JP6672633B2 - 反射シート及び反射板 - Google Patents

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Description

反射シートは液晶表示装置、照明器具、照明看板等に使用され、光の反射による輝度の向上のために用いられる他に住宅や車両内部などへの日射入熱の防止や輻射熱伝達の軽減のための反射性断熱材としても利用される。本発明は反射シートに関し、特に住宅や車両内部などの温度上昇を低減させることを目的とした反射シート、及び、それを用いた反射板に関するものである。
夏季の炎天下環境での住宅や自動車の室内は非常に高温となり、日本国内における夏期環境の測定例では、例えば自動車の室内空気温度は約70℃にも達する。また、内装材の温度も同程度の高温にまで達しており、換気や冷房による室温の低下を行った後にも、内装材温度は容易に低下せず、長時間にわたって室内に輻射熱を放射し続けるため、快適な室内状態の構築を阻害している。また、こうした状況下で冷房を使用することによって電気・燃料消費量を増加させている。
太陽からの光は、紫外領域から赤外光領域まで幅広いスペクトルを有しており、赤外光は太陽光の約50%を占め、主として波長が可視光に近い近赤外線(波長約780〜2500nm)、それ以上の波長を有する中赤外線(約2500〜4000nm)および遠赤外線(波長約4000nm以上)に分類される。このような赤外光(特に、近赤外光)は、紫外光と比較すると波長が長波長であることからエネルギーは小さいが、一方で熱的作用は大きく、物質に吸収されると熱として放出されて温度上昇をもたらす。このことから赤外光は熱線とも呼ばれており、赤外光のなかでも特に近赤外光を反射することにより、室内の温度上昇を抑制することが可能である。 一例として、住宅に用いられる塗料において、日射反射率が50%以上の塗料が高反射塗料と呼ばれている。
上述のような背景から、室内に侵入する熱を断ち、不快さと電気・燃料消費量の悪化を解決することのできる断熱材の検討が行われており、近赤外線に対する反射率が高く軽量のためできる限り厚みの薄い断熱シート材が望まれている。
反射は屈折率の異なる材料の界面(樹脂/空孔また、もしくは充填剤)で起こるため、屈折率のことなる材料の界面を多く存在させることによって、入射光を効率よく反射することが可能である。そのため、微細な空孔や充填剤を多数分散させることや、表面積を増加させることでより効率的な反射が可能となる。また、シートの厚みを厚くすることによっても反射率を高めることが可能であるが、厚みの厚すぎるシートでは軽量化やシート部材の取り付けなどの際のハンドリング性に劣る可能性がある。
目的とする波長領域の反射率を高めるためには、その波長と同程度の大きさの空孔を多数存在させることが必要となる。
反射シートとして、特許文献1には、ポリプロピレン樹脂に無機充填剤を添加して延伸させた多孔性シートが開示されている。特許文献2にはポリプロピレン系樹脂を主成分とし、エラストマー系樹脂を添加したシートに加圧ガスを用いて多孔化することによって得られる反射シートが開示されている。また特許文献3には、高屈折率層と低屈折率層が交互に積層されることによって得られる近赤外反射フィルムが開示されている。
しかしながら、特許文献1では、無機充填剤を60%以上添加して延伸することが必要であり、製膜安定性に劣るという問題があった。また、特許文献2では得られる多孔構造の孔径がナノスケールレベルであるため、近赤外領域の波長を反射するような反射性能ではないことが考えられる。また特許文献2で開示される反射シートは、加圧ガスを用いて多孔化されるものであり、多孔化に長時間を有するため、生産性にも問題を有する。
特許文献3では近赤外反射フィルムとして開示されているものの、1300nm以上の近赤外領域においては、反射率が低く、近赤外領域全域に渡って高い反射率を有しているわけではない。
特開平11−174213号公報 特許第477280号公報 国際公開第2013/129335号パンフレット
本発明の課題は、近赤外領域の光に対して反射率の高い反射シート、特に住宅や車両内部などの温度上昇を低減させることを目的とした反射シートを提供することにある。
詳細には、シート厚みが薄く、空孔率が高く、近赤外領域の反射に適した多数の多孔構造を有することを特徴とする反射シートを生産性良く提供することにある。
本発明者らは、上記の実情に鑑み鋭意検討した結果、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第1の発明によれば、ポリプロピレン系樹脂(A)とビニル芳香族エラストマー(B)を主成分とし、結晶核剤(C)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物から構成され、少なくとも一軸方向に延伸することにより多孔化されてなるシートであって、当該結晶核剤(C)はα晶核剤であり、かつ、780〜2600nmの波長領域における平均反射率が92%以上であることを特徴とするポリプロピレン系反射シートが提供される。

また、第2の発明によれば、第1の発明において、シート厚みが300μm以下であることを特徴とするポリプロピレン系反射シートが提供される。
さらに、第3の発明によれば、第1または第2の発明において、空孔率が50%以上であることを特徴とするポリプロピレン系反射シートが提供される。
また、第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の各成分の割合が、ポリプロピレン系樹脂(A)が55〜85重量%、ビニル芳香族エラストマー(B)が15〜45重量%であること徴とする請求項1〜3に記載の反射シートが提供される。
