JPH08129266A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH08129266A
JPH08129266A JP3934294A JP3934294A JPH08129266A JP H08129266 A JPH08129266 A JP H08129266A JP 3934294 A JP3934294 A JP 3934294A JP 3934294 A JP3934294 A JP 3934294A JP H08129266 A JPH08129266 A JP H08129266A
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JP
Japan
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layer
hydrogen
group
amorphous silicon
halogen
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Application number
JP3934294A
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English (en)
Inventor
Yuzuru Fukuda
讓 福田
Goji Ota
剛司 大田
Taketoshi Azuma
武敏 東
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 解像度が高く、干渉模様の発生がなく、高画
質の複写画像を得ることができるレーザビームプリンタ
ー用のアモルファスシリコン電子写真感光体を提供す
る。 【構成】 導電性基体上に、電荷注入阻止層とアモルフ
ァスシリコンを主体としてなり、かつ、水素、ハロゲ
ン、ゲルマニウム、周期律表第III 族および第V族元素
から選ばれる元素の少なくとも1種を含有する光導電層
とを有する電子写真感光体において、導電性基体の表面
が中心線平均粗さで0.006μm以上、0.05μm
未満の範囲の凹凸を有するか、または平均傾斜角で0.
2°以上、3°以下の範囲の凹凸を有することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体、特に
半導体レーザビームプリンター用電子写真感光体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いたレーザビー
ムプリンターが、パーソナルコンピュータ、ワードプロ
セッサ等の出力用端末として急速に普及してきた。レー
ザビームプリンターに用いられる感光体には、赤外感度
のある有機感光体が用いられている。しかしながら、有
機感光体は、赤外感度、帯電特性に優れた点があるとは
いえ、耐久性、耐刷性が不足しているという問題があっ
た。一方、長寿命感光体としてアモルファスシリコンを
含有する感光体が開発され、実用化されているが、アモ
ルファスシリコンは、一般的に用いられている半導体レ
ーザの780nmの波長領域で光学吸収が小さく、結果
としてアモルファスシリコン感光体の感度は750nm
より長波長領域で急激に低下し、半導体レーザの光の全
てが光導電層に吸収はされない。その結果、表面反射光
との干渉による画像上での木目状の濃淡模様が現れ、画
質を損なうものとなる。
【0003】上記の問題を解決するための対策として、
特開昭54−86341号公報に開示されているような
反射防止層を設けることが提案されているが、これらの
問題を完全に消去することは困難であった。また、基体
表面を粗面化し、光散乱を行わせることによって干渉模
様の発生を防止する方法が提案されている。例えば、基
体表面をダイヤモンド切削して、±500オングストロ
ーム〜±10,000オングストローム(±0.05μ
m〜±1μm)の凹凸を設けて光散乱面を形成する方法
(特開昭58−162975号公報)、感光性記録媒体
のベース表面に0.1〜1.0μm程度の微細な凹凸を
形成する方法(特公平5−26191号公報)、および
切削とエッチング処理により基板表面に0.2〜4μm
の表面粗度の凹凸を設ける方法(特公平5−14902
号公報)等が提案されている。
【0004】しかしながら、これらの提案においては、
表面粗さの測定、表示方法の具体的な明示がなく、例え
ば、JIS−B0601の表面粗さ規格における最大高
さ(Rmax )や中心線平均粗さ(Ra)或いは十点平均
粗さ(Rz)等の複数ある表面粗さの表示方法のいずれ
の方法によって表面粗さの値或いは範囲を規定している
のか明確でない。表面粗さの測定、表示方法が異なれば
表面粗さの値が異なるため、表示方法の規定がない限
り、表面粗さの値は一義的に決まらない。加えて、カッ
トオフ値や基準長さといった表面粗さの測定上の特有の
パラメータを同時に規定しないと正確な表面粗さの値を
決定することは不可能である。この点において、上記従
来の提案は、技術的に極めて不完全、不十分なものであ
ったが、本発明者の研究により、実験値と比べ合わせた
結果、上記従来の提案された値は、最大高さ(Rmax )
によるものであると推定するに至った。
【0005】ところが、本発明者等はさらに研究を重ね
た結果、表面粗さを最大高さ(Rmax )で規定するこれ
らの従来の方法では、干渉模様の発生の防止が十分にで
きないことが分かった。すなわち、最大高さ(Rmax )
は、図1に示すように基準長さLの間における最大高さ
(最大値−最小値)を表面粗さの測定値とするが、その
ため、その基準長さ間に1ヶ所でも他より大きな凹凸が
あると、その部分で表面粗さが決定される。そのため、
これを管理特性(管理値)とすると、この大きな凹凸部
以外の表面粗さの小さいところで、粗度(粗面化)不足
による局所的な干渉模様が発生しやすくなるという欠点
を有する。更にまた、最大高さ(Rmax)は、上記した
理由と同じ理由により基準長さ間における表面粗さの全
部の平均値ではないため、バラツキが大きくなりやす
く、試料間或いは測定間などで再現性が低く、精度ある
管理特性(管理値)を有するものにすることはできない
という欠点を有している。さらに、アモルファスシリコ
ン感光層を形成する際には、突起状の凸部が発生すると
いう問題が生じる。このような凸部により、画像欠陥を
生じる場合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のアモ
ルファスシリコン電子写真感光体における上記のような
問題点を解決することを目的とするものである。すなわ
ち、本発明の目的は、高感度で信頼性の高い長寿命のア
モルファスシリコン電子写真感光体を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、解像度が高く、干渉模様の発
生がなく、画像欠陥の発生がなく、高画質の複写画像を
得ることができるレーザビームプリンター用のアモルフ
ァスシリコン電子写真感光体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の問題
点を解消すべく鋭意研究を重ねた結果、導電性基体の表
面が中心線平均粗さ(Ra)で0.006μm以上、
0.05μm未満の範囲の凹凸を有することにより、高
画質で解像度が高く、干渉模様の発生のないレーザビー
