JP2013033669A - 多層絶縁電線及びそれを用いた電機コイル、モータ - Google Patents

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Masataka Shinami
正隆 志波
Masaaki Yamauchi
雅晃 山内
Kengo Yoshida
健吾 吉田
Yuji Hatanaka
悠史 畑中
Junichi Imai
惇一 今井
Jun Sugawara
潤 菅原
Toru Shimizu
亨 清水
Hideaki Saito
秀明 齋藤
Yudai Furuya
雄大 古屋
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Abstract

【課題】ポリイミド樹脂に匹敵する優れた靱性と耐熱性を有し、かつ低価格である絶縁電線、及びそれを用いた電機コイル、モータを提供することを課題とする。
【解決手段】導体、該導体を被覆する第1の絶縁層、該第1の絶縁層を被覆する第2の絶縁層、該第2の絶縁層を被覆する第3の絶縁層からなる多層絶縁電線であって、前記第1の絶縁層及び前記第3の絶縁層はポリイミド樹脂からなり、前記第2の絶縁層はポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂及びH種ポリエステル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂からなる多層絶縁電線。
【選択図】 図1

Description

本発明は絶縁電線およびそれを用いた電機コイル、モータに関し、特に耐加工性及び耐熱性に優れる絶縁電線に関する。
モータ等のコイル用巻線として用いられる絶縁電線において、導体を被覆する絶縁層(絶縁皮膜)には、優れた絶縁性、導体に対する密着性、耐熱性、機械的強度等が求められている。絶縁層を形成する樹脂としてはポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂等がある。
特に車載用の高出力モータに使用される電機コイルでは、小型化、高効率化を達成するために占積率を上げることが求められており、コイルの形成の際には絶縁電線を大きく変形させる加工を行っている。例えば絶縁電線を捲線してコイルを形成した後にコイルをスロット中に挿入したり、あらかじめ変形させた絶縁電線同士を溶接してコイルを形成したりしている。このような加工を行うと絶縁皮膜には大きな応力や変形が加えられるため、絶縁皮膜の割れや損傷を生じないために耐加工性、特に靱性(皮膜伸び)に優れた絶縁皮膜が求められている。
また車載用のモータ等の用途に使用される絶縁電線には高い耐熱性が求められている。特にコイルの占積率を上げるために絶縁電線を大きく変形させる加工を行った後高温雰囲気下で使用されることから、このような条件でも絶縁皮膜の劣化が生じないことが求められている。
ポリイミド樹脂は絶縁電線の絶縁層として汎用されている樹脂の中では特に靱性に優れている。また耐熱性にも優れており、要求特性の高い絶縁電線の絶縁層として用いられている。しかしポリイミド樹脂は高価であり、絶縁皮膜にポリイミド樹脂を用いた絶縁電線はコストが高くなる。そのため特許文献1ではポリイミド樹脂にポリアミドイミド樹脂を混合した絶縁皮膜を用いた絶縁電線が提案されている。
特開2008−016266号公報
ポリイミド樹脂皮膜の引張破断伸びが100%以上であるのに対し、ポリアミドイミド樹脂皮膜の引張破断伸びは40%〜60%、ポリエステルイミド樹脂皮膜の引張破断伸びは約15%であり、ポリイミド樹脂以外の樹脂の靱性はポリイミド樹脂に比べるとかなり劣っている。特許文献1に記載のポリイミド樹脂とポリアミドイミド樹脂とを混合した皮膜ではポリイミドと同等の靱性を出すためにはポリイミド樹脂を40%以上混合する必要がありコストが高くなる。またポリイミド樹脂とポリアミドイミド樹脂とを良好に混合するためにはポリアミドイミド樹脂の分子末端イソシアネート基をブロック剤で封止する工程が必要となりコストアップの要因となる。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、ポリイミド樹脂に匹敵する優れた靱性と耐熱性を有し、かつ低価格である絶縁電線、及びそれを用いた電機コイル、モータを提供することを課題とする。
本発明は、導体、該導体を被覆する第1の絶縁層、該第1の絶縁層を被覆する第2の絶縁層、該第2の絶縁層を被覆する第3の絶縁層からなる多層絶縁電線であって、前記第1の絶縁層及び前記第3の絶縁層はポリイミド樹脂からなり、前記第2の絶縁層はポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド及びH種ポリエステルからなる群から選択される1種以上の樹脂からなる多層絶縁電線である(請求項1)。
