JP2020012104A - ポリアミドイミド樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリアミドイミド樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶媒中での煩雑なイミド化工程や溶媒からの水分除去工程を必要とすることなく、低コストかつ簡便に、分子量が十分に高い、さまざまな組成のポリアミドイミド樹脂を製造することができるポリアミドイミド樹脂の製造方法を提供すること。【解決手段】メカノケミカル効果を利用して、トリカルボン酸無水物系化合物とジアミン系化合物またはモノアミノモノカルボン酸系化合物とを反応させるか、またはテトラカルボン酸無水物系化合物とモノアミノモノカルボン酸系化合物とを反応させ、加熱によりイミド化することによりイミドジカルボン酸を製造する工程;および有機溶媒中で、前記イミドジカルボン酸とジイソシアネートを反応させる工程;を含むことを特徴とするポリアミドイミド樹脂の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミドイミド樹脂の製造方法に関するものである。
ポリアミドイミドは、通常、無水トリメリット酸と芳香族ジイソシアネートとの反応によるイソシアネート法で合成されるか、芳香族ジアミンとトリメリット酸クロライドとの反応による酸クロライド法で合成されている。
ただし、イソシアネート法では、工業的に製造され市販されている芳香族ジイソシアネートの種類が少なく制限されるために製造できるポリアミドイミドも制限されてしまい特性に幅を持たせることができにくい。一方、酸クロライド法は副生する塩化水素を脱離する工程が必要となり、これを除去する等の精製コストが必要となり、高価になるという問題を抱えている。
そこで、溶媒中で無水トリメリット酸とジアミンとを酸成分過剰な状態で反応させ、次いで、ジイソシアネートを反応させる二段階法を特徴とするポリアミドイミドの製造方法が提案されている(特許文献1)。この方法では、第一段階でジイミドジカルボン酸を製造した後、第二段階でジイミドジカルボン酸とジイソシアネートとの脱炭酸反応によりポリアミドイミドを製造する。
また、溶媒中で無水トリメリットとジアミンとを反応させ、次いで、水と共沸可能な芳香族炭化水素を投入し、120℃〜180℃で反応を行いジイミドジカルボン酸を製造し、その溶液から芳香族炭化水素を除去し、これと芳香族ジイソシアネートとの反応を行うことによりポリアミドイミドを製造する方法が提案されている(特許文献2)。この方法もまた二段階法に属する。
このような二段階法を用いれば、種類の多いジアミンをそのまま使用することでポリアミドイミドも改質でき、酸クロライド法のように塩化水素が副生することもなく、ポリアミドイミド樹脂溶液を製造することができる。
しかし、これらの二段階法では、第一段階のジイミドジカルボン酸の製造工程において、ジイミドジカルボン酸のイミド化反応に時間がかかり、さらにイミド化率が低いといった課題がある。通常、加熱によりイミド化反応を定量的に進めるためには、300℃以上の温度が必要となるが、前記の方法では、溶媒中でイミド化反応を行うために、溶媒の沸点以上には加熱できずイミド化率は低くなる。イミド化率が低いことで、カルボン酸残基の量が増加し、後の工程においてジイソシアネートとの反応を行う際に、分岐構造を形成し、さらに、モルバランスのずれから分子量が低いポリアミドイミド樹脂しか得られない。
さらに、前記の二段階法では、第一段階のジイミドジカルボン酸の製造工程において、イミド化反応により生ずる水を、共沸溶媒を加えて選択的に気化させることで除去する必要がある。しかし、この方法では、水を完全に除去することが難しく、加えて共沸溶媒の除去工程が必要となり、工程が増え煩雑になるといった課題もある。特に、水の除去が不完全であった場合、後の工程においてジイソシアネートのイソシアネート基を加水分解し、アミノ基が生じる。それにより、重合中の伸長反応を阻害し分子量の高いポリアミドイミドが得られないだけでなく、アミノ基とイソシアネート基が反応することで、尿素結合を副生し、ポリアミドイミド樹脂の純度が低くなる。
また、前記二段階法では、ジイミドジカルボン酸に対して一般的には貧溶媒となる共沸溶媒を加える必要があり、ジイミドジカルボン酸を高濃度で溶媒に溶解させられないために、固形分濃度の高いワニスが作製できない。さらには、溶媒への溶解性が低いジイミドジカルボン酸を使用することができないため、使用する原料モノマーに制限があるといった課題があった。
特開平03−181511号公報 特許平09−268214号公報
本発明は、ポリアミドイミド樹脂を得るための新規な製造方法を提供することを目的とする。
詳しくは、本発明は、溶媒中での煩雑なイミド化工程や溶媒からの水分除去工程を必要とすることなく、低コストかつ簡便に、分子量が十分に高い、さまざまな組成のポリアミドイミド樹脂を製造するための新規な製造方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、溶媒中での煩雑なイミド化工程や溶媒からの水分除去工程を必要とすることなく、低コストかつ簡便に、構造中に分岐構造および尿素結合を含まず、かつ分子量が十分に高い、さまざまな組成のポリアミドイミド樹脂を製造するための新規な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、特定の原料を用いて、メカノケミカル効果を利用することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] メカノケミカル効果を利用して、トリカルボン酸無水物系化合物とジアミン系化合物またはモノアミノモノカルボン酸系化合物とを反応させるか、またはテトラカルボン酸無水物系化合物とモノアミノモノカルボン酸系化合物とを反応させ、加熱によりイミド化することによりイミドジカルボン酸を製造する工程;および
有機溶媒中で、前記イミドジカルボン酸とジイソシアネートを反応させる工程;
を含むことを特徴とするポリアミドイミド樹脂の製造方法。
[2] 前記トリカルボン酸無水物系化合物と該化合物に対して0.3〜0.7倍モル量の前記ジアミン系化合物との反応により、ジイミドジカルボン酸前駆体を製造する、[1]に記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
[3] 前記テトラカルボン酸無水物系化合物と該化合物に対して1.8〜2.2倍モル量の前記モノアミノモノカルボン酸系化合物との反応により、ジイミドジカルボン酸前駆体を製造する、[1]に記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
[4] 前記トリカルボン酸無水物系化合物と該化合物に対して0.8〜1.2倍モル量の前記モノアミノモノカルボン酸系化合物との反応により、モノイミドジカルボン酸前駆体を製造する、[1]に記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
[5] 前記メカノケミカル効果を利用した反応および前記加熱によるイミド化は無溶媒反応である、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
[6] 前記メカノケミカル効果を利用した反応を、原料化合物の平均粒子径が500μm以下になるまで行う、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
[7] 前記加熱によるイミド化を、前記メカノケミカル効果を利用した反応の間および/または後に行う、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
[8] 前記イミド化を、100〜450℃の温度で10分〜16時間加熱することにより行う、[1]〜[7]のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
[9] 前記イミドジカルボン酸が95.0%以上のイミド化率を有する、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
[10] 前記イミドジカルボン酸が10〜10000ppmの水分量を有する、[1]〜[9]のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
[11] 前記イミドジカルボン酸と前記ジイソシアネートとの反応を、80〜250℃の温度で1〜16時間撹拌することにより行う、[1]〜[10]のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
[12] 前記ジイソシアネートを2回以上にわけて反応させる、[1]〜[11]のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
[13] 前記ポリアミドイミド樹脂が2000〜300000の平均分子量を有する、[1]〜[12]のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
本発明の製造方法は、溶媒中での煩雑なイミド化工程や溶媒からの水分除去工程を必要としないため、低コストかつ簡便に、分子量が十分に高い、さまざまな組成のポリアミドイミド樹脂を製造することができる。
本発明の製造方法により得られるポリアミドイミド樹脂は、構造中に分岐構造および尿素結合を含まないため、直鎖状ポリアミドイミドの純度が高い。
[ポリアミドイミド樹脂の製造方法]
本発明に係るポリアミドイミド樹脂の製造方法は、イミドジカルボン酸の製造工程およびポリアミドイミド樹脂の製造工程を含む。
<イミドジカルボン酸の製造工程>
本工程は、イミドジカルボン酸前駆体の製造工程およびイミド化工程を含む。イミドジカルボン酸前駆体の製造工程およびイミド化工程はいずれも無溶媒反応工程であり、溶媒中での煩雑なイミド化工程や溶媒からの水分除去工程を必要としないため、結果として低コストかつ簡便に、ポリアミドイミド樹脂を製造することができる。無溶媒反応とは、溶媒を用いることなく、乾式で行う反応のことである。
本明細書中、イミドジカルボン酸は、1分子中、1つ以上のイミド結合および2つのカルボキシル基を有する化合物のことである。イミドジカルボン酸は通常、モノイミドジカルボン酸およびジイミドジカルボン酸を包含する。
(イミドジカルボン酸前駆体の製造工程)
イミドジカルボン酸前駆体の製造工程は、メカノケミカル効果を利用して原料化合物を反応させることにより、イミドジカルボン酸前駆体を製造する。詳しくは、原料化合物を粉砕する際に生じる機械的エネルギーを利用することによりメカノケミカル効果を発現させることでイミドジカルボン酸前駆体を得る。
本発明においてメカノケミカル効果とは、反応環境下において固体状態にある原料化合物に機械的エネルギー(圧縮力、せん断力、衝撃力、摩砕力等)を付与することにより、当該原料化合物を粉砕し、形成される粉砕界面を活性化させる効果(または現象)のことである。これにより、原料化合物の官能基同士の反応が起こる。官能基同士の反応は通常、2つ以上の原料化合物分子間で起こる。例えば、官能基同士の反応は化学構造の異なる2つの原料化合物分子間で起こってもよいし、または化学構造の同じ2つの原料化合物分子間で起こってもよい。官能基同士の反応は限定的な1組の2つの原料化合物分子間のみで起こるわけではなく、通常は他の組の2つの原料化合物分子間でも起こる。官能基同士の反応により生成した化合物分子と、原料化合物分子との間で、新たに官能基同士の反応が起こってもよい。官能基同士の反応は通常、化学反応であり、これにより、結合基(特に共有結合)が形成されて、別の1つの化合物分子が生成する。官能基同士の反応により、水、二酸化炭素、および/またはアルコール等の小分子が副生してもよいし、または副生しなくてもよい。
反応環境とは反応のために原料化合物が置かれる環境、すなわち機械的エネルギーが付与される環境という意味であり、例えば、装置内の環境であってもよい。反応環境下において固体状態にあるとは、機械的エネルギーが付与される環境下(例えば、装置内の温度および圧力下)において固体状態にあるという意味である。反応環境下において固体状態にある原料化合物は通常、常温(25℃)および常圧(101.325kPa)下で固体状態であればよい。反応環境下において固体状態にある原料化合物は、機械的エネルギーの付与の開始時において、固体状態にあればよい。本発明は、反応環境下において固体状態にある原料化合物が、機械的エネルギーの付与の継続に伴う温度および/または圧力等の上昇により、反応中(または処理中)に液体状態(例えば、溶融状態)に変化することを妨げるものではないが、反応率の向上の観点から、反応中(または処理中)、継続的に固体状態にあることが好ましい。
メカノケミカル効果の詳細は明らかではないが、以下の原理に従うものと考えられる。1種以上の固体状態の原料化合物に機械的エネルギーを付与して粉砕が起こると、当該機械的エネルギーの吸収により粉砕界面が活性化される。このような粉砕界面の表面活性エネルギーにより、2つの原料化合物分子間で化学反応が起こるものと考えられる。粉砕とは、原料化合物粒子への機械的エネルギーの付与により、当該粒子が当該機械的エネルギーを吸収して、当該粒子に亀裂が生じ、表面が更新されることをいう。表面が更新されるとは、新たな表面として粉砕界面が形成されることである。メカノケミカル効果において、表面の更新により形成される新たな表面の状態は、粉砕による粉砕界面の活性化が起こる限り、特に限定されず、乾燥状態にあってもよいし、または湿潤状態にあってもよい。表面の更新による新たな表面の湿潤状態は、固体状態の原料化合物とは別の液体状態にある原料化合物に起因する。
機械的エネルギーは、反応環境下において固体状態にある1種以上の原料化合物を含む原料混合物に対して付与される。原料混合物の状態は、機械的エネルギーの付与により、固体状態の原料化合物の粉砕が起こる限り、特に限定されない。例えば、原料混合物に含まれる全ての原料化合物が固体状態にあることに起因して、原料混合物は乾燥状態にあってもよい。また例えば、原料混合物に含まれる少なくとも1種の原料化合物が固体状態であり、かつ残りの原料化合物が液体状態であることに起因して、原料混合物は湿潤状態であってもよい。具体的には、例えば、原料混合物が1種のみの原料化合物を含む場合、当該1種の原料化合物は固体状態である。また例えば、原料混合物が2種の原料化合物を含む場合、当該2種の原料化合物はともに固体状態であってもよいし、または一方の原料化合物が固体状態にあり、かつ他方の原料化合物が液体状態にあってもよい。
