィルムの両面にエチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸三元共重合体とエチレン・メチルメタクリレート共重合体とのブレンド物からなる薄層を積層した耐熱性熱接着フィルムが開示されている。しかし、このフィルムは、ポリプロピレンフィルム中間層と内外層との層間接着強度が不十分であるという欠点があった。
以上述べたように、従来技術では、フイルムと基材(特に、熱成形性ポリウレタン)の接着性、非通気性(耐熱性)、 高温プレス成型時の層間接着強度(ホットタック性)、熱ロールへの張付き性、局部衝撃性等の問題を全て同時に解決するものではなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−68721号公報
【特許文献2】
特開平9−85908号公報
【特許文献3】
特開2002−12840号公報
【特許文献4】
特開平10−138418号公報
【特許文献5】
実開平5−65532号公報
【特許文献6】
特開平8−1877号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の欠点である、フィルムと基材(特に、熱成形性ポリウレタン)との接着性、非通気性(耐熱性)、 加熱プレス成型時の層間接着強度(ホットタック性)、熱ロールへの張付き性、局部衝撃性等の問題を全て解決する乗り物内装材貼り合わせ用多層フイルム、及び該フイルムを用いて成型した乗り物内装材を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記従来技術の欠点についてこれを改良すべく鋭意研究して、本発明に到達した。即ち、本発明は下記(1)−(2)に示す通りのものである。
(1)中間層が軟質ポリプロピレン共重合体であり、その両側にエチレン−アクリル酸共重合体又はエチレン−アクリル酸共重合体とメタロセン系触媒で重合された低密度ポリエチレンとの混合物からなる層があることを特徴とする乗り物内装材貼り合わせ用フイルム。
(2)第1層の熱可塑性樹脂製不織布と、第2層の請求項1に記載の貼り合わせ用フイルムと、第3層のチップ状ガラス繊維層と、第4層の硬質ウレタン発泡層と、第5層のチップ状ガラス繊維層と、第6層の請求項1に記載の貼り合わせ用フイルムと、第7層の熱可塑性樹脂製不織布とからなることを特徴とする成型自動車天井材。
【0009】
以下に、本発明の各構成について詳しく説明する。
中間層の軟質ポリプロピレン共重合体とは、特表平9−506391号公報で開示される製法で得られる共重合体が好ましい。
その製法は、(A)エチレンおよび/またはCH2 =CHR11(但し、R11:2〜10の炭素原子を有する炭化水素基)オレフィン誘導単位の含量が20重量%以下、プロピレン誘導単位の含量が80重量%以上、キシレン不溶性が60%以上のオレフィンポリマーを得る第1重合段階、(B)前記段階(A)で得られる生成物が、何れかの順序で、
(a)段階(A)で存在する触媒を失活しうる化合物と接触させるか、
(b)少なくとも1つのM− π結合を含有するTi、V、ZrとHfから選択された遷移金属Mの化合物と場合によりアルキル−Al化合物と接触させる処理工程、
(C)1以上の反応器中で、1以上のオレフィンCH2 =CHR11(式中R11は水素または1−10の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキルまたはアリール基)を、段階(B)で得られた生成物の存在下で重合させ、実質的にアモルファスのオレフィン(コ)ポリマーを段階(A)と(C)で生成されるポリマーの全量に対し20−80重量%の量で得る第2重合段階からなることを特徴とするプロピレンのヘテロフェーズコポリマーの多段製法である。
【0010】
第1重合段階(A)で製造されるポリマーは、高アイソタクチシティ値を有するポリプロピレンのホモポリマー、またはエチレンおよび/またはCH2 =CHR11オレフィンから由来する単位の重量が10重量%より小さい量のプロピレンの結晶性コポリマーであることが好ましい。
段階(C)で製造できる実質的にアモルファスなオレフィン(コ)ポリマーの限定されない例として、約30−70重量%のエチレン由来の単位を有するエチレンとプロピレンの弾性コポリマー、およびエチレンとプロピレンと少量の存在比のジエンの弾性ターポリマー;約30−70重量%のエチレン由来の単位を有するエチレンとブテンの弾性コポリマー、およびエチレン、ブテンとプロピレンの弾性ターポリマー;高分子量(粘度η>1)を有するアタックチックポリプロピレンがある。
【0011】
