JP2013155281A - 絶縁塗料、該絶縁塗料を用いた絶縁電線および該絶縁電線を用いたコイル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る絶縁塗料は、絶縁被膜を形成するための絶縁塗料であって、前記絶縁塗料は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとカルボキシル基を有する酸無水物とを極性溶媒の存在下で重合反応させて得られるポリアミック酸の溶液であり、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物の配合モル量[B]に対する前記芳香族ジアミンの配合モル量[A]の比率が、「102/100≦[A]/[B]≦105/100」であり、前記ポリアミック酸の末端のアミノ基の一部が、前記カルボキシル基を有する酸無水物によって封止されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
(i)前記カルボキシル基を有する酸無水物の配合モル量[C]は、「[C]=[A]−[B]」である。
前述したように、本発明に係る絶縁塗料は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとカルボキシル基を有する酸無水物とを極性溶媒の存在下で重合反応させて得られるポリアミック酸の溶液である。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸(PMDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(2,2’-ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェニキシ)フェニル]プロパン酸二無水物(BPADA)、ブタンテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物などを好適に用いることができる。上記芳香族テトラカルボン酸二無水物を水添した脂環式テトラカルボン酸二無水物を用いることもできる。また、これらを組み合わせたものであっても良い。
芳香族ジアミンとしては、例えば、1,4-ジアミノベンゼン(PPD)、1,3-ジアミノベンゼン(MPD)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(DAM)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル(m-TB)、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、9,9’-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(FDA)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-Q)、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE-R)、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)などを好適に用いることができる。上記芳香族ジアミンの水添化合物、ハロゲン化物、異性体などを用いることもできる。また、これらを組み合わせたものであっても良い。
カルボキシル基を有する酸無水物としては、例えば、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸を好適に用いることができる。
極性溶媒としては、ポリアミック酸の溶解性を低下させないものであれば、特に限定されない。例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどを好適に用いることができる。さらに、これらを芳香族アルキルベンゼン類などで希釈したものを用いることもできる。
図1は、本発明に係る絶縁電線の1例を示す断面模式図である。図1に示したように、本発明に係る絶縁電線10は、導体1の外周に上記の絶縁塗料による絶縁被膜2が形成されているものである。本発明に係る絶縁塗料を塗布・焼付して絶縁被膜2を形成することにより、従来と同等以上の機械的特性を有しながら、より薄くより均質な被膜形成が可能となる。さらに、本発明に係る絶縁塗料は、粘度調整を含めた作業性に優れていることから、絶縁電線10の製造コストを低減することができる。
本発明に係るコイルは、上述した本発明に係る絶縁電線を使用して作製される。本発明のコイルは、回転電機(モータや発電機)および変圧器などの電気機器を構成するコイルとして好適に使用することができる。
撹拌棒、窒素流入管を取り付けたフラスコに、芳香族ジアミンとして392.0 g(0.956 mol)の2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)と、極性溶媒として3400 gのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)とを投入し、室温で100 rpmの回転速度でBAPPがNMPに溶解するまで撹拌した。次に、芳香族テトラカルボン酸二無水物として204.4 g(0.937 mol)のピロメリット酸二無水物(PMDA)を投入し、室温で24時間撹拌した。さらに、カルボキシル基を有する酸無水物として3.6 g(0.0187 mol)のトリメリット酸無水物(TMA)を投入し溶解させて、実施例1の絶縁塗料を得た。
BAPPの配合量を392.2 g(0.956 mol)とし、PMDAの配合量を202.5 g(0.928 mol)とし、TMAの配合量を5.3 g(0.0276 mol)とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の絶縁塗料と絶縁電線とを作製した。
BAPPの配合量を392.5 g(0.957 mol)とし、PMDAの配合量を198.7 g(0.911 mol)とし、TMAの配合量を8.8 g(0.0458 mol)とした以外は実施例1と同様にして、実施例3の絶縁塗料と絶縁電線とを作製した。
BAPPの配合量を391.7 g(0.955 mol)とし、PMDAの配合量を208.3 g(0.955 mol)とし、TMAを配合しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1の絶縁塗料と絶縁電線とを作製した。
BAPPの配合量を393.2 g(0.959 mol)とし、PMDAの配合量を190.1 g(0.872 mol)とし、TMAの配合量を16.7 g(0.0869 mol)とした以外は実施例1と同様にして、比較例2の絶縁塗料を作製し、絶縁電線の作製を試みた。
上記のようにして用意した絶縁塗料および絶縁電線(実施例1〜3、比較例1〜2)に対して、次のような試験・評価を行った。
塗料特性試験は、次のような手順で行った。用意した絶縁塗料(不揮発分18質量%)に対し、80℃で4時間のクッキングを行った。クッキング終了後、直ちに絶縁塗料の粘度を測定した。粘度の測定は、コーンプレート型(E型)粘度計(東機産業株式会社製、TV-20)を用い、0.5 mLの絶縁塗料で30℃の条件で行った。測定した粘度が、3000 mPa・s(30 poise)以下を「合格」とし、3000 mPa・s超を「不合格」と評価した。
JIS C 3216に準拠して、往復摩耗試験を行った。絶縁電線を120 mmの長さに切り出し、片側末端の絶縁被覆をアビソフィックス装置で剥離して評価試料とした。テーバー型の摩耗試験機(東英工業株式会社製、TS-4)に評価試料を取り付けた後、剥離した末端部に電極を取り付け、絶縁被覆の表面に垂直方向から5.9 N(0.6 kgf)の荷重を掛けながら触針の往復摩耗(振幅20 mm)を行い、電気が導通したときの往復摩耗回数を測定した。
JIS C 33216に準拠して、長手方向に20%伸長させた絶縁電線に対して巻付試験を行った。導体径と同じ径を有する丸棒(巻付棒)に絶縁電線を巻き付け、光学顕微鏡を用いて絶縁被膜での亀裂の有無を調査した。本試験では、絶縁電線を5巻き/コイルとして5コイル分巻き付け、光学顕微鏡を用いて観察した。
実施例1〜3および比較例1〜2の諸元と試験・評価結果をそれぞれ表1に示す。
Claims (4)
- 絶縁被膜を形成するための絶縁塗料であって、
前記絶縁塗料は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとカルボキシル基を有する酸無水物とを極性溶媒の存在下で重合反応させて得られるポリアミック酸の溶液であり、
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物の配合モル量[B]に対する前記芳香族ジアミンの配合モル量[A]の比率が、「102/100≦[A]/[B]≦105/100」であり、
前記ポリアミック酸の末端のアミノ基の一部が、前記カルボキシル基を有する酸無水物によって封止されていることを特徴とする絶縁塗料。 - 請求項1に記載の絶縁塗料において、
前記カルボキシル基を有する酸無水物の配合モル量[C]は、「[C]=[A]−[B]」であることを特徴とする絶縁塗料。 - 請求項1または請求項2に記載の絶縁塗料による前記絶縁被膜が導線の外周に形成されていることを特徴とする絶縁電線。
- 請求項3に記載の絶縁電線を用いて作製されたことを特徴とするコイル。
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