メカノケミカル効果によるイミドジカルボン酸前駆体の製造は、上記したような固体状態にある少なくとも1種以上の原料化合物を含む原料混合物を粉砕処理に供することにより、達成される。粉砕処理は、原料化合物に、圧縮、衝撃、せん断および/または摩砕などにより、機械的エネルギーを伝達できる装置であれば、あらゆる装置(例えば、いわゆる粉砕装置、混合装置または撹拌装置)によって達成されてもよい。例えば、粉砕処理は、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、インパクト(ハンマー)クラッシャー、ロールクラッシャー、カッターミル、自生粉砕機、スタンプミル、石臼型ミル、乳鉢、らいかい機、マラー型ミル、アイリッヒミル、リングミル、ローラーミル、ジェットミル、高速底部攪拌式混合機、高速回転式粉砕機(ハンマーミル、ピンミル)、容器駆動型ミル(回転ミル、振動ミル、遊星ミル)、媒体撹拌型ミル(、ビーズミル)、高速流動型ミキサー、ヘンシェルミキサー等の装置を用いて行うことができる。このような装置のうち、代表的な装置としては、例えば、高速底部攪拌式混合機、高速回転式粉砕機、容器駆動型ミル、媒体攪拌型ミルが挙げられる。
高速底部攪拌式混合機は、円筒容器の底部に大型の高速回転羽根を配した構造で、回転羽根は上下2段になっているものが一般的な装置である。
高速回転式粉砕機は、回転するロータ上のハンマやピン、バーといった衝撃子に試料を衝突させて粉砕させる装置である。
容器駆動型ミル(回転ミル、振動ミル、遊星ミル)は、回転する容器の中にボールなどの媒体を入れて容器を回転させ、原料を粉砕する装置である。
媒体攪拌型ミルは、粉砕媒体としてボールやビーズを用いて、これらを衝突させてその間で試料を粉砕する装置である。
反応条件(すなわち、混合・撹拌・粉砕条件)は、メカノケミカル効果が発現して所望のイミドジカルボン酸前駆体粉末が得られる限り特に限定されない。例えば、回転速度は、使用する装置によって異なり、十分なエネルギーを与えられる速度を選択する必要がある。また例えば、処理時間は、使用する装置によって異なり、十分なエネルギーを与えられる時間を選択する必要がある。
具体的には、例えば、高速回転式粉砕機を用い、粉砕処理のための粉砕槽(またはタンク)の容量が75〜200mL(特に150mL)であり、原料混合物の重量が50〜250g(特に100g)である場合、回転速度は通常、3000rpm以上、特に14000rpmであり、粉砕時間は通常、1分間以上、特に2〜10分間である。
粉砕処理に供される原料化合物は、上記したように反応環境下において固体状態にある原料化合物を1種以上含む。原料化合物として、反応環境下において液体状態にある原料化合物を用いる場合、当該液体状態の原料化合物は、反応率のさらなる向上の観点から、原料混合物に含まれる少なくとも1種の固体状態にある原料化合物を粉砕する前もしくは粉砕しながら、混合または添加することが好ましい。このとき、液体状態の原料化合物は、反応率のさらなる向上の観点から、所定の添加量を2回以上に分割した量で、複数回に分けて添加されることが好ましく、より好ましくは滴下することが好ましい。
このような粉砕処理とその後の粉砕物の冷却処理(例えば放置冷却処理)を2回以上、例えば2〜10回繰り返してもよい。これにより、メカノケミカル効果がより一層、効果的に発現し、反応率のさらなる向上が達成される。
原料化合物(特に反応環境下において固体状態にある原料化合物)は通常、0.001〜20.0mm、特に0.01〜10.0mmの最大長の粒子形状を有するものが使用される。最大長として累積50%径を用いた。詳しくは、最大長は、粒子径が0.5mm以上のものが含まれる場合は、JISZ8815に準拠し、JISZ8815に記載された篩分け試験による粒度分布から累積50%の粒径として測定した値とした。また、粒子径が0.5mm以上のものが含まれない場合は、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定装置により求められた累積50%径を最大長とした。
原料化合物の分子量は特に限定されないが、反応率のさらなる向上の観点から、好ましくは2000以下、特に1500〜30であり、より好ましくは1000〜30である。原料化合物として、分子量が上記範囲より大きい化合物を用いると、反応率が低下するため好ましくない。その理由の詳細は明らかではないが、メカノケミカル効果における粉砕界面の活性化は原料化合物分子の活性に基づくものであるところ、その分子量が大きいほど、当該活性が分子内で希薄化するためと考えられる。または、分子量が大きい場合、分子あたりの官能基の密度が低くなるため、活性化した官能基同士の接触確率が低下してしまうためであると考えられる。
メカノケミカル効果による反応(すなわち、機械的エネルギーの付与)は、1段階で行ってもよいし、または2段階以上の多段階で行ってもよい。機械的エネルギーを1段階で付与する方法を1段階メカノケミカル法と称することができる。機械的エネルギーを2段階以上の多段階で付与する方法を多段階メカノケミカル法と称することができる。例えば、1段階メカノケミカル法においては、原料化合物を目的の組成比にて、前述の装置(例えば、粉砕装置、混合装置または撹拌装置)に投入後、1段階の粉砕処理にてメカノケミカル反応を終了させる。また例えば、2段階メカノケミカル法においては、原料化合物を目的の組成比にて、前述の装置に投入後、粗粉砕する第1段階粉砕処理を行ったのち、さらに微粉砕する第2段階粉砕処理を行う。
反応率と操業性のさらなる向上の観点から、多段階メカノケミカル法(特に2段階メカノケミカル法)を採用することが好ましい。詳しくは、第1段階においていきなり微粉砕処理を行うと試料の装置への付着・固着が生じ、得られる生成物の収量の減少や、処理中に装置が停止するといった操業性の課題が生じる場合もある。そのため、反応率と操業性のさらなる向上の観点から多段階メカノケミカル法を採用されることが好ましい。
多段階メカノケミカル法において、各段階で使用される装置は、それぞれ独立して、前で詳述した装置から選択されてよい。特に2段階メカノケミカル法においては、第1段階の粗粉砕処理で使用する装置と第2段階の微粉砕処理で使用する装置は異なっていることが好ましい。装置には、適切な目標粒径(推奨される粉砕後の目標粒径)が存在するところ、多段階メカノケミカル法において各段階で適切な目標粒径が相互に異なる装置を用いることにより、効率的な粉砕を行うことができるため、結果とし反応率がさらに向上する。このような効率的な粉砕(すなわち小粒径化)に基づく反応率のさらなる向上の観点から、多段階メカノケミカル法においては、直後に使用される装置は、適切な目標粒径が直前に使用される装置の適切な目標粒径より小さい装置を用いることが好ましい。同様の観点から、例えば、2段階メカノケミカル法においては、第1段階において高速底部攪拌式混合機を用いて粉砕を行い、第2段階において媒体攪拌型ミルを用いて粉砕を行うことが好ましい。
本発明においては、原料化合物の種類および比率を調整または選択することにより、製造されるイミドジカルボン酸前駆体の種類(構造)を制御することができる。
詳しくは、原料化合物として以下の組み合わせで化合物を反応させることにより、イミドジカルボン酸前駆体を製造することができる:
(組み合わせA)トリカルボン酸無水物系化合物とジアミン系化合物とを反応させる;
(組み合わせB)トリカルボン酸無水物系化合物とモノアミノモノカルボン酸系化合物とを反応させる;または
(組み合わせC)テトラカルボン酸無水物系化合物とモノアミノモノカルボン酸系化合物とを反応させる。
・組み合わせA
上記組み合わせAにおいては通常、トリカルボン酸無水物系化合物と該化合物に対して約0.5倍モル量、例えば0.3〜0.7倍モル量、好ましくは0.4〜0.6倍モル量、より好ましくは0.45〜0.55倍モル量のジアミン系化合物との反応により、ジイミドジカルボン酸前駆体を製造する。組み合わせAにおいて、ジイミドジカルボン酸前駆体は、ジアミン系化合物1分子に対して2分子のトリカルボン酸無水物系化合物が、酸無水物基の開環に基づく2つのアミド基の生成により結合して得られる有機化合物のことである。このような反応により得られる生成物は、当該ジイミドジカルボン酸前駆体だけでなく、ジアミン系化合物1分子に対して1分子のトリカルボン酸無水物系化合物が酸無水物基の開環に基づく1つのアミド基の生成により結合して得られる有機物、未反応のトリカルボン酸無水物系化合物および未反応のジアミン系化合物も含む混合物であってもよい。
組み合わせAにおいて、ジイミドジカルボン酸前駆体を構成し得るトリカルボン酸無水物系化合物は、1分子中に3つのカルボキシル基を有し、そのうち2つのカルボキシル基により酸無水物基が形成されている有機化合物のことである。トリカルボン酸無水物系化合物は、芳香族環を含有する芳香族トリカルボン酸無水物、脂肪族環を含有するが芳香族環は含有しない脂環族トリカルボン酸無水物、および芳香族環も脂環族環も含有しない脂肪族トリカルボン酸無水物を包含する。トリカルボン酸無水物は、エーテル基および/またはチオエーテル基を含有してもよいし、かつ/または水素原子の1つ以上がハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)等の他の原子または原子団に置換されていてもよい。本明細書中、エーテル基とは、炭素原子間に存在する「−O−」基のことである。チオエーテル基とは、炭素原子間に存在する「−S−」基のことである。芳香族環として、例えば、ベンゼン環、ナフタリン環、アンタラセン環、ビフェニル環等が挙げられる。脂肪族環として、例えば、シクロヘキサン環等が挙げられる。トリカルボン酸無水物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
芳香族トリカルボン酸無水物の具体例としては、例えば、トリメリット酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−アントラセントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、無水ヘミメリット酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。芳香族トリカルボン酸無水物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
脂環族トリカルボン酸無水物の具体例としては、例えば、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物、1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物、1,2,3−シクロヘキサントリカルボン酸無水物、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸無水物等が挙げられる。脂環族トリカルボン酸無水物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
脂肪族トリカルボン酸無水物の具体例としては、例えば、3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物等が挙げられる。脂肪族トリカルボン酸無水物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性の向上の観点から、芳香族トリカルボン酸無水物および/または脂環族トリカルボン酸無水物を含むことが好ましい。このような「ポリアミドイミド樹脂の耐熱性の向上」の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいジアミンを用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性のさらなる向上の観点から、芳香族トリカルボン酸無水物および/または脂環族トリカルボン酸無水物のみを含むことが好ましい。このような「ポリアミドイミド樹脂の耐熱性のさらなる向上」の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいジアミンを用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性の向上の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、脂環族トリカルボン酸無水物および/または脂肪族トリカルボン酸無水物を用いることが好ましい。このような「ポリアミドイミド樹脂の非着色性の向上」の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいジアミンを用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性のさらなる向上の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、脂環族トリカルボン酸無水物および/または脂肪族トリカルボン酸無水物のみを用いることが好ましい。このような「ポリアミドイミド樹脂の非着色性のさらなる向上」の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいジアミンを用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の溶解性および非着色性の向上の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、脂環族無水トリカルボン酸成分および/または脂肪族無水トリカルボン酸成分を含むことが好ましい。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の溶解性および非着色性のさらなる向上の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、脂環族無水トリカルボン酸成分および/または脂肪族無水トリカルボン酸成分のみを含むことが好ましい。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、汎用性の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、トリメリット酸無水物、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物からなる群(以下、群P1という)から選択される1種以上の化合物を含むことが好ましい。このような汎用性の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいジアミンを用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、汎用性のさらなる向上の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、上記群P1から選択される1種以上の化合物のみを含むことが好ましい。このような汎用性のさらなる向上観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいジアミンを用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせAにおいてジイミドジカルボン酸前駆体を構成し得るジアミン系化合物は、1分子中に2つのアミノ基を有する有機化合物のことである。ジアミン系化合物は、芳香族環を含有する芳香族ジアミン、脂肪族環を含有するが芳香族環は含有しない脂環族ジアミン、および芳香族環も脂環族環も含有しない脂肪族ジアミンを包含する。ジアミン系化合物は、エーテル基および/またはチオエーテル基を含有してもよいし、かつ/または水素原子の1つ以上がハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)等の他の原子または原子団に置換されていてもよい。本明細書中、エーテル基とは、炭素原子間に存在する「−O−」基のことである。チオエーテル基とは、炭素原子間に存在する「−S−」基のことである。ジアミン系化合物は側鎖を有していてもよい。側鎖とは、メチル基、メチレン基、メトキシ基、エトキシ基、アセチル基、エーテル基、チオエーテル基、スルホニル基、ヒドロキシル基、フェニル基、スルホン酸基等を有する残基のことであり、水素原子の1つ以上がハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)等の他の原子または原子団に置換されていてもよい。ジアミン系化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
