JP3545925B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性ドラム状基板上に光導電層と水素化アモルファスシリコンカーバイドから成る表面層とを積層した電子写真用感光体を搭載し、しかも、この感光体の表面を研磨する弾性ローラを配設した画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置に搭載される感光体には、電子写真特性、すなわち帯電能・光感度・残留電位などの電位特性および画像濃度・解像度・コントラスト・階調性などの画像特性が良好であるとともに、それらの安定性ならびに耐磨耗性・耐刷性・耐環境性・耐薬品性などの耐久性に優れていることが求められる。そのような優れた特性を実現するためには、光導電層上に被覆形成される表面層が大きな役割を果している。
【0003】
この表面層にはアモルファスシリコンカーバイド(以下、アモルファスシリコンカーバイドをa−SiCと略記する)層が、優れた電気的特性・光学的特性・画像特性・高硬度に基づく耐久性などを有している点で注目されている。さらにa−SiC表面層とアモルファスシリコン系光導電層(以下、アモルファスシリコンをa−Siと略記する)とを組み合わせた感光体が、すでに実用化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記層構成の感光体を画像形成装置に搭載して、とくに高湿環境下で耐刷をおこなった場合に、画像流れと呼ばれる画像不良が生じるという問題点があった。
【0005】
この画像流れは、コロナ放電により生成される硝酸イオンやアンモニウムイオン等の放電生成物がa−SiC表面層に吸着され、それらが高湿環境下で大気中の水分を吸収したり、あるいはa−SiC表面層の表面にあるSi原子がコロナ放電により酸化されることで、その表面の親水性が高くなり、吸湿性が高くなって、表面層の電気抵抗が低下し、これによって表面層上に形成された静電潜像の電荷が表面方向に移動して静電潜像のパターンが維持されなくなって引き起こされる。
【0006】
かかる画像流れの発生を防止するために、ヒーターを用いて感光体を加熱して、表面層に吸着された水分を飛散させる技術が提案され、すでに実用化されている。
【0007】
しかしながら、感光体の帯電能が低下したり、感光体表面にトナーが固着したり、画像形成装置の消費電力が増加したり、さらには装置自体の設計が複雑になるなどの問題点がある。そこで、感光体加熱をおこなわなくとも画像流れが生じない感光体が求められていた。
【0008】
また、感光体の表面を研磨することで、画像流れを解決する技術が提案されているが(特公平7−89231号参照)、この技術によれば、感光体の表面硬度が大きいことで、研磨圧力を高くする必要があり、そのために表面にキズなどが発生していた。
【0009】
そこで、本発明者は上記事情に鑑みて鋭意研究に努めたところ、a−SiC表面層を有する感光体に対して、弾性ローラを当接させ、さらに弾性ローラに転写後の残留トナーを付着させながら、この残留トナーで感光体を研磨する技術に基づいて、弾性ローラの下にシート部材を配して、弾性ローラに付着される残留トナー量を調整し、これによって残留トナーを研磨用に適当に供するようにして、しかも、このような研磨システムに適合するように上記a−SiC表面層の組成と硬さとを規定することで、効率的に感光体表面が研磨できることを知見した。
【0010】
したがって、本発明は上記知見により完成されたものであり、その目的は高湿環境下で耐刷を行なっても安定的に画像流れが生じない画像形成装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、感光体加熱を不要として、低コストを達成した画像形成装置を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、30万回以上の耐刷ができる長寿命かつ長期信頼性の画像形成装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像形成装置は、ドラム状基板上に光導電層と、組成式Si1−x Cx と表したときにx値が0.95≦x<1.00であり、かつその自由表面の動的押し込み硬さが45〜220kgf/mm2 にした水素化アモルファスシリコンカーバイドから成る表面層とが順次積層されてなる感光体の外周面上に、該感光体の表面に電荷を付与する帯電手段と、感光体の帯電領域に対して光照射する露光手段と、これら帯電手段と露光手段とにより感光体表面に形成された静電潜像に対してトナー像を感光体の表面に形成する現像手段と、上記トナー像を被転写材に転写する転写手段と、前記感光体に対する荷重を線圧で30〜200g/cmに設定された弾性ローラと、転写後に感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段と、転写後に残余静電潜像を除去する除電手段とを周方向にそって順次配設するとともに、上記弾性ロ−ラ近傍に配設され、かつこの弾性ローラの載置面を平面状に成した調整部材により、転写後に感光体表面より上記弾性ローラ上に運ばれてきた残留トナーを、当該弾性ローラとこの弾性ローラの載置面との間の一部の領域に形成し、再び弾性ロ−ラに適量付着させて該残留トナーにより上記感光体表面を研磨せしめたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