絶縁電線を大きく変形させる加工を行う場合、絶縁皮膜は外側になるほど大きく変形されるので、最外層(第3の絶縁層)に靱性の高いポリイミド層を設けることで絶縁層全体の耐加工性(耐変形性)が良好となる。さらに導体直上の層(第1の絶縁層)にも靱性の高いポリイミド樹脂を用いることで、第1の絶縁層と第3の絶縁層の間に靱性が比較的低い樹脂を用いても絶縁皮膜全体の靱性が向上し、絶縁皮膜の全てをポリイミド樹脂で構成した絶縁電線と同等の耐加工性が得られる。このような構成とすることで絶縁電線のコストを低減することができる。
第1の絶縁層及び第3の絶縁層に使用しているポリイミド樹脂は靱性に優れると共に耐熱性にも優れている。耐加工性(靱性)のみを考慮すると第2の絶縁層には任意の樹脂を使用可能であるが、絶縁電線の耐熱性の観点からは耐熱性に優れるポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂及びH種ポリエステル樹脂からなる群から選択される1種以上とする。特に耐熱性に優れるポリアミドイミド樹脂又はポリエステルイミド樹脂を用いることが好ましい(請求項3)。
各絶縁層は樹脂を溶剤に溶解した樹脂ワニスを塗布、焼付けして形成する。各絶縁層は1回の塗布、焼付け工程で形成した単層としても良いし塗布、焼付け工程を複数回繰り返して形成した複数層としても良い。塗布、焼付け工程の繰り返しの数によって各絶縁層の膜厚を調整できる。第1の絶縁層及び第3の絶縁層はポリイミド樹脂のみで形成するが、第2の絶縁層は複数の樹脂で形成しても良い。
第1の絶縁層及び第3の絶縁層の厚みを薄く、第2の絶縁層の厚みを厚くするとさらにコストを低減できる。第1の絶縁層及び第3の絶縁層の厚みの合計が、絶縁層全体の厚みの合計に対して30%以上60%以下であると、コストと特性のバランスが取れて好ましい(請求項2)。
請求項4に記載の発明は、上記の多層絶縁電線を捲線してなる電機コイルである。また請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電機コイルを有するモータである。耐加工性及び耐熱性に優れた絶縁電線を使用していることから占積率の高いコイルが得られ、コイル及びモータの小型化が可能となると共に高温雰囲気下での使用が可能となる。
本発明によればポリイミド樹脂に匹敵する優れた靱性と耐熱性を有し、且つ低価格である多層絶縁電線、及びそれを用いた電機コイル、モータを得ることができる。
本発明の絶縁電線の一例を示す断面模式図である。 本発明のコイルの一例を示す模式図である。 本発明のモータの一例を示す模式図である。
図1は本発明の絶縁電線の一例を示す断面模式図である。断面が平角形状の導体4の外側に導体4を被覆する第1の絶縁層1、第1の絶縁層を被覆する第2の絶縁層2、及び第2の絶縁層を被覆する第3の絶縁層3がある。第1の絶縁層1と第3の絶縁層3はポリイミド樹脂からなる。第2の絶縁層にはポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、H種ポリエステル樹脂からなる群から選択される1種以上を使用する。
各絶縁層は、上記の樹脂を溶剤に溶解した樹脂ワニスを導体上に直接又は他の層を介して塗布、焼付けして形成する。絶縁層全体の厚みは10μm〜150μm程度とする。1回の塗布、焼付け工程では数μm程度の皮膜が形成されるので、塗布、焼付け工程の繰り返し数を調整して各絶縁層の膜厚を調整する。
塗布、焼付けは通常の絶縁電線の製造と同様に行うことができる。例えば導体又は絶縁層を被覆した導体に樹脂ワニスを塗布した後、設定温度を350〜500℃とした炉内を1パス当たり5〜10秒間通過させて焼付ける作業を数回繰り返して絶縁層を形成する。
第2の絶縁層を単独の樹脂で構成する場合は、同じ樹脂ワニスを複数回塗布、焼付けする。第2の絶縁層を複数の樹脂で形成する場合は、第1の樹脂ワニスを1回又は複数回塗布、焼付けして第1の樹脂からなる絶縁層を形成した後、第2の樹脂ワニスを1回又は複数回塗布、焼付けして第2の樹脂からなる絶縁層を形成する。この工程を繰り返し、最後にポリイミド樹脂ワニスを1回又は複数回塗布、焼き付けして第3の絶縁層を形成する。
各絶縁層の厚みは特に限定されないが、第1の絶縁層の厚みを3μm〜10μm、第2の絶縁層の厚みを10μm〜60μm、第3の絶縁層の厚みを3μm〜10μmとすることが好ましい。第2の絶縁層の厚みの割合を多くするとコストが低減でき好ましい。
