JP2007293280A - 電子写真感光体およびこれを備えた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびこれを備えた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐刷を行なっても画像キズおよび画像特性の劣化が生じ難い、長寿命で長期信頼性の高い電子写真感光体およびこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明は、画像形成装置において回転可能に支持される電子写真感光体2に関する。この電子写真感光体2は、略円筒形をなす基体20と、基体20上に形成されているとともに、潜像形成領域22を有する感光層21と、を備えている。感光層21は、前記画像形成装置に組み込んだときに、潜像形成領域22の中央部22Aが両端部22Bよりも強く押圧されるものであり、中央部22Aの厚みが両端部22Bよりも大きくなっている。感光層21は、その動的押し込み硬さを、両端部22Bに比べて中央部22Aのほうが大きくなるようにしてもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真感光体およびこれを備えた電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置は、静電潜像およびトナー像が形成される電子写真感光体を備えている。電子写真感光体には、電子写真特性(帯電能、光感度、残留電位などの電位特性、および画像濃度、解像度、コントラスト、階調性などの画像特性)の質および安定性、ならびに耐久性(耐磨耗性、耐刷性、耐環境性、および耐薬品性など)が求められる。それら特性を向上させるために、電子写真感光体としては、導電性基体上に、感光層として光導電層および表面層を積層したものが提案されている。
表面層としては、従来から種々の材料および層構成が提案されている。その一例として、アモルファスシリコン系材料が挙げられる。アモルファスシリコン系材料の中でもとくに、カーボン(C)を含有させたアモルファスシリコンカーバイド(a−SiC)を用いた表面層は、優れた電気的特性、光学的特性、画像特性、および高硬度に基づく耐久性などを有している点で注目されている。電子写真感光体としてはさらに、a−SiCの表面層とアモルファスシリコン系(a−Si系)の光導電層とを組み合わせたものが既に実用化されている。
アモルファスシリコン系の感光体においては、その軸方向における感光層の厚みムラは軸方向の画像濃度ムラを発生させるため、従来から軸方向における感光層の厚みを略一様(軸方向の両端部の厚みが中央部の厚みに対して±2.5%以内)にする方法が提案されている(たとえば特許文献1−3参照)。
特許文献1においては、円筒状支持体および原料ガス導入管を囲むように設置される円筒状防着部材の一部領域に複数の排気穴を有する堆積膜形成装置が開示されている。この堆積膜形成装置によれば、複数の排気穴の位置などを適宜設定することにより、装置構成および堆積膜形成工程を複雑化することなく、基体の軸方向に対する堆積膜の厚みムラを低減することができる。
特許文献2においては、円筒状電極とガス導入手段とを兼用にし、該電極の壁面にガス放出孔を配置することにより、原料ガスを均一に放電空間内部に放出し、感光層の厚みのバラツキを改善する技術が開示されている。
特許文献3においては、原料ガス導入に、円筒状電極とは別に、ガス導入用ガス管を用い、該ガス管に設けたガス放出孔の断面積と間隔を円筒形基板の長手方向で変化させ、原料ガスを均一に放出することにより、感光層の厚みムラの生起が防止された電子写真感光体を得る技術が開示されている。
a−SiC系の表面層においてはさらに、その表面層の厚みやC含有量についても検討されている(たとえば特許文献4,5)。
特許文献4においては、表面層の厚みが30Å〜5μm、炭素原子含有量が40〜90原子%の感光体が開示されている。
特許文献5においては、Si原子を母体にしてC原子を含み、そのC原子が感光層との界面に始端して自由表面側に向けて濃度が増大する表面層を備えた光受容部材が提案されている。この光受容部材における表面層は、C原子の厚み方向における分布濃度は0.5〜95原子%の範囲であり、表面層の厚みは0.003〜30μmがよいとされている。
特開平11−343573号公報 特開昭59−213439号公報 特開昭58−30125号公報 特公平01−10069号公報 特開昭62−258466号公報
しかしながら、先の公報に提案された電子写真感光体においては、a−SiC系の表面層を備えているにしても、その電子写真感光体を電子写真方式の画像形成装置に搭載して耐刷を行なった場合には、画像キズおよび画像濃度ムラ(濃度低下もしくはかぶり)等の画像不良が生じるという問題点があった。この画像不良の発生の一因としては、表面層における削れを挙げることができる。たとえば、トナーには、コロナ放電時の放電生成物が表面層に吸着されることを防止すべく、表面層の極表面を研磨するための研磨剤等が混ぜられている。そのため、画像がよく印字される中央付近は、両端部などの他の部分に比べて、表面層が削られやすく、これが画像キズを生じさせる原因となる。
そこで、かかる画像キズの発生を防止するために、表面層の組成等を変えて硬くし、あるいは表面層の厚みを厚くしてキズを発生させにくくする技術が提案され、すでに実用化されている。その反面、表面層を硬くし、あるいは表面層の厚みを大きくした場合には、感光体の帯電能の低下や残留電位の増加が生じたり、感光体表面のトナーが付着(ブレードにすきま)したり、画像流れと呼ばれる画像ボケが発生したり、感光体の製造時間(成膜時間)が長くなるなどの問題点があった。
本発明は、耐刷を行なっても画像キズおよび画像特性の劣化が生じ難い、長寿命で長期信頼性の高い電子写真感光体およびこれを備えた画像形成装置を提供することを課題としている。
本発明の第1の側面においては、画像形成装置において回転可能に支持される電子写真感光体であって、略円筒形をなす基体と、前記基体上に形成されているとともに、潜像形成領域を有する感光層と、を備えており、前記感光層は、前記画像形成装置に組み込んだときに、前記潜像形成領域における軸方向の中央部が両端部よりも強く押圧されるものであり、かつ、前記中央部の厚みが前記両端部の厚みよりも大きくなっていることを特徴とする、電子写真感光体が提供される。
前記感光層の厚みは、たとえば前記中央部から前記両端部に向かって漸次、あるいは段階的に小さくなっている。
前記感光層は、たとえば光導電層および表面層を含んでいる。この場合、前記光導電層および前記表面層のうちの少なくとも一方は、前記中央部での厚みが前記両端部での厚みよりも大きいのが好ましい。
前記表面層の厚みは、たとえば前記中央部のほうが前記両端部よりも大きくなっている。この場合、前記光導電層の厚みは、前記軸方向において略一様であってもよい。
好ましくは、前記表面層における前記両端部の厚みは、前記中央部の厚みの0.70倍以上0.96倍以下とされる。
前記表面層における前記中央部の厚みは、たとえば0.2μm以上1.5μm以下とされる。
前記表面層は、たとえば下記組成式で表される水素化アモルファスシリコンカーバイド(a−SiC:H)を主成分としている。
Figure 2007293280
前記表面層は、たとえば前記光導電層との界面側に比べて自由表面側のほうが、炭素原子比率xが大きくなるようにされる。好ましくは、前記表面層は、前記界面から前記自由表面に向うほど、炭素原子比率xが漸次大きくなるように構成される。
本発明の第2の側面においては、画像形成装置において回転可能に支持される電子写真感光体であって、略円筒形をなす基体と、前記基体上に形成されているとともに、潜像形成領域を有する感光層と、を備えており、前記感光層は、前記画像形成装置に組み込んだときに、前記潜像形成領域における軸方向の中央部が両端部よりも強く押圧されるものであり、かつ、前記中央部の動的押し込み硬さが、前記両端部の動的押し込み硬さよりも大きくなっていることを特徴とする、電子写真感光体が提供される。
