JPH10104862A - 電子写真感光体の製法 - Google Patents

電子写真感光体の製法

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JPH10104862A
JPH10104862A JP25812096A JP25812096A JPH10104862A JP H10104862 A JPH10104862 A JP H10104862A JP 25812096 A JP25812096 A JP 25812096A JP 25812096 A JP25812096 A JP 25812096A JP H10104862 A JPH10104862 A JP H10104862A
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surface layer
image
electrophotographic photoreceptor
electrophotographic
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JP25812096A
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English (en)
Inventor
Masamitsu Sasahara
正光 笹原
Hideaki Fukunaga
秀明 福永
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感光体の加熱を必要とせずに、耐刷後の高温
高湿環境下における画像流れの発生を防止できるととも
に、長期にわたって良好な画像が得られる電子写真感光
体を提供する。 【解決手段】 導電性基板1上に光導電層2を成膜する
工程と、高周波電力が使用されたプラズマCVD法でも
って光導電層2上にa−SiC:Hから成る表面層3を
積層する工程を経て、表面層3の元素比率を組成式a−
Si1-x x :Hと表したx値表示で0.95≦x<
1.00にした電子写真感光体の製法であって、前記高
周波電力に、周波数が0.75〜1.5KHzにに設定
されたパルス変調を印加した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は導電性基板上に光導
電層と水素化アモルファスシリコンカーバイドから成る
表面層とを積層した電子写真感光体の製法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式の複写機やプリンタなどの
画像形成装置に搭載される電子写真感光体には、電子写
真特性、すなわち帯電能・光感度・残留電位などの電位
特性および画像濃度・解像度・コントラスト・階調性な
どの画像特性が良好であるとともに、それらの安定性な
らびに耐磨耗性・耐刷性・耐環境性・耐薬品性などの耐
久性に優れていることが求められる。そのように優れた
特性を実現するためには、光導電層上に被覆形成される
表面層が大きな役割を果している。
【0003】この表面層には、従来から種々の材料およ
び層構成が提案されており、アモルファスシリコン系材
料、就中、カーボン(C)を含有させたアモルファスシ
リコンカーバイド(以下、アモルファスシリコンカーバ
イドをa−SiCと略記する)を用いた表面層が、優れ
た電気的特性・光学的特性・画像特性・高硬度に基づく
耐久性などを有している点で注目されている。そして、
a−SiC表面層とアモルファスシリコン系光導電層
(以下、アモルファスシリコンをa−Siと略記する)
と組み合わせた電子写真感光体が、すでに実用化されて
いる。
【0004】かかるa−SiC表面層を備えた電子写真
感光体として、下記のような幾通りもの技術が提案され
ている。特開昭62-272275 号によれば、a−Si系光導
電層に対して表面層を被覆し、そして、この表面層がシ
リコン(Si)とCとを主体とし、さらに酸素(O)・
水素(H)およびふっ素(F)を含むアモルファス材料
から成り、この表面層の材料はa−Si1-x x (H,
F,O)(0<x<1)で表される。
【0005】特開昭63-81366号には、セレン(Se)を
含む感光層上に、少なくともSiおよびCを含むアモル
ファス(非晶質)材料で形成された保護層を設けた電子
写真感光体が提案されている。この保護層の材料には、
組成比を限定したa−Si1-x x (x= 0.4〜0.99)
が選択されている。
【0006】また、特開昭60-135955 号には、a−Si
膜上に窒素(N)原子あるいはC原子を含むa−Si膜
からなる保護膜が形成され、この保護膜において、N原
子またはC原子の濃度が保護膜表面側で高くなる不均一
分布を有する構成が提案されている。そして、この構成
によって、a−Si膜と保護膜との界面にN原子または
C原子の添加による界面準位が形成されないので、残留
電位が形成されなくなり、その結果、高感度の感光体膜
が得られるというものである。
【0007】さらにまた、特開昭60-169854 号には、支
持体上にa−Siを主成分とする光導電層と、a−Si
と結合することによって絶縁物を形成する物質(N,
C,O)が含有された表面層とが順次積層され、その物
質の含有率が支持体側で小となり、表面側で大となるよ
うな静電潜像担持体が提案されている。しかも、その絶
縁物質の含有率は支持体側で0.01〜30原子%に、表面側
で1〜90原子%にするとよく、さらに表面層の厚さは0.
