JP2012224697A - ポリイミド樹脂ワニス及びそれを用いた絶縁電線、電機コイル、モータ - Google Patents

ポリイミド樹脂ワニス及びそれを用いた絶縁電線、電機コイル、モータ Download PDF

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Abstract

【課題】コロナ放電開始電圧を高くできるとともに、柔軟性、機械的強度等の要求特性を満たすことのできる絶縁電線を提供する。
【解決手段】芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応して得られるポリイミド前駆体樹脂を主成分とするポリイミド樹脂ワニスであって、
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、ビスフェノールAジフタル酸二無水物(BPADA)を含有し、
前記芳香族ジアミンは、芳香族エーテル構造を有すると共にベンゼン環、ナフタレン環の一方又は両方を合計3つ以上有する第1の芳香族ジアミンを50モル%以上含有し、
前記ポリイミド前駆体樹脂のイミド化後のイミド基濃度が15%以上20%以下である、ポリイミド樹脂ワニス。
【選択図】 図2

Description

本発明は導体に塗布、焼付けして絶縁皮膜を形成することができるポリイミド樹脂ワニス、及びこのポリイミド樹脂ワニスを用いて形成された絶縁層を有する絶縁電線およびそれを用いた電機コイル、モータに関する。
適用電圧が高い電気機器、例えば高電圧で使用されるモータ等では、電気機器を構成する絶縁電線に高電圧が印加され、その絶縁皮膜表面で部分放電(コロナ放電)が発生しやすくなる。コロナ放電の発生により局部的な温度上昇やオゾンやイオンの発生が引き起こされやすくなる。その結果絶縁電線の絶縁被膜に劣化が生じることで早期に絶縁破壊を起こし、電気機器の寿命が短くなるという問題があった。
モータ等のコイル用巻線として用いられる絶縁電線において、導体を被覆する絶縁層(絶縁皮膜)には、優れた絶縁性、導体に対する密着性、耐熱性、機械的強度等が求められている。さらに高電圧で使用される絶縁電線には上記の理由によりコロナ放電開始電圧の向上も求められている。
絶縁層中やコイルの線間に微小な空隙があると、その部分に電界集中しコロナ放電が発生しやすくなる。コロナ放電を防ぐため、特許文献1には、導体上に形成された絶縁層の外側に熱融着樹脂を塗布、焼付けした絶縁電線を捲線してコイルを形成した後、加熱して熱融着樹脂を溶解して線間の空気層を埋める、コイルの形成方法が開示されている。
コロナ放電の発生を防ぐための別の手法としては、導体上に形成された絶縁層の外側に、1kΩ〜1MΩの表面抵抗を有する導電層や半導電層を形成させた絶縁電線がある(特許文献2等)。絶縁層の外側にある導電層や半導電層によって、絶縁層表面に生じる静電位勾配が緩やかになりコロナ放電開始電圧を向上することができる。
また絶縁層を低誘電率化することでコロナ放電開始電圧を向上できる。ポリイミド樹脂やフッ素樹脂は低誘電率であり、これらの材料を絶縁層とすることでコロナ放電開始電圧が向上する。また特許文献3には、ポリエステルイミドとポリエーテルスルホンとの混合樹脂を低誘電率の絶縁層として使用した絶縁電線が開示されている。
さらに特許文献4には、芳香族エーテル構造を有するポリイミド樹脂が記載されている。具体的には、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)等の芳香族エーテル構造を有する酸無水物と、芳香族エーテル構造を有するジアミン及びフルオレン構造を有するジアミンとを反応させてポリイミド前駆体を合成している。このような構造のポリイミド樹脂は低誘電率でありコロナ発生抑制に優れた絶縁皮膜を得ることができると記載されている。
特開平10−261321号公報 特開2004−254457号公報 特開2009−277369号公報 特開2010−67408号公報
特許文献1のような熱融着樹脂を使用する方法ではコイル形成後に熱融着工程が必要で、製造コストが高くなる。また導電層や半導電層を使用する方法では、コロナ放電開始電圧は向上するものの、導電層、半導電層により絶縁電線の表面抵抗が小さくなることで交流通電時に電線の表面に流れる漏れ電流が大きくなり、絶縁電線の表面が発熱して劣化しやすくなる。また絶縁電線末端の導体露出部と導電層、半導電層とが短絡するおそれがあるため、絶縁電線末端で導電層、半導電層を剥離する工程が必要となる。
