JPH05197180A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH05197180A
JPH05197180A JP2745192A JP2745192A JPH05197180A JP H05197180 A JPH05197180 A JP H05197180A JP 2745192 A JP2745192 A JP 2745192A JP 2745192 A JP2745192 A JP 2745192A JP H05197180 A JPH05197180 A JP H05197180A
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JP
Japan
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layer
amorphous silicon
amorphous
electrophotographic photosensitive
charge
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Application number
JP2745192A
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English (en)
Inventor
Masahito Ono
雅人 小野
Shigeru Yagi
茂 八木
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 帯電電位の暗減衰が少なく、高湿時の画像ボ
ケを発生せず、コヒーレント光源を用いるレーザープリ
ンターにおいてもモアレのない画像を形成することがで
きる電子写真感光体を提供する。 【構成】 電子写真感光体は、導電性基板5上に水素お
よび/またはハロゲンを含む非晶質炭素化ゲルマニウム
または非晶質窒素化ゲルマニウムからなる電荷発生層
4、水素および/またはハロゲンと、炭素、酸素および
窒素の少なくとも1種とを含む非晶質ケイ素よりなる電
荷輸送層3を有し、表面に導電性微粉末を分散した有機
高分子材料或いは無機高分子材料よりなる表面保護層1
を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体、特
に、非晶質ケイ素を光導電層に用いた電子写真感光体に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法は、感光体に帯電、像露光を
施すことにより静電潜像を形成し、現像剤で現像した
後、転写紙にトナー像を転写し、定着して複写物を得る
方法である。この電子写真法に用いられる電子写真感光
体は、基本構成として、導電性基板上に感光層を積層し
てなるものであり、感光層を構成する材料として、近
年、非晶質ケイ素(水素化アモルファスシリコン)が知
られ、種々の改善が試みられている。この非晶質ケイ素
を用いた感光体は、導電性基板上にシラン(SiH4
ガスのグロー放電分解等によりケイ素の非晶質膜を形成
して製造されるものであって、非晶質ケイ素膜中に水素
原子が取り込まれ、良好な光導電性を呈するものであ
る。非晶質ケイ素感光体は、感光層の表面硬度が高く、
耐摩耗性に優れ、耐熱性も高く、電気的な安定性に優れ
ており、また分光感度が広く、高い光感度を有するいう
特徴を有しているため、電子写真感光体として理想的な
性質を有するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】非晶質ケイ素感光体
は、上記のように優れた感光体特性を有するが、暗抵抗
が比較的低く、したがって光導電層の暗減衰が大きく、
感光体を帯電しても、充分な帯電電位が得られないとい
う欠点を有している。すなわち、非晶質ケイ素感光体を
帯電し、像露光して静電潜像を形成し、次いでこれを現
像する際、感光体上の表面電荷が像露光までの間に減衰
したり、或いは現像工程までの間に光照射を受けなかっ
た部分の電荷までも減衰してしまい、現像に必要な帯電
電位が得られがたいという欠点を有している。この帯電
電位の減衰は、環境条件の影響によっても変化し易く、
特に高温高湿環境では、帯電電位が大幅に低下する。さ
らにまた、感光体を繰り返し使用すると、徐々に帯電電
位が低下してしまう。このように帯電電位の暗減衰が大
きい電子写真感光体を用いて複写物を作成すると、画像
濃度が低く、また中間調の再現性に乏しい複写物となっ
てしまう。この点を改善するために、非晶質ケイ素を光
導電層とし、その上に非晶質炭化ケイ素や非晶質窒化ケ
イ素、非晶質酸化ケイ素等をプラズマCVD法によって
作製して、電荷注入層とすると同時に、表面保護層とし
て設けることが提案されている。しかしながら、これら
の表面層を設けた非晶質ケイ素感光体においては、複写
操作の繰り返しと共に、画像ボケが生じる。この現象
は、特に高湿下で著しく、通常の電子写真プロセスで
は、このような電子写真感光体を使用することができな
い。また、非晶質ケイ素膜中に、炭素、窒素、酸素等を
ドープし、暗抵抗を増加させると同時に、誘電率を減少
させる方法が提案されている(特開昭56−62254
号、同56−62255号公報)。しかしながら、これ
らの方法では、光学ギャップを広げることになるため、
長波長域の感度が失われ、半導体レーザーを用いたプリ
ンターに対して適性がなくなってしまう。
【0004】また、プラズマCVD法によって作製した
非晶質ケイ素は、表面硬度が高いものの、セレン系の感
光層や有機感光体に比べると割れ易く、衝撃に弱いとい