その製法で得られるポリプロピレン共重合体は、プロピレンのヘテロフェーズコポリマーとも言われる。例えば、エチレンおよび/またはCH2 =CHR11オレフィン誘導単位の含有量が20重量%以下でプロピレン誘導単位の含有量が80重量%以上のキシレン不溶体が60%以上のオレフィンコポリマーであり、好ましくは高アイソタクチシティのポリプロピレンとエチレンおよび/またはCH2 =CHR11オレフィン誘導単位に由来する単位が10重量%以下の結晶性コポリマーであるオレフィンコポリマーの存在下に該オレフィンコポリマーとは異なる触媒の特定触媒と製法の組合わせでアモルファスコポリマーを製造する例えば約30−70重量%のエチレン由来の単位を有するエチレンとプロピレンの弾性コポリマー、およびエチレンとプロピレンと少量のジエン弾性ターポリマー;約30−70重量%のエチレン由来の単位を有するエチレンとブテンの弾性コポリマー、およびエチレン、ブテンとプロピレンの弾性タ−ポリマー;粘度1以上の高分子量アタクチックポリプロピレンコポリマーがある。それらは、多段重合の重合段階でポリマーアロイとして製造される重合体である。
【0012】
その諸性質は、溶融流動性(MFR)0.2−1000g/10min.、曲げ弾性率800−24000kg/cm2 、引張強度100−450kg/cm2 、アイゾット衝撃強度3−100kg−cm/cm、(30℃)融点130−166℃である。従来知られているゴムをブレンド混合する場合と異なりオレフィン系樹脂であるに係わらずオレフィンの特徴である低密度1以下で約0.9g/ccであり、他のオレフィンとも親和性があり重合段階でゴム成分が均一に微分散しているので耐熱性や柔軟性が従来品と格段の違いがある。その重合モノマーにエチレン、プロピレン、ブテンを使用した3元共重合体がある。この3元共重合体は、薄肉化性、耐熱性、低温ヒートシール性、透明性、ホットタック性に優れて上記の諸性質を有する。特に高温時の曲げ弾性の領域が広いのが特徴的である。
【0013】
さらに、本発明の軟質ポリプロピレン共重合体は、中でも、インフレ成型による加工性の観点からは溶融流動性(MFR)0.4〜11の樹脂が好ましく、自動車天井構造体を成型するプレス成型の観点からは、曲げ剛性率が2700kgf/cm〜700kgf/cmの樹脂が好ましい。更に空気遮断機能を満足させる観点からは、160℃以上の融点を有する樹脂が好ましい。
尚、本発明の軟質ポリプロピレン共重合体は、モンテルSDK社製 商品名キャタロイとして市販されている。
【0014】
本発明のエチレン−アクリル酸共重合体(以下、EAAと略記することがある。)は、MI値(190℃ 2.16g/10分)が0.1〜30g/10分、アクリル酸(以下、AAと略記することがある。)含有量は1〜40wt%であるものが好ましい。
このEAAには、メタロセン系触媒で重合された低密度ポリエチレン(以下、メタロセンLLDPEと略記することがある。)を混合して用いると、成型後の固化時間が短縮でき、フイルム中間層の軟質ポリプロピレンとの接着性が向上して好ましい。そのメタロセンLLDPEの混合割合は、EAAのAA含有量にもよるが、略30重量%以下が好ましい。
【0015】
このEAAは、軟質ポリプロピレンと共押出しが可能であり、インフレーションフイルム成型がし易く、生産性とフイルムの積層厚み均一性に優れている。また、このEAAは、ホットタック性が良好で、プレス成型時のフイルムの層間剥離防止性に優れている。このEAAのAA含有量(1〜40wt%)は、高AA含量の方が接着性が向上する効果がある。
その好ましいAA含有量は、内外層(即ち、EAA単独、又はEAA+メタロセンLLDPE)に対し、5wt%超〜40wt%であり、特に好ましくは、7wt%〜40wt%である。
また、そのMI(0.1〜30g/10分 190℃、2.16kg)は、高MI値で流動性良好で、接着性が向上する効果がある。
更に、軟質ポリプロピレン共重合体の両側を占める接着樹脂としては、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸とエチレンとの共重合体、又は該酸でグラフト変性したPE、PP、EVA等の樹脂も、熱可塑性樹脂製不織布、ガラス繊維、ウレタン樹脂発泡体と良好な接着性が得られることから好ましい。
【0016】
本発明のガラス繊維層の繊維とは、繊維状のガラスであり、繊維の太さは0.1〜2.0デニールで良い。長さは5mm〜500mmで、チップ状でもバラ状でも均一であることが好ましい。
ガラス繊維層の厚みは0.1−5mm厚みで良い。この繊維層があると局部衝撃を緩和し成型体にへこみ跡を残し難くなる。
本発明のウレタン発泡層とは、ウレタン樹脂でできた発泡体であれば良く、硬質系ウレタン樹脂であれば更に良いし、シアヌレート発泡体でも良い。発泡体も独立気泡で構成される発泡体が非通気性や熱成型性の点で好ましいが、通気性を要求される場合は連続気泡の発泡体が良い。その平均気泡径は0.01から2.0mm程度が良い。
ウレタン発泡層の厚みは1−40mmで、熱成型性の観点からは1−10mm程度が優れるが、特性に合わせて用いれば良いし、また積層して用いても良い。
