JP3152808B2 - 電子写真記録装置 - Google Patents

電子写真記録装置

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JP3152808B2
JP3152808B2 JP18619593A JP18619593A JP3152808B2 JP 3152808 B2 JP3152808 B2 JP 3152808B2 JP 18619593 A JP18619593 A JP 18619593A JP 18619593 A JP18619593 A JP 18619593A JP 3152808 B2 JP3152808 B2 JP 3152808B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアモルファスシリコン系
光導電層からなる電子写真感光体を搭載したレーザービ
ームプリンター(LBP)、LEDアレイプリンター、
液晶シャッターアレイプリンター、複写機、ファクシミ
リ等の電子写真記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】近年、水素化アモルファ
スシリコン(以下、アモルファスシリコンをa−Si略
記する)系光導電層からなる電子写真用感光体ドラムを
搭載した各種電子写真記録装置が実用化されているが、
このa−Si系感光体は無公害性、静電特性の安定性、
耐摩耗性、長寿命等によりレーザープリンターやLED
プリンター、あるいは高速複写機等を中心に、急速に普
及しつつある。
【0003】しかしながら、a−Si系感光体には、
コストが高いこと、 帯電電位が低い、 露光電
位が高い(低電位感度が劣る)、 残像が発生しやす
い(長波長光源が使用できないこと)等の問題点が従来
より指摘され、しかも、下記のような近年の動向によ
り、その問題点も顕著になってた。
【0004】例えば、機器の小型化に伴って、このa−
Si系感光体ドラムの小口径化が必要となり、この小口
径化ができれば、上記の問題点が改善できるが、その
反面、帯電器の小型化を必要とし、帯電面積が小さくな
り、帯電性に余裕がないa−Si系感光体においては、
上記の問題点が残る。
【0005】他方、機器の高速化に伴い、近年、a−S
i系感光体ドラムの回転数アップも要求されているが、
このドラムの回転数アップは、帯電時間を短かくし、帯
電性に余裕がないa−Si感光体においては、上記の問
題点が残る。
【0006】また、近年、機器の記録画像の品質向上
(濃度不足、かぶりの問題)が必要となっている。
【0007】しかしながら、低電位感度に劣るa−Si
系感光体を反転現像方式のカールソンプリンターや光背
面プリンターに使用する場合、必要な記録画像の濃度が
容易に得られないという問題点がある。あるいは、正規
現像方式のカールソン複写機に使用する場合であれば、
所要の記録画像白地が得られず、所謂、「カブル」とい
う問題点を引き起こした。これらの現象は、a−Si感
光膜中の電界が小さくなったことによって感度が劣化す
るというものであり、露光時の帯電電位減衰が裾をひく
状態になる。したがって、半減感度(例えば420Vか
ら220Vに下げるのに必要な露光量)と低電位感度
(例えば220Vから20Vに下げるのに必要な露光
量)とで差が大きくなり、これにより、必要露光エネル
ギーが異なり、上記機器の高速化に伴うドラム回転数ア
ップは、露光エネルギー不足が顕著になり、上記の問題
点が残る。
【0008】また、a−Si系感光体ドラムでは、従来
より問題点の残像が指摘されていた。この残像現象
は、2周目以降の記録画像に1周目の記録画像が記憶さ
れて薄く現れる現象であるから、ドラムの小口径化や回
転数アップであれば、1周に要する時間の短縮となるた
め、記憶が十分回復せずに生じるのであり、特に、a−
Si系感光体ドラムと長波長光源の組合せにより、残像
が顕著になる。即ち、従来のOPC感光体を用いたレー
ザービームプリンターであれば、安価に量産されている
