JP2850745B2 - 電子写真感光体およびその製造方法 - Google Patents

電子写真感光体およびその製造方法

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JP2850745B2 JP1496794A JP1496794A JP2850745B2 JP 2850745 B2 JP2850745 B2 JP 2850745B2 JP 1496794 A JP1496794 A JP 1496794A JP 1496794 A JP1496794 A JP 1496794A JP 2850745 B2 JP2850745 B2 JP 2850745B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体、特
に、パルス変調をした高周波電界によるグロー放電によ
って形成した非晶質ケイ素よりなる光拡散層を有する電
子写真感光体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法は、感光体に帯電、像露光を
施すことにより静電潜像を形成し、現像剤で現像した
後、転写紙にトナー像を転写し、定着して複写物を得る
方法である。この電子写真法に用いられる電子写真感光
体は、基本構成として、導電性基板上に感光層を積層し
てなるものであり、感光層を構成する材料として、近
年、非晶質ケイ素(水素化アモルファスシリコン)が知
られ、種々の改善が試みられている。この非晶質ケイ素
を用いた感光体は、導電性基板上にシラン(SiH4
ガスのグロー放電分解等によりケイ素の非晶質膜を形成
して製造されるものであって、非晶質ケイ素膜中に水素
原子が取り込まれ、良好な光導電性を呈するものであ
る。非晶質ケイ素感光体は、感光層の表面硬度が高く、
耐摩耗性に優れ、耐熱性も高く、電気的な安定性に優れ
ており、また分光感度が広く、高い光感度を有するいう
特徴を有しているため、電子写真感光体として理想的な
性質を有するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、デジ
タル信号を可視化するプリンターとしてレーザー光を光
源とし、電子写真プロセスを利用するレーザープリンタ
ーが実用化されている。この場合、画像情報によって変
調されたレーザー光を感光体表面に照射する方法が採用
されているが、レーザー光が可干渉性の光であるため、
感光層内部で光の干渉が起こり易い。たとえば730〜
830nmの波長を有する半導体レーザー光を用いて複
写操作を行うと、表面での反射光と感光層内部あるいは
基板からの反射光が重畳し、互いに干渉現象により光が
強められたり、或いは弱められたりして、感光層内部の
光吸収量が変化する。その結果、露光部電位が変動し、
画像に濃淡の干渉縞が生じるという問題があった。
【0004】一方、可干渉性の光による干渉によって生
じる問題を解決する技術について、種々のものが提案さ
れている。たとえば、基板からの反射光に注目したもの
として、特開昭58ー171039号公報および特開昭
58ー162975号公報等に記載の技術が提案されて
いる。上記特開昭58ー171039号公報に記載のも
のにおいては、基板上にGeを添加した光吸収層を設け
て反射光を減少させるものであり、特開昭58ー162
975号公報に記載のものにおいては、基板表面を粗面
化することによって、光を散乱させるものである。しか
しながら、上記公報に記載のものを含め、従来公知の技
術では、いずれも完全に干渉縞の発生を抑えることは不
可能であった。例えば、Geを添加した光吸収層を設け
た場合には、光吸収層により新たな界面が発生してしま
い反射光が生じる。また基板表面を粗面化する場合は、
程度にもよるが、非晶質ケイ素(a−Si)膜が基板表
面の凹凸に沿って成長するので、基板の突起部で被膜の
異常成長が発生するという問題があった。本発明は、従
来の技術における上記の様な問題点に鑑みてなされたも
のである。したがって、本発明の目的は、レーザー光に
よる干渉縞の発生を長期にわたって防止することができ
る電子写真感光体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、検討の結
果、プラズマCVD法によって作製された非晶質ケイ素
