JP2016017085A - 電気絶縁用材料、電気絶縁物、電気絶縁塗料および電気絶縁電線 - Google Patents

電気絶縁用材料、電気絶縁物、電気絶縁塗料および電気絶縁電線 Download PDF

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Abstract

【課題】被塗物(特に、金属銅等の導体への樹脂塗布物、エナメル線など)の熱履歴のない場合だけでなく熱履歴後でも密着性の優れたイミド結合又はアミド結合を含む樹脂を含む電気絶縁用材料を提供するものである。【解決手段】繰り返し単位としてエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドの構造を含む単位(a)、繰り返し単位としてエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドの構造を含む単位またはこの単位とは異なる構造の単位からなる単位(b)並びに単位(a)と単位(b)を連結する結合(x)を分子内に含み、結合(x)として又はその他の結合として、イミド結合又はアミド結合を含む樹脂を含有する電気絶縁用材料。【選択図】なし

Description

本発明は、密着性、特に、導体との密着性が良好で、しかも、特に熱履歴をうけた後の密着性に優れた電気絶縁用材料並びにそれを用いた電気絶縁物、電気絶縁塗料および電気絶縁電線に関する。
近年、エナメル線を使用する各社では、生産効率向上・最終製品の性質向上に際して、エナメル線加工時に伸長、摩擦、衝撃、屈曲等がますます強く加わるようになってきた。それらの過酷な環境にも耐えられるよう、エナメル線にも様々な特性アップが要求されている。そのひとつに、ワニス皮膜と導体との密着性向上、特に熱履歴後の密着性の向上が挙げられる。これまでワニスと導体との密着性を向上させる手段として、テトラゾール化合物(チオール基を有するものを含む)やメラミン樹脂等を添加するというものがあったが、この方法を用いるとワニスの保存安定性が低下するとともに、熱履歴を受けたエナメル線においては導体と皮膜の密着性が極端に低下するという問題があった(特許文献1参照)。
また、金属板その他への電気絶縁などにおいても、密着性の向上が課題となっており、特に、上述したように熱履歴後にも優れた密着性を有するものが、望まれている。
特開2006−342253号公報
前記したように、これまで樹脂(ワニス)と被塗物(金属銅等の導体)との密着性を向上させる手段としてはテトラゾール化合物等の密着性向上成分を添加する方法があったが、被塗物(エナメル線)に熱履歴をうけたあとは被塗物(導体)と樹脂皮膜の密着性が極端に低下する(密着性向上成分を入れていないものよりも低くなる)という問題があった。したがって、熱履歴のないものでは高い密着性を保持する場合でも、熱をうけるとともに密着性が低下し、場合によっては絶縁皮膜の剥離により絶縁性が失われることが起こりうる。
本発明は、このような問題を解決するものであり、被塗物等の適用物(特に、金属銅等の導体への樹脂塗布物、エナメル線など)の熱履歴のない場合だけでなく熱履歴後でも密着性の優れたイミド結合又はアミド結合を含む樹脂を含む電気絶縁用材料ならびにこれを用いた電気絶縁物、電気絶縁塗料および電気絶縁電線を提供するものである。
本発明は、次のものに関する。
1. 繰り返し単位としてエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドの構造を含む単位(a)、繰り返し単位としてエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドの構造を含む単位またはこの単位とは異なる構造の単位からなる単位(b)並びに単位(a)と単位(b)を連結する結合(x)を分子内に含み、結合(x)として又はその他の結合として、イミド結合又はアミド結合を含む樹脂を含有する電気絶縁用材料。
2. 樹脂が、繰り返し単位としてエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドの構造を含む単位が一般式(i)
Figure 2016017085
(ただし、一般式(i)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、−H、−CHおよび−Cのうちのいずれかであり、K、KおよびKは、それぞれ独立に、−CHまたは結合であって、K、KおよびKのうち少なくともひとつは結合であり、nは0または1、x+y+zは2〜100である)
または一般式(ii)
Figure 2016017085
(ただし、一般式(ii)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、−H、−CHおよび−Cのうちのいずれかであり、KおよびKは、それぞれ独立に−CHまたは結合であって、KおよびKのうち少なくとも一方は結合であり、x+y+zは2〜100である)
であらわされる単位として存在する樹脂である項1記載の電気絶縁用材料。
3. 樹脂が、単位(a)と単位(b)を連結する結合(x)が、イミド結合、アミド結合、エステル結合およびウレタン結合のうち少なくとも1種を含む樹脂である項1または項2のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
4. 樹脂が、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂またはイミド基含有ポリウレタン樹脂である項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
5. 樹脂が、単位(a)に追加してまたは単位(b)の一部として、一般式(iii)
Figure 2016017085
(ただし、一般式(iii)中、KおよびKはそれぞれ独立に−CHまたは結合であって、少なくとも一方は結合であり、Zは−CH、−CO−、−SO−、−O−または単結合のいずれかである)
であらわされる単位(c)を有する樹脂である項1〜4のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
6. 樹脂が、単位(a)を含む特定の化合物〔化合物(A)〕並びにこの化合物(A)と反応性の官能基を1以上有する化合物〔化合物(B)〕を反応させる工程(第1工程)を含む方法により得られる樹脂である項1〜5のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
7. 化合物(A)が、一般式(iv)
Figure 2016017085
(ただし、一般式(iv)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、−H、−CHおよび−Cのうちのいずれかであり、Q、QおよびQは、それぞれ独立に、−CH、−NH、−NCO、−C(CH)NH、−OHおよび−COOHのうちのいずれかであってQ、QおよびQのすべてが−CHということはなく、nは0または1、x+y+zは2〜100である)または一般式(v)
Figure 2016017085
(ただし、一般式(v)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、−H、−CHおよび−Cのうちのいずれかであり、QおよびQは、それぞれ独立に−CH、−NH、−NCO、−C(CH)NH、−OHおよび−COOHのうちのいずれかであって、QおよびQのすべてが−CHということはなく、x+y+zは2〜100である)で表される化合物の中から選択される少なくとも一種である項6に記載の電気絶縁用材料。
8. 化合物(A)の分子量が100〜7,000である項6又は項7のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
9. 化合物(A)が、ジイソシアネート化合物もしくはジアミン化合物、化合物(B)がトリカルボン酸無水物化合物であり、得られる樹脂がポリアミドイミド樹脂である項6〜8のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
10. 化合物(A)が、ジイソシアネート化合物もしくはジアミン化合物、化合物(B)がトリカルボン酸無水物もしくはその誘導体であり、化合物(A)と化合物(B)の反応生成物が、イミド基含有ジカルボン酸化合物であり、化合物(A)と化合物(B)を反応させる工程(第1工程)のあと、ジイソシアネート化合物もしくはジアミン化合物を追加して反応させる工程を行い、生成される樹脂がポリアミドイミド樹脂である項6〜9のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
11. 樹脂が、化合物(A)に追加して若しくは化合物(B)の一部として、または、第1工程の後追加して、一般式(vi)
Figure 2016017085
(ただし、一般式(vi)中、QおよびQは−CH、−NH、−NCO、−C(CH)NH、−OHおよび−COOHのうちのいずれかであり、QおよびQのすべてが−CHということはなく、Zは−CH、−CO−、−SO、−O−または単結合のいずれかである)で表される脂環式化合物(C)を反応させて得られる樹脂である項6〜10のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