01〜 2μm程度である。そして、かかる表面層によれ
ば、光感度を低下させないで表面電荷の保持能力を向上
させ、表面の機械的強度も向上させている。
【0008】特開昭61-130951 号については、支持体上
にa−Siからなるブロッキング層・光導電性層および
表面被覆層を順次積層し、そして、表面被覆層はCとN
を含み、その濃度が光導電性層側から他方側に向かって
連続的に変化するようにした光導電部材が提案されてい
る。このような表面被覆層は、自由表面側でのCとNの
含有量が10〜40原子%程度に成膜され、これによって光
導電性層との界面で層間剥離が発生せず、干渉効果によ
る画像の濃度ムラの発生を防止でき、鮮明な画像が得ら
れる。
【0009】さらに特開昭62-258466 号には、支持体上
に感光層と表面層を有し、表面層がSi原子を母体にし
てC原子を含み、そのC原子が感光層との界面に始端し
て自由表面側に向けて濃度が増大するように濃度分布し
た光受容部材が提案されている。しかも、その表面層
は、C原子の層方向における分布濃度は最小値0.5 原子
%、最大値95原子%の範囲であり、層厚は 0.003〜30μ
mがよく、これにより、耐湿性・連続繰り返し使用特性
・使用環境特性・耐久性等を向上させ、濃度が高く、解
像度の高い高品質の画像を安定して繰り返し得ることが
できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記各
号公報に提案された電子写真感光体においては、a−S
iC系表面層を備えているにしても、電子写真方式の画
像形成装置に搭載して、とくに高湿環境下で耐刷を行な
った場合には、画像流れと呼ばれる画像不良が生じると
いう問題点があった。
【0011】この画像流れは、コロナ放電により生成さ
れる硝酸イオンやアンモニウムイオン等の放電生成物が
表面層に吸着され、それらが高湿環境下で大気中の水分
を吸収したり、あるいは表面層の表面に位置するSi原
子がコロナ放電により酸化されることで、その表面の親
水性が高くなって吸湿性が高くなることに起因し、表面
層の電気抵抗が低下し、これによって表面層上に形成さ
れた静電潜像の電荷が表面方向に移動して静電潜像のパ
ターンが維持されなくなって引き起こされる。
【0012】かかる画像流れの発生を防止するために、
ヒーターを用いて感光体を加熱して、表面層に吸着され
た水分を飛散させる技術が提案され、すでに実用化され
ている。
【0013】しかしながら、感光体の帯電能が低下した
り、感光体表面にトナーが固着したり、画像形成装置の
消費電力が増加したり、さらには装置自体の設計が複雑
になるなどの問題点があった。
【0014】そこで、近年、電子写真特性や耐久性など
に優れ、しかも、感光体加熱をおこなわなくとも画像流
れが発生しない電子写真感光体が求められていた。
【0015】したがって、本発明は上記事情に鑑みて完
成されたものであり、その目的は高湿環境下で耐刷を行
なっても画像流れが生じないようにした電子写真感光体
を提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、感光体加熱を不要と
して、低コストを達成した電子写真感光体を提供するこ
とにある。
【0017】なお、特開平7-166358号によれば、本発明
のようにプラズマCVD法による成膜においてパルス変
調を加える技術が提案されているが、a−SiC表面層
の成膜形成にパルス変調を加える技術を採用して、画像
流れが生じないようにする点については、記載されてい
ない。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の電子写真感光体
の製法は、導電性基板上に光導電層を成膜する工程と、
周波数が0.75〜1.5KHzに設定されたパルス変
調が印加された高周波電力が使用し、このような高周波
電力のプラズマCVD法でもって上記光導電層上に水素
化アモルファスシリコンカーバイド(以下、水素化アモ
ルファスシリコンカーバイドをa−SiC:Hと略記す
る)から成る表面層を積層する工程を経て、上記表面層
の元素比率を組成式a−Si1-x x :Hと表したx値
表示で0.95≦x<1.00にしたことを特徴とす
る。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に係る電子写真感光体(i)
の典型的な層構成を図1に示す。同図において、1は導
電性基板、2は光導電層、3は表面層である。そして、
表面層3をa−SiC:Hにより構成し、その元素比率
を組成式a−Si1-x x :Hと表したときにx値を
0.95≦x<1.00、好適には0.96≦x<0.
