JP2020033741A - 複層型下敷きテープ - Google Patents
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Description
この際、施工が良好な場合は、仕上面となる表面は平滑な面となり、突合わせ部12が判別しにくい綺麗な仕上げとなる(図4(b))。
このため、耐切創性が十分であり、かつ、綺麗な巻形状としやすい下敷きテープの開発が望まれている。
そこで、本発明者は、複層構造の下敷きテープを構成するシートの少なくとも一方を、通気性のあるシートで構成することにより、層間に空気がたまりにくくなり、かかる問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
2つのシートの間にネット状部材を挟み、該2つのシート同士を両端部のみにおいて該ネット状部材とともに接着した構造を有しており、該2つのシートのうちの少なくとも一方が、通気性シートで構成されていることを特徴とする複層型下敷きテープを提供するものである。
上記のように、壁紙11の貼付作業の際に、壁紙重ね合わせ部11Aを刃物で切断する作業を行う際に、下地材10(石膏ボード等)まで切断してしまうおそれがあるが、本発明の複層型下敷きテープ1を使用することで、下地材10に連続した傷がつきにくくなる。
本発明の複層型下敷きテープ1は、図2に示すように、2つのシート(上層シート2、下層シート3)の間にネット状部材4を挟み、2つのシート(上層シート2、下層シート3)同士を両端部1Aのみにおいてネット状部材4とともに接着した構造を有している。
複層型下敷きテープ1の使用の際に、壁紙重ね合わせ部11Aの側に位置するシートが上層シート2、下地材10の側に位置するシートが下層シート3である。
「通気性シート」とは、JIS L 1913のフラジール形法で測定した通気度が30cm3/cm2/sec以上のシートをいう。
2つのシートの間に挟まれているのは、ネット状部材4であるので、2つのシートの一方でも通気性シートで構成されていれば、中央部に空気がたまりにくくなり、本発明の効果が奏される。
このうち、長繊維からなるスパンボンド不織布は、毛羽がほとんど無く、低発塵性に優れているため、通気性シートを構成する素材として特に好ましい。
短繊維からなるスパンレース不織布やニードルパンチ不織布等は、毛羽が多く、かつ、毛羽が抜け易いので、壁紙の裏面の糊によって毛羽が抜けて毛羽が壁紙面に付着しやすくなり壁紙の接着性が低下する、といった問題を生じる場合がある。
上記下限以上であると、強度が十分となりやすい。また、上記上限以下であると、巻き径が小さくなる;作業完了後に、複層型下敷きテープ1を抜き取りやすくなる;等の効果を奏する。
幅が上記下限以上であると、複層型下敷きテープの設置に際し、壁紙10同士の縦方向の位置が横にずれた場合も突合わせ部12が複層型下敷きテープの幅内に収まる余裕があることはもちろん、中央部(非固定部分)の幅を十分に確保することができ緯糸4Aが引っ張られやすくなり、上記効果を奏しやすい。幅が上記上限以下であると、コスト的に有利である;壁紙10の糊の掻取量を少なくできる;突合わせ部12の付近が歪みにくくなる;等のメリットがある。
厚さが上記上限以下であると、突合わせ部12に歪みが生じにくくなり、施工不良(突合わせ部12付近の盛り上がり)が発生しにくくなる。また、各部材の強度を十分に保ったり、糊の掻取量を減少させるべくエンボス加工したりすると、厚さは上記下限以上となる場合が多い。
上記下限以上であると、両端部1Aをしっかりと固定でき、刃物で切断する際に、緯糸4Aが動きやすくなる。上記上限以下であると、コスト的に有利であり、また、上記上限を超えて接着剤を使用しても、複層型下敷きテープ1の耐切創性等の性能は向上しない。
上記範囲内であると、両端部1Aをしっかりと固定することができ、また、中央部の幅を十分に確保することができるので、緯糸4Aの動きを施工者が感じやすくなり、下地材10に傷(特に、連続した線状の傷)がつきにくくなる。
上層シート2に凹凸構造を設ける方法には特に限定は無く、例えば、公知のエンボス加工技術により凹凸構造を設けることができる。
上層シート2のエンボス部2Aの形状に特に限定は無く、例えば、図1等に示す矩形のエンボス部が挙げられる。
エンボス部2Aは、上層シート2の裏面(複層型下敷きテープ1においてネット状部材4に向いている面)の側に向かって突き出ていると、糊掻取量を低減することができるため望ましい。
このうち、無延伸ポリプロピレン(CPP)は、エンボス加工しやすいことから、下層シート3を通気性シートとする場合、上層シート2の素材として望ましい。