組み合わせAにおける芳香族ジアミンとしては、例えば、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ベンジジン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジメチル−3,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−3,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2−メチルベンゼン、1,3−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−4−メチルベンゼン、1,3−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2−エチルベンゼン、1,3−ビス(3−(2−アミノフェノキシ)フェノキシ)−5−sec−ブチルベンゼン、1,3−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,5−ジメチルベンゼン、1,3−ビス(4−(2−アミノ−6−メチルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(2−アミノ−6−エチルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)−4−メチルフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェノキシ)−4−tert−ブチルフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,5−ジ−tert−ブチルベンゼン、1,4−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−2,3−ジメチルベンゼン、1,4−ビス(3−(2−アミノ−3−プロピルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)−4−メチルベンゼン、1,2−ビス(3−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)−3−n−ブチルベンゼン、1,2−ビス(3−(2−アミノ−3−プロピルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼンビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(3−アミノフェノキシメチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリ(ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン)コポリマー、および上記ジアミンの類似物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
組み合わせAにおける脂環族ジアミンとしては、例えば、trans−1,4−シクロヘキサンジアミン、cis−1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン))、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミンが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
組み合わせAにおける脂肪族ジアミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、ビス(10−アミノデカメチレン)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビスアミノポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビス(10−アミノデカメチレン)テトラメチルジシロキサン、ダイマージアミンが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。ダイマージアミンは、例えばオレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸を重合させてダイマー酸とし、これを還元、アミノ化(還元的アミノ化)することにより得られる化合物である。使用する目的に応じて、水素添加反応して不飽和度を低下させる場合等もある。ダイマージアミンは、「プリアミン1074、同1075」(クローダジャパン社製の商品名)、「バーサミン551、同552」(コグニスジャパン社製の商品名)等の市販品を用いることができる。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のジアミンは、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性の向上の観点から、芳香族ジアミンおよび/または脂環族ジアミンを含むことが好ましく、より好ましくは芳香族ジアミンを含む。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のジアミンは、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性のさらなる向上の観点から、芳香族ジアミンおよび/または脂環族ジアミンのみを含むことが好ましく、より好ましくは芳香族ジアミンのみを含む。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のジアミンは、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の溶解性の観点から、上記のジアミンのうち、エーテル基、ケトン基、スルホニル基、チオエーテル基、メチル基、メチレン基、イソプロピリデン基、フェニル基、フルオレン構造、フッ素原子(またはフッ素原子を含有する置換基)、またはシロキサン結合を有するジアミンを用いることが好ましい。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のジアミンは、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の溶解性のさらなる向上の観点から、上記のジアミンのうち、エーテル基、ケトン基、スルホニル基、チオエーテル基、メチル基、メチレン基、イソプロピリデン基、フェニル基、フルオレン構造、フッ素原子(またはフッ素原子を含有する置換基)、またはシロキサン結合を有するジアミンのみを用いることが好ましい。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のジアミンは、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性の向上の観点から、上記のジアミンのうち、フッ素原子(またはフッ素原子を含有する置換基)を有する芳香族ジアミン、脂環族ジアミン、および/または脂肪族ジアミン成分を含むことが好ましい。ここで例示される脂環族ジアミンおよび脂肪族ジアミンは、芳香族ジアミンとは異なり、フッ素原子(またはフッ素原子を含有する置換基)を有することを意図するものではない。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のジアミンは、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性のさらなる向上の観点から、上記のジアミンのうち、フッ素原子(またはフッ素原子を含有する置換基)を有する芳香族ジアミン、脂環族ジアミン、および/または脂肪族ジアミン成分のみを含むことが好ましい。ここで例示される脂環族ジアミンおよび脂肪族ジアミンもまた、芳香族ジアミンとは異なり、フッ素原子(またはフッ素原子を含有する置換基)を有することを意図するものではない。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のジアミンは、汎用性の観点から、上記のジアミンのうち、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジメチル−3,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−3,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,2−ビス(3−(2−アミノ−3−プロピルフェノキシ)フェノキシ)ベンゼンビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリメチルフェニルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリ(ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン)コポリマー、trans−1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、cis−1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、ビス(10−アミノデカメチレン)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビスアミノポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビス(10−アミノデカメチレン)テトラメチルジシロキサン、ダイマージアミンからなる群(以下、群P2という)から選択される1種以上の化合物を含むことが好ましい。
組み合わせAにおけるイミドジカルボン酸前駆体のジアミンは、汎用性のさらなる向上の観点から、上記のジアミンのうち、上記群P2から選択される1種以上の化合物のみを含むことが好ましい。
・組み合わせB
上記組み合わせBにおいては通常、トリカルボン酸無水物系化合物と該化合物に対して約1倍モル量、例えば0.8〜1.2倍モル量、好ましくは0.9〜1.1倍モル量、より好ましくは0.95〜1.05倍モル量のモノアミノモノカルボン酸系化合物との反応により、モノイミドジカルボン酸前駆体を製造する。組み合わせBにおいて、モノイミドジカルボン酸前駆体は、モノアミノモノカルボン酸系化合物1分子に対して1分子のトリカルボン酸無水物系化合物が、酸無水物基の開環に基づく1つのアミド基の生成により結合して得られる有機化合物のことである。このような反応により得られる生成物は、当該モノイミドジカルボン酸前駆体だけでなく、未反応のトリカルボン酸無水物系化合物および未反応のモノアミノモノカルボン酸系化合物も含む混合物であってもよい。
組み合わせBにおいてモノイミドジカルボン酸前駆体を構成し得るトリカルボン酸無水物系化合物は、組み合わせAにおいてジイミドジカルボン酸前駆体を構成し得るトリカルボン酸無水物系化合物と同様のトリカルボン酸無水物系化合物であり、詳しくは前記したジイミドジカルボン酸前駆体を構成し得るトリカルボン酸無水物系化合物と同様の、芳香族トリカルボン酸無水物、脂環族トリカルボン酸無水物、および脂肪族トリカルボン酸無水物を包含する。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性の向上の観点から、芳香族トリカルボン酸無水物および/または脂環族トリカルボン酸無水物を含むことが好ましく、より好ましくは芳香族トリカルボン酸無水物を含む。このような「ポリアミドイミド樹脂の耐熱性の向上」の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性のさらなる向上の観点から、芳香族トリカルボン酸無水物および/または脂環族トリカルボン酸無水物のみを含むことが好ましく、より好ましくは芳香族トリカルボン酸無水物のみを含む。このような「ポリアミドイミド樹脂の耐熱性のさらなる向上」の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性の向上の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、脂環族トリカルボン酸無水物および/または脂肪族トリカルボン酸無水物を用いることが好ましい。このような「ポリアミドイミド樹脂の非着色性の向上」の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性のさらなる向上の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、脂環族トリカルボン酸無水物および/または脂肪族トリカルボン酸無水物のみを用いることが好ましい。このような「ポリアミドイミド樹脂の非着色性のさらなる向上」の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の溶解性および非着色性の向上の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、脂環族トリカルボン酸無水物および/または脂肪族無水トリカルボン酸成分を含むことが好ましい。このような「ポリアミドイミド樹脂の溶解性および非着色性の向上」の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の溶解性および非着色性のさらなる向上の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、脂環族トリカルボン酸無水物および/または脂肪族無水トリカルボン酸成分のみを含むことが好ましい。このような「ポリアミドイミド樹脂の溶解性および非着色性のさらなる向上」の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、汎用性の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、無水トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物からなる群(以下、群P3という)から選択される1種以上の化合物を含むことが好ましい。このような汎用性の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のトリカルボン酸無水物は、汎用性のさらなる向上の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、上記群P3から選択される1種以上の化合物のみを含むことが好ましい。このような汎用性のさらなる向上の観点から好ましいトリカルボン酸無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせBにおいてモノイミドジカルボン酸前駆体を構成し得るモノアミノモノカルボン酸系化合物は、1分子中に1つのアミノ基と1つのカルボキシル基を有する有機化合物のことである。モノアミノモノカルボン酸系化合物は、芳香族環を含有する芳香族モノアミノモノカルボン酸、脂肪族環を含有するが芳香族環は含有しない脂環族モノアミノモノカルボン酸、および芳香族環も脂環族環も含有しない脂肪族モノアミノモノカルボン酸を包含する。モノアミノモノカルボン酸は、エーテル基および/またはチオエーテル基を含有してもよいし、かつ/または水素原子の1つ以上がハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)に置換されていてもよい。