98にしている。x値を0.95以上にすることで、硬
度が小さくなって表面が削れやすくなり、常にフレッシ
ュな面があらわれ、x値を1未満にすることで高硬度が
達成され、さらに電気特性の低下が防止できる。
【0020】上記導電性基板1には、アルミニウム(A
l)あるいはSUS・Zn・Cu・Fe・Ti・Ni・
Cr・Ta・Sn・Au・Agなどの金属材料やそれら
の合金材料などの導電部材、もしくは樹脂やガラス・セ
ラミックスなどの表面に上記金属やITO・SnO2
どの透明導電性材料による導電性膜を蒸着などにより形
成して導電処理したものが用いられる。就中、Al合金
材料を用いると、低コストとなり、しかも、軽量化で
き、その上、光導電層2や後述するキャリア注入阻止層
にa−Si系材料を用いた場合にそれらの層との密着性
が高くなって信頼性が向上するという点で好適である。
【0021】上記光導電層2には、a−Si系もしくは
a−SeやSe−Te・As2 Se3 などのa−Se
系、あるいはZnO・CdS・CdSeなどのII−VI族
化合物、さらに、これらを粒子化し、それを樹脂に分散
させたもの、そして、OPC系などの感光体材料も用い
ることができる。就中、a−Siもしくはa−SiにC
・N・Oなどを加えた合金のa−Si系材料を用いる
と、高い光感度特性・高速応答性・繰り返し安定性・耐
熱性・耐久性などの優れた電子写真特性が安定して得ら
れ、さらにa−SiC:H表面層3との整合性に優れる
という点で好ましい。
【0022】かかるa−Si系材料には、a−Si・a
−SiC・a−SiN・a−SiO・a−SiGe・a
−SiCN・a−SiNO・a−SiCO・a−SiC
NOなどが挙げられる。これらは、たとえばグロ−放電
分解法・各種スパッタリング法・各種蒸着法・ECR法
・光CVD法・触媒CVD法・反応性蒸着法などにより
成膜形成し、その成膜形成に当たってダングリングボン
ド終端用に水素(H)やハロゲン元素(F・Cl)を膜
中に1〜40原子%含有させる。また、各層の暗導電率
や光導電率などの電気的特性および光学的バンドギャッ
プなどについて所望の特性を得るために、周期律表第II
Ia族元素(以下、IIIa族元素と略す)や第Va 族元素
(以下、Va 族元素と略す)を含有させたり、C・N・
O等の元素の含有量を調整して上記諸特性を調整する。
【0023】上記IIIa族元素およびVa 族元素として、
それぞれホウ素(B)およびリン(P)が共有結合性に
優れて半導体特性を敏感に変え得る点で、その上優れた
光感度が得られるという点で望ましい。そして、C・N
・O等の元素とともに含有させる場合、IIIa族元素は
0.1〜20,000 ppmがよく、Va 族元素は 0.1〜10,000 pp
mがよく、また、C・N・O等の元素を含有させない
か、または微量含有させる場合は、IIIa族元素は0.01〜
200 ppm 、Va 族元素は0.01〜100 ppm 含有させるのが
よい。これらの元素は層厚方向にわたって勾配を設けて
もよく、その場合には層全体の平均含有量が上記範囲内
であればよい。
【0024】また、a−Si系材料には、微結晶シリコ
ン(μc−Si)を含んでもよく、このμc−Siを含
んだ場合には、暗/光導電率を高めることができるの
で、光導電層2の設計自由度が増すという利点がある。
このようなμc−Siは、上記と同様の形成法を採用
し、その成膜条件を変えることによって形成することが
できる。たとえばグロ−放電分解法では、基板温度およ
び高周波電力を高めに設定し、希釈ガスとしての水素流
量を増すことによって形成できる。また、μc−Siを
含む場合にも上記と同様の不純物元素を添加させてもよ
い。
【0025】上記光導電層2の厚みは使用する光導電性
材料および所望の電子写真特性により適宜設定するが、
a−Si系材料を用いた場合には、通常 5〜100 μm、