導体としては、銅や銅合金、アルミニウム等を使用できる。導体の大きさやその断面形状は特に限定されないが、丸線の場合は導体径が100μm〜5mmのものが、平角線の場合は一辺の長さが500μm〜5mmのものが一般に使用される。
第1の絶縁層及び第3の絶縁層を形成するポリイミド樹脂ワニスは、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応して得られるポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を主成分とする。芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを縮合重合反応させてポリイミド前駆体を合成する。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ(2,2,2)−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボンキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物等が例示される。この中でもピロメリット酸二無水物(PMDA)は低分子量で剛直な構造を持つため、ポリイミド樹脂の耐熱性を向上できる点で好ましい。
芳香族ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4’−メチレンジアニリン(MDA)、2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン(4−APBZ)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(3−APB)、1,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ナフタレン(1,5−BAPN)等が例示される。
芳香族ジアミンとしてODA、MDAを選択すると、ポリイミド樹脂の耐熱性を向上できる。また分子量の大きい2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)を選択すると、ポリイミド樹脂の誘電率を下げることができる。
上記の芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを混合して反応させる。芳香族ジアミンの合計量(当量)と、芳香族テトラカルボン酸二無水物の合計量(当量)を約1:1とすると反応が良好に進行して好ましい。それぞれの材料を混合し、有機溶媒中で加熱して反応させてポリイミド前駆体樹脂を得る。
有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性有機溶媒が使用できる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種以上を組み合わせても良い。
有機溶媒の量は、芳香族テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミンを均一に分散させることができる量であれば良く特に制限されないが、通常これらの成分の合計量100質量部あたり100質量部〜1000質量部(樹脂濃度で10%〜50%程度となるように)使用する。有機溶媒量を少なくするとできあがったポリイミド樹脂ワニスの固形分量が多くなりコスト低減に有効である。
ポリイミド樹脂ワニスには顔料、染料、無機又は有機のフィラー、潤滑剤、密着向上剤等の各種添加剤や反応性低分子、相溶化剤等を添加しても良い。密着向上剤としてメラミンを添加すると、導体との密着力を向上できる。さらに本発明の趣旨を損ねない範囲で他の樹脂を混合して使用することもできる。
第2の絶縁層にはポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、H種ポリエステル等を主成分とする樹脂ワニスを使用する。耐熱性を向上するためにはポリアミドイミド又はポリエステルイミドが好ましく、特にポリアミドイミドが好ましい。
ポリアミドイミドは分子内にアミド結合とイミド結合を有する樹脂であり、芳香族ジイソシアネート成分を含むジイソシアネート成分と、トリメリット酸無水物を含む酸成分とを重合反応させて得られる。ジイソシアネート成分としてはジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが使用できる。
