JP2013155281A - 絶縁塗料、該絶縁塗料を用いた絶縁電線および該絶縁電線を用いたコイル - Google Patents

絶縁塗料、該絶縁塗料を用いた絶縁電線および該絶縁電線を用いたコイル Download PDF

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Abstract

【課題】従来と同等以上の機械的特性を有しながら、より薄くより均質な絶縁被膜形成を可能とし、かつ粘度調整を含めた作業性に優れた絶縁塗料を提供する。また、該絶縁塗料を用いて絶縁被膜を形成した絶縁電線、および該絶縁電線を用いたコイルを提供する。
【解決手段】本発明に係る絶縁塗料は、絶縁被膜を形成するための絶縁塗料であって、前記絶縁塗料は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとカルボキシル基を有する酸無水物とを極性溶媒の存在下で重合反応させて得られるポリアミック酸の溶液であり、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物の配合モル量[B]に対する前記芳香族ジアミンの配合モル量[A]の比率が、「102/100≦[A]/[B]≦105/100」であり、前記ポリアミック酸の末端のアミノ基の一部が、前記カルボキシル基を有する酸無水物によって封止されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁電線に関し、特に、絶縁電線の絶縁被膜を形成するための絶縁塗料、該絶縁塗料を用いて絶縁被膜を形成した絶縁電線、および該絶縁電線を用いたコイルに関するものである。
絶縁電線(いわゆるエナメル線)は、回転電機や変圧器などの電気機器のコイル用電線として広く用いられており、コイルの用途・形状に合致した断面形状(例えば、丸形状や四辺形状)に成形された金属導体線の外周に単層または複数層の絶縁被膜が形成された構成をしている。該絶縁被膜は、しばしば有機溶媒に樹脂(例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等)を溶解させた絶縁塗料を金属導体線上に塗布・焼付して作製される。
近年、電子機器の小型化、自動車分野のハイブリッドカーや電気自動車の普及に伴って、絶縁電線への耐熱特性や耐摩耗特性の要求が高まっている。ポリイミド樹脂は、高分子材料の中で最高レベルの熱的特性・機械的特性・化学的特性を示すことから、絶縁電線の絶縁被膜として非常に期待される材料の一つである。
ポリイミド樹脂の合成方法としては、ポリアミック酸(ポリアミド酸とも言う)を経由する二段合成法、高温溶液重合法、イソシアネートを用いる一段合成法などが挙げられる。中でも二段合成法は、ポリアミック酸溶液(ポリイミド樹脂塗料)を利用した成形やコーティングに便利な方法であることから、ポリイミド樹脂の合成方法として広く用いられている。ポリイミド樹脂絶縁塗料は、一般的に、極性溶媒(例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)など)の中で、テトラカルボン酸二水物(例えば、ピロメリット酸二無水物(PMDA)など)と、ジアミン(例えば、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)など)とを重合反応させることによって得られる。
ポリイミド樹脂絶縁塗料の一例として、特許文献1(特開平6−136121号公報)には、ジアミン誘導体とテトラカルボン酸誘導体とを極性溶媒中で重合させてポリアミド酸ワニスを合成する際に、テトラカルボン酸誘導体として0.5モル%以上10モル%未満のテトラカルボン酸と、90モル%超99.5モル%以下のテトラカルボン酸二無水物とを用いるポリアミド酸ワニスの合成方法が開示されている。特許文献1によれば、ポリアミド酸をイミド化したときに、特性低下をきたすことがないポリアミド酸ワニスを短時間に合成することができ、また高濃度のポリアミド酸ワニスを得ることができるとしている。
また、特許文献2(特表平11−510835号公報)には、(a)約70〜99.9重量%の少なくとも一つのポリイミドと、(b)約0.1〜30重量%の少なくとも一つの低硬度で熱的に安定な無機の層状ケイ酸塩とを含むポリイミド組成物が開示されている。特許文献2によれば、ポリイミド組成物において、白雲母、タルク、およびカオリナイトのような低硬度で熱的に安定な無機の層状ケイ酸塩を混入させることにより、耐摩耗性が向上し、摩擦係数が減少するとしている。
