JP2020033741A - 複層型下敷きテープ - Google Patents

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Abstract

【課題】製造しやすく巻形状が綺麗で、更に、耐切創性に優れた下敷きテープの提供。【解決手段】2つのシート(上層シート2、下層シート3)の間にネット状部材4を挟み、2つのシート同士を両端部1Aのみにおいてネット状部材4とともに接着した構造の複層型下敷きテープ1において、2つのシートのうちの少なくとも一方を、通気性シートで構成することで、内部に空気がたまりにくくし、製造時の実質的な厚さを低減する。通気性シートとして、特にスパンボンド不織布を使用するのが好ましく、カレンダー加工を施したスパンボンド不織布だと更に好ましい。【選択図】図2

Description

本発明は、壁紙(クロス)の重ね合わせ部を切断する際に、下地材を保護するために、下地材と壁紙重ね合わせ部との間に一時的に設置して使用される下敷きテープに関する。
建築物の室内の壁面や天井面の内装工事において、石膏ボード等の下地材の表面に壁紙を貼り付ける工法が一般的となっている。壁紙は、所定の幅で製造された、例えば95cm幅の定尺品等が使用される。その定尺品を広い壁面や天井面となる下地材に貼る場合、壁紙を繋ぎ合わせながら下地材に貼り付けていく。その際、繋ぎ合わせ部は壁紙の側部と該壁紙に隣接する他の壁紙の側部とを重ね合わせ(オーバーラッピング)、その状態で重ね合わせ部をカッターナイフ等の刃物で連続的に切断し、下地材に貼り付ける壁紙以外の不要な壁紙は除去することになる。
壁紙を刃物で切断して除去する際には、刃物の刃先は壁紙を貫通することになるため、下地材を傷付けないために、下地材と壁紙との間に下地材を保護する下敷きテープを一時的に設置するのが一般的である。下敷きテープは、壁紙の切断後に、拡開された壁紙の側部から除去される。
図4に、下敷きテープを使用した壁紙の切断の例を示す。隣接する壁紙11と壁紙11の壁紙重ね合わせ部11Aは、カッター等の刃物により切断される(図4(a)において、切断部11Bを点線で示した)。この際に、壁紙重ね合わせ部11Aをそのまま切断してしまうと、下地材10を傷つけてしまうため、下敷きテープ1を壁紙重ね合わせ部11Aと下地材10との間に挟んだ状態で切断を行う。
壁紙11は、下地材10との貼り付け面(壁紙の裏面)に接着剤(糊)を付与し、下地材10に容易に貼り付けることができる構成となっており、切断後、壁紙11の切れ端や下敷きテープ1を除去し、壁紙11の側部を相互に突き合わせる。
この際、施工が良好な場合は、仕上面となる表面は平滑な面となり、突合わせ部12が判別しにくい綺麗な仕上げとなる(図4(b))。
下敷きテープには、刃物の刃先を劣化させないために、また、除去した際に壁紙の接着剤(糊)を掻き取らないために、十分な柔軟性が要求される。
また、下敷きテープの耐切創性が不十分な場合、壁紙を切断する際、刃物の刃先が下敷きテープを貫通して下地材に傷が生じ、この傷がクロスの貼着終了後にクロスの表面に凹部となって現われて美観を損ねるとともに、深い傷の場合には、その部分が空隙となるため壁紙の接着が不十分となり、当該箇所から壁紙が剥がれるという問題点が生じる場合があるため、下敷きテープには十分な耐切創性が要求される。
下敷きテープに十分な耐切創性を付与するために、下敷きテープの素材や形状等に関して、種々の検討がなされている。
特許文献1には、2つの樹脂フィルム層の間に破断伝達阻止層を積層することによって切断の際に壁紙に接する樹脂フィルム層において刃先で破断が生じても該破断を下地に接する樹脂フィルム層へ伝達されるのを阻止する下敷きテープが記載されている。
特許文献2には、合成樹脂製の平糸からなる経糸と、この経糸よりも厚みが大きい合成樹脂製の平糸からなる緯糸とを平織した織物によって形成された下敷きテープが記載されている。
特許文献3には、経糸がフラットヤーン、緯糸がモノフィラメントである平織りした織物の少なくとも片面にプラスチックフィルムをラミネートしたシートを、縦方向に所定幅でスリットした下敷きテープが記載されている。