複層型下敷きテープ1を敷いた状態で、壁紙11を切断すると、刃物の刃先は、複層型下敷きテープ1の中央部(非固定部分)の緯糸4Aに接触し、中央部において、緯糸4Aは両側のシートには拘束されていないので、刃先の移動方向に引っ張られ、施工者に抵抗感を伝える。
緯糸4Aは、刃物に引っ張られるので、強度が要求され、また、施工者に抵抗感を伝えやすくするために、その素材としては、上記したもののうち、高強力ビニロン、超高分子量ポリエチレン、パラアラミド、ポリアリレート、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾールが特に好ましい。
強度が要求される緯糸4Aが紡績糸の場合は、強度の大きい牽切紡績糸であるのが特に好ましい。
紡績糸の場合、綿番手で7番手以上が好ましく、10番手以上が特に好ましい。また、100番手以下が好ましく、50番手以下が特に好ましい。
上記範囲内であると、耐切創性が十分となりやすい。また、複層型下敷きテープ1の厚さを十分に薄くすることができ、良好に施工しやすくなる。更に、切断の際に施工者に抵抗感が伝わりやすくなる。
上記範囲内であると、緯糸の動きを施工者が感じやすくなり、下地材10に傷(特に、連続した線状の傷)がつきにくくなり耐切創性が向上しやすい。また、複層型下敷きテープ1の厚さが十分に薄くなる。更に、材料コストを抑えることができ経済的である。
以下に示すようにして、複層型下敷きテープ(以下、単に「テープ」という場合がある。)を作製した。
経糸としてポリエステル紡績糸(Ne30/1)、緯糸としてパワロン(登録商標、(株)クラレ製、高強力ビニロン)のパーロック式牽切紡績糸(Ne10/1)を使用して、ネット状部材を作製した。経糸は3mm間隔、緯糸は3mm間隔で設置し、経糸と緯糸の交点は、アクリル系目止め剤によって接着した。
上層シートとして、厚さ100μm・幅35mmのスパンボンド不織布をエンボス加工したもの、下層シートとして、厚さ20μm・幅35mmの低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム(エンボス加工なし)をそれぞれ使用し、前記ネット状部材を、上層シートと下層シートで挟んだ状態で、両シートの両端部のそれぞれ4mmを、EVA−アクリル系接着剤により接着することにより、テープT1を作製し、テープT1の厚さを測定した。テープT1の厚さは、0.380mmであった。
なお、各フィルムやテープT1の厚さは、ダイヤルシックネスゲージ((株)尾崎製作所製)によって測定した。テープT1の厚さは、中央部(非固定部分)で測定した値である。
下層シートとして、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムの代わりに、厚さ100μmのスパンボンド不織布(エンボス加工なし)を使用した以外は、例1と同様にして、テープT2を作製した。テープT2の厚さは、0.380mmであった。
上層シートとして、スパンボンド不織布の代わりに、厚さ25μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(例2と同様の要件でエンボス加工を施した)を使用した以外は、例2と同様にして、テープT3を作製した。テープT3の厚さは、0.375mmであった。
例1で使用したのと同じ厚さ100μmのスパンボンド不織布をカレンダー加工することにより、厚さを30μmに低減させた後、例1と同様の要件でエンボス加工を施した。
例1において、上層シートとして、かかるカレンダー加工及びエンボス加工を施したスパンボンド不織布を使用した以外は、例1と同様にして、テープT4を作製した。テープT4の厚さは、0.360mmであった。
(1)測定装置
図5に示す耐切創性測定装置(特願2017−085002に記載の「態様2」の耐切創性測定装置)を使用して、各テープの耐切創性を測定した。
耐切創性測定装置T1は、被切創体Sを切断するための刃物Bを保持する刃物保持体12を有する。刃物保持体T12は、刃物Bを保持するための保持部T16を具える。
耐切創性測定装置T1は、刃物Bの刃先B1を被切創体Sに接触させながら刃物保持体T12を水平方向に移動させる刃物保持体移動手段T15を有する。刃物Bの刃先B1が被切創体Sと接触した状態で、刃物保持体T12(刃先B1)を水平方向に移動させることにより、被切創体Sの耐切創性を試験する。
耐切創性測定装置T1は、ホルダー部T14aを有する棒状の錘保持手段T14を有しており、錘の数を変更することで刃物Bの刃先B1が被切創体Sに与える荷重の調整を行うことができる(なお、図5には錘を図示していない)。