ムプリンターに適した電子写真感光体が得られることを
見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明者
は、導電性基体の表面が平均傾斜角で0.2°以上、3
°以下の凹凸を有することにより、前記課題を解決する
ことができることを見出した。
【0008】すなわち、本発明の第1の態様は、導電性
基体上に、電荷注入阻止層とアモルファスシリコンを主
体とし、かつ、水素、ハロゲン、ゲルマニウム、周期律
表第III 族元素および第V族元素から選ばれる元素の少
なくとも1種を含有する光導電層とを有する電子写真感
光体おいて、導電性基体の表面が中心線平均粗さ(R
a)で0.006μm以上、0.05μm未満の範囲の
凹凸を有することを特徴とする。本発明の第2の態様
は、導電性基体上に、電荷注入阻止層とアモルファスシ
リコンを主体とし、かつ、水素、ハロゲン、ゲルマニウ
ム、周期律表第III 族元素および第V族元素から選ばれ
る元素の少なくとも1種を含有する光導電層とを有する
電子写真感光体おいて、導電性基体の表面が平均傾斜角
で0.2°以上、3°以下の範囲の凹凸を有することを
特徴とする。本発明において、導電性基体の表面は、上
記範囲の中心線平均粗さと上記範囲の平均傾斜角の両者
の要件を同時に満たす凹凸を有する場合が特に好まし
い。
【0009】本発明において、高い精度と再現性に優れ
た表面粗さを得るための中心線平均粗さの測定、および
平均傾斜角の測定は、カットオフ値が0.08mm、か
つ基準長さが0.25mmの条件で一定して行われるこ
とが望ましい。本発明における導電性基体に上記の中心
線平均粗さの凹凸を付与するための粗面化は、液体ホー
ニング法あるいはサンドブラスト法の少なくともいずれ
か一つを用いて行うことが好ましい。また、上記平均傾
斜角の凹凸を付与するための粗面化は、液体ホーニング
法或いはサンドブラスト法の少なくとも1つによって行
うことが好ましい。
【0010】本発明の電子写真感光体は、光導電層より
表面側に反射防止層を設けてもよく、更には最上部層に
表面層を設けることが望ましい。反射防止層および表面
層は、そのいずれか1層、或いはこれらの両者を同時に
設けることができる。電子写真感光体の各層は、下記の
ような層から形成されることが好ましい。すなわち、電
荷注入阻止層は、水素、ハロゲン、周期律表第III 族元
素、第V族元素、炭素、窒素および酸素から選ばれる元
素の少なくとも1種を含有するアモルファスシリコンか
らなる。光導電層は、水素、ハロゲン、周期律表第III
族元素、第V族元素、炭素、窒素および酸素から選ばれ
る元素の少なくとも1種を含有するアモルファスシリコ
ンを主体とする層と、水素、ハロゲン、周期律表第III
族元素および第V族元素から選ばれる元素の少なくとも
1種を含有するアモルファスシリコンゲルマニウムを主
体とする層とからなる。表面層は、水素、ハロゲン、周
期律表第III 族元素、第V族元素、炭素、窒素および酸
素から選ばれる元素の少なくとも1種を含有するアモル
ファスシリコン層、または、水素、ハロゲン、周期律表
第III 族元素および第V族元素から選ばれる元素の少な
くとも1種を含有するアモルファス炭素層からなる。以
下、本発明を詳細に説明する。
【0011】図2〜4は、本発明の電子写真感光体の模
式的断面図である。図2には、その表面が中心線平均粗
さ(Ra)で0.006μm以上、0.05μm未満の
範囲であるか、または平均傾斜角で0.2°以上、3°
以下の範囲の凹凸を有する導電性基体1上に、電荷注入
阻止層2とアモルファスシリコンを主体としてなる光導
電層3を積層した感光体が示されている。図3には、そ
の表面が中心線平均粗さ(Ra)で0.006μm以
上、0.05μm未満の範囲であるか、または平均傾斜
角で0.2°以上、3°以下の範囲の凹凸を有する導電
性基体1上に、電荷注入阻止層2およびアモルファスシ
リコンを主体としてなる光導電層3が積層され、更に光
導電層3の上に表面層4が設けられており、表面層4は
反射防止層に置き換えることができる。また、図4にお
いては、アモルファスシリコン層および/またはアモル
ファス炭素層の2層構造(第一の表面層4a、第二の表
面層4b)からなる表面層4を設けた感光体が示されて
いるが、第一の表面層4aを反射防止層に置き換えるこ
ともできる。
【0012】本発明において、導電性基体を構成する支
持体としては、導電性支持体または絶縁性支持体のいず
れを用いてもよい。導電性支持体としては、ステンレス
鋼、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属およびそ
の合金があげられる。ステンレス鋼の中では、一般にオ
ーステナイト系ステンレス鋼と称されるCr−Ni含有
鋼で形成されているものを用いることができる。さらに
また、これらのオーステナイト系ステンレス鋼よりなる
導電性支持体の表面に、少なくともモリブデン、クロ
ム、マンガン、タングステンまたはチタンを主成分とす
る導電層を形成させたものが好ましく使用される。これ
らの導電層は、メッキ処理、スパッタリング法または蒸
着法によって形成することができる。また、アルミニウ
ム基板上にクロム、チタン、タングステンまたはモリブ
デンを主成分として形成された導電層を有するものを用
いることができる。さらにまた、モリブデン、タングス
テンまたはチタンから構成される導電性支持体を用いる
こともできる。絶縁性支持体としては、ポリエステル、
ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ
アミド、ポリイミド等の高分子フィルムまたはシート、
ガラス、セラミック等があげられる。絶縁性支持体を用
いる場合は、少なくとも他の層と接触する面に導電化処
理が施される。導電化処理は、上記導電性金属の他に、
金、銀、銅等を蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ
ーティング法で金属膜を絶縁性支持体上に形成すること
により行われる。
【0013】本発明において、導電性基体はその表面が
粗面化による凹凸を有している。第1の態様において
は、導電性基体の表面は、中心線平均粗さ(Ra)で
0.006μm以上、0.05μm未満の範囲の凹凸を
有することが必要である。図5に、中心線平均粗さ(R
a)の定義を示す。中心線平均粗さは、粗さ曲線からそ
の中心線の方向に測定長さ(基準長さ)Lの部分を抜き
取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向
をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次の式
のよって求められる値をマイクロメートル(μm)
【数1】 で表したものであるから、その値は、測定長さLの全区
間での積分された平均値として求まる。したがって、測
定長さLの区間のある箇所に局所的に他より大きな凹凸
があったとしても、その部分の表面粗さ値への寄与は少
なく、最大高さ(Rmax)で示される場合のように全体的
な表面粗さ特性を見誤るということはない。また、測定
長さLの全区間での平均値であるから試料間或いは測定
間等で再現性の高いものとなる。これらの理由から、表
面粗さの管理特性(管理値)を中心線平均粗さ(Ra)
とし、かつその粗さの範囲を0.006μm以上、0.