う欠点を有している。このため非晶質ケイ素を主体とす
る非晶質ケイ素感光体は、複写機、プリンター内で紙剥
離爪などによって傷を発生し、その結果、複写物の画像
上に白点や黒点が発生しやすい。また、非晶質ケイ素感
光体は、感光層表面に直径1μmから30μmの半球上
の欠陥が多く存在し、複写操作の繰り返しによって、こ
の膜欠陥部分で電気的、機械的な破壊が起こり、画像上
に白点や黒点となって出現し、画像品質を損なってしま
うという問題もある。
【0005】本発明は、この様な非晶質ケイ素感光体に
おける欠点を解消することを目的としてなされたもので
ある。すなわち、本発明の目的は、帯電電位の暗減衰が
少ない電子写真感光体を提供することにある。本発明の
他の目的は、高湿時の画像ボケを発生せず、通常の電子
写真プロセスが適用できる電子写真感光体を提供するこ
とにある。本発明のさらに他の目的は、コヒーレント光
源を用いるレーザープリンターにおいても、モアレのな
い画像を形成することができる電子写真感光体を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、検討の結
果、プラズマCVD法によって作製されたケイ素、窒
素、炭素を主体とした非晶質膜は、それが表面に存在す
る場合、熱的、機械的には安定であり、また、電子写真
プロセス上においては、光電気的にも安定であるにもか
かわらず、表面酸化の点からは、他の物質に比べ不安定
であり、そして表面に形成された酸化膜が、水分やコロ
トロン生成物の吸着に関して、有機高分子膜や無機高分
子膜よりも活性であるという知見を得た。また、本発明
者等は、非晶質ケイ素感光体の寿命を決定すると考えら
れている膜欠陥部分の破壊が、コロトロンからのイオン
流を膜欠陥部分に集中させずに分散させることによって
防止できることを見出した。また、本発明者等は、非晶
質炭素化ゲルマニウムおよび/または非晶質窒素化ゲル
マニウムからなる電荷発生層が、長波長の露光光源に対
し非常に高感度であることを見出した。本発明は、これ
等の知見に基づいて完成されたものである。
【0007】本発明は、導電性基板上に、少なくとも光
導電層及び表面保護層を設けてなる電子写真感光体に関
するものであって、前記光導電層が、非晶質炭素化ゲル
マニウムまたは非晶質窒素化ゲルマニウムからなる電荷
発生層、および非晶質ケイ素を主体とする電荷輸送層か
らなることを特徴とする。本発明の電子写真感光体にお
いて、好ましい実施態様は、電荷発生層が水素および/
またはハロゲンを含む非晶質炭素化ゲルマニウムまたは
非晶質窒素化ゲルマニウムからなり、電荷輸送層が水素
および/またはハロゲンと、炭素、酸素および窒素の少
なくとも1種とを含む非晶質ケイ素からなるものであ
る。他の実施態様は、表面保護層が、導電性金属酸化物
微粒子を分散した有機高分子材料または無機高分子材料
からなるものである。また他の実施態様は、電荷発生層
が周期律表第III 族または第V族元素を含有することを
特徴とし、別の実施態様は、電荷輸送層が周期律表第II
I 族または第V族元素を含有することを特徴とする。本
発明のさらに他の実施態様は、表面保護層と光導電層と
の間に中間層として、水素および/またはハロゲンを含
む非晶質炭化ケイ素、非晶質窒化ケイ素、非晶質酸化ケ
イ素または非晶質炭素を主体とする層を少なくとも1層
設けてなるものであり、さらに別の実施態様は、光導電
層と導電性基板との間に、電荷注入阻止層を設けてなる
ことを特徴とする。
【0008】以下、本発明について詳記する。本発明の
電子写真感光体の好ましい実施例は、図1に示す層構成
を有する。図中、1は導電性金属酸化物微粒子を有機高
分子材料または無機高分子材料中に分散してなる表面保
護層、2は中間層、3は水素および/またはハロゲンを
含む非晶質炭素化ゲルマニウムおよび/または非晶質窒
素化ゲルマニウムからなる電荷発生層、4は水素および
/またはハロゲンと炭素、酸素または窒素とを含む非晶
質ケイ素を主体とする電荷輸送層、5は導電性基板であ
る。また、図2は、他の実施例であって、光導電層の一
部を構成する電荷輸送層4と導電性基板5の間に、電荷
注入阻止層6を設けた層構成を有する。
【0009】本発明において用いられる導電性基板とし
ては、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼
等の合金、導電膜を有するプラスチックシート或いはガ
ラス、導電化処理をした紙等があげられる。
【0010】上記導電性基板上には、少なくとも光導電
層と表面保護層が設けられるが、表面保護層は、帯電処
理の際、光導電層の表面部から内部への電荷の注入を阻
止する電荷ブロッキング層としての役割の他に、酸素、
水蒸気、空気中の水分、オゾン(O3 )等の環境雰囲気
中に一般的に存在する酸化性分子が、光導電層表面に直
接接触或いは吸着するのを防止する保護層としての役割
を果たす。さらに、上記の表面保護層は、非晶質ケイ素
を主体とする光導電層中に一般的に含まれている水素な
どの膜構成原子が、光導電層中から離脱していくのを防
止する膜構成原子の離脱防止層としての役割を果たす。
表面保護層としては、導電性金属酸化物微粒子を分散し
た有機高分子材料または無機高分子材料からなるものが
好ましい。導電性金属酸化物微粒子としては、Zn
2 、SnO2 、TiO2 、InO2 、SnO2 ・Sb
2 3 、Cr2 3 などがあげられる。有機高分子材料
としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、エポキシ樹脂,アクリル樹脂、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、、アルキッド樹脂な