12. 樹脂が、化合物(A)に追加してまたは化合物(B)の一部として、または、第1工程の後追加して、一般式(vii)
Figure 2016017085
(ただし、一般式(vii)中、Q8およびQ9は−CH、−NH、−NCOおよび−C(CH)NHのうちのいずれかであり、Q8およびQ9のすべてが−CHということはなく、Zは−CH、−CO−、−SO−、−O−または単結合のいずれかである)で表される脂環式化合物(C')を反応させて得られる樹脂である項6〜10のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
13. 樹脂の数平均分子量が1,000〜100,000である項1〜12のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
14. 項13に記載の電気絶縁用材料を導体上に塗布、焼付けてなる電気絶縁物。
15. 項1〜13のいずれかに記載の電気絶縁用材料を含有して成る電気絶縁塗料。
16. 項15に記載の電気絶縁塗料を導体上に塗布、焼付けてなる電気絶縁電線。
本発明に係る電気絶縁物又は電気絶縁塗料は、被塗物(特に、金属銅等の導体など)との密着性が向上し、熱履歴後でもその密着性が低下しにくい。したがって、これらを用いて得られる電気絶縁物や電気絶縁電線は、自動車用モータ等、加工時に大きな力のかかるものへの使用に適し、さらに使用時に大きな熱がかかるものへの使用に有用である。
本発明における樹脂は、繰り返し単位としてエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドの構造を含む単位(a)を含むものであり、単位(a)としては、具体的には、前記した一般式(i)または一般式(ii)で表されるものがある。
単位(b)は、単位(a)と同じでも異なっていてもよい。
単位(a)とは異なる単位(b)としては、ヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族基、脂環式基もしくは脂肪族基またはこれらが組み合わさって結合しているものがあり、これらの同一または異なった基が、酸素原子、イオウ原子、スルホニル基、カルボニル基、イミノ基等を介して結合していてもよい。
また、単位(a)は、樹脂骨格の内部に位置してもよく、末端に位置していてもよい。
結合(x)は、イミド結合、アミド結合、エステル結合、ウレタン結合等であり、単位(a)と単位(b)を結合するものであれば、特に限定はなく、場合により、単結合であってもよい。また、これらと同じ結合によって単位(b)同士が連結されていてもよく、また、これらの結合が単位(b)のなかに含まれていてもよい。また、単位(b)のなかに、結合(x)に相当するものが含まれていてもよい。
本発明における樹脂は、イミド結合またはアミド結合を有する樹脂であり、これらの結合は、前記した結合(x)として、又は、その他の結合として、樹脂中に含まれており、特に、結合(x)として含まれていることが好ましい。本発明では、イミド結合またはアミド結合を有する樹脂に単位(a)の構造を導入することにより、樹脂の密着性、特に、熱履歴後の密着性を改善することができる。
本発明における樹脂は、たとえば、その中に、樹脂の種類を特徴付ける結合を含む樹脂からなり、具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、イミド基含有ポリウレタン樹脂等がある。
本発明における樹脂は、単位(a)を分子内に有することにより、樹脂の密着性を向上させるという作用効果を奏するが、この作用効果を強化する成分として、単位(c)として、前記一般式(iii)で表される単位を樹脂分子内に有していてもよい。
単位(c)は、前記した結合(x)を介して、単位(a)または単位(b)に連結されていることが好ましい。
本発明における樹脂は、前記した単位(a)を含む特定の化合物〔化合物(A)〕および前記単位(b)を含む化合物〔以下、化合物(B)という〕であって、互いに反応性の官能基を有する化合物を前記した結合(x)を形成するように反応させる工程(第1工程)を含む方法により作製することができる。この工程(第1工程)により目的の樹脂を作製することができ、また、この工程(第1工程)により、上記結合(x)を含む中間体を形成し、この中間体の官能基と反応性の官能基を有する化合物をさらに反応させる工程を経て、すなわち、段階的な工程を経て、目的の樹脂を作製することもできる。
本発明における樹脂は、具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を作製するための公知の手法を採用して製造することができる。また、上記の結合(x)を含む中間体としては、例えば、下記するようなイミド基含有ジカルボン酸化合物などがある。
前記した化合物(A)としては、単位(a)の部分で異なるものを複数使用してもよい。また、化合物(B)として、単位(a)を含み化合物(A)の官能基と反応性の官能基を有する化合物〔化合物(B)〕として使用することができる。化合物(B)として、単位(a)は含まず、化合物(A)と反応性の官能基を有する化合物〔化合物(B)〕が使用できることは言うまでもない。また、単位(a)を含まず、化合物(A)と同じ官能基を有する化合物〔化合物(A')〕を適宜併用することができる。
前記した単位(c)を含む化合物〔以下、化合物(C)という〕は、化合物(A')又は化合物(B)として使用することができる。
単位(a)を含む化合物〔化合物(A)として、さらに、場合により化合物(B)[化合物(B)]として使用される〕としては、前記一般式(iv)または一般式(v)で表される化合物がある。前記一般式(iv)において、Q、QおよびQのうち少なくとも1個は反応性の官能基(メチル基以外の基)であるが、2個または3個は反応性の官能基であることが好ましい。また、一般式(v)において、QおよびQのうち少なくとも1個は反応性の官能基(メチル基以外の基)であるが、2個ともが反応性の官能基であることが好ましい。
化合物(C)としては、一般式(vi)で表される化合物〔脂環式化合物(C)〕または一般式(vii)で表される化合物〔脂環式化合物(C')、これには官能基としてアミノ基またはイソシアネート基が含まれる〕があるが、一般式(vi)においてQおよびQ、一般式(vii)においてQ8およびQ9は、それぞれ、少なくとも一個は、反応性の官能基(メチル基以外の基)であるが、2個ともが反応性の官能基であることが好ましい。
単位(a)を含む化合物のうち、一般式(iv)で表される化合物としては、たとえばHuntsman Corporation製のJEFFAMINE T seriesのT−403(R=−C、R=R=R=−CH、Q1=Q2=Q3=−NH、n=1、x+y+z=5〜6、分子量440)、T−3000(R=−C、R=R=R=−CH、Q1=Q2=Q3=−NH、n=0、x+y+z=50、分子量3000)、T−5000(R=−C、R=R=R=−CH、Q1=Q2=Q3=−NH、n=0、x+y+z=85、分子量5000)などが、入手可能である。
また、単位(a)を含む化合物のうち一般式(v)で表される化合物としては、たとえばHuntsman Corporation製のJEFFAMINE D seriesのD−230(R=−CH、Q=−C(CH)NH、Q=−NH、z〜2.5、x=y=0、分子量230)、D−400(R7=−CH、Q=−C(CH)NH、Q=−NH、z〜6.1、x=y=0、分子量430)、D−2000(R7=−CH、Q=−C(CH)NH、Q=−NH、z〜33、x=y=0、分子量2000)、D−4000(R=−CH、Q=−C(CH)NH、Q=−NH、z〜68、x=y=0、分子量4000)、同じくHuntsman Corporation製のJEFFAMINE ED seriesのED−600(R=R=−CH、R=H、Q=−C(CH)NH、Q=−NH、x+z〜3.6、y〜9.0、分子量600)、ED−900(R=R=−CH、R=H、Q=−C(CH)NH、Q=−NH、x+z〜6.0、y〜12.5、分子量900)、ED−2003(R=R=−CH、R=H、Q=−C(CH)NH、Q=−NH、x+z〜6.0、y〜39、分子量2000)などが、入手可能である。
これらの化合物は、単独でも組み合わせても使用できる。
前記した化合物(C)としては、たとえば新日本理化(株)製のワンダミンHM(Z=、Q(Q)=、Q(Q)=)などが入手可能である。
本発明における樹脂として、ポリアミドイミド樹脂は、公知の手法により製造することができる。すなわち、ポリアミドイミド樹脂は、トリカルボン酸無水物化合物に対して、アミノ基若しくはイソシアネート基を有する化合物、特に、ジイソシアネート化合物もしくはジアミン化合物を反応させて得られる。
この場合、本発明において、化合物(A)は、アミノ基若しくはイソシアネート基を有する化合物、特に、ジイソシアネート化合物もしくはジアミン化合物として使用されることが好ましく、トリカルボン酸無水物化合物は、化合物(B)として使用される。また、必要に応じて使用される化合物(C)は、アミノ基若しくはイソシアネート基を有する化合物、特に、ジイソシアネート化合物もしくはジアミン化合物として使用されることが好ましい。
また、この場合、ジイソシアネート化合物もしくはジアミン化合物として、化合物(A)および化合物(C)以外の、ポリアミドイミド樹脂の原料として知られているジイソシアネート化合物もしくはジアミン化合物を〔化合物(A')として〕併用することができる。
