JP2020024469A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、優れた耐久特性および低い画像欠陥を実現することができる電子写真感光体の製造方法に関する。【解決手段】 円筒状基体の表面を鏡面加工する工程と、鏡面加工した前記円筒状基体の表面を、ウェットブラスト加工、スパッタエッチング加工、ガスエッチング加工、またはウェットエッチング加工によって粗面化する工程と、粗面化した前記円筒状基体の表面に電荷注入阻止層を形成する工程と、前記電荷注入層上に光導電層を形成する工程と、前記光導電層上に、表面粗さがStr≧0.67に粗面化された表面層を形成する工程と、を備える電子写真感光体の製造方法とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法に関するものである。
従来、電子写真感光体は、例えば特許文献1に記載されているように円筒状の基体などの表面に、光導電層および表面層などを形成した構成を有する。
特開昭63−129348号公報
しかしながら、上述のような電子写真感光体は、画像形成装置において多数回繰り返して使用すると、周辺部材との摩擦によって表面被覆層が平滑化あるいは磨耗するおそれがあった。ここでいう周辺部材とは、電子写真感光体の表面に残存する現像剤を除去するクリーニングブレード、電子写真感光体の表面を帯電する帯電ローラなどである。そしてその結果、例えば、電子写真感光体の表面被覆層とクリーニングブレードとの接触面積が増大して摩擦抵抗が増加することによって、クリーニングブレードが欠損し、印画した画像に異常スジなどの画像欠陥が発生するおそれがあった。
そこで、多数回繰り返して使用しても、優れた耐久特性および低い画像欠陥を実現することができる電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置が求められていた。
本発明の実施形態に係る電子写真感光体の製造方法は、円筒状基体の表面を鏡面加工する工程と、鏡面加工した前記円筒状基体の表面を、ウェットブラスト加工、スパッタエッチング加工、ガスエッチング加工、またはウェットエッチング加工によって粗面化する工程と、粗面化した前記円筒状基体の表面に電荷注入阻止層を形成する工程と、前記電荷注入層上に光導電層を形成する工程と、前記光導電層上に、表面粗さがStr≧0.67に粗面化された表面層を形成する工程と、を備える。
本発明の実施形態に係る電子写真感光体の製造方法によれば、光導電層上に形成された表面層の表面粗さがStr≧0.67に設定されることから、優れた耐久特性および低い画像欠陥を実現する電子写真感光体を製造することができる。
(a)は本発明の実施形態に係る電子写真感光体を示す断面図である。(b)は(a)の要部断面図である。 堆積膜形成装置の縦断面図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る電子写真感光体およびこれを備えた画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の内容は、本発明の実施形態を例示するものであって、本発明はこれらの実施形態の例に限定されるものではない。
(電子写真感光体)
本発明の実施形態に係る電子写真感光体について、図1を用いて説明する。
図1に示した電子写真感光体1は、円筒状基体10の外周面に、電荷注入阻止層11aおよび光導電層11bを順次形成した感光層11を有しており、感光層11上には表面層12が被着されている。
円筒状基体10は、感光層11の支持体となるものであり、少なくとも円筒状基体10の表面は導電性を有する。
この円筒状基体10は、例えばアルミニウム(Al)、ステンレス(SUS)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、金(Au)および銀(Ag)などの金属材料あるいはこれら例示した金属材料を含む合金材料によって、全体が導電性を有するものとして形成されている。また、円筒状基体10は、樹脂、ガラスあるいはセラミックスなどの絶縁体の表面に、例示した金属材料ならびにITO(Indium Tin Oxide)あるいはSnO(二酸化すず)などの透明導電性材料による導電性膜を被着したものであってもよい。これらの例示した材料のうち、円筒状基体10を形成するための材料としては、アルミニウム(Al)系材料を用いればよく、円筒状基体10の全体をアルミニウム(Al)系材料で形成すればよい。そうすれば、電子写真感光体1を軽量かつ低コストで製造可能であり、その上、電荷注入阻止層11aおよび光導電層11bをアモルファスシリコン(a−Si)系材料で形成する場合には、それらの層と円筒状基体10との間の密着性が高くなって信頼性を向上させることができる。
円筒状基体10の表面は、粗面化されていてもよい。円筒状基体10の表面粗さは、粗面化後で、例えば、50nm<Sa<140nmとすればよい。また、粗面化を行なう方法としては、例えば、ウェットブラスト、スパッタエッチング、ガスエッチング、研磨、旋削加工、ウェットエッチング、ガルバニック電喰などを用いればよい。なお、上記表面粗さを満たす抽伸管であれば、表面形状を調整するための表面処理をせずにそのまま用いることもできる。
なお、円筒状基体10の表面は、上述の粗面化の前に、鏡面加工を行なってもよいが、各処理の前には油分除去が必要となる。円筒状基体10の表面粗さは、鏡面加工後で、例えば、Sa<25nmとすればよい。
なお、本明細書において、Sa(算術平均粗さ)とは、ISO25178によって定義される三次元の表面性状を表すパラメータの一つであって、測定対象領域中の表面の平均面からの高さの絶対値の算術平均粗さ(nm)を示す。
なお、電子写真感光体1の表面性状は、必ずしも表面層12の全面において、所定の範囲を満たす必要はない。例えば、クリーニングブレード116Aに接触しない、円筒状基体10の軸方向両端部等においては、表面性状が範囲外の値となってもよい。このことは、以下に記載される表面性状の全てのパラメータについて同様である。
電荷注入阻止層11aは、円筒状基体10からのキャリア(電子)の注入を阻止する役割を有するものである。
この電荷注入阻止層11aは、例えばアモルファスシリコン(a−Si)系材料で形成されている。この電荷注入阻止層11aは、例えばアモルファスシリコン(a−Si)に、ドーパントとしてホウ素(B)と場合により窒素(N)か酸素(O)またはその両方を含有させたもの、あるいはリン(P)と場合により窒素(N)か酸素(O)またはその両方を含有させたものを用いることができ、その厚みは2μm以上10μm以下とされている。なお、電荷注入阻止層11aは、円筒状基体10の表面を加工することによって円筒状基体10と一体的に形成されてもよい。
光導電層11bは、レーザ光などの光照射によってキャリアを発生させる役割を有するものである。
この光導電層11bは、例えばアモルファスシリコン(a−Si)系材料ならびにSe−TeあるいはAsSeなどのアモルファスセレン(a−Se)系材料で形成されている。本例の光導電層11bは、アモルファスシリコン(a−Si)ならびにアモルファスシリコン(a−Si)に炭素(C)、窒素(N)および酸素(O)などを加えたアモルファスシリコン(a−Si)系材料で形成されており、ドーパントとしてホウ素(B)あるいはリン(P)が含有される。