特開平6−136121号公報 特表平11−510835号公報
最近では電気機器への性能向上の要求がますます高度になってきており、それら電気機器に用いる絶縁電線に対する要求も厳しくなっている。例えば、モータ等のコイル用絶縁電線において、従来と同等以上の機械的特性(例えば、耐摩耗性や可撓性)を有しながら、より均質な被膜を形成することが強く求められている。そのため、特許文献1や特許文献2に記載されたポリイミド樹脂絶縁塗料では、要求されるレベルを満たすことが困難になってきた。
一方、ポリイミド樹脂絶縁塗料を用いて絶縁被膜を形成する場合、塗膜厚さの安定性や塗布装置の許容粘度の観点から、塗料中のポリアミック酸の濃度調整や塗料の粘度調整が重要である。一例として、塗布装置を用いて要求されるレベルの薄い塗膜を導線上に均質に形成するためには、絶縁塗料の粘度を3000 mPa・s(30 poise)以下に調整する必要があるが、重合反応時のポリアミック酸の粘度が非常に高いことから、絶縁塗料の粘度調整に多大な手間が掛かる(言い換えると、作業性が悪く、製造コストが増大する)という問題があった。
従って、本発明の目的は、上記要求を満たすために、従来と同等以上の機械的特性(例えば、耐摩耗性や可撓性)を有しながら、より均質な絶縁被膜形成を可能とし、かつ粘度調整を含めた作業性に優れた絶縁塗料を提供することにある。また、該絶縁塗料を用いて絶縁被膜を形成した絶縁電線、および該絶縁電線を用いたコイルを提供することにある。
(I)本発明の1つの態様は、上記目的を達成するため、絶縁被膜を形成するための絶縁塗料であって、前記絶縁塗料は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとカルボキシル基を有する酸無水物とを極性溶媒の存在下で重合反応させて得られるポリアミック酸の溶液であり、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物の配合モル量[B]に対する前記芳香族ジアミンの配合モル量[A]の比率が、「102/100≦[A]/[B]≦105/100」であり、前記ポリアミック酸の末端のアミノ基の一部が、前記カルボキシル基を有する酸無水物によって封止されている絶縁塗料を提供する。
さらに、本発明は、上記の本発明に係る絶縁塗料において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記カルボキシル基を有する酸無水物の配合モル量[C]は、「[C]=[A]−[B]」である。
また、本発明の他の態様は、上記目的を達成するため、上記いずれかの絶縁塗料による前記絶縁被膜が導線の外周に形成されている絶縁電線を提供する。
また、本発明の更に他の態様は、上記目的を達成するため、上記絶縁電線を用いて作製されたコイルを提供する。
本発明によれば、従来と同等以上の機械的特性を有しながら、より薄くより均質な絶縁被膜形成を可能とし、かつ粘度調整を含めた作業性に優れた絶縁塗料を提供することができる。また、該絶縁塗料を用いて絶縁被膜を形成した絶縁電線、および該絶縁電線を用いたコイルを提供することができる。
本発明に係る絶縁電線の1例を示す断面模式図である。
以下、本発明に係る実施形態を説明する。ただし、本発明は、ここで取り上げた実施の形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
[絶縁塗料]
前述したように、本発明に係る絶縁塗料は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとカルボキシル基を有する酸無水物とを極性溶媒の存在下で重合反応させて得られるポリアミック酸の溶液である。
通常の二段合成法では、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを等モルで配合し重合させてポリアミック酸を合成するが、本発明においては、芳香族ジアミンの配合モル量[A]を芳香族テトラカルボン酸二無水物の配合モル量[B]に対して所定の比率で多く配合する。すなわち、「[A]>[B]」とする。このようにすることで、生成するポリアミック酸の分子量の過増大を抑制することができる。その結果、ポリアミック酸の粘度の過増大が抑制され、絶縁塗料の粘度調整が容易となる。