前記感光層の動的押し込み硬さは、たとえば前記中央部から前記両端部に向かって漸次、あるいは段階的に小さくなっている。
好ましくは、前記感光層は、前記中央部の動的押し込み硬さが前記両端部の動的押し込み硬さの1.03倍以上1.25倍以下とされる。前記感光層は、たとえば前記中央部の動的押し込み硬さが500以上1500以下とされる。一方、前記感光層は、たとえば前記両端部の動的押し込み硬さが485以上1456以下とされる。
前記感光層は、たとえば光導電層および表面層を含んでいる。前記光導電層および前記表面層のうちの少なくとも一方は、たとえば無機物系材料を含んでいる。
本発明の第3の側面においては、回転可能に支持された略円筒形をなす基体上に、潜像形成領域を有する感光層が形成された電子写真感光体と、前記潜像形成領域における軸方向の中央部が両端部よりも強く押圧する押圧部材と、を備えており、前記電子写真感光体は、本発明の第1または第2の側面に係るものであることを特徴とする、画像形成装置が提供される。
前記押圧部材は、たとえば前記電子写真感光体との押圧部における硬さが、JIS硬さ(JIS K6253準拠 タイプA 押針質量180g、押針高さ2.5mm)で67度以上84度以下である。
本発明によれば、電子写真感光体における感光層が、軸方向の両端部に比べて中央部のほうが厚みあるいは動的押し込み硬さが大きくされているため、削れ量の多い中央部でも耐刷による画像キズおよび軸方向画像濃度ムラの発生を防止することができる。
とくに、端部に向うほど漸次あるいは段階的に厚みあるいは動的押し込み硬さが小さくなるように、たとえば両端部の厚みを中央部の厚みの0.70倍以上0.96倍以下、あるいは中央部の動的押し込み硬さを両端部の動的押し込み硬さの1.03倍以上1.25倍以下することにより、初期状態での画像濃度ムラを防止しつつ、耐刷による画像キズおよび画像濃度ムラの発生を防止できる。
本発明の電子写真感光体において表面層における中央部の厚みを0.2μm以上1.5μm以下とし、あるいは前記中央部の動的押し込み硬さを500以上1500以下とした場合も同様に、初期状態での画像濃度ムラを防止しつつ、耐刷による画像キズおよび画像濃度ムラの発生を防止できる。
本発明の電子写真感光体ではさらに、軸方向の両端部に比べて中央部のほうが表面層の厚みあるいは動的押し込み硬さが大きいので、たとえば電子写真感光体の外周面を押圧する部材(クリーニングブレード、摺察ローラ、帯電ローラ、現像ローラ、あるいはブラシなど)と電子写真感光体との間に異物が咬み込んだ場合においても、表面層の中央部の内方に位置する光導電層に損傷を与え難い。そのため、本発明の電子写真感光体では、軸方向の中央部において感光層、たとえば光導電層の機能が破壊され難い。
表面層を上記化学式2において示されるa−SiC:Hにより形成すれば、電子写真感光体において、優れた電気的特性、光学的特性、画像特性、高硬度に基づく耐久性などを発揮することができる。
さらに、表面層における炭素原子比率xを0.65≦x≦0.92、好適には0.7≦x≦0.85とすれば、表面層の硬度が適切なものとなり、耐久性を確保できる。すなわち、炭素原子比率xが0.65未満では、表面層が硬すぎてしまいトナーおよび放電生成物の完全な除去が困難となる一方で、炭素原子比率xが0.92より大きいと、表面層が軟らかくなりすぎて表面にキズがつきやすくなってしまう。
a−SiC:Hにより表面層を形成する場合において、光導電層との界面側に比べて自由表面側のほうの炭素原子比率xを大きくすると、表面層における表面硬度は界面に比べて自由表面のほうが小さくなる。とくに、界面側から自由表面側に向うほど炭素原子比率xが漸次大きくなるようにすれば、表面層における表面硬度が界面から自由表面に向うほど小さくなる。そのため、電子写真感光体を使用し始めた初期の段階において、表面層の表面に存在する微細な凹凸状の凹部に入り込んだ放電生成物を、その凹凸を平坦化することで除去することができる。その一方で、耐刷を行なうにしたがって表面層が削れた場合には、表面層の硬度が徐々に大きくなるために研磨による削れ量が徐々に小さくなり、表面への傷付きを防止することができる。そのため、表面層におけるx値を自由表面のほうが小さくなるようにすれば、優れた電子写真特性を長期にわたって保持することができる。
以下、本発明に係る画像形成装置および電子写真感光体ついて、添付図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1に示した画像形成装置1は、画像形成方式としてカールソン法を採用したものであり、電子写真感光体2、帯電器41、露光器42、現像器43、転写器44、定着器45、クリーニング器46、および除電器47を備えたものである。
電子写真感光体2は、画像信号に基づいた静電潜像やトナー像が形成されるものであり、図1の矢印A方向に回転可能とされている。図2(a)および図2(b)に示したように、電子写真感光体2は、円筒状基体20の外周面に感光層21が形成されたものである。
円筒状基体20は、電子写真感光体2の骨格をなすとともに、その外周面上で静電潜像を担持するものである。円筒状基体20の軸方向の長さLは、使用が予定される記録紙などの記録媒体Pの最大のものの長さよりも若干長くされている。具体的には、円筒状基体20の軸方向の長さLは、たとえば記録媒体Pの両端から0.5cm以上5cm以下程度長くなるように設定されている。このため、感光層21は、記録媒体Pの最大長さに対応した潜像形成領域22と、この潜像形成領域22に隣接して両端部に設けられた非潜像形性領域23と、を有することとなる。すなわち、非潜像形成領域23とは、どのような画像サイズに対応した潜像を感光層21に形成するに当たっても、全く使用が予定されない感光層21の領域(潜像形成領域22の軸方向の外側)をいう。
円筒状基体20は、内径が相対的に大きいインロー部24を有している。インロー部24は、フランジ25が嵌合される部分である。フランジ25は、電子写真感光体2を回転可能に支持するとともに、図外の回転機構からの回転動力を電子写真感光体2に伝達するためのものである。図示したインロー部24は、非潜像形成領域23に対応する部分に収まっているが、潜像形成領域22に対応する部分にまで及んでも構わない。
このような円筒状基体20は、少なくとも表面に導電性を有するものとされている。すなわち、円筒状基体20は、全体を導電性材料により形成してもよいし、絶縁性材料により形成した円筒体の表面に導電性膜を形成したものであってもよい。円筒状基体20のための導電性材料としては、たとえばAlあるいはSUS(ステンレス)、Zn、Cu、Fe、Ti、Ni、Cr、Ta、Sn、Au、およびAgなどの金属材料、それらの金属の合金材料を使用することができる。円筒状基体20のための絶縁材料としては、樹脂、ガラスあるいはセラミックなどを挙げることができる。導電性膜のための材料としては、先に例示した金属の他、ITO(Indium Tin Oxide)、SnOなどの透明導電性材料を挙げることができる。これらの透明導電性材料は、たとえば蒸着などの公知の手法により、絶縁性を有する円筒体の表面に被着させることができる。ただし、円筒状基体20は、全体をAl合金材料により形成するのが好ましい。そうすれば、電子写真感光体2が軽量かつ低コストに製造可能となり、その上、後述する感光層21の電荷注入阻止層27や光導電層28をアモルファスシリコン系(a−Si系)材料により形成する場合に、それらの層27,28との密着性が高くなって信頼性が向上する。
図2(a)に示した感光層21は、電荷注入阻止層27、光導電層28、および表面層29を積層形成したものである。この感光層21は、潜像形成領域22において、軸方向の中央部22Aのほうが両端部22Bに比べて、厚みおよび動的押し込み硬さが大きくなされている。
感光層21の中央部22Aでの動的押し込み硬さは、たとえば両端部22Bでの動的押し込み硬さの1.03倍以上1.25倍以下とされる。感光層21の中央部22Aでの動的押し込み硬さは、たとえば500以上1500以下とされ、感光層21の両端部22Bでの動的押し込み硬さは、たとえば485以上1456以下とされる。また、感光層21の中央部22Aでの動的押し込み硬さと両端部22Bでの動的押し込み硬さの差は、たとえば25以上170以下とされる。