さらに、第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記ビニル芳香族エラストマー(B)の温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が1g/10分以下であることを特徴とするポリプロピレン系反射シートが提供される。
また、第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に係るポリプロピレン系反射シートを、金属板又は樹脂板に被覆してなることを特徴とする反射板が提供される。
本発明によれば、多数の空孔構造を有し、シート厚みが薄く、近赤外孔に対して高い反射率を有する反射シートを提供することが可能となる。この反射シートは住宅や車両内部などの温度上昇を低減させることための反射シートとして有用である。
以下、本発明を詳しく説明する。
なお、本発明における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特性する数値範囲内から僅かに外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明の均等範囲に包含するものである。また、本発明における主成分とは、最も多量に含有されている成分のことであり、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上含有する成分のことである。
本発明は、ポリプロピレン系樹脂(A)とビニル芳香族エラストマー(B)を主成分とするポリプロピレン系樹脂組成物から構成され、少なくとも一軸方向に延伸することにより多孔化されてなるシートである。
1.ポリプロピレン系樹脂(A)
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(A)としては、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1―ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。
また、ポリプロピレン系樹脂(A)としては、立体規則性を示すアイソタクチックペンタッド分率が80〜99%であることが好ましく、より好ましくは83〜98%、更に好ましくは85〜97%であるものを使用する。アイソタクチックペンタッド分率が低すぎると、機械的強度が低下する恐れがある。一方、アイソタクチックペンタッド分率の上限については現時点において工業的に得られる上限値で規定しているが、将来的に工業レベルで更に規則性の高い樹脂が開発された場合においてはこの限りではない。アイソタクチックペンタッド分率とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。
メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelliet at al. Macromol.8,687(1975)に準拠している。
また、ポリプロピレン系樹脂(A)は、分子量分布を示すパラメータであるMw/Mnが1.5〜10.0であることが好ましい。より好ましくは2.0〜8.0、更に好ましくは2.0〜6.0である。Mw/Mnが小さいほど分子量分布が狭いことを意味するが、Mw/Mnを1.5以上とすることで十分な押出成形性が得られ、工業的に大量生産が可能である。一方、Mw/Mnを10.0以下とすることで、十分な機械的強度を確保することができる。
Mw/MnはGPC(ゲルパーエミッションクロマトグラフィー)法によって得られる。
また、ポリプロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常、MFRは0.5〜15g/10分であることが好ましく、1.0〜10g/10分であることがより好ましい。MFRが0.5g/10分以上とすることで、成形加工時において十分な溶融粘度を有し、高い生産性を確保することができる。一方、MFRが15g/10分以下とすることで、強度を十分に有することができる。
なお、MFRはJIS K7210に準拠して温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定する。
本発明において用いられるポリプロピレン系樹脂(A)は、ホモポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。ホモポリプロピレン系樹脂を選択することで、反射シートの機械的強度を十分に確保できる。
ポリプロピレン系樹脂(A)としては、例えば、商品名「ノバテックPP」「WINTEC」(日本ポリプロ社製)、「ノティオ」「タフマーXR」(三井化学社製)、「ゼラス」「サーモラン」(三菱化学社製)、「住友ノーブレン」「タフセレン」(住友化学社
製)、「プライム PP」「プライム TPO」(プライムポリマー社製)、「Adfle
x」「Adsyl」「HMS−PP(PF814)」(サンアロマー社製)、「バーシフ
ァイ」「インスパイア」(ダウケミカル)など市販されている商品を使用できる。
2.ビニル芳香族エラストマー(B)
本発明においては、ポリプロピレン系樹脂(A)に対し、ビニル芳香族エラストマー(B)を添加することが重要である。ビニル芳香族エラストマー(B)を添加することにより、効率的に微細で均一性の高い多孔構造が得られ、空孔の形状や孔径を制御し易くなる。
本発明におけるビニル芳香族エラストマー(B)とは、スチレン成分を基材とした熱可塑性エラストマーの1種で、軟質成分(例えばブタジエン成分)と硬質成分(例えばスチレン成分)との連続体からなる共重合体である。
また、前記共重合体の種類について、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。一般にブロック共重合体としては、線状ブロック構造や放射状枝分れブロック構造等種々のものが知られている。本発明においてはいずれの構造のものを用いてもよい。