本発明の不織布層は、熱可塑性樹脂製の細い繊維の不織布からなり、該不織布は熱成型時の曲げに追従し易くて好ましい。具体的には、ポリエステル系樹脂やポリプロピレン系樹脂製繊維のスパンボンド法やフラッシュ紡糸法でできた不織布が好適に用いられる。不織布層の厚みは0.1−3.5mm程度が良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
【実施例】
(実施例1)
インフレーション成型方法により、以下の中間層及び内、外層からなる、全体厚みが45μmの、自動車内装材貼り合わせ用3層フイルム(以下、フイルムIAという。)を得た。 このフイルムIAは、フイルムロール原反の形状で供給される。
中間層:厚みが15μmの軟質ポリプロピレン共重合体(MI値0.8g/10分;230℃ 2.16kg、密度0.88g/cc、融点162℃、キャタロイ;モンテルSDK社商品名)よりなる。
内層及び外層:厚み15μmのエチレン−アクリル酸共重合体(EAA) (MI値10g/10分;190℃ 2.16kg条件、アクリル酸(AA)含有量10wt%,融点100℃)よりなる。
【0018】
次に、0.1デニールのポリプロピレン繊維の不織布とフイルムIAを熱ロールで貼付け、次いでガラス繊維チップ層を介してウレタン発泡基材をサンドイッチ状に注入し積層し、(屋根側)不織布/フイルムIA/ガラス繊維/硬質ウレタン発泡層/ガラス繊維/フイルムIA/不織布(室内側)の順にそれぞれの材料を配置した積層体を成形した。
続いて、その積層体をガイドローラーによりプレス成型機の型の上に導いて、130℃〜135℃の温度条件下にプレス成型し、基材としてウレタン発泡層を有する自動車天井材を成型した。
この自動車天井材に用いられたフイルムIAは、熱プレス成型中にその内外層は溶融しても、全体としてはフイルムシート形状を保つことから、得られた自動車天井材は優れた空気遮断性及びタバコの煙遮断性を発揮する。
また、このフイルムIAは、優れた空気遮断性(耐熱性)の他に、ウレタン発泡基材との接着性、加熱プレス成型時の層間接着強度(ホットタック性)、低温絞り成型性、、不織布表皮材と貼り合わせる際のロ−ル張付き性、局部衝撃性においても優れた効果を示し満足すべきものであった。
【0019】
(実施例2)
インフレーション成型方法により、以下の中間層及び内、外層からなる、全体厚みが45μmの、自動車内装材貼り合わせ用3層フイルム(以下、フイルムIIBという。)を得た。
中間層:厚み15μmで、軟質ポリプロピレン共重合体(MI値0.8g/10分;230℃ 2.16kg、密度0.88g/cc、融点162℃、キャタロイ;モンテルSDK社商品名)よりなる。
外層:厚み15μmで,エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)(MI値10g/10分;190℃ 2.16kg条件、アクリル酸(AA)含有量10wt%,融点100℃)の70wt%と、メタロセン触媒で製造された低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI値4g/10分;190℃ 2.16kg条件、密度0.917g/cc、融点 121℃)30wt%との混合樹脂層よりなる。
内層:厚み15μmで,エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)(MI値10g/10分;190℃ 2.16kg条件、アクリル酸(AA)含有量10wt%,融点100℃)の50wt%と、メタロセン触媒で製造された低密度ポリエチレン(LLDPE)(MI値4g/10分;190℃ 2.16kg条件、密度0.917g/cc、融点 121℃)50wt%との混合樹脂層よりなる。
【0020】
次いで、実施例1のフイルムIAに代えて、フイルムIIBを用いる以外は実施例1と同様にして、優れた空気遮断性及びタバコの煙遮断性を発揮する自動車天井材を得た。
また、フイルムIIBは、プレス加工の型枠より開放され次に移送される際に設備上要求されるホットタック性がIAより更に優れると共に、ウレタン発泡基材との接着性、低温絞り成型性、、不織布表皮材と貼り合わせる際のロ−ル張付き性、局部衝撃性において、フイルムIAと同等の優れた効果を示した。
【0021】
(実施例3)
インフレーション成型方法により、以下の中間層及び内、外層からなる、全体厚みが45μmの、自動車内装材貼り合わせ用3層フイルム(以下、フイルムIIICという。)を得た。
中間層:厚み15μmで、軟質ポリプロピレン共重合体(MI値0.8g/10分;230℃ 2.16kg、密度0.88g/cc、融点162℃、キャタロイ;モンテルSDK社商品名)よりなる。
外層:厚み15μmで,エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体(MI値3g/10分;190℃ 2.16kg条件、融点95℃、ボンダイン;住友化学(株)商品名)よりなる。