感光層21の動的押し込み硬さとは、動的押し込み法にて測定した値を言う。このような動的押し込み硬さは、電子写真感光体2を10mm×20mmのサイズに切り出した断片を、「動的押し込み−201」(SHIMADZU社製)を用いて測定することにより得ることができる。この装置を用いる場合、圧子として115°三角錐を用い、測定条件が押し込み深さ100nm、荷重レンジ19.6mN、負荷速度0.284393mN、保持時間5secに設定される。
電荷注入阻止層27は、円筒状基体20からの電子や正孔が光導電層28に注入されるのを抑制するためのものであり、光導電層28の材料に応じて種々のものを用いることができる。電荷注入阻止層27は、たとえば無機材料により形成されており、光導電層28にa−Si系材料を用いる場合であれば、電荷注入阻止層27のための無機材料としてa−Si系の材料のものを使用するのが好ましい。そうすることにより、円筒状基体20と光導電層28との密着性に優れた電子写真特性を得ることができる。
a−Si系の電荷注入阻止層27を設ける場合は、a−Si系光導電層28と比べて、より多くの周期律表第13族元素(以下、「第13族元素」と略す)や周期律表第15族元素(以下、「第15族元素」と略す)を含有させて導電型を調整し、また多くの硼素(B)、窒素(N)、あるいは酸素(O)を含有させて高抵抗化するとよい。
なお、電界注入阻止層27は、選択的なものであり、必ずしも必要なものではなく、図2(b)に示したように、感光層21は光導電層28および表面層29のみから構成されていてもよい。また、電荷注入阻止層27に代えて、長波長光吸収層を設けてもよい。この長波長光吸収層を設けると、露光時に入射した長波長光(波長が0.8μm以上の光をいう。)が円筒状基体20の表面で反射し、記録画像に干渉縞が発生することを抑制することが可能となる。
光導電層28は、露光器42によるレーザ光などの光照射によって電子が励起され、自由電子あるいは正孔などのキャリアを発生させるためのものであり、たとえばa−Si系材料、a−Se、Se−Te、およびAsSeなどのアモルファスセレン系(a−Se系)材料、あるいはZnO、CdS、CdSeなどの周期律表第12族元素と第16族元素との化合物などにより形成されている。a−Si系材料としては、a−Si、a−SiC、a−SiN、a−SiO、a−SiGe、a−SiCN、a−SiNO、a−SiCOおよびa−SiCNOなどを使用することができる。特に、光導電層28をa−Siあるいはa−SiにC、N、Oなどの元素を加えたa−Si系の合金材料により形成した場合には、高い光感度特性、高速応答性、繰り返し安定性、耐熱性、および耐久性などの優れた電子写真特性が安定して得られるのに加え、表面層29をa−SiC:Hにより形成する場合における表面層29との整合性が優れたものとなる。なお、光導電層28は、前述の無機物系材料を粒子化し、それを樹脂に分散させた形態、あるいはOPC系光導電層として形成してもよい。
光導電層28は、全体を無機物として膜形成する場合には、たとえばグロー放電分解法、各種スパッタリング法、各種蒸着法、ECR法、光CVD法、触媒CVD法、あるいは反応性蒸着法など公知の成膜手法により形成することができる。光導電層28の成膜に当たっては、ダングリングボンド終端用に水素(H)やハロゲン元素(F、Cl)を、膜中に1原子%以上40原子%以下含有させてもよい。また、光導電層28の形成に当たっては、各層の暗導電率や光導電率などの電気的特性および光学的バンドギャップなどについて所望の特性を得るために、第13族元素や第15族元素を0.1ppm以上20000ppm以下含有させたり、C、N、O等の元素の含有量を0.01ppm以上100ppm以下の範囲で調整することにより、上記諸特性を調整する。
また、第13族元素および第15族元素としては、共有結合性に優れて半導体特性を敏感に変え得る点および優れた光感度が得られる点で、硼素(B)およびリン(P)を用いるのが望ましい。第13属元素および第15属元素をC、N、O等の元素とともに含有させる場合には、第13族元素は0.1ppm以上20000ppm以下であるのが好ましく、第15族元素は0.1ppm以上10000ppm以下であるのが好ましい。
光導電層28にC、N、O等の元素を含有させないか、あるいは微量(0.01ppm以上100ppm以下)含有させる場合は、第13族元素の含有量は0.01ppm以上200ppm以下、第15族元素の含有量は0.01ppm以上100ppm以下であるのが好ましい。これらの元素の含有率は層厚方向にわたって濃度勾配があってもよく、その場合には層全体の平均含有量が上記範囲内であればよい。
光導電層28をa−Si系材料により形成する場合には、μc−Si(微結晶シリコン)を含有させてもよく、その場合には、暗導電率および光導電率を高めることができるので、光導電層28の設計自由度が増すという利点がある。このようなμc−Siは、先に説明したのと同様の形成法を採用し、その成膜条件を変えることによって形成することができる。たとえばグロー放電分解法では、円筒状基体20の温度および高周波電力をa−Siの場合よりも高めに設定し、希釈ガスとしての水素流量を増すことによって形成できる。また、μc−Siを含む場合にも上記と同様の不純物元素を添加させてもよい。
光導電層28の厚みは、使用する光導電性材料および所望とする電子写真特性により適宜設定すればよいが、軸方向において一様とするのが好ましい。ここで、光導電層28の厚みが一様とは、潜像形成領域22における中央部22Aでの厚みと両端部22Bでの厚みの比が±2.5%以下という。光導電層28は、a−Si系材料を用いて形成する場合には、その厚みが5.15μm以上125μm以下とされる。
光導電層28の厚みは、潜像形成領域22における中央部22Aでの厚みが、潜像形成領域22における両端部22Bでの厚みに比べて大きくしてもよい。この場合の光導電層28の厚みは、中央部22Aから両端部22Bに向けて漸次、あるいは段階的に大きくなるようにするのが好ましい。
ここで、潜像形成領域22の端部22Bとは、円筒状基体20の軸方向の長さをLとした場合、感光層21における円筒状基体20の軸方向の一方または他方の端から0.1L以上0.25L以下である領域とする。
潜像形成領域22における光導電層28の中央部22Aおよび両端部22Bでの厚みとは、それぞれの周方向に沿った任意の5点につき測定し、その5点の平均値をいう。ただし、厚みの測定においては、膜欠陥や膜破壊等が生じているといった特殊な部位は除くものとする。光導電層28の厚みは、光干渉法によって算出される。より具体的には、測定箇所に1000nm以上1100nm以下の光を入射させて透過率の曲線を描き、透過率の極大極小および表面層の屈折率から厚みを算出する(参考:薄膜材料測定・評価 発刊 (株)技術情報協会 P42〜46)。
このような光導電層28は、たとえば図3および図4に示したグロー放電分解装置5を用いて形成することができる。図示したグロー放電分解装置5は、円筒状の真空容器50の中央部に配置した基体支持体51に円筒状基体20を支持させ、グロー放電プラズマにより円筒状基体20にa−Si系膜を成膜するものである。このグロー放電分解装置5では、基体支持体51が接地されているとともに、真空容器50が高周波電源52に接続されており、真空容器50と基体支持体51(円筒状基体20)との間に高周波電力を印加できるようになされている。基体支持体51は、回転機構53によって回転可能とされており、その内部に配置されたヒータ54によって加熱されるようになっている。このグロー放電分解装置5にはさらに、複数(図面上は8個)のガス導入管55が基体支持体51(円筒状基体20)を囲むように配置されている。各ガス導入管55は、その軸方向に並ぶように複数のガス導入口56が設けられたものである。各ガス導入管55における複数のガス導入口56は、円筒状基体20に対面するように配置されており、複数のガス導入口56を介して導入された原料ガスが、円筒状基体20に向けて吹き出すように構成されている。