784nmの半導体レーザーが使用されているが、この
光源をa−Si系感光体に、特にφ30程度の小口径ド
ラムに用いると、劣悪な残像が3周目にも現れ、全く使
用できなかった。一方、短波長の半導体レーザーも市販
されるようになったが、未だ価格が高いという問題点が
ある。
【0009】
【問題点を解決するための手段】本発明の電子写真記録
装置は、導電性基板の上に光導電層を積層して成る感光
体に、帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手
段を配設するとともに、光導電層を珪素、ゲルマニウ
ム、炭素、スズの少なくとも1種からなる骨格形成用の
アモルファス状態の原子と、該アモルファス状態の原子
のダングリングボンド補償用原子と、周期律表第III A
族元素もしくは第VA属元素の少なくとも1種からなる
不純物原子とから構成し、且つ露光手段の光源波長と、
光導電層を構成する原子の密度との関係が下記(イ)も
しくは(ロ)であることを特徴とする。
【0010】(イ)露光光源の波長が720nm以下 アモルファス状態の原子の原子密度 4.2×1022
/cm3 以上 補償原子の原子密度 1×1020個/cm3以上且つ
5.1×1021個/cm3以下 不純物原子の原子密度 1.5×1017個/cm3 以下 (ロ)露光光源の波長が820nm以下 アモルファス状態の原子の原子密度 4.2×1022
/cm3 以上 補償原子の原子密度 1×1020個/cm3以上且つ
3.0×1021個/cm3以下 不純物原子の原子密度 1.5×1017個/cm3 以下
【0011】
【作用】前記光導電層を構成する珪素、ゲルマニウム、
炭素、スズの少なくとも1種からなる骨格形成用のアモ
ルファス状態の原子の原子密度が4.2×1022個/c
3 以上であれば、その各原子間の結合距離が十分短く
なり、その原子間の結合力が十分強くなり、所要通りの
バンドギャップが得られる。
【0012】先ず、(イ)の条件によれば、補償原子は
水素および周期率表第VII A族ハロゲン元素の少なくと
も1種からなる原子で構成され、その原子密度が5.1
×1021個/cm3 以下であれば、アモルファス状態の
原子−補償原子間の結合力が、そのアモルファス状態の
原子間の結合力に付加され、これにより、露光波長が7
20nm以下の高エネルギー露光に対し、バンドギャッ
プを越えた光キャリアの生成と生成光キャリアのバンド
伝導による高移動度伝導が可能となる。
【0013】因みに、この補償原子は、バンドギャップ
内の局在準位密度を低減する作用があり、この密度は約
1×1020個/cm3 のオーダーであり、これに対し
て、上記補償原子の原子密度値は、ダングリングボンド
を補償するには多すぎる原子密度であり、ほとんどの補
償原子がアモルファス状態の原子−補償原子間の結合力
の付加機能として働くと考える。
【0014】更に、不純物原子の原子密度が1.5×1
17個/cm3 以下であれば、バンド端近傍の局在準位
密度が低減化し、生成光キャリアのバンド伝導におい
て、より高移動度の伝導が可能となる。
【0015】本発明者は、このような高移動度の伝導に
ついては、この不純物原子が、前記アモルファス状態の
骨格原子間で生じた格子歪を緩和する作用を有するため
であると考えている。即ち、不純物原子は本来の価電子
制御作用に寄与するよりも、その大部分の原子がアモル
ファス状態の骨格原子の格子隙間に挿入され、これによ
り、その不純物原子密度が増えると、逆に格子歪を増加
させてしまうためであるであると考える。
【0016】このようにバンドギャップを越えた光キャ
リアの生成と生成光キャリアのバンド伝導による高移動
度伝導であれば、低電界の低電位下においても高電位下
と同様に層中において高移動度伝導を呈し、低電位感度
特性の改善でき、また、残像についても、バンドギャッ
プを越えるような波長の露光に限定することにより、生
成光キャリアがバンドギャップ中の局在準位密度にトラ
ップされることがなく、残像特性の改善ができる。しか