好適には15〜80μmとする。
【0026】そして、本発明においては、表面層3をa
−SiC:Hにより構成し、その元素比率を組成式a−
Si1-x x :Hでx値を0.95≦x<1.00に設
定することで、高硬度が達成されて、それ自体の耐久性
を維持しつつ、表面層の表面に吸着した種々の付着物あ
るいは表面の酸化変質した部分が除去され、常にフレッ
シュな表面を確保でき、その結果、電子写真感光体 (i)
に対する加熱を必要とせずに、高湿環境下における画像
流れを防止することができる。
【0027】このような表面層3については、H含有量
を 1〜70原子%程度にするのが好ましいが、この範囲内
でH含有量が少なくなるとSi−H結合が少なくなり、
表面層3の表面に生じた酸化Si、すなわち親水性の高
いSiOの生成を抑えることができて、表面層3の耐オ
ゾン性が向上し、画像流れの発生に対する防止効果をよ
り高めることができる点で好ましい。本発明者の知見に
よれば、このH含有量を約18原子%以下とすると、より
良好な結果が得られる傾向があった。
【0028】かかるa−SiC:H表面層3を成膜形成
するには、前記a−Si系光導電層にて採用された方法
で同様におこなうことができるが、表面層3の硬度につ
いては、その組成によって一義的に決まるものではない
ため、その作製条件を設定することが重要である。
【0029】たとえば原料ガスとしてシランガス(Si
4 )などのSi含有ガスと、メタンガス(CH4 )な
どのC含有ガスとを用いてグロー放電分解法により作製
する場合であれば、Si含有ガスに対するC含有ガスの
比率を大きくするか、あるいは成膜形成時のガス圧力を
高くすると、硬度が小さくなる傾向にあり、また、原料
ガスの水素ガスによる希釈率を大きくする、放電電力を
大きくする、あるいは基板温度を高くすると、硬度が大
きくなる傾向にある。
【0030】そして、本発明においては、a−SiC:
H表面層3を形成する工程に、高周波電力が使用された
プラズマCVD法を採用するが、その高周波電力に周波
数が0.75〜1.5KHzに、さらに望ましくはデュ
ーティー比が20〜70%に設定されたパルス変調を印
加することが特徴である。
【0031】すなわち、パルス変調が印加された高周波
電力を用いると、放電成膜領域に存在する原料ガスとし
て、常に新鮮なガス(未反応ガス)が十分に供給され、
そのような未反応ガスが分解され、成膜反応に供される
ために、表面層3の成膜速度が速くなり、しかも、表面
層3内に水素が取り込まれるときの結合状態を変化さ
せ、これによって所望の電子写真特性を維持しつつ表面
層3のH含有量を低減させることができ、その結果、表
面層3のSi−H結合が少なくなって画像流れ発生を効
果的に防止できる。
【0032】高周波電力の周波数は0.75〜1.5K
Hz、好適には0.95〜1.1KHzにするとよく、
この範囲がら外れると画像流れが発生する。また、デュ
ーティー比については20〜70%、好適には45〜5
5%にするとよく、20%未満の場合には、成膜速度が
非常に遅くなり、約35%程度ダウンする。また、70
%を越えると徐々に連続放電に近づき、画像流れが発生
しやすくなる。
【0033】また、本発明者がSiH4 ガスとCH4
スとを用いてグロー放電分解法により種々の実験を行な
った結果、CH4 /SiH4 ガス比を95%以上に、H2
ガスによる希釈率を 0〜50%に、成膜形成時のガス圧力
を0.25〜0.50 Torr 程度に、高周波電力を感光体1本当
たり 100〜250 W程度に印加し、さらに基板温度を 220
〜300 ℃程度にすると、上記表面層3に好適なa−Si
C:H層が得られる点で好適であることを見出した。
【0034】さらにまた、上記表面層3の厚みは、0.4
〜1.2 μm、好適には 0.5〜0.8 μmにするのがよい。