本発明に用いられるビニル芳香族エラストマー(B)は、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が1g/10分以下であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂組成物中に分散した前記ビニル芳香族エラストマー(B)は、樹脂との粘度差によってその形状が変化するが、前記範囲内におけるMFRのものであるならば、その形状が球状になり易いからである。球状分散したドメインは、アスペクト比が大きなドメインとは異なり、その後の延伸工程によって得られる多孔構造の均一性が高くなり易く、物性安定性に優れるので好ましい。さらに、上記範囲内におけるMFRであった場合、延伸工程時において、高い弾性率を有するマトリックスと低い弾性率のドメイン界面部分に応力が集中しやすくなるため、開孔起点が生じやすく、多孔化し易いという特徴を有する。
また、本発明におけるビニル芳香族エラストマー(B)は、スチレン含有量が10重量%〜40重量%であることが好ましく、10重量%〜35重量%であることがより好ましい。ビニル芳香族エラストマー(B)中のスチレン含有量が10重量%以上であることにより、効果的にポリプロピレン系樹脂組成物中にドメインを形成することができ、スチレン含有量が40重量%以下であることにより、過度に大きなドメイン形成を抑制することができる。
また、本発明の樹脂組成物の組成比において、ポリプロピレン系樹脂(A)が55〜85重量%、ビニル芳香族エラストマー(B)が15〜45重量%であることが好ましい。より好ましくは、ポリプロピレン系樹脂(A)が60〜80重量%、ビニル芳香族エラストマー(B)が20〜40重量%である。
前記樹脂組成物におけるポリプロピレン系樹脂(A)が85重量%以下、すなわち、ビニル芳香族エラストマー(B)が15重量%以上であることによって、延伸による多孔化が生じやすくなり、十分な空気層を確保することで、断熱性の向上が期待できる。一方、前記樹脂組成物中のポリプロピレン系樹脂(A)が55重量%以上、すなわち、ビニル芳香族エラストマー(B)が45重量%以下であることによって、前記ポリプロピレン系樹脂組成物中のビニル芳香族エラストマー(B)同士が凝集を生じやすくなり、延伸による多孔化が生じ難くなる。
前記ビニル芳香族エラストマー(B)の具体的な種類については特に限定しないが、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)などが挙げられる。
効率的に樹脂組成物中にビニル芳香族エラストマー(B)を分散させるためには、前記ビニル芳香族エラストマー(B)の中でも、ポリプロピレン系樹脂(A)との相溶性が高い、エチレン成分、ブチレン成分が含有されているものが好ましく、中でも、スチレン−エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)がより好ましい。
本発明を構成する樹脂組成物中には、ビニル芳香族エラストマー(B)の1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
3.結晶核剤(C)
本発明では、ポリプロピレン系樹脂組成物中に結晶核剤(C)を更に含有することが好ましい。結晶核剤(C)を含有することにより、前記ポリプロピレン系樹脂(A)の結晶化が促進され、結晶構造が緻密に均一化する。それゆえ、延伸前の樹脂組成物における前記プロピレン系樹脂(A)は緻密に均一化した結晶部と、該結晶部間に存在する非晶部とからなり、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)は前記プロピレン系樹脂(A)の非晶部に多く存在する。そのため、延伸により前記ポリプロピレン系樹脂(A)の緻密な結晶部と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)との界面で生じる多孔化は、マトリックスの結晶化に伴う弾性率の向上によって容易になり、かつ、結晶の緻密な均一化によって、得られる多孔構造も緻密で均一な多孔構造を形成しやすくなる。
ポリプロピレン系樹脂(A)の緻密な結晶構造を得るために用いる結晶核剤(C)としては、α晶核剤又はβ晶核剤が好ましい。α晶核剤を含有することによって、得られるポリプロピレン系樹脂(A)の球晶サイズは微細なものとなる。そのため、延伸工程時に得られる多孔構造は均一性が高くなる。また、β晶核剤を含有することで、上述した作用だけでなく、生成されるβ晶の延伸工程でのα晶への転位によるクレーズ形成も可能となる。このクレーズを二軸延伸により拡大させることで、さらに良好な透気性能を得ることができるようになる。
前記結晶核剤(C)の含有量は、前記ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対し、0.001〜5.0重量部であることが好ましい。
α晶核剤としては、例えば、タルク、ミョウバン、シリカ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、カーボンブラック、粘土鉱物などの無機化合物;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの脂肪族モノカルボン酸を除くカルボン酸;前記非脂肪族モノカルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムなどの正塩または塩基性塩;1・2,3・4−ジベンジリデンソルビトールなどのジベンジリデンソルビトール系化合物;リチウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどのアリールフォスフェート系化合物;前記アリールフォスフェート系化合物の内、環状多価金属アリールフォスフェート系化合物と酢酸、乳酸、プロピオン酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