このグロー放電分解装置5を用いて円筒状基体20にa−Si系膜の成膜を行なうに当たっては、所定の流量やガス比に設定された原料ガスが、ガス導入管55からガス導入口56を介して円筒状基体20に向けて導入される。このとき、円筒状基体20は、基体支持体51とともに回転機構53によって回転させられている。そして、高周波電源52により真空容器50と基体支持体51(円筒状基体20)との間に高周波電力を印加し、これらの間にグロー放電によって原料ガスを分解することにより、所望の温度に設定した円筒状基体20上にa−Si系膜が成膜される。
このようなグロー放電分解装置5を用いる場合には、ガス導入管55における複数のガス導入口56の配置密度を適宜設定することにより、光導電層28の厚みを一様にし、あるいは、中央部22Aの厚みを両端部22Bに比べて大きくすることができる。たとえば、中央部22Aの厚みを両端部22Bに比べて大きくする場合には、図5に示したように、ガス導入管55における光導電層28の中央部22Aに対応するX領域については、両端部22Bに対応するY領域に比べて複数のガス導入口56の配置密度を大きくすればよい。この場合、Y領域に対するX領域の配置密度の比は、中央部22Aおよび両端部22Bでの光導電層28の厚みや厚みの比に応じて設定すればよいが、たとえば1.06倍以上2.25倍以下に設定される。
また、ヒータ54によって円筒状基体20に対して軸方向に温度分布を持たせることにより、光導電層28の中央部22Aにおける厚みを両端部22Bにおける厚みよりも大きくすることもできる。より具体的には、円筒状基体20における中央部22Aに対応する部分の温度を、両端部22Bに対応する部分の温度よりも高くすることにより、中央部22Aにおける厚みを、両端部22Bにおける厚みよりも大きくすることができる。この場合、図6に示したガス導入管55′が通常使用される。ガス導入管55′は、光導電層28の中央部22Aに対応するX領域と両端部22Bに対応するY領域のガス導入口56′の配置密度が実質的に同様とされたものである。
なお、光導電層28における軸方向の厚みを一様なものとする場合には、図7に示したガス導入管55′を用いるとともに、円筒状基体20における軸方向の温度を一様なものとすればよい。
図2に示した表面層29は、光導電層28の摩擦・磨耗を防ぐためのものであり、光導電層28の表面に積層形成されている。この表面層29は、たとえばa−SiCなどのa−Si系材料に代表される無機材料により、潜像形成領域22の中央部22Aでの厚みが、たとえば0.2μm以上1.5μm以下に形成されている。表面層29の厚みを0.2μm以上にすることで耐刷による画像キズおよび画像濃度ムラの発生を防止することが可能となり、表面層29の厚みを1.5μm以下にすることで初期特性(残留電位による画像不良等)を良好にすることが可能となる。表面層29の厚みは、好適には0.5μm以上1.0μm以下とされる。
表面層29は、中央部22Aでの厚みが両端部22Bでの厚みに比べて大きくされている。表面層29の両端部22Bでの厚みに対する中央部22Aでの厚みの比は、たとえば1.03倍以上1.25倍以下に設定され、中央部22Aでの厚みと両端部22Bでの厚みの差は、0.03μm以上0.21μm以下、好適には、0.09μm以上0.14μm以下とされる。
表面層29の中央部22Aおよび両端部22Bでの厚みは、光導電層28の厚みと同様に定義され、また同様の光干渉法により算出される。ただし、表面層29の厚みを測定する場合に用いる光の波長は、400nm以上700nm以下とされる。
表面層29は、中央部22Aでの動的押し込み硬さが、両端部22Bでの動的押し込み硬さに比べて大きくされている。表面層29の動的押し込み硬さは、両端部22Bから中央部22Aに向かって漸次大きくし、あるいは両端部22Bから中央部22Aに向かって段階的に大きくなっている。
このような表面層29は、たとえばa−Si系材料により形成されるが、その中でもとくに、下記化学式3として表される水素化アモルファスシリコンカーバイトを用いるのが好ましい。そうすれば、電子写真感光体2において、優れた電気的特性、光学的特性、画像特性、高硬度に基づく耐久性などを発揮することができる。
Figure 2007293280
化学式3において、x値(炭素原子比率)は、たとえば0.65≦x≦0.92の範囲に設定され、好ましくは0.7≦x≦0.85の範囲に設定される。ここで、x値を上記範囲に設定すれば、表面層29の硬度を適切なものとすることが可能となり、耐久性を確保できる。その一方で、x値が0.65未満では表面層29が硬すぎてしまいトナーおよび放電生成物の完全な除去が困難となり、またx値が0.92より大きいと表面層29が軟らかくなりすぎて表面にキズがつきやすくなってしまう。
また、表面層29をa−SiC:Hにより形成する場合には、水素含有量については1〜70原子%程度が好ましい。この範囲内でもとくに、H含有量が少なくなるとSi−H結合が少なくなり、表面層29の表面に光が照射されたときに生じたキヤリアのトラップを抑えることができるため、残留電位を防止するうえで好ましい。この点からは、表面層29をa−SiC:Hにより形成する場合の水素含有量は、約45原子%以下であることが好ましい。
このようなa−SiC:Hの表面層29は、光導電層28をa−Si系材料により形成する場合と同様に、図3および図4に示したグロー放電分解装置5を用いて形成することができる。この場合、表面層29の中央部22Aでの厚みを両端部22Bでの厚みよりも大きくする場合には、原料ガスとしてシランガス(SiH)などのSi含有ガス、メタンガス(CH)などのC含有ガス、必要に応じて、Hガスなどの希釈ガスを用いるとともに、光導電層28において中央部22Aの厚みを大きく形成する場合と同様に図5に例示したガス導入管55を用いればよい。また、表面層29の中央部22Aでの厚みは、円筒状基体20における中央部22Aに対応する部分の温度を、両端部22Bに対応する部分の温度よりも高くすることにより、両端部22Bでの厚みよりも大きくすることもできる。
図5に示したガス導入管55を用いて中央部22Aでの厚みを両端部22Bでの厚みよりも大きくする場合には、たとえばCHとSiHとのガス比は、SiHが1に対してCHが10以上300以下に、Hガスによる希釈率は0%以上50%以下に、成膜形成時のガス圧力は0.15Torr以上0.65Torr以下程度に、高周波電力は1本の円筒状基体20につき100W以上350W以下程度に、円筒状基体20の温度は200℃以上300℃以下に設定される。高周波電力は、たとえば周波数を13.56MHzとして、または13.56MHzの高周波を1kHzでパルス変調して印加される。
また、表面層29を水素化アモルファスシリコンカーバイトにより形成する場合においては、表面層29の硬度を光導電層28との界面側から自由表面側に向かって漸次小さくなるようにしてもよい。すなわち、表面層29の組成において、x値を光導電層28との界面から自由表面に向かって漸次大きくなるようにすることで、表面層29における硬度が界面から自由表面に向って漸次小さくなるように構成してもよい。このような表面層29を有する電子写真感光体2では、電子写真感光体2を使用し始めた初期の段階において、表面層29の表面に存在する微細な凹凸状の凹部に入り込んだ放電生成物を、その凹凸を平坦化することで除去することができる。その一方で、耐刷を行なうにしたがって、表面層29の硬度が大きくなるために研磨による削れ量が小さくなり、表面への傷付きを防止することができる。その結果、先の表面層29を有する電子写真感光体2では、優れた電子写真特性を長期にわたって保持することができる。
このようなx値が光導電層28との界面から自由表面に向かって漸次大きくなる表面層22は、たとえば表面層29をグロー放電分解法によって成膜形成する場合、表面層29の光導電層28との界面側から自由表面側に向かって、原料ガスにおけるSi含有ガスに対するC含有ガスの比率を漸次高くし、原料ガスの水素ガスによる希釈率を漸次小さくし、放電電力を漸次小さくし、円筒状基体20の温度を漸次低くし、あるいはこれらの条件を組み合わせるなどして形成することができる。