内層:厚み15μmで,エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)(MI値10g/10分;190℃ 2.16kg条件、アクリル酸(AA)含有量10wt%,融点100℃)よりなる。
【0022】
次いで、実施例1のフイルムIAに代えて、フイルムIIICを用いる以外は実施例1と同様にして、優れた空気遮断性及びタバコの煙遮断性を発揮する自動車天井材を得た。
また、フイルムIIICは、ウレタン発泡基材との接着性、加熱プレス成型時の層間接着強度(ホットタック性)、低温絞り成型性、、不織布表皮材と貼り合わせる際のロ−ル張付き性、局部衝撃性において、フイルムIAと同等の優れた効果を示した。
【0023】
(実施例4〜6)、(比較例1〜2)
実施例1のフイルムIAにおいて、その内、外層を共に表1に記載する樹脂とする以外は、実施例1と同様にして自動車天井材を得た。
この自動車天井材について、以下の方法により「接着性」と「ホットタック性」を測定した。その結果は表1に示されている。
「接着性」:
プレス成型された自動車天井材を25mm幅にカットして、インストロン型引っ張り試験機で不織布(表皮材)をT剥離(23℃、引っ張りスピード200mm/分)して接着強度(N/25mm)を測定し、
6(N/25mm)以下;×
6(N/25mm)超〜7(N/25mm)以下;△
7(N/25mm)超〜10(N/25mm)以下;○
107(N/25mm)超;◎
と評価した。
【0024】
「ホットタック性」:
プレス成型された自動車天井材をプレス加工の型枠よりバキュウム吸引して吊る下げ移送する際の不織布とフイルムの間での剥離現象(ふくれ現象)を目視にて観察し、
深しぼり部、平部共に剥離現象なしの場合を◎、
深しぼり部の一部がわずかに剥離する場合を○、
深しぼり部が剥離する場合を△、
深しぼり部、平部共に剥離する場合を×
と評価した。
尚、表1のEAA欄の3440、3330はダウケミカル社商品名、エスコール5100はエクソンケミカル社商品名、メタロセンLLDPE 欄のエリート5200、アフィニティ1880はダウケミカル社商品名であり、MI(190℃ 2.16kg条件)とAA含量は、EAA単独、又はEAA+メタロセンLLDPEに対する値である。
【0025】
【表1】
【0026】
(比較例3)
インフレーション成型方法により、以下の中間層及び内、外層からなる、全体厚みが45μmの、自動車内装材貼り合わせ用3層フイルム(以下、フイルムIVDという。)を得た。
中間層:厚み15μmで、軟質ポリプロピレン共重合体(MI値0.8g/10分;230℃ 2.16kg、密度0.88g/cc、融点162℃、キャタロイ;モンテルSDK社商品名)よりなる。
内層及び外層:厚み15μmで,エチレン−アクリル酸共重合体(EAA) (MI値10g/10分;190℃ 2.16kg条件、アクリル酸(AA)含有量10wt%,融点100℃)の40wt%と、メタロセン触媒で製造された低密度ポリエチレン (LLDPE)(MI値4g/10分;190℃2.16kg条件、密度0.917g/cc、融点121℃)60wt%との混合樹脂層よりなる。
次いで、実施例1のフイルムIAに代えて、フイルムIVDを用いる以外は実施例1と同様にして、自動車天井材を得た。この自動車天井材は、プレス加工の型枠よりバキュウム吸引して吊る下げ移送する際に、不織布とフイルムIVDの間で剥離現象(ふくれ現象)が発生して接着特性が満足しなかった。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、加熱プレス成型時に空気遮断機能が損なわれず、しかもウレタン発泡基材との接着性、加熱プレス成型時の層間接着強度(ホットタック性)、低温絞り成型性、、不織布表皮材と貼り合わせる際のロ−ル張付き性、局部衝撃性においても優れた効果発揮する、乗り物内装材用フイルム及び該フイルムから成型される改善された空気遮断性及びタバコの煙遮断性を有する乗り物内装材が提供されるので、産業界に対する貢献は大である。
Claims (2)
- 中間層が軟質ポリプロピレン共重合体であり、その両側にエチレン−アクリル酸共重合体又はエチレン−アクリル酸共重合体とメタロセン系触媒で重合された低密度ポリエチレンとの混合物からなる層があることを特徴とする乗り物内装材貼り合わせ用フイルム。
- 第1層の熱可塑性樹脂製不織布と、第2層の請求項1に記載の貼り合わせ用フイルムと、第3層のチップ状ガラス繊維層と、第4層の硬質ウレタン発泡層と、第5層のチップ状ガラス繊維層と、第6層の請求項1に記載の貼り合わせ用フイルムと、第7層の熱可塑性樹脂製不織布とからなることを特徴とする成型自動車天井材。
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