JP2001266647A - 絶縁被覆物及びそれを得るための絶縁塗料 - Google Patents

絶縁被覆物及びそれを得るための絶縁塗料

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JP2001266647A JP2000082208A JP2000082208A JP2001266647A JP 2001266647 A JP2001266647 A JP 2001266647A JP 2000082208 A JP2000082208 A JP 2000082208A JP 2000082208 A JP2000082208 A JP 2000082208A JP 2001266647 A JP2001266647 A JP 2001266647A
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insulating
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寿史朗 江口
Akira Shigeta
朗 繁田
Fumiko Okui
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導体への密着性、柔軟性、可とう性、耐折り
曲げ性、耐屈曲性に優れた絶縁被膜が導体上に形成され
た絶縁被覆物、及び絶縁被膜を得るための絶縁塗料を提
供する。 【解決手段】 下記一般式(1)に示す構造単位と一般
式(2)に示す構造単位とのモル比が20:80〜9
0:10であるポリイミドからなる絶縁被膜が導体上に
形成されている絶縁被覆物。 【化1】 上記ポリイミドになるポリアミド酸を溶質として溶解し
ているポリイミド前駆体溶液からなる絶縁塗料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導体との密着性に
優れ、かつ可とう性、柔軟性、耐久性に優れた絶縁被膜
を導体上に形成させた絶縁被覆物、及び導体上に絶縁被
膜を形成させるための絶縁塗料に関する。本発明の絶縁
被覆物のうち、特に好適なものとして、例えばモーター
のコアに巻きつけて使用するエナメル銅線が挙げられ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器の小型化、軽量化、高性
能化が図られている。例えばモーターにおいても小型化
かつ高出力のものが要求されており、そのためには、モ
ーターコアに巻き付ける絶縁電線(巻線)の量を増やす
ことが必要とされる。一般にコアに巻く絶縁電線は、導
線を絶縁被膜で被覆した構造となっているが、絶縁電線
を特に小型モーターに用いる場合はコアのスロット内に
空間的に余裕がなく、コアのスロット内に多くの絶縁電
線を無理に詰め込むことになる。その結果、巻線工程で
電線自体に機械的な負荷、例えば過剰な折り曲げや屈曲
により絶縁被膜に損傷が生じる危険性がある。その結
果、レアー不良やアース不良等の絶縁不良が発生すると
いう問題があった。
【0003】ところで、これら絶縁電線の絶縁被膜の素
材としては、ポリイミドが知られている。ポリイミドよ
りなる絶縁被膜は、ポリアミド酸を溶媒に溶解している
ポリイミド前駆体溶液である絶縁塗料を導線に塗布、熱
処理して得られ、ポリイミドで被覆された電線は、機械
的特性、絶縁特性、化学的特性(耐薬品性、耐油性な
ど)、耐熱性などに優れている。
【0004】従来、これら絶縁電線の絶縁被膜として
は、ピロメリット酸二無水物と4,4′−ジアミノジフ
ェニルエーテルとを反応させて得られるポリアミド酸
(ポリイミド前駆体)を溶質としてこれを溶媒に溶解し
たポリイミド前駆体溶液を絶縁塗料とし、それを塗布、
熱処理することで形成されるポリイミド被膜が広く使わ
れてきた。
【0005】しかしながら、上述した構造のポリイミド
は本質的に柔軟性に欠け、また、銅線等の導体との密着
性が必ずしも充分ではないために、前述した巻線工程で
受ける過度の折り曲げや屈曲によりポリイミド被膜が裂
けたり導体から剥がれたりし、その結果、絶縁不良が発
生するという大きな問題があった。また、これら絶縁電
線の製造工程においても、やはり過度の折り曲げや屈曲
により被膜が損傷を受けるということが指摘されてい
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような状況に鑑
み、本発明の課題は、耐熱性、耐薬品性などに優れると
共に、導体との密着性に優れ、かつ機械的な柔軟性を併
せ持つポリイミドを絶縁被膜とした絶縁被覆物の提供、
及び絶縁被膜を形成することができる絶縁塗料を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究した結果、特定の構造のポリイミド
が導体への密着性並びに柔軟性を有することを見出し
た。その結果、特定構造のポリイミド前駆体溶液からな
る絶縁塗料を見出し、それを導体に塗布後、熱処理して
得られる特定構造のポリイミドよりなる絶縁被膜は、耐
熱性、耐薬品性などに優れると共に、導体との密着性に
優れ、かつ機械的な柔軟性を併せ持ち、製造工程や巻線
工程での過度の折り曲げや屈曲に対してもポリイミド被
