<概要>
本開示の実施形態に係る眼鏡測定システムの概要について説明する。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用されうる。
例えば、眼鏡測定システム(例えば、眼鏡測定システム1)は、眼鏡を測定する。眼鏡とは、眼鏡フレーム(以下、フレーム)に眼鏡レンズ(以下、レンズ)が枠入れされた状態の眼鏡であってもよい。フレームは、リムを少なくとも下縁に有するフレームであってもよい。すなわち、フレームのリムの少なくとも下縁に、レンズLEが枠入れされるフレームであってもよい。例えば、このようなフレームとしては、フルリムフレーム、アンダーリムフレーム、等が挙げられる。
眼鏡測定システムは、眼鏡枠形状測定装置(例えば、眼鏡枠形状測定装置100)を備えていてもよい。例えば、眼鏡枠形状測定装置は、フレームの形状を測定する。フレームの形状としては、フレームのリムの内形形状であってもよいし、フレームのリムの外形形状であってもよい。また、眼鏡測定システムは、眼鏡測定装置(例えば、眼鏡測定装置200)を備えていてもよい。例えば、眼鏡測定装置は、眼鏡のレイアウト、眼鏡に枠入れされたレンズの光学特性、等の少なくともいずれかを測定する。なお、眼鏡測定システムは、眼鏡枠形状測定装置と眼鏡測定装置が別々の装置として構成されたシステムであってもよい。眼鏡枠形状測定装置と眼鏡測定装置が一体型の装置として構成されたシステムであってもよい。
例えば、本実施例において、眼鏡測定システムは、少なくとも眼鏡枠形状測定装置と眼鏡測定装置を備える構成であってもよい。この場合、眼鏡測定システムは、眼鏡枠形状測定装置と眼鏡測定装置の他に、レンズメータ、カップ取付装置、軸出し装置、レンズ周縁加工装置、等の少なくともいずれかを備える構成としてもよい。例えば、レンズメータは、眼鏡に枠入れされたレンズや未加工のレンズにおける光学特性を測定する。例えば、カップ取付装置は、レンズに加工治具を取り付ける。例えば、軸出し装置は、レンズ周縁加工装置が備えるレンズ保持手段のレンズに対する取付け位置(すなわち、軸出し位置)を設定する。例えば、レンズ周縁加工装置は、レンズの周縁を加工する。
<第1取得手段>
例えば、眼鏡測定システムは、第1取得手段(例えば、制御部90)を備える。第1取得手段は、眼鏡のフレームにおけるリムの深さ方向の厚みである第1情報を取得する。例えば、第1情報は、フレームのリムの溝底の位置と、フレームのリムの外縁の位置と、に基づくリムの溝底からリムの外縁までの高さであってもよい。例えば、第1取得手段は、リムの動径角のいずれかの位置におけるリムの溝底から、リムの動径角のいずれかの位置におけるリムの外縁までの高さを、第1情報として取得してもよい。一例として、第1取得手段は、リムの上縁部分における溝底から外縁までの高さ、リムの下縁部分における溝底から外縁までの高さ、等の少なくともいずれかを取得してもよい。例えば、本実施例では、第1取得手段が、リムの溝底の最底辺の位置からリムの外縁における最外縁の位置までの高さを、第1情報(リムの深さ方向の厚み)として取得する。
なお、このような第1情報は、フレームを作成するためのフレーム設計データに基づいて取得されてもよい。この場合、眼鏡測定システムは予めメモリに蓄積されたフレーム設計データを有し、第1取得手段がフレーム設計データを読み込むことで第1情報を取得する構成としてもよい。また、この場合、眼鏡測定システムはフレーム設計データが保存されたクラウドやサーバを有し、第1取得手段がクラウドやサーバにアクセスしてフレーム設計データを呼び出すことで第1情報を取得する構成としてもよい。また、このような第1情報は、後述する溝底検出手段により検出されたリムの溝底の位置と、後述する外縁検出手段により検出されたリムの外縁の位置と、に基づいて取得されてもよい。例えば、フレームは設計データに基づいて製造されているが、同一のフレームであっても個体差が生じてしまうことがある。本実施例のように、リムの溝底の位置とリムの外縁の位置を検出する構成であれば、フレーム毎に正確な第1情報を取得することができる。
<溝底検出手段>
例えば、眼鏡測定システムは、溝底検出手段(例えば、フレーム測定ユニット60)を備える。溝底検出手段は、フレームにおけるリムの溝底の位置を検出する。例えば、本実施例では、溝底検出手段が、フレームにおけるリムの溝底の最底辺の位置を、リムの溝底の位置として検出する。すなわち、溝底検出手段は、眼鏡装用状態においてリムの溝底が垂直方向に最も低くなる位置を、リムの溝底の位置として検出する。なお、溝底検出手段は、リムの溝底の位置を、リムの動径角の少なくともいずれかの位置で検出する構成であってもよい。
<外縁検出手段>
例えば、眼鏡測定システムは、外縁検出手段(例えば、フレーム測定ユニット60)を備える。外縁検出手段は、フレームにおけるリムの外縁の位置を検出する。例えば、リムの外縁の位置とは、眼鏡装用状態におけるリムの前側の外縁の位置であってもよいし、眼鏡装用状態におけるリムの後側の外縁の位置であってもよい。眼鏡装用状態におけるリムの前側と後側の中央の位置をリムの外縁の位置としてもよい。例えば、本実施例では、外縁検出手段が、フレームのリムの外縁における最下縁の位置を、リムの外縁の位置として検出する。すなわち、外縁検出手段は、眼鏡装用状態においてリムの外縁が垂直方向に最も低くなる位置を、リムの外縁の位置として検出する。なお、外縁検出手段は、リムの外縁の位置を、リムの動径角の少なくともいずれかの位置で検出する構成であってもよい。
例えば、眼鏡測定システムは、溝底検出手段と外縁検出手段を兼用する構成を有していてもよい。一例として、眼鏡測定システムは、溝底検出手段及び外縁検出手段として、測定子(例えば、測定子62)を接触させる接触式の構成を有していてもよい。この場合、測定子は、フレームのリムの外縁に当接してフレームを保持するフレーム保持手段(例えば、フレーム保持ユニット20)と、フレームのリムの溝底、及びフレーム保持手段とフレームのリムの外縁の当接面(例えば、第2面23a)に接触してもよい。眼鏡測定システムは、このような構成によって、リムの溝底の位置と、リムの外縁の位置と、を測定子の接触位置に基づいて取得してもよい。例えば、眼鏡を作製する際には、リムの溝に測定子を挿入して1周させることで、フレームの形状(例えば、フレームのリムの溝の3次元形状)を玉型形状データとして取得し、この玉型形状データを用いてレンズを加工するための加工制御データが作成される。測定子の形状によっては、測定子が必ずしもリムの溝底に一致しないため、玉型形状データに基づいてレンズに形成されるヤゲン頂点の位置は、測定子の接触位置により変化する。上記のように、測定子がリムの溝底及びリムの外縁が当接する当接面(すなわち、リムの最下縁)の双方に接触することによって、リムの溝底の位置から測定子の接触位置までの誤差を考慮するための構成を設けることなく、第1情報を精度良く取得できるようになる。
また、一例として、眼鏡測定システムは、溝底検出手段及び外縁検出手段として、投光光学系及び受光光学系を備える非接触式の構成を有していてもよい。投光光学系は、フレームのリムの溝底、及びフレームのリムの外縁に向けて、光源から測定光束を照射してもよい。受光光学系は、測定光束がフレームのリムの溝底、及びフレームのリムの外縁に反射された反射光束を受光素子で受光してもよい。眼鏡測定システムは、このような構成によって、リムの溝底の位置と、リムの外縁の位置と、を反射光束に基づいて検出してもよい。例えば、上記のように、リムの溝底とリムの外縁の双方に測定光束を照射することによって、リムの溝底の位置(すなわち、レンズに形成されるヤゲン頂点の位置)とリムの外縁の位置を正確に取得し、第1情報を精度良く取得できるようになる。
また、例えば、眼鏡測定システムは、溝底検出手段と外縁検出手段を別々の構成として有していてもよい。この場合には、溝底検出手段と外縁検出手段の一方が測定子(例えば、測定子62)を接触させる接触式の構成を有し、他方が投光光学系及び受光光学系を備える非接触式の構成を有していてもよい。一例として、眼鏡測定システムは、リムの溝底に測定子を接触させてリムの溝底の位置を検出し、リムの外縁に測定光束を照射することで得られる反射光束に基づいてリムの外縁の位置を検出してもよい。もちろん、眼鏡測定システムは、リムの溝底に測定光束を照射することで得られる反射光束に基づいてリムの溝底の位置を検出し、リムの外縁に測定子を接触させてリムの外縁の位置を検出してもよい。
例えば、眼鏡測定システムが、溝底検出手段及び外縁検出手段として測定子を接触させる接触式の構成を有する場合、第1取得手段は、測定子の移動位置に基づいて、第1情報を取得することができる。すなわち、第1取得手段は、測定子の移動位置に基づいて、リムの深さ方向の厚みを取得することができる。また、例えば、眼鏡測定システムが、溝底検出手段及び外縁検出手段として、投光光学系及び受光光学系を備える非接触式の構成を有する場合、第1取得手段は、リムの溝底からの反射光束と、リムの外縁からの反射光束と、に基づいて、第1情報を取得することができる。すなわち、第1取得手段は、リムの溝底からの反射光束と、リムの外縁からの反射光束と、に基づいて、リムの深さ方向の厚みを取得することができる。
<第2取得手段>
例えば、眼鏡測定システムは、第2取得手段(例えば、制御部260)を備える。第2取得手段は、眼鏡のレンズをフレームに枠入れした枠入れ状態において、リムの外縁の位置からレンズの光学中心位置までの高さである第2情報を取得する。一例として、本実施例では、第2取得手段が、リムの外縁における最下縁の位置からレンズの光学中心位置までの高さを第2情報として取得する。すなわち、第2取得手段は、リムの外縁における最下縁の位置と光学中心位置とを垂直方向に結ぶ距離を第2情報として取得する。なお、第2取得手段は、レンズの光学中心位置直下のリムの外縁からレンズの光学中心位置までの高さを第2情報として取得してもよい。すなわち、第2取得手段は、レンズの光学中心位置直下のリムの外縁の位置と、光学中心位置と、を垂直方向に結ぶ距離を第2情報として取得してもよい。
<第3取得手段>
例えば、眼鏡測定システムは、第3取得手段(例えば、制御部260)を備える。第3取得手段は、第1取得手段により取得された第1情報と、第2取得手段により取得された第2情報と、に基づいて、枠入れ状態におけるフレームのリムの溝底の位置からレンズの光学中心位置までの高さである第3情報を取得する。例えば、第3取得手段は、第1取得手段により取得された第1情報(すなわち、リムの深さ方向の厚み)と、第2取得手段により取得された第2情報(すなわち、リムの外縁の位置からレンズの光学中心位置までの高さ)と、の差分を求めることによって、第3情報を取得してもよい。