05μm未満とすることにより、局所的な干渉模様の発
生がなく、また、画像欠陥がなく、信頼性の高い高画質
の複写画像を得ることができる。
【0014】高い精度と再現性に優れる表面粗さを得る
ために中心線平均粗さの測定はカットオフ値が0.08
mm,かつ基準長さが0.25mmの条件で一定して行
われることが望ましい。本発明において、中心線平均粗
さ(Ra)の範囲は0.006μm以上、0.05μm
未満の範囲にあることが必要であるが、粗面化による凹
凸の度合が、0.006μmより平滑になると干渉模様
が発生しやすくなる傾向にあり、また0.05μmより
粗くなると画像欠陥の発生や解像度の低下を生じるおそ
れがある。特にアモルファスシリコン系感光層の形成時
に突起を生じやすい。
【0015】第2の態様においては、導電性基体の表面
は、平均傾斜角で0.2°以上、3°以下の範囲の凹凸
を有することが必要である。図6に平均傾斜角(θa)
の定義を示す。平均傾斜角(θa)は、基準長さLの間
にある凹凸の平均傾斜角であり、次式
【数2】 で表わされるものであるから、その値は、粗さ曲線にお
ける縦方向(深さ方向)の情報と横方向(幅方向)の情
報を同時に合わせたものとして得ることができる。すな
わち、図7(a)に示すように凹凸の山や谷がより鋭角
的なものであるか、或いは図7(b)に示すように凹凸
の山や谷がより鈍角的なものであるかの判別が可能であ
る。したがって、表面粗さの管理特性(管理値)を平均
傾斜角(θa)とし、かつその平均傾斜角範囲を0.2
°以上、3°以下とすることにより、黒点や白点等の画
像欠陥の原因に特になりやすい図7(a)に示すよう
な、より鋭角的な凹凸の識別が可能となり、基体表面の
粗面化による干渉模様の発生の防止と画像欠陥発生の防
止とを両立させることができる。さらにまた、平均傾斜
角(θa)は、その定義を図示したごとく、基準長さ
(測定長さ)Lの全区間での凹凸の平均値の形で求ま
る。したがって、基準長さLの区間のある箇所に局所的
に他より大きな凹凸があったとしても、その部分の表面
粗さ値、すなわち、平均傾斜角(θa)値への寄与は少
なく、最大高さ(Rmax)で示される場合のように全
体的な表面粗さ特性を見誤るということはなく、局所的
な干渉模様の発生の防止と、画像欠陥発生の防止とを両
立させることができる。さらに加えて、平均傾斜角(θ
a)は、基準長さLの全区間での平均値で求まるから、
試料間或いは測定間等でばらつきがなく、再現性の高い
ものとなる。これらの総合的理由から、表面粗さの管理
特性(管理値)を平均傾斜角(θa)とし、かつその平
均傾斜角範囲を0.2°以上、3°以下にすることによ
り、基体表面の粗面化による干渉模様の発生防止と画像
欠陥の発生防止とを両立させることができ、局所的な干
渉模様の発生がなく、かつ黒点や白点等画像欠陥のない
高画質で信頼性の高いプリントを得ることができる。
【0016】高い精度と再現性に優れた表面粗さを得る
ために平均傾斜角(θa)の測定は、カットオフ値が
0.08mm、かつ基準長さが0.25mmの条件で一
定して行われることが望ましい。第2の態様の場合に
は、平均傾斜角の範囲が0.2°以上、3°以下である
ことが必要であるが、粗面化による凹凸の度合いが平均
傾斜角で0.2°よりも平滑になると、干渉模様が発生
しやすくなる傾向にあり、また3°よりも粗くなると、
画像欠陥の発生や解像度の低下を生じる。
【0017】導電性基体の表面に凹凸を付与するための
粗面化のためには、液体ホーニング法、サンドブラスト
法、剛体球落下法、切削法などの方法を用いることがで
きるが、信頼性と再現性の観点から、液体ホーニング法
あるいはサンドブラスト法の使用が好ましい。中でも、
特に中心線平均粗さ(Ra)が0.006μm以上、
0.05μm未満の範囲にあるようにするためには、微
小凹凸の高精度な制御の観点から、液体ホーニング法に
サンドブラスト法等の他の方法を組み合わせるのが好ま
しい。また、平均傾斜角が上記の範囲にあるようにする
ためには、微小凹凸の高精度な制御と信頼性および再現
性の観点から、液体ホーニング法或いはサンドブラスト
法の使用が好ましい。また、液体ホーニング法と他の方
法を組み合わせてもよい。
【0018】本発明の電子写真感光体は、導電性基体上
に電荷注入阻止層および光導電層を有する。所望によ
り、光導電層上に反射防止層および/または表面層を設
けることが望ましい。電荷注入阻止層は、基板または光
導電層との接着性、電荷注入阻止能を向上させるため
に、水素、ハロゲン、第III 族元素、第V族元素、炭
素、窒素および酸素の少なくとも1種を含有するアモル
ファスシリコンからなる。添加元素として第III 族元素
または第V族元素のいずれを用いるかは、感光体の帯電
極性によって決められる。電荷注入阻止層の膜厚は0.
01〜10μmの範囲が適当であり、好ましくは0.1
〜10μmである。
【0019】本発明においては、電荷注入阻止層と導電
性基体との間に、更に接着層等の補助層を設けてもよ
い。この補助層は、例えば炭素、窒素、酸素等の少なく
とも1種を含有するアモルファスシリコンからなる。ア
モルファスシリコンに炭素、窒素、酸素を含有するa−
SiCx 、a−SiNy 、a−SiOz を主体とする場
合、含有量x、y、zは、それぞれ0.01<x<0.