ベヘン酸、エルカ酸、モンタン酸、メリシン酸、ステアロイル乳酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、β−N−メチル−N−ラウロイルアミノプロピオン酸などの脂肪酸族モノカルボン酸のリチウム、ナトリウムまたはカリウム塩など脂肪酸モノカルボン酸アルカリ金属塩、もしくは塩基性アルミニウム・リチウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレートとの混合物;ポリ3−メチル−1−ブテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−エチル−1−ペンテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ4−メチル−1−ヘキセン、ポリ4,4−ジメチル−1−ペンテン、ポリ4、4−ジメチル−1−ヘキセン、ポリ4−エチル−1−ヘキセン、ポリ3−エチル−1−ヘキセン、ポリアリルナフタレン、ポリアリルノルボルナン、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリアリルベンゼン、ポリアリルトルエン、ポリビニルシクロペンタン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペプタン、ポリビニルトリメチルシラン、ポリアリルトリメチルシランなどの高分子化合物、などが挙げられる。
市販されているα晶核剤の具体例としては、新日本理化社製「ゲルオールD」シリーズ、「ゲルオールMD」シリーズ、ADEKA社製「NA」シリーズ、ミリケンケミカル社製「Millad」シリーズ、「Hyperform」シリーズ、BASF社製「IRGACLEAR」シリーズなどが挙げられる。
β晶核剤としては、例えば、アミド化合物;テトラオキサスピロ化合物;キナクリドン類;ナノスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物;環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられる。
市販されているβ晶核剤の具体例としては、新日本理化社製β晶核剤「エヌジェスターNU−100」、β晶核剤の添加されたポリプロピレン系樹脂の具体例としては、Aristech社製ポリプロピレン「Bepol B−022SP」、Borealis社製ポリプロピレン「Beta(β)−PP BE60−7032」、mayzo社製ポリプロピレン「BNX BETAPP−LN」などが挙げられる。
4.樹脂組成物中の他の成分
本発明の反射シートを構成するポリプロピレン系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、前記のポリプロピレン系樹脂(A)及びスチレン系熱可塑性エラストマー(B)以外の成分、例えばポリプロピレン系樹脂(A)以外の他の樹脂を含有することを許容することができる。
他の樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
また、前記ポリプロピレン系樹脂組成物には、前述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤を適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性および多孔性フィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、着色剤などの添加剤が挙げられる。
さらに、前記ポリプロピレン系樹脂組成物には、本発明を損なわない範囲で必要に応じてコロナ処理、プラズマ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面加工、更にはミシン目加工などを施すことができ、用途に応じて本発明の反射シートを数枚重ねて使用することも可能である。
5.反射シート
本発明の反射シートは、前記ポリプロピレン系樹脂(A)及び前記ビニル芳香族エラストマー(B)樹脂組成物を主成分とした樹脂組成物から構成される反射シートである。以下、反射シートについて記載する。
(1)厚み
本発明の反射シートの厚みは、特に制限されるものではないが、150μm以上が好ましく、250μm以上がより好ましい。一方、上限は350μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましい。厚みが150μm以上であれば、充分な反射率を有し、熱線反射させることができる。また、厚みが300mm以下であれば、軽量化が求められる用途に対しても使用が容易である。
(2)空孔率
空孔率は多孔構造を規定する為の重要な要素であり、本発明の反射シートにおける多孔層の空間部分の割合を示す数値である。一般に空孔率が高いほど、優れた反射率を有することが知られており、本発明の反射シートにおいては、空孔率が50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上である。一方上限は 98%以下が好ましく、95%以下がより好ましい。空孔率が50%以上であれば、優れた反射率を有する反射シートとすることができる。
(3)反射率
本発明における反射シートの反射率は、波長が780〜2600nmの光に対する表面の反射率が92%以上であることが必要である。かかる反射率が92%以上であれば、近赤外領域に対して良好な反射特性を示し、例えば住宅や車の日射や輻射熱による室内温度の上昇を低減することができる。反射率は延伸倍率、及び/ 又は延伸温度及び/ 又はビニル芳香族エラストマーの種類及び/ 又はビニル芳香族エラストマーの添加量により調整が可能である。
(4)アスペクト比