また、光導電層11bの厚みは、使用する光導電性材料および所望の電子写真特性に応じて適宜設定すればよく、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いて光導電層11bを形成する場合には、光導電層11bの厚みは、例えば5μm以上100μm以下、より具体的には10μm以上80μm以下に設定すればよい。
表面層12は、感光層11の表面を保護する役割を有するものである。
表面層12は、例えばアモルファス炭化シリコン(a−SiC)あるいはアモルファス窒化シリコン(a−SiN)などのアモルファスシリコン(a−Si)系材料または、アモルファスカーボン(a−C)を用いるか、あるいはそれらの多層構造とすればよい。本例では、表面層12を3層構造とし、最表面となる表面層12の第3層は、画像形成装置内での摺擦に対する耐摩耗性の観点から、耐性の高いアモルファスカーボン(a−C)を採用している。
本実施形態において、表面層12の表面粗さは、Str≧0.67に設定すればよく、より具体的にはStr≧0.79に設定すればよい。これによれば、優れた耐久特性および画像欠陥の低減を発揮することができる。すなわち、初期におけるクリーニングブレードなどとの摩擦抵抗を抑制することができるとともに、耐久使用時において、表面が徐々に磨耗しても表面粗さを一定範囲内に維持し続けることが可能である。その結果、表面層とクリーニングブレードとの間の摩擦抵抗の増大を効果的に抑制し続けることができることから、クリーニングブレードの欠損を抑制することができ、印画した画像に異常スジなどの画像欠陥を低減することが可能となる。
また、表面層12の表面粗さは、Sal≦10.3μmに設定すればよい。さらに、表面層12の表面粗さは、Sal≧0.9μmに設定すればよく、より具体的にはSal≧1.6μmに設定すればよい。これによれば、上述のような優れた耐久特性および低い画像欠陥をより効果的に発揮することができる。すなわち、表面層の表面の面方向において、上記数値で規定される狭いピッチで凹凸が存在することによって、初期不良の低減および耐久使用時の摩擦抵抗増大の抑制を実現することができる。
なお、本明細書において、Str(表面性状のアスペクト比)とは、ISO25178によって定義される三次元の表面性状を表すパラメータの一つであって、表面性状のアスペクト比を示す。すなわち、表面性状の均一性を表す尺度であり、表面の自己相関が相関値0.2に減衰する最も遠い横方向の距離とSalとの比で定義される。Strは0〜1の範囲の値を有し、値が大きければ大きいほど強い等方性を示し、低ければ低いほど強い異方性を示す。また、本明細書において、Sal(最短自己相関距離)とは、ISO25178によって定義される三次元の表面性状を表すパラメータの一つであって、最短の自己相関距離(μm)を示す。表面の自己相関が相関値0.2に減衰する最も近い横方向の距離を表す。すなわち、横方向の支配的な最小凹凸ピッチを示す。
ここで、SalおよびStrは、初期状態の電子写真感光体1、すなわち画像形成装置において多数回繰り返して使用される前の電子写真感光体1の表面層12の表面性状を示す値である。これは、市場製品の電子写真感光体1について、工場出荷時の表面性状を示す値であることを意味する。
なお、この表面層12は、電子写真感光体1に照射されるレーザ光などの光が吸収されたり、反射されたりすることのないように透過性に優れており、また、画像形成における静電潜像を保持でき得る表面抵抗値(一般的には1011Ω・cm以上)を有するものを用いればよい。
以上のような、電子写真感光体1における電荷注入阻止層11a、光導電層11bおよび表面層12は、例えば図2に示したプラズマCVD(化学気相成長:Chemical Vapor Deposition)装置2を用いて形成される。
(プラズマCVD装置)
プラズマCVD装置2は、支持体3を真空反応室4に収容したものであり、回転手段5、原料ガス供給手段6および排気手段7をさらに備えている。
支持体3は、円筒状基体10を支持する役割を有するものである。この支持体3は、フランジ部30を有する中空状に形成されているとともに、円筒状基体10と同様な導電性材料で全体が導体として形成されている。本例の場合において、支持体3は、2つの円筒状基体10を支持できる長さに形成されており、導電性支柱31に対して着脱自在とされている。そのため、支持体3では、支持した2つの円筒状基体10の表面に直接触れることなく、真空反応室4に対して2つの円筒状基体10の出し入れを行なうことができる。
導電性支柱31は、円筒状基体10と同様な導電性材料で全体が導体として形成されており、真空反応室4(後述する円筒状電極40)の中心において、後述するプレート42に対して絶縁材32を介して固定されている。導電性支柱31には、導板33を介して直流電源34が接続されている。この直流電源34は、制御部35によってその動作が制御されている。制御部35は、直流電源34を制御することにより、導電性支柱31を介して、支持体3にパルス状の直流電圧を供給させるように構成されている。
導電性支柱31の内部には、セラミックパイプ36を介してヒータ37が収容されている。セラミックパイプ36は、絶縁性および熱伝導性を確保する役割を有するものである。ヒータ37は、円筒状基体10を加熱する役割を有するものである。ヒータ37としては、例えばニクロム線あるいはカートリッジヒーターを使用することができる。
ここで、支持体3の温度は、例えば支持体3あるいは導電性支柱31に取り付けられた熱電対(図示を省略)によってモニタされており、この熱電対におけるモニタ結果に基づいてヒータ37をオン・オフさせることによって、円筒状基体10の温度が目的範囲、例えば200℃以上400℃以下から選択される一定の範囲に維持される。
真空反応室4は、円筒状基体10に対して堆積膜を形成するための空間であり、円筒状電極40および一対のプレート41,42によって規定されている。
円筒状電極40は、支持体3の周囲を囲む円筒状に形成される。この円筒状電極40は、円筒状基体10と同様な導電性材料で中空に形成されており、絶縁部材43,44を介して一対のプレート41,42に接合されている。
円筒状電極40は、支持体3に支持させた円筒状基体10と円筒状電極40との間の距離D1が10mm以上100mm以下となるような大きさに形成されている。これは、円筒状基体10と円筒状電極40との距離D1が10mmよりも小さい場合には、真空反応室4に対する円筒状基体10の出し入れなどにおいて作業性を充分に確保できず、また円筒状基体10と円筒状電極40との間で安定した放電を得ることが困難となるためである。逆に、円筒状基体10と円筒状電極40との距離D1が100mmよりも大きい場合には、プラズマCVD装置2が大きくなってしまい、単位設置面積当たりの生産性が悪くなるためである。