組み合わせBにおける芳香族モノアミノモノカルボン酸としては、例えば、フェニルアラニン、トリプトファン、チロキシン、チロシン、ジヨードチロシン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノ−3−メチル安息香酸、2−アミノ−4−メチル安息香酸、2−アミノ−5−メチル安息香酸、2−アミノ−6−メチル安息香酸、3−アミノ−2−メチル安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、4−アミノ−2−メチル安息香酸、4−アミノ−3−メチル安息香酸、5−アミノ−2−メチル安息香酸、2−アミノ−3,4−ジメチル安息香酸、2−アミノ−3,5−ジメチル安息香酸、2−アミノ−4,5−ジメチル安息香酸、2−アミノ−4−メトキシ安息香酸、3−アミノ−4−メトキシ安息香酸、4−アミノ−2−メトキシ安息香酸、4−(アミノメチル)安息香酸、6−アミノ−2−ナフタレンカルボン酸、3−アミノ−2−ナフトエ酸等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
組み合わせBにおける脂環族モノアミノモノカルボン酸としては、例えば、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸、3−アミノシクロヘキサンカルボン酸、2−アミノシクロヘキサンカルボン酸、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸、ガバペンチン、2−シクロヘキシルグリシン、3−シクロヘキシルアラニン、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、1−アミノシクロブタンカルボン酸等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
組み合わせBにおける脂肪族モノアミノモノカルボン酸としては、例えば、グリシン、α−アラニン、β−アラニン、セリン、グリシン、バリン、ノルバリン、トレオニン、ロイシン、ノルロイシン、イソロイシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、メチオニン、シスチン、システイン、オキサミン酸、グリシルグリシン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、5−アミノペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノラウリン酸、17−アミノヘプタデカノン酸等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
組み合わせBにおいてモノイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸系化合物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性の向上の観点から、芳香族モノアミノモノカルボン酸および/または脂環族モノアミノモノカルボン酸を含むことが好ましく、より好ましくは芳香族モノアミノモノカルボン酸を含む。
組み合わせBにおいて、モノイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸系化合物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性のさらなる向上の観点から、芳香族モノアミノモノカルボン酸および/または脂環族モノアミノモノカルボン酸のみを含むことが好ましく、より好ましくは芳香族モノアミノモノカルボン酸のみを含む。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸系化合物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性の向上の観点から、上記のモノアミノモノカルボン酸のうち、脂環族モノアミノモノカルボン酸系化合物および/または脂肪族モノアミノモノカルボン酸系化合物を用いることが好ましい。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸系化合物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性のさらなる向上の観点から、上記のモノアミノモノカルボン酸のうち、脂環族モノアミノモノカルボン酸および/または脂肪族モノアミノモノカルボン酸系化合物のみを用いることが好ましい。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸系化合物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の溶解性および非着色性の向上の観点から、上記のモノアミノモノカルボン酸のうち、脂環族モノアミノモノカルボン酸および/または脂肪族モノアミノモノカルボン酸を含むことが好ましい。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸系化合物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の溶解性および非着色性のさらなる向上の観点から、上記のモノアミノモノカルボン酸のうち、脂環族モノアミノモノカルボン酸および/または脂肪族モノアミノモノカルボン酸のみを含むことが好ましい。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸系化合物は、汎用性の観点から、上記のモノアミノモノカルボン酸のうち、グリシン、α−アラニン、β−アラニン、バリン、ノルバリン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、セリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、メチオニン、システイン、5−アミノペンタン酸、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−ノナノン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノラウリン酸、17−アミノヘプタデカノン酸、フェニルアラニン、トリプトファン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノ−3−メチル安息香酸、2−アミノ−4−メチル安息香酸、2−アミノ−5−メチル安息香酸、2−アミノ−6−メチル安息香酸、3−アミノ−2−メチル安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、4−アミノ−2−メチル安息香酸、4−アミノ−3−メチル安息香酸、5−アミノ−2−メチル安息香酸、2−アミノ−3,4−ジメチル安息香酸、2−アミノ−4,5−ジメチル安息香酸、2−アミノ−4−メトキシ安息香酸、3−アミノ−4−メトキシ安息香酸、4−アミノ−2−メトキシ安息香酸、6−アミノ−2−ナフタレンカルボン酸、3−アミノ−2−ナフタレンカルボン酸からなる群(以下、群P4という)から選択される1種以上の化合物を含むことが好ましい。
組み合わせBにおけるモノイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸系化合物は、汎用性のさらなる向上の観点から、上記のモノアミノモノカルボン酸のうち、上記群P4から選択される1種以上の化合物のみを含むことが好ましい。
・組み合わせC
上記組み合わせCにおいては通常、テトラカルボン酸無水物系化合物と該化合物に対して約2倍モル量、例えば1.8〜2.2倍モル量、好ましくは1.9〜2.1倍モル量、より好ましくは1.95〜2.05倍モル量のモノアミノモノカルボン酸系化合物との反応により、ジイミドジカルボン酸前駆体を製造する。組み合わせCにおいて、ジイミドジカルボン酸前駆体は、テトラカルボン酸無水物系化合物1分子に対して2分子のモノアミノモノカルボン酸系化合物が、酸無水物基の開環に基づく2つのアミド基の生成により結合して得られる有機化合物のことである。このような反応により得られる生成物は、当該ジイミドジカルボン酸前駆体だけでなく、テトラカルボン酸無水物系化合物1分子に対して1分子のモノアミノモノカルボン酸系化合物が、酸無水物基の開環に基づく1つのアミド基の生成により結合して得られる有機化合物、未反応のテトラカルボン酸無水物系化合物、未反応のモノアミノモノカルボン酸系化合物も含む混合物であってもよい。
組み合わせCにおいて、ジイミドジカルボン酸前駆体を構成し得るテトラカルボン酸無水物系化合物は通常、テトラカルボン酸二無水物であり、1分子中に4つのカルボキシル基を有しており、それらのカルボキシル基により2つの酸無水物基が形成されている有機化合物のことである。このようなテトラカルボン酸二無水物は、芳香族環を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族環を含有するが芳香族環は含有しない脂環族テトラカルボン酸二無水物、および芳香族環も脂環族環も含有しない脂肪族テトラカルボン酸二無水物を包含する。テトラカルボン酸二無水物は、エーテル基、ケトン基、スルホニル基および/またはチオエーテル基を含有してもよいし、かつ/または水素原子の1つ以上がハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)に置換されていてもよい。本明細書中、エーテル基とは、炭素原子間に存在する「−O−」基のことである。ケトン基とは炭素原子間に存在する「−C(=O)―」基のことである。スルホニル基とは炭素原子間に存在する「−S(=O)2―」基のことである。チオエーテル基とは、炭素原子間に存在する「−S−」基のことである。
組み合わせCにおける芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3−フルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ジフルオロピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物、3,3’’,4,4’’−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−クァテルフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−キンクフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン二無水物、ジフルオロメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2−テトラフルオロ−1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−トリメチレン−4、4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−1,4−テトラメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロ−1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、チオ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルシロキサン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン二無水物、ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン二無水物、ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕メタン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,2−ビス〔3−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロスルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ビス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)スルホニル−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’−ビス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、6,6’−ジフルオロ−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、5,5’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、3,3’,5,5’,6,6’−ヘキサキス(トリフルオロメチル)−2,2−パーフルオロプロピリデン−4,4’−ジフタル酸二無水物、9−フェニル−9−(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(4、4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、9,9−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、9,9−ビス〔4−(2,3−ジカルボキシ)フェニル〕フルオレン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン酸二無水物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