本発明における反射シートに関して、2以上のアスぺクト比がある孔を少なくとも1つ有することが好ましい。また4以上のアスペクト比がある孔を少なくとも1つ有することがより好ましい。少なくともアスぺクト比が2以上である孔を有することで、近赤外領域に対して良好な反射特性を示し、例えば住宅や車の日射や輻射熱による室内温度の上昇を減することができる。アスぺクト比は、延伸倍率、及び/ 又は延伸温度及び/ 又はビニル芳香族エラストマーの種類により調整が可能である。
アスペクト比は、シート表面のSEM画像より導きだされる。
5.反射シートの製造方法
本発明では、まずポリプロピレン系樹脂の融点以上、分解温度未満の温度条件下で押出機等を用いて溶融・成形することによって、未延伸シートを得る。未延伸シートの成形方法として、より具体的にはTダイ成形が挙げられる。
また本発明では、混練物を冷却しながらフィルムに成形する際、キャストロールの温度は100℃以上が好ましい。より好ましくは110℃以上で、更に好ましくは120℃以上である。本発明ではポリプロピレン系樹脂の結晶部分と非晶部分での延伸工程時による開孔によっても、良好な空孔構造を形成することが可能である。従って、キャストロールの温度を100℃以上とし、高い結晶化度の未延伸シートを得ることが好ましい。
ついで、得られた未延伸シートを一軸延伸、又は、二軸延伸を行う。一軸延伸は縦一軸延伸であってもよいし、横一軸延伸であってもよい。二軸延伸は同時二軸延伸であってもよいし、逐次二軸延伸であってもよい。未延伸シートの組成、厚み、および延伸倍率を変更することにより、作成される反射シートの厚みと反射率を調整することができる点が本発明の一つの利点である。本発明の目的である反射シートを作製する場合には、各延伸工程で延伸条件を選択でき、多孔構造を制御し易い逐次二軸延伸がより好ましい。なお、シートの流れ方向(MD)への延伸を「縦延伸」といい、流れ方向に対して垂直方向(TD)への延伸を「横延伸」という。
逐次二軸延伸を用いる場合、延伸温度を用いる樹脂組成物の組成、結晶融解ピーク温度、結晶化度等によって適時選択する必要があるが、多孔構造の制御が比較的容易であり、機械強度や収縮率など他の諸物性とのバランスがとりやすい。
逐次二軸延伸を用いる場合、以下のように縦延伸及び横延伸を行うことが好ましい。
<(A)低温縦延伸工程>
縦延伸を行う際は、その後の延伸による開孔をし易くするという理由から、高温縦延伸の前に以下の低温縦延伸工程成形を行うことが好ましい。
未延伸シートを0℃以上60℃未満、好ましくは10℃以上40℃未満の温度で、機械方向に1.1倍以上3.0倍未満、好ましくは、1.2倍以上2.0倍未満の範囲でシートの流れ方向に一軸延伸する。0℃以下で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、また、60℃以上で延伸した場合は、得られる延伸フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。また、本実施の形態で得られる微多孔性フィルムの透過性が向上することから、上記延伸工程を実施する前に、シート成形工程で得られたシートを一定の温度範囲で一定時間熱処理しても良い。
<(B)高温縦延伸工程>
次いで、上記で得られた延伸シートを70℃以上170℃未満、好ましくは90℃以上120℃未満の温度で、機械方向に1.5倍以上5.0倍未満、好ましくは、1.5倍以上3.0倍の範囲でシートの流れ方向に一軸延伸する。70℃以下で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、また、170℃以上で延伸した場合は、得られる延伸フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。また、本実施の形態の微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、上記したような条件で2段階以上延伸することが好ましい。延伸工程を1段階とすると、得られる延伸フィルムが、要求された物性を満たさない場合がある。
<(C)横延伸工程>
横延伸温度は、好ましくは100〜155℃であり、より好ましくは110〜150℃である。前記横延伸温度が規定された範囲内であることによって、縦延伸時に生じた空孔が拡大されて空孔率を増加することができ、十分な反射性能を有することができる。
横延伸倍率は、任意に選択できるが、好ましくは1.1〜10倍であり、より好ましくは1.5〜9.0倍、更に好ましくは2.0〜8.0倍である。規定した横延伸倍率で延伸することによって、縦延伸時に生じた空孔のアスペクト比を高め、かつ、十分な空孔率を有することができる。
本発明において、横延伸倍率/縦延伸倍率の比率は、好ましくは1.5〜12、より好ましくは2.0〜10である。この範囲であることにより、空孔のアスペクト比を高め、十分な反射性能を有する反射シートを得ることができる。
6.反射板
本発明のポリプロピレン系反射シートを金属板もしくは樹脂板に被覆して反射板を形成することができる。この反射板は、液晶表示装置、照明器具、照明看板等に用いられる反射板として有用である。以下に、このような反射板の製造方法について一例を挙げて説明する。
反射シートを金属板もしくは樹脂板に被覆する方法としては、接着剤を使用する方法、接着剤を使用せずに熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコーティングする方法等があり、特に限定されるものではない。例えば、金属板もしくは樹脂板の反射フィルムを貼り合わせる側の面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射シートを貼り合わせることができる。この方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備を使用し、反射シートを貼り合わせる金属板等の表面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm 程度となるように接着剤を塗布する。次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、板の表面を所定の温度に保持しつつ、直にロールラミネーターを用いて、反射シートを被覆、冷却することにより、反射板を得ることできる。