この厚みが0.4 μm未満の場合には、耐久性が不十分と
なり、耐刷枚数の増加に伴い画像にスジ等の画像不良が
発生する傾向があり、1.2 μmを超える場合は残留電位
が高くなり、画像のカブリ等が発生する傾向がある。
【0035】また、光導電層2と表面層3との間には、
a−SiC:HのC含有量を表面層3のC含有量よりも
少なくした遷移層を設けてもよく、さらにC含有量をそ
の層内で変化させ、含有量の勾配を設けてもよい。この
ような遷移層を設けることで、光導電層2で生成された
光キャリアの走行がスムーズになって、光感度が高くな
り、残留電位が低くなり、さらに画像特性も良好とな
る。この遷移層の厚みは1μm以下、好適には0.05〜0.5
μm程度がよい。
【0036】次に、本発明の他の電子写真感光体(ii)を
図2で示す。なお、図1の電子写真感光体(i) と同一の
層には同一符号を付す。この電子写真感光体(ii)によれ
ば、電子写真感光体(i) と比べ、導電性基板1と光導電
層2との間にキャリア注入阻止層4を設け、同様にさら
に光導電層2上にa−SiC:H表面層3を形成してい
る。
【0037】上記キャリア注入阻止層4は光導電層2の
材料に応じて種々のものを用いることができるが、光導
電層2にa−Si系材料を用いた場合であれば、キャリ
ア注入阻止層4にもa−Si系の材料を使用すると、導
電性基板1と光導電層2との密着性に優れるとともに良
好な電子写真特性が得られる。
【0038】a−Si系のキャリア注入阻止層4を設け
る場合は、a−Si系光導電層2と比べて、より多くの
IIIa族元素やVa 族元素を含有させて導電型を調整した
り、多くのC・N・Oを含有させて高抵抗化するとよ
い。
【0039】上記構成の電子写真感光体(ii)以外の電子
写真感光体として、キャリア注入阻止層4に代えて、長
波長光による露光光が導電性基板1の表面で反射し、こ
れによって記録画像に干渉縞が発生するのを防止するた
めに、長波長光吸収層を設けてもよい。あるいは、光導
電層2と表面層3との間もしくは光導電層2と遷移層と
の間に、光感度を高めるためのキャリア励起層をさらに
設けてもよい。
【0040】さらに上記電子写真感光体(i)(ii) 以外の
電子写真感光体として、前記表面層3に代えて、a−S
iC:H表面層の硬度を光導電層2との界面側から自由
表面側に向かって漸次小さくして、その他の層構成を同
じにしてもよい。すなわち、a−SiC:H表面層3の
硬度を光導電層2との界面側から自由表面側に向かって
漸次小となるように変化させた場合には、そのような電
子写真感光体を使用し始めた初期の段階において、表面
層3の表面に存在する微細な凹凸状の凹部に入り込んだ
放電生成物を、その凹凸を平坦化することで除去するこ
とができ、そして、耐刷を行なうにしたがって、その凸
部が徐々に削れて凹凸自体が小さくなり、これによって
表面に吸着した放電生成物が除去されやすくなり、これ
に伴って表面層の硬度を大きくなり、そのために研磨に
よる削れ量が小さくなり、表面への傷付きを防止するこ
とができる。また、優れた電子写真特性を長期にわたっ
て保持することができる。
【0041】このように硬度を変化させるには、たとえ
ばグロー放電分解法によって成膜形成する場合、表面層
3の光導電層2との界面側から自由表面側に向かって、
原料ガスにおけるSi含有ガスに対するC含有ガスの比
率を漸次大きくしてC含有量を増加させる、あるいは成
膜形成時のガス圧力を漸次高くする、原料ガスの水素ガ
スによる希釈率を漸次小さくする、放電電力を漸次小さ
くする、基板温度を漸次低くする、あるいはこれらの条
件を組み合わせるといった種々の手段を採用すればよ
い。
【0042】かくして、かかる構成によって、使用初期
に発生する画像流れをより効果的に防止できるととも
に、長期間使用しても画像流れや画像スジが発生しない