どが挙げられる。
【0011】無機高分子材料としては、シリコーン樹脂
や有機金属化合物から形成される無機高分子化合物が使
用できる。無機高分子材料が、例えば、液状のシリコー
ン樹脂である場合には、その中に上記導電性金属酸化物
微粉末を分散させ、その分散液を塗布し、乾燥すればよ
い。また、ゾル−ゲル法によって形成する場合には、次
のようにして形成することができる。Si(OCH3
4 、Si(OC2 5 4 、Si(OC3 7 4 、S
i(OC4 9 4 、Al(OCH3 3 、Al(OC
2 5 3 、Al(OC4 9 3 、Ti(OC
3 7 4 、Zr(OC3 7 4 、Y(OC3 7
3 、Y(OC4 9 3 、Fe(OC2 5 3 、Fe
(OC3 7 3 、Fe(OC4 9 3 、Nb(OC
3 5 、Nb(OC2 5 5 、Nb(OC3 7
5 、Ta(OC3 7 5 、Ta(OC4 9 5 、T
i(OC3 7 4 、V(OC2 5 3 、V(OC4
9 3 等のアルコキシド化合物や、鉄・トリス(アセ
チルアセトネート)、コバルト・ビス(アセチルアセト
ネート)、ニッケル・ビス(アセチルアセトネート)、
銅・ビス(アセチルアセトネート)等の有機金属錯体
を、アルコール中に溶解し、攪拌しながら加水分解す
る。反応によって生成したゾル液に、上記導電性金属酸
化物微粉末を分散させ、得られた分散液をスプレー法、
浸漬法によって光導電層或いは中間層上に塗布し、溶媒
を除去した後、50〜300℃で1〜24時間加熱乾燥
すればよい。表面保護層の膜厚は、1〜30μmの範囲
に設定するのが好ましい。
【0012】本発明の電子写真感光体において、光導電
層は、炭素或いは窒素を含有する非晶質ゲルマニウムを
主体とする電荷発生層(以下、非晶質炭素化ゲルマニウ
ム層、非晶質窒素化ゲルマニウム層という。)と、少な
くとも炭素、酸素、窒素のいずれか1種を含有する非晶
質ケイ素を主体とする電荷輸送層とからなる。本発明の
電荷発生層は、非晶質炭素化ゲルマニウム層または非晶
質窒素化ゲルマニウム層よりなるが、非晶質炭素化ゲル
マニウム層の場合、ゲルマニウムと炭素の比率は、3:
1〜1:10の範囲が好ましい。同様に非晶質窒素化ゲ
ルマニウム層の場合、ゲルマニウムと窒素の比率は、
2:1〜1:20の範囲が好ましい。さらに必要に応じ
て、周期律表第III 族元素またはV族元素を添加するこ
とができる。例えば、電荷発生層を上層に設けた場合、
正帯電用としては、ほう素を必要量ドープすることによ
って、電荷発生層中の正孔の移動を容易にし、短波長に
も十分な感度を有する感光体とすることができる。これ
等のドーピング元素の量は、ゲルマニウムの量によって
決定される。通常、0.01ppmから100ppm、
好適には0.1ppmから50ppmの範囲である。膜
厚は所望の波長での要求感度によって、ゲルマニウムの
濃度に依存して決められるが、通常、0.1μmないし
10μm、好適には1μmないし5μmの範囲である。
【0013】電荷輸送層は、非晶質ケイ素を主体とする
電荷輸送層からなるが、好ましくは、水素および/また
はハロゲンと、炭素、酸素および窒素の少なくとも1種
とを含む非晶質ケイ素(以下、非晶質炭素化ケイ素層、
非晶質酸素化ケイ素層、非晶質窒素化ケイ素層とい
う。)よりなるものである。非晶質炭素化ケイ素層中の
炭素とケイ素の比率は、10:1〜1:100の範囲が
好ましい。同様に、非晶質酸素化ケイ素層中の酸素とケ
イ素の比率は、5:1〜1:200の範囲が好ましい。
また、非晶質窒素化ケイ素層中の窒素とケイ素の比率
は、5:1〜1:200の範囲が好ましい。添加する炭
素、酸素、窒素の濃度は、電荷発生層に向かって減少さ
せるのが好ましく、さらに炭素、酸素、窒素それぞれの
濃度の減少と同様に、第III 族元素或いは第V族元素の
濃度を減少させるのが好ましい。それによって、電荷輸
送層中での電荷移動に際する障壁や、トラップをなくす
ことができ、残留電位をなくし、繰り返し時の安定性を
保証すると共に、暗減衰を減少することができる。電荷
輸送層の膜厚は、1〜100μmのは範囲で設定するの
が好ましい。
【0014】また、必要に応じて、電荷発生層で発生し
たキャリアを電荷輸送層に効率よく注入するために、非
晶質ケイ素を主体とした電荷注入層を設けてもよい。電
荷注入層は、電荷発生層で生成したキャリアを効率よく
電荷輸送層に注入させるためのもので、非晶質炭素化ゲ
ルマニウムを電荷発生層に用いた場合には、非晶質ケイ
素を薄膜にして用いると、効率よく電荷注入を行うこと
ができる。注入の効率を改善するために、周期律表第II
I 族元素またはV族元素を微量添加することができる。
電荷注入層の膜厚は、通常0.1μmないし1μmであ
り、好適には0.2ないし1μmの範囲である。膜厚が
0.1μmよりも薄い場合は、界面のトラップが多く、
残留電位が増加する。また1μmよりも厚い場合は、電
荷発生層と電荷輸送層で発生した熱キャリアによって暗
減衰が大きくなり、また誘電率が大きくなって、帯電能
の低下を引き起こし、感度も低下するため実用的ではな
い。また、暗減衰を減少させるために、電荷発生層の膜
厚を減少し、電荷注入層の膜厚を増加させた場合には、
光感度の低下が起こるため実用的ではない。この様な電
荷注入層を設けることによって、電荷発生層中で発生す
るキャリアを効率よく電荷輸送層に注入し、かつ、電荷
注入層が実質的に感光体の帯電特性に影響を与えること
がなくなるため、高感度かつ高帯電能の電子写真感光体