膜が割れたり、剥がれたりせず、電気絶縁性に優れるこ
とを見出したのである。本発明は、これらの知見に基づ
いて、完成に到達したものである。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、第1に、下記
一般式(1)に示す構造単位と一般式(2)に示す構造
単位とのモル比が20:80〜90:10であるポリイ
ミドからなる絶縁被膜が導体上に形成されていることを
特徴とする絶縁被覆物である。
【0009】
【化5】
【0010】第2に、下記一般式(3)に示す構造単位
と一般式(4)に示す構造単位とのモル比が20:80
〜90:10であるポリアミド酸を溶質とするポリイミ
ド前駆体溶液であることを特徴する絶縁塗料である。
【0011】
【化6】
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。まず、本発明で用いる用語について説明する。 (1)ポリイミド ポリマー鎖の繰り返し単位の80モル%以上がイミド構
造を有する有機ポリマーをいう。そして、この有機ポリ
マーは耐熱性を示す。
【0013】(2)ポリイミド前駆体 加熱又は、化学的作用により閉環してポリイミドとなる
有機化合物をいう。ここで、閉環とはイミド環構造が形
成されることをいう。 (3)ポリイミド前駆体溶液 ポリイミド前駆体が溶媒に溶解しているものである。こ
こで溶媒とは、20℃で液状の化合物をいう。
【0014】(4)溶液粘度 (株)トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計
(B型粘度計)を用い、20℃における回転粘度を測定
したものである。 (5)溶質濃度 溶液中に占めるポリイミド前駆体の重量割合を百分率で
表した数値である。
【0015】さらに本発明について説明する。本発明の
絶縁被覆物の絶縁被膜となるポリイミドは一般式(1)
に示す構造単位と一般式(2)に示す構造単位とより構
成され、一般式(1)に示す構造単位と一般式(2)に
示す構造単位とのモル比が20:80〜90:10の範
囲にあり、好ましくは30:70〜85:15である。
一般式(1)に示す構造単位のモル比が20未満である
と、ポリイミド被膜の強度が低下し、80を超えるとポ
リイミド被膜の柔軟性が無くなり、どちらの場合でも耐
折り曲げ性や耐屈曲性の低い絶縁被膜しか得られない。
【0016】本発明において、絶縁被膜となるポリイミ
ドを構成する一般式(1)に示す構造単位は、ジフェニ
ルエーテル残基を含むものであり、ジフェニルエーテル
残基としては次に示すものを挙げることができる。
【0017】
【化7】
【0018】また、ポリイミドを構成する一般式(2)
に示す構造単位は、ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン残基を含むものであり、ビス(4−アミノフェノキ
シ)ベンゼン残基としては次のものを挙げることができ
る。
【0019】
【化8】
【0020】ポリイミドを構成する一般式(1)及び一
般式(2)に示す構造単位としては、つぎに示す構造単
位(5)、及び構造単位(6)のものが好ましい。
【0021】
【化9】
【0022】本発明の絶縁塗料はポリアミド酸を溶質と
するポリイミド前駆体溶液であり、ポリアミド酸は、前
述した絶縁被覆物の絶縁被膜となるポリイミドの前駆体
であり、一般式(3)に示す構造単位と一般式(4)に
示す構造単位とより構成され、一般式(3)に示す構造
単位と一般式(4)に示す構造単位とのモル比が20:
80〜90:10であり、好ましくは30:70〜8
5:15である。ポリイミド前駆体を構成する構造単位
のうち一般式(3)に示す構造単位のモル比が20未満
であると、得られポリイミド被膜の強度が低く、90を
超えると得られポリイミド被膜の柔軟性が無くなり、ど
ちらの場合も耐折り曲げ性や耐屈曲性の低い絶縁被覆物
しか得られない。
【0023】さらに、ポリイミド前駆体のうち、次に示
す構造単位(7)、(8)のものを好適なものとして挙
げることができる。
【0024】
【化10】
【0025】本発明の絶縁塗料は、導体上に塗布し、熱
処理することで本発明の絶縁被覆物を得ることができ
る。本発明の絶縁塗料は、従来から公知の方法で製造す
ることができ、例えば、溶媒中でピロメリット酸二無水
物と芳香族ジアミンを重合反応させて得られるポリアミ
ド酸をポリイミド前駆体とするポリイミド前駆体溶液か
らなる。
【0026】本発明の絶縁塗料を構成する溶媒、つまり
ポリアミド酸の重合溶媒としては、重合反応が進み、得
られるポリアミド酸を溶解する溶媒であればいかなる溶
媒も用いることができる。
【0027】例えば、非プロトン性極性溶媒である、N
−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホ
キシド、ヘキサメチルフォスフォラアミド、エーテル系
化合物である、2−メトキシエタノール、2−エトキシ
エタノール、2−(メトキシメトキシ)エトキシエタノ
ール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエ
タノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチ
レングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエー
テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレング
リコール、トリエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プ
ロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチル
エーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエ
タン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチ
レングリコールジエチルエーテル、水溶性アルコール系
化合物であるメタノール、エタノール、1−プロパノー
ル、2−プロパノール、tert−ブチルアルコール、
エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,
3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,
4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5
−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、
2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−
ヘキサントリオール、ジアセトンアルコール等が挙げら
れ、上記各化合物を単独、もしくは二種以上を混合して
用いることができる。このうち特に好ましい例として
は、単独溶媒としてN−メチルピロリドン、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、混合溶媒と
しては、N−メチルピロリドンとジエチレングリコール
モノメチルエーテル、N−メチルピロリドンとメタノー
ル、N−メチルピロリドンと2−メトキシエタノール等
の組み合わせが挙げられ。また、溶液の安定性のため
に、キシレン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、エチルベ
ンゼン、ジエチルベンゼン、ソルベントナフサ等の貧溶
媒を混合してよい。
【0028】本発明における絶縁塗料を構成するポリイ
ミド前駆体溶液の固形分濃度は、8〜23重量%が好ま
しく、10〜20重量%であることがより好ましい。8
重量%未満では粘度が低すぎてハンドリングが悪く、2
3重量%を超えると、固形分の析出やゲル化が起こる場
合がある。また、本発明のポリイミド前駆体溶液の粘度
は、ハンドリングの点で5〜200ポイズが好ましく、
10〜100ポイズがより好ましい。
【0029】本発明の絶縁塗料を構成するポリイミド前
駆体溶液のポリアミド酸を重合する際には、ピロメリッ
ト酸二無水物1モルに対して、所定の芳香族ジアミンを
0.90〜1.10モルの割合で反応させることが好ま
しい。この割合の範囲外であると、得られる絶縁被覆物
のポリイミド被膜の機械的特性が低下する場合がある。
また、重合の際に分子量調節剤として無水フタル酸等の
無水カルボン酸や一官能の芳香族アミンを、絶縁塗料な
らびに絶縁被覆物の特性を低下させない範囲内で添加す
ることができる。重合温度は、モノマーの反応性並びに
得られるポリアミド酸の粘度を鑑み設定することができ
るが、好ましくは−30℃〜80℃、より好ましくは−
20℃〜50℃の範囲で設定される。
【0030】本発明の絶縁塗料には、必要に応じて絶縁
フィラー、酸化防止剤、レベリング剤、トリエチルアミ
ン等のイミド化触媒を添加することができる。本発明の
絶縁被覆物は、従来公知の方法で、導体に本発明の絶縁
塗料を塗布し、乾燥・イミド化を伴う熱処理を施すこと
で得られる。また、絶縁被膜の特性を損なわない範囲
で、他の絶縁被膜を下塗りしたり、保護被膜を上塗りし
てもよい。
【0031】本発明の絶縁被覆物におけるポリイミド被
膜の厚みは、要求される絶縁破壊電圧にもよるが、5〜
100μmが好ましく、10〜80μmがより好まし
く、15〜50μmがさらに好ましい。導体の素材とし
ては、金、銀、銅、アルミニウム等が挙げられ、その形
状としては平板、断面丸型、断面平角型のものが挙げら
れ、汎用的な導体としては銅線が挙げられ、絶縁被覆物
としては銅絶縁電線が挙げられる。
【0032】本発明の絶縁被覆物は、絶縁被膜を構成す
るポリイミドの導体への密着性、機械的な可とう性、柔
軟性に優れるために、製造工程や巻線工程での被膜の剥
がれや割れが発生せず、絶縁耐久性が高いものである。
その結果、本発明の絶縁被覆物、特に銅絶縁電線は、モ
ーターのコアに多数、巻きつけることができ、かつ絶縁
性も維持されることから、高品質のモーターの製造に用
いられる。
【0033】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例により限定されるものでは
ない。なお、物性の測定は、下記のとおりである。
【0034】1) 耐折り曲げ試験 導体自身の1/2の周囲長を持つ表面が滑らかな丸棒