も、不純物の原子密度に上限を設けたことにより、電子
的作用を及ぼす置換型不純物の影響を制限でき、帯電特
性を改善できる。
【0017】次に、(ロ)の条件によれば、補償原子の
原子密度が3.0×1021個/cm3以下であれば、ア
モルファス状態の原子−補償原子間の結合力の付加がよ
り小さい範囲で済み、そのために、露光波長が820n
m以下の高エネルギー露光に対して、バンドギャップを
越えた光キャリアの生成と生成光キャリアのバンド伝導
による高移動度伝導ができる。
【0018】また、この(ロ)の条件によれば、(イ)
の条件に比べて露光波長が720nm以下から820n
m以下に拡大しており、これにより、電子写真記録装置
の設計の自由度が大幅に向上する。特に、露光光源の長
波長化は露光光源の低コスト化をもたらす。例えば、レ
ーザーダイオードは短波長より長波長(784nm)が
量産されており、LEDは長波長(720〜780n
m)の方が低コストで光量ムラも少ない。
【0019】
【実施例】以下、本実施例を詳述する。図1は、a−S
i感光体ドラム1の層構成であり、導電性基体2、キャ
リア注入阻止層3、光導電層4、表面保護層5より構成
されている。この光導電層4については、その他には光
キャリア輸送層4aと光キャリア生成層4bとの積層に
よる機能分離とすることもできる。
【0020】この機能分離型の層構成であれば、キャリ
ア輸送層4aと光キャリア生成層4bとの積層順序は、
画像書き込み用露光の照射方向(位置)と露光波長によ
り決定する。即ち、従来のカールソン記録法では表面層
側より露光されるので、図1に示すように光キャリア生
成層4bが表面層側となるが、これに対して、光背面記
録法では、その逆となる。また、露光波長により、その
侵入深さが異なるが、それが短波長光の場合、両層をほ
ぼ分離できる。しかし、長波長光の場合、両層は分離で
きなく、この場合、両機能を併せ持つ。
【0021】上記構成のa−Si感光体ドラム1を製作
するには、従来周知の薄膜形成方法を用いればよいが、
(イ)の条件については、特にグロー放電分解法によっ
て容易に堆積でき、また、(ロ)の条件については、グ
ロー放電分解法の改良型である化学アニーリング法(H.
Shirai,etc. J.Appl.Phys.59.1096(1991)参照)や触媒
CVD法により容易に堆積できる。
【0022】(薄膜形成装置の概要) 図2はグロー放電分解法の装置図であり、図3は触媒C
VD法の装置図である。先ず図2について、説明する。
図2は本発明のプラズマCVD装置であるグロー放電分
解装置6の概略図である。
【0023】このグロー放電分解装置6によれば、7は
円筒形状の反応容器、7aはその蓋体、7bはその周壁
であり、7cはその底板であり、また、8は円筒形状の
グロー放電用電極板、9は円筒形状の導電性基板支持
体、10は成膜用円筒状基板である。この基板10は基
板支持体9の鍔部の上に載置されるとともに、電気的に
導通している。また、蓋体7aの上に付設されたモータ
ー11により回転軸12を介して基板支持体9が回転駆
動し、これに伴って基板10が一体的に回転する。基板
支持体9、回転軸12及び蓋体7aは電気的に導通し、
アースしている。更に周壁7bとグロー放電用電極板8
とは電気的に導通しており、周壁7bに付設された電力
入力用端子13は高周波電源14と接続され、このよう
な電力印加系のもとでグロー放電用電極板8と基板10
との間でグロー放電が発生する。尚、15と16は電極
板8と基板10とを電気的に絶縁するリング体である。
【0024】17はガス導入口、18はガス排出口であ
り、a−Si成膜用ガスがガス導入口17を介して反応
容器7の内部へ導入され、次いでグロー放電用電極板8
に貫設された複数個のガス吹き出し口19を介して基板
10に向けて吹き出される。上記構成のグロー放電分解
装置6によりa−Si感光体を製作するには、上記の電
力印加系並びにガス流系の下で基板10が回転し、更に
基板10の内部に設けたヒーター20により基板温度を