高信頼性かつ長寿命の高画質な電子写真感光体となる。
【0043】次に、本発明の他の電子写真感光体(iii)
(iv) を図3と図4によって説明する。なお、これらの
図において、図1および図2と同一の層には同じ符号を
付してある。電子写真感光体(iii)(iv) においては、a
−SiC:Hにより構成した表面層5が光導電層2側に
配された第1層領域6と、自由表面側に配された第2層
領域7とから成る。この第2層領域7の厚みは700〜
4,000Å、好適には800〜3,000Å、最適に
は1,000〜2,000Åの第2層領域7にする。こ
のような範囲にすると、それ自体が全部削れることもな
いので、画像流れが発生しなくなり、また、厚すぎるこ
ともないので、光透過性の劣化もなく、残留電位が生じ
ることもない。
【0044】そして、第2層領域7については、前記表
面層3と同じく、組成式をa−Si1-x x :Hと表し
たときにx値が0.95≦x<1.00である。
【0045】このような構成にしたことで、従来のa−
SiC:H表面層と比べて、複写プロセス毎にクリーニ
ング手段などにより表面を適度に研磨して、表面層の表
面に吸着した放電生成物などの除去がおこなわれる。
【0046】第2層領域7の厚みについては、700〜
4,000Å(0.07〜0.3μm)としたことによ
って優れた耐久性を確保し、さらに残留電位の増加を抑
えることができ、その結果、優れた電子写真特性が得ら
れる。第2層領域7の厚みが700Å未満の場合は、耐
電圧性や耐久性が不十分となり、磨耗により画像形成装
置の寿命に比べて感光体の寿命が短くなる傾向もある。
一方、第2層領域7の厚みが4,000Åを超える場合
は、残留電位が高くなる。
【0047】前記第1層領域6は、a−SiC材料以外
に、種々の材料を用いることができる。たとえばa−S
i系として、アモルファスシリコンナイトライド(a−
SiN)・アモルファスシリコンオキサイド(a−Si
O)・アモルファスシリコンオキシカーバイド(a−S
iCO)・アモルファスシリコンオキシナイトライド
(a−SiNO)などの高抵抗材料を用いてもよい。こ
れら各層はa−Si系光導電層3などと同様の薄膜形成
手段により成膜し、その成膜形成に当たっては、ダング
リングボンド終端用もしくは硬度調整用としてHやハロ
ゲン(F・Cl)を膜中に1〜160 原子%含有させると
よい。
【0048】第1層領域6をa−SiC:Hにより成膜
形成した場合には、C量を第2層領域7に比べて少なく
含有させ、組成式a−Si1-x x :Hと表したときに
x値が 0.3<x<0.95、好適には 0.6<x<0.95の範囲
とするのが、この層領域の高硬度特性および光学的特性
の適正化といった点で好ましい。また、これらの材料に
電気的特性の調整用としてIIIa族元素やVa 族元素を含
有させてもよい。
【0049】第1層領域6に用いられる他の材料として
は、耐磨耗性に優れた高抵抗の酸化防止膜であるTa2
5 やSi3 4 ・SiC・BN・Al2 3 ・Cr2
3などがあり、これら各材料の層をRFスパッタリン
グ法・DCスパッタリング法・反応性スパッタリング法
・RFマグネトロンスパッタリング法・DCマグネトロ
ンスパッタリング法などで形成することで、優れた密着
性と緻密さを示す。
【0050】また、第1層領域6を樹脂系の材料より形
成する場合には、その樹脂系材料として、PTFE(ポ
リテトラフルオロエチレン)やPOM(ポリアセター
ル)・スチレン系・オレフィン系・ポリアミド系などの
摺動性樹脂あるいはこれらの混合樹脂などがある。ある
いは、ポリイミドやポリエチレンテレフタレート・ポリ
プロピレン・メタクリル・ポリエチレン・ポリエステル
・ナイロン・アセタール・フッ素樹脂・ABS樹脂・ポ
リエストラマ・ポリカーボネート・ポリメチルペンテン
・ポリスチレン・AAS樹脂などでもよい。