一例として、本実施例では、第3取得手段が、リムの溝底の最底辺の位置からレンズの光学中心位置までの高さを第3情報として取得する。すなわち、本実施例では、第3取得手段が、アイポイント高さを示す指標のひとつであるBTを、第3情報として取得する。
なお、第3取得手段は、レンズの光学中心位置直下におけるリムの溝底の位置から光学中心位置までの高さを第3情報として取得する構成であってもよい。すなわち、第3取得手段が、アイポイント高さを示す指標のひとつであるPD高さを、第3情報として取得する構成であってもよい。この場合には、第3取得手段が、取得したBTをPD高さに変換することで、PD高さを第3情報として取得してもよい。また、この場合には、第1取得手段が、レンズの光学中心位置直下におけるリムの溝底の位置からリムの外縁における最下縁までの高さを第1情報として取得し、第2取得手段が、レンズの光学中心位置直下におけるリムの溝底の位置から光学中心位置までの高さを第2情報として取得する構成としてもよい。第3取得手段は、このような第1情報と第2情報とに基づくPD高さを取得してもよい。
例えば、眼鏡は、枠入れ状態において、レンズのヤゲン頂点の位置と、フレームのリムの溝底の位置と、が一致(略一致)すると考えることができる。しかし、レンズのヤゲン頂点はフレームのリムの溝に隠れてしまうため、レンズのヤゲン頂点の位置から光学中心位置までの高さを測定することが難しい。すなわち、フレームのリムの溝底からレンズの光学中心位置までの高さを測定することが難しい。しかし、例えば、本実施例における眼鏡測定システムは、眼鏡のフレームにおけるリムの深さ方向の厚みである第1情報を取得し、眼鏡のレンズをフレームに枠入れした枠入れ状態において、リムの外縁の位置からレンズの光学中心位置までの高さである第2情報を取得し、第1情報と第2情報とに基づいて、枠入れ状態におけるリムの溝底の位置から光学中心位置までの高さである第3情報を取得する。このような構成であることによって、リムの溝底の位置からレンズの光学中心位置(すなわち、ヤゲン頂点からレンズの光学中心位置までの高さ)を容易に取得することができる。
また、例えば、本実施例における眼鏡測定システムは、フレームにおけるリムの溝底の最底辺の位置及びリムの外縁における最下縁の位置を検出して、リムの溝底の最底辺の位置からリムの最下縁の位置までの高さを第1情報として取得し、リムの最下縁からレンズの光学中心位置までの高さを第2情報として取得し、第1情報と第2情報とに基づいて、リムの溝底の最底辺から光学中心位置までの高さを第3情報として取得する。これによって、例えば、ヤゲン頂点が最下縁となる位置からレンズの光学中心位置までの高さ(すなわち、アイポイント指標のひとつであるBT)を容易に取得することができる。
<比較情報取得手段>
例えば、眼鏡測定システムは、比較情報取得手段(例えば、制御部260)を備える。比較情報取得手段は、眼鏡の枠入れ状態における第3情報と、レンズの加工時に設定したリムの溝底の位置から光学中心位置までの高さと、を比較した比較情報を取得する。すなわち、比較情報取得手段は、第3取得手段により取得された眼鏡の枠入れ状態の第3情報と、眼鏡に枠入れするレンズを加工する際に設定した玉型形状データの周縁(例えば、ヤゲン頂点)から光学中心位置までの高さと、を比較した比較情報を取得する。例えば、比較情報は、眼鏡の第3情報と、レンズの加工時に設定したリムの溝底から光学中心位置までの高さと、のそれぞれの値を並べた情報であってもよい。
例えば、本実施例では、比較情報取得手段が、眼鏡におけるリムの溝底の最底辺の位置からレンズの光学中心位置までの高さ(第3情報)と、レンズの加工時に設定したリムの溝底の最底辺の位置(すなわち、玉型形状データの最下縁の位置)から光学中心位置までの高さと、を比較した比較情報を取得してもよい。レンズの光学中心位置直下におけるリムの溝底の位置から光学中心位置までの高さ(第3情報)と、レンズの加工時に設定したレンズの光学中心位置直下におけるリムの溝底の位置(すなわち、光学中心位置直下における玉型形状データの周縁の位置)から光学中心位置までの高さと、を比較した比較情報を取得してもよい。
<判定手段>
例えば、眼鏡測定システムは、判定手段(例えば、制御部260)を備える。判定手段は、眼鏡の枠入れ状態における第3情報の良否を、レンズの加工時に設定したリムの溝底の位置から光学中心位置までの高さに基づいて判定する。例えば、判定手段は、取得した第3情報と、レンズの加工時に設定したリムの溝底の位置から光学中心位置までの高さと、のずれ量に基づいて、眼鏡の第3情報の良否を判定してもよい。これによって、操作者は、眼鏡のレイアウトが予定通りに仕上がっているか、眼鏡のレイアウトが適切であるか、等を容易に比較して判断することができる。
より詳細には、判定手段は、アイポイント高さを示す指標のひとつであるBTについて、取得した測定結果と、レンズを加工する際に設定したBTと、のずれ量を検出して良否を判定してもよい。この場合、判定手段は、ずれ量が所定の誤差範囲内であったときに、眼鏡のBTが良好であると判定してもよい。また、この場合、判定手段は、ずれ量が所定の誤差範囲を超えていたときに、眼鏡のBTが良好でないと判定してもよい。また、より詳細には、判定手段は、アイポイント高さを示す指標のひとつであるPD高さについて、取得した測定結果と、レンズを加工する際に設定したPD高さと、のずれ量を検出して良否を判定してもよい。この場合、判定手段は、ずれ量が所定の誤差範囲内であったときに、眼鏡のPD高さが良好であると判定してもよい。また、この場合、判定手段は、ずれ量が所定の誤差範囲を超えていたときに、眼鏡のPD高さが良好でないと判定してもよい。所定の誤差範囲は、予め実験やシミュレーション等から設定されていてもよいし、任意に設定できてもよい。
なお、例えば、判定手段は、眼鏡の第3情報の良否に限らず、眼鏡に枠入れされたレンズのボクシング中心位置から光学中心位置までの高さ、左右レンズにおけるボクシング中心間距離FPD、左右レンズにおける光学中心間距離PD、等の情報の少なくともいずれかの良否を判定するようにしてもよい。すなわち、判定手段は、眼鏡のレイアウトに関する情報の良否を判定してもよい。例えば、判定手段は、眼鏡を測定することで取得された眼鏡のレイアウト情報と、眼鏡に枠入れするレンズの加工時に設定したレイアウト情報と、のずれ量を検出し、ずれ量に基づいて眼鏡のレイアウト情報の良否を判定してもよい。
また、判定手段は、眼鏡に枠入れするレンズの加工時に設定したレイアウト情報を用いて、レンズをフレームに枠入れした枠入れ状態の眼鏡に対する装用者のアイポイント位置(装用者の瞳孔位置)の光学特性の良否を判定してもよい。例えば、光学特性は、球面度数、柱面度数、乱視軸角度、プリズム量、等の少なくともいずれかであってもよい。
例えば、第3取得手段により取得された第3情報、比較情報取得手段により取得された比較情報、第3情報の良否の判定結果、レイアウト情報の良否の判定結果、アイポイント位置における光学特性の良否の判定結果、等の少なくともいずれかは、モニタ(例えば、モニタ202)やタブレット端末等への表示、プリンタ等を用いた印刷、外部メモリ(例えば、USBメモリ、ハードディスク、サーバ、等)への保存、等により出力されてもよい。
なお、本開示は、本実施形態に記載するシステムに限定されない。例えば、下記実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種記憶媒体等を介してシステムあるいは装置に供給し、システムあるいは装置の制御装置(例えば、CPU等)がプログラムを読み出して実行することも可能である。
<実施例>
以下、眼鏡測定システムについて、図面を参照して説明する。
図1は本実施例に係る眼鏡測定システムを示す図である。本実施例における眼鏡測定システム1は、少なくとも、眼鏡枠形状測定装置100と、眼鏡測定装置200と、を備える。もちろん、眼鏡測定システム1は、これらの装置に加えて、眼鏡レンズの光学特性を測定するレンズメータ、眼鏡レンズに加工治具(例えば、カップ)を取り付けるカップ取付装置、眼鏡レンズの周縁を加工するレンズ周縁加工装置、等を備えていてもよい。
本実施例における眼鏡測定システム1は、眼鏡枠形状測定装置100と眼鏡測定装置200が、一体型の装置として構成されたシステムであってもよい。また、本実施例における眼鏡測定システム1は、眼鏡枠形状測定装置100と眼鏡測定装置200が、別々の装置として構成されたシステムであってもよい。この場合、眼鏡枠形状測定装置100と眼鏡測定装置200は、通信ネットワークを介して互いに接続されていてもよい。例えば、通信ネットワークは、光ファイバ等を用いた有線通信であってもよいし、赤外線、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、等を用いた無線通信であってもよい。また、この場合、眼鏡測定システム1は、共有サーバを有していてもよい。例えば、共有サーバは制御部とメモリを備え、各データの演算、各データの記憶、等を行うようにしてもよい。なお、本実施例では、眼鏡枠形状測定装置100と眼鏡測定装置200が別々の装置として構成された眼鏡測定システムである場合を例に挙げる。
<眼鏡枠形状測定装置>
図2は眼鏡枠形状測定装置の外観略図である。本実施例では、眼鏡装用状態のフレームFを基準に、その左右方向をX方向、その上下方向をY方向、その前後方向をZ方向として表す。すなわち、眼鏡枠形状測定装置の左右方向(水平方向)がX方向、上下方向(鉛直方向)がZ方向、前後方向(奥行方向)がY方向となる。例えば、眼鏡枠形状測定装置100は、開口窓10、モニタ(ディスプレイ)11、スイッチ部12、フレーム保持ユニット20、フレーム測定ユニット60(図2参照)、等を備える。
例えば、モニタ11はタッチパネルである。すなわち、モニタ11が操作部(コントローラ)として機能する。モニタ11から入力された操作指示に応じた信号は、後述する制御部90に出力される。なお、モニタ11はタッチパネル式でなくてもよく、モニタ11と操作部とを別に設ける構成であってもよい。この場合には、マウス、ジョイスティック、キーボード、携帯端末、等の少なくともいずれかを操作部として用いることができる。
スイッチ部12は、眼鏡枠形状測定装置100に各種の処理を実行させるための信号を入力する際に使用する。例えば、各種の処理とは、測定の開始等である。なお、本実施例では、スイッチ部12が眼鏡枠形状測定装置100の本体カバーに設けられている。もちろん、スイッチ部12は、モニタ11の画面上において電子的に表示されてもよい。