約300℃にまで高くし、グロー放電により基板10の
周面にa−Si層が気相成長される。そして、この気相
成長に伴って生じるガス分解残余ガスは複数の小口状ガ
ス排出口18により排出さる。尚、図中の矢印はガス流
を示す。
【0025】次に図3の触媒CVD装置を述べる。同図
は、触媒CVD装置21の概略構成図であり、この装置
21は筒状の真空容器22のほぼ中央に配された円筒状
基体24上に、熱触媒体25を介してガス吹き出し手段
26から原料ガスを供給し、触媒CVD法によってa−
Si系の膜を成膜するものである。
【0026】真空容器22は、基体24のセットや取り
出しが出来るように、容器の一部、例えば上蓋が開閉可
能に形成される。23は基体支持体であり、その内部に
基体温度制御手段27が設けられていて、支持体23に
装着される基体24の成膜時の温度を制御する。この基
体温度制御手段27により成膜中の基体温度は100〜
500℃、好適には200〜350℃の一定温度に制御
される。
【0027】支持体23には回転伝達手段28を介して
基体回転用のモーター29が接続されており、成膜中に
支持体23と基体24とが一体に回転される。ガス吹き
出し手段26は多数のガス吹き出し孔30を有し、しか
も、真空容器22とにより中空状に形成されており、ガ
ス導入口31を介して原料ガスが導入される。32は図
示しない真空ポンプに接続されたガス排気口である。
【0028】上記熱触媒体25の材料としては、原料ガ
スの少なくとも一部に触媒反応あるいは熱分解反応を起
こして、その反応生成物を堆積種となし、かつ触媒材料
自身が、昇華や蒸発により堆積される膜中に混入しにく
いものが選択される。
【0029】このような材料には、タングステン
(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデ
ン(Mo)、Ti、ニオブ(Nb)、タンタル(T
a)、コバルト(Co)、Ni、Cr、Mnやそれらの
合金がある。
【0030】熱触媒体25の基本的な形状は、基体24
とガス吹き出し手段26との間にほぼ等距離で位置し
て、基体24より大きな径の筒状であり、ガスが透過す
る構造を有している。
【0031】これらの熱触媒体25には、真空容器22
の外部から電流端子33を介して電力が供給され、通電
によるジュール熱で500〜2000℃、好適には80
0〜1400℃の高温に加熱される。
【0032】成膜時のガス圧力は、0.001〜20T
orr、好適には0.005〜10Torr、更に好適
には0.01〜1Torrに設定される。ガス圧力をこ
の範囲に設定することで、供給されたガスが効率的に分
解、輸送される。また反応生成物同士の気相中での2次
反応が抑制されることにより、基体上に良質なa−Si
系膜を形成することができる。
【0033】(例1) 本例においては、表1と表2のグロー放電CVD法の条
件により感光体A、B、C、Dを製作した。各感光体サ
イズはφ30×258mmに設定した。キャリア注入阻
止層と表面層は、同一条件の表1で製作し、光導電層は
表2により製作した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】また、上記4種類の光導電層の珪素(シリ
コン)原子密度と水素原子密度とB原子密度を測定した
ところ、表3に示す通りの結果が得られた。この珪素原
子密度は、感光体と同じアルミ円筒基体上に光導電層の
みを0.5μm堆積し、その一部を1cm角に切り出し
て、その光導電層の分析値をRBS(ラザフォード後方
散乱)分析法により求めた。また、水素原子密度とB原
子密度は、SIMS(二次イオン質量)分析法により求
めた。
【0037】
【表3】
【0038】かくして得られた4種類の感光体Aから感
光体Dについて、感光体の電子写真電位特性を測定した
ところ、表4に示す通りの結果が得られた。
【0039】
【表4】
【0040】測定法は、実際のカールソン方式の電子写
真記録装置と同じであり、現像器の代わりに表面電位計
を配設して、この現像位置で感光体の帯電電位が測定で