円筒状電極40は、ガス導入口45a,45bおよび複数のガス吹き出し孔46が設けられているとともに、その一端において接地されている。なお、円筒状電極40は、必ずしも接地する必要はなく、直流電源34とは別の基準電源に接続してもよい。円筒状電極40を直流電源34とは別の基準電源に接続する場合には、基準電源における基準電圧は−1500V以上1500V以下とすればよい。
ガス導入口45aは、真空反応室4に供給すべき光導電層11bのドーパント専用の原料ガスを導入する役割を有するものであり、ガス導入口45bは、真空反応室4に供給すべき原料ガスを導入する役割を有するものであり、いずれのガス導入口45a,45bも原料ガス供給手段6に接続されている。ガス導入口45aは、真空反応室4の略中央の高さ位置に設置されていて、ガス導入口45bは、真空反応室4内に設置される支持体3の両端位置に相当する高さ位置にそれぞれ設置されている。
複数のガス吹き出し孔46は、円筒状電極40の内部に導入された原料ガスを円筒状基体10に向けて吹き出す役割を有するものであり、図の上下方向に等間隔になるように配置されているとともに、周方向にも等間隔で配置されている。複数のガス吹き出し孔46は、同一形状の円形に形成されており、その孔径は、例えば0.5mm以上2mm以下とすればよい。
プレート41は、真空反応室4が開放された状態と閉塞された状態とを選択可能とする役割を有するものであり、プレート41を開閉することによって真空反応室4に対する支持体3の出し入れが可能とされている。プレート41は、円筒状基体10と同様な導電性材料で形成されているが、下面側に防着板47が取着されている。これにより、プレート41に対して堆積膜が形成されるのを防止している。この防着板47もまた、円筒状基体10と同様な導電性材料で形成されているが、防着板47はプレート41に対して着脱自在とされている。そのため、防着板47は、プレート41から取り外すことによって洗浄が可能であり、繰り返し使用することができる。
プレート42は、真空反応室4のベースとなるものであり、円筒状基体10と同様な導電性材料で形成されている。プレート42と円筒状電極40との間に介在する絶縁部材44は、円筒状電極40とプレート42との間にアーク放電が発生するのを抑える役割を有するものである。このような絶縁部材44は、例えばガラス材料(ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、耐熱ガラスなど)、無機絶縁材料(セラミックス、石英、サファイヤなど)あるいは合成樹脂絶縁材料(四フッ化エチレンなどのフッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ビニロン、エポキシ、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材など)で形成することができる。絶縁部材44は、絶縁性を有し、使用温度で充分な耐熱性があり、真空中でガスの放出が小さい材料であれば、特に限定されない。ただし、絶縁部材44は、成膜体の内部応力あるいは成膜時の温度上昇に伴って生じるバイメタル効果に起因する応力によって反りが発生して使用できなくなるのを防止するために、一定以上の厚みを有するものとして形成されている。例えば、絶縁部材44を四フッ化エチレンのような熱膨張率が3×10−5/K以上10×10−5/K以下の材料で形成する場合には、絶縁部材44の厚みは10mm以上に設定される。このような範囲に絶縁部材44の厚みを設定した場合には、絶縁部材44と円筒状基体10に成膜される厚み10μm以上30μm以下のアモルファスシリコン(a−Si)膜との界面に発生する応力に起因する反り量が、水平方向(円筒状基体10の軸方向に略直交する半径方向)の長さ200mmに対して、水平方向における端部と中央部との軸方向における高さの差で1mm以下とすることができ、絶縁部材44を繰り返し使用することが可能となる。
プレート42および絶縁部材44には、ガス排出口42A,44Aおよび圧力計49が設けられている。ガス排出口42A,44Aは、真空反応室4の内部の気体を排出する役割を有するものであり、排気手段7に接続されている、圧力計49は、真空反応室4の圧力をモニタリングする役割を有するものであり、公知の種々のものを使用することができる。
図2に示したように、回転手段5は、支持体3を回転させる役割を有するものであり、回転モータ50および回転力伝達機構51を有している。回転手段5によって支持体3を回転させて成膜を行なった場合には、支持体3とともに円筒状基体10が回転するために、円筒状基体10の外周に対して均等に原料ガスの分解成分を堆積させることが可能となる。
回転モータ50は、円筒状基体10に回転力を付与するものである。この回転モータ50は、例えば円筒状基体10を1rpm以上10rpm以下で回転させるように動作制御される。回転モータ50としては、公知の種々のものを使用することができる。
回転力伝達機構51は、回転モータ50からの回転力を円筒状基体10に伝達・入力する役割を有するものであり、回転導入端子52、絶縁軸部材53および絶縁平板54を有している。
回転導入端子52は、真空反応室4内の真空を保ちながら回転力を伝達する役割を有するものである。このような回転導入端子52としては、回転軸を二重もしくは三重構造としてオイルシールあるいはメカニカルシールなどの真空シール手段を用いることができる。
絶縁軸部材53および絶縁平板54は、支持体3とプレート41との間の絶縁状態を維持しつつ、回転モータ50からの回転力を支持体3に入力する役割を有するものであり、例えば絶縁部材44などの同様な絶縁材料で形成されている。ここで、絶縁軸部材53の外径D2は、成膜時において、支持体3の外径(後述する上ダミー基体38Cの内径)D3よりも小さくなるように設定されている。より具体的には、成膜時における円筒状基体10の温度が200℃以上400℃以下に設定される場合であれば、絶縁軸部材53の外径D2は、支持体3の外径(後述する上ダミー基体38Cの内径)D3よりも0.1mm以上5mm以下、より具体的には3mm程度大きくなるように設定すればよい。この条件を満たすために、非成膜時(常温環境下(例えば10℃以上40℃以下))においては、絶縁軸部材53の外径D2と支持体3の外径(後述する上ダミー基体38Cの内径)D3との差は、0.6mm以上5.5mm以下に設定すればよい。
絶縁平板54は、プレート41を取り外しするときに上方から落下するゴミや粉塵などの異物が円筒状基体10へ付着するのを防止する役割を有するものであり、上ダミー基体38Cの内径D3より大きな外径D4を有する円板状に形成されている。絶縁平板54の直径D4は、円筒状基体10の直径D3の1.5倍以上3倍以下とすればよく、例えば円筒状基体10として直径D3が30mmのものを用いる場合には、絶縁平板54の直径D4は50mm程度とすればよい。
このような絶縁平板54を設けた場合には、円筒状基体10に付着した異物に起因する異常放電を抑制することができるため、成膜欠陥の発生を抑制することができる。これにより、電子写真感光体1を形成する際の歩留まりを向上させ、また電子写真感光体1を用いて画像形成する場合における画像不良の発生を抑制することができる。