感光体について
本発明の画像形成装置に搭載する感光体Aの典型的な層構成を図1に示す。同図において1は導電性基板、2は光導電層、3は表面層である。そして、表面層3をa−SiC:Hにより構成し、その元素比率を組成式Si1−x Cx と表したときにx値を0.95≦x<1.00、好適には0.96≦x<0.98にして、さらに自由表面の動的押し込み硬さを45〜220kgf/mm2 にしている。
【0015】
x値を0.95以上にすることで、硬度が小さくなって表面が削れやすくなり、常にフレッシュな面があらわれ、x値を1未満にすることで動的押し込み硬さが45kgf/mm2 以上にすることが容易となり、さらに電気特性の低下が防止できる。
【0016】
また、自由表面の動的押し込み硬さを45〜220kgf/mm2 、好適には50〜200kgf/mm2 、最適には60〜150kgf/mm2 にしている。そして、従来のa−SiC:H表面層と比べ、その硬度を動的押し込み硬さで220kgf/mm2 以下にしているので、複写プロセス毎にクリーニング手段などにより表面を適度に研磨して、表面層に吸着した放電生成物などの除去がおこなわれ、しかも、その硬度を動的押し込み硬さで45kgf/mm2 以上としたことで、複写プロセス毎の研磨による削れ量が大きくなり過ぎることがない。
【0017】
上記動的押し込み硬さは、膜厚が10μm以下の薄膜の硬度を評価するために有効な硬度評価法であり、薄膜の表面に三角錐形状の圧子でもって試験荷重を加え、その際の圧子の押し込み深さを測定し、そして、算出して求められる硬さである。本発明では島津製作所製の超微小硬度計DUH−201を用いた。
【0018】
このようなa−SiC:H表面層3を成膜形成するには、前記a−Si系光導電層にて採用された方法で同様におこなうことができるが、とくに表面層3の硬度については、その組成によって一義的に決まるものではないため、その作製条件を適切に設定することが重要である。
【0019】
たとえば原料ガスとしてシランガス(SiH4 )などのSi含有ガスと、メタンガス(CH4 )などのC含有ガスとを用いてグロー放電分解法により作製する場合であれば、Si含有ガスに対するC含有ガスの比率を大きくするか、あるいは成膜形成時のガス圧力を高くすると、硬度が小さくなる傾向にある。また、原料ガスの水素ガスによる希釈率を大きくする、放電電力を大きくする、あるいは基板温度を高くすると、硬度が大きくなる傾向にある。
【0020】
SiH4 ガスとCH4 ガスとを用いてグロー放電分解法により成膜した場合、CH4 /SiH4 ガス比を95%以上に、H2 ガスによる希釈率を0〜50%に、成膜形成時のガス圧力を0.25〜0.50 Torr 程度に、13.56MHz または13.56MHz を1 kHzでパルス変調した高周波電力を感光体1本当たり100〜250W程度に印加し、さらに基板温度を220〜300℃程度にすると、上記表面層3に好適なa−SiC:H層が得られた。
【0021】
また、上記表面層3の厚みは、0.4〜1.2μm、好適には0.5〜0.8μmにするのがよい。この厚みが0.4μm未満の場合には、耐久性が不十分となり、耐刷枚数の増加に伴い画像にスジ等の画像不良が発生しやすく、1.2μmを越えると残留電位が高くなり、画像にカブリ等が発生しやすい。
【0022】
前記導電性基板1には、アルミニウム(Al)あるいはSUS・Zn・Cu・Fe・Ti・Ni・Cr・Ta・Sn・Au・Agなどの金属材料や、それらの合金材料などの導電部材、もしくは樹脂やガラス・セラミックスなどの表面に上記金属やITO・SnO2 などの透明導電性材料による導電性膜を蒸着などにより形成して導電処理したものを用いる。就中、Al合金材料を用いると、低コストとなり、しかも、軽量化でき、その上、光導電層2や後述するキャリア注入阻止層にa−Si系材料を用いた場合にそれらの層との密着性が高くなって信頼性が向上するという点で好適である。
【0023】
前記光導電層2には、a−Si系もしくはa−SeやSe−Te・As2 Se3 などのa−Se系、あるいはZnO・CdS・CdSeなどのII−VI族化合物、さらに、これらを粒子化し、それを樹脂に分散させたもの、そして、OPC系などの感光体材料も用いることができる。就中、a−Siもしくはa−SiにC・N・Oなどを加えた合金のa−Si系材料を用いると、高い光感度特性・高速応答性・繰り返し安定性・耐熱性・耐久性などの優れた電子写真特性が安定して得られ、さらにa−SiC:H表面層3との整合性に優れるという点で好ましい。