<フレーム保持ユニット>
フレーム保持ユニット20は、開口窓10の内部に配置されている。また、フレーム保持ユニット20は、フレームFにおけるリムの外縁に当接することで、フレームFを所期する状態に保持する。なお、フレーム保持ユニット20は、フレームFのリムの全周にレンズLEのヤゲンが嵌め込まれるフルリムフレーム、フレームFのリムの少なくとも下端部にレンズLEのヤゲンが嵌め込まれるアンダーリムフレーム、等の少なくともいずれかを保持できる構成であってもよい。すなわち、フレームFのリムを少なくとも下縁に有するフレームを保持できる構成であってもよい。例えば、本実施例では、フレーム保持ユニット20が、フルリムフレームを保持する構成を例示する。
図3及び図4はフレーム保持ユニット20を説明する図である。図3はフレーム保持ユニット20の上面図である。図4はフレーム保持ユニット20の斜視図である。なお、図4では、フレーム保持ユニット20に保持されるフレームFの図示を省略している。例えば、フレーム保持ユニット20は、保持部ベース21、第1スライダー22、第2スライダー23、開閉移動機構30、クランプ機構40、等を備える。
第1スライダー22及び第2スライダー23は、保持部ベース21上に載置される。第1スライダー22は、フレームFの左リムFRL及び右リムFRRの上縁に当接する第1面22aをもつ。第2スライダー23は、フレームFの右リムFRR及び左リムFRLの下縁に当接する第2面23aをもつ。第1面22aと、第2面23aと、は互いに対向する。第1面22aと第2面23aは、開閉移動機構30によって、第1面22aと第2面23aとの間隔が開閉される方向(間隔が広がる方向と狭まる方向)に移動する。また、第1面22aと第2面23aには、クランプ機構40が備えるクランプピンが突き出すように配置される。
クランプピンは、リムの前後方向(眼鏡装用状態の前側及び後側)から、左右のリムをクランプ(保持)する。第1スライダー22には、クランプピンとして、一対のクランプピン24aとクランプピン24bとが設けられる。クランプピン24a及びクランプピン24bは2箇所に配置され、左リムFRL及び右リムFRRの上縁をクランプする。第2スライダー23には、クランプピンとして、一対のクランプピン24cとクランプピン24dとが設けられる。クランプピン24c及びクランプピン24dは2箇所に配置され、左リムFRL及び右リムFRRの下縁をクランプする。
例えば、クランプピン24cとクランプピン24dの間には、第2面23aの一部である当接部25(図5参照)が設けられてもよい。例えば、フレームFの形状によっては、フレームFのリムの最下縁がクランプピン24cとクランプピン24dにクランプされることがある。クランプピン24cとクランプピン24dは、第2面23aに設けられた穴26(図5参照)から突き出しているため、このような場合には、フレームFを第1スライダー22及び第2スライダー23で保持したときに、フレームFのリムの最下縁が第2面23aよりも奥側に入り込んでしまう。フレームFのリムの最下縁が第2面23aよりも奥側に入り込んでいると、後述のフレーム測定ユニット60を用いて、リムの最下縁の位置を精度よく検出することができない。例えば、本実施例では、当接部25を設けることで、フレームFのリムの最下縁が第2面23aよりも奥側に入り込むことを抑制している。
開閉移動機構30は、2つのガイドレール31、プーリー32、プーリー33、ワイヤー34、バネ35、等を備える。ガイドレール31は、保持部ベース21の左右それぞれに配置され、Y方向に延びている。ワイヤー34は、プーリー32とプーリー33とに掛け渡されている。ワイヤー34の左側には、第1スライダー22の右端部22Rが取り付けられる。ワイヤー34の右側には、第2スライダー23の右端部23Rが取り付けられる。バネ35は、第1スライダー22及び第2スライダー23の間隔を閉じる方向に常時付勢する。開閉移動機構30は、このような構成をもつことによって、X方向の中心線N1(図3参照)を中心に、第1スライダー22と第2スライダー23とを、その間隔が広がる方向と狭まる方向とに移動させる。すなわち、第1スライダー22と第2スライダー23とを、水平方向に移動させる。第1スライダー22が移動すると、第2スライダー23も連動して移動する。
図5はクランプ機構40の概略構成図である。なお、図4は第2スライダー23の左側に配置されたクランプ機構40を示している。クランプ機構は、ベース板41、クランプピン24a、クランプピン24b、第1アーム42、第2アーム43、圧縮バネ44、バネ45、ギヤ46、ギヤ47、ワイヤー48、プーリー49、駆動ユニット240、等を備える。
ベース板41は、第1スライダー22の内部に配置される。第1アーム42は、回転軸53によって、ベース板41に対して回転可能に保持される。第1アーム42には、回転軸53を中心としたギヤ46が形成される。第2アーム43は、回転軸54によって、ベース板41に対して回転可能に保持される。第2アーム43には、回転軸54を中心としたギヤ47が形成されている。ギヤ46とギヤ47とは互いに噛合する。第1アーム42の先端には、クランプピン24cが取り付けられている。第2アーム43の先端には、クランプピン24dが取り付けられている。圧縮バネ44は、第1アーム42及び第2アーム43の間に設けられている。圧縮バネ44によって、クランプピン24cとクランプピン24dとの間隔が、常に開く方向に付勢される。第1アーム42の後端には、バネ45の一端が取り付けられている。バネ45の他端には、ワイヤー48が固定されている。ワイヤー48は、ベース板41に回転可能に取り付けられたプーリー49を介して、駆動ユニット240に接続される。
例えば、駆動ユニット240は、シャフト51、モータ52、等を有する。シャフト51は、ワイヤー48を巻き取る。モータ52は、シャフト51を回転させる。例えば、モータ52を駆動させ、ワイヤー48を巻き取ると、第1アーム42は回転軸53を中心として反時計回りに回転する。このとき、ギヤ46とギヤ47とは噛合しているため、第2アーム43が回転軸54を中心として時計回りに回転する。これにより、クランプピン24c及びクランプピン24dが連動して閉じられ、左リムFRLの下縁がクランプされる。
なお、右リムFRRの下縁をクランプするためのクランプ機構(すなわち、第2スライダー23の右側に配置されたクランプ機構)は、図4に示すクランプ機構40を左右に反転させた構成であってもよい。また、右リムFRR及び左リムFRLの上縁をクランプするためのクランプ機構(すなわち、第1スライダー22の左側及び右側のそれぞれに配置されたクランプ機構)は、第2スライダー23に配置されたクランプ機構40を上下に反転させた構成であってもよい。
また、モータ52及びシャフト51は、4箇所に設けられたクランプ機構40にそれぞれ配置される構成であってもよいが、4箇所のクランプ機構40において共通で使用される構成であってもよい。本実施例では、いずれの場合も、4箇所のクランプピンが同時に開閉するように構成される。
<フレーム測定ユニット>
フレーム測定ユニット60は、フレーム保持ユニット20の下部に配置される。フレーム測定ユニット60は、フレームFにおけるリムの溝底の位置を検出する。この場合、フレーム測定ユニット60は、フレームFのリムの溝に後述する測定子62を挿入し、リムの溝底に接触した測定子62を移動させることで、リムの溝底の位置を検出する。なお、フレーム測定ユニット60は、リムの溝底の最底辺の位置(すなわち、測定子62が検出したリムの溝底におけるY方向の座標が最も小さい位置)を検出するようにしてもよい。例えば、検出されたリムの溝底の位置に基づいて、リムの溝の形状が測定されてもよい。
また、フレーム測定ユニット60は、フレームFにおけるリムの外縁の位置を検出する。なお、フレーム測定ユニット60は、リムの外縁における最下縁の位置(例えば、リムの外縁におけるY方向の座標が最も小さい位置)を検出するようにしてもよい。この場合、フレーム測定ユニット60は、フレーム保持ユニット20とリムの外縁との当接面(すなわち、第2面23a)に、後述する測定子62を接触させることで、リムの外縁における最下縁の位置を検出してもよい。
図6はフレーム測定ユニット60を説明する図である。図6(a)は移動ユニット70の概略構成図である。図6(b)は測定子保持ユニット80の概略構成図である。例えば、フレーム測定ユニット60は、ベース部61、測定子62、測定子軸63、移動ユニット70、測定子保持ユニット80、等を備える。ベース部61は、X方向及びY方向に伸展した方形状の枠であり、フレーム保持ユニット20の下部に配置される。測定子62は、フレームFのリムの溝に挿入される。また、測定子62は、フレームFの溝底、及び、フレーム保持ユニット20とリムの外縁との当接面(すなわち、第2面23a)に接触される。測定子62は、測定子軸63の先端に取り付けられている。移動ユニット70は、測定子保持ユニット80を、フレームFに対して相対的に移動させる。測定子保持ユニット80は、測定子62及び測定子軸63を保持する。
移動ユニット70は、測定子保持ユニット80をX方向、Y方向、及びZ方向に移動させる。例えば、移動ユニット70は、Y移動ユニット71、X移動ユニット72、Z移動ユニット73、モータ74、モータ75、モータ76、等を有する。Y移動ユニット71は、測定子保持ユニット80をY方向に移動させる。Y移動ユニット71は、モータ74の駆動により、Y方向に延びる図示なきガイドレールに沿って、測定子保持ユニット80をY方向に移動させる。X移動ユニット72は、Y移動ユニット71をX方向に移動させる。X移動ユニット72は、モータ76の駆動により、X方向に延びるガイドレール77に沿って、Y移動ユニット71をX方向に移動させる。Z移動ユニット73は、測定子保持ユニット80をZ方向に移動させる。Z移動ユニット73はY移動ユニット71に取り付けられ、モータ75の駆動により、Z方向に延びるガイドレール78に沿って、測定子保持ユニット80をZ方向に移動させる。
測定子保持ユニット80は、Z方向に延びる回転軸N2の軸回りに測定子軸63を回転させる回転ユニット81を有する。回転ユニット81は、測定子軸63が取り付けられた回転ベース82と、回転軸N2を中心として回転ベース82を回転させるモータ83と、を有する。回転ベース82は、測定子軸63を、測定子62の先端方向に移動可能(傾斜可能)に保持する。また、回転ベース82は、測定子軸63を、Z方向に移動可能に保持する。測定子62の先端方向の位置、及び測定子軸63の中心位置は、検知器であるエンコーダ84により検知される。測定子62のZ方向の位置、及び測定子軸63のZ方向の位置は、検知器であるエンコーダ85により検知される。なお、測定子保持ユニット80は、測定子62の先端をリム(右リムFRRと左リムFRL)の溝、及び、当接面(第2面23a)に押し当てる測定圧を付与するための図示なき測定圧付与機構を備える。