図2に示したように、原料ガス供給手段6は、複数の原料ガスタンク60,61,62,63、光導電層11bのドーパント専用ガスタンク64、複数の配管60A,61A,62A,63A,64A、バルブ60B,61B,62B,63B,64B,60C,61C,62C,63C,64Cおよび複数のマスフローコントローラ60D,61D,62D,63D,64Dを備えたものであり、配管65a,65bおよびガス導入口45a,45bを介して円筒状電極40に接続されている。各原料ガスタンク60〜64は、例えばB(またはPH)、H(またはHe)、CHあるいはSiHが充填されたものである。バルブ60B〜64B,60C〜64Cおよびマスフローコントローラ60D〜64Dは、真空反応室4に導入する各原料ガス成分または光導電層11bのドーパント専用ガス成分の流量、組成およびガス圧を調整する役割を有するものである。もちろん、原料ガス供給手段6においては、各原料ガスタンク60〜64に充填すべきガスの種類、あるいは複数の原料ガスタンク60〜64の数は、円筒状基体10に形成すべき膜の種類あるいは組成に応じて適宜選択すればよい。
排気手段7は、真空反応室4のガスをガス排出口42A,44Aを介して外部に排出する役割を有するものであり、メカニカルブースタポンプ71およびロータリーポンプ72を備えている。これらのポンプ71,72は、圧力計49でのモニタリング結果に応じて動作制御されるものである。すなわち、排気手段7では、圧力計49でのモニタリング結果に基づいて、真空反応室4を真空に維持できるとともに、真空反応室4のガス圧を目的値に設定することができる。真空反応室4の圧力は、例えば1Pa以上100Pa以下とすればよい。
このようなプラズマCVD装置2は、上記のとおり、一つの装置にて真空反応室4内の真空状態を維持したまま連続的に粗面化、感光層11および表面層12の形成処理を行なうことが可能であり、粗面化部と、電荷注入阻止層形成部と、光導電層形成部と、表面層形成部と、を備える電子写真感光体の製造装置の一例である。
(堆積膜の形成方法)
次に、プラズマCVD装置2を用いた堆積膜の形成方法について、円筒状基体10に感光層11としてアモルファスシリコン(a−Si)膜が、表面層12としてアモルファス炭化シリコン(a−SiC)膜とアモルファスカーボン(a−C)膜とが積層された電子写真感光体1(図1を参照)を作製する場合を例にとって説明する。
まず、円筒状基体10に堆積膜(a−Si膜)を形成するにあたっては、プラズマCVD装置2のプレート41を取り外した上で、複数の円筒状基体10(図面上は2つ)を支持した支持体3を真空反応室4の内部にセットし、再びプレート41を取り付ける。
支持体3に対する2つの円筒状基体10の支持にあたっては、フランジ部30上に、支持体3の主要部を覆って下ダミー基体38A、円筒状基体10、中間ダミー基体38B、円筒状基体10および上ダミー基体38Cが順次積み上げられる。
各ダミー基体38A〜38Cとしては、製品の用途に応じて、導電性または絶縁性基体の表面に導電処理を施したものが選択されるが、通常は、円筒状基体10と同様な材料で円筒状に形成されたものが使用される。
ここで、下ダミー基体38Aは、円筒状基体10の高さ位置を調整する役割を有するものである。中間ダミー基体38Bは、隣接する円筒状基体10の端部間で生じるアーク放電に起因する円筒状基体10に成膜不良が発生するのを抑制する役割を有するものである。この中間ダミー基体38Bとしては、その長さがアーク放電を防止できる最低限の長さ(本例では1cm)以上を有し、その表面側角部が曲面加工で曲率0.5mm以上または端面加工でカットされた部分の軸方向の長さおよび深さ方向の長さが0.5mm以上となるように面取りされたものが使用される。上ダミー基体38Cは、支持体3に堆積膜が形成されるのを防止し、成膜中に一旦被着した成膜体の剥離に起因する成膜不良の発生を抑制する役割を有するものである。上ダミー基体38Cは、一部が支持体3の上方に突出した状態とされる。
次いで、真空反応室4を密閉状態とし、回転手段5によって支持体3を介して円筒状基体10を回転させるとともに、円筒状基体10を加熱し、排気手段7によって真空反応室4を減圧する。
円筒状基体10の加熱は、例えばヒータ37に対して外部から電力を供給してヒータ37を発熱させることによって行なわれる。このようなヒータ37の発熱によって、円筒状基体10が目的とする温度に昇温される。円筒状基体10の温度は、その表面に形成すべき膜の種類および組成によって選択されるが、例えばアモルファスシリコン(a−Si)膜を形成する場合には250℃以上300℃以下の範囲に設定され、ヒータ37をオン・オフすることによって略一定に維持される。
一方、真空反応室4の減圧は、排気手段7によってガス排出口42A,44Aを介して真空反応室4からガスを排出させることによって行なわれる。真空反応室4の減圧の程度は、圧力計49(図2を参照)での真空反応室4の圧力をモニタリングしつつ、メカニカルブースタポンプ71(図2を参照)およびロータリーポンプ72(図2参照)の動作を制御することにより、例えば10−3Pa程度とすればよい。
次いで、円筒状基体10の温度が所望温度となり、真空反応室4の圧力が所望圧力となった場合には、原料ガス供給手段6によって真空反応室4に原料ガスを供給するとともに、円筒状電極40と支持体3との間にパルス状の直流電圧を印加する。これにより、円筒状電極40と支持体3(円筒状基体10)との間にグロー放電が起こり、原料ガス成分が分解され、原料ガスの分解成分が円筒状基体10の表面に堆積する。
一方、排気手段7においては、圧力計49のモニタリングをしつつ、メカニカルブースタポンプ71およびロータリーポンプ72の動作を制御することにより、真空反応室4におけるガス圧を目的範囲に維持する。すなわち、真空反応室4の内部は、原料ガス供給手段6におけるマスフローコントローラ60D〜63Dと排気手段7におけるポンプ71,72とによって安定したガス圧に維持される。真空反応室4におけるガス圧は、例えば1Pa以上100Pa以下とすればよい。
真空反応室4への原料ガスの供給は、バルブ60B〜64B,60C〜64Cの開閉状態を適宜制御しつつ、マスフローコントローラ60D〜64Dを制御することにより、原料ガスタンク60〜64の原料ガスを所望の組成および流量で配管60A〜64A,65a,65bおよびガス導入口45a,45bを介して円筒状電極40の内部に導入することによって行なわれる。円筒状電極40の内部に導入された原料ガスは、複数のガス吹き出し孔46を介して円筒状基体10に向けて吹き出される。そして、バルブ60B〜64B,60C〜64Cおよびマスフローコントローラ60D〜64Dによって原料ガスの組成を適宜切り替えることによって、円筒状基体10の表面には、電荷注入阻止層11a、光導電層11bおよび表面層12が順次積層形成される。
円筒状電極40と支持体3との間へのパルス状の直流電圧の印加は、制御部35によって直流電源34を制御することによって行なわれる。