感光体において、高周波電界をパルス変調してグロー放
電を行うことにより、光散乱層が形成できることを見出
した。またパルス変調した高周波電界によりグロー放電
をした場合には、変調しない方式(連続放電)に比較し
て、欠陥成長についても低減させることを見出した。ま
たこの光拡散層は、長波長領域の光源に対し非常に高感
度な膜であることを発見した。本発明は、これ等の知見
に基づいて完成されたものである。
【0006】本発明の電子写真感光体は、導電性基板上
に、少なくとも電荷注入阻止層、光導電層および表面保
護層を設けてなるものであって、前記導電性基板と電荷
注入阻止層の間または電荷注入阻止層と光導電層の間
に、パルス変調をした高周波電界によるグロー放電によ
って形成した光拡散層が設けられたことを特徴とする。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、導電性基板上
に、電荷注入阻止層、光導電層を順次形成し、その際、
導電性基板と電荷注入阻止層との間、または電荷注入阻
止層と光導電層との間に、パルス変調をした高周波電界
によるグロー放電によって光拡散層を形成することを特
徴とする。
【0007】以下、本発明について詳記する。本発明の
電子写真感光体の好ましい実施例は、図1および2に示
す層構成を有する。図中、1は、導電性基板、2は光導
電層、3は表面保護層、4は電荷注入阻止層、5は光拡
散層である。図1においては、電荷注入阻止層4と光導
電層2との間に光拡散層5が形成されており、図2にお
いては、導電性基板1と電荷注入阻止層4との間に光拡
散層5が形成されている。
【0008】本発明において用いられる導電性基板とし
ては、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼
等の合金、導電膜を有するプラスチックシートおよびガ
ラス、および導電化処理をした紙等があげられる。
【0009】本発明の電子写真感光体において、光拡散
層は、導電性基板と電荷注入阻止層の間、または電荷注
入阻止層と光導電層の間に設けられる。光拡散層は、水
素および/またはハロゲンを含む非晶質ケイ素からなる
ものであって、パルス変調をした高周波電界によるグロ
ー放電によって形成されたものである。光拡散層は、可
干渉性のレーザー光を照射した時、光拡散層内に入射し
た光を内部で拡散させ、干渉縞の発生を防止する役割を
果たす。また、この光拡散層は、パルス変調して非連続
的にグロー放電分解を行い、非晶質ケイ素を形成するこ
とにより形成するものであるから、導電性基板上に形成
する場合には、基板上の切削キズあるいは異物などによ
る凹凸の上に形成されても、椀状の欠陥を成長させるこ
とがなく、欠陥成長を防止する役割を果たす。また、光
拡散層を電荷注入阻止層の上に設ける場合には、光導電
層の一部として機能させてもよい。その場合、この膜は
赤外領域において高感度な膜であるため増感層としての
役割を果たす。また光拡散層は、光導電層の一部として
ではなく、電荷注入阻止層の一部として機能させてもよ
い。
【0010】光拡散層は、水素および/またはハロゲン
を含む非晶質ケイ素からなるものであって、さらに第II
I 族元素または第V族元素が含有されていてもよい。主
原料としては、水素化ケイ素化合物およびそのハロゲン
置換体が使用される。例えば、SiH4 、Si2 6
Si3 8 、Si4 10、SiCl4 、SiF4 、Si
HF3 、SiH2 2 、SiH3 F、SiHCl3 、S
iH2 Cl2、SiH3 Cl、Si(CH3 4 等があ
げられる。また、第III 族元素および第V族元素をドー
プさせるための原料としては、B2 6 、B3 8 、B
4 10、BF3 、BCl3 、PH3 、P2 4 、P
3 、PCl3 があげられる。非晶質ケイ素における水
素の含有量は、5〜35atm%の範囲が、また、ハロ
ゲンの含有量は、1〜10atm%の範囲が好ましい。
また、第III 族元素または第V族元素は、光導電層の一
部として機能させる場合には、0.001〜10ppm
の範囲が好ましい。また、電荷注入層の一部として機能
させる場合には、50〜1000ppmの範囲が好まし
く用いられる。
【0011】光拡散層を形成する場合、グロー放電分解