5、0.01<y<0.3、0.01<z<0.5の範
囲が好ましい。補助層の膜厚は0.1〜3μmの範囲が
好ましい。
【0020】光導電層は、水素、ハロゲン、第III 族元
素および第V族元素の少なくとも1種を含有するアモル
ファスシリコンを主体とする層(以下、「アモルファス
シリコン層」という。)からなる。この光導電層は、水
素およびハロゲンの少なくとも1種を含有するアモルフ
ァスシリコンを主体として形成され、これに不純物元素
としてホウ素等の第III 族元素またはリン素等の第V族
元素を含有させて、電荷保持性を高めることが好まし
い。特にハロゲンは暗減衰を低下させるのに効果があ
る。水素および/またはハロゲンの含有量は3〜40原
子%の範囲が適当である。また、第III 族元素または第
V族元素の含有量は、感光体の帯電極性、必要な分光感
度によって決定され、0.01〜1000ppmの範囲
が適当である。光導電層には、帯電性の向上、暗減衰の
低減、感度の向上等の目的で、更に炭素、窒素、酸素等
の元素を添加することも可能である。また、ゲルマニウ
ムおよびスズの少なくとも1種が含有されていてもよ
い。光導電層の膜厚は1〜100μmの範囲が好まし
い。本発明においては、光導電層は電荷発生層と電荷輸
送層との二種類から構成されていてもよい。
【0021】本発明において、光導電層は、また、水
素、ハロゲン、第III 族元素、第V族元素、炭素、窒素
および酸素の少なくとも1種を含有するアモルファスシ
リコン層と、水素、ハロゲン、第III 族元素および第V
族元素の少なくとも1種を含有するアモルファスシリコ
ンゲルマニウムを主体とする層(以下、a−SiGe層
という)とからなる積層構造であってもよい。この場
合、a−SiGe層と組み合わせるアモルファスシリコ
ン層としては、前記した単層構造のアモルファスシリコ
ン層の場合と同様のものが用いられる。また、a−Si
Ge層としては、ケイ素に対するゲルマニウムの原子比
が0.01〜1の範囲のものが好ましい。アモルファス
シリコン層とa−SiGe層とを組み合わせた場合、ア
モルファスシリコン層は可視光域において高い光感度を
有し、a−SiGe層は特に750〜800nmの長波
長域において高い光感度を有しているので、可視光から
800nmまでの長波長域にわたって高い光感度を示す
ものとなる。両者の積層構造は、通常アモルファスシリ
コン層、a−SiGe層の順序であるが、アモルファス
シリコン層とa−SiGe層を逆の順序で積層しても、
或いはa−SiGe層がアモルファスシリコン層により
挟まれたサンドウィッチ状であってもよい。a−SiG
e層の膜厚は、0.1〜50μmの範囲が適当であり、
好ましくは0.5〜20μmである。
【0022】上記a−SiGe層には、光導電性の改善
のために、ハロゲンを1〜50原子%程度含有させても
よい。また、暗減衰、残留電位および光疲労を低減する
ために、ホウ素等の第III 族元素またはリン等の第V族
元素を含有させておくことが好ましい。その場合、例え
ばケイ素およびゲルマニウムに対するホウ素の含有量
は、ケイ素およびゲルマニウム量と感光体の帯電極性と
により決定されるが、0.01〜1000ppmの範囲
が適当であり、好ましくは0.1〜100ppmであ
る。また、リンの含有量は、ケイ素およびゲルマニウム
量と感光体の帯電極性とにより決定されるが、0.01
〜100ppmの範囲が適当であり、好ましくは0.0
1〜10ppmである。さらに、前述と同様の目的で、
炭素、窒素および酸素の少なくとも1種を含有させても
よい。
【0023】本発明においては、光導電層より表面側に
反射防止層を設けることが望ましい。反射防止層は、反
射スペクトルの極小値を使用する光源の波長に合わせる
ように膜厚と屈折率を調整すればよい。膜厚は屈折率を
nとするとλ(2m+1)/4n(ここに、λ:光源の
波長、m:0,1,2・・・)とすればよく、屈折率は
光導電層の屈折率n1 の平方根(n1 1/2 )に近似させ
ればよい。この屈折率は、シリコンに対する炭素、窒
素、酸素の含有量により約4から2まで変化させること
ができる。反射防止層は、電荷注入阻止層の役目を持っ
てもよいし、表面保護層の働きを兼ねてもよい。反射防
止層の膜厚は、0.01〜5μmの範囲が適当であり、
好ましくは0.1〜2μmである。膜厚が、0.01μ
mより薄い場合には、反射スペクトルの極小値を十分得
ることができず、一方、5μmより厚い場合には、反射
スペクトルのピーク幅が狭くなり、感光体の作製が膜厚
分布等の点から難しくなる。
【0024】本発明において、感光体の最上部層には表
面層を設けることが望ましい。表面層は、水素、ハロゲ
ン、第III 族元素、第V族元素、炭素、窒素および酸素
の少なくとも1種を含有するアモルファスシリコン層か
らなるか、水素、ハロゲン、第III 族元素および第V族
元素の少なくとも1種を含有するアモルファス炭素層か
らなる。第III 族元素、第V族元素は、電荷保持能を向
上させ、また残留電位を低下させるために、帯電極性に
応じて選択される。さらに、光透過率や電荷保持能を向
上させるために、炭素、窒素、酸素を添加することがで
きる。また、コロトロンへの付着物を阻止する目的で、
フッ素等のハロゲンを添加してもよい。
【0025】これらのアモルファスシリコン層および/
またはアモルファス炭素層は複数層積層されていてよ
い。図4はその1例である。表面層が水素および/また
はハロゲンを含有するアモルファス炭素層の場合には、
層中に含まれる多量の水素またはハロゲンは、層中に鎖
状の−CH2 −結合、−C(ハロゲン)2 −結合または
分岐状の−CH3 結合を増加させ、結果として層の硬度
を損なうことになるため、層中の水素および/またはハ
ロゲンの量は50原子%以下であることが必要である。
また、表面層の膜厚は、0.01〜10μmの範囲が適
当であり、好ましくは0.1〜5μmである。表面層
は、純水の水滴による接触角が60°以上であることが
好ましく、特に80°以上であることがより好ましい。
また、表面硬度がビッカース硬度で500kg/mm2
以上であることが好ましく、1000kg/mm2 以上
であることがより好ましい。
【0026】次に、導電性基体上に設けられる前記各層
を形成する方法について説明する。導電性基体上に形成
する各層はいずれも、プラズマCVD法によるグロー放
電分解法、スパッタリング法、イオンプレーティング
法、真空蒸着法等の手段によって形成することができる
が、グロー放電分解法が特に好ましい。その際、原料ガ
スとしては、光導電層、必要に応じて形成される補助
層、電荷注入阻止層および反射防止層の場合は、ケイ素
を含む主原料ガスが用いられ、また、表面層の場合は、
ケイ素を含む主原料ガス、または炭化水素若しくはその
ハロゲン置換体を含む主原料ガスが用いられる。
【0027】グロー放電分解法によってアモルファスシ
リコン層またはアモルファス炭素層を形成する場合、ガ
ス状原料を減圧容器内に導入し、グロー放電を生起させ
ればよい。原料ガスとしては、上記主原料ガスおよび必
要に応じて添加元素を含む原料ガスの混合ガスを用い
る。この混合ガスに更に水素ガスあるいはヘリウム、ア
ルゴン、ネオン等の不活性ガスをキャリアガスとして混
合することもできる。グロー放電分解は直流および交流
放電のいずれを採用してもよい。また、成膜条件は、周
波数5GHz以下、(アモルファス炭素層を形成する場