13.56MHzのRF(Radio Frequency)帯域以上の高周波電力を使用した場合は、空間で生成されたイオン種が電界によって加速され、正負の極性に応じた方向に引き寄せられることになるが、高周波交流によって電界が連続して反転することから、前記イオン種が円筒状基体10あるいは放電電極に到達するよりも前に、空間中で再結合を繰り返し、再度ガスまたはポリシリコン粉体などのシリコン化合物となって排気される。
これに対して、円筒状基体10側が正負いずれかの極性になるようなパルス状の直流電圧を印加してカチオンを加速させて円筒状基体10に衝突させ、その衝撃によって表面の微細な凹凸をスパッタリングしながらアモルファスシリコン(a−Si)の成膜を行なった場合には、大きな突起状の成長が抑制された均一性の高い凹凸を有する表面を備えるアモルファスシリコン(a−Si)が得られる。この現象を以下においてイオンスパッタリング効果と言う場合がある。
このようなプラズマCVD法において効率よくイオンスパッタリング効果を得るには、極性の連続的な反転を避けるような電力を印加することが必要であり、前記パルス状の矩形波の他には、三角波、極性の反転しない直流電圧が有用である。また、全ての電圧が正負いずれかの極性になるように調整された交流電圧などでも同様の効果が得られる。印加電圧の極性は、原料ガスの種類によってイオン種の密度および堆積種の極性などから決まる成膜速度などを考慮して自由に調整できる。
ここで、パルス状電圧によって効率よくイオンスパッタリング効果を得るには、支持体3(円筒状基体10)と円筒状電極40との間の電位差は、例えば50V以上3000V以下の範囲内とされ、成膜レートを考慮した場合には、より具体的には500V以上3000V以下の範囲内とすればよい。
より具体的には、制御部35は、円筒状電極40が接地されている場合には、支持体(導電性支柱31)に対して、−3000V以上−50V以下の範囲内の負のパルス状直流電位V1を供給し、あるいは50V以上3000V以下の範囲内の正のパルス状直流電位V1を供給する。
一方、円筒状電極40が基準電極(図示を省略)に接続されている場合には、支持体(導電性支柱31)に対して供給するパルス状直流電位V1は、目的とする電位差ΔVと基準電源から供給される電位V2との差の値(ΔV−V2)とされる。基準電源から供給する電位V2は、支持体3(円筒状基体10)に対して負のパルス状電圧を印加する場合には、−1500V以上1500V以下とされ、支持体3(円筒状基体10)に対して正のパルス状電圧を印加する場合には、−1500V以上1500V以下とすればよい。
制御部35はまた、直流電圧の周波数(1/T(sec))が300kHz以下に、Duty比(T1/T)が20%以上90%以下になるように直流電源34を制御する。
なお、本実施形態におけるDuty比とは、パルス状の直流電圧の1周期(T)(円筒状基体10と円筒状電極40との間に電位差が生じた瞬間から、次に電位差が生じた瞬間までの時間)における電位差発生時間T1が占める時間割合と定義される。例えば、Duty比20%とは、パルス状の電圧を印加する際の、1周期に占める電位差発生(ON)時間が1周期全体の20%であることをいう。
このイオンスパッタリング効果を利用して得られたアモルファスシリコン(a−Si)の光導電層11bは、その厚みが10μm以上となっても、表面には上述のような大きな突起状の成長が抑制された均一性の高い凹凸が存在する。そのため、光導電層11b上に、表面層12であるアモルファス炭化シリコン(a−SiC)とアモルファスカーボン(a−C)とを計1μm程度積層すればよい。この場合の表面層12の表面形状は、光導電層11bの表面形状を反映した面とすることが可能となる。すなわち、光導電層11b上に表面層12を積層する場合においても、イオンスパッタリング効果を利用することにより、表面層12を大きな突起状の成長が抑制された均一性の高い凹凸を有する膜として形成することができる。
ここで、電荷注入阻止層11a、光導電層11bおよび表面層12の形成にあたっては、原料ガス供給手段6におけるマスフローコントローラ60D〜63Dおよびバルブ60B〜63B、60C〜63Cを制御し、目的とする組成の原料ガスが真空反応室4に供給されるのは上述の通りである。
例えば、電荷注入阻止層11aをアモルファスシリコン(a−Si)系の堆積膜として形成する場合には、原料ガスとして、SiH(シランガス)などのシリコン(Si)含有ガス、BやPHなどのドーパント含有ガスおよび水素(H)あるいはヘリウム(He)などの希釈ガスの混合ガスが用いられる。ドーパント含有ガスとしては、ホウ素(B)含有ガスと場合により窒素(N)含有ガスか酸素(O)含有ガスまたはその両方を含有させたもの、あるいはリン(P)含有ガスと場合により窒素(N)含有ガスか酸素(O)含有ガスまたはその両方を含有させたものを用いることもできる。
光導電層11bをアモルファスシリコン(a−Si)系の堆積膜として形成する場合には、原料ガスとして、SiH4(シランガス)などのシリコン(Si)含有ガスおよび水素(H)あるいはヘリウム(He)などの希釈ガスの混合ガスが用いられる。光導電層11bにおいては、ダングリングボンド終端用に水素(H)あるいはハロゲン元素(フッ素(F)、塩素(Cl))を膜中に1原子%以上40原子%以下含有させるように、希釈ガスとして水素ガスを用い、あるいは原料ガス中にハロゲン化合物を含ませておいてもよい。また、原料ガスには、暗導電率および光導電率などの電気的特性および光学的バンドギャップなどについて所望の特性を得るために、ドーパントとして周期表第12族、第13族元素(以下「第12族元素」、「第13族元素」と略す)あるいは周期表第15族、第16族元素(以下「第15族元素」、「第16族元素」と略す)を含有させ、上記諸特性を調整するために炭素(C)および酸素(O)などの元素を含有させてもよい。
例えば、第13族元素および第15族元素としては、それぞれホウ素(B)およびリン(P)が共有結合性に優れて半導体特性を敏感に変え得る点、および優れた光感度が得られるという点で望ましい。電荷注入阻止層11aに対して第13族元素あるいは第15族元素を炭素(C)および酸素(O)などの元素とともに含有させる場合には、第13族元素の含有量は0.1ppm以上20000ppm以下、第15族元素の含有量は0.1ppm以上10000ppm以下となるように調整される。また、光導電層11bに対して第13族元素あるいは第15族元素を炭素(C)および酸素(O)などの元素とともに含有させる場合には、あるいは、電荷注入阻止層11aおよび光導電層11bに対して炭素(C)および酸素(O)などの元素を含有させない場合には、第13族元素は0.01ppm以上200ppm以下、第15族元素は0.01ppm以上100ppm以下となるように調整される。なお、原料ガスにおける第13族元素あるいは第15族元素の含有量を経時的に変化させることによって、これらの元素の濃度について層厚方向にわたって勾配を設けるようにしてもよい。この場合には、光導電層11bにおける第13族元素あるいは第15族元素の含有量は、光導電層11bの全体における平均含有量が上記範囲内であればよい。
