JP2007100056A - 多孔質フィルムの製造方法および多孔質フィルム - Google Patents
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Abstract
【選択図】 なし
Description
熱可塑性樹脂(A)のMFRが小さ過ぎると、延伸フィルムの製造が困難となる。詳細な理由は不明であるが、樹脂混合物の溶融時に熱可塑性樹脂(A)が熱可塑性樹脂(B)中に微分散せず大きい粒子径のまま島相として残り、これが起点となって、延伸切れが発生する等の問題が生じると推定される。また、熱可塑性樹脂(A)のMFRが大き過ぎると、孔の形成が不十分となる。詳細な理由は不明であるが、延伸を行う際に、島相である熱可塑性樹脂(A)が変形し過ぎる為、熱可塑性樹脂(A)相と熱可塑性樹脂(B)相の界面からの剥離が不十分となる為と推定される。孔の形成が不十分であれば、透湿度、透気度が劣り、通気フィルムとして用いた場合の性能が劣る。
工程(a)は、該状態を作り出す事が出来れば特に制限はない。熱可塑性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、必要に応じて他の樹脂を混合機で均一混合した後、ホッパーから押出機に供給し押出機内部で溶融させ、該樹脂の溶融過程の途中または溶融後に二酸化炭素を添加する方法や、該樹脂の混合物をホッパーから押出機に供給する際に、二酸化炭素も同時に供給し押出機内で該樹脂を二酸化炭素を含んだ状態で溶融する方法等が挙げられる。二酸化炭素の安定供給を考慮すれば、樹脂が溶融した後で二酸化炭素を添加し、含有させることが好ましい。
また、押出機が1台のシングル押出機、2台繋がったタンデム押出機、3台以上繋がった多段押出機等、特に限定はない。
本発明において、工程(a)を経た溶融状態の樹脂から二酸化炭素を除去する際に、1MPa以下の圧力下に開放する。開放後、そのままフィルム化工程用の押出機へ供給しても良いし、開放時に、該溶融状態の樹脂を冷却固化しても良い。また、二酸化炭素を除去した後の樹脂を再度押出機等を使用してペレット化しても良い。
工程(b)を経て得られた熱可塑性樹脂ブレンド物を、Tダイ、インフレーションダイが装着された公知の製膜用押出機を用いてフィルム化する。
工程(c)で得られたフィルムを、ロール法、テンター法、インフレーション法等の公知の連続法またはバッチ法による延伸法を用いて、室温からフィルムが溶融するまでの温度において、少なくとも一軸方向に延伸を行い、多孔質フィルムを製造する。
延伸倍率は、1.3〜30倍が好ましく、更に2.5〜20倍が好ましく、更に3.5〜15倍が好ましい。延伸倍率が上記範囲内にある場合、得られた多孔質フィルムの強度が向上する他、延伸切れ、延伸ムラ等が少ないため、生産性にも優れる。また多孔質フィルムの場合は、空孔率が向上することで、通気性、透湿性、光反射性、断熱性、低誘電率化等の多孔質フィルムの機能が向上する。
以下、本発明の全体について、図1、2を用いて説明する。
本発明は、工程(a)、工程(b)、工程(c)、工程(d)をこの順に含んでいれば、これらを連続したプロセスで行っても良いし、工程(b)の後にペレット化工程を入れても良い。また工程(b)以降の各工程を単独で行っても良い。更にまた本発明の目的を損ねない範囲で、工程(c)や工程(d)の後にフィルム幅を調整するスリット工程を入れる等、必要により他の工程を加えてもよい。
本発明で得られる多孔質フィルムの厚みは、1〜500μmが好ましく、更に3〜100μmが好ましく、更に5〜50μmが好ましい。前記範囲の多孔質フィルムの厚みとすることにより、柔軟性、軽量性、二次加工性、使用時のハンドリング等が良好となる。