合は、0.1〜2.45GHz、好適には5〜20MH
z)、反応器内圧10-5〜10Torr(0.001〜
1333Pa)(アモルファス炭素層を形成する場合
は、0.1〜5Torr(13.3〜667Pa))、
放電電力10〜3000W、基体温度30〜300℃
(アモルファス炭素層を形成する場合は、30〜400
℃)であり、各層の膜厚は放電時間の調整により適宜設
定することができる。
【0028】アモルファスシリコンまたはこれを主体と
する層を形成する場合は、ケイ素を含む主原料ガスとし
て、シラン類、特にシラン(SiH4 )および/または
ジシラン(Si2 6 )が使用される。本発明におい
て、ケイ素を含む主原料ガスと混合される原料ガスとし
ては、水素、ハロゲン、炭素、窒素(第V族元素の1
種)、酸素、第III 族元素、第V族元素等の添加元素を
含むガスが使用される。
【0029】水素を含む原料ガスとしては、通常水素ガ
スが用いられるが、主原料ガスおよび/または混合ガス
中に水素を含んでいれば、場合により特に添加しなくて
もよい。ハロゲンを含む原料ガスとしては、SiF4
SiCl4 、SiHF3 、SiHCl3 、SiH
2 2 、SiH2 Cl2 等を使用することができる。炭
素、窒素および酸素を含有させるための原料ガスとして
は、炭素を含む原料ガスでは、メタン、エタン、プロパ
ン、アセチレンのような炭化水素、CF4 、C2 6
ようなハロゲン化炭化水素を用いることができ、窒素を
含む原料ガスでは、N2 単体ガスや、NH3 、N
2 4 、HN3 等の水素化窒素化合物のガスを用いるこ
とができ、さらに、酸素を含む原料ガスでは、O2 、N
2 O、CO、CO2 等を用いることができる。第III 族
元素を含む原料ガスとしては、B、Al、Ga、In等
を含むガスを使用することができ、典型的にはジボラン
(B2 6 )があげられる。また、第V族元素を含む原
料ガスとしては、上記の窒素を含むガスの他に、P、A
s、Sb等を含むガスを使用することができる。典型的
にはホスフィン(PH3 )またはアンモニア(NH3
があげられる。前記a−SiGe層を形成するために
は、四水素化ゲルマニウム(GeH4 )等のゲルマンま
たは四フッ化ゲルマニウム(GeF4 )等のハロゲン化
ゲルマニウム含有ガスを使用することができる。
【0030】アモルファス炭素層を形成する主原料とし
ては次のようなものが使用される。すなわち、主体とな
る炭素の原料としては、メタン、エタン、プロパン、ブ
タン、ペンタン等の一般式Cn 2n+2で示されるパラフ
ィン系炭化水素、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペ
ンテン等の一般式Cn 2nで示されるオレフィン系炭化
水素、アセチレン、アリレン、ブチン等の一般式Cn
2n-2で示されるアセチレン系炭化水素などの直鎖状また
は分岐状の脂肪族炭化水素、シクロプロパン、シクロブ
タン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタ
ン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等
の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナ
フタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素、およびこ
れらの炭化水素置換体があげられる。また、アモルファ
ス炭素層にハロゲンを含有させる場合は、例えば、四塩
化炭素、クロロホルム、四フッ化炭素、トリフルオロメ
タン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロ
メタン、ブロモトリフルオロメタン、パーフルオロエタ
ン、パーフルオロプロパン等のハロゲン化炭化水素を用
いることができる。これらの炭化水素類は、常温でガス
状であっても固体状または液状であってもよく、固体状
または液状である場合には気化して用いられる。さら
に、必要に応じて炭化水素またはそのハロゲン置換体を
含む主原料ガスと混合される原料ガスとしては、前述し
た窒素、酸素、第III 族元素、第V族元素等を含むガス
があげられる。
【0031】
【実施例】以下、実施例と比較例とにより本発明を具体
的に説明する。 実施例1 純度99.99%のAl−Mg合金からなる円筒状アル
ミニウム素管を用い、精密旋盤切削することにより、中
心線平均粗さ(Ra)で0.005μmの表面粗さを有
する鏡面アルミニウム基体に仕上げた。このアルミニウ
ム基体に対しアセトン中で超音波洗浄を行った後、液体
ホーニング法により次の粗面化処理を実施した。 研磨材:カーボランダム(炭化ケイ素) 研磨材粒度:#1500 吹き付け圧力:2.5kg/cm2 処理時間:30s 得られたアルミニウム基体の表面粗さをカットオフ値
0.08mm、基準長さ0.25mmの条件で測定した
ころ、中心線平均粗さ(Ra)で0.02μmであっ
た。続いて、この粗面化されたアルミニウム基体に対し
アセトン中で超音波洗浄を実施した。
【0032】続いて、容量結合型プラズマCVD装置を
用い、シラン(SiH4 )ガス、水素(H2 )ガス、お
よびシボラン(B2 6 )ガスの混合体をグロー放電分
解することにより、該円筒状アルミニウム基体上に約3
μmの膜厚を有する電荷注入阻止層を形成した。このと
きの成膜条件は次の通りであった。 100%シランガス流量:300cm3 /min 100%水素ガス流量:150cm3 /min 200ppm水素希釈ジボランガス流量:150cm3
/min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:280W 放電周波数:13.56MHz 基体温度:250℃ なお、以下の各層の成膜条件における放電周波数および
基体温度は上記の値に固定した。なお、以下の実施例の
場合も同様である。電荷注入阻止層の形成後、反応器内
を十分に排気し、シラン、水素およびジボランの混合ガ
スを導入してグロー放電分解することにより、電荷注入
阻止層上に膜厚20μmの光導電層を形成した。その際
の成膜条件は次のとおりであった。 100%シランガス流量:250cm3 /min 100%水素ガス流量:230cm3 /min 20ppm水素希釈ジボランガス流量:10cm3 /m
in 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:300W
【0033】光導電層の形成後、反応器内を十分に排気
し、シラン、水素およびアンモニアの混合ガスを導入し
てグロー放電分解することにより、光導電層上に膜厚
0.15μmの第一の表面層を形成した。その際の成膜
条件は次のとおりであった。 100%シランガス流量:30cm3 /min 100%水素ガス流量:200cm3 /min 100%アンモニアガス流量:45cm3 /min 反応器内圧:66.7Pa(0.5Torr) 放電電力:70W 第一の表面層の形成後、反応器内を十分に排気し、シラ
ン、水素およびアンモニアの混合ガスを導入してグロー
放電分解することにより、第一の表面層上に膜厚0.1
μmの第二の表面層を形成した。その際の成膜条件は次