図1に示した帯電器41は、電子写真感光体2の表面を、電子写真感光体2の光導電層の種類に応じて正極性または負極性に一様に、200V以上1000V以下程度に帯電させるためのものである。この帯電器41は、電子写真感光体2の押圧するように密着して配置されており、たとえば芯金の上に、導電性ゴムおよびPVDF(ポリフッ化ビニリデン)によって被覆したものとして構成されている。帯電器41としては、ローラ状のものに変えて、放電ワイヤを備えたものを使用してもよい。
露光器42は、電子写真感光体2に静電潜像を形成するためのものであり、特定波長(たとえば650nm以上780nm以下)の光を出射可能とされている。この露光器42によると、画像信号に応じて電子写真感光体2の表面に光を照射して光照射部分の電位を減衰させることにより、電位コントラストとしての静電潜像が形成される。露光器42としては、たとえば約680nmの波長の光を出射可能な複数のLED素子を配列させたLEDヘッドを採用することができる。
もちろん、露光器42としては、レーザ光を出射可能なものを使用することもできる。また、LEDヘッド等の露光器42に代えて、レーザービームやポリゴンミラー等からなる光学系や原稿からの反射光を通すレンズやミラー等からなる光学系を用いることにより、複写機の構成の画像形成装置とすることもできる。
現像器43は、電子写真感光体2の静電潜像を現像してトナー像を形成するためのものである。この現像器43は、現像剤(トナー)を磁気的に保持する磁気ローラ43A、電子写真感光体2との隙間を制御するためのコロと呼ばれる車輪(図示略)などを備えている。
現像剤は、電子写真感光体2の表面に形成されるトナー像を構成するためのものであり、現像器43において摩擦帯電させられるものである。現像剤としては、磁性キャリアと絶縁性トナーとから成る二成分系現像剤、あるいは磁性トナーから成る一成分系現像剤を使用することができる。
磁気ローラ43Aは、電子写真感光体2の表面(現像領域)に現像剤を搬送する役割を果すものである。
現像器43においては、磁気ローラ43Aにより摩擦帯電したトナーが一定の穂長に調整された磁気ブラシの形で搬送され、電子写真感光体2の現像領域において、トナーが静電潜像との静電引力により感光体表面に付着して可視化される。トナー像の帯電極性は、正規現像により画像形成が行われる場合には、電子写真感光体2の表面の帯電極性と逆極性とされ、反転現像により画像形成が行われる場合には、電子写真感光体2の表面の帯電極性と同極性とされる。
なお、現像器43は、乾式現像方式を採用しているが、液体現像剤を用いた湿式現像方式を採用してもよい。
転写器44は、電子写真感光体2と転写器44との間の転写領域に供給された記録媒体Pに、電子写真感光体2のトナー像を転写するためのものである。この転写器44は、転写用チャージャ44Aおよび分離用チャージャ44Bを備えている。転写器44では、転写用チャージャ44Aにおいて記録媒体Pの背面(非記録面)がトナー像とは逆極性に帯電され、この帯電電荷とトナー像との静電引力によって、記録媒体P上にトナー像が転写される。転写器44ではさらに、トナー像の転写と同時的に、分離用チャージャ44Bにおいて記録媒体Pの背面が交流帯電させられ、記録媒体Pが電子写真感光体2の表面から速やかに分離させられる。
なお、転写器44としては、電子写真感光体2の回転に従動し、かつ電子写真感光体2とは微小間隙(通常、0.5mm以下)を介して配置された転写ローラを用いることも可能である。この場合の転写ローラは、たとえば直流電源により、電子写真感光体2上のトナー像を記録媒体P上に引きつけるような転写電圧を印加するように構成される。転写ローラを用いる場合には、分離用チャージャ44Bのような転写分離装置は省略される。
定着器45は、記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させるためのものであり、一対の定着ローラ45A,45Bを備えている。定着ローラ45A,45Bは、たとえば金属ローラ上にテフロン(登録商標)等で表面被覆したものとされている。この定着器45では、一対の定着ローラ45A,45Bの間に記録媒体Pを通過させることにより、熱や圧力等によって記録媒体Pにトナー像を定着させることができる。
図1および図2に示したクリーニング器46は、電子写真感光体2の表面に残存するトナーを除去するためのものであり、クリーニングブレード46Aを備えている。
クリーニングブレード46Aは、電子写真感光体2の表面層29の表面から、残留トナーを掻きとる役割を果たすものである。このクリーニングブレード46Aは、その先端が電子写真感光体2の潜像形成領域22を押圧するように、バネ46B等の付勢手段を介してケース46Cに支持されている。クリーニングブレード46Aは、たとえばポリウレタン樹脂を主成分としたゴム材料からなり、表面層29に接する先端部の厚みが1.0mm以上1.2mm以下、ブレード線圧が14gf/cm(一般的には5gf/cm以上30gf/cm以下)、硬度がJIS硬度で74度(好適範囲67度以上84度以下)とされている。
除電器47は、電子写真感光体2の表面電荷を除去するためのものである。この除電器47は、たとえばLED等の光源によって電子写真感光体2の表面(表面層29)全体を一様に光照射することにより、電子写真感光体2の表面電荷(残余の静電潜像)を除去するように構成されている。
電子写真感光体2では、感光層21が、潜像形成領域22の軸方向の中央部22Aに比べて両端部22Bのほうが厚みあるいは動的押し込み硬さが小さくされている。そのため、削れ量の多い中央部22Aでも耐刷による画像キズおよび軸方向の画像濃度ムラの発生を防止することができる。
とくに、端部22Bに向うほど漸次あるいは段階的に厚みあるいは動的押し込み硬さが小さくなるように、たとえば両端部22Bの厚みを中央部22Aの厚みの0.70倍以上0.96倍以下、あるいは中央部22Aの動的押し込み硬さを両端部22Bの動的押し込み硬さの1.03倍以上1.25倍以下することにより、初期状態での画像濃度ムラを防止しつつ、耐刷による画像キズおよび画像濃度ムラの発生を防止できる。
電子写真感光体2ではさらに、軸方向の端部22Bに比べて中央部22Aの方が表面層29の厚みあるいは動的押し込み硬さが大きいので、たとえば電子写真感光体2の外周面を押圧する押圧部材(クリーニングブレード46Aなど)と電子写真感光体2との間に粉塵等の異物が咬み込んだ場合においても、表面層29の中央部22Aの内方に位置する光導電層28に損傷を与え難い。すなわち、電子写真感光体2は、押圧部材との間に粉塵等の異物が咬み込まれてもクラックが発生し難いのに加え、仮にクラックが発生した場合であっても、感光層21(光導電層28および表面層29)での中央部22Aの厚みが両端部22Bの厚みよりも大きくされ、あるいは動的押し込み硬さが中央部22Aのほうが両端部22Bに比べて大きくされていることによって中央部22Aにおいて発生したクラックが光導電層28や円筒状基体20にまで到達しにくくなる。これにより、光導電層28の損傷、光導電層28と表面層29との間の短絡、円筒状基体20への電荷のリークを抑制することができる。そのため、画像形成装置1では、感光層21(光導電層28)の機能破壊が生じにくく、画像欠陥が生じにくくなり、長期的な使用に耐えうるものとなる。
また、図7に示した電子写真感光体2′のように、潜像形成領域22′における感光層21′の厚みが順次大きくなる場合に限らず、中央部22A′から両端部22B′に向って段階的に大きくなるように形成してもよい。図7に示した例では、中央部22A′と両端部22B′との間の段数が1つであるが、段数は2以上であってもよい。