特許文献4には、合成樹脂からなる複数本の経糸と合成樹脂製フラットヤーンからなる複数本の緯糸とが交差することによって形成された布状体と、該布状体の少なくとも片面に積層された熱可塑性樹脂製フィルムとによって形成されたテープ基材において、布状体の緯糸を経糸よりも厚くし、経糸や緯糸の空間率を特定の範囲とした下敷きテープが記載されている。
特許文献5には、横縦のそれぞれの合成樹脂繊維の糸の交差部を接着固定して成る網状の編物を合成樹脂フィルムに貼着した下敷きテープが記載されている。
特許文献6には、下地ボードに貼られるクロスのジョイント部の切断に際し、該ジョイント部の下側に配置して下地ボードを保護するためのテープであって、柔軟な合成繊維又は天然繊維で形成した網状シートの表裏両面側に合成樹脂フィルムを被せ、前記網状シートと表裏の合成樹脂フィルムの両側縁部のみを互いに接着させた下敷きテープが記載されている。
しかしながら、上記した各先行技術の下敷きテープは、耐切創性を向上させるため等の目的から、単純な構造ではなくなり、製造が困難になる傾向にある。このため、図3に示すように、長尺品をロール状に巻く際に、巻形状が綺麗でなくなる場合があり、作業者に高い力量が要求される。
このため、耐切創性が十分であり、かつ、綺麗な巻形状としやすい下敷きテープの開発が望まれている。
特開2004−197396号公報 特開2008−121249号公報 特開2009−248250号公報 特開2015−036486号公報 実用新案登録第3192127号公報 特開2004−019411号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、巻形状を綺麗にしやすく、かつ、耐切創性に優れた下敷きテープを提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、複層構造の下敷きテープは、製造時に層間に空気が流入することがあり、該空気の影響により、長尺品をロール状に巻く際に、巻形状が不安定となる場合があった。
そこで、本発明者は、複層構造の下敷きテープを構成するシートの少なくとも一方を、通気性のあるシートで構成することにより、層間に空気がたまりにくくなり、かかる問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下地材の表面に壁紙を貼付するに当たり、隣接する壁紙の端部同士を重ね合わせた状態で、壁紙重ね合わせ部を切断する際に、該下地材と該壁紙重ね合わせ部との間に一時的に設置し、該下地材を保護するために使用される複層型下敷きテープであって、
2つのシートの間にネット状部材を挟み、該2つのシート同士を両端部のみにおいて該ネット状部材とともに接着した構造を有しており、該2つのシートのうちの少なくとも一方が、通気性シートで構成されていることを特徴とする複層型下敷きテープを提供するものである。
本発明の複層型下敷きテープは、製造時に層間に空気がたまりにくく、図3に示すように、長尺品をロール状に巻いた際の巻形状を綺麗にしやすい。
本発明の複層型下敷きテープは、耐切創性が十分であり、切断の際にネット状部材の緯糸の抵抗感を感じることができるので、壁紙重ね合わせ部の切断の際に、石膏ボード等の下地材まで連続的に傷を生じさせにくい。
本発明の複層型下敷きテープを構成する各部材を示す図である。 本発明の複層型下敷きテープを示す図である。 本発明の複層型下敷きテープをロール状に巻いた状態を示す図である。 本発明の複層型下敷きテープの使用方法を示す図である。 実施例において使用した耐切創性測定装置を示す模式図である。 (a)刃物の刃先を被切創体(複層型下敷きテープ)に突き刺していない状態 (b)刃物の刃先を被切創体(複層型下敷きテープ)に突き刺し被切創体の切断を開始する前の状態 (c)被切創体(複層型下敷きテープ)の切断を完了した後の状態
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
図4に本発明の複層型下敷きテープの使用方法を示す。本発明の複層型下敷きテープ1は、下地材10の表面に壁紙11を貼付するに当たり、隣接する壁紙11の端部同士を重ね合わせた状態で、壁紙重ね合わせ部11Aを切断する際に、下地材10と壁紙重ね合わせ部11Aとの間に一時的に設置し、下地材10を保護するために使用されるものである(図4(a))。切断作業完了後、複層型下敷きテープ1は、除去される。