酸成分としては、トリメリット酸無水物(TMA)、1,2,5−トリメリット酸(1,2,5−ETM)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物(OPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、4,4’−(2,2’−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物等が使用できる。イソシアネート成分、酸成分は1種類ずつ用いても良いし複数の種類を組み合わせても良い。
酸成分とジイソシアネート成分を略当量ずつ混合し、有機溶媒中で加熱して反応させてポリアミドイミド樹脂ワニスを得る。カプロラクタム化合物を反応系に加えても良い。有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサエチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクタム等が使用できる。ポリアミドイミド樹脂ワニスには顔料、染料、無機又は有機のフィラー、潤滑剤、密着向上剤等の各種添加剤や反応性低分子、相溶化剤等を添加しても良い。
ポリエステルイミドは分子内にエステル結合とイミド結合を有するポリマーで、トリカルボン酸無水物とアミンから形成されるイミド、アルコールとカルボン酸又はそのアルキルエステルから形成されるポリエステル、そして、イミドの遊離酸基または無水基がエステル形成反応に加わることで形成される。このようなポリエステルイミドはトリカルボン酸無水物、ジカルボン酸化合物またはそのアルキルエステル、アルコール化合物、及びジアミン化合物を公知の方法で反応させて得られる。
トリカルボン酸無水物としては、トリメリット酸無水物、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物等を使用できる。これらの中ではトリメリット酸無水物が最も好ましい。
ジカルボン酸化合物としてはテレフタル酸、イソフタル酸等の単環芳香族ジカルボン酸、2−メチル1,4−ベンゼンジカルボン酸等のアルキル基含有フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の多核芳香族ジカルボン酸、シクロヘキシルジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸を用いることができる。これらのジカルボン酸はアルキルエステルとして用いても良い。
アルコール化合物としてはエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート環を有するアルコール等が使用できる。耐熱性付与の観点から、イソシアヌレート環を有するアルコールとエチレングリコール等の低級アルコールとの組み合わせを用いることが好ましい。
ジアミン化合物としては4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等が使用できる。
上記の材料を反応させてポリエステルイミドを合成する。例えばポリエステルイミド原料モノマーを一括投入してイミド化及びエステル化を同時に行う方法、イミド酸成分(トリカルボン酸無水物、ジアミン化合物、アルコール化合物)以外のポリエステル形成成分(カルボン酸化合物、アルコール化合物)を予め反応させた後、イミド酸成分を添加してイミド化する方法などが挙げられる。合成反応はクレゾール等の有機溶剤存在下で行っても良いし無溶剤下で行っても良い。合成されたポリエステルイミドを必要に応じて溶剤で希釈してポリエステルイミド樹脂ワニスが得られる。希釈用溶剤としてはN−メチル2−ピロリドン、クレゾール類等を用いる。
ポリエステルイミド樹脂ワニスにはさらにチタン系硬化剤、ブロックイソシアネート等の硬化剤や、顔料、染料、無機又は有機のフィラー等の添加剤を加えても良い。
図2(a)は本発明の電機コイルの一例を示す模式図であり、図2(b)は図2(a)のA−A’断面図である。磁性材料からなるコア13の外側に絶縁電線11を捲線して電機コイル12が形成される。コアと電機コイルからなる部材は、モータのロータやステータとして使用される。例えば図3に示すように、コア13と電機コイル12とからなる分割ステータ14を複数組み合わせて環状に配置したステータ15を、モータの構成部材として使用する。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお本発明の範囲はこの実施例のみに限定されるものではない。
(ポリイミド樹脂ワニスの作製)
芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)94.3gを803gのN−メチルピロリドンに溶解させた後、芳香族テトラカルボン酸二無水物であるピロメリット酸二無水物(PMDA)102.7gを加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。その後60℃で20時間撹拌し反応を終え室温まで冷却し、不揮発分18%のポリイミド樹脂ワニスを得た。