また、光導電層11bについては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料に微結晶シリコン(μc−Si)を含んでいてもよく、この微結晶シリコン(μc−Si)を含ませた場合には、暗導電率および光導電率を高めることができるので、光導電層11bの設計自由度が増すといった利点がある。このような微結晶シリコン(μc−Si)は、先に説明した成膜方法を採用し、その成膜条件を変えることによって形成することができる。例えば、グロー放電分解法では、円筒状基体10の温度および直流パルス電力を高めに設定し、希釈ガスとしての水素流量を増すことによって形成できる。また、微結晶シリコン(μc−Si)を含む光導電層11bにおいても、先に説明したのと同様な元素(第13族元素、第15族元素、炭素(C)および酸素(O)など)を添加してもよい。
表面層12は、上述のようにa−SiC層とa−C層との多層構造として形成する。この場合、原料ガスとしては、SiH4(シランガス)などのシリコン(Si)含有ガスおよびC(アセチレンガス)あるいはCH(メタンガス)などのC含有ガスが用いられる。ここで、表面層12の第3層であるa−C層は、その膜厚が、通常0.01μm以上2μm以下、具体的には0.02μm以上1μm以下、より具体的には0.03μm以上0.8μm以下に設定すればよい。また、表面層12は、その膜厚が、通常0.1μm以上6μm以下、具体的には0.25μm以上3μm以下、より具体的には0.4μm以上2.5μm以下に設定すればよい。
表面層12の第3層をa−C層として形成した場合には、Si−O結合に比べてC−O結合の方が結合エネルギーが小さいため、表面層12をアモルファスシリコン(a−Si)系材料のみで形成する場合に比べて、表面層12の表面が酸化することをより確実に抑制できる。そのため、表面層12の第3層をアモルファスカーボン(a−C)層として形成した場合には、印刷時のコロナ放電により発生するオゾンなどによって表面層12の表面が酸化されることが適切に抑制されるため、高温高湿環境下などでの画像流れの発生を抑制することができる。
以上のようにして、円筒状基体10に対する膜形成が終了した場合には、支持体3から円筒状基体10を抜き取ることにより、図1に示した電子写真感光体1を得ることができる。そして、成膜後は、成膜残渣を取り除くため、真空反応室4内の各部材を分解し、酸、アルカリあるいはブラストなどの洗浄を行ない、次回の成膜時に欠陥不良となる発塵が無いようにウェットエッチングを行なう。また、ウェットエッチングに代えて、ハロゲン系(ClF、CF、NF、SiFまたはこれらの混合ガス)のガスを用いてガスエッチングを行なうことも有効である。
(画像形成装置)
本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図3を用いて説明する。
図3に示す画像形成装置は、画像形成方式としてカールソン法を採用したものであり、電子写真感光体1、帯電器111、露光器112、現像器113、転写器114、定着器115、クリーニング器116および除電器117を備えている。
帯電器111は、電子写真感光体1の表面を負極性に帯電する役割を有するものである。帯電電圧は、例えば200V以上1000V以下に設定される。本実施形態において帯電器111は、例えば芯金を導電性ゴムあるいはPVDF(ポリフッ化ビニリデン)によって被覆して構成される接触型帯電器が採用されているが、これに代えて、放電ワイヤを備える非接触型帯電器(例えばコロナ帯電器)を採用してもよい。
露光器112は、電子写真感光体1に静電潜像を形成する役割を有するものである。具体的には、露光器112は、画像信号に応じて特定波長(例えば650nm以上780nm以下)の露光光(例えばレーザ光)を電子写真感光体1に照射することによって、帯電状態にある電子写真感光体1の露光光照射部分の電位を減衰させて静電潜像を形成する。露光器112としては、例えば複数のLED素子(波長:680nm)を配列させてなるLED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)ヘッドを採用することができる。
もちろん、露光器112の光源としては、LED素子に代えてレーザ光を出射可能なものを使用することもできる。つまり、LEDヘッドなどの露光器112に代えて、ポリゴンミラーを含んでなる光学系を使用してもよい。あるいは、原稿からの反射光を通すレンズおよびミラーを含んでなる光学系を採用することによって、複写機の構成の画像形成装置とすることもできる。
現像器113は、電子写真感光体1の静電潜像を現像してトナー像を形成する役割を有するものである。本例における現像器113は、現像剤(トナー)Tを磁気的に保持する磁気ローラ113Aを備えている。
現像剤Tは、電子写真感光体1の表面上に形成されるトナー像を構成するものであり、現像器113において摩擦帯電する。現像剤Tとしては、例えば、磁性キャリアおよび絶縁性トナーを含んでなる2成分系現像剤と、磁性トナーを含んでなる1成分系現像剤とが挙げられる。
磁気ローラ113Aは、電子写真感光体1の表面(現像領域)に現像剤を搬送する役割を有するものである。磁気ローラ113Aは、現像器113において摩擦帯電した現像剤Tを一定の穂長に調整された磁気ブラシの形で搬送する。この搬送された現像剤Tは、電子写真感光体1の現像領域において、静電潜像との静電引力によって電子写真感光体1の表面に付着してトナー像を形成する(静電潜像を可視化する)。トナー像の帯電極性は、正規現像によって画像形成が行なわれる場合には電子写真感光体1の表面の帯電極性と逆極性とされ、反転現像によって画像形成が行なわれる場合には電子写真感光体1の表面の帯電極性と同極性とされる。
なお、現像器113は、本例においては乾式現像方式を採用しているが、液体現像剤を用いた湿式現像方式を採用してもよい。
転写器114は、電子写真感光体1と転写器114との間の転写領域に供給された記録媒体Pに、電子写真感光体1のトナー像を転写する役割を有するものである。本例における転写器114は、転写用チャージャ114Aおよび分離用チャージャ114Bを備えている。転写器114では、転写用チャージャ114Aにおいて記録媒体Pの背面(非記録面)がトナー像とは逆極性に帯電され、この帯電電荷とトナー像との静電引力によって、記録媒体P上にトナー像が転写される。また、転写器114では、トナー像の転写と同時的に、分離用チャージャ114Bにおいて記録媒体Pの背面が交流帯電され、記録媒体Pが電子写真感光体1の表面から速やかに分離させられる。
転写器114としては、電子写真感光体1の回転に従動し、且つ、電子写真感光体1とは微小間隙(例えば0.5mm以下)を介して配置された転写ローラを用いることも可能である。この転写ローラは、例えば直流電源により、電子写真感光体1上のトナー像を記録媒体P上に引きつけるような転写電圧を印加するように構成される。転写ローラを用いる場合には、分離用チャージャ114Bのような転写分離装置は省略することもできる。
定着器115は、記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させる役割を有するものであり、一対の定着ローラ115A、115Bを備えている。定着ローラ115A、115Bは、例えば金属ローラ上に四フッ化エチレンなどで表面被覆したものである。定着器115では、一対の定着ローラ115A、115Bの間を通過させる記録媒体Pに対して熱および圧力などを作用させることによって、記録媒体Pにトナー像を定着させることができる。