上記のように、壁紙11の貼付作業の際に、壁紙重ね合わせ部11Aを刃物で切断する作業を行う際に、下地材10(石膏ボード等)まで切断してしまうおそれがあるが、本発明の複層型下敷きテープ1を使用することで、下地材10に連続した傷がつきにくくなる。
本発明の複層型下敷きテープ1は、図1に示した、上層シート2、下層シート3及びネット状部材4という3つの部材から構成されている。
本発明の複層型下敷きテープ1は、図2に示すように、2つのシート(上層シート2、下層シート3)の間にネット状部材4を挟み、2つのシート(上層シート2、下層シート3)同士を両端部1Aのみにおいてネット状部材4とともに接着した構造を有している。
複層型下敷きテープ1の使用の際に、壁紙重ね合わせ部11Aの側に位置するシートが上層シート2、下地材10の側に位置するシートが下層シート3である。
本発明の複層型下敷きテープ1においては、2つのシートのうちの少なくとも一方が、通気性シートで構成されている。
「通気性シート」とは、JIS L 1913のフラジール形法で測定した通気度が30cm/cm/sec以上のシートをいう。
本発明の複層型下敷きテープ1は、2つのシートが、両端部1Aのみにおいてネット状部材4とともに接着固定されており、両端部1A同士に挟まれた中央部は、非固定部分となっている。すなわち、本発明の複層型下敷きテープ1は、ネット状部材4が、2つのシートの両端部同士が接着されることで構成された袋ないし筒に包まれたような状態となっている。
このため、仮に、2つのシートが共に通気性の無いシートであった場合、中央部に空気がたまることにより、ロール状に巻いた際の巻形状を綺麗にすることができない場合がある。
本発明の複層型下敷きテープ1は、2つのシートのうちの少なくとも一方が、通気性シートで構成されているため、中央部に空気がたまりにくくなり、2つのシートが共に通気性の無いシートである場合に考えられる上記のような問題が生じにくい。
本発明の複層型下敷きテープ1における2つのシートは、そのうち一方のみが通気性シートで構成されていてもよいし、両方が通気性シートで構成されていてもよい。
2つのシートの間に挟まれているのは、ネット状部材4であるので、2つのシートの一方でも通気性シートで構成されていれば、中央部に空気がたまりにくくなり、本発明の効果が奏される。
通気性シートは、上記のように、JIS L 1913のフラジール形法で測定した通気度が30cm/cm/sec以上のシートである。この要件を満たしていれば、通気性シートを構成する素材等に特に限定は無い。具体的な通気性シートの素材としては、不織布、織物、編物、有孔フィルム等が例示できる。これらの素材は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
通気性シートを構成する不織布としては、具体的には、例えば、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。
このうち、長繊維からなるスパンボンド不織布は、毛羽がほとんど無く、低発塵性に優れているため、通気性シートを構成する素材として特に好ましい。
短繊維からなるスパンレース不織布やニードルパンチ不織布等は、毛羽が多く、かつ、毛羽が抜け易いので、壁紙の裏面の糊によって毛羽が抜けて毛羽が壁紙面に付着しやすくなり壁紙の接着性が低下する、といった問題を生じる場合がある。
本発明の複層型下敷きテープ1における不織布の通気性シートは、カレンダー加工を施されたものであることが好ましい。通気性シートにカレンダー加工を施すことにより、熱圧着により通気性シートが薄くなり、巻き径を小さくできたり、施工性を良好とすることができたりするのみならず、上記した毛羽が抜けやすい素材を使用した場合であっても、毛羽をシート内部に閉じ込めることができ、毛羽が抜けることに起因する上記問題が生じにくくなる。カレンダー加工には、公知のカレンダー機を適宜使用することができる。
通気性シートとして、不織布を使用した場合、壁紙切断の際に、刃物の刃先が、不織布中の繊維に引っかかることにより、耐切創性が向上する。上層シート2が不織布の場合、特にこの傾向が強くなるため、耐切創性の観点からは、上層シート2を不織布で構成するのが望ましい。