は、直流および交流放電のいずれを採用して行ってもよ
い。高周波電界としては、5MHz以上の高周波が印加
される電界が使用され、それをパルス変調する範囲は、
0.1Hzから10Hzの範囲が望ましい。変調周波数
が0.1Hzよりも低い場合には成膜速度の低下を招
き、生産性が低下する。一方10Hzよりも高い場合に
は、グロー放電が実際上連続放電と同じ状態になり、連
続放電で成膜した膜質と同様のものとなる。また、放電
時の圧力は13.3〜667Pa(0.1〜5Tor
r)、基板加熱温度は100〜400℃である。光拡散
層の膜厚は、厚い方が十分な機能をもたらすので好まし
い。しかしながら、条件にもよるが、成膜速度が連続放
電の場合の成膜速度の5〜7割ぐらいに低下するため、
厚すぎる場合には生産性が低下する。したがって、その
膜厚は、通常0.1〜15μmの範囲に設定するのが好
ましい。より好適には3〜5μmの範囲である。
【0012】本発明の電子写真感光体において、光導電
層は、水素および/またはハロゲンを含む非晶質ケイ素
を主体として構成され、さらに他の元素を含有させるこ
とができる。例えば、非晶質ケイ素光導電層の暗抵抗の
制御あるいは帯電極性の制御を目的として、第III 族元
素または第V族元素、例えば、ホウ素(B)またはリン
(P)等の不純物元素の添加(ドーピング)を行うこと
もできる。また、膜の暗抵抗の増加、光感度の増加ある
いは帯電能(単位膜厚当りの帯電能力あるいは帯電電
位)の増加を目的として、非晶質ケイ素膜中に炭素原
子、酸素原子あるいは窒素原子等を含有させてもよい。
さらにまた、長波長域感度の増感を目的として光導電層
中にゲルマニウム(Ge)等の元素を添加することも可
能である。非晶質ケイ素を主体とする光導電層の膜厚
は、任意に設定されるが、1μm〜200μm、特に1
0μm〜100μmの範囲が好適である。
【0013】本発明の電子写真感光体においては、電荷
注入阻止層は、水素および/またはハロゲンを含む非晶
質炭化ケイ素、非晶質窒化ケイ素、非晶質酸化ケイ素ま
たは非晶質炭素、および第III 族元素または第V族元素
をドープしたp型あるいはn型のa−Si材料から選択
された少なくとも1種より構成される。さらに具体的に
は、電荷注入阻止層は、その感光体の帯電極性に応じ
て、第III 族元素をヘビードープしたp型の非晶質ケイ
素または非晶質炭化ケイ素、第V族元素をヘビードープ
したn型の非晶質ケイ素または非晶質炭化ケイ素、また
はSiNx (xは0.2<x<0.8を満たす)、Si
x (xは0.5<x<1.5を満たす)、SiC
x (xは0.5<x<4.0を満たす)等の絶縁性薄膜
より構成される。また、電荷注入阻止層の膜厚は、0.
1〜10μmの範囲が好ましい。
【0014】本発明の電子写真感光体においては、表面
保護層は、水素および/またはハロゲンを含む非晶質炭
化ケイ素、非晶質窒化ケイ素、非晶質酸化ケイ素または
非晶質炭素を主体とする層よりなり、複数の層より形成
されていてもよい。具体的には、SiNx (xは0.5
<x<1.3を満たす)、SiOx (xは1.0<x<
2.0を満たす)、SiCx (xは0.5<x<10を
満たす)、a−C等の材料で構成され、その膜厚は、
0.05〜5μmの範囲に設定することが好ましい。
【0015】本発明において、上記光拡散層は上記した
ようにプラズマCVD法によって形成されるが、その他
の層、すなわち、電荷注入阻止層、光導電層および表面
保護層についても、プラズマCVD法によって形成する
ことができる。それらの層を構成する非晶質ケイ素層、
非晶質窒化ケイ素層、非晶質炭化ケイ素層、非晶質酸化
ケイ素層、非晶質炭素層等を形成させるためには、原料
として、水素化ケイ素化合物またはそのハロゲン置換
体、炭化水素等が主原料として使用され、所望によっ
て、水素、ヘリウム、アルゴン等のキャリアガスを用い
て形成することができる。それら原料の混合割合は、適
宜設定することができる。より具体的には、例えば、非
晶質ケイ素光導電層中に水素以外の元素を添加含有させ
る場合には、プラズマCVD装置内に、主原料であるシ
ランガスと共に、それらの元素のガス化合物を導入して
グロー放電分解を行なえばよい。
【0016】水素化ケイ素化合物およびそのハロゲン置
換体としては、SiH4 、Si2 6 、Si3 8 、S