に、絶縁電線を電線同士が互いに接触するように緊密に
10回巻きつけたときに、被膜に内部の導体が見える亀
裂の発生を観察した。亀裂が発生しない場合を耐折り曲
げ性が良好と評価した。 2) 密着性試験 絶縁電線について、試験距離を250mmとして、切断
するまで8m/sの引張速度で伸ばしたとき、被膜に内
部の導体が見える亀裂の発生を観察した。亀裂が発生し
ない場合を、密着性が良好と評価した。
【0035】実施例1 4,4'−オキシジアニリン73.55g(0.367
3mol)と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベ
ンゼン(1,3−BPB)46.01g(0.1574
mol)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)13
46gに溶解し室温に保った。この溶液を攪拌しなが
ら、ピロメリット酸二無水物117.90g(0.54
04mol)を2時間にわたり徐々に加え、さらに6時
間撹拌を続け、ポリアミド酸を溶質とするポリイミド前
駆体溶液を得た。溶質濃度は15重量%で、溶液粘度は
20℃で75ポイズであった。こうして得られたポリイ
ミド前駆体溶液を絶縁塗料とした(構造単位(3)と
(4)のモル比は70:30モル)。また、この絶縁塗
料を、フィルムアプリケーターを用いてガラス板上に5
0μmの厚みで流延し、窒素雰囲気下80℃で5時間乾
燥した後、窒素雰囲気下300℃で5時間加熱イミド化
を行った。その後塗膜をガラス板上から剥離して、厚み
8μmのポリイミドフィルムを得、機械特性を評価し
た。その引っ張り強度は15kg/mm2 、伸度80
%、引張弾性率340kg/mm2であった。
【0036】さらに、本発明の絶縁塗料を直径2mmの
銅線の表面に常法により塗布、次いで400℃で30秒
間の熱処理の各工程10回行なって、厚み40μmの絶
縁被膜を有する絶縁電線を作製した(構造単位(1)と
(2)のモル比は70:30モル)。この絶縁電線を評
価したところ、耐折り曲げ性並びには密着性は、良好で
あった。
【0037】実施例2 4,4'−オキシジアニリン52.54g(0.262
4mol)と1,3−BPB76.71g(0.262
4mol)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1
400gに溶解し、室温に保った。この溶液を攪拌しな
がら、ピロメリット酸二無水物117.90g(0.5
404mol)を2時間にわたり徐々に加え、さらに6
時間撹拌を続け、ポリアミド酸を溶質とするポリイミド
前駆体溶液を得た。溶質濃度は15重量%で、溶液粘度
は20℃で60ポイズであった。こうして得られたポリ
イミド前駆体溶液を絶縁塗料とした(構造単位(3)と
(4)のモル比は50:50モル)。また、この絶縁塗
料から、実施例1と同様な方法で厚み8μmのポリイミ
ドフィルムを得、機械特性を評価した。その引張強度は
14kg/mm2 、伸度150%、引張弾性率335k
g/mm2であった。
【0038】さらに、この絶縁塗料を直径2mmの銅線
の表面に常法により塗布、次いで400℃で30秒間の
熱処理の各工程を10回行なって、厚み40μmの絶縁
被膜を有する絶縁電線を作製した(構造単位(1)と
(2)のモル比は50:50モル)。この絶縁電線を評
価したところ、耐折り曲げ並びに密着性は、良好であっ
た。
【0039】実施例3 3,4'−オキシジアニリン73.55g(0.367
3mol)と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベ
ンゼン(1,3−BPB)46.01g(0.1574
mol)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)13
46gに溶解し、室温に保った。この溶液を攪拌しなが
ら、ピロメリット酸二無水物117.90g(0.54
04mol)を2時間にわたり徐々に加え、さらに6時
間撹拌を続け、ポリアミド酸を溶質とするポリイミド前
駆体溶液を得た。溶質濃度は15重量%で、溶液粘度は
20℃で60ポイズであった。こうして得られたポリイ
ミド前駆体溶液を絶縁塗料とした(構造単位(3)と
(4)のモル比は70:30モル)。また、この絶縁塗
料から、実施例1と同様な方法で厚み8μmのポリイミ
ドフィルムを得、機械特性を評価した。その引張強度は
12kg/mm2 、伸度90%、引張弾性率335kg
/mm2であった。
【0040】さらに、この絶縁塗料を直径2mmの銅線
の表面に常法により塗布、次いで400℃で30秒間の
熱処理の各工程を10回行なって、厚み40μmの絶縁
被膜を有する絶縁電線を作製した(構造単位(1)と
(2)のモル比は70:30モル)。この絶縁電線を評
価したところ、耐折り曲げ性並びには密着性は、良好で
あった。
【0041】比較例1 4,4'−オキシジアニリン105.06g(0.52
47mol)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)
1263gに溶解し、室温に保った。この溶液を攪拌し
ながら、ピロメリット酸二無水物117.90g(0.
