JP5436227B2 - 電子写真感光体、これを備えた画像形成装置および電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体、これを備えた画像形成装置および電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、感光層を含む被覆層により導電性基体を被覆してなる電子写真感光体に関するものである。本発明はさらに、前記電子写真感光体を備えた画像形成装置に関するものである。
電子写真感光体を備える画像形成装置では、駆動伝達機構により電子写真感光体を回転させるとともに、その回転周期に同期させて、帯電、露光、現像、転写、およびクリーニング等の動作を繰り返し行なうことにより記録媒体に画像が形成される。
このような画像形成装置に搭載される電子写真感光体としては、導電性基体上に電荷注入阻止層および光導電層を含んでなる被覆層を形成したものが知られている。電荷注入阻止層は、電子あるいは正孔が導電性基体から光導電層に注入されるのを抑制するためのものである。このような電荷注入阻止層は、たとえばアモルファスシリコン(a−Si)のようなSi系無機物材料を含んで構成されており、その導電型の調整は周期表第13族元素あるいは周期表第15族元素を含有させることにより行われる。電荷注入阻止層としてはさらに、周期表第13族元素あるいは周期表第15族元素を含む障壁層と、この障壁層と導電性基体との間に位置する電子ブロッキング層との多層構造のものも提案されている。
近年において、電子写真感光体は、高画質化の要求に応えるべく、電荷注入阻止層を含む被覆層全体の厚みを小さくする傾向にある。しかしながら、電荷注入阻止層の厚みを小さくすると、耐電圧が低下し、画像品質が悪化する傾向にある。その一方で、電荷注入阻止層の耐電圧を向上させるために、電荷注入阻止層と導電性基体との間にアモルファス窒素シリコン層を形成することも考えられる。
しかしながら、アモルファス窒素シリコンは、導電性基体の材料として一般的に用いられているアルミニウムあるいはアルミニウム合金との密着性が悪い傾向にあるために、膜剥がれなどの欠陥を生じる原因ともなりかねない。また、アモルファス窒素シリコンは、絶縁性が高い傾向にあるため、電子写真感光体として十分な電気特性(たとえば露光後または除電後の電位特性、あるいは暗部電位特性)を得ることができない場合もある。
特公平03−068379号公報 特開平05−232729号公報
本発明は、高画質化を図るべく被覆層の厚みを小さくする場合でも、電子写真感光体における耐電圧特性を良好に維持しつつ、膜剥がれの発生および電気特性の悪化を抑制することが可能な電子写真感光体および画像形成装置を提供することを課題としている。
本発明の一形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、該導電性基体を被覆する被覆層とを備える。前記被覆層は、感光層と、第13族元素および窒素以外の第15族元素を含まない耐圧層と、a−SiONB含有層と、を含んでなる。前記耐圧層は、前記導電性基体と前記感光層との間に位置する。前記a−SiONB含有層は、前記導電性基体と前記耐圧層との間に位置する。
本発明の一形態に係る画像形成装置は、前記電子写真感光体を備える。
本発明の一形態に係る電子写真感光体の製造方法は、導電性基体上にa−SiONB含有層を形成する第1工程と、前記a−SiONB含有層上に第13族元素および窒素以外の第15族元素を含まない耐圧層を形成する第2工程と、前記耐圧層上に感光層を形成する第3工程と、を含む。前記第1工程は、導電性基体を収容した反応室に原料ガスを供給するとともに、前記導電性基体に高周波電力を供給することにより行なわれる。前記高周波電力は、50W以上400W以下に設定される。
本発明の一形態に係る電子写真感光体では、導電性基体と感光層との間に耐圧層を備えているため、被覆層における耐電圧特性を適切に維持することができる。また、この電子写真感光体では、導電性基体と耐圧層との間にa−SiONB含有層を備えているため、膜剥がれの発生を抑制することができる。
本発明の一形態に係る画像形成装置では、電子写真感光体として、耐電圧特性を適切に維持しつつ、膜剥がれの発生を抑制したものが使用されているため、画像欠陥の発生を抑制し、高品質な画像を形成することが可能となる。
本発明の一形態に係る電子写真感光体の製造方法では、導電性基体上にa−SiONB含有層を形成する際、該導電性基体に高周波電力(50W以上400W以下に設定)が供給される。このようにして製造された電子写真感光体は、電気的特性に優れるとともに、被覆層の膜剥がれの発生も抑制される。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る電子写真感光体の断面図、および、その要部拡大図である。 実施例2における暗部電位および除電後電位の測定結果を示すグラフである。 実施例3における除電後電位の測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1 画像形成装置
2 電子写真感光体
20 円筒状基体(導電性基体)
21 被覆層
22 (被覆層の)感光層
23 (被覆層の)耐圧層
24 (被覆層の)a−SiONB含有層
25 (感光層の)電荷注入阻止層
26 (感光層の)光導電層