一方、上層シート2は、壁紙11の裏面と直接接触するので、壁紙の糊を掻き取りにくいように構成するのが好ましい。通気性シートの素材によっては壁紙の糊が移行し易かったり、エンボス加工が困難であったりするので、糊の掻き取り量を低減するという観点からは、下層シート3(下地材10と壁紙重ね合わせ部11との間に一時的に設置する際に、下地材10の側に位置する方のシート)が通気性シートで構成されているのが望ましい。
本発明の複層型下敷きテープ1における通気性シートがスパンボンドの場合、その厚さは、20μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、80μm以上であることが特に好ましい。また、180μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、120μm以下であることが特に好ましい。なお、通気性シートにカレンダー加工を施す場合、上記厚さは、カレンダー加工後の厚さである。
上記下限以上であると、強度が十分となりやすい。また、上記上限以下であると、巻き径が小さくなる;作業完了後に、複層型下敷きテープ1を抜き取りやすくなる;等の効果を奏する。
本発明の複層型下敷きテープ1の中央部は、接着固定されていない非固定部分となっており、壁紙を切断する際には、中央部に刃物が接触することになる。中央部においては、ネット状部材4は、両側のシート(上層シート2と下層シート3)に固定されていないため、緯糸4Aは、自由に動ける状態となっている。このため、緯糸4Aは、刃物が接触した際に、刃先の移動方向に引っ張られることになり、施工者にその感触が伝わり、力を入れ過ぎて下地材10まで傷をつけることを防止することができる。また、仮に下地材10に傷がついたとしても、その傷は、連続した線状の傷ではなく、点状の傷であり、壁紙11が剥がれるといった問題を生じにくい。
本発明の複層型下敷きテープ1の幅は、20mm以上であることが好ましく、25mm以上であることがより好ましく、30mm以上であることが特に好ましい。また、100mm以下であることが好ましく、80mm以下であることがより好ましく、50mm以下であることが特に好ましい。
幅が上記下限以上であると、複層型下敷きテープの設置に際し、壁紙10同士の縦方向の位置が横にずれた場合も突合わせ部12が複層型下敷きテープの幅内に収まる余裕があることはもちろん、中央部(非固定部分)の幅を十分に確保することができ緯糸4Aが引っ張られやすくなり、上記効果を奏しやすい。幅が上記上限以下であると、コスト的に有利である;壁紙10の糊の掻取量を少なくできる;突合わせ部12の付近が歪みにくくなる;等のメリットがある。
複層型下敷きテープ1の中央部(非固定部分)の厚さは、100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることが特に好ましい。また、500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることが特に好ましい。
厚さが上記上限以下であると、突合わせ部12に歪みが生じにくくなり、施工不良(突合わせ部12付近の盛り上がり)が発生しにくくなる。また、各部材の強度を十分に保ったり、糊の掻取量を減少させるべくエンボス加工したりすると、厚さは上記下限以上となる場合が多い。
複層型下敷きテープ1の両端部1Aにおいては、接着剤によって、上層シート2と下層シート3とが、ネット状部材4とともに接着固定されている。両端部1Aの接着固定に使用される接着剤としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、フッ素系接着剤、シリコーン系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、エチレン酢酸ビニル系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤等が例示できる。
両端部1Aを接着固定するために使用される接着剤の量は、複層型下敷きテープ1においては、1mあたり、5g以上が好ましく、10g以上が特に好ましい。また、30g以下が好ましく、25g以下が特に好ましい。
上記下限以上であると、両端部1Aをしっかりと固定でき、刃物で切断する際に、緯糸4Aが動きやすくなる。上記上限以下であると、コスト的に有利であり、また、上記上限を超えて接着剤を使用しても、複層型下敷きテープ1の耐切創性等の性能は向上しない。