本発明で得られる多孔質フィルムは、公知公用の多孔質フィルムの用途へ用いることができる。例えば、機能別に挙げると、気体、蒸気、液体のろ過機能を有するフィルム、気体、液体の分離・濃縮機能を有するフィルム、気体の吹き込み、逃し等の通気機能を有するフィルム、液体の透過、流量調節等の透過機能を有するフィルム、光の反射、吸収、偏光制御等の光学機能を有するフィルム、吸音、消音等の音響機能を有するフィルム、断熱、熱伝導、熱交換等の熱的機能を有するフィルム、緩衝、クッション性、防振機能等の衝撃吸収機能を有するフィルム、気体、液体、粒子等の吸収・吸着機能を有するフィルム、液体の供給、移送等の毛管作用を有するフィルム、保水、カプセル等の貯蔵機能を有するフィルム、触媒、表面積等の化学反応機能を有するフィルム、柔軟性、伸縮性、歪の除去等の機械的強度に特徴のあるフィルム等が挙げられる。
(1)ロール表面温度
延伸装置の各ロールの表面温度は、非接触式の放射温度計(ミノルタ(株)製、HT-10D)により測定した。
(2)空孔率
得られた多孔質フィルムから測定サンプルを10箇所採取し、平均目付M(g/m2)、および平均厚みt(m)をそれぞれ測定し、下記計算式により空孔率B(%)を算出した。
B={1-M/(t×Dm)}×100
上記式中のDmは原材料の密度(g/m3)を表す。
透湿度(g/m2・24hr)は、JIS L 1099:1993 塩化カルシウム法(A―1法)により測定した。測定する試験片は、得られた多孔質フィルムから、直径約7cmの大きさに採取した。
あらかじめ約40℃に温めた透湿カップに吸湿剤(塩化カルシウム)を約33g入れ、吸湿剤と試験片の下面との距離が3mmになるように調節した。次に試験片の表面を吸湿剤側に向けて透湿カップに対して同心円になるように載せ、パッキン及びリングを順次装着し、ちょうナットで固定した後、装着側面を粘着テープでシールして試験体とした。
この試験体を温度40±2℃、湿度90±5%RHの恒温・恒湿装置内の試験片上約1cm上部の風速が0.8m/秒を超えない位置に置いた。
次式によって透湿度を算出し、3回の試験結果の平均値で表した。
PA1={10×(α2―α1)}×24/SA1
ここで、PA1(g/m2・24hr)は、透湿度、SA1は、透湿面積(cm2)である。
残灰分(%)は、JIS L1013:1999により、温度850℃で測定した焼却後の残灰分を測定した。得られた多孔質フィルムから、試料約5〜10gの絶乾質量を測定した。その試料をるつぼに入れ、飛散しないように注意しながら徐々に燃焼させた後、約850℃で約2時間灰化した。灰化した試料をデシケータ中で冷却し、質量を量った。更に約850℃で30分間しゃく熱して質量減が0.5mg以下になるまで繰り返し、次式によって残灰分(%)を算出し、2回の平均値で表した。
A=R’/R×100
ここで、A(%)は残灰分、灰分R(g)は試料の絶乾質量、R’(g)はしゃく熱残さの質量である。
MFR(g/10min)を、JIS K 7210:1999法により測定した。測定温度と荷重は、ポリプロピレンが230℃、2.16kg荷重、ポリスチレンが200℃、5kg荷重である。
測定機は、テスター産業(株)製、オートメルトインデクサー TP−406を用いた。シリンダーの温度を所定の温度に設定した後、シリンダー内を窒素で10秒間置換した。試料4gを押し出しピストンを用い1分以内にシリンダー内に充填した。ピストンの上に規定の試験荷重を載せストッパーで固定したまま6分間保持した。その後ストッパーを外しエアー抜きを行う。ストップウオッチで時間を計りながら、試料を適当な長さでカットし、質量を1mgまで正確に測定した。下式を用いることで得られた測定値から10分間あたりの測定値を得た。
MFR=(600×m)/t
MFR:メルトフローレート(g/10min)
m:切り取った試料の重量(g)
t:重量測定用試料採取時間