クリーニング器116は、電子写真感光体1の表面に残存するトナーを除去する役割を有するものであり、クリーニングブレード116Aを備えている。クリーニングブレード116Aは、電子写真感光体1の表面から残留トナーを掻きとる役割を有するものである。クリーニングブレード116Aは、例えばポリウレタン樹脂を主成分としたゴム材料で形成されている。
除電器117は、電子写真感光体1の表面電荷を除去する役割を有するものであり、特定波長(例えば780nm以上)の光を出射可能とされている。除電器117は、例えばLEDなどの光源によって電子写真感光体1の表面の軸方向全体を光照射することにより、電子写真感光体1の表面電荷(残余の静電潜像)を除去するように構成されている。
本実施形態の画像形成装置100では、電子写真感光体1の有する上述の効果を奏することができる。
(実施例)
本発明の実施形態に係る電子写真感光体1について、次の通り評価を行なった。
電子写真感光体1の作製について
<円筒状基体10>
円筒状基体10は、アルミニウム合金素管(外径:30mm、長さ360mm)を用いて作製した。円筒状基体10の外周面に対して、鏡面加工、およびウェットブラスト加工を行ない、洗浄した。
まず、円筒状基体10の表面の鏡面加工として、円筒状基体10を両端保持し、1500〜8000rpmにて高速回転させた状態で、ダイヤモンドバイトを押し当てて、送り0.08〜0.5mmにてバニッシング加工した。すなわち、バイトの仕上げ面に、ワーク回転方向に奥行きを持たせたダイヤモンドバイトを円筒状基体10の表面に押し当てることで、滑らかな仕上げ面を得た。
このような鏡面加工の後、円筒状基体10に対して脱脂洗浄を行なった。
次に、ウェットブラスト加工として、アルミナなどの高硬度な研磨材と水とを攪拌し、圧縮空気と混合・加速させて、鏡面加工された円筒状基体10の表面に投射することによって粗面化を行なった。これによれば、円筒状基体10を回転させながら加工処理することによって、短時間で均一な加工面を形成することができる。本実施例のように、ウェットブラスト加工によれば、他の加工方法と比べて、粒径の小さい研磨材を一様に投射することを比較的容易に行なうことが可能であることから、均一性に優れた加工面を得ることができる。
具体的には、ウェットブラスト加工の条件として、次のパラメータを調整することによって、15種類の異なる表面を有する円筒状基体10のサンプルを用意した。
研磨材材質・粒径:A(アランダム(褐色溶解アルミナ))#320〜#4000
研磨材濃度:10〜18%
投射エア圧:0.10〜0.35MPa
投射距離(ワーク中心とブラストヘッド間距離):20〜300mm
投射時間:1〜60秒間
ワーク回転数:120〜180rpm
なお、異なる研磨材材質・粒径を用いることによってSalの値を調整するとともに、投射エア圧、投射距離および投射時間(1〜60秒間)を変化させることによって、Strの値を調整した。
そして、ウェットブラストを行なった後に、表面に残存している残渣を洗浄して除去することによって、円筒状基体10を用意した。
このようにして用意された円筒状基体10を、図2に示すプラズマCVD装置にセットして、表1に示す条件で、円筒状基体10の表面に、電荷注入阻止層11a、光導電層11b、および表面層12を形成した。
表1におけるBおよびNOの流量は、SiHの流量に対する比で表している。なお、プラズマCVD装置の電源としては、直流パルス電源(パルス周波数:50kHz、Duty比:70%)を使用した。また、膜厚の測定は、その断面をSEM(走査型電子顕微鏡)およびXMA(X線マイクロアナライザ)で分析することにより行なった。各層の具体的な構成は次の通りである。
<電荷注入阻止層>
電荷注入阻止層11aは、アモルファスシリコン(a−Si)に窒素(N)および酸素(O)を加えたアモルファスシリコン(a−Si)系材料に、ドーパントとしてホウ素(B)を含有させたものである。
電荷注入阻止層11aの膜厚は5μmとした。
<光導電層>
光導電層11bは、アモルファスシリコン(a−Si)に炭素(C)、窒素(N)および酸素(O)などを加えたアモルファスシリコン(a−Si)系材料に、ドーパントとしてホウ素(B)を含有させたものである。
光導電層11bの膜厚は14μmとした。
<表面層>
表面層12は、アモルファス炭化シリコン(a−SiC)とアモルファスカーボン(a−C)とを積層した構成である。
表面層12の膜厚は計1.2μmとし、表面層第3層の膜厚は0.2μmとした。
ここで、表面層12の表面粗さを変更させることによって、電子写真感光体1のサンプル1〜15を作製した。
以上のようにして得られた電子写真感光体1のサンプル1〜15について、表面層12の表面性状を測定した。
当該測定は、オリンパス株式会社製3次元測定レーザ顕微鏡OLS4100により、ISO25178に準拠した3次元粗さパラメータにて表面形状の評価を実施した。測定条件として、倍率50倍のレンズを使用し、260μm×261μmの範囲を高速測定モードにて測定した。測定対象が円筒形状であるため、補正はXY方向曲率補正を実施した。それに加えて、旋削加工の周期スジ影響を消すために、中心波長λc=0.080mmのフィルタ補正を展開し、各パラメータを算出した。なお、ここでの測定結果は、電子写真感光体1の、円筒状基体10の軸方向中央部において、100mmの範囲内の5箇所の測定結果の算術平均である。
各サンプルのStrおよびSalについては、後述する表2に示す通りである。
次いで、作製した電子写真感光体1の各サンプルを、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製のカラー複合機TASKalfa 3550ci改造装置に組み込み、それぞれのサンプルについて、60万枚(600K)連続印刷時における電子写真感光体1の表面層12のSa減少率(%)、電子写真感光体1の周辺部材であるクリーニングブレード116Aの傷の評価、帯電ローラの表面汚染状態の観察による画像特性の評価を行なった。そして、それらの個別特性を踏まえた総合的な評価である総合評価を行なった。
上述のそれぞれの個別特性の評価は次の条件にて行なった。すなわち、室温23℃および相対湿度60%の評価環境下において、20万枚連続印刷を行なった時点、40万枚連続印刷した時点、および60万枚連続印刷した各時点において、電子写真感光体1の表面性状の上記レーザ顕微鏡による測定、クリーニングブレード116Aのエッジ部の傷の有無、帯電ローラの表面汚染状態の拡大鏡(20倍)による観察、を行なった。
ここで、Sa減少率(%)とは、電子写真感光体1の表面層のSaの値が印刷を行う前の初期値から減少した割合を示すものであって、例えば70%と記載している場合には印刷前の状態に対してSaの値が30%になっていることを意味する。なお、Sa減少率(%)のデータにおいて、※印を付している値は、20万枚(200K)連続印刷時における電子写真感光体1の表面層12のSa減少率(%)を示している。