を実現することが可能である。
【0015】更にまた、必要に応じて、電子写真感光体
の特性向上のために電荷注入阻止層を導電性基板との間
に設けることも可能である。電荷注入阻止層には、その
感光体の帯電極性に応じて、第III 族元素をヘビードー
プしたp型の非晶質ケイ素または非晶質炭化ケイ素、第
V族元素をヘビードープしたn型の非晶質ケイ素または
非晶質炭化ケイ素、およびSiNx 、SiOx 、SiC
x 等の絶縁性薄膜を用いることが可能である。また、そ
の膜厚は、0.1〜10μmの範囲が好ましい。
【0016】本発明の電子写真感光体においては、ま
た、赤外半導体レーザーを用いたレーザープリンターに
適用した時の干渉縞を防止するための反射防止層を感光
体表面側に設けることができる。感光体表面側に設ける
反射防止層は、干渉効果を利用した中間層として設ける
ことができ、炭素含有非晶質ケイ素や窒素含有非晶質ケ
イ素、非晶質炭素等により、膜厚及び組成を制御してレ
ーザー波長での表面での反射をなくすことによって、干
渉縞を防止できる。この中間層は、水素および/または
ハロゲンを含む非晶質炭化ケイ素、非晶質窒化ケイ素、
非晶質酸化ケイ素または非晶質炭素を主体とする層より
なり、複数の層より形成されていてもよい。具体的に
は、SiNx 、SiOx 、SiCx 、a−C等の材料で
構成され、その膜厚は、0.05〜5μmの範囲に設定
することが好ましい。
【0017】また、上記干渉縞防止のための反射防止層
は、導電性基板側に設けることもできる。導電性基板側
に設ける反射防止層は、前記の干渉効果を利用した中間
層を設ける方法や、基板を粗面化したり、或いは微粉末
を分散した光散乱層であっても、また黒色の陽極酸化層
やゲルマニウム含有非晶質ケイ素やゲルマニウム含有非
晶質炭素を用いた層であってもよく、それにより、干渉
縞を防止することができる。
【0018】本発明において、上記電荷発生層、電荷輸
送層、電荷注入層、電荷注入阻止層、中間層間名度は、
プラズマCVD法によって形成することができる。それ
らの層を構成する非晶質炭素化ゲルマニウム層、非晶質
窒素化ゲルマニウム層、非晶質ケイ素層、非晶質炭素層
等を形成させるためには、原料として、水素化ゲルマニ
ウム化合物、ハロゲン化ゲルマニウム化合物、水素化ケ
イ素化合物、炭化水素等が使用され、所望によって、水
素、ヘリウム、アルゴンなどのキャリアガスを用いて形
成することができる。それら原料の混合割合は、適宜設
定することができる。使用することができる水素化ゲル
マニウム化合物及びハロゲン化ゲルマニウム化合物とし
ては、GeH4 、Ge2 6 、Ge3 8 、Ge
4 10、Ge5 12、GeF4 、GeCl4 等があげら
れる。
【0019】水素化ケイ素化合物としては、SiH4
Si2 6 、Si3 8 、Si4 10、SiCl4 、S
iF4 、SiHF3 、SiH2 2 、SiH3 F、Si
HCl3 、SiH2 Cl2 、SiH3 Cl、Si(CH
3 4 等があげられる。または炭素を含有させるため
の、あるいは非晶質炭素層を形成するための原料として
は、炭化水素及びハロゲン化炭化水素等が使用できる。
炭化水素としては、例えば、メタン、エタン、プロパ
ン、n−ブタン等のパラフィン系炭化水素、エチレン、
プロピレン、ブテン−1、ブテン−2、イソブチレン等
のオレフィン系炭化水素、アセチレン、メチルアセチレ
ン等のアセチレン系炭化水素、シクロプロパン、シクロ
ブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブテ
ン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、ナフタリン、アントラセン等の芳香族炭化水素をあ
げることができる。またハロゲン化炭化水素としては、
例えば、4塩化炭素、クロロホルム、4フッ化炭素、ト
リフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、ジクロ
ロフルオロメタン、ブロモトリフルオロメタン、フルオ
ロエタン、パーフルオロプロパン等をあげることができ
る。また、酸素及び窒素を含有させるための原料として
は、酸素、一酸化窒素、一酸化二窒素、一酸化炭素、二
酸化炭素、アンモニア、窒素、HN3 、N2 4 などを
あげることができる。また、第III 族元素および第V族
元素を含有させるための原料としては、B2 6 、Si
3 8 、B4 10、BF3 、BCl3 、PH3 、P2
4 、PF3 、PCl3 などをあげることができる。上記
列記した原料物質は、常温でガス状であっても、固体状
或いは液体状であってもよいが、固体状或いは液体状で
ある場合には、気化して反応室に導入すればよい。
【0020】電荷発生層、電荷輸送層、電荷注入層、電
荷注入阻止層、中間層等は、上記の原料物質を、プラズ
マCVD装置によりグロー放電分解することによって形
成することができる。グロー放電分解は、直流および交
流放電のいずれを採用して行ってもよい。膜形成の作製
条件は、交流放電の場合を例にとると、周波数は0.1
〜30MHz、好適には5〜20MHzであり、放電時
の圧力は0.1〜5Torr(13.3〜667P
a)、基板加熱温度は100〜400℃である。電荷輸
送層中の第2の元素(炭素、酸素、窒素)と第III 族ま
たは第V族元素の量を電荷発生層に向かって減少させる
ためには、放電ガスの濃度を連続的に変えればよく、或
るいはまた、1回/5μmから1回/1μmの割合でガ
ス濃度を連続的に変えることによって行ってもよい。後
者の場合には、放電中のガス濃度が連続して切り替わる