組み合わせCにおける脂環族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、メチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1−エチニリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−プロピリデン−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、オキシ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、チオ−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、スルホニル−4,4’−ビス(シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸)二無水物、ビシクロ〔2,2,2〕オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二無水物、3−カルボキシメチル−1,2,4−シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3−二無水物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
組み合わせCにおける脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
組み合わせCにおけるイミドジカルボン酸前駆体のテトラカルボン酸二無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性の向上の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物および/または脂環族酸二無水物を含むことが好ましい。このような「ポリアミドイミド樹脂の耐熱性の向上」の観点から好ましいテトラカルボン酸二無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせCにおけるイミドジカルボン酸前駆体のテトラカルボン酸二無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性のさらなる向上の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物および/または脂環族酸二無水物のみを含むことが好ましい。このような「ポリアミドイミド樹脂の耐熱性のさらなる向上」の観点から好ましいテトラカルボン酸二無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせCにおけるイミドジカルボン酸前駆体のテトラカルボン酸二無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の溶解性の観点から、上記のテトラカルボン酸二無水物のうち、エーテル基、ケトン基、スルホニル基、チオエーテル基、メチル基、メチレン基、イソプロピリデン基、フェニル基、フルオレン構造、ビフェニル構造、またはフッ素原子(またはフッ素原子を含有する置換基)を有するテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
組み合わせCにおけるイミドジカルボン酸前駆体のテトラカルボン酸二無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の溶解性のさらなる向上の観点から、上記のテトラカルボン酸二無水物のうち、エーテル基、ケトン基、スルホニル基、チオエーテル基、メチル基、メチレン基、イソプロピリデン基、フェニル基、フルオレン構造、ビフェニル構造、またはフッ素原子(またはフッ素原子を含有する置換基)を有するテトラカルボン酸二無水物のみを用いることが好ましい。
組み合わせCにおけるイミドジカルボン酸前駆体のテトラカルボン酸二無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性の向上の観点から、上記のテトラカルボン酸二無水物のうち、フッ素原子(またはフッ素原子を含有する置換基)を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環族テトラカルボン酸二無水物成分、または脂肪族テトラカルボン酸二無水物成分を含むことが好ましい。このような「ポリアミドイミド樹脂の非着色性の向上」の観点から好ましいテトラカルボン酸二無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。ここで例示される脂環族テトラカルボン酸二無水物および脂肪族テトラカルボン酸二無水物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物とは異なり、フッ素原子(またはフッ素原子を含有する置換基)を有することを意図するものではない。
組み合わせCにおけるイミドジカルボン酸前駆体のテトラカルボン酸二無水物は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性のさらなる向上の観点から、上記のテトラカルボン酸二無水物のうち、フッ素原子(またはフッ素原子を含有する置換基)を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環族テトラカルボン酸二無水物成分、または脂肪族テトラカルボン酸二無水物成分のみを含むことが好ましい。このような「ポリアミドイミド樹脂の非着色性のさらなる向上」の観点から好ましいテトラカルボン酸二無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。ここで例示される脂環族テトラカルボン酸二無水物および脂肪族テトラカルボン酸二無水物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物とは異なり、フッ素原子(またはフッ素原子を含有する置換基)を有することを意図するものではない。
組み合わせCにおけるイミドジカルボン酸前駆体のテトラカルボン酸二無水物は、汎用性の観点から、上記のテトラカルボン酸二無水物のうち、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物4,4’−(4、4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物)からなる群(以下、群P5という)から選択される1種以上の化合物を含むことが好ましい。このような汎用性の観点から好ましいテトラカルボン酸二無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせCにおけるイミドジカルボン酸前駆体のテトラカルボン酸二無水物は、汎用性のさらなる向上の観点から、上記のテトラカルボン酸二無水物のうち、上記群P5から選択される1種以上の化合物のみを含むことが好ましい。このような汎用性のさらなる向上の観点から好ましいテトラカルボン酸二無水物を用いる場合、後述する同観点から好ましいモノアミノモノカルボン酸を用いることが、同観点からより一層好ましい。
組み合わせCにおいてジイミドジカルボン酸前駆体を構成し得るモノアミノモノカルボン酸系化合物は、組み合わせBにおいてモノイミドジカルボン酸前駆体を構成し得るモノアミノモノカルボン酸系化合物と同様のモノアミノモノカルボン酸系化合物であり、詳しくは前記したモノイミドジカルボン酸前駆体を構成し得るモノアミノモノカルボン酸系化合物と同様の、芳香族モノアミノモノカルボン酸、脂環族モノアミノモノカルボン酸、および脂肪族モノアミノモノカルボン酸を包含する。
組み合わせCにおけるジイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性の向上の観点から、芳香族モノアミノモノカルボン酸および/または脂環族モノアミノモノカルボン酸を含むことが好ましく、より好ましくは芳香族モノアミノモノカルボン酸を含む。
組み合わせCにおけるジイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性のさらなる向上の観点から、芳香族モノアミノモノカルボン酸および/または脂環族モノアミノモノカルボン酸のみを含むことが好ましく、より好ましくは芳香族モノアミノモノカルボン酸のみを含む。
組み合わせCにおけるジイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性の向上の観点から、上記のモノアミノモノカルボン酸のうち、脂環族モノアミノモノカルボン酸および/または脂肪族モノアミノモノカルボン酸を用いることが好ましい。
組み合わせCにおけるジイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性のさらなる向上の観点から、上記のモノアミノモノカルボン酸のうち、脂環族モノアミノモノカルボン酸および/または脂肪族モノアミノモノカルボン酸のみを用いることが好ましい。
組み合わせCにおけるジイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の溶解性および非着色性の向上の観点から、上記のモノアミノモノカルボン酸のうち、脂環族モノアミノモノカルボン酸および/または脂肪族モノアミノモノカルボン酸を含むことが好ましい。
組み合わせCにおけるジイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の溶解性および非着色性のさらなる向上の観点から、上記のモノアミノモノカルボン酸のうち、脂環族モノアミノモノカルボン酸および/または脂肪族モノアミノモノカルボン酸のみを含むことが好ましい。
組み合わせCにおけるジイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸は、汎用性の観点から、上記のモノアミノモノカルボン酸のうち、グリシン、α−アラニン、β−アラニン、バリン、ノルバリン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、セリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、メチオニン、システイン、5−アミノペンタン酸、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−ノナノン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノラウリン酸、17−アミノヘプタデカノン酸、フェニルアラニン、トリプトファン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノ−3−メチル安息香酸、2−アミノ−4−メチル安息香酸、2−アミノ−5−メチル安息香酸、2−アミノ−6−メチル安息香酸、3−アミノ−2−メチル安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、4−アミノ−2−メチル安息香酸、4−アミノ−3−メチル安息香酸、5−アミノ−2−メチル安息香酸、2−アミノ−3,4−ジメチル安息香酸、2−アミノ−4,5−ジメチル安息香酸、2−アミノ−4−メトキシ安息香酸、3−アミノ−4−メトキシ安息香酸、4−アミノ−2−メトキシ安息香酸、6−アミノ−2−ナフタレンカルボン酸、3−アミノ−2−ナフタレンカルボン酸からなる群(以下、群P6という)から選択される1種以上の化合物を含むことが好ましい。
組み合わせCにおけるジイミドジカルボン酸前駆体のモノアミノモノカルボン酸は、汎用性のさらなる向上の観点から、上記のトリカルボン酸無水物のうち、上記群P6から選択される1種以上の化合物のみを含むことが好ましい。
・組み合わせA〜C共通
本工程(すなわちメカノケミカル効果を利用した反応)の終了のタイミングは、イミドジカルボン酸前駆体が得られる限り特に限定されない。本工程は通常、イミドジカルボン酸前駆体(反応生成物)の平均粒子径(すなわち、外観上、原料化合物の平均粒子径)が500μm以下、好ましくは0.01〜300μm、より好ましく0.1〜100μmになるまで行う。例えば、粒子形状を有する原料化合物(特に反応環境下において固体状態にある原料化合物)の上記した最大長をRm(μm)としたとき、平均粒子径が0.5×Rm以下、特に0.1×Rm以下になるまで、粉砕処理を行う。前駆体粉末が上記平均粒子径を有することにより、本工程において、メカノケミカル反応を行った際により高い反応率が得られ、後述のポリアミドイミド樹脂の製造工程でポリアミドイミド樹脂を得る際に高分子量化した線状ポリアミドイミドが得られやすい。上記平均粒子径は、イミドジカルボン酸の製造工程の終了時において達成されていてもよい。