さらに、酸成分として、トリカルボン酸無水物化合物とともにテトラカルボン酸二無水物、ジカルボン酸化合物を必要に応じて併用することができる。これらは、化合物(B)として使用されるが、ジカルボン酸化合物としては、単位(a)を含む化合物〔化合物(B)〕または化合物(C)に該当する化合物を使用してもよい。
前記トリカルボン酸無水物化合物として、トリカルボン酸無水物またはその誘導体があり、例えば、下記一般式(I)又は式(II)で示される酸無水物基を有する3価のカルボン酸無水物があるが、イソシアネート基又はアミノ基と反応する酸無水物基とカルボキシル基を有する化合物であれば、その誘導体を含め特に制限はない。耐熱性を考慮すると芳香族基を有するものが好ましく、耐熱性、コスト面とも考慮すれば、トリメリット酸無水物が特に好ましい。これらは、目的に応じて単独又は混合して用いられる。
Figure 2016017085
(一般式(I)において、Yは−CH−、−CO−、−SO−又は−O−を示す。)
Figure 2016017085
前記したテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−スルホニルジフタル酸二無水物、m−ターフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などがある。
また、ジカルボン酸化合物としてテレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などを使用することができる。
前記したジイソシアネート化合物もしくはジアミン化合物〔ただし、化合物(A)および化合物(C)以外のものであって、化合物(A')に該当するもの〕としては、耐熱性の観点から芳香族化合物が好ましい。
芳香族ジイソシアネート化合物若しくは芳香族ジアミノ化合物としては、下記一般式(III)、(IV)または(V)で示される二価のアミノ基又はイソシアネート基を有する芳香族化合物が好ましい。
Figure 2016017085
Figure 2016017085
Figure 2016017085
これらの式中、Rはアルキル基、水酸基又はアルコキシ基であり、Rはアミノ基またはイソシアネート基である。Rのアルキル基又はアルコキシ基としては炭素数1〜20のものが好ましい。
一般式(III)、(IV)又は(V)で示される芳香族ジイソシアネート化合物又は芳香族ジアミノ化合物として、例えば、4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4′−ジイソシアナトビフェニル、3,3′−ジイソシアナトビフェニル、3,4′−ジイソシアナトビフェニル、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジイソシアナト−2,2′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジエチルビフェニル、4,4′−ジイソシアナト−2,2′−ジエチルビフェニル、4,4′−ジイソシアナト−3,3′−ジメトキシビフェニル、4,4′−ジイソシアナト−2,2′−ジメトキシビフェニル、1,5−ジイソシアナトナフタレン、2,6−ジイソシアナトナフタレン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、3,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジアミノ−2,2′−ジメチルビフェニル、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチルビフェニル、4,4′−ジアミノ−2,2′−ジエチルビフェニル、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメトキシビフェニル、4,4′−ジアミノ−2,2′−ジメトキシビフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン等があり、これらを単独でも、また、組み合わせても使用することができる。
また、芳香族ジイソシアネート化合物若しくは芳香族ジアミノ化合物としては、上記以外の芳香族ジイソシアネート化合物又は芳香族ジアミノ化合物、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジイソシアナトジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4′−イソシアナトフェノキシ)フェニル]プロパン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル等を使用することができる。
また、ジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジアミノイソホロン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,4−ジアミノトランスシクロヘキサン、水添m−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアナトイソホロン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,4−ジイソシアナトトランスシクロヘキサン、水添m−キシリレンジイソシアネート等の脂肪族若しくは脂環式イソシアネート化合物を使用することができるが、これらを使用するときは、前記した芳香族ジイソシアネート化合物又は芳香族ジアミノ化合物を併用することが耐熱性の観点から好ましい。これらの使用量は、得られる樹脂の耐熱性等の観点から、ジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物全量の50モル%以下が好ましい。3官能以上のポリイソシアネート化合物を併用することもできる。
芳香族ジイソシアネート化合物若しくは芳香族ジアミノ化合物としては、耐熱性、溶解性、機械特性、コスト面等のバランスを考慮すれば、4,4′−ジイソシアナトジフェニルメタン若しくは4,4’−ジアミノジフェニルメタンが特に好ましい。
また、ジイソシアネート化合物は、経日変化を避けるために必要な場合ブロック剤でイソシアネート基を安定化したものを使用してもよい。ブロック剤としてはアルコール、フェノール、オキシム等があるが、特に制限はない。
本発明における樹脂であるポリアミドイミド樹脂の作製にあたって、酸成分のカルボキシル基及び酸無水物基並びに反応性の水酸基を有するときはこれを含めた総数(ア)に対するジイソシアネート化合物若しくはジアミノ化合物のアミノ基及びイソシアネート基の総数(イ)との比〔(ア)/(イ)〕が当量比で0.6/1〜1.4/1となるようにすることが好ましく、0.7/1〜1.3/1となるようにすることがより好ましく、0.8/1〜1.2/1となるようにすることが特に好ましい。この比が小さくなりすぎると樹脂の分子量を高くすることが困難となる傾向があり、この比が大きくなりすぎると、反応時の発泡が激しくなり、未反応物の残存量が多くなり、樹脂の粘度安定性が悪くなる傾向がある。
また、本発明における樹脂であるポリアミドイミド樹脂の作製にあたって、単位(a)を含む化合物および必要に応じて使用される化合物(C)は、それらの総量が、全反応物の0.5〜50モル%になるように使用されることが好ましい。
単位(a)を含む化合物および化合物(C)をジイソシアネート化合物若しくはジアミノ化合物として使用するときは、単位(a)を含む化合物および化合物(C)以外のジイソシアネート化合物若しくはジアミノ化合物は、ジイソシアネート化合物若しくはジアミノ化合物の総量に対して0〜99モル%使用されることが好ましく、0〜50モル%使用されることがより好ましく、特に、0〜30モル%使用することが好ましい。単位(a)を含む化合物および化合物(C)の使用割合が少なすぎると、密着性向上の効果が低下しやすくなる。
単位(a)を含む化合物と化合物(C)の総量に対して、単位(a)を含む化合物が0〜99モル%使用されることが好ましく、50〜80モル%使用されることがより好ましく、特に、60〜80モル%使用することが好ましい。
反応温度
本発明におけるポリアミドイミド樹脂は例えば次の製造法で得ることができる。
(1)反応物を一度に使用し、反応させてポリアミドイミド樹脂を合成する方法。
(2)酸性分に対し、ジイソシアネート化合物若しくはジアミノ化合物を過剰量反応させて末端にアミノ基若しくはイソシアネート基を有するアミドイミドオリゴマーを合成した後、酸性分を追加し反応させてポリアミドイミド樹脂を合成する方法。
(3)過剰量の酸性分とジイソシアネート化合物若しくはジアミノ化合物を反応させて末端に酸又は酸無水物基を有するアミドイミドオリゴマー若しくはイミド基含有ポリカルボン酸化合物を合成した後、酸性分および(ジイソシアネート化合物若しくはジアミノ化合物を追加し反応させてポリアミドイミド樹脂を合成する方法。