絶縁層の低誘電率化による方法はコロナ放電開始電圧の向上に有効であるが、絶縁層には低誘電率であるだけではなく、絶縁性、導体に対する密着性、耐熱性、柔軟性等が求められており、また使用用途によって求められる特性が変わってくる。ポリイミド樹脂は耐熱性に優れ、また誘電率も比較的低い材料である。しかし一般的なポリイミド樹脂の誘電率は3.0〜3.5であり、コロナ放電開始電圧を向上するためにはさらに低誘電率とすることが求められている。またポリイミド樹脂は剛直な構造をしているため引張破断伸びが小さく柔軟性が低い。モータに使用されるコイルでは、占積率を上げるために絶縁電線を捲線してコイルを形成した後にコイルをスロット中に挿入する等、絶縁電線を大きく変形させる加工を行うことがある。この時絶縁層の柔軟性が低いと加工時に絶縁皮膜が損傷を受けやすく、電気特性が不良となったり絶縁皮膜の割れが発生したりするおそれがある。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、低誘電率であると共に皮膜の柔軟性を高くして耐加工性を向上できる絶縁皮膜を形成可能なポリイミド樹脂ワニスを提供することを課題とする。また本発明は上記のポリイミド樹脂ワニスを用いて形成された絶縁層を有し、コロナ放電開始を高くできるとともに機械的強度等の要求特性を満たすことのできる絶縁電線及びそれを用いた電機コイル、モータを提供することを課題とする。
本発明は、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応して得られるポリイミド前駆体樹脂を主成分とするポリイミド樹脂ワニスであって、
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、ビスフェノールAジフタル酸二無水物(BPADA)を含有し、
前記芳香族ジアミンは、
下記式(1)で表される芳香族エーテル結合を有すると共にベンゼン環、ナフタレン環の一方又は両方を合計3つ以上有する第1の芳香族ジアミンを50モル%以上含有し、
前記ポリイミド前駆体樹脂のイミド化後のイミド基濃度が15%以上20%以下であるポリイミド樹脂ワニスである(請求項1)。
Figure 2012224697
本発明者らはポリイミド樹脂のイミド基濃度に着目した。イミド基濃度は、ポリイミド前駆体をイミド化した後のポリイミド樹脂において、
(イミド基部分の分子量)/(全ポリマーの分子量)×100(%)
で計算される値である。イミド基は極性が高く、ポリイミド樹脂中の誘電率を上げる原因となる。ポリイミド前駆体樹脂は芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応して得られるので、各モノマー(芳香族ジアミン又は芳香族テトラカルボン酸二無水物)の分子量を大きくすることでイミド基濃度を小さくし、誘電率を低くすることができる。本発明ではイミド基濃度を15%以上20%以下にまで低減することで誘電率の低いポリイミド樹脂を得ることができる。
特許文献4では、芳香族ジアミンとして2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等比較的分子量が大きいものを使用しているが、芳香族テトラカルボン酸二無水物(酸成分)には分子量が小さい4,4−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)等を使用しており、イミド基濃度を20%以下にすることができない。本発明では、酸成分として分子量が大きくかつ柔軟な成分であるビスフェノールAジフタル酸二無水物(BPADA)を使用することでイミド基濃度を20%以下とすることができる。酸成分として上記のビスフェノールAジフタル酸二無水物を単独で使用するとイミド基濃度を低くすることができるが、イミド基濃度が20%を超えない範囲で他の酸成分を併用しても良い。
芳香族ジアミンとしては、芳香族エーテル構造を有すると共にベンゼン環、ナフタレン環の一方又は両方を合計3つ以上有する第1の芳香族ジアミンを用いる。第1の芳香族ジアミンはベンゼン環又はナフタレン環を3つ以上有していることから分子量が大きく柔軟な成分であり、イミド基濃度を低減できると共にポリイミド樹脂の柔軟性を向上できる。芳香族ジアミンとしては上記第1の芳香族ジアミンを単独で使用しても良いし、イミド基濃度が20%を超えない範囲において他の芳香族ジアミンを併用しても良い。
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、4,4’−オキシジフタル酸(ODPA)の一方又は両方を併用すると好ましい。この場合、ビスフェノールAジフタル酸二無水物(BPADA)は芳香族テトラカルボン酸二無水物全体に対して20モル%以上とする(請求項2)。BPADAの含有量が20モル%よりも少ないとイミド基濃度が高くなり誘電率が高くなる。さらに好ましいBPADAの含有量は50モル%以上である。
前記第1の芳香族ジアミンとしては、2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群から選択される1種以上を選択することが好ましい(請求項3)。これらの芳香族ジアミンは分子量が大きく、ポリイミド樹脂の誘電率を低くできると共に柔軟性を向上できる。
請求項4に記載の発明は、導体及び該導体を直接又は他の層を介して被覆する絶縁層を有する絶縁電線であって、前記絶縁層は上記のポリイミド樹脂ワニスを塗布、焼付けして形成された絶縁層である絶縁電線である。絶縁層の誘電率が低いため、コロナ放電開始電圧の高い絶縁電線が得られる。また絶縁層の柔軟性に優れるため耐加工性の優れた絶縁電線が得られる。