次に、実施例および比較例を示し、本多孔体について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本多孔体の実施形態として、シート状物に賦形した。以下、本多孔体を多孔性フィルムと呼ぶ。また、多孔性フィルムの引き取り(流れ)方向を「MD」、その直角方向を「TD」と記載する。
(ポリプロピレン系樹脂(A))
・A−1;ポリプロピレン(ノバテックFY6HA、MFR:1.9g/10分、日本ポリプロ社製)
(ビニル芳香族エラストマー(B))
・B−1;スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)(グレード名:SEPTON2005、MFR:流動せず、クラレ社製)
・B−2;スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)(グレード名:SEPTON8004、MFR:<0.1g/10分、クラレ社製)
(結晶核剤(C))
・C−1;α晶核剤(ソルビトール系化合物、グレード名:ゲルオールMD―LM30G、新日本理化社製)
・C−2;β晶核剤(3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)
(1)反射率
(株)日立製作所製の分光光度計(U−4000)に積分球を取り付け、波長300〜2600nmの光に対する反射率を測定し、可視光領域の波長(300〜780nm)と近赤外領域の波長(780〜2600nm)そのそれぞれの平均反射率を求めた。尚測定前に、アルミナ白板の反射率が100%となるよう光度計を設定し測定を実施した。
(2)厚み
得られた多孔性フィルムを1/1000mmのダイアルゲージにて、面内を不特定に5箇所測定しその平均を厚みとした。
(3)空孔率
得られた多孔性フィルムの実質量W1を測定し、樹脂組成物の密度と厚みから空孔率0%の場合の質量W0を計算し、それらの値から下記式に基づき算出した。
空孔率(%)={(W0−W1)/W0}×100
(4)アスぺクト比
得られた多孔性フィルムの表面のSEM画像より、任意の空孔の最長辺と最短辺から導いた。小数点以下は四捨五入している。
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を70重量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B−1)を30重量%、前記ポリプロピレン系樹脂(A−1)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B−1)との混合樹脂組成物100重量部に対し、結晶核剤(C−1)を0.1重量部(ポリプロピレン系樹脂100重量部に対しては、0.14重量部)の割合で配合し、2軸押出機に投入し、設定温度240℃で溶融混練後、ストランドダイにてストランド状に賦形した後、ストランドカッターにて裁断し、ペレット化した。
得られたペレットを単軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、127℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み1000μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.5倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.0倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃で、8.0倍横方向に延伸した後、155℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同様に未延伸シート状物、MD延伸フィルムを得た。得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃で、6.0倍横方向に延伸した後、155℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を70重量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B−2)を30重量%、前記ポリプロピレン系樹脂(A−1)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B−2)との混合樹脂組成物100重量部に対し、結晶核剤(C−1)を0.1重量部(ポリプロピレン系樹脂100重量部に対しては、0.14重量部)の割合で配合し、2軸押出機に投入し、設定温度240℃で溶融混練後、ストランドダイにてストランド状に賦形した後、ストランドカッターにて裁断し、ペレット化した。