以下、本発明に係る画像形成装置および電子写真感光体について、添付図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1に示した画像形成装置1は、画像形成方式としてカールソン法を採用したものである。画像形成装置1は、電子写真感光体2、帯電器10、露光器11、現像器12、転写器13、定着器14、クリーニング器15、および除電器16を備えている。
電子写真感光体2は、画像信号に基づいた静電潜像が形成されるものであり、図外の回転機構によって図1の矢印A方向に回転可能とされている。この電子写真感光体2の詳細については後述する。
帯電器10は、後述する電子写真感光体2の光導電層26(図2参照)の種類に応じて、電子写真感光体2の表面を一様に、正極性または負極性に帯電させるためのものである。この帯電器10は、電子写真感光体2を押圧するように密着して配置されており、たとえば金属ローラの表面を導電性ゴムおよびPVDF(ポリフッ化ビニリデン)によって被覆した構成とされる。帯電器10による電子写真感光体2の帯電圧は、たとえば絶対値において200V以上1000V以下とされる。
帯電器10としては、コロナ放電を発生させるためのコロトロンを用いることもできる
。この場合の帯電器10は、たとえば電子写真感光体2の軸方向延びるように張設された放電ワイヤを備えたものとされる。
露光器11は、電子写真感光体2に静電潜像を形成するためのものであり、特定波長(たとえば650nm以上780nm以下)の光を出射可能とされている。この露光器11によると、画像信号に応じて電子写真感光体2の表面に光を照射して光照射部分の電位を減衰させることにより、電位コントラストとしての静電潜像が形成される。露光器11としては、たとえば約680nmの波長の光を出射可能なLED素子を600dpiの密度で配列させたLEDヘッドを採用することができる。もちろん、露光器11としては、レーザ光を出射可能なものを使用することもできる。
また、LEDヘッド等の露光器11に代えて、レーザービームおよびポリゴンミラー等からなる光学系、あるいは、原稿からの反射光を通すレンズおよびミラー等からなる光学系を用いることにより、複写機の構成の画像形成装置とすることもできる。
現像器12は、電子写真感光体2の静電潜像を現像してトナー像を形成するためのものである。この現像器12は、現像剤(トナー)を磁気的に保持する磁気ローラ12A、電子写真感光体2との隙間を制御するためのコロと呼ばれる車輪(図示せず)などを備えている。
現像剤は、電子写真感光体2の表面に形成されるトナー像を構成するものであり、現像器12において摩擦帯電させられるものである。現像剤としては、磁性キャリアと絶縁性トナーとから成る二成分系現像剤、あるいは磁性トナーから成る一成分系現像剤を使用することができる。
磁気ローラ12Aは、電子写真感光体2の表面に現像剤を搬送する役割を果すものである。
現像器12においては、摩擦帯電したトナーが磁気ローラ12Aによって一定の穂長に調整された磁気ブラシの形で電子写真感光体2の現像領域に搬送され、静電潜像との静電引力によりトナーが感光体表面に付着して可視化される。トナー像の帯電極性は、正規現像により画像形成が行われる場合には、電子写真感光体2の表面の帯電極性と逆極性とされ、反転現像により画像形成が行われる場合には、電子写真感光体2の表面の帯電極性と同極性とされる。
なお、現像器12は、乾式現像方式を採用しているが、液体現像剤を用いた湿式現像方式を採用してもよい。
転写器13は、電子写真感光体2と転写器13との間の転写領域に供給された記録媒体Pに、電子写真感光体2のトナー像を転写するためのものである。この転写器13は、転写用チャージャ13Aおよび分離用チャージヤ13Bを備えている。転写器13では、転写用チャージャ13Aにおいて記録媒体Pの背面(非記録面)がトナー像とは逆極性に帯電され、この帯電電荷とトナー像との静電引力によって、記録媒体P上にトナー像が転写される。転写器13ではさらに、トナー像の転写と同時的に、分離用チャージャ13Bにおいて記録媒体Pの背面が交流帯電させられ、記録媒体Pが電子写真感光体2の表面から速やかに分離させられる。
なお、転写器13としては、電子写真感光体2の回転に従動し、かつ電子写真感光体2とは微小間隙(通常、0.5mm以下)を介して配置された転写ローラを用いることも可能である。この場合の転写ローラは、たとえば直流電源により、電子写真感光体2上のトナー像を記録媒体P上に引きつけるような転写電圧を印加するように構成される。転写ローラを用いる場合には、分離用チャージャ13Bのような転写分離装置は省略してもよい。
定着器14は、記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させるためのものであり、一対の定着ローラ14A,14Bを備えている。定着ローラ14A,14Bは、たとえば金属ローラ上にフッ素樹脂等で表面被覆したものとされている。この定着器14では、一対の定着ローラ14A,14Bの間に記録媒体Pを通過させることにより、熱あるいは圧力等によって記録媒体Pにトナー像を定着させることができる。
クリーニング器15は、電子写真感光体2の表面に残存するトナーを除去するためのものであり、クリーニングブレード15Aを備えている。
クリーニングブレード15Aは、電子写真感光体2の表面層27(図2参照)から、残留トナーを掻きとる役割を果たすものである。クリーニングブレード15Aは、たとえばポリウレタン樹脂を主成分としたゴム材料からなる。本実施形態に係るクリーニングブレード15Aは、表面層27(図2参照)に接する先端部の厚みが1.0mm以上1.2mm以下とされている。本実施形態に係るクリーニングブレード15Aは、ブレード線圧が14gf/cm(一般的には5gf/cm以上30gf/cm以下)とされている。本実施形態に係るクリーニングブレード15Aは、硬度がJIS硬度で74度(好適範囲67度以上84度以下)とされている。