ので、実質上連続の濃度分布を作ることができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
具体的に説明する。 実施例1 〔電荷注入阻止層〕(非晶質ケイ素層) 容量結合型プラズマCVD装置の所定の位置に、円筒状
のアルミニウム基板を配置し、反応室内にシラン(Si
4 )ガス、水素希釈ジボラン(B2 6 /H2 )ガス
よりなる混合ガスを、グロー放電分解することにより、
円筒状アルミニウム基板上に、膜厚3μmの非晶質ケイ
素からなる電荷注入阻止層を形成した。このときの成膜
条件は次の通りであった。 100%シランガス流量:200cm3 /min 100ppm水素希釈ジボランガス流量:200cm3
/min 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:500W 放電周波数:13.56MHz 基板温度:250℃ なお、以下の記述、および他の実施例および比較例にお
いて、プラズマCVD法による各層の成膜条件における
放電周波数および基板温度は、上記の値に固定したの
で、その記載を省略する。
【0022】〔電荷輸送層〕(非晶質炭化ケイ素層) 電荷注入阻止層の作製後、反応器を十分に排気し、次い
で、シランガス、エチレン(C2 4 )ガス、水素ガ
ス、水素希釈ジボランガスよりなる混合ガスを、グロー
放電分解することにより、円筒状アルミニウム基板上の
電荷注入阻止層の上に、膜厚20μmの非晶質炭化ケイ
素からなる電荷輸送層を形成した。このときの成膜条件
は次の通りであった。 100%シランガス流量:180cm3 /min 100%エチレンガス流量:20cm3 /min 100%水素ガス流量:180cm3 /min 100ppm水素希釈ジボランガス流量:20cm3
min 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:500W
【0023】〔電荷発生層〕(非晶質炭素化ゲルマニウ
ム層) 電荷輸送層の作製後、反応器を十分に排気し、次いで、
ゲルマン(GeH4 )ガス、エチレンガス、水素ガス、
水素希釈ジボランガスよりなる混合ガスを、グロー放電
分解することにより、電荷輸送層上に、膜厚2μmの非
晶質炭素化ゲルマニウムからなる電荷発生層を形成し
た。このときの成膜条件は次の通りであった。 50%水素希釈ゲルマンガス流量200cm3 /min 100%エチレンガス流量:100cm3 /min 100%水素ガス流量:95cm3 /min 40ppm水素希釈ジボランガス流量:5cm3 /mi
n 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:500W
【0024】〔第1の中間層〕(非晶質窒化ケイ素層) 電荷発生層の作製後、反応器を十分に排気し、次いで、
シランガス、水素ガス、アンモニア(NH3 )ガスより
なる混合ガスを、グロー放電分解することにより、電荷
発生層の上に、膜厚0.3μmの非晶質窒化ケイ素から
なる第1の中間層を形成した。このときの成膜条件は次
の通りであった。 100%シランガス流量:150cm3 /min 100%水素ガス流量:100cm3 /min 100%アンモニアガス流量:150cm3 /min 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:300W 〔第2の中間層〕(非晶質窒化ケイ素層) 第1の中間層の作製後、反応器を十分に排気し、次い
で、シランガス、水素ガス、アンモニアガスよりなる混
合ガスを、グロー放電分解することにより、第1の中間
層の上に、膜厚0.1μmの非晶質窒化ケイ素からなる
第2の中間層を形成した。このときの成膜条件は次の通
りであった。 1000%シランガス流量:100cm3 /min 100%水素ガス流量:100cm3 /min 100%アンモニアガス流量:200cm3 /min 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:300W
【0025】〔表面保護層〕第2の中間層の作製後、そ
の上に、平均粒径0.3μm以下の導電性金属酸化物微
粉末を分散した有機高分子材料からなる表面保護層を設
けた。このときの製造条件は次の通りであった。 酸化錫/酸化アンチモン(15%): 14重量部 ポリウレタン樹脂: 55重量部 (関西ペイント(株)製:レタンクリアー) 上記成分をボールミルを用いて50時間混合、分散した
後、レタン硬化剤(関西ペイント(株)製)7重量部を
加え、この溶液をスプレー塗布し、120℃で2時間乾
燥して、膜厚3μmの表面保護層を形成した。形成され
た表面保護層の表面を観察したところ、0.1μm以下
の粒子が70%、0.1μm〜0.3μmの粒子が25
%、0.3μm以上の粒子が5%であることが確認され
た。
【0026】上記のようにして作製された電子写真感光
体を使用し、複写機(FX5990、富士ゼロックス
(株)製)で画像評価を行った。複写機の設置条件は、
30℃/85%RH、20℃/50%RH、および10
℃/15%RHの3種類とした。(以下、これら3種の
環境を総称して3環境という。)その結果、初期画質に
おいても、20,000枚の印刷試験の後においても、
3環境で画像ボケは認められなかった。30℃/85%
RHの環境下で、さらに300,000枚の複写を行っ
たが、画像ぼけやかぶりは認められなかった。また、露
光せずに行ったコピー像において、感光体全面に相当す
る範囲に、画像欠陥として、0.2mm以下の白点が2