なお、本実施例において、フレーム測定ユニット60は、リムの溝底の位置を検出し、リムの溝の形状を測定するための測定ユニットと、デモレンズまたは型板の周縁の形状を測定するための測定ユニットと、を兼ねてもよい。この場合、フレーム測定ユニット60は、デモレンズまたは型板の周縁に測定子軸63を接触させ、測定子軸63の移動を検出することにより、デモレンズまたは型板の周縁の形状を測定することができる。このようなフレーム測定ユニット60の構成については、例えば、特開2001−122899号公報、特開2013−068439号公報、等を参照されたい。
<制御部>
図7は、眼鏡枠形状測定装置100の制御系を示す図である。例えば、制御部90には、モニタ11、スイッチ部12、不揮発性メモリ91(以下、メモリ91)、エンコーダ(エンコーダ84及び85)と、各モータ(モータ52、74、75、76、及び83)、等が電気的に接続されている。メモリ91は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体であってもよい。例えば、メモリ91としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、着脱可能なUSBメモリ、等を使用することができる。メモリ91は、フレーム測定ユニット60により測定されたフレームFにおけるリムの溝底の位置、溝の形状、リムの外縁の位置、等を記憶してもよい。
例えば、制御部90は、一般的なCPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等で実現される。例えば、CPUは、眼鏡枠形状測定装置100における各部の駆動を制御する。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、CPUが実行する各種プログラムが記憶されている。なお、制御部90は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
<眼鏡測定装置>
図8は眼鏡測定装置200の外観略図である。本実施例では、眼鏡装用状態のフレームFを基準に、その左右方向をX方向、その上下方向をY方向、その前後方向をZ方向として表す。すなわち、眼鏡測定装置200の左右方向(水平方向)がX方向、上下方向(鉛直方向)がY方向、前後方向(奥行方向)がZ方向となる。例えば、眼鏡測定装置200は、筐体201、モニタ(ディスプレイ)202、操作ボタン203、等を備える。筐体201は、その内部に収納部204を備える。
例えば、モニタ202はタッチパネルである。すなわち、モニタ202が操作部として機能する。モニタ202から入力された操作指示に応じた信号は、後述する制御部260に出力される。操作ボタン203は、モニタ202に表示される。操作ボタン203は、眼鏡測定装置200に各種の処理を実行させるための信号を入力する際に使用する。例えば、各種の処理とは、レンズLEの光学特性の測定等である。
図9は収納部204内の概略構成図である。例えば、収納部204は、フレーム支持ユニット210、レンズ測定ユニット220、駆動ユニット240、等を備える。
<フレーム支持ユニット>
例えば、フレーム支持ユニット210は、フレームFにおけるリム(左リムFRL及び右リムFRR)の下縁側を上に向けた状態で、フレームFを支持する。もちろん、フレーム支持ユニット210は、フレームFにおけるリムの上縁側を上に向けた状態で、フレームFを支持する構成としてもよい。
例えば、フレーム支持ユニット210は、基台211と、基台211に設けられた前方支持部212及び後方支持部213と、を備える。前方支持部212は、上方を開口したコの字形状である。前方支持部212は、フレームFにおけるブリッジFBを支持する。本実施例では、フレームFがリムの上縁側を下に向けた状態で前方支持部212に載置されることで、そのブリッジFBが支持される。もちろん、フレームFがリムの下縁側を下に向けた状態で前方支持部212に載置されることで、そのブリッジFBが支持される構成としてもよい。後方支持部213は、上方を開口したコの字形状である。後方支持部213は、フレームFにおけるモダン(左モダンFML及び右モダンFMR)を支持する。本実施例では、フレームFがリムの上縁側を下に向けた状態で後方支持部213に載置されることで、そのモダンが支持される。もちろん、フレームFがリムの下縁側を下に向けた状態で後方支持部213に載置されることで、そのモダンが支持される構成としてもよい。
<レンズ測定ユニット>
レンズ測定ユニット220は、フレームFにレンズLEが枠入れされた状態の眼鏡(以下、眼鏡と称す)において、レンズLEの光学特性を測定する。レンズLEの光学特性は、球面度数S、柱面度数C、乱視軸角度A、プリズム量Δ、等の少なくともいずれかであってもよい。また、レンズ測定ユニット220は、眼鏡のレンズLEにおける光学中心位置OCからの所定の位置までの長さを測定する。例えば、所定の位置は、眼鏡のフレームFにおけるリムの下縁までの長さ、等であってもよい。例えば、レンズ測定ユニット220は、当接ピン221、測定光学系230、等を備える。
当接ピン221は、後述する指標板233の上面に固定される。また、当接ピン221は、レンズLEの後面に当接する。例えば、当接ピン221は3本で構成され、測定光学系230の光軸L1に対して各々が等距離かつ等角度となるように配置される。すなわち、当接ピン221は、光軸L1が指標板233を通過する点を基点として、基点から各当接ピン221までの距離が等しくなるように配置される。また、当接ピン221は、基点と各当接ピン221を結ぶ二直線のなす角度が等しくなるように(すなわち、120度となるように)配置される。
<測定光学系>
図10は眼鏡測定装置200における光学系を示す図である。例えば、測定光学系230は、光源231、コリメータレンズ232、指標板233、スクリーン234、撮像レンズ235、撮像素子236、ハーフミラー237、等を備える。
光源231は第1光源231aと第2光源231bで構成される。例えば、第1光源231aは、第2光源231bとは異なる波長の測定光束を出射できる光源であればよい。この場合、第1光源231aは、波長のピークと、波長帯域と、の少なくともいずれかが第2光源231bとは異なる測定光束を出射できる光源であればよい。例えば、本実施例においては、第1光源231aとして赤外光線を出射する光源が用いられ、第2光源231bとして可視光線を出射する光源が用いられる。
指標板233には、レンズLEの光学特性を測定するための測定指標が形成されている。例えば、指標板233に形成された測定指標の部分は、第1光源231aから出射した測定光束と、第2光源231bから出射した測定光束と、をどちらも通過させる。例えば、指標板233における測定指標以外の部分は、第1光源231aから出射した測定光束を遮光するが、第2光源231bから出射した測定光束は通過させる。
なお、このような光源及び指標板の構成、指標板に形成する測定指標の構成、等の詳細については、例えば、特開2018−36255号公報を参照されたい。また、測定指標を用いたレンズLEの光学特性測定の詳細については、例えば、特開2008−241694号公報を参照されたい。
コリメータレンズ232は、光源231から照射された測定光束を光軸L1と平行(略平行も含む)にする。スクリーン234は、指標板233から所定の距離だけ離れた位置に設けられる。また、スクリーン234は、指標板233に形成された測定指標の像を投影する。撮像素子236は、CCD(Charge Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)で構成されてもよい。ハーフミラー237は、光源231から出射した測定光束を通過あるいは反射させる。
<駆動ユニット>
駆動ユニット240は、レンズ測定ユニット220に対して、フレーム支持ユニット210をX方向、Y方向、及びZ方向に移動させる。レンズ測定ユニット220の下部にはナット部241が固定され、X方向に伸びる送りネジ242がナット部241に螺合する。送りネジ242の両端は、ベアリングを介して基台243に連結される。また、レンズ測定ユニット220の下部には図示なきボールブッシュが固定され、X方向に伸びるシャフト244がボールブッシュを貫通する。シャフト244の両端は基台243に連結される。基台243の下面には、モータ245が取り付けられている。モータ245の駆動軸は、送りネジ242と螺合する。
例えば、モータ245を駆動させると、送りネジ242が回転する。例えば、レンズ測定ユニット220は固定配置されているので、ナット部241によって送りネジ242が送られると、送りネジ242とともに基台243が左右方向(X方向)に移動する。例えば、このとき、シャフト244は図示なきボールブッシュ内を摺動する。例えば、フレーム支持ユニット210は、このように基台243を移動させることで、レンズ測定ユニット220に対して左右方向に移動する。
基台243の上面には、軸受支持部材246が固定されている。軸受支持部材246は、基台243の上面前方に位置する前方支持部材と、基台243の上面後方に位置する後方支持部材と、で構成される。前方支持部材にはベアリングが設けられ、ベアリングにはZ方向に伸びる送りネジ247の一端が連結する。後方支持部材にもベアリングが設けられ、ベアリングには送りネジ247の他端が貫通する。送りネジ247の他端は、後方支持部材に固定された図示なきモータの駆動軸と連結する。また、基台243の上面には、ボールブッシュ支持部材248が固定されている。例えば、ボールブッシュ支持部材248にはボールブッシュが設けられ、Z方向に伸びるシャフト249がボールブッシュに貫通する。基台250の下面には、図示なきナット支持部材と、シャフト支持部材251と、が固定されている。例えば、ナット支持部材にはナット部が設けられており、このナット部は送りネジ247と螺合する。例えば、シャフト支持部材251にはボールブッシュが設けられており、このボールブッシュにはシャフト249が貫通する。