除電器16は、電子写真感光体2の表面電荷を除去するためのものである。この除電器16は、たとえばLED等の光源によって電子写真感光体2の表面全体を一様に光照射することにより、電子写真感光体2の表面電荷(残余の静電潜像)を除去するように構成されている。
図2に示したように、電子写真感光体2は、円筒状基体20および被覆層21を有している。
円筒状基体20は、電子写真感光体2の骨格をなすものであり、少なくとも表面に導電性を有するものとされている。円筒状基体20は、全体を導電性材料により形成してもよいし、絶縁性材料により形成した円筒体の表面に導電性膜を形成したものであってもよい。円筒状基体20のための導電性材料としては、たとえばAlあるいはSUS(ステンレス)、Zn、Cu、Fe、Ti、Ni、Cr、Ta、Sn、Au、およびAgなどの金属材料、それらの金属の合金材料を使用することができる。円筒状基体20のための絶縁材料としては、樹脂、ガラス、あるいはセラミックスなどを挙げることができる。導電性膜のための材料としては、先に例示した金属の他、ITO(Indium Tin Oxide)、SnOなどの透明導電性材料を挙げることができる。これらの透明導電性材料は、たとえば蒸着などの公知の手法により、絶縁性を有する円筒体の表面に被着させることができる。
ただし、円筒状基体20は、全体をAl合金材料(たとえばAl−Mn系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金)により形成するのが好ましい。そうすれば、電子写真感光体2が軽量かつ低コストに製造可能となる。
このようなAl合金材料の円筒状基体20は、たとえば鋳造、均質化処理、熱間押出加工、および冷間抽伸加工し、必要に応じて軟化処理を行なうことにより形成することができる。
被覆層21は、感光層22、耐圧層23およびa−SiONB含有層24を含んでいる。
感光層22は、電荷注入阻止層25、光導電層26および表面層27を備えたものである。感光層22の厚みは、15μm以上90μm以下に設定されるのが好ましい。感光層22の厚みを15μm以上90μm以下の範囲に設定すると、例えば長波長光吸収層を設けなくても記録画像に干渉縞が発生するのを適切に抑制できるのに加え、応力に起因する膜剥がれが発生するのを適切に抑制できる。
電荷注入阻止層25は、電子あるいは正孔が円筒状基体20から光導電層26に注入されるのを抑制するためのものであり、たとえば厚みが1μm以上10μm以下に形成されている。電荷注入阻止層25は、光導電層26の材料に応じて種々のものを用いることができるが、たとえば光導電層26をa−Si系材料を用いて形成する場合であれば、電荷注入阻止層25にもa−Si系材料などの無機物材料を使用するのが好ましい。そうすることにより、後述する耐圧層23と光導電層26との密着性に優れた電子写真特性を得ることができる。
a−Si系の電荷注入阻止層25を設ける場合は、a−Si系光導電層26と比べて、より多くの周期表第13族元素(以下、「第13族元素」と略す)あるいは周期表第15族元素(以下、「第15族元素」と略す)を含有させて導電型を調整し、また多くの炭素(C)、窒素(N)、あるいは酸素(O)を含有させて高抵抗化するとよい。
電荷注入阻止層25は、全体を無機物として形成する場合には、たとえばグロー放電分解法、各種スパッタリング法、各種蒸着法、ECR法、光CVD法、触媒CVD法、あるいは反応性蒸着法など公知の成膜手法により形成することができる。
なお、電荷注入阻止層25は、選択的なものであり、必ずしも必要なものではない。また、電荷注入阻止層25に代えて、長波長光吸収層を設けてもよい。この長波長光吸収層を設けると、露光時に入射した長波長光(波長が0.8μm以上の光をいう。)が円筒状基体20の外周面で反射し、記録画像に干渉縞が発生することを抑制することが可能となる。
光導電層26は、露光器11によるレーザ光などの光の照射によって電子が励起され、自由電子あるいは正孔などのキャリアを発生させるためのものであり、たとえば厚みが10μm以上80μm以下に形成されている。光導電層26は、たとえばa−Si系材料、a−Se、Se−Te、およびAsSeなどのアモルファスセレン系(a−Se系)材料、あるいはZnO、CdS、CdSeなどの周期律表第12族元素と周期律表第16族元素との化合物などにより形成されている。a−Si系材料としては、a−Si、a−SiC、a−SiN、a−SiO、a−SiGe、a−SiCN、a−SiNO、a−SiCOおよびa−SiCNOなどを使用することができる。特に、光導電層26をa−Siあるいはa−SiにC、N、Oなどの元素を加えたa−Si系の合金材料により形成した場合には、優れた電子写真特性が安定して得られるのに加え、表面層27をa−SiC(特にa−SiC:H)により形成する場合における表面層27との整合性が優れたものとなる。ここで、電子写真特性とは、高い光感度特性、高速応答性、繰り返し安定性、耐熱性、および耐久性などが挙げられる。