複層型下敷きテープ1の両端部(固定部分)1Aの幅は、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることが特に好ましい。また、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、7mm以下であることが特に好ましい。
上記範囲内であると、両端部1Aをしっかりと固定することができ、また、中央部の幅を十分に確保することができるので、緯糸4Aの動きを施工者が感じやすくなり、下地材10に傷(特に、連続した線状の傷)がつきにくくなる。
本発明の複層型下敷きテープ1は、図3に示すように、長尺品をロール状に巻き、コンパクトな状態で保存し、施工現場で必要な長さに切り出して使用するようにするのが望ましい。
本発明の複層型下敷きテープ1は、2つのシートのうちの少なくとも一方が、通気性シートで構成されているため、中央部に空気がたまりにくく、ロール状に巻いた際に、巻き径を小さくすることができ、嵩張らない状態で保存しやすい。
上層シート2は、複層型下敷きテープ1の使用の際に、壁紙重ね合わせ部11Aの側に位置するシートである。すなわち、上層シート2は、壁紙重ね合わせ部11Aの下側の壁紙11の裏面(すなわち、糊が付いた面)と接触するシートであるため、上層シート2は、糊が移行しにくい(糊を掻き取りにくい)ように構成するのが望ましい。
上層シート2(下地材10と壁紙重ね合わせ部11Aとの間に一時的に設置する際に、壁紙11の側に位置する方のシート)は、凹凸構造を有しているのが好ましい。このようにすることにより、壁紙11の裏面の糊の掻取量を低減することができる。
上層シート2に凹凸構造を設ける方法には特に限定は無く、例えば、公知のエンボス加工技術により凹凸構造を設けることができる。
上層シート2のエンボス部2Aの形状に特に限定は無く、例えば、図1等に示す矩形のエンボス部が挙げられる。
エンボス部2Aは、上層シート2の裏面(複層型下敷きテープ1においてネット状部材4に向いている面)の側に向かって突き出ていると、糊掻取量を低減することができるため望ましい。
上層シート2の素材としては、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等の不織布;織物;編物;低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナイロン6、ナイロン66等の合成樹脂フィルム;等が例示できる。
このうち、無延伸ポリプロピレン(CPP)は、エンボス加工しやすいことから、下層シート3を通気性シートとする場合、上層シート2の素材として望ましい。
下層シート3は、設置の際に下地材10の側に位置するシートである。下層シート3は、壁紙11の裏面とは接触しないので、糊の付着しやすさを考慮して下層シート3を選択する必要は無い。また、下層シート3は、壁紙の裏面とは接触しないので、特に加工のなされていない平坦なシートであるのが望ましい。
下層シート3の素材としては、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等の不織布;織物;編物;低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂フィルム;等が例示できる。
ネット状部材4は、複層型下敷きテープ1の長手方向に略平行な経糸4Bと、経糸4Bと略直交し複層型下敷きテープ1を幅方向に横断する緯糸4Aとで構成されている。
複層型下敷きテープ1を敷いた状態で、壁紙11を切断すると、刃物の刃先は、複層型下敷きテープ1の中央部(非固定部分)の緯糸4Aに接触し、中央部において、緯糸4Aは両側のシートには拘束されていないので、刃先の移動方向に引っ張られ、施工者に抵抗感を伝える。
ネット状部材4は、経糸4Bと緯糸4Aとから構成されていれば、特に限定は無い。例えば、平織やからみ織の織物であってもよいし、経糸4Bと緯糸4Aとを織ることなく接着したものであってもよい。