例えば、送りネジ247の他端に設けられたモータを駆動させると、送りネジ247が回転する。これによって、ナット支持部材のナット部が送りネジ247に送られ、ナット支持部材、及びナット支持部材が固定された基台250が前後方向(Z方向)に移動する。このとき、基台250の移動にともなって、基台250に固定されたシャフト支持部材251は、シャフト249上を摺動する。例えば、ベアリングによって、送りネジ247が回転しても、基台243にはモータの駆動が伝達されず、基台243は前後方向(Z方向)に移動しない。例えば、フレーム支持ユニット210は、このように基台250を移動させることで、レンズ測定ユニット220に対して前後方向に移動する。
基台252はナット部を有し、ナット部にはY方向に伸びる図示なき送りネジが螺合する。図示なき送りネジの一端は、基台250に設けられたベアリングを介して、基台250に連結される。図示なき送りネジの他端は、取付板253に設けられたベアリングを介して、取付板253に連結される。また、基台25はボールブッシュを有し、Y方向に伸びるシャフト254とシャフト255とのそれぞれが、このボールブッシュを貫通する。シャフト254の一端は、基台250に設けられたボールブッシュを介して、基台250に連結される。シャフト254の他端は、取付板256に設けられたボールブッシュを介して、取付板256に連結される。同様に、シャフト255の一端は、基台250に設けられたボールブッシュを介して、基台250に連結される。シャフト255の他端は、取付板257に設けられたボールブッシュを介して、取付板257に連結される。例えば、取付板253には、モータ258が固定されている。例えば、モータ258の駆動軸は、ナット部に螺合する図示なき送りネジと連結する。
例えば、モータ258を駆動させると、基台252のナット部が送りネジに送られ、基台252は上下方向(Y方向)に移動する。このとき、基台252の移動にともなって、基台252のボールブッシュはそれぞれシャフト254及びシャフト255上を摺動する。例えば、送りネジがモータ258により回転しても、基台250にはベアリングによってモータ258の駆動が伝達されず、基台250及び基台243は上下方向(Y方向)に移動しない。例えば、フレーム支持ユニット210は、このように基台252を移動させることで、レンズ測定ユニット220に対して上下方向に移動する。
<制御部>
図11は眼鏡測定装置200における制御系を示す図である。例えば、制御部260には、モニタ202、操作ボタン203、光源231、撮像素子236、駆動ユニット240が備える各モータ(例えば、モータ245及びモータ258)、等が電気的に接続されている。メモリ261は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体であってもよい。例えば、メモリ261としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、着脱可能なUSBメモリ、等を使用することができる。メモリ261は、レンズ測定ユニット220により測定されたレンズLEの光学特性等を記憶してもよい。
例えば、制御部260は、一般的なCPU、RAM、ROM、等を備える。例えば、CPUは、眼鏡測定装置200における各部の駆動を制御する。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、CPUが実行する各種プログラムが記憶されている。なお、制御部260は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
<制御動作>
以下、眼鏡枠形状測定装置100及び眼鏡測定装置200を備える眼鏡測定システム1を用いた眼鏡の測定について説明する。
まず、眼鏡の組み付けについて簡単に説明する。図12はフレームFにレンズLEが枠入れされた状態の眼鏡を示す図である。図12の左図は眼鏡の正面図280である。図12の右図は正面図280におけるA−A´線断面図290である。眼鏡は、周縁にヤゲンLEbを形成したレンズLEを、フレームFのリムに形成された溝Fgに嵌め込むことによって組み付けられている。
例えば、操作者は、眼鏡枠形状測定装置100を用いてリムの溝底の位置を動径角毎に測定し、リムの溝底の形状データを取得する。また、操作者は、リムの溝底の形状データを玉型形状データとして、玉型形状データと光学中心位置OCとの位置関係を示すレイアウトを設定し、レイアウトデータを取得する。例えば、このようなレイアウトは、玉型形状データのボクシング中心位置BCから光学中心位置OCまでの高さH1、玉型形状データの最底辺の位置Pから光学中心位置OCまでの高さBT、玉型形状データにおける光学中心位置直下の底辺の位置から光学中心位置OCまでの高さ(言い換えると、PD高さ)H4、左右レンズにおけるボクシング中心間距離FPD、左右レンズにおける光学中心間距離PD(眼鏡装用者の瞳孔間距離PD)、等の少なくともいずれかであってもよい。
続いて、操作者は、レンズ周縁加工装置を用いて、レンズLEの周縁を加工する。例えば、操作者は、玉型形状データやレイアウトデータに基づいて、レンズLEの周縁にヤゲンを形成するための加工制御データを取得する。これらのデータに加えて、レンズLEのレンズ面形状データ(例えば、玉型形状データに対応するレンズLEの前面及び後面の位置、レンズLEの前面のカーブ値、等)、レンズLEの加工条件、等に基づく加工制御データを取得してもよい。操作者は、このような加工制御データに基づく加工をレンズLEに施すことで、周縁にヤゲンLEbを形成したレンズLEを取得する。また、操作者は、周縁にヤゲンLEbを形成したレンズLEを、フレームFのリムに形成された溝Fgに枠入れし、眼鏡を組み付ける。
ここで、上記のようにして組み付けた眼鏡は、設定したレイアウトとは異なる仕上がりになっていることがある。例えば、レンズLEのヤゲンLEbは、フレームFのリムの溝Fgに必ずしも隙間なく嵌め込まれるとは限らない。ヤゲンLEbと溝Fgの間に隙間ができていると、前述の高さBT、高さH2、ボクシング中心間距離FPD、光学中心間距離PD、等がレイアウト通りにならず、各々の値がずれてしまうことがある。装用者がこのような状態の眼鏡を装用すると、良好な見え具合にならない等の問題が生じる。
このため、本実施例では、眼鏡測定システム1を用いて、眼鏡を作製し(つまり、フレームFにレンズLEを枠入れし)、眼鏡のレイアウトデータを測定する。以下、眼鏡の作製及び眼鏡のレイアウトデータ測定について、左リムFRL側のみを例に挙げて説明する。右リムFRRについては、左リムFRLと同様に考えることができるため、その説明を省略する。
<玉型形状と第1情報の取得>
操作者は、眼鏡枠形状測定装置100を用いて、図12に示すリムの深さ方向の厚みT(第1情報)を取得する。例えば、本実施例においては、フレーム測定ユニット60が、フレームFのリムの溝底の位置と、リムの外縁の位置と、をそれぞれ検出し、これらに基づいて、リムの深さ方向の厚みTを取得する。例えば、リムの深さ方向の厚みTは、リムの上縁部分における深さ方向の厚みであってもよいし、リムの下縁部分における深さ方向の厚みであってもよい。すなわち、リムの全周における任意の位置について、リムの溝底からリムの外縁までの高さが、リムの深さ方向の厚みTとして取得されてもよい。なお、本実施例では、フレーム測定ユニット60が、フレームFの左リムFRLの溝底の最底辺の位置Pと、左リムFRLの外縁における最下縁の位置Qと、をそれぞれ検出し、位置Pから位置Qまでの高さを、左リムFRLの深さ方向の厚みTとして取得する場合を例に挙げる。
操作者は、第1スライダー22と第2スライダー23との間隔を広げ、リムの上縁と下縁をクランプピンでクランプし、フレーム保持ユニット20にフレームFを保持させる。続いて、操作者は、スイッチ部12を操作して、リムの溝底の位置の測定を開始する。
制御部90は、測定開始の信号が入力されると、フレーム測定ユニット60の駆動を制御する。制御部90は、測定子62を初期位置から測定開始位置に移動させる。例えば、本実施例では、測定子62のXY方向における初期位置が、左リムFRL側の位置SL(図2参照)に設定されている。位置SLは、そのX方向の位置がクランプピン24a及び24bの中央の位置であり、Y方向の位置が中心線N1の位置であってもよい。もちろん、初期位置は任意の位置に設定可能であってもよい。制御部90は、初期位置SLにて、測定子62の先端が左リムFRLの下側のクランプピン24c及び24dを向くように、回転ユニット81を回転させる。また、制御部90は、測定子62の先端が左リムFRLの溝底に接触するように、測定子保持ユニット80をリム側に移動させる。例えば、このようにして、制御部90は測定子62を初期位置SLから測定開始位置へ移動させ、測定子62の先端を左リムFRLの溝に挿入し、測定子62の先端と左リムFRLの溝底を接触させる。
制御部90は、測定子62の先端を左リムFRLの溝底に沿って移動させる。このとき、制御部90は、モータ83を駆動して回転ベース82を回転させるとともに、測定子軸63及び測定子62を回転軸P1(図6(b)参照)の軸回りに回転させる。測定子62は、リムの溝底の変化に追従して、X方向、Y方向、及びZ方向に移動する。本実施例では、測定子62のX方向及びY方向の移動位置がエンコーダ84により検知され、測定子62のZ方向の移動位置がエンコーダ85により検知される。これによって、測定子62は左リムFRLの溝底の周方向に移動し、回転ベース82の動径角(回転角)毎に左リムFRLの溝底の位置が測定され、左リムFRLの溝底の全周の3次元データ(xn,yn,zn)(n=1、2、3、・・・、N)が取得される。例えば、リムの溝底の3次元データは、3次元の直交座標で表される。
制御部90は、取得した左リムFRLの溝底の3次元データを繋ぎ合わせて、左リムFRLの溝底の形状データを取得する。溝底の形状データは、レンズLEを加工するための玉型形状データとして用いられる。また、制御部90は、左リムFRLの溝底の3次元データに基づいて、左リムFRLの溝底の最底辺の位置を検出する。例えば、溝底の最底辺の位置とは、測定子62が検出したリムの溝底におけるY方向の座標が最も小さい位置であってもよい。これによって、左リムFRLの溝底の最底辺の位置P(すなわち、最下点の位置P)が検出され、位置Pの3次元データ(xP,yP,zP)が取得される。
なお、本実施例では、左リムFRLの溝底の3次元データを、X方向及びY方向の位置を動径角θnと動径長rnを用いて2次元の極座標で表すとともに、Z方向の位置をZ座標で表した3次元データ(rn,zn,θn)(n=1,2,3、・・・、N)に適宜変換してもよい。例えば、動径長rnは、各動径角における左リムFRLの溝底から基準位置までの長さである。例えば、基準位置は回転軸P1の位置であってもよい。