光導電層26は、全体を無機物として形成する場合には、たとえばグロー放電分解法、各種スパッタリング法、各種蒸着法、ECR法、光CVD法、触媒CVD法、あるいは反応性蒸着法など公知の成膜手法により形成することができる。光導電層26の形成に当たっては、ダングリングボンド終端用に水素(H)あるいはハロゲン元素(F、Cl)を、膜中に1原子%以上40原子%以下含有させてもよい。また、光導電層26の形成に当たっては、各層の電気的特性(暗導電率あるいは光導電率など)および光学的バンドギャップなどについて所望の特性を得るために、第13族元素あるいは第15族元素を0.1ppm以上20000ppm以下含有させ、あるいはC、N、O等の元素の含有量を0.01ppm以上100ppm以下の範囲で調整すればよい。C、N、O等の元素については、層の厚み方向に濃度勾配が生じるように含有させてもよく、その場合には、層全体の平均含有量が上記範囲内にあればよい。
また、第13族元素および第15族元素としては、共有結合性に優れて半導体特性を敏感に変え得る点および優れた光感度が得られる点で、ホウ素(B)およびリン(P)を用いるのが望ましい。第13属元素および第15属元素をC、N、O等の元素とともに含有させる場合には、第13族元素は0.1ppm以上20000ppm以下であるのが好ましく、第15族元素は0.1ppm以上10000ppm以下であるのが好ましい。
光導電層26にC、N、O等の元素を含有させないか、あるいは微量(0.01ppm以上100ppm以下)含有させる場合は、第13族元素の含有量は0.01ppm以上200ppm以下、第15族元素の含有量は0.01ppm以上100ppm以下であるのが好ましい。これらの元素の含有率は層厚方向にわたって濃度勾配があってもよく、その場合には層全体の平均含有量が上記範囲内であればよい。
光導電層26をa−Si系材料により形成する場合には、μc−Si(微結晶シリコン)を含有させてもよく、その場合には、暗導電率および光導電率を高めることができるので、光導電層26の設計自由度が増すという利点がある。このようなμc−Siは、先に説明したのと同様の形成法を採用し、その成膜条件を変えることによって形成することができる。たとえばグロー放電分解法では、円筒状基体20の温度および高周波電力をa−Siの場合よりも高めに設定し、希釈ガスとしての水素流量を増すことによって形成できる。また、μc−Siを含む場合にも上記と同様の不純物元素を添加させてもよい。
光導電層26は、前述の無機物系材料を粒子化し、それを樹脂に分散させた形態であってもよい。また、光導電層26は、必ずしも無機物材料を含んでいる必要はなく、たとえば有機光導電物質を用いた光導電層として形成してもよい。有機光導電物質としては、たとえばポリ−N−ビニルカルバゾールに代表される光導電性ポリマー、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールのような低分子有機光導電性物質を用いることができる。有機光導電性物質は、各種染料あるいは顔料を組み合わせて使用することもできる。
表面層27は、光導電層26の摩擦や磨耗を防ぐためのものである。この表面層27は、たとえばa−SiCなどのa−Si系材料に代表される無機物材料により、厚みが0.2μm以上1.5μm以下に形成されている。表面層27の厚みを0.2μm以上にすることで耐刷による画像キズおよび画像濃度ムラの発生を抑制することが可能となる。表面層27の厚みを1.5μm以下にすることで初期特性(残留電位による画像不良等)を良好にすることが可能となる。表面層27の厚みは、好適には0.5μm以上1.0μm以下とされる。
このような表面層27は、a−SiCに水素を含有させたa−SiC:Hにより形成するのが好ましい。a−SiC:Hは、元素比率を組成式a−Si1−X:Hと表した場合、たとえばX値が0.55以上0.93未満とされる。X値を0.55以上0.93未満の範囲内にすることにより、表面層27として適切な硬度を得ることが可能となり、表面層27ひいては電子写真感光体2の耐久性を充分に確保することができるようになる。好適には、X値は0.6以上0.7以下とされる。表面層27をa−SiC:Hにより形成する場合におけるH含有量は、1原子%以上70原子%以下程度に設定するとよい。この範囲内では、Si−H結合がSi−C結合に比して少なくなり、表面層27の表面に光が照射されたときに生じた電荷のトラップを抑えることができ、残留電位を防止することができる点で好ましい。本発明者らの知見によれば、このH含有量を約45原子%以下とすると、より良好な結果が得られる。
このようなa−SiC:Hの表面層27は、光導電層26をa−Si系材料により形成する場合と同様に、たとえばグロー放電分解法、各種スパッタリング法、各種蒸着法、ECR法、光CVD法、触媒CVD法、あるいは反応性蒸着法など公知の成膜手法により形成することができる。
表面層27はまた、有機光導電物質を用いて光導電層26を形成する場合には、通常、有機材料により形成される。この場合の有機材料としては、硬化性樹脂を挙げることができる。硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、あるいはウレタン樹脂を使用することができる。
耐圧層23は、被覆層21における耐電圧特性を向上させるためのものであり、感光層22(本実施形態では電荷注入阻止層25)とa−SiONB含有層24との間に形成されている。この耐圧層23は、たとえばアモルファス窒化シリコン(以下、単に「a−SiN」という)を含んでいる。耐圧層23における窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率(N/(Si+N))は、たとえば0.01以上0.55以下とされる。このような範囲に前記比率を設定することにより、被覆層21における耐電圧特性を適切に確保することができるとともに残留電位の発生を適切に抑制することができる。好適には、耐圧層23における前記比率(N/(Si+N))は、0.01以上0.35以下とされる。