つ認められるだけであった。この電子写真感光体の電子
写真特性を測定したところ、残留電位が30V高くなっ
た外は、後記比較例1と比べ、全く変わりなかった。こ
の電子写真感光体を半導体レーザープリンター(XP−
9、富士ゼロックス(株)製)に装着して印刷を行った
ところ、干渉縞のない高品質の画像が得られた。
【0027】比較例1 上記実施例1において、導電性金属酸化物微粉末を分散
した有機高分子材料からなる表面保護層の形成を行わな
い以外は、すなわち、第1および第2の中間層を表面層
とした以外は、実施例1と同様の条件で電子写真感光体
を作製した。この場合、得られた電子写真感光体は、ア
ルミニウム支持体上に、電荷注入阻止層、電荷輸送層、
電荷発生層、および非晶質窒化ケイ素からなる第1およ
び第2の層からなる表面層を有するものである。
【0028】得られた電子写真感光体を使用し、実施例
1と同様の方法および条件で画像評価を行った。その結
果、初期時では、3環境において鮮明な画像を示した。
また、初期画質評価の後、10℃/15%RHの環境下
で約20,000枚の印刷試験を行い、その後複写機の
設置環境を変えて画像評価を行ったところ、30℃/8
5%RHの環境下では、著しい画像ぼけが生じた。さら
にこの感光体の内部にドラムヒーターを設置し、45℃
に加熱しながら、20℃/50%RHの環境下で30
0,000枚の複写を行ったところ、画像ぼけやかぶり
は認められなかったが、露光せずに行ったコピー像にお
いて、感光体全面に相当する範囲において、直径0.5
mmの白点が1つ、0.3mmの白点が2つ、0.2m
m以下の白点が5つ認められた。これらの白点は、初期
にはなかったものであり、複写操作によって発生したも
のである。また、鉄製の紙剥離爪のところに、かすかに
白筋が観察された。この電子写真感光体を半導体レーザ
ープリンター(XP−9、富士ゼロックス(株)製)に
装着して印刷を行ったところ、干渉縞が見られ、画像品
質を著しく損なうものになった。
【0029】実施例2 実施例1における非晶質炭素化ゲルマニウムからなる電
荷発生層の代わりに、非晶質窒素化ゲルマニウムからな
る電荷発生層を設け、非晶質炭化ケイ素からなる電荷輸
送層の代わりに、非晶質窒化ケイ素からなる電荷輸送層
を設け、電荷発生層と電荷輸送層との間に非晶質ケイ素
からなる電荷注入層を設けた以外は、実施例1と同様の
方法および条件で電子写真感光体を作製した。なお、電
荷発生層、電荷注入層および電荷輸送層の成膜条件は以
下の通りであった。 〔電荷輸送層〕(非晶質窒化ケイ素層) 円筒状アルミニウム基板上の電荷注入阻止層の上に、下
記の条件で膜厚20μmの非晶質窒化ケイ素からなる電
荷輸送層を形成した。 100%シランガス流量:200cm3 /min 100%窒素ガス流量:50cm3 /min 100%水素ガス流量:140cm3 /min 40ppm水素希釈ジボランガス流量:10cm3 /m
in 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:500W
【0030】〔電荷注入層〕(非晶質ケイ素層) 電荷輸送層の上に下記の条件で膜厚0.5μmの非晶質
ケイ素からなる電荷注入層を形成した。 100%シランガス流量:200cm3 /min 100%水素ガス流量:175cm3 /min 40ppm水素希釈ジボランガス流量:25cm3 /m
in 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:500W 〔電荷発生層〕(非晶質窒素化ゲルマニウム層) 電荷注入層上に、膜厚2μmの非晶質窒素化ゲルマニウ
ムからなる電荷発生層を形成した。 50%水素希釈ゲルマンガス流量150cm3 /min 100%窒素ガス流量:200cm3 /min 100%水素ガス流量:40cm3 /min 40ppm水素希釈ジボランガス流量:10cm3 /m
in 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:500W
【0031】作製された電子写真感光体の電子写真特性
を測定したところ、電気特性は、実施例1とほぼ同等で
あった。この電子写真感光体を使用し、実施例1と同様
の方法および条件で画像評価を行った。その結果、初期
画像において、20,000枚の印刷試験の後も、3環
境で画像ぼけは認められなかった。また、この電子写真
感光体を半導体レーザープリンター(XP−9、富士ゼ
ロックス(株)製)に装着して印刷を行ったところ、良
好な画像濃度のプリントサンプルが得られた。
【0032】実施例3 実施例1におけると同一の方法および条件で、電荷注入
阻止層、電荷輸送層および電荷発生層を形成した。次
に、実施例1における第1および第2中間層の代わり
に、下記条件で非晶質炭化ケイ素からなる膜厚0.2μ
mの中間層を形成し 〔中間層〕(非晶質炭化ケイ素層) 100%シランガス流量40cm3 /min 100%エチレンガス流量:200cm3 /min 100%水素ガス流量:100cm3 /min 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:300W 次に、形成された中間層の上に、実施例1と同じ組成か
らなる表面保護層を、膜厚4μmになるように設けた。
作製された電子写真感光体の電子写真特性を測定したと
ころ、残留電位が50V高くなったほかは、後記比較例
2と比べて全く変わりがなかった。この電子写真感光体
を実施例1と同じ方法および条件で画像評価を実施し
た。その結果、初期画像においても、20,000枚の
印刷試験の後も、3環境で画像ぼけは認められなかっ