また、図8に示した電子写真感光体2″のように、電子写真感光体2″の感光層21″の厚みを潜像形成領域22″の中央部22A″と両端部22B″とで同様なものとする一方で、感光層21″における中央部22A″の動的押し込み硬さを、両端部22A″の動的押し込み硬さに比べて大きくしてもよい。このとき、表面層29″をa−SiCを主成分とする材料により形成する場合、中央部22A″における炭素含有量と両端部22B″における炭素含有量を調整することにより、感光層21″における中央部22A″の動的押し込み硬さを、両端部22B″の動的押し込み硬さよりも大きくすることができる。たとえば、表面層29″における中央部22A″におけるSi:Cの比率と、両端部22BにおけるSi:Cの比率とを比較したときに、Cの含有比率が20%以上70%以下の範囲において、中央部22A″のCの含有比率を、両端部22B″のCの含有比率よりも高くすればよい。
次に、本発明の電子写真感光体の具体例を実施例として説明する。ただし、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更や改良などは何ら差し支えない。
本実施例においては、図2(a)に示した構成の電子写真感光体2(感光体1−1)を作製し、表面層の厚みおよび組成の測定、ならびに耐刷時における画像特性の評価を行なった。比較例として、表面層における厚みが軸方向において略一様とされた電子写真感光体(感光体1−2)を作製し、表面層の厚みおよび組成、ならびに耐刷時における画像特性の評価を行なった。
(感光体の形成)
感光体1−1は、筒状基体20としてアルミニウム合金から成る外径30mm、長さ254mmの引き抜き管の外周面を鏡面加工して洗浄したものを用意し、これを図3および図4に示したグロー放電分解成膜装置5にセットして、下記表1および表2に示す成膜条件によりキャリア注入阻止層27、光導電層28および表面層29を順次積層することで作製した。なお、表2には、表面層29は光導電層28との界面層での成膜条件と、自由表面側での成膜条件を示しているが、その間での成膜はガス流量と成膜速度を漸次変えている。
一方、感光体1−2は、表1および表2に示したように基本的には感光体1−1と同様にして作製したが、表2から分かるように、表面層は光導電層との界面層での成膜条件と自由表面側での成膜条件を同一にして行なった。
Figure 2007293280
Figure 2007293280
(表面層の厚みおよび組成の測定)
表面層の厚みは、感光体1−1,1−2の表面層について、軸方向の中央部および両端部(非画像部を除いた画像領域の端に相当する端面から25mmの部位)について、光学式膜厚計にて測定した。表面層の組成(a−Si1−xCx:Hのx値)は、表面層における軸方向の中央部および両端部のそれぞれについて、その一部を5mm角に切り出して、XPS分析(X線光電子分光分析)により求めた。厚みおよび自由表面でのx値の測定結果については表3に示した。
Figure 2007293280
(画像特性の評価)
この評価は、感光体1−1,1−2を電子写真プリンタ(「FS−1550」:京セラ株式会社製)に搭載して30万枚の耐刷実験を行う一方で、耐刷途中の各段階で、画像キズおよび画像濃度ムラの発生の有無を目視により確認することにより行なった。画像評価の結果については、表4に示した。
表4においては、画像キズおよび画像濃度ムラの発生が認められない場合を○印で、わずかに発生が認められた場合を△印で、実用上支障がある程度に発生が認められた場合を×印で表した。
Figure 2007293280
表4の結果から明らかな通り、表面層の厚みが略一定である従来の感光体1−2では、耐刷枚数が50000枚を超えたあたりから画像の劣化が見受けられた。一方、表面層の厚みを中央部に比べて端部のほうが小さくなるようにした本発明の感光体1−1では、画像キズおよび画像濃度ムラの発生は認められず、常に良好な画像品質の記録画像が得られた。感光体1−1,1−2のような小型な電子写真感光体では、30万枚の寿命を有していれば十分であるため、本発明の感光体Aは実用上十分な耐久性があることが確認された。
本実施例においてはさらに、耐刷後において、表面層の厚みおよび組成(x値)の測定を行なった。その結果については、表5に示した。
Figure 2007293280
表5から分かるように、本発明の感光体1−1については、30万枚耐刷後における表面層の中央部と端部との間の厚みの差は平均で100Åであった。一方、感光体1−2については、中央部と端部との間の厚みの差は1200Åであった。この結果から、本発明の感光体1−1は、耐刷後において、中央部と端部との間の厚みの差が小さくなるようになされているために、画像濃度ムラが発生しないことがわかる。
なお、画像濃度ムラについては、初期状態における若干の表面層の軸方向の厚みムラ(たとえば厚みが中央部から両端部に向かって漸次小さくなっている状態)を画像形成装置の調整(帯電器、光学系等)をすることで、濃度ムラの発生を回避することは可能であるが、耐刷途中では表面層の軸方向の厚みムラを調整することは困難であるため、初期状態の軸方向の厚みムラより大きくならないことが重要であると理解できる。
本実施例においては、表面層を形成するときのRF電力値を変化させた場合について、表面層の厚みおよび画像特性について評価した。
本実施例において用いる感光体2−1〜2−13は、基本的には実施例1と同様にして作製し、表面層の厚みの測定および画像特性(初期および耐刷30万枚後)の評価についても実施例1と同様にして行なった。ただし、表面層を成膜する場合のRF電力値は、表6に示した通りとした。表面層の厚みの測定結果および画像特性の評価結果については、RF電力値とともに表6に示した。
Figure 2007293280
表6から分かるように、感光体2−1〜2−3については、30万枚耐刷後の画像にて軸方向に濃度ムラが発生し(軸方向の中央部に相当する部分の濃度が濃い)、感光体2−4については、30万枚耐刷後の画像にて軸方向に濃度ムラが発生する場合があった。また、感光体2−11〜2−13については、初期画像にて軸方向に濃度ムラが発生する場合があった(軸方向の中央部に相当する部分の濃度が薄い)。
これに対して、RF電力値を100〜300Wとして表面層を形成した感光体2−5〜2−10は、画像キズおよび画像濃度ムラの発生は認められず、常に良好な画像品質の記録画像が得られた。これらの感光体2−5〜2−10は、表面層における両端部の厚みが中央部の厚みの0.7倍以上0.96倍以下の範囲にあるものであり、本実施例からも、表面層の両端部の厚みが中央部の厚みの0.7倍以上0.96倍以下の範囲にある場合には、実用上要求される耐刷30万枚において、画像特性が特に良好なものとなることが分かる。
本実施例においては、表面層を形成するときの水素(H)希釈量(流量)を変化させた場合について、表面層の厚みおよび画像特性について評価した。
本実施例において用いる感光体3−1〜3−11は、基本的には実施例1と同様にして作製し、表面層の厚みの測定および画像特性(初期および耐刷30万枚後)の評価についても実施例1と同様にして行なった。ただし、表面層を成膜する場合の水素(H)希釈量(流量基準)は、表7に示した通りとした。表面層の厚みの測定結果および画像特性の評価結果については、水素(H)希釈量(流量基準)とともに表7に示した。
Figure 2007293280
表7から分かるように、感光体3−8については、30万枚耐刷後の画像にて軸方向に濃度ムラが発生する場合があり、感光体3−9〜3−11については、30万枚耐刷後の画像にて軸方向に濃度ムラが常に発生した(基体中央部の濃度が濃い)。その一方で、H希釈量0%以上50%以下として表面層を形成した感光体3−1〜3−7は、画像キズおよび画像濃度ムラの発生は認められず、常に良好な画像品質の記録画像が得られた。これらの感光体3−1〜3−7は、表面層の両端部の厚みが中央部の0.96倍より小さい範囲にあるものであり、本実施例からは、表面層の両端部の厚みが中央部の0.96倍より小さい範囲にある場合には、実用上要求される耐刷30万枚において、画像特性が特に良好なものとなることが確認された。
本実施例においては、表面層を形成するときのSiH流量を変化させた場合について、表面層におけるx値(炭素原子比率)および画像特性について評価した。