刃物Bの刃先B1は被切創体Sの上方に位置するような状態で刃物保持体T12に保持されている。
測定を開始する際には、刃物保持体移動手段T15により、刃物保持体T12を、鉛直方向に降下させる。これにより、図5(b)に示すように、刃物Bの刃先B1が、被切創体Sに突き刺さった状態となる。
次いで、刃物保持体移動手段T15により、刃物保持体T12を、右方向に水平移動させる。これにより、刃物Bは、刃物保持体T12とともに、水平移動する(水平移動後の状態を図5(c)に示す)。
この動作により、被切創体Sは、刃先B1から一定の荷重を受けることにより、刃先B1と接触した部分が切断される。
基板T10としては、石膏ボードを使用した。
被切創体Sは、下地紙、各テープ、壁紙(1層目)、壁紙(2層目)の順序で積層したものを使用した。また、壁紙(2層目)において、刃先B1が触れる部分の付近は、定規によって固定した。すなわち、下地紙を使用した以外は、実際の壁紙重ね合わせ部の切断(図4(a))と同様の状況で測定した(なお、下地紙は、石膏ボードが切断されているかどうかを可視化しやすくするために挟んだものであり、ごく薄いので耐切創性にほとんど影響を与えない)。
また、刃先B1にかかる荷重(電子天秤により測定)が、629gfとなるように調整した。
切断の際の刃物保持体T12(及びそれに保持されているカッターナイフ)の水平方向の移動距離は14cm、移動速度は3m/minとなるようにした。
切断後の各テープについて、貫通部分の長さを測定し、貫通長さL[cm]を、以下のようにして算出した。
また、100×(L/10)を、貫通率[%]とし、以下の基準で評価した。
4点:貫通率が0%を超え25%未満
3点:貫通率が25%以上50%未満
2点:貫通率が50%以上75%未満
1点:貫通率が75%以上100%未満
0点:貫通率が100%
○:平均値が3点以上4点未満
×:平均値が3点未満
作製した原反(幅1100mm、長さ1000m)をスリット加工し、図3に示すような長尺のテープ(幅35mm、長さ100m)を作製し、以下の基準で巻き取り性を評価した。
○:巻形状がややいびつである。
各テープに関して、評価結果を表1に示す。
また、カレンダー加工を施したスパンボンドを、複層型下敷きテープを構成するシートとして使用した場合、巻形状を綺麗にすることができた。
1A 両端部
2 上層シート
2A エンボス部
3 下層シート
4 ネット状部材
4A 緯糸
4B 経糸
4C 交点
10 下地材
11 壁紙(クロス)
11A 壁紙重ね合わせ部
11B 切断部
12 突合わせ部
T1 耐切創性測定装置
T10 基板
T11 被切創体固定手段
T12 刃物保持体
T14 錘保持手段
T14a ホルダー部
T15 刃物保持体移動手段
T16 保持部
B 刃物
B1 刃先
S 被切創体
Claims (6)
- 下地材の表面に壁紙を貼付するに当たり、隣接する壁紙の端部同士を重ね合わせた状態で、壁紙重ね合わせ部を切断する際に、該下地材と該壁紙重ね合わせ部との間に一時的に設置し、該下地材を保護するために使用される複層型下敷きテープであって、
2つのシートの間にネット状部材を挟み、該2つのシート同士を両端部のみにおいて該ネット状部材とともに接着した構造を有しており、該2つのシートのうちの少なくとも一方が、通気性シートで構成されていることを特徴とする複層型下敷きテープ。 - 上記下地材と上記壁紙重ね合わせ部との間に一時的に設置する際に、該下地材の側に位置する方のシートが、上記通気性シートで構成されている請求項1に記載の複層型下敷きテープ。
- 上記通気性シートが、不織布、織物、編物及び有孔フィルムからなる群より選ばれた1種以上の素材で構成されている請求項1又は請求項2に記載の複層型下敷きテープ。
- 上記通気性シートが、スパンボンド不織布で構成されている請求項3に記載の複層型下敷きテープ。
- 上記通気性シートが、カレンダー加工を施されたものである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の複層型下敷きテープ。
- 上記下地材と上記壁紙重ね合わせ部との間に一時的に設置する際に、上記壁紙の側に位置する方のシートの表面が、凹凸構造を有している請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の複層型下敷きテープ。
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