ネット状部材4が織物の場合、経糸4Bと緯糸4Aの交点4Cは、目止め加工されていなくてもよいし、目止め加工されていてもよい。目止め加工に使用される目止め剤としては、アクリル系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、エチレン酢酸ビニル系接着剤、ポリビニルアルコール接着剤等が例示できる。
ネット状部材4を構成する糸(経糸4Bと緯糸4A)の素材としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、アラミド、ポリアリレート、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール等が例示できる。経糸4Bと緯糸4Aの素材は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
緯糸4Aは、刃物に引っ張られるので、強度が要求され、また、施工者に抵抗感を伝えやすくするために、その素材としては、上記したもののうち、高強力ビニロン、超高分子量ポリエチレン、パラアラミド、ポリアリレート、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾールが特に好ましい。
ネット状部材4を構成する糸は、紡績糸、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸の何れでもよい。
強度が要求される緯糸4Aが紡績糸の場合は、強度の大きい牽切紡績糸であるのが特に好ましい。
ネット状部材4を構成する糸の太さは、フィラメント糸の場合、50デニール以上が好ましく、100デニール以上が特に好ましい。また、750デニール以下が好ましく、550デニール以下が特に好ましい。
紡績糸の場合、綿番手で7番手以上が好ましく、10番手以上が特に好ましい。また、100番手以下が好ましく、50番手以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、耐切創性が十分となりやすい。また、複層型下敷きテープ1の厚さを十分に薄くすることができ、良好に施工しやすくなる。更に、切断の際に施工者に抵抗感が伝わりやすくなる。
ネット状部材4において、隣接する糸同士の間隔(経糸4B同士の間隔、緯糸4A同士の間隔)は、1mm以上が好ましく、2mm以上が特に好ましい。また、10mm以下が好ましく、7mm以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、緯糸の動きを施工者が感じやすくなり、下地材10に傷(特に、連続した線状の傷)がつきにくくなり耐切創性が向上しやすい。また、複層型下敷きテープ1の厚さが十分に薄くなる。更に、材料コストを抑えることができ経済的である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
[複層型下敷きテープの作製]
以下に示すようにして、複層型下敷きテープ(以下、単に「テープ」という場合がある。)を作製した。
<例1>
経糸としてポリエステル紡績糸(Ne30/1)、緯糸としてパワロン(登録商標、(株)クラレ製、高強力ビニロン)のパーロック式牽切紡績糸(Ne10/1)を使用して、ネット状部材を作製した。経糸は3mm間隔、緯糸は3mm間隔で設置し、経糸と緯糸の交点は、アクリル系目止め剤によって接着した。
上層シートとして、厚さ100μm・幅35mmのスパンボンド不織布をエンボス加工したもの、下層シートとして、厚さ20μm・幅35mmの低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム(エンボス加工なし)をそれぞれ使用し、前記ネット状部材を、上層シートと下層シートで挟んだ状態で、両シートの両端部のそれぞれ4mmを、EVA−アクリル系接着剤により接着することにより、テープT1を作製し、テープT1の厚さを測定した。テープT1の厚さは、0.380mmであった。
なお、各フィルムやテープT1の厚さは、ダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製)によって測定した。テープT1の厚さは、中央部(非固定部分)で測定した値である。
<例2>