5404mol)を2時間にわたり徐々に加え、さらに
6時間撹拌を続け、ポリアミド酸を溶質とするポリイミ
ド前駆体溶液を得た。溶質濃度は15重量%で、溶液粘
度は20℃で85ポイズであった。こうして得られたポ
リイミド前駆体溶液を絶縁塗料とした(構造単位(3)
と(4)のモル比は100:0モル)。また、この絶縁
塗料から、実施例1と同様な方法で厚み8μmのポリイ
ミドフィルムを得、機械特性を評価した。その引張強度
は12kg/mm2 、伸度25%、引張弾性率345k
g/mm2であった。
【0042】さらに、この絶縁塗料を直径2mmの銅線
に常法により塗布、次いで400℃で30秒間の熱処理
の各工程を10回行なって、厚み40μmの絶縁被膜を
有する絶縁電線を作製した(構造単位(1)と(2)の
モル比は100:0モル)。この絶縁電線を評価したと
ころ、耐折り曲げ性並びに密着性ともに不十分であり、
被膜に亀裂が発生した。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明の絶縁被覆物は特
定の構造を有するポリイミドの絶縁被膜を有し、この絶
縁被膜は柔軟性、可とう性、耐折り曲げ性、耐屈曲性、
導体への密着性に優れている。従って、本発明の絶縁被
覆物、例えば、絶縁電線を、モーター用コイルのコア部
に巻き付けた際には、絶縁被膜の剥がれや割れ、亀裂等
の損傷が発生せず、絶縁電線は優れた絶縁性を保持する
ことができる。さらに、本発明の絶縁塗料を導体上に塗
布、熱処理して絶縁被膜を形成させて絶縁被覆物を製造
する工程においても、製造工程中での絶縁被膜の損傷を
引き起こすことなく、容易に絶縁被覆物を製造すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 繁田 朗 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 奥井 文子 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4J038 DJ021 DJ031 JA20 JA21 JA23 JA26 JB12 JB27 KA06 LA03 MA06 MA09 NA11 NA12 NA21 PA19 PB09 PC02 5G305 AA02 AA11 AB01 AB15 AB24 AB31 AB32 BA09 BA13 CA25 5G309 MA02 5G315 CA02 CB02 CC05 CD09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)に示す構造単位と一般
    式(2)に示す構造単位とのモル比が20:80〜9
    0:10であるポリイミドからなる絶縁被膜が導体上に
    形成されていることを特徴とする絶縁被覆物。 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1記載の一般式(1)と一般式
    (2)に示す構造単位が、各々下記一般式(5)と一般
    式(6)に示す構造単位であることを特徴とする絶縁被
    覆物。 【化2】
  3. 【請求項3】 請求項1記載の導体が銅線であることを
    特徴とする絶縁被覆物。
  4. 【請求項4】 下記一般式(3)に示す構造単位と一般
    式(4)に示す構造単位とのモル比が20:80〜9
    0:10であるポリアミド酸を溶質とするポリイミド前
    駆体溶液であることを特徴とする絶縁塗料。 【化3】
  5. 【請求項5】 請求項4記載の一般式(3)と一般式
    (4)に示す構造単位が、各々下記一般式(7)及び一
    般式(8)に示す構造単位であることを特徴とする絶縁
    塗料。 【化4】
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