耐圧層23の厚みは、耐圧層23に求められる耐電圧特性を適切に維持しつつ残留電位の発生を抑制し、被覆層21の全体の厚みを低減する観点から、たとえば0.5μm以上1.2μm以下とされる。
耐圧層23はまた、第13族元素および窒素以外の第15族元素を極力含んでいないのが好ましく、実質的にa−SiNからなるのが好ましい。これは、良好な耐電圧特性を確実に確保するためである。もちろん、耐圧層23は、目的とする耐電圧機能を確保できる限りにおいては、a−SiN以外の材料により形成してもよい。このa−SiN以外の材料としては、a−SiC、a−SiO、a−SiCO、およびa−SiONなどが挙げられる。
このような耐圧層23は、光導電層26をa−Si系材料により形成する場合と同様に、公知の成膜手法により形成することができる。この公知の成膜手法としては、たとえばグロー放電分解法、各種スパッタリング法、各種蒸着法、ECR法、光CVD法、触媒CVD法、および反応性蒸着法などが挙げられる。
また、耐圧層23における窒素原子とシリコン原子との比率は、たとえば耐圧層23を形成するときの窒素含有ガスとシリコン含有ガスとの比率を適宜調整することにより選択することができる。耐圧層23の厚みは、たとえば耐圧層23を形成するときの成膜時間、あるいは円筒状基体20の温度を適宜調整することにより選択することができる。
a−SiONB含有層24は、導電性基体20と耐圧層23との間の密着性を向上させるためのものであり、導電性基体20と耐圧層23との間に形成されている。このa−SiONB含有層24は、a−SiONBを含んだものとして形成されている。a−SiONB含有層24の厚みは、1.05μm以下、好ましくは0.15μm以上1.05μm以下とされている。a−SiONB含有層24の厚みを1.05μm以下とすれば、露光後における電子写真感光体2の表面電位が必要以上に高くなることを抑制することができるため、画像形成濃度の低下にともなう画像の劣化を抑制することができる。一方、a−SiONB含有層24の厚みを0.15μm以上とすれば、被覆層21が円筒状基体20から剥がれてしまうことを抑制することができる。
a−SiONB含有層24におけるN元素の含有量は、たとえば原子数を基準として、Si元素の含有量を100としたときに0.630%以上とされ、好ましくは0.720%以上10.500%以下とされる。このような範囲にN元素の含有量を設定すれば、N元素によってa−SiONB含有層24の絶縁性を適切に維持しつつ、膜剥がれの発生を抑制することができる。
a−SiONB含有層24におけるO元素の含有量は、たとえば原子数を基準として、Si元素の含有量を100としたときに1.05%以上とされ、好ましくは1.20%以上15.00%以下とされる。このような範囲にO元素の含有量を設定すれば、a−SiONB含有層24によって円筒状基体20と耐圧層23との間の密着性を向上させることができるため、膜剥がれの発生を抑制することができる。
a−SiONB含有層24におけるB元素の含有量は、たとえば原子数を基準として、Si元素の含有量を100としたときに200ppm以上1000ppm以下とされ、好ましくは350ppm以上700ppm以下とされる。このような範囲にB元素の含有量を設定すれば、a−SiONB含有層24における耐電圧特性を適切に維持しつつ、a−SiONB含有層24の電気的特性(たとえば露光後や除電後の電位特性、あるいは暗部電位特性)を向上させることができる。
a−SiONB含有層24におけるN元素、O元素、およびB元素の含有率は層厚方向にわたって濃度勾配があってもよく、その場合には層全体の平均含有量が上記範囲内であればよい。
a−SiONB含有層24は、実質的にa−SiONBからなる層として形成してもよいし、Si元素、O元素、N元素およびB元素以外の元素を含む層として形成してもよい。Si元素、O元素、N元素およびB元素以外の元素としては、B元素およびN元素以外の微量の第13族元素、あるいは第15族元素などが挙げられる。ただし、Si元素、O元素、N元素およびB元素以外の元素の含有量は、100ppm以下に設定するのが好ましい。
このようなa−SiONB含有層24は、光導電層26と同様に、公知の成膜手法により形成することができる。ここで、公知の成膜手法としては、グロー放電分解法、各種スパッタリング法、各種蒸着法、ECR法、光CVD法、触媒CVD法、あるいは反応性蒸着法などが挙げられる。
a−SiONB含有層24におけるSi原子、O原子、N原子、およびB原子の比率および含有量は、たとえば耐圧層23を形成するときの窒素含有ガス、ホウ素含有ガス、およびシリコン含有ガスの比率を適宜調整することにより選択することができる。a−SiONB含有層24の厚みは、たとえばa−SiONB含有層24を形成するときの成膜時間、あるいは円筒状基体20の温度を適宜調整することにより選択することができる。
a−SiONB含有層24は、たとえばグロー放電分解法により形成する場合には、反応室に円筒状基体20を収容した状態で原料ガスを供給するとともに、円筒状基体20に高周波電力を供給することにより形成される。