【0051】第1層領域6の厚みは 4,000〜10,000Å
( 0.4〜1.0 μm)、好適には 5,000〜8,000 Åとする
とよく、 4,000Å未満の厚みである場合には、耐久性が
不十分となり、耐刷枚数の増加に伴い画像にスジ等の不
良が発生する傾向があり、他方、10,000Åを超えると残
留電位が高くなり、画像のカブリ等の不良が発生する傾
向がある。したがって、第1層領域6の厚みを上記範囲
にすることで高寿命および高耐久性を維持することがで
き、高信頼性の電子写真感光体となる。
【0052】かくして上記構成の電子写真感光体(iii)
(iv) によれば、表面層5の第2層領域7の表面に吸着
した種々の付着物を除去することができて、常にフレッ
シュな表面を確保できるとともに、耐久性を確保し、さ
らに残留電位の増加を抑えることができ、その結果、感
光体に対する加熱を不要とし、高湿環境下における画像
流れを防止できた。
【0053】
【実施例】以下、本発明に係る電子写真感光体の具体例
を述べる。 〔例1〕まずガラス基板上に表1に示すようにパルス条
件を幾通りにも変え、これによって各種a−SiC:H
薄膜(層イ〜層チ)を形成した。そして、成膜速度を測
定したところ、同表に示す通りの結果が得られた。
【0054】
【表1】
【0055】そして、各層について、フーリエ変換赤外
分光光度計(ニコレー製5ZDX)を用いてC−Hnお
よびSi−Hnのそれぞれの原子比を測定したところ、
図5に示す通りの結果が得られた。この結果から明らか
な通り、デューティー比が70%以下の場合には、カー
ボン(C)が膜中に取り込まれやすくなっていることが
わかる。
【0056】すなわち、このようにCがより多く取り込
まれると、相対的にSi量が減少し、SiおよびSiH
の結合量も少なくなり、これにより、コロナ放電による
オゾンとの反応数を減少させ、その結果、画像流れ対策
に有効となる。
【0057】〔例2〕次に、導電性基板1として、アル
ミニウム合金から成る外径30mm、長さ 254mmの引き
抜き管の外周面を鏡面加工して洗浄したものを用意し、
これをグロー放電分解成膜装置にセットして、表2に示
す成膜条件によりキャリア注入阻止層4、光導電層2お
よび第1層領域6を順次積層した。この第1層領域6に
ついては、界面側の初期値より外面側の最終値までの間
を漸次ガス流量を変え、これによって組成比に勾配を設
けている。
【0058】そして、このような第1層領域6の上に表
3に示すようなパルス条件を幾通りにも変えた各種第2
層領域7を形成し、これによって図4の電子写真感光体
(iv)としての電子写真感光体A〜F(以下、感光体A〜
Fと称する)を作製した。なお、表2および表3中のR
F電力の欄については、その値が反応炉によって変動す
るので、特に具体的な数値を表示せず、「有」と記載し
た。
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】かくして得られた各感光体A〜Fを、それ
ぞれ電子写真プリンタ(京セラ製FS−3550)に搭
載して画像流れ、画像キズ、電気特性ならびに成膜速度
を測定したところ、それぞれ表4〜表7に示すような結
果が得られた。
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】画像流れ、画像キズおよび電気特性につい
ては、電子写真プリンタから感光体を加熱するためのヒ
ーターを取り除き、そして、この電子写真プリンタを、
25℃、湿度50〜60%の常温常湿の環境にて500
0枚耐刷し、次いで33℃、湿度85%の高温高湿の環
境にして12時間放置し、その後に空回転無しにて初期
の4枚に対して判定した。
【0067】そして、画像流れと画像キズ(白ベタおよ
びハーフトーン画像によるキズ)については、それが認
められない場合を○印で、わずかに発生が認められた場