得られたペレットを単軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、127℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み1000μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.5倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.0倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃で、8.0倍横方向に延伸した後、155℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例3と同様に未延伸シート状物、MD延伸フィルムを得た。次いで得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃で、6.0倍横方向に延伸した後、155℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様に未延伸シート状物、MD延伸フィルムを得た。次いで得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、3.0倍横方向に延伸した後、155℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同様に未延伸シート状物、MD延伸フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を100重量部に対し、結晶核剤(C−2)を0.2重量部の割合で配合し、2軸押出機に投入し、設定温度240℃で溶融混練後、ストランドダイにてストランド状に賦形した後、ストランドカッターにて裁断し、ペレット化した。
得られたペレットを単軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、127℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み1000μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、105℃に設定したロール間において、ドロー比550%(延伸倍率4.5倍)を掛けて延伸を行、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃で、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃で、4.0倍横方向に延伸した後、155℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例4)
ポリプロピレン製メルトブローン繊維とポリエステル短繊維との混合不織布〔住友スリーエム社製 商品名 シンサレート PPM−220〕を前記記載の方法で評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006672633
実施例1〜4において、シート厚みが300μm以内で近赤外領域(780〜2600nm)の平均反射率が92%以上であるため、厚みが薄く近赤外線の反射率が十分に確保されたシートが得られていることがわかる。
比較例1において、厚みが400μm、空孔率74%であるにもかかわらず、近赤外領域の平均反射率は実施例よりも小さい。これは、横方向への延伸倍率が小さく、形成される空孔形状が真円に近いので、アスペクト比が小さく、空孔の界面面積が小さいためであると考えられる。
比較例2では、厚みは950μmと厚いが、近赤外領域の平均反射率が大幅に小さい。これは空孔率が低く、空孔の界面の面積が著しく低いためと考えられる。
比較例3では、厚みが340μm、空孔率68%であり、可視光領域(300〜780nm)の反射率が実施例と同程度であるにもかかわらず、近赤外領域の反射率は大幅に小さい。この様な結果となる理由として、結晶核剤により形成される空孔のスケールが小さく、近赤外領域の波長の反射に適した空孔構造ではないということが考えられる。
比較例4では、厚みが実施例と同程度であり、空孔率は87%と大きな値を示しているのにもかかわらず、可視光及び近赤外領域両方の反射率が著しく小さい。これは、空孔率が高く、空孔構造が十分に形成されていたとしても、空孔のスケールがこれらの範囲の波長を反射させることに適した構造ではないことが考えられる。
本発明の反射シートは、近赤外領域の光に対して反射率が高く、厚みも薄いことから、特に住宅や車両内部などの温度上昇を低減させることを目的とした反射シートに有用である。

Claims (5)

  1. ポリプロピレン系樹脂(A)とビニル芳香族エラストマー(B)を主成分とし、結晶核剤(C)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物から構成され、少なくとも一軸方向に延伸することにより多孔化されてなるシートであって、当該結晶核剤(C)はα晶核剤であり、アスペクト比が2以上の孔を有し、空孔率が50%以上であり、かつ、780〜2600nmの波長領域における平均反射率が92%以上であることを特徴とするポリプロピレン系反射シート。
  2. シート厚みが300μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系反射シート。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂組成物の各成分の割合が、ポリプロピレン系樹脂(A)が55〜85重量%、ビニル芳香族エラストマー(B)が15〜45重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射シート。
  4. 前記ビニル芳香族エラストマー(B)の温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が1g/10分以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリプロピレン系反射シート。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のポリプロピレン系反射シートを、金属板又は樹脂板に被覆してなることを特徴とする反射板。
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