より具体的には、芳香族テトラカルボン酸二無水物の配合モル量[B]と芳香族ジアミンの配合モル量[A]との比率が、「102/100≦[A]/[B]≦105/100」であることが好ましい。「[A]/[B]<102/100」であると、生成するポリアミック酸の重合が進行しやすく(すなわち、分子量が増大しやすく)粘度が増大するため、絶縁塗料の粘度調整に大きな手間が掛かる(作業性が悪化する)。一方、「105/100<[A]/[B]」であると、生成するポリアミック酸の重合が過剰に抑制され(すなわち、ポリアミック酸の分子量が小さくなり)、イミド化反応後のポリイミド樹脂の分子量も小さくなり過ぎるため、絶縁被膜の機械的特性(例えば、耐摩耗性や可撓性)が低下する。
また、本発明に係る絶縁塗料は、ポリアミック酸の末端のアミノ基の一部が、カルボキシル基を有する酸無水物によって封止されている。ポリアミック酸の合成段階でカルボキシル基を有する酸無水物を配合することにより、末端の一部のアミノ基とカルボキシル基を有する酸無水物の酸部分とが反応し、カルボキシル基末端となる。この反応を利用することにより、ポリアミック酸の合成反応の進行が適度に抑制されて、生成するポリアミック酸の分子量の過増大(粘度の増大)を更に抑制することができる。その結果、塗料の塗布制御性(作業性)を更に向上させることができる。
アミノ基とカルボキシル基とは常温でほとんど反応しないため、ポリアミック酸の封止された末端には、カルボキシル基を有する酸無水物のカルボキシル基が存在すると考えられる。それに対し、絶縁塗料塗布後の焼付工程(焼成工程)においては、ポリアミック酸の通常のイミド化反応に加えて、封止末端のカルボキシル基とアミノ基(ポリアミック酸および余剰の芳香族ジアミン)との間で重合反応および/または架橋反応が起こると考えられる。本発明では、この重合反応・架橋反応により、ポリイミドとしての分子量の増大と分子構造の強化が達成され、機械的特性に優れた絶縁被膜が得られるものと考えられる。この反応を効率良く得るために、カルボキシル基を有する酸無水物の配合モル量[C]は、「[C]=[A]−[B]」であることが好ましい。
以下、本発明に係る絶縁塗料の各成分についてより具体的に説明する。
(芳香族テトラカルボン酸二無水物)
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸(PMDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(2,2’-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェニキシ)フェニル]プロパン酸二無水物(BPADA)、ブタンテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物などを好適に用いることができる。上記芳香族テトラカルボン酸二無水物を水添した脂環式テトラカルボン酸二無水物を用いることもできる。また、これらを組み合わせたものであっても良い。
(芳香族ジアミン)
芳香族ジアミンとしては、例えば、1,4-ジアミノベンゼン(PPD)、1,3-ジアミノベンゼン(MPD)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(DAM)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、9,9’-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(FDA)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)などを好適に用いることができる。上記芳香族ジアミンの水添化合物、ハロゲン化物、異性体などを用いることもできる。また、これらを組み合わせたものであっても良い。
(カルボキシル基を有する酸無水物)
カルボキシル基を有する酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸を好適に用いることができる。
(極性溶媒)