請求項5に記載の発明は、上記の絶縁電線を捲線してなる電機コイルである。また請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電機コイルを有するモータである。耐加工性に優れた絶縁電線を使用していることから占積率の高いコイルが得られ、コイル及びモータの小型化が可能となる。また高電圧が印加された場合でも絶縁皮膜の劣化が起こりにくいので、寿命を長くすることが可能である。
本発明によれば誘電率が低く柔軟性、引張強度等の機械強度に優れた絶縁電線用のポリイミド樹脂ワニスを提供することができる。また本発明の絶縁電線は耐加工性に優れるとともにコロナ放電開始電圧を向上できる。
誘電率の測定方法を説明する模式図である。 本発明の絶縁電線の一例を示す断面模式図である。 本発明のコイルの一例を示す模式図である。 本発明のモータの一例を示す模式図である。
本発明のポリイミド樹脂ワニスの主成分であるポリイミド前駆体樹脂(ポリアミック酸)は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの縮合重合によって得られる。この縮合重合反応は、従来のポリイミド前駆体の合成と同様な条件にて行うことができる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、下記式(2)で表されるビスフェノールAジフタル酸二無水物(BPADA)を使用する。
Figure 2012224697
芳香族テトラカルボン酸として、BPADA以外の酸成分を併用しても良い。BPADA以外の酸成分としてはピロメリット酸二無水物(PMDA)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ(2,2,2)−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボンキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物等が例示される。
この中でも下記式(3)で表されるピロメリット酸二無水物(PMDA)は低分子量で剛直な構造を持つため、ポリイミド樹脂の耐熱性を向上できる点で好ましい。また4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)も皮膜の耐加工性向上の点で好ましい。
Figure 2012224697
芳香族ジアミンとして、芳香族エーテル結合を有し、ベンゼン環、ナフタレン環の一方又は両方を合計3つ以上有する第1のジアミンを使用する。第1の芳香族ジアミンとしては、ベンゼン環を4つ有する2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、ベンゼン環を4つ有する1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン(4−APBZ)、ベンゼン環を4つ有する4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(4−APBP)、ベンゼン環を3つ有する1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、ベンゼン環を3つ有する1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、ベンゼン環を3つ有する1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(3−APB)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(4−APB)、ベンゼン環2つとナフタレン環1つを有する1,5−ビス(3−アミノフェノキシ)ナフタレン(1,5−BAPN)、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)ナフタレン(1,6−BAPN)等が例示できる。分子中に芳香族エーテル結合を多く含む分子を使用すると柔軟性向上効果が高くなる。
この中でも下記式(4)で表される2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、下記式(5)で表される1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン(4−APBZ)、下記式(6)で表される1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)が好ましく使用できる。
Figure 2012224697
Figure 2012224697
Figure 2012224697