のとおりであった。 100%シランガス流量:20cm3 /min 100%水素ガス流量:200cm3 /min 100%アンモニアガス流量:60cm3 /min 反応器内圧:66.7Pa(0.5Torr) 放電電力:70W
【0034】以上のようにして作製された電子写真感光
体を半導体レーザプリンター(XP−9;富士ゼロック
ス社製)に装着して画像試験を行った。その際、クリー
ナ装置にはポリウレタン樹脂製ブレードを用いた。ま
た、現像剤として2成分現像剤を使用し、磁気ブラシ現
像を行った。得られた画像は鮮明であり、全面的にも局
所的にも干渉模様は見られなかった。またカブリは認め
られず、黒点や白点もなかった。
【0035】比較例1 アルミニウム基体に対し液体ホーニング法による粗面化
処理を行わない以外は、実施例1と同様にしてアモルフ
ァスシリコン感光体を作製した。作製された電子写真感
光体について実施例1と同様の画像試験を行ったとこ
ろ、得られた画像は鮮明であり、またカブリは認められ
ず、黒点や白点もなかった。ただし、全体的に干渉模様
が見られた。なお、アルミニウム基体の平均傾斜角は
0.1°であった。
【0036】実施例2 純度99.99%のAl−Mg合金からなる円筒状アル
ミニウム素管を用い、精密旋盤切削することにより、中
心線平均粗さ(Ra)で0.005μmの表面粗さを有
する鏡面アルミニウム基体に仕上げた。このアルミニウ
ム基体に対しアセトン中で超音波洗浄を行った後、液体
ホーニング法により次の粗面化処理を実施した。 研磨材:カーボランダム(炭化ケイ素) 研磨材粒度:#1000 吹き付け圧力:2.5kg/cm2 処理時間:30s 得られたアルミニウム基体の表面粗さをカットオフ値
0.08mm、基準長さ0.25mmの条件で測定した
ころ、中心線平均粗さ(Ra)で0.03μmであっ
た。続いて、この粗面化されたアルミニウム基体に対し
アセトン中で超音波洗浄を実施した。
【0037】続いて、容量結合型プラズマCVD装置を
用い、シラン(SiH4 )ガス、水素(H2 )ガス、お
よびアンモニア(NH3 )ガスの混合体をグロー放電分
解することにより、該円筒状アルミニウム基体上に約
1.5μmの膜厚を有する電荷注入阻止層を形成した。
このときの成膜条件は次の通りであった。 100%シランガス流量:100cm3 /min 100%水素ガス流量:180cm3 /min 100%アンモニアガス流量:100cm3 /min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:240W 電荷注入阻止層の形成後、シランに対してジボランの濃
度を0.1ppmの割合で混合ガスを導入した以外は、
実施例1と同様にして光導電層を形成した。その後、下
記の成膜条件で光導電層上に膜厚0.6μmのアモルフ
ァス炭化シリコンからなる表面層を形成した。 100%シランガス流量:70cm3 /min 100%水素ガス流量:70cm3 /min 200ppm水素希釈ジボランガス流量:140cm3
/min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:110W 以上のようにして作製された電子写真感光体に対して、
実施例1と同様の画像試験を行った。得られた画像は鮮
明であり、全面的にも局所的にも干渉模様は見られなか
った。またカブリは認められず、黒点や白点もなかっ
た。
【0038】比較例2 アルミニウム基体に対し液体ホーニング法による粗面化
処理を行わない以外は、実施例2と同様にしてアモルフ
ァスシリコン感光体を作製した。作製された電子写真感
光体について実施例1と同様の画像試験を行ったとこ
ろ、得られた画像は鮮明であり、またカブリは認められ
ず、黒点や白点も無かった。ただし、全体的に干渉模様
が見られた。
【0039】実施例3 純度99.99%のAl−Mg合金からなる円筒状アル
ミニウム素管を基体として用い、精密旋盤切削すること
により、中心線平均粗さ(Ra)で0.005μmの表
面粗さを有する鏡面アルミニウム基体に仕上げた。この
アルミニウム基体に対しアセトン中で超音波洗浄を行っ
た後、サンドブラスト法により次の粗面化処理を実施し
た。 研磨材:アランダム(溶融アルミナ) 研磨材粒度:#1000 吹き付け圧力:3.5kg/cm2 処理時間:25s 得られたアルミニウム基体の表面粗さをカットオフ値
0.08mm、基準長さ0.25mmの条件で測定した
ころ、中心線平均粗さ(Ra)で0.04μmであっ
た。続いて、この粗面化されたアルミニウム基体に対し
アセトン中で超音波洗浄を実施した。
【0040】続いて、実施例2と同様にして電荷注入阻
止層および光導電層を形成した。この光導電層上に膜厚
2μmでゲルマニウムの含有量が20原子%のアモルフ
ァスシリコンゲルマニウムからなる層を形成した。その
膜の成膜条件は次の通りだった。 100%シランガス流量:150cm3 /min 100%水素ガス流量:150cm3 /min 50%ゲルマンガス流量:70cm3 /min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:180W その後、このアモルファスシリコンゲルマニウムからな
る層上に、実施例2と同様にして、表面層を形成した。
以上のようにして作製された電子写真感光体に対して、
実施例1と同様の画像試験を行った。得られた画像は鮮
明であり、全面的にも局所的にも干渉模様は見られなか
った。またカブリは認められず、黒点や白点もなかっ
た。また、得られた感光体は高感度であった。
【0041】比較例3 アルミニウム基体に対しサンドブラスト法による粗面化
処理を行わない以外は、実施例3と同様にしてアモルフ
ァスシリコン感光体を作製した。作製された電子写真感
光体について実施例1と同様の画像試験を行ったとこ
ろ、得られた画像は鮮明であり、またカブリは認められ
ず、黒点や白点も無かった。ただし、全体的に干渉模様
が見られた。
【0042】実施例4および比較例4 純度99.99%のAl−Mg合金からなる円筒状アル
ミニウム素管2本を基体として用い、精密旋盤切削する
ことにより、中心線平均粗さ(Ra)で0.004μm
の表面粗さを有する鏡面アルミニウム基体に仕上げた。
このアルミニウム基体に対しアセトン中で超音波洗浄を
行った後、液体ホーニング法により次の処理時間を変え
た2つの粗面化処理を実施した。 研磨材:カーボランダム(炭化ケイ素) 研磨材粒度:#2000 吹き付け圧力:2.0kg/cm2 処理時間:20sおよび30s 得られたアルミニウム基体の表面粗さをカットオフ値
0.08mm、基準長さ0.25mmの条件で測定した
ころ、最大高さ(Rmax )は、共に0.12μmと同じ
であった。しかしながら、中心線平均粗さ(Ra)は、
処理時間20sの場合、0.005μm、また同30s
の場合、0.015μmであった。続いて、この2つの
粗面化されたアルミニウム基体に対し、アセトン中で超
音波洗浄を実施した。
【0043】続いて、この2本のアルミニウム基体上に
全く同一に実施例2と同様にして電荷注入阻止層および
光導電層を形成した。その後、下記の成膜条件で光導電
層上に膜厚0.6μmのアモルファス炭化シリコンから
なる表面層を形成した。 100%シランガス流量:90cm3 /min 100%メタンガス流量:140cm3 /min 200ppm水素希釈ジボランガス流量:180cm3
/min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:140W