極性溶媒としては、ポリアミック酸の溶解性を低下させないものであれば、特に限定されない。例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどを好適に用いることができる。さらに、これらを芳香族アルキルベンゼン類などで希釈したものを用いることもできる。
[絶縁電線]
図1は、本発明に係る絶縁電線の1例を示す断面模式図である。図1に示したように、本発明に係る絶縁電線10は、導体1の外周に上記の絶縁塗料による絶縁被膜2が形成されているものである。本発明に係る絶縁塗料を塗布・焼付して絶縁被膜2を形成することにより、従来と同等以上の機械的特性を有しながら、より薄くより均質な被膜形成が可能となる。さらに、本発明に係る絶縁塗料は、粘度調整を含めた作業性に優れていることから、絶縁電線10の製造コストを低減することができる。
導体1に特段の限定はなく、通常のエナメル線で用いられる銅線、アルミニウム線の他に、金線、銀線や超電導線などを利用することができる。また、銅線の外周にニッケルなどの金属めっきを施した導体でもよい。さらに、本発明の絶縁被膜2が被覆される導体形状にも特段の限定はなく、丸形状や四辺形状であってもよい。なお、本発明における四辺形状とは、角部が丸みを有する四角形状や角丸長方形状を含むものとする。
本発明に係る絶縁電線は、導体1と絶縁被膜2との密着性を向上させるための被膜や、絶縁被膜2の可撓性を向上させるための被膜を導体1と絶縁被膜2との間に形成してもよい。また、本発明に係る絶縁電線は、絶縁被膜2の外周に潤滑性を付与するための被膜や、耐傷性を付与するための被膜を形成してもよい。これら付加的な被膜に特段の限定は無く、公知の被膜を利用できる。付加的な被膜の形成は、絶縁塗料を塗布・焼付することによって行ってもよいし、押出機を用いた押出成形によって行ってもよい。
[コイル]
本発明に係るコイルは、上述した本発明に係る絶縁電線を使用して作製される。本発明のコイルは、回転電機(モータや発電機)および変圧器などの電気機器を構成するコイルとして好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1の絶縁塗料と絶縁電線の作製)
撹拌棒、窒素流入管を取り付けたフラスコに、芳香族ジアミンとして392.0 g(0.956 mol)の2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)と、極性溶媒として3400 gのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)とを投入し、室温で100 rpmの回転速度でBAPPがNMPに溶解するまで撹拌した。次に、芳香族テトラカルボン酸二無水物として204.4 g(0.937 mol)のピロメリット酸二無水物(PMDA)を投入し、室温で24時間撹拌した。さらに、カルボキシル基を有する酸無水物として3.6 g(0.0187 mol)のトリメリット酸無水物(TMA)を投入し溶解させて、実施例1の絶縁塗料を得た。
次に、導体径0.8 mmの銅線上に、実施例1の絶縁塗料を従前の方法により塗布・焼付を繰り返して、ポリイミド樹脂からなる絶縁被膜(厚さ:50μm)を有する実施例1の絶縁電線を作製した。
(実施例2の絶縁塗料と絶縁電線の作製)
BAPPの配合量を392.2 g(0.956 mol)とし、PMDAの配合量を202.5 g(0.928 mol)とし、TMAの配合量を5.3 g(0.0276 mol)とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の絶縁塗料と絶縁電線とを作製した。
(実施例3の絶縁塗料と絶縁電線の作製)
BAPPの配合量を392.5 g(0.957 mol)とし、PMDAの配合量を198.7 g(0.911 mol)とし、TMAの配合量を8.8 g(0.0458 mol)とした以外は実施例1と同様にして、実施例3の絶縁塗料と絶縁電線とを作製した。
(比較例1の絶縁塗料と絶縁電線の作製)
BAPPの配合量を391.7 g(0.955 mol)とし、PMDAの配合量を208.3 g(0.955 mol)とし、TMAを配合しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1の絶縁塗料と絶縁電線とを作製した。