上記の第1の芳香族ジアミンと他の芳香族ジアミンを併用しても良い。他の芳香族ジアミンとしては、パラフェニレンジアミン(PPD)、4、4−ジアミノジフェニルエーテル(DPE)、1,5−ナフタレンジアミン(NDA)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)ナフタレン(1,6−BAPN)、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(BAPF)等が好ましく使用できる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物及び芳香族ジアミンは、イミド化後のイミド基濃度が15%以上20%以下となるように選択する。イミド基濃度はポリイミド前駆体をイミド化した後のポリイミド樹脂において、
(イミド基部分の分子量)/(全ポリマーの分子量)×100
で計算される値である。具体的には以下の方法でイミド基濃度を計算する。
芳香族テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミンの分子量からユニット単位でのイミド基濃度を計算する。例えば下記式(7)で示されるポリイミドの場合、イミド基濃度は
イミド基分子量=70.03×2=140.06
ユニット分子量=894.96となるため、
イミド基濃度(%)=(140.06)/(894.96)×100=15.6%
となる。第1の芳香族ジアミンを含有するユニットのイミド基濃度と第2の芳香族ジアミンを含有するイミド基濃度とをそれぞれ求め、第1の芳香族ジアミンと第2の芳香族ジアミンの含有割合をかけてポリイミド全体のイミド基濃度を計算する。
Figure 2012224697
上記の芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを混合して反応させる。芳香族ジアミンの合計量(当量)と、芳香族テトラカルボン酸二無水物の合計量(当量)を約1:1とすると反応が良好に進行して好ましい。それぞれの材料を混合し、有機溶媒中で加熱して反応させてポリイミド前駆体樹脂を得る。
有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性有機溶媒が使用できる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種以上を組み合わせても良い。
有機溶媒の量は、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分、芳香族ジアミン成分等を均一に分散させることができる量であれば良く、特に制限されないが、通常これらの成分の合計量100質量部あたり100質量部〜1000質量部(樹脂濃度で10%〜50%程度となるように)使用する。有機溶媒量を少なくするとできあがったポリイミド樹脂ワニスの固形分量が多くなり、コスト低減に有効である。
ポリイミド樹脂ワニスには顔料、染料、無機又は有機のフィラー、潤滑剤、密着向上剤等の各種添加剤や反応性低分子、相溶化剤等を添加しても良い。さらに、本発明の趣旨を損ねない範囲で他の樹脂を混合して使用することもできる。
ポリイミド樹脂ワニスを導体上に直接又は他の層を介して塗布、焼き付けして絶縁層を形成する。焼付け工程でポリイミド前駆体樹脂がイミド化してポリイミドとなる。塗布、焼付けは通常の絶縁電線の製造と同様に行うことができる。例えば、導体に樹脂ワニスを塗布した後、設定温度を350〜500℃とした炉内を1パス当たり5〜10秒間通過させて焼付ける作業を数回繰り返して絶縁層を形成する。絶縁層の厚みは10μm〜150μmとする。
導体としては、銅や銅合金、アルミ等を使用できる。導体の大きさやその断面形状は特に限定されないが、丸線の場合は導体径が100μm〜5mmのものが、平角線の場合は一辺の長さが500μm〜5mmのものが一般に使用される。
絶縁層は単層であっても多層であっても良い。絶縁層が単層である場合は上記のポリイミド樹脂ワニスを塗布、焼き付けして形成された絶縁層のみが絶縁層となる。絶縁層を多層にする場合は、上記のポリイミドからなる絶縁層の形成前又は形成後に他の絶縁層を形成する。他の絶縁層を形成する樹脂としてはポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリウレタン、ポリエーテルイミド等任意の樹脂を使用できる。
さらに、絶縁層として、最外層に表面潤滑層を有すると加工性が向上して好ましい。また絶縁電線の外側に表面潤滑油を塗布しても良い。この場合はさらにインサート性や加工性が向上する。
図2は本発明の絶縁電線の一例を示す断面模式図である。導体1の外側に多層の絶縁層があり、絶縁層は導体側から第1の絶縁層2、第2の絶縁層3、表面潤滑層4となっている。例えば密着向上剤を添加したポリアミドイミド樹脂ワニスを塗布、焼き付けして第1の絶縁層2を形成し、本発明のポリイミド樹脂ワニスを塗布焼き付けして第2の絶縁層3を形成する。なお本発明の絶縁電線はこの形状に限定されるものではない。