また、クリーニングブレード116Aの破損モードについては次の通りである。評価Aは、20万枚(200K)連続印刷の結果、クリーニングブレード116Aに多少の破損が見られたことを示す。評価Bとは、1000枚以下の少数印刷の時点で、クリーニングブレード116Aに明らかな破損が見られたことを示す。
評価結果について、表2に示す。
表2において、◎は優れた特性を有する、○は好ましい特性を有する、△は要求レベルの特性を有する、×は要求レベルの特性を充足しない、ことを示す。
すなわち、表2の結果から次のことが分かった。
電子写真感光体1は、Salの値に起因して初期不良が生じた場合(サンプル14および15)を除き、Strの値が0.67以上の場合(サンプル2,3,5,6,8,9,11および12)には、優れた効果を奏することが分かった。その中でも、Strの値が0.79以上の場合(サンプル3,6,9および12)には、より優れた効果を奏することが分かった。
これらの実験データによると、Strの値が所定以上であれば、表面層12の表面形状は均一性の高い凹凸を備えることによって、耐久使用時において、表面が徐々に磨耗しても表面粗さを一定範囲内に維持し続けることが可能である。その結果、表面層12とクリーニングブレード116Aとの間の摩擦抵抗の増大を効果的に抑制し続けることができる。これにより、クリーニングブレード116Aの欠損を抑制することができ、印画した画像の異常スジなどの画像欠陥を低減することができたものと考えられる。なお、サンプル14および15において初期不良が生じた原因としては、Salの値が大きい場合には、周辺部材であるクリーニングブレードなどとの摩擦抵抗が大きく、クリーニングブレード116Aの欠損が生じたものと考えられる。
また、Strの値が0.67以上の条件下において、さらに次のことが分かった。すなわち、Salの値が10.3μm以下の場合(サンプル2,3,5,6,8,9,11および12)には、優れた効果を奏することが分かった。これらの実験データによると、Salが所定値よりも小さい場合には、電子写真感光体1の表面層12とクリーニングブレード116Aとの間の摩擦抵抗を低減することができ、クリーニングブレード116Aの欠損が抑制されることによって、優れた耐久特性を得ることができたと考えられる。また、Salの値が0.9μm以上の場合には(サンプル2,3,5,6,8,9,11および12)、優れた効果を奏することが分かった。さらに、Salの値が1.6μm以上の場合(サンプル5,6,8,9,11および12)には、より優れた効果を奏することが分かった。これらの実験データによると、Salが所定値よりも大きい場合には、電子写真感光体1の表面層12の磨耗が低減され、クリーニングブレード116Aの欠損が抑制されることによって、優れた耐久特性を得ることができたと考えられる。
なお、本発明は上述の実施形態に示したものだけに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で改良や変更ができることは言うまでもない。
例えば、上述の実施形態において、円筒状基体10と、電荷注入阻止層11aと、光導電層11bと、を別々の構成要素として説明したが、これに代えて、円筒状基体10の少なくとも表面が電荷注入阻止特性を備えるようにしてもよい。これによれば、別途電荷注入阻止層11aを設けることなく、円筒状基体10それ自体によって、円筒状基体10から光導電層11bへのキャリア(電子)の注入を阻止する役割を有することができる。
1 電子写真感光体
2 プラズマCVD装置
3 支持体
4 真空反応室
5 回転手段
6 原料ガス供給手段
7 排気手段
10 円筒状基体
11 感光層
11a 電荷注入阻止層
11b 光導電層
12 表面層
30 フランジ部
31 導電性支柱
32 絶縁材
33 導板
34 直流電源
35 制御部
36 セラミックパイプ
37 ヒータ
38 ダミー基体
38A 下ダミー基体
38B 中間ダミー基体
38C 上ダミー基体
40 円筒状電極
41,42 プレート
43,44 絶縁部材
42A,44A ガス排出口
45a,45b ガス導入口
46 ガス吹き出し孔
49 圧力計
50 回転モータ
51 回転力伝達機構
52 回転導入端子
53 絶縁軸部材
54 絶縁平板
60〜63 原料ガスタンク
64 ドーパント専用ガスタンク
60A〜64A,65a,65b 配管
60B〜64B,60C〜64C バルブ
60D〜64D マスフローコントローラ
71 メカニカルブースタポンプ
72 ロータリーポンプ
100 画像形成装置
111 帯電器
112 露光器
113 現像器
113A 磁気ローラ
114 転写器
114A 転写用チャージャ
114B 分離用チャージャ
115 定着器
115A,115B 定着ローラ
116 クリーニング器
116A クリーニングブレード
117 除電器
P 記録媒体
T 現像剤

Claims (7)

  1. 円筒状基体の表面を鏡面加工する工程と、
    鏡面加工した前記円筒状基体の表面を、ウェットブラスト加工、スパッタエッチング加工、ガスエッチング加工、またはウェットエッチング加工によって粗面化する工程と、
    粗面化した前記円筒状基体の表面に電荷注入阻止層を形成する工程と、
    前記電荷注入層上に光導電層を形成する工程と、
    前記光導電層上に、表面粗さがStr≧0.67に粗面化された表面層を形成する工程と、を備える電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記表面層を形成する工程において、表面粗さがSal≦10.3μmに粗面化された前記表面層を形成する、請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記表面層を形成する工程において、表面粗さがSal≧0.9μmに粗面化された前記表面層を形成する、請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記粗面化する工程において、鏡面加工した前記円筒状基体の表面を、前記ウェットブラスト加工によって粗面化する、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記粗面化する工程において、鏡面加工した前記円筒状基体の表面を、表面粗さが50nm<Sa<140nmに粗面化する、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記電荷注入阻止層、前記光導電層および前記表面層の少なくとも1つを、アモルファスシリコン(a−Si)系材料で形成する、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記表面層を、アモルファスカーボン(a−C)を用いて形成する、請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
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