合を△印で、実用上支障がある程度に発生が認められた
場合を×印で表した。
【0068】電気特性については、60rpmにて回転
する感光体の表面に300Vの電荷をのせ、LEDの光
源(波長685nm)でもって光量0.3、0.65、
0.8μJ/cm2 を照射したときの感度ならびにイレ
ース光(4.0μJ/cm2)を照射しとときの残留電
位等を測定し、同様に○、△、×でもって評価した。
【0069】成膜速度については、連続放電時、すなわ
ちRF電力を連続的に印加した場合よりも成膜速度が低
下している場合に対して×印を付し、それ以外を○印と
した。
【0070】以上の結果から明らかな通り、本発明であ
れば、画像流れ、画像キズ、電気特性のいずれもが良好
であり、しかも、高い成膜速度も得られた。
【0071】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、表面層を
プラズマCVDでもって形成する工程において、使用さ
れる高周波電力に、周波数が0.75〜1.5KHz
に、好ましくはデューティー比が20〜70%に設定さ
れたパルス変調を印加したことで、高湿環境下における
画像流れを感光体の加熱を必要とせずに防止することが
でき、その結果、優れた耐久性の電子写真感光体が提供
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子写真感光体の層構成を示す断
面図である。
【図2】本発明に係る電子写真感光体の他の層構成を示
す断面図である。
【図3】本発明に係る電子写真感光体の他の層構成を示
す断面図である。
【図4】本発明に係る電子写真感光体の他の層構成を示
す断面図である。
【図5】デューティー比とC−HnもしくはSi−Hn
の原子比との関係を示す線図である。
【符号の説明】
1・・・・導電性基板 2・・・・光導電層 3・・・・表面層 4・・・・キャリア注入阻止層 5・・・・表面層 6・・・・第1層領域 7・・・・第2層領域

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基板上に光導電層を成膜する工程
    と、高周波電力が使用されたプラズマCVD法でもって
    上記光導電層上に水素化アモルファスシリコンカーバイ
    ドから成る表面層を積層する工程を経て、上記表面層の
    元素比率を組成式a−Si1-x x :Hと表したx値表
    示で0.95≦x<1.00にした電子写真感光体の製
    法であって、前記高周波電力に、周波数が0.75〜
    1.5KHzに設定されたパルス変調を印加したことを
    特徴とする電子写真感光体の製法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7001831B2 (en) 2002-03-12 2006-02-21 Kyocera Corporation Method for depositing a film on a substrate using Cat-PACVD
KR100821811B1 (ko) 2005-11-01 2008-04-11 어플라이드 필름즈 코포레이션 기판상에 막을 증착하는 장치 및 방법과 막 증착을 위한 동력 공급 장치
US7842355B2 (en) 2005-11-01 2010-11-30 Applied Materials, Inc. System and method for modulation of power and power related functions of PECVD discharge sources to achieve new film properties

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