本実施例において用いる感光体4−1〜4−11は、基本的には実施例1と同様にして作製し、表面層におけるx値の測定および画像特性(初期および耐刷30万枚後)の評価についても実施例1と同様にして行なった。ただし、表面層を成膜する場合のSiH流量は、表8に示した通りとした。表面層のx値の測定結果および画像特性の評価結果については、SiH流量とともに表8に示した。
Figure 2007293280
表8から分かるように、感光体4−1〜4−3については、30万枚耐刷後の画像にて(特に、軸方向の中央部に相当する部分において)多数のキズが発生する場合があった。また、感光体4−9〜4−11については、30万枚耐刷後の画像にて(特に、軸方向の中央部に相当する部分において)、黒点(白ベタ画像に黒い点が多数)が発生する場合があった。
これに対して、SiH流量を1.0sccm以上16sccm以下として表面層を形成した感光体4−4〜4−8については、画像キズおよび画像濃度ムラの発生は認められず、常に良好な画像品質の記録画像が得られた。これらの感光体4−4〜4−8は、表面層の組成(a−Si1−X:H)において、x値が0.65以上0.92以下の範囲のものであり、本実施例からは、表面層の組成(a−Si1−X:H)におけるx値が0.65以上0.92以下にある場合には、実用上要求される耐刷30万枚において、画像特性が特に良好なものとなることが確認された。
本実施例においては、表面層を形成するときの成膜時間を変化させた場合について、表面層の厚みおよび画像特性について評価した。
本実施例において用いる感光体5−1〜5−11は、基本的には実施例1と同様にして作製し、表面層の厚みおよび画像特性(初期および耐刷30万枚後)の評価についても実施例1と同様にして行なった。ただし、表面層を成膜する場合の成膜時間は、表9に示した通りとした。表面層の厚みの測定結果および画像特性の評価結果については、成膜時間とともに表9に示した。
Figure 2007293280
表9から分かるように、感光体5−1については、30万枚耐刷後の画像にて(特に、軸方向の中央部に相当する部分において)キズが発生し、感光体5−2については、30万枚耐刷後の画像にてキズが発生する場合があった。また、感光体5−10,5−11については、初期の画像にて、残留電位が高くなり表面電位が充分に下がりきらないことに起因して印字カスレが発生する場合があった。
これに対して、表面層の成膜時間が0.6時間以上4.5時間以下である感光体5−3〜5−9については、画像キズおよび画像濃度ムラの発生は認められず、常に良好な画像品質の記録画像が得られた。これらの感光体5−3〜5−9は、表面層における中央部の厚みが0.2μm以上1.5μm以下の範囲のものであり、本実施例からは、表面層における中央部の厚みを先の範囲とした場合には、実用上要求される耐刷30万枚において、画像特性が特に良好なものとなることが確認された。
本実施例においては、光導電層の厚みが画像特性に与える影響について検討した。
本実施例において用いる感光体6−1〜6−5は、基本的には実施例1と同様にして作製し、表面層の厚みの形成および画像特性(耐刷5万枚後)の評価についても実施例1と同様にして行なった。感光体6−1〜6−3は、光導電層における端部の厚みが中央部に比べて小さくしたものであり、感光体6−4,6−5は、光導電層における端部と中央部の厚みが略同一のものである。光導電層および表面層の厚みの測定結果および画像特性の評価結果については、表10に示した。
Figure 2007293280
表10から分かるように、光導電層における端部の厚みを小さくした場合には、感光体6−1については画像端部に微小黒点が多数発生し、感光体6−2,6−3については画像端部に微小黒点が数個(2〜5個)発生した。
これに対して、光導電層の端部の厚みを中央部と同程度にした感光体6−4,6−5では、画像キズおよび画像濃度ムラの発生は認められず、常に良好な画像品質の記録画像が得られた。本実施例からは、表面層における中央部に比べて端部のほうの厚みを小さくする場合には、光導電層の厚みは、中央部と端部において略一様なものとするのが好ましいことが分かった。
本実施例においては、感光層の動的押し込み硬さが画像特性に与える影響について評価を行なった。
(感光体の形成)
本実施例において用いる感光体7−1は、筒状基体20としてアルミニウム合金から成る外径84mm、長さ360mmの引き抜き管の外周面を鏡面加工して洗浄したものを用意し、これを図3および図4に示したグロー放電分解成膜装置5にセットして、下記表11および表12に示す成膜条件によりキャリア注入阻止層27、光導電層28および表面層29を順次積層することで作製した。なお、表12には、表面層29は光導電層28との界面層での成膜条件と、自由表面側での成膜条件を示しているが、その間での成膜はガス流量と成膜速度を漸次変えている。
一方、比較例として、表面層を図6に示したガス導入管55を用いて作製した以外は、感光体7−1と同様にして、感光体7−2を作製した。
Figure 2007293280
Figure 2007293280
(動的押し込み硬さの評価)
感光層の動的押し込み硬さは、感光体7−1,7−1の中央部および両端部(それぞれ感光7−1,7−1の軸方向の端から40mmの位置)において超微小硬さ計(商品名(型番):DUH−201、株式会社島津製作所製)にて測定した。感光層の動的押し込み硬さの測定結果については、表13に示した。表13において感光層の動的押し込み硬さは、周方向に沿った任意の5点について測定し、その5点の平均値として示した。
Figure 2007293280
(画像特性の評価)
この評価は、感光体7−1,7−2を電子写真プリンタ(「KM−6030」:京セラ株式会社製)に搭載して30万枚の耐刷実験を行う一方で、耐刷途中の各段階で、画像キズおよび画像濃度ムラの発生の有無を目視により確認することにより行なった。画像評価の結果については、表14に示した。
表14においては、画像キズおよび画像濃度ムラの発生が認められない場合を○印で、わずかに発生が認められた場合を△印で、実用上支障がある程度に発生が認められた場合を×印で表した。
Figure 2007293280
表14から分かるように、感光層における動的押し込み硬さが略一定である従来の感光体7−2では、耐刷枚数が50000枚を超えたあたりから画像の劣化が見受けられた。さらに、100000枚程度の耐刷にて、中央部が削れすぎてしまい、画像濃度ムラが発生し、耐用枚数の増加には支障があることがわかった。
一方、感光層の動的押し込み硬さを中央部に比べて両端部のほうが小さくなるようにした本発明の感光体7−1では、画像キズおよび画像濃度ムラの発生は認められず、常に良好な画像品質の記録画像が得られた。感光体7−1,7−2のようなサイズの電子写真感光体では、30万枚の寿命を有していれば十分であるため、潜像形成領域における中央部の動的押し込み硬さが両端部の動的押し込み硬さよりも大きい感光体7−1は実用上十分な耐久性があることが確認された。
本実施例においては、感光層における中央部と両端部の動的押し込み硬さの比が画像特性に与える影響について検討した。
本実施例において用いる感光体8−1〜8−6は、基本的には実施例7と同様にして作製し、感光層の動的押し込み硬さおよび画像特性の評価についても実施例7と同様にして行なった。感光体8−1〜8−6における感光層の動的押し込み硬さは、用いるガス導入管におけるガス導入口の配置により調整した。感光層における動的押し込み硬さの測定結果および画像特性の評価結果については、表15に示した。
Figure 2007293280
表15から分かるように、感光体8−1(7−2)については30万枚耐刷後の画像にて中央部にて画像キズが発生した。感光体8−6については、初期画像にて軸方向濃度ムラが発生した。
感光体8−2については30万枚耐刷後の画像にてキズが発生する場合があり、感光体8−5については初期画像にて軸方向の濃度ムラが発生する場合があったが、感光体8−2,8−5についての画像キズや濃度ムラは実用上支障がある程度ではなかった。