(4)トリカルボン酸無水物化合物とジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物をアミノ基若しくはイソシアネート基の総量と酸無水物基の総量が等当量またはほぼ等当量となるように反応させて両末端にカルボキシル基を有するイミド基含有ポリカルボン酸化合物を合成した後、ジイソシアネート化合物若しくはジアミノ化合物および必要に応じて酸性分を(追加する酸成分+両末端にカルボキシル基を有するイミド基含有ジカルボン酸化合物)/(追加するジイソシアネート化合物若しくはジアミノ化合物)が当量比で0.9/1〜1.4/1になるように追加し、さらに反応させる方法(このとき、イミド基含有ポリカルボン酸化合物以外の多価カルボン酸を併用してもよい)。
これらのうち、上記(4)の方法が、特に好ましい。この方法について、さらに、説明する。
化合物(A)および必要に応じて用いられる化合物(C)は、上記のジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物(追加的なジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物ではなく)として使用することができる。この場合、トリカルボン酸無水物化合物は、化合物(B)として使用されるが、その後で反応した追加的なジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物とともに、単位(b)を形成することになる。また、このとき、結合(x)は、イミド基含有ポリカルボン酸化合物分子内のイミド結合である。この場合において、ジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物として化合物(A)および化合物(C)以外の化合物を併用することができる。
化合物(A)および必要に応じて用いられる化合物(C)は、上記した追加的なジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物としてのみ使用することができる。この場合、イミド基含有ポリカルボン酸化合物(単位(a)を含まない)は、化合物(B)として使用される。従って、前記結合(x)は、アミド結合である。この場合において、追加的なジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物として化合物(A)および化合物(C)以外の化合物を併用することができる。
また、化合物(A)および必要に応じて用いられる化合物(C)は、上記のジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物並びに追加的なジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物の両方として使用してもよい。この場合、結合(x)は、イミド結合およびアミド結合である。この場合、ジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物として、また、追加的なジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物として、化合物(A)および化合物(C)以外の化合物を併用することができる。
以上の場合において、単位(a)を含む化合物および必要に応じて使用される化合物(C)は、ジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物、トリカルボン酸無水物化合物並びに追加的なジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物の総量に対して、0.5〜50モル%使用されることが好ましい。
トリカルボン酸無水物化合物とジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物を反応させて得られるポリアミドイミド樹脂は、例えば、次に示す一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 2016017085
(ただし、式中Xは、トリカルボン酸無水物化合物の残基であって3価の有機基であり、Rは、ジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物の残基であって2価の有機基である。)
この樹脂の製造に際し、ジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として、化合物(A)を使用した場合、Rが単位(a)であり、Xは単位(b)であり、結合(x)はイミド結合とアミド結合である。
また、前記のイミド基含有ポリカルボン酸化合物は、例えば、次の一般式(2)で表される化合物(ジイミドジカルボン酸化合物)である。
Figure 2016017085
(ただし、式中Xは、トリカルボン酸無水物化合物の残基であって3価の有機基であり、R´は、ジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物の残基であって2価の有機基である。)
この化合物の製造に際し、ジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として、化合物(A)を用いた場合、単位(a)となるR´が樹脂の作製前に、中間体であるジイミドジカルボン酸化合物に組み込まれていることになる。
上記の一般式(2)で表されるジイミドジカルボン酸化合物と追加的なジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物を反応させて得られるポリアミドイミド樹脂は、例えば、次に示す一般式(3)で表される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 2016017085
(ただし、式中Xは、トリカルボン酸無水物化合物の残基であって3価の有機基であり、RおよびR´は、それぞれ独立に、ジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物の残基であって2価の有機基である。)
この樹脂の製造に際し追加的なジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として、また、ジイミドジカルボン酸化合物の製造に際しジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として、それぞれ、化合物(A)を使用した場合、RおよびR´が単位(a)であり、Xが単位(b)であり、結合(x)はイミド結合およびアミド結合である。
また、この樹脂の製造に際し追加的なジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として化合物(A)を使用せず、ジイミドジカルボン酸化合物の製造に際しジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として化合物(A)を使用した場合、R´が単位(a)であり、X、Rおよびこれらを連結するアミド結合が組み合わさっては単位(b)を構成し、結合(x)はイミド結合である。
また、この樹脂の製造に際し追加的なジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として化合物(A)を使用し、また、ジイミドジカルボン酸化合物の製造に際しジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として化合物(A)を使用しない場合、Rが単位(a)であり、X、R´およびこれらを連結するイミド結合が組み合わさって単位(b)を構成し、結合(x)はアミド結合である。
ポリアミドイミド樹脂の合成時に使用される溶媒の反応時の使用量は、そのときの反応物の全量100重量部に対して、100〜300重量部とすることが好ましく、150〜250重量部とすることがより好ましい。合成溶媒の使用量が少なすぎると、反応時の発泡が起こりやすくなり、多すぎると合成時間が長くなる傾向があり、また、樹脂濃度が低くなるため、合成液を使用して塗料化した際に厚膜化しにくくなる傾向がある。
上記合成溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素〔1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジミン−2(1H)−オン〕、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン等の極性溶媒、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などが使用される。
以上の合成において、トリカルボン酸無水物化合物の代わりに、トリカルボン酸無水物クロライドを用いてもよい。
このようにして得られたポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は9,000〜90,000のものであることが好ましい。数平均分子量が小さすぎると、塗料としたときの造膜性が悪くなる傾向があり、数平均分子量が大きすぎると、塗料として適正な濃度で溶媒に溶解したときに粘度が高くなり、塗装時の作業性が悪化する傾向がある。このことから、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、10,000〜50,000にすることがより好ましい。
上記範囲内への数平均分子量の調整は、必要な時間、合成を継続するように管理することにより行うことができる。