【0044】以上のようにして作製された2本の電子写
真感光体A(比較例4)およびB(実施例4)に対し
て、実施例1と同様の画像試験を行った。その結果は下
記表1に示す通りであり、同じRmax の値であってもR
aが0.015μmの感光体Bのみ干渉模様が見られな
かった。
【表1】
【0045】実施例5 純度99.99%のAl−Mg合金からなる円筒状アル
ミニウム素管を用い、精密旋盤切削することにより、中
心線平均粗さ(Ra)で0.01μmの表面粗さを有す
る鏡面アルミニウム基体に仕上げた。このアルミニウム
基体に対しアセトン中で超音波洗浄を行った後、液体ホ
ーニング法により次の粗面化処理を実施した。 研磨材:カーボランダム(炭化ケイ素) 研磨材粒度:#1500 吹き付け圧力:2.5kg/cm2 処理時間:40s 得られたアルミニウム基体の表面粗さをカットオフ値
0.08mm、基準長さ0.25mmの条件で測定した
ころ、平均傾斜角(θa)は0.8°であった。続い
て、この粗面化されたアルミニウム基体に対しアセトン
中で超音波洗浄を実施した。
【0046】続いて、容量結合型プラズマCVD装置を
用い、シラン(SiH4 )ガス、水素(H2 )ガス、お
よびシボラン(B2 6 )ガスの混合体をグロー放電分
解することにより、該円筒状アルミニウム基体上に約4
μmの膜厚を有する電荷注入阻止層を形成した。このと
きの成膜条件は次の通りであった。 100%シランガス流量:340cm3 /min 100%水素ガス流量:170cm3 /min 200ppm水素希釈ジボランガス流量:170cm3
/min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:300W 放電周波数:13.56MHz 電荷注入阻止層の形成後、反応器内を十分に排気し、シ
ラン、水素およびジボランの混合ガスを導入してグロー
放電分解することにより、電荷注入阻止層上に膜厚23
μmの光導電層を形成した。その際の成膜条件は次のと
おりであった。 100%シランガス流量:300cm3 /min 100%水素ガス流量:300cm3 /min 10ppm水素希釈ジボランガス流量:21cm3 /m
in 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:350W
【0047】光導電層の形成後、反応器内を十分に排気
し、シラン、水素およびアンモニアの混合ガスを導入し
てグロー放電分解することにより、光導電層上に膜厚
0.15μmの第一の表面層を形成した。その際の成膜
条件は次のとおりであった。 100%シランガス流量:35cm3 /min 100%水素ガス流量:220cm3 /min 100%アンモニアガス流量:53cm3 /min 反応器内圧:66.7Pa(0.5Torr) 放電電力:100W 第一の表面層の形成後、反応器内を十分に排気し、シラ
ン、水素およびアンモニアの混合ガスを導入してグロー
放電分解することにより、第一の表面層上に膜厚0.1
μmの第二の表面層を形成した。その際の成膜条件は次
のとおりであった。 100%シランガス流量:23cm3 /min 100%水素ガス流量:220cm3 /min 100%アンモニアガス流量:70cm3 /min 反応器内圧:66.7Pa(0.5Torr) 放電電力:100W
【0048】以上のようにして作製された電子写真感光
体を半導体レーザプリンター(XP−9;富士ゼロック
ス社製)に装着して画像試験を行った。その際、クリー
ナ装置にはポリウレタン樹脂製ブレードを用いた。ま
た、現像剤として2成分現像剤を使用し、磁気ブラシ現
像を行った。得られた画像は鮮明であり、全面的にも局
所的にも干渉模様は見られなかった。またカブリは認め
られず、黒点や白点もなかった。
【0049】実施例6 純度99.99%のAl−Mg合金からなる円筒状アル
ミニウム素管を用い、精密旋盤切削することにより、中
心線平均粗さ(Ra)で0.01μmの表面粗さを有す
る鏡面アルミニウム基体に仕上げた。このアルミニウム
基体に対しアセトン中で超音波洗浄を行った後、液体ホ
ーニング法により次の粗面化処理を実施した。 研磨材:カーボランダム(炭化ケイ素) 研磨材粒度:#1500 吹き付け圧力:2.5kg/cm2 処理時間:40s 得られたアルミニウム基体の表面粗さをカットオフ値
0.08mm、基準長さ0.25mmの条件で測定した
ころ、平均傾斜角(θa)は2.1°であった。続い
て、この粗面化されたアルミニウム基体に対しアセトン
中で超音波洗浄を実施した。
【0050】続いて、容量結合型プラズマCVD装置を
用い、シラン(SiH4 )ガス、水素(H2 )ガス、お
よびアンモニア(NH3 )ガスの混合体をグロー放電分
解することにより、該円筒状アルミニウム基体上に約
1.2μmの膜厚を有する電荷注入阻止層を形成した。
このときの成膜条件は次の通りであった。 100%シランガス流量:120cm3 /min 100%水素ガス流量:160cm3 /min 100%アンモニアガス流量:120cm3 /min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:260W 電荷注入阻止層の形成後、アンモニアガスの代わりにシ
ランに対してジボランの濃度を0.1ppmの割合で混
合ガスを導入した以外は、実施例5と同様にして光導電
層を形成した。その後、下記の成膜条件で光導電層上に
膜厚0.6μmのアモルファス炭化シリコンからなる表
面層を形成した。 100%シランガス流量:80cm3 /min 100%エチレンガス流量:80cm3 /min 200ppm水素希釈ジボランガス流量:160cm3
/min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:140W 以上のようにして作製された電子写真感光体に対して、
実施例5と同様の画像試験を行った。得られた画像は鮮
明であり、全面的にも局所的にも干渉模様は見られなか
った。またカブリは認められず、黒点や白点もなかっ
た。
【0051】実施例7 純度99.99%のAl−Mg合金からなる円筒状アル
ミニウム素管を基体として用い、精密旋盤切削すること
により、中心線平均粗さ(Ra)で0.01μmの表面
粗さを有する鏡面アルミニウム基体に仕上げた。このア
ルミニウム基体に対しアセトン中で超音波洗浄を行った
後、サンドブラスト法により次の粗面化処理を実施し
た。 研磨材:アランダム(溶融アルミナ) 研磨材粒度:#1000 吹き付け圧力:3.5kg/cm2 処理時間:50s 得られたアルミニウム基体の表面粗さをカットオフ値
0.08mm、基準長さ0.25mmの条件で測定した
ころ、平均傾斜角(θa)は1.6°であった。続い
て、この粗面化されたアルミニウム基体に対しアセトン
中で超音波洗浄を実施した。
【0052】続いて、実施例6と同様にして電荷注入阻
止層および光導電層を形成した。この光導電層上に膜厚
2μmでゲルマニウムの含有量が20原子%のアモルフ
ァスシリコンゲルマニウムからなる層を形成した。その
膜の成膜条件は次の通りだった。 100%シランガス流量:180cm3 /min 100%水素ガス流量:180cm3 /min 50%ゲルマンガス流量:90cm3 /min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:220W その後、このアモルファスシリコンゲルマニウムからな