図13は第2スライダー23における第2面23aと測定子62の接触を説明する図である。制御部90は、動径角毎に左リムFRLの溝底の位置を測定すると、左リムFRLの下縁が当接する第2スライダー23の第2面23aに、測定子62の先端を接触させる。例えば、本実施例では、測定子62の先端を接触させる第2面23a上の接触位置が、第2面23aの中央の位置Mに設定されている。接触位置Mは、そのX方向の位置が、左リムFRLの下縁をクランプするクランプピンと、右リムFRRの下縁をクランプするクランプピンと、の中央の位置であってもよい。また、接触位置Mは、そのZ方向の位置が、クランプピン24c及び24dの中央の位置であってもよい。もちろん、接触位置は任意の位置に設定可能であってもよい。なお、例えば、本実施例において、第2スライダー23の傾き(例えば、中心線N1に対する第2面23aの傾き)は予め較正しておいてもよい。
制御部90は、測定子保持ユニット80の駆動を制御して、測定子62を前述の位置SL(図2参照)に移動させることで、測定子62の先端を左リムFRLの溝から外す。次に、制御部90は、測定子62をZ方向(本実施例では、下方向)に移動させることで、測定子62を第1スライダー22及び第2スライダー23の下部に配置する。さらに、制御部90は、測定子62を所定の距離だけX方向に移動させることで、測定子62を左リムFRLに接触させることなく接触位置MのX方向に一致させる。なお、所定の距離(つまり、クランプピン23c及び23dのX方向の位置から接触位置MのX方向の位置までの距離)は設計上既知である。また、制御部90は、測定子62の所定の距離だけZ方向に移動させることで、測定子62を接触位置MのZ方向に一致させることができる。なお、所定の距離(つまり、スライダーの下部から接触位置MのZ方向の位置までの距離)も設計上既知である。この状態において、制御部90は、接触位置Mに測定子62が接触するように、測定子保持ユニット80をリム側に移動させる。例えば、このようにして、制御部90は測定子62を第2面23aの接触位置Mに接触させる。
例えば、制御部90は、接触位置Mの位置を、左リムFRLの下縁における最下縁の位置Qとして測定する。これにより、測定子62の移動位置に基づいて、接触位置Mの位置の3次元データ(すなわち、左リムFRLの下縁における最下縁の位置Qの3次元データ(xQ,yQ,zQ))が取得される。なお、本実施例において、左リムFRLの最下縁の位置Qの3次元データは、3次元の直交座標で表される。
制御部90は、左リムFRLの溝底の最底辺の位置Pの3次元データ、及び、左リムFRLの最下縁の位置Qの3次元データ、を取得すると、これらに基づいてリムの深さ方向の厚みTを取得する。例えば、制御部90は、左リムFRLの溝底の位置Pの3次元データ(xP,yP,zP)と、左リムFRLの最下縁の位置Qの3次元データ(xQ,yQ,zQ)と、の差分を求める。例えば、本実施例においては、制御部90が、左リムFRLの溝底の位置PにおけるY方向の位置座標(すなわち、3次元データyP)と、左リムFRLの最下縁の位置QにおけるY方向の位置座標(すなわち、3次元データyQ)と、の差分を求める。これによって、リムの深さ方向の厚みTを取得することができる。例えば、左リムFRLの溝底の3次元データに基づく溝底の形状データ(すなわち、左リムFRLの玉型形状データ)と、リムの深さ方向の厚みTと、は共有サーバに送信され、共有サーバのメモリに記憶される。
<レンズの加工とフレームへの枠入れ>
操作者は、周知のレンズメータを用いて、未加工のレンズLEにおける光学中心位置OCを測定し、未加工のレンズLEの前面に印点を付与する。なお、レンズメータの構成、及び印点の付与についての詳細は、例えば、特開2013−134240号公報等を参照されたい。また、操作者は、周知のカップ取付装置を用いて、未加工のレンズLEにカップを取り付ける。なお、カップ取付装置の構成、及びカップの取り付けについての詳細は、例えば、特開2007−216355号公報等を参照されたい。
次に、操作者は、周知のレンズ周縁加工装置を用いて、未加工のレンズLEを加工し、レンズLEの周縁にヤゲンLEbを形成する。例えば、レンズ周縁加工装置の制御部は、サーバから左リムFRLの溝底の形状データ(すなわち、左リムFRLの玉型形状データ)を受信し、レンズ周縁加工装置が備えるモニタに玉型形状データを表示する。操作者は、モニタを操作して、レンズLEのレイアウトデータや加工条件等を入力する。これらのデータはサーバに送信され、サーバが備えるメモリに記憶されてもよい。また、操作者は、レンズ周縁加工装置が備えるレンズチャック軸にカップを取り付けたレンズLEを挟持させ、レンズLEのレンズ面形状の測定を開始する。例えば、レンズ周縁加工装置の制御部は、レンズ周縁加工装置が備えるレンズ形状測定部を制御して、レンズLEのレンズ面形状を測定する。これにより、玉型形状データに対応するレンズLEの前面及び後面の位置、レンズLEの前面のカーブ値、等のレンズ面形状データが取得される。
レンズ周縁加工装置の制御部は、玉型形状データ、レイアウトデータ、加工条件、及びレンズ面形状データ、等に基づいて、レンズLEにヤゲンLEbを形成するためのヤゲン形成データを取得し、ヤゲン形成データに基づいて、レンズLEの周縁を加工するための加工制御データを取得する。また、例えば、レンズ周縁加工装置の制御部は、加工制御データに基づいてレンズチャック軸を移動させ、砥石に対するレンズLEの相対的な位置関係を調整する。これによって、操作者は、レンズLEの周縁を加工し、レンズLEの周縁にヤゲンLEbを形成することができる。なお、レンズ周縁加工装置の構成、及びレンズ周縁加工装置を用いたレンズLEの加工についての詳細は、例えば、特開2009−241240号公報等を参照されたい。操作者は、周縁にヤゲンLEbを形成したレンズLEを、フレームFのリムに形成された溝Fgに枠入れして、眼鏡を組み付ける。
<第2情報の取得>
操作者は眼鏡を組み付けると、眼鏡測定装置200を用いて、リムの外縁からレンズLEの光学中心位置OCまでの高さを取得する。すなわち、フレームFにレンズLEを枠入れした状態の眼鏡に対して、リムの外縁からレンズLEの光学中心位置OCまでの高さを取得する。例えば、リムの外縁からレンズLEの光学中心位置OCまでの高さは、リムの外縁における最下縁(すなわち、位置Q)から光学中心位置OCまでの高さH3であってもよい。また、例えば、リムの外縁からレンズLEの光学中心位置OCまでの高さは、光学中心位置直下のリムの外縁から光学中心位置OCまでの高さH4であってもよい。なお、本実施例では、レンズ測定ユニット220が、フレームFの左リムFRLの最下縁の位置QからレンズLEの光学中心位置OCまでの高さH3を、リムの外縁からレンズLEの光学中心位置OCまでの高さとして取得する場合を例に挙げる。
操作者は、眼鏡を前方支持部212及び後方支持部213に載置し、フレーム支持ユニット210に眼鏡を支持させる。続いて、操作者は、モニタ202に表示される操作ボタン203を操作して、フレームFの左リムFRLの最下縁の位置QからレンズLEの光学中心位置OCまでの高さH3の測定を開始する。
制御部260は、測定開始の信号が入力されると、駆動ユニット240の駆動を制御して、レンズ測定ユニット220に対するフレーム支持ユニット210の位置を初期位置から測定位置に移動させる。例えば、本実施例では、フレーム支持ユニット210のXY方向における初期位置が、前方支持部212の上下中央と、当接ピン221の上下中央(すなわち、測定光学系230の光軸L1)と、が一致する位置に設定されている。また、例えば、本実施例では、フレーム支持ユニット210のZ方向における初期位置が、当接ピン221から所定の距離だけ離れた位置に設定されている。なお、所定の距離は、フレーム支持ユニット210に載置された眼鏡のレンズLEと、当接ピン221と、が接触しない程度に離れた距離であればよい。もちろん、初期位置は任意の位置に設定可能であってもよい。制御部260は、駆動ユニット240の各モータを駆動して、フレーム支持ユニット210を初期位置からX方向、Y方向、Z方向にそれぞれ移動させ、左リムFRLに枠入れされたレンズLEに当接ピン221を接触させる。なお、このとき、制御部260は、サーバからレイアウトデータを受信して、レンズ測定ユニット220に対するフレーム支持ユニット210のおおよその移動量を決めてもよい。これにより、測定光学系230の光軸L1が、左リムFRLに枠入れされたレンズLEの光学中心位置付近に位置合わせされる。
図14は撮像素子236が撮像する撮像画像270の一例である。図14(a)は第1光源231aを点灯させた状態における撮像画像270aである。図14(b)は第2光源231bを点灯させた状態における撮像画像270bである。制御部260は、第1光源231aを点灯させ、指標板233における測定指標の部分のみを通過した測定光束をレンズLEに照射する。また、制御部260は、スクリーン234に投影されたフレームFの像(フレーム像Fp)と、レンズLEの像(レンズ像LEp)と、レンズLEを通過した視標光束の像(視標光束像231p)と、を撮像素子236で撮像する。これにより、撮像画像270aが取得される。制御部260は、フレーム支持ユニット210に眼鏡を載置していない状態の撮像画像(すなわち、基準画像)と、フレーム支持ユニット210に眼鏡を載置した状態の撮像画像270と、を画像処理することで、基準画像におけるそれぞれの視標光束像231pが撮像画像270aのどこに移動したかを解析する。また、制御部260は、それぞれの視標光束像231pの移動位置に基づいて、レンズ像LEpの光学中心位置OCpを求める。撮像画像270上におけるレンズ像LEpの光学中心位置OCpの画素位置(すなわち、位置座標)は、メモリ261に記憶される。
次に、制御部260は、第2光源231bを点灯させ、指標板233における測定指標の部分と、測定指標以外の部分と、の双方を通過した測定光束をレンズLEに照射する。これにより、フレーム像Fpとレンズ像LEpを撮像した撮像画像270bが取得される。制御部260は、撮像画像270bを画像処理することで、左リムFRLの像(左リム像FRLp)の最下縁の位置Qpからレンズ像LEpの光学中心位置OCpまでの高さH3pを取得する。例えば、制御部260は、撮像画像270bに対してエッジ検出を行い、撮像画像270bにおける輝度の立ち上がりや立ち下がりを検出することで、左リム像FRLpの最下縁の位置Qpを検出する。また、例えば、制御部260は、撮像画像270上における位置Qpの画素位置(位置座標)を、メモリ261に記憶する。