本発明においては、混合槽、撹拌槽および粉砕槽の内壁への粒子の付着を抑制する、粒子の粉砕効率を高める、粒子へのエネルギー伝達効率を高めるために、原料混合物に助剤を含有させてもよい。助剤としては、水、アルコール、水溶性高分子、合成高分子、無機粒子、界面活性剤、ワックス類などを用いることができる。例えば、水、メタノール、エタノール、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、セチルアルコールのヘキサン溶液;プロピルアルコール等の低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類;メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類;アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類;ポリビニルアルコール、カルボシキビニルポリマー、アルキル付加カルボシキビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル、ポリビニルピロリドン等の合成高分子類;カーボンブラック、酸化チタン、黒色酸化チタン、酸化セリウム、コンジョウ、群青、ベンガラ、酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類;オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類;ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーパウダー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーパウダー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、N−アシルリジン等の有機粉体類;有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類;微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等の複合粉体類;グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤類;ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸及びそれらの無機または有機塩;アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩等の陰イオン性界面活性剤類;アルキルアミン塩、ポリアミンおよびアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類;リン脂質、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤;パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素系類;カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然ロウ類;2−エチルヘキサン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、リンゴ酸ジイソステアアリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)等のエステル類;ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類;セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類;ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類;N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体類;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられる。これらを一種又は二種以上を用いることができる。
助剤の使用量は通常、原料化合物の合計量100質量部に対して10.0質量部以下、特に0.01〜5.0質量部である。
イミドジカルボン酸前駆体の製造工程は、無溶媒下で行われ、例えば、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、または真空下で行うことができる。本工程は好ましくは乾燥空気または窒素等の不活性ガス雰囲気下で行う。
(イミド化工程)
本工程では、イミドジカルボン酸前駆体を加熱によりイミド化し、イミドジカルボン酸を得る。本工程もまた、イミドジカルボン酸前駆体の製造工程と同様に、無溶媒下で行われ、例えば、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下、または真空下で行うことができる。本工程は好ましくは窒素等の不活性ガス雰囲気下で行う。
イミド化のための加熱温度としては、得られるイミドジカルボン酸の分解温度未満とすることが必要である。加熱温度は、例えば、100〜450℃、特に150〜450℃、好ましくは150〜350℃であってもよい。加熱時間については特に限定されず、例えば、10分〜16時間、特に10分〜8時間、好ましくは0.5〜8時間であってもよい。加熱は、静置して行ってもよく、撹拌しながら行ってもよい。
イミド化工程は、1段階で行ってもよいし、または多段階で行ってもよい。イミド化工程を多段階で行うとは、加熱温度が異なるイミド化工程を連続的に2回以上、例えば2〜3回行うということである。イミド化工程を多段階で行う場合、イミド化率のさらなる向上の観点から、第2イミド化工程以降のイミド化工程の加熱温度は、直前のイミド化工程の加熱温度よりも高いことが好ましい。例えば、第2イミド化工程の加熱温度は第1イミド化工程の加熱温度より高いことが好ましい。また例えば、第3イミド化工程の加熱温度は第2イミド化工程の加熱温度より高いことが好ましい。イミド化を多段階で行う場合、それらの合計加熱時間が上記範囲内であればよい。
得られるイミドジカルボン酸のイミド化率は、95.0%以上であることが好ましく、98.0%以上であることがより好ましく、99.0%以上であることがさらに好ましい。イミドジカルボン酸のイミド化率は特に限定されず、例えば100%であってもよい。
得られるジイミドジカルボン酸の水分率(すなわち水分量)は、10〜10000ppmであることが好ましく、50〜5000ppmであることがより好ましく、50〜1000ppmであることがさらに好ましく、50〜500ppmであることがさらに好ましい。
イミド化は、メカノケミカル効果を利用した反応の間および/または後に行ってもよい。換言すると、本イミド化工程は、イミドジカルボン酸前駆体の製造工程と同時に、かつ/またはイミドジカルボン酸前駆体の製造工程の後で、行ってもよい。本イミド化工程を、イミドジカルボン酸前駆体の製造工程と同時に行うとは、メカノケミカル効果を利用してイミドジカルボン酸前駆体を製造しながら、加熱してイミド化を行い、イミドジカルボン酸を得るということである。最終的に得られるポリアミドイミド樹脂のさらなる高分子量化および直鎖状ポリアミドイミドのさらなる高純度化の観点から、本イミド化工程はイミドジカルボン酸前駆体の製造工程の後で、行うことが好ましい。
<ポリアミドイミド樹脂の製造工程>
本工程では、有機溶媒中、イミドジカルボン酸とジイソシアネートとを反応させ、ポリアミドイミド樹脂を得る。例えば、加熱したイミドジカルボン酸溶液にジイソシアネートまたはその溶液を添加し、加熱により反応させることにより、ポリアミドイミド樹脂を溶液形態で得ることができる。
イミドジカルボン酸溶液はイミドジカルボン酸を有機溶媒に溶解させた溶液である。溶液中のイミドジカルボン酸濃度は特に限定されず、例えば1〜70質量%であり、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂のさらなる高分子量化および直鎖状ポリアミドイミドのさらなる高純度化の観点から、好ましくは5〜45質量%である。イミドジカルボン酸溶液の調製時においては、加熱により、溶解を促進してもよい。加熱温度は後述する反応温度と同様の範囲内から、独立して選択されてもよい。上記濃度は反応溶液(反応系)中でのイミドジカルボン酸の濃度であってもよい。反応溶液(反応系)中での濃度とは、ジイソシアネートの添加後における溶液中の濃度のことである。
ジイソシアネート成分は、1分子中、2つのイソシアネート基を有する有機化合物である。ジイソシアネート成分は、芳香族環を含有する芳香族ジイソシアネート、脂肪族環を含有するが芳香族環は含有しない脂環族ジイソシアネート、および芳香族環も脂環族環も含有しない脂肪族ジイソシアネートを包含する。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いることもできる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等があげられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2,2’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイルジイソシアナート、1−メチルシクロヘキサン−2,6−ジイルジイソシアナート、シクロヘキサン−1,4−ジイルビス(メチレン)ジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等があげられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,10−ジイソシアナトデカン等があげられる。
ジイソシアネートは、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性の向上の観点から、芳香族ジイソシアネートおよび/または脂環族ジイソシアネートを含むことが好ましい。
ジイソシアネートは、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性のさらなる向上の観点から、芳香族ジイソシアネートおよび/または脂環族ジイソシアネートのみを含むことが好ましい。
ジイソシアネートは、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性の向上の観点から、上記のジイソシアネートのうち、脂環族ジイソシアネートおよび/または脂環族ジイソシアネートを用いることが好ましい。
ジイソシアネートは、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の非着色性のさらなる向上の観点から、上記のジイソシアネートのうち、脂環族ジイソシアネートおよび/または脂環族ジイソシアネートのみを用いることが好ましい。
ジイソシアネートは、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の機械的強度の向上の観点から、上記のジイソシアネートのうち、芳香族ジイソシアネートおよび/または脂環族ジイソシアネートを含むことが好ましい。
ジイソシアネートは、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂の機械的強度のさらなる向上の観点から、上記のジイソシアネートのうち、芳香族ジイソシアネートおよび/または脂環族ジイソシアネートのみを含むことが好ましい。
ジイソシアネートは、汎用性の観点から、上記のジイソシアネートのうち、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート)からなる群(以下、群P7という)から選択される1種以上の化合物を含むことが好ましい。)
ジイソシアネートは、汎用性のさらなる向上の観点から、上記のジイソシアネートのうち、上記群P7から選択される1種以上の化合物のみを含むことが好ましい。
ジイソシアネート溶液はジイソシアネートを有機溶媒に溶解させた溶液である。溶液中のジイソシアネート濃度は特に限定されず、例えば5〜95質量%であり、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂のさらなる高分子量化および直鎖状ポリアミドイミドのさらなる高純度化の観点から、好ましくは30〜90質量%である。ジイソシアネート溶液の調製時においては、加熱により、溶解を促進してもよい。加熱温度は後述する反応温度と同様の範囲内から、独立して選択されてもよい。
ジイソシアネートは2回以上にわけて反応させることが好ましい。すなわち、ジイソシアネート溶液は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂のさらなる高分子量化の観点から、所定の添加量を2回以上に分割した量で、複数回に分けて添加されることが好ましく、より好ましくは滴下することが好ましい。ジイソシアネート溶液を滴下する場合、滴下速度は、通常、0.1〜10質量%/分、好ましくは0.2〜5質量%/分である。この単位「質量%/分」は、1分間あたりの添加量であり、添加量は最終的に添加されるジイソシアネート溶液全量に対する値である。
イミドジカルボン酸溶液およびジイソシアネート溶液の有機溶媒は、それぞれ独立して、種々の溶媒を使用できる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の炭化水素系溶媒;トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン系溶媒;ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド系溶媒;N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチル尿素等の尿素系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン系溶媒;プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル系溶媒;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム系溶媒;クレゾール、フェノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール系溶媒;スルホラン等のスルホン系溶媒;ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。上記溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、上記以外の溶媒と混合して使用してもよい。
イミドジカルボン酸とジイソシアネートを反応させる温度としては、80〜250℃が好ましく、120〜220℃がより好ましい。当該反応温度は、イミドジカルボン酸とジイソシアネートとの混合を開始するときのジイミドカルボン酸溶液の温度、および/または両者の全量を混合した後、混合物を撹拌するときの温度である。
イミドジカルボン酸とジイソシアネートを反応させる時間としては、0.5〜36時間が好ましく、1〜16時間、特に2〜16時間がより好ましい。当該反応時間は、イミドジカルボン酸とジイソシアネートとを混合し始めてから反応終了までの、撹拌時間である。
得られるポリアミドイミド樹脂の分子量は、2000〜300000、特に2000〜200000であることが好ましく、5000〜200000であることがより好ましく、6500〜180000であることがさらに好ましく、8000〜150000であることが最も好ましい。ポリアミドイミド樹脂の分子量は、従来の方法により得られるポリアミドイミド樹脂の分子量との差別化の観点から、9000〜150000、特に10000〜150000であることが好ましく、より好ましくは15000〜100000であり、さらに好ましくは20000〜80000である。
本工程においては、分子量を調節するため、末端封鎖剤を用いてもよい。末端封鎖剤としては、酢酸、ラウリン酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸;無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物などの1官能性酸無水物が挙げられる。