【0024】
かくして上記構成の感光体Aによれば、表面層3をa−SiC:Hにより構成し、その元素比率を組成式Si1−x Cx のx値で0.95≦x<1.00に、自由表面の動的押し込み硬さを45〜220kgf/mm2 にしたことで、それ自体の耐久性を維持しつつ、表面層3に吸着した種々の付着物あるいは表面の酸化変質した部分が除去され、常にフレッシュな表面を確保でき、その結果、感光体Aに対する加熱を必要とせずに、高湿環境下における画像流れを防止することができる。
【0025】
つぎに本発明の他の感光体Bを図2で示す。なお、図1の感光体Aと同一の層には同一符号を付す。
この感光体Bによれば、感光体Aに対し、さらに導電性基板1と光導電層2との間にキャリア注入阻止層4を設けている。
【0026】
このキャリア注入阻止層4は光導電層2の材料に応じて種々のものを用いることができるが、光導電層2にa−Si系材料を用いた場合であれば、キャリア注入阻止層4にもa−Si系の材料を使用すると、導電性基板1と光導電層2との密着性に優れるとともに良好な電子写真特性が得られる。また、a−Si系光導電層2と比べて、より多くのIIIa族元素やVa 族元素を含有させて導電型を調整したり、多くのC・N・Oを含有させて高抵抗化するとよい。
【0027】
さらに上記感光体A、Bの表面層3において、その硬度を光導電層2との界面側から自由表面側に向かって漸次小さくしたa−SiC:H表面層にしてもよい。
すなわち、a−SiC:H表面層3の硬度を光導電層2との界面側から自由表面側に向かって漸次小となるように変化させた場合には、そのような感光体を使用し始めた初期の段階において、表面層3の表面に存在する微細な凹凸状の凹部に入り込んだ放電生成物を、その凹凸を平坦化することで除去することができ、そして、耐刷をおこなうにしたがって、その凸部が徐々に削れて凹凸自体が小さくなり、これによって表面に吸着した放電生成物が除去されやすくなり、これに伴って表面層の硬度が大きくなり、そのために研磨による削れ量が小さくなり、表面への傷付きが防止され、その結果、優れた電子写真特性が長期にわたって保持できる。ただし、このような表面層3に対する組成式Si1−x Cx のx値は自由表面での部分領域を対象にする。
【0028】
このように硬度を変化させるには、たとえばグロー放電分解法によって成膜形成する場合、表面層3の光導電層2との界面側から自由表面側に向かって、原料ガスにおけるSi含有ガスに対するC含有ガスの比率を漸次大きくしてC含有量を増加させる、あるいは成膜形成時のガス圧力を漸次高くする、原料ガスの水素ガスによる希釈率を漸次小さくする、放電電力を漸次小さくする、基板温度を漸次低くする、あるいはこれらの条件を組み合わせるといった種々の手段を採用すればよい。
【0029】
画像形成装置について
本発明の画像形成装置を図3と図4により説明する。図3は本発明にかかるプリンター構成(画像形成装置7)の概略を示し、図4は弾性ローラ付近の概略を示す。
【0030】
8は感光体であり、感光体8の周面に帯電手段であるコロナ帯電器9と、その帯電後に光照射する露光手段である露光器10(LEDヘッド)と、トナー像を感光体8の表面に形成するためのトナー11(研磨材としてたとえばアルミナ、酸化チタンなどを添加する)を備えた現像手段である現像機12と、そのトナー像を被転写材13に転写する転写手段である転写器14と、その転写後に感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段15と、転写後に残余の静電潜像を除去する除電手段16とを配設している。さらに感光体表面を研磨する弾性ローラ6を転写器14とクリーニング手段15との間に設けている。また、17は被転写材13に転写されたトナー像を熱もしくは圧力により固着するための定着器である。なお、画像形成装置7はプリンターの構成であるが、露光器10に代えて原稿からの反射光を通すレンズやミラーなどの光学系を用いれば、複写機の構成の画像形成装置となる。
【0031】
このカールソン法は次の▲1▼〜▲7▼の各プロセスを繰り返し経る。
▲1▼感光体8の周面をコロナ帯電器9により帯電する。
▲2▼露光器10により画像を露光することにより、感光体8の表面上に電位コントラストとしての静電潜像を形成する。
▲3▼この静電潜像を現像機12により現像する。この現像により黒色のトナーが静電潜像との静電引力により感光体表面に付着し、可視化する。
▲4▼感光体表面のトナー像を紙などの被転写材13の裏面よりトナーと逆極性の電界を加えて、静電転写し、これにより、画像を被転写材13の上に得る。