た。
【0033】比較例2 上記実施例3において、導電性金属酸化物微粉末を分散
した有機高分子材料からなる表面保護層の形成を行わな
い以外、すなわち、中間層を表面層とした以外は、実施
例3と同様の条件で電子写真感光体を作製した。この場
合、得られた電子写真感光体は、アルミニウム支持体上
に、電荷注入阻止層、電荷輸送層、電荷発生層、および
非晶質窒化ケイ素からなる表面層を有するものである。
得られた電子写真感光体を使用し、実施例1と同様の方
法および条件で画像評価を行った。その結果、初期時で
は、3環境において鮮明な画像を示した。また、初期画
質評価の後、2℃/15%RHの環境下で約20,00
0枚の印刷試験を行い、その後複写機の設置環境を変え
て画像評価を行ったところ、30℃/85%RHの環境
下では、著しい画像ぼけが生じた。また、クリーニング
ブレードによると思われる白筋も発生した。
【0034】実施例4 実施例1における表面保護層の作製条件を、平均粒径
0.3μm以下の導電性金属酸化物微粉末を分散した無
機高分子材料からなる表面保護層に代えた以外は、実施
例1と同じ方法および条件で表面保護層を形成した。表
面保護層の製造条件は次の通りであった。 酸化錫/酸化アンチモン(15%): 9重量部 保護コーティング用シリコーン: 50重量部 (信越化学工業(株)製、X−41−9710H) 上記成分を10℃に保ちながら、ボールミルで50時間
混合、分散した、スプレー塗布法により塗布し、200
℃で1時間真空中にて乾燥して、膜厚2μmの表面保護
層を形成した。作製された電子写真感光体の電子写真特
性を測定したところ、残留電位が20V高くなったほか
は、比較例1のものと比べて全く変わりがなかった。こ
の電子写真感光体を実施例1と同じ方法および条件で画
像評価を実施した。その結果、初期画像においても、2
0,000枚の印刷試験の後も、3環境で画像ぼけは認
められなかった。また、さらに300,000枚の複写
を行った後でも、画像ぼけは認められなかった。また、
画像欠陥は、0.2mm以下の白点が1つ認められただ
けであった。また、鉄の紙剥離爪による摩耗も、全く認
められなかった。
【0035】比較例3 実施例4における非晶質炭素化ゲルマニウムからなる電
荷発生層を、非晶質ケイ素からなる電荷発生層に代えた
以外は、実施例4と同様の条件で電子写真感光体を作製
した。この場合、得られた電子写真感光体は、アルミニ
ウム支持体上に、電荷注入阻止層、電荷輸送層、非晶質
ケイ素からなる電荷発生層、第1および第2中間層、お
よび導電性金属酸化物微粉末を分散した無機高分子材料
からなる表面層を有するものである。作製した電子写真
感光体の電気特性を測定したところ、長波長域での感度
の低下が発生した。また、この電子写真感光体を半導体
レーザープリンター(XP−9、富士ゼロックス(株)
製)に装着して印刷を行ったところ、同一条件下では、
かぶった画像しか得られなかった。
【0036】比較例4 実施例4における非晶質炭化ケイ素層からなる電荷輸送
層を、非晶質ケイ素からなる電荷輸送層に代えた以外
は、実施例4と同様の条件で電子写真感光体を作製し
た。この場合、得られた電子写真感光体は、アルミニウ
ム支持体上に、電荷注入阻止層、非晶質ケイ素からなる
電荷輸送層、電荷発生層、第1および第2中間層、およ
び導電性金属酸化物微粉末を分散した無機高分子材料か
らなる表面層を有するものである。作製した電子写真感
光体の電気特性を測定したところ、帯電特性の低下が発
生した。また、この電子写真感光体を複写機(FX59
90、富士ゼロックス(株)製)に装着して印刷を行っ
たところ、同一条件下では、低濃度の画像しか得られな
かった。また、電子写真感光体に印加するコロトロンの
電流値を大きくすれば、同等の画像濃度が得られたが、
画像欠陥が増加した。
【0037】実施例5 実施例1における非晶質炭素化ケイ素からなる電荷輸送
層の代わりに、非晶質酸化ケイ素からなる電荷輸送層を
設け、電荷発生層と電荷輸送層との間に非晶質ケイ素か
らなる電荷注入層を設けた以外は、実施例1と同様の方
法および条件で電子写真感光体を作製した。電荷輸送層
および電荷注入層の成膜条件は以下の通りであった。 〔電荷輸送層〕(非晶質酸化ケイ素層) 円筒状アルミニウム基板上の電荷注入阻止層の上に、下
記の条件で膜厚20μmの非晶質窒化ケイ素からなる電
荷輸送層を形成した。 100%シランガス流量:200cm3 /min 100%2酸化窒素ガス流量:20cm3 /min 100%水素ガス流量:170cm3 /min 40ppm水素希釈ジボランガス流量:10cm3 /m
in 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:500W 〔電荷注入層〕(非晶質ケイ素層) 電荷輸送層の上に下記の条件で膜厚0.5μmの非晶質
ケイ素からなる電荷注入層を形成した。 100%シランガス流量:200cm3 /min 100%水素ガス流量:175cm3 /min 40ppm水素希釈ジボランガス流量:25cm3 /m
in 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:500W
【0038】作製された電子写真感光体の電子写真特性
を測定したところ、電気特性は、実施例1とほぼ同等で
あった。この電子写真感光体を使用し、実施例1と同様
の方法および条件で画像評価を行った。その結果、初期
画像において、20,000枚の印刷試験の後も、3環
境で画像ぼけは認められなかった。また、この電子写真
感光体を半導体レーザープリンター(XP−9、富士ゼ