なお、本明細書において、樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値とする。
また、本発明における樹脂として、ポリイミド樹脂は、公知の手法により製造することができる。すなわち、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を、反応させてポリアミド酸を生成させる。このとき、このポリアミド酸は一部イミド化していてもよく、これらを総称してポリイミド樹脂前駆体という。ポリイミド樹脂前駆体は有機溶剤に可溶性であることが好ましい。一般にポリイミド樹脂前駆体は、有機溶剤に溶けやすい。反応温度は80℃以下で行うことが好ましく、0〜50℃で行うことが特に好ましい。反応温度を高くするとイミド化が進むが、それでも、樹脂が溶剤可溶性であれば、反応温度は250℃程度まで昇温してもよい。ポリイミド樹脂前駆体は、有機溶剤に溶解させて、被塗物に塗布したり、コイル等に含浸したりなどした後、加熱乾燥すると完全にイミド化されポリイミド樹脂とすることができる。また、前記ポリイミド樹脂前駆体は、それから得られるポリイミド樹脂が溶剤に可溶であるならば、予め、イミド化しておくことができる。イミド化には、前記の反応を120〜250℃で行う熱イミド化、脱水剤の存在下に反応させる化学イミド化がある。脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等が好ましく、1モルに対して1〜8モル使用することが好ましい。また、このとき、脱水触媒としてピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、アミノピリジン、イミダゾール等を必要に応じて使用することができる。脱水触媒はテトラカルボン酸二無水物1モルに対して1〜8モル使用することが好ましい。
上記、有機溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、γ‐ブチロラクトン、N−ビニル−ピロリドン、ジイソブチルケトン、ブチルセロソルブアセテートなどのl種または2種以上が用いられる。
また、ポリイミド樹脂は、上記のジアミン化合物に代えてジイソシアネート化合物を用いることができるが、この場合は、直接ポリイミド樹脂が生成するので、ポリイミド樹脂が有機溶剤に可能な場合に行うことが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物は、モル比で1.2/1〜1/1.2になるように使用することが好ましく、特に、当モルまたはほぼ等モルで使用することが好ましい。配合比が等モルから離れると分子量が大きくなりにくくなる。
前記化合物(A)および必要に応じて使用される化合物(C)は、ジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物として使用されるが、ジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物としては、化合物(A)および使用される化合物(C)以外のものを併用してもよい。
テトラカルボン酸二無水物は化合物(B)として使用される。
また、本発明における樹脂であるポリイミド樹脂の作製にあたって、化合物(A)および必要に応じて使用される化合物(C)は、全反応物の0.5〜50モル%使用されることが好ましい。
化合物(A)および化合物(C)をジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として使用するときは、化合物(A)および化合物(C)以外のジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物〔化合物(A')として〕は、ジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物の総量に対して0〜99モル%使用されることが好ましく、0〜50モル%使用されることがより好ましく、特に、0〜30モル%使用することが好ましい。(A)、(B)成分の使用割合が少なすぎると、密着性向上の効果が低下しやすくなる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物若しくはジイソシアネート化合物を使用して得られるポリイミド樹脂は、例えば、次の一般式(4)で表される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 2016017085
(ただし、式中、Xは、テトラカルボン酸二無水物の残基であって、4価の有機基であり、Rは、ジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物の残基であって2価の有機基である。)
この樹脂の製造に際し、ジアミン化合物若しくはジイソシアネート化合物として化合物(A)を用いた場合、Rが単位(a)であり、Xが単位(b)、結合(x)はイミド結合である。したがって、イミド結合は、前駆の結合であるアミド酸結合(アミド結合とカルボキシル基)を含む。
なお、本発明において、ポリイミド樹脂とは、前記したポリイミド樹脂前駆体および完全にイミド化が進んだポリイミド樹脂を総称することとする。
また、本発明における樹脂として、ポリエステルイミド樹脂は、公知の手法により製造することができる。すなわち、トリカルボン酸無水物化合物とアミノ基若しくはイソシアネート基を有する化合物、特に、ジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物をアミノ基若しくはイソシアネート基の総量と酸無水物基の総量が等当量またはほぼ等当量となるように反応させて得られる反応生成物であるイミド基含有ポリカルボン酸化合物と多価アルコール化合物とを反応させることにより得られる。このとき、イミド基含有ポリカルボン酸化合物以外の多価カルボン酸を併用してもよい。
ここで、イミド基含有ポリカルボン酸化合物は、前記したポリアミドイミド樹脂の作製において用いることができるものと同じである。
ポリエステルイミド樹脂の作製に当たり、化合物(A)および必要に応じて用いられる化合物(C)は、アミノ基若しくはイソシアネート基を有する化合物、特に、ジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物として使用することができる。この場合、トリカルボン酸無水物化合物は、その後で反応させる多価アルコール化合物とともに、単位(b)を形成することになる。また、このとき、結合(x)は、イミド基含有ポリカルボン酸化合物分子内のイミド結合である。この場合において、アミノ基若しくはイソシアネート基を有する化合物、特に、ジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物として化合物(A)および化合物(C)以外の化合物〔化合物(A')として〕を併用することができる。
化合物(A)および必要に応じて用いられる化合物(C)は、上記多価アルコールとして使用することができる。この場合、イミド基含有ポリカルボン酸化合物(ただし、単位(a)を含まない)は、化合物(B)として使用される。従って、この場合、前記結合(x)は、エステル結合である。この場合において、多価アルコールとして化合物(A)および化合物(C)以外の化合物〔化合物(A')として〕を併用することができる。
また、化合物(A)および必要に応じて用いられる化合物(C)は、上記のジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物および多価アルコールの両方として使用してもよい。この場合、結合(x)は、イミド結合およびエステル結合である。この場合、ジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物として、また、多価アルコールとして、化合物(A)および化合物(C)以外の化合物〔化合物(A')として〕を併用することができる。
以上の場合において、単位(a)を含む化合物および必要に応じて使用される化合物(C)は、ジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物、トリカルボン酸無水物化合物並びに多価アルコール化合物の総量に対して、0.5〜50モル%使用されることが好ましい。
化合物(A)および化合物(C)以外のジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物並びにトリカルボン酸無水物化合物としては、ポリアミドイミド樹脂合成に使用されるものとして前記に例示したものが使用できる。単位(a)を含まず、化合物(C)でもない多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,3−シクロペンタンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトール等がある。
ポリエステルイミドの製造法には特に制限はなく、多価アルコール化合物とイミド基含有ポリカルボン酸化合物を含む酸成分とをエステル化触媒の存在下に170〜250℃の温度で加熱反応させることにより行うことができる。また有機溶剤としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール等のクレゾール系溶剤、その他の有機溶剤を使用することができる。合成に際しては、共沸蒸留法により反応系から生成水分を速やかに除去するために炭化水素類を使用することもできる。さらに上記反応を促進させるために、テトラブチルチタネート等のチタン酸エステル、ジブチルチンオキサイト等のスズ化合物、酢酸亜鉛、酢酸鉛、プロピオン酸亜鉛等の有機金属塩を添加することができ、通常、これらの添加量は反応成分の合計量に対して2重量%以下とされる。