る層上に、実施例6と同様にして、表面層を形成した。
以上のようにして作製された電子写真感光体に対して、
実施例5と同様の画像試験を行った。得られた画像は鮮
明であり、全面的にも局所的にも干渉模様は見られなか
った。またカブリは認められず、黒点や白点もなかっ
た。また、得られた感光体は高感度であった。
【0053】実施例8および比較例5 純度99.99%のAl−Mg合金からなる円筒状アル
ミニウム素管2本を基体として用い、精密旋盤切削する
ことにより、中心線平均粗さ(Ra)で0.01μmの
表面粗さを有する鏡面アルミニウム基体に仕上げた。こ
のアルミニウム基体に対しアセトン中で超音波洗浄を行
った後、液体ホーニング法により次の処理時間を変えた
2つの粗面化処理を実施した。 研磨材:カーボランダム(炭化ケイ素) 研磨材粒度:#1000 吹き付け圧力:3.0kg/cm2 処理時間:35sおよび45s 得られたアルミニウム基体の表面粗さをカットオフ値
0.08mm、基準長さ0.25mmの条件で測定した
ころ、最大高さ(Rmax )は、共に0.45μmと同じ
であった。しかしながら、平均傾斜角(θa)は、処理
時間35sの場合、2.7°、また、処理時間45sの
場合、3.4°であった。続いて、この2つの粗面化さ
れたアルミニウム基体に対し、アセトン中で超音波洗浄
を実施した。
【0054】続いて、この2本のアルミニウム基体上に
全く同一に実施例6と同様にして電荷注入阻止層および
光導電層を形成した。その後、下記の成膜条件で光導電
層上に膜厚0.6μmのアモルファス炭化シリコンから
なる表面層を形成した。 100%シランガス流量:100cm3 /min 100%メタンガス流量:150cm3 /min 200ppm水素希釈ジボランガス流量:200cm3
/min 反応器内圧:133.3Pa(1.0Torr) 放電電力:170W
【0055】以上のようにして作製された2本の電子写
真感光体C(実施例8)およびD(比較例5)に対し
て、実施例5と同様の画像試験を行った。その結果は下
記表2に示す通りであり、同じRmax の値であっても平
均傾斜角(θa)が2.7°の感光体Cのみ、黒点や白
点等の画像欠陥の発生が見られなかった。
【表2】
【0056】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、導電性基体
上に電荷注入阻止層とアモルファスシリコンを主体とし
てなりかつ水素、ハロゲン、周期律表第III 族および第
V族元素から選ばれる元素の少なくとも1種を含有する
光導電層とを有する電子写真感光体において、導電性基
体の表面が中心線平均粗さ(Ra)で0.006μm以
上0.05μm未満の範囲の凹凸、または平均傾斜角
0.2°以上、3°以下の範囲の凹凸を有するものであ
る。その結果、本発明の電子写真感光体は、レーザ−ビ
ーム用感光体として、高感度で解像度が高く、干渉模様
の発生や画像欠陥の発生のない高画質の複写画像を得る
ことができる。特に、電荷注入阻止層の表面を中心線平
均粗さで、高精度に制御管理することにより、局所的な
干渉模様の発生のない一層信頼性の高い電子写真感光体
を提供することが可能になる。また、同様に平均傾斜角
で、高精度に制御管理することにより、局所的な干渉模
様の発生のない、かつ、黒点や白点等の微小欠陥の発生
のない一層信頼性の高い電子写真感光体を提供すること
が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 最大高さ(Rmax)の求め方および定義を説明
する図である。
【図2】 本発明の電子写真感光体の一例の模式的断面
図である。
【図3】 本発明の電子写真感光体の他の一例の模式的
縦断図である。
【図4】 本発明の電子写真感光体の別の一例の模式的
縦断図である。
【図5】 中心線平均粗さ(Ra)の定義を示す説明図
である。
【図6】 平均傾斜角(θa)の定義を示す説明図であ
る。
【図7】 粗さの形状を説明するための図である。
【符号の説明】
1…導電性基体、2…電荷注入阻止層、3…光導電層、
4…表面層または反射防止層、4a…第一の表面層また
は反射防止層、4b…第二の表面層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に、電荷注入阻止層とアモ
    ルファスシリコンを主体とし、かつ、水素、ハロゲン、
    ゲルマニウム、周期律表第III 族元素および第V族元素
    から選ばれる元素の少なくとも1種を含有する光導電層
    とを有する電子写真感光体において、導電性基体の表面
    が中心線平均粗さで0.006μm以上、0.05μm
    未満の範囲の凹凸を有することを特徴とする電子写真感
    光体。
  2. 【請求項2】 導電性基体上に、電荷注入阻止層とアモ
    ルファスシリコンを主体とし、かつ、水素、ハロゲン、
    ゲルマニウム、周期律表第III 族元素および第V族元素
    から選ばれる元素の少なくとも1種を含有する光導電層
    とを有する電子写真感光体において、導電性基体の表面
    が平均傾斜角で0.2°以上、3°以下の範囲の凹凸を
    有することを特徴とする電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 電荷注入阻止層が、水素、ハロゲン、周
    期律表第III 族元素、第V族元素、炭素、窒素および酸
    素から選ばれる元素の少なくとも1種を含有するアモル
    ファスシリコンからなる請求項1または2に記載の電子
    写真感光体。
  4. 【請求項4】 光導電層が、水素、ハロゲン、周期律表
    第III 族元素、第V族元素、炭素、窒素および酸素から
    選ばれる元素の少なくとも1種を含有するアモルファス
    シリコンを主体とする層と、水素、ハロゲン、周期律表
    第III 族元素および第V族元素から選ばれる元素の少な
    くとも1種を含有するアモルファスシリコンゲルマニウ
    ムを主体とする層とからなる請求項1ないし3に記載の
    電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 光導電層より表面側に反射防止層を設け
    た請求項1ないし4のいずれかに記載の電子写真感光
    体。
  6. 【請求項6】 最上部層に、水素、ハロゲン、周期律表
    第III 元素、第V族元素、炭素、窒素および酸素から選
    ばれる元素の少なくとも1種を含有するアモルファスシ
    リコン層、または水素、ハロゲン、周期律表第III 族元
    素および第V族元素から選ばれる元素の少なくとも1種
    を含有するアモルファス炭素層からなる表面層を設けた
    請求項1ないし5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 導電性基体の表面が、液体ホーニング法
    およびサンドブラスト法のうちの少なくともいずれか一
    つの処理により粗面化されたものである請求項1ないし
    請求項6のいずれかに記載の電子写真感光体。
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