これに対して、感光体8−3,8−4については、画像キズおよび画像濃度ムラの発生は認められず、良好な画像品質の記録画像が得られることがわかった。
したがって、適切な画像特性を得るためには、感光層における動的押し込み硬さを、両端部に対する中央部の比として、1.03以上1.25以下とすればよく、とくに1.06以上1.13以下とすればさらに好ましい結果が得られる。
本実施例においては、感光層の中央部の動的押し込み硬さが画像特性に与える影響について検討した。
本実施例において用いる感光体9−1〜9−6は、基本的には実施例7と同様にして作製し、感光層の動的押し込み硬さおよび画像特性の評価についても実施例7と同様にして行なった。ただし、感光層を形成するときのガス導入管としては、実施例7の感光体7−1を形成する場合と同様のものを用いた。感光体9−1〜9−6の感光層における中央部の動的押し込み硬さは、感光性層を形成するときのCHの流量(感光層における炭素含有量)により調整した。感光層における動的押し込み硬さの測定結果および画像特性の評価結果については、表16に示した。
Figure 2007293280
表16から分かるように、感光体9−6では、50,000枚程度の耐刷で中央部にて画像キズが認められ、耐用枚数の増加には支障があることがわかった。感光体9−6ではさらに、50,000枚程度の耐刷で中央部にて画像黒点の発生が認められ、さらに、濃度が薄くなっており、耐用枚数の増加には支障があることがわかった。
感光体9−2については30万枚耐刷後の画像にてキズが発生する場合があり、感光体9−5については、初期画像にて黒点あるいは軸方向の濃度ムラが発生する場合があったが、実用上支障がある程度ではなかった。
これに対して、感光体9−3,9−4については、画像キズおよび画像濃度ムラの発生は認められず、良好な画像品質の記録画像が得られることがわかった。
したがって、適切な画像特性を得るためには、感光層における中央部の動的押し込み硬さを、500以上1500以下とすればよく、とくに750以上1000以下とすればさらに好ましい結果が得られる。
本発明に係る画像形成装置の一例を示す模式図である。 図2(a)は本発明に係る電子写真感光体の断面図およびその要部を拡大して示した断面図、図2(b)は電子写真感光体の他の例を説明するための要部を拡大して示した断面図である。 図2に示した電子写真感光体を製造するために使用されるグロー放電分解装置の一例を示す断面図である。 図3のIV−IV線に沿う断面図である。 図3および図4に示したグロー放電分解装置におけるガス導入管の一例を示す正面図である。 図3および図4に示したグロー放電分解装置におけるガス導入管の他の例を示す正面図である。 本発明に係る電子写真感光体の他の例を説明するための断面図である。 本発明に係る電子写真感光体の他の例を説明するための断面図である。
符号の説明
1 画像形成装置
2,2′,2″ 電子写真感光体
20 円筒状基体(導電性基体)
21,21′,21″ 感光層
22,22′,22″ 潜像形成領域
22A,22A′,22A″ (潜像形成領域の)中央部
22B,22B′,22B″ (潜像形成領域の)端部
28 光導電層
29,29″ 表面層

Claims (21)

  1. 画像形成装置において回転可能に支持される電子写真感光体であって、
    略円筒形をなす基体と、前記基体上に形成されているとともに、潜像形成領域を有する感光層と、を備えており、
    前記感光層は、前記画像形成装置に組み込んだときに、前記潜像形成領域における軸方向の中央部が両端部よりも強く押圧されるものであり、かつ、前記中央部の厚みが前記両端部の厚みよりも大きくなっていることを特徴とする、電子写真感光体。
  2. 前記感光層は、光導電層および表面層を含んでおり、
    前記光導電層および前記表面層のうちの少なくとも一方は、前記中央部での厚みが前記両端部での厚みよりも大きい、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記感光層の厚みは、前記中央部から前記両端部に向かって漸次小さくなっている、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記感光層の厚みは、前記中央部から前記両端部に向かって段階的に小さくなっている、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  5. 前記表面層の厚みは、前記中央部のほうが前記両端部よりも大きくなっており、
    前記光導電層の厚みは、前記軸方向において略一様である、請求項2に記載の電子写真感光体。
  6. 前記表面層における両端部の厚みは、中央部の厚みの0.70倍以上0.96倍以下である、請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記表面層における中央部の厚みは、0.2μm以上1.5μm以下である、請求項5または6に記載の電子写真感光体。
  8. 前記表面層は、下記組成式で表される水素化アモルファスシリコンカーバイドを主成分としている、請求項2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2007293280
  9. 前記表面層は、前記光導電層との界面側に比べて自由表面側のほうが、炭素原子比率xが大きくなっている、請求項8に記載の電子写真感光体。
  10. 前記表面層は、前記界面から前記自由表面に向うほど、炭素原子比率xが漸次大きくなっている、請求項9に記載の電子写真感光体。
  11. 前記光導電層および前記表面層のうちの少なくとも一方は、無機物系材料を含んでいる、請求項2に記載の電子写真感光体。
  12. 画像形成装置において回転可能に支持される電子写真感光体であって、
    略円筒形をなす基体と、前記基体上に形成されているとともに、潜像形成領域を有する感光層と、を備えており、
    前記感光層は、前記画像形成装置に組み込んだときに、前記潜像形成領域における軸方向の中央部が両端部よりも強く押圧されるものであり、かつ、前記中央部の動的押し込み硬さが、前記両端部の動的押し込み硬さよりも大きくなっていることを特徴とする、電子写真感光体。
  13. 前記感光層の動的押し込み硬さは、前記中央部から前記両端部に向かって漸次小さくなっている、請求項12に記載の電子写真感光体。
  14. 前記感光層の動的押し込み硬さは、前記中央部から前記両端部に向かって段階的に小さくなっている、請求項12に記載の電子写真感光体。
  15. 前記感光層は、前記中央部の動的押し込み硬さが前記両端部の動的押し込み硬さの1.03倍以上1.25倍以下である、請求項12ないし14のいずれかに記載の電子写真感光体。
  16. 前記感光層は、前記中央部の動的押し込み硬さが500以上1500以下である、請求項12ないし15のいずれかに記載の電子写真感光体。
  17. 前記感光層は、前記両端部の動的押し込み硬さが485以上1456以下である、請求項12ないし16のいずれかに記載の電子写真感光体。
  18. 前記感光層は、光導電層および表面層を含んでいる、請求項12ないし17のいずれかに記載の電子写真感光体。
  19. 前記光導電層および前記表面層のうちの少なくとも一方は、無機物系材料を含んでいる、請求項18に記載の電子写真感光体。
  20. 回転可能に支持された略円筒形をなす基体上に、潜像形成領域を有する感光層が形成された電子写真感光体と、
    前記潜像形成領域における軸方向の中央部を両端部よりも強く押圧する押圧部材と、
    を備えており、
    前記電子写真感光体は、請求項1ないし請求項19のいずれかに記載したものであることを特徴とする、画像形成装置。
  21. 前記押圧部材は、前記電子写真感光体との押圧部における硬さが、JIS硬さ(JIS K6253準拠 タイプA 押針質量180g、押針高さ2.5mm)で67度以上84度以下である、請求項20に記載の画像形成装置。
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