透気度(s/100cc)はJIS P 8117 ガーレ試験法により測定した。測定する試験片は、得られた多孔質フィルムから、直径約20cmの大きさに採取した。
あらかじめ23℃に設定した恒温室に十分長い時間放置したのち、試験機に設置し25ccの空気が通過する時間を測定し、その後100ccの空気が通過する時間を換算で求めた。
実施例・比較例で作製した多孔質フィルムの両面にポリプロプレン製スパンボンド不職布(目付け30g/m2)をエンボス試験機(由利ロール(株)製、油圧式クリアランスエンボス機)を用いラミートし、スパンボンド不職布−多孔質フィルム−スパンボンド不職布の三層構造の積層フィルムを作製した。ラミネート時の条件は、設定温度を135℃、ライン速度を10m/min、線圧を40kg/cmとした。この積層フィルムを用い、以下の方法でウイルスバリア試験を施した。
図1に示した装置構成により熱可塑性樹脂ブレンド物を製造した。混合機11としてヘンシェルミキサー、押出機としてはスクリュー径50mmの第1押出機1(単軸、L/D=30)とスクリュー径65mmの第2押出機3(単軸、L/D=25)とスクリュー径40mmのペレット化用押出機5(単軸、L/D=10)を用い、冷却用水槽7、およびペレタイザー8を用いた。第1押出機1と第2押出機3とは、接続管2で繋がった構成となっている。第2押出機3先端には、第1、および第2押出機内の圧力が制御できる圧力制御ダイ4を設けた。圧力制御ダイ4の出口は下向きで、出口形状は丸型とした。圧力制御ダイ4の出口の下にペレット化用押出機5のホッパーが位置するようペレット化用押出機5を設置した。ペレット化用押出機5の先端には、3つの孔を有するストランドダイ6を設けた。圧力制御ダイ4の出口から、ペレット化用押出機5のスクリューまでの距離を約300mmとした。二酸化炭素供給部9は、第1押出機1の中央付近に設けた。
熱可塑性樹脂(B)10aとして、ポリプロピレン(三井化学(株)製J226E、MFR:20g/10min)54質量部と、熱可塑性樹脂(A)10bとして、ポリスチレン(日本ポリスチレン(株)製G690N、MFR:2.0g/10min)44質量部と相溶化剤として機能する熱可塑性樹脂として、スチレン―エチレン―ブチレン―スチレンブロック共重合体(SEBS)(KRATON Polymer製KRATON G1657M)2質量部使用した以外は実施例1と同様に行った。延伸は6.5倍延伸ができなかったため5.5倍延伸で行った。得られた多孔質フィルムの膜厚は50.2μm、空孔率は57.6%、透湿度は良好で4,515g/m2・24hr、残灰分は殆どなく、透気度は1860s/100cc、ウイルスバリア試験は合格であった。
熱可塑性樹脂(B)10aとして、ポリプロピレン(三井化学(株)製J226E、MFR:20g/10min)54質量部と、熱可塑性樹脂(A)10bとして、ポリスチレン(日本ポリスチレン(株)製G590、MFR:3.5g/10min)44質量部と相溶化剤として機能する熱可塑性樹脂として、スチレン―エチレン―ブチレン―スチレンブロック共重合体(SEBS)(KRATON Polymer製KRATON G1657M)2質量部使用した以外は実施例1と同様に行った。延伸は均一に行なうことができ、延伸性は良好であった。得られた多孔質フィルムの膜厚は33.7μm、空孔率は47.6%、透湿度は3531g/m2・24hr、殆どなく、透気度は3369s/100cc、ウイルスバリア試験は合格であった。