本発明の製造方法によって得られるポリアミドイミドは、自動車部品、電気電子部品、摺動部品、チューブ関連部品、家庭用品、金属被覆剤、産業資材用品、コンピュータおよび関連機器の部品、光学機器部品、情報・通信機器部品、精密機器部品等広範な用途に使用できる。
自動車部品の具体例としては、シフトレバー、ギアボックス等の台座に用いるベースプレート、シリンダーヘッドカバー、エンジンマウント、エアインテークマニホールド、スロットルボディ、エアインテークパイプ、ラジエータタンク、ラジエータサポート、ラジエータホース、ラジエータグリル、リアスポイラー、ホイールカバー、ホイールキャップ、カウルベントグリル、エアアウトレットルーバー、エアスクープ、フードバルジ、フェンダー、バックドア、フューエルセンダーモジュール、シフトレバーハウジング、プロペラシャフト、スタビライザーバーリンケージロッド、ウインドーレギュレータ、ドアロック、ドアハンドル、アウトサイドドアミラーステー、アクセルペダル、ペダルモジュール、シールリング、ベアリングリテーナー、ギア、ワイヤーハーネス、リレーブロック、センサーハウジング、エンキャプシュレーション、イグニッションコイル、ディストリビューター、ウォーターポンプレンレット、ウォーターポンプアウトレット、サーモスタットハウジング、クーリングファン、ファンシュラウド、オイルパン、オイルフィルターハウジング、オイルフィルターキャップ、オイルレベルゲージ、タイミングベルトカバー、エンジンカバー、燃料タンク、燃料チューブ、フューエルカットオフバルブ、クイックコネクター、キャニスター、フューエルデリバリーパイプ、フューエルフィラーネック、燃料配管用継手、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ランプエクステンション、ランプソケット等が挙げられる。
電気電子部品の具体例としては、コネクタ、HDDランプレール、基板補強板、LEDリフレクタ、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビン、抵抗器、IC、LEDのハウジング、リチウム二次電池等の電極のバインダが挙げられる。
摺動部品の具体例としては、歯車、ギア、ワッシャー、アクチュエーター、ベアリングリテーナー、軸受、スイッチ、ピストン、パッキン、ローラー、複写機用ベルト、ベルトが挙げられる。
チューブ関連部品の具体例としては、フィードチューブ、リターンチューブ、エバポチューブ、フューエルフィラーチューブ、リザーブチューブ、ベントチューブ、オイルチューブ、ブレーキチューブ、ウインドウォッシャー液用チューブ、冷却水・冷媒等用クーラーチューブ、エアコン冷媒用チューブ、床暖房用チューブ、消火器および消火設備用チューブ、医療用冷却機材用チューブ、塗料散布用チューブ、薬液輸送用チューブ、燃料輸送用チューブ、ディーゼルガソリン用チューブ、石油掘削用チューブ、含アルコールガソリン用チューブ、エンジン冷却液(LLC)用チューブ、リザーバータンクチューブ、ロードヒーティングチューブ、床暖房用チューブ、インフラ供給用チューブ、ガスチューブが挙げられる。
家庭用品の具体例としては、哺乳瓶、メガネフレーム、スポーツシューズ、スキー板の表面材が挙げられる。
金属被覆剤の具体例としては、液体金属配管、水槽タンク等水回り部品の金属被覆剤が挙げられる。
産業資材用品の具体例としては、タイヤコード、ベルト、防弾服、防護服、防炎服、作業服、コンクリート補強材、アスベスト代替材、ロープ、シューズ部材、釣り糸、漁網、セイルクロス、クッション材、風力発電用ブレード、抄紙用フェルト、複写機クリーナー、フィルター、中空糸膜が挙げられる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、各実施例における評価は、以下の方法により行った。
1.反応率
1−1.トリカルボン酸無水物とジアミンの反応率
各実施例により得られたイミドジカルボン酸前駆体粉末についてH−NMR測定により反応率を求めた。イミドジカルボン酸前駆体粉末およそ10mgを、重水素化ジメチルスルホキシド/重水/重水素化トリフルオロ酢酸(=91.5/5.0/3.5wt%)の混合溶液およそ1mLに溶解させ、30分間超音波処理を行ったのちH−NMR測定を行った。
得られたH−NMRスペクトルにおいて、ジアミン由来のピークのうち両アミノ基がアミド化した構造a1に由来するピークの積分値の合計をA1、1つのアミノ基がアミド化した構造a2に由来するピークの積分値の合計をA2、両アミノ基がアミド化されていない構造a3に由来するピークの積分値の合計をA3として、ジアミンの反応率を次式として求めた。例えば、実施例1−1で得られる化合物の場合、構造a1に由来するピークは6.90〜7.00ppmおよび7.63〜7.67ppmにあり、構造a2に由来するピークは7.02〜7.10ppm、7.34〜7.36ppmおよび7.63〜7.67ppmにあり、構造a3に由来するピークは7.12〜7.16ppmおよび7.36〜7.41ppmにある。
ジアミンの反応率(%)=(A1+A2/2)/(A1+A2+A3)×100
また、ピークの重複等により上記の3通りの構造に各ピークを帰属できない場合は、ジアミンの構造中で反応により生成したアミド結合に近接するプロトンb1に由来するピークの積分値の合計をB1、未反応のアミノ基に近接するプロトンb2に由来するピークの積分値の合計をB2として、ジアミンの反応率を次式として求めた。例えば、実施例1−15で得られる化合物の場合、プロトンb1に由来するピークは3.10〜3.12ppmにあり、プロトンb2に由来するピークは2.70〜2.74ppmにある。
ジアミンの反応率(%)=B1/(B1+B2)×100
NMR溶媒を重水素化ジメチルスルホキシドに変更する以外は、上記と同様の方法によりイミドジカルボン酸前駆体粉末の加熱処理(イミド化)後においても反応率の測定を行った。
1−2.トリカルボン酸無水物とモノアミノモノカルボン酸の反応率
各実施例により得られたイミドジカルボン酸前駆体粉末についてH−NMR測定により反応率を求めた。イミドジカルボン酸前駆体粉末およそ10mgを、重水素化ジメチルスルホキシド/重水/重水素化トリフルオロ酢酸(=91.5/5.0/3.5wt%)の混合溶液およそ1mLに溶解させ、30分間超音波処理を行ったのちH−NMR測定を行った。
得られたH−NMRスペクトルにおいて、モノアミノモノカルボン酸由来のピークのうちアミノ基がアミド化した構造c1に由来するピークの積分値の合計をC1、アミノ基がアミド化されていない構造c2に由来するピークの積分値の合計をC2として、アミンの反応率を次式として求めた。
アミンの反応率(%)= C1/(C1+C2)×100
NMR溶媒を重水素化ジメチルスルホキシドに変更する以外は、上記と同様の方法によりイミドジカルボン酸前駆体粉末の加熱処理(イミド化)後においても反応率の測定を行った。
1−3.酸二無水物とモノアミノモノカルボン酸の反応率
1−2.トリカルボン酸無水物とモノアミノモノカルボン酸の反応率と同様の方法によりアミンの反応率を求めた。また、イミドジカルボン酸前駆体粉末の加熱処理(イミド化)後においても同様の方法により反応率の測定を行った。
2.イミド化率の測定
各実施例により得られたイミドジカルボン酸について透過赤外吸収スペクトル(IR)測定を行い、イミド基の吸光度比を求めた。
イミド基に由来する吸収は、通常、1750〜1800cm−1または1350〜1400cm−1の波数領域に検出される。これらの波数に検出される吸収ピークの両サイドの基底部を直線的に結んだ線をベースラインとし、ピークの頂点からベースラインに対し垂直に線を引いた時の交点からピークの頂点までの長さを吸光度とし、算出した。
赤外分光法(IR)
装置:Perkin Elmer製 System 2000 赤外分光装置
方法:KBr法
積算回数:64スキャン(分解能4cm−1
次に、イミド化率の算出法の詳細について述べる
まず、各実施例により得られたイミドジカルボン酸をKBr粉末と混合することによりIR測定用試料を作製し測定を行った。得られたスペクトル中で最も高い吸光度を示すピークの強度が吸光度0.8〜1.0の範囲に入ることを確認し、イミド基の吸光度αを求めた。次に、この試料をオーブンにて窒素気流下350℃の温度で2時間熱処理して、イミド化を100%進行させた。この、100%イミド化させた試料について同じ方法によりIR測定を行い、イミド基に起因する波数の吸光度α´を求めた。このとき試料のイミド化率を次式として求めた。
イミド化率(%)=α/α´×100
3.水分率測定
カールフィッシャー式の水分測定法により求めた。
4.平均粒子径の測定
平均粒子径は、レーザー回折法で測定し、得られた累積分布の累積50%に対する粒子径(メジアン径)の値とした。具体的には、イミドジカルボン酸前駆体粉末0.1〜1.0gをレーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製 マスターサイザー3000)にて測定を行い、粒度分布を得た。得られた累積分布の累積50%に対する粒子径(メジアン径)の値を平均粒子径とした。
5.ポリアミドイミド樹脂の分子量の測定
数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、下記の方法で求めた。先ず、下記の条件で標準ポリスチレンのGPCを測定し、検量線を作成した。引き続き同一の条件により試料のGPCを測定し、ポリスチレン換算の平均分子量を求めた。
(GPC測定条件)
カラム:昭和電工社製Shodex AD−80M/S 3本
プレカラム:昭和電工社製Shodex KD−G 1本
溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(LiBr 50mmol/Lを含む)
流速:1.0mL/min
温度:カラム35℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:UV検出器
較正試料:単分散標準ポリスチレン
6.分岐構造および尿素結合の確認
各実施例により得られたポリアミドイミド樹脂溶液についてH−NMR測定により分岐構造および尿素結合の有無の確認を行った。ポリアミドイミド樹脂溶液およそ50mgを、重水素化ジメチルスルホキシドおよそ1mLに溶解させ、10分間超音波処理を行ったのち下記の条件によりH−NMR測定を行った。
装置:日本電子製JNM−ECA500
測定核種:プロトン
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
温度:25℃
積算回数:128回
得られたH−NMRスペクトルにおいて、9.0〜10.5ppmに検出されるアミド基由来のピークの積分値を100としたとき、5.5〜7.0ppmに積分値として0.2以上のピークが検出される場合、尿素結合が生成していると判断した。
分岐構造については、イミドジカルボン酸のイミド化率が高いほど、得られるポリアミドイミド樹脂において分岐構造の生成が少ないことが推定される。詳しくはイミドジカルボン酸のイミド化率が99.8%以上、特に99.9%以上であると、得られるポリアミドイミド樹脂において分岐構造の生成はほとんどない。特にイミドジカルボン酸のイミド化率が100%であると、得られるポリアミドイミド樹脂において分岐構造の生成は全くない。
[イミドジカルボン酸の作製方法]
(ジイミドジカルボン酸)
実施例1−1
高速回転式粉砕機(容量150mL)の粉砕槽に、無水トリメリット酸を657質量部、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを343質量部、合計100gを添加した。空気雰囲気下で14,000rpm、5分間の撹拌し、メカノケミカル反応を行ってジイミドジカルボン酸前駆体粉末を得た。
得られたジイミドジカルボン酸前駆体粉末のNMR測定より、H−NMRスペクトル中の6.98ppm(ダブレット)付近に両アミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、7.00ppm(ダブレット)、7.07ppm(ダブレット)、7.35ppm(ダブレット)付近に1つのアミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、7.13ppm(ダブレット)4.49ppm(ダブレット)付近に未反応アミンに由来するピークが検出された。この結果より、無水トリメリット酸と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの反応率は57.0%であった。
得られた粉砕物を窒素雰囲気下で、300℃、2時間加熱することによりイミド化反応を行った。得られたジイミドジカルボン酸のイミド化率は100%であり、水分量は330ppmであった。
反応率および当該反応率の算出のためのNMRチャート、イミド化率および当該イミド化率の算出のためのIRチャート、ならびに後述の実施例2−1等において高分子量のポリアミドイミド樹脂が得られることから、所定のジイミドジカルボンが生成しているものと同定した。
実施例1−2〜1−16
アミン組成を変更する以外は、実施例1−1と同様の操作をおこなって、ジイミドジカルボン酸を得た。
各実施例のNMR測定では、実施例1−1と同様に、H−NMRスペクトル中において、両アミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、1つのアミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、および未反応アミンに由来するピークがそれぞれ検出された。
各実施例で得られた粉砕物を窒素雰囲気下で、300℃、2時間加熱することによりイミド化反応を行った。得られたジイミドジカルボン酸のイミド化率および水分量を測定した。
実施例1−1における同定方法と同様の方法により、所定のジイミドジカルボン酸が生成しているものと同定した。
実施例1−17
ダブルヘリカル型の撹拌翼を備えた混合槽に、無水トリメリット酸738質量部を添加し、40℃で撹拌を行った。m−キシリレンジアミン262質量部を、チューブポンプを用いて、2.13質量部/分の速度で添加し二成分の混合粉末を得た。
高速回転式粉砕機(容量150mL)の粉砕槽に、上記の混合粉末を合計100gを添加した。空気雰囲気下で14,000rpm、5分間の撹拌し、メカノケミカル反応を行ってジイミドジカルボン酸前駆体粉末を得た。
本実施例のNMR測定では、実施例1−1と同様に、H−NMRスペクトル中において、両アミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、1つのアミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、および未反応アミンに由来するピークがそれぞれ検出された。
得られた粉砕物を窒素雰囲気下で、300℃、2時間加熱することによりイミド化反応を行った。得られたジイミドジカルボン酸のイミド化率は99.9%であり、水分量は350ppmであった。