図3(a)は本発明の電機コイルの一例を示す模式図であり、図3(b)は図3(a)のA−A’断面図である。磁性材料からなるコア13の外側に絶縁電線11を捲線して電機コイル12が形成される。コアと電機コイルからなる部材は、モータのロータやステータとして使用される。例えば、図4に示すように、コア13と電機コイル12とからなる分割ステータ14を複数組み合わせて環状に配置したステータ15を、モータの構成部材として使用する。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお本発明の範囲はこの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1〜8、比較例1〜4)
(ポリイミド前駆体樹脂の作製)
表1及び表2に示す種類と量の芳香族ジアミンをN−メチルピロリドンに溶解させた後、表1に示す種類と量の芳香族テトラカルボン酸無水物を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。その後60℃で20時間撹拌し反応を終え、室温まで冷却してポリイミド樹脂ワニスを得た。なお表1に記載している配合量の数値はモル比である。また各成分の分子量から計算したイミド基濃度を表中に記載している。
(絶縁電線の作製)
ポリイミド樹脂ワニスを導体径(直径)約1mmの導線の表面に常法によって塗布、焼付けして厚み約40μmの絶縁層を形成し、実施例1〜8、比較例1〜4の絶縁電線を作製した。
(機械特性の評価)
得られた絶縁電線から導体を取り除いてチューブ状の絶縁層とし、引張試験機を用いてチャック間距離20mm、10mm/minで引張試験を行い皮膜の引張破断伸びを測定した。
(誘電率の測定)
得られた各絶縁電線について、絶縁層の誘電率を測定した。図1に示すように絶縁電線の表面3カ所に銀ペーストを塗布して測定用のサンプルを作製した(塗布幅は両端2カ所が10mm、中央部分が100mmである)。導体と銀ペースト間の静電容量をLCRメータで測定し、測定した静電容量の値と被膜の厚みから誘電率を算出した。なお測定は温度30℃、湿度50%の条件で行った。以上の評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 2012224697
Figure 2012224697
酸成分としてBPADAを使用し、イミド基濃度を15%以上20%以下とした実施例1〜実施例8のポリイミド皮膜は誘電率が全て3.0以下である。実施例6、実施例7ではBPADAとPMDAとを併用している。BPADAを単独で用いた実施例1〜5と比べると皮膜の伸びが大きく、靱性や耐加工性の向上のメリットがある。なお実施例1では皮膜伸びが小さく測定できなかった。
比較例1〜4のポリイミドは酸成分としてBPADAを使用していない。比較例1〜3のポリイミドはイミド基濃度が20%より高く誘電率は3.0以上となっている。また比較例4はイミド基濃度は19.3%であり誘電率は3.0より低いが皮膜が脆く、皮膜伸びは測定不可能であった。
1 導体
2 第1の絶縁層
3 第2の絶縁層
4 表面潤滑層
11 絶縁電線
12 電機コイル
13 コア
14 分割ステータ
15 ステータ

Claims (6)

  1. 芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応して得られるポリイミド前駆体樹脂を主成分とするポリイミド樹脂ワニスであって、
    前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、ビスフェノールAジフタル酸二無水物(BPADA)を含有し、
    前記芳香族ジアミンは、下記式(1)で表される芳香族エーテル構造を有すると共にベンゼン環、ナフタレン環の一方又は両方を合計3つ以上有する第1の芳香族ジアミンを50モル%以上含有し、
    前記ポリイミド前駆体樹脂のイミド化後のイミド基濃度が15%以上20%以下である、ポリイミド樹脂ワニス。
    Figure 2012224697
  2. 前記芳香族テトラカルボン酸二無水物は、さらにピロメリット酸二無水物(PMDA)、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)の一方又は両方を含有し、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物全体に対するビスフェノールAジフタル酸二無水物(BPADA)の含有量が20モル%以上である、請求項1に記載のポリイミド樹脂ワニス。
  3. 前記第1の芳香族ジアミンが、2,2−ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンからなる群から選択される1種以上である、請求項1又は2に記載のポリイミド樹脂ワニス。
  4. 導体及び該導体を直接又は他の層を介して被覆する絶縁層を有する絶縁電線であって、前記絶縁層は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂ワニスを塗布、焼付けして形成された絶縁層である、絶縁電線。
  5. 請求項4に記載の絶縁電線を捲線してなる電機コイル。
  6. 請求項5に記載の電機コイルを有するモータ。
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