下層シートとして、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムの代わりに、厚さ100μmのスパンボンド不織布(エンボス加工なし)を使用した以外は、例1と同様にして、テープT2を作製した。テープT2の厚さは、0.380mmであった。
<例3>
上層シートとして、スパンボンド不織布の代わりに、厚さ25μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(例2と同様の要件でエンボス加工を施した)を使用した以外は、例2と同様にして、テープT3を作製した。テープT3の厚さは、0.375mmであった。
<例4>
例1で使用したのと同じ厚さ100μmのスパンボンド不織布をカレンダー加工することにより、厚さを30μmに低減させた後、例1と同様の要件でエンボス加工を施した。
例1において、上層シートとして、かかるカレンダー加工及びエンボス加工を施したスパンボンド不織布を使用した以外は、例1と同様にして、テープT4を作製した。テープT4の厚さは、0.360mmであった。
[耐切創性の測定]
(1)測定装置
図5に示す耐切創性測定装置(特願2017−085002に記載の「態様2」の耐切創性測定装置)を使用して、各テープの耐切創性を測定した。
図5に示す耐切創性測定装置T1は、シート状物である被切創体Sを、基板T10に水平に固定する被切創体固定手段T11を有する。被切創体固定手段T11により、基板T10に水平に固定された被切創体Sに刃物Bが当てられた状態で、刃物Bを水平方向に移動させることにより、被切創体Sの耐切創性を試験する。
耐切創性測定装置T1は、被切創体Sを切断するための刃物Bを保持する刃物保持体12を有する。刃物保持体T12は、刃物Bを保持するための保持部T16を具える。
耐切創性測定装置T1は、刃物Bの刃先B1を被切創体Sに接触させながら刃物保持体T12を水平方向に移動させる刃物保持体移動手段T15を有する。刃物Bの刃先B1が被切創体Sと接触した状態で、刃物保持体T12(刃先B1)を水平方向に移動させることにより、被切創体Sの耐切創性を試験する。
耐切創性測定装置T1は、ホルダー部T14aを有する棒状の錘保持手段T14を有しており、錘の数を変更することで刃物Bの刃先B1が被切創体Sに与える荷重の調整を行うことができる(なお、図5には錘を図示していない)。
図5(a)は、耐切創性の測定を開始する前の状態を示す。水平に配置された基板T10の上に、シート状物である被切創体Sが、被切創体固定手段T11によって固定された状態となっている。
刃物Bの刃先B1は被切創体Sの上方に位置するような状態で刃物保持体T12に保持されている。
測定を開始する際には、刃物保持体移動手段T15により、刃物保持体T12を、鉛直方向に降下させる。これにより、図5(b)に示すように、刃物Bの刃先B1が、被切創体Sに突き刺さった状態となる。
次いで、刃物保持体移動手段T15により、刃物保持体T12を、右方向に水平移動させる。これにより、刃物Bは、刃物保持体T12とともに、水平移動する(水平移動後の状態を図5(c)に示す)。
この動作により、被切創体Sは、刃先B1から一定の荷重を受けることにより、刃先B1と接触した部分が切断される。
(2)測定条件
基板T10としては、石膏ボードを使用した。
被切創体Sは、下地紙、各テープ、壁紙(1層目)、壁紙(2層目)の順序で積層したものを使用した。また、壁紙(2層目)において、刃先B1が触れる部分の付近は、定規によって固定した。すなわち、下地紙を使用した以外は、実際の壁紙重ね合わせ部の切断(図4(a))と同様の状況で測定した(なお、下地紙は、石膏ボードが切断されているかどうかを可視化しやすくするために挟んだものであり、ごく薄いので耐切創性にほとんど影響を与えない)。
刃物Bは、オルファ株式会社製のロング型カッター用替刃(品番:BBL50K、刃厚0.30mm)であり、刃物Bと被切創体Sとがなす角度は、30°となるようにした。
また、刃先B1にかかる荷重(電子天秤により測定)が、629gfとなるように調整した。
切断の際の刃物保持体T12(及びそれに保持されているカッターナイフ)の水平方向の移動距離は14cm、移動速度は3m/minとなるようにした。
(3)評価
切断後の各テープについて、貫通部分の長さを測定し、貫通長さL[cm]を、以下のようにして算出した。