原料ガスとしては、たとえばSi元素を含むSiHなどの珪素化合物、N元素およびO元素を含む酸化窒素化合物、B元素を含むBなどのホウ素化合物を含有するものが使用され、必要に応じてHまたはHeなどの希釈ガスが含有されたものが使用される。原料ガスの組成は、形成すべきa−SiONB含有層24の組成に応じて適宜選択すればよく、CH4などのC元素を含むC化合物あるいはその他の元素が含有されたものであってもよい。
円筒状基体20に供給する高周波電力は、たとえば周波数が13.56Hzの高周波の場合に、50W以上、好ましくは150W以上400W以下に設定される。このような範囲の高周波電力を円筒状基体20に供給してa−SiONB含有層24を形成すれば、電気的特性に優れた電子写真感光体2を提供できるとともに、円筒状基体20からの被覆層21の膜剥がれの発生を抑制することができる。このような効果をより確実に得るためには、高周波電力1W当たりのSi化合物の流量を2.5sccm以上13.3sccm以下(1sccm=1.69×10 −4 Pa・m /sec)に設定するのが好ましい。
a−SiONB含有層24を形成するときの反応室の圧力は、たとえば40.0Pa以上146.7Pa以下、好ましくは53.3Pa以上133.3Pa以下に設定される。このような範囲に反応室の圧力を設定してa−SiONB含有層24を形成すれば、電気的特性に優れた電子写真感光体2を提供できるとともに、膜剥がれの発生を抑制することができる。
a−SiONB含有層24の成膜時間は、たとえば3分以上に設定される。このような範囲に反応室の圧力を設定してa−SiONB含有層24を形成すれば、被覆層21の膜剥がれの発生を抑制することができる厚み、たとえば0.15μm以上の厚みにa−SiONB含有層24を形成することができる。ただし、不要に成膜時間を長くすれば、a−SiONB含有層24が厚み大きくなり過ぎて、露光後における電子写真感光体2の表面電位が必要以上に高くなり、画像濃度が低下してしまうおそれがある。したがって、a−SiONB含有層24の成膜時間は、露光後における電位を適切な範囲すべく、44分以下に設定するのが好ましい。
電子写真感光体2では、円筒状基体20と感光層22との間に耐圧層23を備えているため、被覆層21における耐電圧特性を適切に維持できる。また、電子写真感光体2は、円筒状基体20と耐圧層23との間にa−SiONB含有層24を備えているため、円筒状基体20から被覆層21が剥がれるのを抑制することができる。
一方、画像形成装置1では、電子写真感光体2として、耐電圧特性を適切に維持しつつ、膜剥がれの発生を抑制したものが使用されているため、画像欠陥の発生を抑制し、高品質な画像を形成することが可能となる。
本実施例では、a−SiONB含有層におけるO元素およびN元素の含有量が膜剥がれに与える影響を検討した。
[電子写真感光体の作成]
電子写真感光体は、下記表1に示した寸法を有するアルミニウム製の引き抜き管(円筒状基体)に対して、グロー放電分解装置を用いて、下記表2および表3に示す条件で被覆層を形成することにより作成した。円筒状基体としては、外周面を鏡面加工して洗浄したものを使用した。また、被覆層としては、a−SiONB含有層、耐圧層、電荷注入阻止層、光導電層、および表面層からなる構成とした。なお、a−SiONB含有層におけるO元素およびN元素の含有量は、a−SiONB含有層を形成するときのNOの流量により調整した。
Figure 0005436227
Figure 0005436227
[膜剥がれの発生の有無]
膜剥がれは、目視および光学顕微鏡(「MMFP−TR」;OLYMPAS社製)により確認した。膜剥がれの評価結果については、膜剥がれがないものを「○」、実使用上は問題ない程度の微小な膜剥がれがあるものを「△」、実使用上問題となる程度の膜剥がれが発生しているものを「×」として表3に示した。
Figure 0005436227
表3から分かるように、a−SiONB含有層におけるO元素およびN元素の含有量は、原子数を基準としてSi元素を100としたときに、それぞれ1.05%以上および0.630%以上であれば、被覆層の膜剥がれについて、実用上問題ないものであった。とくに、a−SiONB含有層におけるO元素およびN元素の含有量が、それぞれ1.20%以上および0.720%以上のときに、被覆層の膜剥がれが全く発生しないか、ほとんど発生しない結果となった。
したがって、a−SiONB含有層におけるO元素およびN元素の含有量は、被覆層の膜剥がれの発生を抑制する観点からは、原子数を基準としてSi元素を100としたときに、それぞれ1.05%以上および0.630%以上とするのが好ましく、さらに好ましくは、それぞれ1.20%以上および0.720%以上とすればよい。なお、NO/SiH流量比が0.300を超えると、製造上の爆発発生リスクが高まるため、実質的に製造困難となる。
本実施例では、a−SiONB含有層におけるB元素の含有量が電気的特性に与える影響を検討した。
[電子写真感光体の作成]
電子写真感光体は、基本的に実施例1と同様に表1および表2に示す条件にて作成した。ただし、a−SiONB含有層を形成する場合において、B元素の含有量はa−SiONB含有層を形成するときのBの流量により調整し、NO流量は200sccmに固定した。
[電気的特性の評価]
電気的特性は、暗部電位および除電後電位として評価した。暗部電位および除電後電位は、電子写真感光体を電位測定機(京セラ株式会社製)に組み込んだ状態で測定した。暗部電位は、電子写真感光体の表面を500Vに帯電させた後の電位として、非接触型表面電位計(「MODEL344」:TREK社製)を用いて測定した。除電後電位は、帯電後の電子写真感光体の表面を除電した後の電位として、接触型表面電位計(「MODEL344」:TREK社製)を用いて測定した。暗部電位および除電後電位の測定結果については、図3に示した。