きるようにした。露光は、帯電プロセス直後にドラムの
回転を止め、光透過型の前記表面電位計より行ない、露
光と電位測定を同時に行なった。ドラムの回転は周速6
0mm/秒で、コロナ帯電器のドラム周方向の帯電幅は
約10mmで、感光体を搭載して実使用される機器と同
じ条件とし、また、露光及びイレース光の波長は685
nmに設定した。同表中、○印は実用上良好である場合
であり、△印は実用上やや支障がある場合であり、×印
は実用上支障があって問題となる場合である。
【0041】各測定項目の内容は以下の通りである。帯
電率は、感光体表面への流れ込み電流を0.2μC/c
2 とした場合、その現像位置での初回帯電電位(V)
を総膜厚(μm)で割った数値であり、その値が大きい
程良好である。
【0042】暗減衰は、帯電直後の450Vから暗中5
秒後の電位を測定し、その電位低下を450Vで割り、
百分率で表した。
【0043】温度特性は、前記帯電電位を感光体温度2
5℃と45℃で測定し、その変化を表した。すべて負の
温度特性である。
【0044】光特性は、2周目に露光エネルギーの5倍
の光量のイレース光を照射した直後の帯電電位を、初回
帯電電位(V)で割った値を百分率で表したものであ
り、大きい程、光キャリアのトラップが少なく、メモリ
作用が小さく、画像においてゴースト(残像)が薄い。
【0045】残留電位は、450V帯電時に露光電力
3.0μW/cm2 を5秒間照射した後の電位を測定し
た。
【0046】半減露光量E1/2(μJ/cm2 )は、
前記帯電電位が450Vから2分の1の225Vに低下
するに必要な露光エネルギーで、その値が小さい程感度
がよい。
【0047】感度E1/15(μJ/cm2 )は、帯電
電位が450Vから30Vに低下するに必要な露光エネ
ルギーで、小さい程感度がよい。
【0048】以上の結果によれば、表3と表4より、S
i原子密度が小さい感光体Bや感光体Cは、光特性や低
電位感度E1/15が劣っている。また、H原子密度の
より大きい感光体Cにおいては、光特性や低電位感度E
1/15がより劣っている。B原子密度が大きい感光体
Dは、帯電率や暗減衰や温度特性が劣っている。
【0049】かくして、本発明の感光体Aが、最も優れ
た電子写真特性を示していることが判る。
【0050】(例2) 次に、触媒CVD法で感光体Eを製作した。本例におい
ては、キャリア注入阻止層と光導電層の各a−Si:H
膜を触媒CVD法で堆積し、その成膜条件を表5に示
す。
【0051】
【表5】
【0052】また、表6に、感光体Eの各原子密度の測
定結果を示す。
【0053】
【表6】
【0054】表7に、感光体Eの電子写真特性を示す。
【0055】
【表7】
【0056】かくして、この感光体Eについても、光特
性や低電位感度E1/15が優れている。
【0057】(例3) 次に感光体Aと感光体Eについて、露光波長を変えて、
記録画像の残像レベル(ゴーストレベル)を調べたとこ
ろ、表8に示すような結果が得られた。記録装置の露光
源にはLEDを用いて、そのLEDは表示波長に対し
て、半値幅は約10nmの発光分布をもつ。画像の残像
(ゴースト)は、現れやすく判定しやすいゴーストパタ
ーンを用いた。尚、同表中、●印は○印に比べて一段と
優れている場合である。
【0058】
【表8】
【0059】同表に示した結果から明らかな通り、長波
長においては、感光体Eが残像レベルの点でよく、これ
により、低コストの740nmのLEDヘッドが使える
ようになった。
【0060】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の範囲内の他の種々の原子であって
も、例えば他の骨格形成用のアモルファス状態の原子を
採用しても同様な作用効果が得られたことを実験上確認
した。
【0061】
【発明の効果】本発明の電子写真記録装置においては、
それに搭載される感光体の光導電層を珪素、ゲルマニウ
ム、炭素、スズの少なくとも1種からなる骨格形成用の
アモルファス状態の原子と、そのアモルファス状態の原