(比較例2の絶縁塗料と絶縁電線の作製)
BAPPの配合量を393.2 g(0.959 mol)とし、PMDAの配合量を190.1 g(0.872 mol)とし、TMAの配合量を16.7 g(0.0869 mol)とした以外は実施例1と同様にして、比較例2の絶縁塗料を作製し、絶縁電線の作製を試みた。
(試験・評価)
上記のようにして用意した絶縁塗料および絶縁電線(実施例1〜3、比較例1〜2)に対して、次のような試験・評価を行った。
(1)塗料特性試験(作業性評価)
塗料特性試験は、次のような手順で行った。用意した絶縁塗料(不揮発分18質量%)に対し、80℃で4時間のクッキングを行った。クッキング終了後、直ちに絶縁塗料の粘度を測定した。粘度の測定は、コーンプレート型(E型)粘度計(東機産業株式会社製、TV-20)を用い、0.5 mLの絶縁塗料で30℃の条件で行った。測定した粘度が、3000 mPa・s(30 poise)以下を「合格」とし、3000 mPa・s超を「不合格」と評価した。
(2)往復摩耗試験(耐摩耗性評価)
JIS C 3216に準拠して、往復摩耗試験を行った。絶縁電線を120 mmの長さに切り出し、片側末端の絶縁被覆をアビソフィックス装置で剥離して評価試料とした。テーバー型の摩耗試験機(東英工業株式会社製、TS-4)に評価試料を取り付けた後、剥離した末端部に電極を取り付け、絶縁被覆の表面に垂直方向から5.9 N(0.6 kgf)の荷重を掛けながら触針の往復摩耗(振幅20 mm)を行い、電気が導通したときの往復摩耗回数を測定した。
(3)巻付試験(可撓性評価)
JIS C 33216に準拠して、長手方向に20%伸長させた絶縁電線に対して巻付試験を行った。導体径と同じ径を有する丸棒(巻付棒)に絶縁電線を巻き付け、光学顕微鏡を用いて絶縁被膜での亀裂の有無を調査した。本試験では、絶縁電線を5巻き/コイルとして5コイル分巻き付け、光学顕微鏡を用いて観察した。
(試験・評価結果)
実施例1〜3および比較例1〜2の諸元と試験・評価結果をそれぞれ表1に示す。
Figure 2013155281
表1に示したように、本発明に係る実施例1〜3の絶縁塗料および絶縁電線は、良好な塗料特性と、良好な耐摩耗性と、良好な可撓性とを示すことが確認された。一方、従来の絶縁塗料および絶縁電線である比較例1では、可撓性は良好であるものの、塗料特性と耐摩耗性とは不十分な結果であった。また、TMAが過度に添加された比較例2では、粘度の低い絶縁塗料が得られたものの、ポリアミック酸の重合度が低過ぎる(分子量が小さ過ぎる)ことに起因して、絶縁被膜に直ぐに割れが発生してしまい、健全な絶縁電線を作製することができなかった。そのため、比較例2の絶縁電線に対する試験・評価が不能であった。
以上説明したように、本発明に係る絶縁塗料は、良好な塗料特性(粘度調整を含めた作業性)を有し、該絶縁塗料を用いて絶縁被膜を形成した絶縁電線は、薄い絶縁被膜でも良好な耐摩耗性と良好な可撓性とを示すことが実証された。
1…導体、2…絶縁被膜、3…ボビン、10…絶縁電線。

Claims (4)

  1. 絶縁被膜を形成するための絶縁塗料であって、
    前記絶縁塗料は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとカルボキシル基を有する酸無水物とを極性溶媒の存在下で重合反応させて得られるポリアミック酸の溶液であり、
    前記芳香族テトラカルボン酸二無水物の配合モル量[B]に対する前記芳香族ジアミンの配合モル量[A]の比率が、「102/100≦[A]/[B]≦105/100」であり、
    前記ポリアミック酸の末端のアミノ基の一部が、前記カルボキシル基を有する酸無水物によって封止されていることを特徴とする絶縁塗料。
  2. 請求項1に記載の絶縁塗料において、
    前記カルボキシル基を有する酸無水物の配合モル量[C]は、「[C]=[A]−[B]」であることを特徴とする絶縁塗料。
  3. 請求項1または請求項2に記載の絶縁塗料による前記絶縁被膜が導線の外周に形成されていることを特徴とする絶縁電線。
  4. 請求項3に記載の絶縁電線を用いて作製されたことを特徴とするコイル。
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