図3に示したように、a−SiONB含有層におけるB元素の含有量が大きくなるにつれて暗部電位および除電後電位が大きくなった。実用的に画像形成に問題がない閾値を、暗部電位について500V以上、除電後電位について80V以下と設定すれば、a−SiONB含有層におけるB元素の含有量は、原子数を基準としてSiを元素の含有量を100としたときに200ppm以上1000ppm以下とすればよく、さらに良好な画像を得るためには、Si元素に対するB元素の含有量を350ppm以上700ppm以下に設定すればよいことが分かる。
本実施例では、a−SiONB含有層の厚みが画像特性に与える影響を検討した。
[電子写真感光体の作成]
電子写真感光体は、基本的に実施例1と同様に表1および表2に示す条件にて作成した。ただし、a−SiONB含有層を形成する場合において、a−SiONB含有層の厚みは成膜時間により調整し、NO流量は200sccmに固定した。
[画像特性の評価]
画像特性は、除電後電位として評価した。除電後電位は、実施例2と同様に測定した。除電後電位の測定結果については、図4に示した。
図4に示したように、a−SiONB含有層の厚みが大きくなるにつれて除電後電位が大きくなった。実用的に画像形成に問題がない除電後電位の閾値を80V以下に設定するとすれば、a−SiONB含有層の厚みは、1μm以下に設定すればよいことが分かる。さらに良好な画像を得るためには、a−SiONB含有層の厚みを0.5μm以下に設定すればよい。
本実施例では、グロー放電分解装置を用いてa−SiONB含有層を形成する場合に、高周波電力の大きさが電子写真感光体における膜剥がれの発生および電気特性ムラに与える影響を検討した。
[電子写真感光体の作成]
電子写真感光体は、a−SiONB含有層を除いて、実施例1と同様の条件にて作成した。a−SiONB含有層は、高周波電力の大きさ除いて、表4に示した条件で形成した。高周波電力は、表5に示した範囲に設定した。
Figure 0005436227
[膜剥がれの発生の有無]
膜剥がれの発生の有無は、実施例1と同様にして検討した。膜剥がれの発生の有無の評価結果は、表5に示した。
[電気特性ムラ]
電気特性ムラは、電位測定機(京セラ株式会社製)により評価した。電子写真感光体の回転速度は1443.6mm/secとした。電子写真感光体の帯電は、コロナ放電により行なった。このコロナ放電は、グリッド電圧が800V±10Vで、グリッド開効率が95%の帯電器を用いて行なった。電源としては、TREK社製高圧電源「MODEL610E」を用いた。電子写真感光体の露光は、光源としてハロゲンランプ(12V、100W)を連続点灯さるとともに波長720nmの干渉フィルターを用いて行なった。露光エネルギーは1.04μJ/cmに設定した。除電は、光源として透明フィルター付きLEDユニット(波長660nm、光量600μW/cm)を用いて行なった。測定時の感光体温度は、42±2℃に設定した。表面電位の値は、TREK社製プローブ「MODEL6000B−7C」を用いて、測定位置は露光後の58°の位置とした。電気特性ムラの評価結果は、表5に示した。
Figure 0005436227
表5から分かるように、被覆層の膜剥がれおよび電気特性ムラの発生を抑制するためには、高周波電力の大きさを50W以上400W以下に設定すればよく、高周波電力の大きさを150W以上400W以下に設定すれば、膜剥がれの発生をより良好に抑制することができる。
本実施例では、グロー放電分解装置を用いてa−SiONB含有層を形成する場合に、高周波電力1W当たりの原料ガス中のSi流量が電子写真感光体における膜剥がれの発生および解像度に与える影響を検討した。
[電子写真感光体の作成]
電子写真感光体は、a−SiONB含有層を除いて、実施例1と同様の条件にて作成した。a−SiONB含有層は、高周波電力の大きさを除いて、表6に示した条件で形成した。高周波電力は、表7に示した範囲に設定した。
Figure 0005436227
[膜剥がれの発生の有無]
膜剥がれの発生の有無は、実施例1と同様にして検討した。膜剥がれの発生の有無の評価結果は、表7に示した。
[解像度]
解像度は、富士ゼロックス社製「PS5600A」を用いて形成した画像について、qea社製「personal IAS(Image Analysis System)」を用いて、線幅あるいはドットの確認をすることにより評価した。解像度の評価結果については、表7に示した。表7においては、解像度が600dpi以上を「○」とし、解像度が600dpiよりも小さい場合を「×」として示した。
Figure 0005436227
表7から分かるように、被覆層の膜剥がれおよびその他の特性の発生を抑制するためには、高周波電力1W当たりの原料ガス中のSi流量を2.5sccm/W以上13.3sccm/W以下に設定すればよいという結果が得られた。
本実施例では、グロー放電分解装置を用いてa−SiONB含有層を形成する場合に、反応室の圧力が電子写真感光体における膜剥がれの発生および電気特性ムラに与える影響を検討した。
[電子写真感光体の作成]
電子写真感光体は、a−SiONB含有層を除いて、実施例1と同様の条件にて作成した。a−SiONB含有層は、圧力を除いて、表8に示した条件で形成した。圧力は、表9に示した範囲に設定した。
Figure 0005436227
[膜剥がれの発生の有無]