例えば、制御部260は、メモリ261に記憶したレンズ像LEpの光学中心位置OCpの画素位置と、左リム像FRLpの最下縁の位置Qpの画素位置と、に基づいて、左リム像FRLpの最下縁の位置Qpからレンズ像LEpの光学中心位置OCpまでの高さH3pを求める。なお、このような高さH3pは撮像画像270bにおける画素数で表されているため、実際の高さH3に変換されてもよい。例えば、撮像画像270の1画素対応する実際の距離は、予め実験やシミュレーション等により設定されていてもよい。これによって、制御部260は、フレーム支持ユニット210に載置した眼鏡における左リムFRLの最下縁の位置QからレンズLEの光学中心位置OCまでの高さH3を取得することができる。
<第3情報の取得>
操作者は、第1情報及び第2情報を取得すると、これらに基づいて、リムの溝底からレンズLEの光学中心位置OCまでの高さを取得する。例えば、本実施例では、左リムFRLの深さ方向の厚みT(第1情報)、及び、左リムFRLの最下縁の位置QからレンズLEの光学中心位置OCまでの高さH3(第2情報)、に基づいて、左リムFRLの溝底の最底辺の位置PからレンズLEの光学中心位置OCまでの高さBT(すなわち、リムの溝底の最底辺の位置Pと、光学中心位置OCと、を垂直方向に結ぶ距離BT)が取得される。
眼鏡測定装置200の制御部260は、左リムFRLの最下縁の位置QからレンズLEの光学中心位置OCまでの高さH3と、左リムFRLの深さ方向の厚みTと、の差分を算出することで、左リムFRLの溝底の最底辺の位置PからレンズLEの光学中心位置OCまでの高さBT(第3情報)を求めることができる。例えば、本実施例において、このような高さBTは、モニタ202に表示される。もちろん、高さBTの他に、リムの深さ方向の厚みT、リムの最下縁の位置Qから光学中心位置OCまでの高さH3、等がモニタ202に表示されてもよい。もちろん、これらの情報は、タブレット端末等への表示、プリンタ等を用いた印刷、外部メモリ(例えば、USBメモリ等)への保存、等により出力されてもよい。
<比較情報の取得>
例えば、眼鏡測定装置200の制御部260は、取得した眼鏡の高さBT(以下、高さBT´と称する)と、レンズの加工時に設定した玉型形状データの最底辺の位置Pから光学中心位置OCまでの高さBTと、を比較した比較情報を取得する。例えば、比較情報は、眼鏡の高さBT´と、レンズの加工時に設定した高さBTと、のそれぞれの値を並べた情報であってもよい。例えば、比較情報は、表示、印刷、保存、等により出力されてもよい。また、例えば、比較情報は、第3情報の良否の判定に用いられてもよい。
<第3情報の良否判定>
例えば、眼鏡測定装置200の制御部260は、取得した眼鏡の高さBT´の良否を、レンズの加工時に設定した玉型形状データの最底辺の位置Pから光学中心位置OCまでの高さBTに基づいて判定する。
図15はフレームFの溝FgとレンズLEのヤゲンLEbとに隙間がある状態の眼鏡を示す図である。制御部260は、レンズLEを加工する際に設定したレイアウトデータを受信し、レンズの加工時に設定した高さBTと、測定した高さBT´と、のずれ量を検出する。この場合には、左リムFRLに対して設定した高さBTと、左リムFRLにて測定された高さBT´と、のずれ量が誤差範囲内であるかが判定される。誤差範囲は、高さBT±0.1mm、等に予め設定されていてもよい。制御部260は、高さBTと高さBT´とのずれ量が誤差範囲におさまっていた場合に、高さBT´(すなわち、第3情報)が良好であると判定する。また、制御部260は、高さBTと高さBT´とのずれ量が誤差範囲を超えていた場合に、高さBT´が良好でないと判定する。なお、左リムFRLと同様に、右リムFRRについても、右リムFRRに対して設定した高さBTと、右リムFRRにて測定された高さBT´と、のずれ量に基づいて高さBT´の良否が判定される。
また、制御部260は、左リムFRLにて測定された高さBT´と、右リムFRRにて測定された高さBT´と、のずれ量を検出する。この場合には、左リムFRLにて測定された高さBT´と、右リムFRRにて測定された高さBT´と、のずれ量が誤差範囲内であるかが判定される。誤差範囲は、0.1mm以内、等に予め設定されていてもよい。制御部260は、左リムFRLの高さBT´と右リムFRRの高さBT´とのずれ量が誤差範囲におさまっていた場合に、眼鏡の高さBT´が良好であると判定する。また、制御部260は、左リムFRLの高さBT´と右リムFRRの高さBT´とのずれ量が誤差範囲を超えていた場合に、眼鏡の高さBT´が良好でないと判定する。
例えば、本実施例において、このような眼鏡の高さBT´の良否の判定結果は、モニタ202に表示される。一例としては、算出されたずれ量がモニタ202に表示されてもよいし、判定指標(例えば、誤差範囲内であればA判定、誤差範囲外であればB判定、等)がモニタ202に表示されてもよい。もちろん、これらの情報は、タブレット端末等への表示、プリンタ等を用いた印刷、外部メモリ(例えば、USBメモリ等)への保存、等により出力されてもよい。操作者は、出力された情報を確認することで、眼鏡がレイアウト通りに作製できているかを容易に判断することができる。
以上説明したように、例えば、本実施例における眼鏡測定システムは、眼鏡のフレームにおけるリムの深さ方向の厚みである第1情報を取得し、眼鏡のレンズをフレームに枠入れした枠入れ状態において、リムの外縁の位置からレンズの光学中心位置までの高さである第2情報を取得し、第1情報と第2情報とに基づいて、枠入れ状態におけるリムの溝底の位置から光学中心位置までの高さである第3情報を取得する。例えば、眼鏡は、枠入れ状態ではフレームのリムの溝にレンズのヤゲンが隠れてしまうため、ヤゲン頂点からレンズの光学中心位置までの高さを測定することが難しかった。しかし、このような構成であることによって、ヤゲン頂点からレンズの光学中心位置までの高さを容易に取得することができる。
また、例えば、本実施例における眼鏡測定システムは、リムの溝底の位置とリムの外縁の位置を検出し、リムの溝底の位置とリムの外縁の位置とに基づく第1情報を取得する。例えば、フレームは設計データに基づいて製造されているが、同一のフレームであっても個体差が生じてしまうことがある。本実施例のように、リムの溝底の位置とリムの外縁の位置を検出する構成であれば、フレーム毎に正確な第1情報を取得することができる。
また、例えば、本実施例における眼鏡測定システムは、フレームにおけるリムの溝底の最底辺の位置及びリムの外縁における最下縁の位置を検出して、リムの溝底の最底辺の位置からリムの最下縁の位置までの高さを第1情報として取得し、リムの最下縁からレンズの光学中心位置までの高さを第2情報として取得し、第1情報と第2情報とに基づいて、リムの溝底の最底辺から光学中心位置までの高さを第3情報として取得する。これによって、例えば、ヤゲン頂点が最下縁となる位置からレンズの光学中心位置までの高さ(すなわち、アイポイント指標のひとつであるBT)を容易に取得することができる。
また、例えば、本実施例における眼鏡測定システムは、フレームの外縁が当接するようにしてフレームを保持し、リムの溝底及びリムの外縁が当接する当接面に測定子を接触させ、測定子の移動位置に基づいて第1情報を取得する。例えば、眼鏡を作製する際には、リムの溝に測定子を挿入して1周させることで、フレームの形状(例えば、フレームのリムの溝の3次元形状)を取得し、この形状データを用いてレンズを加工するための加工制御データが作成される。測定子の形状によっては、測定子が必ずしもリムの溝底に一致しないため、形状データに基づいてレンズに形成されるヤゲン頂点の位置は、測定子の接触位置により変化する。本実施例のように、測定子がリムの溝底及びリムの外縁が当接する当接面(すなわち、リムの最下縁)の双方に接触することによって、リムの溝底の位置から測定子の接触位置までの誤差を考慮するための構成を設けることなく、第1情報を精度良く取得できるようになる。
また、例えば、本実施例における眼鏡測定システムは、眼鏡の枠入れ状態における第3情報と、レンズの加工時に設定したリムの溝底の位置から光学中心位置までの高さと、を比較した比較情報を取得する。また、眼鏡の第3情報の良否を、レンズの加工時に設定したリムの溝底から光学中心位置までの高さに基づいて判定する。これによって、操作者は、眼鏡のレイアウトが予定通りに仕上がっているか、眼鏡のレイアウトが適切であるか、等を容易に比較して判断することができる。
<変容例>
なお、本実施例では、眼鏡枠形状測定装置100を用いてリムの最下縁の位置Qにおける3次元データを取得する際に、第2スライダー23の第2面23aに測定子62を直接接触させる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、第2スライダー23の第2面23aに当て板を設けておき、測定子62を当て板に接触させる構成としてもよい。一例として、当て板は金属製の板であってもよい。例えば、本実施例において、第2スライダー23は樹脂製であり、測定子62は金属製である。リムを測定する毎に、測定子62を第2面23aの接触位置Mに接触させると、樹脂が金属よりも柔らかいために、第2面23aの接触位置Mが徐々に凹む可能性がある。第2面23aが凹んでしまうと、リムの最下縁の位置Qにおける正確な3次元データを取得することができなくなる。このため、第2面23aに当て板を設け、測定子62を当て板に接触させることで、3次元データを取得するようにしてもよい。例えば、当て板は、第2面23aの全面に設けられてもよいし、第2面23aにおいて少なくともフレームFの左右方向と同程度の長さをもつように設けられてもよい。また、例えば、当て板は、第2面23aと同様に当接部を有していてもよい。
なお、本実施例では、眼鏡枠形状測定装置100が、フレームFのリムの外縁に当接してフレームFを保持するフレーム保持ユニット20と、フレームFのリムの溝底及びフレーム保持ユニット20とリムの外縁との当接面(本実施例では、第2面23a)とに接触する測定子62と、を備え、測定子62の移動位置に基づいてリムの深さ方向の厚みT(すなわち、第1情報)を取得する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、眼鏡枠形状測定装置100は、フレームFのリムの溝底及びリムの外縁に向けて光源から測定光束を照射する投光光学系と、測定光束がリムの溝底及びリムの外縁に反射された反射光束を受光素子で受光する受光光学系と、を備え、リムの溝底からの反射光束と、リムの外縁からの反射光束と、に基づいてリムの深さ方向の厚みTを取得する構成としてもよい。例えば、この場合には、リムの溝の断面形状を撮像した断面画像から、リムの溝底の位置と、リムの外縁の位置と、が画像処理で検出されることで、リムの深さ方向の厚みTを取得してもよい。例えば、本実施例における眼鏡測定システムは、このような構成であることによって、リムの溝底の位置(すなわち、レンズに形成されるヤゲン頂点の位置)とリムの外縁の位置を正確に取得し、第1情報を精度良く取得できるようになる。