子のダングリングボンド補償用原子と、周期律表第III
A族元素もしくは第VA属元素の少なくとも1種からな
る不純物原子とから構成し、且つ露光手段の光源波長
と、光導電層を構成する原子の密度との関係を前記のよ
うに(イ)もしくは(ロ)に設定した。これにより、骨
格形成用のアモルファス状態の原子の原子密度が所定数
値以上により、その各原子間の結合距離が十分短くな
り、その原子間の結合力が十分強くなり、所要通りのバ
ンドギャップが得られた。また、補償原子の原子密度が
所定数値以下であるので、アモルファス状態の原子−補
償原子間の結合力が、そのアモルファス状態の原子間の
結合力に付加され、所定の露光波長以下の高エネルギー
露光に対し、バンドギャップを越えた光キャリアの生成
と生成光キャリアのバンド伝導による高移動度伝導が可
能となった。更に、不純物原子の原子密度が所定数値以
下であるので、バンド端近傍の局在準位密度が低減化
し、生成光キャリアのバンド伝導において、より高移動
度の伝導が可能となり、帯電電位が高くなり、露光電位
が低くなり、残像が発生しなくなった。
【0062】その結果、下記のような近年の動向に沿っ
た良好な感光体が得られた。
【0063】例えば、機器の小型化に伴って、このa−
Si系感光体ドラムの小口径化が必要となり、この小口
径化であっても、帯電電位が高くなった。また、機器の
高速化に伴い、a−Si系感光体ドラムの回転数アップ
も要求されているが、帯電電位が高くなったので、その
要求に応じることができた。しかも、高電位感度のa−
Si系感光体を反転現像方式のカールソンプリンターや
光背面プリンターに使用する場合、必要な記録画像の濃
度が容易に得られ、あるいは、正規現像方式のカールソ
ン複写機に使用する場合であれば、所要の記録画像白地
が得られた。加えて、本発明のa−Si系感光体ドラム
では、長波長光源との組合せによっても残像が発生しな
くなり、特にφ30程度の小口径ドラムに用いても何ら
問題にならなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】アモルファスシリコン感光体ドラムの層構成を
示す断面図である。
【図2】グロー放電分解法の装置概略図である。
【図3】触媒CVD法の装置概略図である。
【符号の説明】
1 a−Si感光体ドラム 2 導電性基体 3 キャリア注入阻止層 4 光導電層 5 表面保護層
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基板の上に光導電層を積層して成る
    感光体に、帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニン
    グ手段を配設するとともに、光導電層を珪素、ゲルマニ
    ウム、炭素、スズの少なくとも1種からなる骨格形成用
    のアモルファス状態の原子と、該アモルファス状態の原
    子のダングリングボンド補償用原子と、周期律表第III
    A族元素もしくは第VA属元素の少なくとも1種からな
    る不純物原子とから構成し、且つ露光手段の光源波長
    と、光導電層を構成する原子の密度との関係が下記
    (イ)もしくは(ロ)であることを特徴とする電子写真
    記録装置。 (イ)露光光源の波長が720nm以下 アモルファス状態の原子の原子密度 4.2×1022
    /cm3 以上 補償原子の原子密度 1×10 20 個/cm 3 以上且つ
    5.1×1021個/cm3以下 不純物原子の原子密度 1.5×1017個/cm3 以下 (ロ)露光光源の波長が820nm以下 アモルファス状態の原子の原子密度 4.2×1022
    /cm3 以上 補償原子の原子密度 1×10 20 個/cm 3 以上且つ
    3.0×1021個/cm3以下 不純物原子の原子密度 1.5×1017個/cm3 以下
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