ロックス(株)製)に装着して印刷を行ったところ、良
好な画像濃度のプリントサンプルが得られた。
【0039】実施例6 実施例1における非晶質炭素化ゲルマニウムからなる電
荷発生層の代わりに、フッ素含有非晶質炭素化ゲルマニ
ウムからなる電荷発生層を設け、非晶質炭化ケイ素から
なる電荷輸送層の代わりに、フッ素含有非晶質窒化ケイ
素からなる電荷輸送層を設けた以外は、実施例1と同様
の方法および条件で電子写真感光体を作製した。
【0040】なお、電荷発生層および電荷輸送層の成膜
条件は以下の通りであった。 〔電荷輸送層〕(フッ素含有非晶質炭化ケイ素層) 円筒状アルミニウム基板上の電荷注入阻止層の上に、下
記の条件で膜厚20μmの非晶質窒化ケイ素からなる電
荷輸送層を形成した。 100%シランガス流量:200cm3 /min 100%フロン1l6(C2 6 )ガス流量:100c
3 /min 40ppm水素希釈ジボランガス流量:10cm3 /m
in 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:500W 〔電荷発生層〕(フッ素含有非晶質炭素化ゲルマニウム
層) 作製した電荷輸送層の上に下記の条件で膜厚2μmのフ
ッ素含有非晶質炭素化化ゲルマニウムからなる電荷発生
層を形成した。 100%4フッ化ゲルマンガス流量150cm3 /mi
n 100%エチレンガス流量:100cm3 /min 100%水素ガス流量:40cm3 /min 40ppm水素希釈ジボランガス流量:10cm3 /m
in 反応器内圧:1.0Torr 放電電力:500W
【0041】作製された電子写真感光体の電子写真特性
を測定したところ、電気特性は、実施例1とほぼ同等で
あった。この電子写真感光体を使用し、実施例1と同様
の方法および条件で画像評価を行った。その結果、初期
画像において、20,000枚の印刷試験の後も、3環
境で画像ぼけは認められなかった。また、この電子写真
感光体を半導体レーザープリンター(XP−9、富士ゼ
ロックス(株)製)に装着して印刷を行ったところ、良
好な画像濃度のプリントサンプルが得られた。
【0042】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、電荷発生層
に非晶質炭素化ゲルマニウム或いは非晶質窒素化ゲルマ
ニウム層を設けているから、半導体レーザー等の光源に
対して高感度であり、したがって、赤外半導体レーザー
等のコヒーレント光を光源とするものに使用でき、レー
ザープリンターでの干渉縞の発生を防止した画質の画像
を得ることができる。また、本発明の電子写真感光体
は、表面保護層を有するため、特に、表面保護層が導電
性微粉末を分散した有機高分子材料或いは無機高分子材
料より場合には、従来の非晶質ケイ素、非晶質炭化ケイ
素、非晶質酸化ケイ素、非晶質窒化ケイ素或いは非晶質
炭素を主体とする表面層を有する非晶質ケイ素感光体と
は異なり、長期の複写による画像ぼけの発生がなく、残
留電位が少なく、また、耐摩耗性、耐久性に長期の複写
による白点、黒点や白すじ等の画像欠陥が少ないという
利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体の一例の模式的断面
図である。
【図2】 本発明の電子写真感光体の他の一例の模式的
断面図である。 1…表面保護層、2…中間層、3…電荷輸送層、4…電
荷発生層、5…導電性基板、6…電荷注入阻止層。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基板上に、少なくとも光導電層及
    び表面保護層を設けてなる電子写真感光体において、前
    記光導電層が、非晶質炭素化ゲルマニウムまたは非晶質
    窒素化ゲルマニウムからなる電荷発生層、および非晶質
    ケイ素を主体とする電荷輸送層からなることを特徴とす
    る電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 電荷発生層が水素および/またはハロゲ
    ンを含む非晶質炭素化ゲルマニウムまたは非晶質窒素化
    ゲルマニウムからなり、電荷輸送層が水素および/また
    はハロゲンと、炭素、酸素および窒素の少なくとも1種
    とを含む非晶質ケイ素からなる請求項1記載の電子写真
    感光体。
  3. 【請求項3】 表面保護層が、導電性金属酸化物微粒子
    を分散した有機高分子材料または無機高分子材料からな
    ることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 表面保護層と光導電層との間に中間層と
    して、水素および/またはハロゲンを含む非晶質炭化ケ
    イ素、非晶質窒化ケイ素、非晶質酸化ケイ素または非晶
    質炭素を主体とする層を少なくとも1層設けてなること
    を特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 電荷発生層が周期律表第III 族または第
    V族元素を含有することを特徴とする請求項1記載の電
    子写真感光体。
  6. 【請求項6】 電荷輸送層が周期律表第III 族または第
    V族元素を含有することを特徴とする請求項1記載の電
    子写真感光体。
  7. 【請求項7】 光導電層と導電性基板との間に、電荷注
    入阻止層を設けてなることを特徴とする請求項1記載の
    電子写真感光体。
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