▲5▼弾性ローラ6に残留トナーを付着させて、この残留トナーでもって感光体8の表面を研磨する。
▲6▼感光体表面の残留トナーをクリーニング手段15により機械的に除去する。
▲7▼感光体表面を強い光で全面露光し、除電手段16により残余の静電潜像を除去する。
【0032】
上記▲5▼の工程ならびに弾性ローラ6を図4により詳述する。
同図において、弾性ローラ6の下に前記調整部材としてのシート5を配し、シート5の一端を支持体18上に設けた支点部19に固定する。上記弾性ローラ6は、SUSなどのパイプにシリコン、ウレタン、EPDMなどの樹脂からなる弾性部材を被覆した構成であり、感光体8を回転させているギアと、弾性ローラ6を回転させているギアとを連動させることで、所要どおりに回転させ、そして、弾性ローラ6の外周面上に付着された残留トナーにより感光体表面を研磨する。
【0033】
また、上記シート5はマイラー、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、エポキシ、アクリライト、ポリカーボネイト、シリコンなどの樹脂で構成する。もしくはこのシート5に代えて他の材質、たとえばセラミックス、ガラス、非鉄金属等により構成した部材でもよく、その場合にはシート以外の構造にできるが、少なくとも弾性ローラ6の載置面を平面状する。
【0034】
そして、感光体8の回転にともなって弾性ローラ6を矢印C方向に回転させると、弾性ローラ6とシート5との間の一部の領域にトナー溜まり20が形成される。通常、ある程度まで研磨に供された残留トナーについては、そのトナー溜まり20の下方に行く傾向にあるが、他方、トナー溜まり20にある残留トナーのうち、いまだ研磨に使用できる残留トナーについては、さらに弾性ローラ6とシート5との間を通過し、研磨に供される。
【0035】
このようにして上記シート5を弾性ローラ6の下に配することで、研磨用の残留トナーを選別しながら、弾性ローラ6に付着される残留トナー量を調整することができる。なお、トナー溜まり20の下方にいった廃棄用のトナーについては、スクリュー機構で除外する。
【0036】
また、この弾性ローラ6を感光体8の周面に対し適当な圧力(線圧)が加わるようにバネでもって押すとよい。感光体8の外径が30〜262mmであれば、弾性ローラ6の外径を10〜150mmにして、さらに弾性ローラ6の感光体8に対する荷重を線圧で30〜200g/cm、好適には50〜100g/cmにすると、高い研磨能力が維持でき、これによって画像流れが生じなくなり、さらに削れ量が小さくなり、キズが発生しなくなるという点でよい。
【0037】
その上、弾性ローラ6の弾性部材の硬度を20〜60°HS(アスカーC)、好適には30〜45°にしたり、あるいは弾性ローラ6の回転速度を感光体8に対して1.05〜1.55倍、好適には1.10〜1.20倍にすると、研磨能力が向上し、しかも、削れにくいという点で望ましい。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の画像形成装置の実施例を述べる。
(例1)
本例では、感光体Bを使用した画像形成装置7の作製例を示す。
導電性基板1として、アルミニウム合金から成る外径30mm、長さ254mmの引き抜き管の外周面を鏡面加工して洗浄したものを用意し、これをグロー放電分解成膜装置にセットして、表1に示す成膜条件によりキャリア注入阻止層4、光導電層2および表面層3を順次積層した。
【0039】
【表1】
【0040】
また、キャリア注入阻止層4および光導電層2を同じにして、表2に示すように表面層3の組成を変えて比較例の感光体を作製した。
【0041】
【表2】
【0042】
本発明と比較例の両感光体の表面層について、光導電層2との界面および自由表面のそれぞれ一部を5mm角に切り出して、各組成をXPS分析(X線光電子分光分析)により求め、さらに感光体の表面層について、自由表面と光導電層2との界面における動的押し込み硬さを、超微小硬度計(島津製作所製DUH−201)を用いて測定したところ、表3に示す結果が得られた。
【0043】
【表3】
【0044】
かくして得られた感光体を、それぞれ電子写真プリンタ(京セラ製FS−3550)に搭載し、さらにヒーターで感光体を加熱せず、そして、弾性ローラ6(外径10mm)の感光体に対する荷重を線圧で80g/cmに、弾性ローラ6の弾性部材の硬度を30°に、しかも、弾性ローラ6の回転速度を感光体に対して1.15倍にして、耐刷実験をおこない、ついで耐刷途中の各段階で画像評価をおこなって、画像流れと画像劣化の発生状況を評価/測定したところ、表4に示すような結果が得られた。なお、この感光体のような小型のものでは、30万枚の寿命を有していることで、実用上十分な耐久性が得られる。
【0045】