上記の一般式(2)で表されるジイミドジカルボン酸化合物と2価のアルコールを反応させて得られるポリエステルイミド樹脂は、例えば、次に示す一般式(5)で表される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 2016017085
(ただし、式中Xは、トリカルボン酸無水物化合物の残基であって3価の有機基であり、R´は、ジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物の残基であって2価の有機基であり、Rは2価アルコール化合物の残基であって2価の有機基をしめす。)
この樹脂の製造に際し2価アルコール化合物として、また、ジイミドジカルボン酸化合物の製造に際しジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として、それぞれ、化合物(A)を使用した場合、RおよびR´が単位(a)であり、Xが単位(b)であり、結合(x)はイミド結合およびエステル結合である。
また、この樹脂の製造に際し2価アルコール化合物として化合物(A)を使用せず、ジイミドジカルボン酸化合物の製造に際しジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として化合物(A)を使用した場合、R´が単位(a)であり、X、Rおよびこれらを連結するエステル結合が組み合わさっては単位(b)を構成し、結合(x)はイミド結合である。
また、この樹脂の製造に際し2価アルコール化合物として化合物(A)を使用し、ジイミドジカルボン酸化合物の製造に際しジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として化合物(A)を使用しない場合、Rが単位(a)であり、X、R´およびこれらを連結するイミド結合が組み合わさっては単位(b)を構成し、結合(x)はエステル結合である。
また、本発明における樹脂として、ポリアミド樹脂は、公知の手法により製造することができる。すなわち、ジカルボン酸化合物またはそのクロライド化合物とジアミン化合物を反応させて得ることができる。本発明における単位(a)を含む化合物および必要に応じて使用される化合物(C)は、ジカルボン酸化合物若しくはそのクロライド化合物またはジアミン化合物あるいはその両方として、使用することができる。単位(a)を含む化合物および化合物(C)以外のジカルボン酸化合物としては、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等があり、単位(a)を含む化合物および化合物(C)以外のジアミン化合物として、ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、メチルペンタジアミン、p−フェニレンジアミン等を使用することができる。
ジカルボン酸化合物またはそのクロライド化合物とジアミン化合物を反応させて得られるポリアミド樹脂は、例えば、次に示す一般式(6)で表される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 2016017085
(ただし、式中、Xは、ジカルボン酸化合物の残基であって2価の有機基であり、Rはジアミン化合物の残基であって2価の有機基である。)
このポリアミド樹脂として、ジアミン化合物として化合物(A)を用いた場合、単位(a)は、Rであり、Xは、単位(b)であり、結合(x)はアミド結合である。また、ジカルボン酸化合物またはそのクロライド化合物として化合物(A)を用いた場合、単位(a)はXであり、Rは単位(b)であり、結合(x)はアミド結合である。
また、本発明における樹脂として、イミド基含有ポリウレタン樹脂は、公知の手法により製造することができる。すなわち、まず、トリカルボン酸無水物化合物とジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物をアミノ基若しくはイソシアネート基の総量と酸無水物基の総量が等当量またはほぼ等当量となるように反応させて得られる反応生成物であるイミド基含有ポリカルボン酸化合物を生成する(a工程)。ついで、イミド基含有ポリカルボン酸化合物と多価アルコール化合物とをカルボキシル基1当量に対し水酸基が2当量若しくはほぼ2当量となるように配合して反応させ、末端水酸基を有する化合物を生成する(b工程)。さらに、得られた末端水酸基を有する化合物と多価イソシアネート化合物を反応させて、ウレタン結合を形成する反応を起こさせることにより、イミド基含有ポリウレタン樹脂が得られる(c工程)。このとき得られる樹脂は、イミド結合、エステル結合およびウレタン結合を有する。このとき、イミド基含有ポリカルボン酸化合物とともに他の多価カルボン酸を併用してもよい。
ここで、イミド基含有ポリカルボン酸化合物は、前記したポリアミドイミド樹脂やポリエステルイミド樹脂の作製において用いることができるものと同様のものである。
上記のイミド基含有ポリウレタン樹脂の作製に当たり、化合物(A)および必要に応じて用いられる化合物(C)は、上記のジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物として使用することができる。この場合、トリカルボン酸無水物化合物は、その後で反応した多価アルコール化合物(ただし、単位(a)を含まない)や多価イソシアネート化合物(ただし、単位(a)を含まない)とともに、単位(b)を形成することになる。また、このとき、結合(x)は、イミド基含有ポリカルボン酸化合物分子内のイミド結合である。この場合において、ジアミン化合物もしくはジイソシアネート化合物として化合物(A)および化合物(C)以外の化合物〔化合物(A')として〕を併用することができる。
b工程で反応させた多価アルコール化合物が単位(a)を含むものである場合、上記トリカルボン酸無水物化合物の残基が単位(b)を構成し、その多価アルコール化合物の残基は、単位(a)を構成し、b工程の反応により結合(x)として、エステル結合が形成される。
c工程で反応させた多価イソシアネート化合物が単位(a)を含むものである場合、上記トリカルボン酸無水物化合物の残基およびエステル結合を解して結合している多価アルコール化合物(ただし、単位(a)を含まない)の残基は、単位(b)を構成し、c工程の反応により結合(x)として、ウレタン結合が形成される。
上記の多価アルコール化合物(ただし、単位(a)を含まず、化合物(C)でもない)としては、ポリエステルイミド樹脂の作製について説明した、単位(a)を含まず、化合物(C)でもない多価アルコールとして例示したものが使用できる。
上記の多価イソシアネート化合物(ただし、単位(a)を含まず、化合物(C)でもない)としては、ポリアミドイミド樹脂について説明した、ジイソシアネート化合物〔ただし、化合物(A)および化合物(C)以外のもの〕として例示したものなどが使用できる。
一般式(2)で表されるジイミドジカルボン酸化合物と2価アルコール化合物を反応させて得られる末端水酸基を有する化合物は、例えば一般式(7)
Figure 2016017085
(ただし、式中、Xは、トリカルボン酸無水物化合物の残基であって3価の有機基であり、R´は、ジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物の残基であって2価の有機基であり、Rは2価アルコール化合物の残基であって、2価の有機基である)で示される。
一般式(7)で表される末端水酸基を有する化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得られるイミド基含有ポリウレタン樹脂は、たとえば、次の一般式(8)で表される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 2016017085
イミド基含有ポリウレタン樹脂の製造に際し、a工程のジイミドジカルボン酸化合物の製造に際しジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として、また、b工程の2価アルコール化合物として、それぞれ、化合物(A)を使用し、最後のc工程のジイソシアネート化合物として化合物(B)を用いた場合、R、R´およびR"が単位(a)であり、Xが単位(b)であり、結合(x)はイミド結合、エステル結合およびウレタン結合である。
また、この樹脂の製造に際し、a工程のジイミドジカルボン酸化合物の製造に際しジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として化合物(A)を使用し、b工程の2価アルコール化合物として化合物(A)を使用せず、最後のc工程のジイソシアネート化合物として化合物(A)を用いた場合、R´およびR"が単位(a)であり、X、Rおよびエステル結合が単位(b)を構成し、結合(x)はイミド結合およびウレタン結合である。