4 10、SiCl4 、SiF4 、SiHF3 、SiH
2 2 、SiH3 F、SiHCl3 、SiH2 Cl2
SiH3 Cl、Si(CH34 等があげられる。また
は炭素を含有させるための、あるいは非晶質炭素層を形
成するための原料としては、炭化水素およびハロゲン化
炭化水素等が使用できる。炭化水素としては、例えば、
メタン、エタン、プロパン、n−ブタン等のパラフィン
系炭化水素、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ブテ
ン−2、イソブチレン等のオレフィン系炭化水素、アセ
チレン、メチルアセチレン等のアセチレン系炭化水素、
シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シク
ロヘキサン、シクロブテン等の脂環式炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ナフタリン、アントラセン等
の芳香族炭化水素をあげることができる。またハロゲン
化炭化水素としては、例えば、4塩化炭素、クロロホル
ム、4フッ化炭素、トリフルオロメタン、クロロトリフ
ルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ブロモトリフ
ルオロメタン、フルオロエタン、パーフルオロプロパン
等をあげることができる。また、酸素および窒素を含有
させるための原料としては、酸素、一酸化窒素、酸化二
窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、H
3 、N2 4 等をあげることができる。また、光導電
層における第III 族元素および第V族元素をドープさせ
るための原料としては、B2 6 、B3 8 、B
4 10、BF3 、BCl3 、PH3 、P2 4 、P
3 、PCl3 があげられる。また、光導電層にゲルマ
ニウムを含ませる場合、Geを添加するための原料とし
ては、GeH4 、Ge2 6 、Ge3 8 、Ge
4 10、Ge5 12、GeF4 等があげられる。
【0017】上記電荷注入阻止層、光導電層および表面
保護層は、上記の原料物質を、プラズマCVD装置によ
りグロー放電分解することによって形成することができ
る。グロー放電分解は、直流および交流放電のいずれを
採用して行ってもよい。膜形成の作製条件は、交流放電
の場合を例にとると、周波数は0.1〜30MHz、好
適には5〜20MHzであり、放電時の圧力は13.3
〜667Pa(0.1〜5Torr)、基板加熱温度は
100〜400℃である。
【0018】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
具体的に説明する。 実施例1 〔電荷注入阻止層〕(非晶質ケイ素層) 容量結合型プラズマCVD装置の所定の位置に、円筒状
のアルミニウム基板を配置し、反応室内にシラン(Si
4 )ガス、水素希釈ジボラン(B2 6 /H 2 )ガス
よりなる混合ガスを、グロー放電分解することにより、
円筒状アルミニウム基板上に、膜厚3μmの非晶質ケイ
素からなる電荷注入阻止層を形成した。このときの成膜
条件は次の通りであった。 100%シランガス流量:200cm3 /min 100ppm水素希釈ジボランガス流量:200cm3
/min 反応器内圧:133.32Pa(1.0Torr) 放電電力:500W 放電周波数:13.56MHz 基板温度:250℃
【0019】〔光拡散層〕(非晶質ケイ素層) 電荷注入阻止層の形成後、反応器を十分に排気し、次い
で、シランガス、水素ガス、水素希釈ジボランガスより
なる混合ガスを、グロー放電分解することにより電荷注
入阻止層の上に、膜厚5μmの非晶質ケイ素からなる光
拡散層を形成した。このときの成膜条件は次の通りであ
った。 100%シランガス流量:200cm3 /min 100%水素ガス流量:95cm3 /min 40ppm水素希釈ジボランガス流量:5cm3 /mi
n 反応器内圧:133.32Pa(1.0Torr) 放電電力:500W 放電周波数:13.56MHz 基板温度:250℃ なお、この光拡散層を次のパルス変調幅の8つの水準で
作製した。すなわち、パルス変調幅を、0.01Hz
(実施例1−1)、0.1Hz(実施例1−2)、0.