実施例1−1における同定方法と同様の方法により、所定のジイミドジカルボン酸が生成しているものと同定した。
実施例1−18〜1−19
アミン組成を変更する以外は、実施例1−17と同様の操作をおこなって、ジイミドジカルボン酸を得た。
各実施例のNMR測定では、実施例1−1と同様に、H−NMRスペクトル中において、両アミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、1つのアミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、および未反応アミンに由来するピークがそれぞれ検出された。
各実施例で得られた粉砕物を窒素雰囲気下で、300℃、2時間加熱することによりイミド化反応を行った。得られたジイミドジカルボン酸のイミド化率および水分量を測定した。
実施例1−1における同定方法と同様の方法により、所定のジイミドジカルボン酸が生成しているものと同定した。
実施例1−20
高速回転式粉砕機(容量150mL)の粉砕槽に、ピロメリット酸二無水物を444質量部、4−アミノ安息香酸を556質量部、合計100gを添加した。空気雰囲気下で14,000rpm、5分間の撹拌し、メカノケミカル反応を行ってジイミドジカルボン酸前駆体粉末を得た。
本実施例のNMR測定では、実施例1−1と同様に、H−NMRスペクトル中において、両アミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、1つのアミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、および未反応アミンに由来するピークがそれぞれ検出された。
得られた粉砕物を窒素雰囲気下で、300℃、2時間加熱することによりイミド化反応を行った。得られたジイミドジカルボン酸のイミド化率は99.8%であり、水分量は300ppmであった。
実施例1−1における同定方法と同様の方法により、所定のジイミドジカルボン酸が生成しているものと同定した。
実施例1−21〜1−43
トリカルボン酸二無水物組成およびアミン組成を変更する以外は、実施例1−20と同様の操作をおこなって、ジイミドジカルボン酸を得た。
各実施例のNMR測定では、実施例1−1と同様に、H−NMRスペクトル中において、両アミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、1つのアミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、および未反応アミンに由来するピークがそれぞれに検出された。
各実施例で得られた粉砕物を窒素雰囲気下で、300℃、2時間加熱することによりイミド化反応を行った。得られたジイミドジカルボン酸のイミド化率および水分量を測定した。
実施例1−1における同定方法と同様の方法により、所定のジイミドジカルボン酸が生成しているものと同定した。
(モノイミドジカルボン酸)
実施例1−44
高速回転式粉砕機(容量150mL)の粉砕槽に、無水トリメリット酸を584質量部、2−アミノ安息香酸を416質量部、合計100gを添加した。空気雰囲気下で14,000rpm、5分間の撹拌し、メカノケミカル反応を行ってモノイミドジカルボン酸前駆体粉末を得た。
本実施例のNMR測定では、実施例1−1と同様に、H−NMRスペクトル中において、両アミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、1つのアミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、および未反応アミンに由来するピークがそれぞれに検出された。
得られた粉砕物を窒素雰囲気下で、300℃、2時間加熱することによりイミド化反応を行った。得られたモノイミドジカルボン酸のイミド化率は100%であり、水分量は320ppmであった。
反応率および当該反応率の算出のためのNMRチャート、イミド化率および当該イミド化率の算出のためのIRチャート、ならびに後述の実施例2−57等において高分子量のポリアミドイミド樹脂が得られることから、所定のモノイミドジカルボンが生成しているものと同定した。
実施例1−45〜1−60
アミン組成を変更する以外は、実施例1−44と同様の操作をおこなって、モノイミドジカルボン酸を得た。
各実施例のNMR測定では、実施例1−1と同様に、H−NMRスペクトル中において、両アミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、1つのアミノ基がアミド化された反応物に由来するピーク、および未反応アミンに由来するピークがそれぞれに検出された。
各実施例で得られた粉砕物を窒素雰囲気下で、300℃、2時間加熱することによりイミド化反応を行った。得られたモノイミドジカルボン酸のイミド化率および水分量を測定した。
実施例1−44における同定方法と同様の方法により、所定のモノイミドジカルボン酸が生成しているものと同定した。
[イミドジカルボン酸溶液およびポリアミドイミド樹脂溶液の作製]
実施例2−1
実施例1−1で得られたイミドジカルボン酸687質量部を温度計、還流冷却器、撹拌機を備えたセパラブルフラスコに加え、窒素雰囲気下で200℃に加熱したN−メチル−2−ピロリドン2933質量部に溶解しイミドジカルボン酸溶液を得た。
一方で、常温にてジフェニルメタンジイソシアネート313質量部をN−メチル−2−ピロリドン627質量部に溶解させたジイソシアネート溶液を作製した。
窒素雰囲気下で200℃に保持したイミドジカルボン酸溶液に対して、撹拌を行いながらジイソシアネート溶液を0.83質量%/分の速度で滴下した。滴下終了後、200℃に保持しながら2時間撹拌したのち冷却し、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。得られたポリアミドイミド樹脂に尿素結合は含まれず、分子量は32500であった。
実施例2−2〜2−64
イミドジカルボン酸およびジイソシアネートの組成、N−メチル−2−ピロリドンとの混合比を変更する以外は、実施例2−1と同様の操作をおこなって、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。各実施例で得られたポリアミドイミド樹脂に尿素結合は含まれていなかった。
実施例2−65
実施例1−1で得られたイミドジカルボン酸703質量部を温度計、還流冷却器、撹拌機を備えたセパラブルフラスコに加え、窒素雰囲気下で200℃に加熱したN−メチル−2−ピロリドン3045質量部に溶解しイミドジカルボン酸溶液を得た。
一方で、常温にてジフェニルメタンジイソシアネート241質量部および2,4‘−トリレンジイソシアネート56質量部をN−メチル−2−ピロリドン593質量部に溶解させたジイソシアネート溶液を作製した。
窒素雰囲気下で200℃に保持したイミドジカルボン酸溶液に対して、撹拌を行いながらジイソシアネート溶液を0.83質量%/分の速度で滴下した。滴下終了後、200℃に保持しながら2時間撹拌したのち冷却し、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。得られたポリアミドイミド樹脂に尿素結合は含まれず、分子量は34300であった。
実施例2−66〜2−80
イミドジカルボン酸およびジイソシアネートの組成、N−メチル−2−ピロリドンとの混合比を変更する以外は、実施例2−65と同様の操作をおこなって、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。各実施例で得られたポリアミドイミド樹脂に尿素結合は含まれていなかった。
実施例2−81
実施例1−1で得られたイミドジカルボン酸530質量部および実施例1−3で得られたイミドジカルボン酸147質量部を温度計、還流冷却器、撹拌機を備えたセパラブルフラスコに加え、窒素雰囲気下で200℃に加熱したN−メチル−2−ピロリドン3074質量部に溶解しイミドジカルボン酸溶液を得た。
一方で、常温にてジフェニルメタンジイソシアネート323質量部をN−メチル−2−ピロリドン645質量部に溶解させたジイソシアネート溶液を作製した。
窒素雰囲気下で200℃に保持したイミドジカルボン酸溶液に対して、撹拌を行いながらジイソシアネート溶液を0.83質量%/分の速度で滴下した。滴下終了後、200℃に保持しながら2時間撹拌したのち冷却し、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。得られたポリアミドイミド樹脂に尿素結合は含まれず、分子量は36300であった。
実施例2−82〜2−88
イミドジカルボン酸およびジイソシアネートの組成、N−メチル−2−ピロリドンとの混合比を変更する以外は、実施例2−81と同様の操作をおこなって、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。各実施例で得られたポリアミドイミド樹脂に尿素結合は含まれていなかった。
Figure 2020012104
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比較例1
特許第02829354号の実施例1に準じてポリアミドイミド樹脂の作製を実施した。詳しくは以下の通りである。
[イミドジカルボン酸の作製]
還流冷却器を連結したコック付き25mLの水分定量受器、温度計、撹拌機を備えた1リットルのセパラブルフラスコにジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル34.3g(0.5モル)、無水トリメリット酸65.7g(1.0モル)を、非プロトン性溶媒としてNMP(N−メチル−2−ピロリドン)486.4gを仕込み、80℃で30分間撹拌した。そして水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン81.0gを投入してから温度を上げ、水を除去しながら約160℃で2時間還流させた。
このとき、イミド化反応の進行とともに固形分が析出し、不透明な溶液状態となった。その後、190℃まで温度を上げて、トルエンを除去することにより均一溶液となった。
得られた溶液について、イミドジカルボン酸のイミド化率の測定を行ったところ、イミド化率は89.7%であった。
[ポリアミドイミド樹脂の作製]
得られたイミドジカルボン酸溶液を室温に戻し、芳香族ジイソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアネート42.8g(0.5モル)を投入し、190℃で2時間反応させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。得られたポリアミドイミド樹脂溶液中には、ゲル状の未溶解物が含まれており、さらに、可溶分についてNMR測定を行ったところ尿素結合に由来するピークが検出された。分子量は8410であった。
本発明の製造方法は、溶媒中での煩雑なイミド化工程や溶媒からの水分除去工程を必要としないため、低コストかつ簡便に、分子量が十分に高い、さまざまな組成のポリアミドイミド樹脂を製造することができる。このため、本発明の方法は、ポリアミドイミド樹脂の製造分野において、環境負荷、作業環境、ならびに直鎖状ポリアミドイミドの純度および高分子量化等の観点から有用である。

Claims (13)

  1. メカノケミカル効果を利用して、トリカルボン酸無水物系化合物とジアミン系化合物またはモノアミノモノカルボン酸系化合物とを反応させるか、またはテトラカルボン酸無水物系化合物とモノアミノモノカルボン酸系化合物とを反応させ、加熱によりイミド化することによりイミドジカルボン酸を製造する工程;および
    有機溶媒中で、前記イミドジカルボン酸とジイソシアネートを反応させる工程;
    を含むことを特徴とするポリアミドイミド樹脂の製造方法。
  2. 前記トリカルボン酸無水物系化合物と該化合物に対して0.3〜0.7倍モル量の前記ジアミン系化合物との反応により、ジイミドジカルボン酸前駆体を製造する、請求項1に記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
  3. 前記テトラカルボン酸無水物系化合物と該化合物に対して1.8〜2.2倍モル量の前記モノアミノモノカルボン酸系化合物との反応により、ジイミドジカルボン酸前駆体を製造する、請求項1に記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
  4. 前記トリカルボン酸無水物系化合物と該化合物に対して0.8〜1.2倍モル量の前記モノアミノモノカルボン酸系化合物との反応により、モノイミドジカルボン酸前駆体を製造する、請求項1に記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
  5. 前記メカノケミカル効果を利用した反応および前記加熱によるイミド化は無溶媒反応である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
  6. 前記メカノケミカル効果を利用した反応を、原料化合物の平均粒子径が500μm以下になるまで行う、請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
  7. 前記加熱によるイミド化を、前記メカノケミカル効果を利用した反応の間および/または後に行う、請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
  8. 前記イミド化を、100〜450℃の温度で10分〜16時間加熱することにより行う、請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
  9. 前記イミドジカルボン酸が95.0%以上のイミド化率を有する、請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
  10. 前記イミドジカルボン酸が10〜10000ppmの水分量を有する、請求項1〜9のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
  11. 前記イミドジカルボン酸と前記ジイソシアネートとの反応を、80〜250℃の温度で1〜16時間撹拌することにより行う、請求項1〜10のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
  12. 前記ジイソシアネートを2回以上にわけて反応させる、請求項1〜11のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
  13. 前記ポリアミドイミド樹脂が2000〜300000の平均分子量を有する、請求項1〜12のいずれかに記載のポリアミドイミド樹脂の製造方法。
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