画像流れの評価については、まず、電子写真プリンタから感光体を加熱するためのヒーターを取り除き、そして、この電子写真プリンタを、感光体に対する耐刷途中の各段階において高温高湿環境下(32℃、85%RH)に8時間放置し、その後に画像形成をおこなって、画像流れの発生状況について評価した。さらに、画像キズの発生などの画像劣化についても評価した。
【0046】
これら画像流れや画像劣化が認められない場合を〇印で、わずかに発生が認められた場合を△印で、実用上支障がある程度に発生が認められた場合を×印で表した。
【0047】
【表4】
【0048】
この表から明らかなとおり、本発明の画像形成装置であれば、画像流れや画像劣化が認められず、常に良好な画像品質の記録画像が得られた。また、画像濃度の低下やかぶりの発生・コントラストの低下・解像度の低下などの問題もなかった。
【0049】
(例2)
(例1)の本発明の画像形成装置に対して、弾性ローラ6を設けるが、シート5を配しない場合(比較例1)と、弾性ローラ6およびシート5ともに設けない場合(比較例2)について、耐刷実験をおこなった。その結果を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
この表から明らかなとおり、比較例1のようにシート5を配しないと、廃棄すべきトナーも研磨に使用されるので、研磨能力が低下していた。
【0052】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の画像形成装置によれば、ドラム状基板上に光導電層と、組成式Si1−x Cx と表したときにx値が0.95≦x<1.00であり、かつその自由表面の動的押し込み硬さが45〜220kgf/mm2 にした水素化アモルファスシリコンカーバイドから成る表面層とが順次積層されてなる感光体の外周面上に、前記感光体に対する荷重を線圧で30〜200g/cmに設定された弾性ローラを配設するとともに、該弾性ロ−ラ近傍に配設され、かつこの弾性ローラの載置面を平面状に成した調整部材により、転写後に感光体表面より上記弾性ローラ上に運ばれてきた残留トナーを、当該弾性ローラとこの弾性ローラの載置面との間の一部の領域に形成し、再び弾性ロ−ラに適量付着させて該残留トナーにより上記感光体表面を研磨せしめたことから、弾性ローラの外周面に付着された残留トナーによって上記感光体表面を効率的かつ効果的に研磨でき、その結果、高湿環境下で耐刷をおこなっても画像流れが生じなくなり、30万回以上の耐刷ができる長寿命かつ長期信頼性の画像形成装置が提供できた。
【0053】
また、本発明においては、感光体を加熱するヒータを不要とするので、低コストな画像形成装置が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置に搭載する感光体の典型的な層構成を示す断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置に搭載する感光体の典型的な他の層構成を示す断面図である。
【図3】本発明の画像形成装置の概略図である。
【図4】本発明の画像形成装置の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
A、B、8 感光体
1 導電性基板
2 光導電層
3 表面層
4 キャリア注入阻止層
5 シート
6 弾性ローラ
7 画像形成装置
9 コロナ帯電器
10 露光器
11 トナー
12 現像機
14 転写器
15 クリーニング手段
16 除電手段
17 定着器
20 トナー溜まり
Claims (1)
- ドラム状基板上に光導電層と、組成式Si1−x Cx と表したときにx値が0.95≦x<1.00であり、かつその自由表面の動的押し込み硬さが45〜220kgf/mm2 にした水素化アモルファスシリコンカーバイドから成る表面層とが順次積層されてなる感光体の外周面上に、該感光体の表面に電荷を付与する帯電手段と、感光体の帯電領域に対して光照射する露光手段と、これら帯電手段と露光手段とにより感光体表面に形成された静電潜像に対してトナー像を感光体の表面に形成する現像手段と、上記トナー像を被転写材に転写する転写手段と、前記感光体に対する荷重を線圧で30〜200g/cmに設定された弾性ローラと、転写後に感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段と、転写後に残余静電潜像を除去する除電手段とを周方向にそって順次配設するとともに、上記弾性ロ−ラ近傍に配設され、かつこの弾性ローラの載置面を平面状に成した調整部材により、転写後に感光体表面より上記弾性ローラ上に運ばれてきた残留トナーを、当該弾性ローラとこの弾性ローラの載置面との間の一部の領域に形成し、再び弾性ロ−ラに適量付着させて該残留トナーにより上記感光体表面を研磨せしめたことを特徴とする画像形成装置。
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