なお、本実施例では、眼鏡枠形状測定装置100のフレーム測定ユニット60が、リムの溝底の最底辺の位置Pの3次元データを測定した後に、リムの最下縁の位置Qの3次元データを測定する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、フレーム測定ユニット60は、リムの最下縁の位置Qの3次元データを測定した後に、リムの溝底の最底辺の位置Pの3次元データを測定する構成であってもよい。すなわち、リムの溝底の最底辺の位置、及びリムの最下縁の位置Qの測定は、どちらを先に実施してもよい。
なお、本実施例では、眼鏡枠形状測定装置100の制御部90が、リムの溝底の最底辺の位置Pの3次元データと、リムの最下縁の位置Qの3次元データと、に基づいて取得したリムの深さ方向の厚みTをサーバに送信する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、眼鏡枠形状測定装置100の制御部90は、リムの溝底の最底辺の位置Pの3次元データと、リムの最下縁の位置Qの3次元データと、をサーバに送信するようにしてもよい。サーバの制御部は、リムの溝底の最底辺の位置Pの3次元データと、リムの最下縁の位置Qの3次元データと、に基づいて、リムの深さ方向の厚みTを取得してもよい。すなわち、サーバの制御部がリムの深さ方向の厚みTを演算して取得してもよい。
なお、本実施例では、眼鏡測定装置200のフレーム支持ユニット210が、前方支持部212及び後方支持部213でフレームFを支持する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、フレーム支持ユニット210は、フレームFのリムの下縁が基台211に当接するように、フレームFを支持する構成としてもよい。また、例えば、フレーム支持ユニット210は、眼鏡枠形状測定装置100のフレーム保持ユニット20と同様に、フレームFのリムの上縁及び下縁を挟み込むことでフレームFを支持する構成としてもよい。すなわち、例えば、フレーム支持ユニット210は、フレームFのリムの下縁を、水平方向の基準となる基準面に当接させる構成としてもよい。
また、本実施例では、眼鏡測定装置200のレンズ測定ユニット220が、撮像画像270bから左リム像FRLpの最下縁の位置Qpを検出し、最下縁の位置Qpからレンズ像LEpの光学中心位置OCpまでの高さH3pを求める構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、本実施例では、撮像画像270bにおけるフレーム像Fpに傾きが検出された場合(すなわち、撮像素子236の撮像面に対してフレームFが傾いていた場合)に、フレーム像Fpの傾きを補正して、最下縁の位置Qpからレンズ像LEpの光学中心位置OCpまでの高さH3pを求める構成としてもよい。一例として、眼鏡測定装置200の制御部260は、眼鏡枠形状測定装置100から玉型形状データを取得し、この玉型形状データとフレーム像Fpとを比較することで、フレーム像Fpの傾きを検出してもよい。また、玉型形状データに基づいて、フレーム像Fpの傾きを補正してもよい。
なお、本実施例では、眼鏡測定装置200の制御部260が、高さBT(第3情報)に基づく良否判定を行う構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、制御部260は、高さBTに加えて、他の情報に基づく良否判定を行うようにしてもよい。一例として、制御部260は、眼鏡の左リムFRLに枠入れされたレンズLEと、眼鏡の右リムFRRに枠入れされたレンズLEと、の光学中心間距離PDについて、良否判定を行ってもよい。この場合、設定されたレイアウトデータにおける光学中心間距離PDと、測定した光学中心間距離PDと、のずれ量が誤差範囲内であるかを判定してもよい。また、一例として、制御部260は、眼鏡の左リムFRLに枠入れされたレンズLEと、眼鏡の右リムFRRに枠入れされたレンズLEと、のそれぞれについて、PD高さH2の良否判定を行ってもよい。この場合、設定されたレイアウトデータにおけるPD高さH2と、測定したPD高さH2と、のずれ量が誤差範囲内であるかを判定してもよい。
なお、本実施例では、眼鏡測定装置200の制御部260が、測定した高さBT´と、レンズの加工時に設定した高さBTと、を比較し、その良否を判定する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、測定したPD高さH2、ボクシング中心間距離FPD、光学中心間距離PD、等の少なくともいずれかの情報を、レンズ加工時に設定した情報と比較して、その良否を判定するようにしてもよい。すなわち、制御部260は、眼鏡のレイアウトの良否を判定するようにしてもよい。
また、本実施例では、測定した高さBT´と、レンズの加工時に設定したPD高さH2と、を比較し、その良否を判定する構成としてもよい。この場合、眼鏡測定装置200の制御部260は、測定した高さBT´を、PD高さH2に変換してもよい。
図16は高さBTとPD高さの変換を説明する図である。例えば、眼鏡測定装置200の制御部260は、眼鏡枠形状測定装置100にて取得された玉型形状データ110(すなわち、リムの溝底の3次元データを繋ぎ合わせた溝底の形状データ110)に基づいて、玉型形状データ110のボクシング中心位置BCの位置座標を求める。例えば、ボクシング中心位置BCは、玉型形状データ110を囲む四角形において、対向する各辺の中点を結んだ直線の交点である。眼鏡測定装置200を用いた眼鏡の測定によって、レンズLEの光学中心位置OCやリムの溝底の最底辺の位置P等の位置座標は求められている。このため、制御部260は、ボクシング中心位置BCの位置座標と、光学中心位置OCの位置座標と、によりボクシング中心位置BCから光学中心位置OCまでの高さg1を算出することができる。また、制御部260は、ボクシング中心位置BCの位置座標と、リムの溝底の最底辺の位置Pの位置座標と、によりボクシング中心位置BCから位置Pまでの高さg2を算出することができる。続いて、制御部260は、光学中心位置OCを通って垂直方向に伸びる直線k1と、玉型形状データ110と、の交点d1の位置座標を求める。例えば、交点d1の位置座標は、玉型形状データ110における動径角r毎の座標位置に基づいて算出することができる。また、制御部260は、光学中心位置OCを通って垂直方向に伸びる直線k1と、リムの溝底の最底辺の位置Pを通って水平方向に伸びる直線k2と、の交点d2の位置座標を求める。これによって、制御部260は、交点d1から交点d2までの高さg3を算出することができる。
制御部260は、前述のように算出した高さg1、高さg2、及び高さg3に基づいて、測定した高さBT´を、PD高さH2に変換する。例えば、制御部260は、測定したBT´から高さg3を減算することで(つまり、H2=BT´−g3)、PD高さH2を求めてもよい。また、例えば、制御部260は、高さg1と高さg2を加算し、そこから高さg3を減算することで(つまり、H2=g1+g2−g3)、PD高さH2を求めてもよい。例えば、測定した情報と、レンズの加工時に設定した情報と、が異なっていても、このように情報を変換することで、それぞれを比較して良否を判定することができる。
なお、本実施例では、眼鏡測定装置200の制御部260が、フレームFに枠入れされたレンズの光学中心位置を測定し、高さBT(第3情報)に基づく良否判定を行う構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、制御部260は、フレームFに枠入れされたレンズにおける装用者のアイポイント位置の光学特性を測定し、光学特性に対する良否を判定してもよい。例えば、光学特性は、球面度数、柱面度数、乱視軸角度、プリズム量、等の少なくともいずれかであってもよい。以下では、光学特性としてプリズム量を測定し、その良否を判定する場合を例に挙げる。
例えば、装用者のアイポイント位置は装用者の瞳孔位置であり、レンズの加工時においては、アイポイント位置が光学中心位置に一致するように、レンズのレイアウト情報が設定される。このため、例えば、単焦点レンズを加工する場合には、アイポイント位置(すなわち、レンズの光学中心位置)のプリズム量がゼロとなるように、レイアウト情報が設定される。しかし、フレームFに加工後のレンズを組み付けたときに、アイポイント位置がレンズの光学中心位置に一致していないと、プリズムが発生することがある。
そこで、制御部260は、レンズの加工時に設定されたレイアウトデータ(例えば、前述の高さBTや光学中心間距離PD等)に基づくアイポイント位置の光学特性を測定し、そのプリズム量を取得する。また、制御部260は、取得したプリズム量がゼロであるか否かを判定する。もちろん、プリズム量には誤差の許容範囲が設けられていてもよい。許容範囲は、±0.67プリズムディオプトリ以内、等に予め設定されていてもよい。例えば、制御部260は、取得したプリズム量が許容範囲におさまっていた場合に、プリズム量が良好であると判定する。すなわち、アイポイント位置と光学中心位置とが一致(略一致)していると判定する。また、例えば、制御部260は、取得したプリズム量が許容範囲を超えていた場合に、プリズム量が良好でないと判定する。すなわち、アイポイント位置と光学中心位置とが一致していないと判定する。
なお、上記では単焦点レンズを加工する場合を例示したが、プリズム処方のレンズを加工する場合には、アイポイント位置に所定のプリズム量が与えられるように、レイアウト情報が設定される。このため、例えば、制御部260は、レンズの加工時に設定されたレイアウトデータに基づくアイポイント位置のプリズム量が、所定のプリズム量に一致するか否かを判定してもよい。
なお、本実施例では、眼鏡がレイアウト通りに作製できていなかった場合、眼鏡測定装置200の制御部260が、測定した高さBT´とレンズの加工時に設定した高さBTとのずれ量、左リムFRLにて測定された高さBT´と右リムFRRにて測定された高さBT´とのずれ量、等の少なくともいずれかを、レンズ周縁加工装置の制御部に送信する構成としてもよい。例えば、レンズ周縁加工装置の制御部は、これらのずれ量を考慮した加工制御データを再度取得して、この加工制御データに基づいたレンズの加工を行ってもよい。