また、この樹脂の製造に際し、a工程のジイミドジカルボン酸化合物の製造に際しジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として化合物(A)を使用せず、b工程の2価アルコール化合物として化合物(A)を使用し、最後のc工程のジイソシアネート化合物として単位(a)を含まない化合物〔化合物(B)〕を用いた場合、Rが単位(a)であり、X、R´およびこれらを連結するイミド結合が組み合わさって、また、R"が単位(b)を構成し、結合(x)はエステル結合およびウレタン結合である。
また、この樹脂の製造に際し、a工程のジイミドジカルボン酸化合物の製造に際しジイソシアネート化合物若しくはジアミン化合物として化合物(A)を使用し、b工程の2価アルコール化合物として化合物(A)を使用し、最後のc工程のジイソシアネート化合物として単位(a)を含まない化合物〔化合物(B)〕を用いた場合、RおよびR´が単位(a)であり、XおよびR"が単位(b)を構成し、結合(x)はイミド結合、エステル結合およびウレタン結合である。
本発明における樹脂は、電気絶縁用材料として有用であり、必要に応じて着色剤等の添加剤を添加し、必要に応じて前記の合成溶媒と同様の溶媒に溶解、または、該溶媒で希釈され、適当な粘度に調整して使用でき、このような電気絶縁用材料を含む電気絶縁塗料とすることができる。塗料とする場合、一般に固形分は10〜50重量%とされる。このような電気絶縁用材料または電気絶縁塗料には、樹脂の合成溶液を使用してもよい。
本発明に係る電気絶縁用材料または電気絶縁塗料は、被塗物に塗装後、260〜520℃で1秒〜10分の熱処理で乾燥し、硬化若しくは固化させることができる。低温で硬化若しくは固化させると溶剤が残り、基材を保護する塗膜特性が劣る可能性がある。また、260℃未満の硬化では、塗膜の硬化が不十分で、極性溶媒に溶解又は膨潤する可能性がある。加熱時間は短すぎると塗膜に溶媒がのこり、基材に塗布された塗膜の特性が劣ることがあり、加熱時間が長すぎても効果はなく、時間とエネルギーの無駄になるだけでなく、場合によっては添加した添加剤との好ましくない副反応を起こすことがある。
本発明に係る電気絶縁用材料は、また、コイル含浸用絶縁材料としても使用することができる。
前記被塗物としては、銅線等の金属線などの導体、鋼板、その他保護又は絶縁性を付与すべき対象がある。金属線を使用した場合、耐薬品性、耐加水分解性、耐熱性、絶縁破壊電圧特性などに優れた高絶縁信頼性のエナメル線が得られる。金属線の断面形状は、円形であっても、正方形又は矩形状若しくは平角状であってもよい。
本発明に係る電気絶縁用材料若しくは塗料を塗布する方法としては、電線(金属線)に塗布する場合、ダイス塗装、フェルト塗装等があり、その他の用途には、刷毛塗り、浸漬塗布(ディッピング)等がある。また、コイル自体を固めるためには、コイルに滴下して含浸する方法、コイルを浸漬する方法(ディッピング)が挙げられる。
本発明に係る樹脂を含む塗料を被塗物(特に、導体)上に塗布・硬化もしくは固化させることにより、形成される皮膜と被塗物との密着性、特に熱劣化後の密着性を向上させることができる。導体として銅線等の金属線が挙げられ、これに前記塗料を塗布・焼付けをおこなうことにより、密着性、熱劣化後の密着性に優れた電気絶縁電線が得られ、かつ焼付炉ダンパー部での粉発生を抑制することができる。
以下、実施例により詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
HUNTSMANのJEFFAMINE D2000(化合物(A);ジアミン化合物)33.7gおよび新日本理化(株)のワンダミンHM(化合物(C);ジアミン化合物)14.6g、無水トリメリット酸123.8gと反応溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン882.5gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに仕込み、この混合物を乾燥させた窒素気流中で、3時間かけて徐々に昇温して160℃まで昇温し、160℃にて4時間保温し、さらに180℃にて2時間保温し、ジイミドジカルボン酸化合物を得た。
さらに、この反応液に無水トリメリット酸119.5gおよびジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート181.4gを仕込み、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら2時間かけて除々に昇温して150℃まで昇温した後、4時間反応させて数平均分子量が28400のポリアミドイミド樹脂の溶液(樹脂分濃度28.1重量%)を得た。
HUNTSMANのJEFFAMINE D2000(化合物(A);ジアミン化合物)17.6gおよび新日本理化(株)のワンダミンHM(化合物(C);ジアミン化合物) 7.4g、無水トリメリット酸17.0gと反応溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン847.7gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに仕込み、この混合物を乾燥させた窒素気流中で、1時間かけて徐々に昇温して160℃まで昇温し、160℃にて4時間保温し、さらに180℃にて2時間保温し、ジイミドジカルボン酸化合物を得た。
さらに、この反応液に無水トリメリット酸125.7gおよびジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート183.6gを仕込み、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら2時間かけて除々に昇温して150℃まで昇温した後、3時間反応させて数平均分子量が26500のポリアミドイミド樹脂の溶液(樹脂分濃度27.9重量%)を得た。
HUNTSMANのJEFFAMINE D2000((A)成分) 20.0g、無水トリメリット酸((D)成分) 3.9gと反応溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン544.1gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに仕込み、この混合物を乾燥させた窒素気流中で、1時間かけて徐々に昇温して160℃まで昇温し、160℃にて4時間保温し、さらに180℃にて2時間保温し、ジイミドジカルボン酸化合物を得た。
さらに、この反応液として無水トリメリット酸157.5g((D)成分)およびジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート237.7g((C)成分)、N−メチル−2−ピロリドン544.1gを仕込み、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら約2時間かけて除々に昇温して150℃まで昇温した後、2時間反応させて数平均分子量が24700のポリアミドイミド樹脂の溶液(樹脂分濃度24.9重量%)を得た。
HUNTSMANのJEFFAMINE D400((A)成分) 23.0gおよび、無水トリメリット酸((D)成分)20.5gと反応溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン560.1gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに仕込み、この混合物を乾燥させた窒素気流中で、約1時間かけて徐々に昇温して160℃まで昇温し、160℃にて4時間保温し、さらに180℃にて2時間保温し、ジイミドジカルボン化合物を得た。
さらに、この反応液に無水トリメリット酸((D)成分)151.8gおよびジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート((C)成分)221.8g、N−メチル−2−ピロリドン523.1gを仕込み、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら約2時間かけて除々に昇温して150℃まで昇温した後、3時間反応させて数平均分子量が27300のポリアミドイミド樹脂の溶液(樹脂分濃度25.4重量%)を得た。
比較例1
無水トリメリット酸192.1g、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート262.8g、N−メチル−2−ピロリドン682.4gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、この混合物を乾燥させた窒素気流中で、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら3時間かけて徐々に昇温して140℃まで昇温し、該混合物を140℃にて5時間保温し、数平均分子量が22400のポリアミドイミド樹脂の溶液を得た。この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈し、樹脂分濃度31.9%の電気絶縁塗料を得た。
比較例2