熱可塑性樹脂(B)10aとして、ポリプロピレン(三井化学(株)製J226E、MFR:20g/10min)54質量部と、熱可塑性樹脂(A)10bとして、ポリスチレン(日本ポリスチレン(株)製G430、MFR:10g/10min)44質量部と相溶化剤として機能する熱可塑性樹脂として、スチレン―エチレン―ブチレン―スチレンブロック共重合体(SEBS)(KRATON Polymer製KRATON G1657M)2質量部使用した以外は実施例1と同様に行った。延伸は均一に行なうことができ、延伸性は良好であった。得られた多孔質フィルムの膜厚は32.0μm、空孔率は45.5%、透湿度は2279g/m2・24hr、残灰分は殆どなく、透気度は10668s/100cc、ウイルスバリア試験は合格であった。
熱可塑性樹脂(B)10aとして、ポリプロピレン(三井化学(株)製J227T、MFR:30g/10min)54質量部と、熱可塑性樹脂(A)10bとして、ポリスチレン(日本ポリスチレン(株)製G899、MFR:1.2g/10min)44質量部と相溶化剤として機能する熱可塑性樹脂として、スチレン―エチレン―ブチレン―スチレンブロック共重合体(SEBS)(KRATON Polymer製KRATON G1657M)2質量部使用した以外は実施例1と同様に行った。延伸が不安定で製膜フィルムを得ることができなかった。
熱可塑性樹脂(B)10aとして、ポリプロピレン(三井化学(株)製J226E、MFR:20g/10min)54質量部と、熱可塑性樹脂(A)10bとして、ポリスチレン(日本ポリスチレン(株)製G899、MFR:1.2g/10min)44質量部と相溶化剤として機能する熱可塑性樹脂として、スチレン―エチレン―ブチレン―スチレンブロック共重合体(SEBS)(KRATON Polymer製KRATON G1657M)2質量部使用した以外は実施例1と同様に行った。延伸が不安定で製膜フィルムを得ることができなかった。
2 連結管
3 第2押出機
4 圧力制御ダイ
5 ペレット化用押出機
6 ストランドダイ
7 水槽
8 ペレタイザー
9 二酸化炭素供給部
10a 熱可塑性樹脂(B)
10b 熱可塑性樹脂(A)
11 混合機
12 ホッパー
13 二酸化炭素ボンベ
14 二酸化炭素用定量ポンプ
15 冷媒循環機
16 直接質量流量計
17 保圧弁
18 熱可塑性樹脂ブレンド物
19 製膜用押出機
20 Tダイ
21 キャスターロール
22 予熱ロール
23 延伸前ロール
24 延伸ロール
25 アニールロール
26 巻取機
27 熱可塑性樹脂ブレンド物のペレット
28 フィルム
29 延伸フィルム
Claims (6)
- MFRが1.5〜10.0g/10minの熱可塑性樹脂(A)2〜50質量%、前記熱可塑性樹脂(A)とは異なる種類であるMFRが20〜50g/10minの熱可塑性樹脂(B)50〜98質量%を含む熱可塑性樹脂混合物を溶融混合し、該溶融混合した熱可塑性樹脂をフィルム化し、ついで延伸してなる多孔質フィルムの製造方法。
- 熱可塑性樹脂(A)のMFRが1.5〜3.0g/10minである請求項1記載の多孔質フィルムの製造方法。
- 熱可塑性樹脂(B)のMFRが30〜50g/10minである請求項1記載の多孔質フィルムの製造方法。
- 熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)を溶融混合する際に、該熱可塑性樹脂混合物100質量部に対して2〜200質量部の二酸化炭素を含んだ状態で溶融状態にした後、該熱可塑性樹脂を1MPa以下の圧力下に開放する事により二酸化炭素を除去することにより混合する請求項1記載の多孔質フィルムの製造方法。
- 二酸化炭素の除去を0.08〜0.12MPaの圧力下で行う請求項4記載の多孔質フィルムの製造方法。
- 請求項1〜5の製造方法により得られうる多孔質フィルム。
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JP2005139228A (ja) | ポリオレフィン樹脂多孔膜 |
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