5Hz(実施例1−3)、1Hz(実施例1−4)、2
Hz(実施例1−5)、5Hz(実施例1−6)、10
Hz(実施例1−7)、および100Hz(実施例1−
8)とした。Dutyは1:1とした。
【0020】〔光導電層〕(非晶質ケイ素層) 光拡散層の形成後、反応器を十分に排気し、次いで、シ
ラン(SiH4 )ガス、水素ガス、水素希釈ジボランガ
スよりなる混合ガスを、グロー放電分解することによ
り、光拡散層上に、膜厚20μmの非晶質ケイ素からな
る光導電層を形成した。このときの成膜条件は次の通り
であった。 100%シランガス流量:200cm3 /min 100%水素ガス流量:95cm3 /min 40ppm水素希釈ジボランガス流量:5cm3 /mi
n 反応器内圧:133.32Pa(1.0Torr) 放電電力:500W 基板温度:250℃
【0021】〔第1の表面保護層〕(非晶質窒化ケイ素
層) 光導電層の形成後、反応器を十分に排気し、次いで、シ
ランガス、水素ガス、アンモニア(NH3 )ガスよりな
る混合ガスを、グロー放電分解することにより、光導電
層の上に、膜厚0.3μmの非晶質窒化ケイ素からなる
第1の表面保護層を形成した。このときの成膜条件は次
の通りであった。 100%シランガス流量:150cm3 /min 100%水素ガス流量:100cm3 /min 100%アンモニアガス流量:150cm3 /min 反応器内圧:133.32Pa(1.0Torr) 放電電力:300W 基板温度:250℃ 〔第2の表面保護層〕(非晶質窒化ケイ素層) 第1の表面保護層の作製後、反応器を十分に排気し、次
いで、シランガス、水素ガス、アンモニアガスよりなる
混合ガスを、グロー放電分解することにより、第1の表
面保護層の上に、膜厚0.2μmの非晶質窒化ケイ素か
らなる第2の表面保護層を形成した。このときの成膜条
件は次の通りであった。 1000%シランガス流量:100cm3 /min 100%水素ガス流量:100cm3 /min 100%アンモニアガス流量:200cm3 /min 反応器内圧:133.32Pa(1.0Torr) 放電電力:300W 基板温度:250℃
【0022】比較例1 上記実施例1において、パルス変調を行わずに層を形成
し、さらに同様の光導電層を設けた以外は、実施例1と
同様の条件で電子写真感光体を作製した。
【0023】実施例2 実施例1において、アルミニウム基板上に、先ず光拡散
層を成膜し、次いで電荷注入阻止層を成膜した以外は、
実施例1と同様の方法および条件で電子写真感光体を作
製した。このときの光拡散層の成膜条件は次の通りであ
った。 100%シランガス流量200cm3 /min 100ppm水素希釈シボランガス流量:200cm3
/min 反応器内圧:133.32Pa(1.0Torr) 放電電力:500W 放電周波数:13.56MHz 基板温度:250℃ パルス変調幅:0.5Hz Duty:1:1
【0024】実施例3 電荷注入阻止層、光拡散層、光導電層、および表面保護
層を以下の条件で作製した。 〔電荷注入阻止層〕(非晶質窒化ケイ素層) アルミニウム基体上に、電荷注入阻止層を形成した。こ
のときの成膜条件は次の通りであった。 100%シランガス流量150cm3 /min 100%アンモニアガス流量:150cm3 /min 100%水素ガス流量:200cm3 /min 反応器内圧:133.32Pa(1.0Torr) 放電電力:300W 基板温度:250℃
【0025】〔光拡散層〕(非晶質ケイ素層) 電荷注入阻止層の形成後、反応器を十分に排気し、次い
で、シランガス、水素ガス、水素希釈ジボランガスより
なる混合ガスを、グロー放電分解することにより電荷注
入阻止層の上に、膜厚5μmの非晶質ケイ素からなる光
拡散層を形成した。このときの成膜条件は次の通りであ
った。 100%シランガス流量:200cm3 /min 100%水素ガス流量:180cm3 /min 1ppm水素希釈ジボランガス流量:20cm3 /mi
n 反応器内圧:133.32Pa(1.0Torr) 放電電力:500W 放電周波数:13.56MHz 基板温度:250℃ パルス変調幅を0.5Hzとした。 Dutyは1:1とした。
【0026】〔光導電層〕(非晶質ケイ素層) 光拡散層の形成後、反応器を十分に排気し、次いで、シ
ラン(SiH4 )ガス、水素ガス、水素希釈ジボランガ
スよりなる混合ガスを、グロー放電分解することによ
り、光拡散層上に、膜厚20μmの非晶質ケイ素からな
る光導電層を形成した。このときの成膜条件は次の通り
であった。 100%シランガス流量:200cm3 /min 100%水素ガス流量:95cm3 /min 10ppm水素希釈ジボランガス流量:20cm3 /m
in 反応器内圧:133.32Pa(1.0Torr) 放電電力:500W 基板温度:250℃ 〔表面保護層〕(非晶質炭化ケイ素層) 光導電層の形成後、反応器を十分に排気し、次いで、シ
ラン(SiH4 )ガス、エチレン(C2 4 )ガス、水
素ガス、水素希釈ジボランガスよりなる混合ガスを、グ
ロー放電分解することにより、光導電層上に、膜厚1.