無水トリメリット酸192.1g、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート262.8g、N−メチル−2−ピロリドン682.4gを温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中でこの混合物を、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら約2時間かけて徐々に昇温して140℃まで昇温し、該混合物を140℃にて7時間保温したのち、60℃にて 2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 1.3gを添加し、数平均分子量が27500のポリアミドイミド樹脂の溶液を得た。この溶液をN−メチル−2−ピロリドンで希釈し、樹脂分濃度31.1%の電気絶縁塗料を得た。
試験例
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた電気絶縁塗料を、下記の焼付け条件に従って直径1.0mmの銅線に塗布し、線速16m/分で焼付け、電気絶縁電線を作製した。
〔塗布・焼付け条件〕
焼付け炉:熱風循環式竪炉(炉長5.5m)
炉温 :入口/出口=320℃/430℃
塗装方法:樹脂組成物をくぐらせた電気絶縁電線をダイスで絞り、焼付け炉を通過させる手順を8回行う。1回目から8回目までのダイス穴の径を1.05mm、1.06mm、1.07mm、1.08mm、1.09mm、1.10mm、1.11mm、1.12mmとした。
また、得られた電気絶縁電線の特性(可とう性、一方向式摩耗、絶縁破壊電圧、密着性、耐軟化性)をJIS C3216に準じて測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2016017085
表1に示した結果から、実施例1〜3で得られた電気絶縁塗料を用いて作製した電気絶縁電線は、比較例で得られたものに比べて、密着性および熱劣化後の密着性に優れるとともに、他の特性も良好であることが分かる。

Claims (16)

  1. 繰り返し単位としてエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドの構造を含む単位(a)、繰り返し単位としてエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドの構造を含む単位またはこの単位とは異なる構造の単位からなる単位(b)並びに単位(a)と単位(b)を連結する結合(x)を分子内に含み、結合(x)として又はその他の結合として、イミド結合又はアミド結合を含む樹脂を含有する電気絶縁用材料。
  2. 樹脂が、繰り返し単位としてエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドの構造を含む単位が一般式(i)
    Figure 2016017085
    (ただし、一般式(i)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、−H、−CHおよび−Cのうちのいずれかであり、K、KおよびKは、それぞれ独立に、−CHまたは結合であって、K、KおよびKのうち少なくともひとつは結合であり、nは0または1、x+y+zは2〜100である)
    または一般式(ii)
    Figure 2016017085
    (ただし、一般式(ii)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、−H、−CHおよび−Cのうちのいずれかであり、KおよびKは、それぞれ独立に−CHまたは結合であって、KおよびKのうち少なくとも一方は結合であり、x+y+zは2〜100である)であらわされる単位として存在する樹脂である請求項1記載の電気絶縁用材料。
  3. 樹脂が、単位(a)と単位(b)を連結する結合(x)が、イミド結合、アミド結合、エステル結合およびウレタン結合のうち少なくとも1種を含む樹脂である請求項1または請求項2記載のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
  4. 樹脂が、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂またはイミド基含有ポリウレタン樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
  5. 樹脂が、単位(a)に追加してまたは単位(b)の一部として、一般式(iii)
    Figure 2016017085
    (ただし、一般式(iii)中、KおよびKはそれぞれ独立に−CHまたは結合であって、少なくとも一方は結合であり、Zは−CH、−CO−、−SO−、−O−または単結合のいずれかである)であらわされる単位(c)を有する樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
  6. 樹脂が、単位(a)を含む特定の化合物〔化合物(A)〕並びにこの化合物(A)と反応性の官能基を1以上有する化合物〔化合物(B)〕を反応させる工程(第1工程)を含む方法により得られる樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
  7. 化合物(A)が、一般式(iv)
    Figure 2016017085
    (ただし、一般式(iv)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、−H、−CHおよび−Cのうちのいずれかであり、Q、QおよびQは、それぞれ独立に、−CH、−NH、−NCO、−C(CH)NH、−OHおよび−COOHのうちのいずれかであってQ、QおよびQのすべてが−CHということはなく、nは0または1、x+y+zは2〜100である)または一般式(v)
    Figure 2016017085
    (ただし、一般式(v)中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、−H、−CHおよび−Cのうちのいずれかであり、QおよびQは、それぞれ独立に−CH、−NH、−NCO、−C(CH)NH、−OHおよび−COOHのうちのいずれかであって、QおよびQのすべてが−CHということはなく、x+y+zは2〜100である)で表される化合物の中から選択される少なくとも一種である請求項6に記載の電気絶縁用材料。
  8. 化合物(A)の分子量が100〜7,000である請求項6又は7のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
  9. 化合物(A)が、ジイソシアネート化合物もしくはジアミン化合物、化合物(B)がトリカルボン酸無水物化合物であり、得られる樹脂がポリアミドイミド樹脂である請求項6〜8のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
  10. 化合物(A)が、ジイソシアネート化合物もしくはジアミン化合物、化合物(B)がトリカルボン酸無水物もしくはその誘導体であり、化合物(A)と化合物(B)の反応生成物が、イミド基含有ジカルボン酸化合物であり、化合物(A)と化合物(B)を反応させる工程(第1工程)のあと、ジイソシアネート化合物もしくはジアミン化合物を追加して反応させる工程を行い、生成される樹脂がポリアミドイミド樹脂である請求項6〜9のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
  11. 樹脂が、化合物(A)に追加して若しくは化合物(B)の一部として、または、第1工程の後追加して、一般式(vi)
    Figure 2016017085
    (ただし、一般式(vi)中、QおよびQは−CH、−NH、−NCO、−C(CH)NH、−OHおよび−COOHのうちのいずれかであり、QおよびQのすべてが−CHということはなく、Zは−CH、−CO−、−SO、−O−または単結合のいずれかである)で表される脂環式化合物(C)を反応させて得られる樹脂である請求項6〜10のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
  12. 樹脂が、化合物(A)に追加してまたは化合物(B)の一部として、または、第1工程の後追加して、一般式(vii)
    Figure 2016017085
    (ただし、一般式(vii)中、Q8およびQ9は−CH、−NH、−NCOおよび−C(CH)NHのうちのいずれかであり、Q8およびQ9のすべてが−CHということはなく、Zは−CH、−CO−、−SO−、−O−または単結合のいずれかである)で表される脂環式化合物(C')を反応させて得られる樹脂である請求項6〜10のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
  13. 樹脂の数平均分子量が1,000〜100,000である請求項1〜12のいずれかに記載の電気絶縁用材料。
  14. 請求項13に記載の電気絶縁用材料を導体上に塗布、焼付けてなる電気絶縁物。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載の電気絶縁用材料を含有して成る電気絶縁塗料。
  16. 請求項15に記載の電気絶縁塗料を導体上に塗布、焼付けてなる電気絶縁電線。
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