(ポリアミドイミド樹脂ワニスの作製)
温度計、冷却管、塩化カルシウム充填管、攪拌器、窒素吹き込み管を取り付けたフラスコ中に、前記窒素吹き込み管から毎分150mlの窒素ガスを流しながら、TMA(トリメリット酸無水物、三菱瓦斯化学(株)製)108.6g、MDI(メチレンジイソシアネート、三井武田ケミカル(株)製、商品名コスモネートPH)141.5gを投入した。次いでN−メチルピロリドン637gを入れ、攪拌器で攪拌しながら80℃で3時間加熱した。さらに約3時間かけて反応系の温度を140℃まで昇温した後140℃で1時間加熱した。1時間経過した段階で加熱を止め、放冷して不揮発分25%のポリアミドイミド樹脂ワニスとした。
(ポリイミド樹脂ワニスの作製)
芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)94.3gを803gのN−メチルピロリドンに溶解させた後、芳香族テトラカルボン酸二無水物であるピロメリット酸二無水物(PMDA)102.7gを加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。その後60℃で20時間撹拌し反応を終え室温まで冷却し、不揮発分18%のポリイミド樹脂ワニスを得た。
(ポリエステルイミド樹脂ワニスの調整)
ポリエーテルイミドワニスとして、日立化成(株)製の商品名EL5−45Hを使用した。
(実施例1〜4、比較例1〜4)
(絶縁電線の作製)
厚み1.5mm、幅3.0mmの平角導体(銅線)の表面に、表1、2に示す皮膜構成となるように上記の樹脂ワニスを塗布、焼付けして絶縁電線を作製した。皮膜中のポリイミド比率を表1、表2に示す。
(耐加工性)
得られた絶縁電線の耐加工性を評価した。絶縁電線を予備伸長(20%、30%、40%)させた後、絶縁電線の幅方向が90度の角度となるように曲げ加工を行い(エッジワイズ曲げ)折り曲げ部の皮膜割れの有無を観察した。30個のサンプルで試験を実施して皮膜割れが発生した確率を計算した。なお曲げ加工の際には折り曲げ部の内側に半径1.5mmの丸棒を当て、折り曲げ部分の内径Rが1.5mmとなるようにしている。
以上の結果を表1に示す。なお表中ポリイミドはPI、ポリアミドイミドはPAI、ポリエステルイミドはPEsIと記載している。
Figure 2013033669
Figure 2013033669
実施例1〜4の絶縁電線は、下層及び上層にポリイミドを使用したものである。予備伸長20%での曲げ加工では皮膜割れ発生確率が全て0%、予備伸長30%でも皮膜割れ発生確率が15%以下であり、耐加工性に優れている。皮膜が全てポリイミドである比較例4は耐加工性が優れているがコストが高くなる。実施例1、実施例2では皮膜中のポリイミド比率が30%であり、低コストで耐加工性に優れる絶縁電線が得られる。
比較例2は下層のみにポリイミドを使用しているが、ポリイミドを全く使用していない比較例1と比べると耐加工性はほとんど変わらない。比較例3は上層のみにポリイミドを使用している。比較例1、2と比べると耐加工性は若干向上しているが充分な特性が得られていない。
1 第1の絶縁層
2 第2の絶縁層
3 第3の絶縁層
4 導体
11 絶縁電線
12 電機コイル
13 コア
14 分割ステータ
15 ステータ

Claims (5)

  1. 導体、該導体を被覆する第1の絶縁層、該第1の絶縁層を被覆する第2の絶縁層、該第2の絶縁層を被覆する第3の絶縁層からなる多層絶縁電線であって、前記第1の絶縁層及び前記第3の絶縁層はポリイミド樹脂からなり、前記第2の絶縁層はポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂及びH種ポリエステル樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂からなる多層絶縁電線。
  2. 前記第1の絶縁層及び前記第3の絶縁層の厚みの合計が、絶縁層全体の厚みの合計に対して30%以上60%以下である、請求項1に記載の多層絶縁電線。
  3. 前記第2の絶縁層が、ポリアミドイミド樹脂又はポリエステルイミド樹脂からなる請求項1又は2に記載の多層絶縁電線。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層絶縁電線を捲線してなる電機コイル。
  5. 請求項4に記載の電機コイルを有するモータ。
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