膜剥がれの発生の有無は、実施例1と同様にして検討した。膜剥がれの発生の有無の評価結果は、表9に示した。
[電気特性ムラ]
電気特性ムラは、電位測定機(京セラ株式会社製)を用いて実施例4と同様にして評価した。電気特性ムラの評価結果は、表9に示した。
Figure 0005436227
表9から分かるように、被覆層の膜剥がれおよび電気特性ムラの発生を抑制するためには、圧力を40Pa以上146.7Pa以下に設定すればよく、圧力を53.3Pa以上133.3Pa以下に設定すれば、膜剥がれの発生をより良好に抑制することができる。
本実施例では、グロー放電分解装置を用いてa−SiONB含有層を形成する場合に、成膜時間が電子写真感光体における膜剥がれの発生および電気特性ムラに与える影響を検討した。
[電子写真感光体の作成]
電子写真感光体は、a−SiONB含有層を除いて、実施例1と同様の条件にて作成した。a−SiONB含有層は、成膜時間を除いて、表10に示した条件で形成した。成膜時間は、表11に示した範囲に設定した。
Figure 0005436227
[膜剥がれの発生の有無]
膜剥がれの発生の有無は、実施例1と同様にして検討した。膜剥がれの発生の有無の評価結果は、表11に示した。
[電気特性ムラ]
電気特性ムラは、電位測定機(京セラ株式会社製)を用いて実施例4と同様にして評価した。電気特性ムラの評価結果は、表9に示した。
Figure 0005436227
表11から分かるように、被覆層の膜剥がれおよび電気的特性ムラの発生を抑制するためには、成膜時間を3分以上44分以下に設定すればよく、成膜時間を4分以上40分以下に設定すれば、膜剥がれの発生をより良好に抑制することができる。
その一方、本実施例において膜剥がれが適切に抑制されているときのa−SiONB含有層の厚みは、0.15μm以上であり、さらに好ましくは0.20μm以上である。したがって、本実施例の結果から、膜剥がれを抑制するためには、a−SiONB含有層の厚みを0.15μm以上、さらに好ましくは0.20μm以上に設定すればよいことが伺える。

Claims (13)

  1. 導電性基体と、該導電性基体を被覆する被覆層とを備える電子写真感光体であって、
    前記被覆層は、感光層と、前記導電性基体と前記感光層との間に位置し、第13族元素および窒素以外の第15族元素を含まない耐圧層と、前記導電性基体と前記耐圧層との間に位置するa−SiONB含有層と、を含んでなる、電子写真感光体。
  2. 前記a−SiONB含有層におけるN元素の含有量は、原子数を基準として、Si元素の含有量を100としたときに0.630%以上である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記a−SiONB含有層におけるO元素の含有量は、原子数を基準として、Si元素の含有量を100としたときに1.05%以上である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  4. 前記a−SiONB含有層におけるB元素の含有量は、Si元素の含有量を100としたときに、200ppm以上1000ppm以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  5. 前記a−SiONB含有層の厚みは、0.15μm以上1.05μm以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  6. 前記耐圧層は、a−SiNを含んでいる、請求項1に記載の電子写真感光体。
  7. 前記耐圧層における窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率は、0.01以上0.55以下である、請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 前記耐圧層の厚みは、0.5μm以上1.2μm以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  9. 前記感光層の厚みは、15μm以上90μm以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  10. 請求項1に記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする、画像形成装置。
  11. 導電性基体上にa−SiONB含有層を形成する第1工程と、前記a−SiONB含有層上に第13族元素および窒素以外の第15族元素を含まない耐圧層を形成する第2工程と、前記耐圧層上に感光層を形成する第3工程と、を含む電子写真感光体の製造方法であって、
    前記第1工程は、導電性基体を収容した反応室に原料ガスを供給するとともに、前記導電性基体に高周波電力を供給することにより行なわれ、かつ、
    前記高周波電力は、50W以上400W以下に設定される、電子写真感光体の製造方法。
  12. 前記第1工程において、前記原料ガスとしてSi化合物を含有するものが使用され、かつ、前記高周波電力1W当たりの前記Si化合物の流量が2.5sccm以上13.3sccm以下に設定される、請求項11に記載の電子写真感光体の製造方法。
  13. 前記第1工程において、前記反応室における圧力が40.0Pa以上146.7Pa以下に設定される、請求項11に記載の電子写真感光体の製造方法。
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