水平移動開始直後は、装置のがたつき等による影響を受けやすいため、初期の4cmを評価の対象外とした。また、点状の傷は、施工の際に問題とならないため、緯糸の間隔である3mm以下の貫通については、貫通長さL[cm]の算出から除外した。すなわち、初期の4cmを除外した10cmの部分を対象として、3mmを超える貫通部分の長さを合計した値を、貫通長さL[cm]とした。
また、100×(L/10)を、貫通率[%]とし、以下の基準で評価した。
5点:貫通率が0%
4点:貫通率が0%を超え25%未満
3点:貫通率が25%以上50%未満
2点:貫通率が50%以上75%未満
1点:貫通率が75%以上100%未満
0点:貫通率が100%
各テープ(テープT1〜T4)を使用した場合について、同一の刃物で10回測定して平均値を算出した。10回測定後、刃物を新品に交換して同様に10回測定し平均値を算出した。これを計5回繰り返して測定し、最大値と最小値を除いた3回分の平均値を算出し、以下の基準で表1に示した。
◎:平均値が4点以上
○:平均値が3点以上4点未満
×:平均値が3点未満
[テープの巻き取り性]
作製した原反(幅1100mm、長さ1000m)をスリット加工し、図3に示すような長尺のテープ(幅35mm、長さ100m)を作製し、以下の基準で巻き取り性を評価した。
◎:巻形状が綺麗である。
○:巻形状がややいびつである。
なお、外径185mmは、市販の糊付機にテープをセットできる最大の巻径である。
(評価結果)
各テープに関して、評価結果を表1に示す。
Figure 2020033741
スパンボンドの通気性シートを、複層型下敷きテープを構成するシートとして使用することにより、良好な耐切創性を得ることができた。特に、両方のシートをスパンボンドにすることにより、耐切創性が大幅に向上した。
また、カレンダー加工を施したスパンボンドを、複層型下敷きテープを構成するシートとして使用した場合、巻形状を綺麗にすることができた。
本発明の複層型下敷きテープは、製造しやすく巻形状が綺麗である、耐切創性に優れる等の特長を有しており、内装工事等に利用されるものである。
1 複層型下敷きテープ
1A 両端部
2 上層シート
2A エンボス部
3 下層シート
4 ネット状部材
4A 緯糸
4B 経糸
4C 交点
10 下地材
11 壁紙(クロス)
11A 壁紙重ね合わせ部
11B 切断部
12 突合わせ部
T1 耐切創性測定装置
T10 基板
T11 被切創体固定手段
T12 刃物保持体
T14 錘保持手段
T14a ホルダー部
T15 刃物保持体移動手段
T16 保持部
B 刃物
B1 刃先
S 被切創体

Claims (6)

  1. 下地材の表面に壁紙を貼付するに当たり、隣接する壁紙の端部同士を重ね合わせた状態で、壁紙重ね合わせ部を切断する際に、該下地材と該壁紙重ね合わせ部との間に一時的に設置し、該下地材を保護するために使用される複層型下敷きテープであって、
    2つのシートの間にネット状部材を挟み、該2つのシート同士を両端部のみにおいて該ネット状部材とともに接着した構造を有しており、該2つのシートのうちの少なくとも一方が、通気性シートで構成されていることを特徴とする複層型下敷きテープ。
  2. 上記下地材と上記壁紙重ね合わせ部との間に一時的に設置する際に、該下地材の側に位置する方のシートが、上記通気性シートで構成されている請求項1に記載の複層型下敷きテープ。
  3. 上記通気性シートが、不織布、織物、編物及び有孔フィルムからなる群より選ばれた1種以上の素材で構成されている請求項1又は請求項2に記載の複層型下敷きテープ。
  4. 上記通気性シートが、スパンボンド不織布で構成されている請求項3に記載の複層型下敷きテープ。
  5. 上記通気性シートが、カレンダー加工を施されたものである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の複層型下敷きテープ。
  6. 上記下地材と上記壁紙重ね合わせ部との間に一時的に設置する際に、上記壁紙の側に位置する方のシートの表面が、凹凸構造を有している請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の複層型下敷きテープ。
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