0μmの非晶質炭化ケイ素からなる表面保護層を形成し
た。このときの成膜条件は次の通りであった。 100%シランガス流量:100cm3 /min 100%水素ガス流量:100cm3 /min 100%エチレンガス流量:100cm3 /min 400ppm水素希釈ジボランガス流量:200cm3
/min 反応器内圧:133.32Pa(1.0Torr) 放電電力:300W 基板温度:250℃
【0027】上記実施例および比較例において作製され
た電子写真感光体を、ユニバーサルスキャナーで電気特
性測定をし、半導体レーザープリンター(XP−15
(改造機)、富士ゼロックス(株)製)に装着し、画像
評価を行った。複写機の設置条件は、30℃/85%R
H、20℃/50%RH、および10℃/15%RHの
3種類とした。(以下、これら3種の環境を総称して3
環境という。)
【0028】その結果を下記表1に示す。
【表1】 表1の結果から、パルス変調周波数は0.1から10H
zにおいて効果のあることが判明した。また欠陥成長防
止にも効果があることが確認された。
【0029】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、パルス変調
をした高周波電界によるグロー放電によって形成した光
拡散層を有するから、半導体レーザー等の光源に対して
高感度であり、かつ赤外半導体レーザー等のコヒーレン
ト光を光源とするものに使用でき、レーザープリンター
等により画像形成を行った場合、干渉縞の発生が防止さ
れた優れた画質の画像を得ることができる。また、本発
明の電子写真感光体は、欠陥の少ない高品位なアモルフ
ァスシリコン感光体であって、また、耐摩耗性、耐久性
に優れ、長期の複写操作において、白点、黒点や白すじ
等の画像欠陥の発生が少ないという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体の一例の模式的断面
図である。
【図2】 本発明の電子写真感光体の他の一例の模式的
断面図である。
【符号の説明】
1…導電性基板、2…光導電層、3…表面保護層、4…
電荷注入阻止層、5…光拡散層。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−129377(JP,A) 特開 平1−73620(JP,A) 特開 平2−248037(JP,A) 特開 平5−51753(JP,A) 特開 昭63−197956(JP,A) 特開 昭59−204048(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基板上に、少なくとも、電荷注入
    阻止層、光導電層および表面保護層を順次設けてなる電
    子写真感光体において、前記導電性基板と電荷注入阻止
    層との間、または電荷注入阻止層と光導電層との間に、
    パルス変調をした高周波電界によるグロー放電によって
    形成した光拡散層が設けられたことを特徴とする電子写
    真感光体。
  2. 【請求項2】 前記光拡散層が水素および/またはハロ
    ゲンを含む非晶質ケイ素からなることを特徴とする請求
    項1記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記光導電層が水素および/またはハロ
    ゲンを含む非晶質ケイ素からなることを特徴とする請求
    項1記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記電荷注入阻止層が水素および/また
    はハロゲンを含む非晶質炭化ケイ素、非晶質窒化ケイ
    素、非晶質酸化ケイ素または非晶質炭素、および第III
    族元素または第V族元素をドープしたp型あるいはn型
    のa−Si材料から選択された少なくとも1種よりなる
    ことを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記表面保護層が、水素および/または
    ハロゲンを含む非晶質炭化ケイ素、非晶質窒化ケイ素、
    非晶質酸化ケイ素または非晶質炭素を主体とする少なく
    とも一層よりなることを特徴とする請求項1記載の電子
    写真感光体。
  6. 【請求項6】 導電性基板上に、電荷注入阻止層、光導
    電層を順次形成して電子写真感光体を製造するに際し
    て、導電性基板と電荷注入阻止層との間、または電荷注
    入阻止層と光導電層との間に、パルス変調をした高周波
    電界によるグロー放電によって光拡散層を形成すること
    を特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記光拡散層を形成するに際し、パルス
    変調をした高周波電界のパルス変調周波数が0.1Hz
    から10Hzの範囲でグロー放電を行なうことを特徴と
    する請求項6記載の電子写真感光体の製造方法。
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